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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】ペット乾燥機並びにペット乾燥用箱
(51)【国際特許分類】
   A01K 13/00 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
A01K13/00 M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024112237
(22)【出願日】2024-07-12
【審査請求日】2024-07-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522454220
【氏名又は名称】シティコマース有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】竹内 寿浩
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-520856(JP,A)
【文献】特開2014-209895(JP,A)
【文献】特開平11-264660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗毛後のペットを乾燥させるペット乾燥機であって、
温風を吹出す配風部と、ヘアドライヤの温風を該配風部に送る筒部とから成り、
該配風部は、上部に該筒部を挿入する筒部用孔と、側面に温風を吹出す配風口を持ち、底面が開口している直方体状であり、
該筒部は、上部にヘヤドライヤを着脱可能に配置でき、下部は該筒部用孔に挿入され、該配風部内に温風を送り、
該配風口は孔又は切欠きで構成され、
該筒部用孔は、該配風部の一方の端部に設けられていることを特徴とするペット乾燥機。
【請求項2】
前記筒部の下部の側面に切欠き部があり、前記配風部の長手方向に対して、該切欠き部の方向を変更可能であることを特徴とする請求項1に記載のペット乾燥機。
【請求項3】
前記配風部における底面の開口部分から配風部内に、前記筒部が収納可能であることを特徴とする請求項1に記載のペット乾燥機。
【請求項4】
前記筒部は、ペットの大きさに応じて交換可能であることを特徴とする請求項1に記載のペット乾燥機。
【請求項5】
前記配風部における前記筒部用孔を設けた端部とは別の端部の端面は開放され、
該配風部の一部を覆い、長手方向に移動可能な延長部を持ち、
該延長部は、底面が開口し、側面に配風口を持ち、配風部を覆う側の端面は開放されると共に、他方の端面は閉塞されており、
該配風部に対して延長部の位置を変えることで、温風を吹出す配風口の範囲及び数を変更可能であることを特徴とする請求項1に記載のペット乾燥機。
【請求項6】
前記筒部の上部に、ヘアドライヤ保持部を配置し、
該ヘアドライヤ保持部は、円筒状であって、外周に前記筒部の上部に当接する筒部受部を持ち、上部にヘアドライヤ本体を保持するヘアドライヤ本体受部があり、底部にヘアドライヤの送風口を保持するヘアドライヤ送風口受部があり、
該ヘアドライヤ本体受部及びヘアドライヤ送風口受部の一部は、ヘアドライヤの形状に応じて切断可能であることを特徴とする請求項1に記載のペット乾燥機。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか記載のペット乾燥機に用いる折りたたみ可能なペット乾燥用箱であって、
底面及び側面で囲われ上方が開口された直方体状であり、
該底面に前記ペット乾燥機が配置され、
該側面の高さが前記ペット乾燥機の筒部の高さよりも低く、
未使用時に展開可能であり、各隣り合う側面の端辺同士を繋ぐ防水シートが貼られていることを特徴とするペット乾燥用箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット乾燥機に関し、詳しくは、既存のヘヤドライヤを用いたペット乾燥機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペットを洗毛した後、ペットを乾燥させる方法として、人間が髪の乾燥に使っているヘヤドライヤ等をペットに当てて用いるのが一般的である。
