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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20241028BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
G03G15/00 303
B41J29/38 202
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020086455
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021182024
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】西方 彰信
(72)【発明者】
【氏名】横谷 貴司
(72)【発明者】
【氏名】及川 敏史
(72)【発明者】
【氏名】安藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】湯本 貢司
(72)【発明者】
【氏名】福原 力
(72)【発明者】
【氏名】小田 裕一朗
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-311644(JP,A)
【文献】特開2011-240690(JP,A)
【文献】特開平10-063045(JP,A)
【文献】特開2018-010115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像形成プロセス及び第2画像形成プロセスを実行して、シートに画像及びテスト画像を形成する画像形成手段と、
前記シートが搬送される搬送路に設けられ、前記画像形成手段により前記シートに形成された前記テスト画像を読み取る読取手段と、
記憶手段と、
前記読取手段から前記テスト画像の読取データを取得し、取得した前記読取データに基づいて前記第1画像形成プロセスの画像形成条件と前記第2画像形成プロセスの画像形成条件とを生成し、前記第1画像形成プロセスの画像形成条件と前記第2画像形成プロセスの画像形成条件とを前記記憶手段に記憶する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、第1画像形成条件に基づいて前記第1画像形成プロセスを実行し、第2画像形成条件に基づいて前記第2画像形成プロセスを実行して形成された前記テスト画像の読取データに基づいて、前記第1画像形成プロセスの第3画像形成条件と前記第2画像形成プロセスの第4画像形成条件を生成し、
前記画像形成手段は、前記第1画像形成条件に基づいて前記第1画像形成プロセスを実行してN枚目のシートにN番目の画像を形成する場合、前記第1画像形成プロセスの前記第3画像形成条件と前記第2画像形成プロセスの前記第4画像形成条件が前記記憶手段に記憶されている場合であっても、前記第2画像形成条件に基づいて前記第2画像形成プロセスを実行し、
前記画像形成手段は、(N+1)枚目のシートに(N+1)番目の画像を形成する場合、前記第3画像形成条件に基づいて前記第1画像形成プロセスを実行し、前記第4画像形成条件に基づいて前記第2画像形成プロセスを実行することを特徴とする、
画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記第1画像形成プロセスの画像形成条件を記憶する第1記憶手段と、前記第2画像形成プロセスの画像形成条件を記憶する第2記憶手段とを含むことを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、識別情報を出力し、
前記記憶手段は、前記第1画像形成プロセスの複数の画像形成条件と、前記第2画像形成プロセスの複数の画像形成条件とを記憶し、
前記画像形成手段は、前記識別情報に基づいて、複数のシートのそれぞれについて、前記記憶手段に記憶された前記第1画像形成プロセスの複数の画像形成条件から、前記第1画像形成プロセスの画像形成条件を選択し、
前記画像形成手段は、前記識別情報に基づいて、複数のシートのそれぞれについて、前記記憶手段に記憶された前記第2画像形成プロセスの複数の画像形成条件から、前記第2画像形成プロセスの画像形成条件を選択することを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段は、感光体、静電潜像を形成するために前記感光体を露光する露光ユニット、前記感光体に形成された前記静電潜像を現像する現像ユニット、前記現像ユニットにより現像された画像をシートに転写する転写ユニット、及び前記画像を前記シートに定着する定着ユニットを含み、
前記第1画像形成プロセスは、前記露光ユニットが前記感光体を露光する処理に相当し、
前記第2画像形成プロセスは、前記転写ユニットが前記画像を前記シートに転写する処理に相当することを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記読取データに基づいて、前記シートに形成される画像の濃度を調整するための前記第1画像形成プロセスの画像形成条件と、前記第2画像形成プロセスの画像形成条件とを生成することを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記読取データに基づいて、前記シートに形成される画像の幾何特性を補正するための前記第1画像形成プロセスの画像形成条件と、前記第2画像形成プロセスの画像形成条件とを生成することを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商用の印刷機で生成される印刷物は、表裏面の印字位置精度の安定化が求められる。特許文献1には、印字位置精度の安定化を図った画像形成装置が開示される。この画像形成装置は、印字位置精度の安定化のために、シートに印字位置(画像形成位置)の目印となる調整用画像を印字して調整用チャートを作成する。調整用チャートは、シートの搬送経路に設けられた画像読取センサにより、調整用画像が読み取られる。画像形成装置は、調整用画像の読取結果を画像形成条件にフィードバックして、印字位置を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-11285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
調整用チャートを作成して印字位置を調整する間、ユーザの指示に応じた印刷物の作成ができなくなるために、生産性が低下する。そのために、ユーザの指示に応じた印刷物に調整用画像を印刷して印字位置を調整する技術が提案されている。このような方法では、ユーザの指示に応じた印刷物を作成しながら、リアルタムで印字位置が調整される。
【0005】
