(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
G07F 7/02 20060101AFI20241028BHJP
G07F 7/08 20060101ALI20241028BHJP
G07F 9/00 20060101ALI20241028BHJP
G07F 9/02 20060101ALI20241028BHJP
G06Q 20/18 20120101ALI20241028BHJP
【FI】
G07F7/02 Z
G07F7/08 Q
G07F9/00 P
G07F9/02 B
G07F9/02 102
G06Q20/18
(21)【出願番号】P 2022175412
(22)【出願日】2022-11-01
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】397011111
【氏名又は名称】株式会社マースウインテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】井出 平三郎
(72)【発明者】
【氏名】本山 直樹
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-301549(JP,A)
【文献】特開2012-108713(JP,A)
【文献】特開2004-259152(JP,A)
【文献】特開2002-324267(JP,A)
【文献】特開平08-050678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 5/00-11/72,
17/00-17/42
G07G 1/00- 5/00
G06Q 20/00-20/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の商品が収容された本体部と、
前記商品のサンプルおよび画像を含む商品選択用表示体を表示する商品表示部と、
商品購入時に関する情報を表示する情報表示部と、
現金決済部と、
キャッシュレス決済部と、
前記商品選択用表示体から購入を希望する前記商品を選択する商品選択手段と、
動作制御部と、を具備し、
前記動作制御部は、
前記商品選択手段により選択された前記商品の購入金額を算出し、前記購入金額が予め設定された上限金額を超えるとき、前記現金決済部を使用不可にすると共に、前記キャッシュレス決済部のみを使用可能にすることを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記動作制御部は、
現金決済可能な前記商品に対応する前記商品選択用表示体と、キャッシュレス決済可能な前記商品に対応する前記商品選択用表示体と、現金決済およびキャッシュレス決済可能な前記商品に対応する前記商品選択用表示体を前記商品表示部において視覚的に識別可能に表示する処理を実行することを特徴とする請求項1記載の自動販売機。
【請求項3】
ネットワークに接続可能なネットワーク接続部をさらに具備し、
前記ネットワークに接続可能な操作端末により、前記商品の単価の変更、前記上限金額の変更、前記商品の収容数の確認、および、前記現金決済部の現金収容部に収容されている現金総額の確認のうち、少なくとも1つが実行可能であることを特徴とする請求項1または2記載の自動販売機。
【請求項4】
前記動作制御部は、
前記商品選択手段による購入を希望する前記商品を選択する前に前記現金決済部に現金が投入された場合には、前記情報表示部に現金決済の案内表示を表示させる処理を実行し、
前記商品選択手段により現金決済可能およびキャッシュレス決済可能な前記商品が選択された場合には、前記情報表示部に現金決済またはキャッシュレス決済の選択を促す案内表示を表示させる処理を実行し、
前記商品選択手段によりキャッシュレス決済可能な前記商品が選択された場合には、前記情報表示部に前記キャッシュレス決済の案内表示を表示させる処理を実行することを特徴とする請求項1または2記載の自動販売機。
【請求項5】
前記動作制御部は、
前記現金決済部に投入された現金の総額の範囲内で購入可能な前記商品に対応する前記商品選択用表示体を他の前記商品に対応する前記商品選択用表示体と識別可能に前記商品表示部に表示させる処理を実行することを特徴とする請求項1または2記載の自動販売機。
【請求項6】
前記動作制御部は、
前記現金決済部に投入された現金の総額が前記上限金額を超えた場合、前記現金の総額と前記上限金額との差額を返却する処理を実行することを特徴とする請求項1または2記載の自動販売機。
