(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】未晒再生クラフト紙の製造方法
(51)【国際特許分類】
D21H 11/04 20060101AFI20241028BHJP
D21C 5/02 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
D21H11/04
D21C5/02
(21)【出願番号】P 2020060855
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-03-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】中川 雅行
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 大介
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-300210(JP,A)
【文献】特開2000-336590(JP,A)
【文献】特開2019-211208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B 1/00- 1/38
D21C 1/00-11/14
D21H11/00-27/42
B02C 1/00- 7/18
15/00-17/24
B65D65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未晒再生クラフト紙を製造する方法であって、
古紙パルプを製造する古紙パルプ製造工程と、
上記古紙パルプ及び未晒クラフトパルプを含有する原料パルプ又は上記古紙パルプを含有する原料パルプを製造する原料パルプ製造工程と
を備え、
上記古紙パルプが重袋古紙パルプ、又は重袋古紙パルプ及び段ボール古紙パルプからなり、
上記重袋古紙パルプが、樹脂フィルムからなる内袋と、上記内袋を内包し、かつ未晒クラフトパルプを主成分とする外袋とを有する重袋を原料とし、
上記古紙パルプ製造工程が上記重袋古紙パルプを製造する重袋古紙パルプ製造工程を含み、
上記重袋古紙パルプ製造工程が、
上記重袋を破砕する第1破砕工程と、
上記第1破砕工程で破砕された破砕物のうちの紙成分を主成分とする破砕物を破砕処理する第2破砕工程と、
を有し、
上記原料パルプにおける
上記重袋古紙パルプの含有量が、10質量%以上100質量%以下であり、
かつ上記段ボール古紙パルプの含有量が30質量%以下、上記未晒クラフトパルプの含有量が60質量%以下であり、
上記未晒再生クラフト紙における硫酸バンドの含有量が、固形分で4.5kg/パルプt以上12.5kg/パルプtであり、内添サイズ剤の含有量が、固形分で2.5kg/パルプt以上15.0kg/パルプtであり、紙力増強剤の含有量が、固形分で1kg/パルプt以上5kg/パルプt以下である未晒再生クラフト紙の製造方法。
【請求項2】
上記
第2破砕工程
後に、上記第2破砕工程で破砕された破砕物をサイズごとに分別する分別工程をさらに備える請求項1に記載の未晒再生クラフト紙の製造方法。
【請求項3】
上記未晒再生クラフト紙におけるJIS-P8148(2001)に準拠して測定された白色度が
23%以下であり、525℃燃焼法における紙中灰分が1.0%以上
4.1%以下である請求項1又は請求項2に記載の未晒再生クラフト紙の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未晒再生クラフト紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クラフト紙は、木材をクラフト蒸解して得られるクラフトパルプを用いたものであり、引張強さ等の強度が優れているので、農産物、化学薬品、小麦粉、セメント等を充填して搬送するための包装袋として広く用いられている。また、強度が優れていることを生かして封筒にも用いられている。
【0003】
近年、木材資源の保護と経済性の観点から、古紙をパルプ原料として用いることが指向されているが、クラフト紙においても同様であり、古紙パルプの配合率が高められた古紙パルプ配合クラフト紙が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、再生紙の原材料となる古紙パルプとしては、茶系の古紙パルプとして段ボール古紙が広く知られている。しかしながら、段ボール古紙パルプは、雑誌、新聞系古紙パルプと異なり、再生紙の品質低下の要因となる粘着異物が多く、色味が安定しないという課題を有している。このような確保できる古紙パルプの品質上の観点から、再生クラフト紙は白色度の高い晒クラフト紙や、未晒クラフトパルプと白色度の高い古紙パルプとを混合させた薄茶色の半晒クラフト紙が流通されている。しかしながら、より環境負荷の低い包装紙として未晒タイプの再生クラフト紙の要求が高まっている。
