(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/191 20060101AFI20241028BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20241028BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
H04N1/191
G06T1/00 430C
G03G21/00 510
(21)【出願番号】P 2020204119
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】今野 裕信
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-074072(JP,U)
【文献】特開2016-072803(JP,A)
【文献】特開2003-086298(JP,A)
【文献】特開2017-098717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/191
G06T 1/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿ってシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送路に対して第1側に設けられ、前記シートの第1面を読み取る第1読取手段と、
前記搬送路に対して前記第1側と反対の第2側に設けられ、前記シートの前記第1面と異なる第2面を読み取る第2読取手段と、
第1白色部材と、前記第1白色部材よりも反射率が低い第1黒色部材と、第2白色部材と、前記第2白色部材よりも反射率が低い第2黒色部材と、を含む読取対象部材と、
前記第1読取手段に第1のケーブルを介して接続された第1のインターフェース、及び、前記第2読取手段に第2のケーブルを介して接続された第2のインターフェースを有し、前記第1読取手段および前記第2読取手段から読取データを取得する取得手段と、
前記第1読取手段を前記第1白色部材と対向させ、かつ、前記第2読取手段を前記第2黒色部材と対向させた第1状態と、前記第1読取手段を前記第1黒色部材と対向させ、かつ、前記第2読取手段を前記第2白色部材と対向させた第2状態とになるように、前記第1読取手段及び前記第2読取手段と、前記読取対象部材とを相対的に移動させる移動手段と、を有し、
前記移動手段は、前記第1読取手段が前記第1白色部材を読み取る第1の位置と前記第1読取手段が前記第1黒色部材を読み取る第2の位置とに前記第1読取手段を移動し、前記第2読取手段が前記第2白色部材を読み取る第3の位置と前記第2読取手段が前記第2黒色部材を読み取る第4の位置とに前記第2読取手段を移動する、
ことを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記第1状態において、前記取得手段は前記第1のインターフェースから前記読取データを取得し、
前記第2状態において、前記取得手段は前記第2のインターフェースから前記読取データを取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記第1状態で取得された前記読取データ、及び、前記第2状態で取得された前記読取データに基づいて、前記第1のインターフェースと前記第1読取手段との接続が正しいものか否かを判定する判定手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記第1状態で取得された前記読取データの輝度値が閾値より低く、かつ、前記第2状態で取得された前記読取データの輝度値が閾値より低い場合に、前記第1のインターフェースと前記第1読取手段との接続が誤っていると判断する、ことを特徴とする請求項3に記載の読取装置。
【請求項5】
前記第1黒色部材は前記第1読取手段が前記シートの前記第1面を読み取る場合に前記シートの前記第2面側に位置するバッキング部材であり、
前記第2黒色部材は前記第2読取手段が前記シートの前記第2面を読み取る場合に前記シートの前記第1面側に位置するバッキング部材であることを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項6】
前記シートに画像を形成する画像形成部と、
請求項1に記載の読取装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
