(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】仮上家
(51)【国際特許分類】
E04G 1/06 20060101AFI20241028BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20241028BHJP
E04B 1/19 20060101ALI20241028BHJP
E04B 1/343 20060101ALI20241028BHJP
E21F 11/00 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
E04G1/06
E04G21/32 Z
E04B1/19 G
E04B1/343 U
E21F11/00
(21)【出願番号】P 2024103098
(22)【出願日】2024-06-26
【審査請求日】2024-06-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591244007
【氏名又は名称】仙建工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592192907
【氏名又は名称】日建リース工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】香月 健一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚史
(72)【発明者】
【氏名】関山 正勝
(72)【発明者】
【氏名】和田 壮平
【審査官】齋藤 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-018208(JP,A)
【文献】特開2018-138717(JP,A)
【文献】特開2016-204983(JP,A)
【文献】特開2018-145741(JP,A)
【文献】実公昭50-021311(JP,Y1)
【文献】欧州特許出願公開第1233122(EP,A2)
【文献】米国特許第2126844(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/00 - 7/34
E04G 21/32
E04B 1/19
E04B 1/343
E21F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道の駅のホーム上に設置する仮上家であって、
前記ホームの長手方向に向かって間隔を空けて複数設置する、門型フレームを少なくとも具備し、
前記門型フレームは、
前記ホームの幅方向に間隔を空けて立設する、一組の支柱と、
前記支柱に着脱可能な、ブラケットと、
前記ブラケット間を繋ぐ、梁材と、を少なくとも有し、
前記支柱は、
当該支柱の長手方向の所定位置に設ける、被連結部、を少なくとも有し、
前記ブラケットは、
前記被連結部に連結可能な、連結部と、
前記梁材を取付可能な、取付部と、を少なくとも有し、
前記梁材における前記取付部との接続位置を、前記梁材の長手方向に移動可能としてあることを特徴とする、
仮上家。
【請求項2】
前記梁材が、上弦材および下弦材を有する枠状部材からなり、
前記取付部が、
前記上弦材を取付可能な、上弦側取付具と、
前記下弦材を取付可能な、下弦側取付具と、を少なくとも有し、
前記上弦側取付具が、フック状部材であり、
前記下弦側取付具が、クランプ状部材であることを特徴とする、
請求項1に記載の仮上家。
【請求項3】
前記支柱が、下支柱と上支柱を少なくとも有し、
前記下支柱および前記上支柱のそれぞれに被連結部を設けてあり、
前記ブラケットに設ける連結部のうち、前記上支柱の最上部にある被連結部と対応する連結部が、楔緊結式であり、その余の被連結部と対応する連結部が、差し込み式であることを特徴とする、
請求項2に記載の仮上家。
【請求項4】
前記ホーム上の既存構造物から前記梁材を吊設可能な、吊り具を更に有し、
前記吊り具で吊設した前記梁材を取付対象とするブラケットを着脱対象とする前記支柱から前記下支柱が除かれていることを特徴とする、
請求項3に記載の仮上家。
【請求項5】
前記支柱において、
前記被連結部よりも下方の外周部分に、突起物を設けていないことを特徴とする、