【0006】
さらに、近年、クラフト包装袋の強度向上の観点から、樹脂フィルムがクラフト紙袋に内層された重袋が用いられている。しかしながら、重袋の再利用においては、上記重袋の内層の樹脂フィルムが製紙工程で種々の品質低下要因となることから、樹脂フィルムを分別する必要がある。一方、上記重袋のクラフト紙と樹脂フィルムの人手による分離は、人件費がかさみ、包装袋回収の費用対効果が低くなるおそれがある。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、重袋の再利用を図るとともに、未晒クラフト紙の色調及び風合いを有する未晒再生クラフト紙を製造可能な未晒再生クラフト紙の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、未晒再生クラフト紙を製造する方法であって、古紙パルプを製造する古紙パルプ製造工程と、上記古紙パルプ及び未晒クラフトパルプを含有する原料パルプ又は上記古紙パルプを含有する原料パルプを製造する原料パルプ製造工程とを備え、上記古紙パルプが重袋古紙パルプを含み、上記重袋古紙パルプが、樹脂フィルムからなる内袋と、上記内袋を内包し、かつ未晒クラフトパルプを主成分とする外袋とを有する重袋を原料とし、上記古紙パルプ製造工程が上記重袋古紙パルプを製造する重袋古紙パルプ製造工程を有し、上記重袋古紙パルプ製造工程が、上記重袋を破砕する第1破砕工程と、上記第1破砕工程で破砕された破砕物のうちの紙成分を主成分とする破砕物を破砕処理する第2破砕工程とを有する未晒再生クラフト紙の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の未晒再生クラフト紙の製造方法によれば、重袋の再利用を図るとともに、未晒クラフト紙の色調及び風合いを有する未晒再生クラフト紙を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る未晒再生クラフト紙の製造方法のフローの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0012】
本発明の一態様に係る未晒再生クラフト紙の製造方法は、未晒再生クラフト紙を製造する方法であって、古紙パルプを製造する古紙パルプ製造工程と、上記古紙パルプ及び未晒クラフトパルプを含有する原料パルプ又は上記古紙パルプを含有する原料パルプを製造する原料パルプ製造工程とを備え、上記古紙パルプが重袋古紙パルプを含み、上記重袋古紙パルプが、樹脂フィルムからなる内袋と、上記内袋を内包し、かつ未晒クラフトパルプを主成分とする外袋とを有する重袋を原料とし、上記古紙パルプ製造工程が上記重袋古紙パルプを製造する重袋古紙パルプ製造工程を有し、上記重袋古紙パルプ製造工程が、上記重袋を破砕する第1破砕工程と、上記第1破砕工程で破砕された破砕物のうちの紙成分を主成分とする破砕物を破砕処理する第2破砕工程とを有する。
【0013】
重袋は、事業所(工場、漁協等)単位で多量に排出され、一般市場に販売される形態でないことから、過度な印刷が施されておらず、重袋以外の古紙の混入がほぼ無く、灰分の混入も少ない。また、テープ類の混入も微量である。当該未晒再生クラフト紙の製造方法は、古紙パルプを製造する古紙パルプ製造工程と、上記古紙パルプ及び未晒クラフトパルプを含有する原料パルプ又は上記古紙パルプを含有する原料パルプを製造する原料パルプ製造工程とを備え、上記古紙パルプが樹脂フィルムからなる内袋と上記内袋を内包し、かつ未晒クラフトパルプを主成分とする外袋とを有する重袋を原料とする重袋古紙パルプを含むことで、均一で異物の少なく、従来にない外観(未晒クラフト紙に近い風合い)の未晒再生クラフト紙を製造できる。
また、上記古紙パルプ製造工程が上記重袋古紙パルプを製造する重袋古紙パルプ製造工程を有し、上記重袋古紙パルプ製造工程が、上記重袋を破砕する第1破砕工程と、上記第1破砕工程で破砕された破砕物のうちの紙成分を主成分とする破砕物を破砕処理する第2破砕工程とを有することで、樹脂フィルムからなる内袋と、未晒クラフトパルプを主成分とする外袋とを有する重袋を効率よく破砕できるので、重袋古紙パルプの生産効率の向上を図ることができる。従って当該未晒再生クラフト紙の製造方法によれば、重袋の再利用を図るとともに、未晒クラフト紙の色調及び風合いを有する未晒再生クラフト紙を製造できる。
【0014】
