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特許7577497駆動装置及びヘッドアップディスプレイ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】駆動装置及びヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20241028BHJP
   F16H 25/24 20060101ALI20241028BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20241028BHJP
【FI】
F16H25/20 F
F16H25/24 G
B60K35/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020163519
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2021095993
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2019228522
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】古林 一美
(72)【発明者】
【氏名】春日 孝文
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-069517(JP,A)
【文献】特開2019-033782(JP,A)
【文献】特開2019-151318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/20
F16H 25/24
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部によって回転される回転軸と、
前記回転軸から回転力を受ける従動部材と、
前記従動部材との接触によって、前記従動部材を並進させ且つ前記従動部材の並進方向に移動される可動部材と、
前記従動部材及び前記可動部材の少なくとも一方に形成され、前記回転軸の回転方向における前記従動部材と前記可動部材との接触に伴って弾性変形する弾性部と、
を有し、
前記可動部材には、窪み部が形成され、
前記従動部材には、前記窪み部に挿入される挿入部が形成され、
前記弾性部は、前記窪み部及び前記挿入部の少なくとも一方に形成され、
前記弾性部は、前記挿入部に形成され、
前記挿入部は、前記回転方向に対向し且つ互いに接離可能な第1挿入部及び第2挿入部を有する、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記弾性部は、前記従動部材に形成されている、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記従動部材における前記回転軸に対する前記挿入部側とは反対側の部位には、前記回転軸から離れる側へ張り出された張出部が形成されている、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の駆動装置において、
前記可動部材を前記並進方向に案内する案内部材が設けられ、
前記第1挿入部及び前記第2挿入部の少なくとも一方は、前記回転軸の軸芯線と交差する仮想線に対して前記案内部材とは反対側に配置されている、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の駆動装置において、
前記第1挿入部及び前記第2挿入部の少なくとも一方の対向面には突出部が形成されている、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
駆動部によって回転される回転軸と、
前記回転軸から回転力を受ける従動部材と、
前記従動部材との接触によって、前記従動部材を並進させ且つ前記従動部材の並進方向に移動される可動部材と、
前記従動部材及び前記可動部材の少なくとも一方に形成され、前記回転軸の回転方向における前記従動部材と前記可動部材との接触に伴って弾性変形する弾性部と、
を有し、
前記可動部材には、窪み部が形成され、
前記従動部材には、前記窪み部に挿入される挿入部が形成され、
前記弾性部は、前記窪み部及び前記挿入部の少なくとも一方に形成され、
前記従動部材における前記回転軸に対する前記挿入部側とは反対側の部位には、前記回転軸から離れる側へ張り出された張出部が形成されている、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の駆動装置において、
前記挿入部の前記可動部材との接触部が曲面部である、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
駆動部によって回転される回転軸と、
前記回転軸から回転力を受ける従動部材と、
前記従動部材との接触によって、前記従動部材を並進させ且つ前記従動部材の並進方向に移動される可動部材と、
前記従動部材及び前記可動部材の少なくとも一方に形成され、前記回転軸の回転方向における前記従動部材と前記可動部材との接触に伴って弾性変形する弾性部と、
を有し、
前記従動部材は、前記回転軸から回転力を受けることで並進される並進部を有し、
前記弾性部は、前記並進部から前記回転方向と交差する交差方向に延びる少なくとも1つの腕部である、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項9】
請求項8に記載の駆動装置において、
前記弾性部は、前記従動部材に形成されている、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の駆動装置において、
前記腕部の前記可動部材との接触部が曲面部である、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の駆動装置において、
前記可動部材には、前記従動部材を収納する収納部が形成され、
前記収納部は、前記交差方向に開口する開口部を有し、
前記並進方向から見て、前記収納部の前記腕部との接触面は、前記交差方向に対して交差する方向に傾斜された傾斜面であり、
前記傾斜面は、前記交差方向において前記開口部に近づくほど前記収納部の空間が広がるように傾斜されている、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項12】
請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の駆動装置において、
前記腕部は、前記回転方向に対向し且つ互いに接離可能な第1腕部及び第2腕部を有する、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項13】
請求項12に記載の駆動装置において、
前記第1腕部及び前記第2腕部の少なくとも一方の対向面には突出部が形成されている、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項14】
請求項8から請求項13のいずれか1項に記載の駆動装置において、
前記従動部材は、樹脂から成り、
前記並進部における前記腕部が形成された側とは反対側には、樹脂成形において形成されたゲートが除去される凹部が形成されている、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項15】
被表示部に表示される情報に対応する光を出射する出射部と、
前記出射部の光を前記被表示部に向けて反射する反射部材と、
前記可動部材が前記反射部材を保持し、前記並進方向へ前記可動部材を移動させることで、前記反射部材における光の反射角度を変更する請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の駆動装置と、
を備える、
ことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動部の駆動力によって可動部材を移動させる駆動装置及び当該駆動装置を備えるヘッドアップディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、固定軸に沿って移動可能に設けられたスライダに、出力軸の回転に伴って移動する従動部材を接触させることで、該スライダを軸線方向に移動させる駆動装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-210940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の駆動装置のように、回転軸から回転力を受けて並進する従動部材と、該従動部材との接触によって並進方向に移動される可動部材とを有し、回転方向において従動部材と可動部材とを接触させた駆動装置がある。この構成では、従動部材の回転が可動部材によって抑制されるが、従動部材に作用する回転力は一定ではない。このため、従動部材から可動部材へ伝達される回転力が変動することで、可動部材が揺動し易くなる可能性がある。また、可動部材の揺動に伴って可動部材と従動部材が離れ、再度、可動部材と従動部材とが接触することによって、接触音が生じ易くなる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、従動部材の並進に伴って可動部材が移動する構成において、可動部材の揺動及び可動部材と従動部材との接触音を抑制することができる駆動装置及びヘッドアップディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る駆動装置は、駆動部によって回転される回転軸と、前記回転軸から回転力を受ける従動部材と、前記従動部材との接触によって、前記従動部材を並進させ且つ前記従動部材の並進方向に移動される可動部材と、前記従動部材及び前記可動部材の少なくとも一方に形成され、前記回転軸の回転方向における前記従動部材と前記可動部材との接触に伴って弾性変形する弾性部と、を有することを特徴とするものである。
本態様によれば、前記従動部材が前記回転方向において前記可動部材と接触した場合に、前記従動部材及び前記可動部材の少なくとも一方に形成された前記弾性部が弾性変形することで、前記可動部材と前記従動部材との接触状態を維持したまま、前記可動部材に対する前記従動部材の移動、即ち摺動が許容される。これにより、前記従動部材の並進に伴って前記可動部材が移動する場合に、前記従動部材と前記可動部材との相対位置が変動したとしても、前記従動部材が前記可動部材に対して接触及び離間を繰り返すことが抑制されるので、前記可動部材の揺動及び前記可動部材と前記従動部材との接触音を抑制することができる。
【0007】
また本発明は、上記駆動装置において、前記弾性部は、前記従動部材に形成されている、ことが好ましい。
本態様によれば、前記弾性部が、前記回転軸から直接、回転力を受ける前記従動部材に形成されており、弾性変形における変形量を把握し易くなるので、前記弾性部を形成し易くすることができる。
【0008】
また本発明は、上記駆動装置において、前記可動部材には、窪み部が形成され、前記従動部材には、前記窪み部に挿入される挿入部が形成され、前記弾性部は、前記窪み部及び前記挿入部の少なくとも一方に形成されている、ことが好ましい。
