(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】バックアップ電源装置及びバックアップ電源装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20241028BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H02J7/34 G
(21)【出願番号】P 2020112189
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】勝部 恭行
(72)【発明者】
【氏名】近田 尚章
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-052134(JP,A)
【文献】特開2007-209056(JP,A)
【文献】特開2001-186689(JP,A)
【文献】特開昭64-012821(JP,A)
【文献】米国特許第06121694(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0366043(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0076916(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定電圧の電力を生成する整流器によって充電されると共に、前記整流器からの給電により動作する負荷装置に対し、前記整流器から前記負荷装置への供給電力が不足するときに給電するバックアップ電源装置であって、
前記整流器からの電力により充電される2次電池と、
前記2次電池の充放電を制御する制御部と、
前記整流器からの出力電圧を検出する出力電圧検出部と、
前記2次電池の電池電圧を検出する電池電圧検出部と、を備え、
前記制御部は、
前記出力電圧が前記所定電圧より低い第1閾値電圧以下に低下し、且つ前記出力電圧が前記電池電圧より低いとき、前記2次電池から前記負荷装置に対して第1時間に亘り放電させ、
前記第1時間の経過後に、前記出力電圧が前記所定電圧に復帰しているときは、前記2次電池から前記負荷装置への放電を停止する、ことを特徴とするバックアップ電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1時間の経過後の前記出力電圧が前記第1閾値電圧よりも低く、且つ前記出力電圧が前記電池電圧より低いとき、前記2次電池から前記負荷装置に対して第2時間に亘り放電させ、
前記第2時間の経過後に、前記出力電圧が前記所定電圧に復帰しているときは、前記2次電池から前記負荷装置への放電を停止する、請求項1記載のバックアップ電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2時間の経過後の前記出力電圧が前記第1閾値電圧よりも低いとき、前記2次電池から前記負荷装置に対して放電させ、前記2次電池から前記負荷装置への放電は、前記電池電圧が前記出力電圧以下になるまで継続する、請求項2に記載のバックアップ電源装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記出力電圧が、前記所定電圧より低く且つ前記第1閾値電圧より高い第2閾値電圧以下に低下したとき、前記2次電池の充電を停止し、前記出力電圧が前記所定電圧に復帰するまで、前記2次電池の充電停止を継続する、請求項1から3のいずれか一に記載のバックアップ電源装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記出力電圧が、前記所定電圧より低く且つ前記第1閾値電圧より高い第2閾値電圧以下に低下したとき、前記2次電池を充電する充電電流の低減と、前記2次電池の充電の停止との少なくとも一方を行う、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一に記載のバックアップ電源装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2閾値電圧以下に低下した前記出力電圧が、前記第1閾値電圧よりも高い第3閾値電圧に増加するまで、前記2次電池の充電停止を継続する、請求項5記載のバックアップ電源装置。
【請求項7】
所定電圧の電力を生成する整流器からの給電により動作する負荷装置に対し、前記整流器から前記負荷装置への供給電力が不足するときに給電するバックアップ電源装置を制御する方法であって、
前記バックアップ電源装置を前記整流器により充電する工程と、
前記整流器からの出力電圧が前記所定電圧より低い第1閾値電圧以下に低下したとき、前記バックアップ電源装置の充電を停止する工程と、
前記出力電圧が前記第1閾値電圧