当該未晒再生クラフト紙の製造方法が、上記第2破砕工程後に、ハイパースペクトルカメラを用いて上記紙成分を主成分とする破砕物を識別する識別工程をさらに備えることが好ましい。当該未晒再生クラフト紙の製造方法が、上記第2破砕工程後に、上記識別工程をさらに備えることで、重袋古紙パルプ原料からクラフト紙とクラフト紙以外の禁忌品とを精度よく識別できる。
【0015】
当該未晒再生クラフト紙の製造方法が、上記識別工程の前に、上記第2破砕工程で破砕された破砕物をサイズごとに分別する分別工程をさらに備えることが好ましい。当該未晒再生クラフト紙の製造方法が、上記識別工程の前に、上記分別工程をさらに備えることで、次工程の識別工程により質の高い古紙原料を供することができる。
【0016】
上記古紙パルプが段ボール古紙パルプをさらに含み、上記古紙パルプ製造工程が上記段ボール古紙パルプを製造する段ボール古紙パルプ製造工程をさらに有し、上記未晒再生クラフト紙におけるJIS-P8148(2001)に準拠して測定された白色度が30%未満であり、525℃燃焼法における紙中灰分が1.0%以上12.5%以下であることが好ましい。古紙パルプとしては、重袋古紙パルプ以外に段ボール古紙パルプを用いてもよく、古紙パルプ製造工程は上記段ボール古紙パルプを製造する段ボール古紙パルプ製造工程を有していてもよい。段ボールは、段ボール古紙以外にも安価な古紙、灰分の多い古紙を中層に配合しているため、未晒クラフト古紙パルプと比較して灰分が多く、白色度が高い。そのため、段ボール古紙パルプを添加すると未晒再生クラフト紙の品質低下に影響を及ぼすものの、コストメリット及び古紙の集荷安定性が高いことから、未晒再生クラフト紙の要求品質に応じて任意に配合すると最も経済的である。また、未晒再生クラフト紙の上記白色度及び上記紙中灰分が上記範囲であることで、未晒クラフト紙の外観及び風合いをより醸し出すことができる。
【0017】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の一実施形態に係る未晒再生クラフト紙の製造方法について詳説する。
【0018】
<未晒再生クラフト紙の製造方法>
当該未晒再生クラフト紙の製造方法は、未晒再生クラフト紙を製造する方法である。当該未晒再生クラフト紙の製造方法は、古紙パルプを製造する古紙パルプ製造工程と、原料パルプを製造する原料パルプ製造工程とを備える。また、当該未晒再生クラフト紙の製造方法は、通常、さらに原料パルプを抄紙する抄紙工程、乾燥工程、巻取工程等を備えることが好ましい。
【0019】
[古紙パルプ製造工程]
古紙パルプ製造工程では、古紙パルプを製造する。上記古紙パルプは、重袋古紙パルプを含み、古紙パルプ製造工程は上記重袋古紙パルプを製造する重袋古紙パルプ製造工程を有する。なお、後述するように、古紙パルプ製造工程は上記段ボール古紙パルプを製造する段ボール古紙パルプ製造工程をさらに有することが好ましい。
【0020】
(重袋古紙パルプ製造工程)
上記重袋は、一枚、または、重ね合わせた複数枚のクラフト紙に樹脂フィルムを重ね合わせた袋である。上記重袋は、セメント、米等の重量物を収納するために広く用いられており、事業所(工場、漁協等)単位で多量に排出されることから、安定した品質の古紙が得られる。また、重袋は、内容物に応じて耐湿性を付与するために、例えばポリエチレン等の樹脂フィルムが重ね合わせられる。樹脂フィルムを備える重袋は、クラフト紙のみからなる包装袋と比較して破れにくく、防水性に優れている。従来、重袋は、内貼りの樹脂フィルムの除去が困難なため、古紙として再利用されず、焼却処理され、リサイクルによる有効活用ができていなかった。一方、重袋は一般市場に販売される形態でないことから、過度な印刷が施されていないために脱墨工程が必要無く、未晒(茶色系)パルプを得ることが目的であるから晒工程も不要である。さらに、重袋以外の古紙の混入がほぼ無く、灰分の混入も少ない事から、バージンパルプとほぼ同じ強度及び色味が得られる。また、テープ類の混入も微量であることから、粘着異物の量も少ない。従って、上記古紙パルプが重袋古紙パルプを含むことで、均一で異物の少なく、従来にない外観(未晒クラフト紙に近い風合い)の未晒再生クラフト紙を製造できる。
【0021】
上記重袋古紙パルプ製造工程は、上記重袋を破砕する第1破砕工程と、上記第1破砕工程で破砕された破砕物のうちの紙成分を主成分とする破砕物を破砕処理する第2破砕工程とを有する。また、上記重袋古紙パルプ製造工程は、上記第2破砕工程後に、ハイパースペクトルカメラを用いて上記紙成分を主成分とする破砕物を識別する識別工程をさらに備えることが好ましい。さらに、上記重袋古紙パルプ製造工程は、上記識別工程の前に、上記第2破砕工程で破砕された破砕物をサイズごとに分別する分別工程をさらに備えることが好ましい。
【0022】
次に、重袋古紙パルプ製造工程における各工程を
