(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 5/00 20060101AFI20241028BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
B25J5/00 A
B25J5/00 E
B25J13/08 Z
(21)【出願番号】P 2020215748
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】掃部 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】岡 朋暉
(72)【発明者】
【氏名】蓮沼 仁志
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-061964(JP,A)
【文献】国際公開第2014/002275(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/111522(WO,A1)
【文献】特開2010-064501(JP,A)
【文献】特開2004-001705(JP,A)
【文献】実開昭63-005505(JP,U)
【文献】特開2015-128973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
G05D 1/43
B62D 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な搬送車と、
前記搬送車に搭載される少なくとも1つのロボットアームと、
前記搬送車に搭載され且つ前記搬送車に対して前記少なくとも1つのロボットアームを昇降する昇降装置と、
前記搬送車の重心を変動させる変動装置と、
前記搬送車の進行方向である第1方向に存在する物体の位置を検出する走査センサと、
前記搬送車、前記少なくとも1つのロボットアーム、前記昇降装置及び前記変動装置の動作を制御するように構成される制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記走査センサの検出結果に基づき、前
記第1方向に存在する、走行面の上方への段差
の有無を検出することと、
前記段差があるとき、前記走査センサの検出結果に基づき、前記段差の手前の走行面の傾斜を検出することと、
前記段差の手前の走行面の傾斜が前記段差に向かって下向きでない場合に、前記昇降装置に前記少なくとも1つのロボットアームを上昇させることと、
前記段差の手前の走行面の傾斜が前記段差に向かって下向きである場合に、前記昇降装置に前記少なくとも1つのロボットアームを上昇させないことと、
前記段差があるとき、前記搬送車の重心を前記第1方向と反対方向である第2方向に移動するように前記変動装置に動作させる
ことと、
を実行するように構成される
ロボット。
【請求項2】
前記少なくとも1つのロボットアームは前記変動装置を構成し、
前記制御装置は、前記搬送車の重心を前記第2方向に移動するために、前記第2方向に延びるように前記少なくとも1つのロボットアームに動作させるように構成される
請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記変動装置は、前記走行面から前記搬送車を持ち上げるように下方へ突出する動作が可能である突出部を含み、
前記制御装置は、前記搬送車の重心を前記第2方向に移動するために、前記変動装置に前記突出部を突出させ前記搬送車を持ち上げさせるように構成される
請求項1または2に記載のロボット。
【請求項4】
前記突出部は、前記昇降装置によって駆動され、前記昇降装置の下降動作及び上昇動作それぞれに伴って下方への突出動作及び上方への後退動作をするように構成され、
前記制御装置は、前記搬送車の重心を前記第2方向に移動するために、前記昇降装置に前記下降動作をさせることで前記突出部に前記搬送車を持ち上げさせるように構成される
請求項3に記載のロボット。
【請求項5】
前記搬送車に搭載され且つ前記昇降装置及び前記少なくとも1つのロボットアームに隣り合って配置される電力源としての二次電池をさらに備え、
前記二次電池は、前記昇降装置及び前記少なくとも1つのロボットアームよりも、前記
第2方向に偏った位置に配置される
請求項1~4のいずれか一項に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットは、人の作業を代替するために用いられてきた。例えば、特許文献1は、自律移動しつつ対象面を清掃するロボット掃除機を開示する。ロボット掃除機は、ユーザとのコミュニケーションを行うことができるように構成され、その筐体の前端を上下動させるうなずきの応答動作を実行することができる。ロボット掃除機は、姿勢制御輪を設置面に向けて突出させることにより、姿勢制御輪にて筐体を押し上げて傾けるように構成される。また、ロボット掃除機は、姿勢制御輪を用いて筐体を押し上げることにより、段差を乗り越えるようにも構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
近年、人へのサービスを提供するロボットであるサービスロボットが考案されている。サービスロボットは、サービスを提供するためのロボットアームと、移動のための搬送車とを備えることがある。サービスロボットは、サービスを提供するための装備を搭載するため、その構成が複雑になる可能性がある。さらに、サービスロボットは、移動中に遭遇する走行面等の段差等の障害物への対応を要求され得る。
【0005】
本開示は、障害物への対応が可能であり且つ構造の簡略化を可能にするロボットを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係るロボットは、自走可能な搬送車と、前記搬送車に搭載される少なくとも1つのロボットアームと、前記搬送車に搭載され且つ前記搬送車に対して前記少なくとも1つのロボットアームを昇降する昇降装置と、前記搬送車の重心を変動させる変動装置と、前記搬送車、前記少なくとも1つのロボットアーム、前記昇降装置及び前記変動装置の動作を制御するように構成される制御装置とを備え、前記制御装置は、前記搬送車の進行方向である第1方向に存在する、走行面の上方への段差があるとき、前記搬送車の重心を前記第1方向と反対方向である第2方向に移動するように前記変動装置に動作させるように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の技術によれば、障害物への対応が可能であり且つ構造の簡略化を可能にするロボットを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係るロボットシステムの構成の一例を示す図
【
図2】実施の形態に係るロボットの構成の一例を示す斜視図
【
図3】実施の形態に係るロボットの構成の一例を示す側面図
【
図4】実施の形態に係るロボットシステムの制御装置の構成の一例を示すブロック図
【
図5】実施の形態に係るロボットシステムの動作の一例を示すフローチャート
【
図6】実施の形態に係るロボットの動作の一例を示す側面図
【
図7】実施の形態に係るロボットの動作の一例を示す側面図
【
図8】変形例に係るロボットの構成の一例を示す側面図
【
図9】変形例に係るロボットの動作の一例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態)
以下において、本開示の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。また、本明細書及び請求の範囲では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
【0010】
[ロボットシステムの構成]
実施の形態に係るロボットシステム1の構成を説明する。
図1は、実施の形態に係るロボットシステム1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、実施の形態に係るロボットシステム1は、少なくとも1つのロボット100と、少なくとも1つの操作端末200と、サーバ300とを備える。これに限定されないが、本実施の形態では、ロボットシステム1は、遠隔地から操作されるロボット100を用いてユーザPにサービスを提供するように構成される。ロボットシステム1は、介護、医療、清掃、警備、案内、救助、調理、商品提供等の様々なサービス業で使用されることができる。
