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特許7577290エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20241028BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20241028BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20241028BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20241028BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20241028BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20241028BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241028BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20241028BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/02
A61K8/46
A61Q5/10
A61Q5/08
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/92
A61K8/39
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019230741
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021098664
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-10-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】和田 一輝
(72)【発明者】
【氏名】山口 真吾
(72)【発明者】
【氏名】安田 隆宏
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-091359(JP,A)
【文献】特開2003-201224(JP,A)
【文献】特開2007-217293(JP,A)
【文献】特開2014-141442(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0265525(US,A1)
【文献】国際公開第2017/115823(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/080651(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/122505(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00~8/99
A61Q 1/00~90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための第2剤である酸化剤含有組成物であって、以下の(A)~()成分を含有し、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20であることを特徴とする、エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
(A)カチオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下、又は、アニオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下
(B)炭化水素油及び/又は油脂を含む油性成分を5.5質量%以上
(C)酸化剤
(D)高級アルコール
(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤、及びHLB値が10を超えるノニオン性界面活性剤
【請求項2】
前記(A)成分が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載のエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、流動パラフィン、パラフィン、オリーブ油からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
【請求項4】
前記(B)成分の含有量が、6.5質量%以上12.5質量%以下であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度の温度安定性に優れたエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒトの毛髪などを染色するための化粧料として、酸化染毛剤組成物が知られている。酸化染毛剤組成物は、酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤を備え、毛髪などへ適用する際には第1剤と第2剤を混合して使用するものである。酸化染毛剤組成物を毛髪に適用すると、酸化染料が毛髪内部に浸透したのち、毛髪内部で酸化重合して発色する。酸化染毛剤組成物では、酸化染料重合体を形成するため、染料が毛髪内部に留まりやすくなり、一時染毛剤(毛髪着色料)に比べて長期間染毛状態が維持される。
【0003】
また、ヒトの毛髪などを脱色・脱染するための化粧料として、脱色・脱染剤組成物が知られている。脱色・脱染剤組成物は、第2剤のような酸化剤を含有する組成物のみを使用するものである。脱色・脱染剤組成物は、酸化剤が毛髪内部のメラニン色素、染毛によって毛髪中に定着した染料を分解することで、脱色・脱染効果を発揮するものである。
【0004】
酸化染毛剤組成物の商品形態として、エアゾール型の染毛化粧料がある。エアゾール型の酸化染毛剤組成物は、収容容器から内容物を容易に取りだせ、第1剤と第2剤を簡便に混合することができる利点がある。しかしながら、第1剤、第2剤の収容容器からの吐出性能には、その安定性に問題がある。そこで、吐出性能の改善されたエアゾール型の酸化染毛剤組成物が所望されている。
【0005】
第1剤と第2剤の吐出量比が一定となるように吐出性能を改善したエアゾール型の酸化染毛剤組成物として、例えば、特許文献1には、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、炭素数12以上20未満の高級アルコールと炭素数20以上24以下の高級アルコールを配合した第1剤組成物が開示されている。また、特許文献2には、高級アルコール、不飽和高級脂肪酸、カチオン性界面活性剤、アルカリ剤を含有する第1剤組成物、及び高級アルコール、アニオン性界面活性剤、流動パラフィン、酸化剤、フェナセチン、ヒドロキシエタンジホスホン酸を含有する第2剤組成物が開示されている。特許文献3には、高級アルコール、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アルカリ剤を含有する第1剤組成物、及び高級アルコール、アニオン性界面活性剤、ヒドロキシエタンジホスホン酸、流動パラフィン、酸化剤を含有する第2剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-171652号公報
【文献】特開2004-91359号公報
【文献】特開2003-201224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酸化染毛剤組成物、脱色・脱染剤組成物として、優れた利便性からエアゾール型の化粧料の商品形態が好まれている。しかしながら、エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための組成物は、保存や使用時の環境における温度変化により吐出性能が不安定になるという問題がある。この吐出性能の不安定化の原因は、組成物の粘度における温度安定性の低さにある。そのため、粘度における温度安定性が改善された組成物の開発が望まれている。
したがって、本発明の課題は、粘度における温度安定性に優れたエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物において、(A)イオン性界面活性剤、(B)高級アルコールを除く油性成分、(C)酸化剤を配合することで、50℃における粘度と25℃における粘度の変化量を小さくできるという知見に至り、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[6]を提供する。
