(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】医学的障害の治療のためのペプチド
(51)【国際特許分類】
C07K 5/107 20060101AFI20241028BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241028BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20241028BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241028BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20241028BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20241028BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241028BHJP
A61P 11/14 20060101ALI20241028BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241028BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241028BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20241028BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20241028BHJP
【FI】
C07K5/107
A61P43/00 111
A61P25/04
A61P9/00
A61P17/04
A61P1/08
A61P29/00
A61P11/14
A61P11/00
A61P25/00
A61P19/00
A61K38/08
(21)【出願番号】P 2022580359
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 US2020039581
(87)【国際公開番号】W WO2021262173
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-05-25
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522499151
【氏名又は名称】ヒューマンウェル ファーマシューティカル ユーエス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リャオ, スーボ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ルー, ジンリアン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ, ゾンチュアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ, ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, ジュエユアン
(72)【発明者】
【氏名】シェ, ティアンペン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, チュアンリー
【審査官】鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/198505(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/056249(WO,A1)
【文献】特表2010-509343(JP,A)
【文献】特表2019-517530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0231979(US,A1)
【文献】Pharmaceuticals,2019年,12, 95
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 5/00-5/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、
【化99】
式中、
R
1、R
2、及びR
3が
、H
であり、
R
4が、C
1~C
8非置換アルキル
であり、
R
5及びR
6が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、C
3~C
10置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、及び置換複素環からなる群から選択され、
R
7が、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、及びC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、O-置換C
1~C
8アルキル、及びO-非置換C
1~C
8アルキルからなる群から選択され、
R
10が、
【化100】
であり、
R
11が、OR
12及びNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、CH
3O(CH
2CH
2)
nCH
2CH
2-、及びHO(CH
2CH
2)
nCH
2CH
2-からなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、CH
3O(CH
2CH
2)
nCH
2CH
2-、及びHO(CH
2CH
2)
nCH
2CH
2-からなる群から選択され、
nが、0~100の整数である、化合物。
【請求項2】
R
1、R
2、及びR
3が
、H
であり、
R
4が、C
1~C
4非置換アルキル
であり、
R
5及びR
6が、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、C
3~C
8置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、及び置換複素環からなる群から選択され、
R
7が、H
、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、及びC
3~C
8置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、O-置換C
1~C
4アルキル、及びO-非置換C
1~C
4アルキルからなる群から選択され、
R
10が、
【化101】
であり、
R
11が、OR
12及びNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、C
1~C
12非置換アルキル、C
1~C
12置換アルキル、O-置換C
1~C
12アルキル、O-非置換C
1~C
12アルキル、CH
3O(CH
2CH
2)
nCH
2CH
2-、及びHO(CH
2CH
2)
nCH
2CH
2-からなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、C
1~C
12非置換アルキル、C
1~C
12置換アルキル、O-置換C
1~C
12アルキル、O-非置換C
1~C12
4アルキル、CH
3O(CH
2CH
2)
nCH
2CH
2-、及びHO(CH
2CH
2)
nCH
2CH
2-からなる群から選択され、
nが、0~50の整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1、R
2、及びR
3が
、H
であり、
R
4が、メチル、エチル、プロピル、
及びイソ-プロピル
からなる群から選択され、
R
5及びR
6が、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びフェニルからなる群から選択され、
R
7が、H、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、及びイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
10が、
【化102】
であり、
R
11が、OR
12及びNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9が、Hであり、R
4が、メチルであり、R
6が、フェニルであり、R
7が、イソ-プロピルであり、
R
10が、
【化103】
であり、
R
11が、OR
12であり、R
12が、Hであり、R
13、R
14、及びnが、式(IV)
の化合物に示されるように、存在しない、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物
【化104】
。
【請求項5】
R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9が、Hであり、R
4が、メチルであり、R
6が、フェニルであり、R
7が、イソ-プロピルであり、
R
10が、
【化105】
であり、
R
11が、OR
12であり、R
12が、Meであり、R
13、R
14、及びnが、式(V)
の化合物に示されるように、存在しない、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物
【化106】
。
【請求項6】
式(I)
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、
【化107】
式中、
R
1、R
2、及びR
3が
、H
であり、
R
4が
、C
1~C
8非置換アルキル
であり、
R
5及びR
6が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、C
3~C
10置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、及び置換複素環からなる群から選択され、
R
7が、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、及びC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、O-置換C
1~C
8アルキル、O-非置換C
1~C
8アルキル、CH
3O(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2-、及びHO(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2-からなる群から選択され、
R
10が、
【化108】
であり、
R
11が、OR
12及びNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、CH
3O(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2-、及びHO(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2-からなる群から選択され、R
13及びR
14が、独立して、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、CH
3O(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2-、及びHO(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2-からなる群から選択され、
nが、0~100の整数である、化合物。
【請求項7】
R
1、R
2、及びR
3が
、H
であり、
R
4が
、C
1~C
4非置換アルキル
であり、
R
5及びR
6が、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、C
3~C
8置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、及び置換複素環からなる群から選択され、
R
7が、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、及びC
3~C
8置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、O-置換C
1~C
4アルキル、O-非置換C
1~C
4アルキル、CH
3O(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2-、及びHO(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2-からなる群から選択され、
R
10が、
【化109】
であり、
R
11が、OR
12及びNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、C
1~C
12非置換アルキル、C
1~C
12置換アルキル、O-置換C
1~C
12アルキル、O-非置換C
1~C
12アルキル、CH
3O(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2-、及びHO(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2-からなる群から選択され、R
13及びR
14が、独立して、H、C
1~C
12非置換アルキル、C
1~C
12置換アルキル、O-置換C
1~C
12アルキル、O-非置換C
1~C
12アルキル、CH
3O(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2-、及びHO(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2-からなる群から選択され、
nが、0~50の整数である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R
1、R
2、及びR
3が
、H
であり、
R
4
が、メチル、エチル、プロピル、及びイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
7が
、H、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択され、R
5及びR
6が、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びフェニルからなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、及びイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
10が、
【化110】
であり、
R
11が、OR
12及びNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択される、請求項6又は7に記載の化合物。
【請求項9】
R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9が、Hであり、R
4が、メチルであり、R
6が、フェニルであり、R
7が、イソ-プロピルであり、
R
10が、
【化111】
であり、
R
11が、OR
12であり、R
12が、Hであり、R
13、R
14、及びnが、式(II)
の化合物に示されるように、存在しない、請求項6~8のいずれか一項に記載の化合物
【化112】
。
【請求項10】
R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9が、Hであり、R
4が、メチルであり、R
6が、フェニルであり、R
7が、イソ-プロピルであり、
R
10が、
【化113】
であり、
R
11が、OR
12であり、R
12が、Meであり、R
13、R
14、及びnが、式(III)
の化合物に示されるように、存在しない、請求項6~8のいずれか一項に記載の化合物
【化114】
。
【請求項11】
式(I)
:
【化115】
[式中、
R
1
、R
2
、及びR
3
が、Hであり、
R
4
が、C
1
~C
8
非置換アルキルであり、
R
5
及びR
6
が、独立して、H、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、C
3
~C
10
非置換シクロアルキル、C
3
~C
10
置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、及び置換複素環からなる群から選択され、
R
7
が、H、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、C
3
~C
10
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
10
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
8
及びR
9
が、独立して、H、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、O-置換C
1
~C
8
アルキル、及びO-非置換C
1
~C
8
アルキルからなる群から選択され、
R
10
が、
【化116】
であり、
R
11
が、OR
12
及びNR
13
R
14
からなる群から選択され、
R
12
が、H、C
1
~C
24
非置換アルキル、C
1
~C
24
置換アルキル、O-置換C
1
~C
24
アルキル、O-非置換C
1
~C
24
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、
R
13
及びR
14
が、独立して、H、C
1
~C
24
非置換アルキル、C
1
~C
24
置換アルキル、O-置換C
1
~C
24
アルキル、O-非置換C
1
~C
24
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、
nが、0~100の整数である]の化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項12】
カッパ-オピオド受容体アゴニスト関連疾患又は障害の治療を必要とする対象者においてカッパ-オピオド受容体アゴニスト関連疾患又は障害を治療するための薬学的組成物であって、式(I)
:
【化115】
[式中、
R
1
、R
2
、及びR
3
が、Hであり、
R
4
が、C
1
~C
8
非置換アルキルであり、
R
5
及びR
6
が、独立して、H、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、C
3
~C
10
非置換シクロアルキル、C
3
~C
10
置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、及び置換複素環からなる群から選択され、
R
7
が、H、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、C
3
~C
10
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
10
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
8
及びR
9
が、独立して、H、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、O-置換C
1
~C
8
アルキル、及びO-非置換C
1
~C
8
アルキルからなる群から選択され、
R
10
が、
【化116】
であり、
R
11
が、OR
12
及びNR
13
R
14
からなる群から選択され、
R
12
が、H、C
1
~C
24
非置換アルキル、C
1
~C
24
置換アルキル、O-置換C
1
~C
24
アルキル、O-非置換C
1
~C
24
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、
R
13
及びR
14
が、独立して、H、C
1
~C
24
非置換アルキル、C
1
~C
24
置換アルキル、O-置換C
1
~C
24
アルキル、O-非置換C
1
~C
24
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、
nが、0~100の整数である]の化合物を含み、前記カッパオピオイド受容体アゴニスト関連疾患又は障害が、疼痛、心臓血管疾患、掻痒、吐き気、炎症性疾患、脊髄感覚まひ、鎮咳、脳卒中、低酸素性肺血管高血圧症、多発性硬化症、中毒、及び外傷後軟骨損傷からなる群から選択される、薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、選択的カッパ-オピオイド受容体アゴニストである化合物、これらの化合物の調製方法、これらの化合物を含む組成物、及びカッパ-オピオイド受容体アゴニスト関連の医学的障害を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オピオイドカッパ受容体(KOR)は、脳、脊髄、及び中枢末端及び末梢末端などの身体の多くの器官で発現する。KORは、身体の多くの生理的機能を維持するために、シグナル伝達において重要な役割を果たす。オピオイドミュー受容体(MOR)及びデルタ受容体(DOR)のように、アゴニストリガンドによるKORの活性化は、カリウムチャネル活性を刺激しながら、アデニリルシクラーゼ及びカルシウムチャネル活性の阻害につながる(Law PY,Wong YH,Loh HH.Molecular mechanisms and regulation of opioid receptor signaling.Annu Rev Pharmacol Toxicol 2000;40:389-430)。
【0003】
多くの生理的プロセスは、鎮痛、抗痒性活性(Inan S,Cowan A.Kappa opioid agonists suppress chloroquine-induced scratching in mice.Eur J.Pharmacol 2004;502,233-7)、利尿(Barber A,Gottschlich R.Novel developments with selective non-peptidic kappa-opioid receptor agonists.Exp Opinion Investigational drugs.1997;6:1351-68;DeHaven-Hudkins DL,Dolls RE.Peripherally restricted opioid agonists are novel analgesic agents(Curr Pharm Des 2004;10:743-57)、炎症剤、免疫系調節剤などを含むKORの活性化に関連している。アゴニストは、疼痛、うつ病、自己免疫障害、及び神経的疾患などの様々な医学的障害を治療するためのKOR選択的リガンドに大きな潜在性を供与する。(Tyler C.Beck,Matthew A.Hapstack,Kyle R.Beck,and Thomas A.Dix.“Therapeutic Potential of Kappa Opioid Agonists”,Pharmaceuticals(Basel).2019 Jun;12(2):95)。
【0004】
多くのKOR選択的アゴニストは、合成され、呼吸抑制、依存症、中毒、及び便秘のような旧来のオピオイド鎮痛剤に関連する副作用を回避する潜在的な鎮痛剤として評価され、それらのうちのいくつかは、すでに臨床試験において試験されていたが、利尿、鎮静、及び不快感のような副作用、又は有効性の欠如のために失敗した。例としては、メシル酸スピラドリン(U62,066E)(Wadenberg ML,A review of the properties of spiradoline:a potent and selective kappa-opioid receptor agonist.CNS Drug Rev.2003,Summer,9(2):187-98)、潜在的な鎮痛剤のためのエナドリン(Walsh SL.,Strain EC,Abreu M.E.Bigelow G.E.Enadoline,a selective kappa opioid agonist:comparison with butorphanol and hydromorphone in humans.Psychopharmacology 2001,157,151-162)、及びADL-10-0101などが挙げられる。
【0005】
TRK-820(ナルフラフィン)は当初、潜在的な鎮痛剤として開発されたが、抗痒性試薬としての成功を達成し、日本ではRemitchというブランド名で規制上承認された。
【0006】
