(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
A47B 67/04 20060101AFI20241028BHJP
A47B 88/403 20170101ALI20241028BHJP
【FI】
A47B67/04 501D
A47B88/403
(21)【出願番号】P 2024137513
(22)【出願日】2024-08-19
【審査請求日】2024-08-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399019696
【氏名又は名称】株式会社三恵ネット
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直人
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-156657(JP,A)
【文献】特開2010-5224(JP,A)
【文献】特開2009-165592(JP,A)
【文献】特開2015-19940(JP,A)
【文献】特開2015-112304(JP,A)
【文献】特開2024-41160(JP,A)
【文献】実公昭47-5483(JP,Y1)
【文献】実開昭61-52943(JP,U)
【文献】実開昭59-28349(JP,U)
【文献】実開昭57-76543(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/04
A47B 88/00-88/994
B65D 6/00-13/02
B65D 85/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収納物が収納される収納空間が形成された収納部材が支持部材に対して変位可能に設けられた収納装置であって、
使用者が前記収納部材の一方端側を手前に引き出すことで前記収納空間に被収納物を出し入れ可能な状態とする第一使用態様と、
使用者が前記収納部材の他方端側を手前に引き出すことで前記収納空間に被収納物を出し入れ可能な状態とする第二使用態様と、
が切替自在であ
り、
前記第一使用態様においては、使用者が前記収納部材の一方端側を手前に引き出した際、前記収納空間の一方端側の一部が前記支持部材よりも外側に飛び出た状態で前記収納部材の変位を停止させ、前記第二使用態様においては、使用者が前記収納部材の他方端側を手前に引き出した際、前記収納空間の他方端側の一部が前記支持部材よりも外側に飛び出た状態で前記収納部材の変位を停止させる引出操作ストッパを備え、
前記引出操作ストッパは、前記収納空間を仕切る仕切部と一体的に設けられている
ことを特徴とする収納装置。
【請求項2】
被収納物が収納される収納空間が形成された収納部材が支持部材に対して変位可能に設けられた収納装置であって、
使用者が前記収納部材の一方端側を手前に引き出すことで前記収納空間に被収納物を出し入れ可能な状態とする第一使用態様と、
使用者が前記収納部材の他方端側を手前に引き出すことで前記収納空間に被収納物を出し入れ可能な状態とする第二使用態様と、
が切替自在であ
り、
前記第一使用態様においては、使用者が前記収納部材の一方端側を奥に押し込んだ際、前記収納空間が前記支持部材の内側に収まった状態で前記収納部材の変位を停止させ、前記第二使用態様においては、使用者が前記収納部材の他方端側を奥に押し込んだ際、前記収納空間が前記支持部材の内側に収まった状態で前記収納部材の変位を停止させる押込操作ストッパを備える
ことを特徴とする収納装置。
【請求項3】
前記収納部材は、
前記第一使用態様においては、前記収納部材の一方端側に前記押込操作ストッパが設けられた第一形態とされ、
前記第二使用態様においては、前記収納部材の他方端側に前記押込操作ストッパが設けられた第二形態とされる
ことを特徴とする
請求項2に記載の収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されるような衣類等を収納する収納装置(収納ケース)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、使い勝手のよい収納装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる収納装置は、被収納物が収納される収納空間が形成された収納部材が支持部材に対して変位可能に設けられた収納装置であって、使用者が前記収納部材の一方端側を手前に引き出すことで前記収納空間に被収納物を出し入れ可能な状態とする第一使用態様と、使用者が前記収納部材の他方端側を手前に引き出すことで