(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】出力回路、表示ドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20241028BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20241028BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/133 505
G09G3/20 621B
G09G3/20 623C
G09G3/20 623D
G09G3/20 670J
(21)【出願番号】P 2021058312
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土 弘
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-009005(JP,A)
【文献】特許第6795714(JP,B1)
【文献】特開2013-254146(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0063915(US,A1)
【文献】特開2019-028110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20 -3/36
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電源電圧よりも高電圧の正極電圧信号を第1のノードに供給、又は前記正極電圧信号の前記第1のノードへの供給を遮断する正極電圧信号供給回路と、
前記基準電源電圧よりも低電圧の負極電圧信号を第2のノードに供給、又は前記負極電圧信号の前記第2のノードへの供給を遮断する負極電圧信号供給回路と、
第1の出力端子と、
ソースが前記第1のノードに接続され、ドレインが前記第1の出力端子に接続された第1のPMOSトランジスタスイッチで構成されており、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第1のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第1のノードとの接続を遮断する第1のスイッチと、
ソースが前記第2のノードに接続され、ドレインが前記第1の出力端子に接続された第1のNMOSトランジスタスイッチで構成されており、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第2のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第2のノードとの接続を遮断する第2のスイッチと、
オン状態時に前記第1のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第1のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第3のスイッチと、
オン状態時に前記第2のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第2のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第4のスイッチと、
前記第1のスイッチのゲートに接続されており、前記第1のスイッチをオン状態に制御する第1の電圧制御回路と、
前記第2のスイッチのゲートに接続されており、前記第2のスイッチをオン状態に制御する第2の電圧制御回路と、
前記第1のスイッチのゲートに接続されており、前記第1のスイッチをオフ状態に制御する第1の制御手段と、
前記第2のスイッチのゲートに接続されており、前記第2のスイッチをオフ状態に制御する第2の制御手段と、
前記第1のPMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧を第1の電圧とし当該第1の電圧を高電位側にレベルシフトした第2の電圧を前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給するか、又は、前記基準電源電圧を前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給するかを制御する第3の電圧制御回路と、
前記第1のNMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧を第3の電圧とし当該第3の電圧を低電位側にレベルシフトした第4の電圧を前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給するか、又は、前記基準電源電圧を前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給するかを制御する第4の電圧制御回路と、を有することを特徴とする出力回路。
【請求項2】
前記第1の出力端子は、前記正極電圧信号の上限値から前記負極電圧信号の下限値に及ぶ出力電圧範囲を有し、
少なくとも前記第1及び第2のスイッチは、前記出力電圧範囲よりも耐圧の低い素子で構成されることを特徴とする請求項1に記載の出力回路。
【請求項3】
前記第3の電圧制御回路は、
前記第1のPMOSトランジスタスイッチがオン状態に制御されるときに、前記第1のPMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧を第1の電圧とし当該第1の電圧を高電位側にレベルシフトした第2の電圧を前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給し、前記第1のPMOSトランジスタスイッチがオフ状態に制御されるときに、前記基準電源電圧を前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給し、
前記第4の電圧制御回路は、
前記第1のNMOSトランジスタスイッチがオン状態に制御されるときに、前記第1のNMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧を第3の電圧とし当該第3の電圧を低電位側にレベルシフトした第4の電圧を前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給し、前記第1のNMOSトランジスタスイッチがオフ状態に制御されるときに、前記基準電源電圧を前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の出力回路。
【請求項4】
前記第3の電圧制御回路は、
前記第1のPMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインと前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートとの間に接続される第1の負荷素子と、
前記第1の負荷素子に流れる電流値を設定する第1の電流源と、
オン状態時に前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートへの前記基準電源電圧の印加を停止する第1のバックゲート制御スイッチと、を含み、
前記第1のPMOSトランジスタスイッチがオン状態に制御されるときに、前記第1の負荷素子は、前記第1のPMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧を前記第1の電圧として受け、前記第1の電圧を、前記第1の負荷素子に流れる前記電流値に基づく電圧差だけレベルシフトした電圧を前記第2の電圧として出力して前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給し、