[1]エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための第2剤である酸化剤含有組成物であって、(A)イオン性界面活性剤、(B)高級アルコールを除く油性成分、(C)酸化剤を含有し、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20であることを特徴とする、エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
この酸化剤含有組成物によれば、25℃と50℃における粘度の比を0.8~1.2の範囲にすることが可能となるので、粘度に関する温度安定性が優れたエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物を提供することができる。
[2]前記(A)成分が、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、[1]に記載のエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
この特徴により、25℃と50℃における粘度比の範囲を狭めることが可能となるので、粘度に関する温度安定性が更に優れたエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物を提供することができる。
[3]前記(A)成分が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、[1]又は[2]に記載のエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
この特徴により、25℃と50℃における粘度比の範囲を狭めることが可能となるので、粘度に関する温度安定性が特に優れたエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物を提供することができる。
[4]前記(B)成分が、炭化水素油、油脂からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、[1]~[3]のいずれかに記載のエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
この特徴により、25℃と50℃における粘度比の範囲を狭めることが可能となるので、粘度に関する温度安定性が更に優れたエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物を提供することができる。
[5]前記(B)成分が、流動パラフィン、パラフィン、オリーブ油からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、[1]~[4]のいずれかに記載のエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
この特徴により、25℃と50℃における粘度比の範囲を狭めることが可能となるので、粘度に関する温度安定性が特に優れたエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物を提供することができる。
[6]前記(B)成分の含有量が、6.5質量%以上12.5質量%以下であることを特徴とする、[1]~[5]のいずれかに記載のエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
この特徴により、25℃と50℃における粘度比の範囲を狭めることが可能となるので、粘度に関する温度安定性が特に優れたエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、温度による粘度変化を抑制することで、保存状態や使用環境に影響されることなく、吐出量が維持されたエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のエアゾール型の染毛のための酸化剤含有組成物は、使用時にアルカリ剤を含有する第1剤と混合して染毛剤、脱色・脱染剤などとして使用するものであって、(A)イオン性界面活性剤、(B)高級アルコールを除く油性成分、(C)酸化剤を含有する。
また、本発明のエアゾール型の脱色・脱染のための酸化剤含有組成物は、(A)イオン性界面活性剤、(B)高級アルコールを除く油性成分、(C)酸化剤を含有する。
本発明のエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物が適用されるエアゾール型の化粧料の形態としては、特に制限されるものではないが、好ましくは特開2005-97310号公報に開示されるエアゾール缶を用いることができる。
なお、以下の説明では、染毛剤とする場合、アルカリ剤を含有する剤を第1剤、酸化剤を含有する本発明のエアゾール型の染毛のための酸化剤含有組成物を第2剤とする。また、酸化剤含有組成物を脱色・脱染剤とする場合は、第2剤とする。
【0012】
[第2剤:エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物]
本発明の酸化剤含有組成物は、エアゾール容器からの吐出時にクリーム状、ゲル状、ペースト状、泡状などとすることができる。
【0013】
本発明の酸化剤含有組成物の25℃における粘度は、特に制限されるものではなく、例えば、5000mPa・s以上30000mPa・s以下である。下限値として、好ましくは6000mPa・s以上であり、より好ましくは7000mPa・s以上であり、更に好ましくは8000mPa・s以上である。上限値として、好ましくは27000mPa・s以下であり、より好ましくは25000mPa・s以下、更に好ましくは20000mPa・s以下である。
【0014】
また、本発明の酸化剤含有組成物の50℃における粘度は、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比が0.8~1.2の範囲を満たす限りにおいては特に制限されるものではなく、適宜設定することができる。
なお、粘度の測定は、B型粘度計(東機産業社製 TV-10型)を用いて行う。測定条件は、25℃又は50℃に調温して、粘度が5000mPa・s未満の場合には、3号ローターで回転速度12rpm、1分間の条件で測定し、粘度が5000~50000mPa・sの場合には、4号ローターで回転速度12rpm、1分間の条件で測定し、粘度が50000mPa・sを超える場合には、4号ローターで回転速度6rpm、1分間の条件で測定する。また、測定する酸化剤含有組成物は、エアゾール容器に充填する前の組成物でも、エアゾール容器に充填した後にエアゾール容器を開缶して回収した組成物であってもよい。
酸化剤含有組成物の粘度を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、エアゾール容器からの吐出量を温度に影響されることなく維持することができ、また、吐出した酸化染毛剤組成物、脱色・脱染剤は、塗布性が良く、毛髪などから垂れ落ちることを防ぐこともできる。
【0015】
第2剤のpHは、特に制限されるものではなく、例えば、1.0以上6.5以下である。下限値としては、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは2.0以上である。上限値としては、好ましくは6.0以下であり、より好ましくは5.5以下である。第2剤のpHを酸性とすることにより、酸化剤の安定性を高めることができる。
【0016】
次に、本発明の酸化剤含有組成物に使用する各成分について、詳細に説明する。なお、各成分の含有量については、特に断りがない場合には、各剤を混合した本発明の酸化剤含有組成物に含まれる含有量を示す。また、以下の説明において、「アルキル」に続くカッコ内の数字は、脂肪酸鎖の炭素数を示している。
【0017】
<(A)イオン性界面活性剤>
(A)成分であるイオン性界面活性剤は、水に溶解してイオン解離する界面活性剤である。イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
また、これらのイオン性界面活性剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。好ましくはカチオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤を単独で配合するのがよく、さらに好ましくはカチオン性界面活性剤を単独で配合するのがよい。
【0018】
(カチオン性界面活性剤)
カチオン性界面活性剤は、水に溶解してイオン解離をする親水基が陽イオンとなる界面活性剤である。カチオン性界面活性剤としては、例えば、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩などのアルキル4級アンモニウム塩類、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩、アーコベル型3級アミン塩などのアミン塩類、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリウム塩などの環式4級アンモニウム塩類、塩化ベンゼトニウムなどが挙げられる。好ましいカチオン性界面活性剤としては、本発明の効果がより発揮されるという観点から、アルキル4級アンモニウム塩類であり、更に好ましくはモノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩であり、特に好ましくはモノアルキル型4級アンモニウム塩である。