【0011】
これに限定されないが、本実施の形態では、ユーザPにサービスを提供する場所である1つのサービス提供エリアASに、複数のロボット100が配置される。さらに、サービス提供エリアASから離れた位置にある複数の操作エリアAOのそれぞれに、少なくとも1つの操作端末200が配置される。
【0012】
各ロボット100は、無線通信を介して、データ通信可能に通信ネットワークNと接続できるように構成される。なお、ロボット100は、有線通信、又は有線通信及び無線通信の組み合わせを介して、通信ネットワークNと接続できるように構成されてもよい。各操作端末200は、有線通信、無線通信又はこれらの組み合わせを介して、データ通信可能に通信ネットワークNと接続できるように構成される。1つのロボット100と1つの操作端末200とが、通信ネットワークNを介してデータ通信可能に接続され得る。なお、いかなる有線通信及び無線通信が用いられてもよい。
【0013】
サーバ300は、通信ネットワークNを介した通信を管理する。サーバ300は、コンピュータ装置を含む。サーバ300は、ロボット100と操作端末200との間の通信の認証、接続及び接続解除等を管理する。例えば、サーバ300は、ロボットシステム1に登録されているロボット100及び操作端末200の識別情報及びセキュリティ情報等を記憶し、当該情報を用いて、各装置のロボットシステム1への接続の資格を認証する。サーバ300は、ロボット100と操作端末200との間のデータの送受信を管理し、当該データはサーバ300を経由してもよい。サーバ300は、送信元から送信されるデータを、送信先が利用可能なデータ型式に変換するように構成されてもよい。また、サーバ300は、ロボット100の操作の過程でロボット100と操作端末200との間で送受信された情報、指令及びデータ等を記憶し蓄積するように構成されてもよい。
【0014】
通信ネットワークNは特に限定されず、例えば、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)、インターネット、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含むことができる。通信ネットワークNは、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)及びZigBee(登録商標)などの近距離無線通信、ネットワーク専用回線、通信事業者の専用回線、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)、モバイル通信網、インターネット網、衛星通信、又は、これらの2つ以上の組み合わせを用いるように構成され得る。モバイル通信網は、第4世代移動通信システム及び第5世代移動通信システム等を用いるものであってもよい。通信ネットワークNは、1つ又は複数のネットワークを含むことができる。本実施の形態では、通信ネットワークNはインターネットである。
【0015】
[操作端末の構成]
実施の形態に係る操作端末200の構成を説明する。
図1に示すように、操作端末200は、操作者PОによる指令、情報及びデータ等の入力を受け付けることができ、受け付けた指令、情報及びデータ等を他の装置に出力できるように構成される。操作端末200は、操作入力装置201と、端末コンピュータ202と、提示装置203と、通信装置204とを含む。操作入力装置201、端末コンピュータ202、提示装置203及び通信装置204は、1つの装置を形成するように一体化された構成を有してもよく、それぞれが単独で装置を形成し互いに接続されるように構成されてもよく、少なくとも2つが1つの装置を形成し他の装置と接続されるように構成されてもよい。
【0016】
操作端末200の構成は特に限定されず、例えば、操作端末200は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ、スマートフォン及びタブレットなどのスマートデバイス、個人情報端末、ゲーム端末、ロボットへの教示作業に使用される公知の教示装置、ロボットの公知の操作装置、その他の操作装置、その他の端末装置、これらを利用する装置、並びに、これらを改良した装置等であってもよい。操作端末200は、ロボットシステム1のために考案される専用の装置であってもよいが、一般市場において入手可能な汎用的な装置であってもよい。本実施の形態では、操作端末200には公知の汎用的な装置が用いられる。当該装置は、専用のソフトウェアがインストールされることによって、本開示の操作端末200の機能を実現するように構成されてもよい。
【0017】
操作入力装置201は、操作者PОによる入力を受け付けることができ、入力された指令、情報及びデータ等を示す信号等を端末コンピュータ202に出力するように構成される。操作入力装置201の構成は特に限定されず、例えば、操作入力装置201は、ボタン、レバー、ダイヤル、ジョイスティック、マウス、キー、タッチパネル及びモーションキャプチャ等の、操作者PОの操作を介して入力が与えられる装置を含んでもよい。操作入力装置201は、操作者PО等の画像を撮像する撮像装置、及び、操作者PО等の音声の入力を受け付けるマイク等の音声入力装置を含んでもよい。操作入力装置201は、撮像された画像データ、及び、入力された音声を示す信号を端末コンピュータ202に出力するように構成されてもよい。
【0018】
端末コンピュータ202は、操作入力装置201を介して受け付けた指令、情報及びデータ等を処理し他の装置に出力すること、及び、他の装置からの指令、情報及びデータ等の入力を受け付け、当該指令、情報及びデータ等を処理することができるように構成される。
【0019】
提示装置203は、画像を操作者PОに表示可能であるディスプレイを含む。提示装置203は、端末コンピュータ202から受け取る画像データの画像を表示する。提示装置203は、音声を操作者PОに発することができるスピーカ等の音声出力装置を含んでもよい。提示装置203は、端末コンピュータ202から受け取る音声データの音声を出力する。
【0020】
通信装置204は、通信ネットワークNと接続可能である通信インタフェースを備える。通信装置204は、端末コンピュータ202と接続され、端末コンピュータ202と通信ネットワークNとをデータ通信可能に接続する。通信装置204は、例えば、モデム、ONU、ルータ及びモバイルデータ通信機器等の通信機器を含んでもよい。通信装置204は、演算機能等を有するコンピュータ装置を含んでもよい。
【0021】
[ロボットの構成]
実施の形態に係るロボット100の構成を説明する。
図2は、実施の形態に係るロボット100の構成の一例を示す斜視図である。
図3は、実施の形態に係るロボット100の構成の一例を示す側面図である。
【0022】
図2及び
図3に示すように、各ロボット100は、1つの搬送車110と、少なくとも1つのロボットアーム120と、少なくとも1つのエンドエフェクタ130と、1つの昇降装置140と、少なくとも1つの作業台150と、走査センサ160と、二次電池モジュール171と、電源回路172と、通信装置173と、撮像装置174、175及び176と、集音装置177と、表示装置178と、音声出力装置179と、制御装置180とを備える。これに限定されないが、本実施の形態では、ロボットアーム120には、産業用としても機能することができるロボットアームが用いられる。撮像装置174、175及び176、集音装置177、表示装置178、並びに、音声出力装置179は、コミュニケーション装置の一例である。なお、上記の各構成要素の数量は上記数量に限定されず、適宜変更可能である。
【0023】
搬送車110は自走可能であるように構成される。これに限定されないが、本実施の形態では、搬送車110は、基台111と、駆動輪112a及び112bと、補助輪113a~113dと、搬送駆動装置114a及び114bとを含む。
【0024】
基台111は、矩形板状の外形を有する。例えば、基台111は、上下方向に薄い板状又は枠状の構成を有してもよい。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「上方向」は、水平な支持面上にロボット100が配置される場合での支持面に垂直な上向きの方向、つまり、鉛直上方向を意味し、「下方向」は、同様の場合での支持面に垂直な下向きの方向、つまり、鉛直下方向を意味する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「垂直」、「鉛直」、「水平」及び「平行」はそれぞれ、完全に垂直、鉛直、水平又は平行である場合と、完全な垂直、鉛直、水平又は平行の近傍を含む実質的に垂直、鉛直、水平又は平行とみなすことができる場合とを含み得る。
