(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】サーバ装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241028BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20241028BHJP
B60L 53/80 20190101ALI20241028BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20241028BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241028BHJP
G16Y 40/35 20200101ALI20241028BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/06
B60L53/80
B60L58/18
G16Y10/40
G16Y40/35
(21)【出願番号】P 2021022124
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 祐一
(72)【発明者】
【氏名】深井 由高
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/222015(WO,A1)
【文献】特開平11-150809(JP,A)
【文献】特開2019-004693(JP,A)
【文献】特開2017-050910(JP,A)
【文献】特開2015-011359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B60L 53/80
B60L 58/18
G16Y 10/40
G16Y 40/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を利用して移動可能な車両に対して着脱自在に装着されるバッテリを複数保有するバッテリスタンドのサーバ装置であって、
予め登録された登録車両の識別情報を管理する車両情報管理部と、
前記バッテリの交換を希望するユーザの車両に関する識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記ユーザの前記車両の走行距離及びバッテリ使用量の少なくとも一つの情報である料金関連情報を取得する料金関連情報取得部と、
前記料金関連情報に基づいて前記バッテリの利用料金を算出する料金算出部と、
前記バッテリの交換の許可及び禁止を判定するバッテリ交換判定部と、
前記バッテリスタンドに収容された前記バッテリの取り出しを可能にするロック装置を制御するロック装置管理部と、を備え、
前記料金関連情報取得部は、前記料金関連情報を車両キーデバイスから取得し、
前記識別情報取得部は、前記ユーザの前記識別情報を前記車両キーデバイスから取得し、
前記バッテリ交換判定部は、前記車両キーデバイスから取得した前記識別情報と前記車両情報管理部に登録された前記識別情報とに基づいて前記バッテリの交換の許可及び禁止を判定し、
前記ロック装置管理部は、前記バッテリ交換判定部が前記バッテリの交換を許可した場合に、前記ロック装置を解除する、サーバ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサーバ装置であって、
前記車両情報管理部は、前記識別情報に加えて、前記登録車両に搭載する前記バッテリの数を管理し、
前記ロック装置管理部は、前記バッテリ交換判定部が前記バッテリの交換を許可した場合に、前記バッテリの数に応じて前記ロック装置を解除する、サーバ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサーバ装置であって、
前記料金算出部は、前記登録車両がサブスクリプションサービスの利用者の車両である場合、前記走行距離又は前記バッテリ使用量が契約範囲を超えている場合に、前記利用料金を請求する、サーバ装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のサーバ装置であって、
前記車両情報管理部は、前記識別情報と関連付けて前回のバッテリ交換時の料金関連情報を記憶し、
前記料金算出部は、前記車両キーデバイスから取得した今回のバッテリ交換時の料金関連情報から前記車両情報管理部から取得した前回のバッテリ交換時の料金関連情報を差し引いて前記利用料金を算出する、サーバ装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のサーバ装置であって、
前記料金関連情報取得部は、前記走行距離及び前記バッテリ使用量の両方の情報を取得し、