画像形成装置は、複数の構成部品のそれぞれに対応して複数の制御部を備える場合がある。この場合、各制御部には画像形成条件が順次通知される。そのために各制御部はそれぞれのタイミングで調整後の画像形成条件が反映される。これにより各制御部は、同一のページの画像であっても異なる画像形成条件で動作する可能性がある。これは印刷物の品質低下の原因となる。例えば、第1画像形成条件で動作している状態の所定のタイミングで第2画像形成条件が通知されると、各制御部により第2画像形成条件が反映されるページが異なってしまう。そのために同一ページに異なる画像形成条件で画像が印刷される。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、同一ページの画像が異なる画像形成条件で印刷されることを防止する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、第1画像形成プロセス及び第2画像形成プロセスを実行して、シートに画像及びテスト画像を形成する画像形成手段と、前記シートが搬送される搬送路に設けられ、前記画像形成手段により前記シートに形成された前記テスト画像を読み取る読取手段と、記憶手段と、前記読取手段から前記テスト画像の読取データを取得し、取得した前記読取データに基づいて前記第1画像形成プロセスの画像形成条件と前記第2画像形成プロセスの画像形成条件とを生成し、前記第1画像形成プロセスの画像形成条件と前記第2画像形成プロセスの画像形成条件とを前記記憶手段に記憶する制御手段と、を備え、前記制御手段は、第1画像形成条件に基づいて前記第1画像形成プロセスを実行し、第2画像形成条件に基づいて前記第2画像形成プロセスを実行して形成された前記テスト画像の読取データに基づいて、前記第1画像形成プロセスの第3画像形成条件と前記第2画像形成プロセスの第4画像形成条件を生成し、前記画像形成手段は、前記第1画像形成条件に基づいて前記第1画像形成プロセスを実行してN枚目のシートにN番目の画像を形成する場合、前記第1画像形成プロセスの前記第3画像形成条件と前記第2画像形成プロセスの前記第4画像形成条件が前記記憶手段に記憶されている場合であっても、前記第2画像形成条件に基づいて前記第2画像形成プロセスを実行し、前記画像形成手段は、(N+1)枚目のシートに(N+1)番目の画像を形成する場合、前記第3画像形成条件に基づいて前記第1画像形成プロセスを実行し、前記第4画像形成条件に基づいて前記第2画像形成プロセスを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、同一ページの画像が異なる画像形成条件で印刷されることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像処理システムの構成図。
図2】システム構成図。
図3】システム構成図。
図4】画像形成装置の構成図。
図5】CISの説明図。
図6】(a)、(b)は、調整用チャートの例示図。
図7】(a)~(e)は、調整モードの設定画面の例示図。
図8】(a)~(d)は、印刷処理に用いられる各種情報の説明図。
図9】印刷処理を表すフローチャート。
図10】印刷処理時の露光制御部の処理を表すフローチャート。
図11】印刷処理時の作像定着制御部の処理を表すフローチャート。
図12】印刷処理時の画像読取制御部の処理を表すフローチャート。
図13】(a)~(c)は、本実施形態の効果の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(画像形成システム)
図1は、本実施形態の画像形成装置を含む画像処理システムの構成図である。画像処理システムは、画像形成装置101と外部コントローラ102とを備える。画像形成装置101は、例えば複合機、マルチファンクションペリフェラル(MFP)等である。外部コントローラ102は、例えば画像処理コントローラ、デジタルフロントエンド(DFE)、プリントサーバ等である。
【0012】
画像形成装置101と外部コントローラ102とは、内部LAN(Local Area Network)105とビデオケーブル106とを介して、通信可能に接続される。外部コントローラ102は、外部LAN104を介して、クライアントPC(Personal Computer)103に接続される。外部コントローラ102は、クライアントPC103から印刷指示(印刷ジョブ)を取得する。
【0013】
クライアントPC103には、印刷データを外部コントローラ102で処理可能な印刷記述言語に変換する機能を有するプリンタドライバがインストールされている。ユーザは、各種アプリケーションからプリンタドライバを介して印刷を指示することができる。プリンタドライバはユーザからの印刷指示に基づいて外部コントローラ102に対して印刷データを送信する。外部コントローラ102は、クライアントPC103から印刷データを含む印刷指示を受け付けて、データ解析やラスタライズ処理を行い、画像形成装置101に対して印刷データに基づく印刷(画像形成)を指示する。
【0014】
画像形成装置101は、印刷装置107を含む複数の異なる機能を有する装置が接続されて構成され、製本等の複雑な印刷処理が可能である。本実施形態の画像形成装置101は、印刷装置107とフィニッシャ109とを備える。印刷装置107は、本体の下部に設けられる給紙部から給送されるシートに対して現像剤(例えばトナー)を用いて画像を形成する。印刷装置107は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する。シートには、各色の画像が重畳されたフルカラーの画像が形成される。画像が形成されたシートは、印刷装置107からフィニッシャ109へ搬送される。フィニッシャ109は、画像が形成されたシートを積載する。
【0015】
この画像処理システムは、画像形成装置101に外部コントローラ102が接続された構成であるが、外部コントローラ102は必ずしも必要ではない。例えば、画像形成装置101が外部LAN104を介してクライアントPC103から直接印刷データを含む印刷指示を取得する構成であってもよい。この場合、画像形成装置101は、外部コントローラ102で行われているデータ解析やラスタライズ処理を行うことになる。つまり画像形成装置101と外部コントローラ102とが一体に構成されてもよい。
【0016】
(システム構成)
図2図3は、画像処理システムの動作を制御するシステム構成図である。ここでは、画像形成装置101、外部コントローラ102、及びクライアントPC103のそれぞれについて、動作を制御するコントローラについて説明する。
【0017】
・印刷装置
印刷装置107は、ジョブ制御部110、露光制御部111、作像定着制御部112、給紙制御部113、及び画像読取制御部114を備える。ジョブ制御部110、露光制御部111、作像定着制御部112、給紙制御部113、及び画像読取制御部114は、内部通信ライン115を介して通信が可能である。ジョブ制御部110、露光制御部111、作像定着制御部112、給紙制御部113、及び画像読取制御部114は、各制御部間で同期をとりながら画像形成のための制御を行う。なお、ジョブ制御部110と露光制御部111とは、画像信号線116により接続される。