【0019】
また、モノアルキル型4級アンモニウム塩のアルキル基は、特に制限されるものではなく、例えば、炭素数6以上40以下である。下限値としては、好ましくは8以上であり、より好ましくは12以上であり、更に好ましくは16以上であり、特に好ましくは18以上である。上限値としては、好ましくは35以下であり、より好ましくは30以下であり、更に好ましくは28以下であり、特に好ましくは24以下である。
モノアルキル型4級アンモニウム塩におけるアルキル基を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物における粘度の温度安定性を向上させるという本発明の効果を一層発揮することができる。
【0020】
モノアルキル型4級アンモニウム塩の具体例としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(28)トリメチルアンモニウム、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
また、これらのカチオン性界面活性剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0021】
本発明の酸化剤含有組成物におけるカチオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.001質量%以上10.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、更に好ましくは0.1質量%以上である。上限値としては、好ましくは5.0質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以下であり、更に好ましくは2.0質量%以下、特に好ましくは1.0質量%以下である。
酸化剤含有組成物におけるカチオン性界面活性剤の含有量を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、粘度について優れた温度安定性を発揮することができる。
【0022】
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤は、水に溶解してイオン解離をする親水基が陰イオンとなる界面活性剤である。アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、アルケニル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノエステル型界面活性剤、リン酸ジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステルなどが挙げられる。
これらのアニオン性界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びトリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0023】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸ナトリウム(ラウレス硫酸ナトリム)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸塩、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、N-ステアロイル-N―メチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウムなどのN-ラウロイルグルタミン酸塩類、N-ラウロイルメチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩などが挙げられる。好ましいアニオン性界面活性剤としては、本発明の効果がより発揮されるという観点から、アルキル硫酸エステル塩型又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩型のアニオン性界面活性剤、更に好ましくはラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸ナトリウム(ラウレス硫酸ナトリム)である。
また、これらのアニオン性界面活性剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0024】
本発明の酸化剤含有組成物におけるアニオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.001質量%以上10.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、更に好ましくは0.1質量%以上である。上限値としては、好ましくは5.0質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以下であり、更に好ましくは2.0質量%以下、特に好ましくは1.0質量%以下である。
酸化剤含有組成物におけるアニオン性界面活性剤の含有量を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、粘度について優れた温度安定性を発揮することができる。
【0025】
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤は、水に溶解してイオン解離をする親水基がpHにより正に帯電したり、負に帯電したりする界面活性剤である。両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
【0026】
アミノ酸型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸Na)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエトキシエチル-N’-カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメトキシエチル-N’-カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、パーム油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムなどのグリシン型両性界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミンなどのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0027】
また、ベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
また、これらの両性界面活性剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0028】
本発明の酸化剤含有組成物における両性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.001質量%以上10.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、更に好ましくは0.1質量%以上である。上限値としては、好ましくは5.0質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以下であり、更に好ましくは2.0質量%以下、特に好ましくは1.0質量%以下である。
酸化剤含有組成物における両性界面活性剤の含有量を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、粘度について優れた温度安定性を発揮することができる。
【0029】
<(B)油性成分>
(B)成分である油性成分は、高級アルコールを除く、液状又は固形の油性成分である。油性成分としては、例えば、炭化水素油、油脂、高級脂肪酸、ロウ類、アルキルグリセリルエーテル、エステル油、シリコーン油などが挙げられる。好ましい油性成分としては、本発明の効果がより発揮されるという観点から、炭化水素油、油脂である。
また、これらの油性成分は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0030】