前記料金算出部は、前記車両キーデバイスから取得した前記走行距離及び前記バッテリ使用量の両方に基づいて前記利用料金を算出する、サーバ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のサーバ装置であって、
前記車両の異常を判定する車両異常判定部をさらに備え、
前記車両異常判定部は、
前記走行距離及び前記バッテリ使用量に基づいて電力消費率を算出し、
前記電力消費率が第1閾値を超えた場合に、前記車両の異常を判定する、サーバ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のサーバ装置であって、
前記車両異常判定部は、
前記車両の異常を判定したとき、前記車両又は前記車両キーデバイスに報知する、サーバ装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のサーバ装置であって、
前記第1閾値は、記憶装置に記憶された情報に基づいて設定される、サーバ装置。
【請求項9】
請求項8に記載のサーバ装置であって、
前記記憶装置に記憶された情報は、サービス利用者における前記登録車両の走行距離及び前記登録車両のバッテリ使用量との相関関係に基づく、サーバ装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のサーバ装置であって、
前記車両と通信して、停車中におけるバッテリ使用量を取得する停車中バッテリ使用量取得部をさらに備え、
前記料金算出部は、前記停車中におけるバッテリ使用量が第2閾値を超えた場合、前記利用料金を加算する、サーバ装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のサーバ装置であって、
前記車両と通信して、前記車両における前記バッテリの取り外しを検知した場合に、前記バッテリの取り外し中におけるバッテリ使用量を取得する取り外し中バッテリ使用量取得部をさらに備え、
前記料金算出部は、前記バッテリの取り外し中におけるバッテリ使用量が第3閾値を超えた場合、前記利用料金を加算する、サーバ装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のサーバ装置であって、
前記車両と通信して、前記バッテリスタンドに案内するスタンド案内部をさらに備え、
前記スタンド案内部は、複数の前記バッテリスタンドのうち、交換可能な前記バッテリを保有する前記バッテリスタンドを前記車両又はユーザに通知する、サーバ装置。
【請求項13】
請求項12に記載のサーバ装置であって、
前記ロック装置管理部は、ユーザが前記バッテリスタンドを指定した場合、他のユーザによる交換対象となる前記バッテリの前記ロック装置の解錠を禁止する、サーバ装置。
【請求項14】
請求項13に記載のサーバ装置であって、
前記ロック装置管理部は、該ユーザの前記車両キーデバイスにより前記交換対象となる前記ロック装置を解錠する、サーバ装置。
【請求項15】
請求項5に記載のサーバ装置であって、
前記バッテリの異常を判定するバッテリ異常判定部をさらに備え、
前記バッテリ異常判定部は、
返却された前記バッテリの充電時に前記バッテリの充電量に基づき前記バッテリの異常を判定する、サーバ装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のサーバ装置であって、
前記車両キーデバイスは、入力部を備え、
前記サーバ装置は、前記入力部に入力された信号に基づいて前記車両キーデバイスとの通信を開始する、サーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリシェアリングサービスに用いられるサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両等の移動体の駆動源であるバッテリ(電池)を着脱式にして、複数の利用者が共同利用するシェアサービスが知られている。このサービスでは、複数の着脱式バッテリの保管及び充電を行うバッテリスタンドが設置されており、当該バッテリスタンドの利用者に対して課金を行う仕組みが構築されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のものでは、バッテリスタンドは、スロット部に挿入された着脱式バッテリから電池使用状態情報を取得し管理サーバに送信し、管理サーバは、利用者が着脱式バッテリを利用した状況に応じて課金を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、バッテリに電池使用状態情報が記憶されていることが求められ、電池使用状態情報が記憶されないバッテリを使用することができなかった。バッテリシェアリングサービスの発展のためには、仕様の異なる多くのバッテリの利用を促進することが求められる。
