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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】フィルタ洗浄機
(51)【国際特許分類】
   B01D 41/04 20060101AFI20241028BHJP
   B08B 5/04 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
B01D41/04
B08B5/04 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020064605
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021159863
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和希
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-052918(JP,U)
【文献】特開2010-125433(JP,A)
【文献】特開平06-047220(JP,A)
【文献】特開2019-034271(JP,A)
【文献】特開2003-190724(JP,A)
【文献】特開2019-005715(JP,A)
【文献】特開2019-122911(JP,A)
【文献】特開平03-004914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 41/04
B08B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉扉により開閉される開口を介してフィルタを収容可能な洗浄容器と、
前記洗浄容器内で前記フィルタを所定方向に延びる直線を中心に回転可能に支持するフィルタ支持部と、
前記洗浄容器に形成された排出口に接続されて、前記排出口を通して前記洗浄容器内の空気を吸引する吸引部と、
前記吸引部による吸引に伴って前記洗浄容器内に外気を導入する導入部と、を含み、
前記フィルタ支持部は、
前記フィルタの前記所定方向の一方側の端部を保持する保持機構と、
前記所定方向に往復移動可能に設けられた当接部材を有し、前記保持機構に前記端部が保持された前記フィルタに対して前記所定方向の前記一方側と反対側から前記当接部材を当接させて、前記フィルタを前記所定方向に固定する固定機構と、を備え、
前記保持機構は、
前記フィルタに挿入されて、前記フィルタの移動を抑制する拡開部材と、
前記所定方向に延びる支持軸と、
前記支持軸が中心に位置する支持板と、を含み、
前記拡開部材は、前記支持軸の周囲に複数設けられ、
前記拡開部材のそれぞれは、押圧部と、前記押圧部に対して前記所定方向の前記反対側に設けられ、前記フィルタに対する前記拡開部材の挿入を案内する案内部と、を有し、弾性部材により前記支持軸から離間する方向に付勢されている、フィルタ洗浄機。
【請求項2】
駆動力を発生するモータを備え、前記モータの駆動力で前記保持機構を前記直線を中心に回転させる駆動機構、をさらに含む、請求項に記載のフィルタ洗浄機。
【請求項3】
前記所定方向は、上下方向であり、
前記洗浄容器の底部に設けられて、前記保持機構と一体に回転する羽根、をさらに含む、請求項に記載のフィルタ洗浄機。
【請求項4】
開閉扉により開閉される開口を介してフィルタを収容可能な洗浄容器と、
前記洗浄容器内で前記フィルタを所定方向に延びる直線を中心に回転可能に支持するフィルタ支持部であって、前記フィルタの前記所定方向の一方側の端部を保持する保持機構と、前記所定方向に往復移動可能に設けられた当接部材を有し、前記保持機構に前記端部が保持された前記フィルタに対して前記所定方向の前記一方側と反対側から前記当接部材を当接させて、前記フィルタを前記所定方向に固定する固定機構とを備える前記フィルタ支持部と、
前記洗浄容器に形成された排出口に接続されて、前記排出口を通して前記洗浄容器内の空気を吸引する吸引部と、
前記吸引部による吸引に伴って前記洗浄容器内に外気を導入する導入部と、
駆動力を発生するモータを備え、前記モータの駆動力で前記保持機構を前記直線を中心に回転させる駆動機構と、を含み、
前記所定方向は、上下方向であり、
前記洗浄容器の底部に設けられて、前記保持機構と一体に回転する羽根、をさらに含み、
前記保持機構は、前記フィルタに挿入されて、前記フィルタの移動を抑制する拡開部材を含む、フィルタ洗浄機。
【請求項5】
開閉扉により開閉される開口を介してフィルタを収容可能な洗浄容器と、
前記洗浄容器内で前記フィルタを所定方向に延びる直線を中心に回転可能に支持するフィルタ支持部と、
前記洗浄容器に形成された排出口に接続されて、前記排出口を通して前記洗浄容器内の空気を吸引する吸引部と、
前記吸引部による吸引に伴って前記洗浄容器内に外気を導入する導入部と、を含み、
前記フィルタ支持部は、
前記フィルタの前記所定方向の一方側の端部を保持する保持機構と、
前記所定方向に往復移動可能に設けられた当接部材を有し、前記保持機構に前記端部が保持された前記フィルタに対して前記所定方向の前記一方側と反対側から前記当接部材を当接させて、前記フィルタを前記所定方向に固定する固定機構と、を備え、
前記所定方向は、上下方向であり、
駆動力を発生するモータを備え、前記モータの駆動力で前記保持機構を前記直線を中心に回転させる駆動機構と、
前記洗浄容器の底部に設けられて、前記保持機構と一体に回転する羽根と、をさらに含む、フィルタ洗浄機。
【請求項6】
前記洗浄容器は、
前記所定方向に中心線を有する半円筒形状の後壁部と、
前記後壁部の周方向の両端からそれぞれ延設され、前記後壁部の直径の幅で互いに平行に延びる平板状の側壁部と、を備え、
前記開口は、前記側壁部間に形成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルタ洗浄機。
【請求項7】
開閉扉により開閉される開口を介してフィルタを収容可能な洗浄容器と、
前記洗浄容器内で前記フィルタを所定方向に延びる直線を中心に回転可能に支持するフィルタ支持部と、
前記洗浄容器に形成された排出口に接続されて、前記排出口を通して前記洗浄容器内の空気を吸引する吸引部と、
