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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】端子構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
H01R4/48 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021035981
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2021144934
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2020041623
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 智哉
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102007016333(DE,A1)
【文献】国際公開第2005/053104(WO,A1)
【文献】特開平11-040216(JP,A)
【文献】特開平10-177870(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0066121(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10319869(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102018129950(DE,A1)
【文献】特開2011-054354(JP,A)
【文献】特開平07-183059(JP,A)
【文献】実開平03-050755(JP,U)
【文献】実開昭50-044689(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第02675017(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0005198(US,A1)
【文献】中国実用新案第209709188(CN,U)
【文献】中国実用新案第210272687(CN,U)
【文献】米国特許第09252520(US,B1)
【文献】独国特許出願公開第102005060410(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102006018157(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R9/00
H01R9/15-9/28
H01R4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線が電気的に接続される端子構造であって、
両端部に配線が接続される配線接続部を備えた端子部と、
少なくとも一方の配線接続部において配線を押圧する押圧部と、
押圧部を上下移動させるレバー式の操作部と、
押圧部と操作部の間に設けられ、押圧部に弾発力を加える圧縮ばねと、
操作部と押圧部を連結するフック部と、
端子部に固定され、内部に圧縮ばねと押圧部を収納するヨーク部とを備え、
押圧部はヨーク部に設けられた左右のスリットに挿入される左右の引掛け部を有し、
フック部はその左右の端部を押圧部の左右の引掛け部に引掛けられ、操作部に支持されることにより操作部の操作と押圧部の上下移動を連動させ、
操作部が倒されたとき、圧縮ばねの弾発力を押圧部を介して端子部上の配線に加えることで、配線を固定することを特徴とする端子構造。
【請求項2】
配線は端子部の端部から挿入され、配線が配線接続部の所定位置まで挿入されたことを表示する接続表示部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の端子構造。
【請求項3】
端子部と押圧部と操作部と圧縮ばねとそれらを保持する左右の端子ケースからなる端子ユニットを備え、この端子ユニットを左右のベースで挟み込むことで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の端子構造。
【請求項4】
フック部は、圧縮ばねの両側に配置され、操作部の動きを押圧部に伝える左右一対の連結板であり、ヨーク部は、これらの連結板を左右方向から覆い、圧縮ばねと連結板を内部に収納する一対の分割ヨーク片からなることを特徴とする請求項1に記載の端子構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー式の端子構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
端子台や遮断器などに組み込まれる端子構造としては、ねじ締めによって配線を固定する構造が従来から使用されている。このねじ式の端子構造は配線をしっかり固定することができる利点があるが、配線作業が煩雑であるという欠点があった。
