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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/08 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
H04L7/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022160802
(22)【出願日】2022-10-05
(65)【公開番号】P2024054531
(43)【公開日】2024-04-17
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】舩山 拓也
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-252343(JP,A)
【文献】国際公開第2016/175015(WO,A1)
【文献】特表2019-508989(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0010284(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0291855(US,A1)
【文献】国際公開第2000/065759(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/148416(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/00 - 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信局と第2の通信局との間で、通信対象となるデータが格納されたデータフレームを送受信する通信システムであって、
前記第1の通信局と前記第2の通信局との間で通信を開始する際に、前記第1の通信局の送信機は、既知パターンのみからなる引込フレームを前記第2の通信局へ繰り返し送信し、
前記第2の通信局の受信機は、前記引込フレームを受信し、受信した前記引込フレームを利用して引込処理を行い、
前記第1の通信局は、前記第2の通信局の受信機が前記引込処理を完了したか否かを判定し、前記引込処理を完了したと判定した場合に、前記第1の通信局の送信機は、前記引込フレームに代えて前記データフレームの送信を開始する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記データフレームには、既知パターンのみからなるパイロットブロックが格納されており、前記引込フレームの長さは、1つの前記データフレームに格納されている前記パイロットブロックよりも長い、
ことを特徴とする請求項に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1の通信局と前記第2の通信局との間で前記データフレームの送受信が行なわれているときに、前記第2の通信局の受信機で通信同期が外れた場合、前記第2の通信局の送信機は、引込未完通知を前記第1の通信局へ送信し、
前記第1の通信局の受信機が前記引込未完通知を受信すると、前記第1の通信局の送信機は、前記データフレームに代えて前記引込フレームを前記第2の通信局へ繰り返し送信し、
前記第2の通信局の受信機は、前記引込フレームを受信し、受信した前記引込フレームを利用して前記引込処理を行い、
前記第2の通信局の送信機は、前記引込処理が完了すると、引込完了通知を前記第1の通信局へ送信し、
前記第1の通信局の受信機が前記引込完了通知を受信すると、前記第1の通信局の送信
機は、前記引込フレームに代えて前記データフレームの送信を開始する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1の通信局と前記第2の通信局との間で前記データフレームの送受信が行なわれているときに、前記第1の通信局が前記データフレームの設定を変更する場合、前記第1の通信局の送信機は、前記データフレームの設定を変更する前に設定変更通知を前記第2の通信局へ送信し、
前記第2の通信局の受信機が前記設定変更通知を受信すると、前記第2の通信局の送信機は、引込未完通知を前記第1の通信局へ送信し、
前記第1の通信局の受信機が前記引込未完通知を受信すると、前記第1の通信局の送信機は、前記データフレームの設定を変更して、前記引込フレームを前記第2の通信局へ送信し、
前記第2の通信局の受信機は、前記引込フレームを受信し、受信した前記引込フレームを利用して前記引込処理を行い、
前記第2の通信局の送信機は、前記引込処理が完了すると、引込完了通知を前記第1の通信局へ送信し、
前記第1の通信局の受信機が前記引込完了通知を受信すると、前記第1の通信局の送信機は、前記引込フレームに代えて、設定を変更した前記データフレームの送信を開始する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第2の通信局の送信機は、前記引込処理が完了すると、引込完了通知を前記第1の通信局へ送信し、
前記第1の通信局は、受信機によって前記引込完了通知を受信すると、前記第2の通信局の受信機が前記引込処理を完了したと判定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項6】
フレームの種類及び前記引込処理の状態を示す通知情報の少なくとも一方を、前記データフレームのヘッダ及び前記引込フレームのヘッダの少なくとも一方に格納し、既知パターンとして少なくとも一部の前記引込フレームに格納し、又は、少なくとも一部の前記データフレームに格納された前記データ内に埋め込む
ことを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信局間で通信を行う通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図24(A)および同図(B)は、衛星放送の伝送路規格として知られるDVB-S2規格(例えば、特許文献1参照)に準拠した放送信号で送信されるフィジカルレイヤフレーム(以下、PLフレームともいう)のフレーム構造を示している。PLフレームは、先頭に配置されるフィジカルレイヤヘッダ(以下、PLヘッダともいう)と、PLヘッダの後方に配置されるXFECフレームとを備えている。PLフレームは、送信機から繰り返し送信され、PLフレームを受信した受信機の復調部によって復調される。なお、図24
(B)に示すPLフレームは、フィジカルレイヤスクランブルがかけられる前のものであり、送信されるにあたって、PLヘッダを除くXFECフレームに、フィジカルレイヤスクランブルがかけられる。
【0003】
PLヘッダは、π/2BPSK(Binary Phase Shift Keying)で変調された90シンボルのヘッダデータである。PLヘッダは、24シンボルのSOFと、64シンボルのPLSコードから構成されている。SOFは、フレームの同期処理に用いられる既知パターンからなり、フレームの開始位置を示す。PLSコードは、変調方式、誤り訂正符号の符号化率などのパラメータなどが格納されている。
【0004】
XFECフレームは、例えば、放送番組のデータなど、送信の対象となるデータである。XFECフレームは、例えば、外符号(BCH)、内符号(LDPC)でFECエンコーディングされたFECデータからなり、8PSK(Phase Shift Keying)などの選択された変調方式で変調されている。また、XFECフレームは、S個のスロットに分割されており、各スロットは、90シンボルの固定長である。例えば、XFECフレームが64800ビットで、8PSKで変調されている場合、XFECフレームは240スロットに分割される。
【0005】
パイロットモードの場合、FECデータの16スロット(1440シンボル)ごとにパイロットブロック(パイロットともいう)が挿入される。パイロットは、36シンボルの非変調キャリアからなる既知パターンからなる。DVB-S2規格を利用する通信局間では、PLヘッダを用いてフレーム同期を行い、パイロットを用いて復調部への引き込みを行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-278186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のとおり、DVB-S2規格を利用する通信局間では、パイロットを用いて復調部への引き込みが行なわれている。しかしながら、パイロットは挿入間隔が長く、シンボル数が少ないため、フレーム同期の確立後に行なわれる初期引き込みに時間がかかる。この問題は、伝送路環境が悪く、C/N(搬送波電力対熱雑音電力比)が低い場合、シンボルレートが低い場合などに特に顕著となる。また、PLヘッダやパイロットのみを使用して復調する回路の場合、初期引き込み時に送信されるFECデータは使用されないため効率が悪い。
【0008】
そこで本発明は、従来よりも短い時間で初期引き込みを行うことが可能な通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1の通信局と第2の通信局との間で、通信対象となるデータが格納されたデータフレームを送受信する通信システムであって、前記第1の通信局と前記第2の通信局との間で通信を開始する際に、前記第1の通信局の送信機は、既知パターンのみからなる引込フレームを前記第2の通信局へ繰り返し送信し、前記第2の通信局の受信機は、前記引込フレームを受信し、受信した前記引込フレームを利用して引込処理を行い、前記第1の通信局は、前記第2の通信局の受信機が前記引込処理を完了したか否かを判定し、前記引込処理を完了したと判定した場合に、前記第1の通信局の送信機は、前記引込フレームに代えて前記データフレームの送信を開始
