(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】動画再生装置および動画再生方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/239 20110101AFI20241028BHJP
H04N 21/2668 20110101ALI20241028BHJP
H04N 21/4728 20110101ALI20241028BHJP
【FI】
H04N21/239
H04N21/2668
H04N21/4728
(21)【出願番号】P 2020086157
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】518288420
【氏名又は名称】RUN.EDGE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小口 淳
(72)【発明者】
【氏名】阪口 学
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 知宏
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134701(JP,A)
【文献】特開2003-288290(JP,A)
【文献】特開2019-075606(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0094875(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割ファイル
(tsファイル)に分割され、サーバ記憶手段に記憶された動画データの一部を選択して表示手段に再生させる動画再生装置であって、
前記動画データに含まれる一部のシーンをユーザが選択するためのシーン選択手段と、
前記シーン選択手段による入力にしたがって、サーバからダウンロードする分割ファイルの選択を受け付けるシーン選択受付手段と、
前記シーン選択受付手段により受け付けられた前記ダウンロードする分割ファイルのダウンロードを指示するダウンロード指示手段と、
前記ダウンロード指示手段の指示に基づいてダウンロードした分割ファイルから、前記動画データの一部となる再生動画データを作成する再生動画作成手段と、
前記表示手段に再生可能な前記再生動画データを記憶する動画再生装置記憶手段と、
を備え
、
前記シーン選択受付手段は、前記一部のシーンに対応する分割ファイルを再生順に記載した第1プレイリストにより、前記ダウンロードする分割ファイルの選択を受け付け、
前記再生動画作成手段は、再生する分割ファイルを再生順に記載した第2プレイリストにより、前記再生動画データを作成し、
前記第1プレイリストに記載された前記分割ファイルの情報として、前記分割ファイルが記憶されているURLが記載されており、
前記動画データおよび前記再生動画データは、前記分割ファイルを指定することで再生することができるHLS形式の動画である動画再生装置。
【請求項2】
前記シーン選択受付手段により受け付けられた前記ダウンロードする分割ファイルが、既に作成されて前記動画再生装置記憶手段に記憶された前記再生動画データに含まれる分割ファイルと同じ場合、前記ダウンロードする分割ファイルの前記サーバからのダウンロードは行わずに、前記動画再生装置記憶手段に記憶された前記再生動画データを前記表示手段に再生させる、請求項
1に記載の動画再生装置。
【請求項3】
複数の分割ファイル
(tsファイル)に分割され、サーバ記憶手段に記憶された動画データの一部を選択して表示手段に再生させる動画再生方法であって、
前記動画データに含まれる一部のシーンをユーザが選択するためのシーン選択手段を提供し、前記ユーザからの前記シーン選択手段による入力を受け付ける入力ステップと、
前記シーン選択手段による入力にしたがって、サーバからダウンロードする分割ファイルの選択を受け付けるシーン選択受付ステップと、
前記シーン選択受付ステップにより受け付けられた前記ダウンロードする分割ファイルのダウンロードを指示するダウンロード指示ステップと、
前記ダウンロード指示ステップの指示に基づいてダウンロードした分割ファイルから、前記動画データの一部となる再生動画データを作成する再生動画作成ステップと、
前記表示手段に再生可能な前記再生動画データを、動画再生装置記憶手段に記憶する動画再生装置記憶ステップと、
を含
み、
前記シーン選択受付ステップは、前記一部のシーンに対応する分割ファイルを再生順に記載した第1プレイリストにより、前記ダウンロードする分割ファイルの選択を受け付け、