本態様によれば、前記挿入部が前記窪み部に挿入された範囲内で、前記従動部材と前記可動部材とが接触可能となるので、前記窪み部を有さない構成に比べて、前記従動部材と前記可動部材との接触面積を増やすことができる。
【0009】
また本発明は、上記駆動装置において、前記挿入部の前記可動部材との接触部が曲面部である、ことが好ましい。
本態様によれば、前記挿入部の前記可動部材との前記接触部が前記曲面部となっていることで、前記可動部材側の被接触面と接触するのは曲面となる。これにより、前記可動部材側の被接触面に対する前記弾性部の角度が変化しても、前記被接触面と前記曲面との接触状態が維持されるので、前記可動部材と前記弾性部との接触面積の変動を抑制することができる。
【0010】
また本発明は、上記駆動装置において、前記弾性部は、前記挿入部に形成され、前記挿入部は、前記回転方向に対向し且つ互いに接離可能な第1挿入部及び第2挿入部を有する、ことが好ましい。
本態様によれば、前記第1挿入部と前記第2挿入部との間は空間となり、前記弾性部が存在しないので、1つの大きな前記挿入部を用いる構成に比べて、前記挿入部の変形ストロークを確保することができる。
【0011】
また本発明は、上記駆動装置において、前記可動部材を前記並進方向に案内する案内部材が設けられ、前記第1挿入部及び前記第2挿入部の少なくとも一方は、前記回転軸の軸芯線と交差する仮想線に対して前記案内部材とは反対側に配置されている、ことが好ましい。
本態様によれば、前記可動部材が前記案内部材によって案内されることで、前記可動部材の前記並進方向への移動が安定するので、並進方向と交差する面内での前記可動部材の位置変動を抑制することができる。さらに、前記第1挿入部及び前記第2挿入部の少なくとも一方が、前記仮想線に対して前記案内部材とは反対側に配置されていることで、前記案内部材の側に空間が確保されるので、前記案内部材を前記従動部材に近づけて配置することが可能となる。これにより、前記可動部材が前記案内部材を支点として回動されるような場合に、前記従動部材と前記可動部材とが接触する位置を前記案内部材に近づけて配置することで、回動が抑制されるので、前記可動部材に回転力が作用するのを抑制することができる。
【0012】
また本発明は、上記駆動装置において、前記第1挿入部及び前記第2挿入部の少なくとも一方の対向面には突出部が形成されている、ことが好ましい。
本態様によれば、前記第1挿入部及び前記第2挿入部の少なくとも一方に対して、前記第1挿入部と前記第2挿入部が近づく方向に外力が作用した場合に、前記突出部が、前記第1挿入部又は前記第2挿入部若しくは他方の前記突出部と接触する。これにより、前記第1挿入部と前記第2挿入部が過度に近づかなくなるので、前記第1挿入部及び前記第2挿入部の少なくとも一方の過大な変形を抑制することができる。
【0013】
また本発明は、上記駆動装置において、前記従動部材における前記回転軸に対する前記挿入部側とは反対側の部位には、前記回転軸から離れる側へ張り出された張出部が形成されている、ことが好ましい。
本態様によれば、前記駆動装置の組付け作業において、前記挿入部が前記窪み部に挿入される場合に、前記張出部が摘まれることで、前記従動部材が保持される。これにより、前記張出部が無い構成に比べて、前記窪み部への前記挿入部の挿入作業を行い易くすることができる。
【0014】
また本発明は、上記駆動装置において、前記従動部材は、前記回転軸から回転力を受けることで並進される並進部を有し、前記弾性部は、前記並進部から前記回転方向と交差する交差方向に延びる少なくとも1つの腕部である、ことが好ましい。
本態様によれば、前記腕部が前記交差方向に延びることで、前記腕部が片持ち梁状態となるので、前記腕部の弾性変形量を確保することができる。
【0015】
また本発明は、上記駆動装置において、前記腕部の前記可動部材との接触部が曲面部である、ことが好ましい。
本態様によれば、前記腕部の前記可動部材との前記接触部が前記曲面部となっていることで、前記可動部材側の被接触面と接触するのは曲面となる。これにより、前記可動部材側の被接触面に対する前記腕部の角度が変化しても、前記被接触面と前記曲面との接触状態が維持されるので、前記可動部材と前記腕部との接触面積の変動を抑制することができる。
【0016】
また本発明は、上記駆動装置において、前記可動部材には、前記従動部材を収納する収納部が形成され、前記収納部は、前記交差方向に開口する開口部を有し、前記並進方向から見て、前記収納部の前記腕部との接触面は、前記交差方向に対して交差する方向に傾斜された傾斜面であり、前記傾斜面は、前記交差方向において前記開口部に近づくほど前記収納部の空間が広がるように傾斜されている、ことが好ましい。
本態様によれば、前記収納部は、前記開口部に近づくほど空間が広がっているので、前記開口部を通して前記収納部の内側へ前記従動部材を挿入し易くすることができる。
【0017】
また本発明は、上記駆動装置において、前記腕部は、前記回転方向に対向し且つ互いに接離可能な第1腕部及び第2腕部を有する、ことが好ましい。
本態様によれば、前記第1腕部と前記第2腕部との間が空間となることで、前記第1腕部と前記第2腕部との間に前記弾性部が存在しないので、1つの大きな前記腕部を用いる構成に比べて、前記腕部の変形ストロークを確保することができる。
【0018】
また本発明は、上記駆動装置において、前記第1腕部及び前記第2腕部の少なくとも一方の対向面には突出部が形成されている、ことが好ましい。
本態様によれば、前記第1腕部及び前記第2腕部の少なくとも一方に対して、前記第1腕部と前記第2腕部が近づく方向に外力が作用した場合に、前記突出部が、前記第1腕部又は前記第2腕部若しくは他方の前記突出部と接触する。これにより、前記第1腕部と前記第2腕部が過度に近づかなくなるので、前記第1腕部及び前記第2腕部の少なくとも一方の過大な変形を抑制することができる。
【0019】
また本発明は、上記駆動装置において、前記従動部材は、樹脂から成り、前記並進部における前記腕部が形成された側とは反対側には、樹脂成形において形成されたゲートが除去される凹部が形成されている、ことが好ましい。
本態様によれば、前記凹部内において前記ゲートを除去した場合、前記凹部内に前記ゲートの一部が残存することになる。換言すると、残存した前記ゲートの一部が前記並進部から外側へ突出することが抑制されるので、残存した前記ゲートの一部と前記可動部材とが接触するのを抑制することができる。
【0020】
また本発明は、被表示部に表示される情報に対応する光を出射する出射部と、前記出射部の光を前記被表示部に向けて反射する反射部材と、前記可動部材が前記反射部材を保持し、前記並進方向へ前記可動部材を移動させることで、前記反射部材における光の反射角度を変更する請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の駆動装置と、を備える、ことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置である。
本態様によれば、上述した各態様のいずれか一つの態様と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、従動部材と可動部材とが摺動する構成において、可動部材が移動する場合に、可動部材の揺動及び可動部材と従動部材との接触音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態1に係る駆動ユニットを有するヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の概要を表す全体構成図である。
図2】同実施形態1に係るヘッドアップディスプレイ装置の内部構成を表す側断面図である。
図3】同実施形態1に係る第2反射ミラー、ミラーホルダー及び駆動ユニットを表す斜視図である。
図4】同実施形態1に係る駆動ユニットを表す斜視図である。
図5】同実施形態1に係る駆動ユニットにおけるナット部材とスライド部材との配置関係を表す部分縦断面図である。
図6】同実施形態1に係るスライド部材の斜視図である。
図7】同実施形態1に係るナット部材の斜視図である。
図8】同実施形態1に係るナット部材の正面図である。
図9】同実施形態1に係るナット部材の弾性部とスライド部材との接触状態を表す縦断面図である。
図10】同実施形態1に係る弾性部に外力が作用した状態を表す正面図である。
図11】本発明の実施形態2に係る駆動ユニットを表す部分縦断面図である。
図12】同実施形態2に係るナット部材及びスライド部材をガイドスクリューの軸方向と直交する方向から見た部分拡大縦断面図である。
図13】同実施形態2に係るナット部材とスライド部材との配置関係を表す部分拡大縦断面図である。
図14】本発明の実施形態3に係る駆動ユニットを表す部分縦断面図である。
図15】本発明の変形例1に係る駆動ユニットの各部材の配置を示した概略図である。
図16】本発明の変形例2に係る駆動ユニットの各部材の配置を示した概略図である。
図17】本発明の変形例3に係る駆動ユニットの各部材の配置を示した概略図である。
図18】本発明の変形例4に係るナット部材の弾性部とスライド部材との接触状態を表す縦断面図である。
図19】本発明の変形例5に係るナット部材とスライド部材の弾性部との接触状態を表す縦断面図である。
図20】本発明の実施形態4に係る駆動ユニットを表す斜視図である。
図21】同実施形態4に係る駆動ユニットにおけるナット部材とスライド部材との配置関係を表す部分縦断面図である。
図22】同実施形態4に係るスライド部材の基部の斜視図である。
図23】同実施形態4に係るナット部材の斜視図である。
図24】同実施形態4に係るナット部材及び基部の一部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施形態1]
以下に、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置及び駆動装置の一例として、実施形態1のヘッドアップディスプレイ装置20及び駆動ユニット30について、添付図面を参照して詳細に説明する。
以下の説明においては、互いに直交する3つの軸を、各図に示すように、それぞれX軸、Y軸、Z軸としている。Z軸方向は、鉛直方向(重力が作用する方向)に相当する。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に相当する。なお、車両10の前後方向をX軸方向として、前側を+X側と称し、後側を-X側と称する。また、車両10の車幅方向をY軸方向として、進行方向を向いた状態における左側を+Y側と称し、右側を-Y側と称する。また、車両10の上下方向をZ軸方向として、上側を+Z側、下側を-Z側と称する。
【0024】
図1に表すように、車両10は、インストルメントパネル12と、被表示部の一例としてのフロントガラス14と、ヘッドアップディスプレイ装置20とを含んで構成されている。
ヘッドアップディスプレイ装置20は、後述する光出射部22(図2)から、表示すべき情報に対応する光の一例としての表示光Lを、被投射部の一例としてのフロントガラス14に向けて投射させ、この投射によって得られた虚像Vを車両10の乗員Pに視認させるように構成されている。