搬送路に沿ってシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送路に対して第1側に設けられ、前記シートの第1面を読み取る第1読取手段と、
前記搬送路に対して前記第1側と反対の第2側に設けられ、前記シートの前記第1面と異なる第2面を読み取る第2読取手段と、
第1白色部材と、前記第1白色部材よりも反射率が低い第1黒色部材と、第2白色部材と、前記第2白色部材よりも反射率が低い第2黒色部材と、を含む読取対象部材と、
前記第1読取手段に第1のケーブルを介して接続された第1のインターフェース、及び、前記第2読取手段に第2のケーブルを介して接続された第2のインターフェースを有し、前記第1読取手段および前記第2読取手段から読取データを取得する取得手段と、
前記第1読取手段を前記第1白色部材と対向させ、かつ、前記第2読取手段を前記第2黒色部材と対向させた第1状態と、前記第1読取手段を前記第1黒色部材と対向させ、かつ、前記第2読取手段を前記第2白色部材と対向させた第2状態とになるように、前記第1読取手段及び前記第2読取手段と、前記読取対象部材とを相対的に移動させる移動手段と、を有し、
前記第1白色部材は、前記搬送路に対して前記第1側に設けられ、
前記第2白色部材は、前記搬送路に対して前記第2側に設けられ、
前記移動手段は、前記第1読取手段が前記第1白色部材を読み取る読取位置へ前記第1読取手段を移動し、前記第2読取手段が前記第2白色部材を読み取る読取位置へ前記第2読取手段を移動することを特徴とする読取装置。
【請求項8】
前記第1状態において、前記取得手段は前記第1のインターフェースから前記読み取りデータを取得し、
前記第2状態において、前記取得手段は前記第2のインターフェースから前記読取データを取得する、ことを特徴とする請求項7に記載の読取装置。
【請求項9】
前記第1状態で取得された前記読取データ、及び、前記第2状態で取得された前記読取データに基づいて、前記第1のインターフェースと前記第1読取手段との接続が正しいものか否かを判定する判定手段をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の読取装置。
【請求項10】
前記判定手段は、前記第1状態で取得された前記読取データの輝度値が閾値より低く、かつ、前記第2状態で取得された前記読取データの輝度値が閾値より低い場合に、前記第1のインターフェースと前記第1読取手段との接続が誤っていると判断する、ことを特徴とする請求項9に記載の読取装置。
【請求項11】
前記第1黒色部材は前記第1読取手段が前記シートの前記第1面を読み取る場合に前記シートの前記第2面側に位置するバッキング部材であり、
前記第2黒色部材は前記第2読取手段が前記シートの前記第2面を読み取る場合に前記シートの前記第1面側に位置するバッキング部材であることを特徴とする請求項7に記載の読取装置。
【請求項12】
前記シートに画像を形成する画像形成部と、
請求項7に記載の読取装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の読取手段と複数のインターフェースとを接続する複数のケーブルが誤接続されていることを判定するシーケンスに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送路を搬送されるシート上の画像を搬送路に設けられた読取手段によって読み取る読取装置が知られている(特許文献1参照)。前述の読取装置は、前記シートのオモテ面(第1面)を読み取る第1読取手段と、前記シートのウラ面(第2面)を読み取る第2読取手段とを有し、前記シートの両面の画像を読み取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の読取手段を有する読取装置は、読取手段の各々がケーブルによって制御基板のインターフェースに接続されており、一方のケーブルを介してオモテ面の読取データが取得され、他方のケーブルを介してウラ面の読取データが取得される。