前記再生動画作成ステップは、再生する分割ファイルを再生順に記載した第2プレイリストにより、前記再生動画データを作成し、
前記第1プレイリストに記載された前記分割ファイルの情報として、前記分割ファイルが記憶されているURLが記載されており、
前記動画データおよび前記再生動画データは、前記分割ファイルを指定することで再生することができるHLS形式の動画である動画再生方法。
【請求項4】
前記シーン選択受付ステップにより受け付けられた前記ダウンロードする分割ファイルが、既に作成されて前記動画再生装置記憶手段に記憶された前記再生動画データに含まれる分割ファイルと同じ場合、前記ダウンロードする分割ファイルの前記サーバからのダウンロードは行わずに、前記動画再生装置記憶手段に記憶された前記再生動画データを前記表示手段に再生させる、請求項
3に記載の動画再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の分割ファイルに分割され、サーバ記憶手段に記憶された動画データの少なくとも一部を選択して再生する動画再生装置および動画再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを介して動画コンテンツを配信および再生する場合、HLS(HTTP Live Streaming)を使用したストリーミング再生が周知であり、例えば特許文献1には、MPEG-TS(Transport Stream)ファイルを結合し、結合後の1つの映像データをMP4ファイルにトランスコードして再生することが開示されている。
【0003】
例えば特許文献2には、サーバから受信した、再生順序情報を含む動画再生ファイルを複数の携帯端末の主記憶部に記憶させ、動画の進行に応じて主記憶部に記憶されている動画再生ファイルの再生順序毎にtsファイルを読み出し、ts(transport stream)ファイルが示すURL(Uniform Resource Locator)にアクセスして、動画データをダウンロード(キャッシュ)することが開示されている。
【0004】
例えば特許文献3には、動画再生アプリケーションが、ダウンロードされた動画データに基づいて、所定の時間間隔(たとえば、10秒間隔)毎に分割された複数の分割ファイルと、分割ファイルの再生指示を行うためのプレイリストファイルとを作成することにより、動画データをHLS形式に変換することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-22199号公報
【文献】特開2019-75606号公報
【文献】特開2017-55379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、複数の分割ファイルから分離した複数の映像データを1つの映像データに結合して再生する際にコンバート処理が必要なので、サーバの負荷が大きくなり、またコンバート処理を行う分だけ時間が掛かってしまう問題がある。
【0007】
特許文献2では、複数の情報処理端末に動画を配信して複数のユーザが同時に動画視聴を行う場合に、各情報処理端末における動画の再生を簡易に同期させることを目的としており、ユーザが見たいシーンの動画データのみを選択的にダウンロードする考えには及んでいない。
【0008】
特許文献3の情報機器および配信装置でも、動画データのダウンロードが中断された場合にダウンロード済みの動画データを使用可能にすることを目的としており、ユーザが見たいシーンの動画データのみを選択的にダウンロードする考えには及んでいない。また特許文献3では、ダウンロードされた動画データのタイムスタンプを解析し、解析されたタイムスタンプに基づいて、元の動画データを所定の時間間隔毎に分割して分割ファイルを作成する必要があり、動画を再生する情報機器への負荷が大きい問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが見たいシーンの動画データのみを選択的にダウンロードし、サーバへの負荷が小さく、ダウンロードする動画データの容量を抑えられる、動画再生装置および動画再生方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はかかる課題を解決するため、複数の分割ファイルに分割され、サーバ記憶手段に記憶された動画データの一部を選択して表示手段に再生させる動画再生装置であって、前記動画データに含まれる一部のシーンをユーザが選択するためのシーン選択手段と、前記シーン選択手段による入力にしたがって、サーバからダウンロードする分割ファイルの選択を受け付けるシーン選択受付手段と、前記シーン選択受付手段により受け付けられた前記ダウンロードする分割ファイルのダウンロードを指示するダウンロード指示手段と、前記ダウンロード指示手段の指示に基づいてダウンロードした分割ファイルから、前記動画データの一部となる再生動画データを作成する再生動画作成手段と、前記表示手段に再生可能な前記再生動画データを記憶する動画再生装置記憶手段と、を備える動画再生装置を提供する。