【0025】
駆動輪112a及び112bは、基台111に回転可能に取り付けられ、基台111を下方から支持する。本実施の形態では、駆動輪112a及び112bは、基台111に対して、搬送車110の前進方向である方向D1Aに偏った位置に配置されるが、これに限定されず、基台111の中央、又は、方向D1Bに偏った位置に配置されてもよい。駆動輪112a及び112bは、基台111に沿い且つ方向D1Aに垂直な方向D2Aに並んで配置される。例えば、方向D1Aは、基台111の長辺方向である長手方向に沿う方向であり、方向D1Bは、方向D1Aと反対方向である。方向D2Aは、基台111の短辺方向である短手方向に沿う方向であり、方向D2Bは、方向D2Aと反対方向である。
【0026】
これに限定されないが、本実施の形態では、駆動輪112a及び112bは、それぞれの回転軸の向きが固定されるように構成されており、駆動輪112a及び112bは、方向D2A及びD2Bに沿って延びる回転軸を中心に回転可能である。駆動輪112a及び112bは、基台111に接近する及び離れる方向に移動可能であるように基台111に設けられてもよく、さらに、基台111から離れる方向へ、ばね等の付勢部材によって付勢されるように構成されてもよい。これにより、駆動輪112a及び112bの安定した接地が可能である。
【0027】
搬送駆動装置114a及び114bはそれぞれ、基台111に取り付けられ、駆動輪112a及び112bを回転駆動するように構成される。例えば、搬送駆動装置114a及び114bはそれぞれ、駆動源としての電気モータ(図示略)と、電気モータの回転駆動力を駆動輪112a及び112bに伝達する減速機(図示略)とを含む。これに限定されないが、本実施の形態では、搬送駆動装置114a及び114bの電気モータは、サーボモータである。サーボモータは、制御装置180によって制御される。
【0028】
搬送駆動装置114a及び114bは、駆動輪112a及び112bを同じ一方向に同じ速度で回転させることで搬送車110を前進させることができ、駆動輪112a及び112bを同じ逆方向に同じ速度で回転させることで搬送車110を後進させることができる。搬送駆動装置114a及び114bは、駆動輪112a及び112bを、互いに異なる回転方向及び/又は回転速度で回転させることで、搬送車110を多様に旋回させることができる。
【0029】
補助輪113a~113dは、基台111に回転可能に取り付けられ、基台111を下方から支持する。補助輪113a~113dは、駆動輪112a及び112bの周囲に配置され、本実施の形態では、基台111の四角に配置される。補助輪113a及び113bは、駆動輪112a及び112bよりも方向D1Aに配置され、補助輪113c及び113dは、駆動輪112a及び112bよりも方向DBに配置される。補助輪113a~113dはそれぞれ、基台111に沿って延びる回転軸を有し、当該回転軸の向きを基台111に沿わせつつ自在に変えることができるように構成される。例えば、補助輪113a~113dは、自在キャスタの構成を有する。補助輪113a~113d並びに駆動輪112a及び112bは、平坦な支持面に同時に接することができるように配置され、一緒に基台111を支持するように構成される。補助輪113a~113dは、搬送車110の進行方向に従ってそれぞれの回転軸の向きを変え、当該進行方向に沿って転がることができる。
【0030】
昇降装置140は、基台111の上に配置され、少なくとも1つのロボットアーム120が、昇降装置140の上に配置される。昇降装置140は、基台111に対して、上方向D3A及び下方向D3Bへ少なくとも1つのロボットアーム120を昇降することができるように構成される。上方向D3A及び下方向D3Bは、基台111に垂直な方向でもある。
【0031】
昇降装置140の構成は、少なくとも1つのロボットアーム120を昇降可能であれば、特に限定されない。これに限定されないが、本実施の形態では、昇降装置140は、方向D3A及びD3Bへ伸縮可能であるように構成される。例えば、昇降装置140は、ロボットアーム120を支持し且つ上下方向に回動する部材を備える構成、又は、ロボットアーム120の支持部材を支柱上で上下方向にスライドさせる構成等の他の構成を有してもよい。
【0032】
伸縮可能な昇降装置140は、テレスコピック構造を有し、例えば、1段のテレスコピック構造を有する。テレスコピック式の昇降装置140の構造は、公知の構造であってもよい。例えば、昇降装置140は、昇降駆動装置141と、外筒142と、内筒143とを備えてもよい。外筒142は、基台111に固定され、基台111から上方向D3Aに延びる。内筒143は、外筒142の内側に配置され、外筒142に対して方向D3A及びD3Bに移動可能であるように構成される。昇降駆動装置141は、内筒143を方向D3A及びD3Bに移動させるように構成される。昇降駆動装置141は、電力を動力源として駆動するが、空気圧及び液圧等の他の動力源により駆動するように構成されてもよい。
【0033】
例えば、昇降駆動装置141は、電動アクチュエータと、電動アクチュエータの駆動力を内筒143に伝達する伝達機構とを含んでもよい。本実施の形態では、電動アクチュエータは、サーボモータであるが、リニアアクチュエータ等の他のアクチュエータであってもよい。伝達機構は、サーボモータの回転駆動力を、内筒143を直線運動させる駆動力に変換するように構成されてもよい。例えば、伝達機構は、ラック・アンド・ピニオン構造、ローラ又はボールねじ構造等を含んでもよく、噛み合いチェーン構造を含んでもよい。噛み合いチェーン構造は、2つのチェーンが噛み合うことによって内筒143を押し上げる柱状体を形成し、2つのチェーンの噛み合い長に応じて内筒143の高さが変わるように構成される。昇降駆動装置141のサーボモータは、制御装置180によって制御される。
【0034】
これに限定されないが、本実施の形態では、昇降装置140は、基台111に対して方向D1Aに偏った位置に配置される。例えば、昇降装置140は、駆動輪112a及び112bの上方向D3Aに配置される。これにより、昇降装置140及びロボットアーム120の荷重の多くが駆動輪112a及び112bに作用し、駆動輪112a及び112bと支持面との摩擦力が大きくなる。つまり、駆動輪112a及び112bの回転駆動力が、効率的に支持面に伝達され得る。
【0035】
これに限定されないが、本実施の形態では、ロボットアーム120として、2つのロボットアーム120A及び120Bが、基台120Cを介して昇降装置140の内筒143の上端に配置される。ロボットアーム120A及び120Bは、昇降装置140によって方向D3A及びD3Bに上昇及び下降され得る。ロボットアーム120A及び120Bはいずれも、方向D3Aに沿う軸S1を中心として、基台111に沿って水平方向に回動可能であるように構成され、同軸双腕式のロボットアームを構成する。本実施の形態では、ロボットアーム120A及び120Bはいずれも、軸S1を中心に360°にわたって回動可能である。
【0036】
ロボットアーム120Aは、リンク121A~124Aと、アーム駆動装置M1A~M4A(
図4参照)とを含む。ロボットアーム120Bは、リンク121B~124Bと、アーム駆動装置M1B~M4B(
図4参照)とを含む。アーム駆動装置M1A~M4A及びM1B~M4Bは、電力を動力源とし、電気モータとしてサーボモータを含む。各サーボモータは、制御装置180によって制御される。
【0037】
リンク121A及び121Bはそれぞれ、回転関節(図示略)を介して基台120Cと接続される。基台120Cは、昇降装置140の内筒143の上端に取り付けられる。リンク121A及び121Bは、軸S1を中心に回動可能であり、互いの干渉を避けるために軸S1の方向にずらして配置される。アーム駆動装置M1A及びM1Bはそれぞれ、リンク121A及び121Bの回転関節を回転駆動するように構成され、リンク121A及び121に旋回させることができる。
【0038】