2本のケーブルと2つのインターフェースとが逆に接続された場合、オモテ面の読取データとしてウラ面の読取データが取得され、ウラ面の読取データとしてオモテ面の読取データが取得されてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は複数の読取手段に接続されたケーブルの誤接続を検知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に記載の読取装置は、搬送路に沿ってシートを搬送する搬送手段と、前記搬送路に対して第1側に設けられ、前記シートの第1面を読み取る第1読取手段と、前記搬送路に対して前記第1側と反対の第2側に設けられ、前記シートの前記第1面と異なる第2面を読み取る第2読取手段と、第1白色部材と、前記第1白色部材よりも反射率が低い第1黒色部材と、第2白色部材と、前記第2白色部材よりも反射率が低い第2黒色部材と、を含む読取対象部材と、前記第1読取手段に第1のケーブルを介して接続された第1のインターフェース、及び、前記第2読取手段に第2のケーブルを介して接続された第2のインターフェースを有し、前記第1読取手段および前記第2読取手段から読取データを取得する取得手段と、前記第1読取手段を前記第1白色部材と対向させ、かつ、前記第2読取手段を前記第2黒色部材と対向させた第1状態と、前記第1読取手段を前記第1黒色部材と対向させ、かつ、前記第2読取手段を前記第2白色部材と対向させた第2状態とになるように、前記第1読取手段及び前記第2読取手段と、前記読取対象部材とを相対的に移動させる移動手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば複数の読取手段に接続されたケーブルの誤接続を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】制御部と画像読取部とがケーブルで接続された様子を示す模式図
【
図6】画像読取装置の制御シーケンスのフローチャート図
【
図7】画像読取部のシェーディングのフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(装置構成)
図1は、画像形成システムの概略断面図である。
【0010】
画像形成システムは、シートに画像を形成する画像形成装置100と、画像が形成されたシートを冷却する冷却装置200と、シート上の画像を読み取る画像読取装置300と、シートに後処理(ソート、ステイプル等)を実施するフィニッシャ400とを備える。
【0011】
画像形成装置100は、原稿から読み取ったデータもしくはPCなどから受信した画像データに基づいて、給紙部110から供給されるシートに画像を形成する。画像形成装置100は、原稿の読取結果に基づき生成される画像データもしくはPCなどから転送された画像データに基づいて感光ドラムを露光する。これにより、感光ドラムの表面に静電潜像が形成される。画像形成装置100は、感光ドラム上の静電潜像をトナーを用いて現像してトナー像を形成する。画像形成装置100は、このトナー像を中間転写体に転写(一次転写)した後、中間転写体上のトナー像を給紙部110から供給されたシートに転写(二次転写)する。画像形成装置100は、トナー像が転写されたシートを定着器へと搬送し、定着器の熱と圧力とによりトナー像をシートに定着させて印刷物を作成する。定着器から排紙された印刷物は、ファン120によって冷却された後冷却装置200へと搬送される。
【0012】
冷却装置200は、画像形成装置100から搬送されたシートを冷却し、画像読取装置300へ搬送する。
【0013】
画像読取装置300は、搬送路に沿って搬送されるシートのオモテ面(第1面)の画像を読み取る画像読取部303a、搬送路に沿って搬送されるシートのウラ面(第2面)の画像を読み取る画像読取部303bを備える。以下では画像読取部303a、及び303bを区別しない場合に画像読取部303と称す。
【0014】
画像読取部303は、例えば、画像形成装置100から供給されたシート上の画像の濃度を検出するために用いられる。また、画像読取部303は、例えば、画像形成装置100から供給されたシート上の画像を読み取ることで、画像形成装置100によりシートに形成される画像の幾何特性を調整するために用いられる。或いは、画像読取部303は、例えば、画像形成装置100から供給されたシート上の画像を読み取り、読取画像と予め記憶させた見本画像とを比較し、画像に異常が生じているか否かを検査するために用いられる。
【0015】
画像読取装置300は、さらに、シートに形成されたチャートを読み取る画像読取部302を備える。画像読取部302は、例えば、カラープロファイルを作成するために用いられる。また、画像読取部302は、例えば、ベリフィケーションを実施するために用いられる。
【0016】
画像読取装置300は搬送路に搬送されるシートの搬送先を切り替えるフラッパ310を備える。画像読取部302によりシート上の画像を読み取る場合に、画像読取部302の設けられた搬送路にシートが搬送されるようにフラッパ310が制御される。画像読取部302により画像が読み取られたシートはトレイ301へ排出される。また、検査結果が異常であるシートもトレイ310へ排出される。
