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特許7577545充電設備混雑状況予測装置、および、充電設備混雑状況予測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】充電設備混雑状況予測装置、および、充電設備混雑状況予測方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/60 20190101AFI20241028BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
B60L53/60
G08G1/09 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021006460
(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公開番号】P2022110819
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下川 裕亮
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-096104(JP,A)
【文献】特開2001-325379(JP,A)
【文献】特開2019-219767(JP,A)
【文献】特開2013-156050(JP,A)
【文献】特開2013-046494(JP,A)
【文献】特開2011-013893(JP,A)
【文献】特開2018-072994(JP,A)
【文献】特開2014-110667(JP,A)
【文献】特開2013-234924(JP,A)
【文献】特開2015-094704(JP,A)
【文献】特開2020-010538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
G08G 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の充電設備の現在の利用状況情報であって充電器ごとの現在の使用中/不使用中を示す情報である前記現在の利用状況情報、前記充電設備を備える休憩施設の現在の混雑状況情報、および、道路における車両の現在の走行状況情報を取得する取得部と、
過去の前記休憩施設の混雑状況情報前記充電設備における前記充電器ごと利用時間帯の情報である利用状況情報、および、車両の走行状況情報に関する統計値データと、前記休憩施設の前記現在の混雑状況情報と、前記充電設備の前記現在の利用状況情報と、車両の前記現在の走行状況情報と、に基づいて、将来の所定時点の前記充電設備の混雑状況を予測する予測部と、
を備える充電設備混雑状況予測装置。
【請求項2】
前記取得部は、道路における気象情報を更に取得し、
前記予測部は、更に、前記気象情報を用いて、将来の所定時点の前記充電設備の混雑状況を予測する、
請求項に記載の充電設備混雑状況予測装置。
【請求項3】
前記取得部は、道路の路側装置と車両との路車間通信により取得する情報に基づき、道路における電気自動車の現在の混入率情報を更に取得し、
前記予測部は、更に、前記電気自動車の現在の混入率情報を用いて、将来の所定時点の前記充電設備の混雑状況を予測する、
請求項1に記載の充電設備混雑状況予測装置。
【請求項4】
前記取得部は、道路の路側装置と車両との路車間通信により取得する情報に基づき、前記道路を走行する電気自動車の現在のバッテリ残量情報を更に取得し、
前記予測部は、更に、前記電気自動車の現在のバッテリ残量情報を用いて、将来の所定時点の前記充電設備の混雑状況を予測する、
請求項1に記載の充電設備混雑状況予測装置。
【請求項5】
前記取得部は、道路を走行する電気自動車から送信された、当該電気自動車の出発地、目的地、バッテリ残量、走行位置、走行可能距離の少なくともいずれかの情報を含むプローブ情報を更に取得し、
前記予測部は、更に、前記電気自動車のプローブ情報を用いて、将来の所定時点の前記充電設備の混雑状況を予測する、
請求項1に記載の充電設備混雑状況予測装置。
【請求項6】
電気自動車の充電設備の現在の利用状況情報であって充電器ごとの現在の使用中/不使用中を示す情報である前記現在の利用状況情報、前記充電設備を備える休憩施設の現在の混雑状況情報、および、道路における車両の現在の走行状況情報を取得する取得ステップと、
過去の前記休憩施設の混雑状況情報前記充電設備における前記充電器ごと利用時間帯の情報である利用状況情報、および、車両の走行状況情報に関する統計値データと、前記休憩施設の前記現在の混雑状況情報と、前記充電設備の前記現在の利用状況情報と、車両の前記現在の走行状況情報と、に基づいて、将来の所定時点の前記充電設備の混雑状況を予測する予測ステップと、
を備える充電設備混雑状況予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、充電設備混雑状況予測装置、および、充電設備混雑状況予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車(EV:Electric Vehicle)向けの情報提供アプリ(アプリケーションソフトウエア)が研究、開発されている。この情報提供アプリによれば、例えば、EVの高速道路の利用時に、地図情報やバッテリ残量情報等を用いて、EVの到達可能範囲で充電設備のあるSA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)を特定することができる。
【0003】
また、この情報提供アプリを搭載している複数のEVの情報を集約できるで、複数のEVの情報を用いて、SA/PAの充電設備の混雑状況を予測することもできる。そして、ユーザに、充電設備の利用に適したSA/PAを推奨できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-058964号公報
【文献】特開2014-212690号公報
【文献】特開2016-218647号公報
【文献】特開2013-130963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、充電設備の混雑状況の予測に関し、高速道路を利用するEVのうち充電設備を推奨する情報提供アプリを搭載していないEVについては考慮できないので、予測精度の点で改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、電気自動車の充電設備の混雑状況を高精度に予測することができる充電設備混雑状況予測装置、および、充電設備混雑状況予測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の充電設備混雑状況予測装置は、電気自動車の充電設備の現在の利用状況情報、および前記充電設備を備える充電設備設置施設の現在の混雑状況情報、を取得する取得部と、過去の前記充電設備設置施設の混雑状況情報と前記充電設備の利用状況情報に関する統計値データと、前記充電設備設置施設の現在の混雑状況情報と、前記充電設備の現在の利用状況情報と、に基づいて、将来の所定時点の前記充電設備の混雑状況を予測する予測部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の充電設備混雑状況予測システムの全体構成等の模式図である。