【0011】
前記動画再生装置では、前記シーン選択受付手段は、前記一部のシーンに対応する分割ファイルを再生順に記載した第1プレイリストにより、前記ダウンロードする分割ファイルの選択を受け付け、前記再生動画作成手段は、再生する分割ファイルを再生順に記載した第2プレイリストにより、前記再生動画データを作成する構成とすることができる。
【0012】
前記動画再生装置では、前記シーン選択受付手段により受け付けられた前記ダウンロードする分割ファイルが、既に作成されて前記動画再生装置記憶手段に記憶された前記再生動画データに含まれる分割ファイルと同じ場合、前記ダウンロードする分割ファイルの前記サーバからのダウンロードは行わずに、前記動画再生装置記憶手段に記憶された前記再生動画データを前記表示手段に再生させる構成とすることができる。
【0013】
また、本発明は、複数の分割ファイルに分割され、サーバ記憶手段に記憶された動画データの一部を選択して表示手段に再生させる動画再生方法であって、前記動画データに含まれる一部のシーンをユーザが選択するためのシーン選択手段を提供し、前記ユーザからの前記選択手段による入力を受け付ける入力ステップと、前記シーン選択手段による入力にしたがって、サーバからダウンロードする分割ファイルの選択を受け付けるシーン選択受付ステップと、前記シーン選択受付ステップにより受け付けられた前記ダウンロードする分割ファイルのダウンロードを指示するダウンロード指示ステップと、前記ダウンロード指示ステップの指示に基づいてダウンロードした分割ファイルから、前記動画データの一部となる再生動画データを作成する再生動画作成ステップと、前記表示手段に再生可能な前記再生動画データを、動画再生装置記憶手段に記憶する動画再生装置記憶ステップと、を含む動画再生方法を提供する。
【0014】
前記動画再生方法では、前記シーン選択受付ステップは、前記一部のシーンに対応する分割ファイルを再生順に記載した第1プレイリストにより、前記ダウンロードする分割ファイルの選択を受け付け、前記再生動画作成ステップは、再生する分割ファイルを再生順に記載した第2プレイリストにより、前記再生動画データを作成する構成とすることができる。
【0015】
前記動画再生方法では、前記シーン選択受付ステップにより受け付けられた前記ダウンロードする分割ファイルが、既に作成されて前記動画再生装置記憶手段に記憶された前記再生動画データに含まれる分割ファイルと同じ場合、前記ダウンロードする分割ファイルの前記サーバからのダウンロードは行わずに、前記動画再生装置記憶手段に記憶された前記再生動画データを前記表示手段に再生させる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の動画再生装置および動画再生方法によれば、サーバへの負荷およびダウンロードする動画データの容量を抑えながら、ユーザが見たいシーンを選択的に再生することができる。また、動画再生装置がネットワーク環境に接続されていないオフライン状態でも動画を再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の動画再生装置を含む動画再生システムの全体構成の好適な一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】本発明の動画再生装置において、アプリやソフトウェア等の実行により表示される表示画面の一例を示す概略図である。
【
図3】本実施形態のサーバのサーバ記憶手段に記憶される動画データの構成を示す概略図である。
【
図4】本発明の動画再生装置の動画再生装置記憶手段に記憶される、ダウンロードする分割ファイルを記載したプレイリストの一例を示す概略図である。
【
図5】本発明の動画再生装置の再生動画作成手段により作成される再生動画データの構成を示す概略図である。
【
図6】本発明の動画再生方法において、処理の流れの好適な一実施形態を示すフローチャートである。
【
図7】
図6のフローチャートとは別の好適な一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の動画再生装置および動画再生方法の好ましい実施形態について説明する。
【0019】