図1に基づいて説明する。
図1は、重袋古紙パルプ製造工程のフローの一部を示す図である。
【0023】
〈第1破砕工程〉
第1破砕工程は、上記重袋を破砕する。第1破砕工程では、破砕装置として例えば公知の1軸破砕装置を好適に用いることができる。上記1軸破砕装置は、ローター表面に取り付けられた回転刃と本体の固定刃との噛み合いでせん断破砕を行う。
図1に示すように、パルプの原料1は、1軸破砕装置10に投入される。1軸破砕装置10において破砕された第1破砕物11は、コンベア6に送られ、異物の除去がなされた後、次工程で用いる2軸破砕装置20に投入される。
【0024】
〈第2破砕工程〉
第2破砕工程は、上記第1破砕工程で破砕された破砕物のうちの紙成分を主成分とする破砕物を破砕処理する。第2破砕工程では、破砕装置として例えば公知の2軸破砕装置を好適に用いることができる。上記2軸破砕装置は、特に限定されないが、軸芯回りに回転する実質的に平行な少なくとも2本の各支持軸に、径方向外側に突出する破砕刃が軸芯方向に間隔を空けて複数設けられ、破断又は切り裂きが繰り返される結果、第1破砕工程による第1破砕物11の細分化が行われる。2軸破砕装置20により破砕されより細分化された第2破砕物は搬送コンベア9により、分別手段である投入フィーダー30に供給される。
【0025】
〈分別工程〉
上記重袋古紙パルプ製造工程は、上記第2破砕工程後かつ後述する識別工程前に、分別工程をさらに備えることが好ましい。上記分別工程は、上記第2破砕工程で破砕された第2破砕物をサイズごとに分別する。上記分別工程は、例えば投入フィーダー30により行う。投入フィーダー30は、搬送コンベア9により搬送された第2破砕物の分別を行うものである。投入フィーダー30は、搬送方向に多数の回転軸を有しており、搬送された第2破砕物を搬送しながら、重量物31、アンダーサイズ品32及びオーバーサイズ品33に分別する。例えば、重量物31には未破砕のクラフト紙が主に含まれる。アンダーサイズ品32には細切れのクラフト紙や樹脂フィルムが主に含まれる。オーバーサイズ品33には比較的面積の大きいクラフト紙が主に含まれ、一部樹脂フィルムも含まれることになる。
図1に示すように、投入フィーダー30は、進行方向下流側が高くなるように傾斜して配置されている。進行方向下流側が高くなるように傾斜していることにより、重量物31は移送されず、落下する。また、古紙パルプに利用不可の軽量物であるアンダーサイズ品32は、投入フィーダー30の隙間から落下する。そして、古紙パルプ原料となるオーバーサイズ品33が投入フィーダー30から排出されることになる。
【0026】
上記重量物31は、例えばフォークリフトを用いて再び1軸破砕装置10に投入される。また、アンダーサイズ品32のうち樹脂フィルムは、例えば、集められ樹脂再生物の原料として再利用されたり、燃料として利用されたりする。また、細切れのクラフト紙は、集められ燃料として利用される。さらに、オーバーサイズ品33は主に比較的面積の大きいクラフト紙からなり、その他多くはないが樹脂フィルムも含まれる。オーバーサイズ品33は次工程の識別工程に導かれる。従来は、人の手によりアンダーサイズ品32を取り除いていたため、費用対効果の面で低いものであった。分別工程で投入フィーダー30を用いることで、重量物31及びアンダーサイズ品32が排除される。そのため、オーバーサイズ品33に含まれるアンダーサイズ品32を極力少なくすることができる。よって、次工程である識別工程において質の高い古紙原料を供することができる。製造される未晒再生クラフト紙の品質を向上できる。投入フィーダー30により分散されたオーバーサイズ品33は、識別装置40に投入される。
【0027】
〈識別工程〉
上記重袋古紙パルプ製造工程は、上記第2破砕工程及び上記分別工程後に、識別工程をさらに備えることが好ましい。識別工程は、ハイパースペクトルカメラを用いて上記紙成分を主成分とする破砕物を識別する。識別装置40は、例えば、搬送コンベアと、ハイパースペクトルカメラにより材料を測定する材料測定手段とを有するのが好ましい。また、個々の搬送物について、材料測定手段により測光した吸光度スペクトルに基づきセルロース成分が支配的であるか否かを判断する識別手段を有するのが好ましい。
【0028】
かかる識別手段45による識別により、セルロース成分が支配的である場合にはクラフト紙であると判断され、また、セルロース成分が支配的ではない場合(例えば、樹脂成分が支配的である場合)には、樹脂フィルムであると判断されて、仕分けを行うことができる。
【0029】
「クラフト紙以外」のものとして、包装袋の内容物や包装袋に付随する粘着テープ類、ワッペン類、ファイルの金具、金属クリップ類、セロハン、発泡スチロール、縫い糸等のいわゆる禁忌品がある。この禁忌品の例示のように、「クラフト紙以外」のものは禁忌品であり、古紙パルプ原料とすることができないので古紙処理系から除外する必要がある。