【請求項7】
前記本体部には、まとめ買い選択手段がさらに配設されており、
前記動作制御部は、前記まとめ買い選択手段の操作後に前記商品選択手段により選択された複数の前記商品に対する前記購入金額を算出することを特徴とする請求項1または2記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動販売機の決済手段にもキャッシュレス化傾向が強まる一方、日本における現金決済システムのニーズは依然として高く、現金決済システムの廃止にはまだまだ至らない状況である。スタンドアローンでも使用することが可能な現金決済システムと比較した場合、ネットワークを用いて構成されるキャッシュレス決済システムは、危機管理の観点において脆弱な面を有すると考えられている。
【0003】
以上の理由により自動販売機においては当面の間、現金決済システムとキャッシュレス決済システムが併存すると考えられる。現金決済システムとキャッシュレス決済システムが選択可能な自動販売機の構成については、特許文献1(特開2021-92961号公報)に開示されているようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-92961号公報(請求項8、請求項11等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている自動販売機は、現金決済とキャッシュレス決済としての複数の図形コード決済のいずれかを商品購入者に対して選択可能であって、自動販売機に現金が投入された場合には、強制的に現金決済が選択される構成が採用されている。このような構成においては、自動販売機に十分な釣銭を準備しなければならず、現金管理の煩雑さや現金の窃盗被害に遭うといった課題がある。また、釣銭の準備の都合上、自動販売機で販売することができる商品に制約が生じるといった課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は上記課題を解決するためのものであり、その目的とするところは次のとおりである。すなわち、現金決済システムとキャッシュレス決済システムの使用が可能な自動販売機において、大量の釣銭の準備が不要であって、現金管理の煩雑さや現金の窃盗被害を防止することができ、かつ、自動販売機で販売することができる商品に対する制約を緩和することが可能な自動販売機を提供することにある。
【0007】
上記課題を解決するため発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち、本発明は、複数種類の商品が収容された本体部と、前記商品のサンプルおよび画像を含む商品選択用表示体を表示する商品表示部と、商品購入時に関する情報を表示する情報表示部と、現金決済部と、キャッシュレス決済部と、前記商品選択用表示体から購入を希望する前記商品を選択する商品選択手段と、動作制御部と、を具備し、前記動作制御部は、前記商品選択手段により選択された前記商品の購入金額を算出し、前記購入金額が予め設定された上限金額を超えるとき、前記現金決済部を使用不可にすると共に、前記キャッシュレス決済部のみを使用可能にすることを特徴とする自動販売機である。
【0008】
これにより、大量の釣銭の準備が不要であって、現金管理の煩雑さや現金の窃盗被害を防止することができ、かつ、自動販売機で販売することができる商品に対する制約を緩和することが可能になる。
【0009】
また、前記動作制御部は、現金決済可能な前記商品に対応する前記商品選択用表示体と、キャッシュレス決済可能な前記商品に対応する前記商品選択用表示体と、現金決済およびキャッシュレス決済可能な前記商品に対応する前記商品選択用表示体を前記商品表示部において視覚的に識別可能に表示する処理を実行することが好ましい。
【0010】
これにより、購入者は、商品の決済方法の確認を容易に行うことができる。
【0011】
また、ネットワークに接続可能なネットワーク接続部をさらに具備し、前記ネットワークに接続可能な操作端末により、前記商品の単価の変更、前記上限金額の変更、前記商品の収容数の確認、および、前記現金決済部の現金収容部に収容されている現金総額の確認のうち、少なくとも1つが実行可能であることが好ましい。
【0012】
これにより、自動販売機を遠隔操作することができ、自動販売機のメンテナンスの省略化が可能である。
【0013】
