(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】ドレープセット
(51)【国際特許分類】
A61B 46/10 20160101AFI20241028BHJP
【FI】
A61B46/10
(21)【出願番号】P 2024537592
(86)(22)【出願日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 JP2023000233
【審査請求日】2024-06-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515075692
【氏名又は名称】リバーフィールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】新藤 広樹
(72)【発明者】
【氏名】溝次 佳
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/041401(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/263630(WO,A1)
【文献】特表2022-550275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 46/10 - A61B 46/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム部と、医療機器が接続される部分であって前記アーム部の先側に回転可能に接続された先側部と、を少なくとも備えたアームユニットを有する医療用装置の前記アーム部の少なくとも一部を覆うアームドレープ
と、前記先側部を覆う先側ドレープを有するドレープセットであって、
前記アームドレープは、
柔軟性を有するシート材が筒状に形成された本体部と、
前記本体部の
、前記先側部
と前記アーム部の間の接続部に対応する位置に形成された遠位開口部と、
前記アーム部の先側の所定箇所に備えられているアーム着脱部に着脱可能に取り付けられるアーム固定部と、
を備え、
前記先側ドレープは、
前記シート材が袋状形状に形成されたものであって、前記袋状形状の開口部である袋開口部の近傍に、前記袋開口部の周囲の部分を、前記袋開口部の縁辺に沿う方向に収縮させる収縮部を備え、
前記アーム固定部は、
前記アーム着脱部に取り付けられた際に、前記遠位開口部の縁辺の少なくとも一部が、前記接続部よりも前記先側部の側に配置されるように、前記アーム固定部の前記遠位開口部の側の端部が、前記遠位開口部の縁辺から所定の距離だけ離れた位置に配置され
ており、
前記遠位開口部は、前記先側ドレープにて覆われた前記先側部の少なくとも一部が内側に配置される開口が形成されるものであり、
前記遠位開口部は、前記先側部が回転動作を行う際に、前記収縮部によって収縮され、前記開口の内側に配置された前記袋開口部の周囲の部分が、前記遠位開口部の内側と接触することのない大きさの前記開口を形成することが可能な大きさを有している、
ドレープセット。
【請求項2】
前記アーム固定部は、棒状形状をしている、
請求項1に記載の
ドレープセット。
【請求項3】
前記アーム固定部は、前記棒状形状の延びる方向が、前記縁辺と交わる方向となるように備えられている、
請求項2に記載の
ドレープセット。
【請求項4】
前記アームドレープは、
前記本体部の元側に近位開口部を備え、
前記本体部は、前記近位開口部と向かい合い、前記縁辺と交わる向きに伸びる端辺部において、前記遠位開口部から前記端辺部に向かう向きに突出した突出部を備えおり、
前記アーム固定部は、前記突出部に配置されている、
請求項3に記載の
ドレープセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用装置が備えるアームユニットのアーム部を覆うアームドレープに関する。また本開示は、アームドレープを備えたドレープセットに関する。
【背景技術】
【0002】
手術用ロボットを用いた外科手術が広く行われるようになっている。この手術用ロボットを用いた外科手術では、手術用ロボットが備えるアームユニットの先側に、手術用の器具が接続されて、所望の手技が行われる。接続される手術用の器具としては、鉗子や電気メスなどが例示される。また、腹腔鏡手術などの際に、アームユニットを備えた内視鏡保持装置が用いられることも行われている。内視鏡保持装置は、そのアームユニットの先側に、内視鏡が接続されて使用される。
【0003】
内視鏡保持装置などの医療用装置が備えるアームユニットには、複数のアームパーツと、複数のジョイントと、が備えられている。アームユニットは、使用者の操作に従って作動して、接続された内視鏡などの医療機器を所望の位置に移動させ、その医療機器を、所望の姿勢で保持する。
【0004】
内視鏡保持装置などの医療用装置は、電気部品などが用いられているため、滅菌を行うことが難しい。このため、アームユニットなどの、患者や医療従事者に触れる可能性のある部分を、清浄なドレープで覆うことが行われている。
【0005】
このように、清浄なドレープを用いて、医療用装置の所定の部分を覆うことは、一般にドレーピングとも呼ばれている。以降において、手術室内において所定の清浄性が確保された領域を、清潔野とも記載する。また、所定の清浄性が確保されていない、清潔野よりも清浄性の劣る領域を、不潔野とも記載する。
【0006】
アームユニットをドレープで覆うことで、不潔野であるアームユニットを、清潔野から区画することができる。即ち、手術室内で作業を行う医療従事者が、不潔野であるアームユニットに、直接触れてしまうことが抑制される。あるいは、滅菌などを行って清浄な状態とした器具などが、不潔野であるアームユニットに、直接接触してしまうことが抑制される。
【0007】
特許文献1には、手術用ロボットを覆うドレープユニットが開示されている。このドレープユニットにおいて、手術用ロボットのアーム部の先側を覆うドレープと、アーム部の元側を覆うドレープとの間に、ベアリング構造が備えられている。ドレープユニットは、このベアリング構造が回転動作を行うことで、例えば手術用ロボットのアーム部の先側の部分が、アーム部の元側の部分に対して回転する動作を行った場合に、ドレープがねじれて破損してしまうことなどが抑制される。
【0008】
特許文献2には、ロボットデバイス用の手術ドレープが開示されている。この手術用ドレープは、所定の大きさを有するとともに、所定の形状をした開口部を有する第1のドレープ部分と、開口部に重なり、開口部の少なくとも一部を覆う第2のドレープ部分を備えている。第1のドレープ部分には、開口部の位置と、ドレーピングが行われるロボットデバイスの所定の部分の位置とが、位置合わせされた状態を維持するための固定要素が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6806407号公報
【文献】特表2022-515864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1にて開示されている技術では、ベアリング構造が回転動作を行う際に、そのベアリング構造の内部で生じる摩擦が、手術用ロボットのアーム部の回転動作の抵抗になってしまうという問題があった。また、特許文献2にて開示されている技術では、固定要素が開口部から離れた位置に備えられているため、ロボットデバイスが作動した際に、開口部が、位置合わせをした位置からずれてしまう場合があるという問題があった。
【0011】
本開示は、位置合わせを行ったドレープを適切な位置に配置できるとともに、配置された状態が維持されやすい、アームユニットのアーム部を覆うアームドレープに関する。また本開示は、アームドレープを備えた、ドレープセットに関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、以下の手段を提供する。
本開示の一局面であるアームドレープは、アーム部と、医療機器が接続される部分であって前記アーム部の先側に回転可能に接続された先側部と、を少なくとも備えたアームユニットを有する医療用装置の前記アーム部の少なくとも一部を覆うアームドレープであって、前記アームドレープは、柔軟性を有するシート材が筒状に形成された本体部と、前記本体部の前記先側部に対応する位置に形成された遠位開口部と、前記アーム部の先側の所定箇所に備えられているアーム着脱部に着脱可能に取り付けられるアーム固定部と、を備え、前記アーム固定部は、その前記遠位開口部の側の端部が、前記遠位開口部の縁辺から所定の距離だけ離れた位置に配置されるように、前記遠位開口部の近傍に備えられている。
【0013】
このように構成されたアームドレープによれば、遠位開口部の近傍にアーム固定部が備えられているため、遠位開口部が、所望の位置に配置された状態から動いてしまうことが抑制される。また、アーム固定部をアーム着脱部に取り付けると、遠位開口部の縁辺が所定の位置に配置される。即ち、遠位開口部の縁辺を所望の位置に配置しやすい。また、遠位開口部の縁辺が、所望の位置に配置された状態が維持される。即ち、アームドレープが適切な位置に配置された状態が維持される。
