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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】養殖用網
(51)【国際特許分類】
   A01G 33/02 20060101AFI20241028BHJP
   A01M 29/30 20110101ALI20241028BHJP
【FI】
A01G33/02 102
A01M29/30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024039082
(22)【出願日】2024-03-13
【審査請求日】2024-03-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591018877
【氏名又は名称】日東製網株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】細江 裕俊
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐介
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-077206(JP,A)
【文献】特開2018-186809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 33/02
A01M 29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面またはその近傍に配置されて被養殖物を付着させる部材と、
前記水面に対して略平行に配置される底面網部、および、前記底面網部の網面に対して略垂直に配置される複数の側面網部を有し、上方が開口している箱型に形成された食害防止網と、
前記被養殖物を付着させる部材および前記食害防止網を設置する枠体と、
を備え、
前記食害防止網は、
前記枠体に設置された前記被養殖物を付着させる部材の下方に前記底面網部が配置され、前記複数の側面網部が前記被養殖物を付着させる部材を囲むように前記枠体に設置され、
前記底面網部の網面および前記複数の側面網部の網面に張りが生じるように、前記底面網部および前記複数の側面網部の所定の位置に錘部材を固定させた、
ことを特徴とする養殖用網。
【請求項2】
前記枠体は、
第1枠辺、前記第1枠辺に対向配置される第2枠辺、第3枠辺、および、前記第3枠辺に対向配置される第4枠辺を有して上方から見たとき四辺形に形成され、
前記第1枠辺に沿って、該第1枠辺の近傍に設置された第1ガイドロープと、
前記第2枠辺に沿って、該第2枠辺の近傍に設置された第2ガイドロープと、
を備え、
前記食害防止網は、
前記複数の側面網部のうち、対向配置される第1側面網部および第2側面網部に、それぞれ複数の支持リングが任意の間隔をあけて固定され、
前記第1側面網部に固定された前記複数の支持リングに前記第1ガイドロープが挿通され、
前記第2側面網部に固定された前記複数の支持リングに前記第2ガイドロープが挿通され、
前記複数の支持リングを移動させる移動部材が操作されたとき、前記第1ガイドロープおよび前記第2ガイドロープに沿って、前記第3枠辺側へ、または、前記第4枠辺側へ移動し、前記被養殖物を付着させる部材の周囲を開放する、または、覆うように前記枠体に設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の養殖用網。
【請求項3】
前記底面網部は、前記被養殖物以外の藻類又は貝類の付着を防ぐナイロンモノフィラメント糸を用いて、目合が50~400mmになるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の養殖用網。
【請求項4】
前記複数の側面網部は、目合が50~400mmである、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の養殖用網。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔などの藻類や貝類などの養殖に用いる養殖用網に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、海苔の養殖を行う場合、海洋から採取した海苔の胞子を糸状体に成長させ、さらに糸状体を育成させた殻胞子を海苔網の網目部分に付着させる。その後、殻胞子を付着させた海苔網を水中に固定し、一定期間が経過した後、海苔網を水中から引き揚げて、成長した海苔を摘採している。
海苔を成長させる期間は、海苔網を水中に固定したままであるため、海苔網に付着している海苔が魚類に食べられてしまう食害が発生する。このような食害は、海苔のような藻類の養殖やカキのような貝類の養殖において発生する。
【0003】
食害を防ぐ、もしくは抑制するため、例えば、養殖藻類を付着させた藻類保持部材を水面またはその近傍に配置し、水中に食害防止網を配置して、魚類等が藻類保持部材に近付くことを防ぐ技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
