(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】一体型プラスチックシェルを有するアコースティックスピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
H04R1/02 101Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019184374
(22)【出願日】2019-10-07
【審査請求日】2022-09-07
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512228750
【氏名又は名称】ドゥビアル
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル ナルダ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ オリベイラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー ベイゲ
(72)【発明者】
【氏名】マクス レネ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ レジァンテット
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3175641(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0337756(US,A1)
【文献】Michael Brown,Devialet Phantom review: Forget everything you thought you knew about speaker technology,[online],2015年11月13日,[2023.09.20検索], インターネット <URL: https://www.techhive.com/article/600033/devialet-phantom-review-forget-everything-you-thought-you-knew-about-speaker-technology.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-金属アーマチュア(7)と、
-前記アーマチュア(7)に締結されたプラスチックシェル(9)であって、前記シェル(9)が少なくとも2つの開口(11A、11B)を形成する、プラスチックシェルと、
-横断軸線(T)に沿って背中合わせに配列された少なくとも2つのラウドスピーカ(13A、13B)であって、前記2つのラウドスピーカ(13A、13B)がそれぞれ前記2つの開口(11A、11B)を通過して延びる、少なくとも2つのラウドスピーカと、
を備える、アコースティックスピーカ(1)において、
-前記シェル(9)が一体型であり、
-前記シェル(9)と前記アーマチュア(7)の外側部分(19)が、長手軸線(L)に沿って相互に入れ子構成するのに適し、前記外側部分(19)と前記シェル(9)が、少なくとも部分的にアコースティックスピーカ(1)の内部容積(23)を形成する、 ことを特徴とする、アコースティックスピーカ(1)。
【請求項2】
前記長手軸線(L)に沿って長円形であり、前記アコースティックスピーカ(1)の後部分(5)が前記長手軸線(L)に沿って前記アーマチュア(7)の前記外側部分(19)によって形成され、前記アコースティックスピーカ(1)の前部分(3)が前記長手軸線(L)に沿って少なくとも部分的に前記シェル(9)によって形成される、請求項1に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項3】
前記アーマチュア(7)が前記横断軸線(T)に沿って前記2つのラウドスピーカ(13A、13B)の間に配置された内側部分(21)を備え、前記シェル(9)が、スクリューナットシステム(45、47)によって前記内側部分(21)に締結される、請求項1又は2に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項4】
前記シェル(9)が、単一のスクリューナットシステム(45、47)によって前記内側部分(21)に締結される、請求項3に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項5】
