(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】検査支援装置
(51)【国際特許分類】
B65G 63/00 20060101AFI20241028BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
B65G63/00 H
G01N21/84 D
(21)【出願番号】P 2021029115
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 紗葵
(72)【発明者】
【氏名】今井 達二己
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-143580(JP,A)
【文献】特許第6740783(JP,B2)
【文献】特開2004-107031(JP,A)
【文献】特開2015-163847(JP,A)
【文献】特開2007-132879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 63/00
G01N 21/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテナの種別を識別する識別情報を取得し、検査対象のコンテナの前記識別情報に基づいて、前記種別に応じて定められた当該コンテナの検査を要する部位の検査位置を特定する
検査支援装置。
【請求項2】
前記検査対象のコンテナの撮影画像を取得し、当該コンテナについて特定した前記検査位置を示す位置画像を前記撮影画像に重畳した重畳画像を生成する
請求項1に記載の検査支援装置。
【請求項3】
前記検査対象のコンテナの一面が台形に映った前記撮影画像を取得した場合に、当該台形を長方形に補正した補正画像に前記位置画像を重畳させる
請求項2に記載の検査支援装置。
【請求項4】
前記識別情報により識別される種別のコンテナの模式図に、当該コンテナについて特定した前記検査位置を示す位置画像を重畳した重畳画像を生成する
請求項1に記載の検査支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナの検査を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナの検査を支援する技術として、特許文献1には、コンテナゲートに設置された移動体識別子(コンテナ番号や車両番号の取得)とカメラから、ゲートから離れた監視室にいる監視員に画像を伝送し判定を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンテナの各部品を抽出しようとした場合、部品の取り付け位置がコンテナの種別によって異なるため、コンテナゲートで撮影した画像を監視員に伝送しただけでは、全体画像から検査する部位を目視で探す必要があり、検査に時間を要するおそれがある。
本発明は、上記の背景に鑑み、コンテナの検査に要する時間を短くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、複数のコンテナの種別を識別する識別情報を取得し、検査対象のコンテナの前記識別情報に基づいて、前記種別に応じて定められた当該コンテナの検査を要する部位の検査位置を特定する検査支援装置を第1の態様として提供する。
【0006】
第1の態様の検査支援装置によれば、コンテナの検査に要する時間を短くすることができる。
【0007】
上記の第1の態様の検査支援装置において、前記検査対象のコンテナの撮影画像を取得し、当該コンテナについて特定した前記検査位置を示す位置画像を前記撮影画像に重畳した重畳画像を生成する、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0008】
第2の態様の検査支援装置によれば、検査位置がより分かりやすいようにすることができる。
【0009】
上記の第2の態様の検査支援装置において、前記検査対象のコンテナの一面が台形に映った前記撮影画像を取得した場合に、当該台形を長方形に補正した補正画像に前記位置画像を重畳させる、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0010】
第3の態様の検査支援装置によれば、コンテナの面を正面から見たイメージで検査位置を把握することことができる。
【0011】
上記の第1の態様の検査支援装置において、前記識別情報により識別される種別のコンテナの模式図に、当該コンテナについて特定した前記検査位置を示す位置画像を重畳した重畳画像を生成する、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0012】
第4の態様の検査支援装置によれば、コンテナを撮影することができなくても検査位置を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例に係る検査支援システムの全体構成を表す図
【