前記収納空間に被収納物を出し入れ可能な状態とする第二使用態様と、が切替自在であり、前記第一使用態様においては、使用者が前記収納部材の一方端側を手前に引き出した際、前記収納空間の一方端側の一部が前記支持部材よりも外側に飛び出た状態で前記収納部材の変位を停止させ、前記第二使用態様においては、使用者が前記収納部材の他方端側を手前に引き出した際、前記収納空間の他方端側の一部が前記支持部材よりも外側に飛び出た状態で前記収納部材の変位を停止させる引出操作ストッパを備え、前記引出操作ストッパは、前記収納空間を仕切る仕切部と一体的に設けられていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するためになされた別の本発明にかかる収納装置は、被収納物が収納される収納空間が形成された収納部材が支持部材に対して変位可能に設けられた収納装置であって、使用者が前記収納部材の一方端側を手前に引き出すことで前記収納空間に被収納物を出し入れ可能な状態とする第一使用態様と、使用者が前記収納部材の他方端側を手前に引き出すことで前記収納空間に被収納物を出し入れ可能な状態とする第二使用態様と、が切替自在であり、前記第一使用態様においては、使用者が前記収納部材の一方端側を奥に押し込んだ際、前記収納空間が前記支持部材の内側に収まった状態で前記収納部材の変位を停止させ、前記第二使用態様においては、使用者が前記収納部材の他方端側を奥に押し込んだ際、前記収納空間が前記支持部材の内側に収まった状態で前記収納部材の変位を停止させる押込操作ストッパを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる収納装置は、第一使用態様と第二使用態様とを切り替えることができるため使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかる収納装置(第一使用態様)の外観斜視図である。
【
図2】本実施形態にかかる収納装置(第二使用態様)の外観斜視図である。
【
図3】本体部材に対する付属部材の取り付け構造、および、本体部材(収納部材)に対する仕切部材の取り付け構造を説明するための図である。
【
図4】突出部(引出操作ストッパ)を撓み変形させることで収納部材を支持空間内に挿入する様子を示した断面図(YZ平面で切断した断面図)である。
【
図5】収納部材の形態(第一形態、第二形態)を説明するための図である。
【
図6】第一使用態様および第二使用態様を説明するための平面図である。
【
図7】第一使用態様および第二使用態様を説明するための断面図(YZ平面で切断した断面図)である。
【
図8】変形例4を説明するための図(その一)である。
【
図9】変形例4を説明するための図(その二)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態にかかる収納装置1(収納ケース)について説明する。なお、以下の説明における幅方向、スライド方向、上下(高さ)方向とは、それぞれ、図示するX方向、Y方向、Z方向をいうものとする。本実施形態における収納装置1は、収納部材2(詳細は後述)の一方端側を手前に引き出して被収納物を出し入れ可能な状態とする第一使用態様(
図1参照)、および、収納部材2の他方端側を手前に引き出して被収納物を出し入れ可能な状態とする第二使用態様(
図2参照)を使用者が任意に切り替えることができるものである。換言すれば、収納部材2の引き出し方向を反対方向にすることができるというものである。
【0009】
収納装置1は、収納部材2およびそれを支持する支持部材5を備える(
図1、2参照)。本実施形態における収納部材2および支持部材5は、いずれも樹脂製の部材である。収納部材2は、支持部材5に対してスライド方向に変位自在に設けられている。収納部材2は、いわゆる「引き出し」の部分であり、被収納物が収納される収納空間31が形成された部材である。本実施形態における収納部材2は、本体部材3および付属部材4を備える(
図1~3参照)。本体部材3は、収納空間31が形成された略箱形状の部材である。収納空間31は、上方に向かって開放された(上側以外の面が閉鎖された)空間である。つまり、上側が収納空間31の入口であり、そこから被収納物を出し入れすることができる。
【0010】
付属部材4は、本体部材3に対して着脱自在に設けられた部材である。具体的には、付属部材4は、スライド方向における本体部材3の一方端側および他方端側(一方端の反対側)のどちらかに取り付けられる。本実施形態における付属部材4は、前板部41および取付片42を備える(