また、海上に筏を浮かべてカキの養殖を行うとき、レコーダが発生した所定周波数の音を水中スピーカから出力し、筏を設置した養殖場に魚類が近付くことを抑制する装置も開示されている(例えば、特許文献2)。
さらに、海苔網の位置に浮かべたブイに水中スピーカを設置し、イルカの音声、サイレンの音、物を激しく叩く音などを海中に伝達させることによって、食害を防ぐ装置が開示されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-186809号公報
【文献】特開2004-357545号公報
【文献】特開2002-247926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
養殖保持部材の下方に食害防止網を配置する場合、食害防止網を水よりも比重の重い素材で形成し、水面に配置されている藻類保持部材から離間して配置する。また、食害防止網に錘、沈子コード等を連結させ、食害防止網が藻類保持部材に接近しないようにすることも考えられている。
この食害防止網は、網端部を、藻類保持部材を支持している縄、浮力体、アンカーロープに固定し、網中央部分を水底に向けて垂らした吊り下げ状態(風呂敷型)となって水中に配置されている。そして、この食害防止網は、中央部分の形状を維持する部材等がなく、この部分に十分な張力等が作用していないため、水中で変形し易い。そのため、例えば、強い波風や潮流等によって、食害防止網が不意に変形し、海苔等の被養殖物に接触して損傷が生じることがある。
【0006】
また、水中に所定の音を出力する装置は、同様な音の出力を繰り返すことから、危険を示す音か否かを魚類が学習し、ある程度の時間が経過すると養殖用の筏や海苔網等に近付くようになり、食害を防ぐ効果が薄れることがある。
【0007】
そこで、本発明は、魚類等による被養殖物の食害を防ぐとともに、被養殖物と接触することを防ぐ養殖用網を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る養殖用網は、水面またはその近傍に配置されて被養殖物を付着させる部材と、前記水面に対して略平行に配置される底面網部、および、前記底面網部の網面に対して略垂直に配置される複数の側面網部を有し、上方が開口している箱型に形成された食害防止網と、前記被養殖物を付着させる部材および前記食害防止網を設置する枠体と、を備え、前記食害防止網は、前記枠体に設置された前記被養殖物を付着させる部材の下方に前記底面網部が配置され、前記複数の側面網部が前記被養殖物を付着させる部材を囲むように前記枠体に設置されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る養殖用網は、前記底面網部の網面および前記複数の側面網部の網面に張りが生じるように、前記底面網部および前記複数の側面網部の所定の位置に錘部材を固定させたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る養殖用網は、前記枠体が、第1枠辺、前記第1枠辺に対向配置される第2枠辺、第3枠辺、および、前記第3枠辺に対向配置される第4枠辺を有して上方から見たとき四辺形に形成され、前記第1枠辺に沿って、該第1枠辺の近傍に設置された第1ガイドロープと、前記第2枠辺に沿って、該第2枠辺の近傍に設置された第2ガイドロープと、を備え、前記食害防止網は、前記複数の側面網部のうち、対向配置される第1側面網部および第2側面網部に、それぞれ複数の支持リングが任意の間隔をあけて固定され、前記第1側面網部に固定された前記複数の支持リングに前記第1ガイドロープが挿通され、前記第2側面網部に固定された前記複数の支持リングに前記第2ガイドロープが挿通され、前記複数の支持リングを移動させる移動部材が操作されたとき、前記第1ガイドロープおよび前記第2ガイドロープに沿って、前記第3枠辺側へ、または、前記第4枠辺側へ移動し、前記被養殖物を付着させる部材の周囲を開放する、または、覆うように前記枠体に設置されることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る養殖用網は、前記底面網部が、前記被養殖物以外の藻類又は貝類の付着を防ぐナイロンモノフィラメント糸を用いて、目合が50~400mmになるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る養殖用網は、前記複数の側面網部の目合が50~400mmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る養殖用網は、被養殖物を囲む食害防止網が、上方を開口させた箱型に形成されているため、被養殖物に魚類等が近付いて食害が生じることを防ぐとともに、食害防止網が不意に被養殖物と接触することを防ぎ、被養殖物の損傷を抑制して収穫量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一実施形態に係る養殖用網の概観を示す説明図である。