リンク122A及び122Bそれぞれの基端部は、回転関節(図示略)を介してリンク121A及び121Bの先端部と接続される。リンク122A及び122Bはそれぞれ、方向D3Aに沿う軸を中心に回動可能である。アーム駆動装置M2A及びM2Bはそれぞれ、リンク122A及び122Bの回転関節を回転駆動するように構成され、リンク122A及び122Bに旋回させることができる。
【0039】
リンク123A及び123Bそれぞれの基端部は、回転関節(図示略)を介してリンク122A及び122Bの先端部と接続される。リンク123A及び123Bはそれぞれ、方向D3Aに垂直な軸を中心に回動可能である。リンク123A及び123Bはそれぞれ、互いに対して回動可能に連結されている3つのリンク部材を含む。リンク123A及び123Bはそれぞれ、その回動に連動して、3つのリンク部材を回動させるように構成される。リンク123A及び123Bはそれぞれ回動すると、3つのリンク部材間に形成される角度を変化させ、それにより、上方向D3A又は下方向D3Bに伸縮動作をするように構成される。リンク123A及び123Bは、それぞれの先端部分の高さを変えることができる。アーム駆動装置M3A及びM3Bはそれぞれ、リンク123A及び123Bの回転関節を回転駆動するように構成され、リンク123A及び123Bに伸縮動作させることができる。
【0040】
リンク124A及び124Bそれぞれの基端部は、回転関節(図示略)を介してリンク123A及び123Bの先端部と接続される。リンク124A及び124Bはそれぞれ、方向D3Aに沿う軸を中心に回動可能である。アーム駆動装置M4A及びM4Bはそれぞれ、リンク124A及び124Bの回転関節を回転駆動するように構成され、リンク124A及び124Bに回動させることができる。リンク124A及び124Bはそれぞれ、エンドエフェクタ130との接続を可能にするメカニカルインタフェースを含む。
【0041】
上記のようなロボットアーム120A及び120Bは、水平多関節型アームの構成を有するが、いかなる構成を有してもよい。例えば、ロボットアーム120A及び120Bは、他のタイプ水平多関節型、垂直多関節型、極座標型、円筒座標型、直角座標型、又はその他の型式のロボットアームであってもよい。昇降装置140の配置されるロボットアーム120の数量も1つ以上であればよい。
【0042】
エンドエフェクタ130として、2つのエンドエフェクタ130A及び130Bがそれぞれ、ロボットアーム120A及び120Bのリンク124A及び124Bに、着脱可能に取り付けられている。エンドエフェクタ130A及び130Bは、ロボットハンドとも呼ばれる場合がある。エンドエフェクタ130A及び130Bは、ロボット100が扱う対象物に作用を加えることができるように構成される。エンドエフェクタ130A及び130Bは、動作することができるように構成されてもよい。この場合、エンドエフェクタ130A及び130Bは、駆動装置(図示略)を備え、当該駆動装置は、電力、空気圧又は液圧等を動力源としてもよい。電力を動力源とする駆動装置は、サーボモータ等の電気モータを備えてもよい。駆動装置は、制御装置180によって制御されてもよい。
【0043】
ロボット100は、基台111上に機器筐体170をさらに備える。機器筐体170は、昇降装置140に対して方向D1Bで、昇降装置140並びにロボットアーム120A及び120Bと隣り合って配置される。機器筐体170は、昇降駆動装置141並びにロボットアーム120A及び120Bよりも、方向D1Bに偏った位置に配置される。これに限定されないが、本実施の形態では、機器筐体170は、基台111に対して、方向D1Bに偏った位置に配置され、駆動輪112a及び112bよりも方向D1Bに位置する。機器筐体170の構成は特に限定されないが、例えば、壁で囲まれた箱状の構成、又は、枠状の構成を有してもよい。本実施の形態では、機器筐体170は直方体状の外形を有する。
【0044】
二次電池モジュール171、電源回路172、通信装置173及び制御装置180は、機器筐体170内に配置され、機器筐体170に取り付けられることによって、所定の位置に配置され得る。例えば、二次電池モジュール171が基台111上に配置され、二次電池モジュール171の上方に電源回路172が配置されてもよい。通信装置173及び制御装置180は、機器筐体170のいかなる位置に配置されてもよい。
【0045】
二次電池モジュール171は、ロボット100の電力源として機能する。二次電池モジュール171は、少なくとも1つの二次電池を含む。二次電池は、電力の充電及び放電を可能な電池である。二次電池の例は、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、全固体電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池等である。
【0046】
電源回路172は、二次電池モジュール171に対する電力の需給を制御する回路である。電源回路172は、制御装置180の指令等に従って、電力制御をするように構成される。例えば、電源回路172は、コンバータ、インバータ、トランス及びアンプ等の機器を含んでもよい。
【0047】
電源回路172は、商用電源等の外部電源と接続できるように構成される。電源回路172は、外部電源から電力の供給を受け付け、当該電力を二次電池モジュール171に供給し蓄電させるように構成される。電源回路172は、二次電池モジュール171に供給する電力を制御するように構成される。
【0048】
電源回路172は、二次電池モジュール171に蓄積される電力を、ロボット100内の電力を消費する構成要素に供給するように構成される。電源回路172は、各構成要素に供給する電力を制御するように構成される。
【0049】
通信装置173は、無線通信のための装置であり、無線通信を介して通信ネットワークNと接続できるように構成される。通信装置173が使用する無線通信は、特に限定されないが、例えば、モバイルデータ通信、無線Wi-Fi(Wireless Fidelity)などの無線LAN、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)及びZigBee(登録商標)などの近距離無線通信及びこれらの2つ以上の組み合わせ等を用いる無線通信であってもよい。通信装置173は、使用する無線通信に対応する機器を有する。
【0050】
これに限定されないが、本実施の形態では、1つの作業台150が、方向D3Aでの機器筐体170の上方に配置され、機器筐体170によって支持される。ロボットアーム120A及び120Bは、作業台150上で、対象物に対する作業を行うことができ、ロボット100は、作業台150上に載せられた対象物を運搬することができる。
【0051】
表示装置178は、画像を表示可能であるディスプレイ178aと、ディスプレイ178aを支持する支持体178bとを含む。ディスプレイ178aは、制御装置180から送られる画像データの画像を表示することができる。制御装置180は、ロボット100と対峙するユーザPとコミュニケーションをとるための画像、操作端末200から受け取る指令に従った画像、及び、その他の様々な情報をユーザに提供するための画像等をディスプレイ178aに表示させてもよい。
【0052】
支持体178bは、昇降装置140の内筒143によって支持され、内筒143と共に昇降するように構成される。支持体178bは、基台120Cに対して方向D1Bに配置される。支持体178bは、方向D3Aへ延びる柱状の形状を有する。支持体178bは、ロボットアーム120A及び120Bよりも方向D3Aの位置、つまり上方の位置に保持するようにディスプレイ178aを支持する。ディスプレイ178aは、ディスプレイ178aの画面が方向D1Aへ向いている姿勢で支持体178bによって支持される。
【0053】
これにより、ディスプレイ178aは、昇降装置140によってロボットアーム120A及び120Bと共に昇降され得る。さらに、ロボットアーム120A及び120Bとディスプレイ178a及び支持体178bとの干渉が抑えられる。ロボット100に対して方向D1Aに位置するユーザがディスプレイ178aを視るとき、ロボットアーム120A及び120Bによってディスプレイ178aの画面が遮られることが抑えられる。よって、ユーザPに対する円滑なコミュニケーションが可能になる。
【0054】