図3】情報処理システムにおいて実現される機能構成を表す図
【
図5】重畳画像が生成されるまでの画像の変遷の一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1]実施例
図1は実施例に係る検査支援システム1の全体構成を表す。検査支援システム1は、コンテナの検査を支援するシステムである。コンテナとは、様々な荷物を収容する容器であり、船及び列車等が荷物を運搬する際に用いられる。コンテナは一般的に直方体の箱の形をしており、収容する荷物により様々な種別のコンテナが用いられる。
【0015】
検査支援システム1が支援する検査は、コンテナの外観を見て正常な状態であるか否かを確認する検査であり、例えば、コンテナを開閉する扉を固定するための複数のレバーがそれぞれ正しい位置に収まっているか否かを確認する等の検査項目を有する。コンテナの検査は、コンテナの荷役、荷さばき及び保管等が行われるコンテナターミナルに設けられたゲートにおいて行われる。
【0016】
ゲートとは、コンテナの受け付けが行われる場所であり、コンテナの状態のチェック、コンテナ番号の照合、コンテナの重量測定、コンテナの受け渡しに必要な書類の確認などが行われる場所である。ゲートには検査を担当する検査員がいて、その検査員が、検査支援システム1を利用してコンテナの検査を行う。検査支援システム1は、サーバ装置10と、ゲート装置20と、検査員端末30と、通信回線2とを備える。
【0017】
通信回線2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムと通信する装置等(=装置、端末及びシステム等)同士のデータのやり取りを中継する。通信回線2には、サーバ装置10が有線通信で接続され、ゲート装置20及び検査員端末30が無線通信で接続されている。なお、各装置と通信回線2との通信は、
図1の例に限定されず、有線通信及び無線通信のどちらでもよい。
【0018】
サーバ装置10は、コンテナの検査を支援するための各種の処理を行う装置であり、本発明の「検査支援装置」の一例である。ゲート装置20は、ゲート付近に設置される装置であり、コンテナ番号の取得及びコンテナの撮影等を行う。検査員端末30は、前述した検査員が使用する端末である。
【0019】
検査員端末30としては、検査の現場で検査員が持ち運びながら使用しやすいタブレット端末又はスマートフォン等が用いられる。サーバ装置10がコンテナの検査を支援するための情報である支援情報を検査員端末30に対して出力し、検査員端末30が出力されてきた支援情報を表示することで、検査員による検査が支援される。支援情報の詳細は後述する。
【0020】
図2は各装置のハードウェア構成を表す。サーバ装置10は、
図2(a)に表すように、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14とを備えるコンピュータである。プロセッサ11は、例えば、CPU(=Central Processing Unit)等の演算装置、レジスタ及び周辺回路等を有する。メモリ12は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、RAM(=Random Access Memory)及びROM(=Read Only Memory)等を有する。
【0021】
ストレージ13は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等を有する。プロセッサ11は、RAMをワークエリアとして用いてROMやストレージ13に記憶されているプログラムを実行することで各ハードウェアの動作を制御する。通信装置14は、アンテナ及び通信回路等を有し、通信回線2を介した通信を行う通信手段である。
【0022】
ゲート装置20は、
図2(b)に表すように、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、複数の撮像装置25と、読取装置26とを備えるコンピュータである。プロセッサ21から通信装置24までは、
図2(a)に表すプロセッサ11から通信装置14までと同種のハードウェアである。複数の撮像装置25は、各々がイメージセンサ及び光学系等を有するデジタルカメラであり、光軸の方向に存在する物体をそれぞれ撮影する。
【0023】
読取装置26は、RFID(=Radio Frequency IDentifier)等の近距離無線通信を行う機能を有し、RFIDタグ等の外部装置から情報を読み取る。検査員端末30は、
図2(c)に表すように、プロセッサ31と、メモリ32と、ストレージ33と、通信装置34と、UI(=User Interface)装置35とを備えるコンピュータである。プロセッサ21から通信装置24までは、
図2(a)に表すプロセッサ11から通信装置14までと同種のハードウェアである。
【0024】