図1は本実施形態の動画再生装置2を含む動画再生システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0020】
本実施形態の動画再生システム1を実現するための構成として、動画再生装置2、サーバ3および通信網4が含まれる。図中、動画再生装置2は1つであるが、複数の動画再生装置2を含むこともできる。
【0021】
動画再生装置2は、本実施形態では、主要な構成要素として、制御手段21と、動画再生装置記憶手段22と、入力手段23と、通信手段24と、表示手段25とを備える。制御手段21は、具体的には後述する方法で、複数の分割ファイルに分割され、サーバ記憶手段32に記憶された動画データ322の一部を選択して再生させるための各手段を含む。尚、表示手段25は、動画再生装置2の外部に設けられてもよい。
【0022】
動画再生装置記憶手段22は、例えばインストールにより記憶されるプログラム221を含む。動画再生装置記憶手段22はまた、サーバ記憶手段32に記憶された動画データ322の一部をダウンロードした再生動画データ222を記憶する。動画再生装置記憶手段22はさらに、プレイリスト223を記憶する。プレイリスト223は、シーン選択受付手段212がダウンロードする分割ファイルの選択を受け付けるための、動画データ322の一部のシーンに対応する分割ファイルを再生順に記載した第1プレイリスト、および、再生動画作成手段214が再生動画データ222を作成するための、再生する分割ファイルを再生順に記載した第2プレイリストを含むことができる。第1プレイリストおよび第2プレイリストは、同じ分割ファイルを指定するものとすることができる。
【0023】
制御手段21は、シーン選択受付手段212と、ダウンロード指示手段213と、再生動画作成手段214と、再生制御手段215とを含む。制御手段21は、動画再生装置記憶手段22からプログラム221を読み取り、プログラム221は、コンピュータである制御手段21に、シーン選択受付手段212と、ダウンロード指示手段213と、再生動画作成手段214と、再生制御手段215とを実行させる。
【0024】
入力手段23は、ユーザからのシーン選択手段211としての一手段であるシーン選択ボタン55(
図2を参照)による入力を受け付けるためのものであり、例えばシーン選択ボタン55がユーザにより押されたことを制御手段21に伝達する。入力手段23は、例えばタッチパネル画面に表示されたシーン選択ボタン55を含み、ユーザによりタッチパネル画面をタップする等の操作が行われると、制御手段21がプログラム221を読み取ることにより、その操作に対応する機能を制御手段21に実行させる入力指示を行う。例えば、
図2において、ユーザが表示画面に表示された複数のシーン選択ボタン55のうち“カウンター”と表示されたボタン552を押した場合、入力手段23により当該ボタン552が押されたことが制御手段21に伝達され、制御手段21は、プログラム221の指令により、当該ボタン552が選択されたことをシーン選択受付手段212に認識させる。
【0025】
制御手段21は、通信手段24を制御することにより、通信網4を介してサーバ3との通信を可能にする。
【0026】
制御手段21は、表示手段25を制御することにより、表示手段25の表示画面51(
図2を参照)に、プログラム221で生成されたアプリ画面やソフトウェア画面等を表示させる。プログラム221の指示により、表示画面51には、再生動画データ222を再生した動画や、動画データ322に含まれる一部のシーンをユーザが選択するためのシーン選択ボタン55が表示される。表示手段25および入力手段23は、前述のタッチパネル画面を構成しており、表示手段25の表示画面51上に透明電極による入力手段23が配設される。タッチパネル画面では、表示手段25に表示されたボタン55等の上で入力手段23をタッチ操作すると、それに応じた操作信号が入力手段23から制御手段21に送出される構成となっている。
【0027】
制御手段21に含まれるシーン選択受付手段212は、複数のシーン選択ボタン55による入力にしたがって、サーバ3からダウンロードする分割ファイルの選択を受け付ける。シーン選択受付手段212は、動画データ322の一部のシーンに対応する分割ファイルを再生順に記載した第1プレイリストにより、ダウンロードする分割ファイルの選択を受け付けるように構成することができる。
【0028】
制御手段21に含まれるダウンロード指示手段213は、シーン選択受付手段212により受け付けられたダウンロードする分割ファイルのダウンロードを指示する。
【0029】