【0006】
また、近年では、スマートフォン等の携帯端末装置を用いて各種サービスを提供するサーバ装置と通信することが日常的に行われているが、携帯端末装置のバッテリが不足すると、サービスを受けられなくなってしまう。
【0007】
本発明は、バッテリシェアリングサービスにおいて、携帯端末装置を用いずに、且つバッテリの記憶情報に関わらず、バッテリの管理と費用請求を適切に行うことができるサーバ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
電力を利用して移動可能な車両に対して着脱自在に装着されるバッテリを複数保有するバッテリスタンドのサーバ装置であって、
予め登録された登録車両の識別情報を管理する車両情報管理部と、
前記バッテリの交換を希望するユーザの車両に関する識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記ユーザの前記車両の走行距離及びバッテリ使用量の少なくとも一つの情報である料金関連情報を取得する料金関連情報取得部と、
前記料金関連情報に基づいて前記バッテリの利用料金を算出する料金算出部と、
前記バッテリの交換の許可及び禁止を判定するバッテリ交換判定部と、
前記バッテリスタンドに収容された前記バッテリの取り出しを可能にするロック装置を制御するロック装置管理部と、を備え、
前記料金関連情報取得部は、前記料金関連情報を車両キーデバイスから取得し、
前記識別情報取得部は、前記ユーザの前記識別情報を前記車両キーデバイスから取得し、
前記バッテリ交換判定部は、前記車両キーデバイスから取得した前記識別情報と前記車両情報管理部に登録された前記識別情報とに基づいて前記バッテリの交換の許可及び禁止を判定し、
前記ロック装置管理部は、前記バッテリ交換判定部が前記バッテリの交換を許可した場合に、前記ロック装置を解除する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯端末装置を用いずに、且つバッテリの記憶情報に関わらず、適切にバッテリの管理と費用請求を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】バッテリシェアリングシステム1の全体構成を示す図である。
【
図4】車両3に搭載されるバッテリ2などの一例を示す斜視図である。
【
図7】バッテリシェアリングシステム1が行うバッテリ交換処理のフローチャートである。
【
図8】変形例のサーバ装置6の構成を示す図である。
【
図9】変形例のバッテリシェアリングシステム1が行うバッテリ交換処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図7を参照して説明する。
【0012】
[バッテリシェアリングシステム]
図1に示すように、バッテリシェアリングシステム1は、着脱自在なバッテリ2の電力を利用して移動する車両3と、車両3の施錠などを管理する車両キーデバイス4と、バッテリ2を複数保有するバッテリスタンド5と、バッテリスタンド5におけるバッテリ2の交換を管理するサーバ装置6と、車両3のメンテナンスなどを行うディーラが使用するディーラ端末7と、これらを通信可能に接続するネットワーク8と、を備える。
【0013】
[ネットワーク]
ネットワーク8は、近距離無線通信、無線LAN、携帯電話通信網、インターネットなどの通信回線のうち、1つの通信回線、又は複数の通信回線の組み合わせによって、車両3、車両キーデバイス4、バッテリスタンド5、サーバ装置6及びディーラ端末7の相互の通信を可能にする。
【0014】
[車両キーデバイス]
車両キーデバイス4は、車両3に付属する専用キーデバイスである。
図2に示すように、車両キーデバイス4は、ネットワーク8に接続可能な通信部41と、車両3を施錠操作する施錠操作部42と、車両3を解錠操作する解錠操作部43と、バッテリ交換時に操作されるバッテリ交換操作部44と、車両3の識別情報(キーNo.)、バッテリ交換料金に関連する料金関連情報(走行距離及びバッテリ使用量)などを記憶する記憶部45と、を備える。
【0015】
[車両]
車両3は、駆動源と、駆動源の動力によって駆動される駆動輪及び転舵可能な転舵輪を含む車輪と、を有する自動車である。
図3及び
図4に示すように、本実施形態の車両3は、左右一対の前輪31及び後輪32を有する四輪の自動車であり、駆動源は、例えば電動機33である。
【0016】
車両3は、例えば鋼板パネル溶接組立によるモノコック構造を有する骨格部材(不図示)と、骨格部材を覆って車両3の外殻を構成する外殻部材34と、を備える。外殻部材34によって囲まれた空間には、乗員を収容する車室(不図示)や、車室の前方に形成されるモータルーム35が設けられる。