【0017】
画像読取装置300の後段にはシートに後処理(ソート、ステイプル等)を実施するフィニッシャ400が接続される。フィニッシャ400はトレイ410を備える。画像形成装置100から搬送されたシートはフィニッシャ400のトレイ410へ排出される。また、検査結果が異常でないシートもトレイ410へ排出される。
【0018】
(制御部におけるブロック)
図2は、画像形成システムの制御ブロックである。
【0019】
画像形成装置100のプリンタ制御部150にはCPU151、ROM152、RAM153、ASIC154が含まれている。CPU151はROM152に格納された制御プログラムに基づいて命令を実行する。ASIC154は画像形成部や給紙搬送部などの各負荷に接続されていて、CPU151からの命令によって制御を実行する。操作部172はソフトキーが表示可能な液晶ディスプレイを有する。コントローラ制御部170は操作部172の液晶ディスプレイの表示をCPU151の命令に従って制御する。CPU151はコントローラ制御部170のCPU171と通信を行い、操作部172から入力されたユーザ指示情報に基づいてプリンタの制御を実行する。
【0020】
CPU151は画像形成装置100に接続された冷却装置200、画像読取装置300、フィニッシャ400と通信するために通信IF部161を有する。CPU151は通信IF部161を介して電源リモート信号を送信することで冷却装置200、画像読取装置300、フィニッシャ400の電源をON又はOFFに制御することができる。
【0021】
冷却装置制御部250にはCPU251、ROM252、RAM253、ASIC254が含まれている。CPU251はROM252に格納された制御プログラムに基づいて命令を実行する。ASIC254は各負荷に接続されて、CPU251からの命令によって各負荷を制御する。また、CPU251は通信IF部261によって画像形成装置100、画像読取装置300、フィニッシャ400との通信を行う。
【0022】
画像読取装置制御部350にはCPU351、ROM352、RAM353、ASIC354が含まれている。CPU351はROM352に格納された制御プログラムに基づいて命令を実行する。ASIC354はローラ801、802、及び803(
図4)の駆動源であるモータ(不図示)に接続されており、CPU351からの命令によってモータの駆動を制御。また、CPU351は通信IF部361によって画像形成装置100、冷却装置200、フィニッシャ400との通信を行う。
【0023】
フィニッシャ制御部450にはCPU451、ROM432、RAM453、ASIC454が含まれている。CPU451はROM452に格納された制御プログラムに基づいて命令を実行する。ASIC454はステイプル処理部やフラッパを駆動する駆動源となるモータに接続されており、CPU451からの命令によって各負荷を制御する。また、CPU451は通信IF部461によって画像形成装置100、冷却装置200、画像読取装置300との通信を行う。
【0024】
(画像読取装置の制御ブロック図)
図3は画像読取装置300の詳細な制御ブロック図である。画像読取装置300は画像読取制御部350を有する。画像読取制御部350は、CPU351、ROM352、RAM353、ASIC354、FPGA355を含む。CPU351はROM352に格納された制御プログラムに基づいて画像読取装置の各部を制御する。ASIC354は搬送部、画像読取部などの各負荷に接続されて、CPU351からの命令によって各負荷の駆動を制御する。
【0025】
FPGA355は、画像形成装置100から搬送されたシートの画像を読み取るため、CPU351からの命令に基づき画像読取部300を制御する。FPGA355は、画像読取部303a、及び303bに設けられた光源(不図示)の発光を制御する共に、シートが読取位置へ到達するタイミングに応じてCIS701a、及び701b(
図4)に読取データの出力を指示する。CPU351は、通信IF部361によって画像形成装置100および冷却装置200、フィニッシャ400との通信を行う。
【0026】
ASIC354では、シートの搬送に用いる搬送ローラ801、802、及び803(
図4)の駆動源としての搬送モータ311を制御する。ASIC354は画像読取部303a、及び303bに設けられたCIS701a、及び701b(
図4)を読取位置と補正位置とに移動するために駆動される回転部材の駆動源としてのCIS搬送モータ312を制御する。さらに、ASIC354はフラッパ310を揺動するために用いられるソレノイド315を制御する。