【0014】
本開示の一局面において、アームドレープは、前記アーム部に配置され、前記アーム固定部が前記アーム着脱部に取り付けられた際に、前記縁辺の少なくとも一部が、前記アーム部と前記先側部との間の接続部よりも前記先側部の側に配置されるように形成されていることが好ましい。
【0015】
このように構成されたアームドレープによれば、アーム固定部を着脱部に取り付けると、遠位開口部の縁辺が、接続部よりも先側部の側に配置され、接続部の周囲が、アームドレープの遠位開口部の近傍の部分によって囲まれた状態となる。このため、接続部が露出してしまうことが抑制される。即ち、作業者が接続部に直接接触してしまうことが抑制される。
【0016】
本開示の一局面において、アーム固定部は、棒状形状をしていることが好ましい。
このように構成されたアームドレープによれば、アーム固定部をアーム着脱部に取り付けると、アームドレープのアーム固定部の周囲の部分は、アーム部に対して、棒状のアーム固定部が延びる方向に沿って線状に固定される。即ち、アームドレープのアーム固定部の周囲の部分は、アーム部に対してしっかりと固定される。
【0017】
本開示の一局面において、前記アーム固定部は、前記棒状形状の延びる方向が、前記縁辺と交わる方向となるように備えられていることが好ましい。
【0018】
このように構成されたアームドレープによれば、遠位開口部を所定の位置に配置した状態で、アーム固定部をアーム着脱部に取り付けたり、取り外したりする作業が行いやすい。
【0019】
本開示の一局面において、前記アームドレープは、前記本体部の元側に近位開口部を備え、前記本体部は、前記近位開口部と向かい合い、前記縁辺と交わる向きに伸びる端辺部において、前記遠位開口部から前記端辺部に向かう向きに突出した突出部を備えおり、前記アーム固定部は、前記突出部に配置されていることが好ましい。
【0020】
このように構成されたアームドレープによれば、遠位開口部を所定の位置に配置した状態で、アーム固定部をアーム着脱部に取り付けたり、取り外したりする作業が行いやすい。また、アーム固定部をアーム着脱部に取り付ける際に、アームドレープの先側の部分が損傷してしまうことが抑制される。また、アームドレープを畳んだり、包装したりする際に、アーム固定部が邪魔になりにくい。
【0021】
本開示の一局面であるドレープセットは、前記医療器機保持装置を覆うドレープセットであって、上記のいずれかに記載のアームドレープと、前記先側部を覆う先側ドレープを備えている。
【0022】
このように構成されたドレープセットによれば、アーム部を覆うドレープ材であるアームドレープと、先側部を覆うドレープ材である先側ドレープが、別体として構成されている。そして、アームドレープと、先側ドレープとの間に、ベアリング構造などの構成が設けられていない。このため、先側部が回転動作を行う際に、アームドレープと、先側ドレープとの間に、不要な摩擦が生じることが抑制される。即ち、アームドレープと、先側ドレープとの間に、不要な摩擦が生じることが抑制され、先側部の回転動作の妨げとなることが抑制される。
【発明の効果】
【0023】
本開示のアームドレープ、及びドレープセットによれば、アームドレープを適切な位置に配置することを容易に行うことができるとともに、アームドレープが適切な位置に配置された状態からずれてしまうことが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示によるドレープセットによってドレーピングが行われる内視鏡保持装置を説明する図である。
【
図2】内視鏡保持装置のアームユニットが、ドレープセットによって覆われている状態の一例を説明する図である。
【
図3】内視鏡保持装置のアームユニットを説明する図である。
【
図4】内視鏡保持装置のアームユニットを説明する図である。
【
図5】内視鏡保持装置のアームユニットを説明する図である。
【
図6】本開示によるドレープセットのアームドレープを説明する図である。
【
図7】本開示によるドレープセットの先側ドレープを説明する図である。
【
図8】本開示によるドレープセットの補助ドレープを説明する図である。
【
図9】本開示による先側ドレープと補助ドレープを説明する図である。
【
図10】本開示によるドレープセットを用いたアームユニットのドレーピング方法を説明する図である。
【
図11】本開示によるドレープセットを用いたアームユニットのドレーピング方法を説明する図である。
【
図12】本開示によるドレープセットを用いたアームユニットのドレーピング方法を説明する図である。
【
図13】本開示によるドレープセットを用いたアームユニットのドレーピング方法を説明する図である。
【
図14】本開示によるドレープセットを用いたアームユニットのドレーピング方法を説明する図である。
【
図15】本開示によるドレープセットを用いたアームユニットのドレーピング方法を説明する図である。
【
図16】本開示によるドレープセットを用いたアームユニットのドレーピング方法を説明する図である。
【
図17】本開示によるドレープセットを用いたアームユニットのドレーピング方法を説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0025】
1…内視鏡保持装置,5…アームユニット,10…アーム部,10A…先側領域,11A~11D…アームパーツ,13A~13D…ジョイント,15…先側部,16…ホルダ部,16A…ホルダ本体,16B…ホルダ着脱部,16C…ホルダ基部,16D…ホルダ底部,16E…下側面,17…回転部,17A…回転基部,17B…溝部,19…ジョイント部,21…先端部,23…アーム着脱部,23A…端面,25…先側着脱部,50…装置本体,51…基部,52…モニタ,70…内視鏡,100…ドレープセット,200…アームドレープ,201,301,401…シート材,210…本体部,220…元側部,220A…上側領域,230…アーム固定部,240…先端側部,240A…突出部,250A,250B…固定テープ,260…遠位開口部,260A,270A…開口,260C…縁辺部,270…近位開口部,280…端辺,300…先側ドレープ,310…袋状部,320…袋開口部,320A…開口,320B…縁辺部,325…収縮部,330…先側固定部,350…マーク部,370…底部,400…補助ドレープ,410…筒状部,460…遠位開口部,470…近位開口部,460A,470A…開口
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の一実施形態に係るドレープセットについて、
図1から
図16を参照しながら説明を行う。以降の説明において、前後、左右、上下等の方向は、特に断りのない限りそれぞれ図中に示す方向とする。
【0027】
なお、各図に付された方向を示す矢印、破線、及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された技術内容は、各図に付された方向に限定されない。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0028】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示されたドレープセットは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0029】
本開示のドレープセット100は、
図2等に示されているように、内視鏡を用いた外科手術に用いられる内視鏡保持装置1(
図1等参照。)のアームユニット5の少なくとも一部を覆うドレープ材である。本開示における内視鏡保持装置1が、医療用装置の一例である。
【0030】
1.内視鏡保持装置(医療用装置)の説明
はじめに、本開示のドレープセット100が用いられる内視鏡保持装置1について説明を行う。内視鏡保持装置1は、内視鏡70を、所望の位置において、所望の姿勢で支持する装置である。内視鏡70は、眼科領域で用いられる眼科用内視鏡である。即ち内視鏡保持装置1は、眼科領域の診断や、眼科領域の手術などの際に用いられる眼科用内視鏡を保持する医療用装置である。
【0031】
内視鏡保持装置1に接続される内視鏡は、他の医科分野に用いられる内視鏡であってもよく、眼科用内視鏡に限定されない。例えば、内視鏡保持装置1に接続される内視鏡は、腹腔鏡外科手術にて用いられる腹腔鏡であったり、他の医科分野にて用いられる内視鏡であったりしてもよい。
【0032】
内視鏡保持装置1は、
図1に示されているように、装置本体50と、アームユニット5とを備えている。装置本体50は、モニタ52を備えている。内視鏡70にて撮影された映像は、モニタ52に表示される。
【0033】
アームユニット5は、
