(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】焚火台
(51)【国際特許分類】
F24C 1/16 20210101AFI20241028BHJP
F24B 1/02 20060101ALI20241028BHJP
F24B 1/18 20060101ALI20241028BHJP
F24B 1/20 20060101ALI20241028BHJP
F24B 13/04 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
F24C1/16 A
F24B1/02 C
F24B1/18 E
F24B1/20
F24B13/04 Z
(21)【出願番号】P 2022570056
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2021046540
(87)【国際公開番号】W WO2022131334
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2020210709
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592245890
【氏名又は名称】井上金物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】大澤 智秀
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-028425(JP,A)
【文献】特開2022-035051(JP,A)
【文献】登録実用新案第3084315(JP,U)
【文献】実開昭54-095473(JP,U)
【文献】特開2015-223330(JP,A)
【文献】特開2020-130741(JP,A)
【文献】特開2010-243043(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0058686(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00 - 7/10
F23B 10/00 - 99/00
F24B 1/00 - 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面の開口が正方形の箱を有し、
前記箱には、筒型に組み合わせて煙突形状にした4枚の規格木材が嵌め込まれることを特徴とする焚火台。
【請求項2】
前記箱の底板には、多数の空気穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の焚火台。
【請求項3】
前記箱の側板に配置され前記規格木材を締め付ける付勢部材を有することを特徴とする請求項1または2に記載の焚火台。
【請求項4】
前記箱の底板を地面から離隔させる足を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の焚火台。
【請求項5】
前記
箱の底板には、中央通気孔と、前記中央通気孔への空気の流入量を調節する開閉部材を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の焚火台。
【請求項6】
前記箱の周囲には、燃え崩れた前記規格木材を受ける受皿が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の焚火台。
【請求項7】
前記箱の底板の中央には、上昇気流を旋回させる羽根が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の焚火台。
【請求項8】
前記箱の底板には着脱可能なロストルが取り付けられていて、二重底になっていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の焚火台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焚火に用いられる焚火台に関する。
【背景技術】
【0002】
焚火を行う際には、薪をくべるための焚火台が用いられる。焚火台としては、例えば特許文献1には、折り畳み可能な焚火台が開示されている。特許文献1の焚火台では、火床を形成する矩形状の底板の対向する両側方に第1側板と第2側板とが配置されて、燃焼空間が形成される。
【0003】
特許文献1の焚火台では、第1側板の上部と第2側板の上部とが第1回転接続部で相対的に回転可能に接続されていて、底板の一方側隅部と第1側板の下部とが、第2回転接続部で相対的に回転可能に接続されている。特許文献1によれば、使用時には、第1側板、第2側板および底板を展開して断面略三角形状の燃焼空間を形成し、非使用時には、底板、第1側板および第2側板を折り畳んで焚火台をコンパクトな形状にできるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の焚火台では、火床を形成する床板に薪がくべられるが、このような場合、積み上げた薪の上の方ばかり燃えてしまうため、放置すれば短時間で火勢が弱まって消えてしまう。薪をまんべんなく燃やすためには、薪の上下を入れ替えるなど、火の世話をする必要がある。また特許文献1の焚火台のように床板に薪を積み上げる場合、薪に空気が通りにくく、薪を効率的に燃焼させることが難しい。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、薪を長時間且つ効率的に燃焼させることが可能な焚火台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる焚火台の代表的な構成は、上面の開口が正方形の箱を有し、箱には、筒型に組み合わせて煙突形状にした4枚の規格木材(例えば2×4材)が嵌め込まれることを特徴とする。