前記シェル(9)及び前記アーマチュア(7)の前記外側部分(19)が、2つの湾曲縁(33、39)をそれぞれ含み、前記2つの湾曲縁(33、39)が相互に隣り合い、前記アコースティックスピーカ(1)が、前記2つの湾曲縁(33、39)の間に配列され前記2つの湾曲縁(33、39)に沿って延びるループを形成する密封ガスケット(37)を含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項6】
-前記シェル(9)が、前記長手軸線(L)及び前記横断軸線(T)に対して直交する軸線(E)に沿って見てU字形であり、
-前記アーマチュア(7)の前記外側部分(19)が前記横断軸線(T)に沿って見てU字形である、請求項1~
5のいずれか1項に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項7】
前記2つの開口(11A、11B)がそれぞれ2つの縁(71)を境界とし、前記アコースティックスピーカ(1)が、それぞれ前記2つの縁(71)によってオーバーモールドされた少なくとも2つの金属インサート(17A、17B)を備える、請求項1~
6のいずれか1項に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項8】
前記2つの縁(71)は円形である、請求項
7に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項9】
-前記2つのラウドスピーカ(13A、13B)の各々が音波を発するのに適するメンブレン(57A、57B)を備え、
-前記シェル(9)が、前記長手軸線(L)に沿って順次、球体部を形成する前部分(51)と、円筒形部を形成する中間部分(53)と、長手方向に前記2つのラウドスピーカ(13A、13B)の前記メンブレン(57A、57B)の背後に配置された2つの後壁(55A、55B)と、を備える、
請求項1~
8のいずれか1項に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項10】
更に、それぞれ前記シェル(9)の前記後壁(55A、55B)によってオーバーモールドされた2つの金属インサート(17A、17B)を備える、請求項
9に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【請求項11】
前記シェル(9)が、
-ポリカーボネート及び15質量%~25質量%のグラスファイバを含む内側層(65)と、
-アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を含む外側層(67)と、
を備える、
請求項1~1
0のいずれか1項に記載のアコースティックスピーカ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
-金属アーマチュアと、
-アーマチュアに締結されたプラスチックシェルであって、シェルが少なくとも2つの開口を形成する、プラスチックシェルと、
-横断軸線に沿って背中合わせ(back to back)に配列された少なくとも2つのラウドスピーカであって、2つのラウドスピーカが、それぞれ2つの開口を通過して延びる、ラウドスピーカと、
を含む、アコースティックスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
小型アコースティックスピーカにおいて、ラウドスピーカは、特にウーファは、比較的嵩の大きい要素である。ラウドスピーカは、そのメンブレンの動きが、アコースティックスピーカの時を得ない動きを生じる可能性のある振動を生成しないように、頭尾式(head to tail)に配列される。
【0003】
大きい容積及びこのような相対的位置を持つので、ラウドスピーカは、例えばスクリューによって相互にシェルの異なる部分に締結される。その後、異なる部分は、シェルを形成して2つのラウドスピーカを頭尾の位置に配置するように、相互に組み立てられる。
【0004】
その結果、シェルは、特にスピーカが小型の場合スピーカの使用者の目又は手に触れ易い接合部などの組立て線を持つ。このような組立て線は、時に、アコースティックスピーカの滑らかな外観を損なうので、美的に好ましくないと見なされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、概略的に使用者がより美的に好ましいと感じるようなより滑らかな外観を有するアコースティックスピーカを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明は、上述のタイプのアコースティックスピーカに関するものであり、