しかしながら、そのようなヘヤドライヤでは、温風が当たる面積が、乾燥させるペットの表面積に比べて小さいため、局部的にしか温風を当てることができず、乾燥にかなりの時間を要してしまう。また、ペットは、大風量の風や高温の温風を局部的に当てられることを嫌がる傾向にあり、さらに乾燥する者は、ヘヤドライヤを持たなくてはならないために常に片手が塞がり、ペットの毛並みを整えることができないなどの問題があった。また、部分的には、使用者がヘヤドライヤを手で持って乾かした方がいい場面もあった。
そこで、ペットに対して、広範囲の温風を当て、使用者がドライヤを持つ必要がない状態と、使用者がドライヤを持って乾かす状態を適宜切り替えられる構造が求められていた。
【0003】
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、ペット乾燥機(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。
より詳しくは、風洞の内側面の内側にペット収容部を形成した乾燥補助器と、乾燥補助器の風洞に空気を供給する送風手段とを備え、供給された空気がペット収容部に吹き出されるように、風洞の内側面に空気吹き出し部を設ける構造となっており、送風手段として一般的なドライヤを用いることが可能な技術が提案されている。
しかしながら、ドライヤは、着脱自在に接続筒に接続されるものの、ドライヤはスタンドに固定されるので、乾燥機の使用とヘアドライヤ単品での使用を適宜切り替えることは難しい。
また、小型ペットには収容部として収納庫を用いる事が容易であるが、大型ペットは乾燥に時間が掛かり、乾燥機が求められているが収納庫が大きくなり、装置の保管が難しい。そこでコンパクトに折りたたむ構造や、既存のペット用のシンク内で乾燥まで行う構造ならば容易に使用出来るが、上記問題の解決には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-264660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ペットに対して、広範囲の温風を当て、使用者がドライヤを持つ必要がない状態と、使用者がドライヤを持って乾かす状態と、を適宜切り替え可能なペット乾燥機並びにペット用のシンクでの乾燥や折りたたみ可能なペット乾燥用箱を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決すため、本発明は、洗毛後のペットを乾燥させるペット乾燥機であって、温風を吹出す配風部と、ヘアドライヤの温風を該配風部に送る筒部とから成り、該配風部は、上部に該筒部を挿入する筒部用孔と、側面に温風を吹出す配風口を持ち、底面が開口している直方体状であり、該筒部は、上部にヘヤドライヤを着脱可能に配置でき、下部は該筒部用孔に挿入され、該配風部内に温風を送り、該配風口は孔又は切欠きで構成され、該筒部用孔は、該配風部の一方の端部に設けられている手段を採る。
【0007】
また、本発明は、前記筒部の下部の側面に切欠き部があり、前記配風部の長手方向に対して、該切欠き部の方向を変更可能である手段を採る。
【0008】
さらに、本発明は、前記配風部における底面の開口部分から配風部内に、前記筒部が収納可能である手段を採る。
【0009】
またさらに、本発明は、前記筒部が、ペットの大きさに応じて交換可能である手段を採る。
【0010】
さらにまた、本発明は、前記配風部における前記筒部用孔を設けた端部とは別の端部の端面が開放され、該配風部の一部を覆い、長手方向に移動可能な延長部を持ち、該延長部は、底面が開口し、側面に配風口を持ち、配風部を覆う側の端面は開放されると共に、他方の端面は閉塞されており、該配風部に対して延長部の位置を変えることで、温風を吹出す配風口の範囲及び数を変更可能である手段を採る。
【0011】
またさらに、本発明は、前記筒部の上部に、ヘアドライヤ保持部を配置し、該ヘアドライヤ保持部は、円筒状であって、外周に前記筒部の上部に当接する筒部受部を持ち、上部にヘアドライヤ本体を保持するヘアドライヤ本体受部があり、底部にヘアドライヤの送風口を保持するヘアドライヤ送風口受部があり、該ヘアドライヤ本体受部及びヘアドライヤ送風口受部の一部は、ヘアドライヤの形状に応じて切断可能である手段を採る。
【0012】