UI装置15は、自装置を利用するユーザ(本実施例では検査員)に対して提供されるインターフェースである。UI装置15は、例えば、表示手段であるディスプレイと、ディスプレイの表面に設けられたタッチパネルとを有するタッチスクリーンを有し、画像を表示すると共に、ユーザからの操作を受け付ける。検査支援システム1においては、各装置のプロセッサがプログラムを実行して各部を制御することで、以下に述べる各機能が実現される。
【0025】
図3は検査支援システム1において実現される機能構成を表す。サーバ装置10は、識別情報取得部101と、種別判定部102と、検査位置特定部103と、画像取得部104と、支援情報生成部105と、支援情報出力部106とを備える。ゲート装置20は、識別情報読取部201と、コンテナ撮影部202とを備える。検査員端末30は、支援情報表示部301を備える。
【0026】
ゲート装置20の識別情報読取部201は、複数のコンテナの種別を識別する識別情報を各コンテナから読み取る。コンテナの種別には、例えば、ドライコンテナ(常温輸送用のコンテナ)、リーファーコンテナ(温度調整が可能なコンテナ)、オープントップコンテナ(天井がないコンテナ)、タンクコンテナ(液体を輸送するためのコンテナ)等がある。なお、コンテナの種別はこれに限らず、他の機能に応じた種別又はサイズに応じた種別等が用いられてもよい。
【0027】
検査支援システム1が検査を支援するコンテナには、例えば、RFIDタグが取り付けられている。RFIDタグは、自身が取り付けられたコンテナの種別を識別する識別情報として、例えば、コンテナ番号、サイズコード及びタイプコードを記憶している。コンテナ番号は、ISO6346で規定された11桁の数字とアルファベットの羅列であり、オーナーコード、カテゴリID、シリアルナンバー及びチェックデジットからなる。
【0028】
オーナーコードは、コンテナの所有者を示すコードである。カテゴリIDは、コンテナの種別を示す情報である。シリアルナンバーは、コンテナの所有者が独自に採番する数字である。チェックデジットは、コンテナ番号が正しいか否かを識別する情報である。サイズコードは、コンテナの大きさを示すコートであり、タイプコードはコンテナの種類を示すコードである。
【0029】
ゲート装置20は、検査対象のコンテナがゲートを通過する際にそのコンテナに取り付けられたRFIDと無線通信が可能な位置に設置される。ゲート装置20の識別情報読取部201は、そのRFIDと無全通信を行い、RFIDに記憶されたコンテナ番号、サイズコード及びタイプコードを読み取る。識別情報読取部201は、読み取ったコンテナ番号、サイズコード及びタイプコードを示す読取データをサーバ装置10に送信する。
【0030】
サーバ装置10の識別情報取得部101は、ゲート装置20から送信されてきた読取データが示すコンテナ番号、サイズコード及びタイプコードを、複数のコンテナの種別を識別する識別情報として取得する。識別情報取得部101は、取得した検査対象のコンテナの識別情報(コンテナ番号、サイズコード及びタイプコード)を種別判定部102に供給する。
【0031】
種別判定部102は、供給された識別情報に基づきコンテナの種別を判定する。種別判定部102は、特に、サイズコードが示すサイズ及びタイプコードが示すタイプによって表される区分を検査対象のコンテナの種別と判定する。種別判定部102は、例えば、サイズコード及びタイプコードが「42G1」であれば、長さ40フィート×高さ8フィート6インチのドライコンテナと判定し、「45R1」であれば、長さ40フィート×高さ9フィート6インチのリーファーコンテナと判定する。
【0032】
種別判定部102は、判定した種別を検査位置特定部103に供給する。検査位置特定部103は、供給された種別に応じて定められた検査対象のコンテナの検査を要する部位の検査位置を特定する。なお、供給された種別は、検査対象のコンテナの識別情報に基づいて種別判定部102により判定されているので、検査位置特定部103は、検査対象のコンテナの識別情報に基づいてそのコンテナの検査位置を特定することになる。
【0033】
検査位置特定部103は、例えば、コンテナの種別と検査位置とを対応付けた検査位置テーブルを用いて検査位置を特定する。
図4は検査位置テーブルの一例を表す。
図4の例では、検査位置が、「エリア」、「対象」、「X」、「Y」、「H」、「W」で表されている。「エリア」は、直方体のコンテナのうち検査する面の方向を示している。「対象」は、検査する部位の名称を示している。
【0034】
「X」及び「Y」は、検査する面において設定された基準位置(例えば左上角)を原点とする2次元座標系における検査部位の代表位置(例えば検査部位の中心)のX座標及びY座標を示している。「H」及び「W」は、検査部位の高さ及び幅を示している。本実施例では、2次元座標系の単位ベクトルの長さが現実の1インチに相当し(例えば原点から(0、1)までの長さが1インチ)、「H」及び「W」もそのまま単位をインチとして表している(W=10なら幅10インチ)ものとする。
【0035】