炭化水素は、炭素と水素よりなる化合物である。炭化水素油の具体例としては、例えば、流動パラフィン、パラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、合成スクワラン、水添スクワラン、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、オゾケライト、セレシン、リモネン、テレビン油などが挙げられる。好ましい炭化水素としては流動パラフィン、パラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、特に好ましくは流動パラフィンである。
【0031】
油脂は、トリグリセリドすなわち脂肪酸とグリセリンとのトリエステルである。油脂の具体例としては、例えば、オリーブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、シア脂、マカデミアナッツ油、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油、月見草油などが挙げられる。好ましい油脂としてはオリーブ油、ツバキ油、シア脂、ブドウ種子油、月見草油である。
【0032】
高級脂肪酸は、炭素数6以上の脂肪族カルボン酸である。高級脂肪酸の炭素数は、特に制限されるものではなく、例えば、6以上24以下である。下限値としては、好ましくは8以上であり、より好ましくは10以上であり、更に好ましくは12以上である。一方、上限値としては、好ましくは22以下であり、より好ましくは20以下であり、更に好ましくは18以下である。
また、高級脂肪酸の炭素鎖は、飽和のものでも不飽和のものでもよい。
【0033】
高級脂肪酸の具体例としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸などが挙げられる。好ましい高級脂肪酸としてはステアリン酸、オレイン酸である。
【0034】
ロウ類は、高級脂肪酸と高級アルコールのエステルである。ロウ類の具体例としては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン、鯨ロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、パームロウ、モンタンロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、カポックロウ、セラックロウなどが挙げられる。好ましいロウ類としてはミツロウ、ホホバ油、ラノリンである。
【0035】
アルキルグリセリルエーテルの具体例としては、例えば、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテルなどが挙げられる。好ましいアルキルグリセリルエーテルとしてはバチルアルコールである。
【0036】
エステル油は、脂肪酸とアルコールとの脱水反応によって得られる化合物である。エステル油の具体例としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸-2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルへキシル、エチルヘキサン酸セチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、脂肪酸(C10-30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸オクチルドデシル、リシノール酸オクチルドデシル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油などが挙げられる。好ましいエステル油としてはエチルヘキサン酸セチルである。
【0037】
シリコーン油は、有機基のついたケイ素と酸素が化学結合により交互に連なった合成高分子である。シリコーン油の具体例としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、平均重合度が650~10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーンなどが挙げられる。好ましいシリコーン油としてはジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーンである。
【0038】
上記のアミノ変性シリコーンの具体例としては、例えば、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)などが挙げられる。
【0039】
本発明の酸化剤含有組成物における高級アルコールを除く油性成分の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、5.5質量%以上14.5質量%以下である。下限値としては、好ましくは6.5質量%以上であり、より好ましくは7.0質量%以上であり、更に好ましくは7.5質量%以上であり、特に好ましくは8.0質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは13.0質量%以下であり、より好ましくは12.0質量%以下であり、更に好ましくは11.5質量%以下であり、特に好ましくは11.0質量%以下である。
酸化剤含有組成物における油性成分の含有量を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、粘度について更に優れた温度安定性を発揮することができる。これにより、酸化剤含有組成物における油性成分の含有量が上記下限値より大きい場合は、50℃における粘度が高くなりすぎないため、エアゾール容器から安定的に吐出されるので吐出不良を低減することができる。また、酸化剤含有組成物における油性成分の含有量が上記上限値より小さい場合は、50℃における粘度が低くなりすぎないため、毛髪から垂れ落ちや、エアゾール容器からの飛び散りを低減することができる。
なお、油性成分の含有量を上記範囲とすることにより、酸化剤含有組成物に含まれるカチオン性成分の金属腐食作用を抑制する効果も有している。
【0040】
<(C)酸化剤>
酸化剤は、酸化染料を酸化して発色させる作用や、毛髪内部のメラニン色素、染毛によって毛髪中に定着した染料を分解する作用を有するものである。
酸化剤の具体例としては、例えば、過酸化水素、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過酸化尿素、過酸化メラミン、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物、過酢酸、過ギ酸、過酢酸塩、過ギ酸塩、過マンガン酸塩、臭素酸塩などが挙げられる。好ましい酸化剤としては、メラニン色素や染毛によって毛髪中に定着した染料の脱色力に優れるという観点から、過酸化水素である。
また、これらの酸化剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0041】
本発明の酸化剤含有組成物における過酸化水素の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.05質量%以上30.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、更に好ましくは0.5質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは20.0質量%以下であり、より好ましくは15.0質量%以下であり、更に好ましくは10.0質量%以下である。
酸化剤含有組成物における過酸化水素の含有量を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、優れた染色作用、脱色・脱染作用を発揮することができる。
【0042】
<(D)高級アルコール>
(D)成分である高級アルコールは、炭素数6以上の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素に置換基として水酸基を有する化合物である。好ましい高級アルコールとしては、直鎖状高級アルコールである。
高級アルコールの水酸基の数は、特に制限されず、複数の水酸基を有する多価アルコールでもよいが、好ましくは一価アルコールである。また、高級アルコールの炭化水素は、飽和炭化水素、不飽和炭化水素のいずれでもよい。高級アルコールは、水酸基以外の他の置換基を有していてもよい。
本発明の(D)成分としては、(D-1)成分である炭素数20未満の高級アルコール、(D-2)成分である炭素数20以上の高級アルコールが挙げられる。
また、これらの高級アルコールは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。好ましい高級アルコールとしては、(D-1)成分である炭素数20未満の高級アルコール、(D-2)成分である炭素数20以上の高級アルコールの組み合わせである。
【0043】
(D-1)成分である高級アルコールの炭素数は、炭素数が20未満の炭素鎖を持つアルコールであれば特に制限されるものではない。(D-1)成分である炭素数20未満の高級アルコールの炭素数の下限値としては、好ましくは10以上であり、より好ましくは12以上であり、更に好ましくは14以上である。
