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特許7577492情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
H04M11/00 301
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020158798
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052413
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】諸田 元
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-038369(JP,A)
【文献】特開2020-123810(JP,A)
【文献】特開2015-002362(JP,A)
【文献】特開2014-036382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 11/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外部機器に割り当てられたノード番号と、前記第1の外部機器との間で送受信可能な第1のコマンドとを対応付ける設定を記憶する記憶手段と、
前記第1の外部機器のノード番号を引き継いだ第2の外部機器との間で前記第1のコマンドを送受信可能でない場合に、前記第1のコマンドと互換性のある第2のコマンドを前記第2の外部機器との間で送受信可能か判定する判定手段と、
前記判定手段により前記第2の外部機器との間で前記第2のコマンドを送受信可能であると判定された場合に、前記設定における前記第1のコマンドを前記第2のコマンドに変更するための制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は監視装置であり、
前記設定は、前記監視装置で発生するイベントに対し、前記監視装置による所定のアクションを対応付けるルールであり、
前記第1のコマンドは、前記イベント又は前記アクションとして前記ルール内に設定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記判定手段により前記第2の外部機器との間で前記第2のコマンドを送受信可能であると判定された場合に、前記設定における前記第1のコマンドを前記第2のコマンドに変更することの可否をユーザに確認するための情報をクライアント装置に対して送信する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記設定における前記第1のコマンドを前記第2のコマンドに変更すると決定したことを示す情報を前記クライアント装置から受信したことに応じて、前記設定における前記第1のコマンドを前記第2のコマンドに変更する処理を行う、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判定手段により前記第2の外部機器との間で前記第2のコマンドを送受信可能でないと判定された場合に、前記設定が無効であることをユーザに知らせるための情報をクライアント装置に対して送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1の外部機器と前記第1の外部機器とで製品識別番号が同一である場合に、前記制御を行わない、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1の外部機器と前記第1の外部機器とで製造者識別番号、製品タイプ、機器タイプ、及び、ネットワーク上の役割タイプのいずれか1つ以上が異なる場合に、前記制御を行わない、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記記憶手段は、前記第1のコマンドと前記第2のコマンドとを対応付けるコマンド対応テーブルをさらに記憶し、
前記制御手段は、前記コマンド対応テーブルを参照することにより、前記第2のコマンドを取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第2の外部機器との間で送受信可能なコマンドの中に、一部のコマンドデータが前記第1のコマンドと同一であり、かつ、残りのコマンドデータが未知であるコマンドがある場合に、該コマンドを前記第2のコマンドとして取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第1の外部機器と前記第2の外部機器とで機器タイプが同一であり、かつ、前記第2の外部機器との間で送受信可能なコマンドの中に数値を送信するコマンドがある場合に、該コマンドを前記第2のコマンドとして取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
第1の外部機器に割り当てられたノード番号と、前記第1の外部機器との間で送受信可能な第1のコマンドとを対応付ける設定を記憶する記憶ステップと、
前記第1の外部機器のノード番号を引き継いだ第2の外部機器との間で前記第1のコマンドを送受信可能でない場合に、前記第1のコマンドと互換性のある第2のコマンドを前記第2の外部機器との間で送受信可能か判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記第2の外部機器との間で前記第2のコマンドを送受信可能であると判定された場合に、前記設定における前記第1のコマンドを前記第2のコマンドに変更するための制御を行う制御ステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークや専用線を介して遠隔操作により制御可能に構成された監視装置が知られている。この種の監視装置は、自身に備えるカメラなどによる監視の他、外部機器を用いた監視も行えるように構成される。外部機器には、PIR(Passive Infrared Ray,受動赤外線検知)センサやガスセンサのような、状況検知を行う検知機器が含まれる。また、スマートコンセントやドアロックのように、外部からの指示内容に応じてモーターや電気回路を作動させる作動機器も外部機器に含まれる。
監視装置は情報処理装置であり、外部機器との間でコマンドを送受信することにより、外部機器を用いた監視を行う。このコマンドには、外部機器から監視装置に送られるものと、監視装置から外部機器に送られるものとが含まれる。前者のコマンドは外部機器によって検知された状況を監視装置に通知するために使用されるもので、以下では「通知コマンド」と称する。後者のコマンドは、監視機器から外部機器を制御するために使用されるもので、以下では「制御コマンド」と称する。
【0003】
監視装置は、常に人手を介さず自動で動作している必要がある。そこで、監視装置には、イベントとアクションを対応付けたルールが予め設定される。イベントには、設定時刻の到来や外部機器からの通知コマンドの受信などが含まれる。アクションには、監視装置自身の動作(録画を開始する、電子メールを送る、など)の他、特定の外部機器に対する制御コマンドの送信が含まれる。監視装置と外部機器との間の通信は例えばZ-waveなどのメッシュネットワークを用いて行われ、ルール内における外部機器の特定はノード番号により行われる。
