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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】組み立て式台、組み立て式台のセット
(51)【国際特許分類】
   A47C 19/00 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
A47C19/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021042604
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142440
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2023-12-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)販売日 令和2年12月18日 販売場所 愛知県 名古屋市中川区役所 (2)掲載日 令和3年2月5日 掲載アドレス(a)https://premium.ipros.jp/putiputi/catalog/detail/567944/?hub=164+2654202 掲載アドレス(b)https://premium.ipros.jp/putiputi/product/detail/2000585929/?hub=166+1721621 (3)販売日 令和3年3月10日 販売場所 愛知県 常滑市役所 (4)掲載日 令和3年3月11日 掲載アドレス https://www.youtube.com/watch?v=SEsAvupsquE
(73)【特許権者】
【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立野 明
(72)【発明者】
【氏名】宿利 友規
(72)【発明者】
【氏名】戸松 正旭
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-130758(JP,U)
【文献】特開昭50-102458(JP,A)
【文献】登録実用新案第3230060(JP,U)
【文献】特開2020-188877(JP,A)
【文献】登録実用新案第3232263(JP,U)
【文献】米国特許第4224705(US,A)
【文献】中国実用新案第207041312(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 4/00-4/54、17/00-19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部の天部に対して着脱可能に載置される天板部とを備え、
前記本体部は、
外形が直方体状の立体形態と、外形が板状の板形態との間で変形可能であり、
立体形態で向かい合う壁部のうち小さい壁板である小壁部と、
立体形態で向かい合う壁部のうち大きい壁板であり、前記小壁部に対して回転可能であり、W字折り可能な大壁部と、
前記本体部の内側に設けられ、前記本体部が立体形態では格子状であり、板形態では格子の板部が重なるように変形することにより折り畳み可能な格子部とを備え、
立体形態において向かい合う前記小壁部を近付けるように移動することに応じて、前記大壁部及び前記小壁部間が板状に展開するように回転し、かつ、前記大壁部がW字折りされることより、板形態へと変形し、
板形態において、W字折りされた前記大壁部の外片部が中折り部よりも長いことにより、長手方向において、折り畳んだ前記格子部を前記中折り部との間に隙間を有する形態で配置可能である
ことを特徴とする組み立て式台。
【請求項2】
前記天板部の外形は、立体形態の前記本体部の天部に対応した長方形の板状であり、
前記本体部の高さは、前記天板部の短辺部の長さよりも小さく、
板形態の前記本体部の長手方向の長さは、前記天板部の長辺部の長さの同等以下であること、
を特徴とする請求項1に記載の組み立て式台。
【請求項3】
前記大壁部の前記外片部及び前記中折り部をW折りされる際に山折り可能に接続する谷折り片部を備え、
前記谷折り片部の長さは、板形態において向かい合う2つの前記外片部が、厚さ方向において折り畳んだ前記格子部を間に配置した状態で、互いに平行に配置可能な長さである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の組み立て式台。
【請求項4】
前記天板部は、前記本体部の天部に載置される載置板部と、前記載置板部の長辺部から下側に向けて立ち上がる立壁部とを備え、