前記第1のPMOSトランジスタスイッチがオフ状態に制御されるときに、前記第1のバックゲート制御スイッチは、オン状態とされ、前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに前記基準電源電圧を供給することを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載の出力回路。
【請求項5】
前記第4の電圧制御回路は、
前記第1のNMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインと前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートとの間に接続される第2の負荷素子と、
前記第2の負荷素子に流れる電流値を設定する第2の電流源と、
オン状態時に前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートへの前記基準電源電圧の印加を停止する第2のバックゲート制御スイッチと、を含み、
前記第1のNMOSトランジスタスイッチがオン状態に制御されるときに、前記第2の負荷素子は、前記第1のNMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧を前記第3の電圧として受け、前記第3の電圧を、前記第2の負荷素子に流れる前記電流値に基づく電圧差だけレベルシフトした電圧を前記第4の電圧として出力して前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給し、
前記第1のNMOSトランジスタスイッチがオフ状態に制御されるときに、前記第2のバックゲート制御スイッチは、オン状態とされ、前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートに前記基準電源電圧を供給することを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の出力回路。
【請求項6】
前記第1の電流源は、前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートと正極電源電圧を受ける正極電源電圧端子との間に接続されており、
前記第1のバックゲート制御スイッチは、前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートと前記基準電源電圧を受ける基準電源電圧端子との間に接続されており、
前記第1の負荷素子は、
前記第1のPMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインと前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートとの間に接続されたダイオード接続構成のMOSトランジスタ、
又は前記第1のPMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧を前記第1の電圧としてゲートで受け、ソースが前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに接続されているPMOSソースフォロワトランジスタで構成されていることを特徴とする請求項4に記載の出力回路。
【請求項7】
前記第2の電流源は、前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートと負極電源電圧を受ける負極電源電圧端子との間に接続されており、
前記第2のバックゲート制御スイッチが、前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートと前記基準電源電圧を受ける基準電源電圧端子との間に接続されており、
前記第2の負荷素子は、
前記第1のNMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインと前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートとの間に接続されたダイオード接続構成のMOSトランジスタ、又は、
前記第1のNMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧を前記第3の電圧としてゲートで受け、ソースが前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートに接続されているNMOSソースフォロワトランジスタで構成されていることを特徴とする請求項5に記載の出力回路。
【請求項8】
前記第1の電流源は、前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートと正極電源電圧を受ける正極電源電圧端子との間に接続されており、
前記第1のバックゲート制御スイッチが、前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートと前記基準電源電圧を受ける基準電源電圧端子との間に接続されており、
前記第1の負荷素子は、
ドレインが前記第1のPMOSトランジスタスイッチのソース及びドレインのうちの一方に接続されており、ゲートが前記第1のPMOSトランジスタスイッチのソース及びドレインのうちの他方に接続されており、ソースが前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに接続されている第1のPMOSトランジスタと、
ドレインが前記第1のPMOSトランジスタスイッチのソース及びドレインのうちの前記他方に接続されており、ゲートが前記第1のPMOSトランジスタスイッチのソース及びドレインのうちの前記一方に接続されており、ソースが前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに接続されている第2のPMOSトランジスタと、を含むことを特徴とする請求項4に記載の出力回路。
【請求項9】
前記第2の電流源は、前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートと負極電源電圧を受ける負極電源電圧端子との間に接続されており、
前記第2のバックゲート制御スイッチが、前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートと前記基準電源電圧を受ける基準電源電圧端子との間に接続されており、
前記第2の負荷素子は、
ドレインが前記第1のNMOSトランジスタスイッチのソース及びドレインのうちの一方に接続されており、ゲートが前記第1のNMOSトランジスタスイッチのソース及びドレインのうちの他方に接続されており、ソースが前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートに接続されている第1のNMOSトランジスタと、
ドレインが前記第1のNMOSトランジスタスイッチのソース及びドレインのうちの前記他方に接続されており、ソースが前記第1のNMOSトランジスタスイッチのソース及びドレインのうちの前記一方に接続されており、ソースが前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに接続されている第2のNMOSトランジスタと、を含むことを特徴とする請求項5に記載の出力回路。