図2図2は、第1実施形態の充電設備混雑状況予測装置の機能構成ブロック図である。
図3図3は、第1実施形態の充電設備混雑状況予測装置による処理を示すフローチャートである。
図4図4は、第2実施形態の充電設備混雑状況予測システムの全体構成図である。
図5図5は、第2実施形態の充電設備混雑状況予測装置の機能構成ブロック図である。
図6図6は、第2実施形態の充電設備混雑状況予測装置による処理を示すフローチャートである。
図7図7は、第3実施形態の充電設備混雑状況予測システムの全体構成図である。
図8図8は、第3実施形態の充電設備混雑状況予測装置の機能構成ブロック図である。
図9図9は、第3実施形態の充電設備混雑状況予測装置による処理を示すフローチャートである。
図10図10は、第4実施形態の充電設備混雑状況予測装置の機能構成ブロック図である。
図11図11は、第4実施形態の充電設備混雑状況予測装置による処理を示すフローチャートである。
図12図12は、第5実施形態の充電設備混雑状況予測システムの全体構成図である。
図13図13は、第5実施形態の充電設備混雑状況予測装置の機能構成ブロック図である。
図14図14は、第5実施形態の充電設備混雑状況予測装置による処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の充電設備混雑状況予測装置、および、充電設備混雑状況予測方法の実施形態(第1実施形態~第5実施形態)について詳細に説明する。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態は、充電器の情報、充電利用実績、SA/PAの満空情報等から、統計的に充電設備の混雑予測を行う実施形態である。
まず、図1を参照して、第1実施形態の充電設備混雑状況予測システム10の全体構成等について説明する。
図1は、第1実施形態の充電設備混雑状況予測システム10の全体構成図である。図1の例では、道路として本線道路R1と支線道路R2がある。
【0011】
車両Vは、EVやガソリン車等である。この中でEVは、バッテリ(電池)の充電電力を使用して、交通路である道路を走行し、移動する車両である。また、EVは、充電設備Cにおいて電力の供給を受けて、供給された電力をバッテリに蓄積する。つまり、EVにおいて移動を継続するためには、バッテリの電力が無くなる前に、充電設備Cに移動して電力供給を受ける必要がある。
【0012】
また、本線道路R1に対して、休憩施設としてSAとPAが設けられている。SAとPAには、休憩施設に加えて、それぞれ、電気自動車用の充電設備Cを備える(以下、充電設備を設置している施設という意味で、「充電設備設置施設」ともいう。)。
【0013】
SA/PAカメラ410は、SA/PAに配置され、SA/PAの混雑状況を把握するための画像データを取得するカメラである。
【0014】
また、本線道路R1の路側には、車両Vの運転者に対して情報を表示する情報板411と、ITS(Intelligent Transport Systems)スポット413が設置されている。
【0015】
また、情報提供端末412は、SA/PAに配置されたコンピュータ装置であり、交通管制システムから提供される交通情報等をユーザの操作によって表示等を行う。
【0016】
充電設備混雑状況予測システム10は、主な構成として、充電設備混雑状況予測装置100、充電器使用状況管理サーバ200、休憩施設監視サーバ210、専用線ネットワーク310、および、公衆網ネットワーク320を備えている。
【0017】
例えば、充電設備混雑状況予測装置100と充電器使用状況管理サーバ200や休憩施設監視サーバ210との通信は、専用線ネットワーク310を介して行われる。また、充電器使用状況管理サーバ200と充電設備Cの通信や、休憩施設監視サーバ210とSA/PAカメラ410の通信も、専用線ネットワーク310を介して行われる。
【0018】
公衆網ネットワーク320は、例えば、携帯網やインターネットである。また、公衆網ネットワーク320は、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイント等の中継装置を含んでいてもよい。
例えば、EVのユーザが所持するスマートフォン500とカーナビ510との通信は公衆網ネットワーク320を介して行われる。
なお、スマートフォン500の代わりに、例えば、EVユーザが保持しているタブレット装置、携帯電話、ノートPC等が用いられてもよい。
【0019】
充電器使用状況管理サーバ200は、SA/PA等に設置された各充電設備Cから利用状況情報(利用された充電器のID、利用時間帯等)を取得し、管理するサーバである。
【0020】
休憩施設監視サーバ210は、例えば、SA/PAに設置されたSA/PAカメラ410による画像データに基づいて、SA/PAの混雑状況(満空情報)を判定し、判定結果を保存するサーバである。
【0021】
次に、図2を参照して、第1実施形態の充電設備混雑状況予測装置100の機能構成について説明する。
図2は、第1実施形態の充電設備混雑状況予測装置100の機能構成ブロック図である。充電設備混雑状況予測装置100は、高速道路を利用するEVに対して充電設備Cの混雑状況等の各種情報を提供するコンピュータ装置である。
【0022】
充電設備混雑状況予測装置100は、情報入力部101と、画面表示部102と、データ通信部103と、情報処理部110と、情報記憶部150と、を備える。
【0023】
情報入力部101は、オペレータが指示やデータを入力するためのキーボード、マウス、タッチパネル、音声入力用のマイク等である。
【0024】
画面表示部102は、データを表示するLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ等である。
【0025】
データ通信部103は、専用線ネットワーク310を介して、充電器使用状況管理サーバ200、休憩施設監視サーバ210等と通信を行う通信部である。
【0026】
情報処理部110は、CPUがプログラムを実行することによって実現される。情報処理部110は、機能構成として、制御部111、地図情報管理部112(取得部)、現在充電器情報管理部113(取得部)、過去充電器情報管理部114(取得部)、SA/PA満空情報管理部115(取得部)、充電設備混雑予測部116、混雑情報作成提供部117を備える。
