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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】電子部品の搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/80 20060101AFI20241028BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20241028BHJP
【FI】
B65G47/80 C
H01G13/00 331A
H01G13/00 331D
H01G13/00 361Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023190967
(22)【出願日】2023-11-08
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591009705
【氏名又は名称】株式会社 東京ウエルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 駿輔
(72)【発明者】
【氏名】大西 裕己
(72)【発明者】
【氏名】小森 太陽
(72)【発明者】
【氏名】高木 凛太郎
(72)【発明者】
【氏名】遠山 悠
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 嘉一
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-503619(JP,A)
【文献】特表2010-516595(JP,A)
【文献】特開2023-005272(JP,A)
【文献】特開2020-090346(JP,A)
【文献】特表2016-503894(JP,A)
【文献】特開2023-005282(JP,A)
【文献】特開2021-190604(JP,A)
【文献】特開2015-147196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/80
H01G 13/00
G01R 31/00、31/26
B07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が電子部品を収納するとともに円周状に配置された複数のポケットを有し、間欠的に前記ポケットの配置ピッチだけ1ステップずつ回転する円盤状のインデックステーブルと、
前記インデックステーブル上に設けられ、前記ポケットに対応するとともに前記電子部品を貯留する貯留セクションを有するロードトラックと、
前記インデックステーブル上に設けられ、検出位置にある前記ポケットの半径方向位置を検出する位置検出センサと、
前記ロードトラックを半径方向に駆動するロードトラック駆動部と、
制御部とを備え、
前記制御部は前記位置検出センサからの信号に基づいて、前記インデックステーブルの1ステップ毎に、前記ロードトラック駆動部を駆動させて前記ロードトラックを半径方向に移動させ、前記ロードトラックに対する前記ポケットの半径方向位置を調整する、電子部品の搬送システム。
【請求項2】
前記インデックステーブル上に設けられ、前記電子部品の電気的試験を行う電子部品試験装置を更に備えた、請求項1記載の電子部品の搬送システム。
【請求項3】
前記制御部は前記インデックステーブルの全周に渡って、前記インデックステーブルの前記ポケット内に電子部品を収納しない状態で、前記位置検出センサからの信号に基づいて、前記ロードトラック駆動部を駆動させて前記ロードトラックを半径方向に移動させ、前記ロードトラックに対する前記ポケットの半径方向位置を調整し、
前記制御部は前記インデックステーブルの前記ポケット内に電子部品を収納させた状態で、前記インデックステーブルの前記ポケット内に電子部品を収納しない場合の同一円周方向位置における半径方向移動量だけ、前記ロードトラック駆動部を駆動させて前記ロードトラックを半径方向に移動させ、前記ロードトラックに対する前記ポケットの半径方向位置を調整する、請求項1または2記載の電子部品の搬送システム。
【請求項4】
前記制御部は現在の検出位置にある前記ポケットの半径方向位置と、前記インデックステーブルの1ステップ前の検出位置にある前記ポケットの半径方向位置から、前記インデックステーブルの1ステップ毎の前記ポケットの半径方向変位量を求め、前記ポケットの半径方向変位量に基づいて前記インデックステーブルの1ステップ毎に前記ロードトラック駆動部を駆動させ、前記ロードトラックに対する前記ポケットの半径方向位置を調整する、請求項1記載の電子部品の搬送システム。
【請求項5】
前記制御部は、予め前記ロードトラックに対する目視位置にある前記ポケットの初期の半径方向位置に基づいて前記ロードトラック駆動部を駆動させ、前記ロードトラックに対する前記ポケットの初期の半径方向位置を調整する、請求項1記載の電子部品の搬送システム。
【請求項6】
前記ポケットの目視位置と、前記ポケットの検出位置は同一である、請求項5記載の電子部品の搬送システム。
【請求項7】
前記ポケットの目視位置と、前記ポケットの検出位置は円周方向に3.6°以上36°以下離間している、請求項5記載の電子部品の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多数の電子部品をインデックステーブル上で所定間隔をおいて配置して搬送するとともに電子部品に対して試験を行う電子部品の搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生産された例えばコンデンサ等の電子部品は、全数について所定の試験が行われ、良品のみが出荷される。
【0003】
電子部品はまずロードトラックの貯留セクション内に投入され、この貯留セクションからインデックステーブルのポケット内に挿入され、インデックステーブルのポケット内に挿入された状態で電子部品に対して電気的試験が行われる。この場合、インデックステーブルの駆動モータの芯ぶれ等の影響でロードトラックに対してインデックステーブルのポケットの位置がずれてしまうことがあり、この場合はロードトラックの貯留セクション内に投入された電子部品をポケット内に充填することがむずかしくなり、充填率が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-26318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、ロードトラックの貯留セクション内に投入された電子部品をインデックステーブルのポケット内に確実に充填することができる電子部品の搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、各々が電子部品を収納するとともに円周状に配置された複数のポケットを有し、間欠的に前記ポケットの配置ピッチだけ1ステップずつ回転する円盤状のインデックステーブルと、前記インデックステーブル上に設けられ、前記ポケットに対応するとともに前記電子部品を貯留する貯留セクションを有するロードトラックと、前記インデックステーブル上に設けられ、検出位置にある前記ポケットの半径方向位置を検出する位置検出センサと、前記ロードトラックを半径方向に駆動するロードトラック駆動部と、制御部とを備え、前記制御部は前記位置検出センサからの信号に基づいて、前記インデックステーブルの1ステップ毎に、前記ロードトラック駆動部を駆動させて前記ロードトラックを半径方向に移動させ、前記ロードトラックに対する前記ポケットの半径方向位置を調整する、電子部品の搬送システムである。
【0007】
本開示は、前記インデックステーブル上に設けられ、前記電子部品の電気的試験を行う電子部品試験装置を更に備えた、電子部品の搬送システムである。
【0008】
本開示は、前記制御部は前記インデックステーブルの全周に渡って、前記インデックステーブルの前記ポケット内に電子部品を収納しない状態で、前記位置検出センサからの信号に基づいて、前記ロードトラック駆動部を駆動させて前記ロードトラックを半径方向に移動させ、前記ロードトラックに対する前記ポケットの半径方向位置を調整し、前記制御部は前記インデックステーブルの前記ポケット内に電子部品を収納させた状態で、前記インデックステーブルの前記ポケット内に電子部品を収納しない場合の同一円周方向位置における半径方向移動量だけ、前記ロードトラック駆動部を駆動させて前記ロードトラックを半径方向に移動させ、前記ロードトラックに対する前記ポケットの半径方向位置を調整する、電子部品の搬送システムである。
【0009】
