(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20241028BHJP
H05B 45/345 20200101ALI20241028BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20241028BHJP
【FI】
H02M3/00 C
H05B45/345
G01M99/00 Z
(21)【出願番号】P 2020165574
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和夫
(72)【発明者】
【氏名】泉 貴之
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-166059(JP,A)
【文献】特開2004-280549(JP,A)
【文献】特開平07-013983(JP,A)
【文献】特開2013-206852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H05B 45/345
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源回路における監視対象の波形を監視する監視部と、
前記監視部による監視結果を外部へ送信する通信部と、を備え、
前記監視部は、前記監視対象の波形に基づいて前記電源回路の異常を検出した場合は、前記通信部に異常検出を示す情報を送信させ
、
前記監視部は、正常時または異常時における前記監視対象の波形を学習した学習モデルにより前記異常を検出し、
前記学習モデルは、複数の前記監視対象について所定期間サンプリングした測定結果を2次元配列にして画像化したものを学習させて生成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記監視部は、連続する複数の波形に基づいて前記異常を検出することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記監視部は、前記監視対象の波形に基づいて部品の劣化による故障の兆候を検出することを特徴とする請求項1
または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記監視部は、設置より所定時間経過後から前記監視対象の波形を監視することを特徴とする請求項1から
3のうちいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
光源と、前記光源の発光のための電流を供給するする前記電源回路と、を備え、
前記監視部は、前記電源回路における前記監視対象の波形を監視する、
ことを特徴とする請求項1から
4のうちいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記監視対象の波形は、前記光源に供給する出力電流波形を含むことを特徴とする請求項
5に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置等の電源回路を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器として、例えば道路トンネル等に設置された照明装置の故障等の不具合は、点灯が不調となって初めて判明するため、事前に把握することが困難であった。故障が判明してから交換作業を行なうと、作業のための交通規制に伴う費用が突発的に発生し、費用捻出の手続きに手間がかかり、迅速な対応ができない。
【0003】
照明装置の状態把握を事前に行なうためには、現状では定期的なパトロールにより行われており、非常に労力がかかる。そのため、不点状態で放置され安全性が損なわれている状況が発生することがあった。
【0004】
照明装置の故障の検出方法としては、特許文献1に、センサによって検知される入力電力、入力電流、出力電力又は出力電流が所定範囲を超える場合に、故障検出部が故障検出値を生成することが記載されている。また、特許文献1には、累積点灯時間が所定時間を超えた場合に故障検出値を生成するようにしてもよいことも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の発明の場合、故障検出部は所定範囲や累積点灯時間により故障の推定をしている。つまり、特許文献1では既に故障しているか否かの推定を行っているのであり、故障してからでは上記のように迅速な対応ができない。また、所定範囲といった上限値や下限値等による閾値判定の場合、一過性のノイズ等による誤判定のおそれがある。さらに、累積点灯時間の場合は故障といった不具合の有無を直接判定するものではない。
【0007】
