(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
(21)【出願番号】P 2023155670
(22)【出願日】2023-09-21
(62)【分割の表示】P 2021183278の分割
【原出願日】2021-11-10
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】100100365
【氏名又は名称】増子 尚道
(72)【発明者】
【氏名】吉田 竜也
(72)【発明者】
【氏名】平塚 正樹
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-110409(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0270384(US,A1)
【文献】特許第6857273(JP,B1)
【文献】特開2013-207960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を導入する流入路および前記冷媒を排出する流出路に連通する弁室を有する弁本体と、
前記弁室内の弁座に着座した閉弁状態と前記弁座から離間した開弁状態との間で前記弁座に対して進退動することにより前記冷媒の流量を変更する弁体と、
前記弁体を駆動する電動機と、
前記電動機を制御する電子部品が実装された制御基板と、
前記制御基板を収容するケース部を含む基板収容部と、
前記電動機のステータと
を備えた電動弁であって、
前記制御基板は、当該制御基板を前記ケース部内に固定する固定孔を有し、
前記ケース部は、その内部に、前記固定孔に挿入されることにより前記制御基板を当該ケース部内に支持する支持突起を有し、
当該支持突起は、前記ケース部と一体に成形されており、
前記ケース部は、
前記ステータと一体に成形され、
前記制御基板を内部に設置することを可能とする開口を有し、
前記電動弁は、
外部との電気的な接続を可能とする外部接続端子を含むコネクタ部と、
前記外部接続端子の中間部を覆って当該外部接続端子を前記コネクタ部に支持する端子被覆成形部と
を備え、
前記端子被覆成形部は、当該端子被覆成形部を前記コネクタ部内に位置決めするための凹凸部を備えており、
前記ステータの軸線と前記外部接続端子の軸線が直交し、
前記端子被覆成形部の前記凹凸は、前記外部接続端子の軸線に対して平行に延びる、穴または突起であり、
前記外部接続端子は、
前記コネクタ部の内部空間に突き出して外部との電気的な接続を可能とする先端部と、
前記制御基板に電気的に接続される基端部と、
を有し、
前記中間部は、前記先端部と前記基端部との間の部分である
ことを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記ステータは、コイルを覆うコイル被覆成形部を内側に備え、
前記コイル被覆成形部は、当該コイル被覆成形部を前記ステータ内に位置決めするための凹凸部を備えている
請求項1に記載の電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に係り、特に、電動機を制御する基板とこれを収容する樹脂ケースを備えた電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータ等の電動機を使用して弁の開度を制御する電動弁が空気調和機や冷蔵・冷凍装置などの冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置に従来から使用されている。
【0003】
またこのような電動弁として、コイルの励磁電流を制御するコントローラを備えた電動弁がある。コントローラはプリント基板に実装され、当該基板(本願では「制御基板」又は単に「基板」と言う)はステータに近接して備えられた樹脂ケースに収容される。
【0004】
また、このような電動弁を開示する文献として下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような制御基板を備えた電動弁では、基板の取付けは樹脂ケース内に設けた支持部にねじ止めし或いはかしめることにより行っており、基板の支持構造について未だ改良の余地を残している。ねじ止めやかしめによる取付作業は必ずしも作業効率が良いとは言えない一方で、基板の支持構造を簡略化できれば、部品点数や組立工程数の削減に繋がり、電動弁の製造コストを低減することが可能となるからである。
【0007】
さらに、この種の電動弁では水分の浸入を防ぐため、弁体を駆動する電動機(コイル及びヨークを含むステータ)を樹脂製のカバー(本願では「外殻成形部」又は「外殻カバー」と言う)により覆っているが、基板を収容する上記樹脂ケースは従来、外殻カバーとは別に成形し、これを外殻カバーに固定していた(前記特許文献1参照)。したがって、これらの樹脂成形部(外殻カバー及び樹脂ケース)についても、製造工程数を削減する余地がある。
【0008】