本開示は、前記制御部は現在の検出位置にある前記ポケットの半径方向位置と、前記インデックステーブルの1ステップ前の検出位置にある前記ポケットの半径方向位置から、前記インデックステーブルの1ステップ毎の前記ポケットの半径方向変位量を求め、前記ポケットの半径方向変位量に基づいて前記インデックステーブルの1ステップ毎に前記ロードトラック駆動部を駆動させ、前記ロードトラックに対する前記ポケットの半径方向位置を調整する、電子部品の搬送システムである。
【0010】
本開示は、前記制御部は、予め前記ロードトラックに対する目視位置にある前記ポケットの初期の半径方向位置に基づいて前記ロードトラック駆動部を駆動させ、前記ロードトラックに対する前記ポケットの初期の半径方向位置を調整する、電子部品の搬送システムである。
【0011】
本開示は、前記ポケットの目視位置と、前記ポケットの検出位置は同一である、電子部品の搬送システムである。
【0012】
本開示は、前記ポケットの目視位置と、前記ポケットの検出位置は円周方向に3.6°以上36°以下離間している、電子部品の搬送システムである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本開示によれば、ロードトラックの貯留セクション内に投入された電子部品をインデックステーブルのポケット内に確実に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1Aは本開示による電子部品の試験システムの第1の実施の形態を示す概略斜視図。
図1B図1Bは本開示による電子部品の試験システムの第1の実施の形態を示す概略側面図。
図2A図2Aはインデックステーブル上に設けられたロードトラックを示す概略図。
図2B図2Bは位置検出センサと検出位置にあるポケットとの位置関係を示す図であって、図2AのB線方向からみた図。
図3図3はロードトラックを示す拡大図。
図4図4は電子部品の搬送システムの作用を示すフローチャート。
図5図5はプローブの構造を示す概略図。
図6図6はインデックステーブル上に設けられたロードトラックを示す図。
図7図7はロードトラックと電子部品供給部の接続構造を示す図。
図8図8はロードトラックと、電子部品供給部と、供給フィーダの接続構造を示す図。
図9図9はインデックステーブルと、ロードトラックとの接続構造を示す図。
図10A図10Aは本開示による電子部品の搬送システムの作用を示す図。
図10B図10Bは比較例としての電子部品の搬送システムの作用を示す図。
図10C図10Cは比較例としての電子部品の搬送システムの作用を示す図。
図11図11はロードトラックのロードトラック本体内の電子部品がポケットに挿入される状態を示す図。
図12図12は位置検出センサの作用を示す図。
図13図13は電子部品の搬送システムの第2の実施の形態におけるロードトラックの詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して電子部品の搬送システムの第1の実施の形態について説明する。ここで図1乃至図12は電子部品の搬送システムの第1の実施の形態を示す図である。
【0016】
まず図1Aおよび図1Bにより、電子部品の搬送システム10の概略を説明する。
【0017】
図1Aおよび図1Bに示すように、電子部品の搬送システム10はインデックステーブル11に形成されたポケット12内にコンデンサ等の電子部品W(図5参照)を収納し、インデックステーブル11を間欠回転させることにより電子部品Wを搬送して、電子部品Wに対して熱負荷をかけながら、電気的試験を行うものである。そして電子部品Wは試験結果に応じて分類される。
【0018】
このような電子部品の搬送システム10は、傾斜面10aを有する構造体10Aと、構造体10Aの傾斜面10a上に設けられ、各々が電子部品Wを収納するとともに円周状に多列、例えば16列に配置されたポケット12を有する円盤状の構造をもつインデックステーブル11と、インデックステーブル11上に設けられ、インデックステーブル11のポケット12内に収納された電子部品Wに対して熱負荷をかけながら電気的試験を行う電子部品試験装置30Aと、電子部品試験装置30Aで電気的試験が行われた電子部品Wを排出する電子部品排出部50と、電子部品排出部50に排出経路51を介して接続された回収装置1と、を備えている。
【0019】
本実施の形態において、構造体10Aの傾斜面10aはインデックステーブル11を回転自在に支持するベースとして機能する。そしてこの傾斜面10a内には、インデックステーブル11のポケット12内に収納された電子部品Wを加熱するヒータ(図示せず)が設けられている。
【0020】
このうち構造体10Aの傾斜面10aは、水平面に対して約60度傾斜しており、インデックステーブル11はこの傾斜面10a上で時計方向に間欠回転する。なおインデックステーブル11を傾斜面10a上に配置する代わりに、傾斜面10aではなく、構造体10Aの垂直面(図示せず)に配置してもよい。
【0021】
本明細書において、「上方」あるいは「下方」とは、電子部品の搬送システム10を図1Aおよび図1Bのように配置した場合における「上方」あるいは「下方」をいう。
【0022】
電子部品試験装置30Aは、インデックステーブル11のポケット12内に収納された電子部品Wに対して、電気的試験を行う複数のプローブ30を有する。具体的には、各プローブ30は電子部品Wを例えば、100~170℃まで加熱して熱負荷をかけながら同時に電子部品Wに対して電気的試験を行う。そして電子部品Wはこの試験結果に基づいて、電子部品排出部50により選別されて、回収装置1へ送られる。本実施の形態において、電子部品試験装置30Aは構造体10Aの傾斜面10aにインデックステーブル11を覆うように設けられている。
【0023】
上述のように電子部品試験装置30Aの複数のプローブ30は、電子部品Wに対して熱負荷をかけながら電気的試験を行うものである。プローブ30が行う電気的試験あるいは電気的負荷としては以下のようなものがある。
【0024】
例えばプローブ30が行う電気的負荷としては、以下のようなものがある。電子部品Wがコンデンサの場合、定格電圧の2.5倍の直流電圧負荷が考えられ、例えば定格電圧10Vの場合、直流電圧25Vの負荷が考えられる。また電子部品Wがコンデンサの場合、定格電圧の2.5倍の交流電圧負荷が考えられ、例えば定格電圧10Vの場合、最大交流電圧25V、50Hzの負荷が考えられる。さらに電子部品がインダクタの場合、定格電流の1.5倍の電流負荷が考えられ、例えば定格直流電流1,000mAの場合、1,500mAの負荷が考えられる。
【0025】
またプローブ30は電気的負荷を行う機能に加えて、電子部品Wに対して熱負荷をかけながら電気的試験を実施する機能をもっている。プローブ30は電子部品Wがコンデンサの場合、静電容量(C)、損失係数(Df)、品質係数(Q:Dfの逆数)を検出することもできる。あるいはプローブ30は漏れ電流(漏れ電流と印加電圧から計算で絶縁抵抗を求める。)、直流電圧バイアスの静電容量(直流電圧を印加した状態で交流での静電容量)、耐電圧(BDV 絶縁破壊電圧)、突入電流によるプローブ30と電子部品Wの接触を検出することもできる。あるいはプローブ30は電子部品Wがインダクタの場合、インダクタンス(L)、直流抵抗(Rdc)、耐電流を検出することもできる。
【0026】
本実施の形態において、通常は電子部品試験装置30Aのプローブ30は電子部品Wに対して熱負荷をかけながら電気的試験を行う。そして電子部品Wはこの電気的試験の結果に基づいて、電子部品排出部50により選別されて、回収装置1へ送られる。
【0027】
次に電子部品試験装置30Aについて図5により、更に述べる。電子部品試験装置30Aは、上述のように電子部品Wに対して電気的試験を行う複数のプローブ30を有し、各プローブ30は各電子部品Wに対応して設けられている。
【0028】
さらに各プローブ30は、図5に示すようにプローブホルダ31により保持されている。各プローブ30は熱膨張性が高く、熱伝導性が高く、かつ導電性が高い材料、例えば、ベリリウム銅などの銅合金からなる。
【0029】
他方、各プローブ30を保持するプローブホルダ31は、多層、例えば3層に配置されたプローブホルダ本体32a,32b,32cと、各プローブホルダ本体32a,32b,32cの間に介在されたシート材33a,33bとを含む。本実施の形態において、プローブホルダ31のプローブホルダ本体32a,32b,32cは、ホトベール材のような熱膨張性が小さく、熱伝導性が小さく、かつ導電性が小さい材料からなる。
【0030】
