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特許7577328付加部材貼付装置及びこれを備えた製本システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】付加部材貼付装置及びこれを備えた製本システム
(51)【国際特許分類】
   B42C 9/02 20060101AFI20241028BHJP
   B42C 19/08 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
B42C9/02
B42C19/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021072669
(22)【出願日】2021-04-22
(65)【公開番号】P2021191628
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020096846
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】596025412
【氏名又は名称】株式会社ホリゾン
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】越智 優
(72)【発明者】
【氏名】福田 繁伸
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-198394(JP,A)
【文献】特開2012-006369(JP,A)
【文献】実開昭51-078022(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42C 9/00
B42C 19/00
B42C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製本機に接続され、該製本機内の付加部材貼付け位置に停止した起立状態の本身の糊が塗布された背に、該製本機外から短冊状の付加部材を供給し、貼り付ける付加部材貼付装置において、
先端側上面の付加部材受け面に載置された前記付加部材が前記付加部材貼付け位置の下方に位置する前進位置と、該前進位置から前記製本機外へ後退した筐体内の後退位置との間で進退するテーブルと、
前記テーブルの前記先端の前方側にて水平方向に延在し、一端側に前記付加部材受け面との間で前記付加部材を把持する爪部を有する把持部と、
前記把持部の他端側の下方に、前記爪部を前記付加部材受け面に対して接近離間させる駆動部と、
を備えている付加部材貼付装置。
【請求項2】
前記把持部は、前記爪部が上下方向に揺動するレバーとされ、
前記レバーを揺動させる揺動中心が該レバーの前記他端側の下部に設けられている請求項1に記載の付加部材貼付装置。
【請求項3】
前記レバーは、下方に向けて形成されたカムフォロワーを有し、
前記駆動部は、前記カムフォロワーが水平方向に走行する際に前記爪部が揺動するように形成されたカム溝を有するカムと、該カムに対して前記レバーを往復動させる直動部と、備えている請求項2に記載の付加部材貼付装置。
【請求項4】
前記カムフォロワーは、前記爪部と前記揺動中心との間に設けられている請求項3に記載の付加部材貼付装置。
【請求項5】
前記直動部は、前記テーブルの下方で水平方向に往復動するスライドプレートを備えている請求項3又は4に記載の付加部材貼付装置。
【請求項6】
前記テーブルの前記付加部材受け面における前記爪部が当接する位置に、パッドが取り付けられている請求項1から請求項5のいずれかに記載の付加部材貼付装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の付加部材貼付装置と、
前記付加部材貼付装置が接続された製本機と、
を備えている製本システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製本機内の付加部材貼付け位置に停止した起立状態の本身の糊が塗布された背に、機外から付加部材を供給し、貼り付ける付加部材貼付装置及びこれを備えた製本システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
寒冷紗供給装置を備えた無線綴じ製本機が従来技術において知られている(例えば、特許文献1参照)。
この無線綴じ製本機は、本身を起立状態に挟持し、所定の経路に沿って移動し得るクランパと、経路に沿って配置されて無線綴じ製本処理を行う一連の処理ユニット(ミリングユニット、糊付けユニットおよび表紙付けユニット)と、経路上の一連の処理ユニットよりも上流側の本身供給位置において、クランパに本身を供給する本身供給ユニットを備えている。
【0003】
表紙付けユニットは、押圧板と、押圧板の上面に設けられた一対のニップ板とを有している。
表紙供給ユニットは、表紙が置かれる表紙載置棚と、表紙を表紙載置棚から表紙付けユニットの押圧板および一対のニップ板上に搬送する表紙搬送機構とを有している。
【0004】
製本処理が開始されると、表紙が、表紙搬送機構によって、表紙載置棚から表紙付けユニットの押圧板および一対のニップ板上に搬送される。
そして、クランパに挟持された本身が押圧板および一対のニップ板の上方の所定位置に到達し、停止したとき、押圧板および一対のニップ板がニップ位置まで上昇し、表紙が押圧板によって本身の背に押しつけられ、次いで一対のニップ板が本身の背の両側を挟持し、それによって表紙が本身の背の両側に押しつけられ、表紙が本身に貼着されて、製本物が完成する。
【0005】
こうして、この製本機によれば、並製本が実施可能である。
一方、この製本機が上製本(上製本の本身の形成)に使用される場合には、表紙供給ユニットは使用されず、代わりに、寒冷紗供給装置が使用される。