図1に示されているように、アーム部10と、先側部15とを備えている。アーム部10は、アームパーツ11A~11Dと、ジョイント13A~13Dとを備えている。アーム部10は、
図1に示されているように、ジョイント13Dを介して装置本体50の基部51に、回転可能に接続されている。以降の説明において、基部51に近い側を近位側、又は元側、あるいは後側とも記載する。また、基部51から遠い側を遠位側、又は先側、あるいは前側とも記載する。
【0034】
図1~2等に示されているように、アームパーツ11Aは、ジョイント13Aを介して、アームパーツ11Bの先側に、回転可能に接続されている。アームパーツ11Aは、軸線VA1を中心に回転可能に、アームパーツ11Bの先側に接続されている。軸線VA1は、
図2~4に示されているように、ジョイント13Aの所定箇所をとおり、垂直方向(
図3,4におけるY1Y2方向)に延びる軸線である。
【0035】
図1,2に示されているように、アームパーツ11Bの元側は、ジョイント13Bを介して、アームパーツ11Cの先側に回転可能に接続されている。アームパーツ11Cの元側は、ジョイント13Cを介して、アームパーツ11Dの先側に回転可能に接続されている。アームパーツ11Dの元側は、ジョイント13Dに回転可能に接続されている。
【0036】
即ちアーム部10は、使用者の操作に従って、その姿勢が変更されて、先側に接続されている先側部15を、所望の位置で支持する多関節型のロボットアームである。
【0037】
アーム部10の先側には、
図3~5等に示されているように、先側部15が、ジョイント部19を介して回転可能に接続されている。ジョイント部19は、アームパーツ11Aの先側の端部である先端部21と、先側部15の回転部17との間に配置されたジョイントである。
【0038】
先端部21には、
図2~5等に示されているように、詳細は後述するアーム固定部230が着脱可能に嵌合される、アーム着脱部23が備えられている。アーム着脱部23は、
図2~5等に示されているように、円柱形状をしたアーム固定部230に対応した形状を有する、上下方向(
図3~5におけるY1Y2方向)に延びる溝である。アーム着脱部23は、円中形状のアーム固定部230を、着脱可能に取り付けることができる形状をした溝である。アーム着脱部23は、アーム固定部230を、着脱可能に取り付けることができれば、
図2~5等に示されている形状とは異なる形状を有していてもよい。
【0039】
先側部15は、
図3~5等に示されているように、ホルダ部16と、回転部17とを備えている。ホルダ部16は、
図2~4,
図16に示されているように、内視鏡70が接続される部分である。ホルダ部16は、
図3,4に示されているように、ホルダ本体16Aと、ホルダ着脱部16Bと、ホルダ基部16Cとを備えている。
【0040】
ホルダ本体16Aは、
図5に示されているように、軸線HAを中心に回転可能に、回転部17に接続されている。ホルダ本体16Aの回転可能な方向は、
図5において矢印にて示されている。軸線HAは、回転部17の所定の箇所をとおり、軸線VA2と交わる方向に延びる軸線である。ホルダ本体16Aの先側(
図3~5におけるX1の側)には、
図3~5等に示されているように、先側着脱部25が備えられている。先側着脱部25は、詳細は後述する先側固定部330が着脱可能に接続される部分である。先側着脱部25は、軸線HAと同じ方向に延びる溝である。先側着脱部25は、先側固定部330を、着脱可能に取り付けることができる形状をした溝である。先側着脱部25は、先側固定部330を、着脱可能に取り付けることができれば、
図3~5等に示されている形状とは異なる形状を有してもよい。
【0041】
ホルダ着脱部16Bと、ホルダ基部16Cとは、
図3~4,
図16に示されているように、内視鏡70を、ホルダ本体16Aに固定する部分である。ホルダ着脱部16Bと、ホルダ基部16Cとは、その間に内視鏡70の本体71を挟んで固定する。ホルダ着脱部16Bは、ホルダ基部16Cとの間に本体71を挟んだ状態で、ホルダ基部16Cに着脱可能に固定される。
【0042】
ホルダ基部16Cは、
図3~5に示されているように、ホルダ本体16Aの下側面16Eに、スライドして移動することができるように接続されている。ホルダ基部16Cは、
図3~4において矢印Sにて示されている方向(
図3~4におけるX1X2方向)に、スライドして移動することができるように、下側面16Eに接続されている。ホルダ基部16Cは、使用位置P1から、退避位置P2に向かってスライド移動できるように下側面16Eに接続されている。また、ホルダ基部16Cは、退避位置P2から使用位置P1に向かってスライド移動できるように下側面16Eに接続されている。使用位置P1は、内視鏡70が使用される際にホルダ基部16Cが配置される位置である。退避位置P2は、詳細は後述する退避機能によって、内視鏡70が近位側に退避された際に、ホルダ基部16Cが配置される位置である。
【0043】
ホルダ部16は、使用者の操作に従って、接続された内視鏡70を近位側(元側)に退避させる退避機能を有している。具体的に説明をすると、ホルダ部16は、使用者の操作に従って、ホルダ基部16Cの配置位置を、使用位置P1から、退避位置P2に迅速に移動させる機能を有している。
【0044】
退避機能は、ホルダ基部16Cの配置位置を、使用位置P1から退避位置P2に迅速に移動させることによって、内視鏡70の先側の挿入部72を、患者の外側に引き抜く機能である。この退避機能は、例えば挿入部72が患者に挿入された状態で、患者が動いてしまった場合などに、使用者の操作によって作動される。
【0045】
退避機能が作動されると、ホルダ基部16Cは、バネなどの張力によって、使用位置P1から、退避位置P2に迅速に移動させる。ホルダ基部16Cは、他の手段によって、使用位置P1から退避位置P2に、迅速に移動するように構成されていてもよい。
図3,5,14,16には、ホルダ基部16Cが、退避位置P2に配置されている状態が図示されている。
図4には、内視鏡70が使用位置P1に配置されている状態が示されている。
【0046】
回転部17は、
図3,4に示されているように、ジョイント部19を介して、軸線VA2を中心に回転可能に、先端部21に接続されている。軸線VA2は、先端部21の所定箇所をとおり、垂直方向(
図3,4におけるY1Y2方向)に延びる軸線である。回転部17は、その先端部21の側に、円柱形状をした回転基部17Aを備えている。回転基部17Aは、ジョイント部19を介して先端部21に接続されている。回転基部17Aには、
図3~5等に示されているように、その側面に沿って溝17Bが備えられている。この溝17Bは、詳細は後述する先側ドレープ300の収縮部325が嵌め込まれて取り付けられる部分である。
【0047】
図3,4,5,15等に示されているように、先側部15と、アーム部10との間には隙間があいている。具体的には、
図3,4等に示されているように、回転基部17Aの先端部21の側を向く面である上側面17Cと、先端部21の回転部17の側を向く面である下側面21Cとの間には、隙間があいている。この上側面17Cと、下側面21Cとの間の隙間から、ジョイント部19の一部が露出した状態となっている。以降において、上側面17Cと、下側面21Cとの間から露出しているジョイント部19の部分を、接続部19Aとも記載する。
【0048】
2.ドレープセットの説明
次に、本開示に係るドレープセット100について説明を行う。
本開示のドレープセット100は、アームドレープ200と、先側ドレープ300と、補助ドレープ400と、を備えている(
図2,12,13等参照。)。アームドレープ200と、先側ドレープ300と、補助ドレープ400とは、柔軟性のあるシート材が、それぞれ所定の形状に形成されたものである。
【0049】
2-1. アームドレープについて
アームドレープ200は、
図2,
図13~16等に示されているように、アーム部10の先側の一部を覆うドレープ材である。アームドレープ200は、アーム部10の先端部21から、アームパーツ11Bにおけるジョイント13Aとジョイント13Bの間の部分までの領域を覆うドレープ材である。アームドレープ200は、アームパーツ11Aと、ジョイント13Aと、アームパーツ11Bの先側の少なくとも一部と、を覆うことができる大きさを有している。換言すれば、アームドレープ200は、作業者や、内視鏡保持装置1の使用者が、接触する可能性のあるアーム部10の先側(遠位側)の部分を、覆うことができる大きさを有している。
【0050】
以降において、このアームドレープ200が覆うアーム部10の先側の領域を、先側領域10Aとも記載する。即ち、先端部21から、アームパーツ11Bのジョイント13Aと、ジョイント13Bとの間の所定の位置までの領域を、先側領域10Aとも記載する(
図2参照。)。先側領域10Aの範囲は、作業者や、内視鏡保持装置1の使用者が、接触する可能性のあるアーム部10の先側(遠位側)の範囲であれば、上記の範囲に限定されない。
【0051】