したがって、本発明の目的は、作業性良く電動弁に基板を取り付けることを可能とするとともに、基板付き電動弁の部品点数や製造工程数を削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するため、本発明に係る電動弁は、冷媒を導入する流入路および冷媒を排出する流出路に連通する弁室を有する弁本体と、弁室内の弁座に着座した閉弁状態と弁座から離間した開弁状態との間で弁座に対して進退動することにより冷媒の流量を変更する弁体と、弁体を駆動する電動機と、電動機を制御する電子部品が実装された制御基板と、制御基板を収容するケース部を含む基板収容部と、電動機のステータとを備えた電動弁であって、前記制御基板は、当該制御基板を前記ケース部内に固定する固定孔を有し、前記ケース部は、その内部に、前記固定孔に挿入されることにより前記制御基板を当該ケース部内に支持する支持突起を有し、当該支持突起は前記ケース部と一体に成形されており、前記ケース部は、ステータと一体に成形され、前記制御基板を内部に設置することを可能とする開口を有し、前記電動弁は、外部との電気的な接続を可能とする外部接続端子を含むコネクタ部と、前記外部接続端子の中間部を覆って当該外部接続端子を前記コネクタ部に支持する端子被覆成形部とを備え、前記端子被覆成形部は、当該端子被覆成形部を前記コネクタ部内に位置決めするための凹凸部を備えている。また、当該電動弁では、ステータの軸線と外部接続端子の軸線が直交し、端子被覆成形部の前記凹凸は、外部接続端子の軸線に対して平行に延びる穴または突起であり、外部接続端子は、コネクタ部の内部空間に突き出して外部との電気的な接続を可能とする先端部と、制御基板に電気的に接続される基端部とを有し、前記中間部は、前記先端部と前記基端部との間の部分である。
【0010】
本発明に係る電動弁では、制御基板をケース部内に支持するのに螺子やかしめによらず、ケース部内に備えた支持突起を制御基板の固定孔に挿入する構造とする。したがってこの発明によれば、支持突起を固定孔に挿入しつつケース部内に差し入れるだけで基板をケース内に設置することができ、基板を支持するための螺子が不要となり、ねじ止めやかしめの作業も不要となるから、部品点数ならびに製造工程数の削減が可能となる。また、支持突起は、ケース部と一体に成形するから、基板を支持するための支持部をケース部とは別に成形したり取り付けるような手間も不要となる。
【0011】
さらに本発明に係る電動弁では、ケース部を電動機のステータと一体に成形する。したがって、ケース部をステータと別に作製して固定する作業も省くことが出来る。
【0012】
また本発明では、端子被覆成形部をコネクタ部内に位置決めするための凹凸部を端子被覆成形部に備えている。したがって、コネクタ部を成形するときに、端子被覆成形部によって覆われた外部接続端子を、当該凹凸部を使ってコネクタ部を成形する金型内に正確に配置し、コネクタ部内に外部接続端子を位置精度良く設置することが出来る。
【0013】
なお、上記「凹凸部」は、凹部、例えば穴(好ましくは複数の穴)とすることが出来るが、突起(好ましくは複数の突起)のような凸部であっても良い。
【0014】
また、本発明に係る電動弁では、前記ステータは、コイルを覆うコイル被覆成形部を内側に備え、当該コイル被覆成形部は、当該コイル被覆成形部を前記ステータ内に位置決めするための凹凸部を備えていることが好ましい。
【0015】
上記のようにステータ内に備えられたコイルを覆うコイル被覆成形部をステータの内側に備えた構造によれば、2段階の成形工程を経る(つまり二重の被覆構造とする)ことにより、成形時にコイルの巻線が損傷を受けることを防ぐとともに、複雑な形状を有するステータ部分(コイル被覆成形部より外側の部分/以下同様)にボイドが発生して強度が低下することを回避することが出来る。すなわち、成形時の樹脂の圧力を受けて変形や絶縁不良・断線等の破損が生じやすいコイルを覆うコイル被覆成形部を低圧で成形した後に、これを覆うステータ部分を高圧で成形することにより、成形時の巻線破損防止と成形部の強度確保を同時に実現することが出来る。
【0016】
なお、ステータ部分は、強度の低下を招くウェルドラインが出来ないように1箇所のゲート(導入口)から樹脂を導入して成形することが好ましい。経年使用時の温度変化等によりウェルドラインに亀裂が生じて水分が浸入することを防ぐためである。一方、上記のような二重被覆構造(ステータの内側にコイル被覆成形部を備える構造)を採れば、ステータの内側に配置されることで強度を確保できるコイル被覆成形部は、強度をさほど考慮する必要がなくなるから、複数箇所のゲートから樹脂を導入することとして複雑な形状を有するコイルをより確実に覆うようにすることが可能となる。
【0017】
また、上記のような二重被覆構造を採用するにあたって、コイル被覆成形部をステータ内に位置決めするための凹凸部をコイル被覆成形部に備えた理由は、ステータを成形するときに、コイル被覆成形部によって覆われたコイルを、当該凹凸部を使ってステータを成形する金型内に正確に配置できるようにすることで、ステータ内におけるコイル(コイル成形部)の配置精度を高めるためである。
【0018】
なお、上記「凹凸部」は、凹部、例えば穴(好ましくは複数の穴)とすることが出来るが、突起(好ましくは複数の突起)のような凸部であっても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、作業性良く電動弁に基板を取り付け、基板付き電動弁の部品点数や製造工程数を削減することができ、電動弁の製造コストを低減することが可能となる。
【0020】
