(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241028BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20241028BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241028BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
G03G21/00 388
G03G21/00 398
G03G15/20 510
B41J29/38 104
H04N1/00 885
H04N1/00 567H
(21)【出願番号】P 2020094059
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】大舘 崇
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 敬造
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-295037(JP,A)
【文献】特開2015-171127(JP,A)
【文献】特開2017-140851(JP,A)
【文献】特開2016-184028(JP,A)
【文献】特開平09-030686(JP,A)
【文献】特開2003-306253(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0158067(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/20
B41J 29/00 - 29/70
H04N 1/00
B41J 11/00 - 11/70
B41J 13/00 - 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内の各部に電力を供給する通常状態、及び装置内の一部に電力を供給する省電力状態の2つの動作状態を有し、前記通常状態において画像形成を行う画像形成装置であって、
画像形成のための記録材が載置される給紙手段と、
前記給紙手段に載置された記録材の有無を検知する検知手段と、
記録材の画像形成を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記動作状態が前記省電力状態の場合には、前記検知手段が記録材の有無を検知するために所定時間、前記検知手段に電力を供給して前記検知手段の検知結果を取得する第1の監視状態とし、
前記検知手段の検知結果が変化した場合には、前記所定時間よりも長い時間、前記検知手段に電力を供給するとともに前記検知手段の検知結果を取得する第2の監視状態に切り替えた後に、前記動作状態を前記省電力状態から前記通常状態に移行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記動作状態が前記省電力状態の場合には、前記給紙手段に記録材が載置されたことを監視する前記第1の監視状態に設定され、前記検知手段が前記給紙手段に記録材が載置されたことを検知すると、前記検知手段による検知結果が有効であることを確定させるために前記第2の監視状態に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の監視状態において、前記検知手段が前記給紙手段に記録材が載置されたことを少なくとも1回以上、検知すると、前記第2の監視状態に切り替えることを特徴とする請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2の監視状態において、前記検知手段が前記給紙手段に記録材が載置されたことを所定回数以上、検知すると、前記動作状態を前記通常状態に移行することを特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2の監視状態において、前記検知手段が前記給紙手段に記録材が載置されたことを所定回数以上、検知しない場合には、前記第1の監視状態に切り替えることを特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の監視状態において前記検知手段が前記給紙手段に記録材が載置されたことを検知する時間は、前記第1の監視状態において前記検知手段が前記給紙手段に記録材が載置されたことを検知する時間よりも長いことを特徴とする請求項
4又は請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検知手段への電力の供給又は遮断を行う第1のスイッチ手段を備え、
前記制御手段は、前記検知手段が記録材の有無を検知する際に、前記第1のスイッチ手段を制御して前記検知手段に電力を供給することを特徴とする請求項
2から請求項
6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検知手段は、光ビームを出射する発光部と、前記光ビームを検知する受光部と、前記給紙手段に記録材が載置されていない場合には前記光ビームを遮光し、前記給紙手段に記録材が載置されている場合には前記光ビームを透過するフラグと、を有することを特徴とする請求項
7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第1の監視状態又は前記第2の監視状態に応じて前記発光部に流れる電流値を切替え、前記第1の監視状態において前記発光部に流れる電流値は、前記第2の監視状態において前記発光部に流れる電流値よりも小さいことを特徴とする請求項
8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1のスイッチ手段と前記検知手段の前記発光部との間に、一端が前記検知手段と接続された第1の抵抗、及び前記第1の抵抗の他端と前記第1のスイッチ手段との間の経路を接続又は切断する第2のスイッチ手段が直列に接続された回路と、前記回路と並列に接続された第2の抵抗と、を有し、
前記制御手段は、前記第1の監視状態では前記第2のスイッチ手段を制御して前記第1の抵抗と前記第1のスイッチ手段との間の経路を切断することにより、前記第2の抵抗を前記発光部と接続し、前記第2の監視状態では前記第2のスイッチ手段を制御して前記第1の抵抗と前記第1のスイッチ手段との間の経路を接続することにより、並列に接続された前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗を前記発光部に接続することを特徴とする請求項