-シェルは一体型であり、
-シェルとアーマチュアの外側部分は、長手軸線に沿って相互に入れ子構成するのに適し、外側部分とシェルは、少なくとも部分的に、アコースティックスピーカの内部容積を形成する。
【0007】
具体的実施形態によれば、アコースティックスピーカは、単独で又は技術的に可能な任意の組合せによって、下記の特徴の1つ又はそれ以上を含む。即ち、
-アコースティックスピーカは長手軸線に沿って長円形であり、長手軸線に沿ってアコースティックスピーカの後部分はアーマチュアの外側部分によって形成され、長手軸線に沿ってアコースティックスピーカの前部分は少なくとも部分的にシェルによって形成され、
-アーマチュアは、横断軸線に沿って2つのラウドスピーカの間に配置された内側部分を備え、シェルは、スクリューナットシステム好ましくは単一のスクリューナットシステムによって内側部分に締結され、
-2つのラウドスピーカはアーマチュアの内側部分に堅固に締結され、かつアーマチュアによって形成されるもの以外にシェルとの堅固な接続部が一切ないことが好ましく、
-シェルとアーマチュアの外側部分は、2つの湾曲縁をそれぞれ含み、2つの湾曲縁は相互に隣り合い、アコースティック囲繞体は、2つの湾曲縁の間に配列されて2つの湾曲縁に沿って延びるループを形成する密封ガスケットを含み、
-シェルは、長手軸線及び横断軸線に対して直交する軸線に沿って見て概ねU字形であり、アーマチュアの外側部分は、横断軸線に沿って見て概ねU字形であり、
-2つの開口は、それぞれ2つの縁を境界とし、好ましくは円形であり、アコースティックスピーカは、それぞれ前記2つの縁によってオーバーモールドされた少なくとも2つの金属インサートを備え、
-2つのラウドスピーカの各々は、音波を発するのに適するメンブレンを備え、シェルは、長手軸線に沿って順次、球体部を形成する前部分と、円筒部を形成する中間部分と、長手方向に2つのラウドスピーカのメンブレンの背後に配置された2つの後壁と、を備え、
-アコースティックスピーカは、更に、それぞれシェルの後壁によってオーバーモールドされた2つの金属インサートを備え、
-シェルは、
-ポリカーボネート及び15質量%~25質量%のグラスファイバを含む内側層と、
-アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を含む外側層と、
を備える。
【0008】
本発明は、添付図面を参照して単に実施例として示す下記の説明を読むことによってさらに良く理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るアコースティックスピーカの斜視図である。
【
図2】長手軸線に沿って分解した
図1のアコースティックスピーカの斜視図であり、アコースティックスピーカ内部のラウドスピーカ及びその他の要素は図示しない。
【
図4】
図1及び2のアコースティックスピーカの前面図である。
【
図5】アコースティックスピーカの長手軸線及びラウドスピーカによって形成された横断軸線を含む平面に沿って見た
図1~4に示すシェルの断面図である。
【
図6】
図5と同じ平面の断面で示す
図1及び2のシェル及びアーマチュアの詳細図である。
【
図7】
図1~6のシェルの中のインサートの1つの前面図である。
【0010】
本発明に係るアコースティックスピーカ1について、
図1及び2を参照して説明する。
【0011】
アコースティックスピーカ1は、例えば、アクティブスピーカである。即ち、音響信号リーダと増幅器(本発明を説明するために、関連しないスピーカの他の電気又は電子要素と同様、図示しない)を備える。
【0012】
図示する実施例において、アコースティックスピーカは、好ましくは水平の面Sの上に乗る。アコースティックスピーカは、例えば、長手軸線Lに沿って概ね長円形を有する。長手軸線は、
図3に示すように面Sと所定の角度を形成することが有利である。アコースティック囲繞体は、長手軸線Lに沿って前部分3と後部分5とを形成することが好ましく、前部分は、面Sに対して後部分より高い。
【0013】
アコースティックスピーカは、金属アーマチュア7と、アーマチュアに締結されたプラスチックシェル9とを備える、シェルは、少なくとも2つの開口11A及び11Bを形成する。アコースティックスピーカは、例えば長手軸線Lに対して直角を成す横断軸線Tに沿って背中合わせに配列された2つのウーファ13A及び13B(