高オピオイドカッパ-受容体の選択的かつ強力なD-アミノ酸テトラペプチドアゴニストは、Ferring BV(US005965701A)によって報告され、Cara therapeuticsによって更に開発された。リードテトラペプチド化合物であるCR-845は、現在、臨床試験において、鎮痛剤及び抗痒剤としてCara therapeuticsによる開発下にある(Hesselink,J.M.K.CR845(Difelikefalin),A Kappa Receptors Agonist in Phase III by CARA Therapeutics:A Case of ‘Spin’in Scientific Writing?J.Pharm.& clinical Res.2017 2(3),001)。臨床試験におけるCR-845の進展によって奨励されると、数社の製薬会社はまた、従来のモルフィナン鎮痛剤の副作用を伴わない新しい鎮痛剤及び潜在的な抗痒剤を見出すことを期待して、CR-845の分子構造を改変することを介して、ペプチド系KOR選択的アゴニストリガンドの発見に積極的に取り組んだ(CN107098871、WO2017211272A1、WO2018103624A1、WO2017210668A1、WO2018059331A1)。
【0007】
加えて、KORアゴニストは、他の適応症のためにも開発され、例えば、フェドトジン及びアシマドリンの両方が、過敏性腸症候群及び消化不良のための潜在的な治療薬として試験された。
必要とされているものは、多様な医学的障害を治療する新規のカッパ-オピエートアゴニストである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Law PY,Wong YH,Loh HH.Molecular mechanisms and regulation of opioid receptor signaling.Annu Rev Pharmacol Toxicol 2000;40:389-430
【文献】nan S,Cowan A.Kappa opioid agonists suppress chloroquine-induced scratching in mice.Eur J.Pharmacol 2004;502,233-7
【文献】Barber A,Gottschlich R.Novel developments with selective non-peptidic kappa-opioid receptor agonists.Exp Opinion Investigational drugs.1997;6:1351-68
【文献】DeHaven-Hudkins DL,Dolls RE.Peripherally restricted opioid agonists are novel analgesic agents(Curr Pharm Des 2004;10:743-57
【文献】Tyler C.Beck,Matthew A.Hapstack,Kyle R.Beck,and Thomas A.Dix.“Therapeutic Potential of Kappa Opioid Agonists”,Pharmaceuticals(Basel).2019 Jun;12(2):95
【文献】Wadenberg ML,A review of the properties of spiradoline:a potent and selective kappa-opioid receptor agonist.CNS Drug Rev.2003,Summer,9(2):187-98
【文献】Walsh SL.,Strain EC,Abreu M.E.Bigelow G.E.Enadoline,a selective kappa opioid agonist:comparison with butorphanol and hydromorphone in humans.Psychopharmacology 2001,157,151-162
【文献】Hesselink,J.M.K.CR845(Difelikefalin),A Kappa Receptors Agonist in Phase III by CARA Therapeutics:A Case of ‘Spin’in Scientific Writing?J.Pharm.& clinical Res.2017 2(3),001
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態による、式(I)を含む化合物を調製するのに有用な化学反応スキームである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の概要)
一態様では、本明細書には、式(I)を含む化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、
【化1】
式中、
R
1、R
2、及びR
3が、独立して、H、CN、Cl、F、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
4及びR
7が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
5及びR
6が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、又は置換複素環からなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、O-置換C
1~C
8アルキル、O-非置換C
1~C
8アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
10が、
【化2】
からなる群から選択され、
R
11が、OR
12、又はNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
nが、1~100の整数である、化合物が開示される。
【0011】
別の態様では、本明細書には、式(I)の化合物又はその許容可能な薬学的な塩を調製する方法であって、
【化3】
a)式(VI)を含む化合物を、
【化4】
アシルカップリング試薬の存在下で、式(VII)を含む化合物と接触させて、
【化5】
式(VIII)を含む化合物を形成することと、
【化6】
b)式(VIII)を含む化合物を、プロトン受容体と接触させて、式(IX)を含む化合物を形成することと、
【化7】
c)式(IX)を含む化合物を、アシルカップリング試薬の存在下で、式(X)を含む化合物と接触させて、
【化8】
式(XI)を含む化合物を形成することと、
【化9】
d)式(XI)を含む化合物を、プロトン受容体と接触させて、式(XII)を含む化合物を形成することと、
【化10】
e)式(XII)を含む化合物を、アシルカップリング試薬の存在下で、式(XIII)を含む化合物と接触させて、
【化11】
式(XIV)を含む化合物を形成することと、
【化12】
f)式(XIV)を含む化合物を、プロトン受容体と接触させて、式(XV)を含む化合物を形成することと、
【化13】
g)式(XV)を含む化合物を、アシルカップリング試薬の存在下で、式(XVI)を含む化合物と接触させて、式(XVII)を含む化合物を形成することと、
【化14】
h)式(XVII)を含む化合物を、酸を含む脱保護試薬と接触させて、式(I)を含む化合物を形成することと、を含み、
式中、
R
1、R
2、及びR
3が、独立して、H、CN、Cl、F、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
4及びR
7が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
5及びR
6が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、又は置換複素環からなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、O-置換C
1~C
8アルキル、O-非置換C
1~C
8アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
10が、
【化15】
からなる群から選択され、
R
11が、OR
12、又はNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
nが、1~100の整数である、方法が開示される。
【0012】
なお別の態様では、本明細書には、式(I)を含む化合物を含む薬学的組成物が開示される。
【0013】
なお別の態様では、本明細書には、オピオイド受容体アゴニスト関連の医学的障害を治療するための方法であって、式(I)を含む化合物を含む薬学的組成物を、それを必要とする対象者に投与することを含む、方法が開示される。
【0014】
本発明の他の特徴及び反復は、以下により詳細に記載される。
(発明を実施するための形態)
【0015】
本開示は、式(I)を含む化合物又はその薬学的に許容可能な塩、式(I)を含む化合物又はその許容可能な薬学的な塩を調製するための方法、式(I)を含む化合物を含む化合物、及びオピオド受容体アゴニスト関連の医学的障害を治療するための方法を提供する。
【0016】
(I)式(I)を含む化合物又は許容可能なその薬学的に許容可能な塩。
本開示の一態様では、式(I)を含む化合物又はその薬学的に許容可能な塩を包含し、
【化16】
式中、
R
1、R
2、及びR
3が、独立して、H、CN、Cl、F、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
4及びR
7が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
5及びR
6が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、C
3~C
10置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、又は置換複素環からなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、O-置換C
1~C
8アルキル、O-非置換C
1~C
8アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
10が、
【化17】
からなる群から選択され、
R
11が、OR
12、又はNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
nが、1~100の整数である。
【0017】
一般に、実施形態によれば、R1、R2、及びR3は、独立して、H、CN、Cl、F、C1~C8非置換アルキル、C1~C8置換アルキル、C3~C10非置換シクロアルキル、又はC3~C10置換シクロアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R1、R2、及びR3は、独立して、H、CN、Cl、F、C1~C4非置換アルキル、C1~C4置換アルキル、C3~C8非置換シクロアルキル、又はC3~C8置換シクロアルキルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R1、R2、及びR3は、独立して、H、Cl、F、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択される。特定の実施形態では、R1、R2、及びR3は、Hである。
【0018】
一般に、実施形態によれば、R4及びR7は、独立して、H、C1~C4非置換アルキル、C1~C4置換アルキル、C3~C8非置換シクロアルキル、又はC3~C8置換シクロアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R4及びR7は、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択される。特定の実施形態では、R4は、メチルであり、R7は、イソ-プロピルである。
【0019】
一般に、実施形態によれば、R5及びR6は、独立して、H、C1~C4非置換アルキル、C1~C4置換アルキル、C3~C8非置換シクロアルキル、C3~C8置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、又は置換複素環からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R5及びR6は、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はフェニルからなる群から選択される。特定の実施形態では、R5は、Hであり、R6は、フェニルである。
【0020】
一般に、実施形態によれば、R8及びR9は、独立して、H、C1~C4非置換アルキル、C1~C4置換アルキル、O-置換C1~C4アルキル、O-非置換C1~C4アルキル、又は(OCH2CH2O)nからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R8及びR9は、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択される。特定の実施形態では、R8及びR9は、水素である。
【0021】
一般に、実施形態によれば、R
10は、
【化18】
からなる群から選択される。
【0022】
一般に、実施形態によれば、R11は、OR12、又はNR13R14からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R11は、OR12、又はNR13R14からなる群から選択される。特定の実施形態では、R11は、OR12である。
【0023】
一般に、実施形態によれば、R12は、H、C1~C12非置換アルキル、C1~C12置換アルキル、O-置換C1~C12アルキル、O-非置換C1~C12アルキル、又は(OCH2CH2O)nからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R12は、H、メチル、エチル、n-プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択される。特定の実施形態では、R12は、H又はMeである。
【0024】
一般に、実施形態によれば、R13及びR14は、独立して、H、C1~C12非置換アルキル、C1~C12置換アルキル、O-置換C1~C12アルキル、O-非置換C1~C12アルキル、又は(OCH2CH2O)nからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R13及びR14は、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R13及びR14は、存在しない。
【0025】
一般に、実施形態によれば、nは、1~50の整数である。いくつかの実施形態では、nは、1~50の整数である。ある特定の実施形態では、nは、存在しない。
【0026】
例示的な一実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9は、Hであり、R
4は、メチルであり、R
6は、フェニルであり、R
7は、イソ-プロピルであり、
R
10は、
【化19】
であり、
R
11は、OR
12であり、R
12は、Hであり、R
13、R
14、及びnは、式(II)を含む化合物に示されるように、存在しない。
【化20】
【0027】
別の例示的な実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9は、Hであり、R
4は、メチルであり、R
6は、フェニルであり、R
7は、イソ-プロピルであり、
R
10は、
【化21】
であり、R
11は、OR
12であり、R
12は、Meであり、R
13、R
14、及びnは、式(III)を含む化合物に示されるように、存在しない。
【化22】
【0028】
なお別の例示的な実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9は、Hであり、R
4は、メチルであり、R
6は、フェニルであり、R
7は、イソ-プロピルであり、
R
10は、
【化23】
であり、R
11は、OR
12であり、R
12は、Hであり、R
13、R
14、及びnは、式(IV)を含む化合物に示されるように、存在しない。
【化24】
【0029】
なお別の例示的な実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9は、Hであり、R
4は、メチルであり、R
6は、フェニルであり、R
7は、イソ-プロピルであり、
R
10は、
【化25】
であり、
R
11は、OR
12であり、R
12は、Meであり、R
13、R
14、及びnは、式(V)を含む化合物に示されるように、存在しない。
【化26】
【0030】
式(I)を含む化合物は、遊離塩基又は塩であり得る。化合物が塩形態であるとき、塩は、好ましくは、薬学的に許容可能な塩である。薬学的に許容可能な塩としては、限定されないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、酒石酸、重酒石酸塩、ステアリン酸塩、フタル酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、一水和物、粘液酸塩、硝酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩、フェニルプロピオン酸塩、イソ酪酸塩、次亜リン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、イソクエン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、テレフタル酸塩などが挙げられ得る。他の実施形態では、薬学的に許容可能な塩としては、アルカリ又はアルカリ土類金属イオン塩が挙げられる。特に、ナトリウム、カリウム、又は他の薬学的に許容可能な無機塩が使用される。塩形態は、非晶質であり得るか、あるいは水和物、又はアルコール若しくは他の溶媒との溶媒和物を含む、様々なポリマー形態であり得る。
【0031】
(II)式(I)を含む化合物又はその薬学的に許容可能な塩を調製するための方法。
別の態様では、本開示は、式(I)を含む化合物又はその薬学的に許容可能な塩を調製する方法を包含し、
【化27】
この方法は、
a)式(VI)を含む化合物を、
【化28】
アシルカップリング試薬の存在下で、式(VII)を含む化合物と接触させて、
【化29】
式(VIII)を含む化合物を形成することと、
【化30】
b)式(VIII)を含む化合物を、プロトン受容体と接触させて、式(IX)を含む化合物を形成することと、
【化31】
c)式(IX)を含む化合物を、アシルカップリング試薬の存在下で、式(X)を含む化合物と接触させて、
【化32】
式(XI)を含む化合物を形成することと、
【化33】
d)式(XI)を含む化合物を、プロトン受容体と接触させて、式(XII)を含む化合物を形成することと、
【化34】
e)式(XII)を含む化合物を、アシルカップリング試薬の存在下で、式(XIII)を含む化合物と接触させて、
【化35】
式(XIV)を含む化合物を形成することと、
【化36】
f)式(XIV)を含む化合物を、プロトン受容体と接触させて、式(XV)を含む化合物を形成することと、
【化37】
g)式(XV)を含む化合物を、アシルカップリング試薬の存在下で、式(XVI)を含む化合物と接触させて、式(XVII)を含む化合物を形成することと、
【化38】
h)
図1に描写される反応スキームに従って、式(XVII)を含む化合物を脱保護試薬と接触させて、式(I)を含む化合物を形成することと、を含み、
式中、
R
1、R
2、及びR
3が、独立して、H、CN、Cl、F、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
4及びR
7が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
5及びR
6が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、又は置換複素環からなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、O-置換C
1~C
8アルキル、O-非置換C
1~C
8アルキル、(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
10が、
【化39】
からなる群から選択され、
R
11が、OR
12、又はNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
nが、1~100の整数であり、
P
1が、窒素保護基であり、P
2が、カルボン酸保護基である。
【0032】
一般に、
図1に描写される反応スキームによれば、R
1、R
2、及びR
3は、独立して、H、CN、Cl、F、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R
1、R
2、及びR
3は、独立して、H、CN、Cl、F、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、又はC
3~C
8置換シクロアルキルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R
1、R
2、及びR
3は、独立して、H、Cl、F、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択される。特定の実施形態では、R
1、R
2、及びR
3は、Hである。
【0033】
一般に、
図1に描写される反応スキームによれば、R
4及びR
7は、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、又はC
3~C
8置換シクロアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R
4及びR
7は、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択される。特定の実施形態では、R
4は、メチルであり、R
7は、イソ-プロピルである。
【0034】
一般に、
図1に描写される反応スキームによれば、R
5及びR
6は、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、又はC
3~C
8置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、又は置換複素環からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R
5及びR
6は、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はフェニルからなる群から選択される。特定の実施形態では、R
5は、Hであり、R
6は、フェニルである。
【0035】
一般に、
図1に描写される反応スキームによれば、R
8及びR
9は、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、O-置換C
1~C
4アルキル、O-非置換C
1~C
4アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R
8及びR
9は、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択される。特定の実施形態では、R
8及びR
9は、水素である。
【0036】
一般に、
図1に描写される反応スキームによれば、R
10は、
【化40】
からなる群から選択される。
【0037】
一般に、実施形態によれば、R11は、OR12、又はNR13R14からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R11は、OR12、又はNR13R14からなる群から選択される。特定の実施形態では、R11は、OR12である。
【0038】
一般に、
図1に描写される反応スキームによれば、R
12は、H、C
1~C
12非置換アルキル、C
1~C
12置換アルキル、O-置換C
1~C
12アルキル、O-非置換C
1~C
12アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R
12は、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピルからなる群から選択される。特定の実施形態では、R
12は、H又はMeである。
【0039】
一般に、
図1に描写される反応スキームによれば、R
13及びR
14は、独立して、H、C
1~C
12非置換アルキル、C
1~C
12置換アルキル、O-置換C
1~C
12アルキル、O-非置換C
1~C
12アルキル、(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R
13及びR
14は、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R
13及びR
14は、存在しない。
【0040】
一般に、
図1に描写される反応スキームによれば、nは、1~50の整数である。いくつかの実施形態では、nは、1~50の整数である。ある特定の実施形態では、nは、存在しない。
【0041】
一般に、
図1に描写される反応スキームの実施形態によれば、P
1は、好適な窒素保護基である。窒素保護基は、カルバメートを含む。これらの保護基の非限定的な例は、tertブチルオキシカルボニルカルバメート(BOC)、9-フルオレニルメチルカルバメート(FMOC)、ベンジルカルバメート(CBZ)などであり得る。好適な窒素保護基、これらの保護基を付着させるための方法、及びこれらの保護基を除去するための方法は、例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”by T.W.Greene,John Wiley & Sons,2006に記載されている。特定の実施形態では、P