また、前記動作制御部は、前記商品選択手段による購入を希望する前記商品を選択する前に前記現金決済部に現金が投入された場合には、前記情報表示部に現金決済の案内表示を表示させる処理を実行し、前記商品選択手段により現金決済可能およびキャッシュレス決済可能な前記商品が選択された場合には、前記情報表示部に現金決済またはキャッシュレス決済の選択を促す案内表示を表示させる処理を実行し、前記商品選択手段によりキャッシュレス決済可能な前記商品が選択された場合には、前記情報表示部に前記キャッシュレス決済の案内表示を表示させる処理を実行することが好ましい。
【0014】
これにより、複数の決済方法が併存していても購入者が決済方法に迷ってしまうおそれがない。
【0015】
また、前記動作制御部は、前記現金決済部に投入された現金の総額の範囲内で購入可能な前記商品に対応する前記商品選択用表示体を他の前記商品に対応する前記商品選択用表示体と識別可能に前記商品表示部に表示させる処理を実行することが好ましい。
【0016】
これにより購入者が現時点で購入可能な商品を把握することができる。
【0017】
また、前記動作制御部は、前記現金決済部に投入された現金の総額が前記上限金額を超えた場合、前記現金の総額と前記上限金額との差額を返却する処理を実行することが好ましい。
【0018】
これにより、現金決済部に必要以上の現金が投入されることがない。
【0019】
また、前記本体部には、まとめ買い選択手段がさらに配設されており、前記動作制御部は、前記まとめ買い選択手段の操作後に前記商品選択手段により選択された複数の前記商品に対する前記購入金額を算出することが好ましい。
【0020】
これにより、まとめ買いをする際における利便性が向上する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る自動販売機の構成によれば、大量の釣銭の準備が不要であって、現金管理の煩雑さや現金の窃盗被害を防止することができ、かつ、自動販売機で販売することができる商品に対する制約を緩和することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態における自動販売機と操作端末を用いた自動販売システムの概略構成図である。
【
図2】本実施形態における自動販売機の概略構成図である。
【
図3】本実施形態における自動販売機の動作制御部の概略構成図である。
【
図4】本実施形態における操作端末の概略構成図である。
【
図5】本実施形態における自動販売機での商品購入手順の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本実施形態における自動販売システム500について図面を参照しながら説明を行う。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における自動販売システム500の概略構成を示したものである。本実施形態における自動販売システム500は、ネットワーク300に接続可能な自動販売機100および操作端末200を有している。
【0025】
図2は、本実施形態における自動販売機100の概略構成図である。
図2に示すように、本実施形態における自動販売機100は、本体部10、現金決済部20、キャッシュレス決済部30、ネットワーク接続部40および動作制御部50を具備している。本体部10には、複数種類の商品1が収容される複数の収容庫11、表示部12、購入を希望する商品1を選択する商品選択ボタン等の商品選択手段13、まとめ買いボタン等のまとめ買い選択手段14、商品取出口15、および釣銭口28が配設されている。
【0026】
本実施形態における収容庫11は、複数種類の商品1が商品1毎に高さ方向に積み重ねられた状態で収容されているが、商品1の収容形態はこの形態に限定されるものではない。また、収容庫11の周囲には図示しない温度調整手段を配設することにより、商品1に応じた温度調整をすることもできる。また、各々の収容庫11には、収容されている商品1の収容個数が把握可能なカウンタ17が配設されており、カウンタ17により求められた商品1の収容個数は、少なくとも商品1を購入する際における購入金額の決済完了時毎に動作制御部50に送信される。カウンタ17による動作制御部50への各々の収容庫11における商品1の収容個数の送信頻度は本実施形態における送信頻度に限定されるものではない。
【0027】