前記天板部の前記立壁部と、立体形態の前記本体部の前記大壁部とを分離可能に接合する接合部を備える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の組み立て式台。
【請求項5】
各板部の素材は、中空樹脂板である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の組み立て式台。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の組み立て式台を2つ備える組み立て式台のセットであって、
前記本体部の高さは、前記天板部の短辺部の半分程度以下であり、
板形態の2つの前記本体部を短手方向に並べて配置した状態の短手方向の長さは、前記天板部の短辺部の長さの同等以下である
ことを特徴とする組み立て式台のセット。
【請求項7】
前記天板部は、
前記本体部の天部に載置される載置板部と、前記載置板部の長辺部から下側に向けて立ち上がる立壁部とを備え、
板形態の2つの前記本体部を、短手方向に並べて配置して前記立壁部の内側に収容可能である
ことを特徴とする請求項6に記載の組み立て式台のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て及び収納可能な組み立て式台、組み立て式台のセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、災害時等に使用する組み立て式のベッドがあった(例えば特許文献1)。
しかし、従来の組み立て式のベッドは、組み立て作業が煩雑であり、また保管時等に嵩張る等という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3230506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、組み立てが容易であり、またコンパクトに収容可能な組み立て式台、組み立て式台のセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一形態は、本体部と、前記本体部の天部に対して着脱可能に載置される天板部とを備え、前記本体部は、外形が直方体状の立体形態と、外形が板状の板形態との間で変形可能であり、立体形態で向かい合う壁部のうち小さい壁板である小壁部と、立体形態で向かい合う壁部のうち大きい壁板であり、前記小壁部に対して回転可能であり、W字折り可能な大壁部と、前記本体部の内側に設けられ、前記本体部が立体形態では格子状であり、板形態では格子の板部が重なるように変形することにより折り畳み可能な格子部とを備え、立体形態において向かい合う前記小壁部を近付けるように移動することに応じて、前記大壁部及び前記小壁部間が板状に展開するように回転し、かつ、前記大壁部がW字折りされることより、板形態へと変形し、板形態において、W字折りされた前記大壁部の外片部が中折り部よりも長いことにより、長手方向において、折り畳んだ前記格子部を前記中折り部との間に隙間を有する形態で配置可能であることを特徴とする組み立て式台の構成にした。
また、本発明の一形態は、組み立て式台を2つ備える組み立て式台のセットであって、前記本体部の高さは、前記天板部の短辺部の半分程度以下であり、板形態の2つの前記本体部を短手方向に並べて配置した状態の短手方向の長さは、前記天板部の短辺部の長さの同等以下であることを特徴とする組み立て式台のセットの構成にした。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、コンパクトに収容可能な組み立て式台、組み立て式台のセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の組み立て状態の組立式ベッドの三面図である。
図2】第1実施形態の立体形態の本体部の三面図である。
図3】第1実施形態の本体部を上側から見た分解図である。
図4】第1実施形態の本体部が変形する形態を説明する図である。
図5】第1実施形態の板形態の本体部のW折り部分(図4(C)の矢印5近傍)の拡大図である。
図6】第1実施形態の天板部の三面図である。
図7】第1実施形態の組立式ベッドの収容状態を説明する斜視図である。
図8】第1実施形態の中空樹脂板を説明する図である。
図9】第2実施形態の2つの組み立て式台のセットを説明する斜視図である。
図10】第2実施形態の収容状態における2つの組み立て式台のセットの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の組み立て状態の組立式ベッド1の三面図である。
図1(A)は、組立式ベッド1を上側Z2から見た図である。
図1(B)は、組立式ベッド1を前側Y1から見た図である。