9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記検知手段が記録材の有無を検知する際に、前記検知手段に電力を供給することを特徴とする請求項
2から請求項
6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成装置にデータ又は指示を入力するための操作部を備え、
前記制御手段は、前記第1の監視状態又は前記第2の監視状態において、前記操作部からの前記データ又は前記指示が入力された場合には、前記動作状態を前記通常状態に移行することを特徴とする請求項
2から請求項
11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置において、省電力化が強く求められている。特に、画像形成装置においては、画像形成動作を行っていない待機状態における消費電力を低減させる省電力化が要求されている。このような省電力化に対応するため、待機状態において必要最小限の機能のみを有効にすることで、消費電力を低減する省電力モードを有する画像形成装置が増えている。画像形成装置が動作モードを省電力モードから画像形成動作を行う通常モードに移行するためには、例えばユーザが画像形成装置の操作部等から通常モードに切り替えるための操作を行う必要がある。通常モードに切り替えるためのその他の操作としては、例えば画像形成装置の給紙カセットの着脱、カートリッジを交換する際の保守用ドアの開閉、手差しトレイへの用紙補給又は取り除き、外部コンピュータからのプリントジョブ受信などが挙げられる。
【0003】
省電力モードでは、消費電力を低減するため、例えばCPUを間欠動作させることでCPUの消費電力を低減する。また、例えば、画像形成装置を省電力モードから通常モードへ移行させるためにユーザが操作するユニットの状態変化を検知する検知部のみに電力供給を行うことで、画像形成装置の消費電力を低減している。ユニットの状態変化を検知した検知部から出力される信号は、CPUに割り込み信号として入力される。省電力モード時に割り込み信号が入力されることにより、ユニットの状態変化を通知されたCPUは、画像形成装置を省電力モードから通常モードへと移行させる。
【0004】
例えば、特許文献1では、画像形成装置が省電力モード時に手差しトレイの用紙が載置されていない状態から載置された状態に変化したことを検知したときに、動作モードを省電力モードから通常モードに移行する構成について記載されている。省電力モード時においても、手差しトレイの用紙の有無を検知する検知部に電力供給を行うことで、ユーザが画像形成を行うために行う操作を検知することができ、省電力モードから通常モードへの移行を短い時間で行うことができる。これにより、ユーザビリティを向上させることができる。しかしながら、省電力モード時にも検知部に電力供給を行わなければならないため、例えば検知部にフォトインタラプタのような光センサを用いる場合には、常時、発光部から光ビームが出射されるため、電力消費が大きくなってしまうという課題が生じる。そこで、例えば特許文献2では、フォトインタラプタへの電力供給、遮断を周期的に切り替え可能な構成とし、画像形成装置の状態やセンサの状態に応じて電力供給を行う時間を変更することで、フォトインタラプタの電力消費を抑える構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-77714号公報
【文献】特開平8-204890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したフォトインタラプタ等のセンサの状態を取得する場合には、ノイズ等による誤検知を防止するために、センサの状態を複数回取得して状態判定を行う必要がある。センサの状態を複数回取得して、同じ状態が規定回数以上である場合や、一定回数以上連続で同じ状態を検出した場合には、取得した状態を有効として確定させる方法が一般的である。そのため、センサの状態を確定させるためには、数十msec(ミリ秒)~数百msecの時間を要することになる。例えば、上述した特許文献2のように、フォトインタラプタへの電力供給、遮断を周期的に繰り返す場合には、電力供給期間は数十msec~数百msec必要である。そのため、電源供給を遮断することによる電力消費を抑える効果を十分に発揮するためには、電力供給を遮断する時間を電力供給時間の数倍(数百msec~数sec)設ける必要がある。電力供給を遮断する時間が長くなってしまうと、その間に、ユーザが画像形成装置の操作部等から通常モードに切り替えるための操作を行ったとしても、電力供給が遮断されている期間には、画像形成装置の制御部はユーザによる操作を検知することができない。その結果、電力供給が行われる期間になって、制御部はユーザによる操作部等の操作を検知することになり、ユーザによる操作を検知するまでにタイムラグが生じる。そして、その後、制御部は、画像形成装置の動作モードを通常モードに切り替える制御を行うため、ユーザの操作タイミングから、実際に画像形成装置が通常モードに切り替わるまでのタイムラグにより、ユーザビリティが低下してしまうことになる。逆に、電力供給を遮断する期間を短くすると、ユーザビリティは向上するものの、フォトインタラプタ等のセンサによる電力消費の軽減が十分に行えないことになる。
【0007】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、ユーザビリティを低下させることなく、省電力モード時の消費電力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明では、以下の構成を備える。
【0009】
