(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】光半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 31/02 20060101AFI20241028BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20241028BHJP
【FI】
H01L31/02 B
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2021024461
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】西尾 文孝
(72)【発明者】
【氏名】高塚 雅嗣
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0131195(US,A1)
【文献】米国特許第09793427(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第103548148(CN,A)
【文献】特開2018-142680(JP,A)
【文献】特開2018-181869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/0392
H01L 31/08-31/119
H01L 31/18-31/20
H10K 30/00-99/00
H01L 33/00-33/64
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面、及び前記第1表面とは反対側の第2表面を有する配線基板と、
前記第1表面と向かい合うように配置され、前記第1表面との間に収容空間を画定するカバーと、
前記第1表面上に配置され、前記収容空間に位置する光半導体素子と、
前記第2表面上に配置された複数の電極と、
前記第2表面上に配置され、少なくとも前記複数の電極の間に位置するレジスト層と、を備え、
前記配線基板には、前記第1表面と前記第2表面との間を貫通する通気孔が形成されており、
前記第2表面は、前記レジスト層が配置された配置領域と、前記レジスト層が配置されていない非配置領域と、を有し、
前記非配置領域は、前記通気孔が配置された第1領域と、前記第1領域から前記第2表面の縁に至る第2領域と、を含んでいる、光半導体装置。
【請求項2】
前記第2表面は、複数の縁を有し、
前記第2領域は、前記複数の縁のうち前記通気孔に最も近い縁以外の縁に至っている、請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記複数の電極は、前記通気孔に最も近い前記縁に沿って配置された電極を含んでいる、請求項2に記載の光半導体装置。
【請求項4】
前記第2表面は、複数の縁を有し、
前記第2領域は、前記複数の縁のうち前記通気孔から最も遠い縁に至っている、請求項1~3のいずれか一項に記載の光半導体装置。
【請求項5】
前記第1表面上に配置され、前記光半導体装置に電気的に接続された電極パッドを更に備え、
前記電極パッドは、前記配線基板の厚さ方向において前記非配置領域と重ならない位置に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の光半導体装置。
【請求項6】
前記非配置領域の面積は、前記第2表面の面積の40%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の光半導体装置。
【請求項7】
前記第2領域は、前記第1領域の幅よりも狭い幅を有する部分を含んでいる、請求項1~6のいずれか一項に記載の光半導体装置。
【請求項8】
前記第2表面において前記複数の電極が配置された領域の面積は、前記第2表面の面積の15%以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の光半導体装置。
【請求項9】
前記第1領域は、複数の角部を有する多角形状に形成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の光半導体装置。
【請求項10】
前記複数の角部は、前記複数の電極のうち前記通気孔から最も近い位置に配置された電極に向けて突出した角部を含んでいる、請求項9に記載の光半導体装置。
【請求項11】
前記第2領域は、第1領域から延在する延在部と、前記延在部の幅よりも広い幅を有する拡幅部と、を含んでいる、請求項1~10のいずれか一項に記載の光半導体装置。
【請求項12】