図1(C)は、組立式ベッド1を右側X2から見た図である。
図2は、第1実施形態の立体形態の本体部10の三面図である。
図2(A)は、本体部10を上側Z2から見た図である。
図2(B)は、本体部10を前側Y1から見た図である。
図2(C)は、本体部10を右側X2から見た図である。
図2(D)は、図2(A)の二点鎖線内(D部)の拡大図である。
図3は、第1実施形態の本体部10を上側Z2から見た分解図である。
図4は、第1実施形態の本体部10が変形する形態を説明する図である。
なお、図4(A)、図4(B)は、本体部10の各板材の厚みを簡略して模式的に示し、また、ヒンジ部を黒点で図示した。
図4(A)は、本体部10が立体形態及び板形態間で変形する過程を、上側Z2から見た模式図である。
図4(B)は、板形態の本体部10を上側Z2から見た模式図である。
図4(C)は、板形態の本体部10を上側Z2から見た図である。
図4(D)は、板形態の本体部10を右側X2から見た図である。
図5は、第1実施形態の板形態の本体部10のW折り部分(図4(C)の矢印5近傍)の拡大図である。
図6は、第1実施形態の天板部50の三面図である。
図6(A)は、天板部50を上側Z2から見た図である。
図6(B)は、天板部50を前側Y1から見た図である。
図6(C)は、天板部50を右側X2から見た図である。
図7は、第1実施形態の組立式ベッド1の収容状態を説明する斜視図である。
図7(A)は、本体部10を、天板部50に収容する工程を説明する図ある。
図7(B)は、組立式ベッド1の本体部10を天板部50に収容した状態(収容状態)を示す図である。
【0009】
実施形態では、説明の便宜上、適宜、XYZ直交座標系を用いる。この座標系は、組み立てた状態の組立式ベッド1(組み立て式台)を設置面に設置した状態における長手方向が横方向X(左側X1、右側X2)、短手方向が縦方向Y(前側Y1、後側Y2)であり、鉛直方向Z(下側Z1、上側Z2)がZ軸方向である(図1参照)。天板部50単体、立体形態の本体部10単体についても、これに対応した座標系を用いる(図2図6等参照)。なお、板形態の本体部10については、小壁部20を、YZ平面上に配置した状態を示す(図4参照)。
また、実施形態において、本体部10の各部の横方向X、縦方向Yの長さ(つまり周方向に沿った長さ)は、単に長さともいう。
【0010】
組立式ベッド1は、組み立て状態(図1の状態)及び収容状態(図7(B)の状態)の間で変形可能である。
図1に示すように、組み立て状態は、使用時の状態である。組み立て状態の組立式ベッド1は、ベッドとして利用するために外形が直方体である。三方向の長さは、例えば、横方向Xの長さが1900mm程度、縦方向Yの長さが800mm程度、鉛直方向Zの長さが350mm程度である。
図7(B)に示すように、収容状態は、保管、運搬等のために、組立式ベッド1をコンパクトに変形させた状態である。
【0011】
なお、実施形態において、各板材の接合部分(面ファスナによる接合部分を含まず)は、熱溶着(高周波ウェルダー等)、接着剤による固定、両面テープの貼付等によって、分離不可能に接合される。実施形態では、このように分離不可能に接続されることを、固着ともいう。
面ファスナは、2つの面を分離可能に接合する一対の部材である。実施形態では、各面ファスナの部材が、オス側の部材又はメス側の部材であるかの説明を、適宜省略する。
各ヒンジ部は、隣合う板材間を回転可能に接続する構造であればよい。各ヒンジ部は、例えば、板材に鉛直方向Zに平行な押罫(V字溝等)、ハーフカットを加工することにより、設けることができる。図面には、ヒンジ部を、適宜、一点鎖線で図示する。
【0012】
(組立式ベッド1の構成)
組立式ベッド1は、本体部10、天板部50を備える。
組立式ベッド1を構成する板材の素材は、中空樹脂板である(図8参照)。中空樹脂板の詳細は後述する。中空樹脂板は、軽量であり、かつ、耐圧縮性に優れている。実施形態の中空樹脂板は、組み立て状態の組立式ベッド1を、ベッドとして利用可能な剛性、強度等を有する。
また、中空樹脂板は、紙段ボール等の素材を用いた場合に比較すると、保管時等における耐久性、耐候性等がよく、またカビの発生を抑制でき、さらに害虫被害を受けにくい。
図1等に示すように、各板部の板材は、組み立て状態における通気性を確保するために、必要に応じて、複数の円形の通気口(貫通穴)を設けてもよい。
【0013】
(本体部10)
本体部10の各形状の方向は、適宜、立体形態での方向を示す。
本体部10は、直方体状の立体形態(図2等参照)と、板状の板形態(図4(B)~図4(C)参照)との間で変形可能である。