【0018】
ジョブ制御部110は、他の装置と通信するために、通信インタフェース(I/F)217、LAN I/F218、及びビデオI/F220を備える。ジョブ制御部110は、印刷装置107の動作を制御するためにCPU(Central Processing Unit)222、メモリ223、ストレージ221、及び内部通信I/F226を備える。ジョブ制御部110は、ユーザインタフェースとして操作部224及びディスプレイ225を備える。これらの構成部品は、システムバス227を介して相互に通信可能に接続される。
【0019】
通信I/F217は、通信ケーブル279を介してフィニッシャ109に接続され、フィニッシャ109との間の通信を制御する。印刷装置107とフィニッシャ109とにより協働で動作する場合には、通信I/F217を介して情報やデータが送受信される。LAN I/F218は、内部LAN105を介して外部コントローラ102に接続され、外部コントローラ102との間の通信を制御する。印刷装置107は、LAN I/F218を介して外部コントローラ102から印刷時の設定等を表す印刷データ等を受信する。ビデオI/F220は、ビデオケーブル106を介して外部コントローラ102に接続され、外部コントローラ102との間の通信を制御する。印刷装置107は、ビデオI/F220を介して外部コントローラ102から形成する画像を表す画像データ等を受信する。
【0020】
CPU222は、ストレージ221に格納されるコンピュータプログラムを実行することで、画像処理や印刷の制御を包括的に行う。メモリ223は、CPU222が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。印刷処理を行う場合、内部通信I/F226は、露光制御部111、作像定着制御部112、給紙制御部113、及び画像読取制御部114との間の通信を制御する。ジョブ制御部110は、CPU222により、内部通信I/F226を介して露光制御部111、作像定着制御部112、給紙制御部113、及び画像読取制御部114の動作を制御する。
【0021】
操作部224は、ユーザからの各種設定の入力や操作の指示を受け付ける入力装置である。操作部224は、例えば各種入力キーやタッチパネル等である。ディスプレイ225は、画像形成装置101の設定情報や印刷ジョブの処理状況等を表示する出力装置である。
【0022】
露光制御部111は、内部通信I/F230、CPU231、露光部232、及びメモリ233を備える。これらの構成部品は、システムバス234を介して相互に通信可能に接続される。CPU231は、内部通信I/F230を介してCPU222と通信し、CPU222の指示に基づいて露光制御部111の動作を制御する。メモリ233は、CPU231が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。
【0023】
露光部232は、感光体の表面を一様に帯電し、帯電した感光体の表面に、画像データに基づいてレーザ光を照射する。露光部232は、感光体の表面を均一な負電位に帯電させる。露光部232は、画像信号線116を介してビデオI/F220から画像データを取得する。露光部232は、取得した画像データに基づいて変調したレーザ光をレーザドライバによって出力し、回転多面鏡によりレーザ光の反射角度を調節しながら、一様に帯電された感光体の表面をレーザ光により走査する。感光体は、レーザ光が照射された位置の電位が変動し、表面に静電潜像が形成される。感光体は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応して4つ設けられる。4つの感光体にそれぞれ異なる色の静電潜像が形成される。
【0024】
作像定着制御部112は、内部通信I/F240、CPU241、作像部242、メモリ243、及び定着部244を備える。これらの構成部品は、システムバス245を介して相互に通信可能に接続される。CPU241は、内部通信I/F240を介してCPU222と通信し、CPU222の指示に基づいて作像定着制御部112の動作を制御する。メモリ243は、CPU241が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。
【0025】
作像部242は、感光体に形成したトナー像をシートに転写する。作像部242は、現像器、転写ユニット、トナー補給部等を備える。現像器は、現像シリンダから負極性に帯電したトナーを感光体の表面に形成されている静電潜像に付着させてトナー像を形成する。現像器は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応して4つ設けられる。現像器は、対応する色のトナーにより感光体の静電潜像を可視像化する。
【0026】
転写ユニットは、中間転写ベルトを有しており、感光体から中間転写ベルトにトナー像を転写する。中間転写ベルトを挟んで感光体に対向する位置には一次転写ローラが設けられる。一次転写ローラに正電位が印加されることで、4つの感光体のそれぞれからトナー像が中間転写ベルトに重畳して転写される。これにより中間転写ベルトにフルカラーのトナー像が形成される。中間転写ベルトに形成されたトナー像は、二次転写ローラによりシートに転写される。二次転写ローラは、正電位が印加されることで、中間転写ベルトからシートにフルカラーのトナー像を転写する。
【0027】
定着部244は、シートに、転写されたトナー像を定着する。定着部244は、シート上のトナー像を加熱及び加圧することでシートにトナー像を溶融固着させる。これによりシートに画像が形成される。
【0028】
給紙制御部113は、内部通信I/F250、CPU251、給紙部252、及びメモリ253を備える。これらの構成部品は、システムバス254を介して相互に通信可能に接続される。CPU251は、内部通信I/F250を介してCPU222と通信し、CPU222の指示に基づいて給紙制御部113の動作を制御する。メモリ253は、CPU251が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。給紙部252は、搬送経路に搬送ローラ等のローラと各種センサを備え、シートの給送動作を制御する。
【0029】
画像読取制御部114は、内部通信I/F260、CPU261、画像読取部262、及びメモリ263を備える。これらの構成部品は、システムバス264を介して相互に通信可能に接続される。CPU261は、内部通信I/F260を介してCPU222と通信し、CPU222の指示に基づいて画像読取制御部114の動作を制御する。メモリ263は、CPU261が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。
【0030】
