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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】コンテナ及び鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/12 20060101AFI20241028BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20241028BHJP
   F25D 29/00 20060101ALI20241028BHJP
   F25D 3/00 20060101ALI20241028BHJP
   B61D 3/20 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
B65D88/12 W
F25D11/00 101D
F25D29/00 Z
F25D3/00 A
B61D3/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020112021
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022011113
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510242521
【氏名又は名称】ナブテスコサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】高田 公史
(72)【発明者】
【氏名】落合 修
(72)【発明者】
【氏名】友永 忠
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-198383(JP,A)
【文献】特開平09-124094(JP,A)
【文献】実開平05-008363(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/12
F25D 11/00
F25D 29/00
F25D 3/00
B61D 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状のコンテナ本体と、
前記コンテナ本体の一対の短側壁部にそれぞれ設けられた第1電気コネクタ及び第2電気コネクタと、
前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタと電気的に連結された冷凍機を含み、前記コンテナ本体の内部を冷却する冷却ユニットと、
前記コンテナ本体の内部に設けられ、荷室から区分けされた冷却材室を前記コンテナ本体の内部に区画する壁部と、を備え、
前記コンテナ本体は、前記荷室を閉鎖したまま前記冷却材室を開放可能な開閉扉を有する、コンテナ。
【請求項2】
前記冷却ユニットは、前記冷却材室を通過する冷媒配管又は前記冷却材室を区画する前記壁部に隣接して延びる冷媒配管を有する、請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記冷却材室を区画する前記壁部に隣接して前記荷室内に配置され、前記冷却ユニットによって冷却される蓄冷材を備える、請求項1又は2に記載のコンテナ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のコンテナと、
前記コンテナを配置される貨車と、を備える、鉄道車両。
【請求項5】
前記第1電気コネクタは、前記貨車の進行方向におけるいずれか一方の側から電気的に接続可能であり、前記第2電気コネクタは、前記貨車の進行方向における他方の側から電気的に接続可能である、請求項4に記載の鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ及び鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、コンテナを用いた輸送が行われている。コンテナを用いた輸送では、積荷を収容したコンテナが、鉄道、船舶、トラックといった輸送手段に積み降ろしされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-269835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今般、コンテナが冷凍ユニットを有する等の理由から、コンテナに電気コネクタを設け、この電気コネクタを介して外部との電気的接続を確保することが検討されている。しかしながら、コンテナを積み込む際のコンテナの向きによっては、電気コネクタが外部のコネクタから離間することも想定される。この場合、電気コネクタと外部との電気的接続を確保することが困難となる。
【0005】
とりわけ鉄道や船舶での輸送に用いられているコンテナに代表されるよう、多くのコンテナは直方体状の外輪郭を有している。直方体状のコンテナは、通常、その長手方向が一定の方向を向くようにして配置される。ただし、幅狭となる一対の短側壁部のうちの一方が前記一定の方向におけるどちらを向くかは拘束を受けない。この例においても、コンテナの向きに応じて、コンテナの電気コネクタを外部と電気的に接続することが難しくなることもある。
【0006】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであって、外部との電気的接続を安定して確保し得るコンテナの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1のコンテナは、直方体状のコンテナ本体と、前記コンテナ本体の一対の短側壁部にそれぞれ設けられた第1電気コネクタ及び第2電気コネクタと、前記コンテナ本体に支持され前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタと電気的に連結された冷却ユニットと、を備える。
【0008】
本発明による第2のコンテナは、対向する一対の長側壁部と、対向する一対の短側壁部と、を有するコンテナ本体と、前記一対の短側壁部にそれぞれ設けられた一対の電気コネクタと、前記コンテナ本体に支持され前記一対の電気コネクタと電気的に連結された冷却ユニットと、を備える。
【0009】
本発明による第1及び第2のコンテナにおいて、前記コンテナ本体の一対の長側壁部が対向する方向における前記一対の長側壁部の中心であって、前記コンテナ本体の前記一対の短側壁部が対向する方向における前記一対の短側壁部の中心である位置を中心として、前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタは、回転対称な位置に設けられていてもよい。
【0010】
本発明による第3のコンテナは、鉄道の貨車に配置されるコンテナ本体と、前記コンテナ本体に支持され前記貨車の進行方向におけるいずれか一方の側から電気的に接続可能な第1電気コネクタと、前記コンテナ本体に支持され前記貨車の進行方向における他方の側から電気的に接続可能な第2電気コネクタと、前記コンテナ本体に支持され前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタと電気的に連結された冷却ユニットと、を備える。
【0011】
本発明による第3のコンテナにおいて、前記貨車に配置された前記コンテナの前記進行方向における中心であって前記貨車に配置された前記コンテナの幅方向における中心である位置を中心として、前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタは、回転対称な位置に設けられていてもよい。
【0012】
本発明による第3のコンテナにおいて、前記貨車に配置された前記コンテナ本体の幅方向における前記中心を中心として幅方向に対称な位置に一対の第1電気コネクタが設けられ、前記貨車に配置された前記コンテナ本体の幅方向における前記中心を中心として幅方向に対称な位置に一対の第2電気コネクタが設けられていてもよい。
【0013】
本発明による第1~第3のコンテナは、前記第1電気コネクタ及び第2電気コネクタを電気的に連結するベース配線を備えていてもよい。
【0014】
本発明による第1~第3のコンテナにおいて、前記ベース配線と前記冷却ユニットとを電気的に連結する供給配線を備えるようにしてもよい。
【0015】
本発明による第1~第3のコンテナにおいて、前記コンテナ本体は回転対称な外輪郭を有し、前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタは、前記コンテナ本体の回転対称の中心軸線を中心として回転対称な位置に設けられていてもよい。
【0016】
本発明による第1~第3のコンテナにおいて、前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタは非接触で電気的に接続可能なコネクタであってもよい。
【0017】
本発明による第1~第3のコンテナは、前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタを覆うカバー材を備えるようにしてもよい。
【0018】
本発明による第1~第3のコンテナは、前記コンテナ本体内に設けられ、前記コンテナ本体内を荷室および機械室に区分けする区分壁部を備えるようにしてもよい。
【0019】
本発明による第1~第3のコンテナは、前記コンテナ本体の内部に設けられ、荷室から区分けされた冷却材室を前記コンテナ本体の内部に区画する壁部を備え、前記コンテナ本体は、前記荷室を閉鎖したまま前記冷却材室を開放可能な開閉扉を有するようにしてもよい。