またプローブホルダ31の中層のプローブホルダ本体32c内には、プローブホルダ31全体を加熱するためプローブ用ヒータ35が設けられている。なおプローブホルダ本体32a,32b,32cは、全体として熱伝導性が小さいため、プローブ用ヒータ35からの熱がプローブホルダ31全体に伝熱することがむずかしくなる。
【0031】
本実施の形態において、プローブホルダ本体32a,32b,32cの間に介在されたシート材33a,33bとして、熱伝導性が高くかつ導電性が高いグラファイトシート材が用いられている。このことによりプローブホルダ31によりプローブ30を効果的に加熱することができ、プローブ30によって電子部品Wを加熱して熱負荷をかけながら、同時に電子部品Wに対して電気的試験を実施することができる。
【0032】
なお、グラファイトシート材からなるシート材33a,33bは熱伝導性および導電性が高い。このためシート材33a,33bとプローブ30との間の導通を防ぐため、シート材33a,33bにはプローブ30の外径よりかなり大きな貫通口を形成し、この貫通口内にプローブ30を配置することが好ましい。
【0033】
また図5に示すように、プローブホルダ31により保持されたプローブ30の下方には、プローブ30との間で電子部品Wに対して電気的試験を実施する電極部36Aが設けられている。そしてこの電極部36Aは構造体10Aの傾斜面10aに支持されている。
【0034】
電極部36Aは電子部品Wに対してプローブ30との間で電気的試験を実施する電極36と、電極36を保持する電極ホルダ37とを有し、電極ホルダ37内に電極ホルダ37を加熱するプローブ用ヒータ38が設けられている。
【0035】
そしてこのプローブ用ヒータ38により電極36を加熱し、この電極36側からも電子部品Wを加熱することができる。
【0036】
またプローブホルダ31により保持されたプローブ30と、電極部36Aの電極36は、いずれも電気回路30aに接続され、この電気回路30aによってプローブ30と電極36との間で電子部品Wに対して電気的試験が実施される。
【0037】
さらにまた、図5に示すように電気回路30aは制御部40に接続されている。
【0038】
本実施の形態において、プローブ30と、プローブ30を保持するとともにプローブ用ヒータ35を含むプローブホルダ31と、プローブ30の下方に設けられた電極部36Aと、電気回路30aとにより、電子部品試験装置30Aが構成される。
【0039】
次にその他の構成部品について更に述べる。電子部品排出部50は、図1Aおよび図1Bに示すように構造体10Aの傾斜面10aに設けられた電子部品排出部本体50aと、電子部品排出部本体50aに取り付けられ、インデックステーブル11のポケット12内に収納された電子部品Wを外部へ排出するチューブ状の排出経路51とを有する。そしてチューブ状の排出経路51には、回収装置1が接続されている。
【0040】
本実施の形態において、電子部品試験装置30Aのプローブ30によって電子部品Wに対して熱負荷をかけながら電気的試験が行われる。そして電子部品Wはこのプローブ30による電気的試験の結果に基づいて電子部品排出部50により選別されて、排出経路51から所定の回収装置1まで送られる。
【0041】
具体的には、プローブ30による電気的試験結果が電気回路30aから制御部40に送られる。制御部40はこの電気的試験結果に基づいて、電子部品排出部50において、構造体10Aの傾斜面10aに設けられた図示しないエア噴射機構によりエア噴射を行い、インデックステーブル11のポケット12内にある電子部品Wを排出経路51を介して所定の回収装置1まで送る。本実施の形態において、回収装置1は、プローブ30による電気的試験の結果に基づいて選別される電子部品Wの選別区分毎に、複数例えば6台設置されている。本実施の形態において、各回収装置1は、構造体10Aの下方部に設置されている。
【0042】
そしてインデックステーブル11のポケット12内にある電子部品Wは、電子部品排出部において選別されて、排出経路51を介して各々所定の回収装置1まで送られる。
【0043】
次に、その他の構成部品について更に述べる。図1A乃至図3および図6乃至図9に示すように、構造体10Aの傾斜面(ベース)10aには、インデックステーブル11の下方部に対応して、ロードトラック20が設けられ、さらにこのロードトラック20にはロードトラック20に電子部品Wを供給する電子部品供給部15が接続されている。このうちロードトラック20は、ロードトラック本体21と、ロードトラック本体21内に設けられた複数の壁面22とを有し、壁面22間に電子部品Wを貯留する貯留セクション23が形成される。そしてこの貯留セクション23内にインデックステーブル11の対応するポケット12内に収納される電子部品Wが収納される(図6乃至図9参照)。
【0044】
また電子部品供給部15には、電子部品供給部15へ電子部品Wを補充する供給フィーダ18が接続されている。
【0045】
ところでインデックステーブル11は、回動軸11aの回りに間欠回転する。またインデックステーブル11の回動軸11aは、図示しない駆動機構により駆動される。
【0046】
さらに上述した構成要素、例えばインデックステーブル11の駆動機構、供給フィーダ18、電子部品供給部15、電子部品試験装置30A、プローブ30、および電子部品排出部50のエア噴射機構は、いずれも制御部40により駆動制御される。さらに制御部40には後述するポケット12の位置を検出する位置検出センサ26が接続され、位置検出センサ26からの信号に基づいて、制御部40により後述するロードトラック駆動部27が駆動制御される。
【0047】
上述のように、本実施の形態において、電子部品試験装置30Aのプローブ30によって電子部品Wを加熱して熱負荷をかけながら同時に電子部品Wに対して電気的試験を行っている。
【0048】
この場合、電子部品の搬送システム10全体として、電子部品Wを迅速かつ確実に加熱し、かつ電子部品Wを高温に維持することができれば、電子部品に対して効率良くかつ迅速に熱負荷をかけながら電気的試験を行うことができて都合が良い。
【0049】
このため本実施の形態においては、構造体10Aの傾斜面10a内部に図示しないヒータが設置されている。また上述のように電子部品試験装置30Aのプローブホルダ31にもプローブ用ヒータ35が設けられている。またロードトラック20のロードトラック本体21の内面および電子部品排出部50の電子部品排出部本体50aの内面にも図示しないヒータが設置されている。
【0050】
次に図6乃至図9により、インデックステーブル11上に設けられたロードトラック20と、ロードトラック20へ電子部品Wを供給する電子部品供給部15と、電子部品供給部15へ電子部品Wを補充する供給フィーダ18について述べる。
【0051】
図6乃至図9に示すように、ロードトラック20はインデックステーブル11上で電子部品Wを貯留する貯留セクション23を有し、この貯留セクション23はインデックステーブル11の16列のポケット12に対応して16列設けられている。
【0052】
すなわちロードトラック20はロードトラック本体21と、ロードトラック本体21内に設けられた複数の壁面22とを有し、ロードトラック20の壁面22間に16列の貯留セクション23が形成されている。そして各貯留セクション23内には、インデックステーブル11の対応する列のポケット12内に収納される電子部品Wが貯留される。
【0053】
この場合、インデックステーブル8には16列のポケット12が円周状に配置されているため、16列のポケット12に対応してロードトラック20の壁面22、および壁面22間に形成された貯留セクション23も円周状に構成されている。
【0054】
また電子部品供給部15は平面扇形をもつ仕切板15bを有し、仕切板15bの基部に開口15aが形成されている。そして電子部品供給部15が回動し、仕切板15b内に蓄積された電子部品Wが開口15aから所望の貯留セクション23内に供給されるようになっている(図7および図8参照)。
【0055】
本実施の形態において、電子部品供給部15は供給部本体15Aを有し、この供給部本体15A内に開口15aを有する仕切板15bが設けられている。
【0056】
そして電子部品供給部15の供給部本体15Aは、基台17上に回動軸16を介して取り付けられており、基台17上で回動軸16が回動することにより開口15aの位置が変化して、仕切板15b内に蓄積されていた電子部品Wが開口15aから所望の貯留セクション23内に投入される。
【0057】
また電子部品供給部15には、図8に示すように、電子部品供給部15内に電子部品Wを補充する供給フィーダ18が接続されており、この供給フィーダ18の出口には電子部品の供給量を検出する供給量検出センサ19が設けられている。供給フィーダ18から電子部品供給部15内に補充された電子部品Wは、電子部品供給部15から開口15aを介して所望の貯留セクション23内に投入されるため、供給量検出センサ19は電子部品供給部15から貯留セクション23へ供給される電子部品Wの供給量を検出するよう機能する。