本実施形態における表示部12は、商品1を購入する際における商品選択用表示体の一例としての商品サンプル2を表示する商品表示部12Aと、購入者に対する情報を表示する情報表示部12Bを有しているが、表示部12はこの形態に限定されるものではない。商品表示部12Aは、物理的な商品サンプル2が本体部10の外側から確認可能な商品サンプル2の陳列スペースや、商品選択用表示体の一例としての商品1の画像を表示するモニタ等の公知の構成を適宜採用することができる。また、本実施形態における商品表示部12Aは、商品サンプル2に対応する商品1における決済方法(例えば現金決済、キャッシュレス決済、または現金決済およびキャッシュレス決済)に応じた色彩・画像等の視覚的に識別可能な状態で表示することもできる。このような商品表示部12Aの構成を採用することにより、購入者は、商品1を選択する際に、その商品1に対応する決済方法を商品選択用表示体(商品サンプル2や商品1の画像)により確認することができる点において好都合である。
【0028】
また、情報表示部12Bには、現金決済部20の現金投入部21から投入された現金総額や、商品選択手段13により選択された商品1に対応する決済方法や商品1の購入金額や、現金決済における上限金額等が表示される。情報表示部12Bには、上述のような商品1の購入者に対する情報の他に、操作端末200およびネットワーク300を介して自動販売機100の周辺における不特定多数に対する商品メッセージや最新ニュース等の付加情報を表示させることもできる。
【0029】
本実施形態においては、
図1および
図2に示すように、購入者が購入を希望する商品1を選択する商品選択手段13が物理的な商品サンプル2に対応させた状態で本体部10の正面に配設されたボタンにより構成されているが、この形態に限定されるものではない。商品表示部12Aまたは情報表示部12Bに、商品1に対応させた画像によるボタンを表示させた形態を採用することもできる。
【0030】
現金決済部20は、現金投入部21、現金投入額算出手段22、釣銭算出手段23、第1商品払出手段24、釣銭払出手段26、現金収容部27および釣銭口28を具備している。現金投入部21は、硬貨投入部21Aと紙幣投入部21Bを有しており、現金投入部21に投入された現金は、図示しない一時貯留部に貯留されている。このような一時貯留部としては、コインメックやビルバリにおける現物エスクロ機能を例示することができる。現金投入額算出手段22は、硬貨投入部21Aや紙幣投入部21Bから投入された硬貨および紙幣の合計金額である現金総額を算出するものである。釣銭算出手段23は、現金総額と商品1の購入金額との差額を釣銭額として算出するものである。
【0031】
第1商品払出手段24は、現金総額が商品1の購入金額以上である場合(現金決済が完了した場合)に購入された商品1を収容庫11から商品取出口15に払い出しするものである。釣銭払出手段26は、釣銭額に相当する現金を現金収容部27から釣銭口28に払い出しするものである。現金収容部27は、商品1の購入金額が決済された後、一時貯留部の現金を硬貨および紙幣が各々の種類別に収容される場所である。本実施形態における現金投入額算出手段22、釣銭算出手段23、第1商品払出手段24および釣銭払出手段26は、動作制御部50の一部として構成されているが、動作制御部50とは独立に配設した形態を採用することもできる。
【0032】
キャッシュレス決済部30は、決済コード表示手段32、決済コードスキャナ34、および第2商品払出手段36を有している。決済コード表示手段32は、自動販売機100が提携している少なくとも一つのキャッシュレス決済業者に対応する決済コードを表示するものであり、小型モニタを例示することができる。なお、本実施形態においては、決済コードを決済コード表示手段32に表示させているが、決済コードは情報表示部12Bに表示させる形態を採用することもできる。決済コードスキャナ34は、購入者の携帯端末に表示されたキャッシュレス決済業者の決済コードを読み取るものである。第2商品払出手段36は、購入者により選択された商品1の購入代金が決済コード表示手段32に表示された決済コードにより決済が完了したことを確認すると、収容庫11から商品取出口15に商品1を払い出しするものである。本実施形態における第2商品払出手段36は、動作制御部50の一部として構成されているが、動作制御部50とは独立に配設した形態を採用することもできる。
【0033】
