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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】配送管理装置及び配送管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0832 20230101AFI20241028BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20241028BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20241028BHJP
【FI】
G06Q10/0832
B65G61/00 520
G16H10/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020125298
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2022021620
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-07-12
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度 国立研究開発法人科学技術振興機構 研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム 社会還元加速プログラム(SCORE)産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】枝村 一弥
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-211007(JP,A)
【文献】特開2018-019685(JP,A)
【文献】特開2006-180763(JP,A)
【文献】特開2018-110604(JP,A)
【文献】特許第6709479(JP,B1)
【文献】国際公開第2019/069772(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B65G 61/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分化により増殖した幹細胞の移植を伴う治療を要する患畜の体重情報と、発注元とを含む患畜情報を取得する患畜情報取得部と、
単位重量と、パッケージとして所定の容器に収容された前記単位重量に応じた前記幹細胞の数とを示す情報を取得するパッケージ情報取得部と、
取得された前記患畜情報に含まれる前記体重情報に基づいて、前記パッケージの数を含む配送量を算出する算出部と、
前記患畜情報に含まれる前記発注元と、算出された配送量とを含む配送情報を出力する配送情報出力部と
を備える配送管理装置。
【請求項2】
前記単位重量は、第1単位重量と、前記第1単位重量の実数倍である第2単位重量とを有し、
前記パッケージは、前記第1単位重量に応じた前記幹細胞の数が所定の容器に収容された第1パッケージと、前記第2単位重量に応じた前記幹細胞の数が所定の容器に収容された第2パッケージとを有し、
前記パッケージ情報取得部は、前記第1単位重量と、前記第1パッケージとして所定の容器に収容された前記第1単位重量に応じた前記幹細胞の数と、前記第2単位重量と、前記第2パッケージとして所定の容器に収容された前記第2単位重量に応じた前記幹細胞の数とを取得する
請求項1に記載の配送管理装置。
【請求項3】
前記第2単位重量に応じた前記幹細胞の数とは、前記第1単位重量に応じた前記幹細胞の数の前記実数倍である
請求項2に記載の配送管理装置。
【請求項4】
前記患畜情報は、前記患畜の疾患の種類を示す疾患情報を含み、
前記患畜情報取得部は、前記疾患情報が含まれる前記患畜情報を取得し、
前記算出部は、前記疾患情報に応じて重みづけされた重みに基づいて、前記パッケージの数を含む配送量を算出する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配送管理装置。
【請求項5】
前記算出部により算出された前記配送量の前記パッケージが配送されたか否かを示す情報と、配送された前記パッケージが前記患畜の治療に使用されたか否かを示す情報とを管理する情報管理部を更に備える
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配送管理装置。
【請求項6】
前記情報管理部は、
出力された前記配送情報に基づき、配送された前記パッケージが使用されたことを示す使用済情報を取得する使用済情報取得部と、
前記配送情報出力部により出力された前記配送情報と、前記使用済情報取得部により取得された前記使用済情報とに基づき、配送された前記パッケージが使用された否かを判定する判定部とを備える
請求項5に記載の配送管理装置。
【請求項7】
前記所定の容器は、開封されたことを検知する検知部を備え、
前記使用済情報取得部は、前記検知部により検知された情報に基づく前記使用済情報を取得する
請求項6に記載の配送管理装置。
【請求項8】
コンピュータが、分化により増殖した幹細胞の移植を伴う治療を要する患畜の体重情報と、発注元とを含む患畜情報を取得する患畜情報取得工程と、
コンピュータが、単位重量と、パッケージとして所定の容器に収容された前記単位重量に応じた前記幹細胞の数とを示す情報を取得するパッケージ情報取得工程と、
コンピュータが、取得された前記患畜情報に含まれる前記体重情報に基づいて、前記パッケージの数を含む配送量を算出する算出工程と、
コンピュータが、前記患畜情報に含まれる前記発注元と、算出された配送量とを含む配送情報を出力する配送情報出力工程と
を有する配送管理方法。
【請求項9】
コンピュータが、分化により増殖した幹細胞の移植を伴う治療を要する患畜の体重情報と、発注元とを含む患畜情報を取得する患畜情報取得工程と、
コンピュータが、単位重量と、パッケージとして所定の容器に収容された前記単位重量に応じた前記幹細胞の数とを示す情報を取得するパッケージ情報取得工程と、
コンピュータが、取得された前記患畜情報に含まれる前記体重情報に基づいて、前記パッケージの数を含む配送量を算出する算出工程と、