【0027】
制御部111は、充電設備混雑状況予測装置100の各部を制御することで、充電設備混雑状況予測装置100全体の制御を行う。
地図情報管理部112は、地図情報を地図情報DB(Data Base)152に保存して管理する。
【0028】
現在充電器情報管理部113は、充電器使用状況管理サーバ200から充電設備Cの現在の利用状況情報(使用中/不使用中)を定期的に取得し、現在充電器情報DB153に更新して管理する。
【0029】
過去充電器情報管理部114は、充電設備Cの過去の利用状況情報(利用された充電器のID、利用時間帯等)に関する統計値データ(実績データを含む。)を過去充電器情報DB154に保存して管理する。
【0030】
SA/PA満空情報管理部115は、休憩施設監視サーバ210からSA/PAの満空情報を定期的に取得し、休憩施設満空情報DB155に更新して管理する。
【0031】
充電設備混雑予測部116は、過去充電器情報DB154に記憶された過去の充電設備Cの混雑状況情報と、現在充電器情報DB153に記憶された現在の充電設備Cの利用状況情報と、休憩施設満空情報DB155に保存されているSA/PAの現在の混雑状況情報とに基づいて、将来の所定時点(例えば30分後など)の充電設備Cの混雑状況を予測する予測部である。
【0032】
混雑情報作成提供部117は、充電設備混雑予測部116によって予測された充電設備Cの混雑状況等の各種情報に基づく提供情報を外部へ提供する提供部である。
混雑情報作成提供部117が行う外部への提供方法としては、専用線ネットワーク310を介して、情報板411、情報提供端末412、ハイウエイラジオ、ITSスポット413に対して情報提供したり、公衆網ネットワーク320の電話網を経由してハイウエイテレホンとして情報提供したり、公衆網ネットワーク320のインターネットを経由して、インターネットハイウエイテレホン、インターネットハイウエイラジオ、WEBページ(ドラぷら、ドラトラ等)等により情報提供する。
【0033】
情報記憶部150は、各種処理を実現するプログラム、およびプログラムの実行に必要なデータ、及びプログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。情報記憶部150は、例えば、RAM、DRAM、SRAM、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、磁気テープ等によって実現されるが、これらに限定されない。情報記憶部150は、例えば、システムDB151、地図情報DB152、過去充電器情報DB154、現在充電器情報DB153、休憩施設満空情報DB155、および、充電設備混雑予測情報DB156を記憶する。
【0034】
システムDB151は、オペレーティングシステム及び情報処理プログラムを記憶するデータベースである。オペレーティングシステムは、充電設備混雑状況予測装置100の全体的な動作を制御するためのコンピュータプログラムである。情報処理プログラムは、充電設備混雑状況予測装置100が後述する情報処理の各機能を実現するためのコンピュータプログラムである。
【0035】
地図情報DB152は、地図要素の位置(緯度、経度)やサイズ、範囲等の情報を表す地図情報を記憶する。地図情報は、高速道路における車線数、インターチェンジ(IC)、SA/PAの場所等を含む。また、地図情報は、地図上の各位置に関連づけられた標高情報、各経路(高速道路の各経路、一般道等の各経路)の距離情報、勾配、カーブの角度、路線、方向、KP(キロポスト)、JCT(ジャンクション)の形状、トンネル、明かり部(トンネル以外の場所)、路面の状況(舗装状況等)を含む。これらの地図情報は、新路線の開通等の道路の状況に変化があった場合に適宜、更新される。
【0036】
現在充電器情報DB153は、SA/PA等に設けられた現在の各充電設備Cの利用状況情報(使用中/不使用中)の情報を記憶するデータベースである。
【0037】
過去充電器情報DB154は、SA/PA等に設けられた過去の各充電設備Cの利用状況情報(利用された充電器のID、利用時間帯等の実績データと、に関する統計値データの情報を記憶するデータベースである。
【0038】
休憩施設満空情報DB155は、SA/PAの満空情報を記憶するデータベースである。
【0039】
充電設備混雑予測情報DB156は、SA/PAの満空情報、過去の各充電設備Cの利用状況情報、現在の各充電設備Cの利用状況情報に基づき充電設備混雑予測部116によって予測された充電設備Cの混雑予測情報を記憶するデータベースである。
【0040】
以下、充電設備混雑状況予測装置100による処理について説明する。
図3は、第1実施形態の充電設備混雑状況予測装置100による処理を示すフローチャートである。
【0041】
ステップS1において、SA/PA満空情報管理部115は、休憩施設満空情報DB155に保存されているSA/PAの満空情報を取得する。
【0042】
次に、ステップS2において、現在充電器情報管理部113は、現在充電器情報DB153から充電設備Cの現在の利用状況情報を取得する。
【0043】
次に、ステップS3において、過去充電器情報管理部114は、過去充電器情報DB154に記憶された充電設備Cの過去の統計値データを取得する。
【0044】
次に、ステップS4において、充電設備混雑予測部116は、SA/PAの満空情報と、充電設備Cの現在の利用状況情報と、充電設備Cの過去の統計値データと、に基づいて、今後の充電設備Cの混雑状況について所定時間ごとに予測する。充電設備の混雑状況の予測方法は、充電設備C毎に現在の利用状況情報をベースに、その充電設備Cの過去統計値データにより混雑する日時、曜日、時間帯を考慮する。更にその時点でのSA/PAの満空情報を加味して、総合的に決定される。ここで、混雑状況を予測する間隔である所定時間とは、例えば、30分毎、あるいは1時間毎に予測する。なお、予測時間の時間間隔は、一定でなくてもよい。
【0045】
次に、ステップS5において、充電設備混雑予測部116は、ステップS4で予測した所定時間後(例えば30分後)に充電設備Cの予測結果が、混雑するケースか否かを判定する。具体的には、ステップS5において、充電設備混雑予測部116は、充電設備Cの混雑状況の予測値が閾値未満の場合(Noの場合)は混雑しないケースと判定し、処理を終了する。また、前記充電設備Cの混雑状況の予測値が閾値以上の場合(Yesの場合)は混雑するケースと判定し、ステップS6に進む。
【0046】
ステップS6において、混雑情報作成提供部117は、ステップS4で予測された充電設備Cの混雑状況等の各種情報に基づいて、充電設備Cの混雑状況に関する提供情報を作成し、充電設備混雑予測情報DB156に保存する。