より低い第2閾値電圧以下に低下し、且つ前記出力電圧が前記バックアップ電源装置の出力電圧より低いとき、前記バックアップ電源装置から前記負荷装置に対して第1時間に亘り給電する工程と、
前記第1時間の経過後に、前記出力電圧が前記所定電圧に復帰しているときは、前記バックアップ電源装置から前記負荷装置への給電を停止する工程とを有する、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記停止する工程の後、前記出力電圧が前記第1閾値電圧よりも高く且つ前記所定電圧よりも低い第
3閾値電圧に増加するまで、前記バックアップ電源装置の充電停止を継続する工程を有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
所定電圧の電力を生成する整流器によって充電されると共に、前記整流器からの給電により動作する負荷装置に対し、前記整流器から前記負荷装置への供給電力が不足するときに給電するバックアップ電源装置を制御する方法であって、
前記整流器からの出力電圧が前記所定電圧より低い第1閾値電圧以下に低下したときに、前記バックアップ電源装置の出力電圧が前記整流器からの出力電圧よりも高いことを条件に、前記バックアップ電源装置から前記負荷装置に第1期間に亘り給電する工程と、
前記第1期間の経過後に、前記出力電圧が前記所定電圧に復帰しているときは、前記バックアップ電源装置から前記負荷装置への給電を停止する工程とを有する、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記第1期間の給電する工程の後、前記整流器の出力電圧が、前記第1閾値電圧よりも低く且つ前記バックアップ電源装置の出力電圧よりも低い場合、第2期間に亘り前記バックアップ電源装置から前記負荷装置に給電する工程をさらに有する、請求項9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ電源装置及びバックアップ電源装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池を用いたバックアップ装置を必要とする分野において、従来から蓄電池とそれに合わせた整流器が用いられている。また、蓄電池として、鉛電池が広く用いられている。
【0003】
整流器の許容電力に余裕がない場合、瞬間的に大きな電流が流れる際、整流器に対しては過負荷となって整流器の出力電圧が瞬間的に低下する場合がある。整流器が過負荷により出力電圧を下げると、整流器の異常や、遮断機での低電圧の発生として検出されることがある。
【0004】
そこで、整流器の出力電力が低下したときに、鉛電池を負荷装置に接続して放電させることにより負荷装置の動作を継続させていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、バックアップ電源として、鉛電池に代えて、軽量、且つコンパクトで長寿命な電池が用いられる傾向にある。また、このような電池は、高機能な制御を行うために制御基板を搭載しており、マイコン等による制御を必要としている。
【0006】
本発明の目的は、マイコン制御により効率的な給電を行うバックアップ電源装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様のバックアップ電源装置は、所定電圧の電力を生成する整流器によって充電されると共に、前記整流器からの給電により動作する負荷装置に対し、前記整流器から前記負荷装置への供給電力が不足するときに給電するバックアップ電源装置であって、前記整流器からの電力により充電される2次電池と、前記2次電池の充放電を制御する制御部と、前記整流器からの出力電圧を検出する出力電圧検出部と、を備え、前記制御部は、前記出力電圧が前記所定電圧より低い第1閾値電圧以下に低下したとき、前記2次電池を充電する充電電流の低減と、前記2次電池の充電の停止との少なくとも一方を行う、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様のバックアップ電源装置は、所定電圧の電力を生成する整流器によって充電されると共に、前記整流器からの給電により動作する負荷装置に対し、前記整流器から前記負荷装置への供給電力が不足するときに給電するバックアップ電源装置であって、前記整流器からの電力により充電される2次電池と、前記2次電池の充放電を制御する制御部と、前記整流器からの出力電圧を検出する出力電圧検出部と、前記2次電池の電池電圧を検出する電池電圧検出部と、を備え、前記制御部は、前記出力電圧が前記所定電圧より低い第3閾値電圧以下に低下し、且つ前記出力電圧が前記電池電圧より低いとき、前記2次電池から前記負荷装置に対して第1時間に亘り放電させ、前記第1時間の経過後に、前記出力電圧