(1)装置内の各部に電力を供給する通常状態、及び装置内の一部に電力を供給する省電力状態の2つの動作状態を有し、前記通常状態において画像形成を行う画像形成装置であって、画像形成のための記録材が載置される給紙手段と、前記給紙手段に載置された記録材の有無を検知する検知手段と、記録材の画像形成を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記動作状態が前記省電力状態の場合には、前記検知手段が記録材の有無を検知するために所定時間、前記検知手段に電力を供給して前記検知手段の検知結果を取得する第1の監視状態とし、前記検知手段の検知結果が変化した場合には、前記所定時間よりも長い時間、前記検知手段に電力を供給するとともに前記検知手段の検知結果を取得する第2の監視状態に切り替えた後に、前記動作状態を前記省電力状態から前記通常状態に移行することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザビリティを低下させることなく、省電力モード時の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1の制御部の周辺回路の構成を示す回路図
【
図2】実施例1の監視モードを説明するタイミングチャート
【
図3】実施例1の第1監視モードの制御シーケンスを示すフローチャート
【
図4】実施例1の第2監視モードの制御シーケンスを示すフローチャート
【
図5】実施例1の制御部の周辺回路のその他の構成を示す回路図
【
図6】実施例2の制御部の周辺回路の構成を示す回路図、及び監視モードを説明するタイミングチャート
【
図7】実施例3の画像形成装置の構成を示す概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
[制御部の周辺回路の構成]
図1は、実施例1における画像形成装置を制御する制御部の周辺回路の回路構成を示す回路図である。制御部(制御手段)であるCPU101は、電源電圧Vaを供給され、画像形成装置の画像形成動作やユーザの操作部からの入力等に応じた各種制御を行う。また、CPU101は、各種スイッチ(例えばドアスイッチ、電源スイッチ等)の状態を検知するための端子や、各状態検知部からの情報を取得するための端子、各状態検知部への電源電圧の供給、供給停止を行う制御信号を出力するための端子を備えている。
【0014】
図1において、ドアスイッチ108は、例えば画像形成装置の画像形成部として使用されるカートリッジを交換する際に開閉操作が行われる保守用ドアの開閉状態を検知するスイッチである。ドアスイッチ108は、一端がグランド(GND)に接続され、他端は抵抗107を介して電源電圧Vaと接続されるとともに、CPU101の端子Eにも接続されている。保守用ドアが開いた状態では、ドアスイッチ108は開放状態(オープン状態)となり、CPU101の端子Eにはハイレベルの信号が入力される。一方、保守用ドアが閉じた状態では、ドアスイッチ108は接続状態となり、CPU101の端子Eにはローレベルの信号が入力される。
【0015】
また、電源スイッチ110は、画像形成装置の電源のオン・オフを行うためのスイッチである。電源スイッチ110は、一端がグランド(GND)に接続され、他端は抵抗109を介して電源電圧Vaと接続されるとともに、CPU101の端子Fにも接続されている。電源スイッチ110はオンされると接続状態となり、CPU101の端子Fにはローレベルの信号が入力される。一方、電源スイッチ110はオフされると開放状態となり、CPU101の端子Fにはハイレベルの信号が入力される。
【0016】
検知手段であるフォトインタラプタ103は、給紙手段である手差しトレイに用紙が載置されているかどうかを検知する検知部である。フォトインタラプタ103は、光ビームを出射する発光部であるLED(発光ダイオード)と、LEDから出射された光ビームに応じて、オン又はオフする受光部であるフォトトランジスタと、から構成されている。フォトインタラプタ103のLEDのアノード端子は、抵抗105を介して電源電圧Vsと接続されている。一方、フォトトランジスタは、エミッタ端子がグランド(GND)に接続され、コレクタ端子が抵抗106を介して電源電圧Vaと接続されるとともに、CPU101の端子Aと接続されている。そして、LEDとフォトトランジスタとの間には、手差しトレイの用紙の有無に応じて、位置が変化するフラグが設けられている。手差しトレイに用紙が載置されていない場合には、フラグはLEDとフォトトランジスタとの間に位置する構成となっている。そのため、LEDから出射された光ビームはフラグにより遮られた遮光状態となるため、フォトトランジスタはオフ状態となる。その結果、CPU101の端子Aは、抵抗106を介して電源電圧Vaが入力されるため、ハイレベルとなる。一方、手差しトレイに用紙が載置されている場合には、フラグはLEDとフォトトランジスタとの間から外れた位置に移動する構成となっている。そのため、LEDから出射された光ビームはフラグにより遮られず、透過されるため、フォトトランジスタはオン状態となり、抵抗106を介して電源電圧Vaから電流が流れ込む。その結果、フォトトランジスタのコレクタ端子の電位はグランド電位と同様の電位となるため、CPU101の端子Aはローレベルとなる。
【0017】
フォトインタラプタ115は、フォトインタラプタ103と同様の構成を有する検知部である。本実施例では、例えば、画像形成装置の給紙カセット内に収容された用紙の有無を検知するセンサや、画像形成装置に着脱可能に装着され、画像形成を行うカートリッジ等の有無を検知するセンサ等の、装置の状態を検知する各種の検知部が含まれる。フォトインタラプタ115のLEDのアノード端子は、抵抗114を介して電源電圧Vbと接続されている。一方、フォトトランジスタのエミッタ端子はグランド(GND)に接続され、コレクタ端子は抵抗113を介して電源電圧Vbと接続されるとともに、CPU101の端子Bと接続されている。
【0018】
抵抗105、107、109、114は、それぞれフォトインタラプタ103のLED.ドアスイッチ108、電源スイッチ110.及びフォトインタラプタ115のLEDに流れる電流の制限抵抗である。また、抵抗106、113は、フォトインタラプタ103、115において、LEDからの光ビームがフラグにより遮光されているときの端子A、Bの状態を確定させるためのプルアップ抵抗である。
【0019】
電界効果トランジスタ(以下、FETという)104は、Nチャネル型のFETである。FET104は、画像形成装置の電源装置(不図示)から常時供給される電源電圧Vaをフォトインタラプタ103用の電源電圧Vsとして供給するためのスイッチ(第1のスイッチ手段)である。CPU101の端子CからFET104のゲート端子への出力がハイレベルの場合には、FET104はオン状態となって、電源電圧Vaがフォトインタラプタ103に供給される。一方、CPU101の端子CからFET104のゲート端子への出力がローレベルの場合には、FET104はオフ状態となって、電源電圧Vaのフォトインタラプタ103への供給が遮断される。