そこで、本発明は、誤判定を少なくして精度良く故障の兆候等の異常状態を検出することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載された発明は、電源回路における監視対象の波形を監視する監視部と、前記監視部による監視結果を外部へ送信する通信部と、を備え、前記監視部は、前記監視対象の波形に基づいて前記電源回路の異常を検出した場合は、前記通信部に異常検出を示す情報を送信させる、ことを特徴とする電子機器である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、監視部が監視対象の波形の異常を検出した場合は、通信部に異常検出を示す情報を送信させるので、単に上限値等を設定するよりも誤判定を少なくして精度良く故障の兆候等の異常状態を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる照明装置の機能構成図である。
【
図2】
図1に示された定電流制御部の出力電圧値と運転時間との関係を示したグラフである。
【
図5】学習時及び推論時に必要とする監視項目の例である。
【
図6】取得した測定データの2次元配列化についての説明図である。
【
図7】
図6の2次元配列の画像化についての説明図である。
【
図8】ディープラーニングにおける学習についての説明図である。
【
図9】ディープラーニングにおける推論についての説明図である。
【
図10】
図1に示された電流監視部における異常検出動作のフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~
図10を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる電子機器としての照明装置の機能構成図である。
【0012】
照明装置1は、通信部2と、定電流制御部3と、出力監視部4と、電流監視部5と、LED光源6と、を備えている。そして、照明装置1は、例えば道路トンネル内の照明(トンネル照明)として設置されている。
【0013】
なお、本実施形態では、道路トンネルの照明として説明するが、街路灯等の他の道路照明でもよい。あるいは、道路以外の照明でもよく、要するに通信機能を内蔵し自身を制御可能な上位装置と通信する照明装置であればよい。
【0014】
通信部2は、例えば調光装置等の上位装置と通信回線を介して接続されている。通信部2は、上位装置からのLED光源6の調光情報(光源の輝度に関する情報)等を受信するとともに、後述する電流監視部5の監視結果(異常情報)を上位装置に送信する。また、通信部2には、予めID等の識別情報が付与されており、上位装置との通信において他の照明装置1と識別できるようになっている。なお、上位装置と接続される通信回線は電力線通信や無線通信等特に方式は問わない。
【0015】
定電流制御部3は、LED光源6を定電流制御するための整流回路や定電流駆動回路等の回路により構成されている。LED光源6を構成する発光ダイオードは一般的に定電流駆動することが知られている。定電流制御部3は、道路トンネルの外部に設置された受電設備等から交流電力の供給を受け(AC入力)、その交流電力を直流に変換しLED光源6の発光ダイオードを定電流駆動するための電流(出力電流)を生成・出力する。即ち、定電流制御部3は、LED光源6の発光のための電流を供給する電源回路として機能する。
【0016】
出力監視部4は、定電流制御部3の出力回路に付加されたセンシング回路である。このセンシング回路は通常抵抗素子で構成されるのが一般的である。出力監視部4の監視結果は、電流監視部5に出力される。
【0017】
電流監視部5は、定電流制御部3を通信部2が受信した調光情報に基づいた電流値となるように制御する。また、電流監視部5は、出力監視部4の検出結果に基づいて定電流制御部3の動作をフィードバック制御する。これにより、定電流制御部3の出力電流値を調光度に応じた電流値により適切にLED光源6の輝度を調光することができる。
【0018】
また、電流監視部5は、定電流制御部3の出力電流波形等を監視し、異常な波形等である場合は異常情報を通信部2に出力する。本実施形態における異常とは、故障に至った状態ではなく、故障には至らないものの故障に至る兆候を示す状態をいう。即ち、電流監視部5は、定電流制御部3(電源回路)における出力電流波形等(監視対象の波形)を監視する監視部として機能し、出力電流波形等(監視対象の波形)に基づいて定電流制御部3(電源回路)の異常を検出した場合は、通信部2に異常情報(異常検出を示す情報)を送信させている。
【0019】
LED光源6は、上述したように光源として発光ダイオードを用いている。LED光源6は、定電流制御部3から供給された駆動電流(出力電流)により駆動(発光)される。