画像読取部262は、CPU261の指示に基づいて、搬送されるシートに形成された画像を読み取る。CPU261は、例えばシートの表裏面の印字位置調整や画像濃度調整、色ずれ調整等を行う場合に、画像読取部262によりシートに形成される画像形成条件の調整用画像を読み取る。本実施形態では、印字位置調整用の画像として、シートの両面に形成される印字位置調整用の調整用画像が読み取られる。
【0031】
・フィニッシャ
フィニッシャ109は、例えば大容量のスタッカである。フィニッシャ109は、通信I/F271、CPU272、メモリ273、及び排紙制御部274を備える。これらの構成部品は、システムバス275を介して相互に通信可能に接続される。通信I/F271は、通信ケーブル279を介して印刷装置107に接続され、印刷装置107との間の通信を制御する。フィニッシャ109と印刷装置107とにより協働で動作する場合には、通信I/F271を介して情報やデータが送受信される。CPU272は、メモリ273に格納された制御プログラムを実行し、排紙に必要な各種制御を行う。メモリ273は、制御プログラムを格納する。また、メモリ273は、CPU272が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。排紙制御部274は、CPU272からの指示に基づいて、搬送されたシートをスタックトレイに搬送する。
【0032】
・外部コントローラ
外部コントローラ102は、他の装置と通信するために、LAN I/F213、LAN I/F214、及びビデオI/F215を備える。外部コントローラ102は、外部コントローラ102の動作を制御するためにCPU208、メモリ209、及びストレージ210を備える。外部コントローラ102は、ユーザインタフェースとしてキーボード211及びディスプレイ212を備える。これらの構成部品は、システムバス216を介して相互に通信可能に接続される。
【0033】
LAN I/F213は、外部LAN104を介してクライアントPC103に接続され、クライアントPC103との間の通信を制御する。外部コントローラ102は、クライアントPC103からLAN I/F213により印刷指示等を取得する。LAN I/F214は、内部LAN105を介して印刷装置107に接続され、印刷装置107との間の通信を制御する。外部コントローラ102は、LAN I/F214を介して印刷装置107へ印刷時の設定等を表す印刷データ等を送信する。ビデオI/F215は、ビデオケーブル106を介して印刷装置107に接続され、印刷装置107との間の通信を制御する。外部コントローラ102は、ビデオI/F215を介して印刷装置107へ画像データ等を送信する。
【0034】
CPU208は、ストレージ210に格納されるコンピュータプログラムを実行することで、クライアントPC103から取得する印刷データの受信、RIP処理、画像形成装置101への印刷データの送信等の処理を包括的に行う。メモリ209は、CPU208が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。キーボード211は、ユーザからの各種設定の入力や操作の指示を受け付ける入力装置である。ディスプレイ212は、外部コントローラ102の実行アプリケーション等の情報を静止画や動画により表示する出力装置である。
【0035】
・クライアントPC
クライアントPC103は、CPU201、メモリ202、ストレージ203、キーボード204、ディスプレイ205、及びLAN I/F206を備える。これらの構成部品は、システムバス207を介して相互に通信可能に接続される。
【0036】
CPU201は、ストレージ203に格納されたコンピュータプログラムを実行することで、クライアントPC103の動作を制御する。本実施形態では、CPU201は、印刷データの作成や印刷指示の送信処理を行う。メモリ202は、CPU201が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。キーボード204及びディスプレイ205は、ユーザインタフェースである。キーボード204は、ユーザによる指示を受け付ける入力装置である。ディスプレイ205は、クライアントPC103の実行アプリケーション等の情報を静止画や動画により表示する出力装置である。LAN I/F206は、外部LAN104を介して外部コントローラ102に接続され、外部コントローラ102との間の通信を制御する。クライアントPC103は、外部コントローラ102へLAN I/F206により印刷指示等を送信する。
【0037】
なお、外部コントローラ102と画像形成装置101とは、内部LAN105とビデオケーブル106とにより接続されているが、印刷に必要なデータの送受信が行える構成であればよく、例えば、ビデオケーブルのみで接続されていてもよい。メモリ202、メモリ209、メモリ223、メモリ233、メモリ243、メモリ253、メモリ263、及びメモリ273は、それぞれ、データやプログラムを保持するための記憶装置であればよい。これらのメモリには、例えば、揮発性のRAM(Random Access Memory)、不揮発性のROM(Read Only Memory)、ストレージ、USB(Universal Serial Bus)メモリ等を用いることができる。
【0038】
(画像形成装置の構成)
図4は、画像形成装置101の構成図である。印刷装置107の上部には、ディスプレイ225が設けられる。ディスプレイ225は、画像形成装置101の印刷状況や設定のための情報を表示する。印刷装置107で画像が形成されたシートは、後段に設けられるフィニッシャ109へ搬送される。
【0039】
印刷装置107は、給紙部252として、複数の給紙デッキ301、302、及び搬送経路303を備える。各給紙デッキ301、302には、異なる種類のシートを収容することが可能である。各給紙デッキ301、302に収容されるシートは、最上位の一枚が分離して搬送経路303へ給送される。印刷装置107は、露光部232として、画像を形成するための画像形成部304、305、306、307を備える。印刷装置107は、カラー画像を形成する。そのために、画像形成部304は、ブラック(K)の画像(トナー像)を形成する。画像形成部305は、シアン(C)の画像(トナー像)を形成する。画像形成部306は、マゼンタ(M)の画像(トナー像)を形成する。画像形成部307は、イエロー(Y)の画像(トナー像)を形成する。
【0040】
印刷装置107は、作像部242として、各画像形成部304、305、306、307からトナー像が転写される中間転写ベルト308及び二次転写ローラ309を備える。中間転写ベルト308は、図中時計回りに回転しており、画像形成部307、画像形成部306、画像形成部305、画像形成部304の順にトナー像が重畳して転写される。これにより中間転写ベルト308にフルカラーのトナー像が形成される。中間転写ベルト308は、回転することでトナー像を二次転写ローラ309へ搬送する。トナー像が二次転写ローラ309に搬送されるタイミングに合わせて、シートが二次転写ローラ309へ搬送される。二次転写ローラ309は、搬送されてきたシートに中間転写ベルト308上のトナー像を転写する。
