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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】缶蓋及び缶蓋の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 17/50 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
B65D17/50
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2023526339
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2021079824
(87)【国際公開番号】W WO2022090310
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-05-31
(31)【優先権主張番号】102020128491.8
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520375192
【氏名又は名称】トップ キャップ ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピーチ グレゴール アントン
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03584191(EP,A1)
【文献】特開平06-190965(JP,A)
【文献】特開平09-108756(JP,A)
【文献】特表2020-512958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶蓋(11)であって、
金属の蓋面(13)を含み、前記金属の蓋面(13)には、前記金属の蓋面(13)の閉じた縁によって境界付けられかつ前記金属の蓋面(13)の閉鎖片(19)によって閉じられる開口が形成され、前記閉鎖片(19)は、前記蓋面(13)の縁(27)に少なくとも部分的に沿って延在するマイクロギャップ(21)によって周囲の蓋面(23)から分離されており、前記閉鎖片(19)の縁(25)と前記周囲の蓋面(23)の前記縁(27)とが前記マイクロギャップ(21)において互いに隣接しており、前記閉鎖片(19)は、前記開口によって規定される平面(37)の外に移動可能であって前記開口を解放し、
前記マイクロギャップ(21)を覆う態様で前記金属の蓋面(13)の平坦面(30)に設けられたプラスチック材料からなる層(33)をさらに含み、
前記閉鎖片(19)の前記縁(25)と前記周囲の蓋面(23)の前記縁(27)とは、前記開口によって規定される前記平面(37)に対して垂直な方向に互いにオフセットしていることを特徴とする缶蓋。
【請求項2】
前記缶蓋は、飲料缶用の缶蓋であることを特徴とする請求項1に記載の缶蓋。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の缶蓋であって、
前記閉鎖片(19)の前記縁(25)と前記周囲の蓋面(23)の前記縁(27)とのオフセットされた配置によって、角のある又はエッジのある断面を有する段差(51)が前記蓋面(13)に形成されていることを特徴とする缶蓋。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の缶蓋であって、
前記閉鎖片(19)の前記縁(25)と前記周囲の蓋面(23)の前記縁(27)とは、0.01mmから0.3mmの高さオフセットで互いにオフセットされていることを特徴とする缶蓋。
【請求項5】
請求項4に記載の缶蓋であって、
前記閉鎖片(19)の前記縁(25)と前記周囲の蓋面(23)の前記縁(27)とは、0.05mmから0.12mmの高さオフセットで互いにオフセットされていることを特徴とする缶蓋。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の缶蓋であって、
前記閉鎖片(19)の前記縁(25)と前記周囲の蓋面(23)の前記縁(27)とは、前記金属の蓋面(13)の厚さの10%以上90%以下に相当する高さオフセットで互いにオフセットされていることを特徴とする缶蓋。
【請求項7】
請求項6に記載の缶蓋であって、