アームドレープ200は、無色透明で柔軟性のあるシート材201が、筒状形状に形成されたものである。アームドレープ200の先側の部分は、
図6に示されているようなL字形状に形成されている。アームドレープ200は、本体部210と、近位開口部270と、遠位開口部260とを備えている。
【0052】
遠位開口部260は、遠位開口部260は、本体部210の先側(
図6におけるX1の側)において、開口260Aが形成される部分である。遠位開口部260は、線状接合部240Lの前側(
図6におけるX1側)の端部aと、線状接合部280Lの下側(
図6におけるY2側)の端部との間の縁辺部260Cの近傍の領域であって、仮想線K1と仮想線K2に囲まれた部分である。仮想線K1は、詳細は後述するアーム固定部230の下側(
図6におけるY2側)の端部230Aをとおり縁辺部260Cと平行に延びる仮想の直線である。仮想線K2は、端部aをとおり縁辺部260Cと交わる方向に延びる仮想の直線である。
【0053】
近位開口部270は、本体部210の元側(
図6におけるX2の側)において、開口270Aが形成される部分である。近位開口部270は、
図6における辺部270Bの近傍の部分で、辺部270Bと、辺部270と平行に延びる線部270Cとの間の部分である。
【0054】
図6には、アームドレープ200が、その筒状形状の内側の面が互いに接触するようにして平面状に畳まれた状態が示されている。即ち、
図6には、平面状に畳まれたアームドレープ200の一方の側の面が示されている。以降において、
図6における紙面の表側に現れているシート材201の部分を、シート材201Aとも記載する。また、シート材201Aと同じ形状を有し、
図6の紙面の裏側に配置されているシート材201の部分をシート材201Bとも記載する。即ち、
図6には、アームドレープ200が畳まれて、シート材201Aと、シート材201Bとが、平面状に重ねられた状態が示されている。
【0055】
図6において、シート材201Aと、シート材201Bとは、少なくとも辺部210Aと、辺部210Bとにおいてつながっている。また、シート材201Aと、シート材201Bとは、辺部220Bの近傍の、辺部220Bと同じ方向に延びる線状接合部220Lにて接合されている。また、シート材201Aと、シート材201Bとは、辺部240Bの近傍の、辺部240Bと同じ方向に延びる線状接合部240Lにて接合されている。シート材201Aと、シート材201Bとは、線状接合部240Lの端部aから、端部aよりも上側(
図6におけるY1の側)の位置にある端部bに向かって延びる線状接合部245Lにて接合されている。線状接合部220Lと線状接合部240Lは、それぞれが交わる箇所にてつながっている。シート材201Aと、シート材201Bとは、縁辺部260Cと交わる方向に延びる端辺280の近傍の、端辺280と同じ方向に延びる線状接合部280Lにて接合されている。
【0056】
図6において、シート材201Aと、シート材201Bとは、近位開口部270において、接合されていない。また、シート材201Aと、シート材201Bとは、遠位開口部260において接合されていない。また、シート材201Aと、シート材201Bとは、辺部210A,210B,線状接合部280L,245L,240L,220L,辺部270Bにて囲まれた領域において、接合されたり、つながったりしていない。
【0057】
近位開口部270において、シート材201Aを、
図6における紙面の手前側に引っ張り、シート材201Bを、
図6における紙面の奥側に引っ張って、シート材201Aと、シート材201Bとが離れた状態とすると、シート材201Aと、シート材201Bとの間に、開口270Aが形成される(
図11等参照。)。以降において、重ねられたシート材を引き離して、その間に開口を形成することを、開くとも記載する。また、重ねられたシート材が引き離されて、開口が形成された状態を、開いた状態とも記載する。開口270Aは、アームドレープ200をアーム部10に配置する際に、先側部15や先側領域10Aが挿入される部分である。
【0058】
遠位開口部260において、シート材201A,201Bを開いた状態とすると、
図14~16に示されているように、開口260Aが形成される。遠位開口部260は、アームドレープ200が、先側領域10Aに配置された際に、その内側に接続部19Aや、回転基部17Aの少なくとも一部が配置される部分である(
図14~16等参照。)。遠位開口部260は、接続部19Aに対応する位置に設けられている。
【0059】
遠位開口部260は、先側部15と、先側領域10Aとを通過させることができる大きさの、開口260Aが形成されるように構成されている。すなわち線状接合部240L,245Lは、先側部15と、先側領域10Aとを通過させることができる大きさの開口260Aを形成できるように、それぞれが設けられている。
【0060】
図6において、線状接合部245Lは、線状接合部240Lの端部aから、斜めに上側(
図6においてY1の側)に向かって延びている。一方、線状接合部245Lは、遠位開口部260を開いた際に、先側部15と、先側領域10Aと、を通過させることができる大きさの開口260Aを形成できれば、上記とは異なる向きで、端部aから上側(
図6においてY1の側)に向かって延びていてもよい。換言すれば、線状接合部245Lの端部bは、遠位開口部260を開いた際に、先側部15と、先側領域10Aと、を通過させることができる大きさの開口260Aを形成できる位置であって、線状接合部240Lよりも上側の位置であれば、
図6とは異なる位置に配置されていてもよい。
【0061】
以降において、アームドレープ200の、線状接合部220Lよりも後側(
図6においてX2の側)の領域を、元側部220と記載する。また、元側部220の前側(
図6においてX1の側)の、シート材201Aと、シート材201Bとが接合されていない領域である上側領域220Aから、前側(
図6におけるX1側)に向かって延出する部分を、先端側部240とも記載する。
【0062】
先端側部240は、アームドレープ200がアーム部10に配置された際に、先側領域10Aの先側に配置される部分である。具体的には、アームパーツ11Aの先側の少なくとも一部を覆うように配置される部分である。元側部220は、アームドレープ200がアーム部10に配置された際に、先側領域10Aの元側の部分に配置される部分である。具体的には、アームパーツ11Aの元側や、アームパーツ11Bに配置される部分である。
【0063】
先端側部240の前側(
図6におけるX1の側)には、
図6に示されているように、端辺280よりも前側(
図6におけるX1の側)に突出した突出部240Aが備えられている。この突出部240Aには、アーム固定部230が備えられている。アーム固定部230は、アーム着脱部23に着脱可能に取り付けることができる大きさを有した、円柱形状の樹脂製のチューブである。アーム固定部230は、他の素材が円柱形状に形成されたものであってもよい。アーム固定部230は、アーム着脱部23に着脱可能に取り付けることができる形状であれば、円柱形状以外の形状を有していてもよい。
【0064】
アーム固定部230は、シート材201Aと、シート材201Bとの間に挟まれた状態で、その周囲の部分が線状に貼り合わされて、突出部240Aに固定されている。アーム固定部230は、他の方法によって、突出部240Aに固定されていてもよい。
【0065】
アーム固定部230は、その下側(
図6におけるY2の側)の端部230Aと、縁辺部260Cとの間の、上下方向(
図6におけるY1Y2方向)の距離が、所定の距離Gとなるように配置されている。即ち、アーム固定部230は、その端部230Aの上下方向(Y1Y2方向)の位置が、縁辺部260Cの前側(
図6におけるX1の側)の端部から、端辺280に沿って所定の距離Gだけ離れた位置となるように配置されている。距離Gは、端部230Aが、アーム着脱部23の端面23Aと同じ位置となるようにして、アーム固定部230をアーム着脱部23に取り付けた際に、縁辺部260Cが、接続部19Aよりも先側部15の側に配置される長さである(
図15参照。)。端面23Aは、アーム着脱部23の下側(
図3~5におけるY2の側)の端面である。
【0066】
アーム固定部230は、その円柱形状の高さ方向が、端辺280が延びる方向と同じになるように、突出部240Aに配置されている。即ち、アーム固定部230が延びる方向が、縁辺部260Cと交わる方向となるように、突出部240Aに配置されている。
【0067】
遠位開口部260は、
図15等に示されているように、アーム部10に配置され際に、その内側の部分や、縁辺部260Cが、先側部15に配置された先側ドレープ300と接触することのないように形成されている。遠位開口部260は、アーム部10に配置された際に、その内側の部分や、縁辺部260Cが、先側部15に配置された先側ドレープ300と接触することのない大きさの開口260Aが形成できる大きさを有している。換言すれば、線状接合部240L、及び線状接合部245Lは、そのような大きさの遠位開口部260が形成されるように、設けられている。