【0020】
FET102は、Pチャネル型のFETであり、画像形成装置の電源装置(不図示)から常時供給される電源電圧Vaをフォトインタラプタ115用の電源電圧Vbとして供給するためのスイッチである。CPU101の端子DからFET102のゲート端子への出力がローレベルの場合には、FET102はオン状態となって、電源電圧Vbがフォトインタラプタ115に供給される。一方、CPU101の端子DからFET102のゲート端子への出力がハイレベルの場合には、FET102はオフ状態となって、電源電圧Vbのフォトインタラプタ115への供給が遮断される。
【0021】
[省電力モード]
次に、本実施例の省電力モードについて説明する。本実施例の画像形成装置では、動作状態(以下、動作モードという)として、画像形成装置内の各部に電力を供給する通常状態と、画像形成装置内の一部に電力を供給し、消費電量を低減した省電力状態と、を有している。通常状態(以下、通常モードという)では、用紙への画像形成が行われ、省電力状態(以下、省電力モードという)では、用紙への画像形成は行われない。そして、CPU101は、通常モードにおいて、用紙への印刷を行う画像形成動作が所定時間、行われなかった場合には、画像形成装置の動作モードを通常モードから省電力モードに移行する。なお、所定時間は変更可能であり、外部のホストコンピュータからのコマンドや画像形成装置に設けられた操作部から変更することができる。また、外部のホストコンピュータからのコマンドに応じて、所定時間が経過する前に、強制的に通常モードから省電力モードに移行させることも可能である。
【0022】
CPU101は、省電力モードに移行すると、例えば外部に設けられた水晶発信子からのクロック信号(周波数20MHz)による発振モードから、CPU101内部のCR発振によるクロック信号(周波数数kHz)の発振モードに切り替える。更に、CPU101は、CPU101内の省電力モードでは稼動しない制御ブロックへの電力供給を遮断することで、CPU101内部の省電力化を行う。また、例えば、上述したフォトインタラプタ103、ドアスイッチ108、及び電源スイッチ110からの信号が入力される端子A、E、Fを外部割り込み端子に変更する。これにより、フォトインタラプタ103、ドアスイッチ108、及び電源スイッチ110から入力される信号の状態が変化した場合に割り込み信号が発生して、CPU101が起動され、画像形成装置を省電力モードから通常モードに移行させる。
【0023】
また、上述したフォトインタラプタ115は、省電力モード時には状態を検知する必要がない装置を対象とする検知部である。そのため、CPU101は、省電力モード時にはFET102をオフ状態に設定して、フォトインタラプタ115への電源電圧Vbの供給を遮断することにより、省電力モード時の消費電力を抑えることができる。一方、フォトインタラプタ103のフォトトランジスタから出力される信号が入力される端子Aを外部割り込み端子に配置したとしても、省電力モードでは発光素子であるLEDには常に電流が流れているため、電力消費量が大きい。そのため、本実施例では、フォトインタラプタ103に対して、以下に説明する監視モードを適用することとする。
【0024】
[監視モード]
本実施例の監視モードとは、端子Aに入力されるフォトインタラプタ103のフォトトランジスタの状態の変化を監視する動作状態のことであり、第1監視モードと第2監視モードから構成されている。第1監視モード(第1の監視状態)は、画像形成装置の動作モードが省電力モード時において、CPU101が端子Aに入力されるフォトインタラプタ103のフォトトランジスタの状態変化を検知するまで実施する監視モードである。一方、第2監視モード(第2の監視状態)は、第1監視モードにおいてCPU101が端子Aに入力されるフォトインタラプタ103のフォトトランジスタの状態変化を検知した場合に、検知した状態変化が有効かどうか判断するために実行する監視モードである。
【0025】
(第1監視モード)
本実施例の第1監視モードにおける制御動作について、
図2[A]及び
図3を用いて説明する。
図2[A]は、
図1で説明した回路の第1監視モードにおけるCPU101の動作を説明するタイミングチャートである。
図2[A]において、(a)は画像形成装置の動作モードを示しており、ここでは、動作モードは「省電力モード」となっている。(b)は電源電圧Vaの電圧を示し、(c)はCPU101の端子Cから出力され、FET104のゲート端子に入力されるゲート信号を示し、(d)はFET104がオン状態時にフォトインタラプタ103に入力される電源電圧Vsの電圧を示している。FET104のゲート端子にハイレベルの信号が入力されると、FET104はオン状態となり、電源電圧VaからFET104を介してフォトインタラプタ103に電源電圧Vsが供給される。
【0026】
(e)は、フォトインタラプタ103のフォトトランジスタの状態に応じて、CPU101の端子Aに入力される信号を示している。手差しトレイに用紙が載置されていない場合には、フラグがLEDからの光ビームを遮光する位置にある。電源電圧Vsが抵抗105を介してフォトインタラプタ103のLEDに入力されるときには、LEDから光ビームが出射されるが、フラグにより遮光されるため、フォトトランジスタはオフ状態となり、端子Aにはハイレベル信号が入力される。一方、手差しトレイに用紙が載置されている場合には、フラグがLEDからの光ビームを遮光する位置から外れた位置に移動する。電源電圧Vsが抵抗105を介してフォトインタラプタ103のLEDに入力されるときには、LEDから光ビームが出射され、フラグによる遮光された状態ではないため、フォトトランジスタはオン状態となり、端子Aにはローレベル信号が入力される。(f)は、CPU101が端子Aの入力信号を取得するタイミングを示しており、CPU101は(f)に示す信号がハイレベルの期間に、端子Aへの入力信号を取得する。時間Toffは、CPU101が端子Aの入力信号を取得する期間が終了してから、次回の端子Aの入力信号を取得する期間までの期間を示す。なお、