制御手段21に含まれる再生動画作成手段214は、ダウンロード指示手段213の指示に基づいてダウンロードした分割ファイルから再生動画データ222を作成する。再生動画作成手段214は、再生する分割ファイルを再生順に記載した第2プレイリストにより、再生動画データ222を作成するように構成することができる。
【0030】
制御手段21に含まれる再生制御手段215は、シーン選択受付手段212により受け付けられたダウンロードする分割ファイルが、既に作成されて動画再生装置記憶手段22に記憶された再生動画データ222に含まれる分割ファイルと同じ場合、ダウンロードする分割ファイルのサーバ3からのダウンロードは行わずに、動画再生装置記憶手段22に記憶された再生動画データ222を表示手段25に再生させる機能を有する。
【0031】
動画再生装置2は、通信手段24を備え、プログラム221の実行によりアプリやソフトウェアを起動可能なデバイスであり、例えば、スマートフォンやタブレット端末、モバイルコンピュータ等の携帯型情報端末装置を使用することができ、またデスクトップ型のパーソナルコンピュータ等を使用することもできる。
【0032】
サーバ3は、本実施形態では、主要な構成要素として、制御手段31と、サーバ記憶手段32と、通信手段33とを備える。制御手段31は、分割ファイル選択受付手段311と、分割ファイル送信手段312とを含む。制御手段31は、通信手段33を制御することにより、通信網4を介して動画再生装置2との通信を可能にする。通信手段33は、本実施形態では主に、動画再生装置2から送信されたダウンロード指示を受信したり、ダウンロード指示を受けた動画データ322の分割ファイルを、動画再生装置2に送信したりする目的で使用される。
【0033】
制御手段31の分割ファイル選択受付手段311は、ダウンロードする分割ファイルの指示を、動画再生装置2のダウンロード指示手段213から受け付ける。制御手段31の分割ファイル送信手段312は、指示されたダウンロードする分割ファイルを、通信手段33を介して、サーバ記憶手段32から動画再生装置2に送信できるようにする。
【0034】
サーバ3のサーバ記憶手段32は、例えばインストールにより記憶されるプログラム321を含む。サーバ3のハードウェア構成は、いわゆる一般的なものであって、コンピュータである制御手段31が中央演算処理装置(CPU)を備え、ROM(Read Only Memory)やハードディスク等のサーバ記憶手段32に記憶されたプログラム321を実行する。プログラム321は、コンピュータである制御手段31に、分割ファイル選択受付手段311および分割ファイル送信手段312を実行させる。
【0035】
通信網4はインターネット等の通信インフラである。
【0036】
サーバ3のサーバ記憶手段32に記憶された動画データ322の一部のシーンの再生の受付から再生までの構成について、
図2~
図5を参照しながら説明する。
【0037】
図2は、動画再生装置2において、上述のアプリやソフトウェア等の実行により表示される表示画面51の一例を示す概略図である。表示画面51には、再生動画データ222として例えばサッカーの試合の映像を表示する再生画面52と、映像の再生に対し、再生や一時停止、早送り、早戻し、次のシーンの再生、前のシーンの再生、再生速度変更等の操作を行うための操作ボタン群53と、動画データ322の一部のシーンと関連付けられた各シーンをユーザが選択するためのシーン選択ボタン55が配置されたシーン一覧欄54とが表示される。
【0038】
図2では、シーン選択ボタン55の一例として、サイドパスボタン551、カウンターボタン552およびシュートボタン553の3つのボタンを示している。ユーザがサイドパスボタン551を押すと、サイドパスのシーンにあらかじめ関連付けられたサーバ3上の動画データ322の一部をダウンロードし、当該シーンが再生画面52に再生表示される。ユーザがカウンターボタン552を押すと、カウンターのシーンにあらかじめ関連付けられたサーバ3上の動画データ322の一部をダウンロードし、当該シーンが再生画面52に再生表示される。ユーザがシュートボタン553を押すと、シュートのシーンにあらかじめ関連付けられたサーバ3上の動画データ322の一部をダウンロードし、当該シーンが再生画面52に再生表示される。
【0039】
図3は、サーバ3のサーバ記憶手段32に記憶される動画データ322の構成を示す概略図である。動画データ322は複数の分割ファイル(tsファイルともいう)に分割されており、再生する分割ファイルを指定することで再生することができるHLS形式の動画である。同図では、簡単のため、動画データ322の一部を示しており、ts1~ts15までの15個の分割ファイルを表示している。動画データ322は、例えば2秒ごとの分割ファイルに分割されており、すなわち、分割ファイルのセグメント長を例えば2秒とすることができる。