【0058】
ところでロードトラック20の各貯留セクション23は、少なくともインデックステーブル11の下端部11Aから下流側に向かって45度の範囲内に配置されている。本実施の形態においては、各貯留セクション23はインデックステーブル11の下端部11Aを基準として下流側に向かって90度の範囲α1に渡って配置されている(図6参照)。
【0059】
また、ロードトラック20には、各貯留セクション23に対応して、インデックステーブル11の下端部11Aから下流側に向かって10度~20度の範囲α2内のいずれかの位置に、本実施の形態においてはインデックステーブル11の下端部11Aから下流側に向かって15度の位置に電子部品Wがポケット12内に収納されたか否かを検出する電子部品検出部25を設けてもよい。
【0060】
ロードトラック20に設けられた電子部品検出部25は、上述のように各貯留セクション23に対応して設けられ、この電子部品検出部25は、裏側の投光部から光を投光し、表側の受光センサで受光してポケット12内の電子部品Wを検出する透過型センサ、または表側からポケット12内の電子部品Wに光を投光し、電子部品Wからの反射光を検出する反射型センサのいずれかからなる。
【0061】
ところで上述した構成部品のうち、電子部品Wを搬送するインデックステーブル11は合成樹脂製となっており、比較的熱膨張し易い部品からなる。
【0062】
他方、電子部品試験装置30Aのプローブホルダ31、ロードトラック本体21、電子部品排出部50の電子部品排出部本体50aは、いずれも金属材料からなり、比較的熱膨張し難い材料、例えばインバー材、あるいはホトベール材(登録商標)からなる。
【0063】
またインデックステーブル11は作動中、芯ぶれ等を生じさせることがある。また作動中、インデックステーブル11は加熱による熱膨張の影響を受ける。このような作動中、インデックステーブル11に対して生じる芯ぶれあるいは熱膨張によりインデックステーブル11のポケット12が、熱膨張の影響を受けないロードトラック20に対して、とりわけ半径方向に変位することがある。
【0064】
このように、インデックステーブル11のポケット12が、ロードトラック20に対して半径方向に変位した場合、ロードトラック20の貯留セクション23の底面23aとポケット12の側面12aとの間に段差Gが生じて、ロードトラック20の貯留セクション23内に貯留された電子部品Wがポケット12内に入り難くなることがある(図11参照)。
【0065】
本実施の形態において、インデックステーブル11のポケット12がロードトラック20に対して半径方向に変位した場合、この半径方向の変位を調整して、ロードトラック20の貯留セクション23内の電子部品Wがポケット12内にスムーズに入ることができるよう、以下の構成部材が設けられている。
【0066】
すなわち、図2A図2Bおよび図3に示すように、ロードトラック20のロードトラック本体21の表面にガラス窓21Aが取り付けられ、このガラス窓21Aを介して外部からインデックステーブル11のポケット12の位置を目視により確認することができる。
【0067】
またロードトラック20のロードトラック本体21近傍には、ガラス窓21Aを介してインデックステーブル11のポケット12の半径方向位置を検出する位置検出センサ26が設けられている。この位置検出センサ26は、構造体10Aの傾斜面10aに固定されている。
【0068】
さらにロードトラック20のロードトラック本体21はインデックステーブル11の半径方向に沿って移動可能となっており、ロードトラック本体21の外周には、ロードトラック本体21を半径方向に沿って移動させるロードトラック駆動部27が設けられている。
【0069】
このロードトラック駆動部27は、ロードトラック本体21をインデックステーブル11の半径方向に沿って移動させ、ロードトラック20のロードトラック本体21に対するインデックステーブル11のポケット12の半径方向位置を調整するものである。そしてこのようにロードトラック本体21に対する、インデックステーブル11のポケット12の半径方向位置を調整することによって、ロードトラック20の貯留セクション23の底面23aと、ポケット12の側面12aとの間の段差Gをなるべく小さくして、貯留セクション23内の電子部品Wをスムーズにポケット12内に挿入することができる(図11参照)。
【0070】
一般に電子部品Wは隅部に湾曲部W1が形成されている。近年、電子部品Wの湾曲部は従来のR=100μmに対して、R=20μmまで減少している。
【0071】
この場合、R=100μmをもつ電子部品Wは、貯留セクション23の底面23aと、ポケット12の側面12aとの間の段差Gが50μm程度でも、湾曲部W1からポケット12内にスムーズに挿入される。
【0072】
しかしながら近年の電子部品Wの湾曲部W1は、R=20μmと小さくなっているため、貯留セクション23の底面とポケット12の側面12aとの間の段差Gが10μm以上となると、貯留セクション23内の電子部品Wをインデックステーブル11のポケット12内に挿入することは困難となる。
【0073】
本実施の形態において、上述した位置検出センサ26とロードトラック駆動部27が設けられ、位置検出センサ26からの信号が制御部40内に送られる。そして制御部40により位置検出センサ26からの位置に基づいて、ロードトラック駆動部27を制御して、ロードトラック20のロードトラック本体21を半径方向に移動させる。
【0074】
このことにより、インデックステーブル11のポケット12がロードトラック20に対して半径方向に変位し、このことによりロードトラック20の貯留セクション23の底面23aと、ポケット12の側面12aとの間に比較的大きな段差Gが生じたとしても、ロードトラック駆動部27によりロードトラック本体21をインデックステーブル11の半径方向に沿って移動させることができる。このことにより、貯留セクション23の底面23aとポケット12の側面12aとの間の段差Gを可能な限り小さく、例えば10μm以下まで小さくすることができる。
【0075】
このことにより、貯留セクション23内の電子部品Wをインデックステーブル11のポケット12内にスムーズに挿入することができる。
【0076】
本実施の形態において、ロードトラック駆動部27は、位置検出センサ26の半径方向延長線上に配置されている。しかしながらこれに限らずロードトラック駆動部27を位置検出センサ26の半径方向延長線上に配置することなく、ロードトラック駆動部27をロードトラック本体21の円周方向の略中央部に配置してもよい。
【0077】
また本実施の形態において、構造体10Aの傾斜面10aには、ロードトラック20の貯留セクション23内に貯留された電子部品Wをインデックステーブル11のポケット12内に引き込むための吸引孔10bが形成されている(図10A乃至図10C参照)。
【0078】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0079】
まずは、コンデンサ等からなる電子部品Wが電子部品供給部15に供給される前に、すなわちインデックステーブル11のポケット12内に電子部品Wを供給する前に(ポケット12が空の状態で)、ロードトラック20に対するポケット12の位置調整が行われる。この場合、検出位置にあるポケット12Aの半径方向位置が位置検出センサ26により検出され、位置検出センサ26からの信号に基づいて制御部40によりロードトラック駆動部27が駆動制御され、ロードトラック20のロードトラック本体21が半径方向に移動する。
【0080】
次に位置検出センサ26とロードトラック駆動部27の具体的作用について図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0081】
この場合、以下のような具体的特性をもつ電子部品の搬送システム10を例にとって説明する。
【0082】
電子部品の搬送システム10のインデックステーブル11の直径は300mm、その厚みは0.9mmとなっている。
【0083】
またインデックステーブル11のポケット12は、1005用電子部品Wを対象とし、その形状はインデックステーブル11を法線方向から見た場合、一辺0.7mmの正方形となっている。
【0084】
またインデックステーブル11に設けられたポケット12は、16列毎に円周状に沿って配置され、各列のポケット12はインデックステーブル11の1周360°を100等分した位置に配置されている。