【0044】
(D-1)成分である炭素数20未満の高級アルコールの具体例としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、デシルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、2-ヘキシルデカノールなどが挙げられる。好ましい(D-1)成分としてはセタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコールである。
また、これらの炭素数20未満の高級アルコールは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0045】
本発明の酸化剤含有組成物における(D-1)成分である炭素数20未満の高級アルコールの含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.1質量%以上5.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.4質量%以上であり、より好ましくは0.6質量%以上であり、更に好ましくは0.8質量%以上であり、特に好ましくは1.0質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは4.6質量%以下であり、より好ましくは4.4質量%以下であり、更に好ましくは4.2質量%以下であり、特に好ましくは4.0質量%以下である。
酸化剤含有組成物における炭素数20以上の高級アルコールの含有量を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、最適な粘度を有することができる。
【0046】
(D-2)成分である高級アルコールの炭素数は、炭素数が20以上の炭素鎖を持つアルコールであれば特に制限されるものではない。(D-2)成分である炭素数20以上の高級アルコールの炭素数としては、好ましくは40以下であり、より好ましくは35以下であり、更に好ましくは30以下であり、特に好ましくは25以下である。
【0047】
(D-2)成分である炭素数20以上の高級アルコールの具体例としては、例えば、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、フィトステロール、コレステロールなどが挙げられる。好ましい(D-2)成分としてはアラキルアルコール、ベヘニルアルコールである。
また、これらの炭素数20以上の高級アルコールは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0048】
本発明の酸化剤含有組成物における(D-2)成分である炭素数20以上の高級アルコールの含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.1質量%以上5.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.4質量%以上であり、より好ましくは0.6質量%以上であり、更に好ましくは0.8質量%以上であり、特に好ましくは1.0質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは4.6質量%以下であり、より好ましくは4.4質量%以下であり、更に好ましくは4.2質量%以下であり、特に好ましくは4.0質量%以下である。
酸化剤含有組成物における炭素数20以上の高級アルコールの含有量を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、最適な粘度を有することができる。
【0049】
<(E)非イオン性界面活性剤>
(E)成分である非イオン性界面活性剤は、水に溶解した際にイオン解離しない親水基を有する界面活性剤である。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、HLB値が10.0以下である非イオン性界面活性剤、HLB値が10.0を超える非イオン性界面活性剤が挙げられる。
また、これらの非イオン性界面活性剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。好ましい非イオン性界面活性剤としては、HLB値が10.0以下である非イオン性界面活性剤、HLB値が10.0を超える非イオン性界面活性剤の組み合わせである。
【0050】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、エステルエーテル型非イオン性界面活性剤、アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤、アルキルグルコシド、レシチン誘導体水素添加大豆レシチンなどが挙げられる。
【0051】
エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンフィトステロールなどが挙げられる。
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
ポリオキシエチレンなどポリアルキレンオキシド繰り返し単位数としては、例えば、2~100が挙げられ、好ましくは3~25である。
【0052】
アルキルグリコシドの具体例としては、例えば、脂肪酸鎖の炭素原子数が8~16個のアルキルグルコシド、オクチルグルコシド、オクチルマルトシド、デシルグルコシド、デシルマルトシド、ドデシルグルコシド、ヘプチルチオグルコシド、オクチルチオグルコシド、ノニルチオマルトシドなどが挙げられる。
また、これらの非イオン性界面活性剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0053】
HLB値が10.0以下である非イオン性界面活性剤のHLB(hydrophile-lipophile balance)値は、10.0以下であれば特に制限されるものではない。HLB値が10.0以下である非イオン性界面活性剤のHLB値としては、好ましくは9.5以下であり、より好ましくは9.0以下であり、更に好ましくは8.5以下である。
【0054】
本発明の酸化剤含有組成物におけるHLB値が10.0以下である非イオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.05質量%以上5.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは0.8質量%以上であり、特に好ましくは1.0質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは4.5質量%以下であり、より好ましくは4.0質量%以下であり、更に好ましくは3.5質量%以下であり、特に好ましくは3.0質量%以下である。
【0055】
HLB値が10.0を超える非イオン性界面活性剤のHLB値は、10.0を超えれば特に制限されるものではない。HLB値が10.0を超える非イオン性界面活性剤のHLB値としては、好ましくは11.0以上であり、より好ましくは12.0以上であり、更に好ましくは13.0以上であり、特に好ましくは14.0以上である。
【0056】
本発明の酸化剤含有組成物におけるHLB値が10.0を超える非イオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.05質量%以上5.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは0.8質量%以上であり、特に好ましくは1.0質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは4.5質量%以下であり、より好ましくは4.0質量%以下であり、更に好ましくは3.5質量%以下であり、特に好ましくは3.0質量%以下である。
【0057】
また、本発明の酸化剤含有組成物において、HLB値が10.0を超える非イオン性界面活性剤の含有量に対するHLB値が10.0以下である非イオン性界面活性剤の含有量の比は、1.0未満であれば特に制限されるものではない。HLB値が10.0を超える非イオン性界面活性剤の含有量に対するHLB値が10.0以下である非イオン性界面活性剤の含有量の比としては、好ましくは0.97以下であり、より好ましくは0.93以下であり、更に好ましくは0.89以下であり、特に好ましくは0.85以下である。
酸化剤含有組成物におけるHLB値が10.0を超える非イオン性界面活性剤の含有量に対するHLB値が10.0以下である非イオン性界面活性剤の含有量の比を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、粘度における優れた温度安定性を発揮することができる。
【0058】