前記拡幅部は、前記第2表面の中心を通る直線に関して前記第1領域と対称な位置に配置されている、請求項11に記載の光半導体装置。
【請求項13】
前記拡幅部は、前記第2表面の中心を通る直線に関して前記第1領域と対称な形状を有している、請求項11又は12に記載の光半導体装置。
【請求項14】
前記通気孔と前記複数の電極のうち前記通気孔から最も近い位置に配置された電極との間の距離は、前記通気孔と前記第2表面の中心との間の距離よりも短い、請求項1~13のいずれか一項に記載の光半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された半導体装置は、絶縁性基板と、絶縁性基板上に配置された半導体素子及び補強リングと、半導体素子及び補強リング上に配置されたキャップと、を備えており、半導体装置の側面に通気孔が形成されている。この半導体装置では、通気孔が形成されていることにより、半導体装置の内部が高圧化することが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の半導体装置では、通気孔が半導体装置の側面に形成されている。これは、通気孔を絶縁性基板に形成すると、半導体装置をプリント基板にハンダにより実装する際にフラックスが通気孔に侵入してしまい、通気性が低下するおそれがあるためである。一方、通気孔が半導体装置の側面に形成されている場合、例えば絶縁性基板の切断時等に、通気孔から異物が混入するおそれがある。信頼性の確保の観点から、そのような異物の混入は抑制されることが好ましい。
【0005】
本発明は、信頼性を確保することができると共に、フラックスの通気孔への侵入を抑制することができる光半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光半導体装置は、第1表面、及び第1表面とは反対側の第2表面を有する配線基板と、第1表面と向かい合うように配置され、第1表面との間に収容空間を画定するカバーと、第1表面上に配置され、収容空間に位置する光半導体素子と、第2表面上に配置された複数の電極と、第2表面上に配置され、少なくとも複数の電極の間に位置するレジスト層と、を備え、配線基板には、第1表面と第2表面との間を貫通する通気孔が形成されており、第2表面は、レジスト層が配置された配置領域と、レジスト層が配置されていない非配置領域と、を有し、非配置領域は、通気孔が配置された第1領域と、第1領域から第2表面の縁に至る第2領域と、を含んでいる。
【0007】
この光半導体装置では、配線基板に通気孔が形成されている。これにより、例えば配線基板の切断時等に通気孔から異物が混入することを抑制することができ、信頼性を確保することができる。また、配線基板の第2表面が、レジスト層が配置された配置領域と、レジスト層が配置されていない非配置領域と、を有し、非配置領域が、通気孔が配置された第1領域と、第1領域から第2表面の縁に至る第2領域と、を含んでいる。非配置領域にはフラックスが流れ込み難いことから、第1領域に通気孔が配置されていることで、通気孔へのフラックスの侵入を抑制することができる。また、第1領域から第2表面の縁に至る第2領域が設けられているため、外部から第2領域に空気が流れ込み易く、その結果、流れ込む空気によって通気孔へのフラックスの侵入を抑制することができる。更に、第1領域から第2表面の縁に至る第2領域が設けられており、収容空間が通気孔及び非配置領域を介して外部と接続されるため、熱による膨張収縮及び結露に対する信頼性を高めることができる。よって、この光半導体装置によれば、信頼性を確保することができると共に、フラックスの通気孔への侵入を抑制することができる。
【0008】
第2表面は、複数の縁を有し、第2領域は、複数の縁のうち通気孔に最も近い縁以外の縁に至っていてもよい。この場合、通気孔へのフラックスの侵入を効果的に抑制することができる。
【0009】
複数の電極は、通気孔に最も近い縁に沿って配置された電極を含んでいてもよい。この光半導体装置によれば、そのような場合でも、通気孔へのフラックスの侵入を抑制することができる。
【0010】
第2表面は、複数の縁を有し、第2領域は、複数の縁のうち通気孔から最も遠い縁に至っていてもよい。この場合、通気孔へのフラックスの侵入を効果的に抑制することができる。
【0011】
第1表面上に配置され、光半導体装置に電気的に接続された電極パッドを更に備え、電極パッドは、配線基板の厚さ方向において非配置領域と重ならない位置に配置されていてもよい。この場合、第2表面における電極パッドに対応する位置にレジスト層が配置されるため、電極パッドにワイヤ又はバンプ等を良好に接続することができる。
【0012】