【0025】
〔ヘッドアップディスプレイ装置〕
図2に表すように、ヘッドアップディスプレイ装置20は、主要部として、出射部の一例としての光出射部22と、反射部材の一例としての第2反射ミラー24と、駆動装置の一例としての駆動ユニット30とを備えている。また、ヘッドアップディスプレイ装置20は、筐体21と、第1反射ミラー23と、軸ホルダー28(図3)と、トーションスプリング29(図3)とを有する。
【0026】
筐体21は、+Z側に向けて表示光Lを透過させる透過部21Aを有する箱状に形成されている。軸ホルダー28は、Y軸方向に間隔をあけて配置され、筐体21に固定されている。
光出射部22は、発光ダイオードを含む光源22Aと、薄膜トランジスタ型の表示素子として構成され、光源22Aからの光を透過して表示光Lを形成する液晶表示素子22Bとを有する。そして、光出射部22は、表示光Lを出射する。
第1反射ミラー23は、光出射部22から出射された表示光Lを第2反射ミラー24に向けて反射する。
【0027】
第2反射ミラー24は、ミラー本体25と、ミラーホルダー26とを有する。また、第2反射ミラー24は、第1反射ミラー23からの表示光Lをフロントガラス14(図1)に向けて反射する。ミラー本体25は、凹面鏡として形成されている。
【0028】
図3に表すように、ミラーホルダー26は、本体部26Aと、1組の軸部26Bと、1つの被保持部26Cとが一体成形された部材として構成されている。被保持部26Cは、保持対象の一例である。換言すると、第2反射ミラー24は、被保持部26Cを有する。
本体部26Aは、Y軸方向に長い部材とされ、ミラー本体25の反射面側とは反対側の面に取り付けられている。
【0029】
1組の軸部26Bは、本体部26AのY軸方向の両端部且つZ軸方向の中央部となる部位から、Y軸方向の外側へ向けて延びている。また、1組の軸部26Bは、軸ホルダー28によって、Y軸方向周りに回動可能に支持されている。
被保持部26Cは、本体部26Aの-Z側端部で且つY軸方向の中央部となる部位から、X軸方向を厚さ方向として、-Z側へ向けて板状に延ばされている。
【0030】
トーションスプリング29には、軸部26Bが挿入されている。トーションスプリング29の一端は、本体部26Aに取り付けられている。トーションスプリング29の他端は、軸ホルダー28に取り付けられている。これにより、第2反射ミラー24が初期位置から傾倒された場合に、第2反射ミラー24を初期位置へ戻す方向に弾性力が付与されるようになっている。なお、第2反射ミラー24の傾倒は、後述する駆動ユニット30が被保持部26CをX軸方向に移動させることによって行われる。
【0031】
<<駆動ユニット>>
図4に表すように、駆動ユニット30は、主要部として、リードスクリュー34と、ナット部材72と、スライド部材42と、第1アーム部78及び第2アーム部83(図7)とを有する。さらに、駆動ユニット30は、本体フレーム32と、駆動部の一例としてのモータ36と、ガイド軸38と、コイルバネ39とを有する。
また、駆動ユニット30は、スライド部材42が第2反射ミラー24(図3)を保持した状態で、X軸方向へスライド部材42を移動させることで、第2反射ミラー24における表示光Lの反射角度を変更する。
本実施形態において、回転軸の例はリードスクリュー34であり、従動部材の例はナット部材72であり、可動部材の例はスライド部材42である。
【0032】
<本体フレーム>
本体フレーム32は、縦板部32Aと、底板部32Bと、前壁部32Cと、後壁部32Dとを備えている。また、本体フレーム32は、支持部材の一例であり、リードスクリュー34及びガイド軸38を支持している。
縦板部32Aは、筐体21(図2)に取り付けられる。
底板部32Bは、壁部の一例であり、Z軸方向を厚さ方向として、X-Y面に沿って配置され、X軸方向に延びている。また、底板部32Bは、スライド部材42とZ軸方向に対向している。
【0033】
前壁部32Cは、底板部32Bの+X側でY-Z面に沿って直立している。後壁部32Dは、底板部32Bの-X側でY-Z面に沿って直立している。前壁部32C及び後壁部32Dには、貫通孔33A及び貫通孔33Bが形成されている。貫通孔33Aにはリードスクリュー34が挿通されている。貫通孔33Bにはガイド軸38が挿通されている。
【0034】
<リードスクリュー及びモータ>
リードスクリュー34は、X軸方向を軸方向として、前壁部32Cから後壁部32Dまで延びている。リードスクリュー34の-X側端部は、モータ36に連結されている。リードスクリュー34の+X側端部は、前壁部32Cに回転可能に支持されている。リードスクリュー34の外周面には、図示を省略する雄ネジ部が形成されている。なお、X軸方向から見た場合のリードスクリュー34の回転中心位置を第2中心点Bと称し、点Bで図示する(図8)。
モータ36は、後壁部32Dに対する-X側に設けられている。また、モータ36は、リードスクリュー34を正転方向又は逆転方向に回転駆動する。
【0035】
<ガイド軸>
ガイド軸38は、円柱状に形成されている。また、ガイド軸38は、リードスクリュー34に対する-Y側且つ-Z側となる位置において、X軸方向を軸方向として、前壁部32Cから後壁部32Dまで延びている。換言すると、ガイド軸38は、X軸方向と交差する斜め方向においてリードスクリュー34と並んで配置されている。ガイド軸38の直径は、一例として、リードスクリュー34の直径よりも小さい。
また、ガイド軸38は、案内部材及び案内軸の一例であり、後述するスライド部材42を並進方向の一例としてのX軸方向に案内する。なお、X軸方向から見た場合のガイド軸38の回転中心位置を第1中心点Aと称し、点Aで図示する(図5)。
【0036】
<コイルバネ>
コイルバネ39には、ガイド軸38が挿入されている。また、コイルバネ39は、後述するスライド部材42と前壁部32CとによってX軸方向に挟まれている。これにより、コイルバネ39は、X軸方向に圧縮された場合に、スライド部材42に対して-X側に弾性力を付与するようになっている。
【0037】
<スライド部材>
図5に表すスライド部材42は、Z軸方向の中央よりも下側部分を構成する基部44と、該中央よりも上側部分を構成する直立部58とを有する。また、スライド部材42は、後述するナット部材72との接触によってナット部材72を並進方向(X軸方向)に並進させ、且つスライド部材42自体がナット部材72の並進方向に移動される部材である。
【0038】
(基部)
基部44は、+X側から見た場合に、底壁45と、脚部46と、被案内部48と、開放部52と、窪み部56とを有する。換言すると、スライド部材42には、底壁45と、脚部46と、被案内部48と、開放部52と、窪み部56とが形成されている。
底壁45は、X-Y面に沿った板状に形成されている。
脚部46は、規制部の一例である。また、脚部46は、X軸方向から見た場合に、ガイド軸38に対する後述する保持部63及び保持部64側(+Z側)とは反対側(-Z側)において、底壁45のY軸方向の両端部から底板部32Bに向けて突出されている。脚部46は、既述の底板部32Bと接触することで、スライド部材42のガイド軸38周りの回動を規制するように構成されている。
【0039】
被案内部48は、底壁45のY軸方向の中央に対する-Y側で+Z側に膨らんだ部位である。被案内部48には、X軸方向に貫通する断面円形の貫通孔48Aが形成されている。貫通孔48Aには、ガイド軸38が挿通されている。これにより、被案内部48は、ガイド軸38に沿って、X軸方向に案内されるようになっている。
開放部52は、底壁45上において、+Y側へ向けて開放された空間部として形成されている。換言すると、開放部52のY-Z断面の形状は、+Y側端が開口端となるU字状となっている。開放部52の-Y側端となる位置には、Z軸方向に沿った奥壁53が形成されている。
【0040】
窪み部56は、奥壁53のZ軸方向の中央部から-Y側に窪んだ部位であり、+Y側に向けて開口されている。換言すると、スライド部材42には、リードスクリュー34の回転方向と交差する交差方向の一例としてのY軸方向に窪んだ、窪み部56が形成されている。具体的には、窪み部56は、X軸方向から見た場合に、X-Y面に沿った下面56Aと、下面56Aの-Y側端において+Z側に直立した側面56Bと、側面56Bの+Z側端から+Y側へ延びた上面56Cとで囲まれた空間部である。また、窪み部56は、一例として、基部44における被案内部48に対する+Z側に形成されている。
【0041】
図6に表すように、開放部52には、開放部52内の空間の一部をX軸方向に並ぶ3つの空間に区画する縦壁54及び縦壁55が形成されている。縦壁54は、基部44のX軸方向の中央に対する+X側に配置されている。縦壁55は、基部44のX軸方向の中央に対する-X側に配置されている。縦壁54及び縦壁55は、大きさ及び形状が同じとされており、X軸方向に間隔をあけて配置されている。縦壁54と縦壁55とのX軸方向の間隔は、-Y側が+Y側に比べて狭くなっている。
【0042】
また、縦壁54と縦壁55は、X軸方向から見た場合に、+Y側に開口する断面U字状に形成されている。縦壁54及び縦壁55の内側部分には、X軸方向に沿って、リードスクリュー34(図5)が回転可能に挿入される。ここで、縦壁54における-X側の面を側面54Aと称し、縦壁55における+X側の面を側面55Aと称する。側面54Aと側面55Aとの間には、後述するナット部材72(図5)が配置される。なお、窪み部56は、側面54Aと側面55Aとの間の奥壁53に形成されている。また、Y軸方向から見た場合に、窪み部56と脚部46とは、Z軸方向に並んで配置されている。
【0043】
(直立部)
直立部58は、Z軸方向に沿って、基部44上に直立している。具体的には、直立部58は、X軸方向に対向する第1直立部61及び第2直立部62を有する。第1直立部61と第2直立部62は、スライド部材42におけるX軸方向の中央に対して対称に配置されている。
第1直立部61の+Z側端部で且つ-X側の側面には、-X側に向けて突出された保持部63が形成されている。保持部63の先端部は、半球状に形成されている。同様に、第2直立部62の+Z側端部で且つ+X側の側面には、+X側に向けて突出された保持部64が形成されている。保持部64の先端部は、半球状に形成されている。
【0044】
保持部63と保持部64とのX軸方向の間隔の大きさは、既述の被保持部26C(図3)をX軸方向に挟むことが可能な大きさになっている。そして、保持部63及び保持部64は、X軸方向に被保持部26Cを挟むことで、第2反射ミラー24(図3)を保持している。なお、X軸方向から見た場合に、保持部63及び保持部64の半球の頂点となる位置を第3中心点C(図5)と称する。
【0045】
<ナット部材>
図7に表すように、ナット部材72には、ナット本体部74、挿入部76及び張出部86が形成されている。
【0046】
(ナット本体部)
ナット本体部74は、X軸方向から見た場合に略円環状に形成されている。ナット本体部74には、X軸方向に貫通するネジ孔74Aが形成されている。ネジ孔74Aには、図示を省略する雌ネジ部が形成されている。この雌ネジ部は、リードスクリュー34(図5)の雄ネジ部と螺合されている。これにより、リードスクリュー34の回転力が、ナット部材72をX軸方向に並進させる並進力に変換されるようになっている。