監視装置内に一度ルールを設定しておけば、監視装置を自動運用することが可能になる。また、故障などによって外部機器を交換した際にも、交換前の外部機器に割り当てられていたノード番号を交換後の外部機器に割り当てることで、ルールの再設定を行うことなく、監視装置の自動運用を継続することが可能になる。
【0004】
特許文献1には、ネットワークに接続されたPCをリプレイスする場合に、アドレス帳に設定されているリプレイス元PCの識別情報をリプレイス先PCの識別情報に容易に更新可能に構成された複合機が開示されている。
特許文献2には、ネットワークに接続されたカメラを交換する場合に、新しいカメラが特定のカメラのための交換用であることを判定したうえで、その特定のカメラの構成設定に基づいて新しいカメラを構成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-199958号公報
【文献】特開2015-226324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、監視装置に接続される外部機器を交換する場合、交換前の外部機器と全く同じ機器ではなく、同様の機能を有する別製品の外部機器に交換する場合がある。その場合、交換前の外部機器に関してルール内に設定していたコマンドに交換後の外部機器が対応しておらず、外部機器の交換に伴い、ルールに従った動作が実行されなくなってしまう可能性がある。したがって、外部機器を別製品に交換する際には、コマンドの対応状況を確認し、必要に応じてルールを再設定する必要がある。しかしながら、外部機器の交換は常に専門家が行うわけではないため、ルール再設定が必要であるにも関わらず再設定しないまま放置され、結果として、ルールに従った動作が実行されない状態になってしまう場合があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報処理装置に接続される外部機器を交換した場合に、情報処理装置内に設定されているルールに従った動作が実行されない状態になってしまうことを抑制するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様による情報処理装置は、第1の外部機器に割り当てられたノード番号と、前記第1の外部機器との間で送受信可能な第1のコマンドとを対応付ける設定を記憶する記憶手段と、前記第1の外部機器のノード番号を引き継いだ第2の外部機器との間で前記第1のコマンドを送受信可能でない場合に、前記第1のコマンドと互換性のある第2のコマンドを前記第2の外部機器との間で送受信可能か判定する判定手段と、前記判定手段により前記第2の外部機器との間で前記第2のコマンドを送受信可能であると判定された場合に、前記設定における前記第1のコマンドを前記第2のコマンドに変更するための制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、情報処理装置に接続される外部機器を交換した場合に、情報処理装置内に設定されているルールに従った動作が実行されない状態になってしまうことを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る監視システム1の構成の一例を示す図である。
図2】監視装置2の構成を示す図である。
図3】記憶部12に予め格納されるコマンド対応テーブルを示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る監視装置2の処理を示すフロー図である。
図5図4に示したS102に関して、クライアント装置3に表示されるルール設定用の表示画面21を示す図である。
図6図4に示したS109の通知を受けたクライアント装置3に表示される表示画面22を示す図である。
図7図4に示したS110の通知を受けたクライアント装置3に表示される表示画面23を示す図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る監視装置2の処理を示すフロー図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る監視装置2の処理を示すフロー図である。
図10図8に示したS203に関して、クライアント装置3に表示されるルール設定用の表示画面24を示す図である。
図11図9に示したS211の通知を受けたクライアント装置3に表示される表示画面25を示す図である。
図12図9に示したS214の通知を受けたクライアント装置3に表示される表示画面26を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る監視システム1の構成の一例を示す図である。同図に示すように、監視システム1は、監視装置2、クライアント装置3、検知機器4b、作動機器5bを備える。このうち検知機器4bは、従前使用していた検知機器4aを交換したものであり、作動機器5bは、従前使用していた作動機器5aを交換したものである。図1には、検知機器4aを検知機器4bに、作動機器5aを作動機器5bにそれぞれ交換した後の状態を示している。
本実施形態では、検知機器4aを検知機器4bに交換した場合に、上述した通知コマンドに関して、監視装置2内に設定されているルールに従った動作が実行されない状態になってしまうことを抑制できるようにするための構成を説明する。作動機器5aを作動機器5bに交換した場合については、後述する第2の実施形態で説明する。
【0012】
監視装置2は、例えばネットワークカメラとしての機能を有する情報処理装置(コンピュータ)であり、有線又は無線のネットワーク6を介してクライアント装置3に接続される。監視装置2はまた、有線又は無線のネットワーク7を介して、検知機器4b(又は検知機器4a)及び作動機器5b(又は作動機器5a)にも接続される。監視装置2は、この接続を介して、検知機器4b(又は検知機器4a)の状態監視(すなわち、通知コマンドの受信)を行うとともに、作動機器5b(又は作動機器5a)への作動指示(すなわち、制御コマンドの送信)を行う。以下では、監視装置2はネットワークカメラとしての機能を有するコンピュータであるとして説明を続ける。
ネットワーク6は、例えばEthernet(登録商標)などの各種通信規格を満たす複数のルータ、スイッチ、ケーブルなどを含んで構成される。ただし、ネットワーク6は、監視装置2とクライアント装置3との間での通信を可能にするものであればよく、ネットワーク6の通信規格、規模、及び構成は特に限定されない。
【0013】
また、ネットワーク7としては、例えば、Z-Wave、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、その他の無線PAN(Personal Area Network)や無線LAN(Local Area Network)等の各種通信規格によるネットワークを用いることができる。ただし、ネットワーク7は、監視装置2と、検知機器4a,4b及び作動機器5a,5bとの間での通信を可能にするものであればよく、ネットワーク7の通信規格、規模、及び構成は特に限定されない。
