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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】清掃装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 11/30 20060101AFI20241028BHJP
   A47L 5/24 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
A47L11/30
A47L5/24 A
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2023075332
(22)【出願日】2023-04-29
【審査請求日】2024-03-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】奥村 明彦
(72)【発明者】
【氏名】神 尚孝
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-314081(JP,A)
【文献】特開平06-304096(JP,A)
【文献】特開2006-95108(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10237847(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気および液体を吸引可能な清掃装置において、
本体部と、
前記本体部に収納され且つ吸引力を発生する電動送風機と、
前記本体部に設けられた第1吸引口および第2吸引口と、
前記第2吸引口を開状態と閉状態とにする蓋部材と、
前記本体部に設けられ且つ前記第1吸引口および前記第2吸引口から吸引した液体を貯留するタンク部と、
前記本体部に設けられ且つ前記第1吸引口と前記タンク部のタンク入口穴とを連通する第1吸引経路と、
前記本体部に設けられ且つ前記第2吸引口と前記タンク部のタンク入口穴とを連通する第2吸引経路と、
前記タンク部内であって前記タンク入口穴に設けられ且つ流入した液体の流れの方向を変更する流入方向変換部と、
を備え、
前記第1吸引口および前記第2吸引口の一方から吸引可能であり、
前記第2吸引口が閉状態のときに前記第1吸引経路で吸引する第1状態と、前記第2吸引口にホース部が接続されているときに前記第2吸引経路で吸引する第2状態と、を取ることができ、
前記第2吸引口は前記第1吸引経路上に設けられ、
前記第2吸引口に前記ホース部が接続されているとき、前記第1吸引経路が、前記ホース部により塞がれ、前記ホース部が前記流入方向変換部に接続される
清掃装置。
【請求項2】
前記本体部の上方にハンドル部を備え、
前記ハンドル部の前面、上面、後面は、それぞれ前記本体部の前面、上面、後面と平行である、
請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記ハンドル部の内側に配置された操作部を有する、
請求項に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記ハンドル部の直下に、前記電動送風機の重心が存する状態で前記電動送風機が配置されている、
請求項またはに記載の清掃装置。
【請求項5】
前記タンク部の前面が前記第1吸引経路および前記第2吸引経路の一部を構成する、
請求項に記載の清掃装置。
【請求項6】
前記本体部において、前記電動送風機の下方にバッテリーが配置され、前記電動送風機および前記バッテリーの前側に前記タンク部が配置され、前記タンク部の前側に前記第1吸引経路および前記第2吸引経路が配置され、前記電動送風機および前記バッテリーの直後位置に制御部が配置される、
請求項に記載の清掃装置。
【請求項7】
前記本体部はカバー部を有し、
前記カバー部が、前記第1吸引経路および前記第2吸引経路の一部を構成し、前記本体部に対して前記タンク部と共に着脱可能である、
請求項に記載の清掃装置。
【請求項8】
前記タンク部は、前記本体部に対して水平方向に着脱される、
請求項に記載の清掃装置。
【請求項9】
前記タンク部は、後面に前記電動送風機へ繋がる開口部を有し、
前記開口部の周縁はパッキンにより密閉される、
請求項に記載の清掃装置。
【請求項10】
前記タンク部は、上下方向に分割可能な第1タンク部と第2タンク部とを備え、
前記第1タンク部と前記第2タンク部は、それぞれの前部と後部に設けられた係合部で係合される、
請求項に記載の清掃装置。
【請求項11】
前記タンク部は、前記第1タンク部と前記第2タンク部のうち下方のタンク部に満水位置が設定されている、
請求項10に記載の清掃装置。
【請求項12】
前記電動送風機を駆動するバッテリーと、
前記電動送風機を制御する制御部と、
前記電動送風機からの排気を機外に排出する排出する排気経路と、
を備え、
前記バッテリーおよび前記制御部は、前記排気経路外に配置される、
請求項1に記載の清掃装置。
【請求項13】
前記電動送風機の下方に配され且つ前記電動送風機を駆動するバッテリーと、
前記電動送風機を制御する制御部と、
前記電動送風機からの排気を、排気口を介して機外に排出する排気経路と、
を備え、
前記排気経路が前記バッテリーの下方を通過して、前記排気口に至る、
請求項1に記載の清掃装置。
【請求項14】
前記排気口は、前記本体部に対して着脱可能なカバー部材に形成されている、
請求項13に記載の清掃装置。
【請求項15】
前記本体部に設けられ且つ前記第1吸引口および前記第2吸引口から吸引した液体を貯留するタンク部と、
前記タンク部の側方に設けられ且つ前記タンク部の液位を検知する静電容量センサと、
前記電動送風機の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記静電容量センサの検知結果に基づいて、前記タンク部が満水であると判断した場合に前記電動送風機を停止させる、
請求項1に記載の清掃装置。
【請求項16】
前記本体部の傾きを検知する傾斜センサと、
前記電動送風機の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記傾斜センサで検知した傾斜角度が所定の閾値以上の場合に、前記電動送風機を停止させる、
請求項1に記載の清掃装置。
【請求項17】
前記閾値は、第1閾値と前記第1閾値より大きい第2閾値とを含み、
前記制御部は、
前記傾斜センサで検知した傾斜角度が前記第1閾値以上前記第2閾値未満の場合、第1時間経過後に前記電動送風機を停止させ、
前記傾斜センサで検知した傾斜角度が前記第2閾値以上の場合、前記第1時間よりも短い第2時間経過後に前記電動送風機を停止させる、
請求項16に記載の清掃装置。
【請求項18】
前記本体部は、
前記流入方向変換部を構成し、前記第1吸引経路および前記第2吸引経路から前記タンク部内に延び且つ吹出口を有する吹出部材と、
前記電動送風機の吸引口から前記タンク部内に延びる吸引案内部材と、
を備え、
前記吸引案内部材は、
前記電動送風機の吸引口に連通するための開口部と、
前記吹出口から直接前記開口部へ向かって吹き出される液体または空気を遮蔽する遮蔽部と、
を有する、
請求項に記載の清掃装置。
【請求項19】
前記吹出口からの吹出方向と、前記吸引案内部材の前記開口部からの吸引方向とは、垂直である、
請求項18に記載の清掃装置。
【請求項20】
前記流入方向変換部は、前記吹出口を覆うようにして、前記吹出部材の先端部側から遊挿されたキャップ部材を備える、
請求項18または19に記載の清掃装置。
【請求項21】
前記電動送風機を覆うカバーを備え、
前記カバーは、吸引時に負圧で開く弁機構を有する、
請求項1に記載の清掃装置。
【請求項22】
前記第1吸引口は、前記本体部の底面であって載置面と平行な方向における一方の端部の前記底面に設けられ、
前記底面の前記第1吸引口に隣接する位置に、毛先が前記底面より下方に突出したブラシが設けられ、
前記本体部の前記底面であって、前記第1吸引口および前記ブラシより前記一方の端部と反対側の領域に、前記本体部を前記載置面に載置したときに前記ブラシの毛先が前記載置面に接触しないように前記載置面に当接する当接部材が設けられている、
請求項1に記載の清掃装置。
【請求項23】
請求項1に記載の清掃装置と、充電台とを備えた清掃装置セットであって、
前記充電台は、底部に設けられた水抜き穴と、前記水抜き穴より上方に設けられた充電接点とを有する清掃装置セット。
【請求項24】
請求項1に記載の清掃装置と、充電台と、収納ケースとを備えた清掃装置セットであって、
前記収納ケースは、側方へ突出する係合部を有し、前記係合部が前記充電台に形成された被係合部に係合して前記収納ケースが前記充電台に並設される、
清掃装置セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被清掃面を清掃する清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、液体を吸引する清掃装置として、容易に持ち運べる手持ち式吸引洗浄機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-87780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1における清掃装置においては、吸引口が底面にあるため、床面に対しては作業しやすいが、様々な方向の面を清掃する際には、本体ごと回転させる必要がある。その際、本体はある程度重いため、作業性が良いとは言えない。
本発明は、様々な清掃面に対して作業性のよい清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る清掃装置は、空気および液体を吸引可能な清掃装置において、本体部と、前記本体部に収納され且つ吸引力を発生する電動送風機と、前記本体部に設けられた第1吸引口および第2吸引口と、を備え、前記第1吸引口および前記第2吸引口の一方から吸引可能である。
本発明に係る清掃装置セットは、上記の清掃装置と、充電台とを備えた清掃装置セットであって、前記充電台は、底部に設けられた水抜き穴と、前記水抜き穴より上方に設けられた充電接点とを有する。
本発明に係る清掃装置セットは、上記の清掃装置と、充電台と、収納ケースとを備えた清掃装置セットであって、前記収納ケースは、側方へ突出する係合部を有し、前記係合部が前記充電台に形成された被係合部に係合して前記収納ケースが前記充電台に並設される。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、清掃装置は、第1吸引口とは別に第2吸引口を有するため、様々な清掃面を清掃する際における作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る清掃装置を前左側上方から見た斜視図である。
図2】ホース部を取り外した清掃装置の前右側上方から見たときの斜視図である。