なお、HLB値は、W.C.Griffinによって考えられ、非イオン性界面活性剤に対して与えられた数値であり、非イオン性界面活性剤の親油基(アルキル基)と親水基(酸化エチレン鎖)との強さのバランスを数字で表したものである。HLB値は、乳化法から算出した実測値が用いられる(「ハンドブック-化粧品・製剤原料-」日光ケミカルズ株式会社(昭和52年2月1日改訂版発行)参照)。実測HLB値の測定には、界面活性剤の標準物質としてモノステアリン酸ソルビタン(例えば、日光ケミカルズ社製のNIKKOL SS-10、HLB値4.7)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、日光ケミカルズ社製のNIKKOL TS-10、HLB値14.9)を組み合わせて使用する。被乳化物には流動パラフィンを使用する。なお、流動パラフィンは種類による、又はロットによる変動が考えられる場合は、その都度測定する。流動パラフィンを上記2種類の界面活性剤で乳化し、最適な界面活性剤の割合を求め、流動パラフィンの所要HLB値(乳化されるHLB値)を求める。計算式は数式(1)に示される。
【0059】
【数1】
【0060】
通常流動パラフィンの所要HLB値は、種類、及びロットにもよるが10.1~10.3程度である。次に未知の界面活性剤のHLB値の測定は、所要HLB値を求めた流動パラフィンを用いて測定する。未知の界面活性剤が親水性であればモノステアリン酸ソルビタンと組み合わせ、未知の界面活性剤が疎水性であればモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンと組み合わせて、上記流動パラフィンを乳化し、安定性のあるところの最適割合を求め、未知の界面活性剤のHLB値をxとして上記数式(1)に当てはめて算出する。
【0061】
<その他の成分>
本発明のエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物は、上記(A)~(E)成分以外に、必要に応じて、以下の、過酸化水素安定化剤、多価アルコール、高分子化合物、ペプチド、アミノ酸、キレート剤、pH調節剤、直接染料、水などを適宜に選択して含有してもよい。
【0062】
(過酸化水素安定化剤)
過酸化水素安定化剤は、本発明の酸化剤含有組成物に過酸化水素が含まれる場合、その安定性を向上させる化合物である。
過酸化水素安定化剤の具体例としては、例えば、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウムやヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムなどのヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム塩、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウムなどのスズ酸塩などが挙げられる。
また、これらの過酸化水素安定化剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0063】
本発明の酸化剤含有組成物における過酸化水素安定化剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.05質量%以上1.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、更に好ましくは0.3質量%以上であり、特に好ましくは0.4質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは0.8質量%以下であり、より好ましくは0.7質量%以下であり、更に好ましくは0.6質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。
酸化剤含有組成物における過酸化水素安定化剤の含有量を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、酸化剤である過酸化水素を十分に安定化することができ、染毛効果、脱色・脱染効果を向上させることができる。
【0064】
(多価アルコール)
多価アルコールは、上記(D)成分を除く、分子中に水酸基を複数有するアルコールである。多価アルコールとしては、例えば、グリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0065】
グリコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG1000、PEG1500、PEG1540など)、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコールなどが挙げられる。
グリセリンの具体例としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられる。
また、これらの多価アルコールは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0066】
(高分子化合物)
高分子化合物は、分子量の大きな化合物であり、天然高分子化合物と合成高分子化合物を含むものである。高分子化合物としては、例えば、カチオン化セルロース誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体、又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガムなどが挙げられる。
また、これらの高分子化合物は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0067】
カチオン化セルロース誘導体の具体例としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体であるポリクオタニウム-10(例えば、レオガードG(ライオン社)など)、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドであるポリクオタニウム-4(例えば、セルコートH-100(ナショナルスターチアンドケミカル社)など、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。
【0068】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体、又は共重合体の具体例としては、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム)であるポリクオタニウム-6(例えば、マーコート100(Nalco社)など)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体であるポリクオタニウム-22(例えば、マーコート280(Nalco社)など)、アクリル酸/ジアリル第四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体であるポリクオタニウム-39(例えば、マーコートプラス3331(Nalco社)など)などが挙げられる。
【0069】
4級化ポリビニルピロリドンの具体例としては、例えば、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体と硫酸ジエチルから得られる4級アンモニウム塩であるポリクオタニウム-11(例えば、ガフコート734、ガフコート755(いずれもアイエスピー・ジャパン社)など)などが挙げられる。
【0070】
その他、高分子化合物としては、カルボキシビニルポリマーなどのアニオン性ポリマー、水溶性ポリマーなどが挙げられる。水溶性ポリマーの具体例としては、例えば、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、デンプン、アルゲコロイド(褐藻エキス)などの植物性高分子、デキストラン、プルランなどの微生物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプンなどのデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマーなどのビニル系高分子などが挙げられる。
【0071】
(ペプチド、アミノ酸)
ペプチド、アミノ酸は、アミノ基とカルボキシル基の両方の官能基を持つ有機化合物である。
ペプチド、アミノ酸の具体例としては、例えば、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、シルク、カゼイン、ゼラチンなどの動物系タンパク質、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ダイズ、アーモンドなどの植物から得られるタンパク質、これらのタンパク質を酸、アルカリ、酵素などにより加水分解したものなどが挙げられる。
また、これらのペプチド、アミノ酸は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0072】
(キレート剤)
キレート剤は、配位子を有し、金属イオンを結合するものである。