前記吸引部による吸引に伴って前記洗浄容器内に外気を導入する導入部と、を含み、
前記フィルタ支持部は、
前記フィルタの前記所定方向の一方側の端部を保持する保持機構と、
前記所定方向に往復移動可能に設けられた当接部材を有し、前記保持機構に前記端部が保持された前記フィルタに対して前記所定方向の前記一方側と反対側から前記当接部材を当接させて、前記フィルタを前記所定方向に固定する固定機構と、を備え、
前記保持機構は、前記フィルタに挿入されて、前記フィルタの移動を抑制する拡開部材を含み、
前記洗浄容器は、
前記所定方向に中心線を有する半円筒形状の後壁部と、
前記後壁部の周方向の両端からそれぞれ延設され、前記後壁部の直径の幅で互いに平行に延びる平板状の側壁部と、を備え、
前記開口は、前記側壁部間に形成されている、フィルタ洗浄機。
【請求項8】
前記導入部は、前記開閉扉に貫通して設けられるノズルである、請求項1~のいずれか一項に記載のフィルタ洗浄機。
【請求項9】
開閉扉により開閉される開口を介してフィルタを収容可能な洗浄容器と、
前記洗浄容器内で前記フィルタを所定方向に延びる直線を中心に回転可能に支持するフィルタ支持部と、
前記洗浄容器に形成された排出口に接続されて、前記排出口を通して前記洗浄容器内の空気を吸引する吸引部と、
前記吸引部による吸引に伴って前記洗浄容器内に外気を導入する導入部と、を含み、
前記フィルタ支持部は、
前記フィルタの前記所定方向の一方側の端部を保持する保持機構と、
前記所定方向に往復移動可能に設けられた当接部材を有し、前記保持機構に前記端部が保持された前記フィルタに対して前記所定方向の前記一方側と反対側から前記当接部材を当接させて、前記フィルタを前記所定方向に固定する固定機構と、を備え、
前記保持機構は、前記フィルタに挿入されて、前記フィルタの移動を抑制する拡開部材を含み、
前記導入部は、前記開閉扉に貫通して設けられるノズルである、フィルタ洗浄機。
【請求項10】
前記ノズルは、
前記所定方向に延びるスリット状の空間を有し、先端が前記保持機構に保持される前記フィルタに向けられて、前記スリット状の空間が前記先端で開放されているノズル部と、
前記ノズル部に対して前記洗浄容器の外側に連続し、前記ノズル部に近づくほど幅が狭まる空間を有し、前記幅が狭まる空間が前記外側に開放される外気導入部と、を備える、請求項8または9に記載のフィルタ洗浄機。
【請求項11】
前記洗浄容器内に空気を強制的に導入する強制導入部、をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルタ洗浄機。
【請求項12】
開閉扉により開閉される開口を介してフィルタを収容可能な洗浄容器と、
前記洗浄容器内で前記フィルタを所定方向に延びる直線を中心に回転可能に支持するフィルタ支持部と、
前記洗浄容器に形成された排出口に接続されて、前記排出口を通して前記洗浄容器内の空気を吸引する吸引部と、
前記吸引部による吸引に伴って前記洗浄容器内に外気を導入する導入部と、
前記洗浄容器内に空気を強制的に導入する強制導入部と、を含み、
前記フィルタ支持部は、
前記フィルタの前記所定方向の一方側の端部を保持する保持機構と、
前記所定方向に往復移動可能に設けられた当接部材を有し、前記保持機構に前記端部が保持された前記フィルタに対して前記所定方向の前記一方側と反対側から前記当接部材を当接させて、前記フィルタを前記所定方向に固定する固定機構と、を備え、
前記保持機構は、前記フィルタに挿入されて、前記フィルタの移動を抑制する拡開部材を含む、フィルタ洗浄機。
【請求項13】
前記強制導入部は、
前記開閉扉の下端部を貫通して設けられ、前記洗浄容器内に導入される空気が流通する流通管と、
前記開閉扉の内面に固定されて、前記流通管に対して前記流通管の中心線の方向から対向する対向部を有する風向調整部材と、を備える、請求項11または12に記載のフィルタ洗浄機。
【請求項14】
前記当接部材は、前記一方側に向けて開いた円錐形状をなし、前記フィルタの外周縁部に当接する、請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルタ洗浄機。
【請求項15】
前記洗浄容器内に設けられて、前記フィルタに当接して、前記フィルタの回転時に前記フィルタに衝撃を与える衝撃部材、をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルタ洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタを洗浄するフィルタ洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体の空気輸送や乾燥などのプロセスでは、気流が使用され、そのプロセスを行う装置には、気流に含まれる粉塵を取り除くためのフィルタが設けられる。フィルタでの集塵が進むにつれ、フィルタの性能が低下するので、フィルタは、その集まった粉塵を除去するための清掃を必要とする。
【0003】
フィルタを洗浄(清掃)するフィルタ洗浄機として、たとえば、フィルタ(円筒状のプリーツフィルタ)をその中心線まわりに回転可能に収容する容器を備え、容器内から空気を排出することにより、容器の側壁に設けられたノズルを通して容器内に外気を導入し、ノズルからフィルタに気流を吹き付けて、フィルタを回転させつつ、容器内にフィルタの回転方向の気流を発生させるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-5715号公報
【文献】特開2019-122911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルタは、小型のものから大型のものまで、そのサイズが様々である。ところが、従来の提案に係るフィルタ洗浄機は、比較的小型のフィルタ用として設計されており、様々なサイズのものに対応することはできない。
【0006】