前記閉鎖片(19)の前記縁(25)と前記周囲の蓋面(23)の前記縁(27)とは、前記金属の蓋面(13)の厚さの25%以上70%以下に相当する高さオフセットで互いにオフセットされていることを特徴とする缶蓋。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の缶蓋であって、
前記閉鎖片(19)の前記縁(25)は、前記周囲の蓋面(23)の前記縁(27)に対して、開口方向(50)にオフセットしていることを特徴とする缶蓋。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の缶蓋であって、
前記マイクロギャップ(21)は0.02mmの最大幅を有し、且つ/又は、前記閉鎖片(19)は、締め付けによって前記周囲の蓋面(23)に保持されることを特徴とする缶蓋。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の缶蓋であって、
前記層(33)は、前記金属の蓋面(13)の内部側に設けられていることを特徴とする缶蓋。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の缶蓋であって、
前記層(33)は、前記金属の蓋面(13)の前記平坦面(30)の全領域にわたって設けられていることを特徴とする缶蓋。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の缶蓋であって、
前記層(33)は、前記マイクロギャップ(21)から間隔を空けて配置された脆弱部(35)を有することを特徴とする缶蓋。
【請求項13】
前記脆弱部は、ノッチまたは少なくとも部分的に開口するノッチであることを特徴とする請求項12に記載の缶蓋。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の缶蓋であって、
前記閉鎖片(19)を持ち上げるか又は回動させて開くための把持、引っ張り及び/又はレバー要素(47)が、前記閉鎖片(19)に固定されていることを特徴とする缶蓋。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の缶蓋であって、
前記開口を囲むプラスチック材料からなる封止フレーム(39)が前記周囲の蓋面(23)に接続され、前記閉鎖片(19)を支持するプラスチック材料からなる閉鎖ユニット(40)が前記周囲の蓋面(23)に回動可能に取り付けられ、前記封止フレーム(39)と前記閉鎖ユニット(40)とが封止及びラッチリブ(43)及び関連する受容溝(45)を介して液密な態様で互いに解放可能に接続されていることを特徴とする缶蓋。
【請求項16】
缶蓋(11)の製造方法であって、
少なくとも部分的に面状の金属要素が準備され、
前記金属要素から閉鎖片(19)が打ち抜かれ、打ち抜き工程によって形成された開口に前記閉鎖片(19)が再び挿入され、
プラスチック材料からなる層(33)が前記金属要素の平坦面(30)に設けられて、打ち抜かれた前記閉鎖片(19)と前記開口との間の分離線が前記層(33)によって覆われ、
前記開口への前記閉鎖片(19)の挿入時又は挿入後に、前記開口によって規定される平面(37)に対して垂直な方向において、前記閉鎖片(19)の縁(25)と前記開口の隣接する縁(27)との間に、所定の高さオフセットが生成されることを特徴とする缶蓋の製造方法。
【請求項17】
前記缶蓋は、飲料缶用の缶蓋であることを特徴とする請求項16に記載の缶蓋の製造方法。
【請求項18】
前記缶蓋は、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の缶蓋であることを特徴とする請求項16又は17に記載の缶蓋の製造方法。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれか1項に記載の缶蓋の製造方法であって、
前記高さオフセットを発生させるために、前記閉鎖片(19)は、前記開口の中に不完全に戻されることを特徴とする缶蓋の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の缶蓋の製造方法であって、
前記高さオフセットは、不完全な戻りの後に、較正ユニットにおいて設定され且つ/又は固定されることを特徴とする缶蓋の製造方法。
【請求項21】
請求項16乃至20のいずれか1項に記載の缶蓋の製造方法であって、