【0047】
次に、ステップS7において、混雑情報作成提供部117は、ステップS6で作成された提供情報を、情報板411、情報提供端末412、ハイウエイラジオ、ハイウエイテレホン、インターネットハイウエイテレホン、インターネットハイウエイラジオ、ドラぷら、ドラトラ、ITSスポット413からの配信(ETC2.0搭載車のみ受信可)等によって外部に提供する。
【0048】
このように、第1実施形態の充電設備混雑状況予測装置100によれば、少なくとも、SA/PAの満空情報、充電設備Cの現在の利用状況情報、充電設備Cの過去の統計値データ、という情報を用いて充電設備Cの混雑状況を予測することで、高精度な予測を実現できる。
【0049】
また、充電設備Cの混雑状況を高精度に予測できることで、ユーザに、待ち時間の短い充電設備Cの推奨ができ、充電設備Cの予約機能提供等もより有効に実現できる。
【0050】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態以降で、充電設備Cの混雑状況を予測するときに更に別の情報を用いることで、更に予測精度を上げる技術について説明する。
【0051】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と比較して、充電設備Cの混雑状況の予測に、過去の走行状況情報に関する統計値データと、車両の現在の走行状況情報と、及び気象情報を用いる点で異なっている。第1実施形態と同様の事項については重複する説明を適宜省略する。
【0052】
図4は、第2実施形態の充電設備混雑状況予測システム10aの全体構成図である。図4は、図1と比較して、本線道路R1に、トラヒックカウンタ420と、本線カメラ421が追加され、更に、交通管制システム220と、気象情報管理サーバ230と、が追加されている。
【0053】
トラヒックカウンタ420は、本線道路R1に複数配置され、交通状況情報(交通量、速度、占有率など)を収集する。トラヒックカウンタ420は、例えば、超音波式、ループ式、画像式、レーザ式などのセンサ装置である。
【0054】
本線カメラ421は、本線道路R1上の交通流を画像として監視するためのカメラである。本線カメラ421は、本線道路R1の混雑状況を把握するための画像データを取得する。
【0055】
交通管制システム220は、本線道路の交通流を常時監視し、交通を円滑にするための各種対応/指示を行う管制システムである。具体的には、各経路(区間)に関するトラヒックカウンタ(TC)情報や、本線カメラからの画像に基づいて、イベント発生事象情報(渋滞、事故、故障車、工事、落下物、火災、災害)などを検出し、必要に応じて、通行止めや車線規制、速度規制、パトロール車両の手配などの対応を行う。
【0056】
気象情報管理サーバ230は、路側等に設置された雨量計、風向計、照度計、温度計等から取得したデータに基づいて天候等を収集する気象情報サーバである。あるいは、気象情報管理サーバ230は、外部装置から気象情報を取得するサーバである。
【0057】
図5は、第2実施形態の充電設備混雑状況予測装置100aの機能構成ブロック図である。図5は、図2と比較して、情報処理部110aに、交通管制情報管理部121(取得部)と、気象情報管理部122(取得部)とが追加され、充電設備混雑予測部116aの機能が異なっている。また、情報記憶部150aに、交通管制情報DB161と、気象情報DB162と、が追加されている。
【0058】
まず、情報処理部110aについて説明する。
交通管制情報管理部121は、交通管制システム220から各経路(区間)に関する交通量や交通イベント(渋滞、通行止め)、規制情報(通行止め、車線規制、速度規制等)の交通管制情報を定期的に取得し、交通管制情報DB161に保存して管理する。
気象情報管理部122は、気象情報管理サーバ230から気象情報を取得し、気象情報DB162に保存して管理する。
【0059】
次に、情報記憶部150aについて説明する。
交通管制情報DB161は、交通管制情報を記憶するデータベースである。
気象情報DB162は、気象情報を記憶するデータベースである。
【0060】
次に、第2実施形態の充電設備混雑状況予測装置100aによる処理について説明する。
図6は、第2実施形態の充電設備混雑状況予測装置100aによる処理を示すフローチャートである。図6は、図3と比較して、ステップS3の後にステップS11が追加されている点で異なっている。
【0061】
図6において、SA/PAの満空情報の取得(ステップS1)、充電設備Cの現在の利用状況情報の取得(ステップS2)、充電設備Cの過去の統計値データ取得(ステップS3)までは第1実施形態と同様である。
この後、ステップS11において、交通管制情報管理部121は、現在と過去の統計的なOD情報を取得する。
【0062】
次に、ステップS4において、充電設備混雑予測部116aは、まず、実施例1と同様に、SA/PAの満空情報と、充電設備Cの現在の利用状況情報と、充電設備Cの過去の統計値データとから所定時間後の充電設備Cの混雑予測を行う。
【0063】
次に、交通量の予測を行う。具体的には、区間毎に現在のトラカン(トラヒックカウンタ420)や本線カメラ421からの情報により現在の交通量(OD情報)を判断し、更に過去のOD情報に基づいて、本線道路R1の所定時間後の区間毎の走行台数を予測する。
【0064】
また、更に気象情報DB162からの気象データを加えることで、走行台数の予測の精度を更に上げることができる。一般に、晴れや曇りに対して、雨、霧、雪等の場合は、走行する車両の平均速度が低下することが予測される。このことを考慮し、現在の走行台数(まとまり)の時間的な移動時間を考慮することで、各区間の走行台数の予測精度を上げる。なお、本実施形態では気象データは必須の構成ではないため、省略することも可能である。
【0065】
一般に、上記区間毎の交通量が多い区間では、一定数のEVが走行していることが想定されるため、その下流の充電器は、比率的に充電器の使用率が高まることが予想される。
このことを考慮して、SA/PAの満空情報と、充電設備Cの現在の利用状況情報と、充電設備Cの過去の統計値データとに加えて、過去の交通量である統計的な過去のOD情報と、トラカンや本線カメラ421からの情報に基づく車両の現在のOD情報(走行状況情報)と、気象情報に基づいて、将来の所定時点の充電設備Cの混雑状況を予測する。
ステップS5以降は図3の場合と同様に、充電設備Cの混雑状況を作成し(ステップS6)、予測結果に応じて情報提供を行う(ステップS7)。
【0066】
このように、第2実施形態によれば、充電設備Cの混雑状況の予測に、車両の現在の走行状況情報と、過去の走行状況情報に関する統計値データと、気象情報データとを更に用いることで、予測精度を更に向上させることができる。