そしてまた、本発明は、前記ペット乾燥機に用いる折りたたみ可能なペット乾燥用箱であって、底面及び側面で囲われ上方が開口された直方体状であり、該底面に前記ペット乾燥機が配置され、該側面の高さが前記ペット乾燥機の筒部の高さよりも低く、未使用時に展開可能であり、各隣り合う側面の端辺同士を繋ぐ防水シートが貼られている手段を採る。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るペット乾燥機によれば、ペットに、広範囲の温風を当て、使用者がドライヤを持つ必要がない状態と、使用者がドライヤを持って、ペットを乾かす状態を適宜切り替えられるので、ペットの乾燥をより的確に行うことができるので、便利である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るペット乾燥機の実施形態を示す全体斜視図である。
図2】本発明に係るペット乾燥機の動作を示す説明図である。
図3】本発明に係るペット乾燥機の気流の状態を示す説明図である。
図4】本発明に係るペット乾燥機の変形例を示す斜視図である。
図5】本発明に係るペット乾燥用箱の実施形態を示す説明図である。
図6】本発明に係るペット乾燥機の変形例として、ヘアドライヤ保持部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るペット乾燥機並びにペット乾燥用箱は、ヘヤドライヤを利用したペット乾燥機であり、ペット乾燥の手間を軽減することを最大の特徴とする。
以下、本発明に係るペット乾燥機の実施形態を、図面に基づいて説明する。
なお、本発明に係るペット乾燥機並びにペット乾燥用箱の全体構成及び各部の構成は、下記に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、構造等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0016】
図1から図6に従って、本発明を説明する。
図1は、本発明に係るペット乾燥機の実施形態を示す全体斜視図であり、ペット乾燥機を実線で、ペット乾燥用シンク、ペットを点線で示したものである。
図2は、本発明に係るペット乾燥機の動作を示す説明図であり、(a)はヘアドライヤを利用して全体に温風を配風する場合、(b)はヘアドライヤ単独でペットの頭等を乾燥する場合、(c)は配風部と筒部を分離した状態、(d)は配風部内に筒部を収納した状態を示している。
図3は、本発明に係るペット乾燥機の気流の状態を示す説明図であり、(a)は筒から配風部への気流を示し、(b)は配風部内の気流を示し、(c)は筒部の切欠き部を示し、(d)は切欠き部を配風部の長手方向に向けた際の気流を示し、(e)は切欠き部を配風口方向に向けた際の切欠き部を示している。
図4は、本発明に係るペット乾燥機の変形例を示す斜視図であり、(a)は配風口が切欠きの例、(b)は配風部に延長部が配置された状態、(c)は延長部を延ばした状態、(d)は延長部にも筒部を配置した状態を示している。
図5は、本発明に係るペット乾燥用箱の実施形態を示しており、(a)は組み立てたペット乾燥用箱とペット乾燥機の関係を示す斜視図、(b)はペット乾燥用箱を展開した状態を示す説明図である。
図6は、本発明に係るペット乾燥機の変形例として、ヘアドライヤ保持部を示しており、(a)はヘアドライヤ保持部の断面図及び上面図、(b)はヘアドライヤ保持部を筒部に入れる過程を示す説明図、(c),(d)はヘアドライヤ保持部でヘアドライヤを保持する様子を示す説明図である。
【0017】
ペット乾燥機1は、洗毛後のペットを乾燥させるものである。
ペットPをペット用のシンク等で洗毛した後、シンク、ドックバス、囲われ上部が開放した箱等を利用して、そのままペットPを乾燥させる際に用いる。
ペット乾燥機1を用いる際は、シンク等の箱状の上部が開放された状態であり、ブラシ等で毛をとかしながら乾燥させる事ができ、密閉されていないため動物を暴れさせにくい。
ペット乾燥機1は、ヘヤドライヤ40を差し込んで使用する犬/猫等のペット用乾燥機である。下部に穴又は切り欠きを付けた配風ボックスである配風部10を持ち、下から温風を巻き上げて足と体を乾燥させる。
下面から温風を噴き上げる事で、効率的に水分を上部へ蒸気として放出することができる。
犬等のペットPは、上が開放されたシンク等で乾燥させられるので、安心して入っていられる。