図1には1つのみ示す)を備える。2つのウーファ13A及び13Bは、それぞれ、開口11A及び11Bを通過して延びる。
【0014】
「ウーファ」は、1000Hz未満好ましくは500Hz未満、より好ましくは150Hz未満の周波数を持つ音波を拡散するのに適するラウドスピーカを意味する。
【0015】
アコースティックスピーカ1は、例えば前部分3においてシェル9によって形成されたハウジング15の中に固定される第3ラウドスピーカ(図示せず)を備えると有利である。
【0016】
アコースティックスピーカは、横断軸線Tに対して直角を成しかつ長手軸線Lを含む平面Pにおいて相互に対称的な2つの金属インサート17A及び17Bを備え、そのうちの1つを
図7に示す。
【0017】
アコースティック囲繞体は、この平面Pに対して対称的外観を有する。
【0018】
ハウジング15の中に配置された第3ラウドスピーカ(図示せず)は、例えば、長手軸線Lを中心とする。有利なのは、300Hz~20Hz又は150Hz~40kHzの周波数の音波を拡散するのに適する。
【0019】
アーマチュア7は、例えばアルミニウムから作られた鋳造部品であることが有利である。アーマチュア7は、アコースティックスピーカの後部分5を形成する外側部分19と、外側部分に固定され平面Pに沿って延びる内側部分21とを備える。
【0020】
外側部分19とシェル9は、一緒に、アコースティックスピーカの内部容積23(
図2)を形成する。
【0021】
外側部分19は、アコースティックスピーカの作動時に内部容積23の中で生じた熱を排出するのに適する複数のフィン27(
図6)を含む後部25を含む。
【0022】
外側部分19は、後部25から長手軸線Lに沿ってラウドスピーカ13A、13Bの下方を前進するソールプレート29を含む。
【0023】
アーマチュアの外側部分19とシェル9は、長手軸線Lに沿って相互に入れ子構成するのに適する。
【0024】
横断軸線Tに沿って見て、外側部分19は、概ねU字形であると有利である。
【0025】
U字形の枝の1つは、ソールプレート29によって形成され、例えば、他方の枝より大きい。
【0026】
フィン27は、例えば、平面Pに対して平行であり、アコースティックスピーカの前部分3と同じ曲率を持つ球体囲繞体31(
図6)を境界にすると有利である。
【0027】
外側部分19は、溝35を形成する湾曲縁33を含み、溝の中に、ループを形成する密封ガスケット37が配置される。
【0028】
湾曲縁33は、シェル9の湾曲縁39に隣接し、密封ガスケット37は2つの湾曲縁33及び39の間に配置される。
【0029】
内側部分21は、2つのラウドスピーカ13A、13Bの及びシェル9の締結支持体を形成する。内側部分21は、例えば、内側部分21にラウドスピーカ11Bを締結するのに適する口41(
図2)を形成する。例えば、スクリュー(図示せず)が口41を介してラウドスピーカ11Bの中へネジ入れられる。
【0030】
内側部分21は、ラウドスピーカ11Aが例えば接着される面43を形成する。
【0031】
シェル9は一体型である。「一体型」とは、シェル9が単一のピースであり、機械的手段によって相互に取り付けられた部分を含まないことを意味する。シェル9は、内側部分に締結されたドエルピン45とこのドエルピンにネジ式に嵌められたナット47とを含む単一のスクリュー/ナットシステムによって内側部分 21に締結されると有利である。1つ又は数個のワッシャ49が、シェル9と内側部分21との間の軸方向の間隔を調節するために、この2つの部品の間でドエルピン45上に嵌められる。
【0032】
シェル9は、長手軸線Lに沿って順次、球体部を形成する前部分51と、円形部を形成する中間部分53と、長手方向に2枚のメンブレン57A、57Bの背後に配置された2つの後壁55A、55Bと、を備える。
【0033】
シェル9は、ラウドスピーカ13A、13Bの下方に配置されアーマチュア7のソールプレート29の部分を隠ぺいするスカート59(
図4)を備える。
【0034】
アコースティックスピーカの前部分3は、少なくとも部分的にシェル9によって形成される。
【0035】
シェル9は、長手軸線L及び横断軸線Tに直交する軸線Eに沿って見て概ねU字形である。
【0036】
前部分51は、上述のハウジング15を形成する。前部分51によって形成された球体部は、長手軸線L上の点を中心とする。
【0037】
中間部分53によって形成された円筒形部は、長手軸線Lを中心とする。
【0038】
後壁55A、55Bは、例えば、平面Pに対して平行である。後壁は、湾曲縁39上に2本のレール61A、61Bを形成する(