天板部50が薄い板状であるので、組み立て状の本体部10は、組立式ベッド1の外形とほぼ同じ形状の直方体であり、またその大きさは、組み立て状態の組立式ベッド1の大きさとほぼ等しい。
【0014】
図2に示すように、本体部10は、小壁部20、大壁部30、格子部40を備える。
本体部10は、2つの小壁部20、2つの大壁部30が長方形の枠体を構成し、格子部40がその枠体内部に収容されたような形態である。
鉛直方向Zにおいて、小壁部20の高さ、大壁部30の高さ、格子部40の高さは、等しい。
(小壁部20)
小壁部20は、向かい合う壁部のうち小さい壁部を構成する2つの板材である。小壁部20は、縦方向Y(立体形態における短手方向)に細長い長方形状である。
図2図3に示すように、各小壁部20は、小壁本体21、ヒンジ部H22(小壁部-外片接続部)、固着片23、面ファスナ25を備える。
小壁部20は、主要部分である小壁本体21の両脇部分に、それぞれ固着片23がヒンジ部H22によって接続された形状である。なお、実施形態、図面では、小壁部20の用語は、適宜、小壁本体21を指すものとしても用いる。
【0015】
固着片23は、小壁部20及び大壁部30間を固着するための片部である。固着片23が大壁部30に固着されることにより、小壁部20及び大壁部30は、立体形態では直角状であり、板形態では直角状から展開するように、ヒンジ部H22によって回転可能に接続される。
図2(C)、図2(D)に示すように、面ファスナ25は、小壁部20の内側面であって、後側Y2の2つのコーナ部分に設けられている。後述するように、面ファスナ25は、立体形態において、格子部40の形状を保持するための部材である。
【0016】
(大壁部30)
図2に示すように、大壁部30は、立体形態で向かい合う壁部のうち大きい壁部を構成する2つの板材である。各大壁部30は、横方向X(立体形態における長手方向)に細長い長方形状である。
各大壁部30は、2つの外片31、2つの中片32(中折り部)、谷折りヒンジ部H33、2つの山折り片部34(外片-中折り部接続部)、面ファスナ35を備える。
横方向Xにおいて、外片31、山折り片部34、中片32、谷折りヒンジ部H33、中片32、山折り片部34、外片31が、この順に配置されている。
外片31は、横方向Xに細長い板状の部分である。2つの外片31は、横方向Xにおいて、大壁部30のうち外側部分に配置されている。後述するように、外片31の長さは、中片32の長さよりも長い。
【0017】
2つの中片32は、横方向Xにおいて、2つの外片31の間に配置されている。2つの中片32は、谷折りヒンジ部H33によって、回転可能に接続される。
谷折りヒンジ部H33は、大壁部30がW字折りされる際に、谷折り線となるヒンジ部である。
上記構成により、大壁部30がW字折りされる際には、2つの中片32は、谷折りヒンジ部H33で回転して、2つ折りされるように重なる。
【0018】
山折り片部34は、大壁部30がW字折りされる際に、山折り線となる部分である。山折り片部34は、鉛直方向Zに細長い短冊状の板状の部分である。
山折り片部34は、その両脇に設けられた2つのヒンジ部H34を備える。
ヒンジ部H34は、山折り片部34及び外片31を接続する。
上記構成により、山折り片部34が全体として、中片32及び外片31を回転可能に接続するヒンジ構造を形成する。
【0019】
面ファスナ35は、中片32の外側面に設けられている。
図2(B)に示すように、面ファスナ35は、2つの部材35a,35bから構成されており、これらが谷折りヒンジ部H33を挟んで配置されている。このため、中片32及び外片31間が回転する際に、面ファスナ35は、突っ張ることがない。
【0020】
上記構成により、大壁部30は、立体形態の状態では平板状に展開した状態となり(図2参照)、一方、板形態の状態ではW字折りされて折り畳まれた状態となる(図4(C)等参照)。
【0021】
(格子部40)
図2に示すように、格子部40は、上側Z2から見た形状が格子状の部材である。格子部40は、本体部10の内側に、本体部10から分離不可能な形態で配置される。
格子部40は、立体形態では横方向Xに伸長することにより格子状に変形し(図2の状態)、板形態では横方向Xに収縮することにより板状に変形する(図4(B)~図4(D)の状態)。
図2(A)に示すように、立体形態を上から見た状態において、格子部40は、複数のほぼ正方形の枠体が連続したような形状である。
枠体のコーナ部分は、ヒンジ部等(後述する)を備える。これにより、格子部40は、格子状の状態と、格子の板材同士が重なり合うように折り畳まれた状態との間で変形する。このように変形可能な格子構造は、ラチス構造とも称される。
【0022】
図2図3に示すように、格子部40は、格子端板41,42、格子中板43,44、面ファスナ45を備える。