が前記所定電圧に復帰しているときは、前記2次電池から前記負荷装置への放電を停止する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の態様の方法は、所定電圧の電力を生成する整流器からの給電により動作する負荷装置に対し、前記整流器から前記負荷装置への供給電力が不足するときに給電するバックアップ電源装置を制御する方法であって、前記バックアップ電源装置を前記整流器により充電する工程と、前記整流器からの出力電圧が前記所定電圧より低い第1閾値電圧以下に低下したとき、前記バックアップ電源装置の充電を停止する工程とを有する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の態様の方法は、所定電圧の電力を生成する整流器によって充電されると共に、前記整流器からの給電により動作する負荷装置に対し、前記整流器から前記負荷装置への供給電力が不足するときに給電するバックアップ電源装置を制御する方法であって、前記整流器からの出力電圧が前記所定電圧より低い第3閾値電圧以下に低下したときに、前記バックアップ電源装置の出力電圧が前記整流器からの出力電圧よりも高いことを条件に、前記バックアップ電源装置から前記負荷装置に第1期間に亘り給電する工程を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バックアップ電源装置において、整流器からの給電により動作する負荷装置に対し、整流器から負荷装置への供給電力が不足したとき、当該供給電力の不足電力を、2次電池からの放電により迅速に供給し、負荷装置の動作を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係るバックアップ電源装置の回路図である。
【
図2】バックアップ電源装置の入出力部での電圧の時間変化を示すグラフである。
【
図3】バックアップ電源装置の入出力部での電圧の時間変化を示すグラフである。
【
図4】バックアップ電源装置の入出力部での電圧の時間変化を示すグラフである。
【
図5】バックアップ電源装置の入出力部での電圧の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係るバックアップ電源装置1を、
図1を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0014】
<バックアップ電源装置の構成>
図1に示すように、バックアップ電源装置1は、整流器2と負荷装置3とを電気的に接続する電源ラインLに接続される。整流器2は、外部の商用電力を利用して通常電圧V
0の直流電力を生成して出力するAC-DCコンバータである。本実施形態において、電圧V
0は26.2V~28.8Vである。負荷装置3は、整流器2から給電されて動作する装置である。本実施形態では、負荷装置3は、例えば踏切装置においては、踏切に設置された遮断器からなり、列車の運行に応じて遮断器に取り付けられた竿を開閉する。負荷装置3は、定格電圧が24Vである。
【0015】
バックアップ電源装置1は、入出力部11と、2次電池12と、DC-DCコンバータ13と、定電流制御回路14と、制御部15とを備える。入出力部11は、整流器2から負荷装置3へ電力を供給する電源ラインLに接続される。バックアップ電源装置1が充電されるときは、整流器2からの出力電圧が入出力部11に印加される。一方、バックアップ電源装置1がバックアップ電源として負荷装置3に給電するときは、2次電池12の電池電圧Vbが入出力部11の電圧になる。
【0016】
2次電池12は、ニッケル水素二次電池セル等のアルカリ二次電池セルの複数個を直列や並列に接続することにより構成される。本実施形態では、2次電池12は、20個のアルカリ二次電池セルが直列接続され、充電容量に応じて20.0~28.8Vの電池電圧Vbの電力を放電する。
【0017】
DC-DCコンバータ13は、整流器2の出力電圧V0を2次電池12の満充電可能となる電圧まで昇圧して、定電流制御回路14を介して2次電池12に向けて出力する昇圧型電圧変換器である。
【0018】
定電流制御回路14と2次電池12の一方の電極との間には、2次電池12の充電をオン・オフする充電スイッチ16が設けられている。一方、2次電池12の他方の電極と入出力部11との間には、2次電池12の放電をオン・オフする放電スイッチ17が設けられている。なお、放電スイッチ17と入出力部11との間には、ダイオードDが挿入され、アノードが2次電池12の他方の電極に接続され、カソードが入出力部11に接続されている。
【0019】