【請求項10】
前記正極電圧信号及び前記負極電圧信号を所定のタイミングで切替えて前記第1の出力端子から出力するように
、
前記第1及び前記第2の制御手段各々の活性・非活性化制御、
前記第3及び前記第4のスイッチ各々のオン・オフ制御、
前記第1及び第2の電圧制御回路の各々の活性・非活性化制御、
前記第3の電圧制御回路による前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートへ供給する電圧の制御、
前記第4の電圧制御回路による前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートへ供給する電圧の制御、及び、
前記正極電圧信号供給回路及び前記負極電圧信号供給回路各々の電圧供給・遮断制御を、連動して行う制御部を更に含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか1に記載の出力回路。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第1の出力端子から出力させる信号を前記負極電圧信号から前記正極電圧信号に切替えるための過渡期間をなす第1の期間と、前記正極電圧信号を前記第1の出力端子から出力させる第2の期間と、前記第1の出力端子から出力させる信号を前記正極電圧信号から前記負極電圧信号に切替えるための過渡期間をなす第3の期間と、前記負極電圧信号を前記第1の出力端子から出力させる第4の期間と、を設け、
前記第1の期間では、前記正極電圧信号供給回路からの前記正極電圧信号の供給を遮断し、前記負極電圧信号供給回路からの前記負極電圧信号の供給を遮断し、且つ、前記第3及び前記第4のスイッチを共にオン状態とし、前記第1及び第2の制御手段をそれぞれ活性状態及び非活性状態とし、前記第1及び前記第2の電圧制御回路をそれぞれ非活性状態及び活性状態とし、前記第3の電圧制御回路から前記基準電源電圧を前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートへ供給するように制御し、前記第4の電圧制御回路から、前記第1のNMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧をレベルシフトした電圧を前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートへ供給するように制御することで、前記第1のPMOSトランジスタスイッチをオフ状態、前記第1のNMOSトランジスタスイッチをオン状態とし、前記基準電源電圧を前記第1及び前記第2のノードと、前記第1の出力端子に供給し、
前記第2の期間では、前記負極電圧信号供給回路からの前記負極電圧信号の供給を引き続き遮断する一方、前記正極電圧信号供給回路から前記正極電圧信号を前記第1のノードに供給し、且つ、前記第3及び前記第4のスイッチをそれぞれオフ状態及びオン状態とし、前記第1及び第2の制御手段をそれぞれ非活性状態及び活性状態とし、前記第1及び前記第2の電圧制御回路をそれぞれ活性状態及び非活性状態とし、前記第3の電圧制御回路から、前記第1のPMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧をレベルシフトした電圧を前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートへ供給するように制御し、前記第4の電圧制御回路から前記基準電源電圧を前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートへ供給するように制御することで、前記第1のPMOSトランジスタスイッチをオン状態、前記第1のNMOSトランジスタスイッチをオフ状態とし、前記正極電圧信号を前記第1のPMOSトランジスタスイッチを介して前記第1の出力端子に供給すると共に、前記基準電源電圧を前記第4のスイッチを介して前記第2のノードに供給し、
前記第3の期間では、前記負極電圧信号供給回路からの前記負極電圧信号の供給を引き続き遮断すると共に、前記正極電圧信号供給回路からの前記正極電圧信号の供給を遮断し、且つ、前記第3及び前記第4のスイッチを共にオン状態とし、前記第1及び第2の制御手段を引き続きそれぞれ非活性状態及び活性状態とし、前記第1及び前記第2の電圧制御回路を引き続きそれぞれ活性状態及び非活性状態とし、前記第3の電圧制御回路から、前記第1のPMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧をレベルシフトした電圧を引き続き前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートへ供給するように制御し、前記第4の電圧制御回路から前記基準電源電圧を引き続き前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートへ供給するように制御することで、前記第1のPMOSトランジスタスイッチをオン状態、前記第1のNMOSトランジスタスイッチをオフ状態とし、前記基準電源電圧を前記第1及び前記第2のノードと、前記第1の出力端子に供給し、
前記第4の期間では、前記正極電圧信号供給回路からの前記正極電圧信号の供給を引き続き遮断する一方、前記負極電圧信号供給回路から前記負極電圧信号を前記第2のノードに供給し、且つ、前記第3及び前記第4のスイッチをそれぞれオン状態、オフ状態とし、前記第1及び前記第2の制御手段をそれぞれ活性状態及び非活性状態とし、前記第1及び前記第2の電圧制御回路をそれぞれ非活性状態及び活性状態とし、前記第3の電圧制御回路から前記基準電源電圧を前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートへ供給するように制御し、前記第4の電圧制御回路から、前記第1のNMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧をレベルシフトした電圧を前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートへ供給するように制御することで、前記第1のPMOSトランジスタスイッチをオフ状態、前記第1のNMOSトランジスタスイッチをオン状態とし、前記負極電圧信号を前記第1のNMOSトランジスタスイッチを介して前記第1の出力端子に供給すると共に、前記基準電源電圧を前記第3のスイッチを介して前記第1のノードに供給することを特徴とする請求項10に記載の出力回路。
【請求項12】
第2の出力端子と、
第3及び第4のノードと、
ソースが前記第3のノードに接続され、ドレインが前記第2の出力端子に接続された第2のPMOSトランジスタスイッチで構成され、オン状態時に前記第2の出力端子と前記第3のノードとを接続し、オフ状態時には前記第2の出力端子と前記第3のノードとの接続を遮断する第5のスイッチと、
ソースが前記第4のノードに接続され、ドレインが前記第2の出力端子に接続された第2のNMOSトランジスタスイッチで構成され、オン状態時に前記第2の出力端子と前記第4のノードとを接続し、オフ状態時には前記第2の出力端子と前記第4のノードとの接続を遮断する第6のスイッチと、
オン状態時に前記第3のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第3のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第7のスイッチと、