非配置領域の面積は、第2表面の面積の40%以下であってもよい。この場合、フラックスが流れ込む領域としての配置領域の面積を確保することができ、通気孔へのフラックスの侵入を効果的に抑制することができる。
【0013】
第2領域は、第1領域の幅よりも狭い幅を有する部分を含んでいてもよい。この場合、通気孔に近い第1領域では非配置領域の幅を確保しつつ、通気孔から遠い位置においては配置領域の面積を確保することができ、通気孔へのフラックスの侵入を効果的に抑制することができる。
【0014】
第2表面において複数の電極が配置された領域の面積は、第2表面の面積の15%以上であってもよい。第2表面において複数の電極が配置された領域の面積が大きい場合、通気孔にフラックスが侵入する事態が生じ易いが、この光半導体装置によれば、そのような場合でも、通気孔へのフラックスの侵入を抑制することができる。
【0015】
第1領域は、複数の角部を有する多角形状に形成されていてもよい。この場合、例えば第1領域が円形状に形成されている場合と比べて、通気孔へのフラックスの侵入を効果的に抑制することができる。
【0016】
複数の角部は、複数の電極のうち通気孔から最も近い位置に配置された電極に向けて突出した角部を含んでいてもよい。この場合、当該電極側から角部に到達したフラックスが角部の両側に流れ易くなるため、通気孔へのフラックスの侵入を効果的に抑制することができる。
【0017】
第2領域は、第1領域から延在する延在部と、延在部の幅よりも広い幅を有する拡幅部と、を含んでいてもよい。この場合、拡幅部側から第2領域にフラックスが侵入した場合でも、フラックスによって第2領域が塞がれてしまう事態を抑制することができる。
【0018】
拡幅部は、第2表面の中心を通る直線に関して第1領域と対称な位置に配置されていてもよい。この場合、実装時におけるフラックスの流れを対称化することができ、実装時における位置ずれの発生を抑制することができる。
【0019】
拡幅部は、第2表面の中心を通る直線に関して第1領域と対称な形状を有していてもよい。この場合、実装時における位置ずれの発生を一層抑制することができる。
【0020】
通気孔と複数の電極のうち通気孔から最も近い位置に配置された電極との間の距離は、通気孔と第2表面の中心との間の距離よりも短くてもよい。通気孔と通気孔から最も近い位置に配置された電極との間の距離が短い場合、通気孔にフラックスが侵入する事態が生じ易いが、この光半導体装置によれば、そのような場合でも、通気孔へのフラックスの侵入を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、信頼性を確保することができると共に、フラックスの通気孔への侵入を抑制することができる光半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る光半導体装置の断面図である。
【
図2】(a)は、光半導体装置をX方向から見た場合の側面図であり、(b)は、光半導体装置をY方向から見た場合の側面図である。
【
図4】
図1のIV-IV線に沿っての断面図である。
【
図5】(a)は、第1変形例に係る光半導体装置の底面図であり、(b)は、第2変形例に係る光半導体装置の底面図である。
【
図6】第3変形例に係る光半導体装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0024】
図1~
図4に示されるように、光半導体装置1は、配線基板2と、カバー3と、光半導体素子4aと、読出素子4bと、複数の電極5と、レジスト層6と、を備えている。配線基板2は、本体部21と側壁部22とを有している。
【0025】
本体部21は、矩形板状に形成されており、第1表面23と、第1表面23とは反対側の第2表面24と、を有している。第1表面23及び第2表面24は、例えば、互いに平行な平坦面である。第2表面24は長方形状であり、4つの縁24a,24b,24c,24dを有している。縁24a,24bは、互いに向かい合い、第2表面24の短辺を構成している。縁24c,24dは、互いに向かい合い、第2表面24の長辺を構成している。以下、縁24a,24bに平行な方向をY方向とし、縁24c,24dに平行な方向をX方向として説明する。
【0026】
側壁部22は、第1表面23の縁に沿うように第1表面23上に配置されており、配線基板2の厚さ方向D(第1表面23及び第2表面24に垂直な方向)から見た場合に矩形枠状を呈している。配線基板2は、例えば、共にガラスエポキシ樹脂からなる本体部21と側壁部22とを積層することによって形成されている。
【0027】