【0041】
印刷装置107は、定着部244として、第1定着器311及び第2定着器318を備える。第1定着器311と第2定着器318とは同じ構成であり、トナー像をシートに定着させる。そのために第1定着器311及び第2定着器318は、それぞれ、加圧ローラと加熱ローラとを備える。シートは、加圧ローラと加熱ローラとの間を通過することで、加熱及び加圧され、トナー像がシートに溶融、圧着される。第2定着器318を通過したシートは、搬送経路314へ搬送される。なお、第2定着器318は、第1定着器311よりもシートの搬送方向で下流側に配置され、第1定着器311により定着処理されたシート上の画像に対するグロスの付加や、定着性の確保に用いられる。そのために第2定着器318は、シートの種類や印刷処理の内容によっては使用されないことがある。第1定着器311で定着処理されたシートを第2定着器318を介さずに搬送するために、搬送経路312が設けられる。
【0042】
搬送経路314と搬送経路312とが合流した後に、搬送経路315と反転経路316とが設けられる。両面印刷が指示される場合、シートは、反転経路316へ搬送される。反転経路316に搬送されたシートは、反転経路316で搬送方向が反転して両面搬送経路317へ搬送される。反転経路316及び両面搬送経路317により、シートは、画像が形成された面(第1面)が反転される。シートは両面搬送経路317により搬送経路303へ搬送され、二次転写ローラ309及び定着部244を通過することで、第2面へ画像が形成される。
【0043】
片面印刷の場合、或いは両面印刷で両面に画像が形成された場合、シートは、搬送経路315へ搬送される。シートの搬送方向で搬送経路315の下流側には搬送経路323が配置される。
【0044】
搬送経路323には、画像読取部262として、CIS(Contact Image Sensor)321、322が、搬送経路323を挟んで対向して配置される。図5は、CIS321、322の説明図である。CIS321は、搬送経路323を搬送されるシートの上面の画像を読み取る光学センサである。CIS322は、搬送経路323を搬送されるシートの下面の画像を読み取る光学センサである。CIS321、322は、搬送経路323を搬送されるシートが所定の位置に到達したタイミングで、画像を読み取る。搬送されるシートが調整用画像の形成された調整用チャートである場合、CIS321、322は調整用画像を読み取る。
【0045】
CIS321は、光源となるLED(Light Emitting Diode)350、受光部となる読取センサ351、及び白基準板352を備える。LED350は、搬送経路323を搬送されるシートが読取位置に到達したタイミングで、シートの上面に光を照射する。読取センサ351は、シートによる反射光を受光する、読取センサ351は、受光した反射光の光電変換を行い、電気信号である読取結果をCPU222へ送信する。このようにしてシートに形成された画像が読み取られる。読取センサ351は、シートの搬送方向に直交する方向に複数の受光素子(光電変換素子)を備える。そのために、シートの搬送方向に直交する方向が、CIS321の主走査方向となる。白基準板352は、CIS321のキャリブレーション時に用いられる。
【0046】
CIS322は、CIS321と同様に、LED353、読取センサ354、及び白基準板355を備える。CIS322は、CIS321と同様に動作して、搬送経路323を搬送されるシートが読取位置に到達したタイミングで、シートの下面に形成された画像を読み取る。なお、CIS321、322の他に、画像読取部262は、CCDセンサやCMOSセンサにより実現することもできる。
【0047】
本実施形態では、シートには、両面に形成される画像の位置(印字位置)を調整するための調整用画像が形成される。調整用画像が形成されたシートを調整用チャートという。印刷装置107は、調整用画像をシートの両面に印刷して調整用チャートを作成し、CIS321及びCIS322により両面の調整用画像を読み取る。CIS321及びCIS322による調整用チャートの読取結果は、一旦メモリ263に格納される。CPU261は、ジョブ制御部110に調整用チャートの読取結果を通知する。ジョブ制御部110のCPU222は、通知された読取結果を画像形成条件にフィードバックして、印字位置を調整する。CPU222は、更新した画像形成条件をメモリ223に格納して管理する。調整用画像は、印字位置の調整用の画像の他に、画像濃度調整用の画像や、色ずれ補正用の画像であってもよい。いずれの画像の場合であっても、印字位置の調整用の場合と同様に読取結果が処理される。
【0048】
印刷装置107の機内温度が上昇すると、印刷装置107の機内温度が低いときに比較してシートに形成される画像の位置が変動する。この場合、印刷装置107は、調整用チャートを作成し、CIS321、322の読取結果に基づいて変動量を取得し、変動量に基づいて機内温度が低いときと同じ位置になるように印字位置を調整する。これにより印刷装置107は、印字位置精度の安定化を図っている。
図6は、調整用チャートの例示図である。調整用チャートは、シートに調整用画像のみが印字されて形成される形式(図6(a))の他に、ユーザから印刷ジョブで指示された画像にアドオンして調整用画像が形成される形式(図6(b))であってもよい。
【0049】
調整用チャートは、印刷ジョブに応じた印刷物に混入しないように除外される。そのために印刷装置107は、フラッパ324、排出経路326、搬送センサ327、及び排出トレイ328を備える。CIS321、322により画像(調整用画像)が読み取られた調整用チャートは、フラッパ324により排出経路326に搬送される。排出経路326に搬送されたシートは排出トレイ328に排出される。なお、調整用チャートがユーザから印刷ジョブで指示された画像にアドオンして調整用画像が形成される形式(図6(b))の場合、シートは、排出トレイ328に排出されず、フラッパ324により搬送経路323から下流搬送経路325へ搬送される。
【0050】
シートが調整用チャートではない場合、該シートはフラッパ324により搬送経路323から下流搬送経路325へ搬送される。下流搬送経路325に搬送されたシートは、フィニッシャ109に受け渡される。なお、印刷装置107は、フィニッシャ109から搬送ジャムの発生の通知を取得した場合に、調整用チャートであるか否かにかかわらず、フラッパ324を排出経路326側に切り替えて、機内のすべてのシート(残留紙)を排出トレイ328へ排出する。残留紙が排出トレイ328に排出されることで、ユーザによるジャム処理の負荷が軽減される。
【0051】