【0068】
アームドレープ200には、
図6に示されているように、上下方向(
図6におけるY1Y2方向)に延びる、帯状の固定テープ250A,250Bが備えられている。固定テープ250A,250Bは、
図16に示されているように、先側領域10Aにアームドレープ200を配置した後に、アームパーツ11Aやアームパーツ11Bなどの周囲に巻き付けて、アームドレープ200を固定するために用いられる。
【0069】
アームドレープ200は、近位開口部270の開口270Aから、先側部15を挿入して、その内側にアームユニット5の先側領域10Aを配置することができる大きさを有している。即ち、元側部220は、近位開口部270から挿入された、先側部15と、アームユニット5の先側領域10Aとを、先端側部240に向かって通過させるとともに、先側領域10Aの元側(近位側)の部分を、その内側に配置することができる程度の大きさを有している。また先端側部240は、元側部220を通過して挿入された先側部15を、端辺280の近くまで挿入させ、更に、遠位開口部260の開口260Aを通過させて、アームドレープ200の外側に配置することができる大きさを有している。更に先端側部240は、その内側に、挿入された先側領域10Aの先側の部分を、その内側に配置することができる大きさを有している。
【0070】
2-2. 先側ドレープについて
先側ドレープ300は、
図2,
図11~16等に示されているように、先側部15を覆うドレープ材である。先側ドレープ300は、無色透明で柔軟性のあるシート材301が、袋状に形成されたものである。
【0071】
先側ドレープ300は、
図7に示されているように、袋状形状をした袋状部310と、袋状形状の開口である袋開口部320を備えている。
図7には、先側ドレープ300が、その袋状形状の内側の面が互いに接触するようにして、平面状に畳まれた状態が示されている。即ち
図7には、平面状に畳まれた先側ドレープ300の、一方の側の面が示されている。
図7には、説明のために、詳細は後述する収縮部325が収縮していない状態が示されている。即ち、袋開口部320が、収縮部325によって収縮されていない状態が示されている。
【0072】
以降において、
図7における紙面の表側に現れているシート材301の部分を、シート材301Aとも記載する。また、シート材301Aと同じ形状を有し、
図7の紙面の裏側に配置されているシート材301の部分を、シート材301Bとも記載する。即ち、
図7には、袋状の形状を有する先側ドレープ300が平面状に畳まれて、シート材301Aと、シート材301Bとが重ねられた状態が示されている。
【0073】
図7において、シート材301Aと、シート材301Bとは、辺部310Aと、辺部310Bと、辺部310Cとにおいてつながっている。
図7において、シート材301Aと、シート材301Bとは、上記以外の部分では、つながったり、接合されたりしていない。
【0074】
袋開口部320は、開口320Aが形成される部分である。袋開口部320は、先側部15を通過させることができる大きさの開口320Aを形成できる大きさを有している。また袋状部310は、その内側に先側部15を配置することができる大きさを有している。更に袋状部310は、その内側に配置されたホルダ部16の動作の妨げとなることのない大きさを有している。例えば、ホルダ本体16Aが、回転動作を行う際に、ホルダ本体16Aの一部が袋状部310に引っかかるなどして、その動きが阻害されてしまうことが生じることのない、十分な大きさを有している。更に袋状部310は、その内側に配置されたホルダ部16の、詳細は後述する退避機能による動作の妨げとなることのない、十分な大きさを有している。
【0075】
袋開口部320は、シート材301が、縁辺部320Bにおいて、辺部310Cの側に向かって折り返されて形成された部分である。この折り返されたシート材301の端側の辺部320Cは、重ねられた側のシート材301に接合されている。
【0076】
袋開口部320には、縁辺部320Bの近傍に、線状の収縮部325が、縁辺部320Bに沿って備えられている。収縮部325は、袋状部310を構成するシート材301と、縁辺部320Bにて折り返されたシート材301との間に挟まれて配置されている。収縮部325は、収縮性を有するゴム素材が線状に形成されたものであり、袋開口部320を、縁辺部320Bに沿った方向に収縮させる部分である。
【0077】
収縮部325は、袋開口部320を縁辺部320Bに沿った方向に収縮させることができれば、ゴム素材以外の素材が用いられてもよい。あるいは収縮部325は、袋開口部320を縁辺部320Bに沿った方向に収縮することができれば、収縮性を有しない素材が用いられてもよい。例えば収縮部325として、収縮性を備えない素材から構成された紐が用いられてもよい。そして、その紐の両端が引っ張られることで、袋開口部320が収縮するように構成されていてもよい。
【0078】
先側ドレープ300には、
図7に示されているように、端部370Bに、先側固定部330が備えられている。端部370Bは、袋状部310底側の底部370の、辺部310Bの側の端の部分である。底部370は、辺部310Cの近傍の領域であり、袋状形状をした袋状部310の底側となる部分である。端部370Bが、第1端部の一例である。
【0079】
先側固定部330は、先側着脱部25に着脱可能に取り付けることができる大きさを有した、円柱形状の樹脂製のチューブである。先側固定部330は、他の素材が円柱形状に形成されたものであってもよい。また先側固定部330は、先側着脱部25に着脱可能に取り付けることができれば、他の形状を有していてもよい。
【0080】
先側固定部330は、シート材301Aとシート材301Bとの間に挟まれて、端部370Bに配置された状態で、その周囲のシート材301Aと、シート材301Bとが接合されて、固定されている。先側固定部330は、他の方法によって端部370Bに固定されていてもよい。
【0081】
先側固定部330は、その円柱形状の高さ方向が、底部370の延びる方向と同じになるように配置されている。換言すれば、先側固定部330は、その伸びる向きが、端部370Bから、底部370の、端部370Bとは反対の側の端部370Aに向かう方向と同じになるように配置されている。端部370Aが、第2端部の一例である。
【0082】
底部370には、マーク部350が備えられている。マーク部350は、
図7等に示されているように、先側固定部330から、端部370Aの向きに第袋状部310に沿って所定の距離L1だけ離れた位置に配置されている。具体的には、マーク部350と、先側固定部330の円柱形状の高さ方向の中心部との間の、辺部310Cが延びる方向の距離が、距離L1となる位置に、マーク部350は配置されている。距離L1は、ホルダ基部16Cが退避位置P2に配置されている状態における、先側着脱部25とホルダ底部16Dの間の距離L2(
図5参照。)と同じか、距離L2よりも長い。
【0083】
マーク部350は、先側ドレープ300を、先側部15に対して適切に配置するための目印として用いられる部分である。マーク部350は、使用者が、目視によって、マーク部350の周囲の部分と区別することができるように構成されている。具体的に説明を行うと、マーク部350は、底部370の所定の箇所が、非透光性の塗料が塗られた部分である。マーク部350は、目視によって、マーク部350の周囲の部分と区別することができれば、他の方法によって、先側ドレープ300の所定の部分に設けられてもよい。
【0084】
2-3. 補助ドレープについて
補助ドレープ400は、
図10~13等に示されているように、アームドレープ200と、先側ドレープ300とを、アームユニット5に配置する際に使用されるドレープ材である。
【0085】
補助ドレープ400は、
図8に示されているように、柔軟性のあるシート材401が筒状形状に形成されたものである。
図8には、補助ドレープ400が、その筒状形状の内側の面が互いに接触するようにして、平面状に畳まれた状態が示されている。即ち、
図8には、平面状に畳まれた補助ドレープ400の一方の側の面が示されている。
【0086】
以降において、
図8における紙面の表側に現れているシート材401の部分を、シート材401Aとも記載する。また、シート材401Aと同じ形状を有し、
図8の紙面の裏側に配置されているシート材401の部分を、シート材401Bとも記載する。即ち
図8には、シート材401Aと、シート材401Bとが、平面状に重ねられた様子が示されている。
【0087】
図8において、シート材401Aと、シート材401Bとは、辺部410Aと、辺部410Bとにおいてつながっている。
図8において、シート材401Aと、シート材401Bとは、上記以外の部分ではつながったり、接合されたりしていない。
【0088】
