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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】支柱装置及び手摺装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20241028BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
E04G21/32 C
F16B2/12 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020038587
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021139186
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】524096288
【氏名又は名称】小野 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】小野 辰雄
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-020256(JP,A)
【文献】実開平02-074715(JP,U)
【文献】特開2018-087450(JP,A)
【文献】特開2010-091011(JP,A)
【文献】特開2001-003907(JP,A)
【文献】特開2002-106517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
F16B 2/12
B25B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦支柱と、前記縦支柱を被取付部材に固定する固定具とを備える支柱装置において、
前記固定具は、
所定の間隔をあけて向い合せに配置される支持片及び固定挟持片と、前記支持片の一端と前記固定挟持片の一端を連結する連結片とを有し前記縦支柱が固定される本体部と、
前記支持片と前記固定挟持片の間に配置されて前記固定挟持片との間に前記被取付部材を挟持可能な可動挟持片と、
前記支持片に固定される外筒と、前記外筒に回り止めされつつ前記外筒内に軸方向へ移動可能に挿入されて先端に前記可動挟持片が連結される可動軸とを有し、前記可動軸を前記外筒に出入りさせることで前記可動挟持片を前記固定挟持片に遠近させる操作部とを有し、
前記可動挟持片は、前記可動軸の先端に接合される一枚板状の平板部と、前記平板部における対向する一組の側端部をそれぞれ前記固定挟持片側に向けて折り曲げて形成された一対の折曲部とのみを有し、
前記固定挟持片と前記可動挟持片とで前記被取付部材を挟持する際、前記固定挟持片と前記折曲部のみが前記被取付部材に当接して前記被取付部材を挟み込む
ことを特徴とする支柱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の支柱装置を備える手摺装置であって、
前記被取付部材に並んで起立する複数の前記支柱装置と、
隣り合う前記支柱装置の前記縦支柱間に架け渡される手摺とを備え、
前記折曲部は、前記平板部における前記手摺の延長方向で対向する一組の側端部を折り曲げて形成されている
ことを特徴とする手摺装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、支柱装置及び手摺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルディング等の建築物の建築現場、又は橋梁等の構築現場では、作業者が作業をしたり通行したりするための床、梁、通路等(以下、「通路等」という)の端、又はその近くに作業者の安全を守るための手摺装置が設けられている。建設現場等では、多くの場合通路等の末端にはH鋼が設けられており、手摺装置は、そのH鋼に取付けられる。
【0003】
その手摺装置は、通路等の端に沿うように横方向に並ぶ複数の支柱装置と、隣り合う支柱装置の間に架け渡される手摺とを備えており、各支柱装置は、手摺が連結される縦支柱と、その被取付部材であるH鋼に縦支柱を固定する固定具とを有する。そして、その固定具は、H鋼のフランジを厚さ方向の両側から挟み込む固定挟持片及び可動挟持片と、可動挟持片を固定挟持片に遠近させる駆動部とを有している(例えば、特許文献1)。
【0004】
固定具は、可動挟持片を挟んで固定挟持片と向かい合って上記駆動部が取り付けられる支持部と、固定挟持片の一端とこれに対向する支持部の一端とを連結する連結部と一体的に設けられ、固定挟持片、支持部、及び連結部を有する本体部を有している。そして、その本体部に縦支柱が溶接等で固定される。
【0005】
その一方、可動挟持片は、駆動部の操作によって固定挟持片と支持部との間を移動するとともに、お椀状でH鋼側へ開口し、その外周縁部がH鋼に当接可能な皿と、この皿の外周縁部がH鋼に当接した状態で皿内にH鋼で圧縮されつつ収容されるばねとを有する。これにより、固定挟持片と可動挟持片とでH鋼のフランジを強固に挟持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-087450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、隣り合う縦支柱間に架け渡される手摺には、命綱が取り付けられている。そして、その手摺が左右に延びるように手摺装置の内側(通路等側)から手摺装置を見たとき、作業者が通路等から落下すると、手摺に下向きと横向き(左右方向)の荷重が同時に加わり、縦支柱に左方向又は右方向の回転モーメントが作用する。安全のため、支柱装置は、手摺に所定の荷重が作用して上記モーメントの作用により縦支柱が左右に傾いたり曲がったりしても、縦支柱の変形量が所定の範囲に収まるように設計されている。
【0008】
とはいえ、従来の支柱装置では、縦支柱に作用する左方向又は右方向の回転モーメントが大きくなった場合には、可動挟持片の皿が変形して縦支柱の傾きが大きくなってしまう。このため、より大きなモーメントに対する縦支柱の傾きを抑制するには、可動挟持片の皿の厚みを増して皿の変形を抑制する必要がある。しかし、従来の支柱装置では、皿の内側にばねが収容されており、皿の内側がそのばねの収容スペースとなっているので、その収容スペースを確保しつつ皿の厚みを増すと固定具が大型化してしまう。
【0009】
そこで、可動挟持片の曲げ強度を高めつつ、固定具の大型化を抑制するために、可動挟持片を一枚の平板とすることが考えられる。このようにすると、平板状の可動挟持片は、下面が平らで可動挟持片の下側には従来のようなばね等の収容スペースが設けられていない。このため、その収容スペースの分を可動挟持片の厚みにできるので、可動挟持片の板厚を厚くしても固定具の大型化を防止できる。
【0010】
ところが、可動挟持片は、可動軸に溶接によって連結されているため、溶接歪みによって、可動挟持片におけるH鋼と当接する当接面に凸部が生じてしまう場合がある。その場合、可動挟持片は、当該凸部の一個所でH鋼に当接することになる。すると、縦支柱に左方向又は右方向の回転モーメントが作用した場合、可動挟持片がH鋼に対して凸部の一個所のみで当接することになるため、固定具が滑ってH鋼から外れてしまう恐れがある。