1は、BOCである。
【0042】
一般に、
図1に描写される反応スキームの実施形態によれば、P
2は、好適なカルボン酸保護基である。カルボン酸(カルボキシ)保護基は、エステル、アミド、又はヒドラジドを含む。カルボン酸保護基の非限定的な例は、メチルエステル、エチルエステル、ベンジルエステル、N,N-ジメチルアミド、N-フェニルヒドラジドなどであり得る。好適なカルボン酸保護基、これらの保護基を付着させるための方法、及びこれらの保護基を除去するための方法は、例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”by T.W.Greene,John Wiley & Sons,2006に記載されている。特定の実施形態では、P
2は、メチル基である。
【0043】
1つの好ましい実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9は、Hであり、R
4は、メチルであり、R
6は、フェニルであり、R
7は、イソ-プロピルであり、
R
10は、
【化41】
であり、
R
11は、OR
12であり、R
12は、Hであり、R
13、R
14、及びnは、式(II)を含む化合物に示されるように、存在しない。
【化42】
【0044】
別の好ましい実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9は、Hであり、R
4は、メチルであり、R
6は、フェニルであり、R
7は、イソ-プロピルであり、
R
10は、
【化43】
であり、
R
11は、OR
12であり、R
12は、Meであり、R
13、R
14、及びnは、式(III)を含む化合物に示されるように、存在しない。
【化44】
【0045】
なお別の好ましい実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9は、Hであり、R
4は、メチルであり、R
6は、フェニルであり、R
7は、イソ-プロピルであり、
R
10は、
【化45】
であり、
R
11は、OR
12であり、R
12は、Hであり、R
13、R
14、及びnは、式(IV)を含む化合物に示されるように、存在しない。
【化46】
【0046】
なお別の好ましい実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9は、Hであり、R
4は、メチルであり、R
6は、フェニルであり、R
7は、イソ-プロピルであり、
R
10は、
【化47】
であり、
R
11は、OR
12であり、R
12は、Meであり、R
13、R
14、及びnは、式(V)を含む化合物に示されるように、存在しない。
【化48】
【0047】
ステップ(a)
上で考察されるように、8つのステップ方法のステップ(a)は、式(VI)を含む化合物を、アシルカップリング試薬の存在下で、式(VII)を含む化合物と接触させて、反応混合物を形成することを伴う。ワークアップ及び単離後、式(VIII)を含む化合物を単離する。この方法ステップは、「ペプチドカップリング」又は「アシルカップリング」と呼ばれる。
【0048】
図1に描写されるような式(VI)を含む化合物は、上に詳述されている。いくつかの実施形態では、R
1、R
2、及びR
3は、独立して、H、CN、Cl、F、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、又はC
3~C
8置換シクロアルキルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R
1、R
2、及びR
3は、独立して、H、Cl、F、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択される。特定の実施形態では、R
1、R
2、及びR
3は、Hである。
【0049】
いくつかの実施形態では、R4は、独立して、H、C1~C4非置換アルキル、C1~C4置換アルキル、C3~C8非置換シクロアルキル、又はC3~C8置換シクロアルキルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R4は、H、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択される。特定の実施形態では、R4は、メチルである。
【0050】
いくつかの実施形態では、P1は、窒素保護基である。特定の実施形態では、P1は、BOC基である。1つの好ましい実施形態では、式(VI)を含む化合物は、(2R,3R)-BOC-ベータ-メチル-フェニルアラニンである。
【0051】
図1に描写されるような式(VII)を含む化合物は、上に詳述されている。いくつかの実施形態では、R
5及びR
6は、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、C
3~C
8置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、又は置換複素環からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R
5及びR
6は、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はフェニルからなる群から選択される。特定の実施形態では、R
5は、Hであり、R
6は、フェニルである。
【0052】
いくつかの実施形態では、P2は、カルボン酸保護基である。特定の実施形態では、P2は、メチル基である。1つの好ましい実施形態では、式(VII)を含む化合物は、D-フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩である。
【0053】
一般に、式(VI)を含む化合物の、式(VII)を含む化合物に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(VI)の化合物の、式(VII)を含む化合物に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5、約1.0:1.0~約1.0:1.3、又は約1.0:1.2~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(VI)を含む化合物の、式(VII)を含む化合物に対する当量比は、約1:0:1.1であり得る。
【0054】
この方法のステップ(a)には、アシルカップリング試薬が利用される。アシルカップリング試薬は、式(VI)を含む化合物のカルボン酸部分を活性化アシル化合物に変換する。アシルカップリング試薬の非限定的な例としては、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、p-トルエンスルホニル無水物、メタンスルホン酸無水物、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化スルフリル、オキシ塩化リン、五塩化リン、カルボジイミド(N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、1,1’-カルボニルジペリジン、N,N’-ジイソ-プロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどの)、1,1’-カルボニルジイミダゾール、1,1’-カルボニルジトリアゾール、塩化シアヌル、2,4-ジクロロ-6-メトキシ-1,3,5-トリアジン、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル、酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、又はトリフルオロ酢酸無水物が挙げられる。様々な実施形態では、追加の活性化剤が添加され得る。追加の活性化剤の非限定的な例としては、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシスクシンイミド、又はN-ヒドロキシフタルアミドが挙げられ得る。1つの好ましい実施形態では、アシルカップリング試薬は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)又はその塩であり得る。
【0055】
一般に、式(VI)を含む化合物の、アシルカップリング試薬に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(VI)を含む化合物の、アシルカップリング試薬に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5、約1.0:1.0~約1.0:1.3、又は約1.0:1.2~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(VI)を含む化合物の、アシルカップリング試薬に対する当量比は、約1:0:1.1であり得る。
【0056】
ステップ(a)は、プロトン受容体を更に含む。プロトン受容体は、出発基質、アシルカップリング試薬、及び反応条件に依存して変動するであろう。プロトン受容体は、本質的に無機又は有機であり得る。好適な無機プロトン受容体の非限定的な例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸セシウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、酢酸ナトリウム、及び酢酸カリウムが挙げられる。プロトン受容体は、アミンであり得る。有機プロトン受容体は、二級アミン、三級アミン、又はそれらの組み合わせであり得る。アミンは、キラル又はアキラルであり得る。好適な二級アミンの非限定的な例としては、エチルメチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、フェニルエチルアミン、ジベンジルアミン、メチルベンジルアミン、エチルベンジルアミン、シクロヘキシルフェニルアミン、ジブチルアミン、ジ三級ブチルアミン、ジプロピルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、2-メチルピペリジン、2,5-ジメチルピペリジン、2,6-ジメチルピペリジン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、2,6-ジメチルピペラジン、及びモルホリンが挙げられる。好適な三級アミンの非限定的な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、4-メチルモルホリン、4-エチルモルホリン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、ピラジン、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、及び2,6-ルチジンが挙げられる。キラル二級アミンの非限定的な例(R)-α-メチルベンジルアミン、(S)-α-メチルベンジルアミン、(R)-α,α-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール(DPP)、(S)-α,α-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール(DPP)、(R)-α,α-ジフェニル-2-ピロリジンメタノールトリメチルシリルエーテル(DPPT)、及び(S)-α,α-ジフェニル-2-ピロリジンメタノールトリメチルシリルエーテル(DPPT)。1つの好ましい実施形態では、プロトン受容体は、4-メチルモルホリン(N-メチルモルホリン)である。
【0057】
一般に、式(VI)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:2.5の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(VI)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:2.5、約1.0:1.0~約1.0:2.25、又は約1.0:2.2~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(VI)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1:0:2.1であり得る。
【0058】
ステップ(a)は、本明細書に詳述されるように、溶媒を含む。当業者に認識されるように、溶媒は、プロセスにおける出発基質に依存して変動し得、かつ変動するであろう。溶媒は、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、非極性溶媒、又はこれらの組み合わせであり得る。極性プロトン性溶媒の好適な例としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、イソ-ブタノール、n-ブタノール、s-ブタノール、t-ブタノールなどのアルコール;プロピレングリコールなどのジオール;ギ酸、酢酸などの有機酸;トリメチルアミン、又はトリエチルアミンなどのアミン;ホルムアミド、アセトアミドなどのアミド;及び上記のうちのいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な極性非プロトン性溶媒の非限定的な例としては、アセトニトリル、ジクロロメタン(DCM)、ジエトキシメタン、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルプロピオンアミド、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、1,4-ジオキサン、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、ギ酸エチル、ホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、塩化メチレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、プロピオニトリル、スルホラン、テトラメチル尿素、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、トリクロロメタン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。非極性溶媒の好適な例としては、アルカン及び置換アルカン溶媒(シクロアルカンを含む)、芳香族炭化水素、エステル、エーテル、それらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。用いられ得る特定の非極性溶媒としては、例えば、ベンゼン、酢酸ブチル、t-ブチルメチルエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、クロロメタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ジエチレングリコール、フルオロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、酢酸イソプロピル、メチルテトラヒドロフラン、酢酸ペンチル、酢酸n-プロピル、テトラヒドロフラン、トルエン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい実施形態では、溶媒は、ジメチルホルムアミドであり得る。
【0059】
一般に、溶媒の、式(VI)を含む化合物に対する重量比は、約0.5:1~約500:1の範囲であろう。様々な実施形態では、溶媒の、式(VI)を含む化合物に対する体積対重量比は、約0.5:1~約500:1、約2:1~約250:1、約5:1~約200:1、又は約10:1~約50:1の範囲であり得る。例示的な実施形態では、溶媒の、式(VI)を含む化合物に対する体積対重量比は、約12:1~約20:1の範囲であり得る。
【0060】
一般に、ステップ(a)の反応は、利用される溶媒に依存して、約-20℃~約25℃の範囲である温度で実施されるであろう。様々な実施形態では、反応の温度は、約-20℃~約25℃、約-10℃~約20℃、又は約-5℃~約5℃の範囲であり得る。一実施形態では、反応は、約0℃の温度で実施され得る。反応は、典型的には、周囲圧力下で実行される。反応はまた、不活性雰囲気下、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウム下で実施され得る。
【0061】
一般に、HPLC、TLC、又はプロトン核磁気共鳴(例えば、1H NMR)などの当業者に既知の任意の方法によって判定される場合、反応が完了するまでの十分な期間、反応を進行させる。反応の持続時間は、約5分~約2時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、反応の持続時間は、約5分~約30分、約30分~約1時間、又は約1時間~約2時間の範囲であり得る。例示的な実施形態では、反応を約1時間進行させ得る。本文脈中、「完了した反応」とは、一般に、反応混合物が、有意に減少した量の式(VI)の化合物を含有することを意味する。典型的には、反応の終了時に反応混合物中に残存する式(VI)の化合物の量は、約10%未満、約5%未満、又は約2%未満であり得る。
【0062】
式(VIII)を含む化合物は、少なくとも約60%の収率を有し得る。様々な実施形態では、式(VIII)を含む化合物は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の収率を有し得る。1つの好ましい実施形態では、式(VIII)を含む化合物は、約90%の収率を有し得る。
【0063】
ステップ(b)
8つのステップ方法のステップ(b)は、式(VIII)を含む化合物を、反応混合物を形成するプロトン受容体と接触させることを伴う。ワークアップ及び単離時に、式(IX)を含む化合物が得られる。この方法ステップは、「脱保護」反応と呼ばれる。
【0064】
式(VIII)を含む化合物は、上により詳細に記載されている。
【0065】
好適なプロトン受容体は、上記のセクション(II)(a)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、プロトン受容体はNaOHである。
【0066】
一般に、式(VIII)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:5.0の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(VIII)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:5.0、約1.0:1.0~約1.0:3.0、又は約1.0:1.5~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(VIII)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1:0:2.0であり得る。
【0067】
ステップ(b)は、溶媒を更に含む。好適な溶媒は、上記のセクション(II)(a)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、溶媒は、メタノールと水との組み合わせである。
【0068】
一般に、溶媒の、式(VI)を含む化合物に対する重量比は、約0.5:1~約500:1の範囲であろう。様々な実施形態では、溶媒の、式(VI)を含む化合物に対する体積対重量比は、約0.5:1~約500:1、約5:1~約200:1、約10:1~約100:1、又は約15:1~約50:1の範囲であり得る。好ましい実施形態では、溶媒の、式(VIII)を含む化合物に対する体積対重量比は、約20:1であり得る。
【0069】
一般に、ステップ(b)の反応は、利用される溶媒に依存して、約0℃~約50℃の範囲である温度で実施されるであろう。様々な実施形態では、反応の温度は、約0℃~約50℃、約10℃~約40℃、又は約20℃~約30℃の範囲であり得る。一実施形態では、反応は、約23℃の温度(室温)で実施され得る。反応は、典型的には、周囲圧力下で実行される。反応はまた、不活性雰囲気下、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウム下で実施され得る。
【0070】
一般に、HPLC、TLC、又はプロトン核磁気共鳴(例えば、1H NMR)などの当業者に既知である任意の方法によって判定される場合、反応が完了するまでの十分な期間、反応を進行させる。反応の持続時間は、約30分~約4時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、反応の持続時間は、約30分~約1時間、約1時間~約2時間、又は約2時間~約4時間の範囲であり得る。好ましい実施形態では、反応は、約2時間進行され得る。本文脈中、「完了した反応」とは、一般に、反応混合物が、有意に減少した量の式(VIII)の化合物を含有することを意味する。典型的には、反応の終了時に反応混合物中に残存する式(VIII)の化合物の量は、約10%未満、約5%未満、又は約2%未満であり得る。
【0071】
ステップ(b)の完了後、反応混合物のpHは、約6.0未満のpHに調整される。様々な実施形態では、pHは、約pH6.0未満、約pH5.0未満、約pH4.0未満、約pH3.0未満、約pH2.0未満、又は約pH1.0未満に調整される。1つの好ましい実施形態では、pHは、約pH2.0~約2.5のpHの範囲に調整される。
【0072】
このpH調整には、酸性水溶液が使用される。好適な酸の非限定的な例は、HCl、H2SO4、酢酸、メタンスルホン酸、又は類似の有機若しくは無機酸であり得る。1つの好ましい実施形態では、有用な酸は、HClである。
【0073】
式(IX)を含む化合物は、少なくとも約60%の収率を有し得る。様々な実施形態では、式(IX)を含む化合物は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の収率を有し得る。1つの好ましい実施形態では、式(IX)を含む化合物は、約95%の収率を有し得る。
【0074】
ステップ(c)
8つのステッププロセスのステップ(c)は、式(IX)を含む化合物を、アシルカップリング試薬の存在下で、式(X)を含む化合物と接触させて、反応混合物を形成することを伴う。ワークアップ及び単離時に、式(XI)を含む化合物が得られる。
【0075】
式(IX)を含む化合物は、上に詳述されている。
【0076】
式(X)を含む化合物は、上に詳述されている。いくつかの実施形態では、R7は、H、C1~C4非置換アルキル、C1~C4置換アルキル、C3~C8非置換シクロアルキル、又はC3~C8置換シクロアルキルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R7は、H、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択される。好ましい実施形態では、R7は、イソ-プロピルである。
【0077】
いくつかの実施形態では、P2は、カルボン酸保護基である。特定の実施形態では、P2は、メチル基である。1つの好ましい実施形態では、式(X)を含む化合物は、D-ロイシンメチルエステル塩酸塩である。
【0078】
一般に、式(IX)を含む化合物の、式(X)を含む化合物に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(IX)を含む化合物の、式(X)を含む化合物に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5、約1.0:1.0~約1.0:1.3、又は約1.0:1.2~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(IX)を含む化合物の、式(X)を含む化合物に対する当量比は、約1:0:1.1であり得る。
【0079】
ステップ(c)の方法には、アシルカップリング試薬及びプロトン受容体が利用される。好適なアシルカップリング試薬及びプロトン受容体は、上記のセクション(II)(a)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、アシルカップリング試薬は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)又はその塩であり、プロトン受容体は、4-メチルモルホリンである。
【0080】
一般に、式(IX)を含む化合物の、アシルカップリング試薬に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(IX)を含む化合物の、アシルカップリング試薬に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5、約1.0:1.0~約1.0:1.3、又は約1.0:1.2~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(IX)を含む化合物の、アシルカップリング試薬に対する当量比は、約1:0:1.1であり得る。
【0081】