【0085】
またインデックステーブル11は芯ぶれにより半径方向に沿って最大50μm変位するものと考える。
【0086】
さらに本実施の形態において、ロードトラック20のロードトラック本体21に対するポケットの半径方向の変位が10μm未満となるよう制御部40によりロードトラック駆動部27を駆動制御する。
【0087】
なお、位置検出センサ26の検出精度は1μm以下となっている。またロードトラック駆動部27は駆動モータおよび伝達機構を含む駆動要素をもち、ロードトラック駆動部27の移動精度は1μm以下となっている。
【0088】
本開示による電子部品の搬送システム10が上記特性をもつことを前提として、位置検出センサ26とロードトラック駆動部27の作用について以下説明する。
【0089】
まず図4に示すように、インデックステーブル11の検出位置にあるポケット12Aが予め目視により確認され、検出位置にあるポケット12Aの初期の半径方向位置に基づいて、制御部40がロードトラック駆動部27を駆動させる。本実施の形態において、検出位置にあるポケット12Aと位置検出センサ26はインデックステーブル11の同一半径方向に並んで配置される(図3参照)。
【0090】
このようにしてロードトラック20のロードトラック本体21に対するポケット12の初期の半径方向位置が調整されて、ロードトラック本体21に対してポケット12の初期の半径方向位置が設定される(図2A図2Bおよび図3参照)。
【0091】
本実施の形態において、目視により検出位置にあるポケット12Aの初期の半径方向位置が設定されるため、検出位置にあるポケット12Aは目視位置にあるポケット12Aとも言うことができる。
【0092】
次に位置検出センサ26のレーザ光照射部26aからレーザ光が検出位置にあるポケット12Aに照射される(図12参照)。レーザ光照射部26aからのレーザ光は、ポケット12Aの半径方向外方に位置する側面12aで反射した後、位置検出センサ26のレーザ光受光部26bで受光され、ポケット12Aの半径方向外方に位置する側面12aの位置が検出される。このようにして位置検出センサ26により検出位置にあるポケット12Aの半径方向位置が検出される。
【0093】
なお、本実施の形態において、検出位置にあるポケット12Aは、インデックステーブル11の半径方向の最外方に位置する列のポケット12Aとなっている。このようにインデックステーブル11の半径方向の最外方に位置するポケット12Aを検出位置にあるポケット12Aと定めることにより、インデックステーブル11の芯ぶれにより大きく変位するポケット12の変位を確実に検出して、ロードトラック20に対するポケット12の半径方向変位を精度良く検出することができる。位置検出センサ26からの検出信号は制御部40へ送られる。
【0094】
次にインデックステーブル11が回動軸11aを中心として、ポケット12の円周方向の配置ピッチPだけ1ステップ回転し、その後、インデックステーブル11が停止する(図3参照)。
【0095】
次に位置検出センサ26により、上述と同様にして次に検出位置にきたポケット12Aの半径方向位置が検出される。
【0096】
次に、位置検出センサ26により検出された検出位置にあるポケット12Aの半径方向位置が制御部40へ送られる。
【0097】
制御部40は現在の検出位置にあるポケット12Aの半径方向位置と、インデックステーブルの1ステップ前の検出位置にあるポケット12Aの半径方向位置に基づいて、インデックステーブル11の1ステップ毎のポケット12Aの半径方向変位量を求める。
【0098】
次に制御部40はインデックステーブル11の1ステップ毎のポケット12Aの半径方向変位量に基づいて、ロードトラック駆動部27を制御してロードトラック20のロードトラック本体21を半径方向に移動させる。
【0099】
この場合、制御部40はロードトラック駆動部27の駆動モータおよび伝達機構を含む駆動要素のバックラッシ補正値を求めてもよい。この際、制御部40はインデックステーブル11の1ステップ毎のポケット12Aの半径方向変位量に、ロードトラック駆動部27の駆動要素のバックラッシ補正値を加えた値を求め、この値に基づいて、ロードトラック駆動部27を制御し、このロードトラック駆動部27によりロードトラック20のロードトラック本体21を半径方向に移動させることができる。
【0100】
このように制御部40がロードトラック駆動部27の駆動要素のバックラッシ補正値を考慮してロードトラック駆動部27を駆動制御することにより、ロードトラック20のロードトラック本体21を正確な移動量だけ駆動させることができる。
【0101】
次に、電子部品供給部15内のコンデンサ等からなる電子部品Wが、ロードトラック20の所望の貯留セクション23内に供給され、各貯留セクション23内の電子部品Wはこの貯留セクション23内に貯留される。
【0102】
この間、インデックステーブル11が時計方向に回転し、インデックステーブル11の各ポケット12内に貯留セクション23内に貯留された電子部品Wが収納される。この場合、インデックステーブル11の裏側に位置する傾斜面10aに吸引孔10bが設けられているため、貯留セクション23内の電子部品Wは傾斜面10aの吸引孔10bにより吸引されてインデックステーブル11の各ポケット12内に収納される。
【0103】
電子部品Wが電子部品供給部15から各貯留セクション23内に供給される場合、電子部品Wは電子部品供給部15の開口15aを介して貯留セクション23内に上方部から投入され、貯留セクション23内に投入された電子部品Wは重力により落下して各貯留セクション23の下方部に貯留される。
【0104】
各貯留セクション23内に電子部品供給部15から電子部品Wが投入される間、インデックステーブル11は時計方向に間欠的に回転する。このことにより、各貯留セクション23内の電子部品Wはインデックステーブル11との摩擦力により、インデックステーブル11の下端部11Aを基準として下流側に向かって15度の位置を中心に固まりとなって貯留する。そして各貯留セクション23内で固まりとなって貯留する電子部品Wは、下端部11Aから下流側に向かって15度の位置を中心としてその数が最大となり、電子部品Wの数は下流側に向かって45°の位置まで徐々に減少し、同様にインデックステーブル11の上流側に向かって下端部11Aまで徐々に減少する。
【0105】
このように、各貯留セクション23内の電子部品Wの数は下端部11Aから下流側に向かって15度の位置を中心とする山形をなし、電子部品Wは下流側に向かって45°の位置まで徐々にその数を減らしながら存在し、同様に上流側に向かって下端部11Aまで徐々にその数を減らしながら存在する。
【0106】
本実施の形態によれば、各貯留セクション23内の電子部品Wの数はインデックステーブル11の下端部11Aから下流側に向かって15度の位置を中心とする山形をなし、電子部品Wは下端部11Aから下流側に向かって45度の位置から下端部11Aまで分布する。このため下端部11Aから下流側に向かって45度の位置から下端部11Aまでの範囲において、インデックステーブル11のポケット12内に電子部品Wが収納されることになる。
【0107】
また本実施の形態においては、ロードトラック20には、各貯留セクション23に対応してインデックステーブル11の下端部11Aから下流側に向かって10度~20度の範囲α2の範囲内、好ましくは下端部11Aから下流側に向かって15度の位置に電子部品検出部25が設けられている。このためこの電子部品検出部25によって、この電子部品検出部25の設定位置において、電子部品Wがポケット12内に収納されたか否かを検出することができる。
【0108】
このように電子部品検出部25によってポケット12内の電子部品Wの有無を検出することにより、後述のように電子部品Wをロードトラック20内に適切な分量だけ供給することができ、ポケット12内に確実に電子部品Wを供給することができる。この間、制御部40は、インデックステーブル11のポケット12内に電子部品Wを収納させた状態で、インデックステーブル11の1ステップ毎に、インデックステーブル11のポケット12内に電子部品Wを供給しない場合の同一円周方向位置における半径方向移動量と同一の移動量だけ、ロードトラック20を半径方向へ移動させる。すなわち、インデックステーブル11の各ポケット12内に電子部品Wを供給して収納させた場合、電子部品Wが存在するため、各ポケット12の半径方向位置を位置検出センサ26により検出することは困難である。従って、本実施の形態においては、一旦、インデックステーブル11のポケット12内に電子部品Wを収納させない状態で各ポケット12の半径方向位置を位置検出センサ26により検出する。次にロードトラック駆動部27によりロードトラック20のロードトラック本体21を半径方向に移動させてロードトラック20に対してポケット12の半径方向位置を調整する。制御部40は、このように、ポケット12内に電子部品Wを収納させない状態において、インデックステーブル11の所定の円周方向位置におけるロードトラック本体21の半径方向移動量を記録しておく。そして、制御部40は、インデックステーブル11の各ポケット12内に電子部品Wを収納する際、インデックステーブル11の1ステップ毎に、予め記録された、インデックステーブル11のポケット12内に電子部品Wを供給しない場合における同一円周方向位置における半径方向移動量と同一の移動量だけ、ロードトラック20を半径方向へ移動させる。