【0067】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第2実施形態と比較して、充電設備Cの混雑状況の予測に、本線道路R1におけるEVの現在の混入率情報を用いる点で異なっている。ここで、EVの現在の混入率情報は、入口料金所に設けられたETCゲートのEVの通過情報に基づき算出される。第2実施形態と同様の事項については重複する説明を適宜省略する。
【0068】
図7は、第3実施形態の充電設備混雑状況予測システム10bの全体構成図である。図7は、図4と比較して、ETCゲート430と、ETC路側装置431と、料金中央システム240と、が追加されている。
【0069】
入口料金所及び出口料金所には、課金のために、ETCゲート430とETC路側装置431が設けられている(ここで、出口料金所については図示を省略する)。入口料金所のETC路側装置431は、DSRC(Dedicated Short-Range Communication)による路車間通信を用いて、入口料金所名、通過日時、車載機ID、車種情報等を車両の車載器から取得する。この中で、車種情報は、車両の大きさ(大型車、普通車、小型車)といった情報に加えて、こごでは、燃料種別(EV、ガソリン、大型など)の情報を取得するものとする。そして、ETC路側装置431は、ETC車載器により取得した各情報を、料金中央システム240に送信する。
【0070】
料金中央システム240は、入口料金所および出口料金所のETC路側装置431から受信した情報に基づき、料金計算を行うシステムである。
【0071】
図8は、第3実施形態の充電設備混雑状況予測装置100bの機能構成ブロック図である。図8は、図5と比較して、情報処理部110bにEV走行状態管理部131が追加され、充電設備混雑予測部116bの機能が異なっている。また、情報記憶部150bに、ETC関連情報DB171が追加されている。
【0072】
まず、情報処理部110bに機能が追加された管理部について説明する。
EV走行状態管理部131は、ETC関連情報に基づいて、本線道路R1の区間毎のEVの混入率を算出する管理部である。
EV走行状態管理部131は、料金中央システム240からETC関連情報(流入台数、流出台数、EVの車種など)を取得する。
【0073】
次に、EV走行状態管理部131は、取得したETC関連情報の車種情報から、入口料金所毎の時間毎の侵入したEVの台数を求める。次に、侵入したEVの台数を進行方向別に配分する。ここで、方向別のEVの台数の配分は、分岐後の接続路にカメラが設置されていればその画像に基づいて分配する。分岐後の接続路にカメラがない場合は、簡易には均等に分配するか、あるいは、走行台数データに基づいて分配してもよい。次に、各料金時と各区間との距離から、当該料金所から侵入したEVが、当該区間に到達が予想される時間値を推測していく。
EV走行状態管理部131は、このように算出した区間毎のEV混入率情報をEV混入率情報DB172に保存して管理する。
【0074】
また、充電設備混雑予測部116bは、第1実施形態で用いた、SA/PAの満空情報、現在の充電設備Cの状況、過去の充電設備の状況と、第2実施形態で用いた走行する車両全体の現在及び過去の交通量の情報に加えて、EVの現在の混入率情報を用いることで、将来の所定時点の充電設備の混雑状況を予測する。
【0075】
次に、情報記憶部150bに追加した各データベースについて説明する。
ETC関連情報DB171は、料金中央システムから取得したETC関連情報に基づいて求められた現在のEV混入率情報を記憶するデータベースである。
【0076】
次に、第3実施形態の充電設備混雑状況予測装置100bによる処理について説明する。
図9は、第3実施形態の充電設備混雑状況予測装置100bによる処理を示すフローチャートである。図9は、図6と比較して、ステップS11の後にステップS21が追加されている点で異なっている。
【0077】
図9において、SA/PAの満空情報の取得(ステップS1)、充電設備Cの現在の利用状況情報取得(ステップS2)、充電設備Cの過去の統計値データ取得(ステップS3)、現在と過去の統計的なOD情報を取得(ステップS11)までは第2実施形態と同様である。
【0078】
ステップS11の後、ステップS21において、EV走行状態管理部131は、料金中央システム240から、ETC関連情報として、入口料金所別に時間毎の侵入車両の車種情報を入手する。そして、取得したETC関連情報の車種情報から、入口料金所毎の時間毎の侵入したEVの台数を求める。次に、侵入したEVの台数を進行方向別に配分する。次に、各料金時と各区間との距離から、当該料金所から侵入したEVが、当該区間に到達が予想される時間値を推測していく。そして、区間毎のEVの現在の混入率情報を取得し、その結果をETC関連情報DB171に登録する。
【0079】
次に、ステップS4において、充電設備混雑予測部116bは、第3の実施形態で用いたSA/PAの満空情報と、充電設備Cの現在の利用状況情報と、充電設備Cの過去の統計値データと、過去の統計的なOD情報と、車両の現在の走行状況情報と、に加えて、入口料金所から入手した車載情報から求めたEVの現在の混入率情報と、に基づいて、将来の所定時点の充電設備Cの混雑状況を予測する。
ステップS5以降は図6の場合と同様に、充電設備Cの混雑状況を作成し(ステップS6)、充電設備Cの混雑状況の予測結果に応じて情報提供を行う(ステップS7)。
【0080】
このように、第3実施形態によれば、充電設備Cの混雑状況の予測に、EVの現在の混入率情報を更に用いることで、現在及び過去の走行が予想される車両全体ではなく、予想されるEV車の走行台数に基づいて予測を行うため、充電設備Cの混雑状況の予測精度を更に向上させることができる。
【0081】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、第3実施形態と比較して、充電設備Cの混雑状況の予測に、入口料金所から侵入するEVの現在のバッテリ残量情報を更に用いる点で異なっている。本実施形態では、EVがETCゲート430(図7)を通過する際に、ETC路側装置431によって、車種情報を入手するときに、EVのCAN(Controller Area Network)データを取得するようにして、このCANデータの中からEVのバッテリ残量情報を取得する点が異なるだけであるため、図示は省略する。第3実施形態と同様の事項については重複する説明を適宜省略する。
【0082】
まず、第4実施形態の充電設備混雑状況予測システムの構成は、第3実施形態(図7)と同様なため、説明を省略する。
【0083】
図10は、第4実施形態の充電設備混雑状況予測装置100cの機能構成ブロック図である。図10は、図8と比較して、情報処理部110cに消費電力量予測部132が追加されている。また、情報記憶部150cにバッテリ残量情報DB173が追加されている。また、EV走行状態管理部131aと充電設備混雑予測部116cの機能が異なっている。