検査位置特定部103は、種別判定部102から供給されたコンテナの種別に検査位置テーブルで対応付けられた検査位置を、検査対象のコンテナの検査位置として特定する。例えば、コンテナの種別が長さ40フィート×高さ8フィート6インチのドライコンテナである場合、検査位置特定部103は、まず、
図4に表すように、エリア=「右側面」と特定する。そして、検査位置特定部103は、対象が「ロックピン」であればX=40、Y=40、H=2、W=8を検査位置として特定する。
【0036】
この場合、検査対象のコンテナの右側面の左上角から右に40インチ、下に40インチの点を中心として高さ2インチ、幅8インチの長方形の領域に「ロックピン」が存在することが表される。同様に、検査位置特定部103は、対象が「軸カム」であればX=30、Y=0、H=10、W=10を検査位置として特定する。このように、検査位置は、検査の対象となる部位を示す長方形の領域で表される。検査位置特定部103は、特定した検査位置を画像取得部104及び支援情報生成部105に供給する。
【0037】
ゲート装置20の識別情報読取部201は、識別情報を読み取ると、その識別情報をコンテナ撮影部202に供給する。コンテナ撮影部202は、識別情報が供給されると、
図2に表す複数の撮像装置25を制御して、供給された識別情報により識別されるコンテナ、すなわち検査対象のコンテナの画像を撮影する。検査支援システム1においては、複数の撮像装置25がそれぞれコンテナの各面のうちの1つの面を撮影する位置に設置されているものとする。
【0038】
コンテナ撮影部202は、複数の撮像装置25にコンテナの各面を撮影させ、撮影された画像を示す画像データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10に送信されてきた画像データは、画像取得部104によって受信される。画像取得部104が受信した画像データは、検査位置になっていない面の画像も示している。
【0039】
そこで、画像取得部104は、受信した画像データが示すコンテナの画像のうち、検査位置特定部103から供給された検査位置が示す面(例えば右側面等)の撮影画像を、検査対象のコンテナの撮影画像として取得する。画像取得部104は取得した撮影画像を支援情報生成部105に供給する。
【0040】
支援情報生成部105は、供給された撮影画像を用いて、上述した支援情報(コンテナの検査を支援するための情報)を生成する。具体的には、支援情報生成部105は、検査対象のコンテナについて検査位置特定部103により特定された検査位置を示す位置画像を撮影画像に重畳した重畳画像を支援情報として生成する。なお、取得されるコンテナの画像は、コンテナの面を斜めから撮影したものである場合がある。
【0041】
その場合、コンテナの面は通常長方形であるところ、画像上では台形になる。支援情報生成部105は、このように、検査対象のコンテナの一面が台形に映った撮影画像が取得された場合に、その台形を長方形に補正した補正画像を生成する。支援情報生成部105は、例えば、プロジェクターが投影した画像を台形から長方形に補正するいわゆる台形補正の周知技術を用いて、撮影画像に映ったコンテナの面を長方形に補正する。
【0042】
支援情報生成部105は、長方形のコンテナ面を表す補正画像に、特定された検査位置を示す長方形の領域の画像を位置画像として重畳した画像を、重畳画像として生成する。
図5は重畳画像が生成されるまでの画像の変遷の一例を表す。
図5(a)では、コンテナC1の一面D1が台形に映った撮影画像G1が表されている。一面D1には、ロックピンE1及びE2が設けられている。
【0043】
図5(b)では、支援情報生成部105により長方形に補正されたコンテナC1の一面D2を示す補正後の撮影画像C2が表されている。
図5(c)では、支援情報生成部105により検査位置であるロックピンE1及びE2を示す位置画像F1及びF2が撮影画像C2に重畳された重畳画像G3が表されている。支援情報生成部105は、このように生成した重畳画像を支援情報として支援情報出力部106に供給する。
【0044】
支援情報出力部106は、供給された支援情報(重畳画像)を、例えば予め登録された検査員端末30に出力する。検査員端末30の支援情報表示部301は、サーバ装置10から出力されてきた支援情報を表示する。支援情報表示部301は、例えば、
図5(c)に表す重畳画像G3を支援情報として表示する。検査員は、表示された重畳画像G3を見ることで、コンテナC1において検査すべきロックピンE1及びE2の位置を容易に把握することができる。
【0045】
サーバ装置10のプロセッサ11が支援情報を出力する出力処理について、
図6を参照して説明する。
図6は出力処理における動作手順の一例を表す。
図6の動作手順は、例えば、検査対象のコンテナがゲートに運ばれてきて、ゲート装置20がそのコンテナに取り付けられたRFIDから識別情報を読み取ることを契機に開始される。
【0046】
まず、プロセッサ11(識別情報取得部101)は、ゲート装置20から送信されてきた読取データが示すコンテナ番号、サイズコード及びタイプコードを、検査対象のコンテナの識別情報として取得する(ステップS11)。次に、プロセッサ11(種別判定部102)は、取得された識別情報に基づき、検査対象のコンテナの種別を判定する(ステップS12)。