【0030】
例えば樹脂フィルムが貼合されたラミネート紙などを分別するためには、材料(材質)測定が必要となる。そこで、ハイパースペクトルカメラ43により材料(材質)を測定する。ハイパースペクトルカメラ43は、可視光から短波赤外領域(SWIR)までの広い波長領域を細かい波長域で区分けし、それぞれの波長域での光強度(波長スペクトル)を取得することができる。例えば近赤外線(750~1700nm近傍)領域も撮影可能である。符号46は可視光から近赤外領域までの波長をもつ光源である。物質を構成している分子は、様々な運動をしており、運動している分子に光をあてると、運動状態に合わせて特定の波長の光のみが吸収される。吸収される赤外線領域の波長は、分子を構成する原子間距離と振動方向によって決まった値になり、分子の種類を的確に表す特徴的な波長分布になる。反射・吸収された波長分布(吸収スペクトル)を調べることによって、測定対象物がどのような分子を含んでいるかを知ることが可能である。この原理によって、材料(材質)を測定することができる。
【0031】
識別装置40により識別された搬送物は、例えば搬送コンベアから落下する過程で仕分け装置50を作動させる。仕分け装置50によりクラフト紙からなる古紙51及び回収された樹脂フィルム52に仕分けされる。クラフト紙からなる古紙51は、製品となるクラフト紙や段ボール古紙パルプ用等の材料とすることができ、樹脂フィルム52は樹脂原料や燃料とすることができる。
【0032】
重袋からなる古紙51は古紙パルプ製造工程を経て古紙パルプとなる。古紙パルプ製造工程は、段ボール古紙パルプ製造工程と同様の設備を用いることができる。古紙パルプ製造工程においては、識別工程で除去しきれていない樹脂フィルム粕を除去するためにさらに精選工程を行うことが好ましい。精選工程では、例えばスリットスクリーン(スリット巾0.25mm)を2段処理する等を行う。識別工程で除去できなかった異物の混入を防止し、紙の品質低下を低減できる。
【0033】
(段ボール古紙パルプ製造工程)
古紙パルプとしては、重袋古紙パルプ以外に段ボール古紙パルプを用いてもよく、古紙パルプ製造工程は上記段ボール古紙パルプを製造する段ボール古紙パルプ製造工程を有していてもよい。段ボール古紙パルプの原料として、段ボール古紙以外に安価な雑紙古紙や灰分の多い雑誌古紙等が使用されるが、段ボール古紙のみを使用するのが好ましい。しかしながら、段ボールは、段ボール古紙以外にも安価な古紙、灰分の多い古紙を中層、裏層、中芯に配合しているため、段ボール古紙のみを原料として使用したとしても未晒クラフトパルプからなるクラフト古紙パルプと比較して灰分が多く、白色度が高い。そのため、段ボール古紙パルプの配合を増やしていくと、未晒再生クラフト紙の色調は白っぽくなり、強度は低下するとともに夾雑物(異物)が増加する。段ボール古紙パルプを添加すると未晒再生クラフト紙の品質低下に影響を及ぼすものの、古紙の集荷安定性が高いことから、未晒再生クラフト紙の要求品質に応じて任意に配合すると最も経済的である。
【0034】
段ボール古紙パルプを使用する場合は、精選の強化、ディスパーザーによる未離解のパルプ繊維の調整を行う方が好ましい。また、洗浄して古紙パルプ中に含まれる灰分を除去することも好ましい。
【0035】
(その他の古紙パルプ)
重袋古紙パルプ以外の古紙パルプとしては、段ボール古紙パルプのみを使用し、新聞古紙や雑誌系古紙等由来の古紙パルプを含まない方が好ましい。新聞古紙パルプや雑誌系古紙パルプが多量に含まれる場合、古紙パルプ中の灰分率が増加し、強度低下が生じるおそれがある。また、紙の色合いが白味を帯びたり、黒味を帯びたりする事で、未晒調の風合いを損ねてしまうおそれがある。
【0036】
[原料パルプ製造工程]
原料パルプ製造工程では、上記古紙パルプ及び未晒クラフトパルプを含有する原料パルプ又は上記古紙パルプを含有する原料パルプを製造する。具体的には、原料パルプ製造工程では、上記古紙パルプ及び未晒クラフトパルプを含有する原料パルプ又は上記古紙パルプを混合して、パルプスラリーを製造する。パルプスラリーには、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。なお、上記古紙パルプは、上記古紙パルプ製造工程により製造される。
【0037】
〈未晒クラフトパルプ〉