【0011】
そこで、本発明は、固定具の大型化を防止しつつ、縦支柱に回転モーメントが作用した場合の縦支柱の傾きを抑制でき、縦支柱に左方向又は右方向の回転モーメントが作用する場合であっても、固定具が滑ってH鋼から外れるのを防止できる支柱装置及び手摺装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成させるため、本発明の支柱装置は、縦支柱と、前記縦支柱を被取付部材に固定する固定具とを備える支柱装置において、前記固定具は、所定の間隔をあけて向い合せに配置される支持片及び固定挟持片と、前記支持片の一端と前記固定挟持片の一端を連結する連結片とを有し前記縦支柱が固定される本体部と、前記支持片と前記固定挟持片の間に配置されて前記固定挟持片との間に前記被取付部材を挟持可能な可動挟持片と、前記支持片に固定される外筒と、前記外筒に回り止めされつつ前記外筒内に軸方向へ移動可能に挿入されて先端に前記可動挟持片が連結される可動軸とを有し、前記可動軸を前記外筒に出入りさせることで前記可動挟持片を前記固定挟持片に遠近させる操作部とを有し、前記可動挟持片は、前記可動軸の先端に接合される一枚板状の平板部と、前記平板部における対向する一組の側端部をそれぞれ前記固定挟持片側に向けて折り曲げて形成された一対の折曲部とのみをし、前記固定挟持片と前記可動挟持片とで前記被取付部材を挟持する際、前記固定挟持片と前記折曲部のみが前記被取付部材に当接して前記被取付部材を挟み込むことを特徴とする。この構成によると、可動挟持片が被取付部材に対して少なくことも二個所で当接する。
【0013】
また、本発明の手摺装置は、前記被取付部材に並んで起立する複数の前記支柱装置と、隣り合う前記支柱装置の前記縦支柱間に架け渡される手摺とを備え、前記折曲部は、前記平板部における前記手摺の延長方向で対向する一組の側端部を折り曲げて形成されている。この構成によると、縦支柱に手摺の延長方向の回転モーメントが作用し、固定具が縦支柱とともに傾こうとして、可動挟持片に曲げ力が負荷される際に、各折曲部がそれぞれH鋼に対して線で接触するため、接触面積が大きくなって、よりH鋼から外れにくくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の支柱装置及び手摺装置によれば、固定具の大型化を防止しつつ、縦支柱に回転モーメントが作用した場合の縦支柱の傾きを抑制できる上、縦支柱に左方向又は右方向の回転モーメントが作用する場合であっても、固定具が滑ってH鋼から外れるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態の手摺装置の使用状態を示す全体斜視図である。
図2】本実施の形態の手摺装置における支柱装置の側面図である。
図3】本実施の形態の手摺装置における支柱装置の正面図である。
図4】本実施の形態の手摺装置における固定具の正面図である。
図5】本実施の形態の手摺装置における固定具の一部を切欠いて示す側面図である。
図6】本実施の形態の手摺装置における手摺保持部材の一部を切欠いて示す正面図である。
図7】他の実施の形態の手摺保持部材の一部を切欠いて示す正面図である。
図8】(A)は、本実施の形態の手摺装置における手摺連結部材の一部を切欠いて示す面図である。(B)は、図8(A)の側面図である。
図9】(A)は、他の実施の形態の手摺連結部材の一部を切欠いて示す面図である。(B)は、図9(A)の面図である。
図10】(A)は、さらに他の実施の形態の手摺連結部材の一部を切欠いて示す面図である。(B)は、図10(A)の面図である。
図11】本実施の形態のスライダ装置の平面図である。
図12】本実施の形態のスライダ装置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら本実施の形態について説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は同じ部品を示す。
【0017】
本実施の形態の支柱装置Sは、ビルディング等の建築物の建築現場、又は橋梁等の構築物の構築現場において、作業者が作業をしたり通行したりするための通路等の端、又はその近くであって、建築物や構築物などの建物の外周に設置される手摺装置10に利用される。
【0018】
本実施の形態の手摺装置10は、図1に示すように、通路等の端又はその近くに配置される被取付部材としてのH鋼2に並んで起立する複数の縦支柱4と、縦支柱4をH鋼2に固定する固定具40と、各縦支柱4にそれぞれ設けられる手摺保持部材5Aとでなる支柱装置Sと、各手摺保持部材5Aに保持されて縦支柱4,4間に架け渡される手摺6とを備える。さらに、手摺装置10は、手摺6の延長方向に沿って移動自在に装着されるスライダ装置1を備えている。
【0019】
つづいて、手摺装置10の各部について詳細に説明する。以下、説明の便宜上、手摺装置10の建物と対面する側を建物側といい、その反対側を反建物側という。また、手摺装置10を建物側から見たときの手摺装置10における前後左右上下を、単に「前」「後」「左」「右」「上」「下」という。
【0020】
本実施の形態の縦支柱4は、図2図3に示すように、固定具40を介してH鋼2から垂直に起立する断面四角状の角パイプで形成されている。また、縦支柱4の反建物側である図2中左側には、取手部8が設けられており、縦支柱4を容易に持ち運べるようになっている。ただし、取手部8は、縦支柱4の反建物側以外の部分に設けられてもよい。なお、縦支柱4の断面形状は、四角状には限られず、例えば、丸パイプで形成されてもよい。また、縦支柱4は、H鋼2へ固定具40によって取付けられた際に、H鋼2から反建物側へ向けて斜めに起立してもよい。このようにすると、通路等の幅が狭い場合にも、作業者が通路等を歩行しやすくなる。
【0021】
固定具40は、図3図4図5に示すように、所定の間隔をあけて向い合せに配置される支持片41a及び固定挟持片41bと、支持片41aの一端と固定挟持片41bの一端を連結する連結片41cとを有し縦支柱4が固定される本体部41と、支持片41aと固定挟持片41bの間に配置されて固定挟持片41bとの間にH鋼2を挟持可能な可動挟持片44と、支持片41aに固定される外筒42aと、外筒42aに回り止めされつつ外筒42a内に軸方向へ移動可能に挿入されて先端に可動挟持片44が連結される可動軸42bとを有し、可動軸42bを外筒42aに出入りさせることで可動挟持片44を固定挟持片41bに遠近させる操作部42とを有する。図4図5には、本実施の形態の固定具40のみが示されており、縦支柱4やH鋼2は省略されている。
【0022】
本体部41は、金属製であって鍛造等で形成されており、支持片41a、固定挟持片41b及び連結片41cが継ぎ目なく一体化されて、側面視においてC字状となっている。本体部41の固定挟持片41bには、補強用のリブ43が建物側から見て前後方向へ沿って複数設けられている。これにより、固定挟持片41bは、建物側から見て前後方向へ撓みにくくなっている。なお、本体部41の材質及び成形方法、並びに、リブ43の位置、数、及び形状は適宜変更できる。また、支持片41a、固定挟持片41b及び連結片41cは、その一部が別体形成されて、他の部分と溶接等で固定的に接合されて本体部41として一体化されてもよい。
【0023】