図2図1の養殖用網を側方から見た場合の構成を示す説明図である。
図3】第一実施形態に係る養殖用網の他の構成例を示す説明図である。
図4図1の養殖用網に備えられた食害防止網の展開図である。
図5図1の養殖用網に備えられた沈子コードの配置を示すための説明図である。
図6図1の養殖用網に備えられた食害防止網の囲みを開くための動作を示す説明図である。
図7】本発明の第二実施形態に係る養殖用網に備えられた食害防止網の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1から図7を参照し、本発明に係る養殖用網の実施形態を説明する。
【0016】
[第一実施形態]
図1は、本実施形態による養殖用網1の概観を示す説明図である。図1は、例えば海苔を養殖する養殖用網1を水中に配置し、これを上方から見た場合の構成を示している。また、図2は、図1の養殖用網1を側方から見た場合の構成を示す説明図である。
【0017】
養殖用網1は、水面に配置される枠体2、枠体2に支持固定される海苔網8(被養殖物を付着させる部材)、枠体2に固定され、海苔網8を囲むように配置される食害防止網10を備えている。
枠体2は、例えば、適当な太さのロープ、長板、棒状の部材等を用いて、上方から見たとき四辺形となるように形成されている。
四辺形の枠体2は、例えば、長手の辺となる枠辺2aと枠辺2bとを対向配置し、短手の辺となる枠辺2cと枠辺2dとを対向配置して、上方から見たとき長方形となるように構成されている。
また、枠体2は、各枠辺の適当な位置において、例えば、枠辺同士が接続される角部分(4隅)等において、海底に固定されたアンカーに接続されている(複数の)フロート、下端を海底に固定した(複数の)支柱等に接続固定され、水流(潮流)等によって流されないように、所定の設置位置に固定されている。
【0018】
食害防止網10は、水中に配置されたとき、水面等に対して平行に配置される長方形状の底面網部11、底面網部11の網面に対して垂直に配置される(例えば接合される)2つの側面網部12a,12b、および、2つの側面網部13a,13bを備え、直方体状の箱型となるように構成されている。なお、側面網部12a,12bは、例えば、それぞれの網面が平行となるように対向配置され、側面網部13a,13bは、例えば、それぞれの網面が平行となるように対向配置されている。
側面網部12a,12bは、底面網部11の各長辺部分から略垂直に配置され、食害防止網10の長手側面部分を構成する。また、側面網部13a,13bは、底面網部11の各短辺部分から略垂直に配置され、食害防止網10の短手側面部分を構成する。なお、底面網部11は、長方形に限定されず、例えば、正方形等の形状でもよい。
【0019】
底面網部11は、食害防止網10の底面部分を構成し、食害防止網10が水中に設置されたとき水底側に配置され、海苔の殻胞子等を付着させた海苔網8よりも下方に配置される。
食害防止網10は、上方が開口した箱型に形成されており、この箱型の内部に海苔網8の殻胞子等を付着させた部分が配置されるように枠体2に固定されている。
具体的には、食害防止網10は、側面網部12aが枠辺2aの近傍に配置され、側面網部12bが枠辺2bの近傍に配置され、側面網部13aが枠辺2cの近傍に配置され、側面網部13bが枠辺2dの近傍に配置されるように、複数の食害防止網固定ロープ3を用いて、枠体2に締結固定されている。
【0020】
養殖用網1は、例えば、側面網部13aの上側縁辺部分に沿わせて第1の食害防止網固定ロープ3が接合固定され、側面網部13bの上側縁辺部分に沿わせて第2の食害防止網固定ロープ3が接合固定されている。
第1の食害防止網固定ロープ3は、側面網部13aの上側縁辺部分となるように固定されている。
第1の食害防止網固定ロープ3の一端は、例えば、側面網部13aおよび側面網部12aによって形成される角隅部から突出し、枠辺2cの第1端部側(枠辺2a側の位置)に締結固定される。
第1の食害防止網固定ロープ3の他端は、例えば、側面網部13aおよび側面網部12bによって形成される角隅部から突出し、枠辺2cの第2端部側(枠辺2b側の位置)に締結固定されている。
【0021】
なお、側面網部13aの上側縁辺部分に沿わせて接合する第1の食害防止網固定ロープ3を設けず、側面網部13aの、枠辺2a側の部分と枠辺2cとを接続する食害防止網固定ロープ3、および、側面網部13aの、枠辺2b側の部分と枠辺2cとを接続する食害防止網固定ロープ3を設け、これらの食害防止網固定ロープ3を用いて、枠辺2cに食害防止網10を固定してもよい。
【0022】
第2の食害防止網固定ロープ3は、側面網部13bの上側縁辺部分となるように固定されている。
第2の食害防止網固定ロープ3の一端は、例えば、側面網部13bおよび側面網部12aによって形成される角隅部から突出し、枠辺2dの第1端部側(枠辺2a側の位置)に締結固定されている。