これらの板41~44は、上側Z2から見た形状がZ字状の部材である(図3参照)。
格子端板41,42は、横方向Xの両端部にそれぞれ配置されている。
格子中板43,44は、それぞれ4つずつ設けられており、また、横方向Xにおいて交互に配置されている。
【0023】
各板41~44のZ字の屈曲部には、固着片40aと、固着片40aの両端にヒンジ部H40bとが設けられている。隣合う板41~44は、固着片40a同士が固着される。格子端板41,42は、固着片40aによって、それぞれ小壁部20の内側面に対して固着される。
また、格子端板42の前側Y1の一端部、格子中板43の前側Y1の一端部、格子中板43の後側Y2の一端部には、それぞれ固着片40cがヒンジ部H40dにより接続されている。隣合う板41~44は、この固着片40cによって、端部同士が固着される。
【0024】
格子端板41,42の後側Y2の一端部には、それぞれ接合片40eがヒンジ部H40fによって接続されている。
面ファスナ45は、接合片40eに設けられている。面ファスナ45は、小壁部20の面ファスナ25に対して、着脱可能に接合可能である(図2(D)参照)。
図3の矢印θ41a,θ42aに示すように、面ファスナ25,45が分離した状態では、格子端板41,42の後片41a,42aは、回転可能である。
【0025】
(天板部50)
図6に示すように、天板部50の外形は、下側Z1に開口した深さの浅い箱状である。
天板部50は、載置板50a(載置板部)、立壁部51,52、面ファスナ55を備える。
載置板50aは、本体部10の天部に載置される板部材であり、組み立て状態の組立式ベッド1の天部を構成する。
載置板50aの外形は、立体形態の本体部10の天部に対応した長方形の板状である。
立壁部51,52は、載置板50aから垂下する(つまり下側Z1に向けて立ち上がる)、高さが低い壁部である。
立壁部51は、載置板50aの2つの短辺部にそれぞれ設けられ、一方、立壁部52は、載置板50aの2つの長辺部にそれぞれ設けられている。
なお、載置板50a及び立壁部51,52間の接続部は、ヒンジ構造でもよいが、載置板50a及び立壁部51,52間は、積極的に回転する構成ではない。このため、中空樹脂板を熱プレス成形することにより、立壁部51,52を、載置板50aに対して回転しにくい構造にしてもよい。
面ファスナ55は、立壁部52の内側面の中央に設けられている。
【0026】
(組み立て状態)
作業者は、組立式ベッド1を以下のように組み立てることができる。
(1)図2に示すように、本体部10の小壁部20を互いに離間した位置に配置する。これにより、大壁部30が板状に展開し、本体部10は、直方体状の立体形態となる。
また、格子端板41,42の固着片40aが小壁部20に固着しているので、格子部40は、横方向Xに伸長して、格子状に展開する。
(2)格子端板41,42の面ファスナ45と、小壁部20の面ファスナ25とを、それぞれ接合する。これにより、格子部40は、本体部10内部での変形、遊びが抑制される。
【0027】
(3)天板部50を、本体部10の天部に載置する。この際、天板部50の立壁部51,52を、本体部10の外側面よりも外側になるように配置する。
(4)天板部50の立壁部52の面ファスナ55と、本体部10の大壁部30の面ファスナ35とを接合する。
立壁部52は、本体部10の辺部に設けられており、かつ、高さが低い。このため、大壁部30は、屈曲しないように規制される。
以上の作業により、組立式ベッド1を組み立てることができる。
【0028】
本体部10は、組み立て状態では大壁部30が屈曲しないように規制されることにより、直方体の状態が安定して維持される。
また、組立式ベッド1は、人が天面に寝た状態等にかかる荷重を、以下のように受け止めことができる。
格子部40の各板部は、鉛直面上に配置される。これにより、組立式ベッド1は、天板部50の天面にかかる耐荷重性を向上できる。また、格子部40は、格子状であるので、天板部50の天面のいずれの部分に荷重がかかってもこれを安定して受け止めることができ、つまり、天面の耐荷重性の偏りを低減できる。さらに、格子部40は、本体部10内部での変形、遊びが抑制されるので、座屈することが抑制される。これにより、格子部40は、天板部50の天面にかかる荷重を、安定して受け止めることができる。
【0029】
(収容状態)
作業者は、組立式ベッド1を以下のように、組み立て状態から収容状態に変形できる。
(1)天板部50の立壁部52の面ファスナ55と、本体部10の大壁部30の面ファスナ35とを分離する。そして、天板部50を本体部10の天部から取り外す。
(2)格子端板41,42の面ファスナ45と、小壁部20の面ファスナ25とを分離する。