一般に、式(IX)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:2.5の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(IX)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:2.5、約1.0:1.0~約1.0:2.25、又は約1.0:2.2~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(IX)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1:0:2.1であり得る。
【0082】
ステップ(c)は、溶媒を含む。好適な溶媒は、上記のセクション(II)(a)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、ステップ(c)において有用な溶媒は、ジメチルホルムアミドである。
【0083】
一般に、溶媒の、式(IX)を含む化合物に対する重量比は、約0.5:1~約500:1の範囲であろう。様々な実施形態では、溶媒の、式(IX)を含む化合物に対する体積対重量比は、約0.5:1~約500:1、約2:1~約250:1、約5:1~約200:1、又は約10:1~約50:1の範囲であり得る。例示的な実施形態では、溶媒の、式(IX)を含む化合物に対する体積対重量比は、約12:1~約20:1の範囲であり得る。
【0084】
一般に、ステップ(c)の反応は、利用される溶媒に依存して、約-20℃~約25℃の範囲である温度で実施されるであろう。様々な実施形態では、反応の温度は、約-20℃~約25℃、約-10℃~約20℃、又は約-5℃~約5℃の範囲であり得る。一実施形態では、反応は、約0℃の温度で実施され得る。反応は、典型的には、周囲圧力下で実行される。反応はまた、不活性雰囲気下、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウム下で実施され得る。
【0085】
一般に、HPLC、TLC、又はプロトン核磁気共鳴(例えば、1H NMR)などの当業者に既知である任意の方法によって判定される場合、反応が完了するまでの十分な期間、反応を進行させる。反応の持続時間は、約5分~約2時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、反応の持続時間は、約5分~約30分、約30分~約1時間、又は約1時間~約2時間の範囲であり得る。好ましい実施形態では、反応は、約1時間進行され得る。本文脈中、「完了した反応」とは、一般に、反応混合物が、有意に減少した量の式(IX)の化合物を含有することを意味する。典型的には、反応の終了時に反応混合物中に残存する式(IX)の化合物の量は、約10%未満、約5%未満、又は約2%未満であり得る。
【0086】
式(XI)を含む化合物は、少なくとも約60%の収率を有し得る。様々な実施形態では、式(XI)を含む化合物は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の収率を有し得る。1つの好ましい実施形態では、式(XI)を含む化合物は、約96%の収率を有し得る。
【0087】
ステップ(d)
8つのステップ方法のステップ(d)は、式(XI)を含む化合物を、反応混合物を形成するプロトン受容体と接触させることを伴う。ワークアップ及び単離時に、式(XII)を含む化合物が得られる。この方法ステップは、「脱保護」反応と呼ばれる。
【0088】
式(XI)を含む化合物は、上により詳細に記載されている。
【0089】
好適なプロトン受容体は、上記のセクション(II)(b)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、プロトン受容体は、NaOH又はLiOHである。
【0090】
一般に、式(XI)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:5.0の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(XI)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:5.0、約1.0:1.0~約1.0:3.0、又は約1.0:1.5~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(XI)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1:0:2.0であり得る。
【0091】
ステップ(d)は、溶媒を更に含む。好適な溶媒は、上記のセクション(II)(b)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、溶媒は、メタノールと水との組み合わせである。
【0092】
一般に、溶媒の、式(XI)を含む化合物に対する重量比は、約0.5:1~約500:1の範囲であろう。様々な実施形態では、溶媒の、式(XI)を含む化合物に対する体積対重量比は、約0.5:1~約500:1、約5:1~約200:1、約10:1~約100:1、又は約15:1~約50:1の範囲であり得る。好ましい実施形態では、溶媒の、式(XI)を含む化合物に対する体積対重量比は、約20:1であり得る。
【0093】
一般に、ステップ(d)の反応は、利用される溶媒に依存して、約0℃~約50℃の範囲である温度で実施されるであろう。様々な実施形態では、反応の温度は、約0℃~約50℃、約10℃~約40℃、又は約20℃~約30℃の範囲であり得る。一実施形態では、反応は、約23℃の温度(室温)で実施され得る。反応は、典型的には、周囲圧力下で実行される。反応はまた、不活性雰囲気下、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウム下で実施され得る。
【0094】
一般に、HPLC、TLC、又はプロトン核磁気共鳴(例えば、1H NMR)などの当業者に既知である任意の方法によって判定される場合、反応が完了するまでの十分な期間、反応を進行させる。反応の持続時間は、約30分~約4時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、反応の持続時間は、約30分~約1時間、約1時間~約2時間、又は約2時間~約4時間の範囲であり得る。好ましい実施形態では、反応は、約2時間進行され得る。本文脈中、「完了した反応」とは、一般に、反応混合物が、有意に減少した量の式(XI)の化合物を含有することを意味する。典型的には、反応の終了時に反応混合物中に残存する式(XI)の化合物の量は、約10%未満、約5%未満、又は約2%未満であり得る。
【0095】
ステップ(d)の完了後、反応混合物のpHは、約6.0未満のpHに調整される。様々な実施形態では、pHは、約pH6.0未満、約pH5.0未満、約pH4.0未満、約pH3.0未満、約pH2.0未満、又は約pH1.0未満に調整される。1つの好ましい実施形態では、pHは、約pH2.0~約2.5のpHの範囲に調整される。
【0096】
このpH調整には、酸性水溶液が使用される。好適な酸の非限定的な例は、HCl、H2SO4、酢酸、メタンスルホン酸、又は類似の有機若しくは無機酸であり得る。1つの好ましい実施形態では、有用な酸は、HClである。
【0097】
式(XII)を含む化合物は、少なくとも約60%の収率を有し得る。様々な実施形態では、式(XII)を含む化合物は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の収率を有し得る。1つの好ましい実施形態では、式(XII)を含む化合物は、約95%の収率を有し得る。
【0098】
ステップ(e)
8つのステッププロセスのステップ(e)は、式(XII)を含む化合物を、アシルカップリング試薬の存在下で、式(XIII)を含む化合物と接触させて、反応混合物を形成することを伴う。ワークアップ及び単離時に、式(XIV)を含む化合物が得られる。
【0099】
式(XII)を含む化合物は、上に詳述されている。
【0100】
式(XIII)を含む化合物は、上に詳述されている。いくつかの実施形態では、R8及びR9は、独立して、H、C1~C4非置換アルキル、C1~C4置換アルキル、O-置換C1~C4アルキル、O-非置換C1~C4アルキル、(OCH2CH2O)n、又は窒素保護基(P1)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、R8及びR9は、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、又は窒素保護基(P1)からなる群から選択される。特定の実施形態では、R8及びR9は、独立して、H及び窒素保護基(P1)からなる群から選択される。
【0101】
いくつかの実施形態では、nは、1~10の整数である。特定の実施形態では、nは、存在しない。
【0102】
いくつかの実施形態では、P1は、窒素保護基である。特定の実施形態では、P1は、BOC基である。
【0103】
いくつかの実施形態では、P2は、カルボン酸保護基である。特定の実施形態では、P2は、メチル基である。1つの好ましい実施形態では、式(XIII)を含む化合物は、D-リシンメチルエステル塩酸塩である。
【0104】
一般に、式(XII)を含む化合物の、式(XIII)を含む化合物に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(XII)の化合物の、式(XIII)を含む化合物に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5、約1.0:1.0~約1.0:1.3、又は約1.0:1.2~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(XII)を含む化合物の、式(XIII)を含む化合物に対する当量比は、約1:0:1.1であり得る。
【0105】
ステップ(e)の方法には、アシルカップリング試薬及びプロトン受容体が利用される。好適なアシルカップリング試薬及びプロトン受容体は、上記のセクション(II)(a)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、アシルカップリング試薬は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)又はその塩であり、プロトン受容体は、4-メチルモルホリンである。
【0106】
一般に、式(XII)を含む化合物の、アシルカップリング試薬に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(XII)を含む化合物の、アシルカップリング試薬に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5、約1.0:1.0~約1.0:1.3、又は約1.0:1.2~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(XII)を含む化合物の、アシルカップリング試薬に対する当量比は、約1:0:1.1であり得る。
【0107】
一般に、式(XII)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:2.5の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(XII)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:2.5、約1.0:1.0~約1.0:2.25、又は約1.0:2.2~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(XII)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1:0:2.1であり得る。
【0108】
ステップ(e)は、溶媒を含む。好適な溶媒は、上記のセクション(II)(a)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、ステップ(e)において有用な溶媒は、ジメチルホルムアミドである。
【0109】
一般に、溶媒の、式(XII)を含む化合物に対する重量比は、約0.5:1~約500:1の範囲であろう。様々な実施形態では、溶媒の、式(XII)を含む化合物に対する体積対重量比は、約0.5:1~約500:1、約2:1~約250:1、約5:1~約200:1、又は約10:1~約50:1の範囲であり得る。例示的な実施形態では、溶媒の、式(XII)を含む化合物に対する体積対重量比は、約12:1~約20:1の範囲であり得る。
【0110】
一般に、ステップ(e)の反応は、利用される溶媒に依存して、約-20℃~約25℃の範囲である温度で実施されるであろう。様々な実施形態では、反応の温度は、約-20℃~約25℃、約-10℃~約20℃、又は約-5℃~約5℃の範囲であり得る。一実施形態では、反応は、約0℃の温度で実施され得る。反応は、典型的には、周囲圧力下で実行される。反応はまた、不活性雰囲気下、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウム下で実施され得る。
【0111】
一般に、HPLC、TLC、又はプロトン核磁気共鳴(例えば、1H NMR)などの当業者に既知である任意の方法によって判定される場合、反応が完了するまでの十分な期間、反応を進行させる。反応の持続時間は、約5分~約2時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、反応の持続時間は、約5分~約30分、約30分~約1時間、又は約1時間~約2時間の範囲であり得る。好ましい実施形態では、反応は、約1時間進行され得る。本文脈中、「完了した反応」とは、一般に、反応混合物が、有意に減少した量の式(XII)の化合物を含有することを意味する。典型的には、反応の終了時に反応混合物中に残存する式(XII)の化合物の量は、約10%未満、約5%未満、又は約2%未満であり得る。
【0112】
式(XIV)を含む化合物は、少なくとも約60%の収率を有し得る。様々な実施形態では、式(XIV)を含む化合物は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の収率を有し得る。1つの好ましい実施形態では、式(XIV)を含む化合物は、約91%の収率を有し得る。
【0113】
ステップ(f)
8つのステップ方法のステップ(f)は、式(XIV)を含む化合物を、反応混合物を形成するプロトン受容体と接触させることを伴う。ワークアップ及び単離時に、式(XV)を含む化合物が得られる。この方法ステップは、「脱保護」反応と呼ばれる。
【0114】
式(XIV)を含む化合物は、上により詳細に記載されている。
【0115】
好適なプロトン受容体は、上記のセクション(II)(b)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、プロトン受容体は、NaOH又はLiOHである。
【0116】
一般に、式(XIV)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:5.0の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(XIV)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:5.0、約1.0:1.0~約1.0:3.0、又は約1.0:1.5~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(XIV)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1:0:2.0であり得る。
【0117】
ステップ(d)は、溶媒を更に含む。好適な溶媒は、上記のセクション(II)(a)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、溶媒は、メタノールと水との組み合わせである。
【0118】
一般に、溶媒の、式(XIV)を含む化合物に対する重量比は、約0.5:1~約500:1の範囲であろう。様々な実施形態では、溶媒の、式(XIV)を含む化合物に対する体積対重量比は、約0.5:1~約500:1、約5:1~約200:1、約10:1~約100:1、又は約15:1~約50:1の範囲であり得る。好ましい実施形態では、溶媒の、式(XIV)を含む化合物に対する体積対重量比は、約20:1であり得る。
【0119】
一般に、ステップ(f)の反応は、利用される溶媒に依存して、約0℃~約50℃の範囲である温度で実施される。様々な実施形態では、反応の温度は、約0℃~約50℃、約10℃~約40℃、又は約20℃~約30℃の範囲であり得る。一実施形態では、反応は、約23℃の温度(室温)で実施され得る。反応は、典型的には、周囲圧力下で実行される。反応はまた、不活性雰囲気下、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウム下で実施され得る。
【0120】
一般に、HPLC、TLC、又はプロトン核磁気共鳴(例えば、1H NMR)などの当業者に既知である任意の方法によって判定される場合、反応が完了するまでの十分な期間、反応を進行させる。反応の持続時間は、約30分~約4時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、反応の持続時間は、約30分~約1時間、約1時間~約2時間、又は約2時間~約4時間の範囲であり得る。好ましい実施形態では、反応は、約2時間進行され得る。本文脈中、「完了した反応」とは、一般に、反応混合物が、有意に減少した量の式(XIV)の化合物を含有することを意味する。典型的には、反応の終了時に反応混合物中に残存する式(XIV)の化合物の量は、約10%未満、約5%未満、又は約2%未満であり得る。
【0121】
ステップ(f)の完了後、反応混合物のpHは、約6.0未満のpHに調整される。様々な実施形態では、pHは、約pH6.0未満、約pH5.0未満、約pH4.0未満、約pH3.0未満、約pH2.0未満、又は約pH1.0未満に調整される。1つの好ましい実施形態では、pHは、約pH2.0~約2.5のpHの範囲に調整される。
【0122】
このpH調整には、酸性水溶液が使用される。好適な酸の非限定的な例は、HCl、H2SO4、酢酸、メタンスルホン酸、又は類似の有機若しくは無機酸であり得る。1つの好ましい実施形態では、有用な酸は、HClである。
【0123】
式(XV)を含む化合物は、少なくとも約60%の収率を有し得る。様々な実施形態では、式(XV)を含む化合物は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の収率を有し得る。1つの好ましい実施形態では、式(XV)を含む化合物は、約92%の収率を有し得る。
【0124】
ステップ(g)
8つのステップ方法のステップ(g)は、式(XV)の化合物を、アシルカップリング試薬の存在下で、式(XVIa)又は式(XVIb)を含む化合物と接触させて、反応混合物を形成することを伴う。ワークアップ及び単離時に、式(XVII)を含む化合物が得られる。
【0125】
式(XVII)を含む化合物は、上により詳細に記載されている。
【0126】
式(XVIa)及び式(XVIb)を含む化合物は、以下により詳細に記載され、
【化49】
及び
【化50】
式中、P
1は、窒素保護基であり、P
2は、カルボン酸保護基である。
【0127】
特定の実施形態では、P1は、BOC基であり、P2は、メチル基である。1つの好ましい実施形態では、式(XVIa)を含む化合物は、3-(BOC-アミノ)ピロリジン-3-カルボン酸メチルエステルであり、(XVIb)を含む式を含む化合物は、4-(BOC-アミノ)ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステルである。
【0128】
一般に、式(XV)を含む化合物の、式(XVIa)を含む化合物又は式(XVIb)を含む化合物のいずれかに対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(XV)を含む化合物の、式(XVIa)を含む化合物又は式(XVIb)を含む化合物のいずれかに対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5、約1.0:1.0~約1.0:1.3、又は約1.0:1.2~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(XV)を含む化合物の、式(XVIa)を含む化合物又は式(XVIb)を含む化合物のいずれかに対する当量比は、約1:0:1.2であり得る。
【0129】
ステップ(g)の方法には、アシルカップリング試薬及びプロトン受容体が利用される。好適なアシルカップリング試薬及びプロトン受容体は、上記のセクション(II)(a)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、アシルカップリング試薬は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)又はその塩であり、プロトン受容体は、4-メチルモルホリンである。
【0130】
一般に、式(XV)を含む化合物の、アシルカップリング試薬に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(XV)を含む化合物の、アシルカップリング試薬に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5、約1.0:1.0~約1.0:1.3、又は約1.0:1.2~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(XV)を含む化合物の、アシルカップリング試薬に対する当量比は、約1:0:1.2であり得る。
【0131】
一般に、式(XV)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:2.5の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(XV)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:2.5、約1.0:1.0~約1.0:2.25、又は約1.0:2.2~の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(XV)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1:0:2.1であり得る。
【0132】
ステップ(g)は、溶媒を含む。好適な溶媒は、上記のセクション(II)(a)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、ステップ(g)において有用な溶媒は、ジメチルホルムアミドである。
【0133】
一般に、溶媒の、式(XV)を含む化合物に対する重量比は、約0.5:1~約500:1の範囲であろう。様々な実施形態では、溶媒の、式(XV)を含む化合物に対する体積対重量比は、約0.5:1~約500:1、約2:1~約250:1、約5:1~約200:1、又は約10:1~約50:1の範囲であり得る。例示的な実施形態では、溶媒の、式(XV)を含む化合物に対する体積対重量比は、約15:1~約25:1の範囲であり得る。
【0134】
一般に、ステップ(g)の反応は、利用される溶媒に依存して、約-20℃~約25℃の範囲である温度で実施されるであろう。様々な実施形態では、反応の温度は、約-20℃~約25℃、約-10℃~約20℃、又は約-5℃~約5℃の範囲であり得る。一実施形態では、反応は、約0℃の温度で実施され得る。反応は、典型的には、周囲圧力下で実行される。反応はまた、不活性雰囲気下、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウム下で実施され得る。
【0135】
一般に、HPLC、TLC、又はプロトン核磁気共鳴(例えば、1H NMR)などの当業者に既知である任意の方法によって判定される場合、反応が完了するまでの十分な期間、反応を進行させる。反応の持続時間は、約5分~約2時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、反応の持続時間は、約5分~約30分、約30分~約1時間、又は約1時間~約2時間の範囲であり得る。好ましい実施形態では、反応は、約1時間進行され得る。本文脈中、「完了した反応」とは、一般に、反応混合物が、有意に減少した量の式(XV)の化合物を含有することを意味する。典型的には、反応の終了時に反応混合物中に残存する式(XV)の化合物の量は、約10%未満、約5%未満、又は約2%未満であり得る。
【0136】
式(XVII)を含む化合物は、少なくとも約60%の収率を有し得る。様々な実施形態では、式(XVII)を含む化合物は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の収率を有し得る。1つの好ましい実施形態では、式(XVII)を含む化合物は、約88~93%の範囲の収率を有し得る。
【0137】
ステップ(h)