第2の食害防止網固定ロープ3の他端は、例えば、側面網部13bおよび側面網部12bによって形成される角隅部から突出し、枠辺2dの第2端部側(枠辺2b側の位置)に締結固定されている。
【0023】
なお、側面網部13bの上側縁辺部分に沿わせて接合する第2の食害防止網固定ロープ3を設けず、側面網部13bの、枠辺2a側の部分と枠辺2dとを接続する食害防止網固定ロープ3、および、側面網部13bの、枠辺2b側の部分と枠辺2dとを接続する食害防止網固定ロープ3を設け、これらの食害防止網固定ロープ3を用いて、枠辺2dに食害防止網10を固定してもよい。
【0024】
また、養殖用網1は、例えば、側面網部13aの上側縁辺中央(またはその近傍)と枠辺2cの長手中央(またはその近傍)とを、第3の食害防止網固定ロープ3を用いて接続し、側面網部13aを枠辺2cに固定している。
また、養殖用網1は、例えば、側面網部13bの上側縁辺中央(またはその近傍)と枠辺2dの長手中央(またはその近傍)とを、第4の食害防止網固定ロープ3を用いて接続し、側面網部13bを枠辺2dに固定している。
【0025】
上記の各食害防止網固定ロープ3は、養殖用網1を水中に設置したとき、海苔網8が食害防止網10の箱型内部に配置される長さ(底面網部11が海苔網8よりも下方に配置される長さ)を有している。
なお、各食害防止網固定ロープ3は、例えば、海苔網8を構成するロープ(枠体2に締結するロープ)と同様なものである。
食害防止網10は、上記のように各食害防止網固定ロープ3によって枠体2に固定されることにより、上端の縁辺部分が水面もしくは水面の近傍に配置される。
【0026】
海苔網8は、1対(例えば2本)のロープの間に、海苔の殻胞子等を付着させる網部分を備えている。
海苔網8は、例えば、上記ロープの長手方向の一端を枠辺2aに締結固定し、長手方向の他端を枠辺2bに締結固定することができる長さを有し、上記一端ならびに他端から適当に離れた位置に上記網部分を備えている。
【0027】
図1等の養殖用網1は、例えば、図示を省略したものを含めて10枚の海苔網8を備えているが、養殖用網1に備える海苔網8の数量は10枚に限定されない。養殖用網1は、枠体2に固定された食害防止網10の箱型内部に、適当な間隔を空けて配置することができる(囲むことができる)数量の海苔網8を備えることが可能である。
なお、海苔網8は、養殖用網1を水中に設置したとき、当該海苔網8の網部分が、潮流や波の影響によって食害防止網10の側面網部12a,12b,13a,13bと接触することが抑制される(好ましくは接触することがない)ように、側面網部12a,12b,13a,13bから離して設置固定され、また、海苔網8同士が接触することが抑制される(好ましくは接触することがない)ように、各海苔網8の間を離して設置固定される。
また、海苔網8は、食害防止網10の底面網部11と接触することが抑制される(好ましくは接触することがない)深さに配置されるように、枠辺2aならびに枠辺2bに締結固定される。
なお、海苔網8は、枠辺2c,2dに締結固定されて、図1において横方向に延して設置することも可能である。
【0028】
図3は、第一実施形態に係る養殖用網1の他の構成例を示す説明図である。例えば、広い範囲の海面を囲むように大型の枠体2を備えて養殖用網1を構成する場合、あるいは、短い海苔網8を用いる場合には、図3に示したように、2枚の海苔網8を繋いで枠辺2aと枠辺2bとの間に設置してもよい。
詳しくは、例えば、第1の海苔網8のロープの一端を枠辺2aに締結固定する。また、第1の海苔網8のロープの他端を第2の海苔網8のロープの一端に締結する。また、第2の海苔網8のロープの他端を枠辺2bに締結固定する。
即ち、第1の海苔網8と第2の海苔網8とを長手方向において接続して、枠辺2aと枠辺2bとの間を繋ぐように固定する。上記の第1の海苔網8および第2の海苔網8と同様に接続された各海苔網8を、枠辺2a,2bに沿って複数(例えば10列、計20枚)設置してもよい。
【0029】
図4は、図1の養殖用網1に備えられた食害防止網10の展開図である。
養殖用網1の食害防止網10は、例えば、長手方向の長さが50m、短手方向(幅方向)の長さが35m、垂直方向の長さ(深さ)が1.5mに設計される。
側面網部12a,12bは、それぞれ長さ50m、幅1.5mを有し、例えば、太さが直径3mm程度、目合が1尺(303mm)の網材を用いて、50mの長さにおいて230.5目となるように構成されている。
一方、側面網部13a,13bは、それぞれ長さ35m、幅1.5mを有し、側面網部12a,12bと同様な太さおよび目合の網材を用いて、35mの長さにおいて160.5目となるように構成されている。
【0030】
また、底面網部11は、例えば、長さ50m、幅1.5mを有し、側面網部12a,12bや側面網部13a,13bと同様な糸の太さ、および、網目の目合を有する網材を用いて、50mの長さにおいて230.5目となるように構成されている。
底面網部11は、例えば、4つの網部20,21,22,23を、長手方向及び短手方向(幅方向)に隙間なく複数配置し、接合されることで構成されている。