【0017】
モータルーム35には、電動機33と、複数のバッテリ2と、不図示のロック機構と、制御ユニット36と、が収容される。
【0018】
各バッテリ2は、充電可能な二次電池であり、ユーザによって交換可能に構成される。
各バッテリ2は、略直方体であり、それぞれの側面同士が対向するように、車両3の車幅方向(左右方向)に並べて並置されている。これにより、ユーザは、バッテリ2を個別に上方に引き抜くことによって容易に交換することができる。
【0019】
ロック機構は、バッテリ2の着脱をロックする機構であり、例えば、車両キーデバイス4に設けられるバッテリ交換操作部44の短時間操作に応じてロックを解除し、バッテリ2の着脱を許容する。
【0020】
各バッテリ2は、制御ユニット36と接続された正負一対の電極パッド21を有しており、電極パッド21を介して電力の入出力を行う。制御ユニット36は、電動機33を駆動するインバータや、電圧をコントロールする昇圧コンバータなどを含むパワー制御部と、バッテリ2の充電制御などを行うバッテリ制御部と、ネットワーク8に接続可能な通信部と、を備える。バッテリ制御部は、各バッテリ2の使用量(SOC)及び車両3の走行距離を料金関連情報として取得可能であり、取得した料金関連情報を車載ネットワーク等を介して車両キーデバイス4の記憶部45に記憶させる。例えば、車両3を停車して、乗員が車両キーデバイス4を抜くときに料金関連情報を車両キーデバイス4の記憶部45に記憶させる。
【0021】
[バッテリスタンド]
図1に示すように、バッテリスタンド5は、バッテリ2を着脱可能に収容する複数のバッテリ収容部51を備える。バッテリ交換を行うユーザは、ユーザ認証後、バッテリ収容部51から充電済のバッテリ2を取り出し、使用済のバッテリ2をバッテリ収容部51に収容する。
【0022】
図5に示すように、バッテリスタンド5の内部には、ネットワーク8に接続可能な通信部52と、各バッテリ収容部51におけるバッテリ2の着脱をロックする複数のロック装置53と、各バッテリ収容部51に装着されたバッテリ2を充電する充電器54と、車両キーデバイス4を認定するキー認定部55と、を備える。バッテリスタンド5の各部は、サーバ装置6によって管理され、サーバ装置6からの制御指令に応じて動作する。
【0023】
[サーバ装置]
サーバ装置6は、複数のバッテリスタンド5を介して有償のバッテリ交換サービスを行う企業のサーバとして構成され、ハードウェアとして、ネットワーク8に接続可能な通信部、CPU等の演算部、ROM,RAM等の記憶部、その他の周辺回路を含んで構成される。サーバ装置6は、複数のサーバ装置により構成される分散サーバやクラウド環境に作られた分散型の仮想サーバ(クラウドサーバ)であってもよい。なお、有償のバッテリ交換サービスには、走行距離やバッテリ使用量に応じて課金する従量制と、走行距離やバッテリ使用量が契約範囲内である場合に定額でサービスを提供する定額制(以下、適宜、サブスクリプションサービスという場合がある。)と、が含まれる。
【0024】
図6に示すように、サーバ装置6は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される機能構成として、車両情報管理部61、識別情報取得部62、料金関連情報取得部63、料金算出部64、バッテリ交換判定部65、ロック装置管理部66、車両異常判定部67、バッテリ異常判定部68、及びスタンド案内部69を備える。
【0025】
車両情報管理部61は、予め登録された車両3(以下、登録車両3と称する)の識別情報(キーNo.など)を管理する。また、車両情報管理部61は、識別情報と関連付けて、契約内容、決済情報、登録車両3に搭載するバッテリ2の数、前回のバッテリ交換時の料金関連情報などを記憶する。
【0026】
識別情報取得部62は、バッテリ2の交換を希望するユーザの車両3に関する識別情報を車両キーデバイス4から取得する。例えば、バッテリスタンド5の近傍でユーザが車両キーデバイス4のバッテリ交換操作部44を長押し操作すると、バッテリスタンド5のキー認定部55を介して、サーバ装置6と車両キーデバイス4との通信が開始され、車両キーデバイス4に記憶された識別情報がサーバ装置6に送信される。
【0027】
料金関連情報取得部63は、ユーザの車両3の走行距離及びバッテリ使用量の少なくとも一つの情報である料金関連情報を取得する。本実施形態の料金関連情報取得部63には、車両キーデバイス4から、走行距離を取得する走行距離取得部631と、バッテリ使用量を取得するバッテリ使用量取得部632と、が含まれる。
【0028】