コンピュータが、前記患畜情報に含まれる前記発注元と、算出された配送量とを含む配送情報を出力する配送情報出力工程と、
コンピュータが、出力された前記配送情報に基づき、配送された前記パッケージが使用されたことを示す使用済情報を取得する使用済情報取得工程と、
コンピュータが、前記配送情報出力工程により出力された前記配送情報と、前記使用済情報取得工程により取得された前記使用済情報とに基づき、配送された前記パッケージが使用された否かを判定する判定工程と
を有する配送管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送管理装置及び配送管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、iPS(induced pluripotent stem)細胞や間葉系幹細胞等の幹細胞を用いて、イヌ等の患畜の疾患を治療する技術があった(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-050379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
幹細胞を用いた治療をする場合、幹細胞を増殖させるための施設は、分化により増殖した幹細胞を患畜のいる動物病院等の施設まで配送する。獣医は動物病院等の施設にて、配送された幹細胞を用いた治療を行う。ここで、動物病院は、治療を要する患畜や当該患畜の疾患に応じて治療に要する幹細胞を発注するため、幹細胞の発注から到着までに時間がかかる場合には、疾患の状態が悪化する場合がある。したがって、動物病院等の施設においては、幹細胞を発注してから到着するまでの期間を短くしてほしいといった要求があった。また、動物病院等の施設においては、配送にかかるコストを低減してほしい等の要求があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、幹細胞の配送を効率よく行うことが可能な配送管理技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る配送管理装置は、分化により増殖した幹細胞の移植を伴う治療を要する患畜の体重情報と、発注元とを含む患畜情報を取得する患畜情報取得部と、単位重量と、パッケージとして所定の容器に収容された前記単位重量に応じた前記幹細胞の数とを示す情報を取得するパッケージ情報取得部と、取得された前記患畜情報に含まれる前記体重情報に基づいて、前記パッケージの数を含む配送量を算出する算出部と、前記患畜情報に含まれる前記発注元と、算出された配送量とを含む配送情報を出力する配送情報出力部とを備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る配送管理装置において、前記単位重量は、第1単位重量と、前記第1単位重量の実数倍である第2単位重量とを有し、前記パッケージは、前記第1単位重量に応じた前記幹細胞の数が所定の容器に収容された第1パッケージと、前記第2単位重量に応じた前記幹細胞の数が所定の容器に収容された第2パッケージとを有し、前記パッケージ情報取得部は、前記第1単位重量と、前記第1パッケージとして所定の容器に収容された前記第1単位重量に応じた前記幹細胞の数と、前記第2単位重量と、前記第2パッケージとして所定の容器に収容された前記第2単位重量に応じた前記幹細胞の数とを取得する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る配送管理装置において、前記第2単位重量に応じた前記幹細胞の数とは、前記第1単位重量に応じた前記幹細胞の数の前記実数倍である。
【0009】
また、本発明の一態様に係る配送管理装置において、前記患畜情報は、前記患畜の疾患の種類を示す疾患情報を含み、前記患畜情報取得部は、前記疾患情報が含まれる前記患畜情報を取得し、前記算出部は、前記疾患情報に応じて重みづけされた重みに基づいて、前記パッケージの数を含む配送量を算出する。
【0010】
また、本発明の一態様に係る配送管理装置において、前記算出部により算出された前記配送量の前記パッケージが配送されたか否かを示す情報と、配送された前記パッケージが前記患畜の治療に使用されたか否かを示す情報とを管理する情報管理部を更に備える。
【0011】
また、本発明の一態様に係る配送管理装置において、前記情報管理部は、出力された前記配送情報に基づき、配送された前記パッケージが使用されたことを示す使用済情報を取得する使用済情報取得部と、前記配送情報出力部により出力された前記配送情報と、前記使用済情報取得部により取得された前記使用済情報とに基づき、配送された前記パッケージが使用された否かを判定する判定部とを備える。
【0012】
また、本発明の一態様に係る配送管理装置において、前記所定の容器は、開封されたことを検知する検知部を備え、前記使用済情報取得部は、前記検知部により検知された情報に基づく前記使用済情報を取得する。
【0013】
また、本発明の一態様に係る配送管理方法は、コンピュータが、分化により増殖した幹細胞の移植を伴う治療を要する患畜の体重情報と、発注元とを含む患畜情報を取得する患畜情報取得工程と、コンピュータが、単位重量と、パッケージとして所定の容器に収容された前記単位重量に応じた前記幹細胞の数とを示す情報を取得するパッケージ情報取得工程と、コンピュータが、取得された前記患畜情報に含まれる前記体重情報に基づいて、前記パッケージの数を含む配送量を算出する算出工程と、コンピュータが、前記患畜情報に含まれる前記発注元と、算出された配送量とを含む配送情報を出力する配送情報出力工程とを有する。
【0014】
また、本発明の一態様に係る配送管理方法は、コンピュータが、分化により増殖した幹細胞の移植を伴う治療を要する患畜の体重情報と、発注元とを含む患畜情報を取得する患畜情報取得工程と、コンピュータが、単位重量と、パッケージとして所定の容器に収容された前記単位重量に応じた前記幹細胞の数とを示す情報を取得するパッケージ情報取得工程と、コンピュータが、取得された前記患畜情報に含まれる前記体重情報に基づいて、前記パッケージの数を含む配送量を算出する算出工程と、コンピュータが、前記患畜情報に含まれる前記発注元と、算出された配送量とを含む配送情報を出力する配送情報出力工程と、コンピュータが、出力された前記配送情報に基づき、配送された前記パッケージが使用されたことを示す使用済情報を取得する使用済情報取得工程と、コンピュータが、前記配送情報出力工程により出力された前記配送情報と、前記使用済情報取得工程により取得された前記使用済情報とに基づき、配送された前記パッケージが使用された否かを判定する判定工程とを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、幹細胞の配送を効率よく行うことが可能な配送管理技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態に係る配送システムの概略の一例を説明するための図である。