オン状態時に前記第4のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第4のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第8のスイッチと、
前記第5のスイッチのゲートに接続されており、前記第5のスイッチをオン状態に制御する第5の電圧制御回路と、
前記第6のスイッチのゲートに接続されており、前記第6のスイッチをオン状態に制御する第6の電圧制御回路と、
前記第5のスイッチのゲートに接続されており、前記第5のスイッチをオフ状態に制御する第3の制御手段と、
前記第6のスイッチのゲートに接続されており、前記第6のスイッチをオフ状態に制御する第4の制御手段と、
前記第2のPMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧を第5の電圧とし当該第5の電圧を高電位側にレベルシフトした第6の電圧を前記第2のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給するか、又は、前記基準電源電圧を前記第2のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給するかを制御する第7の電圧制御回路と、
前記第2のNMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧を第7の電圧とし当該第7の電圧を低電位側にレベルシフトした第8の電圧を前記第2のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給するか、又は、前記基準電源電圧を前記第2のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給するかを制御する第8の電圧制御回路と、を含み、
前記正極電圧信号供給回路は、前記第1のノード又は前記第3のノードへの前記正極電圧信号の供給又は遮断を制御し、
前記負極電圧信号供給回路は、前記第2のノード又は前記第4のノードへの前記負極電圧信号の供給又は遮断を制御することを特徴とする請求項10又は11に記載の出力回路。
【請求項13】
前記制御部は、
前記正極電圧信号及び前記負極電圧信号のうちの一方を前記第1の出力端子から出力させると共に、前記正極電圧信号及び前記負極電圧信号のうちの他方を前記第2の出力端子から出力させ、且つ前記第1の出力端子及び前記第2の出力端子から出力する電圧信号の極性を所定のタイミングで切替えるように、
前記第1~前記第4の制御手段の活性・非活性化制御、
前記第1、第2、第5及び第6の電圧制御回路各々の活性・非活性化制御、
前記第3、前記第4、前記第7及び前記第8のスイッチ各々のオン・オフ制御、前記第3及び第7の電圧制御回路それぞれによる前記第1及び第2のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートへ供給する電圧の制御、前記第4及び第8の電圧制御回路それぞれによる前記第1及び第2のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートへ供給する電圧の制御、及び、前記正極電圧信号供給回路及び前記負極電圧信号供給回路各々の電圧供給・遮断制御を、連動して行うことを特徴とする請求項12に記載の出力回路。
【請求項14】
前記第1の電圧制御回路は、
前記第1のノードの電圧を受け、前記第1のノードの電圧を低電圧側にレベルシフトした電圧を前記第1のPMOSトランジスタスイッチのゲートに供給し、
前記第2の電圧制御回路は、
前記第2のノードの電圧を受け、前記第1のノードの電圧を高電圧側にレベルシフトした電圧を前記第1のNMOSトランジスタスイッチのゲートに供給する、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1に記載の出力回路。
【請求項15】
前記第1の電圧制御回路は、
前記第1のノードと前記第1のPMOSトランジスタスイッチのゲートとの間に接続される第3の負荷素子と、
前記第3の負荷素子に流れる電流値を設定する第3の電流源と、を含み、
前記第1のPMOSトランジスタスイッチがオン状態に制御されるときに、前記第3の負荷素子は、前記第1のノードの電圧に対して、前記第3の負荷素子に流れる前記電流値に基づく電圧差だけレベルシフトした電圧を前記第1のPMOSトランジスタスイッチのゲートに供給することを特徴とする請求項14に記載の出力回路。
【請求項16】
前記第2の電圧制御回路は、
前記第2のノードと前記第1のNMOSトランジスタスイッチのゲートとの間に接続される第4の負荷素子と、
前記第4の負荷素子に流れる電流値を設定する第4の電流源と、を含み、
前記第1のNMOSトランジスタスイッチがオン状態に制御されるときに、前記第4の負荷素子は、前記第2のノードの電圧に対して、前記第4の負荷素子に流れる前記電流値に基づく電圧差だけレベルシフトした電圧を前記第1のNMOSトランジスタスイッチのゲートに供給することを特徴とする請求項14に記載の出力回路。
【請求項17】
前記正極電圧信号は前記基準電源電圧より高く且つ所定の正極電源電圧未満の電圧値を有し、前記負極電圧信号は前記基準電源電圧より低く且つ所定の負極電源電圧より高い電圧値を有し、
前記第1の電圧制御回路は、
前記基準電源電圧、及び前記基準電源電圧より低く且つ前記負極電源電圧より高い電圧値を有する負極側低電源電圧を受け、前記正極電圧信号の電圧値に基づき、前記基準電源電圧及び前記負極側低電源電圧のうちの一方を選択して前記第1のPMOSトランジスタスイッチのゲートに供給することを特徴とする請求項1~13のいずれか1に記載の出力回路。
【請求項18】
前記正極電圧信号は前記基準電源電圧より高く且つ所定の正極電源電圧未満の電圧値を有し、前記負極電圧信号は前記基準電源電圧より低く且つ所定の負極電源電圧より高い電圧値を有し、
前記第2の電圧制御回路は、
前記基準電源電圧、及び前記基準電源電圧より高く且つ前記正極電源電圧より低い電圧値を有する正極側低電源電圧を受け、前記負極電圧信号の電圧値に基づき、前記基準電源電圧及び前記正極側低電源電圧のうちの一方を選択して前記第1のNMOSトランジスタスイッチのゲートに供給することを特徴とする請求項1~13のいずれか1に記載の出力回路。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1に記載の出力回路を複数含み、液晶表示パネルの複数のデータ線を駆動する為の正極性又は負極性の電圧値を有する複数の階調電圧信号を複数の前記出力回路から出力することを特徴とする表示ドライバ。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか1に記載の出力回路を複数含み、複数の前記出力回路から正極性又は負極性の電圧値を有する複数の階調電圧信号を出力する表示ドライバと、
前記複数の階調電圧信号を受ける複数のデータ線を有する液晶表示パネルと、を有することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極性及び負極性の電圧を出力する出力回路、表示パネルを駆動する表示ドライバ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、主要な表示装置として、表示デバイスにアクティブマトリクス駆動方式の液晶パネルを用いた液晶表示装置が一般的に知られている。
【0003】