料金算出部64は、料金関連情報に基づいてバッテリ2の利用料金を算出する。具体的には、車両キーデバイス4から取得した走行距離及び/又はバッテリ使用量に基づいて利用料金を算出する。また、料金算出部64は、登録車両3がサブスクリプションサービスの利用者の車両3である場合、走行距離又はバッテリ使用量が契約範囲を超えている場合にのみ利用料金を請求する。
【0029】
料金算出部64は、例えば、車両キーデバイス4から取得した今回のバッテリ交換時の料金関連情報から、車両情報管理部61から取得した前回以前のバッテリ交換時の料金関連情報を差し引いて、今回交換するバッテリ2の走行距離又はバッテリ使用量を算出し、この走行距離又はバッテリ使用量に基づいて利用料金を算出する。ユーザの契約が従量制の場合、算出した利用料金をユーザに請求し、ユーザの契約がブスクリプションサービスである場合、算出した走行距離又はバッテリ使用量が契約範囲を超えた場合に、算出した利用料金のうちの一部又は全部を加算料金としてユーザに請求する。
【0030】
バッテリ交換判定部65は、バッテリ2の交換の許可及び禁止を判定する。例えば、車両キーデバイス4から取得した識別情報と車両情報管理部61に登録された識別情報とに基づいてバッテリ2の交換の許可及び禁止を判定する。
【0031】
ロック装置管理部66は、バッテリスタンド5に収容されたバッテリ2の取り出しを可能にするロック装置53を制御する。ロック装置管理部66は、バッテリ交換判定部65がバッテリ2の交換を許可した場合に、ロック装置53を解除する。このとき、ロック装置管理部66は、車両情報管理部61に記憶される登録車両3のバッテリ2の数に基づき、同数のロック装置53を解除する。
【0032】
また、ロック装置管理部66は、スタンド案内部69の案内に応じて、ユーザが利用するバッテリスタンド5を指定した場合、他のユーザによる交換対象となるロック装置53の解錠を禁止する予約処理を行う。その後、ロック装置管理部66は、予約したユーザの車両キーデバイス4から識別情報を取得したとき、予約処理されたロック装置53を解錠する。
【0033】
車両異常判定部67は、車両キーデバイス4から取得した走行距離及びバッテリ使用量(又はバッテリスタンド5から取得した使用済みバッテリ2のバッテリ残量)に基づいて電力消費率(以下、適宜、電費という場合がある。)を算出し、電力消費率が第1閾値を超えた場合に、車両3の異常を判定する。車両異常判定部67は、車両3の異常を判定したとき、車両3、車両キーデバイス4、及びディーラ端末7に異常を報知する。第1閾値は、記憶部に記憶された情報に基づいて設定される。記憶部に記憶された情報は、例えば、複数のサービス利用者における登録車両3の走行距離及び登録車両3のバッテリ使用量との相関関係に基づく情報である。実際の使用状況に応じた閾値が設定されることで、車両異常の検出精度を高めることができる。
【0034】
バッテリ異常判定部68は、返却されたバッテリ2の充電時にバッテリ2の充電量に基づきバッテリ2の異常を判定する。異常と判断されたバッテリ2を収容するバッテリ収容部51のロック装置53はロック解除が禁止される。
【0035】
スタンド案内部69は、車両3と通信してバッテリスタンド5に案内する。この案内を行うのは、車両3に設けられるナビゲーション装置上でもよいし、車両3のユーザが所持する携帯端末上であってもよい。スタンド案内部69は、複数のバッテリスタンド5のうち、交換可能なバッテリ2を保有するバッテリスタンド5を車両3又はユーザに通知するとともに、バッテリ2の予約を受け付ける。
【0036】
[バッテリ交換処理手順]
つぎに、バッテリシェアリングシステム1が行うバッテリ交換処理の処理手順について、
図7を参照して説明する。
【0037】
バッテリ交換を希望するユーザは、車両3でバッテリスタンド5に向かう。なお、自宅で駐車中にバッテリ2が充電切れとなったり、バッテリスタンド5に向かう途中でバッテリ2が充電切れとなった場合は、車両3からバッテリ2を取り外し、バッテリ2と車両キーデバイス4を持ってバッテリスタンド5に向かう。
【0038】
ユーザは、バッテリスタンド5に着いたら、車両キーデバイス4のバッテリ交換操作部44を長押し操作する。サーバ装置6は、バッテリスタンド5のキー認定部55を介して、車両キーデバイス4から操作信号を受け取ると、車両キーデバイス4に記憶された識別情報及び料金関連情報を受信し、ユーザ認証としてキーNo.の照合を行い(S101)、その結果が不一致の場合は、バッテリ交換処理を終了する。
【0039】