また、本体部41の支持片41aと固定挟持片41bには、操作部42を取付けるための取付孔41dと挿通孔41eが形成されている。さらに、支持片41aにおける取付孔41dの反建物側に、孔41fが形成されていて、この孔41fの縁部分に縦支柱4の下端が溶接等で固定的に接合される。これにより、縦支柱4が支持片41a上に起立する。
【0024】
操作部42は、取付孔41dに挿入されて支持片41aに起立した状態で固定される四角筒状の外筒42aと、この外筒42a内に軸方向移動可能に挿入される円筒状の可動軸42bと、外筒42aの上端を塞ぐ蓋部42cと、可動軸42bの上端に固定されるナット42dと、蓋部42cを貫通して外筒42a内へ挿入されてナット42dに螺合されるボルト42eと、蓋部42cとナット42dとの間に位置してボルト42eに固定される抜止リング42fとを有する。支持片41aに形成された取付孔41dは、外筒42aの外周形状と符合する形状となっており、外筒42aの下端部が取付孔41dに挿通されて、その上下の縁と外筒42aの外周とが溶接される。
【0025】
蓋部42cは、L字状であって、各面が縦支柱4の外周と外筒42aの上端にそれぞれ溶接されている。また、蓋部42cの外筒42aの上端に溶接された部分の中央には、その肉厚を貫通する挿通孔42gが形成されており、その挿通孔42gにボルト42eの螺子軸42hが挿通されている。ボルト42eは、その螺子軸42hと、この螺子軸42hの先端に位置して外径が螺子軸42hの外径より大きいボルトヘッド42iとを含む。挿通孔42gの径は、ボルトヘッド42iの外径より小さい。このため、ボルト42eの螺子軸42hを蓋部42cの上から外筒42a内へ挿し込むと、ボルトヘッド42iが蓋部42cに引っ掛かり、螺子軸42hのみが外筒42a内へ挿入される。
【0026】
外筒42a内へ挿入された螺子軸42hの外周であって蓋部42cの近傍に、抜止リング42fが溶接される。この抜止リング42fの外径は、挿通孔42gの径より大きく、且つ、外筒42a内で自由に回転できる径となっている。さらに、抜止リング42fからボルトヘッド42iまでの距離は、蓋部42cの板厚よりも若干長い。これにより、ボルト42eの外筒42aに対する周方向の回転が許容されるとともに軸方向の移動が規制され、ボルト42eが外筒42aから抜け出るのを防止できる。
【0027】
本実施の形態では、抜止リング42fは、その内周に螺子溝が形成されたナットとなっていて、ボルト42eの螺子軸42hに螺合される。また、外筒42aにおける蓋部42cの直下には、建物側(図5中右側)へ開口する開口窓42jが形成されている。これにより、作業者は、その開口窓42jから外筒42a内へ抜止リング42fを挿入し、蓋部42cの上方から外筒42a内へ挿し込んだ螺子軸42hの外周に抜止リング42fを螺合できる。そして、抜止リング42fを螺子軸42hの軸方向の任意の位置まで移動させ、抜止リング42fを螺子軸42hに溶接する。
【0028】
このように、抜止リング42fをナットとすることで、抜止リング42fをボルト42eの螺子軸42hの任意の位置で仮止めした状態で溶接できるので、抜止リング42fをボルト42eに固定しやすい。しかし、抜止リング42fは、内周に螺子溝の無い単なるリングであってもよい。さらに、抜止リング42fに替えて、ピン等をボルト42eの螺子軸42hに直交するように挿し込んでボルト42eの抜止としてもよく、ボルト42eが外筒42aから抜けるのを防ぐ抜止部材の構成は、適宜変更できる。
【0029】
また、外筒42a内へ挿入された螺子軸42hの外周であって抜止リングより下側には、ナット42dが螺合される。そのナット42dの下端には、可動軸42bの上端が溶接されており、可動軸42bとナット42dが一体となって動く。ナット42dの外周形状は、四角柱状で、各側面が四角筒状の外筒42aの内周面に摺接する。さらに、円筒状の可動軸42bの外径は、ナット42dの一辺の長さ(相対向する側面間の距離)と等しく、可動軸42bの周方向の四か所が外筒42aの内周面に摺接する。これにより、外筒42a内を摺動する可動軸42bが外筒42a内で傾くのを防止できる。
【0030】
さらに、互いに摺接する外筒42aの内周形状とナット42dの外周形状が共に非真円形状である。このため、可動軸42bは、そのナット42dによって外筒42aに対する周方向の回転が阻止(回り止め)される。
【0031】
また、図4図5に示すように、可動軸42bは、外筒42aの下端開口から外筒42a内へ挿入されて、下端を外筒42aから下方へ突出させている。固定挟持片41bに形成された挿通孔41eは、可動軸42bの挿通を許容可能な大きさであり、操作部42を本体部41に組み付ける際に挿通孔41eを通じて可動軸42bを外筒42a内へ挿入できる。これにより、可動軸42bの軸方向長さが支持片41aと固定挟持片41bとの間隔より長くても、支持片41aに固定された外筒42a内へ可動軸42bを挿通できる。また、外筒42a外へ突出する可動軸42bの下端には、可動挟持片44が溶接される。
【0032】
上記構成によれば、ボルト42eを締め付け方向へ回転すると、送り螺子によって可動軸42bがナット42dとともに送り出されて外筒42aから退出し、可動挟持片44が固定挟持片41bに接近する。また、ボルト42eを逆方向へ回転すると、可動軸42bがナット42dとともに引き戻されて外筒42a内へ侵入し、可動挟持片44が固定挟持片41bから離間する。このように、本実施の形態では、操作部42は、送り螺子機構により可動軸42bを外筒42aに出入りさせて、可動挟持片44を固定挟持片41bに対して遠近させられる。
【0033】
したがって、可動挟持片44と固定挟持片41bの間にH鋼2を配置した状態で、ボルト42eを締め付け方向に回転させると、可動軸42bが下方向に移動して、H鋼2が可動挟持片44と固定挟持片41bによって挟持されるので、固定具40は、縦支柱4をH鋼2に固定できる。また、縦支柱4をH鋼2から取り外す場合には、ボルト42eを反対方向に回転させればよい。
【0034】
つづいて、可動挟持片44は、一枚の四角状のステンレス鋼で形成されており、可動軸42bの下端に接合される平板部44aと、平板部44aの左右端から下方側へ向けて折れ曲がる折曲部44bとを備えている。
【0035】
ここで、例えば、従来の特開2018-087450号公報に記載の支柱装置では、可動挟持片が下向きに開口するお椀型の皿を有し、その内側にばね等を収容している。このため、その収容スペースを確保しつつ曲げ強度を高めるために皿を厚くしたのでは、固定具が大型化してしまう。
【0036】
そこで、可動挟持片44の曲げ強度を高めつつ、固定具40の大型化を抑制するために、可動挟持片44を一枚の平板とすることが考えられる。このようにすると、平板状の可動挟持片44は、下面が平らで可動挟持片44の下側には従来のようなばね等の収容スペースが設けられていない。このため、その収容スペースの分を可動挟持片44の厚みにできるので、可動挟持片44の板厚を厚くしても固定具40の大型化を防止できる。
【0037】
ところが、可動挟持片44は、可動軸42bに溶接によって連結されているため、溶接歪みによって、可動挟持片44におけるH鋼2と当接する当接面に凸部が生じてしまう場合がある。その場合、可動挟持片44は、当該凸部の一個所でH鋼2に当接することになる。すると、縦支柱4に左方向又は右方向の回転モーメントが作用した場合、可動挟持片44がH鋼2に対して凸部の一個所のみで当接することになるため、固定具40が滑ってH鋼2から外れてしまう恐れがある。