図3】装置本体を右側方向から見た側面図である。
図4】(a)は、装置本体においてタンク部を前方に移動させて吸引装置部から分離させた状態を後右上方から見た斜視図であり、(b)は、装置本体においてタンク部を前方に移動させて吸引装置部から分離させた状態を前右下方から見た斜視図である。
図5】装置本体を左右方向の中央で切断したときの概略断面図である。
図6】(a)は、図5におけるタンク部のみを拡大した断面図であり、(b)は、タンク内の流入方向変換部の分解斜視図である。
図7】タンク部の分解状態の斜視図であり、(a)は、前右上方から見た図であり、(b)は、後右下方から見た図である。
図8】上部タンク部の分解状態の斜視図であり、(a)は、前右上方から見た図であり、(b)は、後左下方から見た図である。
図9】タンク部の前部における拡大断面図であり、(a)は、第2吸引口にハンドツール部のホース部が装着されていない状態を示す断面図であり、(b)は、ホース部が第2吸引口に接続された状態を示す断面図である。
図10】吸引装置部を分解した状態を前右上方から見たときの斜視図である。
図11】吸引装置部を分解した状態を後左下方から見たときの斜視図である。
図12】(a)は、吸引装置部の前部を前右下方から見た斜視図であり、(b)は、吸引装置部の弁機構部の部分断面図を示す図である。
図13】(a)は、吸引装置部において、右ケース部材を取り除いて、電動送風機からの排気経路の構成を示す図であり、(b)は、本体部の排気経路の断面図を後側から見た図である。
図14】排気用スリットが形成されたカバー部材を本体部の底部から取り外した状態を示す図であり、(a)は、左上側斜視図を示し、(b)は、左側下側斜視図である。
図15】(a)は、清掃装置の制御系統を示すブロック図であり、(b)は、当該制御系統における傾きセンサにより検知される清掃装置本体の傾きを示す図である。
図16】制御部により実行される電動送風機の駆動停止制御の内容を示すフローチャートである。
図17】(a)は、清掃装置と充電台、収納ボックスを含む清掃装置セットを示す斜視図であり、(b)は、収納ボックスから取り出したハンドツール部と液体スプレーを示す図である。
図18】充電台の内部を示すための断面斜視図であり、(a)は、同断面図を上方から見た斜視図であり、(b)は、同断面図を底方向から見た斜視図である。
図19】(a)は、収納ボックスを上方から見たときの斜視図であり、(b)は、充電台に収納ボックスを装着したときの状態を底面方向から見たときの斜視図である。
図20】電動送風機の駆動停止制御の変形例を示すフローチャートである。
図21】変形例のタンク部を示し、(a)は、左右方向の中央で切断したときの概略断面図であり、(b)は、左右方向の中央で切断した状態を後左下方から見た斜視図である。
【0008】
<概要>
実施形態の一態様に係る第1の清掃装置は、空気および液体を吸引可能な清掃装置において、本体部と、前記本体部に収納され且つ吸引力を発生する電動送風機と、前記本体部に設けられた第1吸引口および第2吸引口と、を備え、前記第1吸引口および前記第2吸引口の一方から吸引可能である。
上記構成の清掃装置によれば、第1吸引口とは別に第2吸引口を有する使い分けることができる。これにより、様々な清掃面を清掃する際における作業性を向上させることができる。
【0009】
実施形態の別態様に係る第2の清掃装置は、第1の清掃装置において、前記第2吸引口を開状態と閉状態とにする蓋部材と、前記本体部に設けられ且つ前記第1吸引口および前記第2吸引口から吸引した液体を貯留するタンク部と、前記本体部に設けられ且つ前記第1吸引口と前記タンク部とを連通する第1吸引経路と、前記本体部に設けられ且つ前記第2吸引口と前記タンク部とを連通する第2吸引経路と、を備え、前記第2吸引口が閉状態のときに前記第1吸引経路で吸引する第1状態と、前記第2吸引口にホース部が接続されているときに前記第2吸引経路で吸引する第2状態と、を取り得る。
これによれば、第2吸引口が閉じられているときに、第1吸引口から吸引し、第2吸引口にホース部が接続されているとき第1吸引口からは吸引せずに第2吸引口から吸引するので、操作性に優れる。また、簡単な操作で、吸引口を切り替えできる。
【0010】
実施形態の別態様に係る第3の清掃装置は、第1又は第2の清掃装置において、前記第2吸引口は前記第1吸引経路上に設けられ、前記第2吸引口に前記ホース部が接続されているとき、前記第1吸引経路が、前記ホース部により塞がれる。
これによれば、第2吸引口にホース部を接続するだけで簡単に吸引経路を第1吸引経路から第2吸引経路に切り換えることができる。また、簡単な構造で実施できる。
【0011】
実施形態の別態様に係る第4の清掃装置は、第1~第3の清掃装置において、前記本体部の上方にハンドル部を備え、前記ハンドル部の前面、上面、後面は、それぞれ前記本体部の前面、上面、後面と平行である。
これにより、装置外観の一体感が増すと共に、ハンドル部の前面部の延長上に第1吸引口を設けておけば、ユーザがハンドル部を握って清掃装置を使用する際に、第1吸引口の位置を容易に把握することができ、操作性が増す。
【0012】
実施形態の別態様に係る第5の清掃装置は、第1~第4の清掃装置において、前記ハンドル部の内側に配置された操作部を有する。
これにより、ユーザが片手でハンドル部を握ったまま操作部を容易に操作することができ、操作性が向上する。
【0013】
実施形態の別態様に係る第6の清掃装置は、第1~第5の清掃装置において、前記ハンドル部の直下に、前記電動送風機の重心が存する状態で前記電動送風機が配置されている。
これにより、本体部の重心がハンドルの直下に配置することで、重心がハンドルの直下に配置されていない場合よりも、重量バランスが良くなり、ユーザは装置の重量を感覚的に軽く感じる。
【0014】
実施形態の別態様に係る第7の清掃装置は、第1~第6の清掃装置において、前記タンク部の前面が前記第1吸引経路および前記第2吸引経路の一部を構成する。
別途第1および/または第2吸引経路の構成部材の一部をタンク部の前面で兼用することできるので、部品点数を少なくできる。また、構造も簡単にできる。
【0015】
実施形態の別態様に係る第8の清掃装置は、第1~第7の清掃装置において、前記本体部において、前記電動送風機の下方にバッテリーが配置され、前記電動送風機および前記バッテリーの前側に前記タンク部が配置され、前記タンク部の前側に前記第1吸引経路および前記第2吸引経路が配置され、前記電動送風機および前記バッテリーの直後位置に制御部が配置される。
これにより、本体部をコンパクトに構成することができる。
【0016】
実施形態の別態様に係る第9の清掃装置は、第1~第8の清掃装置において、前記本体部はカバー部を有し、前記カバー部が、前記第1吸引経路および前記第2吸引経路の一部を構成し、前記本体部に対して前記タンク部と共に着脱可能である。
これにより、カバー部を外して、第1吸引経路、第2吸引経路を容易に清掃することができる。
【0017】
実施形態の別態様に係る第10の清掃装置は、第1~第9の清掃装置において、前記タンク部は、前記本体部に対して水平方向に着脱される。
これにより、タンク部内の液体が揺れにくいため、タンク部を取り外す際に、液体が溢れにくい。
【0018】
実施形態の別態様に係る第11の清掃装置は、第1~第10の清掃装置において、前記タンク部は、後面に前記電動送風機へ繋がる開口部を有し、前記開口部の周縁はパッキンにより密閉される。
これにより、簡単な構成で密閉性を向上できる。また、タンク部の取付け方向とパッキンの潰れる方向が一致する場合、密閉性を向上できる。
【0019】
実施形態の別態様に係る第12の清掃装置は、第1~第11の清掃装置において、前記タンク部は、上下方向に分割可能な第1タンク部と第2タンク部とを備え、前記第1タンク部と前記第2タンク部は、それぞれの前部と後部に設けられた係合部で係合される。
これにより、タンク部は、上下に分割して吸引した液体を廃棄しやすい。また、上下の第1、第2タンク部の係合部は、タンク部の前後に配されており、前部の係合部は、カバー部により隠され、後部の係合部は本体部に隠され、外部から触れることができないので、誤って係合を解除してしまうことがない。
【0020】
実施形態の別態様に係る第13の清掃装置は、第1~第12の清掃装置において、前記タンク部は、前記第1タンク部と前記第2タンク部のうち下方のタンク部に満水位置が設定されている。
これにより、満水状態のタンク部を上下に分割する際に液体が不用意に外部に溢れることがない。
【0021】
実施形態の別態様に係る第14の清掃装置は、第1~第13の清掃装置において、前記電動送風機を駆動するバッテリーと、前記電動送風機を制御する制御部と、前記電動送風機からの排気を機外に排出する排出する排気経路と、を備え、前記バッテリーおよび前記制御部は、前記排気経路外に配置される。
これにより、電動送風機により送出される排気に液体やゴミなどが含まれていても、それらがバッテリーや制御部に付着し難い。
【0022】
実施形態の別態様に係る第15の清掃装置は、第1~第14の清掃装置において、前記電動送風機の下方に配され且つ前記電動送風機を駆動するバッテリーと、前記電動送風機を制御する制御部と、前記電動送風機からの排気を、排気口を介して機外に排出する排気経路と、を備え、前記排気経路が前記バッテリーの下方を通過して、前記排気口に至る。
これにより、電動送風機から排気口までに至る排気経路を長くすることができるので、機外に漏れる電動送風機の騒音を抑えることができる。
【0023】
実施形態の別態様に係る第16の清掃装置は、第1~第15の清掃装置において、前記排気口は、前記本体部に対して着脱可能なカバー部材に形成されている。
これにより、排気経路に溜まったゴミなどを掃除しやすくなる。また、掃除を行うことで、ゴミ等の異臭の発生を防止できる。
【0024】
実施形態の別態様に係る第17の清掃装置は、第1~第16の清掃装置において、前記本体部に設けられ且つ前記第1吸引口および前記第2吸引口から吸引した液体を貯留するタンク部と、前記タンク部の側方に設けられ且つ前記タンク部の液位を検知する静電容量センサと、前記電動送風機の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記静電容量センサの検知結果に基づいて、前記タンク部が満水であると判断した場合に前記電動送風機を停止させる。
これにより、静電容量センサによりタンク部の満水を検知できるので、フロートを用いた液面センサを使用したときのようにフロートがひっかかって液面を誤検知するおそれがない。
【0025】
実施形態の別態様に係る第18の清掃装置は、第1~第17の清掃装置において、前記本体部の傾きを検知する傾斜センサと、前記電動送風機の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記傾斜センサで検知した傾斜角度が所定の閾値以上の場合に、前記電動送風機を停止させる。