ステップ(h)は、式(XVII)を含む化合物を、反応混合物を形成する酸を含む脱保護試薬と接触させることを伴う。ワークアップ及び単離時に、式(I)を含む化合物が得られる。
【0138】
ステップ(h)、酸を含む脱保護試薬の使用、及び式(I)を含む化合物の単離後に、この方法は、式(I)を含む化合物をプロトン受容体と更に接触させて、カルボン酸保護基を除去し得る。
【0139】
式(XVII)を含む化合物は、上により詳細に記載されている。
【0140】
この方法ステップでは、様々な酸が使用され得る。様々な実施形態では、酸を含む脱保護試薬は、純粋な形態又は水性形態であり得る。非限定的な酸は、塩酸、塩化水素、硫酸、メタンスルホン酸、又はトリフルオロ酢酸であり得る。1つの好ましい実施形態では、酸を含む脱保護試薬は、トリフルオロ酢酸である。
【0141】
一般に、酸を含む脱保護試薬の体積対重量比が過剰に使用される。
【0142】
ステップ(h)は、溶媒を含む。好適な溶媒は、上記のセクション(II)(a)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、ステップ(h)において有用な溶媒は、ジクロロメタンである。
【0143】
一般に、溶媒の、式(XVII)を含む化合物に対する重量比は、約0.5:1~約500:1の範囲であろう。様々な実施形態では、溶媒の、式(XVII)を含む化合物に対する体積対重量比は、約0.5:1~約500:1、約2:1~約250:1、約5:1~約200:1、又は約10:1~約100:1の範囲であり得る。例示的な実施形態では、溶媒の、式(XVII)を含む化合物に対する体積対重量比は、約40:1~約80:1の範囲であり得る。
【0144】
一般に、ステップ(h)の反応は、利用される溶媒に依存して、約-20℃~約25℃の範囲である温度で実施されるであろう。様々な実施形態では、反応の温度は、約-20℃~約25℃、約-10℃~約20℃、又は約-5℃~約5℃の範囲であり得る。一実施形態では、反応は、約0℃の温度で実施され得る。反応は、典型的には、周囲圧力下で実行される。反応はまた、不活性雰囲気下、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウム下で実施され得る。
【0145】
一般に、HPLC、TLC、又はプロトン核磁気共鳴(例えば、1H NMR)などの当業者に既知である任意の方法によって判定される場合、反応が完了するまでの十分な期間、反応を進行させる。反応の持続時間は、約5分~約2時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、反応の持続時間は、約5分~約30分、約30分~約1時間、又は約1時間~約2時間の範囲であり得る。好ましい実施形態では、反応は、約1時間進行され得る。本文脈中、「完了した反応」とは、一般に、反応混合物が、有意に減少した量の式(XVII)の化合物を含有することを意味する。典型的には、反応の終了時に反応混合物中に残存する式(XVII)の化合物の量は、約10%未満、約5%未満、又は約2%未満であり得る。
【0146】
式(I)を含む化合物は、少なくとも約60%の収率を有し得る。様々な実施形態では、式(I)を含む化合物は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の収率を有し得る。1つの好ましい実施形態では、式(I)を含む化合物は、約88~93%の範囲の収率を有し得る。
【0147】
第2の脱保護ステップには、プロトン受容体が利用される。好適なプロトン受容体は、上記のセクション(II)(b)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、プロトン受容体は、NaOH又はLiOHである。
【0148】
一般に、式(I)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:20.0の範囲であり得る。様々な実施形態では、式(I)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1.0:1.0~約1.0:20.0、約1.0:5~約1.0:15.0、又は約1.0:8.0~約1.0:12.0の範囲であり得る。1つの好ましい実施形態では、式(XIV)を含む化合物の、プロトン受容体に対する当量比は、約1:0:10.0であり得る。
【0149】
ステップ(h)における第2の脱保護ステップは、溶媒を更に含む。好適な溶媒は、上記のセクション(II)(a)に詳述されている。1つの好ましい実施形態では、溶媒は、メタノールと水との組み合わせである。
【0150】
一般に、溶媒の、式(I)を含む化合物に対する体積対重量比は、第2の脱保護ステップでは、約0.5:1~約500:1の範囲であり得る。様々な実施形態では、溶媒の、式(I)を含む化合物に対する体積対重量比は、約0.5:1~約500:1、約5:1~約200:1、約10:1~約100:1、又は約15:1~約50:1の範囲であり得る。好ましい実施形態では、溶媒の、式(I)を含む化合物に対する体積対重量比は、第2の脱保護ステップでは、約20:1であり得る。
【0151】
一般に、ステップ(h)における第2の脱保護ステップは、利用される溶媒に依存して、約0℃~約50℃の範囲である温度で実施されるであろう。様々な実施形態では、反応の温度は、約0℃~約50℃、約10℃~約40℃、又は約20℃~約30℃の範囲であり得る。一実施形態では、反応は、約23℃の温度(室温)で実施され得る。反応は、典型的には、周囲圧力下で実行される。反応はまた、不活性雰囲気下、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウム下で実施され得る。
【0152】
一般に、HPLC、TLC、又はプロトン核磁気共鳴(例えば、1H NMR)などの当業者に既知である任意の方法によって判定される場合、反応が完了するまでの十分な期間、反応を進行させる。反応の持続時間は、約30分~約4時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、反応の持続時間は、約30分~約1時間、約1時間~約2時間、又は約2時間~約4時間の範囲であり得る。好ましい実施形態では、反応は、約2時間進行され得る。本文脈中、「完了した反応」とは、一般に、反応混合物が、有意に減少した量の式(I)の化合物を含有することを意味する。典型的には、反応の終了時に反応混合物中に残存する式(I)の化合物の量は、約10%未満、約5%未満、又は約2%未満であり得る。
【0153】
プロトン受容体によるステップ(h)の完了後、反応混合物のpHは、約6.0未満のpHに調整される。様々な実施形態では、pHは、約pH6.0未満、約pH5.0未満、約pH4.0未満、約pH3.0未満、約pH2.0未満、又は約pH1.0未満に調整される。1つの好ましい実施形態では、pHは、約pH2.0~約2.5のpHの範囲に調整される。
【0154】
このpH調整には、酸性水溶液が使用される。好適な酸の非限定的な例は、HCl、H2SO4、酢酸、メタンスルホン酸、又は類似の有機若しくは無機酸であり得る。
【0155】
式(I)を含む化合物は、少なくとも約60%の収率を有し得る。様々な実施形態では、式(I)を含む化合物は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%の収率を有し得る。1つの好ましい実施形態では、式(I)を含む化合物は、約60~70%の範囲の収率を有し得る。
【0156】
(III)式(I)を含む薬学的組成物化合物、又は式(I)を含む化合物の薬学的に許容可能な塩。
本開示の別の態様は、式(I)を含む化合物を含む薬学的組成物、又は式(I)を含む化合物の薬学的に許容可能な塩、及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
【0157】
(a)式(I)を含む化合物、又は式(I)を含む化合物の薬学的に許容可能な塩
式(I)を含む化合物、又は式(I)を含む化合物の薬学的に許容可能な塩は、上記のセクション(I)に詳述されている。
【0158】
一般に、薬学的組成物に使用される、式(I)を含む化合物、又は式(I)を含む化合物の薬学的に許容可能な塩の量は、対象者の年齢、及び1日当たりに使用される用量に依存して変動し得るか、又は変動するであろう。一般に、式(I)を含む化合物、又は式(I)を含む化合物の薬学的に許容可能な塩の量は、約1.0mg~約100mgの範囲であり得る。様々な実施形態では、薬学的組成物に使用される、式(I)を含む化合物、又は式(I)を含む化合物の薬学的に許容可能な塩は、約1.0mg~約100mg、約5mg~約75mg、又は約10mg~約20mgの範囲であり得る。
【0159】
(b)少なくとも1つの賦形剤
本開示の組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤を更に含み得る。好適な薬学的に許容可能な賦形剤の非限定的な例としては、希釈剤、結合剤、充填剤、緩衝剤、pH調整剤、崩壊剤、分散剤、防腐剤、潤滑剤、矯味剤、香味剤、着色剤、又はそれらの組み合わせが挙げられる。薬学的組成物を形成するために利用される賦形剤の量及びタイプは、薬学の既知の原理に従って選択され得る。
【0160】
一実施形態では、賦形剤は、希釈剤であり得る。希釈剤は、圧縮可能(すなわち、塑性変形可能な)であるか、又は研磨的に脆性であり得る。好適な圧縮可能な希釈剤の非限定的な例としては、微結晶性セルロース(MCC)、セルロース誘導体、セルロース粉末、セルロースエステル(すなわち、酢酸塩と酪酸塩との混合エステル)、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、トウモロコシデンプン、リン酸化トウモロコシデンプン、アルファ化トウモロコシデンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、デンプン-ラクトース、デンプン-炭酸カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、グルコース、フルクトース、ラクトース、ラクトース一水和物、スクロース、キシロース、ラクチトール、マンニトール、マリトール、ソルビトール、キシリトール、マルトデキストリン、及びトレハロースが挙げられる。好適な研磨的に脆性な希釈剤の非限定的な例としては、二塩基性リン酸カルシウム(無水又は二水和物)、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウムが挙げられる。
【0161】
別の実施形態では、賦形剤は、結合剤であり得る。好適な結合剤としては、デンプン、アルファ化デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキソアゾリドン、ポリビニルアルコール、C12~C18脂肪酸アルコール、ポリエチレングリコール、ポリオール、糖類、オリゴ糖類、ポリペプチド、オリゴペプチド、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
別の実施形態では、賦形剤は、充填剤であり得る。好適な充填剤としては、炭水化物、無機化合物、及びポリビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。非限定的な例として、充填剤は、二塩基性及び三塩基性の両方の硫酸カルシウム、デンプン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、微結晶性セルロース、二塩基性リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、修飾デンプン、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールであり得る。
【0163】
なお別の実施形態では、賦形剤は、緩衝剤であり得る。好適な緩衝剤の代表的な例としては、リン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、トリス緩衝液、及び緩衝生理食塩水の塩(例えば、トリス緩衝生理食塩水又はリン酸塩緩衝生理食塩水)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
様々な実施形態では、賦形剤は、pH調整剤であり得る。非限定的な例として、pH調整剤は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、又はリン酸であり得る。
【0165】
更なる実施形態では、賦形剤は、崩壊剤であり得る。崩壊剤は、非発泡性又は発泡性であり得る。非発泡性崩壊剤の好適な例としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、それらのアルファ化及び加工デンプンなどのデンプン、甘味料、ベントナイトなどの粘土、微結晶性セルロース、アルギン酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム、寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペシチン(pecitin)、及びトラガカントなどのガムが挙げられるが、これらに限定されない。好適な発泡性崩壊剤の非限定的な例としては、クエン酸と組み合わせた重炭酸ナトリウム、及び酒石酸と組み合わせた重炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0166】
なお別の実施形態では、賦形剤は、分散剤又は分散強化剤であり得る。好適な分散剤としては、デンプン、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、グアーガム、カオリン、ベントナイト、精製木材セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、イソアモルファスケイ酸塩(isoamorphous silicate)、及び微結晶性セルロースが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0167】
別の代替的な実施形態では、賦形剤は、防腐剤であり得る。好適な防腐剤の非限定的な例としては、BHA、BHT、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、又はパルミチン酸レチニルなどの酸化防止剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、EDTA又はEGTAなどのキレート剤;及びパラベン、クロロブタノール、又はフェノールなどの抗微生物剤が挙げられる。
【0168】
更なる実施形態では、賦形剤は、潤滑剤であり得る。好適な潤滑剤の非限定的な例としては、タルク又はシリカなどの鉱物;及び植物性ステアリン、ステアリン酸マグネシウム、又はステアリン酸などの脂肪が挙げられる。
【0169】
なお別の実施形態では、賦形剤は、矯味剤であり得る。矯味材料としては、セルロースエーテル;ポリエチレングリコール;ポリビニルアルコール;ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールコポリマー;モノグリセリド又はトリグリセリド;アクリルポリマー;アクリルポリマーのセルロースエーテルとの混合物;酢酸フタル酸セルロース、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0170】
代替的な実施形態では、賦形剤は、香味剤であり得る。香味剤は、合成香味油及び香味芳香油並びに/又は天然油、植物、葉、花、果実からの抽出物、並びにそれらの組み合わせから選ばれ得る。
【0171】
なお更なる実施形態では、賦形剤は、着色剤であり得る。好適な色添加剤としては、食品、医薬品、及び化粧品の色(FD&C)、医薬品及び化粧品の色(D&C)、又は外用医薬品及び外用化粧品の色(Ext.D&C)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
組成物中の賦形剤又は賦形剤の組み合わせの重量分率は、組成物の総重量の、約99%以下、約97%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約2%以下、又は約1%以下であり得る。
【0173】
組成物は、様々な剤形に製剤化され、治療的に有効な量の活性成分を送達する数多くの異なる手段によって投与され得る。そのような組成物は、所望に応じて、従来の非毒性の薬学的に許容可能なキャリア、補助剤、及びビヒクルを含有する用量単位製剤で経口的、非経口的、又は局所的に投与され得る。局所投与はまた、経皮パッチ又はイオン導入デバイスなどの経皮投与の使用を伴い得る。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、若しくは胸骨内注射、又は輸注技術を含む。医薬品の製剤化は、例えば、Gennaro,A.R.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(18th ed,1995)、及びLiberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker Inc.,New York,N.Y.(1980)で考察されている。特定の実施形態では、組成物は、食品サプリメントであり得るか、又は組成物は、化粧品であり得る。
【0174】
経口投与のための固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、カプレット剤、丸剤、粉末剤、ペレット剤、及び顆粒剤が挙げられ得る。そのような固体剤形では、活性成分は、普段、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせられ、これらの例は上に詳述されている。経口調製物はまた、水性懸濁液、エリキシル剤、又はシロップ剤として投与され得る。これらについては、活性成分は、様々な甘味剤又は香味剤、着色剤、及び所望であれば、乳化剤及び/又は懸濁剤、並びに水、エタノール、グリセリン、及びそれらの組み合わせなどの希釈剤と組み合わされ得る。
【0175】
非経口投与(皮下、皮内、静脈内、筋肉内、及び腹腔内を含む)については、調製物は、水溶液又は油系溶液であり得る。水溶液としては、水、生理食塩水、グリセロール、プロピレングリコール、若しくは他の合成溶媒などの薬学的に許容可能なポリオールなどの滅菌希釈剤;ベンジルアルコール、メチルパラベン、クロロブタノール、フェノール、チメロサールなどの抗細菌剤及び/若しくは抗真菌剤;アスコルビン酸若しくは重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩などの緩衝液;並びに/あるいは塩化ナトリウム、デキストロース、又はマンニトール若しくはソルビトールなどのポリアルコールなどの弾力性の調整のための薬剤が挙げられ得る。水溶液のpHは、塩酸若しくは水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調整され得る。油系溶液又は懸濁液は、ゴマ、ピーナッツ、オリーブオイル、又は鉱油を更に含み得る。組成物は、単回投薬又は複数回投薬用の容器、例えば、密封されたアンプル及びバイアル内に提供され得、使用直前に輸送された滅菌液体、例えば、注射のための水の添加のみを必要とする冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で貯蔵され得る。即席の注射溶液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製され得る。
【0176】
局所(例えば、経皮又は経粘膜)投与については、一般に、浸透されるバリアに適切な浸透剤が調製物中に含められる。局所投与に適合された薬学的組成物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、又は油として配合され得る。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、局所的な軟膏又はクリームとして適用される。軟膏中に配合されるとき、活性成分は、パラフィン性軟膏基剤又は水混和性軟膏基剤のいずれかとともに用いられ得る。代替的に、活性成分は、水中油性クリーム基剤又は油中水性基剤を有するクリーム中に配合され得る。眼への局所投与に適合された薬学的組成物としては、活性成分が、好適なキャリア、特に水性溶媒中に溶解又は懸濁される点眼薬が挙げられる。口腔内の局所投与に適合された薬学的組成物としては、ドロップ、トローチ、及び口腔洗浄薬が挙げられる。経粘膜投与は、鼻腔スプレー、エアロゾルスプレー、錠剤、又は座薬の使用を通して実現され得、経皮投与は、当技術分野で一般に既知であるような軟膏、軟膏薬、ゲル、パッチ、又はクリームを介して実現され得る。
【0177】
ある特定の実施形態では、式(I)を含む組成物、又は式(I)を含む化合物の薬学的に許容可能な塩を、好適なビヒクル中にカプセル化して、化合物の標的細胞への送達を補助するか、組成物の安定性を増加させるか、又は組成物の潜在的な毒性を最小限に抑える。当業者に理解されるように、多様なビヒクルは、本発明の組成物を送達するのに好適である。好適な構造化流体送達系の非限定的な例としては、ナノ粒子、リポソーム、マイクロエマルション、ミセル、デンドリマー、及び他のリン脂質含有系が挙げられ得る。送達ビヒクルに組成物を組み込む方法は、当技術分野で既知である。
【0178】
1つの代替的な実施形態では、リポソーム送達ビヒクルが利用され得る。リポソームは、実施形態に依存して、それらの構造的及び化学的特性を考慮して、式(I)を含む組成物、又は式(I)を含む化合物の薬学的に許容可能な塩の送達に好適である。一般に、リポソームは、リン脂質二重層膜を有する球形小胞である。リポソームの脂質二重層は、他の二重層(例えば、細胞膜)と融合し、したがって、リポソームの内容物を細胞に送達し得る。このようにして、少なくとも1つの抗ウイルス治療薬を含む組成物は、標的細胞の膜と融合するリポソーム内でのカプセル化によって細胞に選択的に送達され得る。
【0179】
リポソームは、種々の炭化水素鎖長を有する多様な異なるタイプのホソ脂質(phosolipid)から構成され得る。リン脂質は、一般に、グリセロールリン酸を通して多様な極性基のうちの1つに連結した2つの脂肪酸を含む。好適なホスホリッド(phospholids)としては、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ジホスファチジルグリセロール(DPG)、ホスファチジルコリン(PC)、及びホスファチジルエタノールアミン(PE)が挙げられる。リン脂質を含む脂肪酸鎖は、約6~約26個の炭素原子の長さの範囲であり得、脂質鎖は、飽和又は不飽和であり得る。好適な脂肪酸鎖としては、(一般的な名称が括弧内に提示されている)n-ドデカノエート(ラウリン酸塩)、n-テトラデカノエート(ミリスチン酸塩)、n-ヘキサデカノエート(パルミチン酸塩)、n-オクタデカノエート(ステアリン酸塩)、n-エイコサノエート(アラキジン酸塩)、n-ドコサノエート(ベヘン酸塩)、n-テトラコサノエート(リグノセリン酸塩)、シス-9-ヘキサデセノエート(パルミトレイン酸塩)、シス-9-オクタデカノエート(オレイン酸塩)、シス,シス-9,12-オクタデカンジエノエート(リノール酸塩)、全シス-9,12,15-オクタデカトリエノエート(リノレン酸塩)、及び全シス-5,8,11,14-エイコサテトラエノエート(アラキドン酸塩)が挙げられる。リン脂質の2つの脂肪酸鎖は、同一又は異なり得る。許容可能なリン脂質としては、ジオレオイルPS、ジオレオイルPC、ジステアロイルPS、ジステアロイルPC、ジミリストイルPS、ジミリストイルPC、ジパルミトイルPG、ステアロイル、オレオイルPS、パルミトイル、リノレニルPSなどが挙げられる。
【0180】
リン脂質は、任意の天然源に由来し得、それ自体、リン脂質の混合物を含み得る。例えば、卵黄は、PC、PG、及びPEに富んでおり、大豆は、PC、PE、PI、及びPAを含有し、動物の脳又は脊髄は、PSが豊富である。リン脂質は、合成源にも由来し得る。個々のリン脂質の比率が変動する、リン脂質の混合物が使用され得る。異なるリン脂質の混合物は、有利な活性又は活性特性の安定性を有するリポソーム組成物をもたらし得る。上で言及されるリン脂質は、N-(1-(2,3-ジオレオリオキシ)プロピル)-N、N、N-トリメチルアンモニウムクロリド、1,1’-ジオクタデシル-3,3,3’,3’-テトラメチルインドカルボシアニンペルクロアレート、3,3’-デヘプチルオキサカルボシアニンヨージド、1,1’-デドデシル-3,3,3’,3’テトラメチルインドカルボシアニンペルクロアレート、1,1’-ジオレイル-3,3,3’,3’-テトラメチルインドカルボシアニンメタンスルホネート、N-4-(デリノレイルアミノスチリル)-N-メチルピリジニウムヨージド、又は1,1,-ジリノレイル-3,3,3’,3’-テトラメチルインドカルボシアニンペルクロアレートなどのカチオン性脂質と最適な比率で混合され得る。
【0181】
リポソームは、任意選択的に、スフィンゴ脂質を含み得、スフィンゴ脂質において、スピンゴシンがグリセロールの構造的対応物であり、ホスホグリセリドの1つの脂肪酸、又は動物細胞膜の主要成分であるコレステロールのうちの1つである。リポソームは、任意選択的に、ポリエチレングリコール(PEG)のポリマーに共有結合した脂質であるペグ化脂質を含有し得る。PEGは、約500~約10,000ダルトンのサイズの範囲であり得る。
