(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】丸瓶形状容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20241028BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
B65D1/02 250
B65D23/00 H
(21)【出願番号】P 2021091908
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 岳
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-58527(JP,A)
【文献】特開2005-53576(JP,A)
【文献】特開2009-280274(JP,A)
【文献】国際公開第81/00390(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B65D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有した口部と、前記口部の下方に配置された肩部と、前記肩部の下方に配置された胴部と、前記胴部を閉じる底部とを有し、前記胴部が丸みを帯びた胴部であり、合成樹脂によって形成された丸瓶形状容器であって、
前記胴部には、当該胴部を容器内側に窪ませた、複数の減圧吸収部が形成されており、前記複数の減圧吸収部は、当該減圧吸収部の外縁が互いに隣接するように、軸線の周りに配置されて
いることで、一方の減圧吸収部の外縁が周方向に隣り合う他方の減圧吸収部の外縁に1つの接点で接しており、
前記減圧吸収部は、当該減圧吸収部の前記外縁に沿って環状に延びている外縁領域を有しており、当該外縁領域は、容器内側に向かって湾曲した形状である、丸瓶形状容器。
【請求項2】
前記減圧吸収部は、容器内側に向かって湾曲した形状である、請求項1に記載された丸瓶形状容器。
【請求項3】
前記湾曲した形状は、丸みを帯びた状態の胴部を容器内側に反転させた形状である、請求項1または2に記載された丸瓶形状容器。
【請求項4】
前記胴部は、シュリンクラベルによって被覆されている、請求項1~3のいずれか1項に記載された丸瓶形状容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸瓶形状容器に関する。
【背景技術】
【0002】
丸みを帯びた胴部を有している丸瓶形状容器には、例えば、円筒状の胴部を有した合成樹脂製の押出しブロー成形容器がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記丸瓶形状容器は、例えば、高温の内容物を充填し、その後、容器の内圧が減少したときでも、多角形形状の角状容器に対して比較的、胴部などに変形を生じに難く、外観形状を保つことができる。
【0005】
しかしながら、丸瓶形状容器であっても、例えば、その大きさを維持しつつ軽量化を図ろうとする場合、容器の変形を抑えつつ減圧吸収が行えるという、減圧吸収機能が低下してしまう。また、仮に容器に減圧吸収に伴う変形が生じない場合であっても、減圧吸収後の状態で、容器の胴部に対して外から力を加えたときには、当該胴部が大きく変形してしまうという点において、改善の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、減圧吸収機能を高めつつ、外観形状を損ない難い丸瓶形状容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る丸瓶形状容器は、開口を有した口部と、前記口部の下方に配置された肩部と、前記肩部の下方に配置された胴部と、前記胴部を閉じる底部とを有し、前記胴部が丸みを帯びた胴部であり、合成樹脂によって形成された丸瓶形状容器であって、前記胴部には、当該胴部を容器内側に窪ませた、複数の減圧吸収部が形成されており、前記複数の減圧吸収部は、当該減圧吸収部の外縁が互いに隣接するように、軸線の周りに配置されていることで、一方の減圧吸収部の外縁が周方向に隣り合う他方の減圧吸収部の外縁に1つの接点で接しており、前記減圧吸収部は、当該減圧吸収部の前記外縁に沿って環状に延びている外縁領域を有しており、当該外縁領域は、容器内側に向かって湾曲した形状である。
【0008】
本発明に係る丸瓶形状容器において、前記減圧吸収部は、容器内側に向かって湾曲した形状であることが好ましい。
【0009】
本発明に係る丸瓶形状容器において、前記湾曲した形状は、丸みを帯びた状態の胴部を容器内側に反転させた形状であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る丸瓶形状容器において、前記胴部は、シュリンクラベルによって被覆されているものとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、減圧吸収機能を高めつつ、外観形状を損ない難い丸瓶形状容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、丸瓶形状容器を概略的に示す側面図である。
【
図2】
図1の丸瓶形状容器を、軸線Оを含む断面で示す断面図である。
【
図3】
図1の丸瓶形状容器をX-X断面で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、丸瓶形状容器について説明をする。
【0014】
図中、符号Oは、丸瓶形状容器の中心軸線(以下、「軸線О」ともいう。)、すなわち、符号Oは、容器軸線である。また、以下の説明において、「上下方向」とは、軸線Оに沿って延びている方向をいう。特に、本実施形態において、「上」とは、丸瓶形状容器の口部の側を意味することを含む。また、本実施形態において、「下」とは、丸瓶形状容器の底部の側を意味することを含む。
【0015】
さらに、以下の説明において、軸線Oに延在する方向を軸線方向ともいい、軸線Oの周りに延在する方向を周方向ともいう。また、以下の説明において、軸線Oに対して直交する方向を径方向ともいう。
【0016】
図1中、符号1は、丸瓶形状容器(以下、単に「容器」ともいう。)である。容器1は、開口Aを有した口部2と、口部2の下方に配置された肩部4と、肩部4の下方に配置された胴部5と、胴部5を閉じる底部6とを有している。胴部5は、丸みを帯びた胴部である。容器1は、合成樹脂によって形成されている。胴部5には、当該胴部5を容器内側に窪ませた、複数の減圧吸収部7が形成されている。複数の減圧吸収部7は、当該減圧吸収部7の外縁7eが互いに隣接するように、周方向に配置されている。減圧吸収部7は、当該減圧吸収部7の外縁7eに沿って環状に延びている外縁領域7aを有している。外縁領域7aは、容器内側に向かって湾曲した形状である。
【0017】
本実施形態の具体的な構成において、容器1は、いわゆるボトル容器である。容器1は、口部2、ネック部3、肩部4、丸みを帯びた胴部5および底部6が合成樹脂によって一体的に形成されている。ここで、「丸みを帯びた胴部」とは、少なくとも軸直方向断面視において、円形状の断面輪郭形状を含む胴部をいう。例えば、後述するように、
図3の軸直方向断面視において、胴部5の輪郭形状が、円形の仮想胴部51が外接円となるような輪郭形状であることをいう。
【0018】
図2は、容器1を、軸線Оを含む断面で示す断面図である。
図2を参照すれば、容器1の内部には、口部2に形成された開口Aに通じる収容空間Sが形成されている。口部2は、ネック部3に連なっている。ネック部3は、肩部4に向かって等しい径で延びている。ネック部3にはネックリング3aが形成されている。ネック部3は、肩部4に連なっている。
図1に示すように、肩部4は、胴部5に向かうにしたがって径方向外側に拡大している。肩部4は、胴部5の上端5e1(以下、「胴部上端5e1」ともいう。)に連なっている。胴部5は、径方向外側に突出した湾曲形状である。胴部5は、周方向の全周にわたって突出している。胴部5の下端5e2(以下、「胴部下端5e2」ともいう。)は、底部6によって閉じられている。
【0019】
減圧吸収部7は、胴部上端5e1と胴部下端5e2との間に配置されている。即ち、減圧吸収部7は、胴部5の軸線方向領域内に配置されている。本実施形態において、減圧吸収部7は、当該減圧吸収部7の外縁7eが胴部上端5e1と胴部下端5e2とに接している。即ち、減圧吸収部7は、胴部上端5e1と胴部下端5e2とに接するように、胴部5に配置されている。
【0020】
また、減圧吸収部7は、互いに接するように周方向に配置されている。
図1を参照すれば、本実施形態において、減圧吸収部7の外縁7eは、軸線方向に延びている楕円形状を形作っている。即ち、本実施形態において、減圧吸収部7は、軸線方向に延びている楕円形状である。また、本実施形態において、一方の減圧吸収部7の外縁7eは、周方向に隣り合う他方の減圧吸収部7の外縁7eに接している。
図1中、符号7pは、一方の減圧吸収部7と他方の減圧吸収部7とが周方向で接する接点(交点)である。本実施形態において、接点7pは、胴部5の軸線方向中央に配置されている。ここで、胴部5の軸線方向中央とは、軸線方向における、胴部上端5aと胴部下端5bとの間の中央である。
図1では、胴部5の軸線方向中央をX-Xで示す(以下、「胴部軸線方向中央(X-X)」ともいう。)。即ち、本実施形態において、複数の接点7pは、それぞれ、
図1に示すように、胴部5の胴部軸線方向中央(X-X)における軸直方向断面視で、当該胴部5の輪郭形状上を、周方向に間隔を置いて配置されている。
【0021】
図3は、容器1をX-X断面で示す断面図である。
図3を参照すれば、減圧吸収部7は、軸直方向断面視において、軸線Оを中心に角度aの間隔で配置されている。本実施形態において、a=30°である。即ち、本実施形態では、胴部5には、12個の減圧吸収部7が配置されている。ただし、本発明によれば、減圧吸収部7の個数(角度aの数値)は、適宜変更することができる。例えば、減圧吸収部7は、偶数個又は奇数個とすることができる。本発明によれば、容器1は、軸直方向断面視において、軸線Oを挟んで対称な形状であることから、容器1の対称性を考慮すれば、減圧吸収部7は、偶数個であることが好ましい。
【0022】
本実施形態において、減圧吸収部7は、容器内側に向かって湾曲した形状である。
図3を参照すれば、減圧吸収部7は、胴部軸線方向中央(X-X)において、容器外側に中心を有する湾曲した形状を有し、当該湾曲した形状は、曲率半径R3で形成された円弧形状である。
【0023】
図3を参照すれば、本実施形態において、前記湾曲した形状は、丸みを帯びた状態の、仮想的な胴部51を容器内側に反転させた形状である。ここで、胴部51は、胴部5に減圧吸収部7が形成されていないと仮定した場合の仮想の胴部である(以下、「仮想胴部51」ともいう。)。本実施形態において、仮想胴部51は、
図3に示すように、胴部軸線方向中央(X-X)において、軸線Оを中心とする半径R51によって形成された円形の輪郭形状を有している。
【0024】
これに対し、減圧吸収部7は、
図3に示すように、胴部軸直方向中央(X-X)において、曲率半径R3の円弧形に形成された輪郭形状を有している。本実施形態において、減圧吸収部7は、上述のとおり、仮想胴部51を容器内側に反転させた形状である。したがって、本実施形態において、減圧吸収部7の曲率半径R3は、仮想胴部51の半径R51と等しい(R3=R51)。言い換えれば、仮想胴部51の輪郭形状を形作る円は、胴部軸線方向中央(X-X)において、胴部5の外接円となる。また、
図3に示すように、胴部軸線方向中央(X-X)において、複数の減圧吸収部7の全ての最深部7bを通る円は、軸線Оを中心とする、胴部5の内接円52となる。
図3を参照すれば、減圧吸収部7は、胴部軸線方向中央(X-X)に、当該減圧吸収部7の最深部(減圧吸収部7のうちの最も深い部分)7bが位置している。なお、図中、符号R52は、軸直方向断面視において、内接円52の半径である。
【0025】
また、
図2に示すように、本実施形態において、減圧吸収部7は、軸線方向断面視においても、仮想胴部51を容器内側に反転させた形状である。本実施形態において、減圧吸収部7は、胴部上端5e1と胴部下端5e2との間のいずれの位置においても、仮想胴部51を容器内側に反転させた形状である。
【0026】
本発明によれば、減圧吸収部7は、同一の曲率半径によって形成された円弧形とすることができるが、
図2に示すように、本実施形態において、軸線方向断面視における仮想胴部51の輪郭形状は、胴部軸線方向中央(X-X)を境に異なっている。
【0027】
ここで、
図2に示すように、軸線方向断面視において、胴部上端5e1と胴部軸線方向中央(X-X)との間に配置された減圧吸収部7の輪郭形状を、減圧吸収部7の上側輪郭形状とし、胴部下端5e2と胴部軸線方向中央(X-X)との間に配置された減圧吸収部7の輪郭形状を、減圧吸収部7の下側輪郭形状とする。
【0028】
図2を参照すれば、本実施形態において、減圧吸収部7の上側輪郭形状は、容器外側に中心を有する曲率半径R1の円弧形によって形成されている。また、本実施形態において、減圧吸収部7の下側輪郭形状は、容器外側に中心を有する曲率半径R2の円弧形によって形成されている。即ち、本実施形態において、減圧吸収部7の軸線方向断面視における輪郭形状は、曲率半径の異なる円弧形で形成されている。ただし、本発明によれば、減圧吸収部7の(軸線方向断面視における上側)曲率半径R1と、当該減圧吸収部7の(軸線方向断面視における下側)曲率半径R2とは、等しくすることができる。
【0029】
一方、本実施形態において、軸線方向断面視における仮想胴部51の輪郭形状も、胴部軸線方向中央(X-X)を境に異なっている。
【0030】
ここで、
図2に示すように、軸線方向断面視において、胴部上端5e1と胴部軸線方向中央(X-X)との間に配置された仮想胴部51の輪郭形状を、仮想胴部51の上側輪郭形状とし、胴部下端5e2と胴部軸線方向中央(X-X)との間に配置された仮想胴部51の輪郭形状を、仮想胴部51の下側輪郭形状とする。
【0031】
図2を参照すれば、仮想胴部51の上側輪郭形状は、容器内側に中心を有する曲率半径R1によって形成される。また、本実施形態において、仮想胴部51の下側輪郭形状は、容器内側に中心を有する曲率半径R2によって形成される。したがって、仮想胴部51の、軸線方向断面視における形状もまた、胴部軸線方向中央(X-X)を境に異なっている。このように、本実施形態において、減圧吸収部7は、胴部上端5e1と胴部下端5e2との間のいずれの位置においても、仮想胴部51を容器内側に反転させた形状である。また、本実施形態において、仮想胴部51は丸みを帯びた胴部であることから、当該仮想胴部51を反転させて減圧吸収部7を形成したときは、
図1に示すように、減圧吸収部7の外縁7eは、軸線方向に延びている楕円形状に形作られる。
【0032】
丸みを帯びた胴部(仮想胴部51)を有する、従来の丸瓶形状容器は、当該丸瓶形状容器の大きさを維持しつつ軽量化を図ろうとする場合、例えば、容器の薄肉化などの影響によって、減圧吸収時に大きく変形し、その変形が永久的な変形となり得る。また、容器に減圧吸収に伴う変形が生じない場合であっても、減圧吸収後の状態で、容器の胴部に対して外から力を加えたときには、当該胴部が大きく変形してしまうことがある。
【0033】
減圧吸収の具体例としては、複数の丸瓶形状容器が内容物の充填ラインの搬送工程において、内容物を熱充填する場合がある。この場合、内容物を熱充填したのち、当該内容物が冷却されると、当該丸瓶形状容器の胴部および当該胴部に隣接する部分に大きな変形が生じ、或いは、永久変形(復元が不可能な変形)を生じさせることが考えられる。また、外力による変形の具体例としては、充填ラインの搬送工程において、複数の容器が渋滞し、互いに胴部付近で強く押し付け合うような状態となる場合が挙げられる。この場合、軽量化を行う前の、丸瓶形状容器で受けることが可能であった荷重であっても、当該丸瓶形状容器の胴部および当該胴部に隣接する部分に永久変形(復元が不可能な変形)を生じさせることが考えられる。
【0034】
これに対し、容器1には、当該胴部5を容器内側に窪ませた、複数の減圧吸収部7が形成されている。この場合、例えば、内容物を熱充填する容器として、容器1が使用されるとき、当該容器1の冷却後に、収容空間S内の圧力が減少しても、その減圧分を減圧吸収部7に生じる変形によって吸収させることができる。この変形は、収容空間S内の圧力が開封時において上昇したときに解消される。即ち、減圧吸収部7の形状は、収容空間S内の圧力上昇によって、減圧前の形状に復元される。このように、容器1によれば、減圧吸収機能を高めることができる。
【0035】
また、容器1によれば、胴部5に減圧吸収部7を形成したことにより、当該胴部5および当該胴部5に隣接する部分において、減圧吸収後の容器1に対して。外からの力(荷重)を加えても変形が生じ難くなる。このため、容器1によれば、当該容器1の軽量化を図ったうえで、減圧吸収後において、軽量化前の従来の丸瓶形状容器で受けることが可能であった荷重と同等以上の荷重が胴部5および当該胴部5に隣接する部分に加わっても、永久変形を生じ難くなる。したがって、容器1によれば、その大きさを維持しつつ軽量化を行う場合でも、外から加わる荷重に対して変形を生じ難い。
【0036】
さらに、容器1において、減圧吸収部7は、胴部5をシュリンクラベルで包装したとき、シュリンク後の外観形状を綺麗に保つのに役立つ。
【0037】
容器1において、減圧吸収部7は、当該減圧吸収部7の外縁7eに沿って環状に延びている外縁領域7aを有しており、当該外縁領域7aは、容器内側に向かって湾曲した形状である。減圧吸収部が胴部に形成された容器にシュリンクラベルを付す場合、当該シュリンクラベルがシュリンク(収縮)した後の、外観形状が問題となる。容器1によれば、シュリンクラベルが熱収縮したとき、当該シュリンクラベルは、減圧吸収部7の外縁7eに接することで、当該シュリンクラベルと減圧吸収部7との間に空気を残存させることができる。これによって、シュリンクラベルがシュリンクしても、当該シュリンクラベルは、減圧吸収部7の内側形状に追従し難くすることができる。このため、容器1によれば、胴部5をシュリンクラベルで包装したときも、当該シュリンクラベルの外観は仮想胴部51と近い形状に保たれる。即ち、容器1によれば、当該容器1の胴部5および当該胴部5に隣接する部分に付されたシュリンクラベルの外観形状は、シュリンク後においてもきれいに保たれる。したがって、この場合、当該容器1に付されたシュリンクラベルの外観形状を、シュリンク後においても、きれいに保つことができる。
【0038】
また、容器1において、複数の減圧吸収部7は、当該減圧吸収部7の外縁7eが互いに隣接するように、周方向に配置されている。この場合もまた、シュリンクラベルがシュリンクするときに 減圧吸収部7の形状に追従し難くなる。これによって、当該容器1の胴部5および当該胴部5に隣接する部分に付されたシュリンクラベルの外観形状は、シュリンク後においてもきれいに保たれる。したがって、この場合もまた、当該容器1に付されたシュリンクラベルの外観形状を、シュリンク後においても、きれいに保つことができる。
【0039】
したがって、容器1によれば、胴部5は、シュリンクラベルによって被覆されていることが好ましい。この場合、上述のとおり、容器1を包装するシュリンクラベルの外観形状が損なわれ難い。したがって、本発明は、シュリンクラベルによって包装された容器に対して有効である。
【0040】
図1を参照すれば、容器1において、減圧吸収部7の外縁領域7aは、減圧吸収部7の外縁7eに連なっているとともに当該外縁7eに沿って環状に延びている。本発明によれば、外縁領域7aの内縁よりも内側は、平坦な面とすることができる。また、外縁領域7aの内縁が減圧吸収部7に対して占める割合は、適宜変更することができる。
【0041】
容器1では、減圧吸収部7は、上述のとおり、容器内側に向かって湾曲した形状である。本実施形態において、外縁領域7aの内側は、上述のとおり、外縁領域7aとともに容器内側(最深部7b)に向かって湾曲している。この場合、容器1に付されたシュリンクラベルの外観形状は、シュリンク後においても、よりきれいに保たれる。
【0042】
特に、本実施形態において、前記湾曲した形状は、丸みを帯びた状態の胴部51を容器内側に反転させた形状である。この場合、胴部7に対して減圧吸収部7の形状を設定する場合、減圧吸収部7の形状の設定が容易になる。また、この場合、減圧吸収部7の形状は、容器1の厚み方向において、仮想胴部(丸みを帯びた本来の胴部)51に対して対称的な形状となる。この場合、外から加わる荷重によって生じる変形に対する剛性がより高まるとともに、シュリンクラベルがシュリンクするときの、当該シュリンクラベルの、減圧吸収部7の形状に対する追従性をより抑制することができる。
【0043】
なお、
図1を参照すれば、胴部5は、底部6に連なっている。底部6は、円筒部6aを有している。円筒部6aの上端は、胴部5の下端5e2に連なっている。円筒部6aは、下側に向かうにしたがって径方向内側に縮小している。また、底部6は、ヒール部6bを有している。ヒール部6bの上端は、円筒部6aの下端に連なっている。ヒール部6bは、径方向内側に折り返されている。さらに、底部6は、接地部6cを有している。接地部6cの径方向外側端は、ヒール部6bの径方向内側端に連なっている。また、
図4を参照すれば、本実施形態において、底部6はさらに、底上げ部6dを有している。底上げ部6dは、軸線Оに向かうにしたがって上側に凹んでいる。底上げ部6dの径方向外側端は、接地部6cの径方向内側端に連なっている。なお、
図2において、符号R4は、軸線方向断面視において、肩部4の輪郭形状を形作る円弧形の曲率半径である。また、符号R6は、軸線方向断面視において、底部6の輪郭形状を形作る円弧形の曲率半径である。曲率半径R4は、R1と同一又は異ならせることができる。曲率半径R6もまた、R2と同一又は異ならせることができる。
【0044】