このように本体部が所定以上斜めになったときに電動送風機を停止させることにより、タンク部の液体が電動送風機に吸引されることを抑制できる。その結果、電動送風機の故障を抑制できる。
【0026】
実施形態の別態様に係る第19の清掃装置は、第1~第18の清掃装置において、前記閾値は、第1閾値と前記第1閾値より大きい第2閾値とを含み、前記制御部は、前記傾斜センサで検知した傾斜角度が前記第1閾値以上前記第2閾値未満の場合、第1時間経過後に前記電動送風機を停止させ、前記傾斜センサで検知した傾斜角度が前記第2閾値以上の場合、前記第1時間よりも短い第2時間経過後に前記電動送風機を停止させる。
これにより、本体部が少し斜めになったときは、その状態がある程度の時間継続された場合に停止させ、本体部が大きく斜めになったときは、より短時間で停止させることができ、使い勝手と電動送風機の保護とを両立させることができる。
つまり、少し斜めになったときは短時間で元も戻ることもあり、この場合に電動送風機を停止させることなく、清掃できる。
【0027】
実施形態の別態様に係る第20の清掃装置は、第1~第19の清掃装置において、前記本体部は、前記第1吸引経路および前記第2吸引経路から前記タンク部内に延び且つ吹出口を有する吹出部材と、前記電動送風機の吸引口から前記タンク部内に延びる吸引案内部材と、を備え、前記吸引案内部材は、前記電動送風機の吸引口に連通するための開口部と、前記吹出口から直接前記開口部へ向かって吹き出される液体または空気を遮蔽する遮蔽部と、を有する。
これにより、吹出口から直接開口部へ向かう液体を遮蔽部で遮蔽することができ、液体が電動送風機に吸引されることを抑制できる。
【0028】
実施形態の別態様に係る第21の清掃装置は、第1~第20の清掃装置において、前記吹出口からの吹出方向と、前記吸引案内部材の前記開口部からの吸引方向とは、垂直である。
これにより、吹出口から吹き出された液体が、電動送風機に吸引されることをさらに抑制できる。
【0029】
実施形態の別態様に係る第22の清掃装置は、第1~第21の清掃装置において、前記吹出口を覆うようにして、前記吹出部材の先端部側から遊挿されたキャップ部材を備える。
これにより、キャップ部材により吹出口からの気流がタンク部に回収した液面に当たらないため、タンク部内での水しぶきが抑えられ、液体が電動送風機に吸引されることをさらに抑制できる。
【0030】
実施形態の別態様に係る第23の清掃装置は、第1~第22の清掃装置において、前記電動送風機を覆うカバーを備え、前記カバーは、吸引時に負圧で開く弁機構を有する。
これにより、簡単な構成で電動送風機が駆動されていないときに液体が電動送風機内に入るおそれがなくなる。
【0031】
実施形態の別態様に係る第24の清掃装置は、第1~第23の清掃装置において、前記第1吸引口は、前記本体部の底面であって載置面と平行な方向における一方の端部の前記底面に設けられ、前記底面の前記第1吸引口に隣接する位置に、毛先が前記底面より下方に突出したブラシが設けられ、前記本体部の前記底面であって、前記第1吸引口および前記ブラシより前記一方の端部と反対側の領域に、前記本体部を前記載置面に載置したときに前記ブラシの毛先が前記載置面に接触しないように前記載置面に当接する当接部材が設けられている。
これにより、ブラシが載置面に当たらないので、ブラシ先端が潰れるのを防止できる。また、もし、タンク部の満水検知のため静電容量センサを用いる場合には、当該センサが載置面から少し遠くなり、その分、静電容量センサが載置面からの影響を受けにくくなり、誤検知を抑制できる。
【0032】
実施形態の別態様に係る第1の清掃装置セットは、第1~第24の清掃装置と、充電台とを備えた清掃装置セットであって、前記充電台は、底部に設けられた水抜き穴と、前記水抜き穴より上方に設けられた充電接点とを有する。
これにより、充電時に清掃装置から水漏れしても接点が濡れにくいので安全である。
【0033】
実施形態の別態様に係る第2の清掃装置セットは、第1~第24の清掃装置と、充電台と、収納ケースとを備えた清掃装置セットであって、前記収納ケースは、側方へ突出する係合部を有し、前記係合部が前記充電台に形成された被係合部に係合して前記収納ケースが前記充電台に並設される。
これにより、収納ケースを充電台に簡単に取り付けできる。
【0034】
<第1実施形態>
1.清掃装置の全体構成
図1は、本実施形態に係る清掃装置Xの左上側から見た斜視図である。清掃装置Xは、空気(ゴミ等を含む場合もある)及び液体を吸引可能な、所謂、湿式清掃装置である。なお、液体を用いずに使用することも可能である。なお、以下「空気及び/又は液体」を単に「液体」とする。
【0035】
図1に示すように、清掃装置Xは、装置本体01とハンドツール3を備える。装置本体01は、本体部1とハンドル部2とを備える。
本体部1は、吸引装置部4とタンク部5とカバー部6を備え、本体部1の上部にはユーザが把持するためのハンドル部2が設けられる。
カバー部6の下端部には、第1吸引口61が設けられ、カバー部6の第1吸引口61より上方の位置には、第2吸引口62が設けられている。つまり、カバー部6に第1吸引口61と第2吸引口62とが設けられている。
吸引装置部4内には、吸引力を発生する電動送風部71(図5参照)が内蔵され、これにより第1吸引口61もしくは第2吸引口62から液体が吸引される。吸引された液体はタンク部5に貯留される。
【0036】
ハンドツール3は、ホース部31と握り部32とヘッド部33とを備える。
ホース部31は、その両端部に接続部311、312を有し、接続部311を介して握り部32の下端に接続されると共に、接続部312を介して本体部1の第2吸引口62に着脱可能に接続される。
ヘッド部33は、握り部32の先端に設けられ、被清掃面上の液体を吸引するための吸引口331と、被清掃面のゴミなどを掻き取るための複数束のブラシを立設してなるブラシ部332とが設けられている。
【0037】
図2は、本体部1からハンドツール3のホース部31を取り外したときの清掃装置Xを右上側から見た斜視図である。
同図に示すように、ハンドツール3を取り外したとき、第2吸引口62は、カバー部6に設けられた蓋部材621により、開閉可能に塞がれる。なお、蓋部材621は、立設された一対の支持板622に支軸623を介して開閉可能に軸支されている。
本実施形態においては、第1吸引口61とタンク部5とを繋ぐ第1吸引経路と、第2吸引口62とタンク部5とを繋ぐ第2吸引経路とを有し、第2吸引口62が塞がれて閉状態(図2の状態)のとき、第1吸引経路で吸引する第1状態と、第2吸引口62にホース部31が接続されている(図1の状態)とき、第2吸引経路で吸引する第2状態を切り換えて、液体を吸引するように構成されている。詳しくは後述する。
なお、以下、本明細書においては、清掃装置Xにおいてカバー部6が設けられる側を前側とし、前後方向と上下方向とに直交する方向を左右方向とし、カバー部6を正面に見た状態で、向かって右側を左右方向の右側と定義する(図1の右下に示す三方向の矢印参照)。
【0038】
図3は、図2の清掃装置Xを右側から見たときの側面図である。
ハンドル部2は、「U」字状、「コ」字状、「V」字状、これらを組み合わせた形状をしている。ここでは、本体部1とで形成される空間が、前側の斜辺が傾斜し且つ後側の斜辺が垂直な台形状又はこれに似た形状をしている。つまり、ハンドル部2の上面21は、本体部1の上面41と平行であり、ハンドル部2の後面22は、本体部1の後面42と平行である。また、ハンドル部2の前側23は、本体部1のカバー部6の前面と平行である。なお、ここでいう「平行」には、両者の角度が10°以内で交差する場合を含む。
図3に示すように、第1吸引口61は、本体部1の前面63の延長線上の先端部下部に設けられているので、ユーザがハンドル部2を握ったときに直感的に第1吸引口61の位置が分かりやすい。換言すると、第1吸引口61が本体部1の前端側であってカバー部6の下側に設けているため、その位置が分かりやすい。
また、ハンドル部2の水平部26の下面と傾斜部27の後面が交差する位置には、操作部24が配されている。また、図1に示すようにハンドル部2の傾斜部27には、装置の駆動状態などをユーザに示すための表示部25が配される。
【0039】
図5の断面図に示すように、操作部24は、ユーザが人差指等で操作するためレバー部241と、レバー部241を下方に付勢する付勢手段(例えば圧縮バネ242である)と、ハンドル部2に内蔵されたリミットスイッチ244とを備える。ユーザがレバー部241を操作すると、レバー部241がリミットスイッチ244のスイッチボタン243に当接して、電源ONの信号が制御部9に送られる。
表示部25は、ハンドル部2の内部に複数のLED253を搭載した基板251が配され、制御部9からの指示に基づき、該当するLED253を点灯させてユーザに清掃装置Xの駆動状態などの情報を表示する。
また、タンク部5は、図4に示すように、操作部541を操作して矢印A方向(清掃装置Xの前後方向と平行な方向の前側)に引き出すことができるようになっている。これにより、タンク部5を水平方向に移動させることができるので、タンク部5内に液体が満水になっていたとしても、タンク部5を取り外す際に液体を溢すおそれが少なく、液体の廃棄作業が容易になる。
【0040】
図4は、タンク部5を本体部1から分離した状態を示す図であり、(a)は、本体部1の右後側上方から見た図であり、(b)は、本体部1の右前側下方から見た図である。
図4(a)に示すように、タンク部5には、引出方向A(図1前後方向)に沿ったガイド溝54が設けられており、タンク部5が吸引装置部4に装着された状態では、このガイド溝54が吸引装置部4のA方向に沿ったガイドレール部411に係合しており、タンク部5に設けられたロック機構により、A方向の移動がロックされる。なお、ガイド溝54はタンク部5の上部側に一対形成され、ガイドレール部411は、吸引装置部4の上面のA方向に沿った側部から左右方向の内側に屈曲して一対形成されている。
ロック機構は、タンク部5の係合(例えば突起)部542と、吸引装置部4の係合(例えば凹)部412とにより構成され、係合突起部542が係合凹部412に係合する。
タンク部5には、クランク機構などの公知の方向変換機構が設けられており、操作部541を押し込むことにより、係合突起部542がタンク部5の上面において没入するように構成されている。これにより、一対の操作部541を、例えば親指と人差し指等で挟むようにして左右方向の内側に押し込むことで、係合突起部542と係合凹部412との係合を解除できる。
【0041】
2.各部の構造
以下、清掃装置Xの各部の構造について詳しく説明する。
(1)タンク部
図5は、清掃装置Xの本体部1を左右方向(図1参照)の中央において切断したときの概略断面図である。また、図6(a)は、図5の断面図のうちタンク部5を取り出して示す拡大断面図である。
タンク部5は、前壁の上部に吸引用のタンク入口穴525を、後壁の上部に電動送風部71用の取付穴527を、内部にタンク室50をそれぞれ有している。タンク部5は、下部タンク部51と上部タンク部52とを分割可能に上下に備え、その前側がカバー部6により覆われる。なお、下部タンク部51は、第1タンク部と第2タンク部のうち下方のタンク部の一例に相当する。