以下では、ネットワーク7をZ-Waveにより構成することを前提として説明を続ける。この場合、監視装置2は、外部機器が接続されるとまず、接続された外部機器に対して管理番号としてのノード番号を割り当て、ネットワーク7上の機器として記憶する。そして、このノード番号を用いて外部機器を特定しながら、各外部機器の監視や制御を行う。ノード番号を割り当て済みの外部機器を新たなものに交換する場合、監視装置2は、交換前の外部機器に割り当てられていたノード番号を交換後の外部機器においても引き続き使用することができる。その詳細については、後述する。
【0014】
検知機器4a,4bはそれぞれ、例えばPIRセンサやガスセンサなどのセンサを有する装置である。検知機器4a,4bは、センサによって周囲の状況を感知し、通知コマンドにより、感知の結果を示す情報を送信するよう構成される。検知機器4aと検知機器4bとは、同様の状況感知機能(センサ)を有している。
作動機器5a,5bは、例えばスマートコンセントやドアロックなどのモーター又は電気回路を含む機構を有する装置である。作動機器5a,5bは、外部から受信した制御コマンドに応じて、モーターや電気回路を作動させるように構成される。作動機器5aと作動機器5bとは、同様の作動機能を有している。
【0015】
クライアント装置3は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)等の情報処理装置であり、監視装置2の動作を制御する役割を果たす。クライアント装置3は表示部を有しており、その表示部を制御する表示制御装置としても機能する。
クライアント装置3は、監視装置2に対して各種の制御情報を送信する。制御情報を受信した監視装置2は、受信した制御情報に従う動作を行うとともに、制御情報に対するレスポンスをクライアント装置3に返送する。
【0016】
クライアント装置3が監視装置2に対して送信する制御情報には、監視装置2にルールを設定するための情報が含まれる。ルールは、監視装置2で発生するイベントに対し、監視装置2による所定のアクションを対応付けるものであり、この情報を受信した監視装置2は、受信した情報に従ってルール設定を行う。
監視装置2からクライアント装置3に対して送信される情報には、クライアント装置3の表示部に表示すべき内容を含む情報が含まれる。この情報には、ルールの変更可否を確認するための情報や、ルールの一部を無効にしたことを示す情報などが含まれる。この点の詳細については、後ほど図4図7を参照しながら詳しく説明する。
【0017】
監視装置2は、感知した状況を表す通知コマンドを検知機器4a,4bから受信する一方、作動機器5a,5bに対して、作動内容を指示するための制御コマンドを送信するよう構成される。各コマンドのフレームは、コマンドクラス名、コマンド名、及び、コマンドごとに異なる1以上のコマンドデータによって構成され、これらの組み合わせによってコマンドの表す内容が特定される。
監視装置2は、検知機器4a,4bから通知コマンドを受信した場合、設定済みのルールに従ってアクションを実行するとともに、通知コマンドによって表される状況をクライアント装置3へ通知する処理を行う。設定済みのルールに従って実行されるアクションには、作動機器5a,5bに対する制御コマンドの送信が含まれ得る。なお、監視装置2は、クライアント装置3からユーザによる作動指示を受信した場合にも、作動機器5a,5bに対して制御コマンドの送信を行うこととしてもよい。
【0018】
以下に示す侵入探知コマンドは、通知コマンドの一例である。侵入探知コマンドは、PIRセンサを有する検知機器がその前を通る侵入者を検出した場合に送信するコマンドであり、以下のフレーム構成により構成される。
・侵入探知コマンド
コマンドクラス名:Notification
コマンド名:Notification Report
コマンドデータ1:Notification Type=Homesecurity
コマンドデータ2:Notification Name=Intrusion
【0019】
コマンドクラス「Notification」は、動きの検出、ドアの開閉、システム障害などのイベント又は状態を通知(notification)するために使用される一連のコマンドを含むコマンドクラスである。コマンド名「Notification Report」は、侵入探知コマンドが検知機器により検知された状態を送信するためのコマンドの一種であることを示している。検知機器4a,4bは、監視装置2からの要求に応じて、又は、自律的に侵入探知コマンドを送信するよう構成される。コマンドデータ「Notification Type」「Notification Name」はそれぞれ、侵入探知コマンドの引数である。コマンドデータ「Notification Type」が「Homesecurity」であるということは、この通知がホームセキュリティに関するものであることを表している。また、コマンドデータ「Notification Name」が「Intrusion」であるということは、侵入が検知されたことを表している。実際の侵入探知コマンドには、これらの他にもいくつかのコマンドデータが含まれ得る。
【0020】
また、以下に示すスイッチオンコマンドは、制御コマンドの一例である。スイッチオンコマンドは、スマートコンセントをONするという内容のコマンドであり、以下のフレーム構成により構成される。
・スイッチオンコマンド
コマンドクラス名:Binary Switch
コマンド名:Binary Switch Set
コマンドデータ1:Target Value=0xFF
【0021】
コマンドクラス「Binary Switch」は、作動機器のオンオフ状態を制御するために使用される一連のコマンドを含むコマンドクラスである。コマンド名「Binary Switch Set」は、スイッチオンコマンド(スイッチオフコマンド)が作動機器のオン(オフ)状態を設定するためのコマンドの一種であることを示している。コマンドデータ「Target Value」はスイッチオンコマンド(スイッチオフコマンド)の引数であり、その値が0x00であるときにオフへの設定を表し、0x00以外であるときにオンへの設定を表す。
なお、コマンドクラス名、コマンド名、及び、一部のコマンドデータの具体的な値としては、上記のような文字列データを用いてもよいし、事前に定義された識別番号(例:Homesecurityは0x07、など)を用いてもよい。
【0022】
監視装置2、検知機器4a,4b、及び作動機器5a,5bはそれぞれ、このようなコマンドを1つ以上送受信可能に構成される。また、監視装置2、検知機器4a,4b、及び作動機器5a,5bは、必要に応じて、互いの通信を確立・維持・終了するための制御コマンドの送受信も行う。なお、検知機器や作動機器は、ネットワーク7上にそれぞれ複数存在していても構わない。