表示装置178は、ディスプレイ178aと支持体178bとの間にジンバル178cを備えてもよい。ジンバル178cは、ディスプレイ178aの姿勢を変えるように動作することができる。ジンバル178cは、人の手によって動作するように構成されてもよく、モータ等の電気的な駆動装置によって動作するように構成されてもよい。当該駆動装置は、制御装置180によって制御されてもよい。
【0055】
集音装置177は、周囲から音声を取得し当該音声の音声信号を出力することができるマイクを含む。集音装置177は、音声信号を制御装置180に出力するように構成され、制御装置180は、音声信号を音声データに変換し操作端末200に送信するように構成される。これに限定されないが、本実施の形態では、集音装置177は、ディスプレイ178aの上部に配置され、ディスプレイ178aの画面と同様の向きに方向付けられている。集音装置177は、昇降装置140によってロボットアーム120A及び120Bと共に昇降され得る。
【0056】
音声出力装置179は、音声信号を音波に変換し音声として放射することができるスピーカを含む。音声出力装置179は、制御装置180から送られる音声信号に対応する音声を出力することができる。制御装置180は、ロボット100と対峙するユーザPとコミュニケーションをとるための音声、操作端末200から受け取る指令に従った音声、及び、その他の様々な情報をユーザPに提供するための音声等を音声出力装置179に出力させてもよい。これに限定されないが、本実施の形態では、音声出力装置179は、ディスプレイ178aの下部に配置され、ディスプレイ178aの画面と同様の向きに方向付けられている。音声出力装置179は、昇降装置140によってロボットアーム120A及び120Bと共に昇降され得る。よって、ユーザPに対する円滑なコミュニケーションが可能になる。
【0057】
撮像装置174、175及び176はそれぞれ、デジタル画像を撮像するカメラを含み、撮像した画像のデータを制御装置180に送るように構成される。制御装置180は、撮像装置174、175及び176によって撮像された画像データをネットワーク送信可能なデータに処理し、通信ネットワークNを介して、操作端末200に送るように構成されてもよい。
【0058】
撮像装置174は、ロボットアーム120A及び120Bの少なくとも一方の先端部に配置される。これに限定されないが、本実施の形態では、撮像装置174は、ロボットアーム120Aのエンドエフェクタ130Aに配置され、その先端へ方向付けられている。撮像装置174は、ロボットアーム120A及びエンドエフェクタ130Aが作用を加える対象物を撮像することができる。これにより、操作者PОはロボット100の操作を円滑に行うことができる。
【0059】
撮像装置175は、昇降装置140によってロボットアーム120A及び120Bと共に昇降されるように配置される。これに限定されないが、本実施の形態では、撮像装置175は、ディスプレイ178aの上部に配置され、ディスプレイ178aの画面と同様の向きに方向付けられている。撮像装置175は、ロボット100に対峙するサービス提供対象のユーザPを撮像することができる。これにより、操作者PОはユーザPに対応したロボット100の操作を行うことができる。
【0060】
撮像装置176は、搬送車110に固定され且つ搬送車110の前進方向である方向D1Aに向けて配置される。これに限定されないが、本実施の形態では、撮像装置176は、基台111に配置される。撮像装置176は、搬送車110の前進移動中、搬送車110の前方の状態を撮像することができる。これにより、操作者PОはロボット100の操作を円滑に行うことができる。
【0061】
走査センサ160は、搬送車110に固定され且つ搬送車110の前進方向である方向D1Aに向けて配置される。これに限定されないが、本実施の形態では、走査センサ160は、基台111に配置される。走査センサ160は、走査センサ160から方向D1Aに向かって放射状に広がる領域を走査し、当該領域内に存在する物体の位置を検出することができるように構成される。走査センサ160は、方向D1Aよりも方向D3Bへ向いた方向、つまり、方向D1Aより下向きの方向の領域を少なくとも走査できるように配置される。これにより、走査センサ160は、ロボット100の搬送車110の走行面を走査することができる。
【0062】
走査センサ160の構成は、特に限定されず、公知のセンサが走査センサ160に用いられてもよい。例えば、走査センサ160は、走査センサ160から物体までの距離と、走査センサ160から物体への方向とを検出するように構成されてもよい。例えば、走査センサ160は、光学式センサ、ライダ(Lidar)、レーダ、超音波センサ及び赤外線センサ等を含んでもよい。光学式センサは、光波を照射することで物体までの距離及び方向を検出するように構成される。ライダは、レーザ光を照射することで物体までの距離及び方向を検出するように構成される。レーダは、電波を出射することで物体までの距離及び方向を検出するように構成される。超音波センサは、超音波を出射することで物体までの距離及び方向を検出するように構成される。赤外線センサは、赤外線を照射することで物体までの距離及び方向を検出するように構成される。走査センサ160は検出装置の一例である。
【0063】
制御装置180は、ロボット100全体を制御するように構成される。
図4は、実施の形態に係るロボットシステム1の制御装置180の構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、制御装置180は、通信装置173、通信ネットワークN及び通信装置204を介して、操作端末200の端末コンピュータ202とデータ通信可能に接続される。制御装置180は、端末コンピュータ202から受信する指令等に従って、ロボット100の各構成要素の動作を制御する。制御装置180は、記憶されている制御プログラムに従って、ロボット100の各構成要素の動作を制御する。これにより、ロボット100は、ロボット100から離れた遠隔場所にいる操作者PОによって操作されることができ、サービスの提供者の代わりにサービスを提供することができる。
【0064】
制御装置180の制御対象の構成要素の例は、搬送駆動装置114a及び114b、昇降駆動装置141、ロボットアーム120Aのアーム駆動装置M1A~M4A、ロボットアーム120Bのアーム駆動装置M1B~M4B、エンドエフェクタ130A及び130Bの駆動装置(図示略)、走査センサ160、撮像装置174~176、集音装置177、表示装置178並びに音声出力装置179等であるが、全てが必須ではない。
【0065】
制御装置180は、各構成要素に供給する電力を制御する場合、電源回路172に電流の指令値等を出力し、電源回路172に二次電池モジュール171の電力を当該構成要素に供給させるように構成されてもよい。制御装置180は、サーボモータをサーボ制御するように構成されてもよい。制御装置180は、各サーボモータから、当該サーボモータに備えられる回転センサの検出結果を取得し、電源回路172から当該サーボモータへの供給電流値を取得し、回転センサの検出結果と供給電流値とをフィードバック情報として用いて、当該サーボモータへの電流の指令値を決定するように構成されてもよい。供給電流値は、電源回路172からサーボモータへ供給する電流の指令値であってもよく、サーボモータに設けられ得る電流センサの検出結果であってもよい。
【0066】
制御装置180は、手動運転での動作と、自動運転での動作と、手動運転及び自動運転の組み合わせでの動作のうちの少なくとも1つを、ロボット100の各構成要素に実行させるように構成されてもよい。
【0067】
手動運転では、制御装置180は、操作端末200に入力され制御装置180に送信される操作内容に逐次従って構成要素に動作させるように構成されてもよい。
【0068】
自動運転では、制御装置180は、操作端末200に入力され制御装置180に送信される指令に従って、当該指令に対応する一連のタスクを構成要素に自動で動作させるように構成されてもよい。
【0069】
手動運転及び自動運転の組み合わせでは、制御装置180は、操作端末200から受信する操作内容及び指令に応じて、操作内容に逐次従った動作と、一連のタスクを自動で実行する動作とを適宜、構成要素に実行させるように構成されてもよい。例えば、制御装置180は、自動運転中、操作端末200から、動作を修正するための操作内容を受信すると、当該操作内容に従って構成要素に動作させるように構成されてもよい。