【0003】
そこで特許文献1に示されるような、レバー式の端子構造も用いられている。特許文献1の端子構造は、板ばねに配線を挿通するための鎖錠孔を設けるとともに、この板ばねをレバーによって押圧可能とした構造であり、レバーを操作して板ばねを押圧した状態として鎖錠孔に配線を挿入し、レバーを逆方向に操作して板ばねの押圧を解除すると、板ばねは弾性により復帰して端子板と鎖錠孔との間に配線を挟持する構造である。
【0004】
しかしこの端子構造は板ばねの弾性のみによって配線を挟持しているため、配線の固定力が十分ではなく、配線を確実に固定できないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-64266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、レバーの操作によって配線を確実に固定することができる端子構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、配線が電気的に接続される端子構造であって、両端部に配線が接続される配線接続部を備えた端子部と、少なくとも一方の配線接続部において配線を押圧する押圧部と、押圧部を上下移動させるレバー式の操作部と、押圧部と操作部の間に設けられ、押圧部に弾発力を加える圧縮ばねと、操作部と押圧部を連結するフック部と、端子部に固定され、内部に圧縮ばねと押圧部を収納するヨーク部とを備え、押圧部はヨーク部に設けられた左右のスリットに挿入される左右の引掛け部を有し、フック部はその左右の端部を押圧部の左右の引掛け部に引掛けられ、操作部に支持されることにより操作部の操作と押圧部の上下移動を連動させ、操作部が倒されたとき、圧縮ばねの弾発力を押圧部を介して端子部上の配線に加えることで、配線を固定することを特徴とするものである。
【0008】
また、配線は端子部の端部から挿入され、配線が配線接続部の所定位置まで挿入されたことを表示する接続表示部を更に備えた構造とすることができる。さらに、端子部と押圧部と操作部と圧縮ばねとそれらを保持する左右の端子ケースからなる端子ユニットを備え、この端子ユニットを左右のベースで挟み込むことで形成された構造とすることができる。なお、フック部は、圧縮ばねの両側に配置され、操作部の動きを押圧部に伝える左右一対の連結板であり、ヨーク部は、これらの連結板を左右方向から覆い、圧縮ばねと連結板を内部に収納する一対の分割ヨーク片からなる構造とすることもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の端子構造によれば、レバー式の操作部を起こすことにより配線を配線接続部に差し込むことができ、その後にレバー式の操作部を倒すことにより、配線接続部に挿入された配線を圧縮ばねの弾発力で確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の端子構造を備えた端子台の外観斜視図である。
図2】実施形態の端子構造を備えた端子台の外観斜視図である。
図3】実施形態の端子構造を備えた端子台の分解斜視図である。
図4】実施形態の端子構造を備えた端子台の分解斜視図である。
図5】実施形態の端子構造を備えた端子台の分解斜視図である。
図6】要部の斜視図である。
図7】要部の分解斜視図である。
図8】レバーの起伏と連結部の位置変化との関係を示す説明図である。
図9】レバーを起こした状態の断面図である。
図10】レバーを倒した状態の断面図である。
図11】他の実施形態の要部を示す斜視図である。
図12】他の実施形態の要部の分解斜視図である。
図13】他の実施形態の外観斜視図である。
図14】接続表示構造を示す斜視図である。
図15】接続表示構造を示す上面図である。
図16】接続表示部材の斜視図である。
図17】さらに他の実施形態の端子構造を示す全体斜視図である。
図18】さらに他の実施形態の端子構造を示す分解斜視図である。
図19】内部構造を示した分解斜視図である。
図20】要部の拡大斜視図である。
図21】要部の分解斜視図である。
図22】要部の分解斜視図である。
図23】組付け中の状態を示す斜視図である。
図24】組付け中の状態を示す斜視図である。
図25】要部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
この実施形態は一方にレバー式の端子構造を備え、他方にねじ式の端子構造を備えた端子台である。しかし両方ともレバー式の端子構造としてもよく、回路遮断器の端子部を本願発明の端子構造としてもよい。実施形態の端子台は、工事現場に設置される仮設分電盤等で使用されることを想定したものである。仮設分電盤では使用する電気機器や電気設備により電流値が大きく異なるため、サイズの異なる配線が接続される。以下に説明する本発明の端子構造は、細い配線から太い配線まで、様々なサイズの配線を確実に接続することができる。