【0020】
本発明による第1~第3のコンテナにおいて、前記冷却ユニットは、前記冷却材室を通過する冷媒配管又は前記冷却材室を区画する前記壁部に隣接して延びる冷媒配管を有するようにしてもよい。
【0021】
本発明による第1~第3のコンテナは、前記冷却材室を区画する前記壁部に隣接して前記荷室内に配置され、前記冷却ユニットによって冷却される蓄冷材を備えるようにしてもよい。
【0022】
本発明による第4のコンテナは、コンテナ本体と、前記コンテナ本体に設けられ、前記コンテナ本体から外側に突出可能な電気コネクタと、前記電気コネクタと電気的に連結され、前記コンテナ本体の内部を冷却する冷却ユニットと、を備える。
【0023】
本発明による第5のコンテナは、コンテナ本体と、前記コンテナ本体に設けられ一方向からフォークリフトの爪を受ける第1爪受け部と、前記コンテナ本体に設けられ前記一方向と非平行な他方向からフォークリフトの爪を受ける第2爪受け部と、を備える。
【0024】
本発明による第1~第5のコンテナは、前記冷却ユニットによって冷却される蓄冷材を備えるようにしてもよい。
【0025】
本発明による第1の貨物車両は、貨車と、前記貨車に配置される本発明による第1~第3のコンテナのいずれかと、を備える。
【0026】
本発明による第2の貨物車両は、
直方体状のコンテナ本体と、前記コンテナ本体の一対の短側壁部にそれぞれ設けられた第1電気コネクタ及び第2電気コネクタと、前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタと電気的に連結され前記コンテナ本体の内部を冷却する冷却ユニットと、を有するコンテナと、
前記コンテナを配置される貨車と、を備える。
【0027】
本発明による第3の貨物車両は、
貨車と、
前記貨車に配置されるコンテナ本体と、前記コンテナ本体に支持され前記貨車の進行方向におけるいずれか一方の側から電気的に接続可能な第1電気コネクタと、前記コンテナ本体に支持され前記貨車の進行方向における他方の側から電気的に接続可能な第2電気コネクタと、前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタと電気的に連結され前記コンテナ本体の内部を冷却する冷却ユニットと、を有するコンテナと、を備える。
【0028】
本発明による第1~第3の貨物車両は、前記貨車に配置される電源コンテナを備え、前記電源コンテナは、蓄電池と、前記コンテナの前記電気コネクタと同様に構成され前記蓄電池と電気的に連結された電気コネクタと、を有するようにしてもよい。
【0029】
本発明による第1~第3の貨物車両において、前記貨車上において前記電源コンテナに対する進行方向における両側に前記コンテナが配置されていてもよい。
【0030】
本発明による輸送方法は、冷却された蓄冷材が収容されたコンテナの荷室に積荷を収容する工程と、前記コンテナを鉄道輸送する工程と、を備える。
【0031】
本発明による輸送方法は、前記コンテナが配置された貨車が停車した状態で前記蓄冷材を冷却する工程を、前記鉄道輸送する工程の間に備えるようにしてもよい。
【0032】
本発明による輸送方法において、前記鉄道輸送する工程中の一期間、前記蓄冷材を冷却してもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、コンテナの電気コネクタを外部と安定して電気的に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、一実施の形態を説明するための図であって、貨車と複数のコンテナとを有する貨物車両を示す側面図である。
図2A図2Aは、貨物車両を模式的に示す上面図であって、複数のコンテナの電気的接続の一例を示す図である。
図2B図2Bは、貨物車両を模式的に示す上面図であって、複数のコンテナの電気的接続の他の例を示す図である。
図3A図3Aは、貨物車両に含まれ得る冷却コンテナを一部の扉を開いた状態で示す側面図であって、冷却コンテナの内部構造の一例を説明するための図である。
図3B図3Bは、図3Aに対応する図であって、冷却コンテナの内部構造の他の例を説明するための図である。
図4A図4Aは、貨物車両に含まれ得る冷却コンテナの第1爪受け部を用いて当該冷却コンテナをフォークリフトによって保持した状態を示す側面図である。
図4B図4Bは、冷却コンテナの第2爪受け部を用いて当該冷却コンテナをフォークリフトによって保持した状態を示す側面図である。
図5図5は、貨物車両の一部分を示す側面図であって、冷却コンテナの電気コネクタの一例を説明するための図である。
図6図6は、貨物車両の一部分を示す側面図であって、冷却コンテナの手動操作部の他の例を説明するための図である。
図7図7は、貨物車両の一部分を示す側面図であって、冷却コンテナの状態検知部およびコネクタ駆動部の更に他の例を説明するための図である。
図8図8は、貨物車両の一部分を示す側面図であって、冷却コンテナの状態検知部およびコネクタ駆動部の更に他の例を説明するための図である。
図9図9は、フォークリフトの爪とともに、冷却コンテナを図8のIX-IX線に沿った断面にて示す図である。
図10図10は、貨物車両の一部分を示す側面図であって、冷却コンテナの状態検知部およびコネクタ駆動部の更に他の例を説明するための図である。
図11図11は、貨物車両の一部分を示す断面図であって、冷却コンテナの状態検知部の更に他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0036】
図1図11は、本発明に一実施の形態を説明するための図である。図1は、鉄道輸送を行うための貨物車両10を示している。貨物車両10は、貨車20と、貨車20上に配置された複数のコンテナ30,90と、を有している。貨車20は、レールR上に配置される複数の台車21と、複数の台車21上に支持された台枠22と、を有している。本実施の形態における貨車20として、特に限定されることなく、公知の貨車を用いることができる。コンテナ30,90は、貨車20の上下方向DVにおける上方に載置されている。複数のコンテナ30,90は、進行方向DTに沿って一列に並べられている。したがって、貨車20の幅方向DWには、コンテナ30,90は並べられていない。
【0037】
貨物車両10は、貨車20上に積載されるコンテナとして、冷却コンテナ30及び電源コンテナ90を有している。冷却コンテナ30は、荷室RBの温度を低温に保つことができるコンテナである。本明細書で用いる冷却コンテナ30には、冷凍コンテナ、冷蔵コンテナ、チルドコンテナ等、荷室RBの温度を低温(例えば気温よりも低温)に調節することができる種々のコンテナを含むものとする。図示された例において、冷却コンテナ30は、電源コンテナ90から電力の供給を受けて荷室の温度を低温に維持することができる。図示された貨物車両10において、一つの電源コンテナ90から四つの冷却コンテナ30に対して電力が供給されるようになっている。貨車20上で進行方向DTに隣り合うコンテナは互いに電気的に接続することが可能となっている。
【0038】
次に、冷却コンテナ30について説明する。冷却コンテナ30は、コンテナ本体40と、コンテナ本体40に支持された冷却ユニット50と、コンテナ本体40に設けられた電気コネクタ60と、を有している。冷却ユニット50は、電気コネクタ60と電気的に連結されている。冷却ユニット50は、電気コネクタ60を介して電力を供給される。冷却ユニット50は、コンテナ本体40を冷却する。すなわち、冷却ユニット50は、コンテナ本体40を冷凍や冷蔵するために用いられる。
【0039】
なお、後述する電源コンテナ90も、コンテナ本体及び電気コネクタを有している。電源コンテナ90のコンテナ本体及び電気コネクタは、それぞれ、次に説明する冷却コンテナ30のコンテナ本体40及び電気コネクタ60と同様に構成することができる。
【0040】
コンテナ本体40は、積荷を収容する荷室RBを有している。コンテナ本体40は、略直方体状の外輪郭を有している。コンテナ本体40は、実質的にコンテナ30,90の外輪郭を形成している。図2A図3Bに示すように、コンテナ本体40は、第1方向D1を向く短側壁部41と、第2方向D2を向く長側壁部42と、を含んでいる。短側壁部41は、第1方向D1の一側を向く第1短側壁部41Aと、第1方向D1の他側を向く第2短側壁部41Bと、を含んでいる。一対の短側壁部41A,41Bは、第1方向D1に対向している。長側壁部42は、第2方向D2の一側を向く第1長側壁部42Aと、第2方向D2の他側を向く第2長側壁部42Bと、を含んでいる。一対の長側壁部42A,42Bは、第2方向D2に対向している。短側壁部41は、長側壁部42よりも幅が狭い側壁部である。したがって、第1方向D1は、直方体状のコンテナ30,90の長手方向となっており、第2方向D2は、直方体状のコンテナ30,90の短手方向となっている。そして、図2A及び図2Bに示すように、コンテナ30,90は貨車20上に載置された状態において、当該コンテナの第1方向D1が進行方向DTに沿い、当該コンテナの第2方向D2が幅方向DWに沿い、当該コンテナの第3方向D3が上下方向DVに沿うようになる。
【0041】