【0047】
ナット本体部74の外周部のうち、+Z側端部及び-Z側端部には、X-Y面に沿った平面部74Bが形成されている。また、ナット本体部74において、-X側の端面を側面74Cと称し、+X側の端面を側面74Dと称する。
【0048】
(挿入部)
図8に表すように、挿入部76は、ナット本体部74の-Y側端部から外側(-Y側)へ延びている。また、挿入部76は、窪み部56(図5)に挿入される部位である。具体的には、挿入部76は、第1挿入部77と、第1挿入部77に対する+Z側に配置された第2挿入部82とを有する。第1挿入部77及び第2挿入部82は、ほぼ同じ大きさ及び形状を有する。また、第1挿入部77及び第2挿入部82は、リードスクリュー34の回転方向の一例としてのZ軸方向に対向し、且つ互いにZ軸方向に接離可能となっている。
【0049】
なお、第1挿入部77及び第2挿入部82は、窪み部56(図5)にY軸方向に挿入された場合に、窪み部56に対して弾性力(弾性変形の戻り力)を作用させるように配置されている。換言すると、第1挿入部77及び第2挿入部82は、窪み部56に圧入されており、且つスライド部材42に対してY軸方向に摺動可能となっている。
【0050】
第1挿入部77は、ナット本体部74の外周面から、Y軸方向(リードスクリュー34の径方向)に沿って、-Y側に延びている。また、第1挿入部77は、第1アーム部78と、第1接触部79と、第1突出部81とを有する。
第1アーム部78は、Z軸方向を厚さ方向とする板状に形成されている。また、第1アーム部78は、弾性部の一例であり、ナット本体部74に対して片持ち梁状に形成されていることで、自由端側(-Y側)がZ軸方向に弾性変形可能とされている。また、第1アーム部78は、リードスクリュー34の回転方向における挿入部76と窪み部56(図5)との接触に伴って弾性変形する部位である。なお、弾性とは、外力によって形状が変化した物体について、外力を取り去った場合に再び元の状態に戻る性質のことを意味する。
【0051】
第1接触部79は、曲面部の一例であり、第1アーム部78の-Y側端部における-Z側の下面78Aから、-Z側へ突出されている。また、第1接触部79は、半球状に形成されている。第1接触部79の頂部は、挿入部76が窪み部56に挿入された場合に、下面56A(図5)と接触する。
【0052】
第1突出部81は、突出部の一例であり、第1アーム部78の-Y側端部における+Z側の対向面78Bから、+Z側へ突出されている。また、第1突出部81は、第1アーム部78の幅方向(X軸方向)全体に亘って形成されている。第1突出部81の突出量は、第1接触部79の突出量と同程度とされている。
【0053】
第2挿入部82は、ナット本体部74の外周面から、Y軸方向(リードスクリュー34の径方向)に沿って、-Y側に延びている。また、第2挿入部82は、第2アーム部83と、第2接触部84と、第2突出部85とを有する。
第2アーム部83は、Z軸方向を厚さ方向とする板状に形成されている。また、第2アーム部83は、弾性部の一例であり、ナット本体部74に対して片持ち梁状に形成されていることで、自由端側(-Y側)がZ軸方向に弾性変形可能とされている。また、第2アーム部83は、リードスクリュー34の回転方向における挿入部76と窪み部56(図5)との接触に伴って弾性変形する部位である。
【0054】
第2接触部84は、曲面部の一例であり、第2アーム部83の-Y側端部における+Z側の上面83Aから、+Z側へ突出されている。また、第2接触部84は、半球状に形成されている。第2接触部84の頂部は、挿入部76が窪み部56に挿入された場合に、上面56C(図5)と接触する。
【0055】
第2突出部85は、突出部の一例であり、第2アーム部83の-Y側端部における-Z側の対向面83Bから、-Z側へ突出されている。また、第2突出部85は、第2アーム部83の幅方向(X軸方向)全体に亘って形成されている。第2突出部85の突出量は、第2接触部84の突出量と同程度とされている。
【0056】
第2挿入部82は、リードスクリュー34の軸芯線と交差する仮想線であって、第2中心点Bを通り且つY軸方向に沿った仮想線Kに対して、ガイド軸38(図5)とは反対側に配置されている。第1挿入部77は、一例として、仮想線K上に配置されている。
ここで、図5に表す挿入部76は、窪み部56に挿入され且つ窪み部56と接触することで、リードスクリュー34が回転された場合に、スライド部材42に対してナット部材72が空転するのを防いでいる。
ナット部材72は、リードスクリュー34の回転によって、リードスクリュー34から回転力を受けると共に、窪み部56との接触で回動が規制されることで、X軸方向に並進するようになっている。
【0057】
(張出部)
図8に表すように、X軸方向から見た場合に、ナット本体部74の外周部におけるリードスクリュー34に対する挿入部76側(-Y側)とは反対側(+Y側)の部位には、張出部86が形成されている。張出部86は、リードスクリュー34から離れる側へ張り出されている。また、張出部86は、Z軸方向を厚さ方向とする板状に形成されている。
【0058】
本実施形態では、張出部86は、仮想線K上に配置されている。換言すると、張出部86は、リードスクリュー34の径方向に延びており、且つ第1挿入部77とY軸方向に並んでいる。張出部86の厚さは、作業者が張出部86を摘んだ場合に、張出部86が弾性変形されない程度の厚さに設定されている。
【0059】
<実施形態1の動作と効果の説明>
図9に表すように、第1挿入部77及び第2挿入部82は、窪み部56にY軸方向に挿入(圧入)されていることで、下面56A及び上面56Cに対して弾性力Fを作用させている。このとき、第1挿入部77と第2挿入部82との間には、隙間が形成されている。また、第1挿入部77及び第2挿入部82は、下面56A及び上面56Cに対してX軸方向及びY軸方向に摺動可能となっている。
【0060】
図5に表す駆動ユニット30において、リードスクリュー34が回転された場合に、ナット部材72はリードスクリュー34の軸方向(X軸方向)に移動(並進)される。そして、スライド部材42は、ガイド軸38の軸方向(X軸方向)に移動される。ナット部材72のリードスクリュー34周りの回動は、スライド部材42との接触によって規制されている。
【0061】
リードスクリュー34とガイド軸38は、寸法誤差及び組付け誤差により、平行状態からずれた状態で配置されている。このため、ナット部材72をX軸方向に移動させた場合には、ガイド軸38に対するナット部材72の位置が一定とはならず、変動することになる。
ここで、ナット部材72の挿入部76が、窪み部56において、圧入状態を維持したまま弾性変形することで、ナット部材72がスライド部材42に対してY軸方向に摺動する。これにより、リードスクリュー34及びガイド軸38の誤差に起因するナット部材72の位置ずれが吸収されるので、ナット部材72及びスライド部材42をX軸方向に移動させることができる。換言すると、モータ36(図4)のトルクが大きくなるのを抑制することができる。
【0062】
(1)このように、駆動ユニット30によれば、ナット部材72がリードスクリュー34の回転方向においてスライド部材42と接触した場合に、第1挿入部77及び第2挿入部82(図8)が弾性変形することで、スライド部材42とナット部材72との接触状態を維持したまま、スライド部材42に対するナット部材72の移動、即ち摺動が許容される。これにより、ナット部材72の並進に伴ってスライド部材42が移動する場合に、ナット部材72とスライド部材42との相対位置が変動したとしても、ナット部材72がスライド部材42に対して接触及び離間を繰り返すことが抑制されるので、スライド部材42の揺動及びスライド部材42とナット部材72との接触音を抑制することができる。
【0063】
さらに、駆動ユニット30によれば、窪み部56に挿入部76を挿入する場合に、窪み部56に対して挿入部76の位置が僅かにずれていたとしても、第1挿入部77及び第2挿入部82(図8)が弾性変形することで、窪み部56に倣って挿入部76が挿入される。これにより、弾性変形しない部材を窪み部56に圧入する構成に比べて、組付け時に、窪み部56に対する挿入部76の配置に高い位置精度が要求されなくなるので、駆動ユニット30を製造し易くすることができる。
【0064】
(2)また、実施形態1によれば、第1挿入部77及び第2挿入部82が、リードスクリュー34から直接、回転力を受けるナット部材72に形成されており、弾性変形における変形量を把握し易くなるので、第1挿入部77及び第2挿入部82の弾性部を形成し易くすることができる。
【0065】
(3)また、実施形態1によれば、挿入部76が窪み部56に挿入された範囲内で、ナット部材72とスライド部材42とが接触可能となるので、窪み部56を有さない構成に比べて、ナット部材72とスライド部材42との接触面積を増やすことができる。
【0066】
(4)また、実施形態1によれば、第1接触部79及び第2接触部84が半球状の曲面部となっていることで、スライド部材42側の被接触面(下面56A及び上面56C)と接触するのは、曲面の一例としての半球面となる。これにより、スライド部材42側の被接触面に対する第1接触部79及び第2接触部84の角度が変化しても、該被接触面と該半球面との接触状態が維持されるので、スライド部材42と第1接触部79及び第2接触部84との接触面積の変動を抑制することができる。
【0067】
(5)また、実施形態1によれば、第1挿入部77と第2挿入部82との間は空間となり、弾性部が存在しないので、1つの大きな挿入部を用いる構成に比べて、挿入部76としての変形ストロークを確保することができる。
【0068】
(6)また、実施形態1によれば、スライド部材42がガイド軸38によって案内されることで、スライド部材42の並進方向への移動が安定するので、並進方向と交差する面内でのスライド部材42の位置変動を抑制することができる。さらに、第2挿入部82が、仮想線Kに対してガイド軸38側とは反対側に配置されていることで、ガイド軸38側に空間が確保されるので、ガイド軸38をナット部材72に近づけて配置することが可能となる。これにより、スライド部材42がガイド軸38を支点として回動されるような場合に、ナット部材72とスライド部材42とが接触する位置をガイド軸38に近づけて配置することで、回動が抑制されるので、スライド部材42に回転力が作用するのを抑制することができる。
【0069】
(7)また、実施形態1によれば、図10に表すように、第1挿入部77及び第2挿入部82の少なくとも一方に対して、第1挿入部77と第2挿入部82が近づく方向に外力が作用した場合(例えば、作業者が第1挿入部77及び第2挿入部82をZ軸方向に摘んだ場合)に、第1突出部81と第2突出部85が接触する。これにより、第1挿入部77と第2挿入部82が過度に近づかなくなるので、第1挿入部77及び第2挿入部82の少なくとも一方の過大な変形を抑制することができる。
【0070】
(8)また、実施形態1によれば、駆動ユニット30の組付け作業において、挿入部76が窪み部56に挿入される場合に、張出部86が作業者によって摘まれることで、ナット部材72が保持される。これにより、張出部86が無い構成に比べて、窪み部56への挿入部76の挿入作業を行い易くすることができる。