また、監視装置2、検知機器4a,4b及び作動機器5a,5bはそれぞれ、製品識別番号を有して構成される。製品識別番号は製品ごとに定められた固有の識別番号であり、同じ種類の機器であれば同一の番号となる。一例として、製品識別番号は、製造者を示す製造者識別番号、製造者が定めた製品タイプ識別番号、及び、製造者が定めた製品識別番号などの複数の識別番号の組み合わせとして定義され得る。
【0023】
図2は、監視装置2の構成を示す図である。同図に示すように、監視装置2は、制御部11、記憶部12、設定制御部13、通信部14、及び撮像部15を備えて構成される。これらの各部は、バス16を介して接続されている。
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、監視装置2の全体を制御する機能を有している。記憶部12は、主記憶装置及び補助記憶装置を含む記憶装置によって構成され、各種データを記憶する役割を果たす。より具体的に言えば、記憶部12は、制御部11又は設定制御部13などによって実行されるプログラムの格納領域、プログラム実行中のワーク領域として用いられる。また、記憶部12は、設定制御部13で用いられるルール設定等の設定情報や後述するコマンド対応テーブルの格納領域など、様々なデータの格納領域としても用いられる。
【0024】
設定制御部13は、検知機器4a,4bから受信する通知コマンドに関する設定や、作動機器5a,5bに対して送信する制御コマンドに関する設定等を制御する機能部である。上述したルールは、この設定の1つである。ルールの設定において設定制御部13は、検知機器4a,4bからの通知コマンドの受信をイベントとして設定することができ、また、作動機器5a,5bに対する制御コマンドの送信をアクションとして設定することができる。ただし、イベントやアクションとしてルールに設定するものは、コマンドの送信又は受信でなくても構わない。設定制御部13によって設定されたルールは設定ファイルの形式で記憶部12に保存されており、設定制御部13はこの設定ファイルを通じて、ルールの参照や更新を随時行う。
通信部14は、ネットワーク7を通じて検知機器4a,4bや作動機器5a,5bとの通信を行う。上述した各種コマンド(状態を表す通知コマンド、作動指示をする制御コマンド、その他通信に必要なコマンド)は、この通信を通じて、監視装置2と検知機器4a,4b又は作動機器5a,5bとの間で送受信される。通信部14はまた、ネットワーク6を通じてクライアント装置3とも通信を行う。上述した制御情報やクライアント装置3の表示部に表示すべき内容を含む情報は、この通信を通じて、監視装置2とクライアント装置3との間で送受信される。
【0025】
撮像部15は、制御部11の制御に応じて静止画又は動画の撮影を行う機能部である。制御部11は、常時又は周期的に静止画又は動画の撮影を行うよう撮像部15を制御してもよいし、ルール内に設定されるアクションの1つとして、撮像部15に撮影を開始させることとしてもよい。撮像部15が撮像した静止画又は動画は、記憶部12に格納される。
図3は、記憶部12に予め格納されるコマンド対応テーブルを示す図である。このテーブルは、互換性のある通知コマンドを対応付けるためのもので、互いに互換性のある第1及び第2のコマンドのグループが各行に格納される。
【0026】
例えば、1行目には、第1のコマンドとして上述した侵入探知コマンドが格納され、第2のコマンドとして、以下に示すモーション探知コマンドが格納されている。モーション探知コマンドの侵入探知コマンドとの違いは、コマンドデータ「Notification Name」の内容が「Motion Detection」になっているという点である。
・モーション探知コマンド
コマンドクラス名:Notification
コマンド名:Notification Report
コマンドデータ1:Notification Type=Homesecurity
コマンドデータ2:Notification Name=Motion Detection
【0027】
また、2行目には、以下に示す煙探知コマンド及び一酸化炭素検知コマンドがそれぞれ第1及び第2のコマンドとして格納される。
・煙探知コマンド
コマンドクラス名:Notification
コマンド名:Notification Report
コマンドデータ1:Notification Type=Smoke Alarm
コマンドデータ2:Notification Name=Smoke detected
・一酸化炭素探知コマンド
コマンドクラス名:Notification
コマンド名:Notification Report
コマンドデータ1:Notification Type=CO Alarm
コマンドデータ2:Notification Name=Carbon monoxide detected
【0028】
また、3行目には、以下に示す充電状態通知コマンド及びバッテリ残量低下通知コマンドがそれぞれ第1及び第2のコマンドとして格納される。
・充電状態通知コマンド
コマンドクラス名:Battery
コマンド名:Battery Report
コマンドデータ1:Replace/recharge status bitmask=now
・バッテリ残量低下通知コマンド
コマンドクラス名:Notification
コマンド名:Notification Report
コマンドデータ1:Notification Type=Power Management
コマンドデータ2:Notification Name=Replace battery now
【0029】
これらのグループは、その表す内容や使用方法が類似しているもの同士や、同様のもの同士をまとめたものとなっている。例えば、1行目の侵入探知コマンドとモーション探知コマンドに関して言えば、PIRセンサである検知機器が前を通る動体を検知した場合、その動体が侵入者なのかそうでないのか判別し難い。そこで、検知機器の種類によって、侵入探知コマンドとモーション探知コマンドのどちらも使用され得る。また、3行目の充電状態通知コマンドとバッテリ残量低下通知コマンドは、コマンドクラスが異なるものの、ともに電池を今すぐ交換する必要があるという内容を表すものとなっている。
なお、図3のコマンド対応テーブルでは各グループともに2つのコマンドしか定義されていないが、1つのグループに3つ以上のコマンドを含むこととしてもよい。また、常にあるコマンドと別のコマンドが相互に代替可能であるとは限らないため、コマンド対応テーブルは図3の例のような形式でなくてもよく、コマンド対応テーブルの具体的な形式は限定されない。例えば、1列目に設定変更対象のコマンドを載せ、2列目以降に1列目のコマンドを代替できる1以上のコマンドを載せるような形式のテーブルにより、コマンド対応テーブルを構成してもよい。
【0030】
また、コマンド対応テーブルにおいてグループとしてまとめられているコマンドが常に互いに代替コマンドとして利用可能である必要はない。あるコマンドをグループ内の他のコマンドに代替できるか否かは、外部機器の機能やユーザの使用方法に応じて、最終的にユーザにより決定される(後述する図4のS109~S111)。