【0109】
次にロードトラック駆動部27によりロードトラック20のロードトラック本体を半径方向に移動させることによる作用効果を図10A乃至図10Cにより説明する。
【0110】
本実施の形態によれば、インデックステーブル11の検出位置にあるポケット12Aの半径方向変位量に基づいて、制御部40によりロードトラック駆動部27を制御してこの半径方向変位量を減少させるようロードトラック20のロードトラック本体21を半径方向へ移動させる。このことにより図10Aに示すように、ロードトラック20の貯留セクション23の底面23aとポケット12の側面12aとの間の段差Gをできる限り小さく、例えばこの段差Gを10μm以下に抑えることができる。このことにより貯留セクション23内の電子部品Wをインデックステーブル11のポケット12内にスムーズに挿入することができ、ポケット12に対する電子部品Wの充填率を100%近くまで引き上げることができる(図10Aおよび図11参照)。
【0111】
一方、図10Bおよび図10Cに示すように、ロードトラック20を移動させない構成の場合、ポケット12の半径方向変位量が大きくなる。
【0112】
この結果、ロードトラック20の貯留セクション23の底面23aがポケット12の側面12aに比べて上昇すると、電子部品Wが貯留セクション23の底面23aの端部に引っ掛って傷を付けたり、ポケット12の上端に当接して破損することも考えられる(図10B参照)。
【0113】
あるいはロードトラック20の貯留セクション23の底面23aと、ポケット12の側面12aとの間の段差Gが大きくなり、貯留セクション23内の電子部品Wがポケット12内にスムーズに入ることが困難となる(図10C参照)。
【0114】
これに対して本実施の形態によれば、ロードトラック20の貯留セクション23の底面23aと、ポケット12の側面12aとの間の段差Gを可能な限り小さくして、貯留セクション23内の電子部品Wをインデックステーブル11のポケット12内にスムーズに挿入することができる。
【0115】
次に、ロードトラック20からインデックステーブル11のポケット12内に挿入された電子部品Wは、インデックステーブル11が間欠回転することにより電子部品試験装置30Aまで搬送される。
【0116】
本実施の形態において、インデックステーブル11は100等分間欠回転する。すなわちインデックステーブル11は3.6°ずつ回転して停止し(1ステップ)、この動作を順次繰り返す。
【0117】
そしてインデックステーブル11が50ステップ動作した後、インデックステーブル11の電子部品Wが電子部品試験装置30Aの領域内(約180°の領域内)に達し、インデックステーブル11は間欠回転の動作を停止する。このとき電子部品試験装置30Aのプローブ30は、電子部品試験装置30Aの領域内(約180°の領域内)にあるすべての電子部品Wに対して一度に熱負荷をかけながら電気的試験を行う。
【0118】
なお、電子部品試験装置30Aのプローブ30により、まず電子部品Wに対して熱負荷と電気的負荷を同時に印加して、信頼性の低い電子部品Wを故障させ、その後にプローブ30により電子部品Wに対して熱負荷をかけながら電気的試験を行ってもよい。
【0119】
次にインデックステーブル11のポケット12内の電子部品Wは、インデックステーブル11の間欠回転に伴って電子部品排出部50まで搬送される。このときインデックステーブル11のポケット12内の電子部品Wは加熱されて高温となっている。プローブ30により熱負荷をかけながら電気的試験が行われた電子部品Wはこの電子部品排出部50から外方へ排出される。
【0120】
具体的には、電子部品Wはプローブ30による電気的試験の結果に基づいて電子部品排出部50により選別されて、排出経路51から所定の回収装置1まで送られる。
【0121】
この場合、まずプローブ30による電気的試験結果が電気回路30aから制御部40に送られる。制御部40はこの電気的試験結果に基づいて、電子部品排出部50において、図示しないエア噴射機構によりエア噴射を行い、インデックステーブル11のポケット12内にある電子部品Wを排出経路51を介して所定の回収装置1まで送る。本実施の形態において、回収装置1は、プローブ30による電気的試験の結果に基づいて選別される電子部品Wの選別区分毎に、複数例えば6台設置されている。
【0122】
インデックステーブル11のポケット12内にある電子部品Wは、電子部品排出部50において選別されて、排出経路51を介して各々所定の回収装置1まで送られる。
【0123】
以上のように本実施の形態によれば、例えばインデックステーブル11が芯ぶれにより、例えば半径方向に沿って最大50μm変位したとしても、インデックステーブル11をポケット12の配置ピッチだけ(例えば3.6°)1ステップずつ回転させる。そして1ステップ毎にロードトラック駆動部27によりロードトラック20を半径方向に沿って例えば、最大1μm移動させる。このことにより上述したインデックステーブル11の芯ぶれによる半径方向に沿う例えば、最大50μmの変位を、ロードトラック20の最大移動量1μm×50=50μm(式1)により略吸収することができる。
【0124】
ここで(式1)は、インデックステーブル11の芯ぶれによる半径方向に沿う例えば、最大50μmの変位がインデックステーブル11の半回転(180°)で生じることを前提とした式である。
【0125】
このことによりロードトラック20の貯留セクション23の底面23aとポケット12の側面12aとの間の段差Gをできる限り小さく、例えば段差Gを例えば、10μm以下に抑えることができる。このことにより電子部品Wの湾曲部W1が例えば、R=20μmであったとしても貯留セクション23内の電子部品Wをインデックステーブル11のポケット12内にスムーズに挿入させ、インデックステーブル11のポケット12に対する電子部品Wの充填率を100%近くまで引き上げることができる。
<第2の実施の形態>
次に図13により電子部品の搬送システムの第2の実施の形態を示す図である。
【0126】
図13に示す電子部品の搬送システムは、図1乃至図12に示す第1の実施の形態と、位置検出センサ26とロードトラック駆動部27の配置位置が異なる。また、図13に示す電子部品の搬送システム10において、インデックステーブル11の各ポケット12内に電子部品Wを供給して収納させながら、各ポケット12の半径方向位置を位置検出センサ26により検出し、位置検出センサ26で検出した各ポケット12の半径方向位置に基づいて、ロードトラック駆動部27により、ロードトラック20を半径方向へ移動させている。
【0127】
図13に示す第2の実施の形態において、図1乃至図12に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0128】
図13に示すように、ロードトラック20のロードトラック本体21の表面にガラス窓21Aが取り付けられ、このガラス窓21Aを介して外部からインデックステーブル11のポケット12の位置を目視により確認することができる。
【0129】
またロードトラック20のロードトラック本体21の右側外方には、インデックステーブル11のポケット12の半径方向位置を検出する位置検出センサ26が設けられている。すなわち、図13において、位置検出センサ26はロードトラック本体21の外側に配置され、構造体10Aの傾斜面10aに固定されている。
【0130】
さらにロードトラック20のロードトラック本体21はインデックステーブル11の半径方向に沿って移動可能となっており、ロードトラック本体21の外周には、ロードトラック本体21を半径方向に沿って移動させるロードトラック駆動部27が設けられている。
【0131】