本発明の目的は、洗浄対象として様々なサイズのフィルタに対応できる、フィルタ洗浄機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係るフィルタ洗浄機は、開閉扉により開閉される開口を介してフィルタを収容可能な洗浄容器と、洗浄容器内でフィルタを所定方向に延びる直線を中心に回転可能に支持するフィルタ支持部と、洗浄容器に形成された排出口に接続されて、排出口を通して容器内の空気を吸引する吸引部と、吸引部による吸引に伴って洗浄容器内に外気を導入する導入部とを含み、フィルタ支持部は、フィルタの所定方向の一方側の端部を保持する保持機構と、所定方向に往復移動可能に設けられた当接部材を有し、保持機構に端部が保持されたフィルタに対して所定方向の一方側と反対側から当接部材を当接させて、フィルタを所定方向に固定する固定機構とを備える。
【0008】
この構成によれば、洗浄対象のフィルタは、洗浄容器内に収容されて、フィルタ支持部により所定方向に延びる直線を中心に回転可能に支持される。洗浄容器には、排出口が形成されており、その排出口には、吸引部が接続されている。吸引部が作動すると、洗浄容器内の空気が排出口を通して吸引(排出)され、その吸引に伴って、導入部により洗浄容器内に外気が導入され、洗浄容器内に気流が発生する。そのため、導入部により導入される外気により、フィルタに付着している粉塵を吹き飛ばして除去することができ、そのフィルタから除去された粉塵を気流に乗せて排出口から排出することができる。
【0009】
そして、フィルタ支持部によるフィルタの支持は、フィルタの所定方向の一方側の端部が保持機構に保持され、その保持されたフィルタに対して所定方向の他方側から当接部材が当接されて、フィルタが所定方向に固定されることにより達成される。当接部材が所定方向に往復移動可能に設けられているので、当接部材の位置をフィルタの所定方向のサイズに合わせて調整することができる。そのため、様々なサイズのフィルタを所定方向に固定することができる。
【0010】
よって、このフィルタ洗浄機では、洗浄対象として様々なサイズのフィルタに対応可能である。
【0011】
なお、洗浄容器の開口は、洗浄容器の側面に形成されていてもよいし、洗浄容器の所定方向の他方側の面に形成されていてもよい。
【0012】
本発明の他の局面に係るフィルタ洗浄機は、フィルタを収容可能な洗浄容器と、洗浄容器内でフィルタを所定方向に延びる直線を中心に回転可能に支持するフィルタ支持部と、洗浄容器に形成された排出口に接続されて、排出口を通して容器内の空気を吸引する吸引部と、吸引部による吸引に伴って洗浄容器内に外気を導入する導入部とを含み、洗浄容器は、所定方向に中心線を有する半円筒形状の後壁部と、後壁部の周方向の両端からそれぞれ延設され、後壁部の直径の幅で互いに平行に延びる平板状の側壁部と、側壁部間に生じる開口を開閉する平板状の開閉扉とを備える。
【0013】
この構成によれば、洗浄対象のフィルタは、洗浄容器内に収容されて、フィルタ支持部により所定方向に延びる直線を中心に回転可能に支持される。洗浄容器には、排出口が形成されており、その排出口には、吸引部が接続されている。吸引部が作動すると、洗浄容器内の空気が排出口を通して吸引(排出)され、その吸引に伴って、導入部により洗浄容器内に外気が導入され、洗浄容器内に気流が発生する。そのため、導入部により導入される外気により、フィルタに付着している粉塵を吹き飛ばして除去することができ、そのフィルタから除去された粉塵を気流に乗せて排出口から排出することができる。
【0014】
そして、洗浄容器は、後壁部および1対の側壁部が所定方向に見てU字状をなし、側壁部間に生じる開口が平板状の開閉扉で開閉されるように構成されている。これにより、開口の幅を大きく確保することができるので、フィルタのサイズが大きくても、その大型のフィルタを開口から洗浄容器内に容易に収容することができる。
【0015】
よって、このフィルタ洗浄機では、洗浄対象として様々なサイズのフィルタに対応可能である。
【0016】
本発明の他の局面に係るフィルタ洗浄機においても、一の局面に係るフィルタ洗浄機と同様、フィルタ支持部は、フィルタの所定方向の一方側の端部を保持する保持機構と、所定方向に往復移動可能に設けられた当接部材を有し、保持機構に端部が保持されたフィルタに対して所定方向の一方側と反対側から当接部材を当接させて、フィルタを所定方向に固定する固定機構とを備える構成であってもよい。
【0017】
フィルタ洗浄機は、駆動力を発生するモータを備え、モータの駆動力で保持機構を直線を中心に回転させる駆動機構をさらに含む構成であってもよい。
【0018】
この構成では、モータの駆動力によりフィルタを積極的に回転させることができる。そのため、フィルタを回転させて、回転による遠心力をフィルタに付着している粉塵に作用させることにより、フィルタからの粉塵の分離効果を向上させることができ、フィルタをより清浄に洗浄することができる。
【0019】
保持機構は、所定方向に延びる支持軸と、支持軸が中心に位置する支持板と、支持軸の周囲に設けられる複数の拡開部材とを備える構成であってもよく、この場合、拡開部材は、押圧部と、押圧部に対して所定方向の前記反対側に設けられ、フィルタに対する拡開部材の挿入を案内する案内部とを有し、弾性部材により支持軸から離間する方向に付勢されていてもよい。
【0020】
この構成によれば、フィルタに拡開部材が挿入されると、拡開部材の押圧部が弾性部材の弾性力(付勢)によりフィルタに押圧される。これにより、フィルタと拡開部材との相対移動が抑制されるので、フィルタを保持機構により一体回転可能に保持することができる。しかも、拡開部材に案内部が設けられて、その案内部によりフィルタへの拡開部材の挿入が案内される。そのため、フィルタに拡開部材を容易に挿入することができ、フィルタを保持機構に保持させるのに要する手間を軽減することができる。
【0021】
当接部材は、一方側に向けて開いた円錐形状をなし、フィルタの外周縁部に当接することが好ましい。これにより、フィルタの回転時に、フィルタに偏心による軸ぶれが発生することを抑制できる。
【0022】
導入部は、開閉扉に貫通して設けられるノズルであってもよい。
【0023】
この構成では、ノズルから洗浄容器内に外気を勢いよく噴出させることができ、そのノズルから噴出される外気がフィルタに吹き付けられることにより、フィルタに付着している粉塵を効果的に分離させることができる。しかも、ノズルが開閉扉に貫通して設けられているので、開閉扉を開ければ、作業者が洗浄容器内に手を入れなくてもノズルのメンテナンスを行うことができる。
【0024】
フィルタ洗浄機は、洗浄容器内に空気を強制的に導入する強制導入部をさらに含む構成であってもよい。