本体部21には、第1表面23と第2表面24との間を厚さ方向Dに沿って貫通する通気孔25が形成されている。通気孔25は、例えば円形状の断面を有する空気孔であり、第1表面23及び第2表面24に開口している。通気孔25は、厚さ方向Dから見た場合に、縁24aよりも縁24bに近く、かつ縁24cよりも縁24dに近い位置に形成されている。通気孔25と縁24a,24b,24c,24dとの間の距離をそれぞれ距離L1,L2,L3,L4とすると、距離L1~距離L4は、L1>L3>L4>L2の関係を有し、縁24a~24dの中で縁24aが通気孔25から最も遠く、縁24bが通気孔25に最も近い。なお、距離L3は距離L4よりも短くてもよいし、距離L4と等しくてもよい。
【0028】
カバー3は、第1表面23と向かい合うように配置された蓋部材であり、第1表面23との間に収容空間(キャビティ)Sを画定している。カバー3は、例えば、ガラス等の光透過性を有する材料により、矩形板状に形成されている。カバー3は、側壁部22の開口22aを塞ぐように側壁部22の頂面22b上に配置されており、接着剤31により頂面22bに固定されている。これにより、カバー3と頂面22bとの間は気密に封止されている。収容空間Sは、本体部21、側壁部22及びカバー3によって画定されている。収容空間Sは、通気孔25を介して光半導体装置1の外部と連通している。
【0029】
光半導体素子4a及び読出素子4bは、第1表面23上に配置されており、収容空間Sに位置している。光半導体素子4aは、例えば、アバランシェフォトダイオード(APD)等の受光素子(光検出素子)であり、受光部が半導体基板に作り込まれた半導体チップである。読出素子4bは、光半導体素子4aから信号を読み出すための読出し回路を構成する素子である。光半導体素子4a及び読出素子4bは、ダイボンド樹脂32により第1表面23上に固定されている。光半導体素子4aと読出素子4bとは、Y方向において向かい合うように、離間して配置されている。
【0030】
光半導体素子4a及び読出素子4bの各々の上面には、複数の電極パッド41が設けられている。これらの電極パッド41は、それぞれ、第1表面23上に配置された複数の電極パッド11にワイヤ12を介して電気的に接続されている。複数の電極パッド11は、読出素子4bの周辺に並んで配置された電極パッド11aと、光半導体素子4aと読出素子4bとの間に並んで配置された電極パッド11bと、を含んでいる。電極パッド11aは、第1表面23上に配置された配線13を介して、後述する電極5に電気的に接続されている。電極パッド11bは、光半導体素子4a及び読出素子4bの各々の電極パッド41にワイヤ12を介して電気的に接続されている。光半導体素子4aと読出素子4bとは、電極パッド11b及びワイヤ12を介して互いに電気的に接続されている。
【0031】
光半導体素子4a及び読出素子4bの各々の底面からは、配線14が引き出されている。配線14は、底面において光半導体素子4a及び読出素子4bに電気的に接続されており、光半導体素子4a及び読出素子4bから第2表面24の縁に向かって延在している。配線14は、後述する電極5に電気的に接続されている。
【0032】
複数の電極5は、配線基板2の表面上に形成された金属層(メタライズ層)であり、光半導体素子4a及び読出素子4bと外部との間の電気的な接続のために設けられている。
図2及び
図3では、電極5が配置された領域がハッチングで示されている。各電極5は、第1部分51と第2部分52とを有している。第1部分51は、略矩形状に形成されており、第2表面24上に配置されている。第1部分51は、第2表面24の縁24a~24dの各々に沿って等間隔で並んでいる。第2部分52は、略矩形状に形成されており、第1部分51から厚さ方向Dに沿って延在するように、配線基板2の本体部21の側面21a上に配置されている。第2部分52には、上述した配線13又は配線14が電気的に接続されている。すなわち、複数の電極5は、配線13又は配線14を介して光半導体素子4a及び読出素子4bに電気的に接続された電極5を含んでいる。複数の電極5は、光半導体素子4a及び読出素子4bに電気的に接続されていない電極5を含んでいてもよい。
【0033】
レジスト層6は、第2表面24上に配置されている。
図3では、レジスト層6が配置された領域が破線のハッチングで示されている。レジスト層6は、ハンダに対して低い濡れ性を有する絶縁性材料により、層状に形成されている。レジスト層6は、電極5同士の間の絶縁性を確保するために、少なくとも複数の電極5の間に位置している。すなわち、レジスト層6は、隣り合う電極5の間の領域に配置された部分6aを有している。
【0034】