なお、図面間での方向関係を明確化するため、いくつかの図面には、貨車20を基準とした進行方向DT、幅方向DW及び上下方向DVを図面間で共通する方向として矢印で示している。また、いくつかの図面には、各コンテナを基準とする第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3を図面間で共通する方向として矢印で示している。矢印の先端側が、各方向の一側となる。また、図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印を、例えば図1に示すように、円の中にXを設けた記号により示した。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を、例えば図2に示すように、円の中に点を設けた記号により示した。
【0042】
図4A及び図4Bに示すように、コンテナ本体40は、二対の側壁部41,42とともに、天壁部43及び底壁部44を有している。側壁部41,42、天壁部43及び底壁部44によって、コンテナ本体40の内部空間が形成されている。コンテナ本体40は、長側壁部42に扉45を有している。扉45を開くことで、コンテナ本体40の内部空間にアクセスすることができる。また、扉45を閉じることで、コンテナ本体40の内部区間を閉鎖することできる。図示された例では、扉45を閉じることで、荷室RBを密閉することができる。扉45が長側壁部42に設けられていることによって、他のコンテナとともに貨車20上に積層された状態でも、荷室RBへのアクセスが可能となる。なお、扉45は、第1長側壁部42A及び第2長側壁部42Bの一方に設けられていてもよいし、第1長側壁部42A及び第2長側壁部42Bの両方に設けられていてもよい。
【0043】
さらに、図4Aに示されたコンテナ本体40は、短側壁部41に扉45を有している。すなわち、短側壁部41からも荷室RBにアクセス可能となる。扉45は、第1短側壁部41A及び第2短側壁部41Bの一方に設けられていてもよいし、第1短側壁部41A及び第2短側壁部41Bの両方に設けられていてもよい。
【0044】
図4A及び図4Bに示すように、冷却コンテナ30は、コンテナ本体40に下方に設けられた爪受け部48を有している。冷却コンテナ30は、通常のコンテナと同様に、フォークリフトFによって運搬され得る。また、冷却コンテナ30は、通常、フォークリフトFによって貨車20に積み降ろしされる。爪受け部48は、フォークリフトFの爪Cが挿入される爪受け穴48hを形成している。フォークリフトFの爪Cを爪受け穴48hに挿入した状態で、冷却コンテナ30はフォークリフトFによって持ち上げられ、運搬され得る。とりわけ、一実施の形態における冷却コンテナ30は、コンテナ本体40に設けられた第1爪受け部48A及び第2爪受け部48Bを有している。第1爪受け部48A及び第2爪受け部48Bは、コンテナ本体40の下方(第3方向D3における他側)に設けられている。第1爪受け部48A及び第2爪受け部48Bは、互いに非平行な方向からフォークリフトFの爪Cを受け入れる穴を有している。
【0045】
第1爪受け部48Aは、コンテナ本体40の一対の長側壁部42が対向する方向と平行な方向、すなわち第2方向D2からフォークリフトFの爪Cを受ける第1爪受け穴48Ahを設けられている。したがって、冷却コンテナ30が貨車20に載置された状態において、第1爪受け穴48Ahは、貨車20の進行方向DTに直交する幅方向DWからフォークリフトFの爪Cを受ける。好ましくは、第1爪受け部48Aは、第2方向D2における両側からフォークリフトFの爪Cを受けることができる。図4Aに示された状態において、フォークリフトFの爪Cが第1爪受け穴48Ahに第2方向D2における他側から挿入されている。例えば、貨車20への冷却コンテナ30の積み降ろしは、貨車20に幅方向DWから接近したフォークリフトFが図4Aに示された状態で冷却コンテナ30を保持しながら、実施される。
【0046】
一方、第2爪受け部48Bは、コンテナ本体40の一対の短側壁部41が対向する方向と平行な方向、すなわち第1方向D1からフォークリフトFの爪Cを受ける第2爪受け穴48Bhを設けられている。つまり第2爪受け穴48Bhは、冷却コンテナ30が貨車20に載置された状態における貨車20の進行方向DTと平行な方向からフォークリフトFの爪Cを受ける。好ましくは、第2爪受け部48Bは、第1方向D1における両側からフォークリフトFの爪Cを受けることができる。図4Bに示された状態において、フォークリフトFの爪Cが第2爪受け穴48Bhに第1方向D1における他側から挿入されている。
【0047】
従来、輸送に用いられてきたコンテナは、幅広の長側壁部に対面する向きからのみフォークリフトの爪を受けるようになっていた。その一方で、冷却輸送に関して言えば、コンテナ内の積荷を冷凍・冷蔵用のドッグシェルタのような貯蔵庫に持ち込むこともある。ドッグシェルタとは、冷蔵・冷凍品、食品等の低温管理が必要となる倉庫や工場等に設置される密閉型の入出庫口付きの貯蔵個である。通常は、トラックの荷室をドッグシェルタの入出庫口に密着させ、積荷の出し入れを行う。そして、入出庫口の開放時間を短くするといった観点から、冷却コンテナ30の全体を、ドッグシェルタに搬入することも有効である。また、ドックシェルタに限定されることなく幅狭の入出庫口を有した貯蔵個も存在する。
【0048】
この点、一実施の形態によれば、冷却コンテナ30は、互いに異なる方向からフォークリフトFの爪Cを受ける第1爪受け部48A及び第2爪受け部48Bを有している。より具体的には、冷却コンテナ30は、幅広の長側壁部42に対面する方向からフォークリフトFの爪Cを受ける第1爪受け部48Aに加え、幅狭の短側壁部41に対面する方向からフォークリフトFの爪Cを受ける第2爪受け部48Bも有している。したがって、図4Bに示すように、フォークリフトFが第1方向D1から冷却コンテナ30に接近して当該冷却コンテナ30を保持することができる。図4Bに示されるようにして冷却コンテナ30は、フォークリフトFによって、幅狭の入出庫口を有した貯蔵個に挿入され得る。このように鉄道輸送される冷却コンテナ30をドッグシェルタ等の貯蔵庫に搬入可能とることによって、特定形状を有したコンテナを用いた鉄道輸送の可能性を広げることができる。これにより、道路渋滞の緩和や二酸化炭素排出量の削減等に寄与し得る鉄道輸送へのモーダルシフトを加速させることができる。
【0049】
なお、幅狭の貯蔵庫に収容される冷却コンテナ30については、上述したように、幅狭の短側壁部41に扉45を設けることが有効である。密閉された貯蔵庫内において、短側壁部41の扉45を開閉することが可能となる。すなわち、短側壁部41に設けられた扉45を第2爪受け部48Bを利用した冷却コンテナ30の積み降ろし時に利用することによって、冷却コンテナ30の利便性を更に向上させることができる。
【0050】
次に、冷却ユニット50について説明する。冷却ユニット50は、冷媒を用いて荷室RBの温度を低温に調節する。図4A及び図4Bに示された例において、冷却ユニット50は、コンテナ本体40の内部に配置されている。冷却コンテナ30は、コンテナ本体40に内部に区分壁部32を更に有している。区分壁部32は、コンテナ本体40の内部空間を、荷室RB及び機械室RMに区分けしている。冷却ユニット50の主たる構成要素は、機械室RM内に配置されている。区分壁部32は、熱伝達率の低い断熱材を用いて形成されている。区分壁部32によって、機械室RM及び荷室RBの間での熱交換を効果的に抑制して、荷室RBを低温に維持することが可能となる。なお、コンテナ本体40の内壁のうち荷室RBを形成する部分にも断熱材が設置されている。
【0051】
冷却ユニット50は、冷媒の流路を形成する冷媒配管51を有している。図2A及び図2Bに示された例において、冷却ユニット50は、冷媒配管51の経路上に設けられた圧縮機52、凝縮器53及び蒸発器54を更に有している。圧縮機52は、冷媒を圧縮することによって、冷媒を高温高圧のガス冷媒にする。凝縮器53は、高温高圧のガス冷媒から熱を放出させて、常温高圧の液状冷媒にする。常温高圧の液状冷媒は、冷媒配管51に設けられたオリフィス等を通過して、低温低圧の液状冷媒になる。蒸発器54は、低温低圧の液状冷媒を低温低圧のガス冷媒にする。低温の冷媒が流れている冷媒配管51が、区分壁部32を貫通して、荷室RB内を延びている。また、冷却ユニット50は、圧縮機52を駆動する駆動機55を有している。駆動機55は、後述の電気コネクタ60を介して電力を供給されることによって、駆動力、とりわけ回転駆動力を圧縮機52に入力する。駆動機55は、特に限定されないが、例えばモータによって構成され得る。また、上述の冷却ユニット50は、一例に過ぎず、特に限定されることなく種々の冷凍機等を用いることができる。
【0052】
ところで、冷却コンテナ30は、冷却ユニット50によって冷却される蓄冷材35を有している。蓄冷材35は、保冷材とも呼ばれ、冷却された状態において荷室RBの温度上昇を抑制することができる。長時間の経過とともに蓄冷材35の温度は上昇してしまうが、再度冷却することで繰り返し使用可能となる。図2A図3Bに示すように、蓄冷材35は冷媒配管51に隣接して配置される。冷媒配管51を流れる低温冷媒によって、蓄冷材35が冷却される。図3A及び図3Bに示された例において、板状の蓄冷材35が、側壁部41,42の内面および天壁部43の内面に設置されている。なお、図示しない送風機を用いることによって、蓄冷材35からの冷気が荷室RB内を積極的に循環させるようにしてもよい。また、蓄冷材35とコンテナ本体40の壁部との間に断熱材を設置することが好ましい。
【0053】