請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の仮上家。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅のホームなどに設ける仮設の上家(以下、「仮上家」(かりうわや)という。)に関する。
【背景技術】
【0002】
駅の乗降客が雨雪に濡れることを防ぐためにホーム上に設ける屋根付きの建造物は、上家や上屋と呼ばれている(特許文献1、非特許文献1を参照)。
この上家の老朽化や耐震不足に伴い、修繕工事、建替工事、補強工事などの各種工事を行う際には、乗降客の安全防止のために、既設の上家の内側に、仮上家を構築する必要がある。
この仮上家として、非特許文献2に示すような仮設足場の構築用部材(以下、単に「足場部材」という。)を骨組として使用する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「在来線 レール造のプラットホーム上家の耐震補強について」https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000043224.pdf
【文献】「NDシステム ダーウィン」https://www.nrg.co.jp/nikkenlease/handling/kensetsu?detail=3411
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、仮上家に足場部材を用いる場合、以下に記載する点において改善の余地が残されていた。
(1)仮設足場として規格化されたスパンでしか、足場部材を設置することができない。そのため、仮上家の左右方向に設置する梁材のスパンによって、ホーム幅方向の幅長(開口幅)が限られてしまう。
(2)仮上家の前後方向(長手方向)に設置する支柱のスパンによっては、ホームに停車する列車の乗降扉の前方に、支柱が位置してしまうおそれがある。
(3)仮設足場としての使用を想定する支柱の長手方向には、繋ぎ材や手すり材を取り付けるためのフランジを設けてあるため、このフランジがホーム上の乗降客の邪魔にならないよう、支柱の養生作業を行う必要があった。
【0006】
よって、本発明は、より利便性に優れる仮上家を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべくなされた本発明は、鉄道の駅のホーム上に設置する仮上家であって、前記ホームの長手方向に向かって間隔を空けて複数設置する、門型フレームを少なくとも具備し、前記門型フレームは、前記ホームの幅方向に間隔を空けて立設する、一組の支柱と、前記支柱に着脱可能な、ブラケットと、前記ブラケット間を繋ぐ、梁材と、を少なくとも有し、前記支柱は、当該支柱の長手方向の所定位置に設ける、被連結部、を少なくとも有し、前記ブラケットは、前記被連結部に連結可能な、連結部と、前記梁材を取付可能な、取付部と、を少なくとも有し、前記梁材における前記取付部との接続位置を、前記梁材の長手方向に移動可能とするよう構成したものである。
また、本発明は、前記梁材が、上弦材および下弦材を有する枠状部材からなり、前記取付部が、前記上弦材を取付可能な、上弦側取付具と、前記下弦材を取付可能な、下弦側取付具と、を少なくとも有し、前記上弦側取付具が、フック状部材であり、前記下弦側取付具が、クランプ状部材であるよう構成してもよい。
また、本発明は、前記支柱が、下支柱と上支柱を少なくとも有し、前記下支柱および前記上支柱のそれぞれに被連結部を設けてあり、前記ブラケットに設ける連結部のうち、前記上支柱の最上部にある被連結部と対応する連結部が、楔緊結式であり、その余の被連結部と対応する連結部が、差し込み式であるよう構成してもよい。
また、本発明は、前記ホーム上の既存構造物から前記梁材を吊設可能な、吊り具を更に有し、前記吊り具で吊設した前記梁材を取付対象とするブラケットを着脱対象とする前記支柱から前記下支柱が除かれているよう構成してもよい。
また、本願発明は、前記支柱において、前記被連結部よりも下方の外周部分に、突起物を設けていないよう構成してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか1つの効果を奏する。
(1)支柱およびブラケットに対し、梁材を、当該梁材の長手方向の任意箇所で取り付けることができるため、仮上家の開口幅を自由に設定することができる。