図2】第1の実施形態に係る配送センターの構成の一例を説明するための図である。
図3】第1の実施形態に係る幹細胞の培養システムの一例について説明するための図である。
図4】第1の実施形態に係る患畜情報について説明するための図である。
図5】第1の実施形態に係る管理装置の機能構成図の一例である。
図6】第1の実施形態に係るパッケージ情報記憶部が記憶するパッケージ情報の一例を説明するための図である。
図7】第1の実施形態に係る配送システムにおける患畜情報と、配送されるパッケージの量との対応関係について説明するための図である。
図8】第1の実施形態に係る算出部が重みづけを考慮して配送量を算出する場合の変形例について説明するための図である。
図9】第2の実施形態に係る管理装置の機能構成図の一例である。
図10】第2の実施形態に係るパッケージの一例を説明するための図である。
図11】第2の実施形態に係る配送情報記憶部が記憶する配送情報の一例を説明するための図である。
図12】第2の実施形態に係る配送情報記憶部が記憶する配送情報の変形例を説明するための図である。
図13】第2の実施形態に係るパッケージの変形例を説明するための図である。
図14】第2の実施形態に係るパッケージの変形例を用いた場合の配送セットの一例を説明するための図である。
図15】第2の実施形態に係るパッケージの第2の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施形態]
以下、本発明に係る第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1の実施形態に係る配送システム1の概略の一例を説明するための図である。同図を参照しながら、配送システム1の概略について説明する。
配送システム1は、動物病院2と、配送センター3とを備える。
【0018】
動物病院2は、獣医により、治療を要する動物(以後、患畜と記載する。)の診断をし、患畜の治療を行うための施設である。患畜が治療のために幹細胞の移植を伴う治療を要すると判断された場合において、動物病院2は、配送センター3に対し幹細胞の発注を行う。本実施形態において、幹細胞の発注は、患畜の種類、患畜の体重や身長等の個体値、疾患の種類等に応じて行われる。
【0019】
本実施形態において、幹細胞とは、多分化能及び自己複製能を有する細胞を広く含む。以後の説明において、幹細胞とは、例えば間葉系幹細胞である場合の一例について説明する。
【0020】
本実施形態において、患畜とは、幹細胞の移植を伴う治療を要する動物を広く含み、動物の種類は限定されない。以後の説明において、患畜とは、例えばイヌである場合の一例について説明する。
【0021】
配送センター3は、幹細胞を培養し増殖させるための施設である。配送センター3は、動物病院2からの注文に備え、培養した幹細胞を保管する。配送センター3は、管理装置(配送管理装置)10を備える。配送センター3は、動物病院2から幹細胞の注文を受注すると、管理装置10により患畜の治療に要する幹細胞の数を算出し、算出した数の幹細胞を動物病院2に対し配送する。
【0022】
図2は、第1の実施形態に係る配送センター3の構成の一例を説明するための図である。同図を参照しながら、第1の実施形態に係る配送センター3の詳細について説明する。
配送センター3は、管理装置10と、培養装置310と、配送センター端末320とを備える。
【0023】
培養装置310は、幹細胞を培養し増殖させる。培養装置310は、培養した幹細胞を、所定の容器に収容し、保管する。
図3は、第1の実施形態に係る幹細胞の培養システム8の一例について説明するための図である。同図を参照しながら、培養装置310における幹細胞の培養システム8の一例について説明する。
【0024】
幹細胞80は、培養装置310において、複数の幹細胞81に分化する。分化した複数の幹細胞81は、所定の容器に収容される。所定の容器には、所定の数の幹細胞が収容される。以後、所定の数の幹細胞が収容された容器を、パッケージ85と記載する。本実施形態において、パッケージ85は、複数の種類のパッケージに分類される。以後の説明においては、例えば、パッケージ85は、第1パッケージ851と、第2パッケージ852とに分類される場合の一例について説明する。第1パッケージ851及び第2パッケージ852には、異なる数の幹細胞が収容される。
培養装置310は、培養した複数の幹細胞81の情報又は収容したパッケージ85の情報等を含む情報である培養情報ICを、配送センター端末320に出力する。
【0025】
なお、本実施形態において、所定の容器の形状等は限定されない。以後の説明において、特に限定しない場合においては、所定の容器がアンプルである場合について説明する。例えば、所定の容器とは、注射器のシリンジであってもよいし、点滴の輸液容器であってもよい。
【0026】
図2に戻り、管理装置10は、病院端末20から患畜情報IPを取得する。患畜情報IPには、体重情報IWが含まれる。
病院端末20とは、動物病院2に備えられ、情報処理機能及び所定の通信機能を有する情報端末である。病院端末20は、専用端末であってもよいし、汎用端末であってもよい。病院端末20は、動物病院2に常設されていなくてもよく、例えば、タブレット端末やスマートフォン等の持ち運び可能な情報端末であってもよい。
【0027】
患畜情報IPとは、幹細胞の移植を伴う治療を要する患畜の情報である。患畜情報IPの一例について図を参照しながら、説明する。
図4は、第1の実施形態に係る患畜情報IPの一例について説明するための図である。