図5及び6)。
【0039】
レール61A、61Bは、それぞれアーマチュアの外側部分25の湾曲縁33によって形成された溝63A、63Bの中に受け入れられる。
【0040】
レール61A、61B及びこれに対応する溝63A、63Bは、例えば、横断軸線Tに沿って見て円形である。
【0041】
開口11A、11Bは、円形であり、横断軸線Tを中心軸とすると有利である。開口11A、11BAは、ラウドスピーカ13A、13Bを横断軸線Tに沿って並進させることによって内部容積23の中へ挿入できるようにする。
【0042】
シェル9は、内部容積23の境界となる内側層65(
図5及び6)と、アコースティックスピーカの外部から見える外側層67又はトリム層と、を備える。
【0043】
内側層65は外側層67より厚い。内側層は、例えば、15質量%~25質量%のグラスファイバで強化されたポリカーボネート(PC)を含む。
【0044】
外側層67は、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)から作られる。
【0045】
インサート17A、17Bは、構造的に相互に同じであると有利である。インサートは、上述のように平面Pの両側に対称的に配列される。したがって、インサート17Aについてのみ
図7を参照して下に説明する。
【0046】
インサート17Aは、ステンレス鋼から作られると有利である。インサートは、例えば0.6mm~1.5mmの厚みを持つ金属シートから作られる。
【0047】
インサート17Aは、開口11Aの境界となるシェル9の縁71に配置される円形部分69と、後壁55Aに配置される隣接部分73とを備える。
【0048】
円形部分の役割は、開口11Aの境界となるシェル9の縁を強化することである。実際、ラウドスピーカ13A、13Bは、アーマチュア7の内側部分21に堅固に締結され、アーマチュアによって形成されるもの以外にシェル9との間に堅固な接続部はない。したがって、縁71は、ラウドスピーカ13に対して突き出される。ラウドスピーカ13B及び開口11Bの境界となるシェルの縁は、平面Pに対して対称的であり、同じことが言える。
【0049】
隣接部分73は、後壁55Aを強化する。このことは、特に、ポンピング現象即ちラウドスピーカ13A、13Bのメンブレン57A、57Bの横断移動によって生じる内部容積23における圧力変動による後壁55Aの振動を回避する。
【0050】
アコースティック囲繞体1の組立てについて下に簡単に説明する。
【0051】
アコースティックスピーカを組み立てる際、まず電子要素(図示せず)を内部容積23においてアーマチュア7に締結する。次に、アーマチュア7とシェル9を、長手軸Lに沿って入れ子構成することによって組み立てる。レール61A、61Bを溝63A、63Bに収容する。密封ガスケット37をアーマチュアの外側部分19の湾曲縁33とシェルの湾曲縁39との間に圧迫する。
【0052】
ナット47は、アーマチュア7にシェルを締結するためにドエルピン45上にネジ式に嵌められる。締結のために単一のネジ/ナットシステムを必要とする。
【0053】
ワッシャ49の数及び厚みは、長手軸線Lに沿ったアーマチュアとシェルとの間の距離を調節できるようにする。
【0054】
その後、シェル11Bの開口を介して横断軸線Tに沿ってラウドスピーカ13Bを内部容積23の中へ導入する。ラウドスピーカ13Bは、口41の中へ導入されたスクリュー(図示せず)を使用して内側部分21に締結され、ラウドスピーカ13Bに対して内側部分21の反対側からネジ止めされる。
【0055】
次に、開口11Aを介して横断軸線Tに沿ってラウドスピーカ13Aを内部容積23の中へ導入する。次に、ラウドスピーカ13Aを内側部分21の接着面43に接着する。
【0056】
締結前に、ラウドスピーカ13A、13Bは、増幅器(図示せず)電気的に接続される。
【0057】
第3ラウドスピーカ(図示せず)はハウジング15の中に締結される。
【0058】
上述の特徴を持つので、アコースティクスピーカの組立ては容易であり、シェル9はより円滑な外観を持つ。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
-金属アーマチュア(7)と、
-前記アーマチュア(7)に締結されたプラスチックシェル(9)であって、前記シェル(9)が少なくとも2つの開口(11A、11B)を形成する、プラスチックシェルと、