【0020】
ここで、本実施形態における電流波形の異常検出について説明する。
図2は、定電流制御部3の出力電圧値と運転時間との関係を示したグラフである。
図2に示したように、定電流制御部3の出力電圧値は、定電流制御部3を構成する回路部品等の劣化によって徐々に低下することが知られている。
【0021】
図2において、Vthを下回ると照明装置1として機能停止する状態(故障状態)とする。従来はVth以下となったことを検出して故障状態の検知をしていたが、道路トンネル照明等の道路照明は、故障してから交換するのでは作業のための交通規制に伴う費用が突発的に発生し、費用捻出の手続きに手間がかかり、迅速な対応ができない。
【0022】
そこで、本実施形態は、故障に至る前に故障の兆候を捉えて事前に通知する。例えば、
図2のt1では出力電圧が正常な状態であったとし、t1より時間が経過したt2では出力電圧がVthに近づいている。t2は、まだ正常に動作しているがt1よりも劣化が進行しており、故障する時期に近づいているので、t2の状態、つまりVthになる前に故障の兆候を捉えられれば、故障状態前に交換等の作業の手配等の対応が可能となる。
【0023】
故障の兆候は、定電流制御部3からの出力電流の波形等(出力電流波形)に基づいて検出する。
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は初期状態(正常状態)における出力電流波形の例である。
図3に示したように、正常状態では振幅や周波数等は略一定の波形となっている。一方、異常状態では、
図4に示したように、振幅や周波数等が急変し波形が乱れる。このような現象は、例えば定電流制御部3を構成する電解コンデンサの劣化が進行することによりリップルが増加することによって引き起こされる場合がある。また、電解コンデンサ以外の部品の故障により引き起こされる場合も多くある。即ち、出力電流波形等(監視対象の波形)に基づいて定電流制御部3(電源回路)を構成する部品の劣化による異常を検出している。
【0024】
そこで、本実施形態では、正常時における監視対象の波形を学習させて生成した学習モデルに基づいて異常状態を検出(推論)する。以下にその方法を説明する。まず、
図5に示したように、監視項目についてデータを取得する。
図5では、例として、出力電流、出力電圧、PFC(力率改善回路)電圧、補助巻線電圧、マイコン用電源電圧、スイッチング波形、トランス温度、FET温度等の定電流制御部3内の各項目が挙げられている。勿論これらの項目(波形)全てが必須ではなく、また、他の項目が含まれていてもよい。但し、後述するように2次元配列とするため、項目は複数必要である。なお、
図5では比較のために正常時と異常時の波形を掲載しているが、学習時にデータとして収集するのは正常時のみでよい。
【0025】
図5のようにして収集したデータについては、サンプリングの開始タイミングにより、波形が異なるため、時間情報を削除する必要がある。そこで、
図6に示したように、上記各項目を時系列に2次元配列で表す。
図6の配列において、縦方向は
図5の項目a~hであり、横方向は時系列である。
図6では(0)~(n-1)のn個の連続するサンプリング時間について各項目の波形等を収集している。
【0026】
次に、時間情報を削除し、振幅情報や周波数情報等を残すため、FFT(高速フーリエ変換)を行う。FFTを行った結果を
図7に示す。
図7では、
図6のa(0)に対してFFTを行った結果をA(0)として表している。
【0027】
そして、
図7のようにして生成された2次元配列を画像データとして扱って、ディープラーニングにより学習させる。ディープラーニングによる学習について
図8を参照して説明する。
図8では、入力データ(画像データ)はニューラルネットワーク50に入力される。ニューラルネットワーク50は、カスケード接続された層51と、各層51が持つ重みパラメータ52と、を有する。
【0028】
層51は、入力データから特徴を抽出するためのフィルタであり、一般的に2次元畳み込み層や全結合層が使用される。そして、層51は重みパラメータ52を持ち、2次元畳み込み層や全結合層の場合は、入力されたデータとで畳み込み演算が行われる。層51では、入力データと層51が持つ重みパラメータ52とで畳み込み演算を行う。その演算結果が次の層51の入力となり、次の層51が持つ重みパラメータ52と畳み込み演算を行う。層51の数だけ同じ処理を繰り返し、最後の層51の出力を確率に変換して予測値53を得る。
【0029】