図2[A]の各グラフの横軸は、時間tを示し、T1、T2、T3、T4は時間(タイミング)を示す。なお、以下の第1監視モードの説明において、括弧内の(a)~(f)は、
図2[A]の(a)~(f)に対応する。
【0027】
図3は、第1監視モードにおける制御シーケンスを示すフローチャートである。
図3に示す処理は、画像形成装置の動作モードが省電力モードに移行すると起動され、CPU101により実行される。なお、CPU101は、時間を計測するタイマを有しているものとする。また、CPU101は、
図1には不図示の手段で、ユーザによる操作部からの入力や、外部のコンピュータからの印刷ジョブ入力を検知できるものとする。
【0028】
ステップ(以下、Sとする)11では、CPU101は、端子Cからローレベル信号を出力し((c))、FET104をオフ状態に設定する。これにより、フォトインタラプタ103は電源電圧Vsが供給されない((d))ため、フォトインタラプタ103のフォトトランジスタはオフ状態となり、CPU101の端子Aの入力はハイレベルとなる((e))。そして、CPU101はタイマをリセットし、スタートさせる。S12では、CPU101は、タイマを参照し、時間Toffが経過したかどうか判断する((f))。CPU101は、時間Toffが経過したと判断した場合には処理をS13に進め、時間Toffが経過していないと判断した場合には処理をS12に戻す。
【0029】
S13では、CPU101は、端子Cからハイレベル信号を出力し((c))、FET104をオン状態に設定する。これにより、FET104を介して、電源電圧Va((b))から電源電圧Vs((d))が供給され、フォトインタラプタ103のLEDに電源電圧Vsが入力され、光ビームが出射される。そして、CPU101は、端子Aの入力信号の取得回数のカウンタをリセットして0に設定し、処理をS14に進める。S14では、CPU101は、端子Aの入力信号(ハイレベル(H)、ローレベル(L))を取得し((e)、(f))、取得回数のカウンタを1加算する。S15では、CPU101は、端子Aの入力信号の取得回数を示すカウンタの値がN以上かどうか判断する。CPU101は、カウンタの値がN以上であると判断した場合には処理をS16に進め、カウンタの値がN未満であると判断した場合には処理をS14に戻す。
【0030】
S16では、CPU101は、S14の処理で取得した端子Aの入力信号において、ハイレベルからローレベルへの入力信号の変化があるか、すなわち端子Aの入力信号はローレベルかどうか判断する。CPU101は、入力信号のローレベルへの変化があったと判断した場合には処理をS17に進め、入力信号の変化がなかったと判断した場合には処理をS18に進める。S17では、CPU101は、後述する第2監視モードの処理に移行する。S18では、CPU101は、ユーザによる操作部の入力操作や外部のコンピュータからの印刷ジョブ入力を検知したかどうか判断する。CPU101は、操作部の入力や印刷ジョブ入力の検知をした場合には処理をS19に進め、操作部の入力操作や印刷ジョブ入力の検知をしていない場合には処理をS11に戻す。S19では、CPU101は、操作部の操作等によるユーザからの通常モードの移行指示に応じて、画像形成装置の動作モードを省電力モードから通常モードに移行させる。
【0031】
図2[A]を用いて、上述した
図3の処理について具体的に説明する。
図2[A]において、時間T1は、時間Toffが経過して、S13の処理が実行されるタイミングを示している。時間T1では、S13の処理によりCPU101の端子CからFET104のゲート端子にハイレベル信号が出力され((c))、FET104がオン状態となり、フォトインタラプタ103に電源電圧Vsが供給される((d))。フォトインタラプタ103に電源電圧Vsが供給されることで、フォトインタラプタ103による手差しトレイの用紙の有無状態の検知結果を取得することが可能となる。S14では、CPU101はフォトインタラプタ103の検知結果が入力される端子Aの入力信号を取得する((e)、(f))。
図2[A]では、このとき、手差しトレイに用紙が載置されていないため、フラグがフォトインタラプタ103のLEDから出射される光ビームを遮光した状態となっている。その結果、フォトトランジスタはLEDからの光ビームを受光できないためにオフ状態となり、CPU101の端子Aに入力される信号はハイレベルとなっている((e))。S14、S15の処理によって、CPU101による端子Aの入力信号の取得は、時間T1から時間T2まで行われ((f))、時間T1から時間T2の間に端子Aの入力信号の取得はN回行われる。S16の処理では、CPU101は端子Aの入力信号をN回(
図2[A]ではN=1回)取得した結果、
図2[A]の場合には、端子Aの入力信号がローレベルの状態が検知できていない((e))。また、S18の処理では、CPU101は、画像形成装置を省電力モードから通常モードへ移行させるためのユーザによる操作部の操作等も検知していないため、
図2[A]の場合には省電力モードを継続する。なお、
図2[A]の時間T3から時間T4の間においても、端子Aの入力信号がローレベルに反転する状態が検知されていないため、省電力モードが継続される。
【0032】
以上説明したように、フォトインタラプタ103の検知結果に応じた、CPU101の端子Aの入力信号のハイレベルからローレベルへの状態変化が検知されず、かつ、ユーザによる通常モードへの移行操作等も検知されない間は、第1監視モードが維持される。本実施例のように、時間T1から時間T2までの時間間隔を極力短くする(例えばN=1回)ことにより、CPU101により端子Aの入力信号の取得周期(時間T1から時間T3までの期間)を短くしても、省電力で端子Aの入力信号の監視が可能となる。
【0033】
(第2監視モード)
続いて、本実施例の第2監視モードにおける制御動作について、
図2[B]、[C]、及び
図4を用いて説明する。
図2[B]、[C]は、
図1で説明した回路の第1監視モード、第2監視モードにおけるCPU101の動作を説明するタイミングチャートである。なお、
図2[B]は、手差しトレイに用紙が載置された場合のタイミングチャートを示し、
図2[C]は、手差しトレイに用紙が載置されたと誤検知した場合のタイミングチャートを示しており、詳細については後述する。また、
図2[B]、[C]に示す(a)~(f)のグラフは、