【0006】
寒冷紗供給装置は、本身の形状に応じて短冊状の寒冷紗を形成する寒冷紗形成ユニットと、短冊状の寒冷紗を寒冷紗形成ユニットから製本機の表紙付けユニットまで搬送し、表紙付けユニットの一対のニップ板上に、それらのニップ板を跨いだ状態で供給する搬送ユニットとを備えている。
【0007】
寒冷紗形成ユニットは、連続シート状の寒冷紗のロールと、ロールを回転させて連続シート状の寒冷紗を載置台上に送り出す駆動部と、駆動部によって送り出された連続シート状の寒冷紗を長さ方向および幅方向に断裁する第1および第2のカッターと、を備えている。
【0008】
第1のカッターは、連続シート状の寒冷紗の幅方向に移動可能とされ、本身の厚さに応じて、寒冷紗を長さ方向に切断する。また、第2のカッターは、第1のカッターによって断裁されて載置台上に位置決めされた寒冷紗を、本身の天地方向の長さに応じて、幅方向に断裁する。
【0009】
搬送ユニットは、載置台上の短冊状の寒冷紗を吸着する吸着治具と、載置台から表紙付けユニットまでのびるレールとを有している。レールは、載置台の上方から、表紙付けユニットの押圧板および一対のニップ板の上方に停止したクランパに挟持された本身の上方までのびており、吸着治具がレールに対し、当該レールに沿って移動可能に取り付けられている。
【0010】
この製本機において上製本の本身が形成されるとき、まず、寒冷紗供給装置の寒冷紗形成ユニットにおいて、本身のサイズに応じた短冊状の寒冷紗が形成される。次いで、この短冊状の寒冷紗は、寒冷紗供給装置の搬送ユニットによって、無線綴じ製本機の表紙付けユニットの一対のニップ板上に、それらのニップ板を跨いだ状態で供給される。
【0011】
その後、無線綴じ製本機の本身供給位置において、本身がクランパに供給され、本身を挟持したクランパが、ミリングユニットおよび糊付けユニットを経て、表紙付けユニットの押圧板および一対のニップ板の上方の所定位置に到達し、停止する。
【0012】
そして、押圧板および一対のニップ板が上昇し、短冊状の寒冷紗が押圧板によって本身の背に押しつけられ、次いで一対のニップ板が本身の背の両側を挟持し、それによって短冊状の寒冷紗が本身の背の両側に押しつけられ、短冊状の寒冷紗が本身の背に貼り付けられる。
【0013】
こうして、この寒冷紗供給装置を備えた無線綴じ製本機によれば、本身のサイズに応じた短冊状の寒冷紗を形成して、本身の背に張り付けることができるので、サイズが異なる複数の本身を上製本する場合にも迅速に対応し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2014-198394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、この構成によれば、寒冷紗供給装置を備えていない無線綴じ製本機を所有するユーザーは、上製本の本身の形成のために新たな無線綴じ製本機を購入しなければならず、多大なコストの負担を強いられていた。
また、本身の背の下方に短冊状の寒冷紗を貼り付ける際に、本身の背の下方のスペースが狭小であり、短冊状の寒冷紗を供給することが困難となっていた。
【0016】
したがって、本発明の課題は、本身の背の下方に付加部材を貼り付ける際に容易に付加部材の供給を行う付加部材貼付装置及びこれを備えた製本システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様に係る付加部材貼付装置では、製本機に接続され、該製本機内の付加部材貼付け位置に停止した起立状態の本身の糊が塗布された背に、該製本機外から短冊状の付加部材を供給し、貼り付ける付加部材貼付装置において、先端側上面の付加部材受け面に載置された前記付加部材が前記付加部材貼付け位置の下方に位置する前進位置と、該前進位置から前記製本機外へ後退した筐体内の後退位置との間で進退するテーブルと、前記テーブルの前記先端の前方側にて水平方向に延在し、一端側に前記付加部材受け面との間で前記付加部材を把持する爪部を有する把持部と、前記把持部の他端側の下方に、前記爪部を前記付加部材受け面に対して接近離間させる駆動部と、備えている。
【0018】
付加部材受け面との間で付加部材を把持する爪部を一端側に有する把持部を設けることとした。把持部は、テーブルの先端から前方側にて水平方向に延在しているので、テーブル先端側の前方の高さ寸法を小さく構成することができる。これにより、付加部材貼付け位置に停止した本身の背の下方にテーブルの先端側を移動させる際に、把持部が本身の背に干渉することを回避できる。
爪部を前記付加部材受け面に対して接近離間させる駆動部を把持部の他端側の下方に設けることとしたので、把持部の上方に駆動部を設ける必要がなく、テーブル先端側の前方の高さ寸法を小さく構成することができる。これにより、本身の背の下方にテーブルの先端側を移動させる際に、把持部が本身の背に干渉することを回避できる。
したがって、本身の背の下方のスペースが狭小であっても、テーブルを前進させてテーブルの先端の付加部材受け面を本身の背の下方に位置させることができる。
把持部の爪部で付加部材を把持することができるので、付加部材貼付け位置まで付加部材を移送する際に付加部材の位置ずれを来すことなく安定的に付加部材を供給することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る付加部材貼付装置では、前記把持部は、前記爪部が上下方向に揺動するレバーとされ、前記レバーを揺動させる揺動中心が該レバーの前記他端側の下部に設けられている。
【0020】
把持部は爪部が上下方向に揺動するレバーとされている。レバーを揺動させる際の揺動中心は、レバーの他端側の下部に設けられている。このように揺動中心がレバーの下部に設けられているので、レバーの上方に揺動中心を設ける場合に比べて、テーブル先端側の前方の高さ寸法を小さく構成することができる。