補助ドレープ400は、筒状部410と、遠位開口部460と、近位開口部470とを備えている。遠位開口部460は、開口460Aが形成される部分である。近位開口部470は、開口470Aが形成される部分である。筒状部410は、開口460A,470Aを有する筒状形状となる部分である。
【0089】
補助ドレープ400は、近位開口部470から、先側部15と、先側領域10Aとを挿入して、先側領域10Aと、先側部15とを、その内側に配置して覆うことができる大きさを有している。また、遠位開口部460は、先側部15と、先側領域10Aと、をその内側を通過させることが可能な開口460Aを形成できる大きさを有している。即ち、補助ドレープ400は、その内側に、先側領域10Aと、先側部15とが配置された状態から、遠位開口部460を、近位開口部470の近くまで引き寄せることができるように構成されている。
【0090】
シート材401は、シート材201、及びシート材301と異なり、色彩を有する素材によって構成されている。シート材401は、アームドレープ200の下側に補助ドレープ400を配置して、アームドレープ200の側から目視で確認した際に、補助ドレープ400を識別できる色彩を有している。また、シート材401は、先側ドレープ300の下側に補助ドレープ400を配置して、アームドレープ200の側から目視にて確認した際に、補助ドレープ400を識別できる色彩を有している。
【0091】
補助ドレープ400は、
図9に示されているように、補助ドレープ400の遠位開口部460の側が、先側ドレープ300の内側に挿入された状態で、使用者に提供される。具体的には、補助ドレープ400は、遠位開口部460の側が窄められて、窄められた遠位開口部460の側の部分が、先側ドレープ300の内側に挿入された状態で、先側ドレープ300とともに包装され、使用者に提供される。
図9には、遠位開口部460の側が窄められた補助ドレープ400と、袋開口部320が、収縮部325によって収縮された先側ドレープ300が示されている。補助ドレープ400の遠位開口部460の側が、先側ドレープ300の内側に挿入された状態で提供されることで、作業者は、ドレーピングの作業を適切に行うことができる。
【0092】
シート材201と、シート材301とは、所定の柔軟性を備えるとともに、下側に配置されたシート材401を識別することが可能な透光性を有した素材によって構成されている。シート材201と、シート材301とは、所定の柔軟性を備えるとともに、下側に配置されたシート材401を識別することが可能な透光性を有していれば、半透明の素材が用いられてもよい。
【0093】
あるいはシート材201と、シート材301とは、下側に配置されたシート材401を識別することができれば、色彩を有した素材が用いられてもよい。例えば、シート材201と、シート材301とは、下側に配置されたシート材401を識別可能な、シート材401とは異なる色彩を有した素材が用いられてもよい。
【0094】
シート材201は、所定の柔軟性を備えるとともに、下側に配置されたシート材401を識別することが可能な透光性を有した素材であれば、シート材301とは異なる素材によって構成されていてもよい。
【0095】
3.ドレーピング方法の説明
続いて、
図10~17を参照して、本開示のドレープセット100を用いた内視鏡保持装置1のドレーピング方法について説明を行う。内視鏡保持装置1のドレーピングを行う作業者は、洗浄及び/又は消毒を行って、少なくとも自身の手指を清浄な状態にして作業を行う。あるいは、作業者は、清浄な手袋を装着した状態で作業を行う。ドレーピングに用いられるドレープセット100は、滅菌等が行われた清浄な状態で、作業者に提供される。
【0096】
はじめに、補助ドレープ400を用いて、先側部15と、アームユニット5の先側領域10Aとを覆う(S10:第1配置ステップ)。具体的には、近位開口部470を開いて、開口470Aを形成する。そして、開口470Aから、先側部15を挿入して、筒状部410の内側に、先側部15と、先側領域10Aとが配置された状態とする。
【0097】
図9に示されているように、補助ドレープ400は、その遠位開口部460の側の部分が、先側ドレープ300の内側に配置された状態で提供されている。作業者は、補助ドレープ400の遠位開口部460の側が、先側ドレープ300の内側に挿入された状態のまま、上記の作業を行う。
【0098】
図10に示されているように、先側部15が、先側ドレープ300の袋開口部320の近傍に配置されたら、補助ドレープ400の近位開口部470の側の部分を、先側領域10Aの元側まで移動させる。即ち、先側部15からアームパーツ11Bの先側の部分までの領域が、補助ドレープ400によって覆われた状態とする。換言すれば、先側部15と、先側領域10Aの先側の少なくとも一部の領域が補助ドレープ400によって覆われた状態とする。
【0099】
続いて、先側ドレープ300を先側部15に配置する(S20:第2配置ステップ)。具体的には、収縮部325を押し広げるようにして袋開口部320を広げて、開口320Aを形成する。そして、
図11に示されているように、先側部15を、形成された開口320Aに挿入して、袋状部310の内側に、先側部15の全体が配置された状態にする。
【0100】
先側部15の全体が袋状部310の内側に配置されたら、先側ドレープ300の配置位置を調節する。具体的には、
図11に示されているように、袋開口部320の収縮部325の周囲の部分が、回転基部17Aに配置されるように、先側ドレープ300の配置位置を調節する。
【0101】
続いて、アームドレープ200を配置する(S30:第3配置ステップ)。即ち、アームドレープ200を用いて、先側領域10Aを覆う。具体的には、
図11に示されているように、アームドレープ200の近位開口部270を開いて開口270Aを形成する。そして、形成された開口270Aから、先側ドレープ300と、補助ドレープ400と、にて覆われた先側部15を、アームドレープ200の内側に挿入する。先側部15が、先端側部240の端辺280の近くまで挿入されたら、
図12に示されているように、先側部15を、遠位開口部260の開口260Aを通過させ、アームドレープ200の外側に配置する。即ち、先側ドレープ300と、補助ドレープ400と、にて覆われた先側部15が、アームドレープ200の外側に配置された状態とする。
【0102】
この際、
図12に示されているように、アームドレープ200の近位開口部270を、ジョイント13Aの近傍に配置する。即ち、アームパーツ11Aの先端部21から元側に至る領域が、アームドレープ200にて覆われた状態となるようにする。
【0103】
続いて、補助ドレープ400を引き抜いて、元側に移動させる作業を行う(S40:引抜きステップ)。具体的には、筒状部410の近位開口部470の近傍の部分を、元側の方向に引っ張って、遠位開口部460を元側に移動させる。
【0104】
このようにされると、先側ドレープ300の内側に配置されている補助ドレープ400の先側(遠位開口部460の側)の部分は、先側ドレープ300と先側部15の間を滑り、先側ドレープ300の外側に引き抜かれる。
【0105】
更に筒状部410の近位開口部470の近傍の部分を、元側の方向に引っ張ると、補助ドレープ400の先側(遠位開口部460の側)の部分は、先側領域10Aとアームドレープ200の間を滑るようにして、元側に引き抜かれる。即ち、補助ドレープ400の先側を元側にたぐり寄せるようにして、近位開口部470の近傍の部分を元側に引っ張ると、補助ドレープ400の先側の部分は、先側領域10Aとアームドレープ200の間を滑るようにして元側に引き抜かれる。
【0106】
補助ドレープ400の先側(遠位開口部460の側)の部分を元側に引っ張って、遠位開口部460が、先端部21よりも元側に配置された状態にする。このようにすることで、遠位開口部460の側の部分が、先側部15に配置された先側ドレープ300と接触することが抑制される。即ち、遠位開口部460の側の部分が先側ドレープ300と接触して、先側部15の回転動作の妨げとなることが抑制される。
【0107】
好ましくは、
図13に示されているように、補助ドレープ400の先側(遠位開口部460の側)が、ジョイント13Aよりも元側に配置された状態にすることが好ましい。即ち、補助ドレープ400が、ジョイント13Aと、ジョイント13Bとの間に配置された状態にすることが好ましい。そのようにすることで、ジョイント13Aが、アームドレープ200と、補助ドレープ400とによって二重に覆われることが抑制される。即ち、補助ドレープ400が、アームパーツ11Aの回転動作の妨げになることが抑制される。引き抜いた補助ドレープ400は、元側に引き延ばされて、アームパーツ11Bやアームパーツ11Cを覆うドレープ材として使用されてもよい。
【0108】
続いて、アームドレープ200の配置位置を調節する(S50:調整ステップ)。具体的には、近位開口部270を元側に移動させて、先側領域10Aの全体が、アームドレープ200にて覆われた状態とする。更に、