図3A及び図3Bに示すように、コンテナ本体40の内部空間に、冷却材を収容する冷却材室RCを設けてもよい。冷却材室RCは、蓄冷材35を用いて荷室RBを低温に維持する構成に対応して設置される。冷却材室RCは、追加壁部33とコンテナ本体40の壁部とによって区画されている。蓄冷材35を用いた荷室RBを低温に維持する機能が、時間の経過とともに低下した際に、ドライアイス等の冷却材を冷却材室RCに収容することによって荷室RBの温度上昇を抑制することができる。すなわち、時間の経過にともなった荷室RBの温度上昇を、冷却ユニット50によって蓄冷材35を再度冷却することに加えて、又は、冷却ユニット50によって蓄冷材35を再度冷却することに代えて、極めて簡単な取り扱いにより効果的に抑制することができる。
【0054】
図3Aに示された例において、冷却材室RCは、機械室RM内に配置されている。冷却された冷媒が流れる冷媒配管51は、冷却材室RC内を延びる、又は、冷却材室RCを区画する追加壁部33に隣接して延びている。このような具体例によれば、ドライアイス等の冷却材によって冷媒配管51及び冷媒配管51内の冷媒を迅速に冷却することができる。そして、冷却された冷媒配管51及び冷媒によって、荷室RB及び蓄冷材35を迅速に冷却することができる。一方、図3Bに示された例において、冷却材室RCは、荷室RB内に配置されている。そして、荷室RB内に配置された蓄冷材35が、少なくとも部分的に、冷却材室RCを区画する追加壁部33に接触して配置されている。また、図3Bに示された例において、荷室RB内に位置する冷媒配管51が、少なくとも部分的に、冷却材室RC内を通過してもよいし、冷却材室RCを区画する追加壁部33に接触していてもよい。このような具体例においても、ドライアイス等の冷却材によって、荷室RB及び蓄冷材35を迅速に冷却することができる。
【0055】
図3A及び図3Bに示された冷却材室RCの設置にともない、コンテナ本体40が冷却材室RCを開放可能な開閉扉46(図4B参照)を有するようにしてもよい。開閉扉46は、機械室RMを閉鎖したまま、荷室RBから区分けされた冷却材室RCを開放可能であることが好ましい。開閉扉46を設置することによって、低温に保持された荷室RBを開放することなく、開閉扉46を介して、冷却材室RCにドライアイス等の冷却材を投入することができる。これにより、時間の経過にともなった荷室RBの温度上昇を、極めて簡単な取り扱いにより効果的に抑制することができる。
【0056】
図3Aに示された例では、区分壁部32とコンテナ本体40の壁部とによって荷室RBが密閉されている。そして、開閉扉46は、コンテナ本体40のうちの機械室RMを区画する部分に設けられている。したがって、開閉扉46を開いた状態でも、荷室RBを密閉されたままとすることができる。また、開閉扉46を閉じた状態において、冷却材室RCを区画する追加壁部33とコンテナ本体40とによって、冷却材室RCは密閉される。図3Aに示された例において、開閉扉46は、機械室RMの冷却ユニット50が配置された領域をも開閉可能としてもよい。この例において、開閉扉46は、冷却ユニット50の点検口としても利用され得る。一方、図3Bに示された例では、コンテナ本体40の壁部のうちの追加壁部33の開口を塞ぐ部分の一部分に開閉扉46が形成されている。したがって、開閉扉46を開放したとしても、機械室RMはコンテナ本体40によって密閉された状態に維持され得る。
【0057】
次に、電気コネクタ60について説明する。既に上述したように、冷却コンテナ30だけでなく、電源コンテナ90も電気コネクタ60を有している。冷却コンテナ30及び電源コンテナ90の間において、電気コネクタ60を同一に構成することができる。
【0058】
一実施の形態において、冷却コンテナ30は、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bを有している。図2A及び図2Bに示すように、第1電気コネクタ60Aは第1短側壁部41Aに設けられている。第1短側壁部41Aに対面する方向から第1電気コネクタ60Aと電気的に接続可能となっている。第2電気コネクタ60Bは第2短側壁部41Bに設けられている。第2短側壁部41Bに対面する方向から第2電気コネクタ60Bに電気的に接続可能となっている。したがって、貨車20上に載置する場合だけでなく、コンテナヤード等に載置する場合も含み、コンテナ30、90を載置する際の向きに大きな影響を受けることなく、第1電気コネクタ及び第2電気コネクタのいずれか一方を用いることによって、外部との電気的接続を確保することができる。
【0059】
図2A及び図2Bに示すように、第1方向D1が進行方向DTと概ね平行になるようにして、冷却コンテナ30は貨車20に積載される。したがって、第1電気コネクタ60Aは、進行方向DTにおけるいずれか一方の側から電気的に接続可能となっている。同様に、第2電気コネクタ60Bは、進行方向DTにおけるいずれか他方の側から電気的に接続可能となっている。図2A及び図2Bに示すように、貨車20上には、複数のコンテナ30,90が進行方向DTに並べられる。したがって、進行方向DTに隣り合う二つのコンテナ30,90は、進行方向DTに向かい合う各々の短側壁部41に電気コネクタ60を有するようになる。すなわち、一つのコンテナ30,90の第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bのいずれか一方が、貨車20上で隣り合う他のコンテナ30,90を向くようになる。したがって、コンテナ30,90の電気コネクタ60を外部と安定して電気的に接続することができる。
【0060】
図2A及び図2Bに示すように、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bを設けることで、隣り合う二つのコンテナの間で対向する電気コネクタを接触させることによって電気的接続を確保することができる。ただし、この例に限られず、図5に示すように、電気コネクタ60は、非接触で電気的に接続可能なコネクタであってもよい。すなわち、電気コネクタ60は、非接触で電力供給を受けることができるようにしてもよい。このような例によれば、電気コネクタ60をより容易且つより安定して電気的に接続することができる。
【0061】
また、図5に示すように、電気コネクタ60として非接触式のコネクタを用いる場合、電気コネクタ60を覆うカバー材63が設けられるようにしてもよい。カバー材63は、電気コネクタ60の非接触による電気的接続を害さなければ特に限定されない。ただし、カバー材63として、ゴムや樹脂等を用いて形成された弾性体を用いることが好ましい。弾性体としてのカバー材63によれば、カバー材63によって電気コネクタ60を保護することができ、これにより、電気コネクタ60の破損を効果的に防止することができる。
【0062】
図2A及び図2Bに示すように、一つの冷却コンテナ30において、冷却ユニット50は、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bの両方と電気的に接続している。したがって、冷却ユニット50は、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bのいずれを介しても電力を供給され得る。
【0063】
とりわけ図示された例において、冷却コンテナ30は、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bを電気的に連結するベース配線61を有している。図示された冷却コンテナ30は、ベース配線61と冷却ユニット50とを電気的に連結する供給配線62を更に有している。ベース配線61を設けることによって、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bが導通する。したがって、三つのコンテナが進行方向DTに順に配置され且つ進行方向DTに隣り合う二つのコンテナ30が互いに電気的に接続している場合には、進行方向DTにおける中央に位置するコンテナを介して、このコンテナの両側に位置する二つのコンテナを電気的に連結することができる。これにより、進行方向DTに順に配置された三つのコンテナの間で、電力を移送することができる。
【0064】
ところで、コンテナ本体40は直方体状の外輪郭を有している。コンテナ本体40は、第1方向D1における一対の短側壁部41A,41Bの中心であって第2方向D2における一対の長側壁部42A,42Bの中心である位置を通過して第3方向D3に延びる軸線CA(図2A及び図2B参照)を中心として回転対称となる。そして、冷却コンテナ30の外輪郭は、概ねコンテナ本体40によって画成される。したがって、図2A及び図2Bに示すように、第1方向D1が進行方向DTと揃うようにして貨車20上に配置された冷却コンテナ30において、第1短側壁部41Aは、進行方向DTにおける一側(前側)向くことができ、且つ、進行方向DTにおける他側(後側)を向くこともできる。すなわち、冷却コンテナ30は、コンテナ本体40の回転対称の中心軸線CAを中心として回転対称な二つの配置にて、貨車20上に載置され得る。具体例として、図2A及び図2Bに示された例において、進行方向DTにおける最も他側に配置された冷却コンテナ30の第1短側壁部41Aは進行方向DTにおける他側(後側)を向き、この冷却コンテナ30に隣り合う冷却コンテナ30の第1短側壁部41Aは進行方向DTにおける一側(前側)を向いている。
【0065】