本発明の他の目的、特徴および利点は、図面に基いて述べる以下の本発明の実施の形態の説明により明らかにする。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更を行うことができることは当業者に明らかである。また、各図中、同一の符号は、同一又は相当部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動弁の閉弁状態を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、前記第1実施形態に係る電動弁の開弁状態を示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す斜視図であり、コイルを覆うコイルカバーを成形した状態(1次モールド終了後の状態)を示すものである。
【
図4】
図4は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す斜視図であり、コイルカバーを成形したコイルと、端子カバーを成形した外部接続端子を、外殻カバーを成形する金型(図示せず)内に配置した状態を示すものである。
【
図5】
図5は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す正面図であり、コイルカバーを成形したコイルと、端子カバーを成形した外部接続端子を、外殻カバーを成形する金型(図示せず)内に配置した状態を示すものである。
【
図6】
図6は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す縦断面図であり、コイルカバーを成形したコイルと、端子カバーを成形した外部接続端子を、外殻カバーを成形する金型(図示せず)内に配置した状態を側面側から見て示すものである。
【
図7】
図7は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す斜視図であり、ケース内に基板を取り付ける前の状態を示すものである。
【
図8】
図8は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す斜視図であり、ケース内に基板を取り付けた状態を示すものである。
【
図9】
図9は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す斜視図であり、ケースに蓋体を溶着した状態を示すものである。
【
図10】
図10は、前記第1実施形態に係る電動弁について、基板の固定孔と、ケースの圧入突起と、蓋体の押圧突起との関係を拡大して示す縦断面図である。
【
図11】
図11は、前記第1実施形態に係る電動弁について、基板の固定孔とケースの圧入突起との関係を示す正面図である。
【
図12】
図12は、前記第1実施形態に係る電動弁について、基板の固定孔と、ケースの遊嵌突起と、蓋体の押圧突起との関係を拡大して示す縦断面図である。
【
図13】
図13は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す断面図であり、ケース内に基板を取り付ける前の状態を示すものである。
【
図14】
図14は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す断面図であり、基板の固定孔にケースの支持突起を挿入し始めた状態を示すものである。
【
図15】
図15は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す断面図であり、基板の固定孔に支持突起を挿入し、スルーホールに端子を挿入し始めた状態を示すものである。
【
図16】
図16は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す断面図であり、スルーホールに端子を挿入し、固定孔に支持突起を圧入し始めた状態を示すものである。
【
図17】
図17は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す断面図であり、固定孔への支持突起の圧入を完了した状態を示すものである。
【
図18】
図18は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す断面図であり、蓋体を取り付ける前の状態を示すものである。
【
図19】
図19は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す断面図であり、ケースの前縁部に蓋体を当接させた状態を示すものである。
【
図20】
図20は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す断面図であり、蓋体をケースに溶着して蓋体の取り付けを完了した状態を示すものである。
【
図21】
図21は、前記第1実施形態に係る電動弁の製造工程を示す正面図であり、ケースに蓋体を取り付ける前の状態を示すものである。
【
図22】
図22は、本発明の第2の実施形態に係る電動弁の閉弁状態を示す縦断面図である。
【
図23】
図23は、前記第2実施形態に係る電動弁の開弁状態を示す縦断面図である。
【
図24】
図24は、前記第2実施形態に係る電動弁の製造工程を示す斜視図であり、ケース内に基板を取り付ける前の状態を示すものである。
【
図25】
図25は、前記第2実施形態に係る電動弁の製造工程を示す斜視図であり、ケース内に基板を取り付けた状態を示すものである。
【
図26】