以下の表1は、丸瓶形状容器の剛性をFEM解析した結果である。この解析では、丸瓶形状容器の収容空間に所定量の内容物(この解析では水)を充填し、当該収容空間が密封されていることを想定した。また、この解析において、丸瓶形状容器は、内容物の充填温度を87°Cとし、当該充填温度を20°Cまで温度変化させることによって前記収容空間が減圧状態となっていることを想定した。こうした想定の下、各種サンプルの丸瓶形状容器の胴部に横荷重を加えることにより、当該横荷重が加わる部分の変形状態を解析した。即ち、今回の解析は、サンプルの収容空間が密閉状態であり、かつ、減圧状態であることを前提条件とした解析である。表1中、最大荷重(N)は、胴部に永久変形が生じたときに当該胴部に加えた荷重である。また、潰れ変位量(mm)は、胴部に永久変形が生じたときに当該胴部に生じた変位量である。
【0045】
【0046】
実施例1-3は、容器1をモデルとした実施例モデルである。実施例1は、減圧吸収部7の深さが最も深い実施例モデルである。実施例1の、減圧吸収部7の深さは、実施例1-3の中で最も深い。実施例2は、減圧吸収部7の深さを、実施例1の2/3にした実施例モデルである。実施例2の、減圧吸収部7の深さは、実施例1-3の中で中間の深さである。実施例3は、減圧吸収部7の深さを、実施例1の1/3にした実施例モデルである。実施例3の、減圧吸収部7の深さは、実施例1-3の中で最も浅い。
【0047】
比較例1は、実施例1-3の基となる比較モデルである。比較例1は、丸みを帯びた胴部51を有する、従来の丸瓶形状容器をモデルとしている。
【0048】
上記解析の条件は、減圧吸収部7の有無と、減圧吸収部7の深さの違いとを除けば、実施例1-3および比較例1は同一とした。
【0049】
実施例1-3に加わる最大荷重(N)はいずれも、表1に示すように、比較例1に加わる荷重よりも大きかった。にもかかわらず、表1の潰れ変位量(mm)に示すように、実施例1の剛性は、比較例1の約70%増しであった。次いで、実施例2の剛性は、比較例1の約28%増しであった。実施例3の剛性は、比較例1の約9%増しであった。これらの結果から、実施例1-3はいずれも、実施例1-3の原型となる比較例1に比べて、横荷重に対する剛性が高まっていると言える。言い換えれば、実施例1-3はいずれも、個々の剛性の分だけ、軽量化(薄肉化)を図っても、比較例1の減圧吸収機能を維持できることになる。したがって、これら実施例1-3の解析結果から、本発明によれば、その大きさ(内容量)を維持しつつ軽量化を行う場合でも、減圧吸収機能を高めつつ、外観形状を損ない難いことは明らかである。
【0050】
以上、本発明の一実施形態に係る、丸瓶形状容器について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で、様々に変更することができる。例えば、本実施形態において、減圧吸収部7の上端は胴部上端5e1に一致し、減圧吸収部7の下端は胴部下端5e1に一致しているが、本発明によれば、減圧吸収部7の上端は、胴部上端5e1よりも下側の位置に配置させることができる。また、本発明によれば、減圧吸収部7の下端は、胴部下端5e2よりも上側の位置に配置させることができる。即ち、本発明において、減圧吸収部7は、胴部上端5e1と胴部下端5e2との間の領域内であれば、任意の位置に配置させることができる。さらに、本発明によれば、胴部5の胴部軸線方向中央(X-X)は、胴部上端5e1と胴部下端5e2との軸線方向の距離(長さ)が等しい位置である他に、胴部上端5e1と胴部下端5e2との軸線方向の距離(長さ)が異なる位置である場合も含まれる。また、丸瓶形状容器は、例えば、合成樹脂製のプリフォームを用いたブロー成形ボトル、例えば、二軸延伸ブロー成形とすることができる。また、丸瓶形状容器は、合成樹脂製のパリソンを用いた押出しプロ―成形ボトルとすることができる。ただし、丸瓶形状容器の製造方法は、ブロー成形に限定されるものではなく、様々な方法によって製造することができる。さらに、上述した実施形態に採用された様々な構成は、既存の構成を用いることによって、適宜、相互に置き換えることができ、又は、組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0051】
1:丸瓶形状容器, 2:口部, 3:ネック部, 4:肩部, 5:胴部, 5e1:胴部の上端, 5e2:胴部の下端, 6:底部, 7:減圧吸収部, 7a:減圧吸収部の外縁領域, 7b:減圧吸収部の最深部, 7e:減圧吸収部の外縁, 7p:接点(交点), 51:仮想胴部(丸みを帯びた胴部), R1:(軸線方向断面視における上側)減圧吸収部の曲率半径, R2:減圧吸収部の(軸線方向断面視における下側)曲率半径, R3:減圧吸収部の(胴部軸直方向X-X断面における)曲率半径, R4:肩部の(軸線方向断面視における)曲率半径, R6:底部の(軸線方向断面視における)曲率半径