網部20から23は、例えば、ポリエチレン繊維を束ねて直径1mm程度に編んだ糸を使用した蛙又網を用いることが可能である。
【0031】
網部20から23は、目合が、例えば、5寸(151.5mm)であり、長さ50mにおいて、482目を有するように構成されている。
網部20から23は、好ましくは、例えば、十分な強度を有するとともに、養殖期間中に潮流によって運ばれてくる、被養殖物以外の藻類や貝類の付着を防ぐように、太さ16~20号(直径0.66mm~0.74mm)のナイロンモノフィラメント糸を用いて構成するとよい。また、網部20から23は、好ましくは、潮流に流されることを防ぎ、また、食害を発生させる魚類が通過することを防ぐように、目合が6寸~7.5寸(182mm~227mm)の網材を用いて構成するとよい。
養殖用網1に備える食害防止網10は、底面網部11、側面網部12a,12b、側面網部13a,13bに関して、例えば、ナイロンモノフィラメント糸を用いて、網面の目合が50~400mmになるように構成することが好ましい。
なお、食害防止網10は、ナイロンモノフィラメント糸を用いたものに限定されず、特に、側面網部12a,12b、側面網部13a,13bについては、例えば、ナイロンフィラメント糸を用いた網材、複数種類の糸が混在する網材を用いてもよい。
【0032】
側面網部12a,12b、側面網部13a,13b及び網部20から23は、いずれも縁辺部分に、網目を形成する糸よりも太い強固なロープ等が配置され、網目部分を支持している。
各網部20から23は、各網目部分を支持するロープ等同士を接合することによって底面網部11を形成している。
また、食害防止網10は、上記の底面網部11、側面網部12a,12b、側面網部13a,13bの各縁辺部分のロープ等同士を接合することによって箱型を形成している。なお、前述の各食害防止網固定ロープ3は、各網部の縁辺部分のロープ等に接合されている。
【0033】
養殖用網1は、例えば、枠辺2aの近傍に、当該枠辺2aに沿って延設されたガイドロープ4aと、枠辺2bの近傍に、当該枠辺2bに沿って延設されたガイドロープ4bとを備えている。
ガイドロープ4aおよびガイドロープ4bは、それぞれ枠辺2cと枠辺2dとの間を繋ぐように設けられている。
ガイドロープ4aの一端は、枠辺2cと枠辺2aとが接合される部分、もしくはその近傍に固定されている。また、ガイドロープ4aの他端は、枠辺2dと枠辺2aとが接合される部分、もしくはその近傍に固定されている。
ガイドロープ4bの一端は、枠辺2cと枠辺2bとが接合される部分、もしくはその近傍に固定されている。また、ガイドロープ4bの他端は、枠辺2dと枠辺2bとが接合される部分、もしくはその近傍に固定されている。
【0034】
ガイドロープ4aは、複数の支持リング5、図1等において左側(枠辺2d側)に配置される支持リング5b、図1等において右側(枠辺2c側)に配置される支持リング5aに挿通されている。
ガイドロープ4aが挿通された支持リング5,5a,5bは、それぞれ支持リング固定ロープ6を用いて、前述の側面網部12aの上側縁辺部分に固定されている。
支持リング5bは、側面網部12aの枠辺2d側の位置に固定され、支持リング5aは、側面網部12aの枠辺2c側の位置に固定され、支持リング5bと支持リング5aとの間においては、例えば、等間隔となるように複数の支持リング5が側面網部12aに固定されている。
【0035】
ガイドロープ4bは、複数の支持リング5、図1等において左側(枠辺2d側)に配置される支持リング5b、図1等において右側(枠辺2c側)に配置される支持リング5aに挿通されている。
ガイドロープ4bが挿通された支持リング5,5a,5bは、それぞれ支持リング固定ロープ6を用いて、前述の側面網部12bの上側縁辺部分に固定されている。
支持リング5bは、側面網部12bの枠辺2d側の位置に固定され、支持リング5aは、側面網部12bの枠辺2c側の位置に固定され、支持リング5bと支持リング5aとの間においては、例えば、等間隔となるように複数の支持リング5が側面網部12bに固定されている。
なお、図1等には、6個の支持リング5が、それぞれ側面網部12a,12bに固定されているが、支持リング5の数量は上記の6個に限定されず、側面網部12a,12b(食害防止網10)の大きさに応じた数量の支持リング5が、当該側面網部12a,12b、もしくは、食害防止網10に固定される。
【0036】
ガイドロープ4aが挿通された支持リング5,5a,5b、および、ガイドロープ4bが挿通された支持リング5,5a,5bには、引き寄せロープ7(移動部材)が挿通されている。
引き寄せロープ7は、途中、ガイドロープ4aに挿通された支持リング5aと、ガイドロープ4bに挿通された支持リング5aとの間を繋ぐように、支持リング5a,5b等に挿通されている。
また、引き寄せロープ7は、一端が、ガイドロープ4aを挿通させた支持リング5bから枠辺2d側に引き出され、他端が、ガイドロープ4bを挿通させた支持リング5bから枠辺2d側に引き出されるように設置されている。
【0037】