図26は、前記第2実施形態に係る電動弁の製造工程を示す斜視図であり、ケースに蓋体を取り付けた状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
図1から
図21を参照して本発明の第1の実施形態に係る電動弁について説明する。なお、各図には前後方向、左右方向および上下方向を表す互いに直交する二次元座標または三次元座標を適宜表示し、以下の説明はこれらの方向に基いて行う(後述の第2実施形態についても同様)。
【0023】
本発明の第1の実施形態に係る電動弁11は、例えば空気調和機のような冷凍サイクル装置において冷媒の流量を調整するため使用するのに好適な電動弁で、内部に弁室13を有するとともに弁室13に冷媒を流入させる流入路16および弁室13から冷媒を流出させる流出路15を有する弁本体12と、流入路16の弁室13に対する開口部に形成した弁座14と、弁座14に当接した閉弁状態(
図1参照)と弁座14から離れた開弁状態(
図2参照)との間で弁座14に対して進退動(上下動)することにより冷媒の通過量(流量)を変更する弁体17と、弁体17を駆動する電動機23と、電動機23を弁本体12に連結する連結部材19と、電動機23を制御するコントローラ(図示せず)を実装したプリント基板(制御基板)46と、当該基板46を収容するケース(基板収容部/ケース部)43と、ケース43の前面開口を閉塞する蓋体47と、外部との電気的な接続を行う外部接続端子45を有するコネクタ44と、弁室13と連通する弁本体12の上部開口12aを覆って連結部材19とともに密封空間を形成するキャン(密封容器)22とを備えている。なお、本実施形態では、流入路16から冷媒を流入させ、流出路15から冷媒を流出させるようにしているが、電動弁11は冷媒の流れ方向が逆方向でも使用できることは勿論である。
【0024】
電動機23は、キャン22の外側に配置したステータ25と、キャン22の内側に回転可能で且つ上下方向へ摺動可能に配置したマグネットロータ(以下、単に「ロータ」と言う)24とを備えたステッピングモータからなる。また、ステータ25は、ヨーク26とボビン27とコイル28を含む。
【0025】
ステータ25とキャン22は、合成樹脂製の外殻カバー(外殻成形部)42によって覆われている。また、外殻カバー42の内側には、コイル28を覆う合成樹脂製のコイルカバー(コイル被覆成形部)41と、外部接続端子45の中間部を覆って支持する端子カバー(端子被覆成形部)63とを備える。
【0026】
外部接続端子45は、コネクタ44の内部空間44aに突き出して外部との電気的な接続を可能とする先端部(コネクタ側の端部)45aと、基板46に電気的に接続される基端部(基板側の端部)45bとを有し、これら先端部45aと基端部45bとの間の部分である中間部を端子カバー63によって覆ってある。
【0027】
また上記各カバー(コイルカバー41、端子カバー63及び外殻カバー42)は、射出成形により形成するが、成形の順序としては、まずコイルカバー41と端子カバー63(
図1及び
図2において各カバー41,63の断面に細かいドット模様を施した)をそれぞれ別々に成形し(この工程を「1次モールド」と言う)、その後、各カバー(コイルカバー41及び端子カバー63)を覆うように外殻カバー42(
図1及び
図2において断面に粗いドット模様を施した)を成形する(この工程を「2次モールド」と言う)。
【0028】
ここで、上記1次モールドでは、上記2次モールドを行うときに使用する位置決め用の凹部をコイルカバーと端子カバーとにそれぞれ形成する。
【0029】
具体的には、
図3はコイルカバー41の下面側が見えるように1次モールド後のコイルを上下反転させた状態で示すものであるが、同図に示すように1次モールドでは当該位置決め用の凹部として、コイルカバー41の底面の内周縁部に複数(本実施形態では4つ)の切欠凹部64を形成する。また
図4から
図6は、1次モールド後のコイル(コイルカバー41に覆われている)と外部接続端子45(その中間部が端子カバー63で覆われている)を、外殻カバー42を形成する金型66内に配置した状態を示すものであるが、端子カバー63には、当該位置決め用の凹部として複数(本実施形態では3つ)の孔65を形成する。なお、外殻カバー42を形成する金型66はその内部に、当該切欠凹部と孔にそれぞれ係合する係合部(例えば係合突起/図示せず)を備えておく。
【0030】
したがって本実施形態によれば、位置決め用の凹部64,65を使用することにより外殻カバー42の成形金型66内に正確にコイルカバー41で覆われたコイル28と端子カバー63を備えた外部接続端子45を配置することが出来るから、コイル28と外部接続端子45間の相対的な位置関係を正確に保持しながら、外殻カバー42内にコイル28と外部接続端子45を設置することが可能となる。さらに本実施形態では、位置決め用の凹部64,65をコイルカバー41と端子カバー63にそれぞれ複数ずつ設けるから、2次モールドを行う金型66内にコイル28と外部接続端子45をより正確に位置決めすることができ、2次モールド時に金型66内に流入する樹脂によってコイル28と外部接続端子45に位置ずれが生じることをより確実に防ぐことが出来る。
【0031】