【0012】
図1図2は実施形態の端子構造を備えた端子台の外観斜視図であり、図3図4図5はその分解斜視図である。図1図2に示されるように、実施形態の端子台は中央の端子ユニット10を左右のベース12で挟み込むことで形成されている。図5に示すように、端子ユニット10は端子部13、押圧部14、圧縮ばね15、レバー状の操作部16、フック部17、ヨーク部18等を左右の端子ケース11で保持して形成されたものである。以下に詳細に説明する。
【0013】
図6図7に示すように、端子部13は前後方向に延びる板状の部材であって、両端部に配線が接続される配線接続部30を備える。後側端部の配線接続部30にはねじ固定用の孔20が形成され、前側端部の配線接続部30には固定した配線を抜けにくくするための複数の凸部21が形成されている。端子部13の前側端部の配線接続部30には、逆U字状のヨーク部18の下端が嵌合されている。この実施形態ではヨーク部18の下端に嵌合された端子部13は左右のベース12間に挟持されているが、ベース12にねじ固定してもよく、その固定方法は任意である。
【0014】
ヨーク部18は金属板を折り曲げ加工したものであり、図7に示すように上面22と左右の側面23を備える。上面22にはレバー状の操作部16の下端が当接する。また左右の側面23には、上下方向のスリット24が形成されている。押圧部14は平板状の金属部材であり、下端に設けられた押圧面32により配線を押圧する。またその左右の引っ掛け部35がヨーク部18の左右のスリット24から突出しており、上下動可能である。ヨーク部18の内部には圧縮ばね15が収納されている。圧縮ばね15の下端は押圧部14を下方に弾発しており、圧縮ばね15によって押圧部14には下向きの弾発力が加えられている。
【0015】
レバー状の操作部16は軸25を備え、この軸25は左右の端子ケース11に昇降可能に支持されている。この軸25から少し離れた位置に形成された連結部26にフック部17の上端が支持されている。フック部17は左右の下端部に上向きの屈曲部27を形状した線材であり、これらの屈曲部27を図6に示すように押圧部14の左右の引っ掛け部35に引っ掛けてある。押圧部14は圧縮ばね15により下向きに弾発されているので、フック部17を介して操作部16は常にヨーク部18の上面22に押し付けられている。押圧部14は上下方向に延びる平板状の部材であり、その下面は端子部13の複数の凸部21との間の配線接続部で配線を押圧し、固定する。
【0016】
レバー状の操作部16は、図8に示されるようにレバーを倒した状態におけるヨーク部18の上面22から連結部26までの距離t1よりも、操作部16を起こした状態におけるヨーク部18の上面22から連結部26までの距離t2が大きくなる形状となっている。このため操作部16を起こすと押圧部14は圧縮ばね15を圧縮しながら持ち上げられ、操作部16を倒すと押圧部14は圧縮ばね15の弾発力により、下方の端子部13に押し付けられる。このように、フック部17が操作部16の開閉操作と押圧部14の上下移動を連動させている。なお、図8の右図の状態においても連結部26は軸25よりも左側にあるので、圧縮ばね15によりフック部17に発生する張力は、常に操作部16を倒す方向に作用している。しかし、図8の右図の状態においては、連結部26に設けられた凹み形状により、操作部16を起こした状態が維持される。ただし、操作部16を所定の角度倒すことにより、レバー状の操作部16は図8の左図の状態に自動的に復帰する。
【0017】
図9図10に示すように、上記した端子部13の前側端部であって押圧部14の下方に配線接続部30が形成されている。図9に示すように、レバーを起こすと押圧部14は圧縮ばね15を圧縮しつつ上方に引き上げられるので、配線接続部30に配線を挿入することが可能となる、その後に図10のようにレバーを倒すと押圧部14は圧縮ばね15により下方に移動し、圧縮ばね15の弾発力を押圧部14を介して配線接続部30に挿入された配線に加えることで配線を固定する。このとき圧縮ばね15の弾発力をそのまま配線に加えることができるので、配線のサイズに拘わらず、配線を確実に固定することができる。
【0018】
なお、配線接続部30への配線挿入を容易にするため、端子ケース11の端部に設けられた配線挿入口31は後方に向かうにつれて開口面積が小さくなるように傾斜部が形成されている。また配線接続部30と配線挿入口31の前面側端部との距離を長くし、配線接続部30に指が届きにくい構造にしておくことが好ましい。
【0019】