制御部15は、マイコンからなり、入出力部11における電圧Viを検出する入出力電圧検出部18と、2次電池12の電池電圧Vbを検出する電池電圧検出部19とを備える。制御部15は、入出力部11における電圧Viと、2次電池12の電池電圧Vbとに基づき、充電スイッチ16及び放電スイッチ17のオン・オフを制御する。入出力部11における電圧Viは、整流器2の出力電圧V0と等しいので、制御部15が、入出力部11の電圧Viを監視することによって、バックアップ電源装置1は、整流器2や負荷装置3の動作状態を把握することができる。
【0020】
<バックアップ電源装置の動作>
(1)バックアップ電源装置の充電停止
バックアップ電源装置1の動作について、
図2から
図5を参照して説明する。
【0021】
最初に、
図2を参照して、バックアップ電源装置1の充電停止動作について説明する。
図2は、バックアップ電源装置1の入出力部11における電圧V
iの時間変化を示す。
図2において、電圧V
0は、整流器2が正常に動作しているときに出力する電圧値、電圧V
cは
、制御部15が充電スイッチ16をオフにして2次電池12の充電を停止する電圧値である。電圧V
sは、制御部15が整流器2の状態を停電と判断する電圧値であり、V
cより低い電圧である。また、電圧V
rは
、2次電池12の充電再開の基準となる電圧値であり、電圧V
cよりも高く設定される。なお、電圧V
c,V
sのいずれも電圧V
0よりは低い電圧である。本実施形態では、V
cは24V、V
sは23V、V
rは24.5Vに設定される。
【0022】
図2において、時刻t
0にて、整流器2から負荷装置3への給電が正常に行われている場合、バックアップ電源装置1の入出力部11の電圧V
iは電圧V
0と等しい。このとき、バックアップ電源装置1では、制御部15により充電スイッチ16がオンにされて整流器2からの電力により2次電池12の充電が行われる。一方、制御部15は放電スイッチ17をオフにして、2次電池12を放電させず、将来の放電に備える。
【0023】
次に、時刻t1において、例えば踏切装置の場合で言えば、遮断器の竿を上昇させるためなど、負荷装置3に最大電流が流れて整流器2にとって過負荷になると、電圧Viは低下し始める。時刻t2において、整流器2の出力電圧がVcより下がると、制御部15は、充電スイッチ16をオフにして2次電池12の充電を停止する。しかし、時刻t2の後竿が上がりきるなどして負荷装置3を流れる電流が通常に戻ると、電圧Viは、整流器2の停電発生と判断される電圧Vsまで低下する前に増加に転じ、時刻t3にて電圧Vrまで増加し、やがて電圧V0に復帰する。そして、時刻t3から例えば30秒が経過した時刻t4にて制御部15は充電スイッチ16をオンに切り換えて2次電池12の充電を再開する。
【0024】
このように、整流器2への過負荷により出力電圧Viが不意に低下した場合に、負荷装置3への供給電力を増やすために、時刻t1から時刻t4までの期間、バックアップ電源装置1の充電を停止するので、整流器2は、時刻t1から時刻t4までの間にバックアップ電源装置1に供給する予定の電力を、バックアップ電源装置1に代えて、負荷装置3に供給することができる。このようなバックアップ電源装置1の動作により、整流器2は、過負荷状態を短時間で解消することができる。すなわち、バックアップ電源装置1の充電を短時間停止することで、整流器2の過負荷を解消するとともに、負荷装置3の動作を継続させることができる。
【0025】
なお、時刻t
3から例えば30秒の経過を待って2次電池12の充電を再開するのは、整流器2での異常の発生を避けるためである。また、
図2に示す実施形態では、整流器2の出力電圧がV
cより下がったときに、制御部15は、2次電池12の充電を停止した。しかし、他の実施形態では、整流器2の出力電圧がV
cより下がったときに、2次電池12の充電のために2次電池12に流す電流量を減らして、その分の電力を負荷装置3に供給することもできる。
【0026】
(2)バックアップ電源装置の放電
次に、バックアップ電源装置1の放電制御について
図3から
図5を参照して説明する。
図3は、バックアップ電源装置1の入出力部11における電圧V
iの時間変化を示す。
図3において、電圧V
0は、整流器2が正常に動作しているときに出力する電圧、電圧V
s
は、制御部15が整流器2の状態を停電と判断する電圧であり、V
0より低い。本実施形態では、V
sは23Vである。
【0027】
図3において、時刻t
0にて、整流器2から負荷装置3への給電が正常に行われている場合、バックアップ電源装置1の入出力部11の電圧V
iは電圧V
0と等しくなる。このとき、バックアップ電源装置1では、制御部15は、充電スイッチ16をオンにして整流器2からの電力により2次電池12の充電を行っている。一方、制御部15は、放電スイッチ17をオフにして2次電池12を放電させず、将来の放電に備える。
【0028】