【0071】
(9)また、実施形態1のヘッドアップディスプレイ装置20によれば、上述した駆動ユニット30と同様の作用効果を得ることができる。
【0072】
[実施形態2]
次に、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置及び駆動装置の一例として、実施形態2のヘッドアップディスプレイ装置20及び駆動ユニット30について説明する。なお、実施形態1と共通する部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0073】
図11に表す実施形態2の駆動ユニット30において、X軸方向から見た場合に、第1中心点Aから第2中心点Bまでの距離を第1距離r1〔mm〕とする。第1中心点Aから第3中心点Cまでの距離を第2距離r2〔mm〕とする。ナット部材72とスライド部材42との接触部位の摩擦により発生する力の合力であり、第2中心点Bに作用する仮想の力を第1回転力F1〔N〕とする。保持部63及び保持部64と、被保持部26C(図3)との接触部位の摩擦により発生する力であり、第3中心点Cに作用する力を第2回転力F2〔N〕とする。なお、図11では、断面のハッチングを省略している。
ここで、第1距離r1、第2距離r2、第1回転力F1、第2回転力F2は、関係式F1×r1<F2×r2を満たしている。
【0074】
また、X軸方向から見た場合に、第3中心点Cは、第2中心点Bを通り且つ鉛直方向(Z軸方向)に沿った仮想線G上に位置している。換言すると、第2中心点B及び第3中心点Cは、仮想線G上に位置している。また、第2中心点Bは、Z軸方向において第3中心点Cよりも下側(-Z側)に位置している。
【0075】
<実施形態2の動作と効果の説明>
図12に表す駆動ユニット30において、一例として、リードスクリュー34の回転(+X側から見た場合の時計回り方向の回転)に伴って、ナット部材72が-X側に向けて移動された場合について説明する。この場合に、ナット部材72の側面74Cは、スライド部材42の側面55Aと接触して、側面55Aを-X側に向けて押圧する。これにより、スライド部材42が-X側に移動する。側面74Cと側面55Aとが接触する位置を含む面を仮想面Sと称する。仮想面Sは、Y-Z面に沿っている。
【0076】
図13には、仮想面S(図12)の一部として、ナット部材72とスライド部材42との接触面SAが斜線領域で示されている。接触面SAでは、リードスクリュー34から回転力が作用することによるナット部材72の回動、及びスライド部材42に対するナット部材72のY軸方向の移動(摺動)に伴って、ナット部材72とスライド部材42との間に摩擦力が作用する。なお、図13では、断面のハッチングを省略している。
【0077】
(1)実施形態2のヘッドアップディスプレイ装置20及び駆動ユニット30によれば、ナット部材72がスライド部材42と接触することで、スライド部材42がX軸方向に移動する。そして、スライド部材42は、ガイド軸38によってX軸方向に案内される。これにより、第2反射ミラー24(図2)が、X軸方向に移動される(傾倒される)。
【0078】
ここで、図11に表す、ナット部材72とスライド部材42との接触部位の摩擦により発生する第1回転力F1及び第1距離r1と、保持部63及び保持部64と被保持部26C(図12)との接触部位の摩擦により発生する第2回転力F2及び第2距離r2とが、関係式F1×r1<F2×r2を満たしている。
換言すると、ナット部材72から受ける力によって生じるスライド部材42の回転(回動)が、保持部63及び保持部64と被保持部26Cとの接触部位の第2回転力F2によって抑え込まれる。これにより、第1中心点Aを中心とするスライド部材42の回転(回動)を抑制することができる。
【0079】
(2)また、実施形態2によれば、第2中心点B及び第3中心点Cが仮想線G上に位置していることで、第2中心点Bと第3中心点Cとが水平方向にずれて配置された構成に比べて、水平方向においてスライド部材42及びナット部材72を配置するのに必要なスペースが小さくて済む。これにより、ヘッドアップディスプレイ装置20を小型化することができる。
【0080】
(3)また、実施形態2によれば、リードスクリュー34がスライド部材42の下部に配置される。これにより、リードスクリュー34をモータ36等の駆動部を用いて駆動させる場合に、質量の大きい駆動部がZ軸方向(鉛直方向)の下側に配置されることになるので、ヘッドアップディスプレイ装置20の重心を下げて、ヘッドアップディスプレイ装置20の動作を安定させることができる。
【0081】
(4)また、実施形態2によれば、保持部63及び保持部64がX軸方向に被保持部26Cを挟んでいるので、スライド部材42がX軸方向に移動する場合に、被保持部26Cの移動方向(+X側、-X側)に保持部63又は保持部64が存在することになる。これにより、スライド部材42の移動に伴って、被保持部26Cの位置が保持部63及び保持部64の位置に対してずれるのを抑制することができる。
【0082】
(5)また、実施形態2によれば、スライド部材42のガイド軸38周りの回動量が大きくなった場合に、脚部46が本体フレーム32の底板部32Bと接触することで、スライド部材42の回動が止められる。これにより、スライド部材42の過度の回動を抑制することができる。
【0083】
[実施形態3]
次に、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置及び駆動装置の一例として、実施形態3のヘッドアップディスプレイ装置20及び駆動ユニット90について説明する。尚、実施形態1、2と共通する部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0084】
図14に表す実施形態3の駆動ユニット90は、実施形態2の駆動ユニット30において、スライド部材42(図13)に代えてスライド部材92を有し、ナット部材72(図13)に代えてナット部材94を有しており、他の構成は同じとされている。
【0085】
スライド部材92は、スライド部材42において、窪み部56(図13)が形成されておらず、連続した奥壁93が形成されている。
ナット部材94は、ナット部材72(図13)において、挿入部76及び張出部86(図13)が無くなり、Y軸方向に並ぶ外周面が、連続した曲面となっている。
【0086】
駆動ユニット90において、第1距離r1、第2距離r2、第1回転力F1、第2回転力F2は、関係式F1×r1<F2×r2を満たしている。また、第2中心点Bは、Z軸方向において第3中心点Cよりも下側(-Z側)に位置している。
【0087】
<実施形態3の動作と効果の説明>
図14に表す駆動ユニット90において、リードスクリュー34が図示の時計回り方向に回転された場合に、ナット部材94は、リードスクリュー34に連れて図示の時計回り方向に回動しようとする。そして、ナット部材94の外周の一部は、開放部52の一部の壁面と接触する。また、ナット部材94の-X側の側面は、側面55Aを-X側に向けて押圧する。これにより、スライド部材92が-X側に移動する。
【0088】
ここで、ナット部材94とスライド部材92とが接触する部位には、図示の反時計回り方向の摩擦による第1回転力F1が作用するが、保持部63及び保持部64と被保持部26C(図3)との接触部位の第2回転力F2によって抑え込まれる。これにより、第1中心点Aを中心とするスライド部材92の回転(回動)を抑制することができる。なお、実施形態2と同様の作用効果については、説明を省略する。
【0089】
[実施形態4]
次に、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置及び駆動装置の一例として、実施形態4のヘッドアップディスプレイ装置20及び駆動ユニット140について説明する。尚、実施形態1、2、3と共通する部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。また、実施形態1、2、3と同様の作用、効果については、説明を省略する場合がある。
【0090】
図20に表すように、実施形態4の駆動ユニット140は、実施形態1のヘッドアップディスプレイ装置20(図2)において、駆動ユニット30に代えて設けられている。
駆動ユニット140は、主要部として、リードスクリュー34と、ナット部材172、173と、スライド部材141と、第1アーム部176及び第2アーム部184(図23)とを有する。さらに、駆動ユニット140は、一例として、本体フレーム32及びモータ36(図4)と、ガイド軸38とを有する。
また、駆動ユニット140は、スライド部材141が第2反射ミラー24(図3)を保持した状態で、X軸方向へスライド部材141を移動させることで、第2反射ミラー24における表示光Lの反射角度を変更する。
【0091】
<スライド部材>
スライド部材141は、可動部材の一例であり、スライド部材141の本体を構成する基部142と、基部142から+Z側に直立する直立部162と、基部142に取り付けられ直立部162とX軸方向に対向する板バネ166とを有する。また、スライド部材141は、後述するナット部材172及びナット部材173との接触によって、ナット部材172及びナット部材173を並進方向(X軸方向)に並進させ、且つスライド部材141自体がナット部材172及びナット部材173の並進方向に移動される部材である。
【0092】
(基部)
図22に表すように、基部142は、被案内部143と、底壁147と、脚部148と、縦壁156とを含んで構成されている。また、基部142には、開放部144が形成されている。
被案内部143は、ブロック状に形成された部位である。被案内部143には、X軸方向に貫通する断面円形の貫通孔153(図21)が形成されている。貫通孔153は、被案内部143のY軸方向のほぼ中央部に位置する。貫通孔153には、ガイド軸38(図20)が挿通されている。これにより、被案内部143は、ガイド軸38に沿って、X軸方向に案内されるようになっている。
【0093】
底壁147は、X-Y面に沿った板状に形成されており、被案内部143に対する-Z側に位置する。
脚部148は、規制部の一例である。また、脚部148は、底壁147のY軸方向の両端部から底板部32B(図4)に向けて突出されている。脚部148は、底板部32Bと接触することで、スライド部材141のガイド軸38周りの回動を規制するように構成されている。
【0094】
開放部144は、収納部の一例であり、後述するナット部材172及びナット部材173を収納する。具体的には、開放部144は、底壁147と被案内部143との間に位置し、+Y側へ向けて開放された空間部として形成されている。換言すると、開放部144のY-Z断面の形状は、+Y側端が開口部144Cとなる台形状となっている。
開口部144Cは、Y方向(+Y側)に開口しており、台形の下底に相当する位置にある。また、開放部144は、後述する区画壁154によって、第1開放部144Aと第2開放部144Bとに区画されている。
【0095】