2次モールド時には、基板46を収容する箱状のケース43とコネクタ44を外殻カバー42と一体に成形する。なお、コイルカバー41、端子カバー63および外殻カバー42(ケース43及びコネクタ44を含む)並びに後述する蓋体47を構成する樹脂材料は、それぞれ別種類の材料とすることも出来るが、樹脂同士の接合性を高めるため、同一の材料を使用することが好ましい。
【0032】
本実施形態では、ケース43はステータ25の側方(前方)に備え、コネクタ44はケース43の上面部に備える。ケース43の内部43aにはケース43の前面開口を通じて基板46を収容し、当該基板46を介して外部接続端子45に対してコイル28を電気的に接続する。外部電源(図示せず)からコイル28への給電を可能とするためである。また基板46には、パルス発生器およびモータ駆動回路を含むコントローラを実装する。さらにロータ24の回転を検出する磁気センサを電動弁11に備える場合には、当該磁気センサからの出力信号に基いてロータ24の回転角度や弁の開度を演算する演算装置を基板46に実装しても良い。
【0033】
ケース43とコネクタ44は、それぞれ密封可能な構造となっている。具体的には、コネクタ44は、その前端部に相手方コネクタを嵌合させることによりコネクタ44の内部44aが密封状態になる。相手方コネクタとは、電動弁のコネクタに嵌合し接続できる特定形状のコネクタを言う。すなわち、コネクタは、一般に電動弁のユーザ側に合わせた(適合する)特定の(ユーザによって異なる予め決められた一定の)形状を有するように作製され、このような特定形状の相手方コネクタを嵌合させることでコネクタは密封状態となる。なお、密封状態とは、この電動弁11の通常の使用状態においてコネクタ44の内部44aに水分が浸入しない状態であり、本実施形態ではコネクタ44の内部44aが外部空間(大気側)と遮断されている。
【0034】
一方、ケース43は、前面開口に樹脂製の蓋体47を溶着して当該前面開口を塞ぐことにより密封状態となる。なお、ケースへの蓋体の取付けについては、基板の支持構造とともに、後に詳しく述べる。
【0035】
本実施形態の電動弁11は、中心軸線Aに沿ってロータ24の内部から弁室13まで上下方向に延びる棒状の弁軸18を備えている。この弁軸18は、円柱状の胴部18aと、胴部18aの上端部に胴部18aに連続して同軸状に形成した外径が小さな上部小径部18bとを有する。また、弁軸18(胴部18a)の下端には、弁体17を一体に備えている。ロータ24は、キャン22の内側に回転可能で且つ上下方向へ摺動可能に配置し、下端に弁体17を備えた弁軸18とロータ24とが一体に上下方向へ移動することにより弁が開閉される。
【0036】
ロータ24の内側には弁軸ホルダ31を備える。弁軸ホルダ31は上端が塞がれた円筒状の形状を有し、弁軸ホルダ31の上端部に支持リング33をかしめにより固定してある。また、支持リング33を介してロータ24と弁軸ホルダ31とが一体に結合されている。弁軸ホルダ31の内周面には、雌ねじ部31aを形成する。この雌ねじ部31aは、後述するガイドブッシュ36の雄ねじ部36cと螺合して電動機23の回転を直線運動に変換して弁軸18に伝達する伝達機構(ねじ送り機構)を構成する。
【0037】
弁軸18の上部小径部18bは弁軸ホルダ31を貫通し、上部小径部18bの上端部には抜け止めとなるプッシュナット34を取り付ける。弁軸18は、弁軸ホルダ31と、弁軸18における胴部18aと上部小径部18bの間の段部との間に備えた圧縮コイルばね35によって下方に向け付勢されている。したがって、弁軸18は、これらプッシュナット34と圧縮コイルばね35によって弁軸ホルダ31に対する上下方向への相対移動が規制され、弁軸ホルダ18と一緒に上下動することになる。
【0038】
連結部材19は、互いに連通する貫通孔である大径孔19aと小径孔19bを有する筒状部材である。大径孔19aは、連結部材19の上部中心部を貫通し、後述するガイドブッシュ36を上方から嵌挿できるように径が大きい。小径孔19bは、連結部材19の下部中心部を貫通して径が小さい。また、連結部材19の上端部外周面には、リング状のベースプレート21を介して無底有蓋の(底面が開放され天面が閉塞された)円筒状のキャン22を接合する。
【0039】
連結部材19の上部の大径孔19aには、ガイドブッシュ36を固定する。ガイドブッシュ36は、外径が大きい大径円筒部36aと、大径円筒部36aの上端部に当該大径円筒部36aに連続して同軸状に形成した外径が小さい小径円筒部36bとを有する。小径円筒部36bの外周面には、弁軸ホルダ31の前記雌ねじ部31aと螺合する雄ねじ部36cを形成する。なお、ガイドブッシュ36は、大径円筒部36aを連結部材19の内側に圧入することにより連結部材19と結合させる。また、連結部材19の小径孔19bには、弁軸18の胴部18aが貫通している。
【0040】
また、弁軸ホルダ31には上ストッパ体32を備える一方、ガイドブッシュ36の大径円筒部36aには下ストッパ体37を備える。これらのストッパ体32,37は、弁軸ホルダ31の下限位置を決定するもので、弁軸ホルダ31が回転することにより下降して下限位置に至ると、上ストッパ体32が下ストッパ体37に当接して弁軸ホルダ31のさらなる回転が規制される。
【0041】
なお、電動機23の駆動力を弁体17に伝達する機構は、上記以外にも様々なものであって良く、上記構造に限定されるものではない。
【0042】
本実施形態に係る電動弁11の動作を述べれば次のとおりである。
【0043】