(2)支柱間に梁材を取り付ける際に、まずフック状部材からなる上弦側取付具を上弦材に係止して仮置きすることで、支柱と梁材との間の接続位置を調整することができる。その後、クランプ状部材からなる下弦側取付具を下弦材に固定することで、梁材の落下や倒れを防止した状態を維持しながら、支柱に対し梁材を所定の位置に固定することができる。
(3)梁材を吊設可能な吊り具を設けることで、ホームに停車する列車の乗降扉が支柱と干渉してしまうおそれを回避することができる。
(4)支柱の外周部分において、被連結部よりも下方に何らの突起物を設けないことで、ホーム上の乗降客の邪魔にならないようにするための養生作業の負担が軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る仮上家の全体構成を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
<1>全体構成(
図1)
本実施例に係る仮上家は、鉄道の駅のホーム上に設置する仮設構造物である。
図1では、鉄道の駅のホーム上に設置されている既設上家(図示省略)の内側に設置する仮上家の全体構成を示している。
図1に示すX方向はホームの長手方向を示し、Y方向はホームの幅方向を示している。
本発明に係る仮上家は、ホームの長手方向(
図1におけるX方向)に間隔を設けて複数設置する門型フレームA1を少なくとも具備し、そのほか、門型フレームA1同士を繋ぐ繋ぎ材A2や、仮上家の屋根部分を構成する屋根材A3などをさらに具備して構成する。
【0012】
<1.1>繋ぎ材(
図1)
本発明に係る繋ぎ材A2は、門型フレームA1同士を繋ぐ部材である。
本発明において、繋ぎ材A2の数、形状、構造、配置形態等は特段限定しない。
本実施例では、後述する梁材30の束材33間を接続する繋ぎ材A2(
図1において図示)と、後述する上支柱に設けた被連結部11(11b)間を接続する繋ぎ材(
図1において図示省略)とを有している。
【0013】
<1.2>屋根材(
図1)
本発明に係る屋根材A3は、門型フレームA1同士を繋いで、仮上家の屋根部分を構成する部材である。
本発明において、屋根材A3の数、形状、構造、配置形態等は特段限定しない。
本実施例では、屋根材A3として仮設足場を構成する足場板を流用しており、後述する梁材30の上弦材31間に、複数の屋根材A3を係止することで、仮上家の屋根部分を構築している。
【0014】
<1.3>門型フレーム(
図1)
本発明に係る門型フレームA1は、仮上家の骨組部分を構成する部材である。
本発明において、門型フレームA1の数、形状、構造、配置形態等は特段限定しない。
本実施例では、門型フレームA1を、一組の支柱10と、各支柱10に取り付けるブラケット20と、各支柱10に取り付けたブラケット20を介して、支柱10間を繋ぐ梁材30とを少なくとも有して構成する。
以下、門型フレームA1の各部の詳細について説明する。
【0015】
<2>支柱(
図1,
図2)
支柱10は、門型フレームA1の両側に位置して、梁材30、屋根材A3、繋ぎ材A2などを支持する柱部分として機能する部材である。
本発明では、ホームの幅方向(
図1におけるY方向)に間隔をあけて設置する二つの支柱10を、門型フレームA1を構成する一組の支柱10として定義する。
本発明において、支柱10は、新規設計された専用品を用いてもよいし、仮設足場で使用されている公知の支柱10部材を流用してもよい。
本実施例では、支柱10を、上下に分割した構成としており、ホームBに立設させる下支柱10Aと、下支柱10Aの頭部に接続する上支柱10Bとを設けている。
【0016】
<2.1>被連結部(
図1,
図2)
支柱10の長手方向の所定位置には、繋ぎ材A2やブラケット20を結合するための被取付部11を設けている。
本発明において、支柱10に対する、被連結部11の数、形状、構造、連結部21との間での連結機構等は特段限定しない。
本実施例では、
図1に示すように、下支柱10Aに一箇所の被連結部11(11a)を設け、上支柱10Bに二箇所の被連結部11(11b,11c)を設けている。
各被連結部11は、平面視十字形状のディスク状部材で構成され、この十字方向にそれぞれ伸びる箇所に、後述するブラケット20に設けた連結部21や、支柱間を繋ぐ繋ぎ材A2(
図1において図示せず)などを差し込み可能な貫通孔111を有している。
【0017】
<2.2>ジャッキベース(
図2)