患畜情報IPとは、例えば、“患畜ID”、“病院ID”、“疾患の種類”、“犬種”、“年齢”、“体重”、“性別”等の情報が対応づけられた情報である。“患畜ID”とは、幹細胞の移植を伴う治療を要する患畜を識別する識別情報である。“病院ID”とは、当該患畜が治療を受けている動物病院2を識別する識別情報である。“疾患の種類”とは、当該患畜が有する疾患の種類を示す情報である。“犬種”とは、当該患畜の犬種を示す情報である。“年齢”とは、当該患畜の年齢を示す情報である。“体重”とは、当該患畜の体重を示す情報である。“性別”とは、当該患畜の性別を示す情報である。
【0028】
図4に示す一例において、患畜情報IP1は、“患畜ID”が001、“病院ID”が〇〇動物病院、“疾患の種類”が神経疾患(椎間板ヘルニア)、“犬種”がゴールデンレトリバー、“年齢”が1歳、“体重”が27.8kg(キログラム)、“性別”がオスである患畜の情報を示している。患畜情報IP2は、“患畜ID”が002、“病院ID”が△△ペットクリニック、“疾患の種類”が自己免疫性疾患(多発性関節炎)、“犬種”がフレンチブルドッグ、“年齢”が6か月、“体重”が7.0kg、“性別”がメスである患畜の情報を示している。
【0029】
図2に戻り、管理装置10は、病院端末20から患畜情報IPを取得する。本実施形態において、患畜情報IPは、少なくとも患畜の体重を示す情報である体重情報IWを含む。
管理装置10は、取得した患畜情報IPに基づき、配送する幹細胞の数(すなわち、パッケージ85の種類と数)を算出し、算出した幹細胞の数を含む情報を、配送情報IDとして配送センター端末320に出力する。
【0030】
配送センター端末320は、培養装置310から培養情報ICを取得し、管理装置10から配送情報IDを取得する。配送センター3は、取得した配送情報IDに基づき、動物病院2に、幹細胞が収容された所定の容器(すなわち、パッケージ85)を配送する。配送センター端末320は、動物病院2に幹細胞が収容された所定の容器が配送されると、配送情報IDDを出力する。
【0031】
なお、配送センター端末320は、受注の状況に基づき、培養装置310に培養させる幹細胞の数を制御するよう構成してもよい。受注の状況に基づき、培養装置310に培養させる幹細胞の数を制御する場合、培養装置310は、培養した幹細胞80とパッケージ85の数とを、培養情報ICとして配送センター端末320に出力してもよい。配送センター端末320は、例えば、管理装置10から取得する配送情報IDに基づき、在庫が少ないパッケージ85や、在庫が過剰なパッケージ85の種類等を、培養要求CREQとして培養装置310に出力してもよい。
【0032】
図5は、第1の実施形態に係る管理装置10の機能構成図の一例である。同図を参照しながら、管理装置10の機能構成について説明する。管理装置10は、パッケージ情報取得部110と、患畜情報取得部120と、算出部130と、配送情報出力部140とを備える。
【0033】
パッケージ情報取得部110は、パッケージ情報記憶部15から、パッケージ情報IPKGを取得する。パッケージ情報IPKGとは、パッケージ85についての情報である。パッケージ85は、単位重量UWに応じた数の幹細胞が所定の容器に収容される。パッケージ情報IPKGは、単位重量UWと、パッケージ85として所定の容器に収容された単位重量に応じた幹細胞の数CNとを含む。すなわち、パッケージ情報取得部110は、パッケージ情報IPKGを取得することにより、単位重量UWと、パッケージ85として所定の容器に収容された単位重量UWに応じた幹細胞の数CNを示す情報とを取得する。
【0034】
パッケージ情報IPKGについての詳細を、図を参照しながら説明する。
図6は、第1の実施形態に係るパッケージ情報記憶部15が記憶するパッケージ情報IPKGの一例を説明するための図である。
パッケージ情報IPKGは、少なくとも“単位重量UW”と、“幹細胞の数CN”とが対応づけられた情報である。パッケージ情報IPKGは、パッケージ85の種類ごとに定義され、パッケージ85に対応する単位重量UWと、パッケージ85の所定の容器に収容される幹細胞の数CNとを含む。本実施形態において、パッケージ85は、第1パッケージ851と第2パッケージ852とに分類されるため、パッケージ情報IPKGとして、第1パッケージ851に対応する第1パッケージ情報IPKG1と、第2パッケージ852に対応する第2パッケージ情報IPKG2とが定義される。
【0035】
以後、第1パッケージ情報IPKG1の単位重量UWを、第1単位重量UW1と記載し、第2パッケージ情報IPKG2の単位重量UWを、第2単位重量UW2と記載する。第2単位重量UW2は、第1単位重量UW1の実数倍である。すなわち、本実施形態において、単位重量UWは、第1単位重量UW1と、第1単位重量UW1の実数倍である第2単位重量UW2とを有する。パッケージ85は、第1単位重量UW1に応じた幹細胞の数CNが所定の容器に収容された第1パッケージ851と、第2単位重量UW2に応じた幹細胞の数CNが所定の容器に収容された第2パッケージとを有する。
第2単位重量UW2に応じた幹細胞の数CNとは、第1単位重量UW1に応じた幹細胞の数CNの実数倍である。具体的には、単位重量UWが実数倍になることに応じて、幹細胞の数CNも実数倍となるよう構成される。
【0036】
図6に示す一例においては、第1パッケージ情報IPKG1は、“単位重量UW”が1kgであり、“幹細胞の数CN”が1×10個である。また、第2パッケージ情報IPKG2は、“単位重量UW”が10kgであり、“幹細胞の数CN”が1×10個である。
パッケージ情報取得部110は、第1単位重量UW1と、第1パッケージIPKG1として所定の容器に収容された第1単位重量UW1に応じた幹細胞の数CNと、第2単位重量UW2と、第2パッケージとして所定の容器に収容された第2単位重量UW2に応じた幹細胞の数とを取得する。
【0037】
患畜情報取得部120は、患畜情報IPを取得する。患畜情報IPは、少なくとも、幹細胞の移植を伴う治療を要する患畜の体重情報IWと、幹細胞を発注した動物病院2を識別する病院ID等の発注元の情報とを含む。配送センター3は、発注元に対し、分化により増殖した幹細胞を配送する。すなわち、患畜情報取得部120は、分化により増殖した幹細胞の移植を伴う治療を要する患畜の体重情報IWと、発注元とを含む患畜情報IPを取得する。
【0038】