する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信システムにおいて、前記データフレームには、既知パターンのみからなるパイロットブロックが格納されており、前記引込フレームの長さは、1つの前記データフレームに格納されている前記パイロットブロックよりも長い、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の通信システムにおいて、前記第1の通信局と前記第2の通信局との間で前記データフレームの送受信が行なわれているときに、前記第2の通信局の受信機で通信同期が外れた場合、前記第2の通信局の送信機は、引込未完通知を前記第1の通信局へ送信し、前記第1の通信局の受信機が前記引込未完通知を受信すると、前記第1の通信局の送信機は、前記データフレームに代えて前記引込フレームを前記第2の通信局へ繰り返し送信し、前記第2の通信局の受信機は、前記引込フレームを受信し、受信した前記引込フレームを利用して前記引込処理を行い、前記第2の通信局の送信機は、前記引込処理が完了すると、引込完了通知を前記第1の通信局へ送信し、前記第1の通信局の受信機が前記引込完了通知を受信すると、前記第1の通信局の送信機は、前記引込フレームに代えて前記データフレームの送信を開始する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の通信システムにおいて、前記第1の通信局と前記第2の通信局との間で前記データフレームの送受信が行なわれているときに、前記第1の通信局が前記データフレームの設定を変更する場合、前記第1の通信局の送信機は、前記データフレームの設定を変更する前に設定変更通知を前記第2の通信局へ送信し、前記第2の通信局の受信機が前記設定変更通知を受信すると、前記第2の通信局の送信機は、引込未完通知を前記第1の通信局へ送信し、前記第1の通信局の受信機が前記引込未完通知を受信すると、前記第1の通信局の送信機は、前記データフレームの設定を変更して、前記引込フレームを前記第2の通信局へ送信し、前記第2の通信局の受信機は、前記引込フレームを受信し、受信した前記引込フレームを利用して前記引込処理を行い、前記第2の通信局の送信機は、前記引込処理が完了すると、引込完了通知を前記第1の通信局へ送信し、前記第1の通信局の受信機が前記引込完了通知を受信すると、前記第1の通信局の送信機は、前記引込フレームに代えて、設定を変更した前記データフレームの送信を開始する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の通信システムにおいて、前記第2の通信局の送信機は、前記引込処理が完了すると、引込完了通知を前記第1の通信局へ送信し、前記第1の通信局は、受信機によって前記引込完了通知を受信すると、前記第2の通信局の受信機が前記引込処理を完了したと判定する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の通信システムにおいて、フレームの種類及び前記引込処理の状態を示す通知情報の少なくとも一方を、前記データフレームのヘッダ及び前記引込フレームのヘッダの少なくとも一方に格納し、既知パターンとして少なくとも一部の前記引込フレームに格納し、又は、少なくとも一部の前記データフレームに格納された前記データ内に埋め込む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、第1の通信局と第2の通信局との間で通信を開始する際に、既知パターンのみからなる引込フレームを繰り返し送信し、この引込フレームを利用して引込処理を行なうので、効率よく高速に引込処理を行なうことが可能となる。また、引込フレームを利用して引込処理が完了すると、引込フレームに代えて通常のデータフレームが送信されるので、通常のデータフレームの送受信にスムースに移行することが可
能である。
【0016】
また、請求項2に記載の発明によれば、引込フレームの長さは、1つのデータフレームに格納されているパイロットブロックよりも長くされているので、長く、かつ、繰り返し送信される引込フレームを利用して効率よく高速に引込処理を行なうことが可能となる。
【0017】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、第1の通信局と第2の通信局との間で同期が外れた場合に、引込フレームを繰り返し送信し、この引込フレームを利用して引込処理を行なうので、効率よく高速に再引込処理を行なうことが可能となる。また、引込フレームを利用して引込処理が完了すると、引込フレームに代えて通常のデータフレームが送信されるので、通常のデータフレームの送受信にスムースに移行することが可能である。
【0018】
また、請求項4に記載の発明によれば、データフレームの設定を変更する際に、設定変更が行なわれることを予め通知し、この通知に応じて、引込フレームを利用して引込処理を行なう。したがって、従来の通信システムのように、設定変更時の同期外れの保護段数による影響を受けないので、効率よく高速に再引込処理を行なうことが可能となる。また、引込フレームを利用して引込処理が完了すると、引込フレームに代えて、設定変更後のデータフレームが送信されるので、データフレームの設定変更をスムースに行なうことが可能である。
【0019】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、引込フレームを利用した引込処理が完了すると、引込完了通知を送信し、この引込完了通知に基づいて、引込処理を完了したと判定するようにしたので、引込処理が完了したことを確実に判定することができる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明によれば、データフレームまたは引込フレームの種類や、引込完了通知などを含む通知情報を第1の通信局と第2の通信局との間で送受信する際に、データフレームまたは引込フレームのヘッダに格納し、または引込完了を示す既知パターンとして引込フレームに格納し、あるいはデータフレームに格納されたデータ内に埋め込むようにしたので、通知情報を様々な手法で送受信することができ、設計自由度が大幅に向上する。また、少なくとも一部の通知情報を少なくとも一部のヘッダなどに格納することもできるので、通知情報が多種にわたる場合であっても必要性の高い通知情報を送受信することができ、通知情報の送受信に伴う処理負荷を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態に係る通信システム概略構成図である。
図2引込フレームを用いた初期引込処理の概要を示す説明図である。
図3引込フレームを用いた再引込処理の概要を示す説明図である。
図4】データフレームの設定変更後に行なわれる高速引込処理の概要を示す説明図である。
図5】第1の通信局および第2の通信局の送信機の概略構成を示す機能ブロック図である。
図6】第1の通信局および第2の通信局の受信機の概略構成を示す機能ブロック図である。
図7】通常フレームを生成・送信する際に送信機の各部から出力される信号を示す図である。
図8】通常フレームを復調する際に受信機の各部から出力される信号を示す図である。
図9引込フレームを生成・送信する際に送信機の各部から出力される信号を示す図である。
図10引込フレームを復調する際に受信機の各部から出力される信号を示す図である。
図11】実施の形態1に係る通信システムで初期引込処理を行なう際の送信信号および受信信号を示す図である。
図12】実施の形態1に係る通信システムでデータフレームの送受信を行なう際の送信処理を示すフローチャートである。
図13】実施の形態1に係る通信システムでデータフレームの送受信を行なう際の受信処理を示すフローチャートである。
図14】実施の形態1に係る通信システムで再引込処理を行なう際の送信信号および受信信号を示す図である。
図15】実施の形態2に係る通信システムで初期引込処理を行なう際の送信信号および受信信号を示す図である。
図16】実施の形態2に係る通信システムで再引込処理を行なう際の送信信号および受信信号を示す図である。
図17】実施の形態3に係る通信システムで用いられる受信機の概略構成を示す機能ブロック図である。
図18】実施の形態3に係る通信システムで初期引込処理を行なう際の送信信号および受信信号を示す図である。
図19】実施の形態3に係る通信システムで再引込処理を行なう際の送信信号および受信信号を示す図である。
図20】実施の形態4に係る通信システムで初期引込処理を行なう際の送信信号および受信信号を示す図である。
図21】実施の形態4に係る通信システムで再引込処理を行なう際の送信信号および受信信号を示す図である。
図22】実施の形態5に係る通信システムで初期引込処理を行なう際の送信信号および受信信号を示す図である。
図23】実施の形態5に係る通信システムで再引込処理を行なう際の送信信号および受信信号を示す図である。
図24】DVB-S2規格のフィジカルレイヤフレームのフレーム構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る通信システム1の概略構成図である。通信システム1は、送信機および受信機を備える第1の通信局2Aと、送信機および受信機を備える第2の通信局2Bと、第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの間を中継する通信衛星3と、を備える。第1の通信局2Aおよび第2の通信局2Bは、それぞれを自局および対向局として、通信対象となるデータが格納されたデータフレームを双方向で送受信する。なお、本実施の形態の通信システム1では、データフレームとして、例えば、DVB-S2規格に準拠したPLフレーム(図24参照)が用いられる。なお、本実施の形態では、PLフレームを通常フレーム、PLヘッダを通常ヘッダともいう。
【0023】
以下、本実施の形態に係る通信システム1によって行なわれる通信処理の概要について、簡単に説明する。なお、説明を簡略化するため、第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの間の双方向通信ではなく、第1の通信局2Aから第2の通信局2Bへの片方向通信を例として説明を行なう。
【0024】
本実施の形態に係る通信システム1は、第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間で通信を開始する際に、第1の通信局2Aの送信機は、図2に示すように、既知パターンからなる引込フレームを第2の通信局2Bへ繰り返し送信する。引込フレームは、1つの通常フレームに含まれるパイロット(複数のパイロット)を足し合わせたものよりも長い
(シンボル数が多い)パイロットからなるフレームである。また、引込フレームの先頭には、送信されたフレームが引込フレームであることを示すデータ(通知情報)が格納された引込ヘッダが付与される。