そして、冷却コンテナ30の貨車20上での向きによらず、進行方向DTに隣り合う二つの冷却コンテナ30の電気的接続を安定して確保する観点から、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは次のように構成されていることが好ましい。すなわち、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは、コンテナ本体40の回転対称の中心軸線CAを中心として、回転対称な位置に設けられていることが好ましい。すなわち、第1方向D1における一対の短側壁部41の中心であって第2方向D2における一対の長側壁部42の中心を通過して第3方向D3に延びる中心軸線CAを中心として、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは回転対称な位置に設けられていることが好ましい。更に言い換えると、貨車20上における冷却コンテナ30の進行方向DTにおける中心であって冷却コンテナ30の幅方向DWにおける中心である位置を通過して上下方向DVに延びる中心軸線CAを中心として、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは回転対称な位置に設けられていることが好ましい。
【0066】
このような例によれば、貨車20上における冷却コンテナ30の向きに依らず、電気コネクタ60は、コンテナ本体40に対して一定の位置に位置するようになる。したがって、二つの冷却コンテナ30を互いの短側壁部41が向かい合うようにして配置した場合、すなわち、二つの冷却コンテナ30を貨車20の台車21上に並べて配置した場合、互いの電気コネクタ60が対面するようになる。したがって、二つの冷却コンテナ30の向きによらず、二つの冷却コンテナ30をより容易且つより安定して電気的に接続することができる。
【0067】
図2Aに示された例において、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは、第2方向D2における中心に位置している。したがって、貨車20上に冷却コンテナ30が載置された際、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは、幅方向DWにおける中心に位置する。したがって、図2Aに示された第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは、上述した好ましい回転対称な位置に配置されている。しかも、二つの冷却コンテナ30を互いの短側壁部41が向かい合うようにして配置した場合、すなわち、二つの冷却コンテナ30を貨車20の台車21上に並べて配置した場合、互いの電気コネクタ60が進行方向DTに対面するようになる。これにより、二つのコンテナの間での電気的接続を容易かつ安定して確保することができる。
【0068】
図2Bに示された例において、第1電気コネクタ60Aは一対の電気コネクタを有している。一対の第1電気コネクタ60Aは、冷却コンテナ30(コンテナ本体40)の第2方向D2における中心を通過して第1方向D1に延びる軸線を中心として線対称な位置に、配置されている。同様に、第2電気コネクタ60Bは一対の電気コネクタを有している。一対の第2電気コネクタ60Bは、冷却コンテナ30(コンテナ本体40)の第2方向D2における中心を通過して第1方向D1に延びる軸線を中心として線対称な位置に、配置されている。そして、一対の第1電気コネクタ60Aの第2方向D2に沿った離間長さは、一対の第2電気コネクタ60Bの第2方向D2に沿った離間長さと等しい。したがって、図2Bに示された第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは、上述した好ましい回転対称な位置に配置されている。しかも、二つの冷却コンテナ30を互いの短側壁部41が向かい合うようにして配置した場合、すなわち、二つの冷却コンテナ30を貨車20の台車21上に並べて配置した場合、互いの電気コネクタ60が進行方向DTに対面するようになる。これにより、二つのコンテナの間での電気的接続を容易かつ安定して確保することができる。
【0069】
さらに、一実施の形態における冷却コンテナ30において、電気コネクタ60はコンテナ本体40から突出可能となっている。一例としての図2A及び図2Bに示された例において、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは、それぞれ、コンテナ本体40から突出した突出位置に位置している。この例において、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは、それぞれ、コンテナ本体40に近接する後退位置に後退することができる。つまり、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは、それぞれ、突出位置と後退位置との間を第1方向D1に移動可能となっている。ここで、コンテナ本体を基準とした「外側」とは、コンテナ本体の中心から離間する側のことであり、コンテナ本体を基準とした「内側」とは、コンテナ本体の中心に近接する側のことを指す。したがって、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは、コンテナ本体40から外側に移動して突出位置に位置する。また、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは、コンテナ本体40から内側に移動して後退位置に位置する。
【0070】
この一実施の形態によれば、電気コネクタ60が突出することから、この電気コネクタ60を、外部、例えば他のコンテナの電気コネクタ等と接触させて、容易かつ安定して電気的接続を確保することができる。また、電気コネクタ60が非接触式の電気コネクタである場合にも、電気コネクタ60が突出して他のコンテナの電気コネクタ等に近接することで、損失が抑制された電気的接続を容易に確保することができる。したがって、冷却コンテナ30の電気コネクタ60を外部と容易に電気的に接続することができる。加えて、電気コネクタ60を外部と電気的に接続させる必要がない場合、コンテナ本体40に近接した後退位置に電気コネクタ60を配置することができる。電気コネクタ60を後退位置に配置することによって、コンテナ本体40を小型化することができる。これにより、突出した電気コネクタ60が通行等の妨げとなることや、外部と接触して電気コネクタ60が破損することを、効果的に抑制することができる。
【0071】
図6に示すように、短側壁部41に支持された電気コネクタ60は、短側壁部41から離間する方向へ突出可能となっている。電気コネクタ60は、コンテナ本体40に対して第1方向D1に相対移動する。この電気コネクタ60は、冷却コンテナ30が貨車20上に載置された際に、貨車20の進行方向DTに突出可能となる。すなわち、電気コネクタ60は、コンテナ本体40に対して進行方向DTに相対移動する。したがって、鉄道の貨車20上に積載される場合のように、短側壁部41が対面するようにして並べられた複数のコンテナの間で電気コネクタ60を容易かつ安定して電気的に接続することができる。
【0072】
なお、図6に示された例において、冷却コンテナ30は手動操作部80を有している。操作者によって手動操作部80が操作されることによって、電気コネクタ60は、後退位置と突出位置との間を移動する。手動操作部80の操作は、リンク機構等の機械的な機構によって電気コネクタ60に伝達され、電気コネクタ60を駆動するようにしてもよい。また、手動操作部80の操作が電気的信号をアクチュエータに送信し、電気的信号を受けたアクチュエータが電気コネクタ60を駆動するようにしてもよい。このように手動操作部80を用いて電気コネクタ60を移動させることによって、電気コネクタ60の電気的接続の確保および解除を容易かつより確実に行うことができる。
【0073】
図6に示された例において、手動操作部80はレバーとして構成されている。この手動操作部80は、第2方向D2と平行な軸線を中心として揺動可能となっている。さらに具体的には、手動操作部80が短側壁部41又は第3方向D3に沿って立ち上がった状態において電気コネクタ60が後退位置に位置し、手動操作部80が短側壁部41又は第3方向D3から傾斜した状態において電気コネクタ60が突出位置に位置するようにしてもよい。しかしながら、この例に限られず、手動操作部80が短側壁部41又は第3方向D3に沿って立ち上がった状態において電気コネクタ60が突出位置に位置し、手動操作部80が短側壁部41又は第3方向D3から傾斜した状態において電気コネクタ60が後退位置に位置するようにしてもよい。
【0074】
他の例として、手動操作部80が第1方向D1と平行な軸線を中心として揺動可能としてもよい。この例において、手動操作部80がコンテナ本体40から第2方向D2に延び出した状態で電気コネクタ60が突出位置及び後退位置の一方に位置し、手動操作部80の全体が第1方向D1にコンテナ本体40と重なる状態で電気コネクタ60が突出位置及び後退位置の他方に位置するようにしてもよい。
【0075】
また、冷却コンテナ30が第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bを有する例において、一つの手動操作部80によって第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bの両方をコンテナ本体40に対して相対移動させることができるようにしてもよい。或いは、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bは、別個の手動操作部80を割り当てられ、別個の手動操作部80によって別個に操作されるようにしてもよい。さらに、後退位置から突出位置への移動および突出位置から後退位置への移動のいずれか一方のみを、例えば突出位置から後退位置への移動のみを、一つの手動操作部80によって第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bの両方が操作され得るようにしてもよい。