【0038】
これに対して、本実施の形態の可動挟持片44は、平板部44aの左右端から下方側へ向けて折れ曲る折曲部44bを備えているため、可動挟持片44がH鋼2に対して少なくとも二個所で当接する。そのため、可動挟持片44を単に一枚の平板とする場合に比べて、縦支柱4に左方向又は右方向の回転モーメントが作用する場合であっても、固定具40が滑ってH鋼2から外れるのを防止できる。
【0039】
さらに、本実施の形態の可動挟持片44の下側にも、従来のようなばね等の収容スペースは設けられていない。このため、その収容スペースの分を可動挟持片44の厚みにできるので、可動挟持片44の板厚を厚くしても固定具40の大型化を防止できる。加えて、本実施の形態の可動挟持片44は、従来のお椀型の可動挟持片に比べて、丈が短いので、可動挟持片44の板厚を厚くしても固定具40の大型化を防止できる。
【0040】
また、本実施の形態では、作業者が通路等から落下して手摺6に作業者の体重が作用することで手摺6が折れ曲るなどして縦支柱4に手摺6の延長方向の図10中左方向または右方向の回転モーメントが作用する場合がある。この場合、固定具40が縦支柱4とともに左又は右へ傾こうとして、可動挟持片44に曲げ力が負荷されるが、本実施の形態では、可動挟持片44の肉厚を厚くして曲げ強度(剛性)を高くしているので、その負荷によって可動挟持片44が大きく変形するのが防止され、縦支柱4の傾きが抑制される。
【0041】
また、作業者が通路等から落下した場合、縦支柱4には、左方向又は右方向の回転モーメントの他、後方向の回転モーメントも作用する。そして、縦支柱4に後方向の回転モーメントが作用した場合、可動挟持片44の後側に荷重が集中するので、可動挟持片44に対しては、可動挟持片44の前側を後側に対して折り曲げようとする力が作用する。これに対し、本実施の形態の可動挟持片44の折曲部44bは、平板部44aの左右端、すなわち、平板部44aにおける手摺6の延長方向で対向する一組の側端部を下方側へ折り曲げて形成されているので、縦支柱4に後方向の回転モーメントが作用した場合における、可動挟持片44の前側を折り曲げようとする力に対する曲げ強度が特に高い。したがって、本実施の形態の可動挟持片44によれば、縦支柱4に後方向の回転モーメントが作用しても、可動挟持片44が大きく変形するのが防止され、縦支柱4の傾きが抑制される。
【0042】
以上より、本実施の形態の固定具40では、固定具40の大型化を防止しつつ、縦支柱4に回転モーメントが作用した場合の縦支柱4の傾きを抑制できる上、縦支柱4に左方向又は右方向の回転モーメントが作用する場合であっても、固定具40が滑ってH鋼2から外れるのを防止できる。
【0043】
戻って、手摺保持部材5Aは、図2に示すように、縦支柱4の上端に設けられている。この手摺保持部材5Aは、図2図3図6に示すように、開口側が建物側を向くように縦支柱4に連結される断面C字状のソケット51と、ソケット51内に挿入可能な楔52と、楔52をソケット51に対してスライド自在に連結するとともに楔52をソケット51に押し付ける抜け止め機構Aとを備える。
【0044】
具体的には、ソケット51は、上下に対向して配置される上壁部51a及び下壁部51bと、上壁部51aと下壁部51bの一端同士を接続する側壁部51cと、上壁部51aの他端を内向きに折曲げて形成された上側ガイド壁部51dと、下壁部51bの他端を内向きに折曲げて形成された下側ガイド壁部51eとを有する。上壁部51aは、縦支柱4に対して水平で、かつ、左右方向に沿って配置されており、下壁部51bは、上壁部51aに対して図6中右斜め下方向に傾斜している。そして、側壁部51cには、建物側から見て左右に並べて配置される一対の取付孔51f,51fが設けられている。
【0045】
楔52は、図2図6に示すように、ソケット51の下壁部51bに沿うように傾斜する底板部52aと、底板部52aの各側方側端部からそれぞれ垂直に起立する側方板部52b,52bと、各側方板部52bの反底板部側端部から内向きに垂直に突出しソケット51の上壁部51aと正対する突出板部52cを有して断面C字状に形成される楔本体52Aを備える。そして、この楔本体52Aの基端である図6中右端には、楔本体52Aの右側開口を塞ぐ平板状の閉塞板52Bが設けられている。
【0046】
また、抜け止め機構Aは、図6に示すように、楔52の底板部52aに形成され楔52の挿入方向に沿って形成される長孔52dと、ソケット51の下壁部51bを貫通して内部に突出し楔52の長孔52dに挿入されるボルト軸53と、ボルト軸53の外周に装着されるコイルスプリング54と、ボルト軸53の外周とコイルスプリング54の内側との間に装着される筒状のスペーサ55と、ボルト軸53の端部に螺合されコイルスプリング54に圧縮荷重を付与するナット56とを備える。さらに、コイルスプリング54及びスペーサ55とナット56との間には、上側ワッシャ57が介装されている。他方、コイルスプリング54及びスペーサ55と底板部52aの間には、下側ワッシャ58が介装されている。
【0047】
次に、抜け止め機構Aの組み立て手順を説明する。まず、ボルト軸53を楔52の長孔52dに挿入する。その後、ボルト軸53に対して下側ワッシャ58、スペーサ55、コイルスプリング54、上側ワッシャ57をこの順で装着する。そして、ナット56をスペーサ55が上側ワッシャ57と下側ワッシャ58に挟持されるまで締め付ける。最後にナット56を半回転程度緩めて、ナット56の締め付け荷重がスペーサ55を介して楔52の底板部52aに作用しないようにする。すると、楔52の底板部52aには、コイルスプリング54の付勢力のみが作用するので、楔52は、コイルスプリング54によってソケット51の下壁部51bに押し付けられつつ、ソケット51内を左右方向へスライド移動できる。
【0048】
以上より、抜け止め機構Aは、楔52をソケット51内にスライド自在に連結するとともに、楔52をソケット51に押し付けて、楔52とソケット51との間に大きな摩擦力を生じさせているので、楔52のソケット51に対するスライド移動を抑制できる。
【0049】
なお、図6に示す本実施の形態では、スペーサ55は各ワッシャ57,58を介してナット56と楔52の底板部52aの間に介装されているが、図7に示すように、下側ワッシャ58の内径をスペーサ55を挿入可能な大きさにし、スペーサ55を下側ワッシャ58の内周に挿入して、スペーサ55をナット56とボルト軸の53のボルトヘッドとの間に介装するようにしてもよい。あるいは、図示しないが、スペーサ55をナット56とソケット51の下壁部51bとの間に介装するようにしてもよい。このようにすると、ナット56を締め付けた際に、ナット56の締め付け荷重が楔52の底板部52aに作用しないので、ナット56を締め付け後に半回転程度緩める作業を省略できる。
【0050】
手摺6は、図1に示すように、断面四角状のパイプ材からなる複数の棒材6aと、隣接する棒材6aの互いに対向する端部同士を連結する手摺連結部材9とを備える。棒材6aの各端部の下壁には、図8に示すように、それぞれ挿通孔6bが形成されている。また、図1に示すように、棒材6aには、H鋼2の延長方向に沿って延びる直線状のものや、通路等のコーナー等の部分に合わせて湾曲する形状のものがある。そのため、これらの棒材6a,6aを組み合わせることで、図1に示すように、手摺6を通路等の進行方向に沿うように配置することができる。