ネットワーク接続部40は、インターネットに代表されるネットワーク300に接続するためのものであり、無線LANや近距離無線通信規格および携帯電話回線に適合する無線レシーバに代表される無線通信機器等の公知の構成を採用することができる。ネットワーク接続部40を具備する自動販売機100は、自動販売機100の管理者が所有する操作端末200によりネットワーク300を介して各種の操作を行うことができる。具体的には、動作制御部50の記憶部56に記憶されている自動販売機100の設定条件データSJDの操作(変更)や自動販売機100の販売データHBDの確認(操作端末記憶部230へのダウンロード)等が可能である。ここで自動販売機100の設定条件データSJDとしては、商品1の決済方法データ、商品1の販売単価データ、現金決済の上限金額データ等を例示することができる。また、販売データHBDとしては、商品1の販売数量データ、収容庫11における商品1の収容数データおよび現金収容部27における現金総額データ等を例示することができる。
【0034】
図3は本実施形態における自動販売機100の動作制御部50の概略構成図である。動作制御部50は、自動販売機100における本体部10、現金決済部20、キャッシュレス決済部30およびネットワーク接続部40の動作を制御するためのものであり、演算部52、動作制御プログラム54および記憶部56により構成されている。本実施形態における演算部52は、現金決済部20およびキャッシュレス決済部30の一部としても機能する。動作制御プログラム54に基づいて動作する演算部52は、購入者により選択された商品1に対して設定されている決済方法データを記憶部56から読み出しする処理を実行する。そして演算部52は、記憶部56に記憶されている選択された商品1に対する決済方法データに応じて購入者に現金決済またはキャッシュレス決済の選択を促す表示を情報表示部12Bに表示させる処理を実行する。購入者が情報表示部12Bに表示された図示しない選択ボタンをタップすると、演算部52は購入者により選択された決済(現金決済またはキャッシュレス決済)の案内表示を情報表示部12Bに表示させる処理を実行する。
【0035】
演算部52は、購入者による情報表示部12Bに表示された図示しない指示ボタンの操作に従って現金決済部20またはキャッシュレス決済部30による決済処理を進める。演算部52は、現金決済部20またはキャッシュレス決済部30によって商品1の購入金額の決済が完了した後、第1商品払出手段24または第2商品払出手段36に商品1を商品取出口15に提供させる処理を実行する。また、演算部52は、必要に応じて釣銭払出手段26によって釣銭を釣銭口28に払い出させる処理を実行する。
【0036】
また、演算部52は、購入者が商品1を選択する前にまとめ買い選択手段14を有効になるように操作した場合、動作制御プログラム54に基づいて、購入者により選択された複数の商品1の購入金額を算出する処理を実行する。演算部52は、算出した複数の商品1の購入金額を情報表示部12Bに随時表示させる。演算部52は、算出した複数の商品1の購入金額が記憶部56に予め記憶されている設定条件データSJDの上限金額データを超えているか否かを確認する。購入金額が上限金額データの金額を超えていた場合、演算部52は、商品1に対して現金決済が可能に設定されている場合であっても、購入者に対し現金決済部20を使用不可にすると共にキャッシュレス決済部30のみを使用可能にする処理を実行する。
【0037】
つづいて演算部52は、選択された複数の商品1の購入がキャッシュレス決済のみ可能である旨を情報表示部12Bに表示させる処理を実行する。この場合、一時貯留部に硬貨および/または紙幣が貯留されていた場合には、演算部52が、一時貯留部に貯留されていた硬貨および/または紙幣を強制的に返却する処理を実行する。このような一時貯留部を有する構成により、投入されていた紙幣に相当する金額を硬貨で返却する必要がなくなり、購入者にとっても自動販売機100における釣銭の準備の面においても好都合である。
【0038】
図4は、本実施形態における操作端末200の概略構成図である。本実施形態における操作端末200は、
図4に示すように、操作端末モニタ210、操作端末ネットワーク接続部220、操作端末記憶部230および操作端末制御部240を具備している。このような操作端末200としては、いわゆるタブレット端末を例示することができる。操作端末モニタ210には、画像データや文字データが表示可能であって、操作端末モニタ210には操作端末200における入力部としてのキーボードを表示することができる。自動販売機100の運営者は、操作端末モニタ210に表示されたキーボードから自動販売機100に対する操作コマンドを入力し、操作端末ネットワーク接続部220とネットワーク300を介して自動販売機100に操作コマンドを送信することができる。
【0039】