【0021】
本発明の一態様に係る付加部材貼付装置では、前記レバーは、下方に向けて形成されたカムフォロワーを有し、前記駆動部は、前記カムフォロワーが水平方向に走行する際に前記爪部が揺動するように形成されたカム溝を有するカムと、該カムに対して前記レバーを往復動させる直動部と、備えている。
【0022】
下方に向けて形成されたカムフォロワーをレバーに設けた。駆動部として、カムフォロワーが走行するカム溝が形成されたカムと、カムに対してレバーを往復動させる直動部とを設けることとした。カム溝は、カムフォロワーが水平方向に走行する際に爪部が揺動するように形成されている。このように、レバーの下方で直動させることによって爪部を揺動させる機構を設けることとしたので、テーブル先端側の前方の高さ寸法を小さく構成することができる。
【0023】
本発明の一態様に係る付加部材貼付装置では、前記カムフォロワーは、前記爪部と前記揺動中心との間に設けられている。
【0024】
カムフォロワーを爪部と揺動中心との間に設けることとしたので、把持部の水平方向の寸法をコンパクトにすることができる。
【0025】
本発明の一態様に係る付加部材貼付装置では、前記直動部は、前記テーブルの下方で水平方向に往復動するスライドプレートを備えている。
【0026】
レバーを往復動させる直動部として、テーブルの下方で水平方向に往復動するスライドプレートを用いることとした。これにより、レバーを駆動する直動部の高さ寸法を小さくすることができ、本身の背の下方のスペースが狭小であっても、テーブルを前進させることができる。
【0027】
本発明の一態様に係る付加部材貼付装置では、前記テーブルの前記付加部材受け面における前記爪部が当接する位置に、パッドが取り付けられている。
【0028】
本発明の一態様に係る製本システムは、上記のいずれかに記載の付加部材貼付装置と、前記付加部材貼付装置が接続された製本機と、を備えている。
【発明の効果】
【0029】
付加部材貼付け位置に停止した本身の背の下方のスペースが狭小であっても、テーブルを前進させてテーブルの先端の付加部材受け面を付加部材貼付け位置の下方に位置させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態による製本システムを示し、付加部材貼付装置の内部の構成を概略的に示す側面図である。
図2図1の付加部材貼付装置の付加部材移送および貼付けユニットの平面図である。
図3A図2の付加部材移送および貼付けユニットを示し、グリッパーが後退位置とされた図2のY-Y線に沿った断面図である。
図3B図3Aに対してグリッパーが前進位置とされた断面図である。
図4A図2の付加部材移送および貼付けユニットを示し、グリッパーが上昇位置とされた図2のY-Y線に沿った断面図である。
図4B図4Aに対してグリッパーが上昇位置で把持爪を解除した断面図である。
図5図2の付加部材移送および貼付けユニットの把持爪付近の構成を示す拡大斜視図である。
図6A図2の付加部材移送および貼付けユニットのスライドプレートおよび把持爪を示し、把持爪が把持した状態の側面図である。
図6B図6Aに対して把持爪を解除した状態の側面図である。
図7図1の付加部材貼付装置の受渡しユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による、本身の背に付加部材を供給し、貼り付ける付加部材貼付装置の内部の構成を概略的に示す側面図であり、図では、付加部材貼付装置が製本機に接続されている。
【0032】
付加部材貼付装置1は、筐体52内に、連続シート状の付加部材Qを本身Bのサイズに応じて断裁し、短冊状の付加部材を形成する付加部材加工ユニット2と、製本機Mに接続された状態で、短冊状の付加部材を製本機M内の付加部材貼付け位置Pまで移送し、付加部材貼付け位置Pに停止した本身Bの背に張り付ける付加部材移送および貼付けユニット3と、付加部材加工ユニット2から短冊状の付加部材を付加部材移送および貼付けユニット3に受け渡す受渡しユニット4とを備えている。
なお、明瞭のために、図1では、受渡しユニット4を代表して、受渡しユニット4の吸着ヘッドのみが描いてある(受渡しユニット4の構成の詳細は後述する)。
【0033】
ここで、「付加部材」とは、上製本の工程において本身の背に貼り付けられるシート状の部材をいい、例えば、寒冷紗および紙等が挙げられる。
また、この実施形態では、製本機Mは無線綴じ製本機からなり、付加部材貼付け位置Pは無線綴じ製本機の表紙付け位置(表紙付けユニットFの押圧板f1および一対のニップ板f2、f3の真上の位置)からなっており、この位置に、本身Bを直立状態に挟持したクランパKが停止する。
【0034】
付加部材加工ユニット2は、連続シート状の付加部材Qのロール5を水平軸のまわりに回転可能に収容したロール収容ユニット6と、ロール収容ユニット6から連続シート状の付加部材Qを断裁ステーション7まで巻き出す巻き出しユニット8を有している。
【0035】
巻き出しユニット8は、それぞれ水平軸のまわりに回転駆動され得る一対の巻き出しローラ8a、8bからなっている。
また、一対の巻き出しローラ8a、8bとロール収容ユニット6の間には、ガイドローラ9aおよび一対のガイドローラ9b、9cが配置され、それぞれ水平軸まわりに回転自在になっている。なお、一対のガイドローラ9b、9cは、一対の巻き出しローラ8a、8bの送り方向と反対の方向に逆転トルクが加わるように駆動力を与えるようにしても良い。これにより、付加部材Qに対して張力を加えることができる。付加部材Qを巻き出しているときは、一対のガイドローラ9b、9cは逆転トルクを与えつつ付加部材Qとの摩擦によって搬送方向に連れ回りする。ただし、付加部材Qの巻き出しが停止されているときは、一対のガイドローラ9b、9cの逆転トルクも停止される。
【0036】
そして、ロール5から巻き出された連続シート状の付加部材Qは、ガイドローラ9aの周面の一部、および一対のガイドローラ9b、9c間を経て、一対の巻き出しローラ8a、8b間に導入される。そして、制御部50の指令によって、一対の巻き出しローラ8a、8bが回転駆動されるたびに、連続シート状の付加部材Qの所定長がロール5から断裁ステーション7に巻き出される。断裁ステーション7は筐体52内に設けられている。
【0037】
また、一対のガイドローラ9b、9cと一対の巻き出しローラ8a、8bとの間には、連続シート状の付加部材Qのカールを矯正するカール取り器10が配置されている。
【0038】
付加部材加工ユニット2は、さらに、断裁ステーション7に配置され、巻き出しユニット8によって巻き出された連続シート状の付加部材Qを本身Bのサイズに応じて断裁し、短冊状の付加部材Sを形成する断裁ユニット11を有している。
【0039】
断裁ユニット11は、断裁ステーション7の入口に配置され、巻き出しユニット8によって本身Bの厚さに応じた長さだけ巻き出された連続シート状の付加部材Qを巻き出し方向(矢印Xで示す)を横切る方向に断裁する第1のカッター12と、第1のカッター12から断裁された付加部材を巻き出し方向(矢印X)に搬出する搬送機構13と、搬送機構13の搬送路の途中に配置され、搬送路上を搬送される断裁された付加部材を巻き出し方向(矢印X)に断裁する第2のカッター14とを有している。第1のカッター12、搬送機構13及び第2のカッター14の動作は、制御部50によって制御される。
【0040】
第1のカッター12は、巻き出し方向(矢印X)を横切ってのびる直線刃12aを有し、第2のカッター14は、巻き出し方向(矢印X)を横切る軸のまわりに回転し得る一対のロール刃14a、14bを有している。
そして、第2のカッター14の一対のロール刃14a、14bの位置が、本身Bの天地方向の長さに応じて巻き出し方向(矢印X)を横切る方向に調節可能になっている。
【0041】
断裁ユニット11は、さらに、搬送機構13の搬送路の下流端において搬送路を横切ってのび、搬送路上を搬送される短冊状の付加部材Sの先端を当接させることで、短冊状の付加部材を停止させるストッパー13aを有している。
【0042】
図2は、図1の付加部材貼付装置の付加部材移送および貼付けユニットの平面図であり、図3A図4Bは、図2の付加部材移送および貼付けユニットの動作を説明する、図2のY-Y線に沿った断面図である。また、図5は、図2の付加部材移送および貼付けユニットの把持爪付近の構成を示す拡大斜視図であり、図6A及び図6Bは、図2の付加部材移送および貼付けユニットのスライドプレートおよび把持爪の動作を説明する側面図である。
【0043】
図1からわかるように、付加部材移送および貼付けユニット3と断裁ユニット11は、上下2段に配置されている。
そして、付加部材移送および貼付けユニット3は、図2図6に示すように、筐体52の内部から外部に向けて下向きに傾斜してのびる少なくとも1本(この実施形態では、2本)のスライドガイド15と、スライドガイド15に取り付けられたスライダ16と、スライドガイド15に平行にのび、スライダ16の上面に取り付けられ、後端縁17bを支軸として揺動可能とされた矩形状のテーブル17とを有している。付加部材移送および貼付けユニット3の動作は、制御部50によって制御される。
【0044】
テーブル17のスライダ16への取付けは、テーブル17の両側に前後方向に間隔をあけて設けられた各一対の貫通穴に挿通されて、スライダ16に固定された各一対のフランジ付きピン18a、18bと、各一対のフランジ付きピン18a、18bのうちの前側のフランジ付きピン18aのフランジおよびテーブル17間に配置された圧縮バネ19aと、各一対のフランジ付きピン18a、18bのうちの後ろ側のフランジ付きピン18bのフランジおよびテーブル17間に配置された圧縮バネ19bとによってなされ、前側の圧縮バネ19aが後ろ側の圧縮バネ19bよりも小さい弾性係数を有している。
【0045】
また、テーブル17の先端17aの上面は、短冊状の付加部材Sが置かれる付加部材受け面20を形成し、テーブル17の先端縁には、付加部材受け面20に段差を伴って隣接した延長面21が設けられている。具体的には、図5に示されているように、テーブル17の先端17aが略90°下方に折り曲げられた後に、さらに略90°折り曲げられて前方に向かって水平方向に延びる面が延長面21とされている。
【0046】
付加部材移送および貼付けユニット3は、また、スライダ16をスライドさせるスライダ駆動機構22を有している。スライダ駆動機構22は、テーブル17の付加部材受け面20が筐体52の内部にある後退位置(図1図3A参照)と、付加部材受け面20が筐体52の外部にある前進位置(図3B参照)との間においてスライダ16をスライドさせる。
【0047】
スライダ駆動機構22は、スライドガイド15に平行にのび、定位置において軸回りに回転可能に配置されたボールねじ23と、スライダ16に設けられ、ボールねじ23と係合するボールねじナット24と、ボールねじ23を軸まわりに回転させるボールねじ駆動機構25とを有している。
【0048】
ボールねじ駆動機構25は、ボールねじ23の後端側において、駆動軸がボールねじ23に平行になるように配置されたモータ25aと、モータ25aの駆動軸に固定されたプーリー25bと、ボールねじ23の後端に固定されたプーリー25cと、プーリー25bおよびプーリー25c間に掛け渡されたエンドレスベルト25dとからなっている。
【0049】
そして、ボールねじ23がボールねじ駆動機構25(モータ25a)によって正逆回転せしめられることによって、スライダ16がスライドガイド15に沿ってスライドする。
【0050】
付加部材移送および貼付けユニット3は、さらに、テーブル17を、水平位置(図4A及び図4B参照)、と、水平位置から下向きに傾斜した(スライドガイド15に平行にのびる)傾斜位置(図3A及び図3B参照)との間において揺動させるテーブル駆動機構26を有している。
【0051】
テーブル駆動機構26は、スライダ16の前進位置よりも前方でかつテーブル17の下側において、テーブル17の揺動軸に平行にのびる第1の回転軸27と、第1の回転軸27にこれと一体的に回転可能に取り付けられた少なくとも1つ(この実施形態では2つ)のベルクランク28と、第1の回転軸27の下方において第1の回転軸27に平行にのびる第2の回転軸29と、第2の回転軸29にこれと一体的に回転可能に取り付けられた板カム30とを有している。
【0052】
板カム30は一対のベルクランク28間に配置され、また、一対のベルクランク28における第1の回転軸27から下方にのびる第1の腕28a同士が第1の連結ロッド31aによって連結され、第1の連結ロッド31aの中間部には、第1のローラ32aが回転自在に取り付けられている。そして、第1のローラ32aが板カム30の周縁に常時当接し得るようになっている。
【0053】
さらに、一対のベルクランク28の第1の腕28aの先端同士が第2の連結ロッド31bによって連結され、第2の連結ロッド31bおよび付加部材貼付装置1のフレーム34間にはバネ33が配置され、一対のベルクランク28の第1の腕28aがバネ33によって常時板カム30の周縁に当接する向きに付勢されている。
【0054】
また、一対のベルクランク28の第1の回転軸27から上方にのびる第2の腕28bの先端同士が第3の連結ロッド31cによって連結され、第3の連結ロッド31cには、複数の第2のローラ32bが第3の連結ロッド31cの軸方向に互いに間隔をあけて、それぞれ回転自在に取り付けられている。
テーブル駆動機構26は、さらに、第2の回転軸29を回転させるカム駆動機構35を有している。
【0055】
カム駆動機構35は、駆動軸が第2の回転軸29に平行になるように配置されたモータ35aと、モータ35aの駆動軸に固定されたプーリー35bと、第2の回転軸29に固定されたプーリー35cと、プーリー35bおよびプーリー35c間に掛け渡されたエンドレスベルト35dとからなっている。
【0056】
そして、板カム30が上死点をとるとき、ベルクランク28の第2の腕28b(第2のローラ32b)がテーブル17の傾斜位置の下方に引っ込み、板カム30が下死点をとるとき、ベルクランク28の第2の腕28b(第2のローラ32b)がテーブル17の傾斜位置から上方に突き出す。
【0057】
こうして、板カム30は常時は上死点に位置しているが、スライダ16が突出位置をとったとき(スライダ16が前進位置をとったとき)、上死点から下死点まで回転し、それによって、テーブル17が傾斜位置から水平位置まで揺動する(図4A及び図3B参照)。次いで、板カム30は下死点から上死点まで回転し、それによって、テーブル17が水平位置から傾斜位置まで揺動する。
【0058】
付加部材移送および貼付けユニット3は、さらに、テーブル17の先端17a側の下面に、テーブル17の長さ方向に往復動可能に設けられたスライドプレート36と、スライダ16に設けられ、スライドプレート36を、スライドプレート36がテーブル17の延長面21から第1の距離突き出した第1の位置(図4B図6B参照)と、スライドプレート36が延長面21から第1の距離よりも小さい第2の距離突き出した第2の位置(図4A図6A参照)との間においてスライドさせるスライドプレート駆動機構37とを有している。
【0059】
スライドプレート駆動機構37は、テーブル17に取り付けられて、スライドプレート36のスライド方向にのびるエアシリンダからなり、エアシリンダのピストンロッドにスライドプレート36の後端が連結されている。
そして、エアシリンダのピストンロッドの往復運動に伴って、スライドプレート36がテーブル17に対してスライドする。
【0060】
付加部材移送および貼付けユニット3は、さらに、図5図6A及び図6Bに示すように、複数の把持爪(把持部)38を備えている。把持爪38は、レバーとされており、テーブル17の先端の前方側にて水平方向に延在している。把持爪38の基端38aが、スライドプレート36の先端36aに対しスライドプレート36のスライド方向を横切る水平軸38cのまわりに揺動可能に取り付けられている。水平軸38cの中心軸線として規定される把持爪38の揺動中心は、把持爪38の下部に設けられている。
把持爪38の先端(爪部)38bは、スライドプレート36の後端36bに向けてのび、テーブル17の付加部材受け面20と協働して短冊状の付加部材Sを把持する。テーブル17の延長面21には、上面に凹所が形成された谷形カム(カム)39が設けられている。谷形カム39とともに直動カムを構成するカムフォロワー40が、把持爪38の下部に設けられている。カムフォロワー40は、下方に向けて突出する形状とされ、把持爪38の先端38bと揺動中心を規定する水平軸38cとの間に設けられている。
【0061】
そして、図4Bおよび図6Bに示すように、スライドプレート36が第1の位置をとるとき、把持爪38が水平軸38cを揺動中心として揺動し、把持爪38がテーブル17の付加部材受け面20から水平方向に離間しかつ上向きに傾斜した把持解除位置をとる。スライドプレート36が第1の位置から第2の位置までスライドする間に、把持爪38が徐々に付加部材受け面20に近接しつつ付加部材受け面20に向けて水平軸38cを揺動中心として傾倒し、図4Aおよび図6Aに示すように、スライドプレート36が第2の位置をとるとき、把持爪38がテーブル17の付加部材受け面20に当接する把持位置をとる。すなわち、スライドプレート36の第1の位置では、把持爪38がテーブル17の付加部材受け面20からテーブル17の前方の外側に退避する位置となる。スライドプレート36の第2の位置では、把持爪38が付加部材Sの上面に接触して付加部材受け面20との間で付加部材Sを把持する位置となる。
【0062】
また、テーブル17の付加部材受け面20における把持爪38が当接する位置に、ゴムパッド44が取り付けられている。
【0063】
付加部材移送および貼付けユニット3は、さらに、把持爪38の水平軸38cの外側に嵌め込まれて把持爪38およびスライドプレート36間に配置され、把持爪38を常時上方に傾倒する向きに付勢するトーションバネ41を有している。
【0064】
図7は、受渡しユニット4の正面図(図1の矢印X方向に見た図)である。
図7に示すように、受渡しユニット4は、短冊状の付加部材Sを吸着し得る吸着ヘッド42と、吸着ヘッド42を、断裁ステーション7と、後退位置にあるスライダ16のテーブル17の付加部材受け面20との間において移動させる吸着ヘッド駆動機構43とを有している。受渡しユニット4の動作は、制御部50によって制御される。
【0065】
吸着ヘッド42は、複数のサクションカップ42aと、各サクションカップ42aに吸着力を生じさせる負圧発生部42bとを有している。
【0066】
吸着ヘッド駆動機構43は、水平方向に、かつ付加部材移送および貼付けユニット3のスライドガイド15に平行にのびる第1のスライドガイド43aと、第1のスライドガイド43aに取り付けられた第1のスライダ43bと、第1のスライドガイド43aに平行にのび、定位置において軸回りに回転可能に配置された第1のボールねじ43cと、第1のスライダ43bに取り付けられ、第1のボールねじ43cに係合した第1のボールねじナット43dと、第1のボールねじ43cを回転させる第1の回転駆動機構43eとを有している。
【0067】
吸着ヘッド駆動機構43は、また、第1のスライダ43bに取り付けられて、上下方向にのびる第2のスライドガイド43fと、第2のスライドガイド43fに取り付けられた第2のスライダ43gと、第1のスライダ43bに取り付けられて第2のスライドガイド43fに平行にのび、定位置において軸回りに回転し得る第2のボールねじ43hと、第2のスライダ43gに取り付けられ、第2のボールねじ43hに係合した第2のボールねじナット43iと、第1のスライダ43bに取り付けられて第2のボールねじ43hを回転させる第2の回転駆動機構43jとを有している。
【0068】
吸着ヘッド駆動機構43は、さらに、第2のスライダ43gに取り付けられて、水平方向に、かつ第1のスライドガイド43aに直角にのびる第3のスライドガイド43kと、第3のスライドガイド43kに取り付けられた第3のスライダ43mと、第2のスライダ43gに取り付けられ、駆動軸(図示されない)が第1のスライドガイド43aに平行にのびるモータ43nと、第2のスライダ43gに取り付けられ、モータ43nの駆動軸に平行な軸のまわりに回転し得るプーリー43pと、モータ43nの駆動軸に取り付けられたプーリー(図示されない)およびプーリー43p間に掛け渡され、第3のスライダ43mが固定されたエンドレスベルト43qとを有している。
【0069】
そして、吸着ヘッド42は、複数のサクションカップ42aがそれぞれ下向き状態で、第3のスライドガイド43kに沿って一直線上に並ぶ配置で、第3のスライダ43mに取り付けられている。
【0070】
こうして、第1のボールねじ43cが第1の回転駆動機構43eによって正逆回転せしめられることによって、吸着ヘッド42が断裁ステーション7または後退位置にあるスライダ16のテーブル17の付加部材受け面20に対して近接または離間する向きに移動し、また、第2のボールねじ43hが第2の回転駆動機構43jによって正逆回転せしめられることによって、吸着ヘッド42が昇降し、また、エンドレスベルト43qがモータ43nによって正逆回転せしめられることによって、吸着ヘッド42が短冊状の付加部材Sの長さ方向に移動する。
【0071】
制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0072】
次に、付加部材貼付装置の動作について説明する。
付加部材貼付装置は、スライダ16が前進位置にあり、かつテーブル17が傾斜位置をとるとき、付加部材受け面20が製本機M内の付加部材貼付け位置Pに停止した本身Bの背の真下にあり(図3B参照)、スライダ16が前進位置にあり、かつテーブル17が水平位置をとるとき、付加部材受け面20が当該本身Bの背に圧接する(図4A参照)配置で、製本機Mに接続される。
【0073】
また、予め、断裁ユニット11のストッパー13aの位置が調節されて、ストッパー13aによって停止せしめられた短冊状の付加部材Sが、製本機Mの付加部材貼付け位置Pに停止した本身Bの背にほぼ平行に配置されるように設定される。
【0074】
付加部材貼付装置1の運転に先立って、本身Bの天地方向の長さおよび厚さがコントロールパネル(図示されない)を通じて付加部材貼付装置1の制御部50に入力され、その入力値に基づいて付加部材貼付装置1の初期設定がなされ、その後、付加部材貼付装置1の運転が開始される。
【0075】
そして、連続シート状の付加部材Qが、巻き出しユニット8によって、本身Bの厚さに対応する長さだけ断裁ステーション7に引き出されるたびに、第1のカッター12が動作し、連続シート状の付加部材Qがその幅方向に断裁される。
【0076】
第1のカッター12によって断裁された付加部材は、搬送機構13によって搬送されながら、第2のカッター14によって、本身Bの天地方向の長さに対応する長さに断裁され、短冊状の付加部材Sが形成される。短冊状の付加部材Sは、さらに第2のカッター14の下流側に搬送され、ストッパー13aに当接して搬送路上に停止する。