【0042】
タンク部5は、本体部1と相似のような形状をし、前側が傾斜し後側が立設するような台形状をしている。タンク部5を上下方向の中央で切断し、その下側が下部タンク部51であり、上側が上部タンク部52である。
下部タンク部51と上部タンク部52は、固定構造55、56により分解可能に固定される。
タンク部5は、吸引装置部4(電動送風部71)の吸引口を開閉する弁機構部73が挿入される弁収容部材57を備える。弁収容部材57には、吸引装置部4の吸引口と連通する開口部571aにフィルタ574が設けられている。なお、弁収容部材57は、電動送風機77の吸引口からタンク部5内に延び、吸引を電動送風機77側に案内する吸引案内部材である。
タンク部5は、第1吸引口61の付近にブラシ部511を有している。ここでは、第1吸引口61の後側に設けられている。
タンク部5は、吸引した液体が貯留している液体に直接吹き付けられるのを防止する流入方向変換部53を有している。
【0043】
(1-1)タンク部の上下分割構造
図7は、タンク部5の前面からカバー部6を外し、さらにタンク部5を下部タンク部51と上部タンク部52に分割したときの状態を示す図であり、図7(a)は、前右上側から見た斜視図、図7(b)は、後右下側から見た斜視図を示す。
【0044】
図7(a)に示すように、下部タンク部51は上向きの開口部を有し、当該開口部の上縁部には、当該上縁部の形状に沿った矩形のパッキン513が交換可能に取着されている。
また、図7(b)に示すように、上部タンク部52は、下部タンク部51の開口と同じサイズ、同じ形状の下向きの開口部を有する。
両タンク部51、52は、上記パッキン513を介して密着させた状態で、タンク部5の前後に設けられた前固定構造56と後固定構造55とにより固定される。なお、パッキン513の横断面の形状は、正方形又は円形状となっている。もし断面形状が長方形であると、捻れた状態(長辺部分が当接する予定が間違って短辺部分が当接した状態)で誤取付されると、水漏れの原因となるからである。
【0045】
前固定構造56は、上部タンク部52の前壁部526に設けられたフック部561と、下部タンク部51に設けられた被係合部562とからなる。なお、係合関係は、逆であってもよい。
上部タンク部52の前壁部526は、下部タンク部51の前面部514を覆うように下方に延伸し、その下端部にフック部561が形成されている。被係合部562は、下部タンク部51の前面部514の下端部に形成され、両者は係合する。
後固定構造55は、上部タンク部52の後側壁面の下部に設けられた係合突起部551と、下部タンク部51の後側壁面の上部に設けられた係合穴部552とからなる。係合突起部551は内蔵された圧縮バネなどの付勢部材により、前後方向の外方(後方)に突出する方向に付勢されている。なお、係合突起部551と係合穴部552との係合関係は逆であってもよい。
【0046】
上部タンク部52を下部タンク部51に装着する際は、まず、タンク部5の前側において、フック部561を被係合部562に係合させた後、タンク部5の後側の係合突起部551を係合穴部552に嵌め込んでロックする。
反対に、上部タンク部52を下部タンク部51から分離させるに際には、タンク部5の後側の係合突起部551を押し込んで、係合穴部552との係合状態を解除してから、上部タンク部52の後部側を上げ、タンク部5の前側のフック部561を被係合部562から外して分離させる。
なお、上部タンク部52の前壁部526を覆うカバー部6も、前壁部526に対して着脱可能に構成されており、3つの部材を分解して清掃ができるように構成されている。
【0047】
(1-2)弁収容部材
弁収容部材57は、図6に示すように、上部タンク部52の内部であってその後側上部に、前後方向と平行に延びるように配されている。
弁収容部材57は、図8(a)に示すように、底部分572の上部とその近辺の側面が除去されてなる開口部571a(図6参照)が設けられた有底筒部571と、底部分572と反対側に形成され且つ電動送風部71と接続する大径円筒部573とを有する。ここでは、底部分572が前側に位置する。開口部571aは上向きに形成されているため、有底筒部571内に液体が入り難い構造とされている。また、有底筒部571における開口部571aの下側部分571bは、流入方向変換部53の吹出口5312aから直接開口部571aに向かう液体または空気を遮蔽する遮蔽部となる。
大径円筒部573には、図5に示すように、電動送風部71の弁機構部73が嵌挿される。弁機構部73の詳細については後述する。
開口部571aには、ゴミなどの異物が、電動送風部71に吸引されないようにするためのフィルタ574が交換可能に取着される。
図8(b)に示すように、タンク部5の後面には取付穴527が設けられており、この取付穴527に弁収容部材57の有底筒部571を嵌挿することにより、弁収容部材57が取り付けられる。
【0048】
(1-3)ブラシ部
ブラシ部511は、図3に示すように、下部タンク部51の前側の第1吸引口61に近接する位置(例えば、第1吸引口61に対して後側)に設けられる。ブラシ部511のブラシの先端(毛先)は、本体部1の底面4aや下部タンク部51の底面51aより下方に突出している。これにより、第1吸引口61を利用して清掃する際に、被清掃面のゴミや汚れを除去することができる。
なお、本体部1(吸引装置部4およびタンク部5)の底面であってブラシ部511より後側の領域に、下方に突出する突出部(リブ)528a、528b、400a、400bが設けられている。突出部528a、528b、400a、400bの下端は、ブラシ部511の下端と同じ又は略同じ位置になるように構成されている。これにより、本体部1を載置面に載置したときに、ブラシ部511の毛先が載置面(FL)により変形するのを少なくできる。
第1吸引口61は、載置面(本体部1の底面)に対して角度αだけ傾斜して設けられている。つまり、第1吸引口61の角度、ブラシ部511の高さ、突出部528a、528b、400a、400bの高さ、第1吸引口61とブラシ部511との距離は、清掃のため本体部1を当該角度αだけ前に倒すと、突出部528a、528b、400a、400bが被清掃面から離れ、ブラシ部511の先端が確実に被清掃面に当接するように、設定されている。
なお、ブラシ部511の保護用の突出部としてはリブ形状のものに限らず、ボス形状であってもよい。また、リブ形状は、左右方向に延伸してもよいし、前後方向に延伸してもよい。
【0049】
(1-4)吸引経路
本実施形態では、清掃装置Xは、吸引口を2つ有する。すなわち、カバー部6の下端に設けられた第1吸引口61と、カバー部6の前面63に設けられた第2吸引口62とを有する(図7(a)参照)。
ユーザにより選択された吸引口に応じて、当該吸引口からタンク部5のタンク室50への吸引経路が異なる。
【0050】
(ア)第1吸引経路
第1吸引経路は、第1吸引口61からタンク室50へと続く経路である(以下、「第1吸引経路F1」という。)。
図8は、上部タンク部52の分解斜視図であり、(a)は前右上方から見た図、(b)は後右下方から見た図である。
図8(a)に示すように、上部タンク部52の前壁部526の傾斜面522の上部には、タンク室50の内部への入口となるタンク入口穴525が設けられ、傾斜面522には、このタンク入口穴525を囲むようにして下方の第1吸引口61まで延びるリブ5261が形成されている。
一方、図7(b)に示すように、カバー部6の裏面64には、上記リブ5261と同じ形状のリブ641が形成されている。
カバー部6を上部タンク部52の前壁部526に装着させたときに、リブ5261とリブ641が嵌合する。これにより、リブ5261、641、上部タンク部52の前壁部526およびカバー部6の裏面64とで、第1吸引経路F1が形成される。このとき、カバー部6の第2吸引口62は、図2に示すように蓋部材621により塞がれている。
【0051】
(イ)流入方向変換部
流入方向変換部53は、タンク部5内であってタンク入口穴525に設けている。
第1吸引口61から吸引された液体は、第1吸引経路F1を経由してタンク入口穴525からタンク室50内に流入するが、流入された液体が、電動送風部71内に吸引されると電動送風部71が故障するおそれがあるので、流入方向変換部53は、タンク入口穴525からタンク室50への液体の流入方向や流入する勢いを緩和するための機能を有する。
図6(b)は、流入方向変換部53の組立図である。
同図に示すように、流入方向変換部53は、タンク部5内に延び且つ吹出口5312aを有する吹出部材531と、吹出部材531の少なくとも吹出口5312aを覆うようにして取着されるキャップ部材532とを備える。
【0052】
吹出部材531は、全体として有底筒状をし、その筒軸方向の前側から、内周面にネジ溝5311aが形成されたネジ部5311と、筒部5314と、底部5313とをこの順で有し、筒部5314に吹出口5312aが設けられている。吹出口5312aは、底部5313側に対向するような位置関係で一対形成される。
吹出部材531の底部5313に、有底円筒状のキャップ部材532を、ネジなどの締結具5322により取り付ける。
キャップ部材532の内径は、吹出部材531における少なくともネジ部5311よりも底部5313側の筒部5314の外径よりも大きく設定されており、キャップ部材532の内周面と吹出部材531の外周面との隙間533がタンク入口穴525に向けて開口する。
流入方向変換部53は、取付部材524を介してタンク入口穴525に取り付けられる。取付部材524は、図8(b)に示すように、外周面にネジ山5241aが形成された筒部5241と、フランジ部5243とからなる。
【0053】
上部タンク部52の前壁部526であってタンク入口穴525の周囲とリブ523との間に、流入方向変換部53のフランジ部5243の厚みだけ後退(凹入)した凹入部5221が形成されている。取付部材524の筒部5241をタンク入口穴525に挿入し、フランジ部5243を凹入部5221に嵌め込むことにより、フランジ部5243の厚みにより第1吸引経路F1が狭くなるのを防止し、吸引効率の低下を阻止する。なお、フランジ部5243の前面と前壁部526であってリブ523におり囲まれた領域の前面とは、面一又はフランジ部5243の方が低くなるように構成されている。
筒部5241のタンク入口穴525を貫通してタンク室50側に突出した、取付部材524の筒部5241のネジ山5241aに、流入方向変換部53のネジ部5311のネジ溝5311aを螺合させて締め付けて、流入方向変換部53を上部タンク部52に固定する。
そして、上述のように上部タンク部52の前壁部526にカバー部6を取り付けることにより、第1吸引経路F1が形成される。
【0054】
第1吸引口61から吸引された液体は、第1吸引経路F1を経由して、タンク入口穴525に取り付けられた流入方向変換部53に流入する。