図1に示す閉弁状態からロータ24が一方向に回転するようにステータ25(コイル28)に電流が供給されると、ロータ24に結合された弁軸ホルダ31がロータ24とともに回転する。弁軸ホルダ31の内周面には、ガイドブッシュ36の小径円筒部36bの外周面に形成した雄ねじ部36cと螺合する雌ねじ部31aを形成してあるから、これら雄ねじ部36cと雌ねじ部31aの相互作用によりロータ24(弁軸ホルダ31)の回転が上下方向の直線運動に変換されて弁軸ホルダ31は上方へ移動することとなり、弁軸ホルダ31に結合されたロータ24、並びに、弁軸ホルダ31との間の相対移動を規制された弁軸18も、弁軸ホルダ31と一緒に上方へ移動する。弁軸18の上方への移動に伴い、弁軸18の下端に備えられた弁体17は、弁座14から離れ、流入路16から流入した冷媒が弁室13を通って流出路15から流出するようになる(
図2参照)。なお、冷媒の通過量(冷媒流量)は、ロータ24の回転量によって調整することが出来る。
【0044】
一方、この開弁状態から上記一方向とは逆方向にロータ24が回転するようにステータ25(コイル28)に電流が供給されると、上記雌ねじ部31aと雄ねじ部36cの相互作用によりロータ24(弁軸ホルダ31)の回転が上下方向の直線運動に変換され、弁軸ホルダ31がロータ24および弁軸18とともに下方へ移動する。これにより弁体17が弁座14に向け下降し、弁体17が弁座14に当接すると流入路16と流出路15と間の流路が遮断されて閉弁状態(
図1参照)となる。
【0045】
図7から
図21を参照して、ケース43への基板46の支持構造と、蓋体47の取付けについて説明する。
【0046】
本実施形態では、ケース43の内部に基板46を支持する手段として、ケース43と一体に成形した支持突起51,58と、基板46に穿設した固定孔67と、ケース43の前面開口を閉塞する蓋体47の裏面(内面)に形成した押圧突起61とを備え、固定孔67に嵌挿した支持突起51,58により基板46の水平方向への移動を規制するとともに、支持突起51,58に備えた段部57と押圧突起61とで基板46を挟持することにより基板46の垂直方向への移動を規制し、これにより基板46をケース43の内部に支持する。
【0047】
各手段について具体的に述べると、ケース43の内部にはケース43の底面部から垂直に(前方に)立ち上がる複数本(本実施形態では4本)の支持突起51,58を備える。また基板46には、支持突起51,58が嵌挿される複数個(支持突起に対応するように本実施形態では4つ)の固定孔67を備える。さらに、ケース43の前面開口を閉塞する蓋体47の裏面(内面)には、ケース43内に基板46を設置して蓋体47をケース43に接合したときに基板46の表面に当接する押圧突起61を備える。
【0048】
支持突起51,58は、2本の圧入突起(圧入型突起)51と、2本の遊嵌突起(遊嵌型突起)58とからなる。これらの支持突起51,58は、外殻カバー42を成形する前記2次モールドによりケース43と一体に成形する。また、支持突起51,58の底面部には、固定孔67の周縁より外方へ水平に広がる段部57を形成する。これらの段部57は、固定孔67に支持突起51,58を挿入させて基板46をケース43の底面方向へ進行させたときに基板46の裏面が当接して当該基板46の進行を停止させ(基板46の裏面を受け止め)、蓋体47の裏面に形成した押圧突起61と協働して基板46を挟持する機能を果たすものである。
【0049】
圧入突起51は、
図10から
図11に拡大して示すように、略円柱状の突起本体51aと、突起本体51aの外周面から外方に張り出す凸条部55とを有する。凸条部55は、圧入突起51の長さ方向である垂直方向(前後方向)に延び、突起本体51aの外周面から外方に向って尖った三角形の横断面形状(
図11参照)を有する。
【0050】
凸条部55の稜線部(横断面で見たときの三角形の頂点部分)56は、基板46の固定孔67の内周面より外方へ突出しており、圧入突起51の長さ方向について凸条部55を形成した部分(この部分を「圧入部」と言う)53を基板46の固定孔67に差し込むと、当該凸条部55の稜線部(
図11でハッチングを施した部分)53が固定孔67内で押し潰され、これにより圧入突起51が固定孔67内に固定される。
【0051】
また、各圧入突起51には複数(本実施形態の場合3本)の凸条部55をそれぞれ形成し、これら3本の凸条部55が圧入突起51の中心軸線Bに対して放射状に(隣り合う凸条部55同士のなす角が等しくなるように、即ち本実施形態の場合120°となるように)配置してある。基板46の固定孔67に圧入突起51を圧入させるときに基板46が凸条部55から水平方向の力を受けて横ずれすることを防ぐとともに、基板46をケース43内に安定して支持するためである。なお、凸条部55は、例えば4本、或いは2本以下または5本以上とすることも可能である。
【0052】
さらに、突起本体51aの先端(前端)部は、基板46の固定孔67に挿入しやすいように外径を小さくした小径部52とするとともに、当該小径部52から前記圧入部53にかけては、次第に外径が大きくなるようなテーパ面54を形成してある。圧入部53に基板46(固定孔67)をスムーズに導くためである。また、当該テーパ面54に合わせて凸条部55についてもその前端部(長さ方向の先端部)を、後方に向け稜線部56の高さが次第に高くなるようにテーパ状に形成してある。
【0053】
一方、遊嵌突起58は、