-横断軸線(T)に沿って背中合わせに配列された少なくとも2つのラウドスピーカ(13A、13B)であって、前記2つのラウドスピーカ(13A、13B)がそれぞれ前記2つの開口(11A、11B)を通過して延びる、少なくとも2つのラウドスピーカと、
を備える、アコースティックスピーカ(1)において、
-前記シェル(9)が一体型であり、
-前記シェル(9)と前記アーマチュア(7)の外側部分(19)が、長手軸線(L)に沿って相互に入れ子構成するのに適し、前記外側部分(19)と前記シェル(9)が、少なくとも部分的にアコースティックスピーカ(1)の内部容積(23)を形成する、 ことを特徴とする、アコースティックスピーカ(1)である。
第2の態様は、
前記長手軸線(L)に沿って長円形であり、前記アコースティックスピーカ(1)の後部分(5)が前記長手軸線(L)に沿って前記アーマチュア(7)の前記外側部分(19)によって形成され、前記アコースティックスピーカ(1)の前部分(3)が前記長手軸線(L)に沿って少なくとも部分的に前記シェル(9)によって形成される、第1の態様におけるアコースティックスピーカ(1)である。
第3の態様は、
前記アーマチュア(7)が前記横断軸線(T)に沿って前記2つのラウドスピーカ(13A、13B)の間に配置された内側部分(21)を備え、前記シェル(9)が、スクリューナットシステム(45、47)によって、好ましくは単一のスクリューナットシステム(45、47)によって前記内側部分(21)に締結される、第1の態様又は第2の態様におけるアコースティックスピーカ(1)である。
第4の態様は、
前記2つのラウドスピーカ(13A、13B)が、前記アーマチュア(7)の前記内側部分(21)に堅固に締結され、前記アーマチュア(7)によって形成されるもの以外に前記シェル(9)との間に堅固な接続部を持たないことが好ましい、第3の態様におけるアコースティックスピーカ(1)である。
第5の態様は、
前記シェル(9)及び前記アーマチュア(7)の前記外側部分(19)が、2つの湾曲縁(33、39)をそれぞれ含み、前記2つの湾曲縁(33、39)が相互に隣り合い、前記アコースティック囲繞体(1)が、前記2つの湾曲縁(33、39)の間に配列され前記2つの湾曲縁(33、39)に沿って延びるループを形成する密封ガスケット(37)を含む、第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおけるアコースティックスピーカ(1)である。
第6の態様は、
-前記シェル(9)が、前記長手軸線(L)及び前記横断軸線(T)に対して直交する軸線(E)に沿って見て概ねU字形であり、
-前記アーマチュア(7)の前記外側部分(19)が前記横断軸線(T)に沿って見て概ねU字形である、第1の態様~第5の態様のいずれか1つにおけるアコースティックスピーカ(1)である。
第7の態様は、
前記2つの開口(11A、11B)がそれぞれ好ましくは円形の2つの縁(71)を境界とし、前記アコースティックスピーカ(1)が、それぞれ前記2つの縁(71)によってオーバーモールドされた少なくとも2つの金属インサート(17A、17B)を備える、第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおけるアコースティックスピーカ(1)である。
第8の態様は、
-前記2つのラウドスピーカ(13A、13B)の各々が音波を発するのに適するメンブレン(57A、57B)を備え、
-前記シェル(9)が、前記長手軸線(L)に沿って順次、球体部を形成する前部分(51)と、円筒形部を形成する中間部分(53)と、長手方向に前記2つのラウドスピーカ(13A、13B)の前記メンブレン(57A、57B)の背後に配置された2つの後壁(55A、55B)と、を備える、
第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおけるアコースティックスピーカ(1)である。
第9の態様は、
更に、それぞれ前記シェル(9)の前記後壁(55A、55B)によってオーバーモールドされた2つの金属インサート(17A、17B)を備える、第8の態様におけるアコースティックスピーカ(1)である。
第10の態様は、
前記シェル(9)が、
-ポリカーボネート及び15質量%~25質量%のグラスファイバを含む内側層(65)と、
-アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を含む外側層(67)と、
を備える、
第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおけるアコースティックスピーカ(1)である。