(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】電気開閉装置
(51)【国際特許分類】
H02B 13/035 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
H02B13/035 Z
H02B13/035 301G
H02B13/035 301H
H02B13/035 301K
(21)【出願番号】P 2020538805
(86)(22)【出願日】2019-01-14
(86)【国際出願番号】 IB2019050256
(87)【国際公開番号】W WO2019138383
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-15
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-05
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507412955
【氏名又は名称】セシュロン ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ラマラ タレク
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】トリカーリコ クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァシレフスキ マルティン
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】横山 幸弘
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-210200(JP,A)
【文献】特開2002-152930(JP,A)
【文献】特開平8-242513(JP,A)
【文献】米国特許第4256938号明細書(US,A)
【文献】特開平09-199230(JP,A)
【文献】特開2011-193655(JP,A)
【文献】特開昭48-63296(JP,A)
【文献】特開2001-14988(JP,A)
【文献】特開2007-288820(JP,A)
【文献】特開2011-193590(JP,A)
【文献】特開2015-35861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 13/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気開閉装置(1)であって、
-導電性筐体(2)と、
-前記導電性筐体(2)の内部に配置された第1の絶縁管体(4a)と、
-前記第1の絶縁管体(4a)の内部に配置された少なくとも1つの開閉器(8、14)と、
-前記導電性筐体(2)の内部に配置された複数の第2の絶縁管体(4b)であって、各前記第2の絶縁管体(4b)は、前記第1の絶縁管体(4a)の方向とは異なる方向に延び、各前記第2の絶縁管体(4b)の内部は、2つの端部のうちの一方で、前記第1の絶縁管体(4a)の内部と連通し、前記第1の絶縁管体(4a)及び前記第2の絶縁管体(4b)は同じ平面に沿って延びる、複数の第2の絶縁管体(4b)と、
前記第2の絶縁管体の内部にそれぞれ配置され且つ少なくとも1つの開閉器(8,14)に電気的に接続された複数の電気部品(
15-18)であって、前記電気部品(15-18)
の少なくとも2つは、それぞれ異なる機能を有する、電気部品(17,18)と、
を備え、
各電気部品(15-18)は、対応する前記第2の絶縁管体(4b)の円筒壁から非ゼロの距離であり且つ対応する前記第2の絶縁管体(4b)の前記円筒壁から流体によって分離され、
前記電気部品(15-18)は、前記少なくとも1つの開閉器(8、14)に電気的にまたは機械的に接続するために、
互いに同一の対応するソケット(22b)に挿入された
互いに同一の
それぞれのプラグ(21)を有し、前記第2の絶縁管体(4b)内の前記電気部品(15-18)を取り外して交換することを可能にする、電気開閉装置(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの開閉器は、回路遮断器(8)、断路器(14)、開閉器断路器、負荷開閉器、