サーバ装置6は、キーNo.が一致した場合、前回バッテリ交換後の走行距離を算出するとともに(S102)、ユーザがサブスクリプションサービスを利用しているか否かを判断し(S103)、この判断結果がNOの場合は、走行距離やバッテリ使用量に応じて利用料金の算出を行う(S104:従量制の料金算出)。サーバ装置6は、ユーザがサブスクリプションサービスを利用していると判断した場合は、走行距離が契約距離以下であるか否かを判断し(S105)、この判断結果がNOの場合は、走行距離やバッテリ使用量に応じて加算料金の算出を行う(S104:定額制の加算料金算出)。サーバ装置6は、ユーザがサブスクリプションサービスを利用し、且つ、走行距離が契約距離以下であると判断した場合は、契約バッテリ数分のロック装置53を解除するように、バッテリスタンド5にロック解除指令を送信する(S106)。また、S104で算出した利用料金等が支払われた場合も、同様にロック解除指令を送信する。
【0040】
バッテリスタンド5は、サーバ装置6からロック解除指令を受信すると、契約バッテリ数分のロック装置53を解除し(S107)、また、バッテリ2の交換が行われると、使用済みバッテリ2のバッテリ残量を取得し、サーバ装置6に送信する(S108)。
【0041】
サーバ装置6は、バッテリスタンド5から使用済みバッテリ2のバッテリ残量を受信すると、バッテリ残量及び走行距離に基づいて電費を算出するとともに(S109)、算出した電費が第1閾値を超えたか否かを判断し(S110)、この判断結果がYESの場合は、車両3の異常であると判断し(S111)、車両3やディーラ端末7に異常通知を送信する(S112、S113)。
【0042】
サーバ装置6は、電費が第1閾値を超えていないと判断した場合、バッテリスタンド5に使用済みバッテリ2の充電指令を送信し、これを受信したバッテリスタンド5は、使用済みバッテリ2の充電を実行する(S114)。その後、バッテリスタンド5は、充電したバッテリ2の充電量が所定値未満であるか否かを判断し(S115)、この判断結果がNOの場合は、バッテリ2が正常であると判定し(S116)、貸し出し可能な充電済のバッテリ2として取り扱う。また、バッテリスタンド5は、充電したバッテリ2の充電量が所定値未満であると判断した場合、バッテリ2が劣化していると判定し(S117)、劣化通知をサーバ装置6に送る(S118)。サーバ装置6は、バッテリスタンド5から劣化通知を受信すると、劣化対応処理として、劣化したバッテリ2のロック指令をバッテリスタンド5に送信するとともに、ディーラ端末7に劣化情報を送信する(S119)。バッテリスタンド5は、ロック指令を受信すると、そのバッテリ2のロック解除を禁止する(S120)。
【0043】
以上説明したように、識別情報取得部62は識別情報を車両キーデバイス4から取得するとともに、料金関連情報取得部63は料金関連情報を車両キーデバイス4から取得する。したがって、スマートフォン等の携帯端末装置を用いずにバッテリ交換を行うことができるので、携帯端末装置のバッテリ切れ等によらず、車両3の運転に必要な車両キーデバイス4のみを携帯していれば、バッテリの交換を行うことができる。また、サーバ装置6は、車両キーデバイス4から取得した識別情報に基づいて登録車両であるか否かの判定を行い、且つ、車両キーデバイス4から取得した料金関連情報に基づいてバッテリ2の利用料金を算出するので、バッテリ2の記憶情報に関わらず、適切にバッテリの管理と費用請求を行うことができる。
【0044】
[変形例のサーバ装置]
つぎに、変形例のバッテリシェアリングシステム1及びサーバ装置6について、
図8及び
図9を参照して説明する。ただし、上述の実施形態との相違点について説明し、上述の実施形態と共通の構成については、上述の実施形態と同じ符号を用いることにより、上述の実施形態の説明を援用する場合がある。
【0045】
図8及び
図9に示すように、変形例のサーバ装置6は、料金関連情報取得部63が、車両3と通信して、停車中におけるバッテリ使用量を取得する停車中バッテリ使用量取得部634と、車両3におけるバッテリ2の取り外しを検知した場合に、バッテリ2の取り外し中におけるバッテリ使用量を取得する取り外し中バッテリ使用量取得部635と、を含む点が上述の実施形態と相違している。
【0046】
また、変形例のサーバ装置6は、料金算出部64が、停車中におけるバッテリ使用量が第2閾値を超えた場合、利用料金を加算する点や、バッテリ2の取り外し中におけるバッテリ使用量が第3閾値を超えた場合、利用料金を加算する点も上述の実施形態と相違している。このような変形例によれば、停車中におけるバッテリ使用量や取り外し中のバッテリ使用量を考慮した適切な使用料金を算出することができる。
【0047】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0048】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0049】