本発明における支柱10の下端には、ジャッキベース12を設けてもよい。このジャッキベース12により、ホームBの勾配や不陸に対応させるように各支柱10の高さ調整を行うことができる。
図2に示すジャッキベース12は、設置面と接するベース部121と、ベース部121から立設させたネジ軸122と、ネジ軸122上を回転動作によって移動可能な回転体123と有しており、この回転体123を回転動作させるためのハンドル(図示せず)を着脱自在な構成としている。これは、回転体123にハンドルが固定されたままだと、ホーム内を移動する者(乗降客、従業員、作業員など)がハンドルに足をとられて転倒などする恐れがあるためである。
【0018】
<2.3>通行者への障害要因の排除
本発明に係る支柱10は、当該支柱10の長手方向の所定位置に設けた被連結部11を除き、当該被連結部11よりも下方の外周部分には、何らの突起物も設けないよう構成することが好ましい。
本構成によれば、突起物と、ホーム内の通行者(乗降客、従業員、作業員など)との接触による怪我等の発生の防止や、乗降客の邪魔にならないようにするための養生作業の負担の軽減が期待できる。
本実施例では、
図2に示すように、下支柱10Aについて、当該下支柱10Aに設けた被連結部11(11a)よりも下方の外周部分には何らの突起物も設けない構成としている。
【0019】
<3>梁材(
図1)
梁材30は、一組の支柱10間を繋ぐように架設するための部材である。
本発明において、梁材30の形状、構造は特段限定せず、棒状、枠状(略トラス状、略梯子状を含む)など、あらゆる形状の部材を用いることができる。
また、本発明における梁材30は、新規設計品であってもよいし、仮設足場で使用されている公知の梁枠などを流用してもよい。
本実施例では、梁材30として、上弦材31、下弦材32、および束材33を少なくとも有する、略梯子状の枠状部材を用いている。
図1に示すように、束材33には、繋ぎ材A2の端部を連結するためのディスク上のフランジを設けている。
【0020】
<4>ブラケット(
図3,
図4)
ブラケット20は、支柱10と梁材30との間に介在させて、両者を所定の位置関係で固定するための部材である。
本発明に係るブラケット20は、支柱10に連結するための機構(連結部21)と、ブラケット20に連絡部を取り付けるための機構(取付部22)を設けている。
【0021】
<4.1>連結部(
図3)
連結部21は、ブラケット20を支柱10に連結するための部位である。
本発明において連結部21の形状および構造は特段限定せず、前述した支柱10に設ける被連結部11に対応した形状および構造を呈していればよい。
本実施例では、
図3,
図4に示すように、ブラケット20に三箇所の連結部21(21a,21b、21c)を設けており、このうち、最上部の連結部21(21b)は、被連結部11(11b)の連結機構に楔緊結式を用い、その余の連結部21(21a,21c)は被連結部11(11a,11c)に設けた貫通孔111への差し込み式を採用している。
【0022】
なお、本発明では、全ての連結部21を楔緊結式とすることも可能であるものの、本実施例のように、最上部の連結部21(21b)のみを楔緊結式としておくと、着脱作業の利便性がより向上する。
【0023】
<4.2>取付部(
図4)
取付部22は、ブラケット20に梁材30を取り付けるための部位である。
本発明において、取付部22の形状、構造、数は特段限定しない。
本実施例では、
図4に示すように梁材30を構成する上弦材31および下弦材32に対応するように、ブラケット20の上下に間隔をあけて設けた二つの取付具(上弦側取付具221,下弦側取付具222)でもって取付部22を構成しており、この取付部22を、ブラケット20の本体部分を構成する角柱の対向面にそれぞれ設けている。門型フレームA1を構成する一組の支柱に対してブラケット20を共通化させることができる。
【0024】
<4.2.1>上弦側取付具(
図4)
上弦側取付具221は、梁材30を構成する上弦材31を取り付けるための部位である。
本発明において、上弦側取付具221の形状、構造、数は特段限定しないが、上弦材31を取り付けた後にも、上弦材31の長手方向への移動を許容できる態様であるとより好ましい。
本実施例では、上弦側取付具221として、上弦材31の受け入れ口を上向きとしたフック状部材を用いている。
本構成によれば、ブラケット20に梁材30を固定しようとする際に、ブラケット20と上弦材31の位置関係を厳密に調整する必要がなく、一旦、上弦側取付具221に上弦材31を係止するだけで、ブラケット20に対し梁材30を仮固定することができる。