接地開閉器、ヒューズのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の電気開閉装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの開閉器(8、14)は、前記第1の絶縁管体(4a)の円筒壁から非ゼロの距離でありかつ前記第1の絶縁管体(4a)の前記円筒壁から流体によって分離される、請求項1または請求項2に記載の電気開閉装置。
【請求項4】
流体は、前記第1の絶縁管体(4a)及び前記第2の絶縁管体(4b)を、少なくとも前記平面に直交する方向で前記導電性筐体(2)から分離する、請求項1から3のいずれかに記載の電気開閉装置。
【請求項5】
前記導電性筐体(2)は、前記平面に平行な上壁(2a)及び底壁(2b)を備え、前記第1の絶縁管体(4a)及び前記第2の絶縁管体(4b)は、前記上壁及び前記底壁(2a、2b)の各々から非ゼロの距離である、請求項1から4のいずれかに記載の電気開閉装置。
【請求項6】
前記第2の絶縁管体(4b)は、前記第1の絶縁管体(4a)に強固に接合される、請求項1から5のいずれかに記載の電気開閉装置。
【請求項7】
前記第2の絶縁管体(4b)は、前記第1の絶縁管体(4a)に柔軟に接合される、請求項1から5のいずれかに記載の電気開閉装置。
【請求項8】
前記第2の絶縁管体(4b)は、オーバーモールド材(7)によって前記第1の絶縁管体(4a)に接合される、請求項1から7のいずれかに記載の電気開閉装置。
【請求項9】
前記オーバーモールド材(7)は、前記第1の絶縁管体(4a)及び前記第2の絶縁管体(4b)の全ての外面上にオーバーモールドされる、請求項8に記載の電気開閉装置。
【請求項10】
前記オーバーモールド材(7)はポリマーである、請求項8又は9に記載の電気開閉装置。
【請求項11】
前記導電性筐体(2)は、少なくとも部分的に金属製である、請求項1から10のいずれかに記載の電気開閉装置。
【請求項12】
前記導電性筐体(2)の少なくとも1つの壁(2a-2f)は、ハニカム構造体、金属波形構造体、金属発泡体、又は金属多孔質材を含む、請求項1から11のいずれかに記載の電気開閉装置。
【請求項13】
前記第1の絶縁管体(4a)及び前記第2の絶縁管体(4b)は、ガラス繊維複合材で作られている、請求項1から12のいずれかに記載の電気開閉装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの開閉器(8)は、前記第1の絶縁管体(4a)の内面に嵌合する少なくとも1つの曲面(22a)を有する少なくとも1つの取り付け部材(22)によって前記第1の絶縁管体(4a)の前記壁に固定される、請求項1から13のいずれかに記載の電気開閉装置。
【請求項15】
各前記第2の絶縁管体(4b)は、前記第1の絶縁管体(4a)に対して直交する方向に延びる、請求項1から14のいずれかに記載の電気開閉装置。
【請求項16】
前記電気部品(15-18)のうちの第1の電気部品は、導体(15、16)、接地開閉器(17)、避雷器、及びセンサ(18)の中の1つであり、前記電気部品(15-18)のうちの第2の電気部品は、導体(15、16)、接地開閉器(17)、避雷器、及びセンサ(18)の中の別のものである、請求項1から15のいずれかに記載の電気開閉装置。
【請求項17】
前記導電性筐体の内部に配置された少なくとも1つの第3の絶縁管体(4c)をさらに備え、1つの又は各前記第3の絶縁管体(4c)は、前記平面と交わる方向に延び、1つの又は各前記第3の絶縁管体(4c)の内部は、2つの端部の一方で前記第1の絶縁管体(4a)の内部に連通する、請求項1から16のいずれかに記載の電気開閉装置。
【請求項18】
前記
第1及び第2の絶縁管体(
4a、4b)のうちの少なくとも1つの内部に、及び/又は前記
第1及び第2の絶縁管体(
4a、4b)と前記導電性筐体(2)との間の空間(3’’)内に分子篩粒をさらに備える、請求項1から17のいずれかに記載の電気開閉装置。
【請求項19】
前記
第1及び第2の絶縁管体(
4a、4b)の少なくとも1つの内部に、及び/又は前記
第1及び第2の絶縁管体(
4a、4b)と前記導電性筐体(2)との間の空間(3’’)内に湿度センサをさらに備える、請求項1から18のいずれかに記載の電気開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気開閉装置に関し、より詳細には、鉄道用途に適する、より一般的には高電圧又は中電圧回路に適するスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチ装置は、回路遮断器、断路器、接地開閉器、避雷器、ヒューズ、及び様々な関連機器(電圧センサ、電流センサなど)などの開閉及び保護部品を含む電気装置である。スイッチ装置は、欧州特許第2048682号及び欧州特許第1245066号に開示されている。
【0003】
一般に、スイッチ装置は、少なくとも回路遮断器、断路器、及び接地開閉器を含む。その機能は、設置された電気回路を開閉する、制御する、及び保護することである。
【0004】
鉄道分野において、スイッチ装置は、特に鉄道用変電所内及び列車の屋根上に見られる。列車の屋根上に設置されたスイッチ装置は、その動作を悪化させる可能性がある厳しい運転条件及び環境条件にさらされる。さらに、列車内部の空間を最大にしようとすること及び架線下の間隔を配慮する必要性に起因して、列車の屋根上ではスイッチ装置に利用できる垂直空間は僅かである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第2048682号
【文献】欧州特許第1245066号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、小型で頑丈であり、環境条件の影響をあまり受けず、さらに装置の内部での信頼性の高い電気絶縁を保証する電気開閉装置、詳細にはスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明の電気開閉装置の第1の態様は、
導電性筐体と、
導電性筐体の内部に配置された第1の絶縁管体と、
第1の絶縁管体の内部に配置された少なくとも1つの開閉器と、
導電性筐体の内部に配置された少なくとも1つの第2の絶縁管体であって、上記又は各第2の絶縁管体は、第1の絶縁管体の方向とは異なる方向に延び、上記又は各第2の絶縁管体の内部は、2つの端部のうちの一方で、第1の絶縁管体の内部と連通し、第1の絶縁管体及び少なくとも1つの第2の絶縁管体は同じ平面に沿って延びる、少なくとも1つの第2の絶縁管体と、
を備え、
第2の絶縁管体又は第2の絶縁管体のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの開閉器に電気的に接続する電気部品を収容し、電気部品は、接地開閉器、避雷器、又はセンサである。
【0008】
第2の態様によれば、本発明の電気開閉装置は、
導電性筐体と、
導電性筐体の内部に配置された第1の絶縁管体と、
第1の絶縁管体の内部に配置された少なくとも1つの開閉器と、
導電性筐体の内部に配置された複数の第2の絶縁管体であって、第2の絶縁管体の各々は、第1の絶縁管体の方向とは異なる方向に延び、第2の絶縁管体の各々の内部は、2つの端部のうちの一方で第1の絶縁管体の内部と連通し、第1の絶縁管体及び第2の絶縁管体は同じ平面に沿って延びる、第2の絶縁管体と、
それぞれ第2の絶縁管体の内部に配置され、少なくとも1つの開閉器に電気的に接続された複数の電気部品と、
を備え、
電気部品又はその少なくとも2つは、それぞれ異なる機能を有する。
【0009】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことで理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明による電気開閉装置の外側の上方斜視図である。
【
図2】本発明による電気開閉装置の外側の上方斜視図であり、当該装置の内部を示すために上壁が取り外されている。
【
図3】電気開閉装置の長さ方向軸線に沿った断面図である。
【
図4a】電気開閉装置の絶縁構造体の実施形態の上面図である。
【
図4b】電気開閉装置の絶縁構造体の実施形態の上面図である。
【
図5】長さ方向軸線に直交する方向に沿った電気開閉装置の断面図である。
【
図7】電気開閉装置の平面で切断した断面図である。
【
図8】電気開閉装置の変形例の長さ方向軸線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から3は、本発明による中電圧又は高電圧用の電気開閉装置1を示す。電気開閉装置1は、導電性材料、一般的には金属材料(金属又は合金)で作られている筐体2を備える。使用時、導電性の筐体2は、外面に電界が存在しないように接地される。導電性筐体2は、矩形平行六面体の一般的形状であり、一緒になって密閉内部空間3を定める上壁2a、底壁2b、及び側壁2c、2d、2e、2fを有する。密閉内部空間3の中には主管体4a及び補助管体4bを備える電気絶縁構造体4が取り付けられている。主管体4a及び補助管体4bは剛体である。主管体4aは、側壁2cから対向する側壁2dまで導電性筐体2の長手方向に延びる。各補助管体4bは、側壁2e、2fの一方から主管体4aまで導電性筐体2の長手方向に直交して延びる。各補助管体4bの内部は、主管体4aに結合された補助管体4bの端部において主管体4aの内部と連通する。この趣旨で、主管体4aの円筒壁は、穴40a(
図7で見ることができる)を有する。主管体4aは、その両端に、側壁2c、2dに締結される、例えば、ねじ留め又はクランプされるフランジ5を有する。各補助管体4bは、主管体4aから離れた端部に、対応する側壁2e又は2fに締結される、例えば、ねじ留め又はクランプされるフランジ6を有する。従って、絶縁構造体4は、上壁2a及び底壁2bからゼロでない距離で導電性筐体2によって支持される。
【0012】
図3に示すように、4つの側壁2c、2d、2e、2fの各々は中空であり、例えばその断面はU形状であり、上壁2aによって閉じられるので、一緒になって密閉された周辺区画2gを定め、周辺区画2gは、これとは独立した密閉内部空間3を取り囲む。密閉された周辺区画2gは、電気開閉装置1の低電圧電子機器(アクチュエータ、電子制御機器、補助接点など)を収容する。密閉内部空間3は、中電圧又は高電圧構成要素を収容する。
【0013】
管体4a、4bは、ガラス繊維複合材などの軽量かつ機械的に頑丈な絶縁材で作られている。フランジ5、6は、一般的に金属であり、絶縁材上に接着又は他の方法で固定される。
【0014】
好ましくは、補助管体4bは、シリコー又はポリウレタンのような軟質ポリマー7をオーバーモールドすることで主管体4aに弾性的に接合される。軟質ポリマー7は、
図4aに示すように管体4a、4bが接合される区域のみに、代替的に
図4bに示すように管体4a、4bの全ての外面に(フランジ5、6を除く)オーバーモールドすることができる。後者の代替例は、絶縁強度を高めると共に、誘電的脆弱点を構成する空気(ガス)-絶縁材-オーバーモールド化ポリマーの三重接合部の生成を防ぐという理由で好ましい。主管体4aと補助管体4bとの間の可撓接続の柔軟性及び剛性は、絶縁構造体4を衝撃及び振動に対してより抵抗力があるものにするような方法で選択することができる。
【0015】
しかしながら、変形例において、オーバーモールドされたポリマー7は、補助管体4bを主管体4aに対して強固に接合するエポキシのような硬質ポリマーとすることができる。勿論、例えば接着剤などの補助管体4bを主管体4aに強固に接合するための代替手段を使用することができる。他の変形例において、管体4a及び補助管体4bを備える絶縁構造体4は一体成形品で作られる。
【0016】
一般的に、補助管体4bを主管体4aに接合するためにオーバーモールドが用いられる場合、
図5に見ることはできるように、ポリマー7は、接合区域において補助管体4bの外面及び内面の両方の上にオーバーモールドされて補助管体4bと主管体4aとの間の隙間を埋める。
【0017】