箱の上部以上に伸びる送風パイプである筒部20を備え、送風パイプ兼ヘアドライヤ置きとし、下部からの乾燥と頭部等の部分乾燥を、動物を箱に入れたまま行う事ができる。
ヘアドライヤ40は、筒部20に差し込まれているだけであるので、ヘアドライヤ40を外して、ヘアドライヤ40のみで、箱から出た動物の頭部や背中部分も箱に入れたまま、毛を乾燥させる事ができる。
箱状のシンク等は、犬等のペットPが方向転換できる程度の広さを持つことで、ペットの両側の乾燥を促進できる。
【0018】
ペット乾燥機1は、温風を吹出す配風部10と、ヘアドライヤ40の温風を配風部10に送る筒部20と、から構成されている。そして、ヘヤドライヤ40は、既存の一般的なものを用いることができる。
配風部10は、ペットPに対して、下方から広い範囲に、ヘヤドライヤ40からの温風を送るためのものである。
ヘアドライヤ40の温風が通るので、例えば、耐熱温度が100度以上のポリカーボネイトやポリプロピレンのプラダン(プラスチック段ボール)が適当である。
配風部10は、上部に筒部20を挿入する筒部用孔11を備え、側面に温風を吹出す配風口12を備え、底面が開口した底開口部15を有する直方体状である。
筒部用孔11は、筒部20を保持しつつ、筒部20が回転できる程度に緩く保持している。
配風部10の少なくとも1側面には、温風を放出するための配風口12が複数開けられている。配風口12は、孔13であり、側面の下方に横並びに開けられている。孔13の形状は、円形でもいいし、長方形でも良い。横に長い長方形とすることで、孔13全体として、より低い位置に開口でき、好適である。
配風口12の配置範囲を、ペット用シンク60の内幅とほぼ同じとすることで、ペット用シンク60全体に、配風口12からの温風を送ることができる。
また、ヘヤドライヤ40からの風量が、配風口12から送風される風量に比べ、大きかった場合、配風部10の底面が開放していることによって、差分の風量は、底開口部15から排出されることとなり、ヘヤドライヤ40に無用な負荷を掛けることが無く、好適である。
また、図4(a)のように、配風口12の孔13に代えて、配風口12を切欠き14としてもよい。このようにすることで、孔13と同等の効果が得られる。切欠き14とすることで、金型の抜き方向と切欠きの形状が一致することから、金型を単純化することができる。
【0019】
筒部20は、ヘヤドライヤ40を保持すると共に、配風部10に対して、ヘヤドライヤ40からの温風を送る部分である。
筒部20は、上部にヘヤドライヤ40を着脱可能に配置でき、下部は、筒部用孔11に挿入され、配風部10内に、温風25を送る構造である。
筒部20は、ヘアドライヤ40の温風が通るので、例えば、耐熱温度が100度以上のポリカーボネイトやポリプロピレンが適当である。
ペット乾燥機1をペット用シンク60等の箱内で使用する際、筒部20の長さを箱の高さよりも高くすることによって、ヘアドライヤ40を箱の上部よりも高く配置できるため、ヘアドライヤへの水浸入や水掛かりによる電気的不具合を防ぐことができる。
筒部20は、円筒状であり、上部が若干広がり、ドライヤ挿入口21とドライヤ当部22を形成している。下部は、配風部10の筒部用孔11に挿入される部分である。下部の送風口23が、そのまま、筒部用孔11と固定され、図3(a)のように、気流全体が、そのまま配風部10内に送られる構造でもよい。
また、下部の送風口23に、図3(c)に示すように、切欠き部24を設けても良い。
詳しくは、筒部20の下部の送風口23付近の側面に切欠き部24を設け、切欠き部24を介して送風されるもので、配風部10の長手方向に対して、切欠き部24の方向を変更可能とするものである。
例えば、切欠き部24の切り欠いた方向を配風部10の長手方向と合わせることもできるし、いずれかの配風口12の方向としても良い。
切欠き部24は、筒部20の側面のみを切り欠くように作られる。下側端部を切り欠かず、残すことで、配風部10に対する筒部20の安定性が向上するからである。
切欠き部24を持ち、筒部20を配風部10に対して回転させることで、配風部10内の気流を調整することができる。
切欠き部24は、例えば、半円柱状とすることで、流量を制限することなく、方向を定めることができる。また、円弧柱状とすることで、半円柱状よりも切欠き量が少なくなり、方向性を高めることができる。
また、複数の孔を設ける形状としても良い。複数の孔とすることで、孔の位置、数によって、気流の方向を細かく調整することができる。