以上に説明したように、端子部13、押圧部14、圧縮ばね15、レバー状の操作部16、フック部17、ヨーク部18等が左右の端子ケース11で保持されて端子ユニット10を形成する。そして、端子ユニット10が左右のベース12に挟み込まれることで、端子台が形成されている。そしてヨーク部18の上面22の前側端部が左右の端子ケース11に挟持される。また、図6図7のように、ヨーク部18の下端と端子部13が嵌合して形成された空間に押圧部14や圧縮ばね15が収納され、押圧部14の左右の引っ掛け部35にフック部17が引っ掛けられており、レバー状の操作部16がフック部17の上端に支持されてなる。このようにヨーク部18の上面22の前側端部が左右の端子ケース11に挟持されることで、端子部13、押圧部14、圧縮ばね15、操作部16、フック部17、ヨーク部18が左右の端子ケース11に保持される。さらに、レバー状の操作部16の軸25は、左右の端子ケース11に軸支される。また、端子部13は、左右のベース12に挟持される。
【0020】
図11図12図13に示す他の実施形態では、押圧部14が左右及び前後方向に延びる平板状部材であり、その前後端部を下方に折り曲げて押圧面32としてある。また端子部13は複数の押圧面32の略中央に対応する位置に凸部21が形成されている。これらの押圧面32と凸部21とによって配線を挟み、配線の抜けを防止している。なお、押圧部14の上面には圧縮ばね15を受けるばね受け33が形成され、左右に引っ掛け部25が形成されている。
【0021】
この端子台には様々なサイズの配線が接続されるため、配線が挿入されていない状態においても押圧部14が端子部13に接触するようにしておくことが望ましい。実施形態のように端子部13に凸部21が形成されている場合には、凸部21の上面よりも押圧部14の押圧面32が低い位置に来るようにしておけばよい。
【0022】
本実施形態の端子台は、1極用の仕様となっている。そのため端子台を左右方向に複数個連結し、2極用、3極用など複数極に対応する端子台とすることもできる。
【0023】
以下に、配線接続部30へ配線が挿入されたことを示す接続表示構造について説明する。これは図10に示すように配線の先端が所定位置まで挿入されているか否かを、端子台の上面で確認できるようにするためのものである。図14から図16に接続表示構造の実施形態を示す。この実施形態では、全体が略L字状となった接続表示部材40が用いられている。この接続表示部材40は横方向に延びる第1アーム41と、上方向に延びる第2アーム42を備えている。また、第1アーム41の左右両側には軸受孔部43が形成されており、端子ケース11から突出させた軸部をこれらの軸受孔部43に差し込むことによって、第1アーム41を中心として揺動できる構造となっている。
【0024】
第1アーム41の下方には平板状の配線当接部44が形成されている。また、この配線当接部44の中央部には上方に湾曲した弾性部45が形成されている。配線当接部44は配線接続部30へ挿入された配線の先端によって押圧される部材であり、弾性部45はその上端を端子ケース11の後面に当接させることにより、図面上の反時計方向の弾性モーメントを発生させ、配線当接部44を配線接続部30に向けて弾発する部材である。上方向に延びる第2アーム42の上端には、表示部46が形成されている。この表示部46は端子台本体10の表示孔47(図15)に臨ませてある。
【0025】
表示部46は2色に色分けされ、配線接続部30に配線が挿入されていない状態では、弾性部45により接続表示部材40は時計方向に揺動するため表示孔46に1色目の色が表示され、配線接続部30の所定位置までに配線が挿入されると、配線当接部44が配線の先端で押されて反時計方向に揺動するため、表示孔47に2色目の色が表示されるようになっている。このように表示される色によって配線が挿入されているか否かを表示するほか、表示孔47から表示部46が見えるか否かによって配線が挿入されているか否かを表示してもよい。
【0026】
また、接続表示部材40を水平な軸の回りに揺動させるほか、軸を垂直にして接続表示部材40を横方向に揺動させてもよい。すなわち、配線当接部44に配線を当接させることにより配線の挿入を外部から判別できる構造とすれば、具体的な構造は適宜選択することができる。なお、配線は引き抜かれると弾性部45により接続表示部材40は逆方向に復帰し、配線が所定位置まで挿入されていないか、配線が全く挿入されていないことを表示する。
【0027】
以上に説明したように本発明の端子構造によれば、レバー式の操作部16を操作することによって、配線のサイズに拘わらず配線を確実に固定することができる。
【0028】
次に、本発明を大電流用のサイズの大きい配線の固定に適用した実施形態を説明する。端子台の電流容量を大きくするためには、端子台のサイズを大きくすることはもちろんであるが、サイズの大きい配線を接続できる構造にする必要がある。さらに、サイズの大きい配線を押圧部で固定するためには、サイズの大きい圧縮ばねを後いる必要がある。上記した実施形態では金属製の線材を折り曲げてフック部17を形成したが、このようなフック部17は大型の圧縮ばねの力に耐えられずに変形したり、破損するおそれがある。そこで以下に記す実施形態では、フック部17を金属製の連結板に変更した。
【0029】
図17はこの実施形態の端子構造を示す全体斜視図、図18はその分解斜視図であり、51は端子ケース、52はその左右両側を挟むベースである。端子ケース51の上部には操作部53が配置され、端子ケース51の下部には端子部54が配置されている。これらの操作部53、端子部54はサイズが大型化されているが、それらの構造は前記した実施形態と同様である。