【0077】
その後、短冊状の付加部材Sは、吸着ヘッド42によって断裁ステーション7(搬送機構13の搬送路の下流端)からテーブル17まで搬送され、テーブル17に受け渡される。この受渡しは、スライダ16が後退位置にあり、かつテーブル17が傾斜位置にあり、かつスライドプレートが第1の位置をとった(把持爪38が把持解除位置をとった)状態で、短冊状の付加部材Sが吸着ヘッド42によってテーブル17の付加部材受け面20上に置かれた後、スライドプレート36が第2の位置をとり(把持爪38が把持位置を取り)、短冊状の付加部材Sが付加部材受け面20および把持爪38間に把持されることによってなされる(図3A参照)。
【0078】
次に、テーブル17が傾斜位置に維持されたままで、スライダ16が製本機Mに向けて移動し、テーブル17の付加部材受け面20が前進位置をとる(図3B参照)。このとき、短冊状の付加部材S(付加部材受け面20)は、付加部材貼付け位置Pに停止した本身Bの糊が塗布された背の真下にある。
【0079】
次いで、テーブル17が傾斜位置から水平位置まで揺動し(図4A参照)、それによって、短冊状の付加部材Sが本身Bの背に貼り付けられる。そして、スライドプレートが第2の位置から第1の位置まで移動し(把持爪が把持解除位置をとり)(図4B参照)、テーブル17が水平位置から傾斜位置まで揺動し、付加部材の貼り付けが完了する。
その後、スライダ16が前進位置から後退位置まで戻り、次の短冊状の付加部材Sが吸着ヘッド42によってテーブル17の付加部材受け面20に供給される。
【0080】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
テーブル17をスライダ16に対し傾斜位置と水平位置の間で揺動可能に取り付け、テーブル17の先端17aの上面を付加部材受け面20とし、スライダ16を、付加部材受け面20が筐体52内にある後退位置と、付加部材受け面20が筐体52外にある前進位置との間で運動させるようにした。また、スライドプレート36をテーブル17に設け、スライドプレート36の先端36aに、付加部材受け面20と協働して短冊状の付加部材Sを把持する把持爪38を回動可能に取り付け、テーブル17の先端17aおよび把持爪38間に直動カム(谷形カム39およびカムフォロワー40)を配置した。そして、把持爪38が、スライドプレート36の運動に伴って、テーブル17の付加部材受け面20から離間しかつ上向きに傾斜した把持解除位置と、付加部材受け面20に圧接する把持位置をとるようにした。
【0081】
こうして、テーブル17の先端17aの上面(付加部材受け面20)上に短冊状の付加部材Sを固定し、テーブル17を傾斜状態で製本機Mの機外から機内の本身Bの背の真下まで進入させた後、水平位置まで揺動(上昇)させ、短冊状の付加部材Sを本身Bの背に圧接させることで、短冊状の付加部材Sを本身Bの背に供給し、貼り付けるようにしたので、付加部材貼付装置1を製本機Mから独立した装置とすることができる。そして、製本機Mに機外から機内の付加部材貼付け位置Pにアクセスするための開口部を設けるだけで、付加部材貼付装置1を製本機Mに容易に接続し、機内の付加部材貼付け位置Pに停止した本身Bの背に、本身Bのサイズに応じた短冊状の付加部材Sを機外から供給して貼り付けることができる。
【0082】
それによって、ユーザーは、上製本の本身を形成する機能を備えた製本機を新たに購入せずとも、既存の並製本用の製本機Mに付加部材貼付装置1を後付けすることによって、上製本の本身を形成することができる。
【0083】
テーブル17の付加部材受け面20との間で付加部材Sを把持する先端38bを一端側に有する把持爪38を設けることとした。把持爪38は、テーブル17の先端から前方側にて水平方向に延在しているので、テーブル17の先端側の前方の高さ寸法を小さく構成することができる。これにより、付加部材貼付け位置Pに停止した本身Bの背の下方にテーブル17の先端側を移動させる際に、把持爪38が本身Bの背に干渉することを回避できる。
【0084】
把持爪38の先端38bを付加部材受け面20に対して接近離間させるカムフォロワー40を把持爪38の他端側の下方に設けることとしたので、把持爪38の上方にカムフォロワー40を設ける必要がなく、テーブル17の先端側の前方の高さ寸法を小さく構成することができる。これにより、本身Bの背の下方にテーブル17の先端側を移動させる際に、把持爪38が本身Bの背に干渉することを回避できる。
【0085】
したがって、本身Bの背の下方のスペースが狭小であっても、テーブル17を前進させてテーブル17の先端の付加部材受け面20を本身Bの背の下方に位置させることができる。
【0086】
把持爪38の先端38bで付加部材Sを把持することができるので、付加部材貼付け位置Pまで付加部材Sを移送する際に付加部材Sの位置ずれを来すことなく安定的に付加部材Sを供給することができる。
【0087】
把持爪38は先端38bが上下方向に揺動するレバーとされている。把持爪38を揺動させる際の揺動中心は、把持爪38の基端38a側の下部に設けられている。このように揺動中心が把持爪38の下部に設けられているので、把持爪38の上方に揺動中心を設ける場合に比べて、テーブル17の先端側の前方の高さ寸法を小さく構成することができる。
【0088】
下方に向けて形成されたカムフォロワーを把持爪38に設けた。駆動部として、カムフォロワー40が走行するカム溝が形成された谷形カム39と、谷形カム39に対して把持爪38を往復動させる直動部としてスライドプレート36とを設けることとした。カム溝は、カムフォロワー40が水平方向に走行する際に先端38bが揺動するように形成されている。このように、把持爪38の下方で直動させることによって先端38bを揺動させる機構を設けることとしたので、テーブル17の先端側の前方の高さ寸法を小さく構成することができる。