図4は、本実施形態に係る監視装置2の処理を示すフロー図である。同図に示す処理は、監視装置2の制御部11及び設定制御部13が記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。以下、この図4及び後述の図5図8を参照しながら、検知機器4aを検知機器4bに交換した場合における監視装置2の処理について、詳しく説明する。
【0031】
まず初めに、制御部11により、交換前の機器である検知機器4aをネットワーク7に登録するための処理が実行される(S101)。具体的に説明すると、制御部11は、通信部14を通じて検知機器4aとの間で、検知機器4aをネットワーク7上の機器として登録するために必要となる各種の情報をやり取りするためのコマンドを送受信する。必要となる各種の情報には、検知機器4aに関して使用可能なコマンドの情報、通信路の暗号化のための情報、検知機器4aの動作時間の設定情報、ノード番号、製品識別番号など、検知機器4aを制御する上での基本的な情報が含まれる。制御部11はステップS101で取得した情報を記憶部12に格納し、それにより検知機器4aの登録が完了する。以下では、検知機器4aのノード番号は「6」であるとして説明を続ける。
【0032】
次に、設定制御部13により、クライアント装置3から検知機器4aに関して設定すべきルールの内容を受信し、記憶部12に設定する処理が実行される(S102)。この後の制御部11は、こうして記憶部12に格納されたルールに基づき、イベントが発生した場合に指定されたアクションを実行する。
図5は、S102に関してクライアント装置3に表示されるルール設定用の表示画面21を示す図である。表示画面21は、ルール設定を行いたいという要求をユーザがクライアント装置3に入力したことに応じてクライアント装置3の制御部がクライアント装置3の記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、表示される。クライアント装置3は、この表示画面21においてユーザが設定したルールの内容を監視装置2に対して送信するよう構成される。
【0033】
表示画面21は、監視装置2に設定可能な複数のルールのうちの1つを設定するために表示される画面である。図5の例による表示画面21は、#1という識別番号により識別されるルールを設定する画面となっている。
表示画面21は、アクションを実行するときのトリガとなるイベントを設定する選択リスト211と、イベントが発生した場合に実行するアクションを設定する選択リスト212とを有している。また、表示画面21には、設定を保存する保存ボタン213と、設定をキャンセルするキャンセルボタン214とが表示される。選択リスト211,212の選択肢は、監視装置2の設定制御部13によって提供され得る。この場合、設定制御部13は、監視装置2上で使用可能なイベントやアクションの情報をもとに、通信部14を通じて、選択リスト211,212の選択肢をクライアント装置3へ送信する。本実施形態では、選択リスト211に、コマンドの送信元を示すノード番号の選択肢が含まれる。必要に応じて、表示画面21内に、イベントやアクションのパラメータ情報、スケジュール情報、イベントが持続的なイベントである場合にイベントの終了時のアクション等を指定する選択リストなどを表示することとしてもよい。
【0034】
ユーザは、クライアント装置3を操作することにより、表示画面21内の各リストの選択を行う。図5の例では、選択リスト211において、ネットワーク7上のノード番号6の機器から上述した侵入探知コマンド(Intrusion)を受信することが選択されている。また、選択リスト212において、メールの送信(Send e-mail)が選択されている。なお、選択リスト212において選択できるアクションは、監視装置2が実行できるアクションであれば、特にその種類を問わない。例えば、撮像部15で取得された映像、画像、音声などを記憶部12や図示しない外部記憶装置等に保存することをアクションとして設定してもよい。
ユーザが保存ボタン213を押下すると、クライアント装置3の制御部によりルール設定の情報がクライアント装置3の記憶部に保存される。一方、ユーザがキャンセルボタン214を押下した場合には、この保存は行われず、設定は取り消しとなる。クライアント装置3の制御部は、記憶部に保存したルール設定の情報を監視装置2に送信する。監視装置2の設定制御部13は、通信部14を通じてこの情報を受信し、受信したルール設定の情報に基づいてルールを生成し、例えば設定ファイルとして記憶部12に格納する。
【0035】
図4に戻る。次に、検知機器4aを検知機器4bに交換するための処理が実行される(S103)。具体的に説明すると、まずユーザにより、検知機器4aが検知機器4bに交換される。すると制御部11は、検知機器4aが応答しなくなったことを検出する。また検知機器4bは、ネットワークに参加するモードに入った事を知らせる情報を周囲の機器に対して送信する。ユーザは、クライアント装置3の図示しない機器操作画面を操作し、同じノード番号「6」を再利用して新たな機器をネットワーク7に組み込むことを示す制御指示を監視装置2に対して送信する。そして、制御部11は、通信部14を通じ、この制御指示を実行する為のコマンドを検知機器4bに送信する。ただし、検知機器4aが応答しなくなったことと検知機器4bがネットワークに参加するモードに入った事を制御部11が検出した段階で、制御部11がこの制御指示を実行する為のコマンドを検知機器4bに送信するとしても良い。その後、コマンドを受信した検知機器4bとの間で、検知機器4bをノード番号「6」でネットワーク7上の機器として登録するために必要となる各種の情報をやり取りするためのコマンドを送受信する。必要となる各種の情報には、ノード番号、通信路の暗号化のための情報などの通信を確立するために必要な情報、製品識別番号などが含まれる。制御部11は、検知機器4bとの間で、検知機器4b自体の情報をさらに送受信することとしてもよい。なお、検知機器4aは通信の応答を返さない状態であってもよいし、必要に応じて制御部11と検知機器4aとが通信するという構成としてもよい。制御部11はステップS103で取得した情報を記憶部12に格納し、それにより検知機器4bの登録が完了する。
次に制御部11は、記憶部12に格納されている検知機器4aの製品識別番号と検知機器4bの製品識別番号とを比較する(S104)。そして検知機器4aと検知機器4bの製品識別番号が異なる場合はS105に進み、そうでない場合には、S105以降の処理を行うことなく検知機器4bを登録するための処理を完了する。
【0036】
S105において制御部11は、検知機器4bとの間で送受信可能なコマンドの情報をやり取りするコマンドを検知機器4bとの間で送受信することにより、検知機器4bとの間で送受信可能なコマンドの一覧を示すコマンドセットを取得する。そして制御部11は、取得したコマンドセットの情報を記憶部12に格納する。なお、制御部11は、S103にて検知機器4bからコマンドセットの情報を取得することとしてもよい。