前記金属要素の前記平坦面(30)への前記層(33)の取り付けは、前記高さオフセットの生成の後に、前記高さオフセットを維持しながら実行されることを特徴とする缶蓋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶蓋に関し、特に飲料缶用の缶蓋に関する。当該缶蓋は、金属の蓋面を含み、当該金属の蓋面には、蓋面の閉じた縁(margin)によって境界付けられ(bounded)、金属の蓋面の閉鎖片によって閉じられる開口が形成されている。当該閉鎖片は、少なくとも部分的に蓋面の縁に沿って延びるマイクロギャップ(microgap)によって周囲の蓋面から分離されており、閉鎖片の縁と周囲の蓋面の縁とがマイクロギャップにおいて互いに隣接している。閉鎖片は、開口によって規定される平面の外に移動可能であり、当該開口を開放する。また、前記缶蓋は、マイクロギャップを覆う態様で金属の蓋面の平坦面に設けられたプラスチック材料からなる層をさらに含む。
【背景技術】
【0002】
この種の缶蓋は、飲料缶や食品缶などの製造に大規模に利用されている。それらは製造するのに単純かつ低コストであり、同じような缶を省スペースで積み重ねることを可能とし、手動で閉鎖片を動かすことによって、簡単に開けることができ、必要であれば再び閉じることができる。マイクロギャップによって、缶を開ける際に、健康に有害な金属粒子の缶の内部への侵入が起こらない。閉鎖片と周囲の蓋面との間の連続した金属の接続が無いにもかかわらず、缶蓋の非漏出性(leak-tightness)がマイクロギャップを覆う層によって確保される。
【0003】
閉鎖片が開口によって規定された平面の外に移動する際に、プラスチック材料からなる層がマイクロギャップの領域で裂け、その後開口は解放される。プラスチック材料の調達によっては、層の伸長及び当該層の不定な分離、例えば、フリンジ(fringing)が開口プロセス中に発生し得る。これは、特に、缶を開けるために必要な力が増大し、ある状況下では缶の内容物が開口を通って出ることが妨げられるので、好ましくない。さらに、開口の視覚的な外観が悪影響を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記したような缶蓋のより容易かつより確実な開封、特に層の改善された分離を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する缶蓋によって満たされる。
【0006】
本発明の缶蓋は、閉鎖片の縁と周囲の蓋面の縁とが開口によって規定された平面に対して横方向に互いにオフセットしていることを提供する。
【0007】
当該オフセットの故に、隣り合う縁の一方は、他方に対して突出しており、開封プロセスの結果として縁同士が離れる際に、層を通って移動して層の確実かつ明確な分離をもたらす刃先(切断端)(cutting edge)を形成する。従って、層は引き裂かれるよりもむしろ剪断される。よって、本発明による缶蓋においては、缶の開封の際に層が引き伸ばされて最終的には不定形に(不定な態様で)(undefined manner)裂ける、という好ましくない事態は生じない。
【0008】
プラスチック材料からなる層は、例えば接着によって金属の蓋面に接続された薄い膜(フィルム)又はフィルム状の層である。プラスチック材料からなるフィルムは、特に、ラミネート加工によって金属の蓋面に接続され得る。当該層は、金属の蓋面上にラミネートされたフィルムであってもよい。当該層は、一般的に、液体のプラスチック材料の塗布及びその後の硬化によって製造することも可能である。
【0009】
マイクロギャップは、打ち抜きギャップ(punched gap)であってもよく、隣接する縁は、局所的に互いに接触し得る。開口によって規定される平面は、蓋面又は閉鎖片の表面に一致し得る。
【0010】
閉鎖片の縁と周囲の蓋面の縁とのオフセットされた配置によって、角のある又はエッジのある(edged)断面を有する段差が蓋面に形成され得る。そのような段差は、非常に顕著なノッチ効果(notch effect)を発現し、プラスチックコーティングを切り開くことを補助する。
【0011】
閉鎖片の縁と周囲の蓋面の縁とが、0.01mmから0.3mm、好ましくは0.05mmから0.12mmの高さオフセットによって互いにオフセットされていることが規定され得る。
【0012】
閉鎖片の縁と周囲の蓋面の縁とは、金属の蓋面の厚さの10%以上90%以下、好ましくは25%以上70%以下に相当する高さオフセットによって互いにオフセットされてもよい。このような高さオフセットにより、一方では、明確な刃先(切断端)が形成され、他方では、蓋面の共通の厚さにより、缶の閉鎖状態において、縁同士の十分な重なりが確保される。
【0013】