図5は、図1の養殖用網1に備えられた沈子コード30の配置を示す説明図である。
食害防止網10は、水中に設置されたとき、各網部の網面に張りが生じ、かつ箱型の形状が維持されるように、当該食害防止網10の適当な位置に沈子コード30が設置されている。沈子コード30は、水に沈むように、例えば、鉛等を内部に含めて構成された長線状の錘部材であり、例えば、1mあたり40gの重量を有する。
【0038】
沈子コード30は、図4に示したように、側面網部12aと側面網部12bとの間を繋ぐように設置され、当該沈子コード30の一端が側面網部12aの上側縁辺部分に固定され、他端が側面網部12bの上側縁辺部分に固定されている。
また、沈子コード30は、略コの字状に形成され、側面網部12aならびに側面網部12bについて、それぞれ高さ方向(水中に設置された場合の深さ方向)に張りを生じさせ、また、底面網部11の網面について、枠辺2aと枠辺2bとを結ぶ方向に張りを生じさせるように設けられている。
換言すると、沈子コード30は、ガイドロープ4aとガイドロープ4bとを繋ぐように延設されており、食害防止網10に固定された各支持リング5,5a,5bが、ガイドロープ4aならびにガイドロープ4bに沿って移動したとき、当該食害防止網10の移動、もしくは折り畳みの障害(抵抗)にならないように設けられている。
【0039】
図4等に示した食害防止網10は、例えば、4つの沈子コード30が設置されており、第1の沈子コード30が、側面網部12aと側面網部13bとの(水深方向に延びる)境界辺(例えば接合部分)に沿って、また、側面網部13bと底面網部11との(水面と平行になる)境界辺(例えば接合部分)に沿って、またさらに、側面網部12bと側面網部13bとの(水深方向に延びる)境界辺(例えば接合部分)に沿って設けられている。
即ち、第1の沈子コード30は、枠辺2dに沿って、当該枠辺2d側(枠辺2dの近傍)に配置されるように上記の各網部に設置されている。
【0040】
第2の沈子コード30は、側面網部12aと側面網部13aとの(水深方向に延びる)境界辺(例えば接合部分)に沿って、また、側面網部13aと底面網部11との(水面と平行になる)境界辺(例えば接合部分)に沿って、またさらに、側面網部12bと側面網部13aとの(水深方向に延びる)境界辺(例えば接合部分)に沿って設けられている。
即ち、第2の沈子コード30は、枠辺2cに沿って、当該枠辺2c側(枠辺2cの近傍)に配置されるように、上記の各網部に設置されている。
【0041】
第1の沈子コード30と第2の沈子コード30との間には、例えば、第3の沈子コード30および第4の沈子コード30が等間隔で配置され、それぞれ、側面網部12a、底面網部11、側面網部12bの各網面に設置され、水中に食害防止網10を設置したとき(枠体2に固定したとき)、各網面に張りが生じて食害防止網10が箱型形状となるように設けられている。
【0042】
なお、ここで例示した食害防止網10は、4つの沈子コード30を備えているが、沈子コード30の数量は4つに限定されない。即ち、食害防止網10の大きさに応じて、例えば、第3の沈子コード30(第4の沈子コード30)等を複数備え、4つよりも多くの沈子コード30を備えてもよい。また、食害防止網10が小さい場合には、第3の沈子コード30(第4の沈子コード30)等を備えないで、当該食害防止網10を構成することも可能である。
【0043】
食害防止網10は、沈子コード30を箱型形状の下側部分に配置することにより、箱型形状の下側部分を上側部分よりも重く構成し、例えば、波風等の影響を受けた場合でも養殖用網1の形状を安定させ、食害防止網10によって囲われた海苔網8と接触することを防いで(抑制して)いる。
【0044】
図6は、養殖用網1が囲っている水域に、例えば漁船等が入るとき、水中に配置された食害防止網10の囲みを開くための動作を示している。
食害防止網10は、水面またはその近傍に設置されている海苔(殻胞子)等を付着させた海苔網8を下方から覆うように固定されており、水面を上方から見たとき、側面網部12a,12bおよび側面網部13a,13bによって、海苔(殻胞子)等を付着させた海苔網8を囲むように配置されている。
例えば、養殖期間中に海苔の成長状態を確認する場合や、海苔の摘採(被養殖物の収穫)を行う場合には、殻胞子等を付着させた海苔網8、もしくは、殻胞子等を成長させた海苔等が付着している海苔網8に漁船等を近付ける必要がある。
養殖用網1は、海苔等が付着している海苔網8(被養殖物を付着させた部材)に、漁船等を近付けて作業を行うことができるように、水中の食害防止網10を、例えば枠辺2d側に移動させる引き寄せロープ7、食害防止網10を移動可能に支持する支持リング5,5a,5bおよびガイドロープ4a,4b等を備えている。
【0045】
食害防止網10の囲みを開くとき、初めに、例えば、枠辺2cに固定されている各食害防止網固定ロープ3の締結部3aを操作し、締結部3aの締結を解除して各支持リング5a等がガイドロープ4a,4bに沿って移動可能な状態にする。