図3参照)。本体部材3には、スライド方向の一方端側および他方端側の両方に、同じ構造を有する取付片42が引掛けられる部分(本実施形態では凹部(溝))が設けられている。したがって、付属部材4を本体部材3の一方側端面または他方側端面に対して押し付けることで取付片42が弾性変形し、支持部材5に対し付属部材4が動かないように固定される。付属部材4が本体部材3に対し固定されても、取付片42を弾性変形させることで、支持部材5から付属部材4を取り外すことができる。このような本体部材3に対する付属部材4の着脱構造はあくまで一例である。本体部材3の一方端側および他方端側のいずれにも付属部材4を着脱自在に固定することができる(収納装置1の使用者が行うことができる)のであれば、当該着脱構造はどのようなものであってもよい。
【0011】
本体部材3の一方端側および他方端側のいずれに固定された状態でも、付属部材4はその幅方向中央が本体部材3の幅方向中央と略一致する。幅方向における長さは、本体部材3よりも付属部材4(前板部41)の方が大きいから、本体部材3の幅方向両側よりも幅方向外側に付属部材4(前板部41)の一部が突出した状態にある(
図5参照)。以下の説明においては、本体部材3の一方端側に付属部材4が固定された収納部材2の形態を「第一形態」(
図5(a)参照)と、本体部材3の他方端側に付属部材4が固定された収納部材2の形態を「第二形態」(
図5(b)参照)と称する。後述する通り、収納装置1を第一使用態様で使用する場合には収納部材2を第一形態とし、第二使用態様で使用する場合には収納部材2を第二形態とする。
【0012】
前板部41は「引き出し」である収納部材2の前面を構成する部分である。第一使用態様および第二使用態様のいずれにおいても、前板部41の前面が「引き出し」としての意匠面になる。当該前板部41は「引き出し」の前面を構成するものであるから、当該前板部41には収納部材2を引き出す際に使用者が手を引掛ける部分が形成されていることが好ましい。本実施形態では、前板部41の下方に切り欠き43が形成されており(
図3、4参照)、ここに手を引掛けることで収納部材2を手前に引き出す操作を容易に行うことができる。
【0013】
支持部材5は、スライド方向に変位可能となるよう収納部材2を支持するものである。支持部材5には、収納部材2を構成する本体部材3が入り込むことができる空間(支持空間51)が形成されている(
図1、2)。支持空間51は、スライド方向の両側が開放されており、これが支持空間51の入口となる(当該入口を通じて支持空間51に対し本体部材3を出し入れすることができる)。なお、支持空間51は入口以外の箇所が開放されていてもよいが、入口以外の箇所から本体部材3を出し入れすることはできないようにされる。スライド方向に直交する平面(XZ平面)で切断した断面でみると、支持空間51の大きさの方が本体部材3の大きさよりもわずかに大きく形成されているから、支持空間51の中に本体部材3は入り込むことができる。一方、同断面でみて、支持空間51の大きさよりも付属部材4(前板部41)の大きさの方が大きい(
図1、2、4参照)から、付属部材4(前板部41)は支持空間51内に入り込むことはできない。具体的には、付属部材4(前板部41)は支持空間51の入口よりも外側に飛び出た部分を有するから、支持部材5における入口の周囲が邪魔となって付属部材4(前板部41)は支持空間51内に入り込むことはできない。本実施形態では、付属部材4(前板部41)の幅方向の長さは、支持部材5の幅方向の長さと略同じとなるようにされている。
【0014】
支持部材5および収納部材2の少なくとも一方には、支持部材5に対する収納部材2のスライドをサポート(ガイド)する構造が設けられていることが好ましい。本実施形態では、支持部材5には幅方向内側(支持空間51側)に向かって突出した突条部であってスライド方向に延びる誘導部52が形成されている。一方、収納部材2(本体部材3)には、幅方向外側に向かって突出した突条部であってスライド方向に延びる被誘導部32が形成されている(
図1、2参照)。当該誘導部52と被誘導部32が係合した状態(接触した状態)が保たれたまま支持部材5に対し収納部材2はスライドする。
【0015】
収納装置1は、上下方向に積み重ねること(2個以上の収納装置1を上下に積み重ねること)ができるようにされていることが好ましい。本実施形態では、支持部材5の上側に上側溝531が、支持部材5の下側に下側突起532が設けられ(
図1、2)、下の収納装置1の上側溝531に上の収納装置1の下側突起532をはめ込むことで、収納装置1を上下に積み重ねることができる。このように、上下に積み重ねた際に係合する構造が支持部材5の上側および支持部材5の下側に設けられているとよい。