【0025】
たとえば、フィルタの洗浄後に、洗浄容器内の空気を排出口から吸い出しつつ、洗浄容器内に空気を強制的に導入することにより、洗浄容器内の粉塵を気流に乗せて排出口から排出することができる。その結果、フィルタの洗浄後に洗浄容器内に残留する粉塵の量を少なくすることができる。
【0026】
強制導入部は、開閉扉の下端部を貫通して設けられ、洗浄容器内に導入される空気が流通する流通管と、開閉扉の内面に固定されて、流通管に対して流通管の中心線の方向から対向する対向部を有する風向調整部材とを備えていることが好ましい。
【0027】
この構成では、流通管から洗浄容器内に導入される空気が風向調整部材の対向部に衝突して、その空気の風向きが上方に変更される。これにより、開閉扉の内面に沿って空気が流れ、その空気により、開閉扉の内面に付着している粉塵が吹き飛ばされる、その結果、フィルタの洗浄後に、開閉扉が開かれたときに、開閉扉の内面に付着している粉塵が装置外に飛散ないしは落下することを抑制できる。
【0028】
所定方向は、上下方向であり、洗浄容器の底部には、保持機構と一体に回転する羽根が設けられていてもよい。
【0029】
この構成によれば、洗浄容器内の底部に溜まった粉塵を回転する羽根で排出口側に掻き寄せることができ、その掻き寄せられた粉塵を排出口から流出する気流に乗せて排出することができる。その結果、フィルタの洗浄後に洗浄容器内に残留する粉塵の量を少なくすることができる。
【0030】
洗浄容器内には、フィルタに当接して、フィルタの回転時にフィルタに衝撃を与える衝撃部材がさらに設けられていてもよい。
【0031】
この場合、フィルタに与えられる衝撃による振動でフィルタから粉塵を良好に分離させることができ、フィルタを一層清浄に洗浄することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、洗浄対象として様々なサイズのフィルタに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係るフィルタ洗浄機の正面図である。
図2】フィルタ洗浄機の右側面図である。
図3】フィルタ洗浄機の平面図である。
図4】洗浄容器の本体の正面図である。
図5】洗浄容器を水平面で切断したときの断面図である。
図6】強制導入部の構成を示す断面図である。
図7】フィルタ洗浄の際の手順を示す図である。
図8】衝撃部材を設ける変形例を説明するための図解的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0035】
<フィルタ洗浄機>
図1は、本発明の一実施形態に係るフィルタ洗浄機1の正面図である。図2は、フィルタ洗浄機1の右側面図である。図3は、フィルタ洗浄機1の平面図である。
【0036】
たとえば、粉粒体の空気輸送や乾燥などのプロセスでは、気流が使用され、そのプロセスのための装置には、気流に含まれる粉塵を捕集するフィルタFが設けられる。フィルタ洗浄機1は、フィルタFから粉塵を除去するため、フィルタFを洗浄(清掃)する装置である。フィルタFは、略円筒状をなし、その外周面に山と谷(凹凸)が周方向に交互に繰り返し現れる円筒型プリーツフィルタである。
【0037】
フィルタ洗浄機1には、フィルタFを収容して洗浄する洗浄容器2と、洗浄容器2でフィルタFから除去された粉塵を回収して集める集塵装置3と、洗浄容器2および集塵装置3を支持する略直方体形状の架台4とが含まれる。架台4の下面には、キャスタ5がその4隅に設けられている。キャスタ5には、アジャスタ6が付属している。フィルタ洗浄機1は、キャスタ5の車輪の転動により、容易に移動させることができ、アジャスタ6の調節により、床面に固定的に設置することができる。
【0038】
<洗浄容器>
図4は、洗浄容器2の本体11の正面図である。図5は、洗浄容器2を水平面で切断したときの断面図である。
【0039】
洗浄容器2は、本体11および開閉扉12を備えている。
【0040】
本体11は、正面が開放されて、フィルタFを立てた状態(フィルタFの中心線が上下方向に延びる状態)で収容可能な容器状に形成されている。具体的には、本体11は、半円筒形状の後壁部13と、後壁部13の左端から正面側に延設される平板状の左側壁部14と、後壁部13の右端から正面側に延設される平板状の右側壁部15と、後壁部13、左側壁部14および右側壁部15に3方が囲まれる空間を上方から閉塞する天壁部16と、当該空間を下方から閉塞する底壁部17とを一体に有しており、左側壁部14と右側壁部15とは、後壁部13の直径の幅で互いに平行をなして対向している。
【0041】
本体11の正面には、左側壁部14、右側壁部15、天壁部16および底壁部17の各前端(正面側の端)で囲まれる矩形状の開口19が形成されている。本体11内には、開口19を介して、フィルタFを出し入れすることができる。
【0042】
後壁部13の下端付近には、図2に示されるように、右側面視で円形の排出口21が形成されている。後壁部13には、排出口21の全周に接続されて、右側かつ後壁部13の外周面の接線に沿って延びる円筒状の接続管22が設けられている。
【0043】
また、本体11には、図4に示されるように、フィルタFを上下方向に延びる直線(鉛直線)を中心に回転可能に支持するフィルタ支持機構23が設けられている。フィルタ支持機構23には、フィルタFの下端部を保持する保持機構24と、フィルタFを上下方向に固定する固定機構25とが含まれる。
【0044】
保持機構24は、支持軸31、支持板32および複数の拡開部材33を備えている。
【0045】
支持軸31は、上下方向に延び、本体11の底壁部17および架台4の天板を回転可能に貫通している。架台4の天板の下方には、駆動機構34が設けられている。駆動機構34は、モータ35を駆動源として備えている。また、駆動機構34には、たとえば、支持軸31に相対回転不能に取り付けられた支持軸ギヤと、モータ35の回転軸に相対回転不能に取り付けられて、支持軸ギヤと噛合するモータギヤとが含まれる。これにより、モータ35が駆動されて、モータ35の回転軸が回転すると、その回転軸の回転がモータギヤから支持軸ギヤに伝達され、支持軸ギヤと一体に支持軸31が回転する。
【0046】