【0089】
カムフォロワー40を先端38bと揺動中心である水平軸38cとの間に設けることとしたので、把持爪38の水平方向の寸法をコンパクトにすることができる。
【0090】
把持爪38を往復動させる直動部として、テーブル17の下方で水平方向に往復動するスライドプレート36を用いることとした。これにより、把持爪38を駆動する直動部の高さ寸法を小さくすることができ、本身Bの背の下方のスペースが狭小であっても、テーブル17を前進させることができる。
【0091】
把持爪38およびその駆動機構36、37、39、40、41も含めたテーブル17の全体を薄くすることができるので、例えば、無線綴じ製本機Mにおける、クランパKによって挟持されて、表紙付けユニットF(押圧板f1および一対のニップ板f2、f3)上に停止した本身Bのように、本身Bの真下に僅かなスペースしかなくても、本身Bの背に難なく付加部材Sを供給し、貼り付けることができる。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限定されず、当業者が、添付の特許請求の範囲に記載された構成の範囲内で種々の変形例を案出し得ることは言うまでもない。
【0093】
例えば、上記実施形態では、テーブル17を、フランジ付きピン18a、18bおよび圧縮バネ19a、19bによって、スライダ16に対し後端縁17bを支軸として揺動し得るように取り付けたが、この取付け構造は上記実施形態に限定されず、テーブル17をその後端においてスライダ16のスライド方向を横切る水平軸のまわりに揺動可能に取り付けるものであれば、どのような取付け構造であってもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、テーブル駆動機構26をベルクランク28と板カム30の組み合わせから構成したが、テーブル駆動機構26は、傾斜位置にあるテーブル17の下面を持ち上げて水平位置まで揺動させ、およびその逆向きに揺動させ得るものであれば、どのような構成であってもよく、例えば、テーブル駆動機構26をエアシリンダから構成することもできる。また、テーブル駆動機構26は、スライダ16に配置することもできる。
【0095】
また、上記実施形態では、テーブル17をスライダ16に対し、傾斜位置と水平位置との間で揺動し得るように取り付け、スライダ16の前進位置において、テーブル17を傾斜位置から水平位置まで揺動させることで、テーブル17の付加部材受け面20に把持した付加部材Sを本身Bの背に貼り付けたが、それに代えて、テーブル17をスライダ16に対し水平状態のままで昇降し得るように取り付け、テーブル17を下降位置に維持したままスライダ16を後退位置から前進位置まで動かすことで、テーブル17の付加部材受け面20を付加部材貼付装置1内部から本身Bの真下まで移動させ、その後、テーブル17を下降位置から上昇位置まで上昇させることによって、テーブル17の付加部材受け面20に把持した付加部材Sを本身Bの背に貼り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 付加部材貼付装置
2 付加部材加工ユニット
3 付加部材移送および貼付けユニット
4 受渡しユニット
5 ロール
6 ロール収容ユニット
7 断裁ステーション
8 巻き出しユニット
8a、8b 巻き出しローラ
9a~9c ガイドローラ
10 カール取り器
11 断裁ユニット
12 第1のカッター
12a 直線刃
13 搬送機構
13a ストッパー
14 第2のカッター
14a、14b ロール刃
15 スライドガイド
16 スライダ
17 テーブル
17a 先端
17b 後端縁
18a、18b フランジ付きピン
19a、19b 圧縮バネ
20 付加部材受け面
21 延長面
22 スライダ駆動機構
23 ボールねじ
24 ボールねじナット
25 ボールねじ駆動機構
25a モータ
25b、25c プーリー
25d エンドレスベルト
26 テーブル駆動機構
27 第1の回転軸
28 ベルクランク
28a 第1の腕
28b 第2の腕
29 第2の回転軸
30 板カム
31a 第1の連結ロッド
31b 第2の連結ロッド
31c 第3の連結ロッド
32a 第1のローラ
32b 第2のローラ
33 バネ
34 フレーム
35 カム駆動機構
35a モータ
35b、35c プーリー
35d エンドレスベルト
36 スライドプレート
36a 先端
36b 後端
37 スライドプレート駆動機構
38 把持爪(把持部)
38a 基端
38b 先端(爪部)
38c 水平軸
39 谷形カム(カム)
40 カムフォロワー
41 トーションバネ
42 吸着ヘッド
42a サクションカップ
42b 負圧発生部
43 吸着ヘッド駆動機構
43a 第1のスライドガイド
43b 第1のスライダ
43c 第1のボールねじ
43d 第1のボールねじナット
43e 第1の回転駆動機構
43f 第2のスライドガイド
43g 第2のスライダ
43h 第2のボールねじ
43i 第2のボールねじナット
43j 第2の回転駆動機構
43k 第3のスライドガイド
43m 第3のスライダ
43n モータ
43p プーリー
43q エンドレスベルト
44 ゴムパッド
50 制御部
52 筐体
B 本身
F 表紙付けユニット
f1 押圧板
f2、f3 ニップ板
K クランパ
M 製本機
P 付加部材貼付け位置
Q 連続シート状の付加部材
S 短冊状の付加部材
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7