キレート剤の具体例としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA、エデト酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)及びその塩、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP、エチドロン酸)及びその塩などが挙げられる。
また、これらのキレート剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0073】
(pH調節剤)
pH調節剤は、組成物のpHを調節するためのもので、無機酸、又は有機酸である酸成分と、無機アルカリ、又は有機アルカリであるアルカリ成分とからなる。
【0074】
有機酸の具体例としては、例えば、グリコール酸や乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸、コハク酸などのジカルボン酸などが挙げられる。
有機アルカリの具体例としては、例えば、モルフォリンなどの揮発性アルカリ成分、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールなどのアミノアルコール類、L-アルギニン、L-リジン、L-ヒスチジンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられる。
【0075】
(直接染料)
直接染料は、色を有する化合物であり、毛髪に付着、又は浸透して染毛する染料であれば特に制限されるものではない。例えば、酸性染料、塩基性染料、天然染料、ニトロ染料、HC染料、分散染料などが挙げられる。
また、これらの直接染料は、所望する毛髪の色調に応じて単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0076】
(その他)
第2剤であるエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物には、その他にも、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、無水亜硫酸ナトリウムなど)、防腐剤(例えば、安息香酸ナトリウムなど)、有機溶剤(例えば、エタノールなど)、糖類(例えば、ソルビトール、マルトースなど)、安定剤(例えば、フェナセチン、8-ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸など)、無機塩(例えば、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウムなど)、緩衝剤(リン酸ナトリウムなど)、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤、並びに「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を含有させてもよい。
【0077】
[第1剤:アルカリ剤を含有する剤]
本発明のエアゾール型の染毛のための酸化剤含有組成物と混合するアルカリ剤を含有する第1剤は、エアゾール容器からの吐出時にクリーム状、ゲル状、ペースト状、泡状などとすることができる。
【0078】
アルカリ剤を含有する第1剤の25℃における粘度は、特に制限されるものではなく、例えば、5000mPa・s以上30000mPa・s以下である。下限値として、好ましくは6000mPa・s以上であり、より好ましくは7000mPa・s以上であり、更に好ましくは8000mPa・s以上である。上限値として、好ましくは27000mPa・s以下であり、より好ましくは25000mPa・s以下、更に好ましくは20000mPa・s以下である。
【0079】
また、アルカリ剤を含有する第1剤の50℃における粘度は、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比が0.8~1.2の範囲を満たす限りにおいては特に制限されるものではなく、適宜設定することができる。
なお、粘度の測定は、B型粘度計(東機産業社製 TV-10型)を用いて行う。測定条件は、25℃又は50℃に調温して、粘度が5000mPa・s未満の場合には、3号ローターで回転速度12rpm、1分間の条件で測定し、粘度が5000~50000mPa・sの場合には、4号ローターで回転速度12rpm、1分間の条件で測定し、粘度が50000mPa・sを超える場合には、4号ローターで回転速度6rpm、1分間の条件で測定する。また、測定するアルカリ剤を含有する第1剤は、エアゾール容器に充填する前の組成物でも、エアゾール容器に充填した後にエアゾール容器を開缶して回収した組成物であってもよい。
アルカリ剤を含有する第1剤の粘度を上記範囲とすることにより、第1剤は、エアゾール容器からの吐出量を温度に影響することなく維持することができる。また、吐出した酸化染毛剤組成物は、塗布性が良く、毛髪などから垂れ落ちることを防ぐこともできる。
【0080】
第1剤のpHは、特に制限されるものではなく、例えば、7.0以上13.0以下である。下限値としては、好ましくは7.5以上であり、より好ましくは8.0以上である。上限値としては、好ましくは12.0以下であり、より好ましくは11.0以下である。第1剤のpHをアルカリ性とすることにより、染毛性を高めることができる。
【0081】
次に、アルカリ剤を含有する第1剤に使用する各成分について、詳細に説明する。なお、各成分の含有量については、特に断りがない場合には、各成分を混合したアルカリ剤を含有する第1剤に含まれる含有量を示す。
【0082】
(アルカリ剤)
アルカリ剤は、毛髪を膨張させて、染料や酸化剤の浸透を促進する作用を有するものであえう。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、アルカノールアミン、アンモニウム塩、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、リン酸塩、塩基性アミノ酸、水酸化物、及びそれらの塩などが挙げられる。
【0083】
(酸化染料)
本発明のエアゾール型の染毛のための酸化剤含有組成物(第2剤)と混合して染毛剤として用いる場合において、第1剤は酸化染料を含有してもよい。酸化染料は、酸化剤により酸化重合して発色する染料であり、染料中間体とカプラーがある。染料中間体は自身の酸化により発色する物質であり、カプラーは染料中間体との組み合わせにより種々の色調となる物質である。
【0084】
(第1剤に配合される他の成分)
アルカリ剤を含有する第1剤には、必要に応じて、本発明のエアゾール型の染毛のための酸化剤含有組成物(第2剤)に配合できる非イオン性界面活性剤、多価アルコール、高分子化合物、ペプチド、アミノ酸、キレート剤、pH調節剤、直接染料、水などを適宜に選択して含有させることができる。
なお、第2剤に配合される(A)成分であるイオン性界面活性剤、(B)成分である油性成分、(D)成分である高級アルコールを第1剤に含有させてもよい。
【0085】
[エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物の使用方法]
本発明の酸化剤含有組成物の使用形態は、エアゾールとして毛髪などに適用できるのであれば、特に制限されるものではなく、例えば、第1剤組成物を封入した内袋が収容された第1のエアゾール容器と本発明の酸化剤含有組成物を封入した内袋が収容された第2のエアゾール容器とを連結した二連式エアゾール容器、又は第1剤組成物と本発明の酸化剤含有組成物がそれぞれ封入された内袋を連結して収納した二重式エアゾール容器などが挙げられる。
なお、酸化染毛剤組成物としては、第1剤と第2剤からなる2剤式のものが代表的であるが、3剤以上からなる多剤式であってもよい。また、酸化剤含有組成物からなる脱色・脱染剤組成物としては、第2剤のみを用いてもよい。
【0086】
第1剤と本発明の酸化剤含有組成物を混合した酸化染毛剤組成物のアルカリ度は、特に制限されるものではないが、例えば、3.0ml/g以下が好ましい。混合した酸化染毛剤組成物のアルカリ度を上記範囲とすることにより、混合した酸化染毛剤組成物で繰り返し処理した毛髪内部に残留する酸性成分によるpH低下の影響を低減することができるため、毛髪へのダメージを抑制しつつ、毛髪の状態によらず優れた染毛作用を発揮することができる。
【0087】
第1剤と本発明の酸化剤含有組成物を混合した後の酸化染毛剤組成物のpHは、特に制限されるものではないが、例えば、8.5~9.5が好ましい。混合した酸化染毛剤組成物のpHを上記範囲とすることにより、毛髪へのダメージを抑制しつつ、毛髪の状態によらず優れた染毛作用を発揮することができる。
また、脱色・脱染剤組成物のpHは、特に制限されるものではないが、例えば、8.5~9.5が好ましい。脱色・脱染剤組成物のpHを上記範囲とすることにより、毛髪へのダメージを抑制しつつ、優れた脱色・脱染作用を発揮することができる。
【0088】