液晶パネルには、2次元画面の垂直方向に夫々伸張する複数のデータ線と、2次元画面の水平方向に夫々伸張する複数のゲート線と、が交叉して配置されている。更に、これら複数のデータ線と、複数のゲート線との各交叉部には、データ線及びゲート線に接続されている画素部が形成されている。液晶表示装置には、かかる液晶パネルと共に、各画素の輝度レベルに対応したアナログ電圧値を有する階調データ信号(階調電圧信号ともいう)を1水平走査期間単位のデータパルスでデータ線に供給するデータドライバが含まれている。データドライバは、液晶パネルの劣化を防ぐために、正極性の階調データ信号と負極性の階調データ信号と、を所定のフレーム期間毎に交互に液晶パネルに供給する極性反転駆動を行う。
【0004】
このような極性反転駆動を行う出力回路として、階調データ信号に対応した正極性の駆動電圧及び負極性の駆動電圧を受け、両者のうちの一方を交互に選択して液晶パネルに出力するスイッチ群を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1の
図9~
図11のSW1~SW12を参照)。
【0005】
当該特許文献1に記載の出力回路では、スイッチSW1~SW12を用いることで、正極性の駆動電圧(5V)を出力パッドOUT1から出力している状態(同文献の
図9の状態)から負極性の駆動電圧(-5V)を出力パッドOUT1から出力する状態(同文献の
図11の状態)に切り替える。更に、このような極性切替を行うにあたり、特許文献1に記載の出力回路では、同文献の
図10のように一旦、各スイッチの一端を0Vの状態に設定してから、同文献の
図11に示す状態に切り換えている。これにより、各スイッチの耐圧を液晶駆動電圧範囲の1/2の低耐圧素子で構成できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1(同文献の
図9~
図11)では、OUT1,2と接続される出力選択スイッチ(SW5、SW6、SW7、SW8)は、両端の耐圧を液晶駆動電圧範囲の1/2の低耐圧素子にできるが、該スイッチを液晶駆動電圧範囲の1/2の低耐圧トランジスタスイッチで構成する場合、Pチャネル型とNチャネル型を抱き合わせた相補型スイッチは使用に適さず、単一導電型のトランジスタスイッチで構成しなければならない。この理由を以下に説明する。
【0008】
例えば、正極性の駆動電圧(階調電圧信号)の電圧値の範囲をVGND(0V)~VDDH(5V)、負極性の駆動電圧(階調電圧信号)の電圧値の範囲をVDDL(-5V)~VGND(0V)とする。
【0009】
ここで、先ず、特許文献1(同文献の
図9~
図11)に示す正極性の駆動電圧を出力する出力選択スイッチSW5をNチャネル型トランジスタスイッチで構成した場合を考える。
【0010】
Nチャネル型トランジスタスイッチSW5は第1端子に供給される正極性の駆動電圧を出力するため、その制御端には最大で正極電源電圧VDDHが供給される。ここでNチャネル型トランジスタスイッチSW5の第2端子に接続される出力端子OUT1が、負極性から正極性への極性反転により基準電源電圧VGNDに駆動されるとき、出力端子OUT1が負極性の駆動電圧から基準電源電圧VGNDに十分近づいていないと、Nチャネル型トランジスタスイッチSW5の制御端と第2端子に接続される出力端子OUT1との間の電圧差が耐圧を超過するリスクがある。そのリスクを避けるには、極性反転時に出力端子OUT1への基準電源電圧VGNDの駆動時間を十分確保する必要があり、出力期間の短い動作条件での高速駆動は難しい。また、正極性の駆動電圧の電圧値が正極電源電圧VDDHに近い場合、Nチャネル型トランジスタスイッチSW5は、その制御端に正極電源電圧VDDHが供給されても、正極電源電圧VDDHからNチャネル型トランジスタの閾値電圧内の電圧範囲は出力することができない。
【0011】
次に、出力選択スイッチSW5をPチャネル型トランジスタスイッチで構成した場合を考える。
【0012】
Pチャネル型トランジスタスイッチSW5は第1端子に供給される正極性の駆動電圧を出力するため、その制御端には、正極性の駆動電圧に対し低電圧側の耐圧内の電圧を供給するよう制御する。この場合、Pチャネル型トランジスタスイッチSW5の制御端と第2端子に接続される出力端子OUT1との間の電圧差が耐圧を超過するリスクはない。また、Pチャネル型トランジスタスイッチSW5の制御端の供給電圧を正極性の駆動電圧に対し適切に制御すれば、任意の正極性の駆動電圧をPチャネル型トランジスタスイッチSW5により出力することができる。
【0013】
したがって、正極性の駆動電圧を出力する出力選択スイッチは、Pチャネル型トランジスタスイッチ単独で構成するのが最適である。同様に、負極性の駆動電圧を出力する出力選択スイッチは、Nチャネル型トランジスタスイッチ単独で構成するのが最適である。
【0014】
ところで、表示装置のデータドライバは一般的にはシリコンLSI上のMOSトランジスタ回路で構成され、上記出力選択スイッチを含む出力回路もMOSトランジスタ回路で構成される。MOSトランジスタの出力選択スイッチは、バックゲートを有するため、バックゲート端子と他の端子間との耐圧も液晶駆動電圧の1/2にしなければならない。バックゲート端子への供給電圧は一般的に、PMOSトランジスタはソース端子の電圧範囲の上限値側電源電圧か又はソース端子と共通接続とされ、NMOSトランジスタはソース端子の電圧範囲の下限値側電源電圧か又はソース端子と共通接続とされる。
【0015】
ここで、正極性の駆動電圧を出力する出力選択スイッチをPMOSトランジスタスイッチ単独で構成する場合を考える。
【0016】
PMOSトランジスタスイッチのバックゲートに印加される電圧が、ソース端子の電圧範囲の上限値側の正極電源電圧VDDHであり、PMOSトランジスタスイッチのゲート端子が基準電源電圧VGNDより低い電圧を取る場合には、バックゲート端子とゲート端子間の電圧差が耐圧を超過するリスクがある。
【0017】
一方、PMOSトランジスタスイッチのバックゲート端子をソース端子と共通接続する場合には、耐圧超過のリスクは生じない。同様に、負極性の駆動電圧を出力する出力選択スイッチをNMOSトランジスタスイッチ単独で構成する場合も、NMOSトランジスタスイッチのバックゲート端子をソース端子と共通接続する場合には、耐圧超過のリスクは生じない。
【0018】
しかしながら、PMOSトランジスタスイッチを、ソース端子とバックゲート端子が共通接続された単一導電型のMOSトランジスタスイッチとした場合には、寄生バイポーラトランジスタの作用によりトランジスタ外へ電流が流れるモードが存在する。
【0019】
これについて説明する。尚、説明の便宜上、出力回路はP型の半導体基板上に形成されるものとする。
【0020】
図1は、出力選択スイッチとしてのPMOSトランジスタQs、及び当該PMOSトランジスタQsに形成される寄生バイポーラトランジスタを表す断面図である。
【0021】
PMOSトランジスタQsは、例えばP型の半導体基板PSの表面に形成されているN型ウェルNWに形成される。PMOSトランジスタQsのゲートGは、P型半導体基板PS上において積層されたゲート絶縁膜Go及びゲート電極Gpで構成される。ドレインD及びソースSは、N型ウェルNW内において互いにゲート長の間隔を空けて配置された高濃度のP型拡散領域Rd及びRsにて構成される。N型ウェルNW内におけるソース近傍には、PMOSトランジスタQsのバックゲートに電位を印加する為のバックゲート端としての高濃度のN型拡散領域BGが形成されている。当該バックゲート端及びソースSは配線を介して、正極性の駆動電圧を生成して出力する正極アンプAMPの出力端に共通に接続されている。ドレインDは配線を介して例えば液晶パネルの容量性負荷としてのデータ線負荷LODに接続される。更に、P型半導体基板PSの表面におけるN型ウェルNWの周囲には、当該P型半導体基板PSに負極電源電圧VDDLを印加するための高濃度のP型拡散領域Rcが形成されている。