次に、枠辺2d側に配置されている引き寄せロープ7の2つの端部を、矢印Aが示す方向に引っ張り、支持リング5a等を枠辺2d側に移動させる。即ち、側面網部13a側の固定が解除された食害防止網10を枠辺2d側に引き寄せる。
このとき、側面網部13a、ならびに、その近傍の底面網部11は、側面網部13a等に設置された第2の沈子コード30等によって十分な深さまで(水中に)沈み、食害防止網10の囲みが部分的に開いた状態になり、枠辺2cと枠辺2dとの間に設置された海苔網8等に接触することなく、当該食害防止網10が枠辺2d側に移動する。
【0046】
引き寄せロープ7を枠辺2d側に十分引くことにより、食害防止網10が、概ね折り畳まれた状態になって枠辺2dの近傍に配置され、海苔網8の下方ならびに海苔網8の周囲が開放される。このように食害防止網10を移動させておき、海苔網8に漁船等を近付けて作業等を行う。
上記の作業等が終了し、再び食害防止網10を設置して海苔網8等を囲むときには、例えば、2つの支持リング5aに適当なロープを接続固定し、このロープを枠辺2c側に引っ張り、側面網部13a等を枠辺2cの近傍に移動させ、例えば、第1の食害防止網固定ロープ3等を枠辺2cに締結し、各網面に張りを生じさせた(箱型にした)食害防止網10を固定する。または、側面網部13aの上側縁辺部分等に接合(締結)されている食害防止網固定ロープ3を枠辺2c側に引っ張り、この食害防止網固定ロープ3を枠辺2cに締結固定してもよい。
【0047】
なお、本実施形態で説明した養殖用網1は、引き寄せロープ7の2つの端部を枠辺2d側に配置し、当該引き寄せロープ7を引っ張ることによって、食害防止網10(もしくは側面網部13a)を枠辺2c側から枠辺2d側へ移動させるように構成されている。
本実施形態による養殖用網1は、上記の構成に限定されず、例えば、引き寄せロープ7の2つの端部を枠辺2c側に配置し、引き寄せロープ7を各支持リング5,5a,5bに挿通させ、途中、ガイドロープ4aが挿通されている支持リング5bとガイドロープ4bが挿通されている支持リング5bとを繋ぐように挿通させる。このように各支持リング5,5a,5bに挿通させた引き寄せロープ7の2つの端部を引っ張り、食害防止網10(もしくは側面網部13b)を枠辺2d側から枠辺2c側へ移動させるように構成してもよい。
【0048】
[第二実施形態]
図7は、本実施形態による養殖用網に備えられた食害防止網10aの展開図である。養殖用網は、第一実施形態で説明した枠体2、食害防止網固定ロープ3、ガイドロープ4a,4b、支持リング5,5a,5b、支持リング固定ロープ6、引き寄せロープ7、海苔網8等を備え、養殖用網1と概ね同様に構成されている。ここでは、養殖用網1と異なる部分、即ち、養殖用網1の食害防止網10と異なる食害防止網10aについて説明する。
なお、養殖用網は、枠体2、食害防止網固定ロープ3、ガイドロープ4a,4b、支持リング5,5a,5b、支持リング固定ロープ6、引き寄せロープ7、海苔網8、沈子コード30等について、各部の長さ(大きさ)、数量、配置間隔等を、食害防止網10aに適合するように設定して構成されている。
【0049】
食害防止網10aの底面網部51は、第一実施形態で説明した底面網部11と同様に長方形に形成されており、長手方向の長さ50m、幅35mを有する。
この底面網部51は、例えば、4つの網部40,41,42,43を、側面網部52aならびに側面網部52bの長手方向に並べて、(側面網部53a,53bの長手方向、即ち、底面網部51の幅方向に延設させて)隙間なく配置(接合)することによって構成されている。
網部40,41,42,43は、例えば、ナイロンモノフィラメント糸(太さ20号、直径0.74mm)を用いた網材によって構成されている。
網部40,41,42,43は、目合(1目の長さ)が、例えば、6寸(182mm)であり、長さ(底面網部51の幅方向)35mにおいて270目を有するように構成されている。
【0050】
側面網部52a,52bは、例えば、直径3mm程度で、目合が9寸(272.7mm)の網材を用いて、50mの長さにおいて256.5目となるように構成されている。
側面網部53a,53bは、上記の側面網部52a,52bと同様な太さおよび目合の網材を用いて、35mの長さにおいて179.5目となるように構成されている。
底面網部51、側面網部52a,52b,53a,53bは、例えば、ナイロンモノフィラメント糸を用いた網材によって構成することが好ましい。
【0051】
食害防止網10aを構成する上記の各網部の大きさ等は一例であり、網部40,41,42,43は、第一実施形態で説明したポリエチレン糸を用いた網材で構成することも可能である。また、側面網部52a,52b、側面網部53a,53bについても、ポリエチレン糸を用いた網材で構成することも可能である。
網部40,41,42,43は、好ましくは、十分な強度を有するとともに、養殖期間中に潮流によって運ばれてくる、被養殖物以外の藻類や貝類の付着を防ぐように、太さが16~20号(直径0.66mm~0.74mm)のナイロンモノフィラメント糸を用いて、また、潮流に流されることを防ぎ、また、食害を発生させる魚類が通過することを防ぐように、目合が6寸~7.5寸(182mm~227mm)となる網材を用いて構成するとよい。