【0016】
また、収納装置1(支持部材5)の下面には、キャスター等、収納装置1を容易に移動させることを可能とする装置を取り付けることができる構造が設けられていることが好ましい。すなわち、収納装置1は、そのまま設置することもできるし、キャスター等を取り付けることで容易に移動可能な状態で設置することもできるようにされているとよい。
【0017】
本実施形態における収納装置1は仕切部材6を備える。仕切部材6は、本体部材3に取り付けられる樹脂製の部材である。本実施形態では、本体部材3の幅方向内側(収納空間31側)には上下方向に長い溝部33が形成されている。当該溝部33はスライド方向に並んで複数形成されている。当該溝部33のいずれかに仕切部材6を挿入する(仕切部材6の幅方向両側を溝部33に挿入する)ことで、本体部材3に対し仕切部材6を取り付けることができる(
図3参照)。
【0018】
仕切部材6は、仕切部61および突出部62を有する(
図3、4参照)。仕切部61は収納空間31を区切る板状の部分である。具体的には、仕切部61はスライド方向に直交する平面(XZ平面)に沿う部分であって、スライド方向に収納空間31を略二分する部分である。つまり、収納空間31は、仕切部61の一方面側の空間と他方面側の空間に区分けされる。以下では、仕切部61の一方面側を第一収納空間311と、他方面側を第二収納空間312と称する。上述した通り、本体部材3にはスライド方向に並んで複数の溝部33が形成されているため、本体部材3に対する仕切部材6が取り付けられる位置は変化させることができる。仕切部材6の取り付け位置に応じ、第一収納空間311および第二収納空間312の大きさは変化する。第一収納空間311と第二収納空間312は、一方を大きくすれば他方が小さくなるような関係にある。また、仕切部材6の取り付け位置のうちの一つ(複数の溝部33のうちの一つ)として、第一収納空間311と第二収納空間312の大きさが略同じとなる位置が設けられていることが好ましい。つまり、収納空間31を略均等に二分する仕切部材6の取り付け位置が設定されていることが好ましい(
図3に示した仕切部材6の取り付け位置は、収納空間31を略均等に二分する位置である)。
【0019】
突出部62は仕切部61の上方に設けられた部分である(
図3、4参照)。本実施形態における突出部62は、仕切部61に比して軟質の材料(比較的撓みやすい樹脂)で形成されている。突出部62の上側の少なくとも一部は、収納空間31(本体部材3)よりも上方に突出している。仕切部材6が取り付けられた収納部材2を支持空間51の入口を通過しようとすると、突出部62が支持空間51の入口の上側に設けられた接触部55に接触することになる。突出部62は撓み変形可能な部分であるため、収納部材2を支持空間51に向かって押し込むことで突出部62は接触部55に押し付けられて撓み変形する。ある程度の力で収納部材2を押し込むと、撓み変形した突出部62が接触部55を乗り越え、収納部材2が支持空間51内に入り込む(
図4参照)。
【0020】
このように構成される収納装置1の特性(使用態様の切替)は次の通りである。上述した通り、付属部材4は、スライド方向における本体部材3の一方端側および他方端側のいずれにも取り付けることが可能である。収納装置1を第一使用態様で使用する際には付属部材4が本体部材3の一方端側に取り付けられた第一形態(
図5(a)参照)とする。収納装置1を第二使用態様で使用する際には付属部材4が本体部材3の他方端側に取り付けられた第二形態(
図5(b)参照)とする。
【0021】
収納空間31は、仕切部材6(仕切部61)により第一収納空間311と第二収納空間312に区分けされている。第一収納空間311には第一使用態様で使用する際に出し入れする被収納物を収納する。第二収納空間312には第二使用態様で使用する際に出し入れする被収納物を収納する。上述した通り、本実施形態では仕切部材6の取り付け位置に応じて第一収納空間311および第二収納空間312の大きさは変化するから、第一収納空間311および第二収納空間312に収納する被収納物に応じ、仕切部材6の取り付け位置を決定すればよい。例えば、被収納物として衣類を収納するのであれば、第一収納空間311には夏用(春夏用)の衣類(夏服)を、第二収納空間312には冬用(秋冬用)の衣類(冬服)を収納することが考えられる(以下、このような使用を前提として収納装置1の特性を説明する)。ただし、このような使用はあくまで一例である。時期(季節)や場面等に応じて使い分けるようなものを別に(第一収納空間311と第二収納空間312に分けて)収納すればよい。
【0022】