次に、時刻t11において、例えば踏切装置の場合で言えば、遮断器の竿を上昇させるなど、負荷装置3に最大電流が流れて整流器2にとって過負荷になると、電圧Viは低下し始める。さらに、時刻t12にて電圧Viが電圧Vsまで低下すると、制御部15は、整流器2に停電が発生したと判断し、時刻t12から200マイクロ秒後の時刻t13に、2次電池12の電池電圧VbがViよりも高いことを確認したうえで、放電スイッチ17をオフからオンに切り換えて2次電池12の放電を開始し、バックアップ電源装置1から負荷装置3への給電を開始する。従って、時刻t13から時刻t14までの10秒間、バックアップ電源装置1から負荷装置3へ、2次電池12の放電による給電が行われる。従って、時刻t13から時刻t14までの10秒間、入出力部11の電圧Viは2次電池12の電池電圧Vbと等しくなる。
【0029】
時刻t14にて、制御部15は、放電スイッチ17をオフにして整流器2の出力電圧を検出する。時刻t14における整流器2の出力電圧がV0に復帰していれば、制御部15は、時刻t14以降、放電スイッチ17のオフを継続して2次電池12からの放電を停止する。従って、バックアップ電源装置1から負荷装置3への給電は行われず、負荷装置3への入力は整流器2からの電力のみになるので、入出力部11の電圧Viは、整流器2の出力電圧V0と等しくなる。
【0030】
このように、時刻t11から時刻t14までの間に、整流器2に過負荷が生じた場合、時刻t13から時刻t14までの間にバックアップ電源装置1から負荷装置3に対して給電して、整流器2から負荷装置3への電力不足を補うことで、負荷装置3の動作を継続させることができる。
【0031】
一方、
図4に示すように、時刻t
14にて、検出された整流器2の出力電力が依然として電圧V
s以下の場合、時刻t
14から200マイクロ秒後の時刻t
15に、制御部15は、電池電圧V
bが電圧V
iよりも高いことを確認したうえで、放電スイッチ17をオフからオンに切替えて2次電池12の放電を開始して負荷装置3への給電を再開する。従って、時刻t
15から時刻t
16までの10秒間、バックアップ電源装置1から負荷装置3へ、2次電池12の放電による給電が行われる。これにより、時刻t
15から時刻t
16までの10秒間、入出力部11の電圧V
iは2次電池12の電池電圧V
bと等しくなる。
【0032】
時刻t16にて、制御部15は、放電スイッチ17をオフにして整流器2の出力電圧を検出する。時刻t16における整流器2の出力電圧がV0に復帰していれば、制御部15は、時刻t16以降、放電スイッチ17のオフを継続して2次電池12からの放電を停止する。従って、バックアップ電源装置1から負荷装置3への給電は行われず、負荷装置3への入力は整流器2からの電力のみになるので、入出力部11の電圧Viは、整流器2の出力電圧V0と等しくなる。
【0033】
このように、バックアップ電源装置1からの最初の10秒間の負荷装置3への給電によっても整流器2の過負荷状態が改善しなかった場合、バックアップ電源装置1からの給電期間を延長することによって、負荷装置3の動作を継続させることができる。
【0034】
一方、
図5に示すように、時刻t
16にて、検出された整流器2の出力電力が依然として電圧V
s以下の場合、制御部15は、整流器2若しくは負荷装置3、又はその両方に数十秒程度では正常に復帰しえない障害が発生したと判断し、時刻t
16から200マイクロ秒後の時刻t
17に、放電スイッチ17をオフからオンに切替えて2次電池12から放電を再開して、バックアップ電源装置1から負荷装置3に給電する。この状態では、入出力部11での電圧がV
s以下となる期間が20秒以上と長期にわたることから、時刻t
17以降は、入出力部11での電圧V
iが電池電圧V
bを上回るまでバックアップ電源装置1から負荷装置3への給電を継続する。従って、整流器の出力電圧の長期にわたる低下にも拘わらず、負荷装置3の動作の継続が可能になる。
【0035】
時刻t17以降の入出力部11の電圧Viは2次電池12の電池電圧Vbと等しくなる。
【0036】
なお、バックアップ電源装置1から負荷装置3への給電が行われている間は、整流器2の電力によるバックアップ電源装置1内の2次電池12の充電は停止して、バックアップ電源装置1の充電に用いられる電力も負荷装置3に供給しても良い。
【0037】
このように、整流器2に過負荷状態が発生したときは、バックアップ電源装置1の充電を停止して整流器2が出力する電力の全てを負荷装置3に供給して、負荷装置3の動作を継続させる。さらなる整流器2の出力電圧の低下が発生したときは、バックアップ電源装置1からも負荷装置3に給電することによって、負荷装置3の電力不足を補い、負荷装置3の動作を継続させる。
【符号の説明】
【0038】
1 バックアップ電源装置
2 整流器
3 負荷装置
12 2次電池
15 制御部
18 入出力電圧検出部
19 電池電圧検出部