【0027】
画像読取装置300での画像読取においてASIC354はCPU351からの命令に基づき、画像形成装置100から搬送されたシートがフィニッシャ400へ搬送されるように、搬送モータ311と切替えソレノイド315を制御する。さらに、FPGA355はCPU351からの命令に基づき、画像読取部303によりシートを読み取らせる。画像読取部303から出力される読取データはFPGA355へ転送される。FPGA355は、画像読取部303の読取データを変換し、変換後の読取データをCPU351に通知する。
【0028】
画像読取装置300での測色動作においてASIC354はCPU351からの命令に基づき、画像形成装置100から搬送されたシートがトレイ301へ搬送されるように、搬送モータ311と切替えソレノイド315を制御する。CPU351は画像読取部302から出力される読取データに処理を施すことで読取データを測色データへ変換する。
【0029】
また、HP検出センサ314は、CIS701aが補正位置に到達したことを検出するセンサと、CIS701bが補正位置に到達したことを検出するセンサを含む。なお、CIS701a、及び701bはコンタクト・イメージ・センサである。
【0030】
(画像読取部)
図4(a)は画像読取装置300の要部断面図である。画像読取装置300は搬送路304に沿ってシートを搬送する搬送ローラ801、802、及び803を有する。搬送ローラ801、802、及び803は搬送モータ311を駆動源として駆動する駆動ローラである。画像読取装置300は、重力方向で搬送路304の下側からシートの第1面を読み取る画像読取部303aと、重力方向で搬送路304の上側からシートの第2面を読み取る画像読取部303bを備える。
【0031】
画像読取部303aは光源(不図示)とCIS701aとが筐体に収容されている。筐体は、光源からの光がシートに照射されると共にシートからの反射光がCIS701aに受光されるように、その一部が透明部材によって構成される。CIS701aは赤(R)のカラーフィルタを有するラインセンサ、緑(G)のカラーフィルタを有するラインセンサ、及び青(B)のカラーフィルタを有するラインセンサから構成される。ラインセンサの各画素は輝度に応じた出力値を出力する。
【0032】
画像読取部303aは白色基準板702aを有する。白色基準板702aは例えば光源(不図示)からの光を可視域において90%反射する。白色基準板702aはその色が白色である白色部材である。白色基準板702aは光源の光量調整、CIS701aのシェーディング補正に用いられる校正用標準部材として機能する。
【0033】
CIS701aは不図示のレールを沿って読取位置と補正位置とに移動可能な構成となっている。
図4(b)は、CIS701aのシェーディングを実施するため、CIS701aが補正位置に位置した状態を示す。
図4(c)は、CIS701cのシェーディングを実施するため、CIS701bが補正位置に位置した状態を示す。前述のシェーディング補正が実施される場合、CIS搬送モータ312(
図3)は、CIS701aをレールに沿って読取位置から補正位置へと移動するように、駆動される。
【0034】
一方、シートの読み取りが実施される場合、CIS搬送モータ312は、CIS701aが
図4(a)に示す読取位置に位置するように駆動される。なお、画像読取部303はCIS701aが読取位置と補正位置とに移動する構成としたが、白色基準板702aがCIS701aに対して移動する構成としてもよい。CIS701aと白色基準板702aとの位置関係が、シートを読み取るための第1の位置関係と、白色基準板702aが読取可能な第2の位置関係とに制御されればよい。
【0035】
搬送路304に対して画像読取部303aと反対側にはバッキング部材としてのバッキングローラ703aが配置される。バッキングローラ703aは、画像読取時に搬送路304を搬送されるシートのばたつきを抑制するため、シートのウラ面側からシートを画像読取部303aの透明部材に押し付ける。なお、シートの読み取りが実施されない場合には、バッキングローラ703aは画像読取部303aから離間した位置へ移動される。バッキングローラ703aの表面の色は黒色である。そのため、バッキングローラ703aは白色基準板702aよりも反射率が低い。バッキングローラ703aは黒色部材である。
【0036】