【0030】
(3)図4(A)に示すように、向かい合う小壁部20を近付けるように移動する。
これにともない、2つの大壁部30は、それぞれW字折りをされた状態に変形する。また、大壁部30の外片31及び小壁部20がヒンジ部H22によって展開するように回転する。これにより、一の大壁部30の一の外片31、一の小壁部20、他の大壁部30の一の外片31が、縦方向Y(長手方向)に並んで配置された板状に変形する(図4(B)~図4(D)参照)。
【0031】
また、格子端板41,42の固着片40aが小壁部20に固着しているので、格子部40は、2つの小壁部20に圧縮される。これに応じて、格子部40の板材は、縦方向Yに延びるように展開して、平板状に変形する(図4(B)等参照)。これにより、複数の板材が、厚さ方向(横方向X)において重なって配置される。
これにより、本体部10は、板形態に変形する。
(4)図7に示すように、板形態の本体部10を、天板部50の内部に収容する。
上記工程により、組立式ベッド1を収容状態に変形できる。
図7(B)に示すように、収容状態の組立式ベッド1は、全体としてフラットな形状となるので、保管時等において嵩張らない。また、保管時等において、複数の組立式ベッド1は、積層することができる。
【0032】
(各部の寸法)
組立式ベッド1は、上記変形を可能とするために、各部の寸法が以下のよう設定されている。
(1)図4(B)~図4(D)、図5に示すように、板形態では、本体部10は、厚さ方向において(つまり本体部10を横方向Xから見た状態において)、格子部40と、大壁部30の中片32とは、重複した位置に配置されることがなく、干渉しない。
このため、W字折りをされた状態で外片31の長さが中片32の長さよりも長い。
かつ、板形態の縦方向Y(長手方向)において、中片32が格子部40から逃げた位置に配置されるように、大壁部30の外片31の長さが設定されている。
【0033】
つまり、以下の寸法設定になっている。
小壁部20の長さ:L20
外片31の長さ:L31
中片32の長さ:L32
折り畳んだ状態の格子部40の縦方向Y(長手方向)の長さ:L40
2つの谷折りヒンジ部H33の間の長さ(2つの中片32の間のスペース):LH33
とした場合に、以下が成り立つ。
L32<L31
L40<LH33=L20+2×L31-2×L32
【0034】
また、格子部40は、格子端板41,42の前側Y1の固着片40aが小壁部20に対して固着している。このため、板状態における格子部40の縦方向Yへの伸長量は、後側Y2への伸長量の方が、前側Y1への伸長量よりも大きい。そのため、板状態において、格子部40及び中片32間の縦方向Yの隙間は、後側Y2の隙間S2(図4(D)参照)の方が前側Y1の隙間S1よりも小さい。
格子部40の各板の長さ、小壁部20の長さ、大壁部30の各板の長さは、このような隙間S1,S2ができるように設定されている。
【0035】
なお、上記格子部40の長さL40には、接合片40eの長さを含まなくてもよい。これは、図5に示すように、折り畳んだ状態の格子部40の厚さt40が、中片32の厚さt32よりも厚いので、厚さ方向において、格子部40の接合片40eと、中片32とは、干渉することなく隙間を有して配置されるためである。
【0036】
(2)図4(C)、図5等に示すように、板形態の厚さ方向(横方向X)において、大壁部30の向かい合う2つの外片31は、折り畳んだ状態の格子部40を間に挟んで配置される。この状態において、これら2つの外片31は、両方ともYZ平面上に配置されており、かつ、互いに平行に配置される。これにより、板形態の本体部10は、傾斜面等を有さずほぼフラットな形状となり、取り扱いが容易である。
このため、2つの山折り片部34の合計長さL34は、折り畳んだ状態の格子部40の厚さt40に対応した長さに設定されている。つまり、実施形態の2つの山折り片部34の合計長さL34は、格子部40の厚さt40分だけ長く設定されることにより、向かい合う外片31を互いに平行に配置可能な長さに設定されているわけである。
【0037】
(3)図7に示すように、本体部10は、箱状の天板部50の内部に収容可能である。
このため、本体部10の高さh10は、天板部50の短辺部の長さL50yよりも小さい。また、板形態において、本体部10の長手方向の長さL10(=2×L31+L20)(2つの外片31の長さ及び1つの小壁部20の長さの和)は、天板部50の長辺部の長さL50xの同等以下である。
【0038】
(中空樹脂板)
中空樹脂板の詳細を説明する。
図8は、第1実施形態の中空樹脂板を説明する図である。