図14に示されているように、アーム固定部230を、アーム着脱部23に嵌合させて、先端側部240の先側が先端部21に固定された状態とする。アーム固定部230をアーム着脱部23に取り付ける際には、アーム固定部230の端部230Aが、アーム着脱部23の端面23Aと同じ位置になるようにする。
【0109】
アーム固定部230をアーム着脱部23に取り付けて、皺を伸ばすなどしてアームドレープ200の配置位置を調節すると、縁辺部260Cが、アーム着脱部23の端面23Aから距離Gだけ先側部15の側に配置された状態となる。この際、縁辺部260Cは、接続部19Aよりも先側部15の側(回転基部17Aの側)に配置された状態となる。このようにしてアームドレープ200が配置されると、
図14~16に示されているように、接続部19Aと、回転基部17Aの先端部21の側の少なくとも一部とは、遠位開口部260によって囲まれた状態となる。
【0110】
続いて、先側ドレープ300の配置位置を調節する(S60:先側ドレープ調節ステップ)。具体的には、
図14~16に示されているように、袋開口部320の収縮部325の近傍の部分が、回転基部17Aに配置されるように、先側ドレープ300の配置位置を再調節する。また、収縮部325を、溝17Bに嵌め込むようにして配置する。袋開口部320の収縮部325の近傍の部分は、収縮部325による収縮によって締め付けられるため、回転基部17Aの表面に接触した状態が維持される。更に、先側固定部330を先側着脱部25に取り付けて、袋状部310の先側固定部330の周囲の部分が、ホルダ本体16Aに固定された状態する。
【0111】
アームドレープ200と、先側ドレープ300の配置位置を調節する際には、遠位開口部260が、先側ドレープ300とが接触することのないように、それぞれの配置位置を調節する。
【0112】
続けて、
図16に示されているように、固定テープ250A,250Bをアームパーツ11A,11Bに巻き付けて、アームドレープ200を固定する(S70:アームドレープ固定ステップ)。即ち、固定テープ250A,250Bをアームパーツ11A,11Bに巻き付けて、元側部220や先端側部240が、内視鏡保持装置1が使用される際の邪魔になることのないようにする。この際、先端側部240を、先側部15から離れる方向に持ち上げて、アームドレープ200を固定する。具体的には、先端側部240を持ち上げて、縁辺部260Cの近位側(アームパーツ11Aの側)の上下方向(
図3~5におけるY1Y2方向)の位置が、縁辺部260Cのアーム固定部230の側の位置と同じになるようにする。即ち、縁辺部260Cの近位側が、不要に下がった位置で配置されて、縁辺部260Cや、遠位開口部260が、先側部15に配置された先側ドレープ300と接触しないようにする。先端側部240を、先側部15から離れる方向に持ち上げた際に、線状接合部245Lや、その端部bがアームパーツ11Aと接触して、縁辺部260Cの近位側(アームパーツ11Aの側)が、必要以上に上側に配置されてしまうことが抑制される。即ち、先端側部240を必要以上に持ち上げすぎて、接続部19Aの近位側が、露出した状態となることが抑制される。
【0113】
続けて、ホルダ部16に内視鏡70を接続する(S80:内視鏡接続ステップ)。ホルダ部16に内視鏡70を接続する際には、
図14に示されているように、マーク部350を、ホルダ底部16Dに配置する。そして、マーク部350が、ホルダ底部16Dに配置された状態で、内視鏡70の本体71をホルダ底部16Dに配置する。続けて、
図16に示されているように、ホルダ基部16Cと、ホルダ着脱部16Bとで、本体71を挟むようにして、本体71を固定する。マーク部350と、袋状部310のマーク部350の周囲の部分とは、ホルダ底部16Dと内視鏡70との間に挟まれて、ホルダ基部16Cに固定される。
【0114】
上記の構成ように構成されたアームドレープ200は、遠位開口部260の近傍に、アーム固定部230が備えられている。このため、アームドレープ200を配置した後に、遠位開口部260が動いてしまうことが抑制される。例えば、アームユニット5の動作などによって、アームドレープ200が動いて、遠位開口部260の配置位置が変更されてしまうことが抑制される。そして、遠位開口部260の配置位置が変更されて、接続部19Aや先端部21などが露出された状態となることが抑制される。
【0115】
また、アーム固定部230は、その端部230Aが、縁辺部260Cから端辺280に沿って所定の距離だけ離れた位置となるように配置されている。このため、アーム固定部230をアーム着脱部23に取り付けると、縁辺部260Cが、所定の位置に配置される。より具体的には、端部230Aを、端面23Aの位置に合わせるようにしてアーム固定部230をアーム着脱部23に取り付けると、縁辺部260Cが、所定の位置に配置される。即ち、アーム固定部230をアーム着脱部23に取り付けると、遠位開口部260を適切な位置に配置することができる。アームドレープ200が、アーム部10に対して精度よく配置された状態を維持することができる。
【0116】
また、アーム固定部230をアーム着脱部23に取り付けると、縁辺部260Cが、接続部19Aよりも先側部15の側に配置された状態となり、接続部19Aが、遠位開口部260の縁辺部260Cの近傍の部分で囲まれた状態となる。このため、接続部19Aが露出した状態となることが抑制される。また、アーム固定部230をアーム着脱部23に取り付けるだけで、縁辺部260Cが適切な位置に配置された状態にすることができる。
【0117】
アーム固定部230は、棒状形状をしているため、アーム固定部230の周囲の部分は、先端部21に対して線状に固定される。このため、アームドレープ200のアーム固定部230の周囲の部分が、先端部21の所定の部分に接触して固定される。即ち、アームドレープ200の先側(先端側部240の先側)の部分が、先端部21にしっかりと固定される。
【0118】
また、アーム固定部230をアーム着脱部23に取り付ける際に、その端側からアーム着脱部23に取り付けることで、その取り付けを容易に行うことができる。また、アーム固定部230をアーム着脱部23から取り外す際には、その端側を、先端部21から離れる向きに持ち上げることで、その取り外しを容易に行うことができる。
【0119】
アーム固定部230は、その棒状形状が延びる方向が、縁辺部260Cと交わる方向となるように配置されている。このため、例えば、先端側部240が、縁辺部260Cに沿った方向で先端部21に固定される場合と比較して、アーム固定部230を取り付けた際に、遠位開口部260に及ぼされる影響が少ない。例えば、アーム固定部230をアーム着脱部23に取り付けたことによって、開口260Aの形状が大きく変わってしまうことが抑制される。あるいは、アーム固定部230をアーム着脱部23に取り付けた後に、開口260Aを更に広げたり、縁辺部260Cの位置を調節したりすることが行い易い。
【0120】
更にアーム固定部230は、軸線VA1と同じ方向に延びて配置されているため、アームパーツ11Aによる回転動作の影響を受けにくい。即ち、アームパーツ11Aが、軸線VA1を中心に回転する動作を行った際に、アーム固定部230が、アーム着脱部23から外れてしまうことが抑制される。
【0121】
アーム固定部230は、突出部240Aに備えられているため、アーム固定部230を、アーム着脱部23に取り付ける作業が行い易い。即ち、先端側部240の先側の部分が、アーム固定部230の取り付けの妨げになることが少なく、アーム固定部230を、アーム着脱部23に取り付ける作業が行いやすい。また、アーム固定部230をアーム着脱部23に取り付ける際に、その近傍にある先端側部240の部分が損傷してしまうことが抑制される。
【0122】
上記の構成ように構成された先側ドレープ300は、その端部370Bが、先側固定部330によってホルダ部16に固定される。また、端部370Bと反対の端部370Aの側の部分が、ホルダ底部16Dと、内視鏡70の本体71とに挟まれてホルダ部16に固定される。このため、ホルダ部16が所定の動作を行っても、配置された先側ドレープ300が外れてしまったり、その配置位置がずれたりしまったりすることが生じにくい。即ち、先側ドレープ300が、先側部15に配置された状態が維持される。
【0123】
また、先側固定部330を先側着脱部25に取り付け、マーク部350をホルダ底部16Dに配置することで、先側ドレープ300を適切な位置に配置することができる。このため、ホルダ部16が回転動作を行う際に、先側ドレープ300がその動作の妨げとなることのない適切な位置に、先側ドレープ300を配置することができる。換言すれば、先側ドレープ300が適切に配置されずに、ホルダ部16が先側ドレープ300に引っ張られて、所定の動作を行うことができない状態が抑制される。
【0124】