図12に示すように上記圧入突起51の段部57と同様の機能を果たす段部57を底面部に備えるとともに、当該段部57から垂直に(前方へ)立ち上がる円柱状の突起本体58aを有する。突起本体58aは、基板46の固定孔67の内周面との間に一定の隙間Sが形成される外径寸法を有する。
【0054】
上記支持突起51,58は、長方形の正面形状を有するケース43の四隅に、より詳しくは、ケース43の一方の対角線の両端部に圧入突起51を、また、ケース43の他方の対角線の両端部に遊嵌突起58をそれぞれ配置する。なお、支持突起51,58の総てを圧入突起51とすることも可能であるが、総てを圧入突起51とすると、前に述べたように支持突起51と固定孔67との相対的な位置関係について高い寸法精度が要求され製造コストが嵩むうえ、基板取付時の力を受け、或いは車両に搭載して経年使用したような場合に振動を受け、支持突起51が折れるなど基板46の支持部が損傷を受けることが危惧されることから、本実施形態では遊嵌突起58を含む構成とした。
【0055】
蓋体47の裏面の押圧突起61は、支持突起51,58の先端部を収容可能な円筒状の形状を有する。押圧突起61の高さ(長さ方向の寸法)は、蓋体47をケース43の前面開口に被せて当該前面開口の周縁部に蓋体47の周縁部を当接させたときに、基板46の表面から一定の隙間が形成され(後述の
図19参照)、且つ、蓋体47をケース43に溶着(溶融接合)したときに基板46の表面に押圧突起61が当接する(後述の
図20参照)高さを有するものとする。押圧突起61をこのような高さ構造とする理由については、後に詳しく述べる。
【0056】
図13から
図20を参照してケース43への基板46の設置と蓋体47の取付けについて製造工程に従って順に述べる。
【0057】
図13から
図14に示すように基板46を水平にして(ケース43の底面に対して平行にして)前面開口からケース43内に差し入れていくと、まず基板46の固定孔67にケース43の支持突起(圧入突起51及び遊嵌突起58)の先端部が差し込まれる(
図15参照)。
【0058】
次に、この状態から基板46をケース43の底面に向け進行させていくと、ケース43内に備えられた端子45b,62が基板46に備えたスルーホール68内に差し込まれていく。このとき、前記
図15に示した工程で固定孔67に支持突起51,58の先端部が差し込まれていることにより水平方向に関する基板46とケース43の相対的な位置決めがほぼ完了しており(圧入突起先端の小径部52と固定孔67の内周面との間の間隙、及び、遊嵌突起58と固定孔67との間の間隙Sのうちの小さい方の間隙以上には水平方向に基板46が位置ずれすることがない)、スルーホール68内に端子45b,62をスムーズに挿入させることが出来る(
図16参照)。また同時に、圧入突起51の圧入(固定孔67への圧入部53の挿入)が開始される。
【0059】
そして、
図17に示すように基板46の裏面が段部57に突き当たるまで基板46を後方へ(ケースに底面に向けて)進めていけば、基板46の配置が完了する。
【0060】
なお、端子45b,62と基板46(スルーホール68)との電気的な接続は、端子45b,62をプレスフィットピンとする(スルーホール68に圧入させることにより電気的な接続を行う)プレスフィット接続により行っても良いし、基板46を配置した後に、はんだ付けにより行っても良い。
【0061】
基板46をケース43内に配置した後、蓋体47をケース43に取り付ける。
図18から
図19に示すように、前面開口を塞ぐように蓋体47をケース43に被せ、ケース43の前縁部に蓋体裏面の周縁部を当接させる。この状態で、両者(ケース前縁部と蓋体周縁部)の接触面に赤外線を照射してケース43と蓋体47の接触面を溶融させながら、蓋体47をケース43の底面に向けて押し付ける。接触面の溶融に伴って蓋体47はケース43の底面に向けて進行するが、
図20に示すように蓋体裏面の押圧突起61が基板46の表面(前面)に突き当たると、蓋体47はそれ以上進行しなくなる。そして、この状態で溶着を終了すれば、段部57と押圧突起61とで挟持された状態で基板46がケース43内に強固に支持されることとなる。なお、
図20に蓋体47とケース43の溶着面を符号69で示した。
【0062】
このように本実施形態によれば、基板46をケース43の底面に向けて押し込み、蓋体47を溶着するだけの比較的簡便な操作でケース43内への基板46の設置と蓋体47の取付けを行うことが出来る。また、ケース43と蓋体47の溶融深さ(垂直方向(前後方向)についてケース43と蓋体47がどの程度溶融されるか)は、押圧突起61の高さ(前後方向の長さ)によって設定することが出来る。したがって本実施形態によれば、押圧突起61の高さを適切に設定することにより、溶融深さが足りないためにケース43の気密性が不十分となったり、逆に、過剰に溶融されるような事態が発生することを防ぐことができ、電動弁11を量産するときにケース43の密封品質を一定且つ良好に保つことが可能となる。また、押圧突起61が基板46の表面に当接したことをもって蓋体47の接合作業を一律に終了することが出来るから、蓋体47の取付作業を効率良く行うことが出来る。
【0063】
さらに
図21は、基板46の取付けミスを防止する構造を示すものである。同図に示すように本実施形態では、基板46の左縁部と右縁部には、形状の異なる切欠部81,82をそれぞれ形成するとともに、ケース43の内部には基板46を正しく配置したときに一方の切欠部(本実施形態の場合、左側の幅広の切欠部)81に嵌入する突起83を形成してある。基板46を裏返しに配置しようとした場合には、