フィニッシャ109は、印刷装置107から受け渡された多数のシートを積載することができる。フィニッシャ109は、搬送経路331及びシートを積載するスタックトレイ332を備える。搬送経路331には、搬送センサ333、334、335、336が設けられる。印刷装置107から搬送されたシートは、搬送経路331を経由して、スタックトレイ332に積載される。搬送センサ333、334、335、336は、搬送経路331を搬送されるシートの通過を検知する。CPU272は、シートの搬送を開始してから所定時間経過してもシートの搬送方向の先端あるいは後端が搬送センサ333、334、335、336に検知されない場合、フィニッシャ109内で搬送ジャム(搬送異常)が発生したと判断する。この場合、CPU272は、印刷装置107へ搬送ジャムが発生したことを通知する。フィニッシャ109は、シートの搬送方向でCIS321、322よりも下流側でシートの搬送異常を検出することになる。
【0052】
(調整モード)
画像形成条件を調整する調整モードには、一枚のシートに調整用画像のみを印刷する調整用チャート挿入モードと、リアルタイム調整モードと、がある。調整用チャート挿入モードでは、調整用チャートは、印刷されたシートが所定枚数になる毎に作成される。つまり印字位置は、所定枚数のシートへの印刷が行われる毎に調整される。所定枚数は、ユーザにより設定可能である。所定枚数の設定により印字位置の調整間隔(画像形成条件の調整間隔)が設定される。リアルタイム調整モードでは、調整用チャートは、一枚のシートに印刷ジョブで指示された画像及び調整用画像を印刷して作成される。
【0053】
図7は、調整モードの設定画面の例示図である。設定画面は、CPU222によりディスプレイ225に表示される。ユーザは、操作部224を用いて設定画面から調整モードの設定を行う。
【0054】
図7(a)は、初期画面である。ユーザが初期画面からソフトキーである「応用モード」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に図7(b)の応用モードの選択画面を表示する。ユーザが応用モードの選択画面からソフトキーである「調整」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に図7(c)の調整モード選択画面を表示する。ユーザが応用モードの選択画面からソフトキーである「閉じる」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に初期画面を表示する。
【0055】
調整用チャート挿入モードを設定する場合、ユーザが調整モード選択画面からソフトキーである「所定間隔」を選択する。これによりCPU222は、ディスプレイ225に図7(d)の調整間隔設定画面を表示する。ユーザが調整モード選択画面からソフトキーである「戻る」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に応用モードの選択画面を表示する。
【0056】
ユーザが調整間隔設定画面のテンキーにより挿入間隔枚数を入力してソフトキーである「決定」を選択すると、CPU222は、調整チャートの挿入間隔枚数を設定する。CPU222は、調整間隔設定画面により入力された挿入間隔枚数を、「決定」が選択されることでメモリ223に格納する。CPU222は、ユーザが調整間隔設定画面からソフトキーである「戻る」を選択すると、ディスプレイ225に調整モード選択画面を表示する。
【0057】
CPU222は、メモリ223に格納した挿入間隔枚数を外部コントローラ102に通知する。外部コントローラ102は、通知された挿入間隔枚数をメモリ209に格納する。外部コントローラ102は、挿入間隔枚数のシートへの印刷が行われると、印刷装置107に対して調整用チャートの作成を指示する。
例えば調整間隔設定画面で「200」枚が入力されて「決定」が選択される場合、印刷装置107は、200枚の印刷を行う毎に外部コントローラ102から調整用チャートの印刷が指示される。印刷ジョブで1000枚の印刷が指示される場合、印刷装置107は、200ページと201ページの間、400ページと401ページの間、600ページと601ページの間、800ページと801ページの間に調整用チャートを作成する。
【0058】
リアルタイム調整モードを設定する場合、ユーザが調整モード選択画面(図7(c))からソフトキーである「リアルタイム」を選択する。これによりCPU222は、ディスプレイ225に図7(e)のリアルタイム調整画面を表示する。CPU222は、リアルタイム調整画面からソフトキーである「決定」が選択されることで、リアルタイム調整モードを設定する。調整モードにリアルタイム調整モードを設定することで、CPU222は、外部コントローラ102から印刷ジョブが通知されると、該印刷ジョブの画像にアドオンして、調整用画像を印刷する。リアルタイム調整モードではすべてのシートに調整用画像が形成されるために、調整間隔が設定されない。
【0059】
以上のように調整モードが設定される。ここでは、印刷装置107により調整モードが設定される例について説明したが、調整モードは、外部コントローラ102やクライアントPC103により設定されてもよい。外部コントローラ102が用いられる場合、図7の各設定画面はディスプレイ212に表示される。設定された調整モードは、外部コントローラ102から印刷装置107へ通知される。クライアントPC103が用いられる場合、図7の各設定画面はディスプレイ205に表示される。設定された調整モードは、クライアントPC103から外部コントローラ102を介して印刷装置107へ通知される。
【0060】
(印刷処理)
本実施形態では、ジョブ制御部110のCPU222が画像読取制御部114から取得する調整用画像の読取結果(以下、「読取データ」という。)に基づいて画像形成条件を調整する。画像形成条件は複数用意される。CPU222は、画像形成条件を識別するために、各画像形成条件に識別子として画像形成条件IDを付与する。CPU222は、各ページの画像を印刷する際に用いる画像形成条件を決定し、決定した画像形成条件IDと画像形成条件の画像パラメータを各制御部へ通知する。
【0061】
露光制御部111、作像定着制御部112、給紙制御部113、及び画像読取制御部114は、ジョブ制御部110から受信した画像形成条件IDと画像形成条件の画像パラメータを、それぞれのメモリ233、243、253、263に記憶する。露光制御部111、作像定着制御部112、給紙制御部113、及び画像読取制御部114は、各ページの画像を印刷する際に通知される後述のページ情報に含まれる画像形成条件IDに基づいて記憶した画像形成条件を参照し、印刷処理を行う。
【0062】
図8は、印刷処理に用いられる各種情報の説明図である。図8(a)は、印刷装置107による1ページの画像形成についての情報(ページ情報)の説明図である。ページ情報は、印刷データに基づいて1ページ毎に生成される。ページ情報は、ページIDにより識別される。ページ情報には、印刷に用いるシートのサイズ、坪量、シートの種類(紙種)、給紙デッキID、調整チャート情報、画像形成条件ID等が含まれる。シートのサイズは、シートの搬送方向に直交する方向(主走査方向)の長さ(紙幅)、及びシートの搬送方向(副走査方向)の長さ(紙長)である。給紙デッキIDは、シートの給送元となる給紙デッキを表す。調整チャート情報は、該ページが調整用チャートであるか否かを表す。画像形成条件IDは、印刷時の画像形成条件を識別する。CPU222は、ページ情報に基づいてシートへの印刷制御等を行う。