次に設定制御部13は、記憶部12に格納されたルール(S102で設定したもの)を参照し、ノード番号「6」についてイベントに設定されている1以上の通知コマンドのそれぞれについて、上記コマンドセット内に含まれるか否かを判定する(S106)。そして上記コマンドセット内に含まれないコマンドがあると判定した場合、設定制御部13は、上記コマンドセット内に含まれない1以上のコマンドのそれぞれについてS108~S112の処理を実行する(S107)。一方、上記コマンドセット内に含まれないコマンドはないと判定した場合、設定制御部13は、S107以降の処理を行うことなく検知機器4bを登録するための処理を完了する。
【0037】
S108では、設定制御部13は、図3に例示したコマンド対応テーブルを参照し、処理対象のコマンドと互換性のあるコマンドが存在するか否かを判定する。例えば、処理対象のコマンドが侵入探知コマンドである場合、図3のテーブルでは、侵入探知コマンドとモーション探知コマンドとが同じグループに属するため、モーション探知コマンドが互換性のあるコマンドとなる。設定制御部13は、互換性のあるコマンドがある場合はS109に進み、そうでない場合はS112に進む。
S109では、設定制御部13は、ルールの変更を促す通知(ルール変更の可否を確認する情報)をクライアント装置3に対して送信する。
【0038】
図6は、S109の通知を受けたクライアント装置3に表示される表示画面22を示す図である。表示画面22は、S109の通知を受けたクライアント装置3の制御部がクライアント装置3の記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、表示される。図6には、図5に示したルール設定#1のイベントが変更対象になり、代替ルールとしてモーション探知コマンドが提示される場合を示している。
表示画面22は、交換後の機器では使用できないルールを通知する表示領域221と、このルールと互換性のある代替ルールを通知する表示領域222とを有している。また、表示画面22には、代替ルールに変更することを決定するボタン223と、設定を変更しないことを決定するボタン224とが表示される。
【0039】
ユーザは、クライアント装置3の表示部に表示された表示画面22を見ることによって、表示領域221及び表示領域222の内容を確認する。そしてそのうえで代替ルールに変更するか否かを決定し、その結果に基づいてクライアント装置3を操作する。具体的には、代替ルールに変更する場合にはボタン223を押下する一方、変更しない場合にはボタン224を押下する。ボタン223が押下された場合、クライアント装置3の制御部は、ネットワーク6を介して監視装置2に対し、現在の設定を代替ルールに変更することを示す情報を送信する。一方、ボタン224が押下された場合、クライアント装置3の制御部は、ネットワーク6を介して監視装置2に対し、現在の設定を代替ルールに変更しないことを示す情報を送信する。
なお、設定変更対象となる選択肢が複数ある場合には、その選択肢をすべて表示してユーザに選ばせるように表示画面22を構成することとしてもよい。
【0040】
図4に戻る。設定制御部13は、クライアント装置3が送信した情報を通信部14を介して受信し、その内容を確認することにより、ユーザが代替ルールへの変更を選択したか否かを判定する(S110)。そして、選択したと判定した場合、設定制御部13は、代替ルールに基づいて記憶部12内のルールを変更し(S111)、次のコマンドに処理を移す。一方、選択しなかったと判定した場合、S111を実行せずに次のコマンドに処理を移す。
S108においてS112に進んだ設定制御部13は、ルールの無効の通知をクライアント装置3に対して送信し、次のコマンドに処理を移す。
【0041】
図7は、S110の通知を受けたクライアント装置3に表示される表示画面23を示す図である。表示画面23は、S110の通知を受けたクライアント装置3の制御部がクライアント装置3の記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、表示される。図7には、図5に示したルール設定#1が無効になる場合を示している。
表示画面23は、交換後の機器では使用できないルールを通知する表示領域231と、無効状態となるルールを特定する表示領域232とを有している。また、表示画面23には、通知を確認した後に表示画面23を閉じるためのボタン233が表示される。ユーザは、クライアント装置3の表示部に表示された表示画面23を見ることにより、無効状態となるルールを確認する。そしてボタン233を押すことで、表示画面23を閉じる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、監視装置2は、検知機器4aが検知機器4bに交換されることに伴って2つの機器が同一の製品か否かを確認している。そして、同一の製品でない場合、記憶部12に格納されているルールのイベントに設定されている通知コマンドを検知機器4bから受信可能か確認している。その上で、ルールのイベントに設定されている通知コマンドが検知機器4bから受信可能でない場合、互換性のある通知コマンドを検知機器4bから受信可能であれば、ユーザにルールの変更を促す通知を送信し、ユーザが変更を選択すればルールを変更する。したがって、検知機器4aを検知機器4bに交換した場合に、監視装置2内に設定されているルールに従った動作が実行されない状態になってしまうことを抑制可能になる。
【0043】
なお、本実施形態では、ルールごとに表示画面22を表示する例を説明したが、1つの表示画面22の中で複数のルール設定のそれぞれに関して選択を促す表示をすることとしてもよい。同様に、上記実施形態では、ルールごとに表示画面23を表示する例を説明したが、1つの表示画面23の中で複数のルール設定のそれぞれに関して情報を表示することとしてもよい。
【0044】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態では、通知コマンドではなく制御コマンドに関して、監視装置2内に設定されているルールに従った動作が実行されない状態になってしまうことを抑制するための構成を説明する。本実施形態に係る監視システムの構成は、第1の実施形態の監視システム1と同様である。
本実施形態においては、機器の機能などを特定する機器タイプを使用する。監視装置2、検知機器4a,4b、及び作動機器5a,5bはそれぞれ、この機器タイプを属性の1つとして有している。機器タイプとして具体的には、2値のON/OFFで作動するOn/Off Power Switchタイプ、発生したイベントを通知するSensor - Notificationタイプなどが挙げられる。前者は作動機器5a,5bの機器タイプであり、後者は検知機器4a,4bの機器タイプである。
【0045】
図8及び図9は、本実施形態に係る監視装置2の処理を示すフロー図である。これらの図に示す処理は、監視装置2の制御部11及び設定制御部13が記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。以下、図8及び図9に加えて図10図12も参照しながら、作動機器5aを作動機器5bに交換した場合における監視装置2の処理について、詳しく説明する。