第一使用態様とする(夏服を出し入れ可能な使用態様とする)際には、収納部材2を第一形態とする。第一形態とした収納部材2を支持空間51内に押し入れる(突出部62を撓み変形させて収納部材2を支持空間51内に押し入れる)と、収納部材2の一方端側(第一収納空間311側)を手前に引き出す/奥に押し込む操作が可能になる(
図6(a)、
図7(a)参照)。収納部材2の一方端側を手前に引き出したときには、第一収納空間311が支持部材5の外側に出て開放された状態となるから、当該第一収納空間311内に収納された被収納物(夏服)が出し入れ可能な状態となる(
図6(a)の下図、
図7(a)の下図参照)。
【0023】
ここで、収納部材2の一方端側(第一収納空間311側)を手前に引き出す(支持空間51から引き出す)操作を行うと、第一収納空間311の略全体が開放された状態となったときに仕切部材6の突出部62が支持部材5の接触部55に接触する(
図7(a)の下図参照)から、当該引き出し操作の抵抗になる。つまり、仕切部材6(突出部62)は、収納空間31の一部である第一収納空間311が支持部材5の外側に飛び出た状態で、収納部材2の変位(支持空間51の外側に向かうスライド)を停止させるストッパ(引出操作ストッパ)として機能することになる。上述した通り、突出部62は撓み変形する部分であるが、接触部55を乗り越えるほど変形するためには相応の力が必要になるため、突出部62はストッパとして十分に機能する。このように、仕切部材6(突出部62)が支持空間51の入口近傍に設けられた接触部55に接触することで引き出し操作が停止されるから、第二収納空間312は支持空間51に収まった状態にある。すなわち、仕切部材6(突出部62)がストッパとして機能すれば、第二収納空間312は支持部材5の外側に飛び出た状態とはならない(
図6(a)の下図、
図7(a)の下図参照)。
【0024】
一方、収納部材2の一方端側(第一収納空間311側)を奥に押し込む(支持空間51に押し込む)操作を行うと、収納空間31の全体が支持空間51(支持部材5の内側)に収まった状態となったときに付属部材4の前板部41が支持部材5の一方側端面に接触するから、当該押し込み操作が停止され、それ以上収納部材2が変位しない状態となる(
図6(a)の上図、
図7(a)の上図参照)。つまり、本体部材3に対して着脱できる付属部材4(前板部41)が、収納部材2の変位(支持空間51の内側に向かうスライド)を停止させるストッパ(押込操作ストッパ)として機能することになる。
【0025】
第二使用態様とする(冬服を出し入れ可能な使用態様とする)際には、収納部材2を第二形態とする。第二形態とした収納部材2を支持空間51内に押し入れる(突出部62を撓み変形させて収納部材2を支持空間51内に押し入れる)と、収納部材2の他方端側(第二収納空間312側)を手前に引き出す/奥に押し込む操作が可能になる(
図6(b)、
図7(b)参照)。収納部材2の他方端側を手前に引き出したときには、第二収納空間312が支持部材5の外側に出て開放された状態となるから、当該第二収納空間312内に収納された被収納物(冬服)が出し入れ可能な状態となる(
図6(b)の下図、
図7(b)の下図参照)。
【0026】
ここで、収納部材2の他方端側(第二収納空間312側)を手前に引き出す(支持空間51から引き出す)操作を行うと、第二収納空間312の略全体が開放された状態となったときに仕切部材6の突出部62が支持部材5の接触部55に接触するから、当該引き出し操作の抵抗になる。つまり、仕切部材6(突出部62)は、収納空間31の一部である第二収納空間312が支持部材5の外側に飛び出た状態で、収納部材2の変位(支持空間51の外側に向かうスライド)を停止させるストッパ(引出操作ストッパ)として機能することになる。上述した通り、突出部62は撓み変形する部分であるが、接触部55を乗り越えるほど変形するためには相応の力が必要になるため、突出部62はストッパとして十分に機能する。このように、仕切部材6(突出部62)が支持空間51の入口近傍に設けられた接触部55に接触することで引き出し操作が停止されるから、第一収納空間311は支持空間51に収まった状態にある。すなわち、仕切部材6(突出部62)がストッパとして機能すれば、第一収納空間311は支持部材5の外側に飛び出た状態とはならない(
図6(b)の下図、
図7(b)の下図参照)。
【0027】
一方、収納部材2の他方端側(第二収納空間312側)を奥に押し込む(支持空間51に押し込む)操作を行うと、収納空間31の全体が支持空間51(支持部材5の内側)に収まった状態となったときに付属部材4の前板部41が支持部材5の他方側端面に接触するから、当該押し込み操作が停止され、それ以上収納部材2が変位しない状態となる(