画像読取部303bは、画像読取部303aと同様に、光源(不図示)、CIS701b、白色基準板702bを有する。CIS701bはCIS701aと同じ構成なので、その説明は省略される。白色基準板702bも白色基準板702aと同じ構成なので、その説明は省略される。搬送路304に対して画像読取部303bの位置と反対側にはバッキング部材としてのバッキングローラ703bが配置される。バッキングローラ703bも黒色部材である。バッキングローラ703bもバッキングローラ703aと同じ構成なので、その説明は省略される。
【0037】
(画像読取装置のIF構成)
図5は画像読取制御部350と画像読取部303とがケーブルA、及びBで接続された様子を示す模式図である。画像読取制御部350はケーブルAが接続されるインターフェース部321と、ケーブルBが接続されるインターフェース部322とを備える。IF_BOARD305は、ケーブルAが接続されるインターフェース部331と、ケーブルBが接続されるインターフェース部332とを備える。さらに、IF_BOARD305は、フレキシブル・フラット・ケーブルが接続されるインターフェース部341、及び342を備える。
【0038】
IF_BOARD305のインターフェース部331と画像読取制御部350のインターフェース部321はケーブルAを介して接続される。IF_BOARD305のインターフェース部332と画像読取制御部350のインターフェース部322はケーブルBを介して接続される。IF_BOARD305のインターフェース部341と画像読取部303aのCIS701aはフレキシブル・フラット・ケーブルを介して接続される。IF_BOARD305のインターフェース部342と画像読取部303bのCIS701bはフレキシブル・フラット・ケーブルを介して接続される。
【0039】
画像読取制御部350は、画像読取部303aのCIS701aから出力される読取データと、画像読取部303bのCIS701bから出力される読取データとを受信する。画像読取制御部350は、インターフェース部321から入力される読取データをオモテ面の読取データとして取得し、インターフェース部322から入力される読取データをウラ面の読取データとして取得する。
【0040】
なお、ケーブルAとケーブルBとは同じ種類のケーブルであり、且つ、ピン数も同じである。そのため、ケーブルA、及びBを画像読取制御部350と接続する場合に、作業者が誤ってケーブルAをインターフェース部322に接続し、ケーブルBをインターフェース部321に接続する可能性がある。この場合、画像読取制御部350はインターフェース部321から入力されたウラ面の読取データをオモテ面の読取データとして取得し、インターフェース部322から入力されたオモテ面の読取データをウラ面用の読取データとして取得してしまう。
【0041】
(フローチャート)
画像読取装置300の電源がオンされた後に画像読取装置300は
図6乃至
図8のフローチャート図に示す制御シーケンスを実行する。CPU351は画像読取装置300の電源がオンされた後、ROM352に格納されたプログラムをRAM353に展開し、
図6のシーケンスを開始する。
【0042】
まず、CPU351は、画像形成装置100、冷却装置200、及びフィニッシャ400が正常に起動された後で、初期調整を実行するか否かを判定する(S501)。画像読取装置300は電源がオンされた後に初期調整を実行する。ステップS501において初期調整が実行される場合、CPU351は、画像読取部303aのシェーディング(S502)、画像読取部303bのシェーディング(S503)の順番で処理を進め、ケーブルの誤接続の判定を行う(S504)。CPU351は例えばステップS504の判定結果をRAM353に記憶する。
【0043】
次いで、CPU351はステップS504の判定結果に基づいて接続が正常か否かを判定する(S505)。ステップS505においてRAM353に記憶された判定結果が正常であることを示す場合、CPU351は初期調整を終了させる。
【0044】
一方、ステップS505においてRAM353に記憶された判定結果が異常であることを示す場合、CPU351は誤接続が生じたことを操作部172の液晶ディスプレイに表示させる(S506)。ステップS506において、CPU351は、通信IF361、及び161を介して、CPU151、及び171に液晶ディスプレイの表示を制御させる。その後、CPU351は制御シーケンスを終了させる。
【0045】