【0040】
上述した各シーンと動画データ322とは、例えば、サイドパスのシーンはts1~ts6までの分割ファイル(0秒目から12秒目まで)に対応し、カウンターのシーンはts7~ts11の分割ファイル(12秒目から22秒目まで)に対応し、シュートのシーンはts12~ts15の分割ファイルまで(22秒目から30秒目まで)に対応するとして関連付けられる。
【0041】
この関連付けを実現する方法として、対応する分割ファイルを再生順に記載したプレイリスト223を使用することができる。
図4にプレイリスト223の一例を示す。サイドパスのシーンに対応する分割ファイルとして、プレイリスト_サイドパス61には、ts1~ts6の分割ファイルの情報が記載される。カウンターのシーンに対応する分割ファイルとして、プレイリスト_カウンター62には、ts7~ts11の分割ファイルの情報が記載される。シュートのシーンに対応する分割ファイルとして、プレイリスト_シュート63には、ts12~ts15の分割ファイルの情報が記載される。各分割ファイルの情報として、各分割ファイルのファイル名や、各分割ファイルが記憶されているURL等を記載することができる。各プレイリスト223は動画再生装置2の動画再生装置記憶手段22に記憶することができる。
【0042】
動画再生装置2のシーン選択受付手段212は、ユーザがシーン選択ボタン55を押したことを入力手段23から受信すると、押されたシーン選択ボタン55に対応する動画再生装置記憶手段22に記憶されたプレイリスト223を読み出し、ダウンロードする分割ファイルの選択を受け付ける。ダウンロード指示手段213は、プレイリスト223の内容を読み取り、プレイリスト223に記載された分割ファイルをサーバ3からダウンロードする指示を、通信手段24を制御してサーバ3に送出する。サーバ3の分割ファイル選択受付手段311は、ダウンロードするよう指示された分割ファイルの選択を受け付ける。上述したように、分割ファイルの選択は、分割ファイルが記憶されたURL等で指定されることができる。サーバ3の分割ファイル送信手段312は、例えば指定されたURLの分割ファイルを、通信手段33を制御して、動画再生装置2に送信する。
【0043】
動画再生装置2の再生動画作成手段214は、ダウンロードした分割ファイルから再生動画データ222を作成し、動画再生装置記憶手段22に記憶させる。再生動画データ222は、
図5の再生動画データ_サイドパス71、再生動画データ_カウンター72および再生動画データ_シュート73に示すように、動画データ322と同じく、HLS形式の動画とすることができる。すなわちプレイリスト223に、再生する分割ファイルが再生順に記載され、再生動画データ222はプレイリスト223に記載された分割ファイルで構成される。
図5の例では、再生動画データ_サイドパス71は、プレイリスト_サイドパス61に記載されたts1~ts6の分割ファイルで構成され、再生動画データ_カウンター72は、プレイリスト_カウンター62に記載されたts7~ts11の分割ファイルで構成され、再生動画データ_シュート73は、プレイリスト_シュート63に記載されたts12~ts15の分割ファイルで構成される。
【0044】
動画再生装置2の再生制御手段215は、ダウンロードの指示を受け付けた分割ファイルを、すでにサーバ3からダウンロードして作成した再生動画データ222が、動画再生装置記憶手段22に記憶されている場合、同じ動画データ322の分割ファイルをダウンロードすることなく、動画再生装置記憶手段22に記憶された再生動画データ222を再生させることができる。ダウンロードするかしないかの判断は、ダウンロードの指示を受け付けた分割ファイルと同じ分割ファイルで構成される再生動画データ222が動画再生装置記憶手段22に記憶されているかを確認させて行ってもよいし、該当するシーン選択ボタン55が初めて押された場合にはダウンロードし、2回目以降に押された場合にはダウンロードしないようにして行ってもよい。
【0045】
図2に示すように、ユーザが、カウンターボタン552を押した場合(図中、ダウンロードマーク56が表示されている)、動画再生装置2は、上述したプロセスで、プレイリスト_カウンター62に記載されたts7~ts11の分割ファイルのみを、サーバ3からダウンロードする。そして、動画データ322と同じHLS形式で、ts7~ts11の分割ファイルで構成される再生動画データ_カウンター72を作成する。複数の分割ファイルを結合してトランスコードすることなくそのままの形式でダウンロードするので、サーバ3に負担をかけることがない。また全部の動画データ322をダウンロードする場合に比べ、通信量を抑えることができるとともに、動画再生装置2の動画再生装置記憶手段22に記憶する再生動画データ222の容量を小さくすることもできる。さらに再生動画データ_カウンター72を作成後、ユーザが再度カウンターボタン552を押した場合には、動画再生装置記憶手段22に記憶された再生動画データ_カウンター72を再生するようにすることで、動画再生装置2のネットワークが切断されたオフライン状態でも、再生動画データ222を再生することができる。