【0070】
制御装置180は、走査センサ160から、検出信号等の検出結果を受け取るように構成される。制御装置180は、走査センサ160の検出結果に基づき、搬送車110から方向D1Aに存在する搬送車110の走行面を検出する演算機能を有するように構成される。さらに、制御装置180は、走査センサ160の検出結果に基づき、検出された走行面の不陸の位置、形状及び寸法を検出する演算機能を有するように構成される。例えば、制御装置180は、走行面の3次元モデルを生成する演算機能を有するように構成されてもよい。そして、制御装置180は、検出結果に基づき、走行面の上方への段差の位置、形状及び寸法を検出するように構成される。
【0071】
制御装置180は、コンピュータ装置を含む。例えば、制御装置180は、電子回路基板、電子制御ユニット、マイクロコンピュータ、及びその他の電子機器等として構成されてもよい。コンピュータ装置は、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM等の不揮発性半導体メモリ、及び、RAM(Random Access Memory)等の揮発性半導体メモリ等を含んでもよい。例えば、CPUが動作するためのプログラムは、ROM等に予め保持されている。CPU、ROMからプログラムをRAMに読み出して展開する。CPUは、RAMに展開されたプログラム中のコード化された各命令を実行する。
【0072】
制御装置180の各機能は、CPU、ROM及びRAM等からなるコンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。制御装置180は、単一の装置による集中制御により各処理を実行するように構成されてもよく、複数の装置の協働による分散制御により各処理を実行するように構成されてもよい。
【0073】
これに限定されないが、例えば、プロセッサは、CPU、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含み、IC(集積回路)チップ、LSI(Large Scale Integration)等に形成された論理回路又は専用回路によって各処理を実現してもよい。複数の処理は、1つ又は複数の集積回路により実現されてもよく、1つの集積回路により実現されてもよい。
【0074】
[ロボットシステムの動作]
図5を参照しつつ、実施の形態に係るロボットシステム1の動作を説明する。
図5は、実施の形態に係るロボットシステム1の動作の一例を示すフローチャートであり、搬送車110の走行中のロボットシステム1の動作の一例を示す。なお、本例では、ロボット100が、操作端末200によって手動運転されるとして、以下の説明を行う。
【0075】
まず、操作エリアAOの操作者PОは、サービス提供を担当する要求と、担当を希望するサービスとを操作端末200に入力し、操作端末200は、当該要求等をサーバ300に送信する(ステップS101)。サーバ300は、希望のサービスを行うことができるロボット100を探索し、探索されたロボット100の制御装置180と上記操作端末200とを通信ネットワークNを介して接続する(ステップS102)。
【0076】
操作者PОは、接続完了の通知をサーバ300から受け取ると、操作端末200への入力を通じて、ロボット100の各構成要素を起動する(ステップS103)。
【0077】
操作者PОは、ロボット100を手動運転するための操作を操作端末200に入力し、操作端末200は、入力された操作の内容を示す操作指令を制御装置180に送信する。制御装置180は、操作端末200から受信する操作指令に従って、ロボット100の各構成要素に動作させる、つまりロボット100に動作させる(ステップS104)。
【0078】
制御装置180は、搬送車110に移動させる移動指令が操作指令に含まれる場合(ステップS105でYes)にステップS106に進み、移動指令が含まれない場合(ステップS105でNo)にステップS117に進む。
【0079】
ステップS106において、制御装置180は、走査センサ160に動作させ、ロボット100の進行方向である方向D1Aを走査させる。さらに、制御装置180は、走査センサ160の検出結果を処理し、方向D1Aにある走行面において、上方へ突出する段差、つまり上向きの段差の有無を検出する(ステップS107)。
【0080】
制御装置180は、上向きの段差の高さhが第1閾値Th1以下である場合(ステップS108でYes)にステップS117に進み、上向きの段差の高さhが第1閾値Th1超である場合(ステップS108でNo)にステップS109に進む。上向きの段差が存在しない場合は、上向きの段差の高さhが第1閾値Th1以下である場合に含まれる。
【0081】
さらに、制御装置180は、上向きの段差の高さhが第1閾値Th1超且つ第2閾値Th2以下である場合(ステップS109でYes)にステップS110に進み、上向きの段差の高さhが第2閾値Th2超である場合(ステップS109でNo)にステップS111に進む。第2閾値Th2は、第1閾値Th1よりも大きい。
【0082】
ステップS110において、制御装置180は、ロボットアーム120A及び120Bの少なくとも一方に、進行方向と反対方向である方向D1Bへ向かって旋回させる。例えば、
図6に示すように、制御装置180は、旋回対象のロボットアーム120A及び/又は120Bのエンドエフェクタ130A及び/又は130Bが、基台120Cよりも方向D1Bの位置に至るまで、当該ロボットアーム120A及び/又は120Bに旋回させるように構成されてもよい。例えば、制御装置180は、旋回対象のエンドエフェクタ130A及び/又は130Bが作業台150の上方の位置又は作業台150よりも方向D1Bの位置に至るように、旋回対象のロボットアーム120A及び/又は120Bに旋回させるように構成されてもよい。これにより、ロボット100の重心及び搬送車110の重心が方向D1Bに移動する。
図6は、実施の形態に係るロボット100の動作の一例を示す側面図である。
【0083】
制御装置180は、上向きの段差の高さhに応じて、旋回させるロボットアーム120A及び120Bを決定するように構成されてもよい。例えば、制御装置180は、上向きの段差の高さhが第1閾値Th1超且つ第3閾値Th3以下である場合にロボットアーム120A及び120Bの一方を旋回対象に決定し、上向きの段差の高さhが第3閾値Th3超且つ第2閾値Th2以下である場合にロボットアーム120A及び120Bの両方を旋回対象に決定するように構成されてもよい。第3閾値Th3は、第1閾値Th1よりも大きく、第2閾値Th2よりも小さい。
【0084】
次いで、制御装置180は、ステップS107での処理結果に基づき、検出された上向きの段差の手前の走行面の傾斜量を検出する(ステップS112)。上向きの段差の手前の走行面は、当該段差から搬送車110に向かう走行面である。傾斜量の検出対象の走行面上の領域は、予め設定されていてもよく、制御装置180が、搬送車110の移動速度及び段差に対する移動方向等のロボット100の状態に応じて決定するように構成されてもよい。制御装置180は、上向きの段差の手前の走行面の傾斜が当該段差に向かって下向きである場合(ステップS113でYes)にステップS115に進み、当該勾配が下向きでない場合(ステップS113でNo)にステップS114に進む。走行面の傾斜が段差に向かって下向きであるとは、搬送車110の進行方向及び/又は方向D1Aに向かって走行面の傾斜が下向きであることであってもよい。
【0085】
ステップS114において、制御装置180は、昇降駆動装置141に昇降装置140を伸長させ、ロボットアーム120A及び120Bを上昇させる。例えば、
図7に示すように、制御装置180は、ロボットアーム120A及び120Bを最高位置に移動させるように構成されてもよい。
図7は、実施の形態に係るロボット100の動作の一例を示す側面図である。
【0086】
最高位置は、昇降装置140が方向D3Aへ最も伸長したときのロボットアーム120A及び120Bの高さ位置であり、昇降装置140がロボットアーム120A及び120Bを方向D3Aへ最も高くすることができる高さ位置である。これにより、ロボット100の重心が方向D3A及びD1Bに移動し、搬送車110の重心が方向D1Bに移動し得る。制御装置180は、ステップS114の処理後、ステップS115に進む。
【0087】