ニューラルネットワーク50からは予測値53が出力される。この予測値53は、損失関数55により真値54からどのくらい離れているか計算が行われる。損失関数55の出力として誤差56が得られる。そしてオプティマイザ57により、誤差56に基づいて学習の進め方を決定する。一般的には、逆誤差伝播法というアルゴリズムが実装され、誤差に基づいて重みパラメータ52をどのように調整するかを決定し、重みパラメータ52が更新される。
【0030】
このような学習を繰り返して、誤差56が小さくなるように重みパラメータ52を調整することで学習モデルが生成される。なお、この学習動作は図示しないコンピュータ等で行う。即ち、学習モデルは、複数の監視対象について所定期間サンプリングした測定結果を2次元配列にして画像化したものを学習させて生成されている。
【0031】
そして、生成された学習モデルは電流監視部5に格納される。電流監視部5に格納されるのは、
図9に示したように、ニューラルネットワーク50にかかる部分である。つまり、
図9のニューラルネットワーク50にかかる部分が学習モデルとなる。そして、推論時には測定データ(画像データ)を入力すると予測値53が出力される。本実施例では、予測値53として、正常状態のデータと測定データとの一致性を確率として出力する。例えば、一致性が0%は故障、30%が壊れそう、70%が劣化あり、100%が正常などと判定することができる。つまり、本実施形態では、30%や70%の状態で故障の兆候を捉えることができる。そのため、電源を交換するタイミングを知らせることができる。また、2次元配列にすることで各データの相関を取得できる為、故障等の異常状態の判定の精度が向上する。
【0032】
なお、上述した説明では、正常時の測定データを学習させていたが、異常(故障時)の測定データを学習させてもよい。この場合は、上記した確率が0%は正常、100%が故障となる。また、異常時の測定データは故障時に限らずターゲットとする劣化状態の波形であってもよい。
【0033】
また、本実施形態では、学習以外の方法として、予め劣化特性を記憶しておき、実際の出力電流波形等と比較することで異常状態を検出してもよい。なお、記憶する劣化特性は故障に至る前の特性(例えば
図2のt2時点の状態)である。劣化特性としては、劣化時の波形の振幅や周波数特性の特徴量、あるいは波形そのもの等が挙げられる。この方法の場合は監視対象とする波形(項目)は1つ以上であればよい。複数項目の場合は監視対象とする波形のうちいずれかが異常と判定された場合は上位装置に出力してもよい。
【0034】
また、電流監視部5では、異常情報に機能停止となるまでのおおよその残時間に関する情報を含めてもよい。残時間に求め方としては、例えば、故障するまで実機を測定し、その間の出力波形の特長(変化の状態等)を取得する。そして、取得した特徴を電流監視部5に設定する。そして、設定された特徴と現在の出力電流波形の特徴とを比較し、一致あるいは類似しているか否かで残時間を予測すればよい。例えば100時間毎に故障するまで出力波形の特徴を記憶し、現在の波形の特徴と記憶した波形の特徴とを比較して、最も近い波形に対応する時間と故障した時間との差分から残時間を求めるなどとすることができる。
【0035】
また、上記した異常の検出の際に用いる1サンプル当たりの波形は1周期ではなく、複数周期(連続する複数の波形)に基づいて検出するのが好ましい。このようにすることにより、1周期では特徴の抽出が困難な異常についても検出が可能となる。
【0036】
また、電子部品の劣化は時間の経過とともに進行するため、照明装置1の設置時には上述した異常が発生する可能性が低いと判断し、照明装置1の設置から所定時間が経過してから電流監視部5による異常の判定を行ってもよい。異常の判定を開始する時期としては想定される寿命の半分程度の時間等適宜定めればよい。例えば想定寿命が4万時間の場合は設置から2万時間経過後から異常の判定を開始するなどとする。また、異常の判定の開始時期は内部タイマ等で計時して検出してもよいが、上位装置から通信により異常の判定の開始を示す情報を受信することで行うようにしてもよい。
【0037】
また、異常の判定について、上位装置からの指示があった際にのみ行うようにしてもよい。上位装置からの指示により判定を行うことで電流監視部5が常時異常検出する必要がなくなり、また、異常検出タイミングも自身で検出不要となるので処理負荷を軽減することができる。
【0038】
また、上記した説明では、主に電解コンデンサ等の電子部品の経年劣化による故障の兆候を示す異常について説明したが、例えば断続的に発生するノイズによる異常についても同様の方法で検出して上位装置に異常情報を送信してもよい。この場合、照明装置1の設置から所定時間が経過してから電流監視部5による異常の判定を行う動作は機能させないほうが好ましい。
【0039】
上述した電流監視部5における異常検出動作について