支持板32は、円形に形成されており、その中心に支持軸31が挿通されている。そして、支持板32は、底壁部17に対して間隔を空けて平行をなす状態で、支持軸31に固定されている。
【0047】
拡開部材33は、支持軸31の側方かつ支持板32の上方の位置で、支持軸31の周囲に等角度間隔(たとえば、90°間隔または120°間隔)で設けられている。拡開部材33は、上下方向に延びる板状をなし、押圧部36と、押圧部36に対して支持軸31側に湾曲ないしは屈曲して斜め上方に延びる案内部37とを一体に有している。各拡開部材33の押圧部36と支持軸31との間には、2個の支持部材38が上下方向に互いに間隔を空けて設けられている。各支持部材38は、支持軸31の径方向(以下、単に「径方向」という。)に延びている。各支持部材38の径方向外側の端部は、押圧部36に接続されている。支持軸31は、押圧部36と径方向に対向する部分が円筒状に形成されており、各支持部材38の径方向内側の端部は、支持軸31の周面に径方向に移動可能に挿通されている。各支持部材38の径方向内側の端には、支持部材38から周囲に張り出す鍔状のストッパ(図示せず)が設けられており、支持部材38は、そのストッパが支持軸31の内周面に当接するまで径方向外側に進出可能である。そして、拡開部材33の押圧部36と支持軸31との間には、コイルばね39(弾性部材)が各支持部材38の周囲に巻回された状態で設けられており、拡開部材33は、コイルばね39の弾性力により、支持軸31から離間する方向、つまり径方向の外側に向けて付勢されている。
【0048】
固定機構25は、貫通軸41および当接部材42を備えている。
【0049】
貫通軸41は、保持機構24の支持軸31と軸線を共通に有するように配置され、本体11の天壁部16を貫通して、天壁部16に回転可能かつ上下動可能に保持されている。
【0050】
当接部材42は、貫通軸41の下端に取り付けられている。当接部材42は、下側ほど内径が大きくなる略円錐形状をなし、その下面が開放されている。
【0051】
円筒型プリーツフィルタであるフィルタFが洗浄容器2の本体11内にセットされる際には、フィルタFが本体11の正面の開口19から本体11内に入れられる。そして、フィルタFの軸心空間にその下端から保持機構24の拡開部材33が挿入されて、フィルタFが保持機構24の支持板32上に載置される。フィルタFがセットされる前の通常状態において、拡開部材33の押圧部36は、フィルタFの内径よりも大きな径を有する円周上に配置されている。そのため、各拡開部材33がフィルタFの軸心空間に挿入されるときには、拡開部材33の案内部37がフィルタFの内周の下端に当接し、挿入が進むにつれて、フィルタFの内周の下端が案内部37上を押圧部36に向けて摺動し、拡開部材33がフィルタFの内周の下端から受ける力によりコイルばね39の弾性力に抗して支持軸31側に移動する。フィルタFが支持板32上に載置された状態では、各拡開部材33の押圧部36がコイルばね39の弾性力によりフィルタFの内周面に押圧され、これにより、フィルタFと拡開部材33との相対移動が抑制されて、フィルタFが保持機構24に一体回転可能に保持される。なお、押圧部36を付勢する手段は、コイルばね39には限定されず、板ばねやゴムなどの他の弾性部材であってもよい。
【0052】
フィルタFが支持板32上に載置された後、固定機構25の当接部材42が下げられて、当接部材42の内面がフィルタFの外周の上端に当接される。これにより、フィルタFの外周の上端が全周にわたって当接部材42に保持され、フィルタFの上下方向の位置が固定されて、フィルタFのセットが完了する。フィルタFのセット完了により、フィルタFは、フィルタ支持機構23により保持機構24の支持軸31の軸線を中心に回転可能に支持された状態となる。
【0053】
また、本体11の底壁部17と支持板32との間には、2枚の羽根43が支持軸31の周囲に180°間隔で設けられている。羽根43は、略矩形板状に形成され、支持板32の下面に固定されて、径方向および上下方向に延びている。羽根43の上下方向の寸法は、底壁部17と支持板32との間の距離よりも小さく、羽根43の下端は、底壁部17に接触しない。
【0054】
開閉扉12は、図5に示されるように、本体11の正面の開口19を開閉可能に設けられている。具体的には、本体11の左側壁部14には、上下方向に互いに間隔を空けた2箇所に、開閉軸51を保持する軸保持ブロック52が左側に突出して設けられている。上下の開閉軸51は、上下方向に延びる同一の開閉軸線上に配置され、軸保持ブロック52から上方に延出している。開閉扉12は、本体11の開口19の周縁部、つまり左側壁部14、右側壁部15、天壁部16および底壁部17の各前端に当接可能な略矩形平板状をなしている。開閉扉12の左側面53には、上下の開閉軸51にそれぞれ対応して、ブラケット54が取り付けられている。ブラケット54は、開閉扉12の左側面53に固定される固定板部55と、固定板部55の下端で直角に屈曲し、固定板部55の側方(開閉扉12が閉じた状態での左側)を開閉軸51に向けて延びる接続板部56とを一体に有している。接続板部56には、接続板部56が延びる方向に長い長穴が軸挿通穴57として形成されている。そして、上下のブラケット54の軸挿通穴57に開閉軸51が下側から挿通されることにより、開閉扉12は、開閉軸51を支点に、本体11の開口19の周縁部に当接して開口19を閉塞する閉位置と、その閉位置から正面側に展開して開口19を開放する開位置とに変位可能に設けられている。
【0055】
開閉扉12には、ノズル61が設けられている。ノズル61は、上下方向に延びる矩形板状のノズル保持板62を貫通するノズル部63と、ノズル部63の正面側に連続する外気導入部64とを一体的に有している。
【0056】
ノズル部63は、上下方向およびノズル保持板62と直交する方向に延び、ノズル部63の先端は、保持機構24の支持軸31の軸線(フィルタFの回転中心線)に向いている。ノズル部63内の空間は、一定幅のスリット状であり、ノズル部63の先端で開放されている。
【0057】
外気導入部64は、ノズル部63から離れるほど幅広となる断面略三角形状をなしている。これにより、外気導入部64内の空間は、ノズル部63に近づくほど幅が狭まっている。また、外気導入部64内の空間は、ノズル部63側と反対側に開放されている。
【0058】