【0025】
第2の通信局2Bの受信機は、引込ヘッダおよび引込フレームを受信し、引込ヘッダに基づいて、送信されたフレームが引込フレームであると判定し、復調モードを通常フレーム用の復調モードから、引込フレーム用の復調モードへ切り替える。第2の通信局2Bの受信機は、受信した引込フレームを利用して復調回路への高速引込処理を実行する。
【0026】
第1の通信局2Aは、第2の通信局2Bの受信機による高速引込処理が完了したか否かを判定し、高速引込処理が完了したと判定した場合に、引込フレームに代えて、通常フレームの送信を開始する。第2の通信局2Bの受信機は、通常フレームの通常ヘッダ(PLヘッダ)に基づいて、送信されたフレームが通常フレームであると判定し、復調モードを通常フレーム用の復調モードへ切り替える。このように、通常フレームのパイロットよりも長い引込フレームを利用することで、効率よく高速に引込処理を行なうことが可能となる。
【0027】
なお、高速引込処理を完了したか否かの判定は、高速引込処理の完了後に第2の通信局2Bが引込完了通知を送信し、図2に示すように、この引込完了通知を第1の通信局2Aが受信した場合に、高速引込処理が完了したと判定してもよい。これによれば、高速引込処理の完了を確実に確認することが可能である。また、第1の通信局2Aが引込フレームの送信を開始してから所定時間が経過したときに、高速引込処理が完了したと判定してもよい。これによれば、第1の通信局2Aから第2の通信局2Bへの片方向通信の場合でも、引込フレームから通常フレームへの送信切り替えを行なうことが可能となる。なお、引込フレームの送信を開始してからの所定時間については、特定の値に限定されるものではなく、第2の通信局2Bの受信機の性能や、通信環境などに応じて適宜設定することが可能である。
【0028】
引込フレームは、ユニークワードで構成してもよいし、無変調信号(CW信号)や交番信号を用いてもよい。また、DVB-S2規格のパイロットは、無変調信号をPLスクランブルしたものであるが、引込フレームもこのパイロットと同様の構成で、長さのみを長くしたもの(シンボル数を多くしたもの)を用いてもよい。これによれば、DVB-S2規格の送信機が通常備えるパイロット生成回路を利用して引込フレームを生成することができるので、回路構成が簡略化できる。
【0029】
引込ヘッダは、DVB-S2規格のPLヘッダを流用してもよく、その場合には、引込フレームであることを示すPLSコードを新たに追加してもよいし、未使用のPLSコードがある場合には、その未使用のコードを、引込フレームを示すコードとして割り当ててもよい。
【0030】
また、本実施の形態に係る通信システム1は、第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間で通常フレームの送受信が行なわれているときに、例えば、第2の通信局2Bの受信機で通信同期が外れた場合、第2の通信局2Bの送信機は、引込未完通知を第1の通信局2Aへ送信する。第1の通信局2Aは、図3に示すように、引込未完通知を受信すると、通常フレームに代えて引込ヘッダおよび引込フレームを第2の通信局2Bへ繰り返し送信する。
【0031】
第2の通信局2Bの受信機は、引込フレームを受信し、受信した引込フレームを利用して高速引込処理を実行する。第2の通信局2Bの送信機は、高速引込処理が完了すると、引込完了通知を第1の通信局2Aへ送信する。第1の通信局2Aは、図3に示すように、
引込完了通知を受信すると、引込フレームに代えて通常フレームの送信を開始する。このように、通常フレームのパイロットよりも長い引込フレームを利用することで、効率よく高速に再引込処理を行なうことが可能となる。
【0032】
さらに、本実施の形態に係る通信システム1は、第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間で通常フレームの送受信が行なわれているときに、第1の通信局が通常フレームの設定(例えば、変調方式など)を変更する場合、第1の通信局2Aの送信機は、通常フレームの設定を変更する前に、設定変更通知を第2の通信局2Bへ送信する。図4に示す例では、第1の通信局2Aの送信機は、設定変更通知として、引込ヘッダおよび引込フレームを第2の通信局2Bへ送信している。
【0033】
第2の通信局2Bの受信機が設定変更通知として、引込ヘッダおよび引込フレームを受信すると同期が外れるため、第2の通信局2Bの送信機は、引込未完通知を第1の通信局2Aへ送信する。図4に示すように、第1の通信局2Aの受信機が引込未完通知を受信すると、第1の通信局2Aの送信機は、PLフレームの設定を変更し、この設定変更に伴う通信切断後に、引込ヘッダおよび引込フレームを第2の通信局2Bへ送信する。第2の通信局2Bの受信機は、引込フレームを受信し、受信した引込フレームを利用して高速引込処理を実行する。第2の通信局2Bの送信機は、高速引込処理が完了すると、引込完了通知を第1の通信局2Aへ送信する。第1の通信局2Aは、図4に示すように、引込完了通知を受信すると、引込フレームに代えて設定が変更された通常フレームの送信を開始する。
【0034】
従来の通信システムでは、データフレームの設定変更後に同期外れを検出する場合、前方保護による保護段数によって同期外れの検出が遅れ、設定変更後の再引込処理が遅くなるという問題があった。しかしながら、本実施の形態の通信システム1によれば、設定変更の前に設定変更通知を送信し、設定変更後に引込フレームを送信するので、受信側は事前に再引込処理の準備をすることができ、効率よく高速に、設定変更後の再引込処理を行なうことが可能となる。
【0035】
なお、設定変更通知として、引込ヘッダおよび引込フレームを送信する場合、設定変更を確実に通知するために、引込ヘッダおよび引込フレームを繰り返し送信してもよいが、保護段数以上の長さの引込ヘッダおよび引込フレームを送信するとメリットが失われる。そのため、保護段数よりも短い長さで繰り返し送信するのが好ましい。また、設定変更通知として、引込ヘッダおよび引込フレームを送信するように説明したが、引込ヘッダのみを送信するようにしてもよい。
【0036】
また、上記では、引込ヘッダの間隔、すなわち、引込フレームの長さを一定として説明したが、必ずしも一定である必要はなく、引込ヘッダのパターンもしくは引込フレームのデータパターンを増やして間隔情報も含めることで、段階的に切り替えるようにしてもよい。具体的には、高速引込処理のために、引込ヘッダおよび引込フレームの送信を開始するときには、引込ヘッダの間隔を短く(引込フレームを短く)して、引込ヘッダを利用したフレーム同期を優先し、その後に引込ヘッダの間隔が長く(引込フレームを長く)なるように切り替えて、引込処理を優先するようにしてもよい。
【0037】
また、上述したフレームの種類を示すデータ、引込完了通知、および引込未完通知などは、本発明の通知情報に相当する。これらの通知情報は、上述したように、ヘッダに格納して送受信してもよいし、フレーム種類や通信状況を示す既知パターンとして引込フレームに格納してもよい。また、フレームに格納されるデータ内に通知情報を埋め込んで送受信してもよい。これらの通知情報を送受信する手法は、任意の手法を用いてもよいし、各手法を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0038】
次に、本実施の形態に係る通信システム1について、より詳しい説明を行なう。図5および図6は、第1の通信局2Aが備える送信機4Aおよび受信機5Aと、第2の通信局2Bが備える送信機4Bおよび受信機5Bとの概略構成を示す機能ブロック図である。なお、送信機4Aおよび送信機4Bは同一の構成および機能を備えており、受信機5Aおよび受信機5Bは同一の構成および機能を備えているため、以下では、第2の通信局2Bの送信機4Bおよび受信機5Bについての詳しい説明は省略する。
【0039】
送信機4A(4B)は、マッピング部4A1と、パイロット付与部4A2と、PLスクランブル部4A3と、ヘッダ付与部4A4と、ROF部4A5と、タイミング生成部4A6と、パイロット生成部4A7と、ヘッダ生成部4A8と、を備えている。
【0040】
マッピング部4A1は、送信対象の情報/データに対して必要に応じて所定の処理(例えば、ベースバンドフレーム処理、誤り訂正符号化処理など)が施されたバイナリデータ列の入力を受け、このバイナリデータ列に対してDVB-S2規格の信号点配置になるようにマッピング処理を施してシンボル列からなるデータフレームを生成して出力する。
【0041】
パイロット付与部4A2は、パイロット生成部4A7により生成されたパイロットを、マッピング部4A1にて生成されたデータフレームに付与する。パイロット生成部4A7は、タイミング生成部4A6から出力されるパイロットイネーブルに応じて、長さおよびタイミングの異なるパイロットを生成する。タイミング生成部4A6は、自局の受信機5Aから、対向局引込情報(対向局の引込状態を示す情報)と、自局引込情報(自局の引込状態を示す情報)とを受信し、対向局引込情報および自局引込情報に基づいて、パイロットイネーブル、ヘッダイネーブルおよび選択ヘッダ情報を生成・出力する。
【0042】
PLスクランブル部4A3は、パイロット付与部4A2から出力されたデータフレームに対してフィジカルレイヤスクランブルをかける処理部である。
【0043】
ヘッダ付与部4A4は、ヘッダ生成部4A8により生成されたヘッダを、PLスクランブル部4A3から出力されたデータフレームの先頭に付与する。ヘッダ生成部4A8は、タイミング生成部4A6から出力された選択ヘッダ情報およびヘッダイネーブルに基づいてヘッダを生成する。
【0044】
ROF部4A5は、ロールオフフィルタの機能を備え、ヘッダ付与部4A4から出力されるフィジカルレイヤスクランブル後のデータフレームに帯域制限処理を施して出力する。ROF部4A5の送信出力は、第1の通信局2Aから第2の通信局2Bへ向けて送信される。
【0045】
次に受信機5A(5B)について説明する。受信機5Aは、ROF部5A1と、シンボル再生部5A2と、PLデスクランブル部5A3と、周波数補正部5A4と、位相補正部5A5と、利得補正部5A6と、ヘッダ除去部5A7と、パイロット除去部5A8と、デマッピング部5A9と、ヘッダ検出部5A10と、タイミング生成部5A11と、引込完了判定部5A12と、を備えている。