【0030】
図19は端子ケース51を開いて内部構造を示した分解斜視図であり、図20は要部の拡大斜視図である。これらの図において、55は圧縮ばね、56は左右一対の分割ヨーク片である。サイズの大きい配線を固定するために、圧縮ばね55のサイズも前記した実施形態よりも大きく、強力になっている。
【0031】
図21図22に示されるように、この実施形態では圧縮ばね55の両側に、左右一対の連結板57が配置されている。これらの連結板57は金属板からなるもので、その下方には上下方向に延びるスリット58が形成されており、板状の押圧部59の左右両端の引っ掛け部60が嵌合されている。なお、この実施形態では配線をより確実に固定するために、押圧部59は前後2枚となっており、このためスリット58も前後2列に形成されている。2枚の押圧部59は同一形状としてもよいが、配線挿入口55の入口側の押圧部59の配線と当接される下面を他方よりも小さくしておくことが好ましい。連結板57の上端には軸孔61が形成され、図24に示すように軸62を挿通して操作部53と連結板57とを連結している。なお図24に示すように、端子板54の先端部の両側には押圧部59を昇降可能にガイドするガイド溝70を形成しておくことが好ましい。
【0032】
図21図23に示されるように、一対の分割ヨーク片56がこれらの連結板57を左右方向から覆い、圧縮ばね55と連結板57を内部に収納している。分割ヨーク片56は垂直面63と、直角に折り曲げられた上面64と、直角に折り曲げられた下面65を備えている。垂直面63には連結板57のスリット58に対応させてスリット66が形成されている。また、垂直面63と上面64との接続部には上部開口67が形成され、連結板57の上部を貫通させている。
【0033】
圧縮ばね55の上面には押さえ板68が配置されている。圧縮ばね55の弾発力により押さえ板68には上向きの力が加わるが、図25に示されるように左右の分割ヨーク片56の上面64が押さえ板68の位置を拘束している。圧縮ばね55は圧縮された状態で一対の分割ヨーク片56の内部に収納されるが、その組付け手順は、次の通りである。即ち、まず押圧部59の引っ掛け部60を連結板57のスリット58に挿入し、押圧部59の上に圧縮ばね55と押さえ板68を取り付ける。次に分割ヨーク片56の上部開口67に連結板57の上端を挿入し、図23に示すように一対の分割ヨーク片56の下部同士が近づくように回動させ、分割ヨーク片56の下面65同士を嵌合させて固定する。最後に図24に示すように連結板57の軸孔61に軸62を通して操作部53と連結板57とを連結する。
【0034】
この実施形態においても、操作部53を上方に操作して連結板57を介して押圧部59を引き上げ、端子部54の先端と押圧部59との間に配線を挿入し、操作部53を下方に戻すことにより圧縮ばね55の弾発力を押圧部59に作用させ、配線を固定することは第1の実施形態と同様である。操作部53を上方に操作して押圧部59を引き上げたときに圧縮ばね55が左右方向にも拡がり、連結板57を外向きに押し広げると、押圧部59がスリット58から外れることが考えられる。しかし上述したように、この実施形態では一対の分割ヨーク片56が連結板57を左右方向から覆い、圧縮ばね55と連結板57を内部に収納した構造としたため、連結板57が外向きに押し広げられることがなくなり、押圧部59がスリット58から外れることを防止することができる。なお、レバー式の操作部53を下方に倒したときに誤って指を挟むことがないよう、操作部53と端子ケース51との間に、隙間を形成しておくことが好ましい。
【0035】
上記したように、この実施形態の構造とすれば、大電流用のサイズの大きい配線をも確実に固定することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 端子ユニット
11 端子ケース
12 ベース
13 端子部
14 押圧部
15 圧縮ばね
16 操作部
17 フック部
18 ヨーク部
20 ねじ固定用の孔
21 凸部
22 ヨークの上面
23 ヨークの左右の側面
24 スリット
25 軸
26 連結部
27 屈曲部
30 配線接続部
31 配線挿入口
33 ばね受け
32 押圧面
35 引っ掛け部
40 接続表示部材
41 第1アーム
42 第2アーム
43 軸受孔部
44 配線当接部
45 弾性部
46 表示部
47 表示孔
51 端子ケース
52 ベース
53 操作部
54 端子部
55 圧縮ばね
56 分割ヨーク片
57 連結板
58 スリット
59 押圧部
60 引っ掛け部
61 軸孔
62 軸
63 垂直面
64 上面
65 下面
66 スリット
67 上部開口
68 押さえ板
70 ガイド溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25