【0046】
本実施形態の動画再生装置2が実行する動画再生方法の流れについて、
図6および
図7の本発明の動画再生方法の好適な一実施形態を示すフローチャートを用いて説明する。
【0047】
図6を参照すると、最初に、動画再生装置2の制御手段21が表示手段25を制御し、ユーザからのシーン選択手段211としての複数のシーン選択ボタン55による入力を受け付ける(ステップS11)。シーン選択受付手段212が、受け付けた入力に対応するプレイリスト223に基づき、サーバ3からダウンロードする分割ファイルの選択を受け付ける(ステップS12)。ダウンロード指示手段213が、選択を受け付けた分割ファイルのサーバ3からのダウンロードを指示する(ステップS13)。再生動画作成手段214が、指示に基づいてダウンロードした分割ファイルから、動画データ322の一部となる再生動画データ222を作成し(ステップS14)、作成した表示手段25に再生可能な再生動画データ222を動画再生装置記憶手段223に記憶させる(ステップS15)。
【0048】
図7を参照してステップを追加した例を説明すると、最初に、動画再生装置2の制御手段21が表示手段25を制御し、ユーザからの複数のシーン選択ボタン55による入力を受け付ける(ステップS21)。シーン選択受付手段212が、受け付けた入力に対応するプレイリスト223に基づき、サーバ3からダウンロードする分割ファイルの選択を受け付ける(ステップS22)。ここで、選択を受け付けた分割ファイルからすでに再生動画データ222を作成しているかどうかを判断する(ステップS23)。すでに再生動画データ222を作成している場合には、動画再生装置記憶手段22に記憶された再生動画データ222を表示手段25に再生させる(ステップS27)。
【0049】
一方、選択を受け付けた分割ファイルからの再生動画データ222が作成されていない場合には、ダウンロード指示手段213が、選択を受け付けた分割ファイルのサーバ3からのダウンロードを指示する(ステップS24)。再生動画作成手段214が、指示に基づいてダウンロードした分割ファイルから、動画データ322の一部となる再生動画データ222を作成し(ステップS25)、作成した表示手段25に再生可能な再生動画データ222を動画再生装置記憶手段223に記憶させる(ステップS26)。
【0050】
以上のように、本実施形態の動画再生装置2は、複数の分割ファイルに分割され、サーバ記憶手段32に記憶された動画データ322の一部を選択して表示手段25に再生させる動画再生装置2であって、動画データ322に含まれる一部のシーンをユーザが選択するためのシーン選択手段211と、シーン選択手段211による入力にしたがって、サーバ3からダウンロードする分割ファイルの選択を受け付けるシーン選択受付手段212と、シーン選択受付手段212により受け付けられたダウンロードする分割ファイルのダウンロードを指示するダウンロード指示手段213と、ダウンロード指示手段213の指示に基づいてダウンロードした分割ファイルから、動画データ322の一部となる再生動画データ222を作成する再生動画作成手段214と、表示手段25に再生可能な再生動画データ222を記憶する動画再生装置記憶手段22と、を備える。
【0051】
本実施形態の動画再生方法は、複数の分割ファイルに分割され、サーバ記憶手段32に記憶された動画データ322の一部を選択して表示手段25に再生させる動画再生方法であって、動画データ322に含まれる一部のシーンをユーザが選択するためのシーン選択手段211を提供し、ユーザからのシーン選択手段211による入力を受け付ける入力ステップS11,S21と、シーン選択手段211による入力にしたがって、サーバ3からダウンロードする分割ファイルの選択を受け付けるシーン選択受付ステップS12,S22と、シーン選択受付ステップS12により受け付けられたダウンロードする分割ファイルのダウンロードを指示するダウンロード指示ステップS13,S24と、ダウンロード指示ステップS13の指示に基づいてダウンロードした分割ファイルから、動画データ322の一部となる再生動画データ222を作成する再生動画作成ステップS14,S25と、表示手段25に再生可能な再生動画データ222を動画再生装置記憶手段22に記憶する動画再生装置記憶ステップS15,S26と、を含む。