まず初めに、制御部11により、交換前の機器である作動機器5aをネットワーク7に登録するための処理が実行される(S201)。具体的に説明すると、制御部11は、通信部14を通じて作動機器5aとの間で、作動機器5aをネットワーク7上の機器として登録するために必要となる各種の情報をやり取りするためのコマンドを送受信する。必要となる各種の情報には、作動機器5aに関して使用可能なコマンドの情報、通信路の暗号化のための情報、作動機器5aの動作時間の設定情報、ノード番号、製品識別番号など、作動機器5aを制御する上での基本的な情報が含まれる。制御部11はステップS201で取得した情報を記憶部12に格納し、それにより作動機器5aの登録が完了する。以下では、作動機器5aのノード番号は「7」であるとして説明を続ける。
【0046】
次に制御部11は、作動機器5aの機器タイプに関する情報を、通信部14を通じて作動機器5aから取得する(S202)。ここで取得される作動機器5aの機器タイプは、上述したOn/Off Power Switchタイプとなる。そして制御部11は、送受信した情報を記憶部12に格納する。
続いて設定制御部13により、クライアント装置3から作動機器5aに関して設定すべきルールの内容を受信し、記憶部12に設定する処理が実行される(S203)。この後の制御部11は、こうして記憶部12に格納されたルールに基づき、イベントが発生した場合に指定されたアクションを実行する。
【0047】
図10は、S203に関してクライアント装置3に表示されるルール設定用の表示画面24を示す図である。表示画面24は、ルール設定を行いたいという要求をユーザがクライアント装置3に入力したことに応じてクライアント装置3の制御部がクライアント装置3の記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、表示される。クライアント装置3は、この表示画面24においてユーザが設定したルールの内容を監視装置2に対して送信するよう構成される。
表示画面24は、監視装置2に設定可能な複数のルールのうちの1つを設定するために表示される画面である。図10の例による表示画面24は、#2という識別番号により識別されるルールを設定する画面となっている。
【0048】
表示画面24には、イベントを設定する選択リスト241と、イベントが発生した場合に実行するアクションを設定する選択リスト242と、保存ボタン243と、キャンセルボタン244とが表示される。それぞれの機能は、図5の表示画面21における選択リスト211、選択リスト212、保存ボタン213、キャンセルボタン214と同様である。ただし、表示画面24においては、選択リスト241にはノード番号の選択肢が含まれず、選択リスト242に、コマンドの送信先を示すノード番号の選択肢が含まれる。
ユーザは、クライアント装置3を操作することにより、表示画面24内の各リストの選択を行う。図10では、選択リスト241において、時刻が午前8時0分になることが選択されている。ただし、選択リスト241において選択できるイベントは、監視装置2上で設定できるイベントであれば、特にその種類を問わない。また、選択リスト242においては、ネットワーク7上のノード番号7の作動機器に対し、上述したスイッチオンコマンド(Binary Switch Set 0xFF)を送信することが選択されている。
【0049】
図8に戻る。次に、作動機器5aを作動機器5bに交換するための処理が実行される(S204)。この処理の詳細は図4のS103の処理と同様であり、最終的に、作動機器5bの情報が記憶部12に格納される。制御部11は、S204が終了した後、図9に示すように、記憶部12に格納されている作動機器5aの製品識別番号と作動機器5bの製品識別番号とを比較する処理を行う(S205)。そして作動機器5aと作動機器5bの製品識別番号が異なる場合はS206に進み、そうでない場合には、S206以降の処理を行うことなく作動機器5bを登録するための処理を完了する。
S206において制御部11は、作動機器5bとの間で送受信可能なコマンドの情報をやり取りするコマンドを作動機器5bとの間で送受信することにより、作動機器5bとの間で送受信可能なコマンドの一覧を示すコマンドセットを取得する。そして制御部11は、取得したコマンドセットの情報を記憶部12に格納する。なお、制御部11は、S204にて作動機器5bからコマンドセットの情報を取得することとしてもよい。
【0050】
次に設定制御部13は、記憶部12に格納されたルール(S203で設定したもの)を参照し、ノード番号「7」についてアクションに設定されている1以上の制御コマンドのそれぞれについて、上記コマンドセット内に含まれるか否かを判定する(S207)。そして上記コマンドセット内に含まれないコマンドがあると判定した場合、設定制御部13は、上記コマンドセット内に含まれない1以上のコマンドのそれぞれについてS209~S214の処理を実行する(S208)。一方、上記コマンドセット内に含まれないコマンドはないと判定した場合、設定制御部13は、S208以降の処理を行うことなく作動機器5bを登録するための処理を完了する。
S209では、設定制御部13は、作動機器5bの機器タイプに関する情報を通信部14を通じて作動機器5bから取得し、記憶部12に格納されている作動機器5aの機器タイプ(S202で取得したもの)と比較する。そして、機器タイプが同じであると判定した場合にはS210に進み、そうでない場合はS214に進む。なお、ネットワーク7の通信規格のバージョンが異なる場合、同様の機器タイプを有していても、機器タイプの識別番号が異なる場合がある。よって、機器タイプが異なっていても、通信規格のバージョンを確認して異なる場合には、S210に進むとしてもよい。
【0051】
S210では、設定制御部13は、S206で取得したコマンドセット内に、例えば0xFF等の数値を汎用的に送信するコマンド(例えば、Z-WaveのBasic Setコマンド。以下、「数値送信コマンド」と称する)が含まれているか否かを判定する。例えば、上述したスイッチオンコマンドは、仮に作動機器5bが対応していなかったとしても、数値送信コマンドの一種であるBasic Set(Value=0xFF)コマンドで代替できる可能性がある。そこで設定制御部13は、作動機器5bに対して送受信可能なコマンドの中に数値送信コマンドが含まれている場合にS211に進み、そうでない場合はS214に進む。
S211では、設定制御部13は、ルールの変更を促す通知(ルール変更の可否を確認する情報)をクライアント装置3に対して送信する。
【0052】
図11は、S211の通知を受けたクライアント装置3に表示される表示画面25を示す図である。表示画面25は、S109の通知を受けたクライアント装置3の制御部がクライアント装置3の記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、表示される。図11には、図10に示したルール設定#2のアクションが変更対象になり、代替ルールとしてBasic Set(Value=0xFF)コマンドが提示される場合を示している。