【0051】
そして、手摺保持部材51Aに手摺6を保持させる際には、ソケット51内に手摺6を挿入した状態で、楔52の閉塞板52eをハンマー等の工具で叩いて楔52をソケット51の下壁部51bと手摺6の間に打ち込む。すると、ソケット51の上壁部51aと楔52との間に手摺6が挟持されるので、手摺保持部材51Aは手摺6を保持できる。さらに、楔52は、コイルスプリング54の付勢力によって常にソケット51に押し付けられているため、楔52とソケット51の間に生じる摩擦力が大きくなる。そのため、抜け止め機構Aは、ソケット51と手摺6の間に圧入された楔52が、振動などによって緩んで楔52が抜けてしまうのを確実に防止できる。
【0052】
また、コイルスプリング54の付勢力は、ナット56の締め付け量によって決定されるところ、本実施の形態では、ボルト軸53の外周に筒状のスペーサ55を設けているため、ナット56を上側ワッシャ57を介してスペーサ55に当接するまで締め付ければ、ナット56の締め付け量が常に一定になる。そのため、コイルスプリング54の付勢力にバラつきが生じない。なお、本実施の形態では、ナット56を締め付け後に半回転程度緩めているが、半回転程度しか緩めていないので、コイルスプリング54の付勢力にはほとんどバラつきが生じない。
【0053】
なお、スペーサ55は、コイルスプリング54の外周に設けられてもよいが、コイルスプリング54の内周に設けられると、スペーサ55の径を小さくできる。また、各ワッシャ57,58の一方又は両方を省略して、コイルスプリング54をナット56と楔52の間に直接介装させてもよい。ただし、上側ワッシャ57をコイルスプリング54とナット56の間に介装させた場合、コイルスプリング54が弾発力を発揮する際に生じる回転力が上側ワッシャ57に作用するので、この回転力がナット56に作用するのを防止して、ナット56が緩むのを防止できる。また、下側ワッシャ58をコイルスプリング54と底板部52aに介装させた場合、コイルスプリング54が底板部52aに食い込んでしまうのを防止できる。
【0054】
また、本実施の形態の手摺保持部材5Aのソケット51には、左右に並べて配置される一対の取付孔51f,51fが設けられている。これらの取付孔51fに図示しないシャックルを装着し、各端部に図示しないシンブルが設けられた親綱ロープを当該シンブルを介して前記シャックルに取付ける。このようにすると、手摺保持部材5Aは、隣り合う支柱装置S,S間に手摺6に替えて親綱ロープを架け渡すこともできる。
【0055】
なお、本実施の形態では、図2図3に示すように、縦支柱4の中間にも手摺保持部材5Bが設けられている。この手摺保持部材5Bの構成は、取付孔51fを有していない点を除き、縦支柱4の上端に設けられた手摺保持部材5Aと同一の構成であるため、説明を省略する。また、縦支柱4に設けられる手摺保持部材5A,5Bの数は適宜決定されればよく、縦支柱4の中間に配置される手摺保持部材5Bは省略されてもよい。
【0056】
手摺連結部材9は、図8(A),(B)に示すように、棒材6aを挿入可能な筒体11と、筒体11の軸方向に沿って設けられる一対の開口孔11a,11aと、各開口孔11aにそれぞれ出入自在に挿入されるストップピンとしてのピンロッド12と、各ピンロッド12をそれぞれ挿入方向に付勢するばね部材としてのコイルスプリング13を有する。
【0057】
具体的には、図8(A),(B)に示すように、筒体11は、断面四角状のパイプ材であって、棒材6aを摺動自在に挿入できるように形成されている。また、一対の開口孔11a,11aは、筒体11の下壁11bに設けられている。さらに、筒体11の中央には、筒体11の内部を外から覗くことができる窓11cが設けられている。
【0058】
筒体11には、図8(A),(B)に示すように、筒体11の外周から垂直に起立して開口孔11aを挟んで対向する一対の垂直片14a,14aと、各垂直片14a,14aの端部同士を接続する接続片14bとを有しピンロッド12を保持するケース14が、開口孔11a毎に設けられている。また、ケース14の接続片14bには、開口孔11aと対向する位置にピン孔14cが設けられている。さらに、図8(B)に示すように、各垂直片14aは、それぞれ、一端側から切り欠かれてピンロッド12の軸方向に直交する凹溝14dを備えている。つまり、凹溝14dは、各垂直片14aに対してピンロッド12の軸を中心として点対称となる位置に形成されている。
【0059】
また、ピンロッド12は、図8(A)に示すように、ケース14に設けられたピン孔14cと筒体11に設けられた開口孔11aに先端部が出入自在に挿入されるピン本体12aと、ピン本体12aを径方向に貫通する軸状のストッパ12bと、ピン本体12aの基端に設けられる持手としてのリング12cとを有する。そして、ピンロッド12を軸回りに回転させて、ストッパ12bをケース14の凹溝14dに引っ掛けると、ピンロッド12は開口孔11aに挿入されない位置で固定される。
【0060】
さらに、コイルスプリング13は、ピンロッド12のストッパ12bとケース14の接続片14bとの間に介装されており、ピンロッド12を開口孔11aへ挿入する方向に付勢している。
【0061】
次に、この手摺連結部材9によって、隣接する棒材6a,6aの端部同士を連結する手順について説明する。まず、筒体11の両側から各棒材6a,6aをそれぞれ挿入し、窓11cを通じて各棒材6a,6aの位置を目視で確認しながら、各棒材6a,6aの端部を筒体11の中央位置で対向させるとともに各棒材6aの挿通孔6bと筒体11の開口孔11aを対向させる。ここで、棒材6aの挿通孔6bは、棒材6aの端部が筒体11の中央付近まで挿入された際に、筒体11の開口孔11aに対向するように設けられている。本実施の形態では、筒体11の中央に内部を覗ける窓11cが設けられているので、棒材6aが筒体11に対してどの程度挿入されているかを視認できる。そのため、棒材6aの挿通孔6bと筒体11の開口孔11aを容易に対向させることができる。
【0062】
次に、ピンロッド12を軸回りに回転させてストッパ12bをケース14の凹溝14dから外す。そして、各棒材6aの挿通孔6bと筒体11の各開口孔11aを対向させた状態で、各ピンロッド12のピン本体12aを挿通孔6bと開口孔11aに挿入すると、隣接する各棒材6a,6aの端部がそれぞれ筒体11に固定されるため、隣接する各棒材6aの端部同士が、筒体11を介して連結される。
【0063】
また、この際、コイルスプリング13がストッパ12bを筒体11の外周に押し付けるようにして、ピンロッド12を挿入方向に付勢しているため、ピンロッド12は、挿通孔6bと開口孔11aから抜けない(図8(A)中右側のピンロッド12を参照)。
【0064】
反対に、隣接する各棒材6a,6aの端部同士の連結を解除する場合には、リング12cを掴んでコイルスプリング13の付勢力に抗してピンロッド12を引き抜くとともに、ピンロッド12を軸回りに回転させて、ピンロッド12のストッパ12bをケース14に設けられた凹溝14dに引っ掛けてピンロッド12を固定する。すると、ケース14は、ピンロッド12を挿通孔6bと開口孔11aから抜いた状態で、保持することができる(図8(A)中左側のピンロッド12を参照)。