導電性筐体2もまた軽量である。その材料は、絶縁構造体4に応じて選択することができる。管体4a、4bの間の可撓性接合部を有する絶縁構造体4に関して、導電性筐体2は、装置1の機械的剛性を保証して、全ての装置に関する機械的支持の機能を果たす必要がある。従って、導電性筐体2の各々の壁2a、2b、2c、2d、2e、2f又はこれらの一部は、少なくとも一方が金属又は導電性である2枚のシートの間にハニカム金属又は非金属パネルを備えるサンドイッチ構造体で構成することができる。このようなサンドイッチ構造体は、上壁及び底壁2a、2bに特に適している。ハニカム、金属波形構造体の代わりに、金属発泡体又は多孔質金属材料を用いることができる。管体4a、4bの間に剛接合部を有する絶縁構造体4に関して、導電性筐体2はより可撓性とすることができる。従って、導電性筐体2の各々の壁2a、2b、2c、2d、2e、2fは、金属シート又は金属層で被覆された非金属シートで構成することができる。上記の両方の例では、導電性筐体2用の金属材料はアルミニウムとすることができ、壁2a、2b、2c、2d、2e、2fは、例えば接着剤で組み立てることができる。
【0018】
図6に示すように、補助管体4bの数及び位置は、ユーザのニーズに応じて様々とすることができる。
図6は、例示的な4つの異なる構成を示す。
【0019】
図3及び7を参照すると、一般的に、主管体4aは、電気開閉装置1の主開閉部品、すなわち、真空回路遮断器のような回路遮断器8と、回路遮断器8の開放及び閉鎖操作のためにアクチュエータ機構10につながった機械的制御軸9とを収容する。よく知られているように、回路遮断器は、短絡状態の下であっても、負荷の下で電流を投入又は遮断することができるスイッチである。例示の実施例において、アクチュエータ機構10は、密閉された周辺区画2gの中に設けられ、導電性筐体2の対応する側壁2cに設けられた薄膜又はベローズの様な密閉弾性(ポリマー又は金属)接合部11を介して、密閉内部空間3に配置された機械的制御軸9に連結される。もしくは、アクチュエータ機構10は、導電性筐体2の壁2cにおいて密閉内部空間3に配置することができる。
【0020】
図8に示す変形例において、主管体4aは、回路遮断器8と直列の追加の開閉器14及び関連の機械的制御軸14aを含む。例えば、追加の開閉器14は、以下の開閉器のうちの1つとすることができる。
-断路器、すなわち無負荷状態でのみ開閉することができる開閉器、
-開閉断路器、すなわち定格負荷の下で電流を投入及び遮断することができるが短絡状態の下ではそうすることができない、制限された負荷スイッチング能力をもつ開閉器、
-定格負荷状態の下で電流を投入及び遮断することができ、短絡電流を投入することができるが、短絡電流を遮断することができない、負荷開閉器、
-接地開閉器、
-ヒューズ、
である。
【0021】
他の変形例において(図示しない)、主管体4aは、断路器又は他の種類の開閉器を収容するが回路遮断器はない。開閉器に加えて、主管体4aは、避雷器、電圧センサ、又は何らかの他のスイッチ装置部品といった他の部品を収容することができる。
【0022】
各補助管体4bは、対応する主管体4aの穴40aのうちの1つを介して、主管体4aの中に配置された1又は複数の開閉器の1つの電極に電気的に接続した1又は2以上の電気部品を収容することができる。補助管体4bの中に取り付けることができる部品は、例えば接地開閉器、避雷器、電流センサ、及び電圧センサである。また、1又は2以上の補助管体4bは、空のままにすること、又は湿分及び酸素を吸収するための分子篩(molecular sieve)粒で満たされた箱を収容することができる。補助管体4bが収容することができる他の電気部品は、回路遮断器8用の入力/出力ケーブルなどの導体又はケーブルである。
図7は、回路遮断器8が主管体4a内に取り付けられ、導電性筐体2の側壁2fを密封様式で横切る入力ケーブル15が第1の補助管体4b
1を貫通して回路遮断器8の入力電極8aに電気的に接続され、側壁2fを密封様式で横切る出力ケーブル16が第2の補助管体4b
2を貫通して回路遮断器8の出力電極8bに電気的に接続され、接地開閉器17が第3の補助管体4b3の中に配置されて回路遮断器8の入力電極8aに電気的に接続され、電圧センサ18が第4の補助管体4b4の中に配置されて回路遮断器8の出力電極8bに電気的に接続される構成の実施例を示す。好ましくは、補助管体4b