図21の右側の幅が狭い切欠部82が左側に来ることになり、当該切欠部82には突起83を嵌入することが出来ないため、基板46が表裏逆であることが直ちに分かる。これにより、基板取付時に誤って基板46を表裏逆に配置してしまうことを防止することが出来る。
【0064】
〔第2実施形態〕
図22から
図26を参照して本発明の第2の実施形態に係る電動弁について説明する。なお、以下、第1実施形態の電動弁11と同様の構成については同一の符号を付して重複した説明を省略し、相違点を中心に述べる。
【0065】
図22から
図26に示すように本実施形態の電動弁71は、前記第1実施形態の電動弁11と同様に電動機(ステッピングモータ)23によって弁体17を上下動させて冷媒の流量を調整するもので、電動機23を制御する基板46を備えたものであるが、当該基板46を電動機23(ステータ25)の上面部に水平に広がるように配置し、基板46を収容するケース43を電動機23の上面部に形成する。
【0066】
本実施形態では、前記第1実施形態の電動弁11と同様に電動機23のステータ25およびキャン22を覆う外殻カバー42(
図7及び
図8において断面に粗いドット模様を施した)と、外殻カバー42の内側に配置されてコイル28を覆うコイルカバー41(
図7及び
図8において断面に細かいドット模様を施した)とを備えているが、第1実施形態の電動弁11と異なり、コネクタ44は外殻カバー42と一体成形せずに別工程でコネクタ付き蓋体(コネクタ部付き蓋体成形部)72としてケース43の上面開口を閉塞する蓋体47と一体に成形する。
【0067】
コネクタ付き蓋体72は、2段階の成形工程を経て作製する。まず第1工程(1次モールド)で、外部接続端子45の中間部を覆って支持する樹脂製の端子カバー(端子被覆成形部)63を成形し、続く第2工程(2次モールド)で、端子カバー63を覆って当該端子カバー63がコネクタ44と蓋体47の間に支持されるように、言い換えれば、端子カバー63の一端部がコネクタ内部44aに突き出すとともに、端子カバー63の他端部が蓋体47の下面から下方へ突き出すように、コネクタ44と蓋体47を一体にコネクタ付き蓋体72として成形する。
【0068】
コネクタ付き蓋体72は、ケース内部43aに基板46を配置した後、ケース43の上面開口を閉塞するようにケース43の上縁部に溶着する。なお、外部接続端子45と基板46との電気的な接続は、プレスフィット接続により行えば良い。具体的には、外部接続端子45の基端部(基板側の端部)45aをプレスフィットピンとし、コネクタ付き蓋体72をケース43の上面に被せたときに当該プレスフィットピンが基板46のスルーホール68に圧入されるようにする。
【0069】
ケース43への基板46の支持構造は、前記第1実施形態と同様である。すなわち、ケース43側には支持突起として圧入突起51と遊嵌突起58とを設け、各支持突起51,58の底面部には、基板46を下面側から支持する段部57を形成してある。基板46は、支持突起51,58が嵌挿される固定孔67を有する。一方、コネクタ付き蓋体72側にはその裏面(下面)に押圧突起61を備えてある。
【0070】
固定孔67に支持突起51,58を嵌挿させつつケース43内に基板46を設置した後(
図24~
図25参照)、ケース43の上面にコネクタ付き蓋体72を溶着すると(
図26参照)、基板46は、圧入突起51により水平方向の移動が規制され、段部57と押圧突起61とで挟持されることにより垂直方向への移動が規制され、これによりケース43内に固定される。
【符号の説明】
【0071】
A 電動弁の中心軸線
B 圧入突起の中心軸線
S 遊嵌突起外周面と押圧突起内周面との間の隙間(間隙)
11,71 電動弁
12 弁本体
12a 上部開口
13 弁室
14 弁座
15 流出路
16 流入路
17 弁体
18 弁軸
18a 胴部
18b 上部小径部
19 連結部材
19a 大径孔
19b 小径孔
21 ベースプレート
22 キャン
23 ステッピングモータ(電動機)
24 マグネットロータ
25 ステータ
26 ヨーク
27 ボビン
28 コイル
31 弁軸ホルダ
31a 雌ねじ部(ねじ送り機構)
32 上ストッパ体
33 支持リング
34 プッシュナット
35 圧縮コイルばね
36 ガイドブッシュ
36a 大径円筒部
36b 小径円筒部
36c 雄ねじ部(ねじ送り機構)
37 下ストッパ体
41 コイルカバー
42 外殻カバー
43 ケース
43a ケース内部(ケースの内部空間)
44 コネクタ
44a コネクタ内部(コネクタの内部空間)
45 外部接続端子
45a 外部接続端子の先端部(コネクタ側の端部)
45b 外部接続端子の基端部(基板側の端部)
46 基板
47 蓋体
51 圧入突起(支持突起)
51a 圧入突起の突起本体
52 小径部
53 圧入部
54 テーパ面
55 凸条部
56 稜線部
57 段部
58 遊嵌突起(支持突起)
58a 遊嵌突起の突起本体
61 押圧突起
62 端子
63 端子カバー
64 切欠凹部(位置決め用凹部)
65 孔(位置決め用凹部)
66 2次モールド用金型
67 固定孔
68 スルーホール
69 蓋体とケースの溶着面
72 コネクタ付き蓋体
81,82 切欠部
83 突起