流入方向変換部53に流入した液体は、まず吹出部材531の底部5313に衝突して、方向を変更して吹出口5312a、5312aから流出し、さらにキャップ部材532の内周面に衝突し、方向(向き)をタンク入口穴525向きに変更して隙間533から流出して、タンク室50内に流れ出る。
このように流入方向変換部53を通過した液体はその流れの方向を順次変更されて流れの勢いが緩和されると共に、最終的に弁収容部材57の開口部571aから遠ざかる方向に流出されるため、タンク室50内に流出した液体が電動送風部71に吸引されるのを阻止できる。なお、吸引した流体の向きが変換され且つ勢いも緩和されるため、流体が電動送風部71側に入り難くできる。
また、吹出口5312a、5312aから液体が吹き出す吹出方向の吹出仮想線と、弁収容部材57の開口部571aから空気が吸引される吸引方向の吸引仮想線とがねじれの位置、ここでは、垂直となり、吹出口5312a、5312aから吹き出された液体が、電動送風部71側に吸引されるのを抑制できる。
【0055】
(ウ)第2吸引経路
第2吸引経路は、第2吸引口62からタンク室50へと続く経路である(以下、「第2吸引経路F2」という。)。
カバー部6の第2吸引口62は、図7に示すように、カバー部6を上部タンク部52に装着した状態で、上部タンク部52のタンク入口穴525(図7では、タンク入口穴525に取付部材524が挿入されている)と同心上となる位置に設けられる。
この第2吸引口62経由で液体を吸引するときは、図9(b)に示すように、第2吸引口62の蓋部材621を開けて第2吸引口62を開放し、ハンドツール3(図1および図17(b)参照)のホース部31を、接続部312を介して第2吸引口62に挿入し、流入方向変換部53と接続する。
接続部312は、図17(b)に示すように第2吸引口62に挿入される挿入部3121を備える。挿入部3121の周面には、一対の凸部分3121aが筒軸を挟んで対向する位置に立設されている。なお、図9(b)では、本来現れない凸部分3121aを円として便宜上示している。
【0056】
一方、図9に示すように、タンク入口穴525に取り付けられた取付部材524の筒部5241の内周面の対向する位置にはL字形溝5242が一対設けられている(図8(a)参照)。ホース部31の接続に際し、接続部312の挿入部3121をL字形溝5242の縦溝(筒軸に平行な溝部分)に合わせて押し込み、さらに右方向に回転させることで、凸部分3121aが、L字形溝5242の横溝(周方向の溝部分)の突き当たりに位置させることにより、ホース部31が第2吸引口62から容易に抜け出ないようロックする機構(ツイストロック機構)が設けられている。もっとも、ロック機構は、上記ツイストロック機構に限らない。
【0057】
図9(a)、(b)は、それぞれ第1吸引経路F1が形成されている第1状態と、第2吸引経路F2が形成されている第2状態を示す図ある。
図9(a)の第1状態のときは、第2吸引口62は蓋部材621で塞がれ、第1吸引口61から吸引された液体は、カバー部6の裏面とタンク部5の前壁部526との間に形成された第1吸引経路F1を介し流入方向変換部53を経由してタンク室50に至る。
図9(b)の第2状態のときは、流入方向変換部53の取付部材524にハンドツール3の接続部312の挿入部3121が嵌挿されて、第1吸引経路F1の流入方向変換部53に至る経路が遮断されてしまうため、第1吸引口61からは吸引することはできず、第2吸引経路F2を介してハンドツール3の吸引口331からのみ液体が吸引される。
【0058】
ハンドツール3は、吸引装置7やバッテリー8を備えた本体部1に対して十分軽量なので、様々な傾きの被清掃面を容易に清掃することができる。しかもハンドツール3の接続部312を本体部1に接続するだけで、自動的に第1吸引経路F1から第2吸引経路F2に切り換えることができる経路切換構造を有するため、大変利便性に優れる。
【0059】
(2)吸引装置部
図10は、吸引装置部4を分解した状態を右上側から見た斜視図であり、図11は、吸引装置部4の分解状態を左下方側から見た斜視図である。図10図11や、前述の図5に示されているように、吸引装置部4は、吸引装置7と、バッテリー8と、制御部9とをケース部材400に備える。
吸引装置7の下方にバッテリー8を配し、それらの制御部9の回路基板を縦方向に配しているので、吸引装置部4内に無駄なスペースが少なく、装置全体をコンパクトにまとめることができる。
ケース部材400は、左右方向の右半分を構成する右ケース部材401と、左半分を構成する左ケース部材402とで構成される。
以下、吸引装置部4の各部について詳しく説明する。
【0060】
(2-1)吸引装置
図10および図11に示すように、吸引装置7は、少なくとも電動送風部71と、排出流路部72と、弁機構部73とを備える。電動送風部71は、円筒状のケーシング74の内部にファン付きモータからなる電動送風機77(図15参照)を収納してなる。電動送風機77が駆動すると、弁機構部73が開状態となり、タンク室50内の空気を吸引する。吸引された空気は、排出流路部72を介して装置外に排出される。
【0061】
(ア)弁機構部
図12(a)は、吸引装置部4の前面を右下方側から見た斜視図であり、同図(b)は、図12(a)の右側のケース部材401を取り外すと共に、弁機構部73を縦断面で示す図である。
図12に示すように、弁機構部73は、筒状部材731の手前側に形成された3本のアーム部733と、アーム部733の連結部分に形成された円筒部732と、円筒部732に前後方向に摺動自在に支持されたピン部材734と、ピン部材734の後部に設けられた円板状の弁部材735と、ピン部材734を前側に付勢するバネ体736とを備える。
弁部材735の周縁部は、筒状部材731の端部に設けられた開口部(吸引口)7311の内周側縁部に接触して、弁機構部73が閉状態となり、液体が電動送風部71内に浸入しないようになっている。
【0062】
筒状部材731の電動送風部71側は、電動送風部71のケーシング74の開口部741と連通しており、電動送風部71を駆動すると筒状部材731内の空間が負圧になり、弁部材735が、バネ体736の付勢力に抗して後側に移動するため、弁機構部73の弁が開状態となり、タンク室50から空気を吸引できる状態となる。
なお、筒状部材731の外周には、パッキン76が配され、タンク部5との密着性を高めている。
【0063】
(イ)排出流路部
排出流路部72は、電動送風部71で吸引された空気を装置外に排出するための流路を形成するものである。
図13(a)は、吸引装置部4において右ケース部材401を取り外したときの、電動送風部71と排出流路部72の様子を示す図である。また、図13(b)は、本体部1の排出流路部72の部分での縦断面を後方から見たときの図である。
同図に示すように、排出流路部72は、電動送風部71のケーシング74の後部に連結され、電動送風部71から排出された空気を案内するための排気案内部720と、排気案内部720の開口部720aに連結され、排気案内部720から排出された空気をバッテリー8の下方まで案内するための第1案内部721、第2案内部722とを備える。ここでは、排気案内部720と第1案内部721とが一体成型品により構成されている。
【0064】
第1案内部721と第2案内部722の各横断面形状はほぼコの字形状であって右面が開放されているが、ケース組立後に、そのコの字形状の開放部に右ケース部材401の内面にリブ401a(図11のケース部材401の裏面参照)を介して当接することとなり、気密性の高い排出流路が得られる。
また、第2案内部722の平坦部722aがバッテリー8の下方に回り込むように延伸して、排気口形成カバー75の上方を覆うようにしている(図13(b))。
これにより、第1案内部721、第2案内部722および右ケース部材401の内面とが一体となって、電動送風部71から排気口形成カバー75までに至る排出経路F3を形成し、装置内の他の部分には漏れないようにしているので、バッテリー8や制御部9が、埃や湿気を含む排出空気に晒されことが防止できる。
また、この構成でも、右ケース部材401の内面を排出経路F3の一部として利用できるため部品点数を少なくできる。
なお、排気口形成カバー75は、図13(b)の矢印B方向(図1の右方向)に引き出して、吸引装置部4から分離できるようになっている。
【0065】
図14(a)は、排気口形成カバー75をB方向に引き出して吸引装置部4から分離したときの左上後方から見たときの斜視図であり、同図(b)は、左下後方から見たときの斜視図である。
左ケース部材402の底面と側面の交差する部分がRを有しており、排気口形成カバー75の左面部753も当該Rと同じように湾曲している。左面部753には、排出口として複数のスリット孔754が、その底部755から左面部753に亘って形成されている。
このように、排出経路は、第1案内部721、第2案内部722および右ケース部材401、排気口形成カバー75とで構成される。
なお、スリット孔754は、左面部753の下端(底部755)から上部に形成されているため、清掃装置Xを例えば絨毯の上に載置して底部755に近い開口が塞がった場合でも、スリット孔754の上部側の開口は塞がらないため、排気することができる。
【0066】
排気口形成カバー75の側壁751にはリブ752が形成されており、このリブ752が、左ケース部材402のガイド溝413に案内されて、排気口形成カバー75が挿抜される。このように排出口(スリット孔754)が設けられた部材をケース部材402から取り外し可能とすることにより、この部分における埃除去などのメンテナンスが容易となる。
【0067】
(ウ)バッテリー部
バッテリー8は、例えば充電式のリチウム電池をケース82内に収納してなる。図11に示すように、外部の充電用アダプターの電源端子116(図18参照)と接続されて電力を受給するための端子接続部81がバッテリー8に隣接して設けられている。端子接続部81は、右ケース部材401の後壁に近接する位置に配設され、右ケース部材401における端子接続部81に対応する位置には、一対の電源端子116が外部から挿入するためのスリット孔811、812が形成される。このスリット孔811、812を囲むようにリブ813が設けられている。スリット孔811、812の周囲を囲むようにリブ813が立設されているので、図3のような水平面に載置されている状態において、装置本体01の外部が濡れて水滴が装置本体01のケース部材401、402の表面を伝わって垂れてきても、リブ813で堰き止められるので、端子接続部81で漏電が生じ難くなっている。
【0068】
(エ)制御系統
図15(a)は、本実施形態に係る清掃装置Xにおける制御系統の概要を示すブロック図である。
制御部9は、操作部24による操作により電動送風機77を駆動すると共に、傾きセンサ102、満水センサ101からの検知信号に基づき、電動送風部71を停止させる制御を実行する。また、表示部25を制御して現在の装置状態などを表示する。
制御部9は、少なくともCPUと、ROMなどの不揮発性メモリと、RAMなどの揮発性メモリを回路基板に搭載してなる。