第1開放部144Aは、区画壁154に対する+X側に位置する。第2開放部144Bは、区画壁154に対する-X側に位置する。第1開放部144AのX軸方向の幅は、一例として、第2開放部144BのX軸方向の幅よりも広い。
縦壁156は、底壁147のY軸方向の中央よりも-Y側の部位において+Z側に直立している。縦壁156の+Z側の端部は、被案内部143に繋がっている。換言すると、縦壁156は、開放部144の-Y側の奥壁を構成している。
【0096】
被案内部143の-Z側の端部には、上面145Aと、上傾斜面145Bとが形成されている。なお、上面145A及び上傾斜面145Bは、一例として、第1開放部144A及び第2開放部144Bの両方に形成されている。上面145Aは、一例として、X-Y面に沿った平面となっている。
【0097】
上傾斜面145Bは、後述する第2アーム部184との接触面及び傾斜面の一例であり、上傾斜面145Bの+Y側の端部が上傾斜面145Bの-Y側の端部よりも+Z側に位置するように傾斜されている。換言すると、上傾斜面145Bは、X軸方向から見て、Y軸方向に対して交差する方向に傾斜されている。上傾斜面145BのX-Y面に対する傾斜の角度は、後述する第2接触部188と上傾斜面145Bとが接触可能となる角度で、且つナット部材172、173(図20)を-Y側に向けて挿入し易くなる角度に設定されている。このように、上傾斜面145Bは、Y軸方向において開口部144Cに近づくほど開放部144の空間が広がるように傾斜されている。
上面145Aと上傾斜面145Bとの境界の位置は、一例として、リードスクリュー34(図20)の位置よりも+Y側にある。
【0098】
底壁147の+Z側の端部には、下面146Aと、下傾斜面146Bとが形成されている。なお、下面146A及び下傾斜面146Bは、一例として、第1開放部144A及び第2開放部144Bの両方に形成されている。下面146Aは、一例として、X-Y面に沿った平面となっている。
【0099】
下傾斜面146Bは、後述する第1アーム部176との接触面及び傾斜面の一例であり、下傾斜面146Bの+Y側の端部が下傾斜面146Bの-Y側の端部よりも-Z側に位置するように傾斜されている。換言すると、下傾斜面146Bは、X軸方向から見て、Y軸方向に対して交差する方向に傾斜されている。下傾斜面146BのX-Y面に対する傾斜の角度は、後述する第1接触部182と下傾斜面146Bとが接触可能となる角度で、且つナット部材172、173(図20)を-Y側に向けて挿入し易くなる角度に設定されている。このように、下傾斜面146Bは、Y軸方向において開口部144Cに近づくほど開放部144の空間が広がるように傾斜されている。
下面146Aと下傾斜面146Bとの境界の位置は、一例として、リードスクリュー34(図20)の位置よりも+Y側にある。
【0100】
区画壁154は、X軸方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。また、区画壁154は、X軸方向において、開放部144を第1開放部144Aと第2開放部144Bとに区画している。区画壁154には、-Y側に向けて切り込まれた切欠部155が形成されている。
切欠部155は、+Y側に開口するU字状に形成されている。換言すると、区画壁154は、X軸方向から見てU字形状となっている。第1開放部144Aと第2開放部144Bは、切欠部155を介して繋がっている。第2開放部144Bに対する-X側には、側壁151が形成されている。
【0101】
側壁151は、X軸方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。また、側壁151は、被案内部143、底壁147及び区画壁154と共に、第2開放部144Bを形成している。側壁151には、-Y側に向けて切り込まれた切欠部152が形成されている。
切欠部152は、+Y側に開口するU字状に形成されている。換言すると、側壁151は、X軸方向から見てU字形状となっている。
リードスクリュー34(図20)は、切欠部152の内側及び切欠部155の内側に挿通されている。
【0102】
被案内部143のX軸方向の中央よりも+X側の部位には、+Z側に直立する取付壁157が形成されている。
取付壁157は、一例として、X軸方向に所定の厚さを有する板状の部位と、Y軸方向に所定の厚さを有する板状の部位とで構成されている。また、取付壁157には、後述する板バネ166(図20)の移動を制限する制限部158が形成されている。
【0103】
(直立部)
図20に表すように、直立部162は、被案内部143のX軸方向の中央よりも-X側の部位から+Z側に直立している。また、直立部162は、X軸方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。直立部162には、直立部162から+X側に突出する半球部163が形成されている。
【0104】
(板バネ)
板バネ166は、一例として、被挟持部166Aと、湾曲部166Bと、変位部166Cとを有する。被挟持部166Aは、取付壁157(図22)と制限部158とでX軸方向に挟まれている。湾曲部166Bは、被挟持部166Aの+Z側の端部において、Y軸方向から見てU字状に形成されている。変位部166Cは、外力を受けることで+X側に変位するように構成されている。
ここで、変位部166Cは、半球部163とX軸方向に対向配置されている。そして、変位部166Cは、被保持部26Cを半球部163に向けて付勢している。換言すると、直立部162と板バネ166は、被保持部26CをX軸方向に挟んでいる。
【0105】
図21に表されるように、基部142における縦壁156に対する-Y側の部位には、基部142をX軸方向に貫通する貫通孔149が形成されている。貫通孔149は、基部142を射出成形によって形成する場合の肉抜きである。また、貫通孔149は、X軸方向から見て四角形状に形成されている。
+X側から見て、リードスクリュー34の中心位置と、ガイド軸38の中心位置と、半球部163の中心位置とは、一例として、Z軸方向に並んでいる。
【0106】
<ナット部材>
図20に表されるように、ナット部材172は、第1開放部144Aに収納されており、リードスクリュー34の回転に伴ってX軸方向に並進される。ナット部材173は、第2開放部144Bに収納されており、リードスクリュー34の回転に伴ってX軸方向に並進される。ナット部材172及びナット部材173は、それぞれ従動部材の一例であり、樹脂から成る。
【0107】
ナット部材172とナット部材173との間には、コイルバネ177が設けられている。コイルバネ177は、X軸方向に伸縮可能となっている。このように、ナット部材172とナット部材173は、コイルバネ177から弾性力を受けることで、リードスクリュー34に対して突っ張り状態で配置されるので、リードスクリュー34に対するY-Z面内での位置の変動が抑制される。
なお、ナット部材172とナット部材173は、一例として、Y-Z面に沿った不図示の仮想面に対して対称な形状となるように形成されている。このため、ナット部材172について具体的に説明し、ナット部材173の説明を省略する。
【0108】
図23に表されるように、ナット部材172は、一例として、ナット本体部174と、アーム部175と、筒部192と、凹部194と、張出部196とを有する。
アーム部175は、腕部の一例であり、ナット部材172の回転方向に対向し且つ互いに接離可能な第1アーム部176及び第2アーム部184を有する。
第1アーム部176には、第1突出部178及び第1接触部182が形成されている。
第2アーム部184には、第2突出部186及び第2接触部188が形成されている。
【0109】
(ナット本体部)
ナット本体部174は、並進部の一例であり、リードスクリュー34から回転力を受けることで並進される。具体的には、ナット本体部174は、X軸方向の寸法に比べてY軸方向の寸法及びZ軸方向の寸法が大きいブロック状に形成されている。ナット本体部174には、X軸方向に貫通するネジ孔179が形成されている。ネジ孔179には、雌ネジ部179Aが形成されている。雌ネジ部179Aは、リードスクリュー34(図20)の不図示の雄ネジ部と螺合されている。これにより、リードスクリュー34の回転力が、ナット部材172をX軸方向に並進させる並進力に変換されるようになっている。
ナット本体部174の+Y側の面であり、且つ後述する第1アーム部176と第2アーム部184との間に位置する面を側面174Aとする。
【0110】
(第1アーム部)
第1アーム部176は、弾性部の一例であり、ナット本体部174の+Y側端部におけるZ軸方向の中央よりも-Z側の部位から+Y側へ、Y軸方向に延びている。また、第1アーム部176は、Z軸方向を厚さ方向とする板状に形成されている。さらに、第1アーム部176は、厚肉部176Aと、薄肉部176Bとを有する。
厚肉部176Aは、第1アーム部176におけるY軸方向の中央に対するナット本体部174側(-Y側)の部位である。また、厚肉部176Aは、ナット本体部174に向けて徐々にZ軸方向の厚さが厚くなる部位である。
薄肉部176Bは、第1アーム部176におけるY軸方向の中央に対する+Y側の部位である。また、薄肉部176Bは、厚肉部176AよりもZ軸方向の厚さが薄い部位である。
第1アーム部176の-Z側の下面176Cは、下面176Cの+Y側端部が-Y側端部よりも+Z側に位置するように、Y軸方向に対して僅かに傾斜されている。
なお、第1アーム部176において第2アーム部184とZ方向に対向する面を対向面176Dとする。
【0111】
(第1突出部)
第1突出部178は、突出部の一例であり、第1アーム部176の+Y側端部の対向面176Dから+Z側へ突出されている。換言すると、第1突出部178は、対向面176Dに形成されている。また、第1突出部178は、第1アーム部176の幅方向(X軸方向)全体に亘って形成されている。さらに、第1突出部178は、Y軸方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。第1突出部178の+Z側端部には、端面178Aが形成されている。端面178Aは、Z軸方向において、ネジ孔179の中心よりも-Z側に位置している。
【0112】
(第1接触部)
第1接触部182は、第1アーム部176のスライド部材141との接触部及び曲面部の一例であり、薄肉部176Bの+Y側端部において、下面176Cから-Z側へ突出されている。また、第1接触部182は、半球状に形成されており、曲面182Aを有する。第1接触部182の頂部は、ナット部材172が第1開放部144Aに収納された場合に、下傾斜面146B(図22)と接触する。
【0113】
(第2アーム部)
第2アーム部184は、弾性部の一例であり、ナット本体部174の+Y側端部におけるZ軸方向の中央よりも+Z側の部位から+Y側へ、Y軸方向に延びている。また、第2アーム部184は、Z軸方向を厚さ方向とする板状に形成されている。さらに、第2アーム部184は、厚肉部184Aと、薄肉部184Bとを有する。
厚肉部184Aは、第2アーム部184におけるY軸方向の中央に対するナット本体部174側(-Y側)の部位である。また、厚肉部184Aは、ナット本体部174に向けて徐々にZ軸方向の厚さが厚くなる部位である。
薄肉部184Bは、第2アーム部184におけるY軸方向の中央に対する+Y側の部位である。また、薄肉部184Bは、厚肉部184AよりもZ軸方向の厚さが薄い部位である。