【0065】
なお、図8に示す手摺連結部材9の構成は、一例であって、上記構成には限定されない。例えば、他の実施の形態として、手摺連結部材9Aが、図9(A),(B)に示すように、筒体11の下壁11bにおける各開口孔11a,11a間に設けられ筒体11の延長方向に対して直角に交差する方向に延びる支持軸15と、支持軸15を保持する第一ブラケット16と、当該支持軸15に巻き付けられて固定されるコイル部17aとコイル部17aの両端部からそれぞれ延びるアーム部17bとを有するばね部材としてのねじりコイルばね17と、各アーム部17bに固定されるとともに、ねじりコイルばね17によって付勢されて筒体11の開口孔11aに挿入されるストップピンとしての第一ピン部材18を有して構成されてもよい。
【0066】
この手摺連結部材9Aによって、隣接する棒材6a,6aの端部同士を連結する手順について説明する。まず、図9(A)に破線で示すように、第一ピン部材18をねじりコイルばね17の付勢力に抗して開口孔11aから引き抜いた状態で、筒体11に棒材6aを挿入する。そして、第一ピン部材18の先端を筒体11の外周に接触させながら、棒材6aを筒体11に挿入していくと、挿通孔6bと開口孔11aが対向した時に、第一ピン部材18がねじりコイルばね17の付勢力によって自動的に挿通孔6bに挿入されるので、隣接する棒材6a,6aの端部同士が、筒体11を介して連結される。
【0067】
また、さらに他の実施の形態として、手摺連結部材9Bが、図10(A),(B)に示すように、筒体11の下壁11bにおける各開口孔11a,11a間に設けられる第二ブラケット19と、第二ブラケット19に保持される面視で台形状のばね本体20aと、ばね本体20aの両端部から筒体11の軸方向に沿って延びる支持部20bとを有するばね部材としての板ばね20と、支持部20bに固定されるとともに板ばね20によって付勢されて筒体11の開口孔11aに挿入されるストップピンとしての第二ピン部材21を有して構成されてもよい。
【0068】
この手摺連結部材9Bによって、隣接する棒材6a,6aの端部同士を連結する手順は、図9に示す他の実施の形態の手摺連結部材9Aと同様の手順である。
【0069】
つづいて、本実施の形態のスライダ装置1について、詳細に説明する。本実施の形態のスライダ装置1は、各縦支柱4の上端に設けられた手摺保持部材5A,5A間に架け渡された手摺6の延長方向に沿って移動自在に装着されるものである。このスライダ装置1は、図11図12に示すように、手摺6を抱持しつつ手摺6の延長方向へ移動可能なスライダ本体7と、スライダ本体7に手摺の延長方向で離間して設けられ手摺6の側面を挟むとともに手摺6の側面を走行可能な二組みの対をなすローラR1,R2とを備える。
【0070】
具体的には、スライダ本体7は、図11図12に示すように、手摺6の延長方向に沿って延び手摺6の横幅よりも幅広の上壁部7aと、上壁部7aの各側端からそれぞれ下向きに垂直に延びる一対の側壁部7b,7cと、各側壁部7b,7cの下端から互いに内向きに突出する一対の突出部7d,7dとを有して断面C字状に形成されている。また、各突出部7d,7d間の距離は、手摺6の横幅よりも短くなるように設定されているため、スライダ装置1が、手摺6から脱落しない。さらに、各突出部7d,7d間の距離は、図12に示すように、縦支柱4の上端の幅よりも長くなっている。これにより、スライダ装置1が、手摺6における縦支柱4の上を走行する際に、突出部7d、7d間のスペースを縦支柱4が通過する。そのため、スライダ装置1が、手摺6における縦支柱4の上を走行することができる。なお、スライダ本体7の形状は上記形状には限定されず、手摺6を抱持できるとともに手摺6における縦支柱4の上を走行可能となっていればよい。
【0071】
また、図11図12に示すように、スライダ本体7の上壁部7aにおけるスライダ装置1の走行方向に対して前後には、それぞれ切欠き(図示せず)と、当該切欠き内に挿入されて手摺6の上面を走行可能な上部ローラR3と、この上部ローラR3を回転自在に保持する上部ローラ用ブラケット22が設けられている。
【0072】
スライダ本体7の一方側壁部7bと他方側壁部7cには、図12に示すように、互いに対向する開口部7e,7fが、スライダ本体7の前後方向に沿って2つずつ設けられている。また、スライダ本体7の一方側壁部7bと他方側壁部7cの前端と後端には、図11に示すように、互いに外向きに離間するよう傾斜して延びる一対のガイド板部7g,7hが設けられている。ガイド板部7g,7hは、例えば、隣り合う手摺6,6同士が手摺連結部材9で連結されておらず建物側から見て前後にずれていたとしても、スライダ本体7が、手摺6から隣の手摺6へ移る際にスライダ本体7を案内して円滑に手摺6,6間の移動を実現する。そして、図11図12に示すように、スライダ本体7の一方側壁部7bには、それぞれ、各開口部7eを通じて手摺6の一方の側面を走行可能な固定ローラR1と、固定ローラR1を回転自在に保持する固定ローラ用ブラケット23が設けられている。また、スライダ本体7の一方側壁部7bの固定ローラR1,R1間には、命綱を取付け可能な命綱取付け部24が設けられている。
【0073】
他方、図11図12に示すように、スライダ本体7の他方側壁部7cには、それぞれ、各開口部7fを通じて手摺6の他方の側面を走行可能な可動ローラR2と、可動ローラR2を手摺6に対して遠近可能に支持する可動ローラ用ブラケット25が1つずつ設けられて合計2つ設けられている。可動ローラ用ブラケット25は、スライダ本体7の他方側壁部7cにおける開口部7fの上下から垂直に起立し互いに対向する長孔26e,26fを有する上板部26a及び下板部26bと、各板部26a,26bの端部同士を接続するとともに開口孔26dを有する底板部26cとを有するスプリングケース26を備える。さらに、可動ローラ用ブラケット25は、スプリングケース26内に摺動可能に装着されるとともに可動ローラR2を回転自在に保持する可動ブラケット28と、可動ブラケット28に連結されるとともにスプリングケース26の開口孔26dに挿通されるロッド27を備える。加えて、可動ローラ用ブラケット25は、ロッド27の外周に装着されるとともにスプリングケース26の底板部26cと可動ブラケット28の間に介装されて可動ブラケット28を介して可動ローラR2を手摺6に向けて付勢する付勢部材としてのコイルスプリング29を備える。
【0074】
具体的には、可動ブラケット28は、図12に示すように、上下に対向する一対の平板部28a,28aと、各平板部28aの一端同士を接続する接続板部28bとを有して断面C字状に形成されており、スプリングケース26内に摺動自在に挿入されている。また、対向する平板部28a,28a間には、可動ローラR2を回転自在に支持する回転軸28cが架け渡されている。さらに、可動ブラケット28の接続板部28bには、ロッド27の一端が溶接により連結されている。
【0075】
ロッド27の基端には、開口孔26dの径よりも外径が大きいストッパリング30が設けられており、可動ブラケット28がスプリングケース26から脱落することなくスプリングケース26内を移動できるようになっている。なお、ストッパリング30は、図10に示すように、ロッド27の基端にねじ溝を設けて当該ねじ溝に螺合されて設けられてもよい。あるいは、図示しないが、ストッパリング30は、ロッド27の基端に溶接されて設けられてもよい。