算出部130は、取得された患畜情報IPに含まれる体重情報IWに基づいて、パッケージ85の数を含む配送量を算出する。具体的には、算出部130は、体重情報IWに基づいて、発注元に配送するパッケージ85の種類と数とを算出する。より具体的には、算出部130は、体重情報IWに示される体重と、パッケージ85に応じた単位重量UWとに基づき、体重情報IWに示される体重を満たす好適な構成のパッケージ85を算出してもよい。例えば、図4に示した患畜情報IP1においては、体重情報IWは27.8kgである。この場合、算出部130は、図5に示したパッケージ情報IPKGを参照し、第1パッケージ851を8個と、第2パッケージ852を2個とを配送量として算出する。
【0039】
なお、算出部130は、体重情報IWに示される体重と、パッケージ85に応じた単位重量UWとに基づき、体重情報IWに示される体重を満たす最小の数の構成となるようパッケージ85を算出してもよい。例えば、図4に示した患畜情報IP1においては、体重情報IWは27.8kgである。この場合、算出部130は、図5に示したパッケージ情報IPKGを参照し、第1パッケージ851を0個と、第2パッケージ852を3個とを配送量として算出してもよい。
なお、算出部130は、配送量を算出する際、体重情報IWが示す体重のうちパッケージ情報IPKGの最小の単位重量UWに基づき、切り上げてもよい。例えば、図5の一例においては、最小の単位重量UWは1kgであるため、算出部130は、患畜情報IP1の体重情報IWである27.8kgを、28kgに切り上げてもよい。
【0040】
例えば、図4に示した患畜情報IP2においては、体重情報IWは7.0kgである。この場合、算出部130は、図5に示したパッケージ情報IPKGを参照し、第1パッケージ851を7個と、第2パッケージ852を0個とを配送量として算出する。
なお、体重情報IWに示される体重を満たす最小の数の構成となるようパッケージ85を算出する場合、算出部130は、第1パッケージ851を0個と、第2パッケージ852を1個とを配送量として算出してもよい。
算出部130は、算出した配送量と、患畜情報IPとを含む情報を配送情報IDとして、配送情報出力部140として出力する。
【0041】
図5に戻り、配送情報出力部140は、算出部130から配送情報IDを取得する。配送情報出力部140は、取得した配送情報IDを、所定の通信方式により出力する。例えば、配送情報出力部140は、配送情報IDを配送センター端末320に出力する。すなわち、配送情報出力部140は、患畜情報IPに含まれる発注元と、算出された配送量とを含む配送情報IDを出力する。
【0042】
次に、図を参照しながら、配送センター3が動物病院2から患畜情報IPを取得し、幹細胞を配送する場合の一例について説明する。特に、患畜情報IPと、配送されるパッケージの量との対応関係について説明する。
図7は、第1の実施形態に係る配送システム1における患畜情報IPと、配送されるパッケージの量との対応関係について説明するための図である。同図における一例では、動物病院2として、動物病院2-1と、動物病院2-2と、動物病院2-3とが配送システム1を使用する場合の一例について説明する。
【0043】
動物病院2-1は、配送センター3に、患畜情報IP11を出力する。患畜情報IP11には、体重情報IW11が含まれる。配送センター3は、管理装置10により配送すべきパッケージ85の配送量を算出し、算出した分のパッケージ85を動物病院2-1に配送する。この一例において、体重情報IW11は、13kgであるため、配送量は第1パッケージ851(1kg)が3個と、第2パッケージ852(10kg)が1個である。
動物病院2-2は、配送センター3に、患畜情報IP12を出力する。患畜情報IP12には、体重情報IW12が含まれる。配送センター3は、管理装置10により配送すべきパッケージ85の配送量を算出し、算出した分のパッケージ85を動物病院2-2に配送する。この一例において、体重情報IW12は、7kgであるため、配送量は第1パッケージ851(1kg)が7個と、第2パッケージ852(10kg)が0個である。
動物病院2-3は、配送センター3に、患畜情報IP13を出力する。患畜情報IP13には、体重情報IW13が含まれる。配送センター3は、管理装置10により配送すべきパッケージ85の配送量を算出し、算出した分のパッケージ85を動物病院2-3に配送する。この一例において、体重情報IW13は、9.5kgであるため、配送量は第1パッケージ851(1kg)が0個と、第2パッケージ852(10kg)が1個である。
【0044】
なお、管理装置10は、体重情報IW以外の情報に基づいて、配送量を算出するよう構成してもよい。例えば、管理装置10は、疾患の種類に応じて、重みづけを考慮して配送量を算出してもよい。疾患の種類に応じて重みづけを考慮して配送量を算出する場合、患畜情報IPは、患畜の疾患の種類を示す疾患情報を含む。患畜情報取得部120は、疾患情報が含まれる患畜情報IPを取得する。算出部130は、疾患情報に応じて重みづけされた重みに基づいて、パッケージ85の数を含む配送量を算出する。
【0045】
図8は、第1の実施形態に係る算出部130が重みづけを考慮して配送量を算出する場合の変形例について説明するための図である。同図を参照しながら疾患の種類に応じて、重みづけを考慮して配送量を算出する場合の一例について説明する。
疾患の種類に応じて重みづけを考慮して配送量を算出する場合、算出部130は、患畜情報IPに含まれる疾患の種類に応じて、重みづけを行う。図8に示す一例において、疾患の種類が神経疾患(椎間板ヘルニア)の場合の重みは2.0であり、疾患の種類が自己免疫性疾患(多発性関節炎)の場合の重みは4.0であり、疾患の種類がその他である場合の重みは1.0である。
【0046】
例えば、図4に示した患畜情報IP1においては、体重情報IWは27.8kgであり、疾患の種類は、神経疾患(椎間板ヘルニア)である。この一例において、疾患の種類が神経疾患(椎間板ヘルニア)の場合の重みは2.0であるため、算出部130は、パッケージ情報IPKGに2倍の重みづけを行い、配送量を算出する。重みが2.0である場合、第1パッケージ情報IPKG1の単位重量UWは1kgから0.5kgとなり、第2パッケージ情報IPKG2の単位重量UWは10kgから5kgとなる。したがって、この一例において、算出部130は、第1パッケージ851(0.5kg)が6個と、第2パッケージ852(5kg)が5個とを、配送量として算出する。
【0047】