第2アーム部184の+Z側の上面184Cは、上面184Cの+Y側端部が-Y側端部よりも-Z側に位置するように、Y軸方向に対して僅かに傾斜されている。
なお、第2アーム部184において第1アーム部176とZ方向に対向する面を対向面184Dとする。
本実施形態では、一例として、第1アーム部176のY軸方向の長さと、第2アーム部184のY軸方向の長さとが、それぞれネジ孔179の直径の3倍程度の長さとなっている。
【0114】
(第2突出部)
第2突出部186は、突出部の一例であり、第2アーム部184の+Y側端部の対向面184Dから-Z側へ突出されている。換言すると、第2突出部186は、対向面184Dに形成されている。また、第2突出部186は、第2アーム部184の幅方向(X軸方向)全体に亘って形成されている。さらに、第2突出部186は、Y軸方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。第2突出部186の-Z側端部には、端面186Aが形成されている。端面186Aは、Z軸方向において、ネジ孔179の中心よりも+Z側に位置している。
第1突出部178と第2突出部186は、互いにZ軸方向に接離可能となっている。
【0115】
(第2接触部)
第2接触部188は、第2アーム部184のスライド部材141との接触部及び曲面部の一例であり、薄肉部184Bの+Y側端部において、上面184Cから+Z側へ突出されている。また、第2接触部188は、半球状に形成されており、曲面188Aを有する。第2接触部188の頂部は、ナット部材172が第1開放部144Aに収納された場合に、上傾斜面145B(図22)と接触する。
【0116】
(筒部)
筒部192は、ナット本体部174から-X側に延びている。また、筒部192は、円筒状に形成されている。筒部192の内側には、雌ネジ部179Aが形成されている。筒部192のX軸方向の幅は、ナット本体部174のX軸方向の幅よりも広い。
【0117】
(凹部)
図24に表すように、凹部194は、ナット本体部174の-Y側の端面から+Y側に窪んだ部位である。換言すると、凹部194は、ナット本体部174におけるアーム部175が形成された側とは反対側に形成されている。凹部194では、ナット部材172の樹脂成形において形成された不図示のゲートが除去される。
凹部194の+Y側の底部を構成する面を側面194Aとする。側面194Aに対する-Z側には、側面194Aよりも-Y側に突出する凸部195Aが形成されている。側面194Aに対する+Z側には、側面194Aよりも-Y側に突出する凸部195Bが形成されている。
【0118】
凸部195AのY軸方向の突出量と、凸部195BのY軸方向の突出量とは、ほぼ同じ量となっている。また、凸部195A及び凸部195Bは、縦壁156とY軸方向に間隔をあけて対向している。側面194Aには、一例として、成形時に形成された不図示のゲートが切断された際に残った残部197が形成されている。残部197は、凹部194の内側にある。
【0119】
(張出部)
張出部196は、X軸方向から見た場合に、ナット本体部174における凹部194側(-Y側)とは反対側(+Y側)の部位に形成されている。具体的には、張出部196は、側面174AのZ軸方向の中央部から+Y側へ張り出されている。張出部196の-X側の端面196A(図23)は、Y-Z面に沿った平面となっている。端面196Aには、コイルバネ177(図20)の+X側の端部が接触している。このように、張出部196が形成されていることで、ナット本体部174とコイルバネ177との接触面積が確保されている。
【0120】
第2アーム部184、第2突出部186及び第2接触部188は、一例として、X軸方向から見て、ネジ孔179の中心CAを通りY軸方向に沿った仮想線Qに対して、第1アーム部176、第1突出部178及び第1接触部182と対称となるように構成されている。
ナット部材172は、リードスクリュー34の回転によって、リードスクリュー34から回転力を受けると共に、上傾斜面145B及び下傾斜面146Bとの接触で回動が規制されることで、X軸方向に並進するようになっている。
【0121】
<実施形態4の動作と効果の説明>
図20に表す駆動ユニット140を組み立てる場合に、リードスクリュー34が挿通されたナット部材172及びナット部材173に対して、-Y側からスライド部材141が近付けられる。そして、ナット部材172が第1開放部144Aに収納され、ナット部材173が第2開放部144Bに収納される。なお、ナット部材173については、ナット部材172と同様の作用が得られるため、以後はナット部材173の説明を省略する。
【0122】
ナット部材172が第1開放部144Aに収納されるとき、ナット部材172において、第1接触部182が下傾斜面146Bと接触し、第2接触部188が上傾斜面145Bと接触する。
ここで、第1接触部182及び第2接触部188に対してスライド部材141から反力が作用した場合に、第1アーム部176と第2アーム部184がZ軸方向において互いに近づく方向に弾性変形されるので、第1開放部144Aへのナット部材172の収納動作を行い易くすることができる。さらに、弾性変形された第1アーム部176及び第2アーム部184が元の状態に戻ろうとすることで、第1接触部182及び第2接触部188に戻り力が作用するので、第1接触部182と下傾斜面146Bとの接触状態、及び第2接触部188と上傾斜面145Bとの接触状態を維持できる。
【0123】
駆動ユニット140によれば、ナット部材172、173がリードスクリュー34の回転方向においてスライド部材141と接触した場合に、第1アーム部176及び第2アーム部184が弾性変形することで、スライド部材141とナット部材172、173との接触状態を維持したまま、スライド部材141に対するナット部材172、173の移動、即ち摺動が許容される。これにより、ナット部材172、173の並進に伴ってスライド部材42が移動する場合に、ナット部材172、173とスライド部材141との相対位置が変動したとしても、ナット部材172、173がスライド部材141に対して接触及び離間を繰り返すことが抑制されるので、スライド部材141の揺動及びスライド部材141とナット部材172、173との接触音を抑制することができる。
【0124】
駆動ユニット140によれば、第1アーム部176及び第2アーム部184がY軸方向に延びることで、第1アーム部176及び第2アーム部184がそれぞれ片持ち梁状態となるので、第1アーム部176及び第2アーム部184の弾性変形量を確保することができる。
また、駆動ユニット140によれば、第1アーム部176及び第2アーム部184のスライド部材141との第1接触部182及び第2接触部188が曲面部となっていることで、スライド部材141側の上傾斜面145B、下傾斜面146Bと接触するのは、曲面182A、曲面188Aとなる。これにより、スライド部材141側の上傾斜面145B、下傾斜面146Bに対する第1アーム部176及び第2アーム部184の角度が変化しても、上傾斜面145B、下傾斜面146Bと曲面182A、曲面188Aとの接触状態が維持されるので、スライド部材141と第1アーム部176及び第2アーム部184との接触面積の変動を抑制することができる。
【0125】
駆動ユニット140によれば、開放部144は、開口部144Cに近づくほど空間が広がっているので、開口部144Cを通して開放部144の内側へナット部材172、173を挿入し易くすることができる。
また、駆動ユニット140によれば、第1アーム部176と第2アーム部184との間が空間となることで、第1アーム部176と第2アーム部184との間に弾性部が存在しないので、1つの大きな腕部を用いる構成に比べて、腕部の変形ストロークを確保することができる。
【0126】
駆動ユニット140によれば、第1アーム部176及び第2アーム部184の少なくとも一方に対して、第1アーム部176と第2アーム部184が近づく方向に外力が作用した場合に、第1突出部178と第2突出部186が接触する。これにより、第1アーム部176と第2アーム部184が過度に近づかなくなるので、第1アーム部176及び第2アーム部184の少なくとも一方の過大な変形を抑制することができる。
また、駆動ユニット140によれば、凹部194内において不図示のゲートを除去した場合、凹部194内にゲートの一部である残部197が残存することになる。換言すると、残存した残部197がナット本体部174から外側へ突出することが抑制されるので、残部197とスライド部材141とが接触するのを抑制することができる。
【0127】
〔各変形例〕
本発明の各実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置20、駆動ユニット30、駆動ユニット90及び駆動ユニット140は、以上のべたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0128】
<変形例1>
図15には、駆動装置の変形例1としての駆動ユニット100について、各構成部の配置が模式的に示されている。駆動ユニット100は、主要部として、リードスクリュー34と、ガイド軸38と、挿入部76を有する図示を省略するナット部材と、保持部63及び保持部64と、スライド部材102とを有する。スライド部材102は、X軸方向から見た場合にZ軸方向に長い矩形状の部材として表されている。なお、図の矢印は、挿入部76によってスライド部材102に対して力が作用する状態を表している。また、図の破線部は、挿入部76、又は保持部63及び保持部64の位置が変更された、さらなる変形例を意味している。
【0129】
第1中心点Aは、スライド部材102をX軸方向から見た場合の中心点Mに対して、+Y側且つ-Z側に位置している。第2中心点Bは、中心点Mに対する-Y側且つ-Z側であり、第1中心点Aに対する-Y側且つ-Z側に位置している。第3中心点Cは、中心点Mに対する+Y側且つ+Z側であり、第1中心点Aに対する+Z側に位置している。挿入部76は、第1中心点Aに対する+Z側で且つ第3中心点Cに対する-Z側に位置している。このように各構成部を配置した駆動ユニット100においても、各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、挿入部76は、第1中心点Aに対して-Z側に位置していてもよい。また、保持部63及び保持部64は、中心点Mに対して-Y側且つ+Z側に位置していてもよい。
【0130】
<変形例2>
図16には、駆動装置の変形例2としての駆動ユニット110について、各構成部の配置が模式的に示されている。駆動ユニット110は、主要部として、リードスクリュー34と、ガイド軸38と、挿入部76を有する図示を省略するナット部材と、保持部63及び保持部64と、スライド部材112とを有する。スライド部材112は、X軸方向から見た場合にZ軸方向に長い矩形状の部材として表されている。なお、図の矢印は、挿入部76によってスライド部材112に対して力が作用する状態を表している。また、図の破線部は、挿入部76の位置が変更された、さらなる変形例を意味している。
【0131】