【0022】
以下に、出力選択スイッチが、
図1に示すように、ソースS(Rs)とバックゲート端(BG)とが共通接続された単一導電型MOSトランジスタで構成された場合での作用について説明する。尚、液晶パネルの駆動はカラム反転駆動を例にして説明する。カラム反転駆動では、1フレーム内のデータ期間は同一極性の駆動電圧が供給される。
【0023】
例えば、正極電圧駆動時でのデータ線負荷LODの放電動作により、低電圧側の駆動電圧が正極アンプAMPから、PMOSトランジスタQsを介してデータ線負荷LODに供給されると、出力端子側のPMOSトランジスタQsのドレインDに対して、ソースS及びバックゲート端が低い電圧となる。よって、PMOSトランジスタQsがオン状態であれば、
図1の太線矢印に示すように、データ線負荷LODから、正極アンプAMP側へ電流が流れる。
【0024】
ところが、この際、
図1に示すようにPMOSトランジスタQsのドレインDを担うP型拡散領域Rdと、P型拡散領域Rcとの間に形成される寄生バイポーラトランジスタPaBがオン状態となる。これにより、
図1の太線矢印に示すように、データ線負荷LODから、P型拡散領域Rd、N型ウェルNW、P型半導体基板PS、及びP型拡散領域Rcを介して電流が流れてしまう場合がある。
【0025】
つまり、
図1に示すように、データ線負荷LOD側のPMOSトランジスタQsのP型拡散領域Rdがエミッタ、負極電源電圧VDDLが供給されているP型半導体基板PSがコレクタ、PMOSトランジスタQsのバックゲート端を担うP型拡散領域Rcに接続されているN型ウェルNWをベースとしたPNP型の寄生バイポーラトランジスタPaBが形成される。
【0026】
これにより、データ線負荷LODの電圧に対して、正極アンプAMPから出力される駆動電圧が寄生バイポーラトランジスタPaBの閾値電圧(絶対値)以上の電圧差となる場合、例えば駆動電圧の変化量が大きくその変化速度が速い場合には、PMOSトランジスタQsに流れる電流とは別に、データ線負荷LODから寄生バイポーラ電流IRが一時的に流れる。特にデータドライバでは、この寄生バイポーラ電流IRが多数の出力回路で同時に発生することにより、周囲の回路動作への悪影響や、回路設計からずれた放電動作等の動作不良が生じ、最悪の場合にはラッチアップを誘発するおそれがあった。尚、負極電圧駆動時における、出力選択スイッチとしてのNMOSトランジスタにおいても上記したPMOSトランジスタQsと同様な問題が生じる。
【0027】
そこで、本発明は、正極性及び負極性の電圧信号を択一的に出力する出力回路として、信頼性の高い動作を実現すると共に省面積化を図ることが可能な出力回路、当該出力回路を含む表示ドライバ及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明に係る出力回路は、基準電源電圧よりも高電圧の正極電圧信号を第1のノードに供給、又は前記正極電圧信号の前記第1のノードへの供給を遮断する正極電圧信号供給回路と、前記基準電源電圧よりも低電圧の負極電圧信号を第2のノードに供給、又は前記負極電圧信号の前記第2のノードへの供給を遮断する負極電圧信号供給回路と、第1の出力端子と、ソースが前記第1のノードに接続され、ドレインが前記第1の出力端子に接続された第1のPMOSトランジスタスイッチで構成されており、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第1のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第1のノードとの接続を遮断する第1のスイッチと、ソースが前記第2のノードに接続され、ドレインが前記第1の出力端子に接続された第1のNMOSトランジスタスイッチで構成されており、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第2のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第2のノードとの接続を遮断する第2のスイッチと、オン状態時に前記第1のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第1のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第3のスイッチと、オン状態時に前記第2のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第2のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第4のスイッチと、前記第1のスイッチのゲートに接続されており、前記第1のスイッチをオン状態に制御する第1の電圧制御回路と、前記第2のスイッチのゲートに接続されており、前記第2のスイッチをオン状態に制御する第2の電圧制御回路と、前記第1のスイッチのゲートに接続されており、前記第1のスイッチをオフ状態に制御する第1の制御手段と、前記第2のスイッチのゲートに接続されており、前記第2のスイッチをオフ状態に制御する第2の制御手段と、前記第1のPMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧を第1の電圧とし当該第1の電圧を高電位側にレベルシフトした第2の電圧を前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給するか、又は、前記基準電源電圧を前記第1のPMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給するかを制御する第3の電圧制御回路と、前記第1のNMOSトランジスタスイッチのソース又はドレインの電圧を第3の電圧とし当該第3の電圧を低電位側にレベルシフトした第4の電圧を前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給するか、又は、前記基準電源電圧を前記第1のNMOSトランジスタスイッチのバックゲートに供給するかを制御する第4の電圧制御回路と、を有する。
【0029】
本発明に係る表示ドライバは、上記した出力回路を複数含み、液晶表示パネルの複数のデータ線を駆動する為の正極性又は負極性の電圧値を有する複数の階調電圧信号を、上記複数の出力回路から出力する。
【0030】
本発明に係る表示装置は、上記した出力回路を複数含み当該複数の出力回路から正極性又は負極性の電圧値を有する複数の階調電圧信号を出力する表示ドライバと、前記複数の階調電圧信号を受ける複数のデータ線を有する液晶表示パネルと、を有する。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、正極性及び負極性の電圧信号を択一的に容量性負荷に出力する出力選択スイッチとして単一導電型のMOSトランジスタを用いても、当該MOSトランジスタに寄生する寄生バイポーラトランジスタの発生が抑制されると共に、かかるMOSトランジスタを低耐圧化することが可能となる。
【0032】
よって、本発明によれば、正極性及び負極性の電圧信号を択一的に出力するにあたり、省面積であり且つ信頼性の高い出力回路を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】PMOSトランジスタと、当該PMOSトランジスタに寄生する寄生バイポーラトランジスタを表す半導体基板の断面図である。
【
図2】出力回路100の構成の一例を示す回路図である。
【
図3A】正極電圧信号Vpに追従させて電圧制御回路55が生成するバックゲート電圧Vbg11の波形を示す波形図である。