未晒クラフトパルプとしては、例えば針葉樹未哂クラフトパルプが好ましい。未晒針葉樹クラフトパルプは、比較的大きな強度を有し、特にリグニン及びステロールのエステル化合物があまり除去されていない針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)は、パルプ中に残存するリグニンの作用によって強度がより大きく、かつパルプ中に残存するステロールのエステル化合物によりパルプ繊維が良好な滑性を示すとともに適度な剛直性や耐折れ性を有する。このため、原料パルプとして針葉樹未晒クラフトパルプを用いることで、当該未晒再生クラフト紙に良好な強度を付与することができる。
【0038】
針葉樹未晒クラフトパルプは、原料パルプとして配合される前に叩解工程を行う。叩解工程では、異物を細かく分解して水中に分散させるとともに、針葉樹未晒クラフトパルプを解繊する。針葉樹未晒クラフトパルプの叩解工程においては、ダブルディスクリファイナー(DDR)で叩解することが好ましい。針葉樹未晒クラフトパルプの上記フリーネスの範囲としては、400ml以上600ml以下が好ましい。針葉樹未晒クラフトパルプの上記フリーネスが上記範囲であることで、当該未晒再生クラフト紙に良好な強度を付与することができる。また、針葉樹クラフトパルプを高濃度で叩解すると、刃物による切断よりも、繊維同士の摩擦により微細化する。このため、短繊維化よりもフィブリル化が優位に叩解され、靭皮繊維様に平均繊維幅を広く保ったまま短繊維化ができる。
【0039】
原料パルプ合計含有量に対する重袋古紙パルプの含有量の下限としては、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。上記重袋古紙パルプの含有量の上限としては、100質量%であってもよく、70質量%がより好ましい。合計含有量に対する重袋古紙パルプの含有量が上記範囲であることで、未晒クラフト紙が備えるような外観と自然な風合いをより良好にできる未晒再生クラフト紙を提供できる。未晒再生クラフト紙が、段ボール古紙パルプを多量に含む場合、未晒再生クラフト紙の強度及び夾雑物が増加するとともに、紙中の灰分が増加するために全体として白色度が増加する。従って、重袋古紙パルプの含有量の下限としては10質量%が好ましい。重袋古紙パルプは、古紙パルプ製造設備のようにアルカリによる離解処理、脱墨工程、漂白工程を経ることなく、均一で異物の少ない未晒の古紙パルプを得ることができる。原料パルプ合計含有量に対する重袋古紙パルプの含有量を上記範囲とすることで、色味の変化や異物が少なく、強度に優れた未晒再生クラフト紙を得ることができる。
【0040】
原料パルプ合計含有量に対する未晒クラフトパルプの含有量の上限としては、70質量%が好ましく、60質量%がより好ましい。未晒クラフトパルプの含有量を増加しても、色調、強度に極端な変化はなく、品質の向上はみられないため、晒クラフトパルプの含有量の下限としては、0質量%であってもよい。一方、パルプ原料の安定供給及び包装用紙のエコマーク基準の観点から、未晒クラフトパルプの含有量の範囲は0質量%以上70質量%以下としてもよい。
【0041】
原料パルプ合計含有量に対する段ボール古紙パルプの含有量の下限としては、20質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。上記段ボール古紙パルプの含有量の上限としては、90質量%が好ましく、80質量%がより好ましい。合計含有量に対する段ボール古紙パルプの含有量が上記範囲であることで、未晒クラフト紙が備えるような外観と自然な風合いをより良好にできる未晒再生クラフト紙を提供できる。また、上記段ボール古紙パルプの含有量が90質量%を超えると、未晒再生クラフト紙の色合いが白味を帯びたり、黒味を帯びたりする事で、未晒調の風合いを損ねてしまうおそれがある。さらに、上記段ボール古紙パルプの含有量が90質量%を超えると、未晒再生クラフト紙の強度及び夾雑物が増加するとともに、未晒再生クラフト紙中の灰分が増加してくるので全体として白味が増加するおそれがある。
【0042】
(添加剤)
当該未晒再生クラフト紙の製造方法は、公知の製紙用添加剤を用いることができる。
【0043】
〈紙力増強剤〉
紙力増強剤としては、ポリアクリルアミド系高分子が好ましく、必要に応じてカチオン性澱粉、両性澱粉を用いることができ、強度向上効果の観点からは、両性澱粉のほうが好ましい。上記紙力増強剤のパルプ繊維に対する固形分における含有量の範囲としては、固形分で1kg/パルプt以上5kg/パルプt以下が好ましく、2kg/パルプt以上4kg/パルプt以下がより好ましい。
【0044】
〈サイズ剤〉
内添サイズ剤としては、酸性ロジンサイズ剤が挙げられる。段ボール古紙パルプを高配合し、紙中の灰分が増加した場合は、中性ロジンサイズ剤が好ましい。上記内添サイズ剤のパルプ繊維に対する固形分における含有量の範囲としては、固形分で2.5kg/パルプt以上15.0kg/パルプtが好ましく、5.0kg/パルプt以上10.0kg/パルプt以下がより好ましい。