第1中心点Aは、スライド部材112をX軸方向から見た場合の中心点Mに対して、+Y側且つ-Z側に位置している。第2中心点Bは、中心点Mに対する-Y側且つ-Z側であり、第1中心点Aに対する-Y側且つ+Z側に位置している。第3中心点Cは、中心点Mに対する+Z側であり、第1中心点Aに対する-Y側且つ+Z側に位置している。挿入部76は、第1中心点Aに対する+Y側且つ+Z側に位置している。このように各構成部を配置した駆動ユニット110においても、各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、挿入部76は、第1中心点Aに対して-Y側且つ-Z側に位置していてもよい。
【0132】
<変形例3>
図17には、駆動装置の変形例3としての駆動ユニット120について、各構成部の配置が模式的に示されている。駆動ユニット120は、主要部として、リードスクリュー34と、ガイド軸38と、挿入部76を有する図示を省略するナット部材と、保持部63及び保持部64と、スライド部材122とを有する。スライド部材122は、X軸方向から見た場合にZ軸方向に長い矩形状の部材として表されている。なお、図の矢印は、挿入部76によってスライド部材122に対して力が作用する状態を表している。また、図の破線部は、挿入部76の位置が変更された、さらなる変形例を意味している。
【0133】
第1中心点Aは、スライド部材122をX軸方向から見た場合の中心点Mに対して、+Y側に位置している。第2中心点Bは、中心点Mに対する+Z側であり、第1中心点Aに対する-Y側且つ+Z側に位置している。第3中心点Cは、中心点Mに対する-Y側且つ-Z側であり、第1中心点Aに対する-Y側且つ-Z側に位置している。挿入部76は、第1中心点Aに対する-Z側に位置している。このように各構成部を配置した駆動ユニット120においても、各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、挿入部76は、第1中心点Aに対して-Y側且つ-Z側に位置し、且つZ軸方向と交差する斜め方向に力が作用するように配置されてもよい。
【0134】
<変形例4>
図18には、変形例4として、挿入部76(図9)の変形例となる挿入部124が表されている。
挿入部124は、Y軸方向を軸方向とする円筒状に形成されている。挿入部124において、中心軸を表す点CAを通り且つX軸方向に沿った仮想線Hに対して、+Z側の半円部分を上部124Aと称する。また、仮想線Hに対して-Z側の半円部分を下部124Bと称する。上部124Aの頂部は、上面56Cと接触している。下部124Bの底部は、下面56Aと接触している。なお、挿入部124は、窪み部56に対して、X軸方向には接触していない。
【0135】
挿入部124は、窪み部56に挿入(圧入)されていることで、下面56A及び上面56Cに対して弾性力Fを作用させている。挿入部124が円筒状であることで、上部124Aと下部124Bとの間に空間が形成されているので、上部124A及び下部124Bの弾性変形のストロークが確保されている。また、挿入部124は、下面56A及び上面56Cに対してX軸方向及びY軸方向に摺動可能となっている。このように、挿入部を1つの部位としてまとめて形成し、窪み部56の+Z側及び-Z側に弾性力Fを付与してもよい。
【0136】
<変形例5>
図19には、駆動装置の変形例5として、駆動ユニット130の一部が表されている。駆動ユニット130は、駆動ユニット30(図5)において、ナット部材72の挿入部76(図5)が挿入部132に置き換えられている。また、スライド部材42の下面56A及び上面56Cを含む部位には、一部が窪み部56に露出されるように、弾性部134が埋め込まれている。
【0137】
挿入部132は、Y軸方向を軸方向とする円柱状に形成されている。換言すると、挿入部132は、中実の部位とされており、弾性変形され難い部位となっている。
弾性部134は、一例として、上下一組(2つ)の弾性部材136で構成されている。2つの弾性部材136は、挿入部132に対して-Z側と+Z側とに対称配置されている。
【0138】
弾性部材136は、一例として、Y軸方向から見た場合に中空の角筒状に形成されている。また、弾性部材136は、一例として、Y軸方向から見た場合の外形が台形状に形成されており、下底部136Aと、上底部136Bと、2つの斜辺部136Cとを有する。2つの上底部136B及び4つの斜辺部136Cは、スライド部材42に接着により固定されている。
【0139】
2つの下底部136Aは、Z軸方向に間隔をあけて配置されており、挿入部132の外周面とZ軸方向に接触している。また、2つの下底部136Aは、弾性部材136が中空のため、Z軸方向に弾性変形可能となっている。このように、弾性部材136をスライド部材42の窪み部56に形成した構成においても、弾性部材136が弾性変形することで、スライド部材42とナット部材72との接触状態を維持したまま、スライド部材42に対するナット部材72の摺動が許容されるので、スライド部材42の揺動及び可動部材と従動部材との接触音を抑制することができる。
【0140】
<他の変形例>
駆動ユニット30において、弾性部は、窪み部56及び挿入部76の両方に形成されていてもよい。
第1接触部79及び第2接触部84は、半球状の曲面部に限らず、半球状以外の曲面部であってもよく、また、平面及び角部を有するように形成されてもよい。また、第1接触部79と第2接触部84は、ナット本体部74からそれぞれY軸方向に延びるものに限らず、ナット本体部74の外周部から外側へ延びる1つの部位の先端部が、二股に分かれたものであってもよい。ナット部材72には、張出部86が形成されていなくてもよい。
【0141】
第1挿入部77及び第2挿入部82について、仮想線Kに対してガイド軸38側とは反対側に配置されるのは、第2挿入部82のみに限らず、第1挿入部77及び第2挿入部82であってもよい。第1挿入部77と第2挿入部82が入れ替わっている構成では、第1挿入部77のみが仮想線Kに対してガイド軸38側とは反対側に配置されてもよい。また、第1挿入部77及び第2挿入部82には、第1突出部81及び第2突出部85が形成されていなくてもよい。
挿入部76は、X軸方向に複数形成されていてもよい。
【0142】
実施形態2のヘッドアップディスプレイ装置20において、X軸方向から見た場合に、第2中心点B又は第3中心点Cが、鉛直方向に沿った仮想線G上からY軸方向にずれて位置していてもよい。また、変形例3のように、第2中心点Bが第3中心点Cよりも上側に位置してもよい。
【0143】
保持部63及び保持部64は、X軸方向に間隔をあけて配置され、スライド部材42がX軸方向に移動した場合に被保持部26Cと接触するように構成してもよい。
脚部46は、底板部32Bと接触するものに限らず、底板部32BとZ軸方向に間隔をあけて配置されていてもよい。また、スライド部材42に脚部46が形成されていないものであってもよい。
各弾性部は、ゴム製、樹脂製、金属製のいずれであってもよい。
【0144】
駆動ユニット140において、アーム部175は1つであってもよい。アーム部175のスライド部材141との接触部が平面部であってもよい。下傾斜面146B及び上傾斜面145Bに代えてX-Y面に沿った平面が形成されてもよい。アーム部175において、第1突出部178及び第2突出部186の一方が形成されていなくてもよい。また、第1突出部178及び第2突出部186の両方が形成されていなくてもよい。ナット部材172及びナット部材173において、ゲートが除去される部位がスライド部材141と対向しない位置に形成される場合は、凹部194が形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0145】
10…車両、12…インストルメントパネル、14…フロントガラス、
20…ヘッドアップディスプレイ装置、21…筐体、21A…透過部、22…光出射部、
22A…光源、22B…液晶表示素子、23…第1反射ミラー、24…第2反射ミラー、
25…ミラー本体、26…ミラーホルダー、26A…本体部、26B…軸部、
26C…被保持部、28…軸ホルダー、29…トーションスプリング、
30…駆動ユニット、32…本体フレーム、32A…縦板部、32B…底板部、
32C…前壁部、32D…後壁部、33A…貫通孔、33B…貫通孔、
34…リードスクリュー、36…モータ、38…ガイド軸、39…コイルバネ、
42…スライド部材、44…基部、45…底壁、46…脚部、48…被案内部、
48A…貫通孔、52…開放部、53…奥壁、54…縦壁、54A…側面、55…縦壁、
55A…側面、56…窪み部、56A…下面、56B…側面、56C…上面、
58…直立部、61…第1直立部、62…第2直立部、63…保持部、64…保持部、
72…ナット部材、74…ナット本体部、74A…ネジ孔、74B…平面部、
74C…側面、74D…側面、76…挿入部、77…第1挿入部、78…第1アーム部、
78A…下面、78B…対向面、79…第1接触部、81…第1突出部、
82…第2挿入部、83…第2アーム部、83A…上面、83B…対向面、
84…第2接触部、85…第2突出部、86…張出部、90…駆動ユニット、
92…スライド部材、94…ナット部材、100…駆動ユニット、
102…スライド部材、110…駆動ユニット、112…スライド部材、
120…駆動ユニット、122…スライド部材、124…挿入部、124A…上部、
124B…下部、130…駆動ユニット、132…挿入部、134…弾性部、
136…弾性部材、136A…下底部、136B…上底部、136C…斜辺部、
140…駆動ユニット、141…スライド部材、142…基部、143…被案内部、
144…開放部、144A…第1開放部、144B…第2開放部、144C…開口部、
145A…上面、145B…上傾斜面、146A…下面、146B…下傾斜面、
147…底壁、148…脚部、149…貫通孔、151…側壁、152…切欠部、
153…貫通孔、154…区画壁、155…切欠部、156…縦壁、157…取付壁、
158…制限部、162…直立部、163…半球部、166…板バネ、
166A…被挟持部、166B…湾曲部、166C…変位部、172…ナット部材、
173…ナット部材、174…ナット本体部、174A…側面、175…アーム部、
176…第1アーム部、176A…厚肉部、176B…薄肉部、176C…下面、
176D…対向面、177…コイルバネ、178…第1突出部、178A…端面、
179…ネジ孔、179A…雌ネジ部、182…第1接触部、182A…曲面、
184…第2アーム部、184A…厚肉部、184B…薄肉部、184C…上面、
184D…対向面、186…第2突出部、186A…端面、188…第2接触部、
188A…曲面、192…筒部、194…凹部、194A…側面、195A…凸部、
195B…凸部、196…張出部、196A…端面、197…残部、A…第1中心点、
B…第2中心点、C…第3中心点、CA…中心点、F1…第1回転力、
F2…第2回転力、G…仮想線、H…仮想線、K…仮想線、r1…第1距離、
r2…第2距離、Q…仮想線、V…虚像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図16
図17
図18
図19
図20
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