このロードトラック駆動部27は、ロードトラック本体21をインデックステーブル11の半径方向に沿って移動させ、ロードトラック20のロードトラック本体21に対するインデックステーブル11のポケット12の半径方向位置を調整するものである。そしてこのようにロードトラック本体21に対するインデックステーブル11のポケット12の半径方向位置を調整することによって、ロードトラック20の貯留セクション23の底面23aと、ポケット12の側面12aとの間の段差Gをなるべく小さくして、貯留セクション23内の電子部品Wをスムーズにポケット12内に挿入することができる(図11参照)。
【0132】
本実施の形態において、上述した位置検出センサ26とロードトラック駆動部27が設けられ、位置検出センサ26からの信号が制御部40内に送られる。そして制御部40により位置検出センサ26からの位置に基づいて、ロードトラック駆動部27を制御して、ロードトラック20のロードトラック本体21を半径方向に移動させる。
【0133】
このことにより、インデックステーブル11のポケット12がロードトラック20に対して半径方向に変位し、このことによりロードトラック20の貯留セクション23の底面23aと、ポケット12の側面12aとの間に段差Gが生じたとしても、ロードトラック駆動部27によりロードトラック本体21をインデックステーブル11の半径方向に沿って移動させて、貯留セクション23の底面23aとポケット12の側面12aとの間の段差Gを可能な限り小さく、例えば10μm以下まで小さくすることができる。
【0134】
このことにより、貯留セクション23内の電子部品Wをインデックステーブル11のポケット12内にスムーズに挿入することができる。
【0135】
本実施の形態において、ロードトラック駆動部27は、ガラス窓21Aの右側周縁部の半径方向延長線上に配置されている。しかしながらこれに限らずロードトラック駆動部27をガラス窓21Aの右側周縁部に配置することなく、ロードトラック駆動部27をロードトラック本体21の円周方向の略中央部に配置させてもよい。
【0136】
また本実施の形態において、構造体10Aの傾斜面10aには、ロードトラック20の貯留セクション23内に貯留された電子部品Wをインデックステーブル11のポケット12内に引き込むための吸引孔10bが形成されている(図10A乃至図10C参照)。
【0137】
次に位置検出センサ26とロードトラック駆動部27の具体的作用について図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0138】
この場合、以下のような具体的特性をもつ電子部品の搬送システム10を例にとって説明する。
【0139】
電子部品の搬送システム10のインデックステーブル11の直径は300mm、その厚みは0.9mmとなっている。
【0140】
またインデックステーブル11のポケット12は、1005用電子部品Wを対象とし、その形状はインデックステーブル11を法線方向から見た場合、一辺0.7mmの正方形となっている。
【0141】
またインデックステーブル11に設けられたポケット12は、16列毎に円周状に沿って配置され、各列のポケット12はインデックステーブル11の1周360°を100等分した位置に配置されている。
【0142】
またインデックステーブル11は芯ぶれにより半径方向に沿って最大50μm変位するものと考える。
【0143】
さらに本実施の形態において、ロードトラック20のロードトラック本体21に対するポケットの半径方向の変位が10μm未満となるよう制御部40によりロードトラック駆動部27を駆動制御する。
【0144】
なお、位置検出センサ26の検出精度は1μm以下となっている。またロードトラック駆動部27は駆動モータおよび伝達機構を含む駆動要素をもち、ロードトラック駆動部27の移動精度は1μm以下となっている。
【0145】
次に、本開示による電子部品の搬送システム10が上記の特性をもつことを前提として、本実施の形態の作用について、以下説明する。
【0146】
まず図4に示すように、インデックステーブル11の目視位置にあるポケット12Bが予め目視により確認され、目視位置にあるポケット12Bの初期の半径方向位置に基づいて、制御部40がロードトラック駆動部27を駆動させる(図13参照)。
【0147】
このようにしてロードトラック20のロードトラック本体21に対するポケット12の初期の半径方向位置が調整されて、ロードトラック本体21に対してポケット12の初期の半径方向位置が設定される(図13参照)。
【0148】
本実施の形態において、目視により目視位置にあるポケット12Bの初期の半径方向位置が設定される。
【0149】
ところで、図13に示すように、目視位置にあるポケット12Bと、ロードトラック駆動部27はインデックステーブル11の同一半径方向に並んで配置される。また後述のように検査位置にあるポケット12Aと位置検出センサ26もインデックステーブルの同一半径方向に並んで配置される。また、検出位置にあるポケット12Aと目視位置にあるポケット12Bは円周方向に6ステップ離れて配置される。
【0150】
次に、電子部品供給部15内のコンデンサ等からなる電子部品Wが、ロードトラック20の所望の貯留セクション23内に供給され、各貯留セクション23内の電子部品Wはこの貯留セクション23内に貯留される。
【0151】
この間、インデックステーブル11が時計方向に回転し、インデックステーブル11の各ポケット12内に貯留セクション23内に貯留された電子部品Wが収納される。この場合、インデックステーブル11の裏側に位置する傾斜面10aに吸引孔10bが設けられているため、貯留セクション23内の電子部品Wは傾斜面10aの吸引孔10bにより吸引されてインデックステーブル11の各ポケット12内に収納される。
【0152】
電子部品Wが電子部品供給部15から各貯留セクション23内に供給される場合、電子部品Wは電子部品供給部15の開口15aを介して貯留セクション23内に上方部から投入され、貯留セクション23内に投入された電子部品Wは重力により落下して各貯留セクション23の下方部に貯留される。
【0153】
各貯留セクション23内に電子部品供給部15から電子部品Wが投入される間、インデックステーブル11は時計方向に間欠的に回転する。このことにより、各貯留セクション23内の電子部品Wはインデックステーブル11との摩擦力により、インデックステーブル11の下端部11Aを基準として下流側に向かって15度の位置を中心に固まりとなって貯留する。そして各貯留セクション23内で固まりとなって貯留する電子部品Wは、下端部11Aから下流側に向かって15度の位置を中心としてその数が最大となり、電子部品Wの数は下流側に向かって45°の位置まで徐々に減少し、同様にインデックステーブル11の上流側に向かって下端部11Aまで徐々に減少する。
【0154】
このように、各貯留セクション23内の電子部品Wの数は下端部11Aから下流側に向かって15度の位置を中心とする山形をなし、電子部品Wは下流側に向かって45°の位置まで徐々にその数を減らしながら存在し、同様に上流側に向かって下端部11Aまで徐々にその数を減らしながら存在する。
【0155】
本実施の形態によれば、各貯留セクション23内の電子部品Wの数はインデックステーブル11の下端部11Aから下流側に向かって15度の位置を中心とする山形をなし、電子部品Wは下端部11Aから下流側に向かって45度の位置から下端部11Aまで分布する。このため下端部11Aから下流側に向かって45度の位置から下端部11Aまでの範囲において、インデックステーブル11のポケット12内に電子部品Wが収納されることになる。
【0156】
また本実施の形態においては、ロードトラック20には、各貯留セクション23に対応してインデックステーブル11の下端部11Aから下流側に向かって10度~20度の範囲α2の範囲内、好ましくは下端部11Aから下流側に向かって15度の位置に電子部品検出部25が設けられている。このためこの電子部品検出部25によって、この電子部品検出部25の設定位置において、電子部品Wがポケット12内に収納されたか否かを検出することができる。
【0157】
このように電子部品検出部25によってポケット12内の電子部品Wの有無を検出することにより、後述のように電子部品Wをロードトラック20内に適切な分量だけ供給することができ、ポケット12内に確実に電子部品Wを供給することができる。
【0158】
この間、位置検出センサ26のレーザ光照射部26aからレーザ光が検出位置にあるポケット12Aに照射される(図12参照)。レーザ光照射部26aからのレーザ光は、ポケット12Aの半径方向外方に位置する側面12aで反射した後、位置検出センサ26のレーザ光受光部26bで受光され、ポケット12Aの半径方向外方に位置する側面12aの位置が検出される。このようにして位置検出センサ26により検出位置にあるポケット12Aの半径方向位置が検出される。上述のように検出位置にあるポケット12Aと位置検出センサ26はインデックステーブル11の同一半径方向に並んで配置されるが、検出位置にあるポケット12Aは目視位置にあるポケット12Bに対して6ステップ上流側に位置している。