例えば、図4に示した患畜情報IP2においては、体重情報IWは7.0kgであり、疾患の種類は、自己免疫性疾患(多発性関節炎)である。この一例において、疾患の種類が自己免疫性疾患(多発性関節炎)の場合の重みは4.0であるため、算出部130は、パッケージ情報IPKGに4.0倍の重みづけを行い、配送量を算出する。重みが4.0である場合、第1パッケージ情報IPKG1の単位重量UWは1kgから0.25kgとなり、第2パッケージ情報IPKG2の単位重量UWは10kgから2.5kgとなる。したがって、この一例において、算出部130は、第1パッケージ851(0.25kg)が8個と、第2パッケージ852(2.5kg)が2個とを、配送量として算出する。
【0048】
なお、管理装置10は、疾患の種類以外の情報に応じて、重みづけを考慮して配送量を算出してもよい。管理装置10は、例えば、動物の種類、(動物がイヌである場合は)犬種、年齢、体重、性別等の情報に応じて、重みづけを考慮して配送量を算出してもよい。重みづけ情報は、動物病院2により任意の値が設定され、患畜情報IPと共に、管理装置10に出力されてもよい。
【0049】
[第1の実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、管理装置10は、患畜情報取得部120を備えることにより患畜情報IPを取得し、パッケージ情報取得部110を備えることにより、パッケージ情報IPKGを取得する。管理装置10は、算出部130を備えることにより、取得した患畜情報IPとパッケージ情報IPKGとに基づいて、配送量を算出する。管理装置10は、配送情報出力部140を備えることにより算出された配送料を配送情報IDとして出力する。すなわち、本実施形態によれば、患畜の体重に基づいて、配送する幹細胞の数を算出することができる。
また、本実施形態によれば、患畜の体重に基づいた幹細胞の数を算出することができるため、効率よく、治療に要する幹細胞を患畜に配送することができる。
【0050】
また、以上説明した実施形態によれば、管理装置10において、単位重量に応じた数の幹細胞が所定の容器に収容される。また、本実施形態によれば、複数の単位重量のうち、それぞれの単位重量に応じた数の幹細胞が、パッケージ85として所定の容器に収容される。算出部130は、好適な種類のパッケージ85と、その数を算出する。
したがって、本実施形態によれば、管理装置10は、患畜の体重に応じた好適な種類のパッケージ85と、その数を算出することができる。
【0051】
また、以上説明した実施形態によれば、管理装置10において、単位重量UWが実数倍になるにつれ、幹細胞の数CNも同様に実数倍となる。例えば、1kgに応じたパッケージ85が10個と、10kgに応じたパッケージ85が1個とでは、同等の幹細胞の数となる。したがって、本実施形態によれば、算出部130は、好適な配送量の演算を容易に行うことができる。
【0052】
また、以上説明した実施形態によれば、算出部130は、疾患の種類に応じた重みづけを考慮し、配送量を算出する。
ここで、疾患の種類によっては多くの幹細胞を要し、また疾患の種類によっては少ない幹細胞しか要しない場合がある。したがって、本実施形態によれば、算出部130は、疾患の種類に応じた重みづけを考慮し、配送量を算出することにより、治療に要する幹細胞の数を好適に算出することができる。また、本実施形態によれば、治療に要する幹細胞の数を好適に算出することができるため、不必要に多くの幹細胞を配送することを抑止できる。
【0053】
[第2の実施形態]
以下、本発明に係る第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図9は、第2の実施形態に係る管理装置10Aの機能構成図の一例である。管理装置10Aは、情報管理部160を備える点において、管理装置10とは異なる。管理装置10Aの説明において、管理装置10と同様の構成については、同様の符号を付すことにより省略する。
情報管理部160は、算出部130により算出された配送量のパッケージ85が動物病院2に配送されたか否かを示す情報と、配送されたパッケージ85が患畜の治療に使用されたか否かを示す情報とを管理する。情報管理部160は、使用情報取得部(使用済情報取得部)161と、判定部162とを備える。
【0054】
使用情報取得部161は、病院端末20から使用済情報IUを取得する。使用済情報IUとは、出力された配送情報IDに基づき、配送されたパッケージ85が使用されたことを示す情報である。すなわち、使用情報取得部161は、出力された配送情報IDに基づき、配送されたパッケージ85が使用されたことを示す使用済情報IUを取得する。
【0055】
本実施形態において、パッケージ85は、使用されたことを示す情報を管理装置10Aに提供するための手段を有する。本実施形態におけるパッケージ85の一例について、図を参照しながら説明する。
図10は、第2の実施形態に係るパッケージ85の一例を説明するための図である。同図を参照しながら、本実施形態におけるパッケージ85の一例について説明する。
図10(A)は、パッケージ85の一例であるパッケージ85Aについて説明するための図である。パッケージ85Aは、二次元コードMを備える。二次元コードMには、パッケージ85Aを識別する識別番号が含まれる。二次元コードMは、例えばラベルに印刷され、パッケージ85に付される。
パッケージ85Aを用いて本実施形態を構成する場合、動物病院2の従業員(獣医や担当スタッフ等)は、パッケージ85Aを開封した際に、所定の二次元コード読取装置(不図示)により二次元コードMを読取る。読み取られた二次元コードMにはパッケージ85Aを識別する識別番号が含まれ、当該識別番号は使用済情報IUとして管理装置10Aに出力される。以後の説明において、パッケージ85が開封されたことにより、パッケージ85に収容された幹細胞が手術に用いられたとみなす。
【0056】
図10(B)は、パッケージ85の一例であるパッケージ85Bについて説明するための図である。パッケージ85Bは、開封センサ(検知部)Sを備える。開封センサSは、所定の容器に備えられ、パッケージ85Bが開封されたことを検知する。換言すれば、本実施形態において、所定の容器は、開封されたことを検知する開封センサSを備える。