図6(b)の上図、
図7(b)の上図参照)。つまり、本体部材3に対して着脱できる付属部材4(前板部41)が、収納部材2の変位(支持空間51の内側に向かうスライド)を停止させるストッパ(押込操作ストッパ)として機能することになる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態にかかる収納装置1は、収納部材2の一方端側を引き出すことで第一収納空間311に被収納物が出し入れ可能な状態となる第一使用態様と、収納部材2の他方端側を引き出すことで第二収納空間312に被収納物が出し入れ可能な状態となる第二使用態様とが切替自在である。換言すれば、収納空間31(第一収納空間311、第二収納空間312)に被収納物を収納したまま第一使用態様と第二使用態様とを切り替えることができる使い勝手のよいものである。上述したような衣類(夏服・冬服)の収納に用いるのであれば、季節の変化に応じて衣類を入れ替える必要がない(夏服と冬服の両方を収納空間31に収納したまま使用態様を変化すればよい)という利点がある。
【0029】
また、本実施形態では、第一使用態様で引き出し操作を行った際には第一収納空間311が支持部材5(支持空間51)よりも外側に飛び出た状態で、第二使用態様で引き出し操作を行った際には第二収納空間312が支持部材5(支持空間51)よりも外側に飛び出た状態で収納部材2の変位(スライド)を停止させる引出操作ストッパ(突出部62)を備える。第一使用態様および第二使用態様のいずれにおいても収納空間31の一部(使用しない空間。すなわち、第一使用態様の場合は第二収納空間312、第二使用態様の場合は第一収納空間311に相当する。)が支持部材5(支持空間51)の内側に留まった状態で収納部材2の変位が停止する(収納空間31の全体が外側に飛び出た状態にはならない)から、使い勝手がよい。
【0030】
上記引出操作ストッパ(突出部62)は、第一収納空間311と第二収納空間312の境界を基準として収納部材2の変位(スライド)を停止させるものであるから、本実施形態のように第一収納空間311と第二収納空間312を区切る区切部材に設けることができる。
【0031】
また、本実施形態では、第一使用態様および第二使用態様のいずれにおいても、収納部材2の押し込み操作を行った際に、収納空間31が支持部材5(支持空間51)の内側に収まった状態で収納部材2の変位(スライド)を停止させる押込操作ストッパ(前板部41)を備えるから、使い勝手がよい。
【0032】
上記押込操作ストッパ(前板部41)は、使用態様に応じ、取り付け位置を変更することができるもの(着脱自在であるもの)とすることが好ましい。
【0033】
以下、収納装置1の変形例(変形、改良、具体化等した例)を説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の各変形例を用いて説明する事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0034】
○変形例1
仕切部材6が収納部材2(本体部材3)に固定され、その位置を変化させることができない構成としてもよい。つまり、収納空間31を第一収納空間311と第二収納空間312に区切る箇所を変化させることができない構成としてもよい。例えば、収納空間31を略二分する箇所に仕切部材6が固定された構成としてもよい。
【0035】
ただし、上記実施形態のように、仕切部材6の取り付け位置を変化させることができる構成とすると、被収納物の内容等に応じ使用者が第一収納空間311と第二収納空間312の大きさを変化させることができるから、使い勝手がよいといえる。
【0036】
○変形例2
引出操作ストッパは、収納部材2の引き出し操作で変位するものであれば、仕切部材6以外の箇所に設けることができる。例えば、本体部材3の上端縁から上方に向かって突出した引出操作ストッパが設けられた構成とする。上記実施形態と同様に当該引出操作ストッパとなる部分は撓み変形可能なもの(軟質樹脂)とされる。また、支持部材5には引出操作ストッパと接触する位置に接触部55を設ける。
【0037】
ただし、上記実施形態のように、仕切部材6に引出操作ストッパ(突出部62)が設けられた構成とすることで、第一収納空間311と第二収納空間312の境界を基準として収納部材2の変位(スライド)を停止させる(第一収納空間311および第二収納空間312の一方が支持部材5(支持空間51)の外側に出て、他方が内側に留まった状態で収納部材2の変位(スライド)を停止させる)構造が必然的に構築されるという利点がある。
【0038】
○変形例3