図10のフローチャートを参照して説明する。まず、異常検出を開始するか判定する(ステップS1)。ステップS1では、上述したように、内部タイマや上位装置からの指示により異常検出動作を行うトリガが発せられているか判定する。トリガが発せられていない場合は(ステップS1;No)、ステップS1を繰り返す。なお、ステップS1は、照明装置1の設置から所定時間が経過してから電流監視部5による異常の判定を行う動作を機能させない場合は省略することができる。
【0040】
一方、トリガが発せられている場合は(ステップS1;Yes)、定電流制御部3から出力電流波形等の測定データを取得する(ステップS2)。この測定データは学習時と同じサンプリング数(nの数が同じ)である必要がある。そして、取得した測定データについて、異常が検出されたか判定する(ステップS3)。異常が検出されない場合は(ステップS3;No)、ステップS2に戻って再度測定データを取得する。
【0041】
一方、異常が検出された場合は(ステップS3;Yes)、異常情報を通信部2に出力する(ステップS4)。この異常情報には、自身のIDと、異常を検出した旨の情報(上述した確率等)、検出した日時等が含まれる。また、上記した機能停止となるまでのおおよその残時間に関する情報を含めてもよい。
【0042】
なお、異常情報については、上記した故障の兆候を示す情報に限らず、故障している状態を示す情報を含めてもよい。例えば、故障の兆候を示す情報の送信後、故障発生を検知した場合は、故障している状態を示す情報を含めて送信する。故障している状態は、上述した確率が0%であることに限らず、周知の従来の方法で判定してもよい。
【0043】
本実施形態によれば、照明装置1は、LED光源6と、LED光源6に対して駆動電流を供給する定電流制御部3と、定電流制御部3における出力電流波形等を監視する電流監視部5と、電流監視部5により異常が検出されたことを示す異常情報を外部の上位装置へ送信する通信部2と、を備えている。そして、電流監視部5は、出力電流波形等の異常を検出した場合は、通信部2に異常情報を示す情報を送信させている。このようにすることにより、電流監視部5が出力電流波形等の異常を検出した場合は、通信部2に異常情報を送信させるので、単に上限値等を設定した値による判定ではなく波形による判定となり、誤判定を少なくして精度良く故障の兆候等の異常状態を検出することができる。
【0044】
また、監視部は、出力電流波形等に基づいて定電流制御部3を構成する部品の劣化による故障の兆候を検出するので、経年劣化による故障の兆候を捉えて、機能停止前に対処することが可能となる。
【0045】
また、監視対象の波形を定電流制御部3の出力電流波形を含むことで、LED光源6を駆動する際の異常を容易に検出することができる。
【0046】
また、電流監視部5は、連続する複数の波形に基づいて異常を検出するので、周波数特性の異常等の波形の特性により異常を検出することが可能となり、特定時刻における値(瞬時値)により異常を検出するよりも精度良く検出することができる。
【0047】
また、電流監視部5は、正常時における監視対象の波形を学習した学習モデルにより前記異常を検出するので、より精度良く異常を検出することができる。また、学習モデルは、複数の監視対象項目について所定期間サンプリングした測定結果を2次元配列にして画像化したものを学習させて生成されているので、2次元配列にすることで各データの相関を取得できるため、異常状態の判定の精度を向上させることができる。
【0048】
また、電流監視部5は、設置より所定時間経過後から前記監視を行ってもよい。このようにすることにより、経年劣化を検出する際に、劣化が進行した時点から監視をすることができる。したがって、電流監視部5における処理負荷を軽減することができる。
【0049】
また、LED光源6は輝度の調光が可能であり、通信部2はLED光源6の輝度に関する情報を受信している。このようにすることにより、複数照明装置1が設置される道路トンネル照明等において、個別の調光が可能となる。したがって、照明装置1の設置位置に応じて適切な輝度により照明することが可能となる。
【0050】
また、上述した実施形態では、電子機器として照明装置を説明したがそれに限らない。例えば、コンピュータ端末や家電機器、車載機器といった電源回路を備え上位装置となる機器へ通信する手段を備える電子機器であれば適用可能である。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の電子機器の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 照明装置(電子機器)
2 通信部
3 定電流制御部(電源回路)
5 電流監視部(監視部)
6 LED光源
50 ニューラルネットワーク(学習モデル)