また、CPU351は初期調整が既に完了している場合、処理をステップS501からステップS507へ移行させる。このとき、CPU351は画像読取部303の光源の光量を黒シェーディングデータと白シェーディングデータとに基づいて調整し、画像形成装置100からシートが画像読取装置300へ供給されるまで待機する。画像読取部303aの光源の光量は黒シェーディングデータDaと白シェーディングデータWaに基づき調整され、画像読取部303bの光源の光量は黒シェーディングデータDbと白シェーディングデータWbに基づき調整される。
【0046】
そして、CPU351は、シートが画像読取部303の読取位置に到達したことに応じて画像読取部303によりシートの読み取りを開始する(S507)。そして、CPU351は全てのシートの読み取りを完了するまで待機する(S508)。ステップS508において全てのシートの読み取りが完了したら、制御シーケンスを終了させる。
【0047】
次に、ステップS502において実行される画像読取部303aのシェーディングが
図7(a)のフローチャートに基づき制御される。画像読取部303aのシェーディングには白色基準板702aを読み取る白色補正と、光源が非点灯状態でのCIS701aの出力を取得する黒色補正とを含む。画像読取部303aのシェーディングが開始されると、CPU351はCIS搬送モータ312にCIS701aを補正位置へ移動させる(S509)。
【0048】
CPU351はCIS搬送モータ312を駆動させてから所定時間が経過した後、CIS701aが補正位置に到達したか否かを判定する(S510)。ステップS510において、CPU351はCIS701aが補正位置にあるか否かをHP検出センサ314の検知結果に基づいて判定する。ステップS510においてHP検出センサ314がCIS701aを検出した場合、CPU351は黒シェーディングデータDaを取得する(S511)。ステップS511は黒色補正である。ステップS511において、CPU351は光源を消灯状態に制御し、インターフェース部321から入力された読取データを黒シェーディングデータDaとして取得する。
【0049】
次いで、CIS701aが補正位置に位置した状態で、CPU351が白シェーディングデータWaを取得する(S512)。ステップS512は白色補正である。ステップS512において、CPU351は光源を点灯状態に制御し、インターフェース部321から入力された読取データを白シェーディングデータWaとして取得する。その後、CPU351はCIS搬送モータ312にCIS701aを読取位置へ移動させ(S513)、画像読取部303aのシェーディングの処理を終了させる。
【0050】
また、ステップS510においてHP検出センサ314がCIS701aを検出しない場合、CPU351はエラーを通知する(S514)。HP検出センサ314によりCIS701aが補正位置に到達していないことが検出された場合、CPU351は、CIS搬送モータ312、又はCIS701aを検出するHP検出センサ314に異常が生じたと判定する。これらエラーは誤接続と異なる種類のエラーである。ステップS514において、CPU351は、通信IF361、及び161を介して、CPU151、及び171に液晶ディスプレイにエラーが生じた旨のメッセージを表示させる。その後、CPU351は画像読取部303aのシェーディングの処理を終了させる。
【0051】
また、ステップS503において実行される画像読取部303bのシェーディングが
図7(b)のフローチャートに基づき制御される。画像読取部303bのシェーディングには白色基準板702bを読み取る白色補正と、光源が非点灯状態でのCIS701bの出力を取得する黒色補正とを含む。ここで、画像読取部303bのシェーディングは画像読取部303aのシェーディングと制御対象以外が同様であるので、ここでの説明は省略される。
【0052】
次に、ステップS504において実行されるケーブルの誤接続判定が
図8のフローチャートに基づき制御される。CPU351は白シェーディングデータWa、Wbを読み出し(S601)、CIS701a、及び701bのラインセンサの画素の出力値が全て閾値未満か否かを判定する(S602)。ここで、インターフェース部321にCIS701aが接続されている正常な接続状態であれば、白シェーディングデータWaとしてのラインセンサの画素の出力値は全て閾値以上となる。同様に、インターフェース部322にCIS701bが接続されている正常な接続状態であれば、白シェーディングデータWbとしてのラインセンサの画素の出力値は全て閾値以上となる。
【0053】