【0008】
上記構成では、4枚の規格木材を薪として用い、それらを筒型に組み立てて焚火台の箱に嵌め込む。これにより、焚火台において4枚の規格木材(燃料)からなる煙突形状が設けられる。このように燃料によって縦長の煙突形状を設けることにより、煙突形状の中心部から長く上がる形状の炎が形成されて、規格木材は下方から上方にむかって徐々に燃焼していく。これにより、薪である規格木材を長時間燃焼させることが可能となる。
【0009】
上記箱の底板には、多数の空気穴が形成されているとよい。これにより、多数の空気穴を通じて、箱ひいてはそこにはめ込まれた規格木材によって形成された煙突形状に効率的に空気を供給することができる。したがって、薪である規格木材を効率的に燃焼させることが可能となる。
【0010】
上記箱の側板もしくは別部材に配置され規格木材を締め付ける付勢部材を有するとよい。かかる構成によれば、寸法誤差によって隣接する2つの規格木材の間に隙間が生じた場合に、付勢部材によって規格木材を締め付ける(突き合わせる)ことでその隙間を解消することが可能となる。
【0011】
上記箱の底板を地面から離隔させる足を有するとよい。これにより、箱の底面と地面との間に隙間が形成されるため、空気が箱内に効率的に供給される。
【0012】
上記羽根への空気の流入量を調節する開閉部材を有するとよい。これにより、空気の流入量を調節することで、規格木材の燃焼効率を調整することができる。
【0013】
上記箱の周囲には、燃え崩れた規格木材を受ける受皿が設けられているとよい。これにより、燃え崩れた規格木材の焚火台周囲への散乱を好適に防ぐことが可能となる。
【0014】
上記箱の底板の中央には、上昇気流を旋回させる羽根が設けられているとよい。かかる構成によれば、羽根によって旋回した上昇気流が遠心力によって規格木材の燃焼部分に押し付けられる。したがって、薪である規格木材の燃焼効率を高めることが可能となる。
【0015】
箱の底板には着脱可能なロストルが取り付けられていて、二重底になっていることが好ましい。箱の底を二重底にすることにより、燃焼部分へ流入する空気をあらかじめ暖めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、薪を長時間且つ効率的に燃焼させることが可能な焚火台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態にかかる焚火台の全体斜視図である。
【
図2】
図1の焚火台を下方から観察した斜視図である。
【
図4】第2実施形態にかかる焚火台の全体斜視図である。
【
図6】
図4の焚火台を下方から観察した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態にかかる焚火台100の全体斜視図である。
図2は、
図1の焚火台100を下方から観察した斜視図である。
図1、
図2(a)および(b)に示すように、本実施形態にかかる焚火台100は、台座110の中央に正方形の箱120を有する。箱120は、底面122および4つの側板124を有し、上面が開口している。
【0020】
図3は、本実施形態の焚火台100の使用態様図である。
図3(a)は、規格木材10を嵌め込んだ状態の全体斜視図であり、
図3(b)は、
図3(a)の焚火台100を下方から観察した斜視図である。
図3(a)および(b)に示すように、本実施形態の焚火台100では、箱120に、筒型に組み合わせて煙突形状にした4枚の規格木材10が嵌め込まれる。
【0021】
規格木材10とは、幅や厚みが所定の寸法に調整されている木材である。規格木材10としては、例えば、2×4材(ツーバイフォー)や1×4材(ワンバイフォー)を例示することができる。かかる規格木材10は、本実施形態の焚火台100では薪として用いられる。このように薪として規格木材10を用いることにより、入手が容易であるため薪を自ら作成する作業が不要となる。
【0022】
図3(a)に示すように、規格木材10の幅をW1とし、規格木材10の厚みをT1としたとき、箱120の幅Wは「W1+T1」となる。箱120の幅Wが「W1+T1」よりも大きいと、当然して隣接する規格木材10の間に隙間が生じ、ぐらつきが生じてしまう。一方、箱120の幅Wが「W1+T1」よりも小さいと、筒型に組み合わせた4枚の規格木材10を箱に嵌め込めなくなってしまう。したがって、本実施形態のように箱120の幅Wは「W1+T1」とすることにより、箱120に規格木材10を隙間なく嵌め込むことができる。
【0023】
本実施形態の焚火台100では、
図3(a)および(b)に示すように、4枚の規格木材10を薪として用い、それらを筒型に組み立てて焚火台100の箱120に嵌め込む。これにより、4枚の規格木材10からなる煙突形状が設けられる。着火剤に点火して規格木材10の中に投入すると、規格木材10の下部に火が燃え移る。これにより、規格木材10は下方から上方にむかって徐々に燃焼していく(トーチ燃焼)。したがって、薪である規格木材10を長時間燃焼させることが可能となる。
【0024】
また
図2(a)および(b)に示すように本実施形態の焚火台100では、箱120の側板124に、規格木材10(
図3参照)を締め付ける付勢部材130が配置されている。これにより、寸法誤差によって隣接する2つの規格木材10の間に隙間が生じた場合に、付勢部材130によって規格木材10を締め付ける(突き合わせる)ことでその隙間を解消することができる。したがって、隙間が生じた場合であっても、隣接する2つの規格木材10を密着させることが可能となる。