配線基板2の第2表面24は、レジスト層6が配置された配置領域61と、レジスト層6が配置されていない非配置領域62と、を有している。すなわち、通常、レジスト層6は第2表面24の全面にわたって配置されるが、光半導体装置1では、レジスト層6が配置されていない非配置領域62が設けられている。上述したとおり、配置領域61は、隣り合う電極5の間の領域を含んでいる。
【0035】
非配置領域62は、第1領域63と第2領域64とを含んでいる。第1領域63には通気孔25が配置されている。第1領域63は、複数の角部を有する多角形状(この例では略六角形状)に形成されている。当該複数の角部は、電極5Aに向けて突出した角部63sを含んでいる。電極5Aは、複数の電極5のうち、通気孔25から最も近い位置に配置された電極である。電極5Aの第1部分51は、通気孔25と縁24bとの間に配置されている。角部63sは、電極5Aに対応して配置されており、X方向において電極5Aと向かい合っている。通気孔25は、第1領域63の内側に配置されており、第1領域63の全ての縁から離間している。通気孔25と電極5Aとの間の距離は、通気孔25と第2表面24の中心Cとの間の距離よりも短い。
【0036】
第2領域64は、第1領域63から第2表面24の縁24aに至るように延在している。すなわち、第2領域64は、第2表面24の縁24a~24dのうち、通気孔25から最も遠い縁24aに至っている。第2領域64は、第1領域63に接続された第1延在部65と、第1延在部65に接続された拡幅部66と、拡幅部66から縁24aに至るように延在する第2延在部67と、を含んでいる。
【0037】
第1延在部65は、第1領域63からX方向に沿って直線状に延在している。拡幅部66は、第2表面24の中心Cを通りY方向に平行な直線に関して第1領域63と対称な位置に配置されており、当該直線に関して第1領域63と対称な形状を有している。第2延在部67は、第1部分67aと第2部分67bとを含んでいる。第1部分67aは、拡幅部66と第2部分67bとの間をX方向に沿って直線状に延在している。第2部分67bは、電極5よりも一回り大きな矩形状の領域であり、第2部分67b内には1つの電極5(第1部分51)が配置されている。第2部分67bは、縁24aに至っている。他の電極5についても同様に、レジスト層6が配置されていない矩形状の領域内に配置されている。
【0038】
非配置領域62における第2延在部67を除く部分は、第2表面24の中心Cを通りY方向に平行な直線に関して対称な形状を有している。第1延在部65の幅W2は、第1領域63の幅W1よりも狭い。第1延在部65の幅W2とは、第1延在部65の延在方向(この例ではX方向)に垂直な方向における第1延在部65の長さ(最大長さ)である。第1領域63の幅W1とは、第1延在部65の延在方向に垂直な方向における第1領域63の長さ(最大長さ)である。第2延在部67の幅(第1部分67a及び第2部分67bの各々の幅)は、第1領域63の幅W1よりも狭い。上述したとおりこの例では拡幅部66の幅は第1領域63の幅W1と等しく、第1延在部65の幅W2よりも広い。拡幅部66の幅とは、第1延在部65の延在方向に垂直な方向における拡幅部66の長さ(最大長さ)である。
【0039】
非配置領域62の面積は、第2表面24の面積の40%以下である。「非配置領域62の面積」とは、第1領域63及び第2領域64からなる領域の面積との意味であり、電極5が配置された、レジスト層6が配置されていない領域の面積は含まれない。第2表面24おいて複数の電極5が配置された領域の面積は、第2表面24の面積の15%以上である。
【0040】
非配置領域62は、厚さ方向Dにおいて電極パッド11と重ならない位置に配置されている。換言すれば、電極パッド11は、厚さ方向Dにおいて非配置領域62と重ならない位置に配置されている。すなわち、厚さ方向Dから見た場合に、非配置領域62は電極パッド11と重ならない。
図1では、第1表面23における非配置領域62に対応する領域が破線で示されている。
【0041】
光半導体装置1は、例えばプリント基板等の実装基板に実装される。具体的には、複数の電極5を実装基板の電極に例えばリフローによりハンダ付けすることで、光半導体装置1が実装基板に電気的に接続される。このハンダ付けには、酸化膜を除去するためのフラックスを含むハンダが用いられる。或いは、フラックスを供給しつつ、ハンダ付けが行われる。光半導体装置1が実装基板に実装された状態において、収容空間Sは、通気孔25及び非配置領域62を介して外部と連通し、収容空間Sと外部との間における空気の流通が可能となる。
[作用及び効果]
【0042】