閉鎖片の縁は、好ましくは、周囲の蓋面の縁に対して開口方向にオフセットされている。それによって、缶の開口時に切断効果が直ちに開始され、切断効果のない一定の距離が、例えば、最初にカバーされる必要がないことが保証される。蓋面の開口方向に対して後方(裏側)(rear)の平坦面に層が設けられている場合、後方(裏側)に突出する周囲の蓋面の縁が刃先(切断端)として機能する。これに対して、蓋面の開口方向に対して前側(表側)(front)の平坦面に層が設けられている場合、前側(表側)に突出する閉鎖片の縁が切断端として機能する。
【0014】
本発明の実施形態は、マイクロギャップが0.02mmの最大幅を有すること、及び/又は切断片が締め付け(clamping)によって周囲の蓋面に保持されることを提供する。これは、実際に非常に有利であることが証明されている。
【0015】
層は、好ましくは金属の蓋面の内部側(inner side)に設けられる。従って層は好ましくは蓋の缶の内部に面する側に配置される。これは概して、金属の蓋面の下側である。
【0016】
層は、金属の蓋面の平坦面に対して全領域にわたって設けることができる。これは、技術的な生産の観点から有利であり、特に高い密封効果を保証する。層は、フィルムとして設計することができ、且つ/又は、金属の蓋面にしっかりと付着する方法で、例えばシールして設けることができる。プラスチック材料は、食品に使用するのに適したポリプロピレンとすることができる。
【0017】
本発明のさらなる実施形態によれば、層は、マイクロギャップから間隔を空けて配置される脆弱部(weakening)、特にノッチまたは少なくとも部分的に開口したノッチを有する。脆弱部は、缶を開けるために必要な力を減少させる。脆弱部とマイクロギャップとの間の間隔により、脆弱部が部分的又は完全な開口ノッチとして設計されている場合であっても、高度の非漏出性が確保される。特に、部分的又は完全な開口ノッチの場合、金属とプラスチックの複合材料が重大な欠陥のない特に高い品質を有していると有利である。
【0018】
閉鎖片を持ち上げるか又は回動して開くための把持、引っ張り及び/又はレバー要素が閉鎖片に固定されていることが好ましい。ユーザは、把持、引っ張り及び/又はレバー要素を作動させて、閉鎖片を押し込み、持ち上げ、又は回動させて開くことができる。特に、プラスチック材料からなるツーアームレバー要素が備えられて金属の蓋面に固く接続され得る。当該把持、引っ張り及び/又はレバー要素は、好ましくは、リングタブのような環状のグリップ部を有する。リングタブは、簡単に握ることができ、快適に行うことができる引っ張り動作によってそれぞれの缶の開口を可能にするので、実際の取り扱いにおいて特に有利である。
【0019】
本発明の特定の実施形態は、開口部を囲みプラスチック材料からなる封止フレーム(seal frame)が周囲の蓋面に接続され、閉鎖片を支持するプラスチック材料からなる閉鎖ユニットが周囲の蓋面に回動可能に取り付けられ、封止フレームと閉鎖ユニットとが、封止及びラッチリブと関連する受容溝とを介して互いに解放可能に液密に接続されていることを提供する。このような缶蓋は、再閉鎖可能な開口部を有する。封止リブ及びラッチリブ並びに受容溝は、好ましくは、スナップイン接続による完全な再閉鎖が感じられ、必要に応じて音響的に知覚されるように設計されている。
【0020】
本発明はまた、缶蓋、特に飲料缶用の缶蓋、好ましくは上述のような缶蓋の製造方法に関し、当該製造方法において、少なくとも部分的に面状の金属要素が準備され、金属要素から閉鎖片が打ち抜かれ、打ち抜き工程によって形成された開口に当該閉鎖片が再び挿入され、プラスチック材料からなる層が、打ち抜かれた閉鎖片と開口との間の分離線が層によって覆われるように金属要素の平坦面に設けられる。
【0021】
本発明によれば、閉鎖片の開口への挿入の際又はその後、閉鎖片の縁と、隣接する開口の縁との間に、開口によって規定される平面に対して横方向に対向する(facing transversely)方向において、所定の高さオフセットが生じる。
【0022】
当該高さオフセットによって、隣接する縁の1つは、缶の開口の際に層を通り抜け、ノッチ効果によって層の確実且つ規定された分離を保証する切断端を形成する。
【0023】
缶蓋の従来の製造方法において、閉鎖片が最初に金属要素から打ち抜かれるので、打ち抜き中に隣接する縁の変位が同様に生じる。しかしながら、これは打ち抜き工程に起因して必然的に生じる一時的な遷移状態である。これに対して、本発明は、缶の最初の開口までの恒久的な高さオフセットを生成するために、隣接する縁の目標を定めた位置決めを行うことを提供する。
【0024】