図2[A]で説明した(a)~(f)のグラフと同様であり、グラフの見方の説明は省略する。なお、
図2[B]、[C]の各グラフの横軸は、時間tを示し、T1、T2、T3、T4、T5は時間(タイミング)を示す。なお、以下の第1監視モード、第2監視モードの説明において、括弧内の(a)~(f)は、
図2[B]、[C]の(a)~(f)に対応する。
【0034】
図4は、第2監視モードにおける制御シーケンスを示すフローチャートである。
図4に示す処理は、
図3のS17の処理が行われると起動され、CPU101により実行される。S20では、CPU101は、端子Aの入力信号の取得回数のカウンタを0に設定する。
【0035】
S21では、CPU101は、端子Aの入力信号(ハイレベル、ローレベル)を取得し、取得回数のカウンタを1加算する。S22では、CPU101はカウンタの値が示す端子Aの入力信号の取得回数がX回以上かどうか判断する。CPU101は、カウンタの値がX回以上であると判断した場合には処理をS23に進め、カウンタの値がX回未満であると判断した場合には処理をS21に戻す。なお、端子Aの入力信号の変化がノイズ等による誤検知ではなかったかどうかを正しく判断するため、第2監視モードでの端子Aの入力信号を取得する時間を第1監視モードの場合よりも長くしている。そのため、取得回数X回は、第1監視モードの取得回数N回よりも大きな回数(X>N)としている。
【0036】
S23では、CPU101は、S21の処理で取得した端子Aの入力信号のうち、ローレベルの入力信号を取得した回数が所定回数以上かどうか判断する。CPU101は、ローレベルの入力信号を取得した回数が所定回数以上の場合には処理をS24に進め、所定回数未満の場合には処理をS25に進める。
【0037】
S24では、CPU101は、手差しトレイに用紙が載置されたことが検知したので、画像形成装置の動作モードを省電力モードから画像形成を行う通常モードに移行し、処理を終了する。S25では、CPU101は、ユーザによる操作部からの入力や外部のコンピュータからの印刷ジョブ入力を検知したかどうか判断する。CPU101は、操作部の入力や印刷ジョブ入力の検知をした場合には処理をS26に進め、操作部の入力や印刷ジョブ入力の検知をしていない場合には処理をS27に進む。S26では、CPU101は、ユーザからの動作モードの移行指示に応じて、画像形成装置の動作モードを省電力モードから通常モードに移行し、処理を終了する。S27では、CPU101は、端子Aの入力信号は誤検知であったと判断し、上述した第1監視モードの処理に戻る。
【0038】
次に、
図2[B]を用いて、上述した
図4の処理について具体的に説明する。
図2[B]は、時間T2から時間T3の間に、手差しトレイに用紙が載置された場合の動作を説明するタイミングチャートである。
図2[B](e)では、
図2[A](e)と比べて、時間T3から時間T4において端子Aに入力される信号がローレベルになっている点が異なる。手差しトレイに用紙が載置されたことにより、フラグがフォトインタラプタ103のLEDとフォトトランジスタの間から外れた位置に移動する。そのため、フォトトランジスタがLEDから出射された光ビームを受光することにより、フォトトランジスタはオン状態となる。その結果、CPU101の端子Aに入力される信号はローレベルとなる((e))。その結果、時間T3から時間T4の間に、
図3に示すS14、S15の処理により、CPU101は端子Aの入力信号をN回(=1回)取得する。そして、S16の処理では、所定回数以上(
図2[B]では1回以上)のローレベルの入力信号が検知されているため、S17の処理で第2監視モードへと移行する。
【0039】
続いて、CPU101は
図4に示す第2監視モードの処理を実行する。
図2[B]の時間T4から時間T5の間、CPU101は、
図4のS21、S22の処理により検知した端子Aのローレベルの入力信号の検知結果が正しいかどうか判断するために、端子Aの入力信号の取得をX回行う((e)、(f))。このとき、時間T3から時間T4で検出した端子Aの入力信号がノイズ等による誤検知ではなかったどうかを正確に判断するために、時間T4から時間T5までの時間幅を時間T3から時間T4までの時間幅よりも長く設定する((f))。
図2[B]の場合には、S21、S22の処理でX回取得した端子Aの入力信号が所定回数以上、ローレベルであることが検知されたため、CPU101は、時間T3から時間T4の間で検知した端子Aのローレベルの入力信号の検知結果は正しいと判断する。その結果、CPU101は、手差しトレイに用紙が載置されたことを検知したため、
図4のS24の処理により、画像形成装置の動作モードを省電力モードから通常モードに移行させる。
【0040】
次に、
図2[C]を用いて、上述した
図4の処理について具体的に説明する。
図2[C]は、
図2[B]と同様に、時間T3から時間T4の間に、端子Aに入力される信号がローレベルになっているタイミングチャートである。そのため、
図2[B]の場合と同様に、CPU101は、
図3に示すS14、S15の処理により端子Aの入力信号をN回(=1回)取得し、S16の処理で所定回数以上のローレベルの入力信号が検知されるため、S17の処理で、第2監視モードへと移行する。
【0041】
続いて、CPU101は、
図2[B]の場合と同様に、
図4に示す第2監視モードの処理を実行する。
図2[C]の時間T4から時間T5の間、CPU101は、
図4のS21、S22の処理により、検知した端子Aのローレベルの入力信号の検知結果が正しいかどうかを判断するために、端子Aの入力信号の取得をX回行う((e)、(f))。ところが、
図2[C]の場合には、S21、S22の処理でX回取得した端子Aの入力信号のうち、入力信号がローレベルは1回だけで、その他の入力信号はハイレベルとなっている((e)、(f))。そのため、CPU101は、S23の処理において、時間T3から時間T4の間で検知した端子Aのローレベルの入力信号の検知結果は誤検知であると判断する。そして、CPU101は、S25の処理で、ユーザによる操作部からの入力や外部のコンピュータからの印刷ジョブ入力を検知していないため、S27の処理により省電力モードのままで、第1監視モードの処理に戻る。
【0042】