【0046】
ROF部5A1は、ロールオフフィルタの機能を備え、第2の通信局2Bから受信したフレームデータに帯域制限処理を施して出力する。シンボル再生部5A2は、ROF部5A1から出力された信号からシンボルタイミングの同期をとり、PLデスクランブル部5A3は、第2の通信局2Bの送信機4Bにてデータフレームにかけられたフィジカルレイヤスクランブルを解除する。
【0047】
周波数補正部5A4、位相補正部5A5および利得補正部5A6は、フィジカルレイヤスクランブルが解除されたデータフレームに対し、周波数、位相および利得の補正を行なう。
【0048】
ヘッダ除去部5A7およびパイロット除去部5A8は、利得などが補正されたデータフレームからヘッダおよびパイロットを除去する。ヘッダ除去部5A7およびパイロット除去部5A8は、タイミング生成部5A11から出力されるヘッダイネーブルおよびパイロットイネーブルに応じて、ヘッダおよびパイロットを除去する。デマッピング部5A9は、フレームにデマッピング処理を施し、シンボル列データをバイナリデータ列に変換して出力する。タイミング生成部5A11は、ヘッダ検出部5A10にて検出されたヘッダの種類に応じて、ヘッダイネーブルおよびパイロットイネーブルを生成・出力する。
【0049】
引込完了判定部5A12は、利得補正部5A6から出力されたフレームに基づいて、自局の受信機5Aが引き込み(フレーム同期も含む)を完了しているか否かを判定する。引込完了判定部5A12は、自局の受信機5Aが引き込みを完了している場合には、自局引込情報として「引込完了」を自局の送信機4Aに出力し、引き込みが完了していない場合には、自局引込情報として「引込未完」を出力する。
【0050】
また、引込完了判定部5A12は、ヘッダ検出部5A10にて検出されたヘッダの種類に基づいて、対向局の受信機5Bが引き込みを完了しているか否かを判定する。引込完了判定部5A12は、対向局の受信機5Bが引き込みを完了している場合には、対向局引込情報として「引込完了」を自局の送信機4Aに出力し、引き込みが完了していない場合には、対向局引込情報として「引込未完」を出力する。
【0051】
図7は、送信機4A(4B)によって通常フレームを生成・送信する際に、送信機4A(4B)の各部によって出力される出力信号を示す。送信機4Aのタイミング生成部4A6は、同図(A)に示すように、自局引込情報および対向局引込情報がともに「引込完了」である場合、通常フレームを生成・出力するために、所定間隔のタイミング(例えば、FECデータの16スロット(1440シンボル)ごと)でパイロットイネーブルを出力する。パイロット生成部4A7は、同図(B)に示すように、このパイロットイネーブルに応じてパイロットを生成し、パイロット付与部4A2へ出力する。パイロット付与部4A2は、同図(C)に示すように、マッピング部4A1から出力されたデータフレームにパイロットを付与する。なお、図中に示す「0」は、データが存在しない状態を示している。
【0052】
送信機4Aのタイミング生成部4A6は、図7(D)に示すように、マッピング部4A1から出力されたデータフレームの先頭に対応するタイミングでヘッダイネーブルをヘッダ生成部4A8へ出力する。また、タイミング生成部4A6は、同図(E)に示すように、自局引込情報および対向局引込情報の組み合わせに応じて生成するヘッダの種類を選択し、選択したヘッダを示す選択ヘッダ情報をヘッダ生成部4A8へ出力して、選択した種類のヘッダを生成させる。
【0053】
具体的には、タイミング生成部4A6は、自局引込情報および対向局引込情報がともに「引込完了」である場合には、「通常フレーム&引込完了」ヘッダをヘッダ生成部4A8に生成させる。また、タイミング生成部4A6は、自局引込情報が「引込未完」で、対向局引込情報が「引込完了」である場合には、「通常フレーム&引込未完」ヘッダをヘッダ生成部4A8に生成させる。
【0054】
ヘッダ生成部4A8により生成されるヘッダは、当該ヘッダが付与されているフレームの種類と、自局の引込状態とを示し、本発明の通知情報が格納されたヘッダに相当する。
すなわち、「通常フレーム&引込完了」ヘッダは、通常フレームに付与されていて、かつ、自局の引き込みが完了していることを示す。また、「通常フレーム&引込未完」ヘッダは、通常フレームに付与されていて、かつ、自局の引き込みが完了していないことを示す。なお、「通常フレーム&引込完了」ヘッダおよび「通常フレーム&引込未完」ヘッダは、上述した通常ヘッダに相当する。
【0055】
ヘッダ付与部4A4は、図7(F)に示すように、パイロットが付与されたデータフレームにヘッダを付与する。これにより、送信機4A(4B)によって通常フレームが生成される。
【0056】
図8は、受信機5A(5B)によって受信した通常フレームを復調する通常モードにおいて、受信機5A(5B)の各部によって出力される出力信号を示す。受信機5Aのヘッダ検出部5A10は、同図(A)に示すように、受信した通常フレームのヘッダの種類を検出する。タイミング生成部5A11は、同図(B)に示すように、検出されたヘッダの種類に応じてヘッダイネーブルを生成する。ヘッダ除去部5A7は、同図(C)に示すように、ヘッダイネーブルに基づいて、通常フレームからヘッダを除去する。
【0057】
また、タイミング生成部5A11は、同図(D)に示すように、検出されたヘッダの種類に応じてパイロットイネーブルを生成する。パイロット除去部5A8は、同図(E)に示すように、パイロットイネーブルに基づいて、通常フレームからパイロットを除去する。これにより、パイロット除去部5A8からデータのみが出力される。
【0058】
図9(A)~(F)は、送信機4Aおよび送信機4Bによって引込フレームを生成・送信する際に、送信機4Aおよび送信機4Bの各部によって出力される出力信号を示す。送信機4Aのタイミング生成部4A6は、同図(A)に示すように、自局引込情報および対向局引込情報がともに「引込未完」である場合、引込フレームを生成・出力するために、所定間隔のタイミング(例えば、1つの通常フレームに含まれるパイロット(複数のパイロット)を足し合わせたものよりも長い(シンボル数が多い))パイロットイネーブルを出力する。パイロット生成部4A7は、同図(B)に示すように、このパイロットイネーブルに応じてパイロット(引込フレーム)を生成し、パイロット付与部4A2へ出力する。パイロット付与部4A2は、同図(C)に示すように、データが格納されていない空のデータフレームにパイロットを付与する。なお、図中に示す「0」は、データが存在しない状態を示している。
【0059】
送信機4Aのタイミング生成部4A6は、図9(D)に示すように、マッピング部4A1から出力されたデータフレームの先頭に対応するタイミングでヘッダイネーブルをヘッダ生成部4A8へ出力する。また、タイミング生成部4A6は、同図(E)に示すように、自局引込情報および対向局引込情報の組み合わせに応じて生成するヘッダの種類を設定し、設定したヘッダを示す選択ヘッダ情報をヘッダ生成部4A8へ出力して、設定した種類のヘッダを生成させる。
【0060】
具体的には、タイミング生成部4A6は、自局引込情報および対向局引込情報がともに「引込未完」である場合には、「引込フレーム&引込未完」ヘッダをヘッダ生成部4A8に生成させる。また、タイミング生成部4A6は、自局引込情報が「引込完了」で、対向局引込情報が「引込未完」である場合には、「引込フレーム&引込完了」ヘッダをヘッダ生成部4A8に生成させる。
【0061】
ヘッダ生成部4A8により生成されるヘッダは、当該ヘッダが付与されているフレームの種類と、自局の引込状態とを示し、本発明の通知情報が格納されたヘッダに相当する。すなわち、「引込フレーム&引込未完」ヘッダは、引込フレームに付与されていて、かつ
、自局の引き込みが完了していないことを示す。また、「引込フレーム&引込完了」ヘッダは、引込フレームに付与されていて、かつ、自局の引き込みが完了していることを示す。なお、「引込フレーム&引込未完」ヘッダおよび「引込フレーム&引込完了」ヘッダは、上述した引込ヘッダに相当する。
【0062】
ヘッダ付与部4A4は、図9(F)に示すように、長いパイロットが付与されたフレームにヘッダを付与する。これにより、送信機4A(4B)によって引込フレームが生成される。
【0063】
また、図10(A)~(E)は、受信機5Aおよび受信機5Bによって受信した引込フレームを復調する高速引込モードにおいて、受信機5Aおよび受信機5Bの各部によって出力される出力信号を示す。受信機5Aのヘッダ検出部5A10は、同図(A)に示すように、受信した引込フレームのヘッダの種類を検出する。タイミング生成部5A11は、同図(B)に示すように、検出されたヘッダの種類に応じてヘッダイネーブルを生成する。ヘッダ除去部5A7は、同図(C)に示すように、ヘッダイネーブルに基づいて、引込フレームからヘッダを除去する。
【0064】
また、タイミング生成部5A11は、同図(D)に示すように、検出されたヘッダの種類に応じてパイロットイネーブルを生成する。パイロット除去部5A8は、同図(E)に示すように、パイロットイネーブルに基づいて、引込フレームからパイロットを除去する。これにより、引込フレームの受信中には、受信機5Aからデータは出力されない。
【0065】
次に、図11に示すタイミングチャートと、送信機4A、4Bの処理手順を示す図12のフローチャートと、受信機5A、5Bの処理手順を示す図13に示すフローチャートにしたがって、実施の形態1の通信システム1が双方向通信を開始する際の作用について説明する。なお、以下に記載する(1)~(7)の説明は、図11に示す(1)~(7)のタイミングに対応している。
【0066】
(1)第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間で双方向通信を開始する際に、第1の通信局2Aの送信機4Aおよび第2の通信局2Bの送信機4Bは、自局引込情報および対向局引込情報に基づいて、「引込フレーム&引込未完」ヘッダおよび「引込フレーム」を繰り返し送信する。(1)’第1の通信局2Aの受信機5Aおよび第2の通信局2Bの受信機5Bは、対向局から送信された「引込フレーム&引込未完」ヘッダおよび「引込フレーム」を受信し、ヘッダを利用したフレーム同期処理と、「引込フレーム」を利用した高速引込モードでの復調処理とを実行する。また、第1の通信局2Aの受信機5Aおよび第2の通信局2Bの受信機5Bは、受信したヘッダに基づいて対向局の引込状況を確認し、対向局引込情報を自局の送信機へ出力する。また、第1の通信局2Aの受信機5Aおよび第2の通信局2Bの受信機5Bは、自局の引込状況を確認し、自局引込情報を自局の送信機へ出力する。