高さオフセットを生成するため、閉鎖片は、好ましくは不完全に開口内に戻される。これは技術的なプロセスの観点から有利である。
【0025】
本発明の実施形態によれば、高さオフセットは、不完全な戻りの後、較正ユニット内で設定され且つ/又は固定される。適切な較正によって、それぞれの縁は高精度で互いに相対的に位置決めされ得る。
【0026】
金属要素の平坦面への層の取り付け(application)は、高さオフセットを生成した後に、当該高さオフセットを維持しながら行われることが好ましい。従って、高さオフセットを生成するために使用される装置による層の損傷が排除される。
【0027】
本発明のさらなる発展は、従属項、以下の明細書及び添付図面から把握され得る。
【0028】
本発明は、図面を参照しながら、例として以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、飲料缶用の本発明による缶蓋の平面図である。
図2図2は、図1に示す缶蓋のA-A線に沿った断面図である。
図3図3は、図2中の細部Bを拡大して示す図である。
図4図4は、図1に示す缶蓋の部分拡大断面図であり、閉鎖片の外縁と、周囲の蓋面の内縁との間の高さオフセットを示す図である。
図5図5は、図4に示す高さオフセットの設定及び/又は固定のための器具の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1及び図2は、特に飲料缶向けの缶蓋1を示し、その金属の蓋面13には、再閉鎖可能な開口システム15が組み込まれている。缶蓋11は、ビードリム(beaded rim)12を介して、図示しない関連する容器に接続され得る。この目的のため、金属の蓋面13には開口が設けられ、当該開口は、図1及び図2に示す缶蓋11の納入状態において閉鎖片19の形式で、金属の蓋面13の部分によって閉じられる。
【0031】
図3及び図4から認識され得るように、閉鎖片19は、マイクロギャップ21によって周囲の蓋面23から分離されている。マイクロギャップ21の領域において、閉鎖片19の外縁25と、周囲の蓋面23の内縁27とが互いに隣接している。
【0032】
金属の蓋面13は、好ましくは、アルミニウム又はスズの平板からなるシート金属層によって形成されている。当該金属の蓋面13は、外側平坦面29と内側平坦面30とを有し、プラスチック材料からなる層33が、内側平坦面30に、マイクロギャップ21を覆うように設けられている。図では見えないが、接着コーティング層が、層33の金属の蓋面13への固定された接続のために設けられてもよい。図示する実施例において、層33は、金属の蓋面13の内側平坦面30の全ての領域に亘って設けられている。特定の用途において、層33は、マイクロギャップ21の環境のみに設けられれば十分な場合もある。層33は、例えばポリプロピレンからなるプラスチックフィルムであってもよい。図4に示すように、層33にはノッチ35が形成されていてもよく、当該ノッチ35は、マイクロギャップ21に沿って、当該マイクロギャップから所定の間隔を空けて延在する。
【0033】
缶蓋11は、開口によって規定される平面37の外に閉鎖片19を移動させることによって開封され得る(図2)。マイクロギャップ21の領域において、閉鎖片19と周囲の蓋面23との間に結合された接続がないため、本発明による缶蓋11が備えられた缶の最初の開口の際に、いかなる種類の金属の分離も行われる必要が無く、それによって、さもなければ避けられない金属微粒子の生成が排除される。開口プロセスにおける微粒子、特にアルミニウムからなる微粒子の生成の回避は、そのような微粒子は各々の缶に収容されている製品に入ることも避けられず、それによって人間の体にも入るので、健康の観点から重要である。
【0034】
層33は、マイクロギャップ21を確実に密封する。均一な深さを有するか、又は、適用可能な場合、局所的に異なる深さを有することもできるノッチ35は、缶蓋11を開くために比較的小さな力しか必要としないことを保証する。好ましくは約0.2~0.5ミリメートルに及ぶマイクロギャップ21とノッチ35との間の間隔は、密封効果を向上させる。
【0035】
再閉鎖可能な開口システム15(図1~3)は、プラスチック材料からなる封止フレーム39を備え、当該封止フレーム39は、開口を囲みかつ周囲の蓋面23に固定されて接続されている。閉鎖片19を支持するプラスチック材料からなる閉鎖ユニット40がさらに設けられ、周囲の蓋面23に回動可能に取り付けられている。封止フレーム39と閉鎖ユニット40との間の解放可能な液密接続は、封止及びラッチリブ43と関連する受容溝45とによって形成されるラッチデバイス41(図3)によって可能にされる。したがって、缶蓋11は、再閉鎖可能である。