また、マーク部350をホルダ底部16Dに配置することによって、ホルダ部16の退避機能の動作の妨げとなることのない、適切な位置に先側ドレープ300を配置することができる。換言すれば、先側ドレープ300が適切な位置に配置されずに、ホルダ部16の退避機能による動作が阻害されてしまうことが抑制される。具体的には、退避機能の作動によってホルダ基部16Cが移動する途中で、固定された先側ドレープ300に引っ張られて、その移動動作が阻害されてしまうことが抑制される。
【0125】
例えば、ホルダ基部16Cが、使用位置P1配置されている状態で、ホルダ部16Cが移動する距離L2が考慮されずに、先側ドレープ300が固定された場合には、ホルダ部16Cが退避位置P2に移動する途中で、固定された先側ドレープ300に引っ張られ、その移動が妨げられてしまうことが生じうる。一方、先側ドレープ300のマーク部350は、先側固定部330から、端部370Aの側に距離L1だけ離れた位置に備えられている。距離L1は、距離L2(
図4参照。)と同じか、距離L2よりも長い。このため、ホルダ基部16Cが、使用位置P1から退避位置P2に移動する動作を行っても、先側ドレープ300がその動作を阻害することはない。
【0126】
即ち、マーク部350をホルダ底部16Dに配置することで、先側ドレープ300を、ホルダ部16の退避機能の動作の妨げとなることのない、適切な位置に配置して固定することができる。例えば、ホルダ基部16Cが使用位置P1に配置されている状態であっても、先側ドレープ300を、適切な位置に配置して固定することができる。
【0127】
先側ドレープ300の袋開口部320の近傍に、収縮部325が備えられている。このため、先側ドレープ300は、その袋開口部320が収縮し、回転基部17Aに密着した状態で、先側部15に配置される。また、袋開口部320が回転部17の回転基部17Aに密着した状態は、収縮部325によって維持される。
【0128】
このため、先側ドレープ300は、その内側に配置された先側部15を、先側ドレープ300の外側の領域から区画された状態にすることができる。即ち、不潔野である先側部15を収容する袋状部310の内側の領域が、先側ドレープ300の外側の清潔野と繋がった状態となることが抑制される。
【0129】
先側固定部330は、端部370Bから端部370Aに向かう向きに延びる棒状形状をしているため、先側固定部330の周囲の部分は、ホルダ本体16Aに対して線状に固定される。このため、底部370の先側固定部330に沿った周囲の部分が、ホルダ本体16Aに接触して線状に固定される。即ち、先側ドレープ300が、ホルダ本体16Aにしっかりと固定されることになる。
【0130】
また、先側固定部330は、底部370が延びる向きに配置されているため、先側ドレープ300を畳んだり、包装したりする際に邪魔になりにくい。
【0131】
上記のように構成されたドレープセット100は、アームドレープ200と、先側ドレープ300を備えている。そして、アーム部10を覆うドレープ材であるアームドレープ200と、先側部15を覆うドレープ材である先側ドレープ300とが、別体として構成されており、その間にベアリング構造などの構成が設けられていない。このため、先側部15が回転動作を行う際に、アームドレープ200と、先側ドレープ300との間で不要な摩擦が生じることが抑制される。特に、内視鏡70として眼科用内視鏡が用いられる場合には、挿入部72が患者の眼球に挿入されるため、アームドレープ200と、先側ドレープ300との間で不要な摩擦が生じることは好ましくない。そのような摩擦によって、先側部15の回転動作が、例えわずかであっても阻害されると、患者に不要な負荷を与えてしまう場合がある。例えば、摩擦によって、先側部15の回転動作が遅れるなどして、患者の動きに十分に追随できず、挿入部72が、患者に不要な力を作用させてしまう可能性がある。一方、本開示のアームドレープ200と、先側ドレープ300と、では、そのような不要な負荷を患者に与えることが抑制される。内視鏡70として眼科用内視鏡とは異なる種類の内視鏡が用いられる場合であっても同様に、そのような不要な負荷を患者に与えてしまうことが抑制される。
【0132】
ドレープセット100は、補助ドレープ400を備えている。補助ドレープ400を用いて、先側部15と、先側領域10Aとを覆うことで、先側部15に先側ドレープ300を配置する際に、作業者が、先側部15や、先側領域10Aなどの不潔野に、直接接触することが抑制される。また、先側領域10Aにアームドレープ200を配置する際に、作業者が、先側部15や先側領域10Aなどの不潔野に、直接接触することが抑制される。即ち、先側部15や先側領域10Aのドレーピングを行う際に、作業者が、不潔野であるアームユニット5に直接接触することが抑制される。
【0133】
補助ドレープ400の遠位開口部460は、その内側を、先側部15と、先側領域10Aとを通過させることができる開口460Aを形成可能な大きさを有している。このため、補助ドレープ400の内側に、先側部15と、先側領域10Aとが配置された状態において、補助ドレープ400の近位開口部470の側の部分を元側に引っ張ることで、補助ドレープ400の先側(遠位開口部460の側)の部分を元側に手繰り寄せることができる。即ち、アームドレープ200と、先側ドレープ300と、を配置した後に、補助ドレープ400を元側に引き抜くことができる。
【0134】
このようにすることで、補助ドレープ400が、アームユニット5の動作の妨げになることが抑制される。例えば、接続部19Aが、アームドレープ200と補助ドレープ400によって二重に覆われて、先側部15の回転動作が阻害されることが抑制される。また、遠位開口部460をジョイント13Aよりも元側に移動すれば、ジョイント13Aが、アームドレープ200と補助ドレープ400によって二重に覆われて、アームパーツ11Aの回転動作が阻害されることも抑制される。
【0135】
更に補助ドレープ400は、所定の色彩を有したシート材401から形成されており、アームドレープ200と、先側ドレープ300とは、透明なシート材201,301から形成されている。換言すると、アームドレープ200と、先側ドレープ300とは、下側に配置されたシート材401を識別可能な透光性を有した素材から構成されている。
【0136】
このため、作業者は、アームドレープ200と、先側領域10Aとの間に配位された補助ドレープ400を把握し易い。また、作業者は、先側部15と、先側ドレープ300との間に配置された補助ドレープ400を把握し易い。即ち、補助ドレープ400を元側に引き抜く作業が行い易い。作業者が、不潔野に直接接触してしまうことを抑制しつつ、ドレーピング作業が行い易いドレープセット100を提供することができる。
【0137】
なお、本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、先端部21が、先端部21の表面から突出する形状のアーム着脱部23を備え、アーム固定部230が、その突出したアーム着脱部23に取り付け可能な構造を有する構成としてもよい。
【0138】
例えば、アーム着脱部23が、先端部21の表面から突出する円柱形状を有し、アーム固定部230が、そのアーム着脱部23を嵌め込むことができる溝状形状を有した構成としてもよい。あるいはアーム固定部230が、突出したアーム着脱部23を挟み込んで、アーム着脱部23に取り付けられる構造を有した構成としてもよい。
【0139】
あるいは、ホルダ本体16Aが、その表面から突出する形状の先側着脱部25を備え、先側固定部330が、その突出した先側着脱部25に取り付け可能な構造を有する構成としてもよい。例えば、先側着脱部25が、ホルダ本体16Aの表面から突出する円柱形状を有し、先側固定部330が、その先側着脱部25を嵌め込むことができる溝状形状を有した構成としてもよい。あるいは先側固定部330が、先側着脱部25を挟み込んで先側着脱部25に取り付けられる構造を有した構成としてもよい。
【0140】
上記実施形態では、ドレープセット100が、内視鏡保持装置1のドレーピングに用いられる場合について説明を行ったが、例えばドレープセット100が、手術用ロボットのアームユニットを覆うために用いられてもよい。あるいは、例えばドレープセット100が、他の医療用装置が備えるアームユニットを覆うために用いられてもよい。
【0141】
本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【要約】
アーム部と、医療機器が接続される部分であってアーム部の先側に回転可能に接続された先側部と、を備えたアームユニットのアーム部の少なくとも一部を覆うアームドレープを提供する。該アームドレープは、柔軟性を有するシート材が筒状に形成された本体部と、本体部の先側部に対応する位置に形成された遠位開口部と、アーム部の先側の所定箇所に備えられているアーム着脱部に着脱可能に取り付けられるアーム固定部と、を備え、アーム固定部は、その遠位開口部の側の端部が、遠位開口部の縁辺から所定の距離だけ離れた位置に配置されるように、遠位開口部の近傍に備えられている。