【0084】
EV走行状態管理部131aは、料金中央システム240から、入口料金所毎の侵入したEVについての時間別の走行台数と、入口料金所通過時のEVの現在のバッテリ残量情報を取得し、バッテリ残量情報DB173に保存して管理する。
【0085】
消費電力量予測部132は、ETC関連情報DB171に保存された入口料金所のEVのバッテリ残量情報等に基づいて、そこからの距離に応じて消費されるEVの消費電力量を予測し、走行可能距離等を予測する。消費電力量予測部132は、予測した結果に基づいて、EVの現在のバッテリ残量情報をバッテリ残量情報DB173に記憶する。
【0086】
そして、充電設備混雑予測部116cは、第1実施形態で用いた、SA/PAの満空情報、現在の充電設備Cの状況、過去の充電設備の状況と、第2実施形態で用いた走行する車両全体の現在及び過去の交通量の情報、第3実施形態において用いたEVの現在の混入率情報に加えて、更に、道路を走行するEVの現在のバッテリ残量情報を用いて、将来の所定時点の充電設備の混雑状況を予測する。
【0087】
次に、第4実施形態の充電設備混雑状況予測装置100cによる処理について説明する。
図11は、第4実施形態の充電設備混雑状況予測装置100cによる処理を示すフローチャートである。図11は、図9と比較して、ステップS21の後にステップS31~S34が追加されている点で異なっている。
【0088】
図11において、第1実施形態と同様に、SA/PAの満空情報の取得(ステップS1)、充電設備Cの現在の利用状況情報取得(ステップS2)、充電設備Cの過去の統計値データ取得(ステップS3)を行う。次に、第2実施形態と同様に、現在と過去の統計的なOD情報を取得する(ステップS11)。次に、第3の実施形態と同様に、区間毎のEVの現在の混入率情報を取得する(ステップS21)。
【0089】
次に、ステップS31において、EV走行状態管理部131aは、バッテリ残量情報DB173から、道路を走行するEVの入口料金所における現在のバッテリ残量情報を取得する。
【0090】
次に、ステップS32において、消費電力量予測部132は、入口ICでETC路側装置431を経由して取得したEVの現在のバッテリ残量情報等に基づいて、そこからの距離に応じて消費されるEVの消費電力量を予測する。
【0091】
次に、ステップS33において、消費電力量予測部132は、ステップS32で予測したEVの消費電力量等に基づいて、残りの消費電力量を予測し、EVの走行可能距離を算出する。
【0092】
次に、ステップS34において、消費電力量予測部132は、ステップS33で算出した走行可能距離等に基づいて、EVの到達可能なSA/PAを特定する。
【0093】
次に、ステップS4において、充電設備混雑予測部116cは、SA/PAの満空情報と、充電設備Cの現在の利用状況情報と、充電設備Cの過去の統計値データと、過去の統計的なOD情報と、車両の現在の走行状況情報と、EVの現在の混入率情報と、に加えて、EVの到達可能なSA/PAと、に基づいて、将来の所定時点の充電設備Cの混雑状況を予測する。
【0094】
ステップS5以降は図9の場合と同様に、充電設備Cの混雑状況を作成し(ステップS6)、充電設備Cの混雑状況の予測結果に応じて、情報提供を行う(ステップS7)。
【0095】
このように、第4実施形態によれば、充電設備Cの混雑状況の予測に、EVの現在のバッテリ残量情報を更に用いることで、充電器の混雑状況の予測精度を更に向上させることができる。
【0096】
(第4実施形態の変形例)
消費電力量予測部132は、入口料金所におけるEVのバッテリ残量情報を入手し、そこから走行距離に応じて現在のバッテリ残量を求めているがこれに限られない。例えば、EVの現在のバッテリ残量情報を、ITSスポット413やフリーフロー(料金収受のために本線道路R1の上に設けられた通信機器)から取得できるようにすることで、より正確に現在のバッテリ残量を求めることができる。このように収集したバッテリ残量を用いることで、充電器の混雑状況の予測精度を更に向上させることができる。
【0097】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態では、第4実施形態と比較して、EV向け情報提供サービスに基づき、ユーザから取得した情報に基づいて、ユーザ毎に最適な予測を行う点で異なっている。第4実施形態と同様の事項については重複する説明を適宜省略する。
【0098】
図12は、第5実施形態の充電設備混雑状況予測システム10cの全体構成図である。図12は、図7と比較して、車両情報管理サーバ250が追加されている。
【0099】
また、ユーザは、EV向け情報提供サービスを利用するため、インターネットと接続可能なスマートフォン500(または、PC等でもよい)を有するものとする。また、インターネットと接続可能なカーナビ510でも良い。
【0100】
車両情報管理サーバ250は、車両に関する車種ID、EVメーカ、バッテリ容量、バッテリ種類(リチウムイオン電池等)、総重量(EVに定員まで載ったときの重量やEV自体の重さ)、電費、バッテリ劣化速度、発売年等の情報(車両情報)を、自動車メーカ等から入手する。
【0101】
図13は、第5実施形態の充電設備混雑状況予測装置100dの機能構成ブロック図である。
図13は、図10と比較して、更に、情報処理部110dに、車両情報管理部141(取得部)と、消費電力量予測モデル管理部142と、ユーザID登録部143と、サービス利用登録部144と、仮想EV管理部145と、仮想EV作成更新部146と、仮想EV確度更新部147と、充電計画部148とが追加されている。また、情報処理部110dのEV走行状態管理部131bと充電設備混雑予測部116dの機能が異なっている。更に、情報記憶部150dに、車両情報DB181と、消費電力量予測モデルDB182と、ユーザDB188と、仮想EVDB189と、充電計画DB191と、が追加されている。
【0102】
まず、情報記憶部150dに追加されたDBについて説明する。
車両情報DB181は、車両毎の特性に関する車両情報を記憶するデータベースである。メーカ毎の車種別の車両情報が記憶される。
消費電力量予測モデルDB182は、車両毎の走行による消費電力量を予測するための予測モデルを保存するデータベースである。
【0103】
ユーザDB188は、ユーザID登録部143およびサービス利用登録部144により登録される情報を保持するデータベースである。
仮想EVDB189は、仮想EV管理部145によって管理されている仮想EVの情報を保存するデータベースである。ここで、仮想EVとは、本実施形態のサービスを利用していないEVが、一定数、走行していることを推定して、その状況を登録するものである。