上述したように、本実施例では、画像形成装置の動作モードが省電力モードの場合に、第1監視モードと第2監視モードを設けて、フォトインタラプタ103の出力が入力される端子Aの信号変化の監視を行う。これにより、低消費電力での手差しトレイの用紙の載置状態の監視を行うことができ、ユーザビリティを低下させることなく、省電力モードから通常モードへの移行を行うことができる。また、本実施例では、省電力モードから通常モードへ移行させる条件として、フォトインタラプタ103の検知結果が入力される端子Aの入力信号が用紙なし状態(ハイレベル)から用紙あり状態(ローレベル)になった場合について説明した。しかし、画像形成装置の動作モードが通常モードから省電力モードに移行する際に、CPU101はフォトインタラプタ103の検知結果が入力される端子Aの入力信号の状態を、CPU101内部に有する記憶手段であるメモリに記憶しておく。そして、省電力モードでは、CPU101は、端子Aに入力される信号の状態が記憶した端子Aの状態から変化したことを検知することにより、第2監視モードに移行する制御シーケンスとしてよい。
【0043】
なお、本実施例では、省電力モードにおける第1監視モード及び第2監視モードでの監視対象のフォトインタラプタ103は、手差しトレイの用紙の有無を検知するセンサとして説明した。本実施例のフォトインタラプタ103の適用例は一例であり、省電力モード中においてユーザのアクセスを検知することで、通常モードに移行させたい装置の状態変化を検知するその他の装置に使用してもよい。例えば、給紙カセットに収容される用紙の有無を検知するセンサや、給紙カセットの有無を検知するセンサ、カートリッジの交換等を行う際に開閉操作が行われる保守用ドアの開閉を検知するセンサ等であってもよい。更に、本実施例ではセンサとしてフォトインタラプタを使用したが、フォトインタラプタに限定されるものではない。また、オープン状態では電流の流れないスイッチ型のセンサであっても、省電力モード中に通常モードへ復帰させる状態ではない状態においては電力を消費するセンサもある。このようなセンサを用いる場合には、本実施例のようにセンサの状態を検知する期間のみ電力を供給する構成は、消費電力モードでは有効である。
【0044】
図5は、フォトインタラプタ103の電源電圧Vsを供給する回路の一例を示した回路図である。
図1では、CPU101は、端子Aの入力信号を取得するタイミングに応じてFET104のオン・オフ状態を制御することにより、FET104を介して電源電圧Vaからフォトインタラプタ103の電源電圧Vsを供給していた。
図5では、
図1に示すFET104が削除され、CPU101の端子Cからハイレベル信号を出力することにより、フォトインタラプタ103に電源電圧Vsを供給する構成となっている。これにより、
図5の回路は、
図1の回路に比べて、コストダウンされた回路構成となっている。
【0045】
以上説明したように、本実施例によれば、ユーザビリティを低下させることなく、省電力モード時の消費電力を低減することができる。
【実施例2】
【0046】
実施例2では、省電力モード時の第1監視モードにおける消費電力を実施例1の場合よりも低減した実施例について説明する。なお、本実施例における省電力モード時の第1監視モード、第2監視モードでのCPU101の制御シーケンスは、実施例1の
図3、4に示す制御シーケンスと同様であり、ここでの説明を省略する。
【0047】
[制御部の周辺回路の構成]
図6[A]は、本実施例のCPU101の周辺回路の一部の回路構成を示す回路図である。
図6[A]では、実施例1の
図1と比べて、
図1の抵抗105が、FET116と抵抗118とが直列に接続された回路が抵抗117と並列に接続された回路に置き換えられている点が異なる。また、FET116(第2のスイッチ手段)は、Nチャネル型のFETであり、ゲート端子はCPU101の端子Gと接続されている。そして、CPU101の端子Gからローレベル信号が出力された場合には、FET116はオフ状態となって、電源電圧Vsと抵抗118との間の電流経路は切断され、フォトインタラプタ103のLEDのアノード端子には抵抗117が接続された状態となる。一方、CPU101の端子Gからハイレベル信号が出力された場合には、FET116はオン状態となり、フォトインタラプタ103のLEDのアノード端子には、並列に接続された抵抗117及び抵抗118が接続された状態となる。
【0048】
本実施例では、省電力モードの第1監視モードでは、CPU101は端子Gからローレベル信号を出力し、FET116をオフ状態に設定する。その結果、FET116はオフ状態のため、フォトインタラプタ103のLEDに流れる電流は、抵抗117のみで制限される。一方、第2監視モードでは、CPU101は端子Gからハイレベル信号を出力し、FET116をオン状態に設定する。その結果、FET116はオン状態のため、フォトインタラプタ103のLEDに流れる電流は、抵抗117と抵抗118とが並列接続された抵抗値で制限される。なお、本実施例では、抵抗117と抵抗118とが並列接続された場合の抵抗値は、実施例1の
図1の抵抗105の抵抗値と等しいものとする。そのため、抵抗117は、抵抗105の抵抗値よりも大きい抵抗値を有するため、第1監視モードにおいて、フォトインタラプタ103のLEDに流れる電流は、実施例1のフォトインタラプタ103のLEDに流れる電流よりも小さくなる。その結果、実施例2の第1監視モードにおける消費電力は、実施例1の第1監視モードにおける消費電力よりも小さくなる。
【0049】
[監視モード]
図6[B]は、
図6[A]で説明した回路の第1監視モード、第2監視モードにおけるCPU101の動作を説明するタイミングチャートであり、時間T2から時間T3の間に手差しトレイに用紙が載置された場合のタイミングチャートである。
図6[B]において、(a)~(d)のグラフは
図2で説明した(a)~(d)のグラフと同様であり、(g)、(h)のグラフは
図2で説明した(e)、(f)のグラフと同様であるため、グラフの見方の説明は省略する。(e)はCPU101の端子Gから出力され、FET116のゲート端子に入力されるゲート信号を示しており、(f)はフォトインタラプタ103のLEDに流れる電流値を示すグラフである。なお、
図6[B]の各グラフの横軸は、時間tを示し、T1、T2、T3、T4、T5は時間(タイミング)を示す。なお、以下の第1監視モード、第2監視モードの説明において、括弧内の(a)~(h)は、
図6[B]の(a)~(h)に対応する。
【0050】