【0052】
これらの場合、複数の分割ファイルを結合してトランスコードすることなくそのままの形式でダウンロードするので、サーバ3に負担をかけることがない。また全部の動画データ322をダウンロードする場合に比べ、通信量を抑えることができるとともに、動画再生装置2の動画再生装置記憶手段22に記憶する再生動画データ222の容量を小さくすることもできる。
【0053】
本実施形態の動画再生装置2では、シーン選択受付手段212は、一部のシーンに対応する分割ファイルを再生順に記載した第1プレイリスト223により、ダウンロードする分割ファイルの選択を受け付け、再生動画作成手段214は、再生する分割ファイルを再生順に記載した第2プレイリスト223により、再生動画データ222を作成することができる。
【0054】
本実施形態の動画再生方法では、シーン選択受付ステップS12,S22は、一部のシーンに対応する分割ファイルを再生順に記載した第1プレイリスト223により、ダウンロードする分割ファイルの選択を受け付け、再生動画作成ステップS14は、再生する分割ファイルを再生順に記載した第2プレイリスト223により、再生動画データ222を作成することができる。
【0055】
これらの場合、プレイリスト223によりサーバ3上のHLS形式の動画の分割ファイルを選択してダウンロードし、プレイリスト223を基に動画再生装置2で再生する再生動画データ222を作成することで、選択したサーバ3上の分割ファイルをサーバ3上の動画データ322と同じHLS形式で再生動画データ222を再生することができる。
【0056】
本実施形態の動画再生装置2では、シーン選択受付手段212により受け付けられたダウンロードする分割ファイルが、既に作成されて動画再生装置記憶手段22に記憶された再生動画データ222に含まれる分割ファイルと同じ場合、ダウンロードする分割ファイルのサーバ3からのダウンロードは行わずに、動画再生装置記憶手段22に記憶された再生動画データ222を表示手段25に再生させることができる。
【0057】
本実施形態の動画再生方法では、シーン選択受付ステップS22により受け付けられたダウンロードする分割ファイルが、既に作成されて動画再生装置記憶手段22に記憶された再生動画データ222に含まれる分割ファイルと同じ場合、ダウンロードする分割ファイルのサーバ3からのダウンロードは行わずに、動画再生装置記憶手段22に記憶された再生動画データ22を表示手段25に再生させる(ステップS27)ことができる。
【0058】
これらの場合、再生動画データ222を作成後、シーン選択受付手段212が再度同じ分割ファイルのダウンロードを受け付けたときに、動画再生装置記憶手段22に記憶された再生動画データ222を再生するようにすることで、動画再生装置2のネットワークが切断されたオフライン状態でも、再生動画データ222を再生することができる。
【0059】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は種々の変形実施をすることができる。例えば、上記の実施形態で述べたサッカーの映像の例はあくまでも一例であり、本発明はその他種々の用途に活用可能である。また、
図2の表示画面51に表示される再生画面の大きさや配置、操作ボタン群53の構成および配置、シーン一覧欄54の構成および配置、ならびに、シーン選択ボタン55の種類や構成、配置は、
図2のものに限定されない。
【0060】
その他、制御手段21が複数のシーン選択ボタン55を表示手段25に表示させ、そのシーン選択ボタン55とタッチパネルによる入力手段23とにより、ユーザが一部のシーンをタッチ操作で選択できるシーン選択手段211を構成する代わりに、例えば押し釦式のスイッチを動画再生装置2にシーン選択手段211として配設し、このスイッチをユーザが押動操作するたびに、上述した「サイドパス」、「カウンター」、「シュート」のシーンが順に選択される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 動画再生システム
2 動画再生装置
21 制御手段
211 シーン選択手段
212 シーン選択受付手段
213 ダウンロード指示手段
214 再生動画作成手段
215 再生制御手段
22 動画再生装置記憶手段
221 プログラム
222 再生動画データ
223 プレイリスト(第1プレイリスト、第2プレイリスト)
23 入力手段
24 通信手段
25 表示手段
3 サーバ
32 サーバ記憶手段
322 動画データ
4 通信網
55 シーン選択ボタン