【
図3B】負極電圧信号Vnに追従させて電圧制御回路65が生成するバックゲート電圧Vbg21の波形を示す波形図である。
【
図4】制御部101が生成する制御信号S12~S14、S22~S24の一例を示すタイムチャートである。
【
図5】電圧制御回路55の第1の実施例としての電圧制御回路55-1を示す回路図である。
【
図6】電圧制御回路55の第2の実施例としての電圧制御回路55-2を示す回路図である。
【
図7】電圧制御回路55の第3の実施例としての電圧制御回路55-3を示す回路図である。
【
図8】電圧制御回路55の第4の実施例としての電圧制御回路55-4を示す回路図である。
【
図9】電圧制御回路65の第1の実施例としての電圧制御回路65-1を示す回路図である。
【
図10】電圧制御回路50の第1の実施例としての電圧制御回路50-1を示す回路図である。
【
図11】電圧制御回路50の第2の実施例としての電圧制御回路50-2を示す回路図である。
【
図12】電圧制御回路60の第1の実施例としての電圧制御回路60-1を示す回路図である。
【
図13】電圧制御回路60の第2の実施例としての電圧制御回路60-2を示す回路図である。
【
図14】本発明に係る出力回路の第2の実施例としての出力回路200の構成を示す回路図である。
【
図15】本発明に係る出力回路を含むデータドライバ73を有する表示装置400の構成を示すブロック図である。
【
図16】データドライバ73の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0034】
図2は、本発明に係る出力回路の一例としての出力回路100の構成を示す回路図である。
【0035】
まず、かかる出力回路100に供給する電源電圧の種類、及び当該電源電圧と素子耐圧との関係について説明する。
【0036】
出力回路100に供給される電源としては、以下の大小関係を有する基準電源電圧VGND、正極電源電圧VDDH、及び負極電源電圧VDDLの3電源を少なくとも備える。
【0037】
VDDL<VGND<VDDH
ここでは、基準電源電圧VGNDよりも高い電圧を正極性の電圧とし、基準電源電圧VGNDよりも低い電圧を負極性の電圧として記述する。
【0038】
これに対して耐圧VDDTは、電圧差a:(VDDH-VGND)、及び電圧差b:(|VDDL-VGND|)より大、且つ、電圧差c:(VDDH-VDDL)未満であるものの、低耐圧化に伴う回路面積の低減(コスト削減)を図る為にできるだけ低い値であるとする。
【0039】
尚、出力回路100に供給する電源電圧としては、基準電源電圧VGND、正極電源電圧VDDH、及び負極電源電圧VDDLの他に、以下の大小関係にて表される正極側低電源電圧VCCH及び負極側低電源電圧VCCLを含めてもよい。
【0040】
VDDL<VCCL<VGND<VCCH<VDDH
出力回路100は、上記した基準電源電圧VGNDより高電位の信号を正極電圧信号Vpi、基準電源電圧VGND以下の電位を有する信号を負極電圧信号Vniとして受ける。そして、出力回路100は、これら正極電圧信号Vpi及び負極電圧信号Vniを夫々個別に増幅した正極電圧信号Vp及び負極電圧信号Vnのうちの一方を所定のタイミング毎に交互に選択して、一つの容量性負荷(例えば液晶表示装置のデータ線)に出力する。これにより、出力回路100は、当該容量性負荷を駆動(極性反転駆動)する。
【0041】
図2に示すように出力回路100は、一つの容量性負荷に接続される出力端子DL1、ノードNs11及びNs21、正極電圧信号供給回路10A、負極電圧信号供給回路20A、出力選択スイッチ11及び21、第1~第4の電圧制御回路(50、60、55、65)、スイッチ12及び22、第1及び第2の制御手段(13、23)、及び制御部101を含む。
【0042】
正極電圧信号供給回路10Aは、基準電源電圧VGNDに対して高電位側の電圧値を有する任意の正極電圧信号Vp(VGND<Vp<VDDH)のノードNs11への供給、遮断を制御する。負極電圧信号供給回路20Aは、基準電源電圧VGNDに対して低電位側の電圧値を有する任意の負極電圧信号Vn(VGND>Vn>VDDL)のノードNs21への供給、遮断を制御する。
【0043】
出力選択スイッチ11は、オン時にノードNs11と出力端子DL1とを接続することで、ノードNs11の電圧V11を出力端子DL1へ出力するPMOS型のトランジスタスイッチで構成される。尚、以後、出力選択スイッチ11をPMOSトランジスタスイッチ11とも称する。PMOSトランジスタスイッチ11は、第1端子(以後、ソースと記す)がノードNs11に接続され、第2端子(以後、ドレインと記す)が出力端子DL1に接続されており、制御端(以後、ゲートと記す)が第1の電圧制御回路50と第1の制御手段13とに共通に接続されている。
【0044】
出力選択スイッチ21は、オン時にノードNs21と出力端子DL1とを接続することで、ノードNs21の電圧V21を出力端子DL1へ出力するNMOSトランジスタスイッチで構成される。尚、以後、出力選択スイッチ21をNMOSトランジスタスイッチ21とも称する。NMOSトランジスタスイッチ21は、ソースがノードNs21に接続され、ドレインが出力端子DL1に接続されており、ゲートが第2の制御回路60と第2の制御手段23とに共通に接続されている。
【0045】
スイッチ12は、例えばノードNs11と基準電源電圧VGNDを受ける基準電源端子との間に接続されたNMOS型のトランジスタスイッチで構成される。スイッチ12は、オン時にノードNs11に基準電源電圧VGNDを印加し、オフ時には当該ノードNs11への基準電源電圧VGNDの印加を停止する。
【0046】
スイッチ22は、例えばノードNs21と基準電源端子との間に接続されたPMOS型のトランジスタスイッチで構成される。スイッチ22は、オン時にノードNs21に基準電源電圧VGNDを印加し、オフ時には当該ノードNs21への基準電源電圧VGNDの印加を停止する。
【0047】
第1の制御手段13は、例えばPMOSトランジスタスイッチ11のゲートと基準電源端子との間に接続されたPMOSトランジスタスイッチ13(以後、単にスイッチ13とも称する)で構成される。第1の制御手段13は、スイッチ12のオン状態の制御と連係して制御され、スイッチ12と共にオン状態となるときに、基準電源電圧VGNDをPMOSトランジスタスイッチ11のゲートに供給することで当該PMOSトランジスタスイッチ11をオフ状態に制御する。なおスイッチ13は、PMOSトランジスタスイッチ11のゲートとノードNs11との間に設けることも可能である。
【0048】
第2の制御手段23は、例えばNMOSトランジスタスイッチ21のゲートと基準電源端子との間に接続されたNMOSトランジスタスイッチ23(以後、単にスイッチ23ともいう)で構成される。第2の制御手段23は、スイッチ22のオン状態の制御と連係して制御され、スイッチ22と共にオン状態となるときに、基準電源電圧VGNDをNMOSトランジスタスイッチ21のゲートに供給することで当該NMOSトランジスタスイッチ21をオフ状態に制御する。なおスイッチ23は、NMOSトランジスタスイッチ21のゲートとノードNs21との間に設けることも可能である。
【0049】
尚、
図2に示す一例では、第1及び第2の制御手段13、23を、夫々スイッチの形態で表している。ここで、一対のスイッチ12及び13と、一対のスイッチ22及び23とは、正極又は負極の電圧信号(Vp又はVn)を出力端子DL1へ出力する際には、一方がオン、他方がオフに制御される。
【0050】