一方、開閉扉12の左右方向の中央には、ノズル部63を挿通可能なスリットが形成されている。開閉扉12のスリットにノズル部63が開閉扉12の外側から挿入され、図1に示されるように、ノズル保持板62が開閉扉12の外面に上下左右4個のクランプ65で押圧されることにより、ノズル61は、開閉扉12に固定的に取り付けられる。
【0059】
また、開閉扉12には、下端部の左右2箇所に、強制導入部66が設けられている。強制導入部66は、図6に断面が示されるように、開閉扉12を貫通する円筒状の流通管67と、開閉扉12の内面に固定されて、流通管67に対して流通管67の中心線の方向から対向する対向部68を有する断面クランク状の風向調整部材69とを備えている。流通管67には、たとえば、外側からエアコンプレッサが接続されて、エアコンプレッサからの空気が強制的に導入される。流通管67に導入される空気は、流通管67を流通して、流通管67から流出し、風向調整部材69の対向部68に衝突して、その風向きが上方に変更される。これにより、流通管67から流出する空気は、開閉扉12の内面に沿って下方から上方に向かって流れる。
【0060】
<集塵装置>
集塵装置3は、サイクロン式の集塵方法を採用しており、図1および図3に示されるように、吸引分離部71および回収部72を備え、洗浄容器2から粉塵を含む空気を吸引分離部71に吸入して、吸引分離部71内で空気を旋回させ、その遠心力を利用して粉塵を分離させて回収部72に回収する。
【0061】
具体的には、吸引分離部71は、架台4に固定されたブラケット73に支持されて、上下方向に延びるように設けられている。吸引分離部71の上部側壁74は、円筒状に形成され、上部側壁74の下方に連続する下部側壁75は、下側ほど縮径する略円錐状に形成されている。上部側壁74には、右側面視で円形の吸引口76が形成されている。上部側壁74には、吸引口76の全周に接続されて、右側かつ上部側壁74の外周面の接線に沿って延びる円筒状の接続管77が設けられている。接続管77には、接続ホース78の一端部が接続されている。接続ホース78の他端部は、図4に示されるように、洗浄容器2の接続管22に接続されている。これにより、洗浄容器2の本体11内は、洗浄容器2の排出口21および接続管22、接続ホース78ならびに吸引分離部71の接続管77および吸引口76を介して、吸引分離部71内と連通している。
【0062】
吸引分離部71の天板81の中央には、吸気管82が挿通されている。吸気管82は、上下方向に延び、吸気管82の下端は、吸引分離部71内で下方に向けて開口している。吸気管82の上部の側壁には、円筒状の接続管83が接続されている。接続管83内には、吸気管82内と連通している。接続管83には、吸気ホース(図示せず)の一端部が接続される。吸気ホースの他端部は、たとえば、ブロワ(図示せず)の吸込口に接続されている。
【0063】
回収部72は、略直方体形状の容器であり、吸引分離部71の下端に取り付けられている。吸引分離部71の下端面は、開口しており、吸引分離部71内と回収部72内とは、その開口を介して互いに連通している。
【0064】
<フィルタ洗浄の手順>
図7は、フィルタFの洗浄の際の手順を示す図である。
【0065】
フィルタFの洗浄に際しては、洗浄容器2の開閉扉12が開かれて、洗浄対象のフィルタFが洗浄容器2の本体11内にセットされる(ステップS1)。フィルタFのセットの手法は、前述したので、ここでの説明は省略する。フィルタ洗浄機1は、様々なサイズのフィルタFに対応可能である。フィルタ洗浄機1は、たとえば、外径が100~200mmの範囲内で、長さが400~1000mmの範囲内のフィルタFを洗浄対象とするが、各部の寸法などを変更することにより、それ以外のサイズのフィルタFにも対応可能である。
【0066】
フィルタFのセットが完了した後、開閉扉12が閉じられる。開閉扉12が閉じられることにより、本体11の正面の開口19が閉塞される。これにより、排出口21およびノズル61以外の箇所において、洗浄容器2の内外での空気の流通がなくなる。本体11の右側壁部15の外面には、開閉扉12の開閉状態に応じた検出信号を出力するリミットスイッチ84が設けられており、フィルタ洗浄機1の動作を制御するコントローラに、そのリミットスイッチ84の検出信号が入力されるようになっている。開閉扉12が閉じられた後、たとえば、フィルタ洗浄機1に設けられた運転開始ボタンが押されることにより、フィルタ洗浄機1の運転開始が指示されると、コントローラにより、リミットスイッチ84の検出信号から開閉扉12の開閉状態が確認される。そして、コントローラにより、開閉扉12が閉じられていることが確認された場合には、フィルタ洗浄機1の運転が開始され、開閉扉12が閉じられておらず、開閉扉12が閉じられていることが確認されない場合には、フィルタ洗浄機1の運転は開始されない。また、フィルタ洗浄機1の運転中に開閉扉12が開かれて、リミットスイッチ84の検出信号が変化した場合、コントローラにより、フィルタ洗浄機1の運転が強制停止される。
【0067】
フィルタ洗浄機1の運転開始に伴い、集塵装置3の運転が開始されて、ルーツブロワの駆動が開始される(ステップS2:吸引開始)。ルーツブロワが駆動されると、吸引分離部71内の空気が吸気管82および接続管83を通して吸い出されて、吸引分離部71内に、吸引分離部71の下部側壁75の内面に沿って螺旋状に旋回しつつ下降した後、吸引分離部71の中央付近から吸気管82に向かう気流が発生する。また、それに伴って、洗浄容器2内の空気が排出口21から接続ホース78などを介して吸引分離部71内に吸引される。また、ノズル61の外気導入部64に外気が吸い込まれ、その外気がノズル部63から本体11内に向けて吹き出す。これにより、洗浄容器2内に、本体11の後壁部13の排出口21よりも左側の部分に沿って排出口21に向かう方向の気流が発生する。
【0068】
なお、ノズル部63から吹き出す空気の風速は、たとえば、50m/sに設定されており、この場合、排出口21から吸引される空気の風量は、4m/min程度となるが、それらの風速および風量は、とくに限定されない。ノズル部63から吹き出す空気の風速は、小さすぎると洗浄能力が低下し、大きすぎるとフィルタFを傷めるおそれがあるので、たとえば、20~100m/sの範囲内で適宜設定されてもよい。