【0036】
ここでは環状であり、好ましくは同様にプラスチックからなる引き裂き開口部材47が、閉鎖ユニット40に接続されるか又は直接成形され、その結果閉鎖片19に固定されている。引き裂き開口部材47を引っ張ることにより、ユーザは、開口部によって規定された平面37の外へ、閉鎖片19を上方に回動させることができ、それによって、層33を分離しつつ開口を解放することができる。成形された回動軸受48(図1)は、直径方向において閉鎖ユニット40の反対側に配置された態様で、閉鎖ユニット40に形成され、周囲の蓋面23に固定的に接続されている。
【0037】
図3及び図4から分かるように、缶蓋11の納入状態において、閉鎖片19の外縁25と周囲の蓋面23の内縁27とは、開口によって規定される平面37に対して横方向に互いからオフセットされている。対応する高さのオフセットは、0.01mmから1mm、及び/又は金属の蓋面13の厚さの少なくとも10%、多くとも90%に相当し得る。図示の変形例では、閉鎖片19の外縁25は、開口方向50に、すなわち図3及び図4において上方にオフセットされている。当該オフセットにより、金属の蓋面13の内側平坦面30において、層33のプラスチック材料内に段差51又はエッジ(edge)が形成されている。
【0038】
缶の最初の開口の際に、ユーザは引き裂き開口部材47を引っ張り、それによって閉鎖ユニット40を閉鎖片19と共に上方に回動させる。この点で、閉鎖ユニット40と封止フレーム39との間のラッチ接続が解除される。また、段差51は、層33を切り開き、正確にマイクロギャップ21に沿って層33を分離する。生じた開口によって、缶の内容物が取り出され得る。閉鎖片19を有する閉鎖ユニット40が回動されて再び戻されると、閉鎖ユニット40と封止フレーム39との間のラッチ接続が再び確立され、層33が分離しているにもかかわらず開口が再び堅く封止される。開口と閉鎖は、所望に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0039】
オフセットされた縁25,27の効果は、ラッチデバイス41の存在及び開口方向50とは無関係である。従って、上述の高さオフセットは、封止フレーム及び閉鎖ユニットなしで再び閉鎖することができない缶蓋、すなわち標準的な缶蓋、並びに内側に回動されるべき閉鎖片19を有する缶蓋に対しても有利である。
【0040】
本発明に従って缶蓋11を製造するには、面状の金属要素、例えばアルミニウムまたはブリキからなるシート金属層が準備され、エンボス加工装置に供給され、ビードリム12又はその一部及び溝、補強ビード等が面状の金属要素に成形される。型押しされた金属要素は、打ち抜き(punching)装置に供給され、閉鎖片19が金属要素から打ち抜かれ、打ち抜き工程によって形成された開口部に再び挿入される。具体的には、打ち抜き型の戻りストロークの過程で、打ち抜かれた閉鎖片19は、直ちにバネ力によって再びシート金属層に直接押し込まれ、そこに圧力嵌めの態様で保持される。開口部によって規定される平面に対して横方向に向く方向において、閉鎖片19の縁と隣接する開口部の縁との間に所定の高さのオフセットを生成するために、閉鎖片19は、しかしながら、この点では開口部内に不完全に戻される。
【0041】
その後、金属要素は較正装置に送られ、不完全な戻りの後に当該較正装置において高さオフセットが設定され且つ/又は固定される。その後、内側平坦面30に層33が設けられ、層の取り付けは、高さオフセットが維持されるように実行される。エンボス加工装置、打ち抜き装置、及び較正装置は、必要に応じて、さらなる加工装置とともに順送金型に統合することができる。
【0042】
図5は、高さオフセットを設定するのに適した較正装置の工具55を示す。この点で、パンチ57とダイ59の配置は、所定の高さ差60を定義する。
【符号の説明】
【0043】
11 缶蓋
12 ビードリム
15 再閉鎖可能な開口システム
19 閉鎖片
21 マイクロギャップ
23 周囲の蓋面
25 外縁
27 内縁
29 外側平坦面
30 内側平坦面
33 層
35 ノッチ
37 平面
39 封止フレーム
40 閉鎖ユニット
41 ラッチデバイス
43 封止及びラッチリブ
45 受容溝
47 引き裂き開口部材
48 回動軸受
50 開口方向
51 段差
55 工具
57 パンチ
59 ダイ
60 高さの差

図1
図2
図3
図4
図5