【0063】
図8(b)は、画像形成条件の説明図である。画像形成条件は、画像形成条件IDが付与されており、1以上の画像パラメータを含むパケットである。画像形成条件は、給紙デッキ或いはシートの種類(紙種)に紐付けされてメモリ233に格納される。
【0064】
図8(c)は、給紙デッキに紐付けされた画像形成条件の説明図である。画像形成条件は、画像形成条件の調整に用いられた調整用チャートのシートの給送元の給紙デッキに紐付けされる。図8(c)の例では、給紙デッキ301(第1給紙デッキ)に「画像形成条件パケット11」及び「画像形成条件パケット12」が紐付けされる。給紙デッキ302(第2給紙デッキ)に「画像形成条件パケット21」及び「画像形成条件パケット22」が紐付けされる。つまり給紙デッキ301から給送されるシートに印刷する場合、画像形成条件パケット11、画像形成条件パケット12等のいずれかが画像形成条件に設定される。給紙デッキ302から給送されるシートに印刷する場合、画像形成条件パケット21、画像形成条件パケット22等のいずれかが画像形成条件に設定される。送信フラグは、画像形成条件パケットが各制御部へ送信済みであるか否かを表す。
【0065】
図8(d)は、紙種に紐付けされた画像形成条件の説明図である。画像形成条件は、画像形成条件の調整に用いられた調整用チャートのシートの種類に紐付けされる。図8(d)の例では、紙種Aに「画像形成条件パケットA1」及び「画像形成条件パケットA2」が紐付けされる。紙種Bに「画像形成条件パケットB1」及び「画像形成条件パケットB2」が紐付けされる。つまり紙種Aのシートに印刷する場合、画像形成条件パケットA1、画像形成条件パケットA2等のいずれかが画像形成条件に設定される。紙種Bのシートに印刷する場合、画像形成条件パケットB1、画像形成条件パケットB2等のいずれかが画像形成条件に設定される。送信フラグは、画像形成条件パケットが各制御部へ送信済みであるか否かを表す。
【0066】
図9は、印刷処理を表すフローチャートである。
【0067】
CPU222は、外部コントローラ102から印刷データを取得するまで待機する(S601:N)。CPU222は、外部コントローラ102から印刷データを取得すると(S601:Y)、印刷開始処理を行う(S602)。CPU222は、印刷開始処理により、露光制御部111、作像定着制御部112、給紙制御部113、及び画像読取制御部114に対して印刷開始を通知する。
【0068】
CPU222は、調整用画像の読取結果である読取データを画像読取制御部114から取得したか否か判断する(S603)。調整用画像の読取データを取得した場合(S603:Y)、CPU222は、取得した読取データに基づいて画像形成条件を調整してメモリ223に保存する(S604)。調整後の画像形成条件には画像形成条件IDが付与され、画像形成条件パケットとしてメモリ223に保存される。送信フラグ(図8(c)、図8(d))は、画像形成条件が調整された際にオフに設定される。
【0069】
調整用画像の読取データを取得していない場合(S603:N)、或いは画像形成条件の調整後に、CPU222は、画像をシートに印刷する際に用いる画像形成条件を決定する(S605)。CPU222は、印刷データで指示される給紙デッキや紙種等に基づいて、図8(c)や図8(d)の情報を参照して画像形成条件を決定する。
【0070】
CPU222は、決定した画像形成条件を露光制御部111、作像定着制御部112、給紙制御部113、及び画像読取制御部114に通知済みか否か判断する(S606)。CPU222は、送信フラグにより画像形成条件が通知済みであるか否かを判断する。送信フラグは、オンであれば通知済みを表し、オフであれば未通知を表す。
【0071】
未通知である場合(S606:N)、CPU222は、決定した画像形成条件を露光制御部111、作像定着制御部112、給紙制御部113、画像読取制御部114に通知する(S607)。通知後にCPU222は、送信フラグをオンに設定する。画像形成条件は、図8(b)に示したように画像形成条件IDを含んだ画像形成条件パケットとして通知される。
【0072】
画像形成条件の通知後に、CPU222は、印刷データに応じたページ情報を生成して、露光制御部111、作像定着制御部112、給紙制御部113、及び画像読取制御部114に通知する(S608)。画像形成条件がすでに通知済みである場合(S606:Y)、CPU222は、画像形成条件を通知することなくページ情報を各制御部へ通知する。図8(a)に示すように、ページ情報は画像形成条件IDを含んでいる。CPU222は、例えば印刷データ(ページ情報)の「給紙デッキID」や「紙種」と図8(c)や図8(d)に示す情報とから画像形成条件パケット(画像形成条件ID)を決定する。CPU222は、決定した画像形成条件IDを含んでページ情報を生成する。なお、調整用画像を印字せず、画像読取制御部114による調整用画像の読み取りが必要ない場合、CPU222は画像読取制御部114にページ情報を通知しない。
【0073】
CPU222は、画像形成条件に基づいて、印刷データから画像データを生成する(S609)。調整モードがリアルタイム調整モードに設定されている場合、CPU222は、外部コントローラ102から通知された印刷ジョブによる画像に調整用画像をアドオンした画像データを生成する。CPU222は、生成した画像データを露光制御部111及び作像定着制御部112へ送信する(S610)。
【0074】
画像データを送信したCPU222は、印刷データに後続ページがあるか否かを判断する(S611)。後続ページがある場合(S611:Y)、CPU222は、S603以降の処理を後続ページがなくなるまで繰り返し行う。後続ページがない場合(S611:N)、CPU222は、印刷終了処理を行う(S612)。CPU222は、印刷終了処理により、露光制御部111、作像定着制御部112、給紙制御部113、及び画像読取制御部114に対して印刷終了を通知する。以上のように印刷処理が行われる。
【0075】
図10は、印刷処理時の露光制御部111の処理を表すフローチャートである。
【0076】
露光制御部111のCPU231は、ジョブ制御部110から印刷開始が通知されるまで待機する(S701:N)。CPU231は、ジョブ制御部110から印刷開始が通知されると(S701:Y)、S607の処理によりジョブ制御部110から通知された画像形成条件を取得したか否かを判断する(S702)。画像形成条件を取得した場合(S702:Y)、CPU231は、取得した画像形成条件を画像形成条件IDとともにメモリ233に保存する(S703)。
【0077】