【0047】
続いて、プロセッサ11(検査位置特定部103)は、判定された種別に応じて定められた検査対象のコンテナの検査を要する部位の検査位置を特定する(ステップS13)。次に、プロセッサ11(画像取得部104)は、検査対象のコンテナが有する面のうち、特定された検査位置が示す面の撮影画像を、検査対象のコンテナの撮影画像として取得する(ステップS14)。
【0048】
続いて、プロセッサ11(支援情報生成部105)は、取得された撮影画像に映った台形の面が長方形になるように補正し(ステップS15)、ステップS14で特定された検査位置を示す位置画像を補正後の撮影画像に重畳した重畳画像を生成する(ステップS16)。そして、プロセッサ11(支援情報出力部106)は、生成された重畳画像を支援情報として検査員端末30に出力する(ステップS17)。
【0049】
本実施例では、以上のとおり検査対象のコンテナの検査位置を特定することで、検査位置が特定されない場合に比べて、検査員が検査位置を早く見つけられるようにして、コンテナの検査に要する時間を短くすることができるようになっている。また、撮影画像に位置画像を重畳することで、撮影画像を用いない場合に比べて、検査位置がより分かりやすいようにすることができる。また、撮影画像に対して台形補正を行うことで、コンテナの面を正面から見たイメージで検査位置を把握することができる。
【0050】
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は必要に応じてそれぞれ組み合わせてもよい。
【0051】
[2-1]模式図
支援情報生成部105は、実施例では検査対象のコンテナを撮影した撮影画像が用いて重畳画像を生成したが、これに限らない。支援情報生成部105は、例えば、取得された識別情報により識別される種別のコンテナの模式図に、そのコンテナについて特定された検査位置を示す位置画像を重畳した重畳画像を生成してもよい。
【0052】
図7は本変形例で生成される重畳画像の一例を表す。
図7の例では、支援情報生成部105は、コンテナの模式
図H1にロックピンE1及びE2を示す位置画像F1及びF2を重畳させた重畳画像G4を生成している。支援情報生成部105は、本変形例では、コンテナの種別に対応付けてそのコンテナにおいて検査すべき部位を示す模式図を記憶しておき、識別情報取得部101が取得した識別情報に対応付けて記憶している模式図を読み出して重畳画像を生成する。本変形例によれば、コンテナを撮影することができなくても検査員に検査位置を示すことができる。
【0053】
[2-2]台形画像
支援情報生成部105は、実施例では台形の形をしたコンテナの面を長方形に補正して重畳画像を生成したが、これに限らず、台形画像をそのまま用いて重畳画像を生成してもよい。その場合でも、重畳画像がない場合に比べれば、検査位置がより分かりやすいようにすることができる。
【0054】
[2-3]識別情報の取得方法
識別情報取得部101は、実施例ではRFIDタグから読み取られた識別情報を取得したが、識別情報の取得方法はこれに限らない。識別情報取得部101は、例えば、まず、画像取得部104が取得したコンテナの画像を参照し、周知の文字認識技術を用いてコンテナの面に記載されている文字を認識する。
【0055】
そして、識別情報取得部101は、認識した文字の中に識別情報、すなわちコンテナ番号、サイズコード及びタイプコードの規則に則った文字列を形成するものを検査対象のコンテナの識別情報として取得する。本変形例によれば、RFIDタグが取り付けられていないコンテナについても、識別情報を取得することができる。
【0056】
[2-4]識別情報の種別
実施例では、コンテナ番号、サイズコード及びタイプコードがコンテナの識別情報として用いられたが、これに限らない。例えば、コンテナ番号だけ又はサイズコード及びタイプコードだけがコンテナの識別情報として用いられてもよい。また、それらの情報以外であっても、コンテナの種別を識別可能なものであればよい。
【0057】
[2-5]発明のカテゴリ
本発明は、サーバ装置10、ゲート装置20及び検査員端末30のような情報処理装置として捉えられる。また、本発明は、それらの情報処理装置を備える検査支援システム1のような情報処理システムとしても捉えられる。また、本発明は、それらの情報処理装置が行う動作手順を実行する情報処理方法としても捉えられるし、それらの情報処理方法を実現する情報処理装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…検査支援システム、10…サーバ装置、20…ゲート装置、30…検査員端末、101…識別情報取得部、102…種別判定部、103…検査位置特定部、104…画像取得部、105…支援情報生成部、106…支援情報出力部、201…識別情報読取部、202…コンテナ撮影部、301…支援情報表示部。