【0076】
また、可動ブラケット28の平板部28a,28aは、スプリングケース26の上板部26a及び下板部26bにそれぞれ摺接しているため、可動ブラケット28がスプリングケース26内を移動する際に、可動ブラケット28は周方向に回転しないように回り止めがされる。
【0077】
さらに、本実施の形態では、図12に示すように、可動ブラケット28の平板部28a,28a間に架け渡された回転軸28cは、両平板部28a,28aを貫通するボルト28dと、ボルト28dの先端に螺合されてボルト28dを平板部28aに固定するナット28eとで構成されており、回転軸28cが平板部28aから図中上下に突出し、スプリングケース26に設けられた長孔26e,26fを通してスプリングケース26の外へ突出している。ここで、スプリングケース26の上板部26aと下板部26bに設けられた長孔26e,26fは、可動ブラケット28の移動方向に沿って設けられており、可動ブラケット28の移動が許容される範囲で、回転軸28cに干渉しない程度の長さをもっている。
【0078】
これにより、可動ブラケット28は、回転軸28cがスプリングケース26に干渉しないので、スプリングケース26内を図中左右に平行移動できる。ただし、回転軸28cが平板部28aから突出しない場合には、長孔26e,26fは、省略されてもよい。
【0079】
以上より、本実施の形態のスライダ装置1は、手摺6の上面を走行可能な2つの上部ローラR3と、手摺6の一方の側面を走行可能な2つの固定ローラR1と、これらの固定ローラR1とともに手摺6を挟んで手摺6の他方の側面を走行可能な2つの可動ローラR2とを備える。そして、スライダ装置1は、これらのローラR1,R2,R3によって手摺6の外周を走行させることで、手摺6の延長方向に沿って移動できるようになっている。
【0080】
さらに、可動ローラR2は、可動ローラ用ブラケット25によって、手摺6に対して遠近可能に支持されるとともに、コイルスプリング29によって手摺6側に付勢されている。そのため、スライダ装置1が、手摺6のカーブしている部分や、手摺保持部材5Aや手摺連結部材9の凹凸している部分といったスライダ装置1の円滑な走行を妨げる部分を通過する際には、可動ローラR2が円滑な走行を妨げる部分の形状に応じて遠近する。したがって、本実施の形態のスライダ装置1は、手摺6のカーブをしている部分を走行する際には、カーブに沿って移動でき、手摺保持部材5Aや手摺連結部材9などの障害物がある部分を通過する際には、障害物を乗り越えて移動できる。その上、本実施の形態のスライダ装置1では、各可動ローラR2がそれぞれコイルスプリング29によって付勢されているので、固定ローラR1と可動ローラR2で手摺6をしっかりと挟持できる。なお、本実施の形態の可動ローラ用ブラケット25の構成は、一例であって、この構成には限定されない。
【0081】
上述したように、本実施の形態の支柱装置Sでは、固定具40は、所定の間隔をあけて向い合せに配置される支持片41a及び固定挟持片41bと、支持片41aの一端と固定挟持片41bの一端を連結する連結片41cとを有し縦支柱4が固定される本体部41と、支持片41aと固定挟持片41bの間に配置されて固定挟持片41bとの間に被取付部材を挟持可能な可動挟持片44と、支持片41aに固定される外筒42aと、外筒42aに回り止めされつつ外筒42a内に軸方向へ移動可能に挿入されて先端に可動挟持片44が連結される可動軸42bとを有し、可動軸42bを外筒42aに出入りさせることで可動挟持片44を固定挟持片41bに遠近させる操作部42とを有し、可動挟持片44は、可動軸42bの先端に接合される一枚板状の平板部44aと、平板部44aにおける対向する一組の側端部をそれぞれ固定挟持片41b側に向けて折り曲げて形成された折曲部44bとを有している。
【0082】
この構成によると、可動挟持片44の下側に、従来のようなばね等の収容スペースが設けられないため、その収容スペースの分を可動挟持片44の厚みにできるので、可動挟持片44の板厚を厚くしても固定具40の大型化を防止できる。加えて、従来のお椀型の可動挟持片に比べて可動挟持片44の丈が短くなるので、可動挟持片44の板厚を厚くしたとしても固定具40の大型化を防止できる。そして、本実施の形態の支柱装置Sによれば、固定具40を大型化させることなく可動挟持片44の板厚を充分に厚くしてその強度を高められるので、縦支柱4に大きなモーメントが作用しても、可動挟持片44が大きく変形して縦支柱4の傾きが大きくなるのを防止できる。
【0083】
さらに、本実施の形態の可動挟持片44は、平板部44aにおける一組の側端部を折り曲げて形成された折曲部44bを有しているため、可動挟持片44がH鋼2に対して少なくとも二個所で当接するようになっている。そのため、可動挟持片44を単に一枚の平板とする場合に比べて、縦支柱4に手摺6に建物側から見て右方向又は左方向の回転モーメントが作用した場合であっても、固定具40が滑ってH鋼から外れるのが防止される。
【0084】
つまり、本実施の形態の支柱装置Sによれば、固定具40の大型化を防止しつつ、縦支柱4に回転モーメントが作用した場合の縦支柱4の傾きを抑制できる上、縦支柱4に左方向又は右方向の回転モーメントが作用する場合であっても、固定具40が滑ってH鋼2から外れるのを防止できる。
【0085】
また、本実施の形態の手摺装置10は、被取付部材であるH鋼2に並んで起立する複数の支柱装置Sと、隣り合う支柱装置Sの縦支柱4,4間に架け渡される手摺6とを備え、折曲部44bは、平板部44aにおける手摺6の延長方向で対向する一組の側端部を折り曲げて形成されている。
【0086】
この構成によると、縦支柱4に手摺6の延長方向の回転モーメントが作用し、固定具40が縦支柱4とともに傾こうとして、可動挟持片44に曲げ力が負荷される際に、各折曲部44bがそれぞれH鋼に対して線で接触するため、接触面積が大きくなって、よりH鋼2から外れにくくなる。ただし、折曲部44bは、手摺6の延長方向に直交する方向で対向する平板部44aの一組の側端部を折り曲げて形成されてもよい。この場合であっても、可動挟持片44がH鋼2に対して二個所で当接するため、本実施の形態と同様の効果は発揮される。
【0087】
本実施の形態の可動挟持片44では、折曲部44が、手摺6の延長方向で対向しているので、可動挟持片44は、縦支柱4に後方向の回転モーメントが作用する場合における、可動挟持片44の前側を折り曲げようとする力に対する曲げ強度が高い。そのため、縦支柱4に後方向の回転モーメントが作用しても、可動挟持片44が大きく変形するのが防止され、縦支柱4の傾きが抑制される。
【0088】
なお、本実施の形態では、平板部44aにおける一組の側端部のみを折り曲げて平板部44aの二辺のみに折曲部44bを設けているが、平板部44aの他の側端部を折り曲げて、平板部44aの四辺全てに折曲部44bを設けてもよいし、あるいは平板部44aの三辺に折曲部44bを設けるようにしてもよい。このようにすると、可動挟持片44が、H鋼2に対して3個所以上で当接するようになるので、固定具40が滑ってH鋼2から外れるのをより防止できる。
【0089】