【0067】
(2)上記の状況において、第1の通信局2Aの受信機5Aが先に引き込みを完了したとする。(2)’この場合、第1の通信局2Aの送信機4Aは、ヘッダを「引込フレーム&引込未完」ヘッダから、「引込フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「引込フレーム」とともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0068】
(3)第2の通信局2Bの受信機5Bが「引込フレーム&引込完了」ヘッダを受信すると、(3)’第2の通信局2Bの送信機4Bは、ヘッダを「引込フレーム&引込未完」ヘッダから、「通常フレーム&引込未完」ヘッダに切り替えて、「通常フレーム」とともに第1の通信局2Aへ送信する。
【0069】
(4)第1の通信局2Aの受信機5Aは、「通常フレーム&引込未完」ヘッダおよび「通常フレーム」を受信すると、「通常フレーム」を利用して通常モードでの復調処理を実行する。
【0070】
(5)次いで、第2の通信局2Bの受信機5Bが引き込みを完了すると、(5)’第2の通信局2Bの送信機4Bは、ヘッダを「通常フレーム&引込未完」ヘッダから、「通常フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「通常フレーム」とともに第1の通信局2Aへ送信する。
【0071】
(6)第1の通信局2Aの受信機5Aが「通常フレーム&引込完了」ヘッダを受信すると、(6)’第1の通信局2Aの送信機4Aは、ヘッダを「引込フレーム&引込完了」ヘッダから、「通常フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「通常フレーム」とともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0072】
(7)第2の通信局2Bの受信機5Bは、「通常フレーム&引込完了」ヘッダおよび「通常フレーム」を受信すると、「通常フレーム」を利用して通常モードでの復調処理を実行する。これにより、第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの間の初期引き込みが完了する。
【0073】
次に、図14に示すタイミングチャートと、図12および図13に示すフローチャートにしたがって、通信システム1にて同期外れが発生した後に、再引き込みを行なう際の作用について説明する。なお、以下に記載する(1)~(6)の説明は、図14に示す(1)~(6)のタイミングに対応している。
【0074】
(1)第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの間で引き込みが完了し、「通常フレーム&引込完了」ヘッダおよび「通常フレーム」の送受信が行なわれている。(2)このような状況において、第2の通信局2Bの受信機5Bで同期が外れたとする。(2)’この場合、第2の通信局2Bの送信機4Bは、ヘッダを「通常フレーム&引込完了」ヘッダから、「通常フレーム引込未完」ヘッダに切り替えて、「通常フレーム」とともに第1の通信局2Aへ送信する。
【0075】
(3)第1の通信局2Aの受信機5Aが「通常フレーム&引込未完」ヘッダを受信すると、(3)’第1の通信局2Aの送信機4Aは、ヘッダを「通常フレーム&引込完了」ヘッダから、「引込フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「引込フレーム」とともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0076】
(4)第2の通信局2Bの受信機5Bは、「引込フレーム」を利用した復調処理を実行し、引き込みを完了すると、(4)’第2の通信局2Bの送信機4Bは、ヘッダを「通常フレーム&引込未完」ヘッダから、「通常フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「通常フレーム」とともに第1の通信局2Aへ送信する。
【0077】
(5)第1の通信局2Aの受信機5Aが「通常フレーム&引込完了」ヘッダを受信すると、(5)’第1の通信局2Aの送信機4Aは、ヘッダを「引込フレーム&引込完了」ヘッダから、「通常フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「通常フレーム」とともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0078】
(6)第2の通信局2Bの受信機5Bは、「通常フレーム&引込完了」ヘッダおよび「通常フレーム」を受信すると、「通常フレーム」を利用して通常モードでの復調処理を実行する。これにより、第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの間での再引き込みが完了する。
【0079】
以上で説明したように、実施の形態1に係る通信システム1によれば、第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの間で通信を開始する際に、既知パターンからなる引込フレームを繰り返し送信し、この引込フレームを利用して引込処理を行なうので、効率よく高速に引込処理を行なうことが可能となる。また、引込フレームを利用して引込処理が完了すると、引込フレームに代えて通常のデータフレームが送信されるので、通常のデータフレームの送受信にスムースに移行することが可能である。
【0080】
また、実施の形態1に係る通信システム1によれば、引込フレームの長さは、1つのデータフレームに格納されているパイロットブロックよりも長くされているので、長く、かつ、繰り返し送信される引込フレームを利用して効率よく高速に引込処理を行なうことが可能となる。
【0081】
さらに、実施の形態1に係る通信システム1によれば、第1の通信局と第2の通信局との間で同期が外れた場合に、引込フレームを繰り返し送信し、この引込フレームを利用して引込処理を行なうので、効率よく高速に再引込処理を行なうことが可能となる。また、引込フレームを利用して引込処理が完了すると、引込フレームに代えて通常のデータフレームが送信されるので、通常のデータフレームの送受信にスムースに移行することが可能である。
【0082】
また、実施の形態1に係る通信システム1によれば、データフレームの設定を変更する際に、設定変更が行なわれることを予め通知し、この通知に応じて、引込フレームを利用して引込処理を行なう。したがって、従来の通信システムのように、設定変更時の同期外れの保護段数による影響を受けないので、効率よく高速に再引込処理を行なうことが可能となる。また、引込フレームを利用して引込処理が完了すると、引込フレームに代えて、設定変更後のデータフレームが送信されるので、データフレームの設定変更をスムースに行なうことが可能である。
【0083】
さらに、実施の形態1に係る通信システム1によれば、引込フレームを利用した引込処理が完了すると、引込完了通知を送信し、この引込完了通知に基づいて、引込処理を完了したと判定するようにしたので、引込処理が完了したことを確実に判定することができる。
【0084】
また、実施の形態1に係る通信システム1によれば、対向局の状況に関わらず、片方向の通信局を先に引き込み完了させ、かつ、引込完了状態を維持することができるので、通信の安定性を向上させることが可能である。
【0085】
以上で説明したように、実施の形態1では、引込フレームおよび通常フレームにて用いられる引込未完通知および引込完了通知として、専用の「引込フレーム&引込未完」ヘッダ、「引込フレーム&引込完了」ヘッダ、「通常フレーム&引込未完」ヘッダ、および「引込フレーム&引込完了」ヘッダを用いるようにしたが、一部のフレームの種類、あるいは引込状況のみに通知情報を付与して識別できるようにしてもよい。これによれば、引込未完通知および引込完了通知などの通知情報の種類を少なくすることができるので、通知情報の切り替えに伴う処理負荷を軽減することが可能である。以下の実施の形態2~5では、引込未完通知および引込完了通知などの通知情報を一部のフレームのヘッダに格納し、あるいは既知パターンとして一部の引込フレームに格納し、または、一部のフレームに格納されたデータ内に埋め込む例について説明する。
【0086】
(実施の形態2)
次に、図15に示すタイミングチャートに基づいて、本発明の実施の形態2に係る通信
システムについて説明する。本実施の形態は、「通常フレーム&引込未完」ヘッダを使用しない点で実施の形態1と異なる。なお、実施の形態1と同様の構成については、同じ符号を用いて詳しい説明は省略する。また、以下に記載する(1)~(5)の説明は、図15に示す(1)~(5)のタイミングに対応している。
【0087】
(1)第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間で双方向通信を開始する際に、第1の通信局2Aの送信機4Aおよび第2の通信局2Bの送信機4Bは、自局引込情報および対向局引込情報に基づいて、「引込フレーム&引込未完」ヘッダおよび「引込フレーム」を繰り返し送信する。(1)’第1の通信局2Aの受信機5Aおよび第2の通信局2Bの受信機5Bは、対向局から送信された「引込フレーム&引込未完」ヘッダおよび「引込フレーム」を受信し、ヘッダを利用したフレーム同期処理と、「引込フレーム」を利用した高速引込モードでの復調処理とを実行する。また、第1の通信局2Aの受信機5Aおよび第2の通信局2Bの受信機5Bは、受信したヘッダに基づいて対向局の引込状況を確認し、対向局引込情報を自局の送信機へ出力する。また、第1の通信局2Aの受信機5Aおよび第2の通信局2Bの受信機5Bは、自局の引込状況を確認し、自局引込情報を自局の送信機へ出力する。
【0088】
(2)上記の状況において、第1の通信局2Aの受信機5Aが先に引き込みを完了したとする。(2)’この場合、第1の通信局2Aの送信機4Aは、ヘッダを「引込フレーム&引込未完」ヘッダから、「引込フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「引込フレーム」とともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0089】