画像形成条件を取得しない場合(S702:N)、或いは取得した画像形成条件を保存した後に、CPU231は、ジョブ制御部110から通知されたページ情報を取得する(S704)。CPU231は、取得したページ情報に含まれる画像形成条件IDに基づいて、メモリ233から画像形成条件を選択して設定する(S705)。例えば、CPU231は、選択した画像形成条件に基づいて、露光部232にレーザ光の発光区間の設定等を行う。CPU231は、ジョブ制御部110から取得する画像データに基づいて、露光部232によるレーザ光の出力を制御する(S706)。
【0078】
CPU231は、ジョブ制御部110から印刷終了が通知されたか否かを判断する(S707)。印刷終了が通知されていない場合(S707:N)、CPU231は、S702以降の処理を印刷終了が通知されるまで繰り返し行う。印刷終了が通知されている場合(S707:Y)、CPU231は処理を終了する。処理を終了したCPU231は、ジョブ制御部110からの印刷開始の待機状態になる。
【0079】
図11は、印刷処理時の作像定着制御部112の処理を表すフローチャートである。
【0080】
作像定着制御部112のCPU241は、ジョブ制御部110から印刷開始が通知されるまで待機する(S801:N)。CPU241は、ジョブ制御部110から印刷開始が通知されると(S801:Y)、S607の処理によりジョブ制御部110から通知された画像形成条件を取得したか否かを判断する(S802)。画像形成条件を取得した場合(S802:Y)、CPU241は、取得した画像形成条件を画像形成条件IDとともにメモリ243に保存する(S803)。
【0081】
画像形成条件を取得しない場合(S802:N)、或いは取得した画像形成条件を保存した後に、CPU241は、ジョブ制御部110から通知されたページ情報を取得する(S804)。CPU241は、取得したページ情報に含まれる画像形成条件IDに基づいて、メモリ243から画像形成条件を選択して設定する(S805)。例えば、CPU241は、選択した画像形成条件に基づいて、作像部242に静電潜像をトナーにより現像する際のトナー量やシートにトナー像を転写する際の転写強度等を設定する。CPU241は、ジョブ制御部110から取得する画像データに基づいて、作像部242による作像処理を制御する(S806)。CPU241は、定着部244による定着処理を制御する(S807)。
【0082】
CPU241は、ジョブ制御部110から印刷終了が通知されたか否かを判断する(S808)。印刷終了が通知されていない場合(S808:N)、CPU241は、S802以降の処理を印刷終了が通知されるまで繰り返し行う。印刷終了が通知されている場合(S808:Y)、CPU241は処理を終了する。処理を終了したCPU241は、ジョブ制御部110からの印刷開始の待機状態になる。
【0083】
図12は、印刷処理時の画像読取制御部114の処理を表すフローチャートである。
【0084】
画像読取制御部114のCPU261は、ジョブ制御部110から印刷開始が通知されるまで待機する(S901:N)。CPU261は、ジョブ制御部110から印刷開始が通知されると(S901:Y)、S607の処理によりジョブ制御部110から通知された画像形成条件を取得したか否かを判断する(S902)。画像形成条件を取得した場合(S902:Y)、CPU261は、取得した画像形成条件を画像形成条件IDとともにメモリ263に保存する(S903)。
【0085】
画像形成条件を取得しない場合(S902:N)、或いは取得した画像形成条件を保存した後に、CPU261は、ジョブ制御部110からページ情報を受信したか否かを判断する(S904)。上記の通り、ページ情報は、画像読取制御部114による調整用画像の読み取りが必要ない場合に通知されない。
【0086】
ページ情報を受信する場合(S904:Y)、CPU261は、該ページ情報を取得する(S905)。その後、CPU261は、調整用チャートが画像読取部262の読取位置に到達するまで待機する(S906:N)。調整用チャートの読取位置への到達は、例えばシートの搬送方向でCIS322の上流側にシートを検知するセンサを設け、該センサの検知結果により判断される。
【0087】
調整用チャートが読取位置に到達すると(S906:Y)、CPU261は、画像読取部262により調整用チャートの読取処理を実行する(S907)。CPU261は、メモリ263に調整用チャートの読取結果である読取データを保存するとともに、ジョブ制御部110へ読取データを送信する(S908)。ジョブ制御部110は、この読取データに基づいて画像形成条件を調整する。
【0088】
読取データの保存及び通知後に、CPU261は、ジョブ制御部110から印刷終了が通知されたか否かを判断する(S909)。なお、ページ情報を受信しない場合(S904:N)、CPU261は、S905~S908の処理を行わずに、印刷終了の通知の有無を判断する。印刷終了が通知されていない場合(S909:N)、CPU261は、S902以降の処理を印刷終了が通知されるまで繰り返し行う。印刷終了が通知されている場合(S909:Y)、CPU261は処理を終了する。処理を終了したCPU261は、ジョブ制御部110からの印刷開始の待機状態になる。
【0089】
以上のような処理により、画像形成装置101は、連続して複数のページに印刷を行いながら画像形成条件を切り替える場合であっても、同一ページの画像を同一の画像形成条件で印刷することができる。図13は、本実施形態の効果の説明図である。
【0090】
図13(a)は、従来の画像形成条件の切替時のタイミングチャートである。図13(a)では、画像形成条件が、ジョブ制御部110で4番目の画像(ページ)と5番目の画像(ページ)との間のタイミングで画像形成条件Aから画像形成条件Bに切り替えられる。このタイミングは、露光制御部111では3番目の画像と4番目の画像との間であり、作像定着制御部112では2番目の画像と3番目の画像との間である。そのために、3番目の画像及び4番目の画像は、同一ページの画像であるにもかかわらず、各制御部で異なる画像形成条件により印刷処理が行われる。
【0091】
図13(b)は、リアルタイム調整モードの場合の画像形成条件の切替時のタイミングチャートである。ジョブ制御部110が5番目の画像の処理を行う際に、ページ情報により他の制御部の画像形成条件が切り替わる。そのために、1番目~4番目の画像は画像形成条件Aで印刷され、5番目以降の画像は画像形成条件Bで印刷される。
【0092】
図13(c)は、調整用チャート挿入モードの場合の画像形成条件の切替時のタイミングチャートである。2番目の画像が調整用画像である。画像読取部262による調整用画像の読取結果に基づいて画像形成条件Cが決定される。6番目以降の画像が画像形成条件Cで印刷される。
【0093】
このように本実施形態では、同一ページの画像は同一の画像形成条件により印刷される。そのために同一ページに印刷される画像の画質が維持される。そのために印刷物の品質低下が抑制される。
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