仕切部材6が設けられていない構成としてもよい。つまり、上記実施形態のように、収納空間31が第一収納空間311と第二収納空間312に区切られていない構成としてもよい。仕切部材6が設けられていなくても、上記変形例2で説明したような引出操作ストッパを設けておけば、第一使用態様にて引き出し操作を行った際には収納空間31の一方端側の一部が支持部材5(支持空間51)よりも外側に飛び出た状態で収納部材2の変位(スライド)が停止され、第二使用態様にて引き出し操作を行った際には収納空間31の他方端側の一部が支持部材5(支持空間51)よりも外側に飛び出た状態で収納部材2の変位(スライド)が停止される。
【0039】
○変形例4
引出操作ストッパ(突出部62)が硬質材料(例えば硬質樹脂)で形成されたものとすることもできる。上記実施形態のように引出操作ストッパ(突出部62)が軟質材料(軟質樹脂)で形成されているのは、収納部材2(本体部材3)支持空間51に挿入することができるようにする(引出操作ストッパ(突出部62)が撓み変形して接触部55を乗り越えることができるようにする)ためであるところ、収納部材2(本体部材3)を支持空間51に挿入することができるのであれば、引出操作ストッパ(突出部62)を硬質材料で形成してもよい。
【0040】
例えば、
図8に示すように、支持部材5が分割された(第一支持部材5aと第二支持部材5bに分割された)ものとし、第一支持部材5aと第二支持部材5bの間に収納部材2(本体部材3)を挟み込むようにして収納装置1を組み立てることができるようにする。このようにすれば、引出操作ストッパ(突出部62)を撓み変形させることで収納部材2(本体部材3)を支持空間51に挿入する必要がなくなるため、引出操作ストッパ(突出部62)を硬質材料で形成することができる。上記実施形態のように仕切部材6に突出部62を設けるのであれば、仕切部61と突出部62が同じ硬質材料(硬質樹脂)で一体形成された構成とすればよい。
【0041】
本例のようにした場合、収納部材2を引き出し操作した際、硬質材料で形成された引出操作ストッパ(突出部62)が接触部55を乗り越えにくくなる(
図9参照)。つまり、引き出し操作の際に、引出操作ストッパ(突出部62)が接触部55を乗り越えて収納部材2が支持部材5から大きく外れてしまうおそれが低減される。
【0042】
○変形例5
押込操作ストッパの態様は上記実施形態のようなものに限られない。収納空間31(本体部材3)が支持空間51内に入り込んだ状態で支持部材5に接触し、それ以上の押し込み操作を不能とする構造のものであればよい。
【0043】
例えば、
図10に示すように、押込操作ストッパとして機能する部材が分割された(第一付属部材4aと第二付属部材4bに分割された)構成とすることが考えられる。第一使用態様とする際には、本体部材3の一方端側における幅方向両側に付属部材(第一付属部材4aと第二付属部材4b)が固定された第一形態とする。第二使用態様とする際には、本体部材3の他方端側における幅方向両側に付属部材(第一付属部材4aと第二付属部材4b)が固定された第二形態とする。第一使用態様および第二使用態様のいずれにおいても、第一付属部材4aと第二付属部材4bが支持部材5に接触することで、それ以上の押し込み操作ができない状態となる。
【0044】
ただし、上記実施形態のように、一つの付属部材4(前板部41)が押込操作ストッパとして機能するようにすることで、部品点数が少なくなる(本例のような構成とした場合よりも部品点数が少なくなる)、外観における分割箇所(部材の接続箇所)が少なくなる(本例のような構成とした場合よりも分割箇所が少なくなる)から意匠性に優れる、といった利点がある。
【0045】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 収納装置
2 収納部材
3 本体部材
31 収納空間(311 第一収納空間 312 第二収納空間)
4 付属部材
41 前板部(押込操作ストッパ)
42 取付片
5 支持部材
51 支持空間
55 接触部
6 仕切部材
61 仕切部
62 突出部(引出操作ストッパ)
【要約】
【課題】使い勝手のよい収納装置を提供すること。
【解決手段】被収納物が収納される収納空間31が形成された収納部材2が支持部材5に対して変位可能に設けられた収納装置1であって、使用者が前記収納部材2の一方端側を手前に引き出すことで前記収納空間31に被収納物を出し入れ可能な状態とする第一使用態様と、使用者が前記収納部材2の他方端側を手前に引き出すことで前記収納空間31に被収納物を出し入れ可能な状態とする第二使用態様と、が切替自在であることを特徴とする収納装置1とする。
【選択図】
図6