(3)第2の通信局2Bの受信機5Bが「引込フレーム&引込完了」ヘッダおよび「引込フレーム」を受信し、「引込フレーム」を利用した引き込みが完了すると、(3)’第2の通信局2Bの送信機4Bは、ヘッダを「引込フレーム&引込未完」ヘッダから、「通常フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「通常フレーム」とともに第1の通信局2Aへ送信する。
【0090】
(4)第1の通信局2Aの受信機5Aが「通常フレーム&引込完了」ヘッダを受信すると、「通常フレーム」を利用して通常モードでの復調処理を実行する。(4)’また、第1の通信局2Aの送信機4Aは、ヘッダを「引込フレーム&引込完了」ヘッダから、「通常フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「通常フレーム」とともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0091】
(5)第2の通信局2Bの受信機5Bは、「通常フレーム&引込完了」ヘッダおよび「通常フレーム」を受信すると、「通常フレーム」を利用して通常モードでの復調処理を実行する。これにより、第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間の初期引き込みが完了する。
【0092】
次に、図16に示すタイミングチャートにしたがって、実施の形態2の通信システム1にて同期外れが発生した後に、再引き込みを行なう際の作用について説明する。なお、以下に記載する(1)~(6)の説明は、図16に示す(1)~(6)のタイミングに対応している。
【0093】
(1)第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの間で引き込みが完了し、「通常フレーム&引込完了」ヘッダおよび「通常フレーム」の送受信が行なわれている。(2)このような状況において、第2の通信局2Bの受信機5Bで同期が外れたとする。(2)’この場合、第2の通信局2Bの送信機4Bは、ヘッダを「通常フレーム&引込完了」ヘッダから、「引込フレーム&引込未完」ヘッダに切り替えて、「引込フレーム」とともに第1の通信局2Aへ送信する。
【0094】
(3)第1の通信局2Aの受信機5Aが「引込フレーム&引込未完」ヘッダを受信すると、(3)’第1の通信局2Aの送信機4Aは、ヘッダを「通常フレーム&引込完了」ヘッダから、「引込フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「引込フレーム」とともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0095】
(4)第2の通信局2Bの受信機5Bは、「引込フレーム&引込完了」ヘッダおよび「引込フレーム」を受信し、「引込フレーム」を利用した引き込みを完了すると、(4)’第2の通信局2Bの送信機4Bは、ヘッダを「引込フレーム&引込未完」ヘッダから、「通常フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「通常フレーム」とともに第1の通信局2Aへ送信する。
【0096】
(5)第1の通信局2Aの受信機5Aが「通常フレーム&引込完了」ヘッダを受信すると、(5)’第1の通信局2Aの送信機4Aは、ヘッダを「引込フレーム&引込完了」ヘッダから、「通常フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「通常フレーム」とともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0097】
(6)第2の通信局2Bの受信機5Bは、「通常フレーム&引込完了」ヘッダおよび「通常フレーム」を受信すると、「通常フレーム」を利用して通常モードでの復調処理を実行する。これにより、第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの間の再引き込みが完了する。
【0098】
以上で説明したように、実施の形態2に係る通信システム1によれば、実施の形態1と同様に、効率よく高速に引込処理を行ない、通常のデータフレームの送受信にスムースに移行することが可能である。また、実施の形態2によれば、「通常フレーム&引込未完」ヘッダを使用しないので、ヘッダの種類を減らすことができ、ヘッダの切り替えに伴う処理負荷を軽減することが可能である。
【0099】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る通信システムについて説明する。本実施の形態は、「通常フレーム&引込未完」ヘッダおよび「通常フレーム&引込完了」ヘッダを使用せず、データ内に埋め込まれた情報によって通常フレームの引込未完および引込完了を識別する点で実施の形態1と異なる。なお、実施の形態1と同様の構成については、同じ符号を用いて詳しい説明は省略する。
【0100】
以下では、引込未完情報が埋め込まれた通常フレームを「通常フレーム(引込未完)」と呼び、引込完了情報が埋め込まれた通常フレームを「通常フレーム(引込完了)」と呼ぶ。また、「通常フレーム(引込未完)」および「通常フレーム(引込完了)」に付与さえるヘッダを「通常フレーム」ヘッダと呼ぶ。「通常フレーム」のデータに対する引込未完情報および引込完了情報の埋め込みは、図5に示す送信機4A(4B)のタイミング生成部4A6により、受信機から出力された対向局引込情報および自局引込情報に応じて行なわれる。
【0101】
図17は、本実施の形態に係る第1の通信局2Aの受信機51Aおよび第2の通信局2Bの受信機51Bの機能的構成を示すブロック図である。受信機51A(51B)は、デマッピング部5A9の後段に、誤り訂正部5A12およびBBデフレーマ5A13が接続されている。誤り訂正部5A12は、デマッピング部5A9によるデマッピング処理の誤りを訂正する。BBデフレーマ5A13は、フレームにデフレーム化処理を施す。デフレーム化されたデータは、引込完了判定部5A12に分岐出力される。引込完了判定部5A12は、BBデフレーマ5A13から出力されたデータに埋め込まれている情報に基づい
て、「通常フレーム(引込未完)」と「通常フレーム(引込完了)」とを識別する。
【0102】
図18は、本実施の形態における、第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの通信状態を示すタイミングチャートである。なお、以下に記載する(1)~(7)の説明は、図18に示す(1)~(7)のタイミングに対応している。
【0103】
(1)第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間で双方向通信を開始する際に、第1の通信局2Aの送信機4Aおよび第2の通信局2Bの送信機4Bは、自局引込情報および対向局引込情報に基づいて、「引込フレーム&引込未完」ヘッダおよび「引込フレーム」を繰り返し送信する。(1)’第1の通信局2Aの受信機51Aおよび第2の通信局2Bの受信機51Bは、対向局から送信された「引込フレーム&引込未完」ヘッダおよび「引込フレーム」を受信し、ヘッダを利用したフレーム同期処理と、「引込フレーム」を利用した高速引込モードでの復調処理とを実行する。また、第1の通信局2Aの受信機51Aおよび第2の通信局2Bの受信機51Bは、引込完了判定部5A12により、受信したヘッダと、通常フレームに埋め込まれている情報と、に基づいて対向局の引込状況を確認し、対向局引込情報を自局の送信機へ出力する。また、第1の通信局2Aの受信機5Aおよび第2の通信局2Bの受信機5Bは、引込完了判定部5A12により自局の引込状況を確認し、自局引込情報を自局の送信機へ出力する。
【0104】
(2)上記の状況において、第1の通信局2Aの受信機51Aが先に引き込みを完了したとする。(2)’この場合、第1の通信局2Aの送信機4Aは、ヘッダを「引込フレーム&引込未完」ヘッダから、「引込フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「引込フレーム」とともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0105】
(3)第2の通信局2Bの受信機51Bが「引込フレーム&引込完了」ヘッダおよび「引込フレーム」を受信すると、(3)’第2の通信局2Bの送信機4Bは、ヘッダを「引込フレーム&引込未完」ヘッダから、「通常フレーム」ヘッダに切り替えるとともに、データ内に引込未完情報が埋め込まれた「通常フレーム(引込未完)」を第1の通信局2Aに送信する。
【0106】
(4)第1の通信局2Aの受信機51Aは、「通常フレーム」ヘッダおよび「通常フレーム(引込未完)」を受信すると、「通常フレーム(引込未完)」を利用して通常モードでの復調処理を実行する。また、第1の通信局2Aの受信機51Aは、「通常フレーム(引込未完)」に埋め込まれた引込未完情報に基づいて、対向局引込情報を生成し、自局の送信機4Aに対向局引込情報を出力する。
【0107】
(5)第2の通信局2Bの受信機51Bが「引込フレーム」を利用した引き込みを完了すると、(5)’第2の通信局2Bの送信機4Bは、「通常フレーム(引込未完)」から「通常フレーム(引込完了)」に切り替えて、第1の通信局2Aへ送信する。
【0108】
(6)第1の通信局2Aの受信機51Aが「通常フレーム」ヘッダと、「通常フレーム(引込完了)」とを受信すると、(6)’第1の通信局2Aの送信機4Aは、ヘッダを「引込フレーム&引込完了」ヘッダから、「通常フレーム」ヘッダに切り替えて、「通常フレーム(引込完了)」とともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0109】
(7)第2の通信局2Bの受信機5Bは、「通常フレーム」ヘッダおよび「通常フレーム(引込完了)」を受信すると、「通常フレーム」を利用して通常モードでの復調処理を実行する。これにより、第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間の初期引き込みが完了する。
【0110】