充電計画DB191は、サービス利用者に対して推奨の充電箇所を提供するために、充電計画部148によって作成された充電計画データを保存するデータベースである。
【0104】
次に、情報処理部110dに追加された構成、及び機能が追加された構成を説明する。
車両情報管理部141は、車両毎の特性情報を管理するための管理部である。車両情報管理部141は、車両情報管理サーバ250から車両毎の特性情報として、EVメーカ、バッテリ容量、バッテリ種類、総重量、電費、バッテリ劣化速度、発売年等の情報(車両情報)を取得し、車種IDを付して、車両情報DB181に保存して管理する。
【0105】
消費電力量予測モデル管理部142は、車両情報DB181に保存された車両毎の電力予測モデルを関する管理部である。消費電力量予測モデル管理部142は、車両毎(あるいは、エンジン形式の類似する同じメーカをまとめてもよい)に、1つ以上の学習データを用いて、車両ごとの消費電力量を予測するモデル(予測モデル)を生成する。ここで、学習データとしては、気象情報、地理情報(傾斜の有無、カーブ多少等)、車両情報(車種に応じた、電費(単位距離当たりの消費電力))、交通管制情報(走行台数、渋滞の有無他)等の情報も用いる。消費電力量予測モデル管理部142は、上述の情報の全部または一部を対応付けることで学習データを生成する。生成した車両毎の消費電力量予測モデルは、消費電力量予測モデルDB182に保存する。
【0106】
ユーザID登録部143は、ユーザから受信した情報提供サービスのユーザ登録に応じて、ユーザDB188に対して、ユーザ登録を行う登録部である。ユーザ登録の項目としては、ユーザの個人情報(氏名やナンバープレート情報等)や、ユーザが利用するEVの情報(車種、バッテリ容量、バッテリ劣化度、累計走行距離、タイヤの種類等)を取得し、これらをユーザ情報とする。ユーザID登録部143は、ユーザに対してユーザID(EV_ID)を発行し、ユーザIDとユーザ情報とを関連づけて、ユーザDB188に登録する。
【0107】
サービス利用登録部144は、ユーザからスマートフォン500等により、情報提供アプリのサービスを開始するための利用登録を行う登録部ある。サービス利用登録部144は、利用登録を受けると、今回のサービス利用に対してID(走行ID)を発行し、走行IDを利用登録情報と関連づけて、ユーザDB188に格納し、EV走行状態管理部131bや消費電力量予測モデル管理部142に通知する。
【0108】
EV走行状態管理部131bは、第4の実施形態の場合と比べて、情報提供サービスを利用者の走行状態を管理する管理部である。各ユーザからサービス利用登録部144により登録された利用登録から、EVの出発地、目的地、バッテリ残量、走行位置、走行可能距離の少なくともいずれかの情報を含むプローブ情報を取得することで、道路上のEVの走行状態を管理する。
【0109】
消費電力量予測部132aは、第4実施形態の場合と比べて更に消費電力量予測モデルDB182に保存されたモデルを用いて、EVの消費電力量や走行可能距離等を予測する。
【0110】
仮想EV作成更新部146は、高速道路を利用するEVのうち、EVに対する情報提供アプリを利用していないEV(外部EV)を仮想的に設定した仮想EVを推定し、仮想EVDB189に登録することで、仮想EVの推定走行数を管理する。これにより、実際に充電設備混雑状況予測システム10dのサービスを利用していない仮想EVの状況を考慮できる。
【0111】
仮想EV確度更新部147は、現在充電器情報管理部113によって管理されている充電設備Cの現在の利用状況情報等に基づいて、仮想EVの確度を算出し、仮想EVDB189を更新する。
【0112】
充電設備混雑予測部116dは、第4実施形態において用いた情報に加えて、更に、利用登録によって登録されたユーザEVのプローブ情報と、仮想EV作成更新部146で管理している仮想EVの走行状況も考慮して、将来の所定時点の充電設備の混雑状況を予測する。
【0113】
充電計画部148は、サービス利用登録部144で登録された走行ID毎に、充電計画を作成する管理部である。充電計画部148は、サービス利用登録部144で登録された走行ID毎の情報(EVの出発地、目的地、出発時のバッテリ残量)から、消費電力量予測部132aを用いて、走行可能距離を算出する。そして、充電設備混雑予測部116dの予測結果をもとに、走行可能距離内で、混雑度の低い充電スポットを、推奨する充電スポットに決定する。そして、推奨するEVの充電計画(充電場所、充電時間等を含む。)を作成する。作成した充電計画は、充電計画DB191に保存されるとともに、サービス利用者に対して推奨するEVの充電計画(充電場所、充電時間等を含む。)として提供される。
【0114】
次に、第5実施形態の充電設備混雑状況予測装置100dによる処理について説明する。
まず、車両情報管理部141は、車両情報管理サーバ250を介して、車両メーカから車種ID、EVメーカ、バッテリ容量、バッテリ種類、総重量、電費、バッテリ劣化速度、発売年等の情報(車両情報)を取得し、車両情報DB181に保存して管理する。
次に、消費電力量予測モデル管理部142は、1つ以上の学習データを用いて、車両ごとの消費電力量を予測するモデル(予測モデル)を生成する。
【0115】
利用者はこのサービスを受けるためには、まず個人情報を登録するユーザ登録を行い、サービスを受ける際に利用登録が必要となる。以下、この手順について説明する。
ここで、ユーザ登録について説明する。
ユーザID登録部143は、スマートフォン500(またはPC、カーナビ510でも可)からユーザ登録要求を受信し、情報提供サービスのユーザ登録を行う。例えば、ユーザは、スマートフォン500を操作して、情報提供アプリのユーザ登録を行うための所定のアプリケーション、または所定のウェブページを開き、ユーザID登録部143にアクセスする。
【0116】
また、ユーザID登録部143は、ユーザの個人情報やユーザが利用するEVの情報(車種、バッテリ容量、バッテリ劣化度、累計走行距離、タイヤの種類等)を取得し、これらをユーザ情報とする。ユーザID登録部143は、ユーザに対してユーザID(EV_ID)を発行し、ユーザIDとユーザ情報とを関連づけて、ユーザDB188に登録する。
【0117】
次に、利用登録について。説明する。
ユーザは外出時に自宅またはEVの車内等で、スマートフォン500を操作して、情報提供アプリのサービスを受けるためのアプリケーション又はウェブページを開き、スマートフォン500から、本サービスを受けるために必要な情報を含む利用登録要求を入力してサービス利用登録部144に送信する。
【0118】