ドライヤ挿入口21は、ヘヤドライヤ40のヘヤドライヤ送風口41を挿入する部分であり、ドライヤ挿入口21の内径の大きさはヘヤドライヤ送風口41の太さよりも若干大きくしている。そのため、ヘヤドライヤ40は、筒部20に対して、着脱容易となる。
ドライヤ当部22は、ヘヤドライヤ送風口41の先端を当接する部分である。ドライヤ当部22を設けることによって、ヘヤドライヤ送風口41の先端位置をヘヤドライヤ40の種類によらず、一定とすることができる。一定とすることで、ヘヤドライヤ40の種類によらず、筒部20から取出し容易とすることができる。
また、筒部20の側面を断熱材で覆っても良い。断熱材で覆うことで、筒部20の側面が温風によって高温になっても、ペットや使用者が、高温の側面に直接触れることが無いでの安心である。
また、筒部20の下端部が直接シンク等に接触するようにすることで、ヘヤドライヤ40の重量を筒部20のみで支持することになる。そうすると、配風部10は、自身の形態を維持する程度の強度で足り、設計上好適である。
また、配風部10の筒部用孔11が、配風部10の一方の端部に設けられることで、筒部20を配風部10の端付近に配置することとなるため、配風部10の端面が筒部20の側面と接触することで支えとなって、ヘヤドライヤ40を安定して支えることができ、好適である。
【0020】
ペット乾燥機1は、図1に示すように、上部が開放されたペット用シンク60等に入れて使用する。ペット用シンク60の側面に接するように配置され、ペット用シンク60には、洗毛が終わったペットPが入れられる。
ペット用シンク60で洗毛する場合は、洗毛後、そのままペットPを移動させることなく、ペット用シンク60でペット乾燥機1による乾燥を行うことができる。
使用者は、ペット用シンク60内にペット乾燥機1を入れ、筒部20の上部にヘヤドライヤ40を配置する。ヘヤドライヤ40を置くことで、その状態で温風の送風を開始すれば、配風部10の配風口12からペット用シンク60内に温風が送られ、ペットPを下方からの温風で乾燥させることができる(図2(a))。
【0021】
また、ペットPの頭部、背中等を乾燥させる際は、ヘヤドライヤ40を筒部20から外して手に持ち、使用者が通常のヘヤドライヤと同様に使用することで、効率よく乾燥させることができる(図2(b))。
筒部20の高さは、ペット用シンク60よりも若干高いので、ヘヤドライヤ40のみを使用する際は、容易に手が届く位置にヘヤドライヤ40が置かれていることになり、便利である。
さらに、図2(c)に示すように、配風部10と筒部20は、分離可能であるので、ペット乾燥機1を使用しないときは、図2(d)に示すように、筒部20を配風部10内に、底面の開口部分から収納することができ、コンパクトに片付けることができる。
【0022】
図3に沿って、筒部20、配風部10内の気流の状態について、説明する。
図3(a),(b)は、筒部20の下端が筒部用孔11付近に固定され、筒部20から配風部10の内部全体に気流が送られる場合である。
気流は、筒部20の内部では、スムーズな流れである層流Sであるが、配風部10内に入ると、気流が底部分にぶつかることから、大きく乱れて乱流Rとなる。そして、側面の配風口12からは、あまり流れ出ず、配風部10の反対側から多く流れる。
これは、配風部10内と外部の圧力差が小さい事による現象である。筒部20内の単純な流体の流れとは異なり、ほぼ圧力が解放される配風部10内の流体の動作となる。
配風部10は、下部に隙間が有り、吹出口も多く、筒部20内の圧力の掛かった空気が、配風部10内で膨張と共に底面に当たり、配風部10付近は乱流状態となる事から、配風口12からの吐出量が減少すると考えられる。
筒部20付近から離れると、風の流れが層流となって、側面から内外圧力差で吹き出し易くなり、端の方は塞がれていることから、より圧力差が生じていると考えられる(図3(b))。
【0023】
それに対して、筒部20の下部に切欠き部24を設けることによって、筒部20からの気流の向きを変える事になり、配風部10の配風口12からの風量変化は弱まるが、風量を変化させる事ができる(図3(c))。
切欠き部24を配風部10の長手方向に向けた場合は、図3(b)と同様に、配風部10の端部に向けて層流Sが発生し、端部ほど吹出量が増えることになる(図3(d))。