光半導体装置1では、配線基板2に通気孔25が形成されている。これにより、例えば配線基板2の切断時等に通気孔25から異物が混入することを抑制することができ、信頼性を確保することができる。また、カバー3に通気孔25を形成する場合と比べて、通気孔25を容易に形成することができる。また、配線基板2の第2表面24が、レジスト層6が配置された配置領域61と、レジスト層6が配置されていない非配置領域62と、を有し、非配置領域62が、通気孔25が配置された第1領域63と、第1領域63から第2表面24の縁24aに至る第2領域64と、を含んでいる。非配置領域62にはフラックスが流れ込み難いことから、第1領域63に通気孔25が配置されていることで、通気孔25へのフラックスの侵入を抑制することができる。また、第1領域63から第2表面24の縁24aに至る第2領域64が設けられているため、外部から第2領域64に空気が流れ込み易く、その結果、流れ込む空気によって通気孔25へのフラックスの侵入を抑制することができる。光半導体装置1を実装基板に実装するためのリフロー後の冷却時に通気孔25から吸い込まれる空気の量を十分に確保することができる。更に、第1領域63から第2表面24の縁24aに至る第2領域64が設けられており、収容空間Sが通気孔25及び非配置領域62を介して外部と接続されるため、光半導体装置1が実装対象に実装された状態においても、熱による膨張収縮及び結露に対する信頼性を高めることができる。よって、光半導体装置1によれば、信頼性を確保することができると共に、フラックスの通気孔25への侵入を抑制することができる。すなわち、フラックスが通気孔25を介して収容空間S内に侵入すると、カバー3の脱落、内部結露、端子や電極パッドの腐食、フラックスの異物化による感度低下等が発生し得るが、光半導体装置1によれば、それらの発生を抑制することができる。
【0043】
第2領域64が、第2表面24の複数の縁24a~24dのうち通気孔25に最も近い縁24b以外の縁である縁24aに至っている。これにより、通気孔25へのフラックスの侵入を効果的に抑制することができる。すなわち、第2領域64が縁24b以外の縁に至っていることで、通気孔25と当該縁との間の距離を確保することができ、当該縁側から通気孔25にフラックスが侵入することを抑制することができる。また、通気孔25と通気孔25に最も近い縁24bとの間にレジスト層6が配置されることによっても、通気孔25へのフラックスの侵入を効果的に抑制することができる。
【0044】
複数の電極5が、通気孔25に最も近い縁24bに沿って並んで配置された電極5を含んでいる。縁24bに沿って電極5が配置されている場合、縁24b側から通気孔25にフラックスが侵入し易いが、光半導体装置1によれば、そのような場合でも、通気孔25へのフラックスの侵入を抑制することができる。
【0045】
第2領域64が、第2表面24の複数の縁24a~24dのうち通気孔25から最も遠い縁24aに至っている。これにより、通気孔25へのフラックスの侵入を効果的に抑制することができる。
【0046】
第1表面23上に配置された電極パッド11が、配線基板2の厚さ方向Dにおいて非配置領域62と重ならない位置に配置されている。これにより、第2表面24における電極パッド11に対応する位置にレジスト層6が配置されるため、電極パッド11にワイヤ又はバンプ等を良好に接続することができる。すなわち、電極パッド11にワイヤ又はバンプ等を接続する際には、接続時に作用する力を受けるために、第2表面24における電極パッド11に対応する位置にレジスト層6が配置されていることが好ましい。また、第2表面24における電極パッド11に対応する位置にレジスト層6が配置されていることは、ワイヤボンディング時に超音波を伝わり易くする観点からも好ましい。
【0047】
非配置領域62の面積が、第2表面24の面積の40%以下である。これにより、フラックスが流れ込む領域(フラックスの逃げ領域)としての配置領域61の面積を確保することができ、通気孔25へのフラックスの侵入を効果的に抑制することができる。
【0048】
第2領域64が、第1領域63の幅W1よりも狭い幅W2を有する第1延在部65を含んでいる。これにより、通気孔25に近い第1領域63では非配置領域62の幅を確保しつつ、通気孔25から遠い位置においては配置領域61の面積を確保することができ、通気孔25へのフラックスの侵入を効果的に抑制することができる。
【0049】
第2表面24において複数の電極5が配置された領域の面積が、第2表面24の面積の15%以上である。第2表面24において複数の電極5が配置された領域の面積が大きい場合、通気孔25にフラックスが侵入する事態が生じ易いが、光半導体装置1によれば、そのような場合でも、通気孔25へのフラックスの侵入を抑制することができる。