中空樹脂板としては、例えば、三層気泡ボード81、二層気泡ボード82、プラスチック段ボール83等を使用できる。また、中空樹脂板の素材は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂等である。
【0039】
図8(A)に示すように、三層気泡ボード81は、3つの樹脂シート81a~81cが積層されたものである。つまり、三層気泡ボード81は、キャップシート81bと、キャップシート81bの上面(キャップ81dの膨出側)に積層されたライナーシート81cと、キャップシート81bの下面に積層されたバックシート81aとを備える。各層間は、例えば熱融着等によって接合されている。キャップシート81bは、中空状に膨出する多数のキャップ81dが形成されたコア材である。
【0040】
図8(B)に示すように、同様に、二層気泡ボード82は、多数のキャップ82dが形成されたキャップシート82bと、キャップシート82bの下面に積層されたバックシート82aとを備える。
バックシート81a,82a、キャップシート81b,82b、ライナーシート81cのそれぞれの厚みは、ベッドに要求される強度、剛性等に対応したものになっている。通常は、これらの厚みは、例えば0.1m~1.5mm程度とすることができる。
なお、キャップ81d,82dの形状は、図8(A)、図8(B)に示すような円柱状に限定されず、例えば、角錐台状、円錐台状等としてもよい。また、コア材は、ハニカム構造により形成された中空樹脂板等も使用することもできる。
【0041】
図8(C)に示すように、プラスチック段ボール83は、上下の板材83a,83cの間にコア部分となる壁材83bを多数列設した断面矩形状の中空部を有する構成となっている。
【0042】
このように、中空樹脂板は、中空構造をなすための立体加工が施されたコア部分(81b,82b,83b)と、コア部分の表面及び裏面の少なくとも一面に板材状の外装部分(81a,82a,83a,81c,83c)を積層したような構造を有することが好適である。
中空樹脂板の総厚みは、1mm~100mmであることが好ましく、さらには2mm~50mmであることが好ましい。
【0043】
なお、三層気泡ボード81、二層気泡ボード82等の気泡ボードは、連続した一枚の中空樹脂板から、容易に製造できる。さらに、このような気泡ボードは、一連の連続した工程で製造できるので、製造しやすい。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の組立式ベッド1は、組み立て状態及び収容状態間の変形の作業が容易である。また、組立式ベッド1は、収容状態では嵩張らずに保管等することができる。さらに、本体部10は、格子部40が分離不可能に一体で設けられている。このため、組立式ベッド1は、本体部10、天板部50の2点を備えればよいので、組み立て時、収容時の作業が煩雑とならない。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の名称、同一の符号又は末尾(下2桁)に同一の符号を適宜付して、重複する説明を適宜省略する。
【0046】
図9は、第2実施形態の2つの組み立て式台のセット201Aを説明する斜視図である。
図9(A)は、2つの本体部10を、2つの天板部50の内部に収容する工程を説明する図ある。
図9(B)は、2つの組み立て式台のセット201Aの収容状態を示す図である。
図10は、第2実施形態の収容状態における2つの組み立て式台のセット201Aの縦断面図(面ファスナ205a,205bを通る切断面で切断した断面図)(図9(B)の10-10部断面図)である。
本実施形態では、適宜、天板部50の長辺方向を横方向X、天板部50の短辺方向を縦方向Y、鉛直方向Z(下側Z1、上側Z2)をZ軸方向として説明する。また、2つの組み立て式台のセット201Aを、単にセット201Aともいう。
【0047】
図9に示すように、セット201Aは、2つの組み立て式台を備える。
各組み立て式台は、それぞれ本体部10、天板部50を備える。
2つの本体部10は同一形状であり、また、2つの天板部50は同一形状である。各本体部10、各天板部50の構成は、第1実施形態とほぼ同様であり、使用時には組み立てることができる(図1参照)。
【0048】
図9(A)に示すように、本体部10の高さh210は、天板部50の短辺部の長さL250yの半分以下である。
このため、板形態の2つの本体部10は、短手方向に並べることにより、一の天板部50(図9において下側Z1に配置された天板部50)に収容することができる。つまり、板形態の2つの本体部10を短手方向に並べて配置した状態の短手方向の長さ2×h210は、天板部50の短辺部の長さL250yの同等以下である。