切欠き部24を配風口12の方向に向けた場合は、気流の方向は斜め方向となるので、配風口12からの吹出量が大きくなる(図3(e))。
【0024】
大型犬等の大型ペットの乾燥は、伸縮可能な延長部を用いた、より広範囲の送風が好適である。
図4(b),(c)のように、配風部10と延長部30を用いた構成である。
配風部10における筒部20の無い側である他方の端部の端面は、開放されている。
延長部30は、配風部10の一部を上から覆い、配風部10の長手方向に移動可能である。延長部30の底面は、配風部10と同様に開口されており、側面に配風口12を持ち、一方の端面は、配風部10を覆うために開放されており、他方の端面は、閉塞されている。
配風部10に対して、延長部30の位置を変えることで、温風25を吹き出す配風口12の範囲、数を変更可能である。
図4(b)は、延長部30を最も縮めた状態であり、小型犬等の場合である。図4(c)は、延長部30を最も伸ばした状態であり、中大型犬等の場合である。
配風部10の上部又は側面には、目盛16が設けてあり、延長部30の端を目盛16に合わせることで、配風部10と延長部30が重複する箇所の配風口12の位置が合い、適切に送風することができる。
また、延長部30の閉塞された側の端部に筒部20を配置し、2つの筒部20から温風を送る構成としても良い(図4(d))。このような構成とすることで、配風口が増え、送風する量が増えても、2つのヘヤドライヤ40を用いることで、十分な温風を送ることができる。
2つのヘヤドライヤ40を用いる孔を設けた際、1台のみ使用する場合、使用しない方の孔にフタをする事で熱風の排気を止める。
尚、内部の気圧は低いため、ゴム等の素材を用い、若干の弾性力を持つことで、特別な止め金具を用いなくてもフタとして使用出来る。
また、延長部30を延ばす際に、筒部20をペットの大きさに応じた長さのものに交換可能とすることで、ヘヤドライヤ40の高さをペットに適した高さとすることができる。
【0025】
図5に沿って、ペット乾燥用箱50について説明する。
ペット乾燥用箱50は、ペット用乾燥機1のために用いるものである。
底に、ペット用乾燥機1を配置し、箱の側面52の高さがペット用乾燥機1の筒部20の高さよりも低く、未使用時に展開可能であり、各隣り合う側面52の端辺同士を繋ぐ防水シートが貼られているものである。
乾燥時に犬等のペットPを入れる箱であるペット乾燥用箱50は、プラダン(プラスチック段ボール)等で折り畳み構造とすることができる。
ペット乾燥用箱50は、ヘアドライヤ40の温風が通るので、例えば、耐熱温度が100度以上のポリカーボネイトやポリプロピレンが適当である。
犬等のペットPの洗浄後、タオル等で水切りした後にペット乾燥機1を使用するが、ペット乾燥用箱50の底面51、側面52を、プラダン等の樹脂又は樹脂コーティングされた段ボールを使用することで、濡れた犬等のペットPから水が滴り落ちても、床を濡らすことは無い。
ヘヤドライヤ40は、筒部20に保持され、筒部20の上部は箱よりも高い位置にあるので、ヘヤドライヤ40が水に浸る恐れはない。
ペット乾燥用箱50は、展開すると図5(b)のようになる。底面51と側面52とから成り、上部は開放している。各側面52の端辺同士は、防水シート53で接続されている。
防水シート53は、中間部分で折目が入っており、ペット乾燥用箱50を組み立てる際に、自然に、内側に折り畳まれる形とすることができる。
防水シート53を設けることで、ペット乾燥用箱50を組んだ際、図5(a)に示すように、防水シート53が設けられた部分で水が漏れることが無いので、周囲への水漏れを心配することなく、ペットPの乾燥を行うことができる。
また、各側面52を固定する固定具54により、側面52同士を固定することで、乾燥作業中にペット乾燥用箱50が誤って展開することが無く、便利である。
また、ペット乾燥用箱50の高さと筒部20の高さの関係は、常に、筒部20の方が高くなっているため、乾燥中におけるヘヤドライヤ40への水はねの心配も軽減することができる。
【0026】
本実施例では、筒部20の上部にドライヤ挿入口21を配置する場合を説明したが、ヘアドライヤには多くの種類があり、形状も様々であることから、それらに対応できるヘアドライヤ保持部70を用いることもできる。
図6に沿って、ヘアドライヤ保持部70について説明する。