次に、図19に示すタイミングチャートにしたがって、実施の形態3の通信システム1にて同期外れが発生した後に、再引き込みを行なう際の作用について説明する。なお、以下に記載する(1)~(6)の説明は、図18に示す(1)~(6)のタイミングに対応している。
【0111】
(1)第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの間で引き込みが完了し、「通常フレーム」ヘッダおよび「通常フレーム(引込完了)」の送受信が行なわれている。なお、「通常フレーム(引込完了)」には、引込完了情報が埋め込まれている。(2)このような状況において、第2の通信局2Bの受信機51Bで同期が外れたとする。(2)’この場合、第2の通信局2Bの送信機4Bは、「通常フレーム(引込完了)」から「通常フレーム(引込未完)」に切り替えて、第1の通信局2Aへ送信する。
【0112】
(3)第1の通信局2Aの受信機51Aが「通常フレーム」ヘッダと、「通常フレーム(引込未完)」とを受信すると、(3)’第1の通信局2Aの送信機4Aは、ヘッダを「通常フレーム」ヘッダから、「引込フレーム&引込完了」ヘッダに切り替えて、「引込フレーム」とともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0113】
(4)第2の通信局2Bの受信機51Bが「引込フレーム&引込完了」ヘッダおよび「引込フレーム」を受信し、「引込フレーム」を利用した引き込みを完了すると、(4)’第2の通信局2Bの送信機4Bは、「通常フレーム(引込未完)」から「通常フレーム(引込完了)」に切り替えて、第1の通信局2Aへ送信する。
【0114】
(5)第1の通信局2Aの受信機51Aが「通常フレーム(引込完了)」を受信すると、(5)’第1の通信局2Aの送信機4Aは、ヘッダを「引込フレーム&引込完了」ヘッダから、「通常フレーム」ヘッダに切り替えて、引込完了情報が埋め込まれた「通常フレーム(引込完了)」とともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0115】
(6)第2の通信局2Bの受信機51Bは、「通常フレーム」ヘッダと、「通常フレーム」とを受信すると、「通常フレーム(引込完了)」を利用して通常モードでの復調処理を実行する。これにより、第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間の再引き込みが完了する。
【0116】
以上で説明したように、実施の形態3に係る通信システム1によれば、実施の形態1と同様に、効率よく高速に引込処理を行ない、通常のデータフレームの送受信にスムースに移行することが可能である。また、実施の形態3によれば、「通常フレーム&引込未完」ヘッダと、「通常フレーム&引込完了」ヘッダを使用しないので、ヘッダの種類を減らすことができ、ヘッダの切り替えに伴う処理負荷を軽減することが可能である。さらに、対向局の状況に関わらず、片方向の通信局を先に引き込み完了させ、かつ、引込完了状態を維持することができるので、通信の安定性を向上させることが可能である。
【0117】
(実施の形態4)
次に、本発明の第4の実施の形態に係る通信システムについて説明する。本実施の形態は、各フレームにおいて共通のヘッダを使用し、データのパターンによって引込フレームの引込未完および引込完了を識別し、データ内に埋め込まれた情報によって通常フレームの引込未完および引込完了を識別する点で実施の形態1と異なる。なお、実施の形態1と同様の構成については、同じ符号を用いて詳しい説明は省略する。
【0118】
以下では、引込未完を示すデータパターンが用いられた引込フレームを「引込フレーム(引込未完)」と呼び、引込完了を示すデータパターンが用いられた引込フレームを「引込フレーム(引込完了)」と呼ぶ。また、引込未完情報が埋め込まれた通常フレームを「
通常フレーム(引込未完)」と呼び、引込完了情報が埋め込まれた通常フレームを「通常フレーム(引込完了)」と呼ぶ。
【0119】
引込フレーム(引込未完)」と、「引込フレーム(引込完了)」との切り替えは、図5に示す送信機4A(4B)のタイミング生成部4A6、パイロット生成部4A7およびパイロット付与部4A2により、受信機から出力された対向局引込情報および自局引込情報に応じて行なわれる。また、「通常フレーム」のデータに対する引込未完情報および引込完了情報の埋め込みは、タイミング生成部4A6により、受信機から出力された対向局引込情報および自局引込情報に応じて行なわれる。
【0120】
図17に示すように、本実施の形態に係る第1の通信局2Aの受信機51Aおよび第2の通信局2Bの受信機51Bは、ヘッダ検出部5A10により、ヘッダおよびデータパターンに基づいて、引込フレームの引込未完および引込完了を識別する。「引込フレーム(引込未完)」および「引込フレーム(引込完了)」は、両方とも既知のデータパターンを用いるため、ヘッダが共通であっても識別することが可能である。
【0121】
また、本実施の形態の受信機51A(51B)は、実施の形態3と同様に、BBデフレーマ5A13によってデフレーム化されたデータを引込完了判定部5A12に分岐出力する。引込完了判定部5A12は、データに埋め込まれている情報に基づいて、「通常フレーム(引込未完)」と「通常フレーム(引込完了)」とを識別する。
【0122】
受信機51A(51B)は、引込完了判定部5A12により、引込フレームのデータパターンと、通常フレームに埋め込まれた情報とに基づいて、対向局の引込状況を確認し、対向局引込情報を自局の送信機へ出力する。また、受信機51A(51B)は、引込完了判定部5A12により自局の引込状況を確認し、自局引込情報を自局の送信機へ出力する。
【0123】
図20は、本実施の形態における、第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの通信状態を示すタイミングチャートである。なお、以下に記載する(1)~(7)の説明は、図20に示す(1)~(7)のタイミングに対応している。
【0124】
(1)第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間で双方向通信を開始する際に、第1の通信局2Aの送信機4Aおよび第2の通信局2Bの送信機4Bは、自局引込情報および対向局引込情報に基づいて、共通のヘッダと、「引込フレーム(引込未完)」とを繰り返し送信する。(1)’第1の通信局2Aの受信機51Aおよび第2の通信局2Bの受信機51Bは、対向局から送信された共通ヘッダおよび「引込フレーム(引込未完)」を受信し、共通ヘッダを利用したフレーム同期処理と、「引込フレーム(引込未完)」を利用した高速引込モードでの復調処理とを実行する。また、第1の通信局2Aの受信機51Aおよび第2の通信局2Bの受信機51Bは、引込フレームのデータパターンと、通常フレームに埋め込まれた情報とに基づいて対向局の引込状況を確認し、対向局引込情報を自局の送信機へ出力する。また、第1の通信局2Aの受信機51Aおよび第2の通信局2Bの受信機51Bは、自局の引込状況を確認し、自局引込情報を自局の送信機へ出力する。
【0125】
(2)上記の状況において、第1の通信局2Aの受信機51Aが先に引き込みを完了したとする。(2)’この場合、第1の通信局2Aの送信機4Aは、フレームを「引込フレーム(引込未完)」から「引込フレーム(引込完了)」に切り替えて、共通ヘッダとともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0126】
(3)第2の通信局2Bの受信機51Bが「引込フレーム(引込完了)」を受信した後に、(4)「引込フレーム(引込完了)」に基づいて、対向局である第1の通信局2Aの
引込完了を検出したとする。(4)’この場合、第2の通信局2Bの送信機4Bは、フレームを「引込フレーム(引込未完)」から「通常フレーム(引込未完)」に切り替えて、共通ヘッダとともに第1の通信局2Aへ送信する。
【0127】
次いで、(5)第2の通信局2Bの受信機51Bが引き込みを完了したとする。(5)’この場合、第2の通信局2Bの送信機4Bは、フレームを「通常フレーム(引込未完)」から「通常フレーム(引込完了)」に切り替えて、共通ヘッダとともに第1の通信局2Aへ送信する。
【0128】
(6)第1の通信局2Aの受信機51Aが「通常フレーム(引込完了)」を受信した後に、(7)「通常フレーム(引込完了)」に基づいて、対向局である第2の通信局2Bの引込完了を検出したとする。(7)’この場合、第1の通信局2Aの送信機4Aは、フレームを「引込フレーム(引込完了)」から「通常フレーム(引込完了)」に切り替えて、共通ヘッダとともに第2の通信局2Bへ送信する。これにより、第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間の初期引き込みが完了する。
【0129】
次に、図21に示すタイミングチャートにしたがって、実施の形態4の通信システム1にて同期外れが発生した後に、再引き込みを行なう際の作用について説明する。なお、以下に記載する(1)~(7)の説明は、図21に示す(1)~(7)のタイミングに対応している。
【0130】
(1)第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの間で引き込みが完了し、「通常フレーム(引込完了)」および共通ヘッダの送受信が行なわれている。(2)このような状況において、第2の通信局2Bの受信機51Bで同期が外れたとする。(2)’この場合、第2の通信局2Bの送信機4Bは、「通常フレーム(引込完了)」から「通常フレーム(引込未完)」に切り替えて、共通ヘッダとともに第1の通信局2Aへ送信する。
【0131】
(3)第1の通信局2Aの受信機51Aが共通ヘッダと、「通常フレーム(引込未完)」とを受信すると、(3)’第1の通信局2Aの送信機4Aは、「通常フレーム(引込完了)」から「引込フレーム(引込完了)」に切り替えて、共通ヘッダとともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0132】
(4)第2の通信局2Bの受信機51Bが「引込フレーム(引込完了)」を受信した後に、(5)「引込フレーム(引込完了)」に基づいて引き込みを完了したとする。(5)‘この場合、第2の通信局2Bの送信機4Bは、「通常フレーム(引込未完)」から「通常フレーム(引込完了)」に切り替えて、第1の通信局2Aへ送信する。