表示画面25は、交換後の機器では使用できないルールを通知する表示領域251と、このルールと互換性のある代替ルールを通知する表示領域252とを有している。また、表示図面25には、代替ルールに変更することを決定するボタン253と、設定を変更しないことを決定するボタン254とが表示される。それぞれの機能は、図6の表示領域221,222、ボタン223,224と同様である。
【0053】
図9に戻る。設定制御部13は、クライアント装置3が送信した情報を通信部14を介して受信し、その内容を確認することにより、ユーザが代替ルールへの変更を選択したか否かを判定する(S212)。そして、選択したと判定した場合、設定制御部13は、代替ルールに基づいて記憶部12内のルールを変更し(S213)、次のコマンドに処理を移す。一方、選択しなかったと判定した場合、S213を実行せずに次のコマンドに処理を移す。
S209又はS210においてS214に進んだ設定制御部13は、ルールの無効の通知をクライアント装置3に対して送信し、次のコマンドに処理を移す。
【0054】
図12は、S214の通知を受けたクライアント装置3に表示される表示画面26を示す図である。表示画面26は、S214の通知を受けたクライアント装置3の制御部がクライアント装置3の記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、表示される。図12には、図10に示したルール設定#2が無効になる場合を示している。
表示画面26は、交換後の機器では使用できないルールを通知する表示領域261と、無効状態となるルールを特定する表示領域262と、表示画面23を閉じるためのボタン263が表示される。ユーザは、クライアント装置3の表示部に表示された表示画面26を見ることにより、無効状態となるルールを確認する。そしてボタン263を押すことで、表示画面26を閉じる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、監視装置2は、作動機器5aが作動機器5bに交換されることに伴って2つの機器が同一の製品か否かを確認している。そして、同一の製品でない場合は記憶部12に格納されているルールのアクションに設定されている制御コマンドを作動機器5bに送信可能か確認している。その上で、ルールのアクションに設定されている制御コマンドを送信可能でない場合、作動機器5a,5bの機器タイプが同一であり(つまり、類似の作動機能を持つ作動機器であり)、かつ、数値送信コマンドを作動機器5bに送信可能かどうかを判定している。そして、同一かつ送信可能であれば、ユーザにルールの変更を促す通知を送信し、ユーザが変更を選択すればルールを変更する。したがって、作動機器5aを作動機器5bに交換した場合に監視装置2内に設定されているルールに従った動作が実行されない状態になってしまうことを抑制可能になる。
【0056】
なお、本実施形態では、ルールごとに表示画面25を表示する例を説明したが、1つの表示画面25の中で複数のルール設定のそれぞれに関して選択を促す表示をすることとしてもよい。同様に、上記実施形態では、ルールごとに表示画面26を表示する例を説明したが、1つの表示画面26の中で複数のルール設定のそれぞれに関して情報を表示することとしてもよい。
【0057】
[その他の実施形態]
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能であり、上述した実施形態を適時組み合わせてもよい。
例えば、上述した監視システムの機能構成の一部又は全てを、ソフトウェアではなくハードウェアとして、監視装置2、クライアント装置3、検知機器4a,4b、作動機器5a,5bに実装してもよい。
【0058】
また、第1の実施形態では、コマンドがルール設定のイベントとして使用される例について説明したが、本発明は、他の種類のルール設定に対しても適用可能である。例えば、監視装置2が検知機器よりコマンドを受信し、その内容をクライアント装置3へ送信する際のルール設定など、コマンドを使用する設定であれば、どのような設定についても本発明は適用可能である。
また、第2の実施形態では、制御コマンドを数値送信コマンドに代替する例を説明したが、制御コマンドに関しても、第1の実施の形態と同様の方法によりルール変更を行うこととしてもよい。
【0059】
また、図4のS104や図9のS205の処理において、製品識別番号に加えてソフトウェアバージョンが異なるか否かを確認し、ソフトウェアバージョンが異なる場合にもS105又はS206に進むこととしてもよい。
また、図4のS104や図9のS205の処理において、製造者識別番号、製品タイプ、機器タイプ、ネットワーク上の役割タイプ、の何れか1つ以上が交換前と交換後の機器で異なるか否かをさらに判定することとしてもよい。そして、異なると判定した場合に、S105以降又はS206以降の処理を行うことなく処理を終了することとしてもよい。
また、図5の表示画面21や図10の表示画面24ではコマンドの名前を直接表示しているが、コマンドによっては意味がわかりづらいものもある。したがって、コマンドの名前を直接表示するのではなく、例えば図10のアクションなら「ノード番号7 スイッチON」のように、ユーザにとって意味のわかりやすい表示を行うこととしてもよい。
【0060】
また、交換後の外部機器に対して送受信可能なコマンドの中に、設定に用いたコマンドと一部のコマンドデータが同一で、その他のコマンドデータが未知のコマンドがある場合、表示画面22,25等の選択肢にそのコマンドを加えることとしてもよい。
また、監視装置2、クライアント装置3、検知機器4a,4b、作動機器5a,5b以外のコンピュータ、役務機器等に、上述した各実施形態の構成および処理などを適用してもよい。
【0061】
また、監視装置2の構成の少なくとも一部をハードウェアにより実現してもよい。ハードウェアにより実現する場合、例えば、所定のコンパイラを用いることで、各ステップを実現するためのプログラムからFPGA(Field Programmable Gate Array)上に自動的に専用回路を生成すればよい。また、FPGAと同様にしてGate Array回路を形成し、ハードウェアとして実現するようにしてもよい。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現するようにしてもよい。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施形態の機能を実現するプログラムをネットワークまたは各種記録媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(CPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、該プログラムおよび該プログラムを格納した記録媒体は本発明を構成する。
【符号の説明】
【0062】
1…監視システム、2…監視装置、3…クライアント装置、4a,4b…検知機器、5a,5b…作動機器、6,7…ネットワーク、11…制御部、12…記憶部、13…設定制御部、14…通信部、15…撮像部、16…バス、21~26…表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12