パッケージ85Bは、開封された場合に、収容部85B1と、蓋部85B2とに分離する。開封センサSは、収容部85B1と、蓋部85B2との間に電気信号が流れる配線(不図示)を備え、電気信号の導通の有無を検知する。パッケージ85Bが開封される前(すなわち、パッケージ85Bが収容部85B1と、蓋部85B2とに分離される前)において、開封センサSは、電気信号の導通があることを検知することによりパッケージ85Bが未開封であると判定する。パッケージ85Bが開封された後において、開封センサSは、電気信号の導通がないことを検知することにより開封済みであると判定する。開封センサSは、所定の通信手段により、パッケージ85Bが開封されたことを示す使用済情報IUを管理装置10Aに出力する。管理装置10Aに備えられた使用情報取得部161は、開封センサSにより検知された情報に基づく使用済情報IUを取得する。
なお、開封センサSは、例えば、振動を検知すること等のその他の手段により開封されたことを検知してもよい。
【0057】
図10(C)は、パッケージ85の一例であるパッケージ85Cが、パッケージ収容容器86に収容され、動物病院2に配送される場合の一例について説明するための図である。この一例において、管理装置10Aにより算出されたパッケージ85Cは、パッケージ収容容器86に収容され、動物病院2に配送される。
パッケージ収容容器86は、収容部861と、蓋部862と、開封センサSとを備える。パッケージ85Cは、収容部861と蓋部862とにより密閉された空間に収容される。開封センサSは、収容部861と蓋部862とが密閉されていることを検知する。開封センサSは、パッケージ収容容器86が開封されたことを検知すると、所定の通信手段により、パッケージ収容容器86が開封されたことを示す使用済情報IUを管理装置10Aに出力する。
なお、開封センサSは、磁気により蓋部862が密閉されていることを検知するホールセンサであってもよいし、アクチュエータ等により蓋部862が閉じられていることを検出するフォトセンサ等であってもよい。開封センサSは電源を有し、自身が有する電源により駆動されてもよいし、開封センサSは電源を有さず、外部の電源により駆動されてもよい。
【0058】
図10(D)は、パッケージ85の一例であるパッケージ85Dが、パッケージ収容容器87に収容され、動物病院2に配送される場合の一例について説明するための図である。
パッケージ収容容器87は、パッケージ収容容器86の変形例である。パッケージ収容容器86は複数のパッケージ85Cが一の収容部861及び一の蓋部862により収容され、一の開封センサSにより複数のパッケージ85Cが使用済みであるか否かを判定する構成に対し、パッケージ収容容器87は一のパッケージ85Dに応じて一の収容部871及び一の蓋部872により収容され、パッケージ85Dの数に応じた数の開封センサSによりそれぞれのパッケージ85Dが使用済みであるか否かを判定する構成である点において、構成が異なる。パッケージ収容容器87を採用することにより、複数のパッケージ85Dのうち、使用済みのパッケージ85Dと、未使用のパッケージ85Dとを識別することができる。同図に示す一例において、開封センサS-1と、開封センサS-2とは開封済みであることを検知し、開封センサS-3と、開封センサS-4とは、未開封であることを検知する。開封センサSは、パッケージ収容容器87が開封されたことを検知すると、所定の通信手段により、パッケージ収容容器87が開封されたことを示す使用済情報IUを管理装置10Aに出力する。
【0059】
図9に戻り、判定部162は、配送情報出力部140により出力された配送情報IDと、使用情報取得部161により取得された使用済情報IUとに基づき、配送されたパッケージ85が使用された否かを判定する。
本実施形態において、配送情報出力部140により出力された配送情報IDは、配送情報記憶部17に記憶される。判定部162は、配送情報記憶部17に記憶された配送情報IDと、使用情報取得部161により取得された使用済情報IUとに基づき、配送されたパッケージ85が使用された否かを判定する。
【0060】
ここで、配送情報記憶部17に記憶される情報について、図面を参照しながら説明する。
図11は、第2の実施形態に係る配送情報記憶部17が記憶する配送情報IDの一例を説明するための図である。配送情報記憶部17には、配送情報IDと、使用済情報IUとが対応づけられて記憶される。
同図に示す一例において、“配送ID”が001であり、“病院ID(発注元)”が〇〇動物病院であり、“配送量”が10kg×1、1kg×3であり、“配送済情報”がYESであり、“使用済情報”がYESである情報が、対応づけられて記憶されている。また、“配送ID”が002であり、“病院ID(発注元)”が△△ペットクリニックであり、“配送量”が10kg×0、1kg×6であり、“配送済情報”がYESであり、“使用済情報”が-である情報が、対応づけられて記憶されている。
すなわち、この一例において、“配送ID”が001により識別されるパッケージ85は、発注元である動物病院2に配送され、使用済みの状態である。また、“配送ID”が002により識別されるパッケージ85は、発注元である動物病院2に配送され、まだ使用されていない状態である。
なお、使用済情報IUには、治療結果等の患畜の治療に関する情報が含まれていてもよい。使用済情報IUに、治療結果等の患畜の治療に関する情報が含まれている場合、配送情報記憶部17には、治療結果等の患畜の治療に関する情報が更に関連付けられて記憶されていてもよい。
【0061】
なお、配送情報記憶部17に記憶される情報は、パッケージ85を識別するパッケージIDを有していてもよく、パッケージIDに応じて使用済みか否かの情報を管理してもよい。
図12は、第2の実施形態に係る配送情報記憶部17が記憶する配送情報IDの変形例を説明するための図である。配送情報記憶部17に記憶される情報が、パッケージ85を識別するパッケージIDを有し、パッケージIDに応じて使用済みか否かの情報を管理する場合の一例について、同図を参照しながら説明する。
この一例において、“配送ID”が001であり、“病院ID(発注元)”が〇〇動物病院である配送情報IDには、“パッケージID”が001-01、001-02、001-03及び001-04であるパッケージ85が対応づけられている。それぞれの“パッケージID”には、“配送量”と、“使用済情報”とが対応づけられている。同図に示す一例では、“パッケージID”が001-01及び001-02であるパッケージ85が使用済みであり、“パッケージID”が001-03及び001-04であるパッケージ85が未使用である。