【0025】
<4.2.2>下弦側取付具(
図4)
下弦側取付具222は、梁材30を構成する下弦材32を取り付けるための部位である。
本発明において、下弦側取付具222の形状、構造、数は特段限定しない。
本実施例では、下弦側取付具222として、下弦材32を把持可能なクランプ状部材を用いている。
本構成によれば、ブラケット20に梁材30を固定しようとする際に、一旦、上弦側取付具221に上弦材31を係止して梁材30を仮固定した状態から、クランプ状部材による下弦材32の把持作業を行うことで、梁材30の落下等の恐れを無くした状態でブラケット20への梁材30の固定作業を行うことができる。
【0026】
<4.2.3>その他の態様
本発明において、例えば、上弦側取付具221をクランプ状部材とし、下弦側取付具222をフック状部材とする態様は、作業上好ましくない場合がある。
これは、ブラケット20に梁材30を固定しようとする際に、下弦側取付具222に下弦材32を係止して、上弦側取付具221で上弦材31を固定していない状態の際に、下弦材32を回転軸とする梁材30の倒れにより梁材30と作業員との接触事故の危険性が考えられるためである。
【0027】
<5>まとめ(
図1)
本実施例に係る仮上家によれば、上弦側取付具221に対し、上弦材31の長手方向の任意の場所を係止できるため、支柱10間の距離(仮上家Aとしての開口幅)を任意の長さに設定することができる。
【実施例2】
【0028】
<1>全体構成(
図5,
図6)
本発明に係る仮上家は、ホーム上の既存構造物から梁材30を吊設可能な、吊り具40を有する構成とすることもできる。
例えば、
図5に示すように、ホームBの長手方向に門型フレームA1同士を繋ぐ繋ぎ材A2の長さによっては、ホームBに停車する列車の乗降扉Cの位置に、支柱10(
図5における下支柱10A)が重なってしまう場合が考えられる。
この場合、
図6に示すように、干渉要因となる支柱10に対しブラケット20を介して繋いである梁材30の両端にそれぞれ設けた係留部34を吊設先とし、かつその反力をホームB上の既存構造物(既設の上家など)からとった吊り具40を取付けて、この吊り具40に梁材30の自重を盛り替えたのち、下支柱10Aのみを外して撤去する方法が考えられる。
このとき、ブラケット20に設けた最下部の連結部21に楔緊結式ではなく差し込み式を採用しておくと、楔緊結の解除作業を要しない点で、下支柱10Aの撤去作業が容易となる。
【0029】
<2>まとめ
本構成によれば、必要に応じて門型フレームを構成する支柱の間引きを行うことができる。
【実施例3】
【0030】
本発明に係る仮上家の構造を採用した構造物は、例えば以下の用途にも使用することができる。
(例1)駅の周辺や構内に構築する仮設通路
本例の場合、仮設通路の開口幅の自由度の向上や、通路を往来する人の邪魔になりにくい、などの効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0031】
A :仮上家
A1 :門型フレーム
10 :支柱
10A:下支柱
10B:上支柱
11 :被連結部
111:貫通孔
12 :ジャッキベース
121:ベース部
122:ネジ軸
123:回転体
20 :ブラケット
21 :連結部
22 :取付部
221:上弦側取付具
222:下弦側取付具
30 :梁材
31 :上弦材
32 :下弦材
33 :束材
34 :係留部
40 :吊り具
A2 :繋ぎ材
A3 :屋根材
B :ホーム
C :乗降扉
【要約】
【課題】より利便性に優れる仮上家を提供する。
【解決手段】鉄道の駅のホーム上に設置する仮上家であって、ホームの長手方向に向かって間隔を空けて複数設置する門型フレームA1として、ホームの幅方向に間隔を空けて立設する一組の支柱10と、支柱10に着脱可能なブラケット20と、ブラケット20間を繋ぐ梁材30と、を少なくとも設け、梁材30とブラケット20との繋ぎ位置を、梁材30の長手方向に移動可能とすることで、仮上家の開口幅に自由度を持たせることができる。また、ブラケット20に設ける上弦側取付具221をフック状部材とすることで、上弦側取付具221に上弦材31を係止して梁材30を仮固定し、梁材30の落下等の恐れを防止した状態で、ブラケット20への梁材30の固定作業を行うことができる。
【選択図】
図1