【0052】
食害防止網10aは、底面網部51、側面網部52a,52b、側面網部53a,53bに関して、例えば、ナイロンモノフィラメント糸を用いて、網面の目合が50~400mmになるように構成することが好ましい。
なお、食害防止網10は、ナイロンモノフィラメント糸を用いたものに限定されず、特に、側面網部12a,12b、側面網部13a,13bについては、例えば、ナイロンフィラメント糸を用いた網材、複数種類の糸が混在する網材を用いてもよい。
上記のように構成された食害防止網10aは、食害防止網10(もしくは養殖用網1)と同様な作用効果を得ることができる。
【0053】
第一実施形態で説明した養殖用網1、および、第二実施形態で説明した養殖用網は、いずれも海苔が付着している海苔網8を食害防止網10,10aによって覆い、魚類による食害を防ぐように構成されているが、養殖用網1を構成する各網部等の長さ等を適当に調整することにより、例えば、カキ等の貝類を付着又は保持させる部材を覆い、養殖されている貝類の食害を防ぐように構成することもできる。
【0054】
本開示の養殖用網の実施例及び従来の養殖用網(比較例)の各構成と、各養殖用網の作用効果とを表した表1を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1に示した実施例1及び実施例2に使用した養殖用網は、いずれも養殖用網1の食害防止網10または食害防止網10aと同様な箱型形状の食害防止網等を備えて被養殖物を囲んだもので、実施例1はポリエチレン糸を用いた網材を使用し、実施例2はナイロンモノフィラメント糸を用いた網材を使用している。
比較例の養殖用網は、被養殖物を囲む食害防止網が風呂敷型の形状となるように、一枚の網材の中央部分を水底側に垂らすように設置されたもので、ナイロンモノフィラメント糸を用いた網材を使用している。
【0057】
箱型の養殖用網(実施例1および実施例2)と風呂敷型の養殖用網(比較例)を比較すると、海中の網なり(水中に設置したときの安定性)は、風呂敷型の養殖用網よりも箱型の養殖用網が優れており、水中において網形状が安定している。そのため、網に囲まれている被養殖物(被養殖物を付着させた部材)に、網が衝突もしくは接触することが防止されると共に、魚類等による被養殖物の食害を防ぐことができ、収穫量を増加させることができる。
また、網の衝突や接触が防止されることにより、網地にかかる負荷が分散され、養殖用網の耐用期間を長くすることができる。
【0058】
次に、実施例1と実施例2の箱型の養殖用網を比較すると、ナイロンモノフィラメント糸を用いた網は、ポリエチレン糸を用いた網に比べて強度が高く、また、潮流等によって運ばれてきた被養殖物以外の藻類や貝類等が付着することを防ぐことができる。即ち、ナイロンモノフィラメント糸を用いた網は、ポリエチレン糸を用いた網に比べて、網に囲まれている被養殖物に、網が衝突もしくは接触することを防止することができ、収穫量を増加させることが可能になる。
【0059】
また、実施例2の養殖用網の目合は、実施例1の養殖用網の目合に比べて大きく、潮通しが良いため、実施例2の養殖用網に囲まれている被養殖物は、生育が良好になる。さらに、実施例2の養殖用網は、目合が大きいため、潮流に流され難くなり、また、軽量化を図ることができる。
【0060】
実施例1および実施例2(養殖用網)は、被養殖物が付着している部材を囲む食害防止網のいずれかの締結を解除することにより、被養殖物が付着している部材の囲みを開くことができる。そのため、漁船等のスクリュープロペラ等に食害防止網が巻きつくことを防いで、被養殖物が付着している部材に漁船等を近付けることが可能になり、作業効率を良好にすることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 養殖用網
2 枠体
2a,2b,2c,2d 枠辺
3 食害防止網固定ロープ
3a 締結部
4a,4b ガイドロープ
5,5a,5b 支持リング
6 支持リング固定ロープ
7 引き寄せロープ
8 海苔網
10,10a 食害防止網
11,51 底面網部
12a,12b,52a,52b 側面網部
13a,13b,53a,53b 側面網部
20,21,22,23 網部
30 沈子コード
40,41,42,43 網部
【要約】
【課題】魚類による被養殖物の食害を防ぐとともに、被養殖物と接触することを防ぐ養殖用網を提供する。
【解決手段】養殖用網1は、水面またはその近傍に配置される海苔網8と、底面網部11および側面網部12a,12b,13a,13bを有して上方が開口している箱型に形成された食害防止網10と、海苔網8および食害防止網10を設置する枠体2と、を備え、食害防止網10は、底面網部11が海苔網8の下方に配置され、側面網部12a,12b,13a,13bが海苔網8を囲むように枠体2に設置される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7