【0076】
さらに、図7図11に示すように、冷却コンテナ30が、当該冷却コンテナ30の状態に関する情報を検知する状態検知部65を有するようにしてもよい。例えば、状態検知部65の検知結果に基づいて、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bのコンテナ本体40に対する相対移動が手動操作または自動制御されるようにしてもよい。手動操作においては、状態検知部65による検知結果に基づき、操作者が手動操作部80を操作するようにしてもよい。自動制御する例において、冷却コンテナ30は、状態検知部65の検知結果に基づいて電気コネクタ60を機械的または電気的に移動させるコネクタ駆動部(駆動部)70を有するようにしてもよい。リンク機構を用いた機械的なコネクタ駆動部70により、又は、センサ類やアクチュエータ等を用いた電気手的なコネクタ駆動部70により、状態検知部65での検知結果に基づいて電気コネクタ60をコンテナ本体40に対して相対移動させることができる。
【0077】
なお、電気コネクタ60やコネクタ駆動部70を用いる場合にも、上述した手動操作部80による操作と同様に、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bを一括して移動させるようにしてもよいし、一部の条件において一括して移動させるようにしてもよいし、別個に移動させるようにしてもよい。
【0078】
状態検知部65を用いることによれば、電気的接続を確保すべき状態を検知し、電気コネクタ60を突出位置に突出させることができる。これにより、冷却コンテナ30の電気コネクタ60を外部、例えば他のコンテナの電気コネクタ等と、さらに容易かつ適切に電気的に接続することができる。また、電気的接続が不必要な状態や電気コネクタ60の突出が好ましくない状態を検知し、電気コネクタ60を後退位置に後退させることができる。とりわけ、電気コネクタ60の移動がコネクタ駆動部70によって駆動されることで、電気的な接続の確保および電気的な接続の解除を概ね自動化することができ、作業負担を大幅に削減することができる。
【0079】
まず、図7に示すように、状態検知部65は、冷却コンテナ30の爪受け穴48hに、フォークリフトFの爪Cが挿入されているか否かを検知するようにしてもよい。フォークリフトFの爪Cが冷却コンテナ30の爪受け穴48hに挿入されている場合、通常、当該冷却コンテナ30は運搬されている又は運搬の準備をされている。このとき、電気コネクタ60が突出位置にあると、電気コネクタ60がそれまでに電気的に接続していた他のコンテナの電気コネクタ等との干渉や、外部との接触等によって、電気コネクタ60が破損してしまうことも想定される。したがって、フォークリフトFの爪Cが冷却コンテナ30の爪受け穴48hに挿入されていることが状態検知部65によって検知された場合、電気コネクタ60を後退位置に後退させるようにしてもよい。これにより、冷却コンテナ30の積み降ろし時における電気コネクタ60の破損を効果的に防止することができる。
【0080】
図7に示された例において、状態検知部65は、爪受け部48に設置され、爪受け穴48h内におけるフォークリフトFの爪Cの有無を監視することができる。このような状態検知部65として、例えば、近接センサ、変位センサ、位置センサ等を用いることができる。また、状態検知部65と電気的に接続したコネクタ駆動部70が設けられている。コネクタ駆動部70は、電気コネクタ60を一方向に駆動し得る。このようなコネクタ駆動部70として、シリンダ等のアクチュエータを用いることができる。
【0081】
次に、図8及び図9は、冷却コンテナ30の爪受け穴48hに、フォークリフトFの爪Cが挿入されているか否かを検知する状態検知部65の別の例を示している。図8及び図9に示された例において、状態検知部65は、コンテナ本体40によって第1方向D1に移動可能に保持された第1リンク材66Aを有している。図9に示すように、第1リンク材66Aは、その先端(第1方向D1における一側端)が爪受け穴48h内に部分的に突出している。第1リンク材66Aの先端は傾斜面66aを有している。傾斜面66aは、第1方向D1における一側において第2方向D2における一側に位置するよう、第1方向D1及び第2方向D2に対して傾斜している。この第1リンク材66Aは、図示しないばね等の弾性体からなる押し部材によって、第1方向D1における一側に押されている。ただし、爪受け穴48h内に挿入されたフォークリフトFの爪Cが傾斜面66aを第2方向D2における一側に押すことによって、第1リンク材66Aは第1方向D1における他側へ押されるようになる。
【0082】
また、図8及び図9に示された例において、冷却コンテナ30は、コネクタ駆動部70を有している。コネクタ駆動部70は、コンテナ本体40に設けられた第2リンク材66Bを有している。第2リンク材66Bは、第2方向D2と平行な軸線を中心として回転可能となっている。第2リンク材66Bは、第1リンク材66A及び電気コネクタ60のそれぞれに回転可能に接続している。第2リンク材66Bは、第1リンク材66Aの第1方向D1に沿った移動を電気コネクタ60に伝達し、電気コネクタ60を第1方向D1に沿って第1リンク材66Aとは逆側に移動させる。同様に、第2リンク材66Bは、電気コネクタ60の第1方向D1に沿った移動を第1リンク材66Aに伝達し、第1リンク材66Aを第1方向D1に沿って電気コネクタ60とは逆側に移動させる。
【0083】
すなわち、図8及び図9に示された例において、状態検知部65は、機械的な接触により、フォークリフトFの爪Cが爪受け穴48hに挿入されているか否かを検知する。また、コネクタ駆動部70は、状態検知部65の動作を機械的に電気コネクタ60に伝達している。
【0084】
次に、状態検知部65は、図7に示すように、電気コネクタ60への電圧印加の有無を検知するようにしてもよい。このような状態検知部65として電圧計等の電気的センサ類を用いることができる。この例において、一定期間に亘って、電気コネクタ60に電圧が印加されていない場合、電気コネクタ60が外部と電気的に接続していないとみなして、後退位置に後退させることができる。すなわち、不要な場合に電気コネクタ60を後退させて、電気コネクタ60の破損等を効果的に防止することができる。
【0085】
なお、冷却コンテナ30は、状態検知部65の検知結果に基づいて電気コネクタ60に電圧が印加されていることを報知することが好ましい。図1に示す例において、冷却コンテナ30は、電気コネクタ60に電圧が印加されていること、つまり冷却ユニット50に電力を供給可能な状態であることを示す報知部38を有している。図1に示された例において、進行方向DTにおける最も一側(前側)に位置する冷却コンテナ30の電気コネクタ60が後退位置に後退しており、隣り合う冷却コンテナ30の電気コネクタ60との電気的接続が遮断されている。そして、図1に示された例において、電気コネクタ60に電圧を印加されている冷却コンテナ30の報知部38は点灯し、電気コネクタ60に電圧を印加されていない冷却コンテナ30の報知部38は消灯している。報知部38を設けることによって、作業者等が電気コネクタ60の電気的接続の状態を容易に把握することができる。
【0086】
さらに別の例として、図10に示すように、状態検知部65は、冷却コンテナ30が貨車20上に載置されたことを検知するようにしてもよい。この例によれば、冷却コンテナ30が貨車20に載置されていない場合、貨車20での輸送中でないとみなして、電気コネクタ60を後退位置に後退させることができる。すなわち、不要な場合に電気コネクタ60を後退させて、電気コネクタ60の破損等を効果的に防止することができる。
【0087】
図10に示された例において、貨車20の台車21は上下方向DVに突出した突出部21Aを有している。一方、冷却コンテナ30は、貨車20上の所定位置に載置された際に、突出部21A上に位置するようになる検出片67を有している。検出片67は、コンテナ本体40に対して第3方向D3に沿って移動可能に支持されている。図10に二点鎖線で示すように、検出片67は、冷却コンテナ30が貨車20上の所定位置に載置されると、突出部21Aによって押し上げられ、第3方向D3における一側(上側)に移動する。検出片67は、突出部21Aへの接触面とは第3方向D3における反対側面として、検出傾斜面67aを有している。検出片67が第3方向D3における一側(上側)に移動すると、検出傾斜面67aが電気コネクタ60の基端(第1方向D1における一側端)に接触する。このとき検出傾斜面67aによって、電気コネクタ60は第1方向D1における他側(後側)に押され突出位置に移動する。図10に示された例において、検出片67は、状態検知部65として機能し、さらにコネクタ駆動部70としても機能する。
【0088】
なお、電気コネクタ60は、図示しないばね等の弾性体からなる押し部材によって、第1方向D1における一側に押されている。したがって、図10に実線で示すように、貨車20上に載置されていない状態において、電気コネクタ60は後退位置に位置する。この例では、一定の条件が満たされない限り、電気コネクタ60を後退位置に後退させることができる。すなわち、必要と判断されるまで電気コネクタ60が後退位置に維持されるので、不要な場合に電気コネクタ60を後退させて電気コネクタ60の破損等を効果的に防止することができる。