(1) 電力を利用して移動可能な車両(車両3)に対して着脱自在に装着されるバッテリ(バッテリ2)を複数保有するバッテリスタンド(バッテリスタンド5)のサーバ装置(サーバ装置6)であって、
予め登録された登録車両の識別情報を管理する車両情報管理部(車両情報管理部61)と、
前記バッテリの交換を希望するユーザの車両(車両3)に関する識別情報を取得する識別情報取得部(識別情報取得部62)と、
前記ユーザの前記車両の走行距離及びバッテリ使用量の少なくとも一つの情報である料金関連情報を取得する料金関連情報取得部(料金関連情報取得部63)と、
前記料金関連情報に基づいて前記バッテリの利用料金を算出する料金算出部(料金算出部64)と、
前記バッテリの交換の許可及び禁止を判定するバッテリ交換判定部(バッテリ交換判定部65)と、
前記バッテリスタンドに収容された前記バッテリの取り出しを可能にするロック装置(ロック装置53)を制御するロック装置管理部(ロック装置管理部66)と、を備え、
前記料金関連情報取得部は、前記料金関連情報を車両キーデバイス(車両キーデバイス4)から取得し、
前記識別情報取得部は、前記ユーザの前記識別情報を前記車両キーデバイスから取得し、
前記バッテリ交換判定部は、前記車両キーデバイスから取得した前記識別情報と前記車両情報管理部に登録された前記識別情報とに基づいて前記バッテリの交換の許可及び禁止を判定し、
前記ロック装置管理部は、前記バッテリ交換判定部が前記バッテリの交換を許可した場合に、前記ロック装置を解除する、サーバ装置。
【0050】
(1)によれば、サーバ装置は、車両キーデバイスから取得した識別情報に基づいて登録車両であるか否かの判定を行い、且つ、車両キーデバイスから取得した料金関連情報に基づいてバッテリの利用料金を算出するので、バッテリの記憶情報に関わらず、適切にバッテリの管理と費用請求を行うことができる。一方、サーバ装置が提供するバッテリシェアリングサービスを利用するユーザは、車両購入の際に、バッテリの費用を負担する必要がなく、車両の購入費用を低く抑えることができる。
また、識別情報及び料金関連情報は車両キーデバイスに記憶されるので、ユーザは、携帯端末装置が無くてもバッテリの交換を行うことができる。
【0051】
(2) (1)に記載のサーバ装置であって、
前記車両情報管理部は、前記識別情報に加えて、前記登録車両に搭載する前記バッテリの数を管理し、
前記ロック装置管理部は、前記バッテリ交換判定部が前記バッテリの交換を許可した場合に、前記バッテリの数に応じて前記ロック装置を解除する、サーバ装置。
【0052】
(2)によれば、バッテリの交換をスムーズに行うことができる。
【0053】
(3) (1)又は(2)に記載のサーバ装置であって、
前記料金算出部は、前記登録車両がサブスクリプションサービスの利用者の車両である場合、前記走行距離又は前記バッテリ使用量が契約範囲を超えている場合に、前記利用料金を請求する、サーバ装置。
【0054】
(3)によれば、サブスクリプションサービスの利用者は、走行距離又はバッテリ使用量が契約で定められた契約範囲内で自由にバッテリの交換を行うことができる。
【0055】
(4) (1)~(3)のいずれかに記載のサーバ装置であって、
前記車両情報管理部は、前記識別情報と関連付けて前回のバッテリ交換時の料金関連情報を記憶し、
前記料金算出部は、前記車両キーデバイスから取得した今回のバッテリ交換時の料金関連情報から前記車両情報管理部から取得した前回のバッテリ交換時の料金関連情報を差し引いて前記利用料金を算出する、サーバ装置。
【0056】
(4)によれば、車両キーデバイスには、識別情報と今回のバッテリ交換時の料金関連情報が入っていればよいので、車両キーデバイスが大型化するのを抑制できる。
【0057】
(5) (1)~(4)のいずれかに記載のサーバ装置であって、
前記料金関連情報取得部は、前記走行距離及び前記バッテリ使用量の両方の情報を取得し、
前記料金算出部は、前記車両キーデバイスから取得した前記走行距離及び前記バッテリ使用量の両方に基づいて前記利用料金を算出する、サーバ装置。
【0058】
(5)によれば、走行距離及びバッテリ使用量の両方に基づいて利用料金を算出することで、より適切に利用料金を算出することができる。
【0059】
(6) (5)に記載のサーバ装置であって、
前記車両の異常を判定する車両異常判定部(車両異常判定部67)をさらに備え、
前記車両異常判定部は、
前記走行距離及び前記バッテリ使用量に基づいて電力消費率を算出し、
前記電力消費率が第1閾値を超えた場合に、前記車両の異常を判定する、サーバ装置。
【0060】
(6)によれば、電力消費率が悪い場合に車両の異常を判定できるので、車両の不具体を早期に発見することができる。
【0061】
(7) (6)に記載のサーバ装置であって、
前記車両異常判定部は、