1、4b
2の内部に位置するケーブル15、16の部分15a、16aは、管体4b
1、4b
2の中への挿入及び電極8a、8bへの接続を容易にするたに、剛体又は半剛体の外覆を有する。
【0023】
図7から分かるように、主管体4a及び補助管体4bが接合する区域41は、絶縁構造体4の内部で、回路遮断器8の電極8a、8b、より詳細には主管体4aの中に取り付けられた開閉器の電極に対応する。
図6に示す様々な構成に戻ると、
図6aでは2つの電極、典型的には回路遮断器又は断路器の入力電極及び出力電極が設けられており、補助管体4bの内部の各部品は、それぞれこれらの電極に電気的に接続する。
図6bにおいて、2つの電極が存在し、補助管体4b’の内部の各部品は、これらの電極のうちの一方に電気的に接続し、補助管体4b’’の内部の各部品は、これらの電極のうちの他方に電気的に接続する。
図6cにおいて、例えば直列の回路遮断器及び断路器によって定められた3つの電極が存在し、補助管体4b’の内部の各部品はこれらの電極のうちの第1の電極に電気的に接続し、補助管体4b’’の内部の各部品はこれらの電極のうちの第2の電極に電気的に接続し、補助管体4b’’’の内部の各部品はこれらの電極のうちの第3の電極に電気的に接続する。最後の、
図6dにいて、2つの電極が設けられ、補助管体4b’の内部の各部品はこれらの電極のうちの一方に電気的に接続され、補助管体4b’’の内部の各部品はこれらの電極のうちの他方に電気的に接続される。
【0024】
これらの主管体4aの内部の開閉器への電気的及び機械的接続に関して、
図7に示すように、補助管体4bの内部の電気部品は、同一のプラグ21を有し、このプラグは、対応する同一のソケット22bに挿入することができる。従って、補助管体4bの中に各部品を取り付ける、取り外す、及び交換するための大きな適応性が提供される。このモジュール性は、エンドユーザが所望の機能又は各管体の中に取り付けられる部品を選択する可能性を残す。プラグ21は、図示のような単純な(円筒形)プラグとすること、もしくは多接点又はチューリップ形プラグなどの他のタイプのプラグとすることができる。同様に、ソケット22bは、図示のような単純な(円筒形)穴とすること、もしくは多接点又はチューリップ形の穴などの他のタイプのソケットとすることができる。
【0025】
主管体4aの中に配置された1又は複数の開閉器及び何らかの他の電気部品は、主管体4aに対して固定される。より詳細には、開閉器又は各々の開閉器に関して、金属製取り付け部材22(
図3、5、7及び8参照)は、開閉器の各端部に固定されかつ開閉器の対応する電極に電気的に接続する。取り付け部材22は、主管体4aの円筒内面に嵌合する側方曲面22aを有する(
図5参照)。取り付け部材22はねじ23によって保持され、ねじ23は、主管体14aの壁の対応する穴を横断して取り付け部材22にねじ留めされる。ねじ23の頭は、主管体4aの外面に嵌合した金属製耳部24の中に置かれるので、主管体4aの壁は、耳部24と取り付け部材22との間にサンドイッチされる。このような固定システムは、信頼性が高く主管体4aの中の部品の取り付け及び取り外しを容易にすることができる。主管体4aの穴40a(
図7参照)に対向する取り付け部材22に設けられた穴22bは、上述のソケットを形成し、これによって補助管体4bの内部の電気部品は、主管体4aの中の1又は複数の開閉器と接続することができる。取り付け部材22の中心穴22c(
図3、5、7、及び8参照)は、機械的制御軸9、14aの通路をもたらす。上述のよう、補助管体4bの内部の電気部品は、その端部の一方で対応するソケット22bに挿入されたプラグ21によって、主管体4aの内部の1又は複数の開閉器に保持される。補助管体4bの内部の電気部品は、その端部の他方で、例えば、ねじ留めによって導電性筐体2に固定される。
【0026】
本発明による電気開閉装置1は、その平面及びその平面に直交してハイブリッドの空気-固体-空気絶縁を提供することを理解されたい。各電気部品とこれを収容する管体4a、4bとの間の空気、管体4a、4bを形成する絶縁材、及び管体4a、4bと導電性筐体2との間の空気は、小型の電気開閉装置1にも関わらず信頼性の高い電気絶縁を保証する。さらに、固体絶縁スイッチ装置の電気部品とは異なり、管体4a、4b内の電気部品は取り外して交換することができる。空気の代わりに、他の絶縁ガス又は絶縁液体を用いることができる。