【0069】
不揮発性メモリには、清掃装置Xにおける制御プログラムや制御用の各種閾値などが格納され、揮発性メモリは、当該プログラムのワークエリアとなる。
また、図5に示すように、吸引装置部4内のバッテリー8より前側の空きスペース内のタンク部5に近接する位置には、タンク部5内に回収された液位が満水レベルL1に達したことを検出するための満水センサ101が配置されている。
上記満水レベルL1は、下部タンク部51の上縁515より下方に設定されている。これにより、タンク部5を本体部1から引き出して、下部タンク部51と上部タンク部52とを分割し、液体を廃棄する際に液体が溢れ出るのを防止することができる。
また、制御部9の回路基板91に、図5に示すように、清掃装置Xの傾きを検出する傾きセンサ102が搭載されている。傾きセンサ102として例えば3次元加速度センサが使用されており、これにより図15(b)に示すように、本体部1の前方向への傾きθb、後方向への傾きθc、左右方向の傾きθaを検出できるようになっている。
【0070】
従来から、タンク内の液面の位置を非接触で検出する方法として、タンク内部に揺動可能に支持されたアームの先に磁石付きのフロートを取付けてなり、液面の上下に伴ってフロートと共に磁石が上下移動するので、タンク外部に磁気センサを配して、当該磁気センサにより検出された磁力の大きさによりタンク内部の液位を検出する方法が知られているが、これによると液位検出の構成が大がかりとなり、装置のコンパクトが難しいと共に、部品点数が多くなるのでコスト的なデメリットもある。さらに、タンク内の液位の検知にフロートを用いる場合、フロートが引っ掛かると検知できないおそれがある。
そこで、本実施形態では、タンク部5内の満水センサ101として静電容量センサを用いている。このような静電容量センサとして、例えば、タンク部5の外部に配され、タンク部5の液位の変化に応じて静電容量が変化する検知電極と、検知電極の周辺に配置され、タンク部5内の液位の変化に応じて静電容量が変化しない基準電極とを備え、検知電極及び基準電極の出力を比較してタンク部5内の液位を判定する構成などが考えられる。もっとも静電容量センサの構成はこの構成に限定されず、タンク部5の液位に応じて変化する静電容量をタンク部5の外側から検出できるセンサであればどのような構成であっても構わない。
このような静電容量センサは、タンク内にフロートを設ける必要がなく部品点数を少なくすることができると共に、フロートのトラブルにより液位が検知されなくなる事態を避けることができる。
【0071】
3.駆動停止制御
図16は、制御部9により実行される電動送風機77の駆動停止制御の内容を示すフローチャートであり、電動送風機77の駆動中に実行されるものである。
まず、制御部9は、操作部24により電源ONの操作があると、電動送風機77を駆動すると共にプログラムをスタートさせる。
操作部24により電源OFFの操作があるか否かを判定し(ステップS11)、電源OFFの操作がされておれば(ステップS11:YES)、ステップS14に移って、電動送風機77の駆動を停止させる。
ステップS11で電源OFFの操作がない場合には(ステップS11:NO)、ステップS12に移り、満水センサ101の出力信号に基づき、タンク部5が満水か否かを判定する。
満水と判定されれば、電動送風機77の駆動を停止し(ステップS12:YES、ステップS14)、終了する。
【0072】
タンク部5が満水でないと判定されれば(ステップS12:NO)、次にステップS13に移って、傾きセンサ102よって検知された本体部1の傾きθa、θb、θc(図15(b)参照)の何れかの傾きが、それぞれについて予め設定された閾値θ1、θ2、θ3以上であるか否かを判定する。
ここで、前方向への傾きθbの閾値θ2よりも、後方向の傾きθcの閾値θ3の方が小さい(θ2>θ3)。後方向へ傾くとタンク部5内の液面が弁収容部材57の開口部575に達して、電動送風機77内部に吸引されるおそれが高いからである。左右方向の傾きθaの閾値θ1は、特に限定されないがθ2>θ1>θ3であることが望ましい。
傾きθa、θb、θcのいずれか一つでも、それぞれの閾値θ1、θ2、θ3以上である場合には(ステップS13:YES)、電動送風機77の駆動を停止する(ステップS14)。
傾きθa、θb、θcのいずれもが、それぞれの閾値θ1、θ2、θ3よりも小さい場合には(ステップS13:NO)、ステップS11にリターンして上記処理を繰り返す。
【0073】
4.本体部1の重心の位置について
清掃装置Xのハンドル部2を握って持ち上げたとき、もし、清掃装置Xの重心が、上方から見たときに、ハンドル部2の握り部(ハンドル部2の水平部26)の範囲より前後方向にずれていると、握っている指に対して下方への負荷だけでなく、モーメントまで作用するため、実際の重さより重く感じる傾向にある。したがって、清掃装置Xの重心は、ハンドル部2の握り部の範囲の直下に存するように各部品を配置するのが望ましい。
そのため、一番重量の大きな電動送風機77が、ハンドル部2の握り部の範囲の直下に配するのが望ましい。さらにバッテリー8も上記範囲の直下に配するのが望ましい。
【0074】
<第2実施形態>
図17(a)は、本発明の第2実施形態に係る清掃装置セットYの外観斜視図である。
同図に示すように、清掃装置セットYは、清掃装置Xと、清掃装置Xの装置本体01を立てた状態で収納すると共にバッテリー8の充電台を兼ねた充電台110と、ハンドツール3と液体スプレー10を収納するための収納ボックス120とを備える。
【0075】
1.充電台
充電台110には、清掃装置Xからハンドツール3を取り外した装置本体01を、第1吸引口61が上になるように垂直に立てた状態で収納できるようになっている。
図18(a)は、充電台110の内部構造を示すため左右方向における中央部で切断したときの断面を上方から見た斜視図である。
充電台110は、図18に示すように、筒軸と交差する仮想面で筒体を切断したような形状をし、上方の開口から装置本体01を挿入可能としている。
充電台110は、外周壁部110aと、内周壁部110bと、上壁部110cと、底壁部110dと、台座部118とを有する。
上壁部110cは、外周壁部110aと内周壁部110bとの上端を連結する。底壁部11dは、外周壁部111aの下部側に設けられている。
【0076】
充電台110の底壁部110dの上側には、装置本体01の第1吸引口61を上になるように立てた状態で載置される台座部118が設けられている。台座部118の装置本体01の端子接続部81に対応する位置に、一対の板状の電源端子116が立設されている。
底壁部110dのほぼ中央部には、電源ソケット部115が付設され、この電源ソケット部115に、商業用電源のコンセントに接続された不図示の電源アダプターに電源コード113を介して接続された電源プラグ114を差し込むことにより、一対の電源端子116にバッテリー8の充電に必要な所定電圧の直流電圧が通じる。
【0077】
装置本体01を充電台110に収納すると、電源端子116が装置本体01の後面部のスリット孔811、812(図4(a))を通過して、内部の端子接続部81(図11)に接触し、バッテリー8に直流電圧が供給されて、バッテリー8の充電が行われる。
水滴が充電台110の台座部118や底壁部110dに溜まることがないように、台座部118や底壁部110dには複数の水抜き穴111、112が穿設されている(図18(a)、(b))。水抜き穴111、112より上方に電源端子116が配置されているため、充電時に清掃装置Xから水漏れしても電源端子116が濡れ難いので安全である。
なお、タンク部5の液体が満水レベルL1に達している装置本体01を充電台110に収容した状態では、タンク部5の液位は、弁収容部材57の開口部571aより下方に位置するように構成されている。
このような構成により清掃装置Xの装置本体01を立てて充電台110に収納するだけで、簡易かつ安全にバッテリー8の充電が行われるので、利便性に優れる。
【0078】
2.収納ボックス
収納ボックス120には、その内部にハンドツール3と液体スプレー10が収納される(図17(a))。ハンドツール3を清掃装置Xから分離して収納しているのは、通常は床面を本体部1の第1吸引口61を使用する頻度が高いからである。
図17では、充電台110と収納ボックス120が連接されているが、収納ボックス120を充電台110から分離させることも可能である。
【0079】
収納ボックス120は、図19に示すように、上方が開放する箱状をしている。
底壁部122には、ハンドツール3の握り部32の下端部に嵌合する嵌合部125を有している。これにより、安定してヘッド部33と握り部32とを立設させることができる。
収納ボックス120は、図19(a)に示すように、一方の側壁部123の底側に、係合アーム1211、1212を介して副台座121を側方に突出させた状態で備える。
一方、充電台110の外周壁部110aの下部であって、上記係合アーム1211、1212に対応する位置には、図18(b)に示すように、スリット溝部1171、1172が形成されている。
係合アーム1211、1212をスリット溝部1171、1172に嵌め込むことにより、充電台110と収納ボックス120が接合される。この際、収納ボックス120の副台座121が、充電台110の底壁部110dと載置面とに挟まれた状態となるので安定性が増す。
なお、液体スプレー10には、清掃用の液体(水もしくは汚れの種類に応じた洗浄液)が収納されている。清掃時には、液体スプレー10のネック部分を握ってレバー11を引くことによりノズル12から被清掃面に向けて液体を噴霧状に吐出させる。その後、清掃装置Xのブラシ部511(第1吸引口61で吸引するとき)、もしくはブラシ部332(ハンドツール3を使用して第2吸引口62を介して吸引する場合)で擦って被清掃面から汚れやゴミを分離させ、液体ごと吸引して、被清掃面を清掃する。
【0080】
以上、実施形態を説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってもよい。
また、実施形態や変形例に記載していない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても実施形態に関連する発明に含まれる。
【0081】
<変形例>
(1)電動送風機
電動送風機77の回転軸が前後方向に延伸しているが、左右方向、上下方向又はこれら交差する方向に延伸してもよい。
電動送風部71の位置は、他の部位との位置関係、重心位置に着目しない場合は、左右方向の一端側であって上部側以外の位置に配されてもよい。
弁機構部73は電動送風部71のケーシング74と別体としたが、ケーシング74と一体的に形成するようにしても構わない。
【0082】
(2)電源部
電源部として充電式のバッテリー8を備えているが、バッテリー8を備えずに電気コードを備えてもよいし、バッテリー8と電気コードとを併存させ、電気コードを着脱可能として、電気コードが装着されているときは、電源コードから電力供給を受けて電動送風部71を駆動すると共に、バッテリー8を充電するように構成してもよいし、電源コードを外すと電源をバッテリー8に切り換えて駆動させるような構成も取ることが可能である。さらには、通常の乾電池も使用可能にしてもよい。