【0062】
また、図12に示す一例において、“配送ID”が002であり、“病院ID(発注元)”が△△ペットクリニックである配送情報IDには、“パッケージID”が002-01、002-02、002-03、002-04、002-05及び002-06であるパッケージ85が対応づけられている。それぞれの“パッケージID”には、“配送量”と、“使用済情報”とが対応づけられている。同図に示す一例では、“パッケージID”が002-01、002-02及び002-03であるパッケージ85が使用済みであり、“パッケージID”が002-04、002-05及び002-06であるパッケージ85が未使用である。
【0063】
図13は、第2の実施形態に係るパッケージ85の変形例であるパッケージ70を説明するための図である。パッケージ70は、収容部71と、針部72とを備える。パッケージ70は、患畜に対し注射により幹細胞の移植を伴う治療が行われる場合における変形例である。
収容部71は、所定の数の幹細胞を収容する。収容部71は、プランジャー71Aとシリンジ71Bとを備え、プランジャー71Aがシリンジ71Bに対し摺動することにより、幹細胞を吸入したり、排出したりする。プランジャー71Aは、シリンジ71Bに対する摺動を抑止するロック機構(不図示)を備えていてもよい。
針部72は、収容部71に着脱可能なよう構成される。針部72は、収容部71に収容された幹細胞を患畜の体内に誘導する注射針である。
なお、パッケージ70は、幹細胞が収容された収容部71のみを備えるよう構成してもよい。
【0064】
図14は、第2の実施形態に係るパッケージ85の変形例を用いた場合の配送セット75の一例を説明するための図である。同図を参照しながら、パッケージ85の変形例であるパッケージ70を用いた場合の配送セット75について説明する。
この一例において、パッケージ70は、第1パッケージ701と、第2パッケージ702とに分類される。第1パッケージ701では、収容部711に、第1単位重量UW1に応じた幹細胞の数CN1が収容される。第2パッケージ702では、収容部712に、第2単位重量UW2に応じた幹細胞の数CN2が収容される。この一例における配送セット75は、1個の第1パッケージ701と、3個の第2パッケージ702とが含まれる。針部72は、第1パッケージ701と、第2パッケージ702とにおいて共通のため、配送セット75には5個の針部72が含まれる。
【0065】
図15は、第2の実施形態に係るパッケージ85の第2の変形例であるパッケージ79を説明するための図である。パッケージ79は、所定の容器がバイアルである場合の一例である。
パッケージ79は、収容される幹細胞の数に応じた所定の容器が用いられる。例えば、パッケージ79が、第1パッケージ791と、第2パッケージ792とに分類される場合の一例において、第1パッケージ791及び第2パッケージ792には、それぞれ異なる数の幹細胞が収容される。
【0066】
第1パッケージ791は、胴部791Aと、頭部791Bと、頂部791Cとを備える。第1パッケージ791の頂部791Cは、例えばゴムにより構成されており、容器の外部から注射針を刺すことにより、容器内に収容された細胞を吸入することができる。頂部791Cは、ゴム以外の素材、例えばアルミシールやその他のキャップにより構成されていてもよい。
第2パッケージ792は、胴部792Aと、頭部792Bと、頂部792Cとを備える。第2パッケージ792の頂部792Cは、例えばゴムにより構成されており、容器の外部から注射針を刺すことにより、容器内に収容された細胞を吸入することができる。頂部792Cは、ゴム以外の素材、例えばアルミシールやその他のキャップにより構成されていてもよい。
【0067】
[第2の実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、管理装置10Aは、情報管理部160を更に備える。情報管理部160は、パッケージ85が配送されたか否かを示す情報と、パッケージ85が患畜の治療に使用されたか否かを示す情報とを管理する。したがって、本実施形態によれば、配送したパッケージ85の情報を管理することができる。
【0068】
また、以上説明した実施形態によれば、管理装置10Aにおいて、情報管理部160は、使用情報取得部161と、判定部162とを備える。使用情報取得部161は、動物病院2に備えられる病院端末20から、パッケージ85が使用されたことを示す使用済情報IUを取得する。判定部162は、管理装置10Aにより配送されたパッケージ85が使用済みか否かを判定する。したがって、本実施形態によれば、動物病院2から使用済情報IUを得ることにより、配送したパッケージ85が未使用で転売等されるリスクを軽減することができる。
【0069】
また、以上説明した実施形態によれば、管理装置10Aにおいて、幹細胞が収容される所定の容器は、開封センサ(検知部)Sを備える。したがって、本実施形態によれば、管理装置10Aにより配送されたパッケージ85が使用されたことを確実に検知することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明したが、具体的な構成が上述した実施形態に限られるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1…配送システム、10…管理装置、2…動物病院、20…病院端末、3…配送センター、310…培養装置、320…配送センター端末、8…幹細胞の培養システム、80…幹細胞、85…パッケージ、851…第1パッケージ、852…第2パッケージ、110…パッケージ情報取得部、120…患畜情報取得部、130…算出部、140…配送情報出力部、15…パッケージ情報記憶部、ID…配送情報、IC…培養情報、CREQ…培養要求、IP…患畜情報、IW…体重情報、IPKG…パッケージ情報、IPKG1…第1パッケージ情報、IPKG2…第2パッケージ情報、UW1…第1単位重量、UW2…第2単位重量、160…情報管理部、161…使用情報取得部、162…判定部、17…配送情報記憶部、IU…使用済情報、M…二次元コード、S…開封センサ、86…パッケージ収容容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15