そして、図9(B)に示すように、一の天板部50に2つの本体部10を収容した状態で、一の天板部50の開口部を、他の天板部50(図9において上側Z2に配置された天板部50)で蓋をするようにして、閉じることができる。
このように、2つの天板部50は、2つの本体部10を収容するケースとして利用することができる。
【0049】
図9図10(A)に示すように、天板部50は、面ファスナ205a,205bを備える。面ファスナ205a,205bのうち一方がオス部材であり、他方がメス部材である。
面ファスナ205aは、立壁部52の外側面の横方向Xの縁部付近に、それぞれ設けられている。2つの面ファスナ205aは、横方向Xにおいて対称の位置に配置されている。天板部50は、2つの立壁部52を備えるので、1つの天板部50当たり合計4つの面ファスナ205aが設けられている。
面ファスナ205bは、立壁部52の内側面のうち、面ファスナ205aの設置位置とは丁度裏面側となる位置に配置されている。面ファスナ205bは、面ファスナ205aに対応して設けられているので、1つの天板部50当たり合計4つの面ファスナ205bが設けられている。
【0050】
図10(A)に示すように、収容状態では、上側Z2に配置された天板部50は、下側Z1に配置された天板部50に対して、後側Y2(図中右側)にずらして配置される。これにより、上側Z2の天板部50の前側Y1の立壁部52は、下側Z1の天板部50の立壁部52の内側面側に配置される。また、上側Z2の天板部50の後側Y2の立壁部52は、下側Z1の天板部50の立壁部52の外側面側に配置される。そして、面ファスナ205a,205bが接合される。
これにより、収容状態のセット201Aは、確実に蓋がされる。また、その上面及び下面は、それぞれ天板部50が配置されるので、フラットである。このため、収容状態のセット201Aは、全体として板状の形態となる。これにより、収容状態のセット201Aは、板状となる。このため、複数の収容状態のセット201Aを積層して保管等する場合でも、崩れにくい。
【0051】
なお、図10(B)に示すように、上側Z2に配置された天板部50は、下側Z1に配置された天板部50に対して、前側Y1(図中左側)にずらして配置してもよい。この場合にも、面ファスナ205a,205bを接合できる。
このように、上側Z2に配置された天板部50は、下側Z1に配置された天板部50に対して、後側Y2及び前側Y1のいずれにずらしても配置できる。このため、収容状態にする際の作業性がよい。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、後述する変形形態等のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態の構成は、それらの一部のみ用いること、又は適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0053】
(変形形態)
(1)実施形態において、組み立て式台は、ベッドに利用される例を示したが、これに限定されない。組み立て式台は、ベッド以外の用途に利用してもよい。
【0054】
(2)実施形態において、組み立て式ベッドの板材は、中空樹脂板である例を示したが、これに限定されない。組み立て式ベッドの板材は、例えば、段ボール等を用いてもよい。
【0055】
(3)実施形態において、格子部は、長方形の枠体が連続した形状である例を示したが、これに限定されない。格子部は、例えば、多角形状が連続した形態(例えばハニカム構造)でもよい。なお、実施形態において、格子部とは、長方形、菱形等の枠体が連続した形態に限定されず、任意の形状の枠体が連続した形態を含む概念である。
【0056】
(4)第2実施形態において、組み立て式台のセットは、2つの組み立て式台を備える例を示したが、これに限定されない。組み立て式台のセットは、3以上の組み立て式台を備えていてもよい。この場合には、本体部の高さを低くすれば、箱状の天板部内に収容することができる。また、この場合には、天板部の立壁部を載置板に対してヒンジ部で接続することにより、複数の天板部を平らにして、重ねて保管できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1:組立式ベッド
10:本体部
20:小壁部
25,35,45,55,205a,205b:面ファスナ
30:大壁部
31:外片
32:中片
34:山折り片部
40:格子部
41,42:格子端板
43,44:格子中板
50:天板部
50a:載置板
51,52:立壁部
201A:2つの組み立て式台のセット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10