【0133】
(6)第1の通信局2Aの受信機51Aは、「通常フレーム(引込完了)」を受信し、(7)対向局である第2の通信局2Bの引込完了を検出すると、(7)‘第1の通信局2Aの送信機4Aは、「引込フレーム(引込完了)」から「通常フレーム(引込完了)」に切り替えて、共通ヘッダとともに第2の通信局2Bへ送信する。これにより、第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間の再引き込みが完了する。
【0134】
以上で説明したように、実施の形態4に係る通信システム1によれば、実施の形態1と同様に、効率よく高速に引込処理を行ない、通常のデータフレームの送受信にスムースに移行することが可能である。また、実施の形態4によれば、「通常フレーム&引込未完」ヘッダ、「通常フレーム&引込完了」ヘッダ、「引込フレーム&引込未完」ヘッダ、および「引込フレーム&引込完了」ヘッダを使用せず、共通ヘッダのみを用いるので、ヘッダの切り替えに伴う処理負荷を軽減することが可能である。
【0135】
また、実施の形態4では、「引込フレーム(引込未完)」および「引込フレーム(引込完了)」のデータパターン全体からフレームの種類および引込状況を識別するようにしたが、復調処理に遅延が生じるような場合には、図20及び図21の符号Dに示すように、データパターンの前半部分のみを利用して、「引込フレーム(引込未完)」と「引込フレーム(引込完了)」との識別を行なうようにしてもよい。
【0136】
(実施の形態5)
次に、本発明の第5の実施の形態に係る通信システムについて説明する。本実施の形態は、データパターンによって引込フレームの引込未完および引込完了を識別し、ヘッダが「通常フレーム&引込未完」ヘッダであるか否かによって、通常フレームの引込未完および引込完了を識別する点で実施の形態1と異なる。なお、実施の形態1と同様の構成については、同じ符号を用いて詳しい説明は省略する。
【0137】
以下では、引込未完を示すデータパターンが用いられた引込フレームを「引込フレーム(引込未完)」と呼び、引込完了を示すデータパターンが用いられた引込フレームを「引込フレーム(引込完了)」と呼ぶ。また、「通常フレーム&引込未完」ヘッダ以外のヘッダを共通ヘッダと呼ぶ。
【0138】
引込フレーム(引込未完)」と、「引込フレーム(引込完了)」との切り替えは、図5に示す送信機4A(4B)のタイミング生成部4A6、パイロット生成部4A7およびパイロット付与部4A2により、受信機から出力された対向局引込情報および自局引込情報に応じて行なわれる。また、「通常フレーム」のデータに対する引込未完情報および引込完了情報の埋め込みは、タイミング生成部4A6により、受信機から出力された対向局引込情報および自局引込情報に応じて行なわれる。
【0139】
本実施の形態に係る第1の通信局2Aの受信機5Aおよび第2の通信局2Bの受信機5Bは、図5に示すように、ヘッダ検出部5A10により、ヘッダおよびデータパターンに基づいて、引込フレームの引込未完および引込完了を識別する。「引込フレーム(引込未完)」および「引込フレーム(引込完了)」は、両方とも既知のデータパターンを用いるため、ヘッダが共通であっても識別することが可能である。また、受信機5A(5B)は、ヘッダ検出部5A10により検出されたヘッダが「通常フレーム&引込未完」ヘッダであるか否かに応じて、通常フレームの引込未完および引込完了を識別する。
【0140】
受信機5A(5B)は、引込完了判定部5A12により、引込フレームのデータパターンと、ヘッダの種類とに基づいて、対向局の引込状況を確認し、対向局引込情報を自局の送信機へ出力する。また、受信機5A(5B)は、引込完了判定部5A12により自局の引込状況を確認し、自局引込情報を自局の送信機へ出力する。
【0141】
図22は、本実施の形態における、第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの通信状態を示すタイミングチャートである。なお、以下に記載する(1)~(7)の説明は、図22に示す(1)~(7)のタイミングに対応している。
【0142】
(1)第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間で双方向通信を開始する際に、第1の通信局2Aの送信機4Aおよび第2の通信局2Bの送信機4Bは、自局引込情報および対向局引込情報に基づいて、共通ヘッダと、「引込フレーム(引込未完)」とを繰り返し送信する。(1)’第1の通信局2Aの受信機5Aおよび第2の通信局2Bの受信機5Bは、対向局から送信された共通ヘッダおよび「引込フレーム(引込未完)」を受信し、共通ヘッダを利用したフレーム同期処理と、「引込フレーム(引込未完)」を利用した高速引込モードでの復調処理とを実行する。また、第1の通信局2Aの受信機5Aおよび第2の通信局2Bの受信機5Bは、引込フレームのデータパターンと、ヘッダの種類とに基
づいて対向局の引込状況を確認し、対向局引込情報を自局の送信機へ出力する。また、第1の通信局2Aの受信機5Aおよび第2の通信局2Bの受信機5Bは、自局の引込状況を確認し、自局引込情報を自局の送信機へ出力する。
【0143】
(2)上記の状況において、第1の通信局2Aの受信機5Aが先に引き込みを完了したとする。(2)’この場合、第1の通信局2Aの送信機4Aは、フレームを「引込フレーム(引込未完)」から「引込フレーム(引込完了)」に切り替えて、共通ヘッダとともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0144】
(3)第2の通信局2Bの受信機5Bが「引込フレーム(引込完了)」を受信した後に、(4)「引込フレーム(引込完了)」に基づいて、対向局である第1の通信局2Aの引込完了を検出したとする。(4)’この場合、第2の通信局2Bの送信機4Bは、ヘッダを共通ヘッダから「通常フレーム&引込未完」ヘッダに切り替え、フレームを「引込フレーム(引込未完)」から「通常フレーム」に切り替えて第1の通信局2Aへ送信する。
【0145】
次いで、(5)第2の通信局2Bの受信機5Bが引き込みを完了したとする。(5)’この場合、第2の通信局2Bの送信機4Bは、ヘッダを「通常フレーム&引込未完」ヘッダから共通ヘッダに切り替えて、「通常フレーム」とともに第1の通信局2Aへ送信する。
【0146】
(6)第1の通信局2Aの受信機5Aが共通ヘッダおよび「通常フレーム」を受信した後に、(7)共通ヘッダおよび「通常フレーム」に基づいて、対向局である第2の通信局2Bの引込完了を検出したとする。(7)’この場合、第1の通信局2Aの送信機4Aは、フレームを「引込フレーム(引込完了)」から「通常フレーム」に切り替えて、共通ヘッダとともに第2の通信局2Bへ送信する。これにより、第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間の初期引き込みが完了する。
【0147】
次に、図23に示すタイミングチャートにしたがって、実施の形態5の通信システム1にて同期外れが発生した後に、再引き込みを行なう際の作用について説明する。なお、以下に記載する(1)~(6)の説明は、図23に示す(1)~(6)のタイミングに対応している。
【0148】
(1)第1の通信局2Aと第2の通信局2Bとの間で引き込みが完了し、「通常フレーム」および共通ヘッダの送受信が行なわれている。(2)このような状況において、第2の通信局2Bの受信機5Bで同期が外れたとする。(2)’この場合、第2の通信局2Bの送信機4Bは、ヘッダを共通ヘッダから「通常フレーム&引込未完」ヘッダに切り替えて、「通常フレーム」とともに第1の通信局2Aへ送信する。
【0149】
(3)第1の通信局2Aの受信機5Aが「通常フレーム&引込未完」ヘッダと、「通常フレーム」とを受信すると、(3)’第1の通信局2Aの送信機4Aは、「通常フレーム」から「引込フレーム(引込完了)」に切り替えて、共通ヘッダとともに第2の通信局2Bへ送信する。
【0150】
(4)第2の通信局2Bの受信機5Bが「引込フレーム(引込完了)」を受信した後に、(5)「引込フレーム(引込完了)」に基づいて引き込みを完了したとする。(5)‘この場合、第2の通信局2Bの送信機4Bは、ヘッダを「通常フレーム&引込未完」ヘッダから通常ヘッダに切り替えて、「通常フレーム」とともに第1の通信局2Aへ送信する。
【0151】
(6)第1の通信局2Aの受信機5Aは、「通常フレーム」を受信し、対向局である第
2の通信局2Bの引込完了を検出すると、(6)‘第1の通信局2Aの送信機4Aは、「引込フレーム(引込完了)」から「通常フレーム」に切り替えて、共通ヘッダとともに第2の通信局2Bへ送信する。これにより、第1の通信局2Aと、第2の通信局2Bとの間の再引き込みが完了する。
【0152】
以上で説明したように、実施の形態5に係る通信システム1によれば、実施の形態1と同様に、効率よく高速に引込処理を行ない、通常のデータフレームの送受信にスムースに移行することが可能である。また、実施の形態5によれば、「通常フレーム&引込完了」ヘッダ、「引込フレーム&引込未完」ヘッダ、および「引込フレーム&引込完了」ヘッダを使用せず、「通常フレーム&引込未完」ヘッダおよび共通ヘッダのみを用いるので、ヘッダの切り替えに伴う処理負荷を軽減することが可能である。
【0153】
また、実施の形態5では、「引込フレーム(引込未完)」および「引込フレーム(引込完了)」のデータパターン全体からフレームの種類および引込状況を識別するようにしたが、実施の形態4と同様に、データパターンの前半部分Dのみを利用して、「引込フレーム(引込未完)」と「引込フレーム(引込完了)」との識別を行なうようにしてもよい。
【0154】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、通信衛星3を経由して通信を行なう無線通信システムを例として説明したが、本発明は、通信衛星3を経由しない地上通信システムに適用することも可能である。
【0155】
1 通信システム
2A 第1の通信局
2B 第2の通信局
3 通信衛星
4A 第1の通信局の送信機
4B 第2の通信局の送信機
5A 第1の通信局の受信機
5B 第2の通信局の受信機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24