【0045】
〈硫酸バンド〉
上記パルプスラリーにおける硫酸バンドの含有量の範囲としては、固形分で4.5kg/パルプt以上12.5kg/パルプt以下が好ましい。
【0046】
〈その他の添加剤〉
当該未晒再生クラフト紙の基紙においては、上記紙力増強剤、サイズ剤及び硫酸バンド以外の公知の製紙用添加剤が添加されていてもよい。このような内添剤としては、特に制限されず、種々の薬品を単独または組み合わせて用いることができる。例えば凝結剤、歩留剤、染料、ピッチコントロール剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、スライムコントロール剤等の製紙用添加剤を用いることができる。
【0047】
[抄紙工程]
上記抄紙工程では、パルプスラリーを脱水(抄紙)する。抄紙方法は特に限定されるものではなく、公知の抄紙機を用いて抄造することができる。抄紙機としては、例えば長網、円網、ハイブリッドフォーマー、ギャップフォーマー等の抄紙機が挙げられる。この内、シュエーキング装置を有する長網抄紙機が好適である。重袋古紙パルプ及びクラフトパルプを含む原料パルプを抄紙する場合は、古紙パルプ中に含まれる灰分が実質無いため、酸性域にて抄紙することが好適である。原料パルプがさらに段ボール古紙パルプを含む場合は、酸性域にて抄紙すると、段ボール古紙中に含まれる灰分の影響によりカルシウム成分が溶出し、紙力剤及びサイズ剤と反応して薬品の効果を低下させるとともに、品質低下の原因となるため、中性域で抄紙することが好適である。
【0048】
[乾燥工程]
次に、加圧ロールによりプレスし、水分を除去し、ドライヤーシリンダーにて乾燥する。乾燥工程の間に塗工工程を有していても良い。酸化澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイド、防滑剤、撥水剤等、公知の薬品を適宜塗工工程で塗布することで品質の向上を図ることができる。塗工設備としては、サイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロール等公知の塗工設備を用いることができる。乾燥後には、ニップキャレンダー、スーパーキャレンダー、マシンキャレンダー、ソフトキャレンダー等のキャレンダー装置を用いて平滑化処理を行なってもよい。平滑化処理を行うことにより、未晒再生クラフト紙に高い光沢度が付与されて高級感を有する包装袋に好適に用いることができる。
【0049】
[巻取工程]
最後にリールに巻き取り、未晒再生クラフト紙を得る。
【0050】
(未晒再生クラフト紙の坪量)
当該未晒再生クラフト紙の製造方法により製造される未晒再生クラフト紙の坪量の下限としては、50g/m2が好ましく、70g/m2がより好ましい。上記坪量が50g/m2未満では、包装紙や手提げ袋用紙としての紙質強度を満足できないおそれがある。上記上限としては、120g/m2が好ましい。未晒再生クラフト紙の坪量が120g/m2を超えると上記軽量化の観点から好ましくない。
【0051】
(未晒再生クラフト紙の白色度)
上記古紙パルプ製造工程が上記段ボール古紙パルプ製造工程をさらに有する場合、当該未晒再生クラフト紙の製造方法により製造される未晒再生クラフト紙の白色度としては、30%未満が好ましく、25%以下がより好ましい。上述したように、未晒再生クラフト紙が、段ボール古紙パルプを多量に含む場合、紙の色合いが白味を帯びたり、黒味を帯びたりする事で、未晒調の風合いを損ねてしまうおそれがある。従って、未晒再生クラフト紙の白色度が上記範囲であることで、未晒クラフト紙の外観及び風合いをより醸し出すことができる。上記未晒再生クラフト紙における白色度は、JIS-P8148(2001)に準拠して測定される。
【0052】
(未晒再生クラフト紙の灰分)
上記古紙パルプ製造工程が上記段ボール古紙パルプ製造工程をさらに有する場合、当該未晒再生クラフト紙の製造方法により製造される未晒再生クラフト紙の525℃燃焼法における紙中灰分の下限としては、1.0%が好ましく、5.0%がより好ましい。一方、上記未晒再生クラフト紙の紙中灰分の上限としては、12.5%が好ましく、10.0%がより好ましい。未晒再生クラフト紙が、段ボール古紙パルプを多量に含む場合、未晒再生クラフト紙の強度及び夾雑物が増加するとともに、紙中の灰分が増加するために全体として白色度が増加する。未晒再生クラフト紙の525℃燃焼法における紙中灰分の範囲が上記範囲であることで、未晒クラフト紙の外観及び風合いをより醸し出すことができる。
なお、未晒再生クラフト紙の白色度や灰分が上記範囲を外れることで、未晒クラフト紙の外観上、白味が増加した場合、公知の染料によって調整することもできる。