操作コマンドとしては、設定条件データSJDを操作する設定条件データ操作コマンドや、販売データHBDを要求する販売データ要求コマンド等を例示することができる。設定条件データ操作コマンドは、各々の商品1の決済方法データの設定および変更、商品1の販売単価データの設定および変更、現金決済の上限金額データの設定および変更等を行うものである。また、販売データ要求コマンドは、自動販売機100における商品1の販売数量データの要求、収容庫11における商品1の収容数データの要求、現金収容部27における現金総額データの要求等を行うものである。設定条件データ操作コマンドと販売データ要求コマンドは一例であり、上述の具体的内容に限定されるものではない。
【0040】
このように操作端末200とネットワーク300を介して自動販売システム500における自動販売機100を操作することができるため、運営者は、自動販売システム500の保守管理作業の労力を大幅に削減することができる点で好都合である。
【0041】
(第2実施形態)
本実施形態の自動販売機100および自動販売システム500においては、第1実施形態における自動販売機100および自動販売システム500の構成と同様の構成については、第1実施形態で用いた符号と同符号を付すことでここでの説明は省略する。本実施形態における演算部52は、購入者が商品選択手段13により商品1の選択を行う前に現金投入部21に現金を投入した場合、現金決済の案内表示を情報表示部12Bに表示させる処理を実行する。また、演算部52は、現金投入部21に投入された現金の総額の範囲内で購入可能な商品1に対応する商品サンプル2と、現金投入部21に投入された現金の総額の範囲内で購入不可能な商品1に対応する商品サンプル2とを視覚的に区別する処理を実行してもよい。また、現金投入部21に投入された現金の総額が現金決済可能な上限金額を超えている場合、演算部52は、現金投入部21からの現金投入を停止させると共に、現金の総額と現金決済可能な上限金額との差額を釣銭口28から返却する処理を行ってもよい。
【0042】
なお、この後、購入者が商品選択手段13により選択した商品1に対応する決済方法データが現金決済できない設定である場合には次のような処理が演算部52により実行される。すなわち、演算部52は、選択された商品1がキャッシュレス決済のみで購入可能である旨と、商品1の選択解除を行うか、キャッシュレス決済を行うかの選択を促す表示を情報表示部12Bに表示させる処理を実行する。
【0043】
購入者が情報表示部12Bに表示された選択内容のうち、商品1の選択解除を選択した場合、演算部52は、現金投入後に選択された商品1の選択状態を解除する処理を実行する。購入者が情報表示部12Bに表示された選択内容のうち、キャッシュレス決済を選択した場合、演算部52は、商品1の選択の追加または商品1の購入金額のキャッシュレス決済を行うかについての選択を促す表示を情報表示部12Bに表示させる処理を実行する。以降の自動販売機100の動作については、第1実施形態と同様に行うことができる。
【0044】
また、購入者が現金投入部21から現金を投入せずに、商品選択手段13により現金決済およびキャッシュレス決済が可能な商品1の選択をした場合、演算部52は、情報表示部12Bに選択された商品1を現金決済するかキャッシュレス決済を行うかの選択を促す表示を情報表示部12Bに表示させる処理を実行する。購入者が情報表示部12Bに表示された選択内容のうち、現金決済を選択した場合、演算部52は、商品1の選択の追加または商品1の購入金額の現金決済を行うかについての選択を促す表示を情報表示部12Bに表示させる処理を実行する。一方、購入者が情報表示部12Bに表示された選択内容のうち、キャッシュレス決済を選択した場合、演算部52は、商品1の選択の追加または商品1の購入金額のキャッシュレス決済を行うかの選択を促す表示を情報表示部12Bに表示させる処理を実行する。以降の自動販売機100の動作については、第1実施形態と同様に行うことができる。
【0045】
さらに、購入者が現金投入部21から現金を投入せずに、商品選択手段13によりキャッシュレス決済が可能な商品1の選択を行った場合、演算部52は、選択された商品1がキャッシュレス決済のみで購入可能である旨と、商品1の選択解除を行うか、キャッシュレス決済を行うかの選択を促す表示を情報表示部12Bに表示させる処理を実行する。購入者が情報表示部12Bに表示された選択内容のうち、商品1の選択解除を選択した場合、演算部52は、選択された商品1の選択状態を解除する処理を実行する。購入者が情報表示部12Bに表示された選択内容のうち、キャッシュレス決済を行う選択をした場合、演算部52は、商品1の選択の追加または商品1の購入金額のキャッシュレス決済を行うかの選択を促す表示を情報表示部12Bに表示させる処理を実行する。以降の自動販売機100の動作については、第1実施形態と同様に行うことができる。