図6[B]において、時間T1から時間T2の間で、CPU101は、手差しトレイの用紙の有無状態を検知するため、端子Aの入力信号を取得する。そのため、CPU101は、端子CからFET104のゲート端子にハイレベル信号を出力して((c))、FET104をオン状態に設定し、フォトインタラプタ103に電源電圧Vsを供給する((d))。フォトインタラプタ103に電源電圧Vsが供給されることで、LEDに電流が流れて光ビームが出射され、((f))、フォトインタラプタ103による手差しトレイの用紙の有無状態の検知結果を取得することが可能となる。なお、このとき、CPU101の端子GからFET116のゲート端子にはローレベル信号が出力される((e))ため、FET16はオフ状態となる。その結果、フォトインタラプタ103のLEDには抵抗117を介して電源電圧Vsが供給される。なお、後述する時間T3から時間T4の期間にける状態は、時間T1から時間T2における上述した状態と同様である。時間T1から時間T2では、端子Aの入力信号がローレベルに反転する状態が検知されていないため、省電力モードが継続される。
【0051】
続いて、時間T3から時間T4においても、時間T1から時間T2のまでの期間と同様に、CPU101は、手差しトレイの用紙の有無状態を検知するために端子Aの入力信号を取得する。時間T3から時間T4においては、CPU101は、端子Aの入力信号がローレベルに反転する状態が検知されたため((g))、第2監視モードに移行する。
【0052】
時間T4から時間T5の第2監視モードでは、CPU101は、時間T3から時間T4の間で検知した端子Aのローレベルの入力信号の検知結果が正しいかどうかを判断するために、端子Aの入力信号の取得をX回行う((g)、(h))。このとき、CPU101は端子Gからハイレベルを出力し((e))、FET116をオン状態に設定する。FET116はオン状態のため、フォトインタラプタ103のLEDに流れる電流は、抵抗117と抵抗118とが並列接続された抵抗値で制限される。抵抗117と抵抗118とが並列接続された場合の抵抗値は、抵抗117の抵抗値よりも小さいため、フォトインタラプタ103のLEDに流れる電流は、第1監視モードのときにフォトインタラプタ103のLEDに流れる電流よりも大きくなる((f))。
【0053】
図6[B]の場合には、X回取得した端子Aの入力信号が所定回数以上、ローレベルであることが検知されるため、CPU101は、時間T3から時間T4の間で検知した端子Aのローレベルの入力信号の検知結果は正しいと判断する。その結果、CPU101は、手差しトレイに用紙が載置されたことを検知したため、画像形成装置の動作モードを省電力モードから通常モードに移行させる。
【0054】
以上説明したように、第2監視モード時には、並列接続された抵抗105と抵抗117とを介してフォトインタラプタ103に電流を流すことで、第1監視モードで検知した端子Aの状態変化が正しいかどうかを正確に判断することができる。このときの並列接続された抵抗105と抵抗117の合成抵抗値は、実施例1の
図1の抵抗105の抵抗値と等しい。一方、第1監視モード時には、フォトインタラプタ103に接続される抵抗が抵抗117のみとなるため、実施例1の抵抗105と比べて抵抗値が大きくなる。その結果、フォトインタラプタ103に流れる電流を小さくすることができるため、実施例1よりも更に消費電力を低減することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施例によれば、ユーザビリティを低下させることなく、省電力モード時の消費電力を低減することができる。
【実施例3】
【0056】
実施例1、2で説明したCPU101は、電源電圧Vaを供給され、画像形成装置の画像形成動作やユーザの操作部からの入力等に応じた各種制御を行う。以下に、実施例1、2のCPU101が適用される画像形成装置の構成について説明する。
【0057】
[画像形成装置の構成]
画像形成装置の一例として、レーザビームプリンタを例にあげて説明する。
図7に電子写真方式のプリンタの一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す。レーザビームプリンタ300は、静電潜像が形成される像担持体としての感光ドラム311、感光ドラム311を一様に帯電する帯電部317(帯電手段)、感光ドラム311に形成された静電潜像をトナーで現像する現像部312(現像手段)を備えている。なお、感光ドラム311、帯電部317、現像部312は一体化されて、カートリッジ319に収納されている。そして、感光ドラム311に現像されたトナー像は、カセット316又は手差しトレイ321から供給された記録材である用紙(不図示)に転写部318(転写手段)によって転写される。用紙に転写されたトナー像は、定着器314で定着されて、排出トレイ315に排出される。この感光ドラム311、帯電部317、現像部312、転写部318が画像形成部(画像形成手段)である。また、レーザビームプリンタ300は、実施例1、2で説明した電源電圧Vaを供給する電源装置500を備えている。また、レーザビームプリンタ300は、ユーザがデータ入力やレーザビームプリンタ300に指示を行うための操作部322や、電源スイッチ323を備えている。なお、CPU101が適用可能な画像形成装置は、
図7に例示したものに限定されず、例えば複数の画像形成部を備える画像形成装置であってもよい。更に、感光ドラム311上のトナー像を中間転写ベルトに転写する一次転写部と、中間転写ベルト上のトナー像を用紙に転写する二次転写部を備える画像形成装置であってもよい。
【0058】
レーザビームプリンタ300は、画像形成部による画像形成動作や、シートの搬送動作を制御するコントローラ320を備えており、コントローラ320は、実施例1、2のCPU101に対応する。また、コントローラ320は、手差しトレイ321に用紙が載置されているかどうかをセンサ(実施例1、2のフォトインタラプタ103に対応)を介して検知する。本実施例のレーザビームプリンタ300は、画像形成を行う通常モードと、省電力を実現する省電力モードの2つの動作状態を切替可能である。
【0059】
以上説明したように、本実施例によれば、ユーザビリティを低下させることなく、省電力モード時の消費電力を低減することができる。
【符号の説明】
【0060】
101 CPU
103 フォトインタラプタ
321 手差しトレイ