サービス利用登録部144は、スマートフォン500から利用登録要求を受信すると、今回のサービス利用に対してID(走行ID)を発行し、走行IDを利用登録情報と関連づけて、ユーザDB188に格納し、走行状態管理部41や消費電力量予測モデル管理部142に通知する。
【0119】
そして、ユーザは利用開始時に、走行日時、出発IC(インターチェンジ)の出発予定日時(現在日時、自宅の出発予定日時など)、出発地(高速道路の出発IC等)、目的地(目的IC等)、EVのバッテリ容量、EVのバッテリ残量、バッテリ劣化度、エアコン使用状況(オン/オフ、設定モード、温度設定など)、累積走行距離、タイヤの種類、乗車人数等の情報を送信する。なお、これらの情報のうち、ユーザ登録時に通知済みの場合は省略してもよい。
【0120】
これらの情報については、ユーザがカーナビ510を用いている場合はカーナビ510に設定されている情報を送信してもよい。
【0121】
また、充電設備混雑状況予測装置100dは、利用登録後のユーザのスマートフォン500と通信して、GPS(Global Positioning System)の位置情報、現在時刻、バッテリ残量、エアコン使用状況等の情報を取得し、走行状態管理部41に通知する。
【0122】
図14は、利用登録後の、第5実施形態の充電設備混雑状況予測装置100dによる処理を示すフローチャートである。図14は、図11と比較して、ステップS31の後にステップS41が追加されている点で異なっている。
【0123】
図14において、第1実施形態と同様に、SA/PAの満空情報の取得(ステップS1)、充電設備Cの現在の利用状況情報取得(ステップS2)、充電設備Cの過去の統計値データ取得(ステップS3)を行う。次に、第2実施形態と同様に、現在と過去の統計的なOD情報を取得する(ステップS11)。次に、第3の実施形態と同様に、区間毎のEVの現在の混入率情報を取得(ステップS21)する際に、第4の実施形態と同様に、混入率だけでなく、料金所侵入時現在のバッテリ残量情報も取得し、区間毎のEVのバッテリ残量の状況を算出する(ステップS31)。
【0124】
次に、ステップS41において、EV走行状態管理部131bは、EVのプローブ情報を取得する。
また、ステップS32において、消費電力量予測部132aは、消費電力量予測モデルDB182に保存された消費電力量予測モデルを用いて、EVの消費電力量を予測する。
ステップ33において、第4の実施形態と同様に、消費電力量予測部132aは、ステップS32で予測したEVの消費電力量等に基づいて、残りの消費電力量を予測し、EVの走行可能距離を算出する。
【0125】
次に、ステップS34において、第4の実施形態と同様に、消費電力量予測部132aは、ステップS33で算出した走行可能距離等に基づいて、EVの到達可能なSA/PAを特定する。
【0126】
次に、ステップS4において、充電設備混雑予測部116dは、SA/PAの満空情報と、充電設備Cの現在の利用状況情報と、充電設備Cの過去の統計値データと、過去の統計的なOD情報と、車両の現在の走行状況情報と、EVの現在の混入率情報と、EVの到達可能なSA/PAと、に加えて、利用登録により得られたユーザのEVのプローブ情報と仮想EVに基づいて、将来の所定時点の充電設備Cの混雑状況を予測する。
【0127】
ステップS5以降は図11の場合と同様に、充電設備Cの混雑状況を作成し(ステップS6)、充電設備Cの混雑状況の予測結果に応じて、情報提供を行う(ステップS7)。
【0128】
このように、第5実施形態によれば、充電設備Cの混雑状況の予測に、消費電力量予測モデルや、情報提供アプリによって得られたユーザ情報や、仮想EVの走行計画等に基づいたEVの充電計画や、EVのプローブ情報を更に用いることで、予測精度を更に向上させることができる。
【0129】
(第5実施形態の変形例)
第5実施形態について説明したがこれに限られない。
例えば、第5実施形態の図14のステップS4においては、仮想EVの走行状況も考慮して、充電施設の混雑状況を判断しているが、構成を簡単化するためには、仮想EVの状況を含めずに充電施設の混雑状況を判断よるように構成しても良い。この場合は、図13で説明した、仮想EV管理部145、仮想EV作成更新部146、仮想EV確度更新部147、仮想EVDB189の構成を省略することができる。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0131】
なお、本実施形態の充電設備混雑状況予測装置100によって実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供することができる。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0132】
また、充電設備混雑状況予測装置100は、単一のコンピュータ装置により構成されてもよいし、あるいは、通信ネットワークを介して、相互に接続された複数のコンピュータ装置からなるシステムとして構成されてもよい。
【符号の説明】
【0133】
10…充電設備混雑状況予測システム、100…充電設備混雑状況予測装置、101…情報入力部、102…画面表示部、103…データ通信部、110…情報処理部、111…制御部、112…地図情報管理部、113…現在充電器情報管理部、114…過去充電器情報管理部、115…SA/PA満空情報管理部、116…充電設備混雑予測部、117…混雑情報作成提供部、121…交通管制情報管理部、122…気象情報管理部、131…EV走行状態管理部、132…消費電力量予測部、141…車両情報管理部、142…消費電力量予測モデル管理部、143…ユーザID登録部、144…サービス利用登録部、145…仮想EV管理部、146…仮想EV作成更新部、147…仮想EV確度更新部、148…充電計画部、150…情報記憶部、151…システムDB、152…地図情報DB、153…現在充電器情報DB、154…過去充電器情報DB、155…休憩施設満空情報DB、156…充電設備混雑予測情報DB、161…交通管制情報DB、162…気象情報DB、171…ETC関連情報DB、172…EV混入率情報DB、173…バッテリ残量情報DB、181…車両情報DB、182…消費電力量予測モデルDB、188…ユーザDB、189…仮想EVDB、191…充電計画DB、200…充電器使用状況管理サーバ、210…休憩施設監視サーバ、220…交通管制システム、230…気象情報管理サーバ、240…料金中央システム、250…車両情報管理サーバ、310…専用線ネットワーク、320…公衆網ネットワーク、410…SA/PAカメラ、411…情報板、412…情報提供端末、413…ITSスポット、420…トラヒックカウンタ、421…本線カメラ、430…ETCゲート、431…ETC路側装置、500…スマートフォン、510…カーナビ
図1
図2
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