前記車両の異常を判定したとき、前記車両又は前記車両キーデバイスに報知する、サーバ装置。
【0062】
(7)によれば、ユーザは車両異常を認識することができる。
【0063】
(8) (6)又は(7)に記載のサーバ装置であって、
前記第1閾値は、記憶装置に記憶された情報に基づいて設定される、サーバ装置。
【0064】
(8)によれば、バッテリの種類に応じて適切な閾値を設定することができる。
【0065】
(9) (8)に記載のサーバ装置であって、
前記記憶装置に記憶された情報は、サービス利用者における前記登録車両の走行距離及び前記登録車両のバッテリ使用量との相関関係に基づく、サーバ装置。
【0066】
(9)によれば、実際の使用状況に応じた閾値が設定されるので、車両異常の検出精度を高めることができる。
【0067】
(10) (1)~(9)のいずれかに記載のサーバ装置であって、
前記車両と通信して、停車中におけるバッテリ使用量を取得する停車中バッテリ使用量取得部(停車中バッテリ使用量取得部634)をさらに備え、
前記料金算出部は、前記停車中におけるバッテリ使用量が第2閾値を超えた場合、前記利用料金を加算する、サーバ装置。
【0068】
(10)によれば、停車中におけるバッテリ使用量が考慮されるので、より適切に利用料金を算出することができる。
【0069】
(11) (1)~(10)のいずれかに記載のサーバ装置であって、
前記車両と通信して、前記車両における前記バッテリの取り外しを検知した場合に、前記バッテリの取り外し中におけるバッテリ使用量を取得する取り外し中バッテリ使用量取得部(取り外し中バッテリ使用量取得部635)をさらに備え、
前記料金算出部は、前記バッテリの取り外し中におけるバッテリ使用量が第3閾値を超えた場合、前記利用料金を加算する、サーバ装置。
【0070】
(11)によれば、車両からバッテリを取り外して他の車両等に使用した場合であっても実際のバッテリ使用量が考慮されるので、より適切に利用料金を算出することができる。
【0071】
(12) (1)~(11)のいずれかに記載のサーバ装置であって、
前記車両と通信して、前記バッテリスタンドに案内するスタンド案内部(スタンド案内部69)をさらに備え、
前記スタンド案内部は、複数の前記バッテリスタンドのうち、交換可能な前記バッテリを保有する前記バッテリスタンドを前記車両又はユーザに通知する、サーバ装置。
【0072】
(12)によれば、ユーザは交換可能なバッテリを保有するバッテリスタンドを予め知ることができるので、利便性が向上する。
【0073】
(13) (12)に記載のサーバ装置であって、
前記ロック装置管理部は、ユーザが前記バッテリスタンドを指定した場合、他のユーザによる交換対象となる前記バッテリの前記ロック装置の解錠を禁止する、サーバ装置。
【0074】
(13)によれば、ユーザが指定したバッテリスタンドで、バッテリが既に借りられているといった事象を回避できる。
【0075】
(14) (13)に記載のサーバ装置であって、
前記ロック装置管理部は、該ユーザの前記車両キーデバイスにより前記交換対象となる前記ロック装置を解錠する、サーバ装置。
【0076】
(14)によれば、ユーザは、専用のカード、携帯端末装置が無くてもバッテリの交換を行うことができ、利便性が向上する。
【0077】
(15) (5)に記載のサーバ装置であって、
前記バッテリの異常を判定するバッテリ異常判定部(バッテリ異常判定部68)をさらに備え、
前記バッテリ異常判定部は、
返却された前記バッテリの充電時に前記バッテリの充電量に基づき前記バッテリの異常を判定する、サーバ装置。
【0078】
(15)によれば、バッテリスタンドにおいてバッテリの劣化、故障等を認識することができるので、異常のあるバッテリをユーザに貸し出すことを回避できる。
【0079】
(16) (1)~(15)のいずれかに記載のサーバ装置であって、
前記車両キーデバイスは、入力部(バッテリ交換操作部44)を備え、
前記サーバ装置は、前記入力部に入力された信号に基づいて前記車両キーデバイスとの通信を開始する、サーバ装置。
【0080】
(16)によれば、車両キーデバイスの入力部に入力された信号に基づいて車両キーデバイスとの通信を開始することで、ユーザが望むタイミングでロック装置を解除できる。
【符号の説明】
【0081】
2 バッテリ
3 車両
4 車両キーデバイス
44 バッテリ交換操作部
5 バッテリスタンド
53 ロック装置
6 サーバ装置
61 車両情報管理部
62 識別情報取得部
63 料金関連情報取得部
64 料金算出部
65 バッテリ交換判定部
66 ロック装置管理部
67 車両異常判定部
68 バッテリ異常判定部
69 スタンド案内部
634 停車中バッテリ使用量取得部
635 取り外し中バッテリ使用量取得部