【0182】
リポソームは、好適な溶媒を更に含み得る。溶媒は、有機溶媒又は無機溶媒であり得る。好適な溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチルピロリドン、N-メチルピロリドン、アセトロニトリル、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】
式(I)を含む化合物を含む組成物を輸送するリポソームは、例えば、米国特許第4,241,046号、同第4,394,448号、同第4,529,561号、同第4,755,388号、同第4,828,837号、同第4,925,661号、同第4,954,345号、同第4,957,735号、同第5,043,164号、同第5,064,655号、同第5,077,211号、及び同第5,264,618号に詳述されるような薬物送達のためのリポソームを調製する任意の既知の方法によって調製され得、これらの開示は、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。例えば、リポソームは、水溶液中の脂質を超音波処理すること、溶媒注入、脂質水和、逆蒸発、又は冷凍及び解凍の繰り返しによる冷凍乾燥によって調製され得る。好ましい実施形態では、リポソームは、超音波処理によって形成される。リポソームは、タマネギのような多くの層を有するマルチラメラ、又はユニラメラであり得る。リポソームは、大きくあり得るか、又は小さくあり得る。継続的な高剪断超音波処理は、より小さなユニラメラリップソーム(lipsomes)を形成する傾向がある。
【0184】
当業者には明白であるように、リポソーム形成を支配するパラメータの全ては変動し得る。これらのパラメータとしては、温度、pH、メチオニン化合物の濃度、脂質の濃度及び組成、多価カチオンの濃度、混合速度、溶媒の存在及び濃度が挙げられるが、これらに限定されない。
【0185】
別の実施形態では、本開示の組成物は、マイクロエマルションとして細胞に送達され得る。マイクロエマルションは、一般に、水溶液、界面活性剤、及び「油」を含む、透明で熱力学的に安定な溶液である。この場合の「油」は、超臨界流体相である。界面活性剤は、油-水界面にある。多様な界面活性剤のうちのいずれも、本明細書に記載されるか、又は別様に、当技術分野で既知であるものを含む、マイクロエマルション製剤での使用に好適である。本発明での使用に好適な水性マイクロドメインは、一般に、約5nm~約100nmの特徴的な構造寸法を有するであろう。このサイズの凝集体は、可視光の散乱体が乏しく、したがって、これらの溶液は光学的に透明である。当業者に理解されるように、マイクロエマルションは、球状、棒状、又は円盤状の凝集体を含む多数の異なる微小構造を有することができ、かつ有するであろう。一実施形態では、構造は、ミセルであり得、これは、一般に球形又は円筒形の物体である最も単純なマイクロエマルション構造である。ミセルは水中の油の滴のようなものであり、逆ミセルは油中の水の滴のようなものである。代替的な実施形態では、マイクロエマルション構造は、ラメラである。マイクロエマルション構造は、界面活性剤の層によって分離された水及び油の連続した層を含む。マイクロエマルションの「油」は、最適には、リン脂質を含む。リポソームについて上に詳述されたリン脂質のうちのいずれも、マイクロエマルションを対象とする実施形態に好適である。少なくとも1つの抗ウイルス治療誘導体を含む組成物は、当技術分野で一般に既知である任意の方法によってマイクロエマルションにカプセル化され得る。
【0186】
なお別の実施形態では、式(I)を含む組成物、又は式(I)を含む化合物の薬学的に許容可能な塩は、樹枝状高分子、又はデンドリマー中に送達され得る。一般的に言えば、デンドリマーは、分岐した木のような分子であり、この各分枝は、ある特定の長さの後に2つの新しい分枝(分子)に分割される分子の相互連結鎖である。この分岐は、分枝(分子)が非常に密集してキャノピーが球体を形成するまで続く。一般に、デンドリマーの特性は、それらの表面にある官能基によって判定される。例えば、カルボキシル基などの親水性末端基は、典型的には、水溶性デンドリマーを作製する。代替的に、リン脂質は、皮膚にわたる吸収を容易にするためにデンドリマーの表面に組み込まれ得る。リポソーム実施形態での使用について詳述されるリン脂質のうちのいずれも、デンドリマー実施形態での使用に好適である。当技術分野で一般に既知である任意の方法を利用して、デンドリマーを作製し、本発明の組成物をその中にカプセル化し得る。例えば、デンドリマーは、各追加の反復がより高次のデンドリマーにつながる、反応ステップの反復シーケンスによって生成され得る。結果として、それらは規則的な、高度に分岐した3D構造を有し、ほぼ均一なサイズ及び形状を有している。更に、デンドリマーの最終サイズは、典型的には、合成中に使用される反復ステップの数によって制御される。多様なデンドリマーサイズは、本発明での使用に好適である。一般に、デンドリマーのサイズは、約1nm~約100nmの範囲であり得る。
【0187】
(c)剤形
組成物は、様々な剤形に製剤化され、治療的に有効な量の活性成分を送達する数多くの異なる手段によって投与され得る。そのような組成物は、所望に応じて、従来の非毒性の薬学的に許容可能なキャリア、補助剤、及びビヒクルを含有する用量単位製剤で経口的、非経口的、又は局所的に投与され得る。局所投与はまた、経皮パッチ又はイオン導入デバイスなどの経皮投与の使用を伴い得る。本明細書で使用される非経口という用語には、皮下、静脈内、筋肉内、若しくは胸骨内注射、又は輸注技術が含まれる。医薬品の製剤化は、例えば、Gennaro,A.R.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(18th ed,1995),and Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker Inc.,New York,N.Y.(1980)で考察されている。
【0188】
経口投与のための固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、カプレット剤、丸剤、粉末剤、ペレット剤、及び顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形では、活性成分は、普段、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせられ、これらの例は上に詳述されている。経口調製物はまた、水性懸濁液、エリキシル剤、又はシロップ剤として投与され得る。これらについては、活性成分は、様々な甘味剤又は香味剤、着色剤、及び所望であれば、乳化剤及び/又は懸濁剤、並びに水、エタノール、グリセリン、及びそれらの組み合わせなどの希釈剤と組み合わされ得る。
【0189】
非経口投与(皮下、皮内、静脈内、筋肉内、及び腹腔内を含む)については、調製物は、水溶液又は油系溶液であり得る。水溶液としては、水、生理食塩水、グリセロール、プロピレングリコール、若しくは他の合成溶媒などの薬学的に許容可能なポリオールなどの滅菌希釈剤;ベンジルアルコール、メチルパラベン、クロロブタノール、フェノール、チメロサールなどの抗細菌剤及び/若しくは抗真菌剤;アスコルビン酸若しくは重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩などの緩衝液;並びに/あるいは塩化ナトリウム、デキストロース、又はマンニトール若しくはソルビトールなどのポリアルコールなどの弾力性の調整のための薬剤が挙げられ得る。水溶液のpHは、塩酸若しくは水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調整され得る。油系溶液又は懸濁液は、ゴマ、ピーナッツ、オリーブオイル、又は鉱油を更に含み得る。
【0190】
(IV)カッパ-オピエート受容体アゴニスト医学的障害を治療する方法。
本開示のなお別の態様では、カッパ-オピエート受容体アゴニスト医学的障害を治療する方法を含む。この方法は、式(I)を含む薬学的組成物、又は式(I)を含む化合物の薬学的に許容可能な塩を、それを必要とする対象者に投与することを含む。カッパオピオイド受容体アゴニスト関連疾患又は障害は、疼痛、心臓血管疾患、掻痒、吐き気、炎症性疾患、脊髄感覚まひ、鎮咳、脳卒中、低酸素性肺血管高血圧症、多発性硬化症、中毒、及び外傷後軟骨損傷である。
【0191】
(a)組成物及び剤形。
組成物及び剤形は、上記のセクション(III)により詳細に記載されている。
【0192】
そのような組成物は、所望に応じて、経口、非経口、吸入スプレーによって、直腸、皮内、経皮、又は局所的に、従来の非毒性の薬学的に許容可能なキャリア、補助剤、及びビヒクルを含有する用量単位製剤で経口的、非経口的、又は局所的に投与され得る。局所投与はまた、経皮パッチ又はイオン導入デバイスなどの経皮投与の使用を伴い得る。本明細書で使用される非経口という用語には、皮下、静脈内、筋肉内、若しくは胸骨内注射、又は輸注技術が含まれる。
【0193】
非経口投与(皮下、皮内、静脈内、筋肉内、及び腹腔内を含む)については、調製物は、水溶液又は油系溶液であり得る。水溶液としては、水、生理食塩水、グリセロール、プロピレングリコール、若しくは他の合成溶媒などの薬学的に許容可能なポリオールなどの滅菌希釈剤;ベンジルアルコール、メチルパラベン、クロロブタノール、フェノール、チメロサールなどの抗細菌剤及び/若しくは抗真菌剤;アスコルビン酸若しくは重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩などの緩衝液;並びに/あるいは塩化ナトリウム、デキストロース、又はマンニトール若しくはソルビトールなどのポリアルコールなどの弾力性の調整のための薬剤が挙げられ得る。水溶液のpHは、塩酸若しくは水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調整され得る。油系溶液又は懸濁液は、ゴマ、ピーナッツ、オリーブオイル、又は鉱油を更に含み得る。
【0194】
局所(例えば、経皮又は経粘膜)投与については、一般に、浸透されるバリアに適切な浸透剤が調製物中に含まれる。経粘膜投与は、鼻腔スプレー、エアロゾルスプレー、錠剤、又は座薬の使用を通して実現され得、経皮投与は、当技術分野で一般に既知であるような軟膏、軟膏薬、ゲル、パッチ、又はクリームを介して実現され得。
【0195】
対象者に投与される薬剤の量は、薬剤のタイプ、対象者、及び投与の特定のモードに依存して変動し得、かつ変動するであろう。当業者は、用量がまた、Goodman & Goldman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,Tenth Edition(2001),Appendix II,pp.475-493,and the Physicians’ Desk Referenceからのガイダンスによって判定され得ることを理解するであろう。
【0196】
(b)対象者
好適な対象者としては、ヒト、家畜動物、コンパニオン動物、実験動物、又は動物学上の動物が挙げられる。一実施形態では、対象者は、げっ歯類、例えば、マウス、ラット、モルモットなどであり得る。別の実施形態では、対象は、家畜動物であり得る。好適な家畜動物の非限定的な例としては、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ラマ、及びアルパカが挙げられ得る。なお別の実施形態では、対象は、コンパニオン動物であり得る。コンパニオン動物の非限定的な例としては、イヌ、ネコ、ウサギ、及び鳥などのペットが挙げられ得る。なお別の実施形態では、対象は、動物学上の動物であり得る。本明細書で使用される場合、「動物学上の動物」は、動物園で見られ得る動物を指す。そのような動物としては、非ヒト霊長類、大型ネコ、オオカミ、及びクマが挙げられ得る。特定の実施形態では、動物は、実験動物である。実験動物の非限定的な例としては、げっ歯類、イヌ科動物、ネコ科動物、及び非ヒト霊長類が挙げられ得る。ある特定の実施形態では、動物は、げっ歯類である。げっ歯類の非限定的な例としては、マウス、ラット、モルモットなどが挙げられ得る。好ましい実施形態では、対象者は、ヒトである。
【0197】
定義
本明細書に記載の化合物は、不斉中心を有する。不斉置換原子を含有する本開示の化合物は、光学活性形態又はラセミ形態で単離され得る。特定の立体化学又は異性体形態が具体的に指示されていない限り、構造の全てのキラル形態、ジアステレオマー形態、ラセミ形態、及び全ての幾何異性体形態が意図される。
【0198】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「アシル」という用語は、有機カルボン酸の基COOHからヒドロキシ基を除去することによって形成される部分、例えば、RC(O)-を示し、式中、Rが、R1、R1O-、R1R2N-、又はR1S-であり、R1が、ヒドロカルビル、ヘテロ置換ヒドロカルビル、又はヘテロシクロであり、R2が、水素、ヒドロカルビル、又は置換ヒドロカルビルである。
【0199】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「アシルオキシ」という用語は、酸素連結(O)を通して結合された上述のアシル基、例えばRC(O)O-を示し、式中、Rが、「アシル」という用語に関連して定義されるとおりである。
【0200】
本明細書で使用される「アリル」という用語は、単純なアリル基(CH2=CH-CH2-)を含有する化合物だけでなく、置換アリル基、又は環系の一部を形成するアリル基を含有する化合物も指す。
【0201】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、好ましくは、主鎖に1~8個の炭素原子及び最大20個の炭素原子を含有する低級アルキルである基を表す。それらは、直鎖若しくは分岐鎖、又は環状であり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシルなどが挙げられ得る。
【0202】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、好ましくは、主鎖に2~8個の炭素原子及び最大20個の炭素原子を含有する低級アルケニルである基を表す。それらは、直鎖若しくは分枝鎖、又は環状であり、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニルなどが挙げられ得る。
【0203】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、好ましくは、主鎖に2~8個の炭素原子及び最大20個の炭素原子を含有する低級アルキニルである基を表す。それらは、直鎖若しくは分枝鎖であり得、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニルなどが挙げられ得る。
【0204】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「芳香族」という用語は、非局在化電子を含む任意選択的に置換された同素環式-若しくは複素環式共役平面環又は環系を示す。これらの芳香族基は、好ましくは、環部分に5~14個の原子を含有する単環式(例えば、フラン又はベンゼン)、二環式、又は三環式の基である。「芳香族」という用語は、以下に定義される「アリール」基を包含する。
【0205】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「アリール」又は「Ar」という用語は、任意選択的に置換された同素環式芳香族基、好ましくは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニル、又は置換ナフチルなどの、環部分に6~10個の炭素を含有する単環式又は二環式の基を示す。
【0206】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「カルボシクロ」又は「炭素環式」という用語は、環内の原子の全てが炭素であり、好ましくは、各環内に5又は6個の炭素原子を有する、任意選択的に置換された芳香族又は非芳香族の同素環式環又は環系を示す。例示的な置換基としては、以下の基:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、及びチオのうちの1つ以上が挙げられる。
【0207】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、塩素、臭素、フッ素、及びヨウ素を指す。
【0208】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素及び水素以外の原子を指す。
【0209】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「ヘテロ芳香族」という用語は、少なくとも1つの環に少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは各環に5又は6個の原子を有する任意選択的に置換された芳香族基を示す。ヘテロ芳香族基は、好ましくは、環内に1若しくは2個の酸素原子、及び/又は1~4個の窒素原子を有し、炭素を通して分子の残部に結合している。例示的な基としては、フリル、ベンゾフリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル、カルバゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾピリジルなどが挙げられる。例示的な置換基としては、以下の基:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、及びチオのうちの1つ以上が挙げられる。
【0210】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される「ヘテロシクロ」又は「複素環式」という用語は、少なくとも1つの環に少なくとも1つのヘテロ原子、及び好ましくは各環に5又は6個の原子を有する、任意選択的に置換された、完全に飽和若しくは不飽和の、単環式若しくは二環式の芳香族又は非芳香族基を示す。ヘテロシクロ基は、好ましくは、環内に1若しくは2個の酸素原子及び/又は1~4個の窒素原子を有し、炭素又はヘテロ原子を通して分子の残部に結合している。例示的なヘテロシクロ基としては、上述のようなヘテロ芳香族が挙げられる。例示的な置換基としては、以下の基:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、及びチオのうちの1つ以上が挙げられる。
【0211】
本明細書で使用される「炭化水素」及び「ヒドロカルビル」という用語は、排他的に炭素及び水素の元素からなる有機化合物又はラジカルを表す。これらの部分は、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリール部分を含む。これらの部分はまた、アルカリル、アルケナリル、及びアルキナリルなどの他の脂肪族又は環式炭化水素基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、並びにアリール部分を含む。別途指示がない限り、これらの部分は、好ましくは、1~20個の炭素原子を含む。
【0212】
本明細書で使用される「保護基」という用語は、特定の部分を保護することができる基を示し、保護基は、分子の残部を乱すことなく保護が用いられる反応に続いて除去され得る。この部分が酸素原子である(したがって、保護されたヒドロキシを形成する)場合、例示的な保護基としては、エーテル(例えば、アリル、トリフェニルメチル(トリチル又はTr)、ベンジル、p-メトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP))、アセタール(例えば、メトキシメチル(MOM)、β-メトキシエトキシメチル(MEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、エトキシエチル(EE)、メチルチオメチル(MTM)、2-メトキシ-2-プロピル(MOP)、2-トリメチルシリルエトキシメチル(SEM))、エステル(例えば、安息香酸塩(Bz)、アリルカーボネート、2,2,2-トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2-トリメチルシリルエチルカーボネート)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)などが挙げられる。この部分が窒素原子である(したがって、保護アミンを形成する)とき、例示的な保護基としては、ベンジル、p-メトキシフェニル(PMP)、3,4-ジメトキシベンキシル(PMB))、n-シリル基、エステル(例えば、安息香酸塩(Bz)、カルボニル(例えば、p-メトキシベンジルカルボニル(Moz)、tert-ブチルオキシカルボニル(BOC)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC))、アセチル、カルバメート、n-シリル基などが挙げられる。この部分がカルボキシル基であるとき、例示的な保護基としては、エステル(メチル、置換メチルエステル、エチルエステル、置換エチルエステル)などが挙げられる。多様な保護基及びその合成は、“Protective Groups in Organic Synthesis”by T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley & Sons,1999に見出され得る。
【0213】
本明細書に記載の「置換ヒドロカルビル」部分は、炭素鎖原子が窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素、又はハロゲン原子などのヘテロ原子で置換されている部分、及び炭素鎖が追加の置換基を含む部分を含む、炭素以外の少なくとも1つの原子で置換されているヒドロカルビル部分である。これらの置換基としては、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、及びチオが挙げられる。
【0214】
本明細書に記載される実施形態の要素を導入するとき、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、及び「上記の(said)」は、要素のうちの1つ以上が存在することを意味することが意図される。「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であることが意図されており、列挙されている要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0215】
本発明の範囲から逸脱することなく、上述の方法に様々な変更を加えることができるため、上記の説明及び以下に与えられた実施例に含まれる全ての事柄は、限定的な意味ではなく、例示的なものとして解釈されるべきであることが意図される。
【0216】
実施例1:ジペプチド中間体(3)の合成
【化51】
反応フラスコに(2R,3R)-Boc-ベータ-メチル-フェニルアラニン(1)(15g、36.1mmol、1.0当量)及びDMF(212mL)を窒素下で添加した。混合物が撹拌下で均質になった後、得られた溶液を氷浴中で0℃まで冷却した。冷却した反応物に、HOBt.H
2O(5.36g、39.7mmol、1.1当量)及びN-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)(7.60g、39.7mmol、1.1当量)を添加した。得られた混合物を30分間撹拌し、次いで、H-D-Phe-OMe.HCl(2)(8.56g、39.7mmol、1.1当量)及びN-メチルモルホリン(NMM)(7.58mL、75.7mmol、2.1当量)を添加した。反応物を0℃で1時間撹拌し、次いで、反応が完了したことをHPLC分析が示すまで、室温で撹拌した。反応溶液を撹拌下で水(600mL)に滴加した。水の添加が完了した後、撹拌を停止し、沈殿物が形成され始めた。沈殿が止まったところで反応混合物を1時間静置した。沈殿物(結晶)を濾過によって収集し、水(400mL×3)で洗浄し、次いで、真空中で乾燥させ、生成物(3)を白色固体、14.36g、収率=90.8%として得た。LCMS:m/z=441.5[M+H]
+。
【0217】
実施例2:ジペプチド中間体(4)の合成
【化52】
反応フラスコの中に、化合物(3)(12g、27.2mmol、1.0当量)及びメタノール(240mL)を添加した。撹拌を開始し、得られた溶液にNaOH溶液(60mL、1M、60mmol)を添加した。反応が完了したことをHPLC分析が示すまで、反応混合物を室温で約2時間撹拌した。反応混合物に、2.0~2.5のpHが達成されるまでHCl溶液(1.0M)を滴加した。次いで、水(380mL)を滴加して、生成物を沈殿させた。得られた混合物を1時間静置し、次いで、固体を濾過によって収集し、水(3×320mL)で洗浄し、次いで、真空下(30℃)で乾燥させた。生成物を白色固体、11g、収率=94.8%として得た。LCMS m/z=427.5[M+H]
+。
【0218】
実施例3:トリペプチド中間体(6)の合成
【化53】
反応フラスコの中に、化合物(4)(8.0g、18.8mmol、1.0当量)及びDMF(169mL)を窒素下で添加した。得られた溶液を氷浴中で0℃まで冷却した。冷却した反応混合物に、HOBt.H