【0069】
ノズル61の外気導入部64がノズル部63から離れるほど幅広となる断面略三角形状をなしているので、外気導入部64に外気が入りやすい。また、外気導入部64内の空間がノズル部63に向けて狭まっているので、ベンチュリ効果により、外気導入部64からノズル部63に流入する外気の流速が増加する。そのため、ノズル部63から流速が大きい気流が吹き出す。ノズル部63の先端が保持機構24の支持軸31の軸線に向いているので、ノズル部63から吹き出す気流は、フィルタFに対してその回転中心線に向けて吹き付けられる。なお、ノズル部63の向きは、軸線に対して傾斜していてもよい。
【0070】
集塵装置3の運転開始後、駆動機構34のモータ35の駆動が開始される(ステップS3:フィルタ回転開始)。モータ35の駆動開始により、モータ35の回転軸が回転し始めると、その回転が保持機構24の支持軸31に伝達されて、支持軸31とともに保持機構24の全体が回転し始め、フィルタFが保持機構24と一体的に回転し始める。フィルタFの上端の全周に固定機構25の当接部材42が当接していることにより、フィルタFの上端部の中心が保持機構24の回転軸線上からずれることが抑制され、その中心のずれによるフィルタFの軸ぶれが抑えられる。
【0071】
フィルタFに付着している粉塵は、フィルタFの回転による遠心力を受け、その遠心力によりフィルタFから振り落とされる。また、フィルタFが回転していることにより、フィルタFの外周面の360°全域に気流が吹き付けられる。しかも、ノズル部63から吹き出す気流がフィルタFに対してその回転中心線に向けて吹き付けられるので、フィルタFの外周面の谷間の奥まで気流が届く。これにより、フィルタFに付着している粉塵は、フィルタFの回転による遠心力に加えて、ノズル部63からの気流による風圧を受け、フィルタFの外周面の全表面から粉塵が良好に分離される。また、フィルタFの回転方向は、たとえば、洗浄容器2内に生じている気流と同じ方向に設定されている。そのため、フィルタFの回転による遠心力で径方向外側に飛ばされる粉塵は、フィルタFの外周を流れる気流に乗りやすく、その気流に乗って排出口21に向けて運ばれる。また、保持機構24の支持板32と一体に羽根43が回転することにより、洗浄容器2内の底部に溜まった粉塵がその回転する羽根43で排出口21側に掻き寄せられる。したがって、排出口21からは、洗浄容器2内でフィルタFから除去された粉塵を含む空気が排出される。
【0072】
なお、フィルタFの回転速度は、たとえば、300rpmに設定されているが、とくに限定されない。ただし、フィルタFの回転速度は、低すぎると遠心力による粉塵の除去効果が得られず、高すぎるとフィルタFを傷めるおそれがあるので、それらを考慮して適当な範囲に設定されるとよい。
【0073】
集塵装置3の吸引分離部71には、洗浄容器2の排出口21から排出される粉塵を含む空気が接続ホース78などを介して流入する。この粉塵を含む空気が吸引分離部71の下部側壁75の内面に沿って螺旋状に旋回しつつ下降する方向から吸気管82に向かう方向に向きを変えるときに、空気と空気に含まれる粉塵とが分離される。空気から分離された粉塵は、吸引分離部71の下端の開口から回収部72内に落下して集められ、粉塵が除去された空気は、吸気管82に吸引され、吸気管82から接続管83をルーツブロワに向けて流れる。
【0074】
フィルタFの回転開始(モータ35の駆動開始)から所定時間が経過すると、モータ35の駆動が停止されて、フィルタFの回転が停止される(ステップS4:フィルタ回転停止)。その後、必要に応じて、強制導入部66にエアコンプレッサが接続されて、エアコンプレッサからの空気が強制導入部66を介して洗浄容器2内に導入される。流通管67から流出する空気が風向調整部材69の対向部68に衝突して、その風向きが上方に変更されて、空気が開閉扉12の内面に沿って下方から上方に向かって流れることにより、開閉扉12の内面に付着している粉塵が吹き飛ばされて除去される。
【0075】
その後、集塵装置3の運転が停止されて、洗浄容器2内から集塵装置3への空気の吸引が停止される(ステップS5:吸引停止)。そして、固定機構25の当接部材42が上げられて、当接部材42がフィルタFから離間された後、フィルタFの下端部が保持機構24から外されて、フィルタFが本体11の正面の開口19を通して搬出される(ステップS6:フィルタ取り外し)。
【0076】
<作用効果>
以上のように、洗浄対象のフィルタFは、洗浄容器2内に収容されて、フィルタ支持機構23により上下方向に延びる直線を中心に回転可能に支持される。洗浄容器2には、排出口21が形成されており、その排出口21には、集塵装置3が接続されている。集塵装置3が作動すると、洗浄容器2内の空気が排出口21を通して集塵装置3に吸引され、その吸引に伴って、ノズル61を通して洗浄容器2内に外気が導入され、洗浄容器2内に気流が発生する。そのため、ノズル61により導入される外気により、フィルタFに付着している粉塵を吹き飛ばして除去することができ、そのフィルタFから除去された粉塵を気流に乗せて排出口21から排出することができる。
【0077】
そして、フィルタ支持機構23によるフィルタFの支持は、フィルタFの下端部が保持機構24に保持され、その保持されたフィルタFに対して上方から固定機構25の当接部材42が当接されて、フィルタFが上下方向に固定されることにより達成される。当接部材42が上下方向に往復移動可能に設けられているので、当接部材42の位置をフィルタFの上下方向のサイズに合わせて調整することができる。そのため、様々なサイズのフィルタFを上下方向に固定することができる。
【0078】
さらに、フィルタFの下端部が保持機構24に保持される際、保持機構25の拡開部材33がフィルタFに挿入されると、拡開部材33の押圧部36がコイルばね39の弾性力によりフィルタFに押圧される。これにより、フィルタFと拡開部材33との相対移動が抑制されて、フィルタFが保持機構24に一体回転可能に保持される。しかも、拡開部材36に案内部37が設けられており、その案内部37によりフィルタFへの拡開部材33の挿入が案内されるので、フィルタFに拡開部材36を容易に挿入することができる。よって、かかる構成により、フィルタFを保持機構24に保持させるのに要する手間を軽減することができる。