ヘアドライヤ保持部70は、円筒状の筒部20の上部に、図6(b)のように挿入し、ヘアドライヤ40のヘヤドライヤ送風口41付近を保持するものである。
ドライヤ送風口41付近の温度は、90度程度になることから、使用温度範囲が130度以上のシリコンゴムやブチルゴムを用いると好適である。
ヘアドライヤ保持部70は、全体として筒状であり、外周の中段に、筒部20の入口に当接する筒部受部がフランジ状に配置されている。
ヘアドライヤ保持部70の下部には、ヘアドライヤ送風口受部73が配置され、ヘヤドライヤ送風口41が当接する(図6(a))。
また、ヘアドライヤ保持部70は、図6(a)の一点鎖線で示すように、ヘアドライヤの形状に合わせて、ヘアドライヤ本体受部72の一部や、ヘアドライヤ送風口受部73の一部を、ハサミやカッタで切断可能である。切断することで、様々な形状のヘアドライヤに対応できる。また、完全にカットするのではなく、スリットを入れる形状でもよい。
具体的には、例えば、図6(c)のように、ドライヤの長さが短い場合には、挿入時の安定度を増すために、ヘアドライヤ本体受部72の一部を切断部分74のように切断し、把手部分がヘアドライヤ保持部70の奥まで入るようにすることで、安定させることができる。
また、ヘヤドライヤ送風口41が、長く、大きい場合には、図6(d)のように、ヘアドライヤ送風口受部73を切り欠くことで、ヘアドライヤ送風口を深く挿入することが出来、ヘアドライヤ40を安定して、置くことができる。
【0027】
このように、本発明に係るペット乾燥機によれば、広範囲へ温風を当て、使用者がドライヤを持つ必要がない状態と、使用者がドライヤを持って乾かす状態を適宜切り替えられるので、ペットの乾燥をより的確に行うことができ、便利である。
【0028】
また、筒部の下部に切欠きを入れることで、ドライヤからの温風の方向を調整することができ、便利である。
【0029】
さらに、配風部における底面の開口部分から、配風部内に筒部を収納可能とすることによって、乾燥機を使用しないときに、コンパクトにしまうことができる。
【0030】
またさらに、筒部を交換可能とすることで、小型のペットから大型のペットまで、多くのペットに対応することができ、便利である。
【0031】
さらにまた、配風部を伸縮可能とすることで、大きさの異なるペットにも対応することができる。
【0032】
さらにまた、筒部の上部にヘアドライヤ保持部を配置することで、多くのヘアドライヤに対応可能となり、使用者が所有するヘアドライヤの種類に寄らず、問題無く使用することができる。
【0033】
そしてまた、本発明に係るペット乾燥用箱によれば、展開可能であるため、使用しないときにコンパクトにしまうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係るペット乾燥機並びにペット乾燥用箱は、既存のヘアドライヤを利用したペット乾燥機として、産業上の利用可能性は大きいと解する。
【符号の説明】
【0035】
1 ペット乾燥機
10 配風部
11 筒部用孔
12 配風口
13 孔
14 切欠き
15 底開口部
16 目盛
20 筒部
21 ドライヤ挿入口
22 ドライヤ当部
23 送風口
24 切欠き部
25 温風
30 延長部
40 ヘヤドライヤ
41 ヘヤドライヤ送風口
50 ペット乾燥用箱
51 底面
52 側面
53 防水シート
54 固定具
60 ペット用シンク
70 ヘアドライヤ保持部
71 筒部受部
72 ヘアドライヤ本体受部
73 ヘアドライヤ送風口受部
74 切断部分
S 層流
R 乱流
P ペット
【要約】
【課題】ペットに対して、広範囲の温風を当て、使用者がドライヤを持つ必要がない状態と、使用者がドライヤを持って乾かす状態と、を適宜切り替え可能なペット乾燥機並びにペット乾燥用箱を提供する。
【解決手段】洗毛後のペットを乾燥させるペット乾燥機であって、温風を吹出す配風部と、ヘアドライヤの温風を該配風部に送る筒部とから成り、該配風部は、上部に該筒部を挿入する筒部用孔と、側面に温風を吹出す配風口を持ち、底面が開口している直方体状であり、該筒部は、上部にヘヤドライヤを着脱可能に配置でき、下部は該筒部用孔に挿入され、該配風部内に温風を送り、該配風口は孔又は切欠きで構成され、該筒部用孔は、該配風部の一方の端部に設けられている手段を有する。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6