【0159】
また検出位置にあるポケット12Aおよび目視位置にあるポケット12Bは、インデックステーブル11の半径方向の最外方に位置する列に配置されている。このように検出位置にあるポケット12Aおよび目視位置にあるポケット12Bをインデックステーブル11の半径方向の最外方に配置することにより、インデックステーブル11の芯ぶれにより大きく変位するポケット12の変位を確実に検出して、ロードトラック20に対するポケット12の半径方向変位を精度良く検出することができる。またロードトラック20のロードトラック本体21に対するポケット12の初期の半径方向位置を確実に調整することができる。位置検出センサ26からの検出信号は制御部40へ送られる。
【0160】
次にインデックステーブル11が回動軸11aを中心として、ポケット12の円周方向の配置ピッチPだけ1ステップ回転し、その後、インデックステーブル11が停止する(図13参照)。
【0161】
次に位置検出センサ26により、上述と同様にして次に検出位置にきたポケット12Aの半径方向位置が検出される。
【0162】
次に、位置検出センサ26により検出された検出位置にあるポケット12Aの半径方向位置は制御部40へ送られる。
【0163】
制御部40は現在の検出位置にあるポケット12Aの半径方向位置と、インデックステーブルの1ステップ前の検出位置にあるポケット12Aの半径方向位置に基づいて、インデックステーブル11の1ステップ毎のポケット12Aの半径方向変位量を求める。
【0164】
次に制御部40はインデックステーブル11の1ステップ毎のポケット12Aの半径方向変位量に基づいて、ロードトラック駆動部27を制御してロードトラック20のロードトラック本体21を半径方向に移動させる。
【0165】
この場合、制御部40はロードトラック駆動部27の駆動モータおよび伝達機構を含む駆動要素のバックラッシ補正値を求めてもよい。この際、制御部40はインデックステーブル11の1ステップ毎のポケット12Aの半径方向変位量に、ロードトラック駆動部27の駆動要素のバックラッシ補正値を加えた値をもとめ、この値に基づいて、ロードトラック駆動部27を制御し、このロードトラック駆動部27によりロードトラック20のロードトラック本体21を半径方向に移動させることができる。
【0166】
このように制御部40がロードトラック駆動部27の駆動要素のバックラッシ補正値を考慮してロードトラック駆動部27を駆動制御することにより、ロードトラック20のロードトラック本体21を正確な移動量だけ駆動させることができる。
【0167】
次にロードトラック駆動部27によりロードトラック20のロードトラック本体を半径方向に移動させることによる作用効果を図10A乃至図10Cにより説明する。
【0168】
本実施の形態によれば、インデックステーブル11の検出位置にあるポケット12Aの半径方向変位量に基づいて、制御部40によりロードトラック駆動部27を制御してこの半径方向変位量を減少させるようロードトラック20のロードトラック本体21を半径方向へ移動させる。このことにより図10Aに示すように、ロードトラック20の貯留セクション23の底面23aとポケット12の側面12aとの間の段差Gをできる限り小さく、例えばこの段差Gを10μm以下に抑えることができる。このことにより貯留セクション23内の電子部品Wをインデックステーブル11のポケット12内にスムーズに挿入することができ、ポケット12に対する電子部品Wの充填率を100%近くまで引き上げることができる(図10Aおよび図11参照)。
【0169】
一方、図10Bおよび図10Cに示すように、ロードトラック20を移動させない構成の場合、ポケット12の半径方向変位量が大きくなる。
【0170】
この結果、ロードトラック20の貯留セクション23の底面23aがポケット12の側面12aに比べて上昇すると、電子部品Wが貯留セクション23の底面23aの端部に引っ掛って傷を付けたり、ポケット12の上端に当接して破損することも考えられる(図10B参照)。
【0171】
あるいはロードトラック20の貯留セクション23の底面23aと、ポケット12の側面12aとの間の段差Gが大きくなり、貯留セクション23内の電子部品Wがポケット12内にスムーズに入ることが困難となる(図10C参照)。
【0172】
これに対して本実施の形態によれば、ロードトラック20の貯留セクション23の底面23aと、ポケット12の側面12aとの間の段差Gを可能な限り小さくして、貯留セクション23内の電子部品Wをインデックステーブル11のポケット12内にスムーズに挿入することができる。
【0173】
このことによりロードトラック20の貯留セクション23の底面23aとポケット12の側面12aとの間の段差Gをできる限り小さく、例えば段差Gを10μm以下に抑えることができる。このことにより電子部品Wの湾曲部W1が例えば、R=20μmであったとしても、貯留セクション23内の電子部品Wをインデックステーブル11のポケット12内にスムーズに挿入させ、インデックステーブル11のポケット12に対する電子部品Wの充填率を100%近くまで引き上げることができる。
【0174】
さらにまた、位置検出センサ26をインデックステーブル11上であって、かつロードトラック20のロードトラック本体21の右側外方に設けたので、位置検出センサ26をロードトラック本体21と重複することなく設置することができ、位置検出センサ26の設置作業を容易に行うことができる。さらにまた位置検出センサ26は検出位置にあるポケット12Aを、ガラス窓21Aを通すことなく直接検出することができる。
【0175】
なお、検出位置にあるポケット12Aと、目視位置にあるポケット12Bは円周方向に6ステップだけ円周方向に離間している。位置検出センサ26による1ステップ毎の検出誤差が1μm以下とすると、6ステップで最大検出誤差は6μmとなるが、目標となる10μmの段差Gよりも十分小さいので、実用上は全く問題がない。また、本実施の形態によれば、位置検出センサ26はロードトラック20のロードトラック本体21の外方に設けられている。このように、ロードトラック本体21の外方に位置するポケット12内には電子部品Wが存在しないため、ロードトラック本体21の領域内のポケット12に電子部品Wを供給して収納させながら、すなわち電子部品の搬送システム10を実稼働させながら、位置検出センサ26によりポケット12の半径方向位置を精度よく確実に検出し、ロードトラック20を半径方向に移動させてロードトラック20に対するポケット12の半径方向位置を調整することができる。
【0176】
なお本実施の形態において、検出位置にあるポケット12Aと目視位置にあるポケット12Bとが円周方向に6ステップだけ離間する例を示したが、離間する範囲は1~10ステップの範囲であってもよい。すなわち離間する範囲は(360°/100)×1~10ステップの範囲、3.6°~36°の範囲であってもよい。
【符号の説明】
【0177】
1 回収装置
10 電子部品の搬送システム
10A 構造体
10a 傾斜面
11 インデックステーブル
11a 回動軸
12 ポケット
12A 検出位置にあるポケット
12B 目視位置にあるポケット
12a 側面
15 電子部品供給部
18 供給フィーダ
19 供給量検出センサ
20 ロードトラック
21 ロードトラック本体
21A ガラス窓
22 壁面
23 貯留セクション
23a 底面
25 電子部品検出部
26 位置検出センサ
27 ロードトラック駆動部
30 プローブ
30A 電子部品試験装置
30a 電気回路
31 プローブホルダ
32a,32b,32c,32d プローブホルダ本体
33a,33b シート材
35 プローブ用ヒータ
36 電極
36A 電極部
37 電極ホルダ
38 プローブ用ヒータ
40 制御部
50 電子部品排出部
51 排出経路
W 電子部品
G 段差
P 配置ピッチ
【要約】
【課題】ロードトラック内に貯留された電子部品をインデックステーブルのポケット内にスムーズに充填する。
【解決手段】インデックステーブル11上に位置検出センサ26が設けられ、ロードトラック20にロードトラック駆動部27が設けられている。制御部40は位置検出センサ26からの信号に基づいてロードトラック駆動部27を制御して、ロードトラック20を半径方向へ移動させ、ロードトラック20に対するポケット12の半径方向位置を調整する。
【選択図】図3
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13