【0089】
さらに図11に示された例のように、状態検知部65は、冷却コンテナ30を貨車20に接続するロック機構24の状態を検知するようにしてもよい。ロック機構24の状態を検知する状態検知部65を用いた場合、ロック機構24によって冷却コンテナ30が貨車20上に固定されている状態において電気コネクタ60を突出位置に配置させるようにしてもよい。また、ロック機構24によって冷却コンテナ30が貨車20上に固定されていない状態において電気コネクタ60を後退位置に配置させるようにしてもよい。ロック機構24の状態を検知する状態検知部65を用いることによって、電気的に接続させることが必要な状態で電気コネクタ60を適切に突出させ、電気的に接続させることが不要な状態で電気コネクタ60を適切に後退させることができる。
【0090】
図11に示された例において、ロック機構24は貨車20に設けられている。図示されたロック機構24は、貨車20に対して揺動可能なフックとして構成されている。ロック機構24は、図示された例のように第1方向D1と平行な軸線を中心として、または第2方向D2と平行な軸線を中心として、貨車20に対して揺動可能となっている。コンテナ本体40は、貨車20の台枠22に載置されるようになる脚部44Xを、底壁部44の一部として有している。揺動したロック機構24の先端が、脚部44Xに設けられた脚部穴44Xhに入り込む。これにより、冷却コンテナ30の貨車20上での移動が規制され、冷却コンテナ30を貨車20に固定することができる。図示された例において、状態検知部65は脚部44Xの内側に配置されている。状態検知部65は、脚部穴44Xhを通過したロック機構24の先端の有無を判断し、ロック機構24によって冷却コンテナ30が貨車20上に固定されている状態を検知する。このような状態検知部65として、近接センサ、変位センサ、位置センサ等を用いることができる。
【0091】
ただし、図11に示されたロック機構24は例示に過ぎない。ロック機構24は、冷却コンテナ30に含まれるようにしてもよい。また、冷却コンテナ30に含まれるロック機構24を採用する場合、ロック機構24の動作が伝達機構によって機械的に電気コネクタ60に伝達されるようにしてもよい。この例において、ロック機構24が状態検知部65を構成し、伝達機構がコネクタ駆動部70を構成するようになる。
【0092】
図11に示された例において、状態検知部65がロック機構24に関する特定の状態を検知した場合、例えば図7に示されたアクチュエータ等からなるコネクタ駆動部70を用いて、電気コネクタ60の位置を自動的に調節するようにしてもよい。或いは、状態検知部65がロック機構24に関する特定の状態を検知した場合、例えば図6に示された手動操作部80を用いて、電気コネクタ60の位置を手動操作で調節するようにしてもよい。なお、状態検知部65と組み合わせて手動操作部80を用いる場合、冷却コンテナ30が状態検知部65による検知状態を報知する状態報知部39を有するようにしてもよい。状態報知部39を設けることで、作業者は適切な時期に電気コネクタ60の位置を手動操作することができる。また、図11に示された例では、状態報知部39の近傍に報知部38が設けられている。作業者は、手動操作部80を操作した後、報知部38によって電気コネクタ60を意図した位置に移動したことを確認することができる。
【0093】
なお、以上において状態検知部65及びコネクタ駆動部70の複数の具体例とともに、電気コネクタ60の動作の制御例について説明したが、これらに限定されない。例えば、冷却コンテナ30が貨車20上に配置され且つフォークリフトFの爪Cが爪受け穴48hに挿入されていない状態で電気コネクタ60が突出位置に配置され、それ以外の状態で、電気コネクタ60が後退位置に配置されるようにしてもよい。
【0094】
次に、電源コンテナ90について説明する。電源コンテナ90は、コンテナ本体40と、コンテナ本体40内に収容された蓄電池91(図2A及び図2B参照)と、蓄電池91と電気的に接続した電気コネクタ60と、を有している。電源コンテナ90に用いられるコンテナ本体40及び電気コネクタ60は、それぞれ、上述した冷却コンテナ30のコンテナ本体40及び電気コネクタ60と同様に構成され得る。また、電源コンテナ90は、冷却コンテナ30の状態検知部65、コネクタ駆動部70及び手動操作部80と同様に構成された状態検知部65、コネクタ駆動部70及び手動操作部80を有していてもよい。更に、電源コンテナ90は、冷却コンテナ30の爪受け部48A,48Bと同様に構成された爪受け部48A,48Bを有していてもよい。
【0095】
図2A及び図2Bに示すように、電源コンテナ90は、貨車20上において、進行方向DTに隣り合う冷却コンテナ30と互いの電気コネクタ60を介して電気的に接続する。これにより、電源コンテナ90の蓄電池91が冷却コンテナ30の冷却ユニット50と電気的に連結され、蓄電池91から冷却ユニット50の駆動機55に電力を供給することができる。
【0096】
図1図2Bに示された例では、貨車20上において、電源コンテナ90に対する進行方向DTにおける両側に冷却コンテナ30が配置されている。例えば、電源コンテナ90に対する進行方向DTにおける両側に冷却コンテナ30が二つずつ配置されていてもよい。上述したように、冷却コンテナ30の第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bはベース配線61を介して電気的に接続している。したがって、一つの貨車20上に配置された五つのコンテナ30,90は電気的に接続している。すなわち、電源コンテナ90の各側に配置された二つの冷却コンテナ30は、電源コンテナ90の蓄電池91から電力供給を受ける。このように電源コンテナ90の両側に電源コンテナ90から電力の供給を受ける冷却コンテナ30を配置した場合、配線が長くなることに起因した損失を効果的に抑制しながら、電源コンテナ90から両側の冷却コンテナ30に電力を供給することができる。
【0097】
次に、以上の構成からなる貨物車両10を用いて積荷を鉄道輸送する際の作用について説明する。
【0098】
まず、冷却コンテナ30に搭載された蓄冷材35を冷却する。具体的には冷却ユニット50を運転させて、冷媒配管51に冷却された冷媒が流れるようにする。これにより、冷媒配管51に隣接して配置された蓄冷材35が冷却される。この工程において、冷却コンテナ30が電源コンテナ90とともに貨車20上に配置されている場合、冷却ユニット50の駆動機55を運転させる電力は、電源コンテナ90から供給されるようにしてもよい。或いは、駅やコンテナヤードの電力源から電力供給を受けるようにしてもよい。以上のようにして、冷却コンテナ30内の蓄冷材35が冷却され、蓄冷材35によって冷却コンテナ30の荷室RBが低温に保持される。
【0099】
なお、冷却コンテナ30を用いて直前に輸送が行われており且つ蓄冷材35が未だ低温に維持されている場合には、蓄冷材35を冷却する工程を省くことができる。
【0100】
次に、冷却された蓄冷材35が収容された冷却コンテナ30の荷室RBに積荷を収容する。冷却コンテナ30を貨車20上に載置して蓄冷材35を冷却した場合には、貨車20上の冷却コンテナ30の荷室RBに積荷を積み込むようにしてもよい。或いは、コンテナヤードに冷却コンテナ30を配置して蓄冷材35を冷却した場合には、コンテナヤードで積荷の積み込みを行ってもよいし、冷却コンテナ30を貨車20上に載置した後に積荷の積み込みを行ってもよい。また、荷室RBへの積荷の積み込みと並行して、蓄冷材35の冷却を継続してもよい。
【0101】
その後、貨物車両10がレールR上を牽引されて、冷却コンテナ30の荷室RB内の積荷が鉄道輸送される。なお、冷却コンテナ30内に十分な量の蓄冷材35が収容されていることで、長時間に亘って、荷室RB内を保冷することができる。例えば12ftのコンテナにおいては、20時間に亘って、荷室RBを保冷することができる。
【0102】
このような一実施の形態に対し、上述の特許文献1(特開2003-269835)に開示されたコンテナでは、鉄道輸送中に内燃機関から駆動力を提供し続けることによって、冷凍ユニットの圧縮機が動作し冷媒を冷却する。そして冷却された冷媒によって、コンテナの荷室を低温に保持している。すなわち、特許文献1のコンテナでは蓄冷材を有していないことから、鉄道輸送中に内燃機関が動作し続ける必要がある。しかしながら、走行中の鉄道車両からの振動によって、動作中の内燃機関は非常に故障しやすくなる。また、内燃機関を動作させるための燃料も車両で輸送することになり、例えば長いトンネル等における火災予防の観点から非常に好ましくない。さらに、長距離輸送においては、燃料の補給も必要となる。これらの点から、従来のコンテナを用いた場合、コンテナの荷室を安定して低温に維持することができなかった。このため、低温輸送については、鉄道輸送へのモーダルシフトが停滞している。
【0103】
一方、本実施の形態によれば、予め冷却された蓄冷材35によって荷室RBを低温に保持することができる。このため、鉄道輸送中に、冷却ユニット50を動作させ続ける必要がない。したがって、冷却コンテナ30の荷室RBを安定して低温に維持することができる。
【0104】
その一方で、蓄冷材35を有する冷却コンテナ30を用いた鉄道輸送においても、鉄道輸送の途中に温度上昇した蓄冷材35を再冷却してもよい。蓄冷材35を再冷却は、電源コンテナ90の蓄電池91から電力供給を受けた冷却ユニット50を動作させることによって、実施することができる。
【0105】