【0053】
当該未晒再生クラフト紙の製造方法によれば、重袋の再利用を図るとともに、未晒クラフト紙の色調及び風合いを有する未晒再生クラフト紙を製造できる。
【0054】
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
[試験例1]
(1)上記重袋古紙パルプ製造工程で作製した重袋古紙パルプを100質量%含有するパルプスラリーを上記原料パルプ製造工程で製造した。
(2)100重量%の原料パルプスラリー中に、以下の薬品を添加した。
硫酸バンド:固形分で5kg/パルプt
ロジン系サイズ剤:固形分で4kg/パルプt
(ハリマ化成社製ハーサイズNES500P)
乾燥紙力剤:固形分で3kg/パルプt
(ポリアクリルアミド(星光PMC社製T-DS688))
(3)次に、抄紙工程で長網抄紙機を用いて上記パルプスラリーを抄紙した。
(4)次に、乾燥工程で乾燥した後、未晒の再生クラフト紙を得た。
【0057】
[試験例2~試験例3及び参考例1~参考例3]
原料の種類、含有量を表1に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、試験例2~試験例3及び参考例1~参考例3の未晒のクラフト紙及び再生クラフト紙を得た。
段ボール古紙パルプは、原料古紙として段ボール古紙のみを使用し、雑紙古紙や雑誌古紙等異物及び灰分の増加に繋がる古紙を含まない原料を使用し、0.25mm幅のスリットを有するスクリーンを2段階で通過させ、段ボール古紙パルプ中の異物を除去したパルプスラリーを用いた。
雑誌古紙パルプは、古紙原料に脱墨剤を添加してパルパーで離解後、フローテーターでインキ粕を除去後、漂白したパルプスラリーを用いた。
【0058】
[評価]
(白色度)
JIS-P8148(2001)に準拠して測定した。
【0059】
(紙中灰分)
525℃燃焼法に基づいて測定した。
【0060】
(外観評価)
目視による外観評価を行い、未晒クラフト紙の色調及び風合いの有無を下記の3段階の基準で評価した。評価がA又はBであれば良好である。
A:未晒クラフト紙の色調及び風合いを有する。
B:未晒クラフト紙の色調及び風合いを比較的有する。
C:未晒クラフト紙の色調及び風合いが見られない。
【0061】
参考例1の未晒クラフト紙、試験例1~試験例3及び参考例2~参考例3の未晒再生クラフト紙の白色度(%)及び灰分(%)の評価結果を表1に示す。なお、表1の「-」は、該当する成分を含まないことを表す。
【0062】
【0063】
上記表1に示されるように、原料パルプが重袋古紙パルプを含む試験例1~試験例3の未晒再生クラフト紙は、白色度が30%未満、かつ525℃燃焼法における紙中灰分が1.0%以上12.5%以下であり、目視による外観評価からも未晒クラフト紙の色調及び風合いを有することがわかる。なお、原料パルプ中、段ボール古紙パルプを90質量%含む試験例2は、夾雑物がやや多く含まれており、灰分が12.0%となったことから、外観評価がBであった。
一方、原料パルプが重袋古紙パルプを含まない再生クラフト紙である参考例2~参考例3は、白色度が30%未満及び525℃燃焼法における紙中灰分が1.0%以上12.5%以下のいずれかを具備せず、目視による外観評価において未晒クラフト紙の色調及び風合いが劣っていた。参考例2は、原料パルプ中、段ボール古紙パルプを100質量%含むことから、夾雑物が多く、灰分が13.5%となったことから、色味が薄くなっていた。また、原料パルプ中、雑誌古紙パルプを40質量%含む参考例3は、夾雑物は少ないが、色調が半晒クラフト紙調の薄茶色となった。
一般に半晒クラフト紙の白色度が35%前後であり、参考例1のような未晒クラフト紙の白色度が22%程度であることから、当該未晒再生クラフト紙の製造方法により製造された未晒再生クラフト紙においては、白色度の結果からも、色調が未晒クラフト紙と近似することがわかる。
【0064】
以上の結果、当該未晒再生クラフト紙の製造方法により製造された未晒再生クラフト紙は、未晒クラフト紙の色調及び風合いを有することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の未晒再生クラフト紙の製造方法は、未晒クラフト紙の色調及び風合いを有する包装袋等に用いる未晒再生クラフト紙の製造に好適である。
【符号の説明】
【0066】
1 パルプの原料
6、9 コンベア
10 第1破砕装置
11 第1破砕工程による破砕物
20 第2破砕装置
30 投入フィーダー
31 重量物
32 アンダーサイズ品
33 オーバーサイズ品
40 識別装置
50 仕分け装置
51 クラフト紙からなる古紙
52 樹脂フィルム