【0083】
(3)バッテリー
バッテリー8は、電動送風部71の下方に配されているが、重心位置に着目しない場合、電動送風部71の下方以外の位置に配されてもよい。長尺のバッテリー8は、その長手方向が前後方向に沿って配されているが、左右方向又は上下方向に沿って配してもよい。上下方向に配することで、吸引装置部4の前後方向の寸法を小さくでき、また、電動送風部71の後側に隣接して配置することで両者の重心位置を近づけることができ、重量感に対する設計が容易となる。
【0084】
(4)排出流路
排出流路は、電動送風部71の後方からバッテリー8の下方を左右方向の一方側に向かうように形成されているが、バッテリー8の下方の後側に排出口(スリット孔754)を設けてもよい。また、排出流路の長さに着目しない場合、電動送風部71の下流の他の部位から排出してもよい。
排出口は、複数のスリット孔754により構成されているが、1個の開口により構成されてもよい。また、排出口は、ケース部材402に対して着脱可能な排気口形成カバー75に設けられているが、排出口の清掃に着目しない場合、ケース部材に形成してもよい。
【0085】
(5)ハンドル部
ハンドル部2は、本体部1とで把持用の空間として、左右方向から見たときに、前側が傾斜し前後方向に長い台形状をしているが、前側が傾斜してもよいし、傾斜しなくてもよい。
ハンドル部2は、傾斜部27に着目しない場合、上方に延伸する形状としてもよいし、後側のみが傾斜してもよいし、前後が傾斜してもよい。また、傾斜部27の傾斜角度は、本体部1の前壁(カバー部6)の傾斜角度と同じ又0.8~1.2の範囲内であるが、前壁の傾斜角度と異なる角度であってもよい。
【0086】
(6)駆動停止制御
上記第1実施形態においては、図16のフローチャートで説明したように、傾きセンサ102によって検知された本体部1の傾きθa、θb、θc(図15(b)参照)の何れかの傾きが、それぞれについて予め設定された異なる閾値θ1、θ2、θ3以上であるか否かを判定して、電動送風機77を駆動停止するようにしたが、閾値は1種類(例えば、安全を考慮して一番小さなθ3)であってもよく、また、検出される傾きも1方向の傾き(例えば、後方向の傾きθc)のみであっても構わない。
また、特定の1方向の傾きθに対して、大小2つの閾値θ11、θ12(θ11<θ12)を設定して、検知された本体部1の傾きθとθ11、θ12との大小関係により、電動送風機77の駆動停止までの時間に差を設けるようにしてもよい。なお、制御部9の回路基板にはタイマーが含まれる。
【0087】
図20は、この変形例に係る駆動停止制御の内容を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、図16のフローチャートと比べて、ステップS13の代わりにステップS21~ステップS25を置き換えた点が異なるので、以下では当該異なる点を中心に説明する。
ステップS12で、タンク部5が満水でないと判定された場合(ステップS12:NO)には、次に傾きセンサ102で検知された傾きθがθ11(例えば、15°)以上であるか否かを判定し(ステップS21)、θ≧θ11と判定された場合には(ステップS21:YES)、タイマーにより計時を開始すると共に(ステップS22)、傾きθ≧θ12であるか否かを判定する(ステップS23)。ここで、θ12は例えば、30°である。
θ≧θ12である場合(ステップS23:YES)に、その傾斜状態が時間T1(例えば、0.5秒)継続すれば(ステップS24:YES)、電動送風機77の駆動を停止する(ステップS14)。
【0088】
ステップS23において傾きθ≧θ12でないと判定された場合には(ステップS23:NO)、傾きθが閾値θ11以上閾値θ12未満であるので、その傾斜状態が時間T2(例えば、2秒)継続した場合のみ(ステップS25:YES)、電動送風機77の駆動を停止する(ステップS14)。
なお、本変形例では、ステップS24およびステップS25で「NO」と判定されたら、ステップS11に戻って、上記処理を繰り返すようにしている。
このように傾きθが、それほど大きくなく、閾値θ11以上閾値θ12未満の範囲である場合には、直ぐに電動送風機77に液体が吸引するおそれが少ないので、電動送風機77の駆動停止まで時間T2だけ余裕を与え、傾きθがより大きく、閾値θ12以上の場合には、T2より短いT1が経過すると電動送風機77を停止することにより、ユーザの利便性と装置の安全性との調整を図っている。
また、使用状況において、一瞬だけ本体部1を傾斜させた場合に停止することをなくすことで、利便性を高めることができる。
【0089】
(7)タンク部
タンク部5は本体部1に対して着脱可能であったが、本体部1から独立して設けられてもよい。例えば、タンク部5と吸引装置部4とを、着脱可能又は着脱不可能なホースにより接続してもよい。この場合も、2つの吸引経路を選択可能とできる。
タンク部5は、本体部1に固定的に設けられてもよい。本体部1に固定される場合、タンク部5に水抜き用の栓を設けることが望ましい。
【0090】
タンク部5は、吹出部材531とキャップ部材532とを備える流入方向変換部53を備えているが、液体の流入方向を変換することができればよく、例えば、図21に示すように、キャップ部材532を備えない流入方向変換部53Aであってもよい。ここでの流入方向変換部53Aは、ネジ部5311、筒部5314、底部5313Aを、後下がり状に有している。底部5313Aには連通孔5319形成され、流入してきた液体を下部タンク部51側に案内する。筒部5314の一対の吹出口5312aは左右方向に対向する状態で設けられ、弁収容部材57Aがある上側は筒部5314の周壁が存在する。これにより、流入した液体が、弁収容部材57A側に飛散するのを抑制しつつ、下部タンク部51側に流れる。
また、流入方向変換部53は、弁収容部材57Aの開口部571Aaより下方に、後下がり状に延伸しているため、より一層、タンク部5A内に流入して液体が弁収容部材57A内に入るのを規制できる。
【0091】
実施形態の弁収容部材57は、有底筒部571の底部分572に近い部位にフィルタ574を備えていたが、図21に示すように、有底筒部571Aの長手方向の中間部位にフィルタ574を備える弁収容部材57Aであってもよい。有底筒部571Aは、フィルタ574が配される中間部から底部分572Aに至るまでの領域であってその上部側が欠けたような形状をし、当該欠けた部分に開口部571Aaが形成される。有底筒部571Aにおける開口部571Aaの下側部分571Abは、流入方向変換部53Aの吹出口5312aから直接開口部571Aaに向かう液体または空気を遮蔽する遮蔽部となる。
【0092】
下部タンク部51と上部タンク部52との間に配されるパッキン513は矩形環状(図7参照)をしているが、図21に示すように、下部タンク部51の一部を覆う被覆部519を有するパッキン513Aであってもよい。これにより、清掃装置Xが前後方向に揺れた場合でも、下タンク部51の後部から液体が跳ね上がって電動送風機に吸入されることを抑制できる。
【0093】
タンク部5は、仕切壁部を備えていないが、図21に示すように、仕切壁部529を備えてもよい。ここでの仕切壁部529は、上部タンク部52内であって流入方向変換部53A左右の両側に設けられている。なお、仕切壁部529は、前後方向と直交する板状部により構成されている。
仕切壁部529は、左右方向から見ると、流入方向変換部53Aの吹出口5312aの中心と、弁収容部材57Aの開口部571Aaの中心との間に位置する。これにより、吹出口5312aから飛散した液体が開口部571Aaに向かうのを規制できる。この観点からは、仕切壁部529は、流入方向変換部53Aの吹出口5312aから直接開口部571Aaに向かう液体または空気を遮蔽する遮蔽部でもある。
【0094】
<<発明>>
実施形態及び変形例を一例として、少なくとも、以下の発明が含まれる。
【0095】
<発明1>
1.先行技術
特開2021-87780号公報には、液体を吸引する清掃装置として、容易に持ち運べる手持ち式吸引洗浄機が開示されている。
ところが、上記清掃装置においては、吸引口が底面にあるため、床面に対しては作業しやすいが、様々な方向の面を清掃する際には、本体ごと回転させる必要がある。その際、本体はある程度重いため、作業性が良いとは言えない(便宜上、「第1の課題」とする)。
本発明1は、様々な清掃面に対して作業性のよい清掃装置を提供することを目的とする。
2.発明1
発明1に係る清掃装置は、
空気および液体を吸引可能な清掃装置において、
本体部と、
前記本体部に収納され且つ吸引力を発生する電動送風機と、
前記本体部に設けられた第1吸引口および第2吸引口と、を備え、
前記第1吸引口および前記第2吸引口の一方から吸引可能である。
これにより、清掃装置は、第1吸引口とは別に第2吸引口を有するため、様々な清掃面を清掃する際における作業性を向上させることができる。
【0096】
<発明2>
1.先行技術
特開2021-87780号公報には、キャリーハンドル14が設けられていて、供給タンク26、回収タンク20、及び吸引源18が更に設けられたユニット式本体を備え、これらがユニット式本体部に保持された手持ち式吸引洗浄機が記載されている。
しかしながら、上述のような吸引洗浄機は、キャリーハンドル14が、ユニット式本体部の上面とは平行ではなく、全体として一体感がなく、コンパクト性が乏しい(便宜上、「第2の課題」とする)。
本発明2は、全体的に一体感があり、コンパクト性に優れた清掃装置を実現することを目的とする。
2.発明2
発明2に係る清掃装置は、
空気および液体を吸引可能な清掃装置において、
吸引力を発生する電動送風機を有する本体部と、
前記本体部の上方に設けられたハンドル部と
を備え、
前記ハンドル部の前面、上面、後面は、それぞれ前記本体部の前面、上面、後面と平行である。
これにより、装置外観の一体感が増すと共に、ハンドル部の前面部の延長上に第1吸引口を設けておけば、ユーザがハンドル部を握って清掃装置を使用する際に、第1吸引口の位置を容易に把握することができ、操作性が増す。
【0097】
<発明3>
1.先行技術
特開2021-87780号公報には、キャリーハンドル14が設けられていて、供給タンク26、回収タンク20、及び吸引源18が更に設けられたユニット式本体を備え、これらがユニット式本体部に保持された手持ち式吸引洗浄機が記載されている。
しかしながら、上記吸引洗浄機は、本体部の重心位置については一切考慮されておらず、一番重量の大きな吸引源18が、キャリーハンドル14よりも後側に配置されているため、全体としてバランスが悪く、キャリーハンドル14を握ったユーザが重く感じると考えられる(便宜上、「第3の課題」とする)。
発明3は、ハンドル部を握って使用する際に重み感を軽減して、使い勝手のよい清掃装置を実現することを目的とする。