【0025】
なお、本実施形態では、付勢部材130としてネジを例示している。ただし、これに限定するものではなく、付勢部材130としては、例えばバネやくさびなど、既知の他の部材を用いることも可能である。
【0026】
更に本実施形態の焚火台100では、
図1に示すように、箱120の底板には、多数の小さな空気穴126がほぼ均等に配列して形成されている。これにより、多数の空気穴126を通じて、箱120にはめ込まれた規格木材10によって形成された煙突形状の内部に空気が供給される。したがって、薪である規格木材10を効率的に燃焼させることが可能となる。
【0027】
また
図2(b)に示すように本実施形態では、箱120の底面122の中央に、上述した空気穴126よりも径が大きい中央通気孔128が形成されている。中央通気孔128は、すなわち、規格木材10からなる煙突形状の中央に位置する。そして
図1に示すように、箱120の底面122の中央には、上昇気流を旋回させる羽根140が設けられている。羽根140は、上方に向かって斜めに立ち上がっていて、鉛直方向に対して線対称に配置されている。
【0028】
本実施形態のように羽根140を設けることにより、羽根140によって旋回した上昇気流が遠心力によって規格木材10の燃焼部分に押し付けられる。したがって、薪である規格木材10の燃焼効率を高めることが可能となる。なお、本実施形態では、箱120とは別部材の羽根140を用いたがこれに限定するものではない。例えば、箱120の底面122の中央に切り込みを入れ、その部分を立ち上げることにより(切り起こしともいう)、箱120と一体となった羽根を設けることが可能である。
【0029】
また本実施形態では
図2(a)に示すように、中央通気孔128を開閉する開閉部材150が設けられている。開閉部材150は底面122に沿ってスライドするシャッターであり、箱120の外側に開閉用の取手150aを備えている。開閉部材150は、中央通気孔128を通過する空気の流量を調節する。これにより、
図2(a)に示すように開閉部材150によって中央通気孔128を閉状態とすると、規格木材10によって形成された煙突形状の内部へは中央通気孔128からの空気が供給されない。
【0030】
一方、
図2(b)に示すように開閉部材150を引き出して中央通気孔128を開状態とすると、規格木材10によって形成された煙突形状の内部へ中央通気孔128を通じて空気が供給される。このように本実施形態の焚火台100によれば、中央通気孔128を開閉して空気の流入量を調節することで、規格木材10の燃焼速度を調整することができる。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の焚火台100は、箱120の底板を地面から離隔させる足160を有する。これにより、箱120の底面122と地面との間に隙間が形成される。したがって、空気が空気穴126または中央通気孔128から箱120の内部に入りやすくなっている。
【0032】
また
図1および
図3(a)に示すように、箱120の周囲には、燃え崩れた規格木材10を受ける受皿170が設けられている。これにより、燃え崩れた規格木材10の焚火台100の周囲への散乱を好適に防ぐことが可能となる。
【0033】
[第2実施形態]
図4は第2実施形態にかかる焚火台200の全体斜視図、
図5はロストルを説明する図、
図6は
図4の焚火台200を下方から観察した斜視図である。上記第1実施形態と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
図4に示す焚火台200は、
図1に示した焚火台100と同様に、規格木材を煙突形状に支持して、その内側から燃焼させる台である。
図5に示すように、箱120の底面122には着脱可能なロストル210が取り付けられている。ロストル210とはグリルや焚き火台に敷く網のことであり、多数の小さな空気穴126がほぼ均等に配列して形成されている。
【0035】
一方、底面122には多数の小さな空気穴126は設けられていないが、大きな中央通気孔128は設けられている。底面122とロストル210の二重底になっていることにより、底面122の中央通気孔128から流入した空気は、二重底の中であらかじめ暖められてから空気穴126を抜けて、燃焼部分へ流入する。したがって、火の勢いを弱めてしまうことを防止できる。
【0036】
図6に示すように、底面122の下側には中央通気孔128を開閉する開閉部材152が取り付けられている。152は中央通気孔128の中心に回転軸152bを有するシャッターであり、箱120の外側に開閉用の取手152aを備えている。取手152aは側板124に設けられたスリット124aを通るように配置されていて、可動範囲を規制されている。開閉部材152によって中央通気孔128を通過する空気の流量を調節することにより、火勢を調節することができる。
【0037】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は斯かる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、焚火に用いられる焚火台として利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10…規格木材、100…焚火台、110…台座、120…箱、122…底面、124…側板、124a…スリット、126…空気穴、128…中央通気孔、130…付勢部材、140…羽根、150…開閉部材、150a…取手、152…開閉部材、152a…取手、152b…回転軸、160…足、170…受皿、200…焚火台、210…ロストル