一例として、冷却コンテナ30が載置された貨車20が停車した状態で、温度上昇した蓄冷材35を冷却する工程が実施されるようにしてもよい。すなわち、輸送が一旦停止した状態で、輸送工程と輸送工程の間に蓄冷材35の再冷却工程が実施されるようにしてもよい。この例によれば、貨物車両10が停止している間に、蓄冷材35を冷却することができる。したがって、長距離輸送中に冷却コンテナ30の荷室RBを安定して低温に維持することができる。なお、この冷却工程中、電源コンテナ90の蓄電池91から冷却コンテナ30の冷却ユニット50に電力が供給されるようにしてもよいし、或いは、貨物車両10が停止しているので外部の電力源からコンテナ30の冷却ユニット50に電力が供給されるようにしてもよい。
【0106】
他の例として、鉄道輸送している最中の一期間、蓄冷材35を冷却するようにしてもよい。すなわち、貨物車両10の走行中の一期間、蓄冷材35を冷却するようにしてもよい。この例によっても、蓄冷材35が温度上昇したとしても、蓄冷材35を冷却することができる。したがって、長距離輸送中に冷却コンテナ30の荷室RBを安定して低温に維持することができる。なお、この冷却工程中、電源コンテナ90の蓄電池91から冷却コンテナ30の冷却ユニット50に電力を供給することができる。
【0107】
また、蓄冷材35を再冷却する際、冷却材室RC(図3A及び図3B参照)にドライアイス等の冷却材を投入するようにしてもよい。冷却材室RCに冷却材を収容することで、冷却材室RC内を通過して延びる又は冷却材室RCに隣接して延びる冷媒配管51及び冷媒の冷却を促進して、蓄冷材35及び荷室RBを急速に冷却することができる。
【0108】
とりわけ図3Bに示された冷却材室RCは、蓄冷材35に隣接して荷室RB内に配置されている。したがって、冷却ユニット50を動作させることなく、この冷却材室RCに隣接する蓄冷材35及び荷室RBを冷却することができる。このため、例えば比較的短時間の間だけ蓄冷材35による保冷能力を補完又は補強したい場合、図3Bに示された冷却材室RCに冷却材を投入して、冷却材室RCに隣接する蓄冷材35及び荷室RBの温度を低温に維持または低下させることができる。
【0109】
冷却材室RCには、開閉扉46を開くことでアクセスすることができる。冷却材室RCは、上述したように追加壁部33及びコンテナ本体40によって、荷室RBから区画されている。そして、開閉扉46を開いた際に、荷室RBを密閉したまま、冷却材室RCを開放することできる。したがって、荷室RBの温度を維持したまま、冷却材室RCに冷却材を投入することができる。
【0110】
なお、輸送中における蓄冷材35の再冷却は短時間である。したがって、蓄冷材35を用いて冷却コンテナ30の荷室RBを保冷する鉄道輸送方法では、冷却ユニット50が、駆動機55に電力を供給する発電機を含むようにしてもよい。また別の例として、冷却ユニット50の圧縮機52を駆動する駆動機55として、電力供給を受けて駆動力を出力するモータに限られることなく、内燃機関を用いることができる。蓄冷材35を用いることで、輸送中における駆動機55の動作時間は大幅に短縮される。したがって、この例でも、内燃機関によって構成された駆動機55の故障が頻発するといった不具合を効果的に抑制することができる。なお、モータ等に代えて、内燃機関を駆動機55に用いる場合、冷却ユニット50は電力を供給される必要はない。したがって、この例では、電気コネクタ60を省略することができ、更に電源コンテナ90を省略することもできる。
【0111】
以上に説明してきた一実施の形態において、冷却コンテナ30は、直方体状のコンテナ本体40と、コンテナ本体40の一対の短側壁部41A,41Bにそれぞれ設けられた第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bと、コンテナ本体40に支持され第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bと電気的に連結された冷却ユニット50と、を有している。この一実施の形態によれば、一対の短側壁部41A,41Bの一方に第1電気コネクタ60Aが設けられ、一対の短側壁部41A,41Bの他方に第2電気コネクタ60Bが設けられている。したがって、冷却コンテナ30を載置する際の向きに大きな影響を受けることなく、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bのいずれか一方を用いることによって、外部との電気的接続を安定して確保することができる。とりわけ、鉄道の貨車20に載置する場合には、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bのいずれか一方が、貨車20上で隣り合う他のコンテナを向くようになる。したがって、冷却コンテナ30の電気コネクタ60A,60Bを外部と安定して電気的に接続することができる。
【0112】
また、以上に説明してきた一実施の形態において、冷却コンテナ30は、鉄道の貨車20に載置されるコンテナ本体40と、コンテナ本体40に支持され貨車20の進行方向DTにおけるいずれか一方の側から電気的に接続可能な第1電気コネクタ60Aと、コンテナ本体40に支持され貨車20の進行方向DTにおける他方の側から電気的に接続可能な第2電気コネクタ60Bと、コンテナ本体40に支持され第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bと電気的に連結された冷却ユニット50と、を有している。この一実施の形態によれば、鉄道の貨車20に載置した際に、第1電気コネクタ60A及び第2電気コネクタ60Bのいずれか一方が、貨車20上で隣り合う他のコンテナを向くようになる。したがって、冷却コンテナ30の電気コネクタ60A,60Bを外部と安定して電気的に接続することができる。
【0113】
さらに、以上に説明してきた一実施の形態において、冷却コンテナ30は、コンテナ本体40と、コンテナ本体40から突出可能にコンテナ本体40に設けられた電気コネクタ60と、コンテナ本体40に支持され電気コネクタ60と電気的に連結された冷却ユニット50と、を有している。この一実施の形態によれば、電気コネクタ60が突出することから、この電気コネクタ60を、外部、例えば他のコンテナ等の電気コネクタと接触させて、容易かつ安定して電気的接続を確保することができる。また、電気コネクタ60が非接触式の電気コネクタである場合には、電気コネクタ60が突出して他のコンテナ等の電気コネクタに近接することで、損失が抑制された電気的接続を容易に確保することができる。したがって、冷却コンテナ30の電気コネクタ60を外部と容易に電気的に接続することができる。加えて、本実施の形態によれば、電気コネクタ60を外部と電気的に接続させる必要がない場合、コンテナ本体40に近接した後退位置に電気コネクタ60を配置することができる。電気コネクタ60を後退位置に配置することによって、コンテナ本体40を小型化することができる。これにより、突出した電気コネクタ60が通行等の妨げとなることや、外部と接触して電気コネクタ60が破損することを、効果的に抑制することができる。
【0114】
さらに、以上に説明してきた一実施の形態において、冷却コンテナ30は、コンテナ本体40と、コンテナ本体40に設けられ一方向からフォークリフトFの爪Cを受ける穴48Ahが設けられた第1爪受け部48Aと、コンテナ本体40に設けられ一方向と非平行な他方向からフォークリフトFの爪Cを受ける穴48Bhが設けられた第2爪受け部48Bと、を有している。従来、輸送に用いられてきたコンテナは、幅広の長側壁部42に対面する向きからのみフォークリフトFの爪Cを受けるようになっていた。一方、トラック輸送されたコンテナ内から積荷を受け入れる冷凍・冷蔵用のドッグシェルタのように、幅狭の開口を有する貯蔵庫等も存在する。従来の持ち方にてフォークリフトFによってコンテナを把持した場合、幅狭の開口をコンテナが通過することができない。一方、一実施の形態によれば、冷却コンテナ30は、互いに異なる方向からフォークリフトFの爪Cを受ける第1爪受け部48A及び第2爪受け部48Bを有している。幅広の長側壁部42A,42Bに対面する向きからフォークリフトFの爪Cを受ける第1爪受け部48Aに加え、幅狭の短側壁部41A,41Bに対面する向きからフォークリフトFの爪Cを受ける第2爪受け部48Bも有している。したがって、第1爪受け部48A及び第2爪受け部48Bから適宜した爪受け部の爪受け穴にフォークリフトFの爪Cを挿入することで把持された冷却コンテナ30を、ドッグシェルタ等の貯蔵庫に幅狭の開口を介して、搬入することができる。
【0115】
一実施の形態を複数の具体例により説明してきたが、これらの具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
【符号の説明】
【0116】
10 貨物車両
20 貨車
24 ロック機構
30 冷却コンテナ
33 追加壁部
35 蓄冷材
38 報知部
40 コンテナ本体
41,41A,41B 短側壁部
42,42A,42B 長側壁部
45 扉
46 開閉扉
48,48A,48B 爪受け部
48h,48Ah,48Bh 爪受け穴
50 冷却ユニット
51 冷媒配管
60,60A,60B 電気コネクタ
61 ベース配線
63 カバー材
65 状態検知部
70 コネクタ駆動部
80 手動操作部
90 電源コンテナ
91 蓄電池
F フォークリフト
C 爪
RB 荷室
RC 冷却材室RC
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11