ステップS602においてCPU351は白シェーディングデータWaに基づき輝度値に関する出力値を決定し、白シェーディングデータWbに基づき輝度値に関する出力値を決定する。そして、これら輝度値に関する出力値がすべて閾値以上ならば、ケーブルの誤接続判定のシーケンスを終了させる。この場合、RAM353には接続が正常であることを示すデータが記憶される。なお、白シェーディングデータWa、及びWbから出力値を求める際、ラインセンサの全ての画素を使用する必要はない。CPU351は、Rのカラーフィルタのラインセンサのなかの複数の画素、Gのカラーフィルタのラインセンサのなかの複数の画素、及びBのカラーフィルタのラインセンサのなかの複数の画素から出力される出力値と閾値とを比較する構成としてもよい。
【0054】
一方、ステップS602においてCIS701a、及び701bのラインセンサの画素の出力値が全て閾値未満ならば、CPU351はケーブルが誤接続されていると判定する(S603)。ステップS603においてCPU351はRAM353に接続が異常であることを示すデータを記憶し、ケーブルの誤接続判定のシーケンスを終了させる。
【0055】
ケーブルBがインターフェース部321に誤って接続されている場合、
図7(a)のステップS512においてインターフェース部321に取得される白シェーディングデータWaはCIS701bの読取データである。この場合、画像読取部303aのシェーディング時にCIS701bはバッキングローラ703bと対向する読取位置に位置し、且つ、画像読取部303bの光源は点灯していない。或いは、画像読取部303bの光源が点灯していても、バッキングローラ703bの読取結果が白シェーディングデータWaとして取得される。そのため、ケーブルBがインターフェース部321に誤って接続された場合の白シェーディングデータWaは、各画素から出力される著しく低い出力値となる。これによって、ステップS602においてRGB全ての値が閾値未満となる。
【0056】
さらに、ケーブルBがインターフェース部321に誤って接続されている場合、ケーブルAはインターフェース部322に誤って接続されている。ケーブルAがインターフェース部322に誤って接続されている場合、
図7(b)のステップS518においてインターフェース部322に取得される白シェーディングデータWbはCIS701aの読取データである。この場合、画像読取部303bのシェーディング時にCIS701aはバッキングローラ703aと対向する読取位置に位置し、且つ、画像読取部303aの光源は点灯していない。或いは、画像読取部303aの光源が点灯していても、バッキングローラ703aの読取結果が白シェーディングデータWaとして取得される。そのため、ケーブルAがインターフェース部322に誤って接続された場合の白シェーディングデータWbは、各画素から出力される著しく低い出力値となる。これによって、ステップS602においてRGB全ての値が閾値未満となる。
【0057】
CPU351は、初期調整が実行される場合にケーブルの誤接続判定を実施する。誤接続判定においてCPU351は、CIS701aを白色基準板702aと対向させると共にCIS701bをバッキングローラ703bと対向させた状態でインターフェース部321により読取データ(白シェーディングデータWa)を取得する。さらに、誤接続判定においてCPU351は、CIS701aをバッキングローラ703aと対向させると共にCIS701bを白色基準板702bと対向させた状態でインターフェース部322により読取データ(白シェーディングデータWb)を取得する。そして、CPU351は白シェーディングデータWaと白シェーディングデータWbとの両方で複数の画素の出力値がすべて閾値未満である場合にケーブルAとケーブルBとが逆に接続されていることを判定する。この構成によれば、ケーブルAとケーブルBとが互いに異なるインターフェース部321、及び322に接続されてしまった場合であっても、誤接続を検知することができる。
【0058】
また、CPU351は、画像読取装置制御部350とIF_BOARD305との間でインターフェース部321、322、331、及び332のケーブルA,Bの誤挿入検出を目的としたものである。しかしながら、例えば、IF_BOARD305と画像読取部303のCIS701a、及び701bとの間でインターフェース341,342のフレキシブル・フラット・ケーブルの誤接続を検出するものに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
A ケーブル
B ケーブル
304 搬送路
351 CPU
701a CIS
701b CIS
702a 白色基準板
702b 白色基準板
703a バッキングローラ
703b バッキングローラ
801 搬送ローラ
802 搬送ローラ
803 搬送ローラ