【0050】
第1領域63が、複数の角部を有する多角形状に形成されている。これにより、例えば第1領域63が円形状に形成されている場合と比べて、通気孔25へのフラックスの侵入を効果的に抑制することができる。
【0051】
第1領域63の複数の角部が、複数の電極5のうち通気孔25から最も近い位置に配置された電極5Aに向けて突出した角部63sを含んでいる。これにより、電極5A側から角部63sに到達したフラックスが角部63sの両側に流れ易くなるため、通気孔25へのフラックスの侵入を効果的に抑制することができる。
【0052】
第2領域64が、第1領域63から延在する第1延在部65と、第1延在部65の幅W2よりも広い幅を有する拡幅部66と、を含んでいる。これにより、拡幅部66側から第2領域64にフラックスが侵入した場合でも、フラックスによって第2領域64が塞がれてしまう事態を抑制することができる。特に、上記実施形態のように第2延在部67の第2部分67bに電極5が配置されている場合、実装時に当該電極5側から第2領域64にフラックスが流れ込み易い。
【0053】
拡幅部66が、第2表面24の中心Cを通る直線に関して第1領域63と対称な位置に配置されている。これにより、実装時におけるフラックスの流れを対称化することができ、実装時における位置ずれの発生を抑制することができる。
【0054】
拡幅部66が、第2表面24の中心Cを通る直線に関して第1領域63と対称な形状を有している。これにより、実装時における位置ずれの発生を一層抑制することができる。
【0055】
通気孔25と複数の電極5のうち通気孔25から最も近い位置に配置された電極5Aとの間の距離が、通気孔25と第2表面24の中心Cとの間の距離よりも短い。通気孔25と電極5Aとの間の距離が短い場合、通気孔25にフラックスが侵入する事態が生じ易いが、光半導体装置1によれば、そのような場合でも、通気孔25へのフラックスの侵入を抑制することができる。
[変形例]
【0056】
第2領域64は、第2表面24の縁24a~24dの少なくとも1つに至っていればよい。例えば、
図5(a)に示される第1変形例のように、第2領域64は、縁24a~24dのうち、通気孔25に最も近い縁24bに至っていてもよい。或いは、
図5(b)に示される第2変形例のように、第2領域64は、縁24cに至っていてもよい。第1変形例及び第2変形例では、第1領域63は、円形状に形成されている。第2表面24の4つの角部にも、電極5が配置されている。
【0057】
図6に示される第3変形例のように非配置領域62が構成されてもよい。第3変形例では、第2領域64は、第2表面24の縁24bに至っている。第1領域63は、矩形状の領域63aと、縁24b側において領域63aに接続され、縁24bに近づくほど幅が狭くなる領域63bと、を有している。通気孔25は、領域63bに配置されている。
【0058】
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。上記実施形態において、光半導体素子4aは発光素子であってもよく、この場合、素子4bは光半導体素子4aを駆動するための駆動回路を構成する駆動素子であってもよい。素子4a,4bの両方が光半導体素子(受光素子、発光素子等)であってもよい。或いは、素子4bが省略されて光半導体素子4aのみが設けられてもよい。
【0059】
上記実施形態において、第1領域63の幅W1は第1延在部65の幅W2と等しくてもよい。この場合でも、通気孔25が配置された領域を第1領域63とみなし、第1領域63から延在する部分を第1延在部65とみなすことができる。上記実施形態において、拡幅部66は設けられなくてもよく、例えば第1延在部65が縁24aに至るように延在していてもよい。第1領域63の形状は、六角形状以外の多角形状、又は円形状等の任意の形状であってもよい。第2延在部67の第2部分67bには電極5が配置されていなくてもよい。すなわち、第2領域64内に電極5が配置されていなくてもよい。拡幅部66は、第2表面24の中心Cを通る直線に関して第1領域63と対称な形状を有していなくてもよく、任意の形状に形成されてよい。
【符号の説明】
【0060】
1…光半導体装置、2…配線基板、3…カバー、4a…光半導体素子、5,5A…電極、6…レジスト層、11,11a,11b…電極パッド、23…第1表面、24…第2表面、24a~24d…縁、25…通気孔、61…配置領域、62…非配置領域、63…第1領域、63s…角部、64…第2領域、65…第1延在部、66…拡幅部、C…中心、D…厚さ方向、S…収容空間。