本発明の酸化剤含有組成物と第1剤を混合した酸化染毛剤組成物の使用は、一度染毛処理を行い一定期間が経過した毛髪の既染部、及び先の染毛処理後に新たに生えた毛髪の新生部に塗布することで行ってもよいし、毛髪の既染部のみに塗布して新生部には任意の酸化染毛剤組成物などを適用することとしてもよい。
【0089】
本発明の酸化剤含有組成物と第1剤を混合した酸化染毛剤組成物、又は脱色・脱染剤組成物は、ヒトの毛髪、髭、眉毛、すね毛などの体毛を染色、脱色・脱染するために利用することができる。その他、ペットなどの動物の体毛を染色、脱色・脱染するために利用してもよい。
【0090】
本発明の酸化剤含有組成物と第1剤を混合した酸化染毛剤組成物、又は、脱色・脱染剤組成物は、エアゾール容器から吐出されて毛髪に付着した後に、例えば、櫛、ブラシ、刷毛などの塗布具を用いて塗布することができる。また、手袋を着用した手で毛髪に付着した酸化染毛剤組成物、脱色・脱染剤組成物を毛髪に付着又は塗布してもよい。
【0091】
毛髪に塗布した酸化染毛剤組成物は、毛髪内に浸透した酸化染料を酸化して発色するために所定の時間放置する。放置する時間は、酸化染料の種類や酸化剤の濃度などに応じて適宜設計するが、好ましくは1~60分間である。下限値としては、より好ましくは3分間以上であり、特に好ましくは5分間以上である。上限値としては、より好ましくは45分間以下であり、特に好ましくは30分間以下である。
【0092】
毛髪に塗布した脱色・脱染剤組成物は、毛髪内のメラニン色素、染毛によって毛髪中に定着した染料と反応するために所定の時間放置する。放置する時間は、染料の種類や酸化剤の濃度などに応じて適宜設計するが、好ましくは1~60分間である。下限値としては、より好ましくは3分間以上であり、特に好ましくは5分間以上である。上限値としては、より好ましくは45分間以下であり、特に好ましくは30分間以下である。
【0093】
さらに毛髪に塗布して放置した酸化染毛剤組成物、脱色・脱染剤組成物を洗い流す場合は、水、お湯などで濯ぐ方法、シャンプーなどの洗浄剤で洗浄する方法などが挙げられる。また、さらに毛髪は、トリートメント、コンディショナーなどで処理してもよい。
【実施例
【0094】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。
【0095】
(各剤の組成)
表1、表2に示す各成分を含有する第2剤を調製した。なお、各表における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。表中「(A)」~「(E)」の表記は、本願請求項及び本願明細書に記載の各(A)~(E)成分に対応する化合物を示す。
【0096】
(粘度における温度安定性の評価)
エアゾール容器に充填する前の酸化染毛剤組成物における粘度の測定は、25℃又は50℃に設定した恒温槽にて1晩放置し、25℃又は50℃に調温した第2剤について、B型粘度計(東機産業社製 TV-10型)を用いて、1分間、回転速度12rpm、4号ローター使用の条件で行った。
【0097】
(吐出量における温度安定性の評価)
酸化染毛剤組成物の吐出量の温度安定性評価は、酸化染毛剤組成物40g及び噴射剤である窒素ガスを、内袋と外側容器を備えた二重構造であるエアゾール容器に充填(噴射剤圧力:0.6MPa、ステム孔径:内径0.5mm、ステム孔数:2)したものを用いて行った。吐出試験では、酸化染毛剤組成物を充填したエアゾール容器を25℃又は50℃の環境下に24時間放置した後、吐出操作を5秒間行い、この5秒間における吐出量を質量基準で測定した。
吐出量の温度安定性評価は、25℃調温品の吐出量に対する50℃調温品の吐出量の質量基準の比が、0.8以上1.2以下の場合を「○」、0.7以上0.8未満又は1.2を超えて1.3以下の場合を「△」、0.7未満又は1.3を超える場合を「×」とした。
【0098】
(金属腐食抑制作用の評価)
酸化染毛剤組成物の金属腐食抑制作用の評価は、酸化染毛剤組成物40g及び噴射剤である窒素ガスを、内袋と外側容器を備えた二重構造であるエアゾール容器に充填(噴射剤圧力:0.6MPa、ステム孔径:内径0.5mm、ステム孔数:2)したものを用いて行った。金属腐食抑制作用の確認試験では、酸化染毛剤組成物を充填したエアゾール容器を25℃の環境下に1週間放置した後、エアゾール容器を開缶し、酸化染毛剤組成物が接する金属部材を流水で洗浄して、腐食状態を目視にて確認した。
金属腐食抑制作用の評価は、錆がなく金属部材表面が正常な場合を「○」、やや腐食が認められた場合を「△」、明らかな腐食が認められた場合を「×」とした。
【0099】
(粘度及び吐出量の温度安定性における(A)イオン性界面活性剤の作用)
【0100】
【表1】
【0101】
表1に示すように、実施例1、2と比較例1を比較すると、カチオン性界面活性剤やアニオン性界面活性剤である(A)成分を含む実施例1、2では、25℃での粘度値に対する50℃での粘度値の比V50/V25が0.82~0.95の範囲であったが、(A)成分を含まない比較例1では1.46であった。
また、実施例1、2の吐出量の温度安定性は良好であったが、比較例1では吐出量の温度安定性を維持することができなかった。
【0102】
したがって、酸化剤含有組成物におけるイオン性界面活性剤である(A)成分の配合は、粘度及び吐出量の温度安定性を向上させることが示された。
【0103】
(粘度及び吐出量の温度安定性における(B)油性成分の作用)
【0104】
【表2】
【0105】
表2に示すように、実施例1、3、4と比較例2を比較すると、油性成分である(B)成分を含む実施例1~3では、25℃での粘度値に対する50℃での粘度値の比V50/V25が0.82~0.95の範囲であったが、(B)成分を含まない比較例2では1.25であった。
また、実施例1、3、4では、25℃及び50℃での粘度値が8670~11730mPa・sの範囲であったが、比較例2では25℃での粘度値が7750であった。
【0106】
また、実施例1、4と比較例3、4を比較すると、油性成分である(B)成分の含有量が10.0質量%(実施例1)、8.0質量%(実施例4)では、25℃での粘度値に対する50℃での粘度値の比V50/V25が0.82~0.86の範囲であったが、(B)成分の含有量が5.0質量%(比較例3)では1.22、15.0質量%(比較例4)では0.77であった。
また、実施例1、3、4の吐出量の温度安定性は良好であったが、比較例2~4では吐出量の温度安定性を維持することができなかった。
【0107】
したがって、酸化剤含有組成物における油性成分である(B)成分の配合は、粘度及び吐出量の温度安定性を向上させることが示された。加えて、酸化剤含有組成物における(B)成分の配合量は、8.0~10.0質量%で粘度に対して効果的な温度安定性を示すことが明らかとなった。
また、実施例1と比較例4、及び実施例4と比較例3における25℃での粘度値に対する50℃での粘度値の比V50/V25に基づいて、その中間値から酸化剤含有組成物における(B)成分の配合量が6.5~12.5質量%の範囲にある場合、粘度に対する温度安定性が発揮されると推測される。
【0108】
(金属腐食抑制作用における(B)油性成分の作用)
表1、2に示すように、実施例1~4、比較例1、4と比較例2を比較すると、油性成分である(B)成分を含む実施例1~4、比較例1、4では、エアゾール容器の金属部材における腐食が抑制されたのに対して、(B)成分を含まない比較例2では明らかな腐食が認められた。
また、(B)成分の含有量が実施例1~4、比較例1、4よりも少ない比較例3では、エアゾール容器の金属部材における腐食がやや認められた。
【0109】
したがって、酸化剤含有組成物における油性成分である(B)成分の配合は、エアゾール容器の金属部材における腐食を抑制することが示された。これにより、本願発明は、金属部材を有するエアゾール容器の品質維持に有利な効果を発揮することができる。この金属抑制作用は、酸化剤含有組成物に含有するイオン性界面活性剤などのイオン性物質による金属腐食作用を油性成分である(B)成分が抑制していると推測される。
【0110】
以上の結果から、酸化剤含有組成物に(A)成分であるイオン性界面活性剤、(B)成分である油性成分を配合することにより、粘度及び吐出量における温度安定性を向上させることが明らかとなった。また、酸化剤含有組成物に(B)成分である油性成分を配合することにより、エアゾール容器の金属部材における腐食が抑制されることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明によって、粘度及び吐出量における温度安定性が向上したエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物を提供できる。
本発明の酸化剤含有組成物は、ヒトの毛髪、髭、眉毛、すね毛などの体毛を染色、脱色・脱染するために利用することができる。その他、ペットなどの動物の体毛を染色、脱色・脱染するために利用してもよい。
また、本発明の酸化剤含有組成物は、美容室、理容室などにおけるカラーリング用又はセルフカラーリング用として利用することができる。