なお、H鋼2に当接する個所を増加させるために、平板部44aの当接面にリブを溶接することも考えられるが、縦支柱4に手摺6の延長方向の回転モーメントが作用し、可動挟持片44に曲げ力が負荷される際に、リブに力が集中するため、リブが平板部44aから外れてしまう恐れがある。これに対して、本実施の形態の折曲部44bは、平板部44aと一体成型されているため、そのような心配はない。
【0090】
また、本実施の形態では、可動挟持片44がステンレス鋼で形成されていて、曲げに対する強度が高い。このため、可動挟持片44に曲げ力が作用しても、可動挟持片44が破損するのを防止できる。ただし、可動挟持片44の曲げに対する強度が確保されていれば、可動挟持片44の材質はステンレス鋼に限らず適宜変更できる。
【0091】
また、本実施の形態のスライダ装置1は、手摺6を抱持しつつ手摺6の延長方向へ移動可能なスライダ本体7と、スライダ本体7に手摺6の延長方向で離間する二個所に設けられ手摺6の側面を挟むとともに手摺6の側面を走行可能な二組みの対をなすローラR1,R2とを備え、手摺6を挟んで対向するローラのうち一方は、スライダ本体7に対して固定される固定ローラR1とされ、手摺6を挟んで対向するローラのうち他方は、手摺6に対して遠近可能に支持される可動ローラR2とされており、可動ローラR2は、それぞれ、付勢部材としてのコイルスプリング29によって手摺6に向けて付勢されている。
【0092】
この構成によると、可動ローラR2は、スライダ本体7に手摺6に対して遠近可能に支持されるとともに、コイルスプリング29によって手摺6側に付勢されているため、スライダ装置1が、手摺6のカーブしている部分や、手摺保持部材5Aや手摺連結部材9などの凹凸している部分といったスライダ装置1の円滑な走行を妨げる部分を通過する際に、可動ローラR2が円滑な走行を妨げる部分の形状に応じて遠近する。したがって、スライダ装置1は、手摺6の走行を妨げる部分の形状についても通過できる。
【0093】
さらに、本発明では、各可動ローラR2がそれぞれコイルスプリング29によって手摺6側に付勢されており、可動ローラR2の手摺6に対する追従性が高くなるので、スライダ装置1が手摺6上を移動する際に、可動ローラR2と手摺6の間に隙間ができてガタつきが生じてしまうのを防止できる。
【0094】
なお、本実施の形態では、スライダ本体7には、手摺6の側面を挟んで対をなすローラ(固定ローラR1及び可動ローラR2)が、二組み設けられているが、三組み以上設けられてもよい。また、本実施の形態では、スライダ本体7の図11中右側に配置されるローラを固定ローラR1とし、スライダ本体7の図11中左側に配置されるローラを可動ローラR2としているが、固定ローラR1と可動ローラR2は入れ替えて配置されてもよいし、固定ローラR1と可動ローラR2が左右で互い違いに配置されてもよい。また、付勢部材は、コイルスプリング29には限定されず、可動ローラR2を手摺6に向けて付勢するものであれば、例えば、ゴムであってもよい。
【0095】
また、本実施の形態の手摺装置10は、被取付部材としてのH鋼2に取付けられて起立する複数の縦支柱4と、各縦支柱4にそれぞれ設けられる手摺保持部材5Aと、各手摺保持部材5Aに保持されて縦支柱4,4間に架け渡される手摺6と、手摺6の延長方向に沿って移動自在に装着されるスライダ装置1とを備えている。
【0096】
この構成によると、スライダ装置1が、手摺6の走行を妨げる部分の形状についても通過できるため、作業者は、命綱をスライダ装置1に取付けた状態で、通路等をスムーズに移動することができる。
【0097】
また、本実施の形態の手摺保持部材5A,5Bは、縦支柱4に連結され手摺6を挿入可能なソケット51と、ソケット51に挿入され手摺6をソケット51と共に挟持可能な楔52と、楔52をソケット51に対してスライド自在に連結するとともに楔52をソケット51に押し付ける抜け止め機構Aとを有し、抜け止め機構Aは、楔52に楔52の挿入方向に沿って形成される長孔52fと、ソケット51から内向きに突出して楔52の長孔52fに挿入されるボルト軸53と、ボルト軸53の外周に装着されるコイルスプリング54と、ボルト軸53の端部に螺合されコイルスプリング54に圧縮荷重を付与するナット56とを有している。
【0098】
この構成によると、楔52がコイルスプリング54によってソケット51に常に押し付けられるため、ソケット51と手摺6の間に楔52を挿入して手摺6を縦支柱4に連結した後に、楔52が抜けてしまうのを防止できる。なお、本実施の形態では、楔52は、ソケット51の下壁部51bと手摺6との間に圧入されていたが、楔52をソケット51の上壁部51aに沿うように設け、楔52をソケット51の上壁部51aと手摺6との間に圧入するようにしてもよい。
【0099】
また、本実施の形態では、ボルト軸53の外周にナット56の締め付け方向の移動を規制する筒状のスペーサ55が装着されている。この構成によると、ナット56をスペーサ55に当接するまで締め付ければ、ナット56の締め付け量が常に一定になるため、コイルスプリング54の付勢力にバラつきが生じない。なお、本実施の形態では、ナット56を締め付け後に半回転程度緩めているが、半回転程度しか緩めていないので、コイルスプリング54の付勢力にはほとんどバラつきが生じない。
【0100】
また、本実施の形態の手摺装置10では、手摺6は、手摺保持部材5A,5Bに保持されるとともに両端部にそれぞれ挿通孔6bが設けられた複数の棒材6a,6aと、隣接する各棒材6a,6aの互いに対向する端部同士を連結する手摺連結部材9とを有し、手摺連結部材9は、棒材6aを挿入可能な筒体11と、筒体11に軸方向に沿って設けられる一対の開口孔11aと、各開口孔11aにそれぞれ出入自在に挿入されるストップピン(ピンロッド12)と、各ストップピンをそれぞれ挿入方向に付勢するばね部材(コイルスプリング13)とを有し、筒体11に両側から隣接する棒材6aの端部をそれぞれ挿入し、各棒材6aの挿通孔6bと筒体11の各開口孔11aをそれぞれ対向させた状態で、各ストップピンが挿通孔6bと開口孔11aに挿入されることで隣接する棒材6a,6aの端部同士を連結している。
【0101】
この構成によると、棒材6aを筒体11に挿入して、棒材6aの挿通孔6bと筒体11の開口孔11aを対向させた状態で、ストップピンを挿通孔6bと開口孔11aに挿入するだけで、隣接する棒材6aの端部同士を容易に連結できる。また、手摺6を分解するときは、ストップピンをばね部材の付勢力に抗して引き抜くだけでよく、工具も必要としないので、操作性に優れ、作業性が向上する。さらに、この手摺連結部材9は、筒体11とストップピンとばね部材とを備えていればよいので、構造が簡単で、経済性に優れる。
【0102】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱なく改造、変形及び変更ができるのは当然である。
【符号の説明】
【0103】
1・・・スライダ装置、2・・・H鋼(被取付部材)、4・・・縦支柱、6・・・手摺、10・・・手摺装置、40・・・固定具、41・・・本体部、41a・・・支持片、41b・・・固定挟持片、41c・・・連結片、42・・・操作部、42a・・・外筒、42b・・・可動軸、44・・・可動挟持片、44a・・・平板部、44b・・・折曲部
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