2O(2.79g、20.6mmol、1.2当量)及びEDCI(3.96g、20.5mmol、1.1当量)を添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、H-D-Leu-OMe・HCl(5)(20.6mmol、1.1当量、3.75g)及びN-メチルモルホリン(NMM)(3.94mL、39.4mmol、2.1当量)を添加した。得られた反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで、反応が完了したことをHPLC分析が示すまで、室温に温めた。反応混合物を、撹拌しながら水(360mL)中に滴加した。水添加が完了した後、撹拌を停止し、沈殿物が形成された。沈殿が止まったところで反応混合物を1時間静置した。次いで、沈殿物を濾過によって収集し、水(240mL×3)で洗浄し、次いで、真空(30℃)で乾燥させ、生成物(6)を白色固体、9.96g、収率=96%として得た。LCMS:m/z=554.7[M+H]
+。
【0219】
実施例4:トリペプチド中間体(7)の合成
【化54】
反応フラスコの中に、化合物(6)(8g、14.4mmol、1.0当量)及びメタノール(160mL)を窒素下で添加した。撹拌を開始し、次いで、NaOH溶液(40mL、1M、40mmol)を添加した。反応が完了したことをHPLC分析が示すまで、反応混合物を室温で約2時間撹拌した。反応混合物の中に、2.0~2.5のpHが達成されるまでHCl溶液(1.0M)を滴加した。次いで、水(320mL)を滴加して、生成物を沈殿させた。反応混合物を1時間静置し、次いで、固体を濾過によって収集し、水(3×210mL)で洗浄し、次いで、真空下(30℃)で乾燥させた。生成物(7)を白色固体、7.41g、収率=95%として得た。LCMS m/z=540.7[M+H]
+。
【0220】
実施例5:テトラペプチド中間体(9)の合成
【化55】
窒素下の反応フラスコの中に、化合物(7)(6.0g、11.1mmol、1.0当量)及びDMF(127mL)を窒素下で添加した。得られた反応混合物を氷浴中で0℃まで冷却した。冷却した反応混合物に、HOBt.H
2O(1.81g、13.4mmol、1.2当量)及びEDCI(2.57g、13.4mmol、1.2当量)を添加した。30分後、H-D-Lys(Boc)-OMe・HCl(8)(3.97、13.7mmol、1.2当量)及びN-メチルモルホリン(NMM)(2.37g、23.4mmol、2.1当量)を添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで、反応が完了したことをHPLC分析が示すまで、室温で温めた。反応溶液を、撹拌しながら水(360mL)中に滴加した。添加が完了した後、撹拌を停止し、沈殿物が形成された。反応混合物を1時間静置した。沈殿物を濾過によって収集し、水(240mL×3)で洗浄し、次いで、真空下(30℃)で乾燥させた。単離した生成物(9)を白色固体、7.9g、収率=91%として得た。LCMS:m/z=783.0[M+H]
+。
【0221】
実施例6:テトラペプチド中間体(10)の合成
【化56】
反応フラスコの中に、化合物(9)(5g、6.39mmol、1.0当量)及びメタノール(100mL)を窒素下で添加した。撹拌を開始し、NaOH溶液(25mL、1M、40mmol)を滴加した。反応が完了したことをHPLC分析が示すまで、反応混合物を室温で約2時間撹拌した。次いで、2.0~2.5のpHが達成されるまでHCl溶液(1.0M)を滴加した。反応混合物を水(200mL)中に滴加して、生成物を沈殿させた。得られた混合物を1時間静置した。固体を濾過によって収集し、水(3×133mL)で洗浄し、次いで、真空下(30℃)で乾燥させた。生成物(10)を白色固体、4.51g、収率=91.9%として得た。LCMS m/z=769.0[M+H]
+。
【0222】
実施例7:ペプチド類似体(12)の合成
【化57】
窒素下の反応フラスコの中に、化合物(10)(1.0g、1.3mmol、1.0当量)及びDMF(21mL)を添加した。反応混合物を氷浴中で0℃まで冷却した。反応混合物に、HOBt.H
2O(211mg、1.56mmol、1.2当量)及びEDCI(299mg、1.56mmol、1.2当量)を添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、3-(Boc-アミノ)ピロリジン-3-カルボン酸メチルエステル(11)(1.56mmol、1.2当量、381.1mg)及びN-メチルモルホリン(NMM)(2.37g、23.4mmol、2.1当量)を添加した。反応物を0℃で1時間撹拌し、反応が完了したことをHPLC分析が示すまで、室温で温めた。反応物を、撹拌しながら水(60mL)中に滴加した。添加が完了した後、撹拌を停止した。反応混合物を1時間静置した。次いで、固体を濾過によって収集し、水(40mL×3)で洗浄し、次いで、真空下(30℃)で乾燥させた。生成物(12)を白色固体、1.2g、収率=93.1%として得た。LCMS:m/z=995.2[M+H]
+。
【0223】
実施例8 ペプチド類似体の合成(13)
【化58】
反応フラスコの中に、化合物(12)(200mg、0.201mmol、1当量)及びジクロロメタン(4mL)を窒素下で添加した。得られた溶液を-10℃まで冷却した。反応混合物に、トリフルオロ酢酸(TFA、4mL)とジクロロメタン(8mL)との混合物を添加した。次いで、反応が完了したことをHPLC分析が示すまで、反応物を-10℃で1時間撹拌した。揮発性有機材料を回転蒸発器上で除去した。残渣をジクロロメタン(4mL)中に溶解し、得られた溶液を回転蒸発器上で蒸留して乾燥させた。このプロセスを追加的に3回繰り返した。残渣をメタノール(4mL)中に溶解し、得られた溶液を回転蒸発器上で蒸発させて乾燥させた。このプロセスを追加的に3回繰り返した。得られた残渣を逆相HPLC上で精製し、生成物(13)が白色固体、135.4mg、収率=65%として提供された。LCMS:MS m/z=694.4[M+H]
+。
【0224】
実施例9 ペプチド類似体(14)の合成
【化59】
反応フラスコの中に、化合物(13)(100mg、0.0965mmol、1当量、及びメタノール(2mL)を窒素下で添加した。反応混合物に、NaOH(0.5mL、1.0M、1.0mmol)、10当量)の溶液を滴加した。反応が完了したことをHPLC分析が示すまで、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物の中に、pH=2.0~2.5が達成されるまでHCl溶液(1.0M)を滴加した。揮発性有機材料を回転蒸発器上で除去した。残渣を、0.1%のTFAアセトニトリル/水を移動相として有する逆相HPLC上で精製した。収集した画分を凍結乾燥して、生成物(14)を白色固体、45.7mg、収率=60%として生成した。LC-MS m/z=680.5[M+H]
+。
【0225】
実施例9 ペプチド類似体(16)の合成
【化60】
窒素下の反応フラスコの中に、化合物(10)(1.0g、1.3mmol、1.0当量)及びDMF(21mL)を添加した。反応混合物を氷浴中で0℃まで冷却した。反応混合物の中に、HOBt.H
2O(211mg、1.56mmol、1.2当量)及びEDCI(299mg、1.56mmol、1.2当量)を添加した。0℃で30分間撹拌した後、4-(Boc-アミノ)ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル(15)(402.9mg、1.56mmol、1.2当量)及びN-メチルモルホリン(NMM)(0.273mL、2.73mmol、2.1当量)を添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、反応が完了したことをHPLC分析が示すまで、室温で温めた。反応混合物を、撹拌しながら水(60mL)中に滴加した。添加が完了した後、撹拌を停止し、沈殿物が形成された。反応混合物を1時間静置した。次いで、固体を濾過によって収集し、水(40mL×3)で洗浄し、次いで、真空下(30℃)で乾燥させた。生成物(16)を白色固体、1.17g、収率=87.5%として得た。LCMS:m/z=1009.3[M+H]
+。
【0226】
実施例10 ペプチド類似体(17)の合成
【化61】
反応フラクス(flaks)の中に、化合物(16)(500mg、0.496mmol、1当量)及びジクロロメタン(10mL)を窒素下で添加した。反応混合物を-10℃まで冷却した。反応混合物に、TFA(10mL)とジクロロメタン(20mL)との混合物を滴加した。次いで、反応が完了したことをHPLC分析が示すまで、反応混合物を-10℃で1時間撹拌した。揮発性有機材料を回転蒸発器上で除去した。残渣をジクロロメタン(10mL)中に溶解し、回転蒸発器上で蒸留して乾燥させた。このプロセスを追加的に3回繰り返した。残渣をメタノール(10mL)中に溶解させ、回転蒸発器上で蒸発させて乾燥させた。このプロセスを3回繰り返した。得られた残渣を、0.1%TFAアセトニトリル/水を移動相として有する逆相HPLC上で精製した。収集した画分を凍結乾燥し、生成物(17)が白色固体、364.5mg、収率=70%として提供された。LCMS:MS m/z=708.5[M+H]
+。
【0227】
実施例11 ペプチド類似体(18)の合成
【化62】
反応フラスコの中に、化合物(17)(100mg、0.0952mmol、1当量)及びメタノール(2mL)を窒素下で添加した。反応混合物に、NaOH(0.5mL、1.0M、1.0mmol)、10当量)の溶液を滴加した。反応が完了したことをHPLC分析が示すまで、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、apH=2.0~2.5が達成されるまでHCl溶液(1.0M)を滴加した。メタノールを回転蒸発器で除去して、残渣を形成した。残渣を、0.1%のTFAアセトニトリル/水を移動相として有する逆相HPLC上で精製した。収集した画分を凍結乾燥して、生成物(18)を白色固体、45.8mg、収率=60%として形成した。LC-MS m/z=802.3[M+H]
+。
【0228】
実施例12:オピオイド受容体結合アッセイ
オピオイド受容体結合親和性の測定を、組換えヒトミュー、デルタ、又はカッパオピオイド受容体を異種発現するHEK293細胞(ヒト胎児腎細胞株)から調製した膜上での放射性リガンド結合アッセイを使用して実施した。
【0229】
オピオイド受容体結合調査に使用したアッセイ緩衝液は、KORについては50mMのTris.HCl(pH7.4)、MORについては5mMのMgCl2を有する50mMのTris.HCl(pH7.4)、DORについては10mMのMgCl2に加えて1mMのEDTAを有する50mMのTris.HCl(pH7.4)であった。洗浄緩衝溶液は、pH7.4を有する50mMのTris.HClを含有していた。
【0230】
オピオイド受容体結合親和性を、既知の3つの標準と比較した:ナルトリンドール、U-50488(trans-(+)-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-(1-ピロリジニル)シクロヘキシル]フェニルアセトアミド(M.Doi,T.Ishida and M,Inoue;Structure of K-agonist,U-50488 Acta Cryst.(1990).C46,676-678)を参照されたい)、及びDAMGO(D-Ala2 MePhe4,Gly(ol)5]エンセファリン(encephalin)(Allan D.Blake,George Bot,John C.Freeman,and Terry Reisine‡ Differential Opioid Agonist Regulation of the Mouse m Opioid Receptor* THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY Vol.272,No.2,Issue of January 10,pp.782-790,1997)を参照されたい)。
【0231】
放射性リガンドを、[3H]DAMGOについては0.5nM、[3H]ジプレノルフィンについては0.5nM、及び[3H]DADLEについては0.5nMの最終濃度で調製し、これらを、それぞれミュー、カッパ、及びデルタ受容体のための競合する放射性リガンドとして使用した。
【0232】
オピオイド受容体で遺伝子導入したHEK293細胞の細胞膜を、それぞれ、各ウェル当たり20ugのMOR、6.7ugのKOR、及び6.7ugのDORの量で調製した。目的の受容体を含有するこれらの膜を、単一濃度の放射性リガンドの存在下で増加した濃度の試験化合物とともに培養した。固定濃度の放射性リガンドを使用し、試験化合物の連続希釈液を調製した。
【0233】
試験を、8ポイント検出のための4倍連続希釈に対して10uMの試験化合物で開始した。1μlの化合物/高コントロール/低コントロールを、プレートマップに従って96ウェルプレートに移し、次いで、100μlの膜原液をプレートに分注し、続いて100μlのラジオリガンド溶液を分注した。ウェルプレートに移したものを300rpmで穏やかにかき混ぜながら室温で1時間培養した。次いで、Unifilter-96GF/Cフィルタプレートを室温で少なくとも0.5時間、ウェル当たり50μlの0.3%のポリエチレンイミンで浸漬し、反応混合物をFilterMate(商標)ハーベスタを使用してプレートを通して濾過し、次いで、冷却洗浄緩衝液で各プレートを4回洗浄した。次いで、フィルタプレートを50℃で1時間乾燥させる。乾燥後、フィルタをポリエチレン中に密封し、50μlのPerkin Elmer Microscint20カクテルを添加し、Perkin Elmer MicroBeta2カウンタで放射線をカウントした。
【0234】
特定の結合を、50~100倍過剰な冷却リガンドの存在下での結合CPM値の減算によって判定する。データを、Prism(登録商標)における飽和分析非線形曲線フィッティングルーチンを使用してフィッティングする。以下の式を使用して、阻害の計算を実施した。
%阻害=(1-(アッセイウェル-平均_LC)/(平均_HC-平均_LC))*100%
【0235】
結合データを、GraphPad Prism 5.0を使用して解析し、IC
50データを、用量応答曲線からの非線形回帰によって生成した。モデル「log(inhibitor) vs.response--Variable slope」を使用して、データをフィッティングする。このデータを表1に示す。
【表1】
【0236】
実施例13 全細胞におけるFLIPRカルシウムアッセイ
FLIPRカルシウムアッセイを使用して、受容体結合時に機能的応答を誘導するためのオピオイドリガンドの能力を測定した。オピオイドミュー受容体(MOR)、デルタ受容体(DOR)、及びカッパ受容体(KOR)は、細胞シグナル伝達において重要な役割を果たすG-タンパク質共役受容体(GPCR)である。受容体をリガンドによって活性化し、次いで、細胞内部のG-タンパク質活性化を引き起こした。活性化したG-タンパク質は、カルシウムフラックスを含む細胞内メッセンジャーの様々なカスケードを誘導する。機能的細胞系アッセイは、蛍光性カルシウム感受性レポーター染料の使用を通して検出された細胞内カルシウムレベルの変化を評価した。カルシウム動員アッセイを実行する基本的なシステムとしては、FLIPRカルシウムアッセイキット及びFLIPR Tetra(登録商標)システムが挙げられ、これを、細胞内カルシウムレベルの変化を観察し、組換えヒトミュー、デルタ、又はカッパオピオイド受容体で遺伝子導入したHEK293細胞における用量応答を判定するために使用した。
【0237】
アッセイに使用した細胞を、10%のFBS、300ug/mLのG418、2ug/mLのBlasticidin、1%のGlutaMax、及び1%のPenicillin/Streptomycin(Hyclone-SV30010)を含有する、88%のDMEMの培養培地中で増殖させた。20uLの培地中に20000個の細胞をアッセイプレート(Greiner-781946)の各ウェルに播種し、5%のCO
2を有するインキュベータ内で、細胞を37℃で20時間維持した。次いで、化合物を5倍連続希釈で調製して、10用量及び500nLの各濃度を得て、化合物プレートに移した。次いで、30uLのアッセイ緩衝液(20mMのHEPES及び1×HBSS)を化合物プレートの各ウェルに添加し、プレートを1500rpmで15秒間スピン回転させた。次いで、20uLの2X Fluo-4 Direct(商標)No-wash Loading Buffer((Invitrogen-F10471)をアッセイプレートの各ウェルに穏やかに分注し、1000rpmで15秒間スピン回転させ、次いで、37℃で50分間培養した。アッセイプレートをインキュベータから取り出し、10分間室温に置いた。アッセイプレート、化合物プレート、及びチップボックスを直接FLIPR Tetra(登録商標)システムに入れた。10uLの各化合物を、FLIPR Tetra Fluorometric Imaging Plate Reader内の化合物プレートからアッセイプレートに移した。プレートは140回のためであり、次いで、Read1から開始して140までの「Max-Min」を計算して、%効果計算のための最終信号を生成した。Prismの曲線フィッティング式「log(agonist) vs.response--Variable slope」を使用して、データを解析した。表2は、これらのアッセイの結果を示す。
【表2】
(項目1)
式(I)を含む化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、
【化63】
式中、
R
1、R
2、及びR
3が、独立して、H、CN、Cl、F、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
4及びR
7が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
5及びR
6が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、C
3~C
10置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、又は置換複素環からなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、O-置換C
1~C
8アルキル、O-非置換C
1~C
8アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
10が、
【化64】
からなる群から選択され、
R
11が、OR
12、又はNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
nが、1~100の整数である、化合物。
(項目2)
R
1、R
2、及びR
3が、独立して、H、CN、Cl、F、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、又はC
3~C
8置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
4及びR
7が、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、又はC
3~C
8置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
5及びR
6が、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、C
3~C
8置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、又は置換複素環からなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、O-置換C
1~C
4アルキル、O-非置換C
1~C
4アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
10が、
【化65】
からなる群から選択され、
R
11が、OR
12、又はNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、C
1~C
12非置換アルキル、C
1~C
12置換アルキル、O-置換C
1~C
12アルキル、O-非置換C
1~C
12アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、C
1~C
12非置換アルキル、C
1~C
12置換アルキル、O-置換C
1~C
12アルキル、O-非置換C
1~C12
4アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
nが、1~50の整数である、項目1に記載の化合物。
(項目3)
R
1、R
2、及びR
3が、独立して、H、Cl、F、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
4及びR
7が、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
5及びR
6が、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はフェニルからなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
10が、
【化66】
からなる群から選択され、
R
11が、OR
12、又はNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、メチル、エチル、n-プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルからなる群から選択され、
nが、1~10の整数である、項目2に記載の化合物。
(項目4)
R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9が、Hであり、R
4が、メチルであり、R
6が、フェニルであり、R
7が、イソ-プロピルであり、
R
10が、
【化67】
であり、
R
11が、OR
12であり、R
12が、Hであり、R
13、R
14、及びnが、式(II)を含む化合物に示されるように、存在しない、項目3に記載の化合物。
【化68】
(項目5)
R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9が、Hであり、R
4が、メチルであり、R
6が、フェニルであり、R
7が、イソ-プロピルであり、
R
10が、
【化69】
であり、
R
11が、OR
12であり、R
12が、Meであり、R
13、R
14、及びnが、式(III)を含む化合物に示されるように、存在しない、項目3に記載の化合物。
【化70】
(項目6)
R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9が、Hであり、R
4が、メチルであり、R
6が、フェニルであり、R
7が、イソ-プロピルであり、
R
10が、
【化71】
であり、
R
11が、OR
12であり、R
12が、Hであり、R
13、R
14、及びnが、式(IV)を含む化合物に示されるように、存在しない、項目3に記載の化合物。
【化72】
(項目7)
R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9が、Hであり、R
4が、メチルであり、R
6が、フェニルであり、R
7が、イソ-プロピルであり、
R
10が、
【化73】
であり、
R
11が、OR
12であり、R
12が、Meであり、R
13、R
14、及びnが、式(V)を含む化合物に示されるように、存在しない、項目3に記載の化合物。
【化74】
(項目8)
式(I)の化合物を調製する方法であって、
【化75】
a)式(VI)を含む化合物を、
【化76】
アシルカップリング試薬の存在下で、式(VII)を含む化合物と接触させて、
【化77】
式(VIII)を含む化合物を形成することと、
【化78】
b)前記式(VIII)を含む化合物を、プロトン受容体と接触させて、式(IX)を含む化合物を形成することと、
【化79】
c)前記式(IX)を含む化合物を、アシルカップリング試薬の存在下で、式(X)を含む化合物と接触させて、
【化80】
式(XI)を含む化合物を形成することと、
【化81】
d)前記式(XI)を含む化合物を、プロトン受容体と接触させて、式(XII)を含む化合物を形成することと、
【化82】
e)前記式(XII)を含む化合物を、アシルカップリング試薬の存在下で、式(XIII)を含む化合物と接触させて、
【化83】
式(XIV)を含む化合物を形成することと、
【化84】
f)前記式(XIV)を含む化合物を、プロトン受容体と接触させて、式(XV)を含む化合物を形成することと、
【化85】
g)前記式(XV)を含む化合物を、アシルカップリング試薬の存在下で、式(XVIa)又は式(XVIb)を含む化合物と接触させて、
【化86】
式(XVII)を含む化合物を形成することと、
【化87】
h)前記式(XVII)を含む化合物を、脱保護試薬と接触させて、前記式(I)を含む化合物を形成することと、を含み、
式中、
R
1、R
2、及びR