2.発明3
発明3に係る清掃装置は、
空気および液体を吸引可能な清掃装置において、
吸引力を発生する電動送風機を有する本体部と、
前記本体部の上方に設けられたハンドル部と
を備え、
前記ハンドル部の直下に、前記電動送風機の重心が存する状態で前記電動送風機が配置されている。
これにより、ハンドル部の直下に本体部の重心が存するため、ハンドル部を握った際のバランスが良くなり、ユーザは重量感を感じにくい。
【0098】
<発明4>
1.先行技術
特開2021-87780号公報には、吸引源18がハウジング12の後側に、回収タンク20が中央に、吸引ノズル16を前側に、それぞれ設けられた手持ち式吸引洗浄機が記載されている。
しかしながら、上述のよう構造では、回収タンク20と吸引ノズルとが離れているため、吸引効率が悪いという問題がある(便宜上、「第4の課題」とする)。
発明4に係る清掃装置は、吸引効率を高めることができる清掃装置を実現することを目的とする。
2.発明4
発明4に係る清掃装置は、
空気および液体を吸引可能な清掃装置において、
吸引力を発生する電動送風機を備える吸引装置部と、
吸引した液体を貯留するタンク部と、
前記タンク部の前側を覆い且つ第1吸引口および第2吸引口を有するカバー部と
を備え、
前記タンク部の前面が、前記第1吸引口と前記タンク部とを連通する第1吸引経路と、前記第2吸引口と前記タンク部とを連通する第2吸引経路との一部を構成する。
これにより、吸引経路の一部がタンク部の前側に位置し、吸引経路を短くでき、吸引効率を高めることができる。
【0099】
<発明5>
1.先行技術
特開2021-87780号公報には、キャリーハンドル14が設けられていて、供給タンク26、回収タンク20、及び吸引源18が更に設けられたユニット式本体を備え、これらがユニット式本体部に保持された手持ち式吸引洗浄機が記載されている。
しかしながら、上述のような吸引洗浄機は、キャリーハンドル14が、ユニット式本体部の上面とは平行ではなく、コンパクト性が乏しい(便宜上、「第5の課題」とする)。
本発明5は、コンパクト性に優れた清掃装置を実現することを目的とする。
2.発明5
発明5に係る清掃装置は、
空気および液体を吸引可能な清掃装置において、
吸引力を発生する電動送風機と、
前記電動送風機の直下位置に配されたバッテリーと、
前記電動送風機および前記バッテリーの直前位置に配され且つ吸引した液体を潮流するタンク部と、
前記電動送風機の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記電動送風機および前記バッテリーの直後位置に配置される。
これにより、装置をコンパクト化できる。
【0100】
<発明6>
1.先行技術
特開2021-87780号公報には、吸引源18がハウジング12の後側に、回収タンク20が中央に、吸引ノズル16を前側に、それぞれ設けられた手持ち式吸引洗浄機が記載されている。
しかしながら、上述のような構造では、吸引経路の掃除が困難であるという問題がある(便宜上、「第6の課題」とする)。
発明6に係る清掃装置は、吸引経路の掃除を容易にできる清掃装置を実現することを目的とする。
2.発明6
発明6に係る第1の清掃装置は、
空気および液体を吸引可能な清掃装置において、
吸引力を発生する電動送風機を備える吸引装置部と、
吸引した液体を貯留するタンク部と、
前記タンク部の前側を覆い且つ第1吸引口および第2吸引口を有するカバー部と
を備え、
前記タンク部と前記カバー部とで、前記第1吸引口と前記タンク部とを連通する第1吸引経路と、前記第2吸引口と前記タンク部とを連通する第2吸引経路との少なくとも一部を構成し、
前記カバー部が前記タンク部に対して着脱可能である。
これにより、吸引経路を容易に掃除できる。
発明6に係る第2の清掃装置は、第1の清掃装置において、
前記タンク部は前記吸引装置部に対して着脱可能である。
これにより、吸引経路をより一層容易に掃除できる。
【0101】
<発明7>
1.先行技術
特開2021-87780号公報には、吸引源18と排気口22とがハウジング12の後側に設けられた手持ち式吸引洗浄機が記載されている。
しかしながら、上述のよう構造では、吸引源18から排気口22までの排気経路が短くなり、騒音が大きいという問題がある(便宜上、「第7の課題」とする)。
発明5に係る清掃装置は、騒音を抑えることができる清掃装置を実現することを目的とする。
2.発明7
発明7に係る清掃装置は、
空気および液体を吸引可能な清掃装置において、
吸引力を発生する電動送風機と、
前記電動送風機の下方に配され且つ前記電動送風機を駆動するバッテリーと、
前記電動送風機からの排気を、排気口を介して機外に排出する排気経路と、
を備え、
前記排気経路は、前記バッテリーの下方を通過して前記排気口に至る。
これにより、排気経路を長くでき、騒音を抑えることができる。
【0102】
<発明8>
1.先行技術
特開2021-65532号公報には、液体を吐出する清掃装置として、吸引力を発生させる吸引ユニットを有する装置本体と、空気及び液体を吸引するための吸引部と、タンク内の液体を吐出するための吐出部とを有するハンドツールと、吸引した汚水を貯留する汚水タンクとを備える装置が開示されている。汚水タンクは、ハンドツールからの汚水を吸引する吸引口と、吸引された空気を排出する排出口とを有するタンク本体と、タンク本体内の汚水を利用して排出口を塞ぐフロートとを備える。
しかしながら、上述のような清掃装置では、タンク内の液位の検知にフロートを用いているため、フロートが引っ掛かると検知できない(便宜上、「第8の課題」とする)。
発明8は、検知精度(検知の安定性)を向上させた清掃装置を提供することを目的とする。
2.発明8
発明8に係る清掃装置は、
空気および液体を吸引可能な清掃装置において、
吸引力を発生する電動送風機と、
吸引口から吸引した液体を貯留するタンク部と、
前記タンク部の側方に設けられ且つ前記タンク部の液位を検知する静電容量センサと、
前記電動送風機の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記静電容量センサの検知結果に基づいて、前記タンク部が満水であると判断した場合に前記電動送風機を停止させる。
これにより、フロートを利用していないため、ゴミ等で引っ掛かることがなく、検知精度(検知の安定性)を向上できる。
【0103】
<発明9>
1.先行技術
特開2021-87780号公報には、キャリーハンドル14が設けられていて、供給タンク26、回収タンク20、及び吸引源18が更に設けられたユニット式本体を備え、これらがユニット式本体部に保持された手持ち式吸引洗浄機が記載されている。
しかしながら、上述のような吸引洗浄機は、ユニット式本体が傾斜した場合の吸引源18の駆動について考慮されていない(便宜上、「第9の課題」とする)。
本発明9は、傾斜により故障することを抑制できる清掃装置を実現することを目的とする。
2.発明9
発明9に係る清掃装置は、
空気および液体を吸引可能な清掃装置において、
吸引力を発生する電動送風機を収容する吸引装置部と、
吸引口から吸引した液体を貯留するタンク部と、
前記吸引装置部の傾きを検知する傾斜センサと、
前記電動送風機の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記傾斜センサで検知した傾斜角度が所定の閾値以上の場合に、前記電動送風機を停止させる。
これにより、吸引装着部が所定以上斜めになったときに電動送風機を停止させることにより、タンク部の液体が電動送風機に吸引されることを抑制できる。その結果、電動送風機の故障を抑制できる。
【0104】
<発明10>
1.先行技術
特開2021-87780号公報には、キャリーハンドル14が設けられていて、供給タンク26、回収タンク20、及び吸引源18が更に設けられたユニット式本体を備え、これらがユニット式本体部に保持された手持ち式吸引洗浄機が記載されている。
しかしながら、上述のような吸引洗浄機は、吸引源18の充電について考慮されていない(便宜上、「第10の課題」とする)。
本発明10は、安全に充電が可能な清掃装置セットを実現することを目的とする。
2.発明10
発明10に係る清掃装置セットは、
空気および液体を吸引可能な清掃装置と、充電台とを備えた清掃装置セットであって、
前記清掃装置は、
吸引力を発生する電動送風機と、
前記電動送風機を駆動するバッテリーと、
を備え、
前記充電台は、底部に設けられた水抜き穴と、前記水抜き穴より上方に設けられた充電接点とを有する。
これにより、充電時に清掃装置から水漏れしても接点が濡れにくいので安全である。
<発明11>
1.先行技術
特開2021-87780号公報には、キャリーハンドル14が設けられていて、供給タンク26、回収タンク20、及び吸引源18が更に設けられたユニット式本体を備え、これらがユニット式本体部に保持された手持ち式吸引洗浄機が記載されている。
しかしながら、上述のような吸引洗浄機は、清掃の際に使用する液体スプレーを収容するケースについて考慮されていないし、例えば、別体のケースに液体スプレー等を収容する場合、清掃装置と別々となり、その保管が面倒であり、利便性が悪い(便宜上、「第11の課題」とする)。
本発明11は、利便性の高い清掃装置セットを実現することを目的とする。
2.発明11
発明10に係る清掃装置セットは、
空気および液体を吸引可能な清掃装置と、充電台と、収納ケースとを備えた清掃装置セットであって、
前記清掃装置は、
吸引力を発生する電動送風機と、
前記電動送風機を駆動するバッテリーと、
を備え、
前記収納ケースは、側方へ突出する係合部を有し、前記係合部が充電台に形成された被係合部に係合して前記収納ケースが前記充電台に並設される。
これにより、収納ケースを充電台に簡単に取り付けでき、一体化するため利便性を向上できる。
【0105】
<その他>
各発明の発明特定事項は、他の発明の発明特定事項により限定されるものではない。また、各発明は、他の発明の発明特定事項を含んでもいいし、実施形態に記載の構成を含んでもいい。さらに、発明2~11は、発明1の第1~第24の清掃装置の発明特定事項の一部または全部を備えてもよい。
【符号の説明】
【0106】
X 清掃装置
1 本体部
2 ハンドル部
3 ハンドツール部
4 吸引装置部
5 タンク部
6 カバー部
7 吸引装置
8 バッテリー
9 制御部
31 ホース部
61 第1吸引口
62 第2吸引口
73 弁機構部
74 電動送風機
101 満水センサ
102 傾きセンサ
【要約】
【課題】様々な清掃面に対して作業性のよい清掃装置を提供する。
【解決手段】空気および液体を吸引可能な清掃装置において、本体部1と、前記本体部1に収納され、吸引力を発生する電動送風機77と、前記本体部1に設けられた第1吸引口61および第2吸引口62とを備え、前記第1吸引口61および前記第2吸引口62の一方から吸引可能であることを特徴とする。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21