ステップS115において、制御装置180は、搬送車110に走行を継続させ、上向きの段差を通過させる。ステップS110でのロボットアーム120A及び/又は120Bの旋回により、搬送車110の重心が方向D1Bへ移動するため、補助輪113a及び113bが上向きの段差に乗り上げやすくなる。ステップS114でのロボットアーム120A及び120Bの上昇により、搬送車110の重心が方向D1Bへ移動するため、補助輪113a及び113bが上向きの段差にさらに乗り上げやすくなる。制御装置180は、ステップS115の処理後、ステップS117に進む。
【0088】
ステップS111において、制御装置180は、ロボット100が通過できない段差があることを示す警告を操作端末200に送信する。操作端末200は、受信した警告を操作者POに報知する。なお、上向きの段差の高さhが第2閾値超である場合、ロボット100は、搬送車110に当該段差を確実に乗り越えさせることができない。制御装置180は、警告の送信と並行して、又は、警告の送信の代わりに、上向きの段差の手前で搬送車110を停止させる制御を行うように構成されてもよい。
【0089】
次いで、ステップS116において、制御装置180は、操作端末200から受信する操作指令に従って、搬送車110に走行させる。例えば、警告を確認した操作者POは、上向きの段差を回避するように搬送車110に走行させる操作を操作端末200に入力する。操作端末200は、入力された操作の操作指令を制御装置180に送信し、制御装置180は、当該操作指令に従った制御を行う。制御装置180は、ステップS112の処理後、ステップS117に進む。
【0090】
ステップS117において、操作者PОは、サービス提供の担当を終了する場合、終了の指令を操作端末200に入力し、操作端末200は当該指令をサーバ300に送信する。サーバ300は、担当終了の指令を受信した場合(ステップS117でYes)に、操作端末200とロボット100との接続を切断し、一連の処理を終了する。サーバ300が担当終了の指令を受信しない場合(ステップS117でNo)に、制御装置180はステップS104に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0091】
上記例では、制御装置180は、ステップS106~S115の一連の処理を自動運転でロボット100に実行させるように構成されるが、これに限定されない。例えば、制御装置180は、ステップS106~S115の少なくとも1つの処理を、操作端末200から受け取る指令に従ってロボット100に実行させるように構成されてもよく、少なくとも1つの処理を手動運転でロボット100に実行させるように構成されてもよい。
【0092】
また、制御装置180の処理は、ステップS105~S115の少なくとも1つを含まなくてもよい。例えば、ステップS112~S114が含まれなくてもよい。なお、搬送車110の走行面が搬送車110の進行方向に向かって上昇する傾斜を有する場合、昇降装置140がロボットアーム120A及び120Bを上昇させると、ロボット100全体の重心が上方に移動し、搬送車110及びロボット100全体の重心がさらに方向D1Bへ移動する。よって、搬送車110が段差を乗り越えやすくなる。
【0093】
また、制御装置180は、ステップS104及び/又はS116の処理を、自動運転、又は、自動運転及び手動運転の組み合わせでロボット100に動作させるように構成されてもよい。例えば、自動運転では、制御装置180は、操作端末200から受け取るタスクの指令に従って、当該タスクを実行するための一連の動作をロボット100に実行させるように構成されてもよい。
【0094】
また、搬送車110において、駆動輪112a及び112b、ロボットアーム120A及び120B並びに昇降装置140は、基台111に対して方向D1Aに偏った位置に配置される。これにより、搬送車110の重心を方向D1Bへ移動させるようにロボットアーム120A及び120Bを旋回させた状態で搬送車110が方向D1Aに進行するとき、駆動輪112a及び112bは、ロボット100の構成要素の中で比較的早くに段差に到達し乗り上げることができる。さらに、ロボットアーム120A及び120B並びに昇降装置140が駆動輪112a及び112bと同様に方向D1Aに偏った位置に配置されるため、ロボットアーム120A及び120B並びに昇降装置140の荷重が駆動輪112a及び112bに作用し、駆動輪112a及び112bの摩擦力が大きくなり、駆動輪112a及び112bの駆動力が大きくなる。よって、駆動輪112a及び112bが段差に乗り上げやすい。
【0095】
(変形例)
実施の形態の変形例に係るロボットを説明する。変形例に係るロボット100Aは、搬送車110を傾斜させることができる装置を備える点で、実施の形態と異なる。以下、変形例について、実施の形態と異なる点を中心に説明し、実施の形態と同様の点の説明を適宜省略する。
【0096】
図8は、変形例に係るロボット100Aの構成の一例を示す側面図である。
図8では、昇降装置140は伸長した状態である。本変形例に係るロボット100Aは、実施の形態と比較して、突出動作部190をさらに備える。突出動作部190は、走行面から搬送車110を持ち上げるように下方へ突出する動作を可能であるように構成される。突出動作部190は、昇降装置140に取り付けられており、昇降装置140の上昇動作及び下降動作それぞれに伴って、内筒143と共に方向D3A及びD3Bに移動するように構成される。これに限定されないが、本変形例では、突出動作部190は、昇降装置140に対して方向D1Aに配置される。突出動作部190は、突出部の一例である。
【0097】
突出動作部190は、車輪190aと、車輪190aを回転可能に支持する軸受体190bと、軸受体190bと内筒143とを連結する支持部材190cとを含む。車輪190aは、軸受体190bに対して方向D3Bに配置され、自由に回転できるように構成される。例えば、車輪190a及び軸受体190bは、補助輪113a~113dと同様に、自在キャスタの構成を有してもよく、駆動輪112a及び112bと同様に、車輪190aの回転軸の向きを固定するように構成されてもよい。車輪190a及び軸受体190bは、方向D3Bに移動する場合に、搬送車110の基台111を貫通する開口部111aを通るように配置される。支持部材190cは、内筒143の上端に基台120Cを介して接続され、内筒143及び外筒142に沿って方向D3Bへ延びる。
【0098】
昇降駆動装置141は、内筒143を方向D3Bへ下降させて昇降装置140を収縮させるとき、内筒143と共に、支持部材190c、軸受体190b及び車輪190aを方向D3Bへ移動させる。内筒143の下降に従って、車輪190aは基台111から方向D3Bへ突出し、走行面に接地し押し付けられる。
【0099】
図9に示すように、昇降駆動装置141は、接地後も、内筒143を最下位置に移動させることによって、突出動作部190を用いて、基台111を方向D3Aへ持ち上げることができる。
図9は、変形例に係るロボット100Aの動作の一例を示す側面図である。
【0100】
最下位置は、昇降装置140が方向D3Bへ最も収縮したときの内筒143の高さ位置であり、昇降装置140が内筒143を方向D3Bへ最も低くすることができる高さ位置である。これにより、搬送車110の重心が方向D1Bへ移動し、搬送車110が上向きの段差を乗り越えやすくなる。
【0101】
突出動作部190の下端に車輪190aが配置されるため、搬送車110が走行中であっても、昇降装置140は、突出動作部190を用いて搬送車110を円滑に持ち上げることができる。突出動作部190が、方向D1Aに偏った位置に配置されるため、補助輪113a及び113bが走行面から引き上げられ得る。突出動作部190が、昇降装置140よりも方向D1Aに配置されるため、補助輪113a及び113bがさらに引き上げられやすい。
【0102】
制御装置180は、通常、突出動作部190が搬送車110を持ち上げないような高さに位置に内筒143の高さ位置を維持するように、昇降装置140の動作を制御する。制御装置180は、第1閾値超且つ第2閾値以下の高さhの上向きの段差を検出すると、内筒143の高さ位置を、上記高さ位置よりも下方の目標の高さ位置にするように、昇降装置140に収縮動作をさせるように構成される。本変形例では、目標の高さ位置は最下位置であるが、これに限定されず、搬送車110の重心が方向D1Bに移動するような高さ位置であってもよい。例えば、目標の高さ位置は、補助輪113a及び113bが走行面から離れない程度に車輪190aが走行面を押圧するような高さ位置であってもよい。第1閾値及び第2閾値の大きさは、実施の形態と同様であってもよく異なっていてもよい。