3が、独立して、H、CN、Cl、F、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
4及びR
7が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
5及びR
6が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
3~C
10非置換シクロアルキル、又はC
3~C
10置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、又は置換複素環からなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
8非置換アルキル、C
1~C
8置換アルキル、O-置換C
1~C
8アルキル、O-非置換C
1~C
8アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
10が、
【化88】
からなる群から選択され、
R
11が、OR
12、又はNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、C
1~C
24非置換アルキル、C
1~C
24置換アルキル、O-置換C
1~C
24アルキル、O-非置換C
1~C
24アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
nが、1~100の整数である、方法。
(項目9)
前記式(I)を含む化合物をプロトン受容体と接触させることを更に含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
P
1が、窒素保護基であり、P
2が、カルボン酸保護基である、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記窒素保護基が、カルバメートを含み、前記カルボン酸が、エステルを含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
P
1が、BOC基であり、P
2が、メチルエステルである、項目10に記載の方法。
(項目13)
R
1、R
2、及びR
3が、独立して、H、CN、Cl、F、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、又はC
3~C
8置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
4及びR
7が、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、又はC
3~C
8置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
5及びR
6が、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、C
3~C
8非置換シクロアルキル、C
3~C
8置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、又は置換複素環からなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
4非置換アルキル、C
1~C
4置換アルキル、O-置換C
1~C
4アルキル、O-非置換C
1~C
4アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
10が、
【化89】
からなる群から選択され、
R
11が、OR
12、又はNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、C
1~C
12非置換アルキル、C
1~C
12置換アルキル、O-置換C
1~C
12アルキル、O-非置換C
1~C
12アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、C
1~C
12非置換アルキル、C
1~C
12置換アルキル、O-置換C
1~C
12アルキル、O-非置換C
1~C
12アルキル、又は(OCH
2CH
2O)
nからなる群から選択され、
nが、1~50の整数である、項目9に記載の方法。
(項目14)
R
1、R
2、及びR
3が、独立して、H、Cl、F、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
4及びR
7が、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
5及びR
6が、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はフェニルからなる群から選択され、
R
8及びR
9が、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
10が、
【化90】
からなる群から選択され、
R
11が、OR
12、又はNR
13R
14からなる群から選択され、
R
12が、H、メチル、エチル、n-プロピル、又はイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
13及びR
14が、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルからなる群から選択され、nが、存在しない、項目13に記載の方法。
(項目15)
R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9が、Hであり、R
4が、メチルであり、R
6が、フェニルであり、R
7が、イソ-プロピルであり、
R
10が、
【化91】
であり、
R
11が、OR
12であり、R
12が、Hであり、R
13、R
14、及びnが、式(II)を含む化合物に示されるように、存在しない、項目14に記載の方法。
【化92】
(項目16)
R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9が、Hであり、R
4が、メチルであり、R
6が、フェニルであり、R
7が、イソ-プロピルであり、
R
10が、
【化93】
であり、
R
11が、OR
12であり、R
12が、Meであり、R
13、R
14、及びnが、式(III)を含む化合物に示されるように、存在しない、項目14に記載の方法。
【化94】
(項目17)
R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9が、Hであり、R
4が、メチルであり、R
6が、フェニルであり、R
7が、イソ-プロピルであり、
R
10が、
【化95】
であり、
R
11が、OR
12であり、R
12が、Hであり、R
13、R
14、及びnが、式(IV)を含む化合物に示されるように、存在しない、項目14に記載の方法。
【化96】
(項目18)
R
1、R
2、R
3、R
5、R
8、及びR
9が、Hであり、R
4が、メチルであり、R
6が、フェニルであり、R
7が、イソ-プロピルであり、
R
10が、
【化97】
であり、
R
11が、OR
12であり、R
12が、Meであり、R
13、R
14、及びnが、式(V)を含む化合物に示されるように、存在しない、項目14に記載の方法。
【化98】
(項目19)
式(I)を含む化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
(項目20)
カッパ-オピオド受容体アゴニスト関連疾患又は障害を治療する方法であって、式(I)を含む化合物を含む薬学的組成物を、それを必要とする対象者に投与することを含み、前記カッパオピオイド受容体アゴニスト関連疾患又は障害が、疼痛、心臓血管疾患、掻痒、吐き気、炎症性疾患、脊髄感覚まひ、鎮咳、脳卒中、低酸素性肺血管高血圧症、多発性硬化症、中毒、及び外傷後軟骨損傷からなる群から選択される、方法。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目A1)
式(I)を含む化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、
【化99】
式中、
R
1
、R
2
、及びR
3
が、独立して、H、CN、Cl、F、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、C
3
~C
10
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
10
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
4
が、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、C
3
~C
10
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
10
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
5
及びR
6
が、独立して、H、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、C
3
~C
10
非置換シクロアルキル、C
3
~C
10
置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、及び置換複素環からなる群から選択され、
R
7
が、H、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、C
3
~C
10
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
10
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
8
及びR
9
が、独立して、H、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、O-置換C
1
~C
8
アルキル、及びO-非置換C
1
~C
8
アルキルからなる群から選択され、
R
10
が、
【化100】
であり、
R
11
が、OR
12
及びNR
13
R
14
からなる群から選択され、
R
12
が、H、C
1
~C
24
非置換アルキル、C
1
~C
24
置換アルキル、O-置換C
1
~C
24
アルキル、O-非置換C
1
~C
24
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、
R
13
及びR
14
が、独立して、H、C
1
~C
24
非置換アルキル、C
1
~C
24
置換アルキル、O-置換C
1
~C
24
アルキル、O-非置換C
1
~C
24
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、
nが、0~100の整数である、化合物。
(項目A2)
R
1
、R
2
、及びR
3
が、独立して、H、CN、Cl、F、C
1
~C
4
非置換アルキル、C
1
~C
4
置換アルキル、C
3
~C
8
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
8
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
4
が、C
1
~C
4
非置換アルキル、C
1
~C
4
置換アルキル、C
3
~C
8
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
8
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
5
及びR
6
が、独立して、H、C
1
~C
4
非置換アルキル、C
1
~C
4
置換アルキル、C
3
~C
8
非置換シクロアルキル、C
3
~C
8
置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、及び置換複素環からなる群から選択され、
R
7
が、H C
1
~C
4
非置換アルキル、C
1
~C
4
置換アルキル、C
3
~C
8
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
8
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
8
及びR
9
が、独立して、H、C
1
~C
4
非置換アルキル、C
1
~C
4
置換アルキル、O-置換C
1
~C
4
アルキル、及びO-非置換C
1
~C
4
アルキルからなる群から選択され、
R
10
が、
【化101】
であり、
R
11
が、OR
12
及びNR
13
R
14
からなる群から選択され、
R
12
が、H、C
1
~C
12
非置換アルキル、C
1
~C
12
置換アルキル、O-置換C
1
~C
12
アルキル、O-非置換C
1
~C
12
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、
R
13
及びR
14
が、独立して、H、C
1
~C
12
非置換アルキル、C
1
~C
12
置換アルキル、O-置換C
1
~C
12
アルキル、O-非置換C
1
~C12
4
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、
nが、0~50の整数である、項目A1に記載の化合物。
(項目A3)
R
1
、R
2
、及びR
3
が、独立して、H、Cl、F、メチル、エチル、プロピル、及びイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
4
が、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択され、
R
5
及びR
6
が、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びフェニルからなる群から選択され、
R
7
が、H、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択され、
R
8
及びR
9
が、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、及びイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
10
が、
【化102】
であり、
R
11
が、OR
12
及びNR
13
R
14
からなる群から選択され、
R
12
が、H、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
13
及びR
14
が、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択される、項目A1又はA2に記載の化合物。
(項目A4)
R
1
、R
2
、R
3
、R
5
、R
8
、及びR
9
が、Hであり、R
4
が、メチルであり、R
6
が、フェニルであり、R
7
が、イソ-プロピルであり、
R
10
が、
【化103】
であり、
R
11
が、OR
12
であり、R
12
が、Hであり、R
13
、R
14
、及びnが、式(IV)を含む化合物に示されるように、存在しない、項目A1~A3のいずれか一項に記載の化合物。
【化104】
(項目A5)
R
1
、R
2
、R
3
、R
5
、R
8
、及びR
9
が、Hであり、R
4
が、メチルであり、R
6
が、フェニルであり、R
7
が、イソ-プロピルであり、
R
10
が、
【化105】
であり、
R
11
が、OR
12
であり、R
12
が、Meであり、R
13
、R
14
、及びnが、式(V)を含む化合物に示されるように、存在しない、項目A1~A3のいずれか一項に記載の化合物。
【化106】
(項目A6)
式(I)を含む化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、
【化107】
式中、
R
1
、R
2
、及びR
3
が、独立して、H、CN、Cl、F、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、C
3
~C
10
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
10
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
4
が、H、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、C
3
~C
10
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
10
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
5
及びR
6
が、独立して、H、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、C
3
~C
10
非置換シクロアルキル、C
3
~C
10
置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、及び置換複素環からなる群から選択され、
R
7
が、H、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、C
3
~C
10
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
10
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
8
及びR
9
が、独立して、H、C
1
~C
8
非置換アルキル、C
1
~C
8
置換アルキル、O-置換C
1
~C
8
アルキル、O-非置換C
1
~C
8
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
O)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
O)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、
R
10
が、
【化108】
であり、
R
11
が、OR
12
及びNR
13
R
14
からなる群から選択され、
R
12
が、H、C
1
~C
24
非置換アルキル、C
1
~C
24
置換アルキル、O-置換C
1
~C
24
アルキル、O-非置換C
1
~C
24
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
O)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
O)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、R
13
及びR
14
が、独立して、H、C
1
~C
24
非置換アルキル、C
1
~C
24
置換アルキル、O-置換C
1
~C
24
アルキル、O-非置換C
1
~C
24
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
O)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
O)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、
nが、0~100の整数である、化合物。
(項目A7)
R
1
、R
2
、及びR
3
が、独立して、H、CN、Cl、F、C
1
~C
4
非置換アルキル、C
1
~C
4
置換アルキル、C
3
~C
8
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
8
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
4
が、H、C
1
~C
4
非置換アルキル、C
1
~C
4
置換アルキル、C
3
~C
8
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
8
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
5
及びR
6
が、独立して、H、C
1
~C
4
非置換アルキル、C
1
~C
4
置換アルキル、C
3
~C
8
非置換シクロアルキル、C
3
~C
8
置換シクロアルキル、非置換アリール、置換アリール、非置換複素環、及び置換複素環からなる群から選択され、
R
7
が、H、C
1
~C
4
非置換アルキル、C
1
~C
4
置換アルキル、C
3
~C
8
非置換シクロアルキル、及びC
3
~C
8
置換シクロアルキルからなる群から選択され、
R
8
及びR
9
が、独立して、H、C
1
~C
4
非置換アルキル、C
1
~C
4
置換アルキル、O-置換C
1
~C
4
アルキル、O-非置換C
1
~C
4
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
O)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
O)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、
R
10
が、
【化109】
であり、
R
11
が、OR
12
及びNR
13
R
14
からなる群から選択され、
R
12
が、H、C
1
~C
12
非置換アルキル、C
1
~C
12
置換アルキル、O-置換C
1
~C
12
アルキル、O-非置換C
1
~C
12
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
O)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
O)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、R
13
及びR
14
が、独立して、H、C
1
~C
12
非置換アルキル、C
1
~C
12
置換アルキル、O-置換C
1
~C
12
アルキル、O-非置換C
1
~C
12
アルキル、CH
3
O(CH
2
CH
2
O)
n
CH
2
CH
2
-、及びHO(CH
2
CH
2
O)
n
CH
2
CH
2
-からなる群から選択され、
nが、0~50の整数である、項目A6に記載の化合物。
(項目A8)
R
1
、R
2
、及びR
3
が、独立して、H、Cl、F、メチル、エチル、プロピル、及びイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
4
及びR
7
が、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択され、R
5
及びR
6
が、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びフェニルからなる群から選択され、
R
8
及びR
9
が、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、及びイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
10
が、
【化110】
であり、
R
11
が、OR
12
及びNR
13
R
14
からなる群から選択され、
R
12
が、H、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソ-プロピルからなる群から選択され、
R
13
及びR
14
が、独立して、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルからなる群から選択される、項目A6又はA7に記載の化合物。
(項目A9)
R
1
、R
2
、R
3
、R
5
、R
8
、及びR
9
が、Hであり、R
4
が、メチルであり、R
6
が、フェニルであり、R
7
が、イソ-プロピルであり、
R
10
が、
【化111】
であり、
R
11
が、OR
12
であり、R
12
が、Hであり、R
13
、R
14
、及びnが、式(II)を含む化合物に示されるように、存在しない、項目A6~A8のいずれか一項に記載の化合物。
【化112】
(項目A10)
R
1
、R
2
、R
3
、R
5
、R
8
、及びR
9
が、Hであり、R
4
が、メチルであり、R
6
が、フェニルであり、R
7
が、イソ-プロピルであり、
R
10
が、
【化113】
であり、
R
11
が、OR
12
であり、R
12
が、Meであり、R
13
、R
14
、及びnが、式(III)を含む化合物に示されるように、存在しない、項目A6~A8のいずれか一項に記載の化合物。
【化114】
(項目A11)
式(I)を含む化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
(項目A12)
カッパ-オピオド受容体アゴニスト関連疾患又は障害を治療する方法であって、式(I)を含む化合物を含む薬学的組成物を、それを必要とする対象者に投与することを含み、前記カッパオピオイド受容体アゴニスト関連疾患又は障害が、疼痛、心臓血管疾患、掻痒、吐き気、炎症性疾患、脊髄感覚まひ、鎮咳、脳卒中、低酸素性肺血管高血圧症、多発性硬化症、中毒、及び外傷後軟骨損傷からなる群から選択される、方法。