【0046】
第2実施形態においては、現金決済を優先したい購入者は、従来の購入手順と同様の手順で商品1の購入を行うことができる。また、購入を希望する商品1が購入者の意図していない決済方法の設定になっている場合には、選択した商品1を選択解除することができ、購入者が商品1の購入金額の決済ができなくなるおそれも防止することができる。
【0047】
(自動販売機100による商品1の購入手順)
図5は、本実施形態における自動販売機100での商品購入手順の一例を示すフロー図である。
図5を参照しながら本実施形態における自動販売機100で商品1を購入する際の手順について説明する。
【0048】
購入者は、商品選択手段13を操作し、自動販売機100で取り扱っている商品1の選択をおこなう(S-1)。商品選択手段13により商品1が選択されると、演算部52は、情報表示部12Bに決済に進むかについての確認表示を表示させる(S-2,J-1)。購入者は、情報表示部12Bに表示された決済ボタンまたは購入継続ボタンのいずれかを選択してタップする。購入者が購入継続ボタンをタップすると(J-1のNo)、再び商品選択手段13による商品1の追加が可能になる。商品選択手段13による商品1の追加される毎に演算部52は、情報表示部12Bに決済に進むかについての確認表示を表示させる(S-2,J-1)。以降このループが継続される。購入者が決済ボタンをタップすると(J-1のYes)、演算部52は商品1の購入金額を算出する(S-4)。
【0049】
商品1の購入金額が算出された後、演算部52は、購入金額が記憶部56に予め記憶されている現金決済可能な上限金額を超えているか否かの判断を行う(J-2)。演算部52は、購入金額が現金決済可能な上限金額を超えている場合(J-2のYes)、情報表示部12Bにキャッシュレス決済に進む表示を行わせて購入者をキャッシュレス決済に誘導(S-5)した後、購入者に購入金額の決済を実行させる(S-8)。これとは反対に、購入金額が現金決済可能な上限金額以下である場合(J-2のNo)、演算部52は、情報表示部12Bに現金決済またはキャッシュレス決済の選択を購入者に要求する表示を行わせる(S-6)。その後購入者が情報表示部12Bに表示された決済方法から所望の決済方法を選択すると、演算部52は、情報表示部12Bによって購入者により選択された決済方法へ購入者を誘導(S-7)し、選択された決済方法により商品1の購入金額の決済を実行させる(S-8)。
【0050】
演算部52は、購入者による商品1の購入金額の決済が完了している(J-3のYes)ことを確認すると、第1商品払出手段24または第2商品払出手段36により商品1を商品取出口15に払い出し(S-9)する。そして演算部52は、釣銭の有無を判断(J-4)し、釣銭がない場合(J-4のNo)には商品購入手続きが終了する(END)。また、釣銭がある場合(J-4のYes)には、釣銭払出手段26により釣銭口28への釣銭払い出し(S-10)した後、商品購入手続きが終了する(END)。
【0051】
また、演算部52が購入者による商品1の購入金額の決済が完了できなかった(J-3のNo)ことを確認すると、演算部52は、情報表示部12Bに商品購入を中止するか否かの確認表示を表示させる(S-11)。購入者が情報表示部12Bに表示された購入中止ボタンをタップする(J-5のYes)と、演算部52は商品購入手続きを終了させる(END)。これとは反対に、購入者が情報表示部12Bに表示された購入継続ボタンをタップする(J-5のNo)と、情報表示部12Bに表示された決済方法ボタンにより購入者に決済方法を変更させ(S-12)、変更した決済方法による決済を実行させる(S-8)。そして(S-8)以降のフローが実行されることになる。なお、演算部52は、決済方法の変更(S-12)を行う際において、情報表示部12Bにキャッシュレス決済の種類(キャッシュレス決済業者)の変更を要求するキャッシュレス決済種別変更ボタンを決済方法ボタンと同時に表示させるようにしてもよい。
【0052】