【0103】
制御装置180は、昇降装置140を用いた突出動作部190の下降動作の実行と並行して、実施の形態におけるロボットアーム120A及び120Bの方向D1Bへの旋回動作を実行するように構成されてもよい。
【0104】
また、本変形例では、突出動作部190は、昇降装置140に対して方向D1Aに配置されるが、これに限定されず、昇降装置140の周囲のいかなる位置に配置されてもよい。例えば、突出動作部190は、内筒143及び外筒142の内側に配置されてもよい。
【0105】
本変形例では、突出動作部190は、車輪190aを回転駆動する駆動装置を備えないが、当該駆動装置を備えるように構成されてもよい。
【0106】
本変形例では、突出動作部190は、昇降装置140によって駆動され、昇降装置140と一緒に動作するように構成されるが、これに限定されず、突出動作部190を動作させる装置が別に設けられてもよい。例えば、当該装置は、基台111に配置され、突出動作部190の支持部材190cを方向D3A及びD3Bにスライドさせるように構成されてもよい。当該装置は、基台111に配置され、支持部材190cを回動させることで車輪190aを基台111から方向D3Bに突出させるように構成されてもよい。
【0107】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の実施の形態の例について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0108】
例えば、実施の形態及び変形例では、制御装置180は、上向きの段差を検出するように構成されるが、これに限定されない。制御装置180は、走行面の情報を操作端末200に送信するように構成されてもよく、走行面の情報の代わりに、撮像装置176によって撮像された画像データを操作端末200に送信するように構成されてもよい。操作端末200の操作者POは、操作端末200が受信する上記情報又は画像データに基づき、搬送車110の重心を後方の方向D1Bへ移動する指令を操作端末200を介して制御装置180に送信することができる。
【0109】
実施の形態及び変形例では、制御装置180は、搬送車110の重心を後方の方向D1Bへ移動するためのロボット100及び100Aの動作を自動で実行するように構成されるが、これに限定されない。制御装置180は、操作端末200から受信する手動運転のための操作指令に従って、搬送車110の重心を後方の方向D1Bへ移動するための動作をロボット100及び100Aにさせるように構成されてもよい。
【0110】
実施の形態及び変形例において、制御装置180は、画像処理機能を備えてもよい。例えば、制御装置180は、画像データの画素に写し出される被写体の3次元位置を検出することができる機能を備えてもよい。この場合、撮像装置176は、被写体までの距離等の被写体の3次元位置の検出が可能である画像を撮像するカメラを含んでもよい。例えば、撮像装置176は、ステレオカメラを含んでもよい。そして、制御装置180は、ステレオマッチング手法等を用いて、ステレオカメラによって撮像される2つの画像データを処理し、各画素に写し出される被写体の距離を検出するように構成されてもよい。この場合、撮像装置176及び制御装置180が走査センサ160として機能し得るため、別個の走査センサが不要である。
【0111】
実施の形態及び変形例では、ロボット100及び100Aは、人にサービスを提供するためのロボットとして用いられるが、他の用途に用いられるように構成されてもよい。例えば、ロボット100及び100Aは、工場及び倉庫等における作業に用いられるように構成されてもよい。
【0112】
また、本開示の技術の各態様例は、以下のように挙げられる。本開示の一態様に係るロボットは、自走可能な搬送車と、前記搬送車に搭載される少なくとも1つのロボットアームと、前記搬送車に搭載され且つ前記搬送車に対して前記少なくとも1つのロボットアームを昇降する昇降装置と、前記搬送車の重心を変動させる変動装置と、前記搬送車、前記少なくとも1つのロボットアーム、前記昇降装置及び前記変動装置の動作を制御するように構成される制御装置とを備え、前記制御装置は、前記搬送車の進行方向である第1方向に存在する、走行面の上方への段差があるとき、前記搬送車の重心を前記第1方向と反対方向である第2方向に移動するように前記変動装置に動作させるように構成される。
【0113】
上記態様によると、進行方向である第1方向に段差があるとき、変動装置が反対方向である第2方向に搬送車の重心を移動させる。これにより、ロボット全体の重心も第2方向に移動し得る。このような状態で搬送車が第1方向に走行すると、搬送車における第1方向前方の部位は、段差に乗り上げやすい。例えば、搬送車が当該部位に車輪を備える場合、当該車輪が段差に乗り上げやすい。これにより、搬送車は段差を乗り越えて走行することができる。さらに、ロボットは、段差を乗り越える能力を有するために変動装置を備えるだけでよく、その構造の簡略化を可能にする。
【0114】
本開示の一態様に係るロボットにおいて、前記少なくとも1つのロボットアームは前記変動装置を構成し、前記制御装置は、前記搬送車の重心を前記第2方向に移動するために、前記第2方向に延びるように前記少なくとも1つのロボットアームに動作させるように構成されてもよい。
【0115】
上記態様によると、ロボットアームが第2方向に延びるように動作すると、ロボット全体の重心が第2方向に移動し、搬送車の重心も第2方向に移動する。よって、ロボットは、段差を乗り越えるための特別な装置を備える必要がなく、その構造の簡略化を可能にする。
【0116】
本開示の一態様に係るロボットにおいて、前記変動装置は、前記走行面から前記搬送車を持ち上げるように下方へ突出する動作が可能である突出部を含み、前記制御装置は、前記搬送車の重心を前記第2方向に移動するために、前記変動装置に前記突出部を突出させ前記搬送車を持ち上げさせるように構成されてもよい。
【0117】
上記態様によると、変動装置は、搬送車を持ち上げるように突出部に動作させることによって、搬送車の重心を容易に変動させることができる。変動装置は、搬送車の重心を変動できればよく、走行面から離れるまで搬送車を持ち上げる能力を必ずしも有さなくてもよい。よって、変動装置の構造の小型化及び簡略化が可能である。
【0118】
本開示の一態様に係るロボットにおいて、前記突出部は、前記昇降装置によって駆動され、前記昇降装置の下降動作及び上昇動作それぞれに伴って下方への突出動作及び上方への後退動作をするように構成され、前記制御装置は、前記搬送車の重心を前記第2方向に移動するために、前記昇降装置に前記下降動作をさせることで前記突出部に前記搬送車を持ち上げさせるように構成されてもよい。
【0119】
上記態様によると、昇降装置が、ロボットアームの昇降のための駆動装置と、突出部の突出のための駆動装置とを兼ねる。よって、ロボットの構造の簡略化が可能になる。
【0120】
本開示の一態様に係るロボットは、前記搬送車に搭載され且つ前記昇降装置及び前記少なくとも1つのロボットアームに隣り合って配置される電力源としての二次電池をさらに備え、前記二次電池は、前記昇降装置及び前記少なくとも1つのロボットアームよりも、前記搬送車における後進方向に偏った位置に配置されてもよい。
【0121】
上記態様によると、二次電池が、昇降装置及び少なくとも1つのロボットアームよりも前進方向に位置しないため、搬送車において、昇降装置及び少なくとも1つのロボットアームよりも前進方向の重量物が低減される。これにより、搬送車が段差に乗り上げやすくなる。また、二次電池の重量は、ロボットの第1方向への転倒モーメントを低減する。変動装置が動作していないときのロボットを安定化することができる。
【0122】
また、上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0123】
100,100A ロボット
110 搬送車
120,120A,120B ロボットアーム(変動装置)
140 昇降装置
171 二次電池モジュール
180 制御装置
190 突出動作部(変動装置、突出部)