【0079】
また、洗浄容器2は、後壁部13、左側壁部14および右側壁部15が上下方向に見てU字状をなし、左側壁部14および右側壁部15間に生じる開口19が平板状の開閉扉12で開閉されるように構成されている。上下方向に見て、後壁部13が半円弧状をなし、左側壁部14および右側壁部15がそれぞれ直線状をなすことにより、本体11内には、後壁部13の内径に等しい円形領域よりも広い空間を確保することができる。また、開口19の左右方向の幅が後壁部13の内径に等しい幅となり、その幅を大きく確保することができる。そのため、フィルタFのサイズが大きくても、その大型のフィルタFを開口19から洗浄容器2内に収容することができる。
【0080】
よって、フィルタ洗浄機1では、洗浄対象として様々なサイズのフィルタFに対応可能である。
【0081】
フィルタ洗浄機1は、モータ35の駆動力で保持機構24を回転させる駆動機構34を備えている。フィルタFの洗浄時には、モータ35の駆動力により、フィルタFを積極的に回転させることができる。そのため、フィルタFを回転させて、回転による遠心力を粉塵に作用させることにより、フィルタFからの粉塵の分離効果を向上させることができ、フィルタFをより清浄に洗浄することができる。
【0082】
当接部材42は、一方側に向けて開いた円錐形状をなし、フィルタFの外周縁部に当接する。これにより、フィルタFの回転時に、フィルタFに軸ぶれ(偏心)が発生することを抑制でき、フィルタFを安定して回転させることができる。
【0083】
また、ノズル61が開閉扉12を貫通して設けられており、ノズル61から洗浄容器2内に外気を勢いよく噴出させることができ、そのノズル61から噴射される外気がフィルタFに吹き付けられることにより、フィルタFに付着している粉塵を効果的に分離させることができる。しかも、ノズル61が開閉扉12に貫通して設けられているので、開閉扉12を開ければ、作業者が洗浄容器2内に手を入れなくてもノズル61のメンテナンスを行うことができる。
【0084】
また、ノズル61は、クランプ65で開閉扉12に押圧されることにより、開閉扉12に固定的に取り付けられているので、クランプ65による押圧を解除することにより、開閉扉12から取り外すことができる。これにより、ノズル61を開閉扉12から取り外した状態で、ノズル61の清掃などのメンテナンスを行うこともできる。
【0085】
開閉扉12には、洗浄容器2内に空気を強制的に導入する強制導入部66が設けられている。たとえば、フィルタFの洗浄後に、洗浄容器2内の空気を排出口21から吸い出しつつ、強制導入部66から洗浄容器2内に空気を強制的に導入することにより、洗浄容器2内の粉塵を気流に乗せて排出口21から排出することができる。その結果、フィルタFの洗浄後に洗浄容器2内に残留する粉塵の量を少なくすることができる。
【0086】
また、強制導入部66は、開閉扉12の下端部を貫通して設けられ、洗浄容器2内に導入される空気が流通する流通管67と、開閉扉12の内面に固定されて、流通管67に対して流通管67の中心線の方向から対向する対向部68を有する風向調整部材69とを備えている。そのため、流通管67から洗浄容器2内に導入される空気が風向調整部材69の対向部に衝突して、その空気の風向きが上方に変更される。これにより、開閉扉12の内面に沿って空気が流れ、その空気により、開閉扉12の内面に付着している粉塵が吹き飛ばされる、その結果、フィルタFの洗浄後に、開閉扉12が開かれたときに、開閉扉12の内面に付着している粉塵が装置外に飛散ないしは落下することを抑制できる。
【0087】
洗浄容器2の底部には、保持機構24と一体に回転する羽根43が設けられている。これにより、洗浄容器2内の底部に溜まった粉塵を回転する羽根43で排出口21側に掻き寄せることができ、その掻き寄せられた粉塵を排出口21から流出する気流に乗せて排出することができる。その結果、フィルタFの洗浄後に洗浄容器2内に残留する粉塵の量を少なくすることができる。
【0088】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0089】
たとえば、図8に示されるように、洗浄容器2内に、衝撃部材91が設けられていてもよい。衝撃部材91は、上下方向に延びる板状をなし、ゴムなどの樹脂製で可撓性を有している。衝撃部材91は、たとえば、ノズル61のノズル部63に固定されて、ノズル部63からフィルタ支持機構23に支持されるフィルタFの回転中心線に向けて延出し、そのフィルタFの外周部に当接するように配置される。衝撃部材91は、上下方向に長く形成されて、1つ設けられていてもよいし、上下方向に間隔を空けて、複数設けられていてもよい。
【0090】
フィルタFの回転時に、衝撃部材91がフィルタFの山の先端部に順次に衝突して、その衝突による衝撃がフィルタFに与えられる。これにより、フィルタFが振動し、その振動でフィルタFから粉塵を良好に分離させることができる。その結果、フィルタFを一層清浄に洗浄することができる。
【0091】
集塵装置3の吸引源は、ブロワの種類にはよらず、リングブロワやルーツブロワなどであってもよいし、真空ポンプなどの負圧源であってもよい。
【0092】
また、フィルタ洗浄機1の洗浄対象のフィルタは、粉粒体の空気輸送や乾燥などのプロセスで使用される気流から粉塵を除去するフィルタFに限らず、エアコンディショナにおいて気流が通過する流路に設けられる集塵フィルタなど、他の種類のフィルタであってもよい。
【0093】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0094】
1:フィルタ洗浄機
2:洗浄容器
3:集塵装置(吸引部)
12:開閉扉
13:後壁部
14:左側壁部(側壁部)
15:右側壁部(側壁部)
19:開口
21:排出口
23:フィルタ支持機構(フィルタ支持部)
24:保持機構
25:固定機構
33:拡開部材
34:駆動機構
35:モータ
36:押圧部
37:案内部
39:コイルばね(弾性部材)
42:当接部材
43:羽根
61:ノズル
66:強制導入部
67:流通管
68:対向部
69:風向調整部材
71:吸引分離部(吸引部)
91:衝撃部材
F:フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8