本発明に係る自動販売機100およびこれを用いた自動販売システム500によれば、大量の釣銭の準備を不要とし、現金管理の煩雑さや現金の窃盗被害を防止することができる。また、従来は釣銭の準備等の制約から自動販売機100で販売することができなかった商品1であっても取り扱うことができるようになり、自動販売機100における商品1に対する販売上の制約を緩和することが可能になる。また、商品1の販売価格の設定の自由度も向上する点においても好都合である。
【0053】
以上に本発明に係る自動販売機100およびこれを用いた自動販売システム500について実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、以上の実施形態においては、キャッシュレス決済可能な商品1の購入金額の決済方法については、いわゆるコード決済を例示しているが、キャッシュレス決済はコード決済に限定されるものではない。いわゆる電子マネーを用いたキャッシュレス決済を採用することもできる。なお、電子マネーによる決済を採用した場合には、本体部10に購入者が所持するICカードや携帯端末との通信が可能な図示しない決済用通信部が配設される。
【0054】
また、以上の実施形態における表示部12は、商品表示部12Aと情報表示部12Bにより構成された形態を例示しているが、この形態に限定されるものではない。商品表示部12Aに画像による商品サンプル2を表示する場合は、商品表示部12Aもモニタになるため、商品表示部12Aと情報表示部12Bの区別をなくして一つのモニタにより表示部12が構成される形態を採用することもできる。
【0055】
また、以上の実施形態においては、本体部10に配設されたまとめ買い選択手段14を操作することにより、自動販売機100の商品1をまとめ買いする形態を例示しているが、まとめ買い選択手段14の配設は省略することもできる。まとめ買い選択手段14が配設されていない自動販売機100においては、まとめ買いができない設定が基本になるが、まとめ買いができる設定にすることもできる。この場合、演算部52は、商品選択手段13により商品1が選択された際、情報表示部12Bに決済開始ボタンを表示させ、購入者が決済開始ボタンを選択せずに、商品選択手段13により商品1を追加選択した際は、まとめ買いモードに移行させる処理を実行する。また、購入者が情報表示部12Bに表示された決済開始ボタンを有効にした場合、演算部52は商品1の購入金額の決済処理を開始すればよい。
【0056】
また、以上の実施形態においては、硬貨投入部21Aと紙幣投入部21Bにより現金投入部21が構成された形態を例示しているが、現金投入部21は硬貨投入部21Aまたは紙幣投入部21Bのいずれか一方のみであってもよい。
【0057】
また、以上の実施形態においては、ネットワーク接続部40を有する形態を例示しているが、ネットワーク接続部40の構成は省略することもできる。ネットワーク接続部40の構成を有しない場合、操作端末200による遠隔操作はできなくなる。この場合、本体部10に図示しない操作制御盤を配設し、運営者が操作制御盤を操作することで自動販売機100に設定条件データ操作コマンドや販売データ要求コマンドを入力することができる。なお、販売データHBDは、本体部10に配設された図示しないデータ出力部に同じく図示しないデータ受信端末を接続することでデータ受信端末に出力することができる。
【0058】
また、以上の実施形態においては、操作端末200にタブレット端末が適用された形態を例示しているが、操作端末200は、自動販売システム500を管理する管理サーバであってもよい。
【0059】
そして以上に説明した変形例の他、実施形態において説明した変形例等を適宜組み合わせた形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1:商品,2:商品サンプル
10:本体部
11:収容庫,12:表示部,12A:商品表示部,12B:情報表示部,
13:商品選択手段,14:まとめ買い選択手段,15:商品取出口,17:カウンタ
20:現金決済部
21:現金投入部,21A:硬貨投入部,21B:紙幣投入部,
22:現金投入額算出手段,23:釣銭算出手段,24:第1商品払出手段,
26:釣銭払出手段,27:現金収容部,28:釣銭口
30:キャッシュレス決済部
32:決済コード表示手段,34:決済コードスキャナ,36:第2商品払出手段
40:ネットワーク接続部
50:動作制御部
52:演算部,54:動作制御プログラム,56:記憶部
100:自動販売機
200:操作端末
210:操作端末モニタ,220:操作端末ネットワーク接続部,
230:操作端末記憶部,240:操作端末制御部
300:ネットワーク
500:自動販売システム