【0027】
一緒になって密閉内部空間3を形成する、管体4a、4bの内部の空間3’及び管体4a、4bの外部の空間3’’は連通することができ、又は気密分離して同じ又は異なる液体で満たすことができる。好ましくは、電気開閉装置1の耐用年数にわたる誘電特性を改善するために、及び管体4a、4bの内面での水分発生及び水分凝縮を防ぐために、絶縁構造体4は、密閉されて乾燥空気又は他の絶縁ガスで満たされる。絶縁構造体4と導電性筐体2との間の空間3’’にも同じやり方が適用される。実際には、高電場と組み合わさって湿分の存在は、通常、硝酸の発生につながる。硝酸は、内部の金属部品を攻撃し、これにより、絶縁部品に沿った伝導チャンネルが形成され、フラッシュオーバーを引き起こす可能性がある。加えて、オゾンの発生を防ぐために(一部の絶縁材には有害である)、少なくとも絶縁構造体4の内部では、乾燥空気の代わりに窒素を用いることができる。また、空間3’’は、湿分及び酸素を吸収するための分子篩粒で満たされた箱を収容することができる。空間3’及び/又は空間3’’の中に湿度を監視するための湿度センサを設けることができる。絶縁構造体4の内部の空間3’及び絶縁構造体4と導電性筐体2との間の空間3’’の圧力は制御することができ、誘電強度を高めるために1バールと3バールの間で変えることができる。
【0028】
管体4a、4bを使用する1つの利点は、これらに直交する何らかの方向の絶縁を保証する点にある。他の利点は、管体の固有機械的強度である。詳細には、絶縁機能に加えて、主管体4aは、その中に配置された電気部品、補助管体4b、及び補助管体4bの中に配置された電気部品のための強固な機械的支持としての機能を果たす。
【0029】
さらに、絶縁構造体4の内部のアクティブ電極と電場を最小にする導電性筐体2との間で空間3’及び空間3’’を横切る適切な絶縁距離があることが分かる。
【0030】
導電性筐体2によって、本発明の電気開閉装置1は、限界動作及び環境状態の下であっても信頼性の高いスイッチングを保証することができる。
【0031】
本発明の1つの特定の用途によれば、電気開閉装置1は、鉄道車両用の中電圧スイッチ装置としての機能を果たし、これは一般に列車の屋根上に取り付けられる。この点に関して、電気開閉装置1の小さな高さは大きな利点である。しかしながら、例えば、列車変電所又は二次配電変電所などの高さが制限されていない別の用途において、電気開閉装置1は、
図9に高さ方向に延びる補助管体4cをさらに含むことができる。
【0032】
本発明による電気開閉装置1の別の構造は、主管体4aに平行な1又は2以上の追加の絶縁管体を含むことができる。
【0033】
さらに、当業者であれば、補助管体4bは、主管体4aに対して必ずしも直交する必要はなく、各々は主管体4aの方向に対して傾斜した方向に延びることができ、補助管体4bのそれぞれの方向は、同じか又は異なることができることが明らかであろう。補助管体4cにも同様に当てはまり、主管体4a及び補助管体4bで規定された平面に対して傾斜する1又は複数の方向に延びることができる。
【0034】
上述の通り、本発明による電気開閉装置は、好都合には、
-導電性筐体と、
-導電性筐体の内部に配置された第1の絶縁管体と、
-第1の絶縁管体の内部に配置された少なくとも1つの開閉器と、
-導電性筐体の内部に配置された少なくとも1つの第2の絶縁管体であって、第2の絶縁管体又はその各々は、第1の絶縁管体の方向とは異なる方向に延び、第2の絶縁管体又はその各々は、その2つの端部のうちの一方で第1の絶縁管体の内部と連通し、第1の絶縁管体及び少なくとも1つの第2の絶縁管体は同じ平面にある、少なくとも1つの第2の絶縁管体と、
-少なくとも1つの第2の絶縁管体の内部に配置され、少なくとも1つの開閉器と電気的に接続する少なくとも1つの電気部品と、
を備える。
少なくとも1つの電気部品は、典型的に導体、接地開閉器、避雷器、センサのうちの少なくとも1つを備える。