第1の電圧制御回路50は、PMOSトランジスタスイッチ11のゲートと接続されており、第1の制御手段13が非活性状態(スイッチ13がオフ)の時に活性状態となる。第1の電圧制御回路50は、活性状態時に、PMOSトランジスタスイッチ11がオン状態を保持する電圧をゲート電圧Vg11として生成し、これをPMOSトランジスタスイッチ11のゲートに供給する。尚、第1の制御手段13が活性状態(スイッチ13がオン)の時には、第1の電圧制御回路50は非活性状態とされる。
【0051】
第2の電圧制御回路60は、NMOSトランジスタスイッチ21のゲートと接続されており、第2の制御手段23が非活性状態(スイッチ23がオフ)の時に活性状態となる。第2の電圧制御回路60は、当該活性状態時に、NMOSトランジスタスイッチ21がオン状態を保持する電圧をゲート電圧Vg21として生成し、これをNMOSトランジスタスイッチ21のゲートに供給する。尚、第2の制御手段23が活性状態(スイッチ23がオン)の時には、第2の電圧制御回路60は非活性状態とされる。
【0052】
第3の電圧制御回路55は、第1の電圧制御回路50と連動して動作し、PMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートを制御する電圧Vbg11を供給する。具体的には、第3の電圧制御回路55は、第1の電圧制御回路50が非活性状態とされてPMOSトランジスタスイッチ11がオフ状態に制御される時に、基準電源電圧VGNDをバックゲート電圧Vbg11としてPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに供給する。
【0053】
一方、第3の電圧制御回路55は、第1の電圧制御回路50が活性状態とされてPMOSトランジスタスイッチ11がオン状態に制御された時に、PMOSトランジスタスイッチ11のソース(Ns11)の電圧(V11)又はドレイン(出力端子DL1)の電圧(VDL1)を第1の参照電圧とし、これを高電位側にレベルシフトした電圧をバックゲート電圧Vbg11としてPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに供給する。
【0054】
第4の電圧制御回路65は、第2の電圧制御回路60と連動して動作し、NMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートを制御する電圧Vbg21を供給する。具体的には、第4の電圧制御回路65は、第2の電圧制御回路60が非活性状態とされてNMOSトランジスタスイッチ21がオフ状態に制御される時に、基準電源電圧VGNDをバックゲート電圧Vbg21としてNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートに供給する。
【0055】
一方、第4の電圧制御回路65は、第2の電圧制御回路60が活性状態とされてNMOSトランジスタスイッチ21がオン状態に制御された時に、NMOSトランジスタスイッチ21のソース(Ns21)の電圧(V21)又はドレイン(出力端子DL1)の電圧(VDL1)を第2の参照電圧とし、これを低電位側にレベルシフトした電圧をバックゲート電圧Vbg21としてNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートに供給する。
【0056】
ここで、PMOSトランジスタスイッチ11のオン状態における上記した第3の電圧制御回路55の作用は、PMOSトランジスタスイッチ11が正極電圧信号Vpを通すときに、PMOSトランジスタスイッチ11のバックゲート電圧Vbg11を、PMOSトランジスタスイッチ11のソース及びドレインに供給される正極電圧信号Vpより高い電圧に制御することである。これにより、バックゲート効果でPMOSトランジスタスイッチ11の閾値電圧(絶対値)が増加し、正極電圧信号Vpによる容量性負荷の放電動作又は充電動作に伴う電圧変化時におけるPNP寄生バイポーラトランジスタ(例えば
図1のPaB)の発生が抑制される。
【0057】
但しこの際、バックゲート電圧Vbg11と、PMOSトランジスタスイッチ11のソース又はドレインの電圧(Vp)との電圧差が大きすぎると、PMOSトランジスタスイッチ11の閾値電圧(絶対値)が大幅に増加し、それに伴いPMOSトランジスタスイッチ11のオン抵抗が増加してしまう。そこで、電圧制御回路55では、PMOSトランジスタスイッチ11のオン抵抗の増加を最小限とし、且つ上記したPNP寄生バイポーラトランジスタの発生を抑制できる程度の小さい電圧差となるように、そのレベルシフト量を制御する。
【0058】
同様に、NMOSトランジスタスイッチ21のオン状態における第4の電圧制御回路65の作用は、NMOSトランジスタスイッチ21が負極電圧信号Vnを通すときに、NMOSトランジスタスイッチ21のバックゲート電圧Vbg21を、NMOSトランジスタスイッチ21のソース及びドレインに供給される負極電圧信号Vnより低い電圧に制御することである。これにより、バックゲート効果でNMOSトランジスタスイッチ21の閾値電圧が増加し、負極電圧信号Vnによる容量性負荷の充電動作又は放電動作に伴う電圧変化時において、NPN寄生バエンジンイポーラトランジスタの発生を抑制する。
【0059】
但しこの際、バックゲート電圧Vbg21と、NMOSトランジスタスイッチ21のソース又はドレインの電圧(Vn)との電圧差が大きすぎると、NMOSトランジスタスイッチ21の閾値電圧が大幅に増加し、それに伴いNMOSトランジスタスイッチ21のオン抵抗が増加してしまう。そこで、電圧制御回路65では、NMOSトランジスタスイッチ21のオン抵抗増加を最小限とし、且つ、NPN寄生バイポーラトランジスタの発生を抑制できる程度の小さい電圧差となるように、そのレベルシフト量を制御する。
【0060】
正極電圧信号供給回路10Aは、正極電圧信号Vpを出力する増幅回路10と、ノードNs11への正極電圧信号Vpの供給、遮断を制御するスイッチ14と、で構成される。
【0061】
スイッチ14は広い電圧範囲の正極電圧信号Vpを通すために、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタからなるCMOSスイッチで構成される。スイッチ14の両端は同じ正極電圧範囲の端子であり、単純にCMOSスイッチとしても構わない。尚、増幅回路10はスイッチ14の機能を内部に含む構成としてもよく、その場合は増幅回路10の出力ノードはノードNs11となる。また
図2において、増幅回路10は、入力電圧信号Vpiと同じ正極電圧信号Vpを増幅出力するボルテージフォロワに限定されず、入力電圧信号Vpiと出力電圧信号Vpが異なる増幅回路でも構わない。尚、以降、正極電圧信号供給回路10AからノードNs11へ供給する電圧信号をVpと記述する。
【0062】
負極電圧信号供給回路20Aは、負極電圧信号Vnを出力する増幅回路20と、ノードNs21への負極電圧信号Vnの供給、遮断を制御するスイッチ24と、で構成される。スイッチ24は広い電圧範囲の負極電圧信号を通すために、CMOSスイッチで構成される。尚、増幅回路20はスイッチ24の機能を内部に含む構成としてもよく、その場合は増幅回路20の出力ノードはノードNs21となる。
【0063】
また
図2において、増幅回路20は、入力電圧信号Vniと同じ負極電圧信号Vnを増幅出力するボルテージフォロワに限定されず、入力電圧信号Vniと出力電圧信号Vnが異なる増幅回路でも構わない。尚、以降、負極電圧信号供給回路20AからノードNs21へ供給する電圧信号をVnと記述する。
【0064】
スイッチ12-14及び22-24は、制御部101から出力される制御信号S12-S14、S22-S24により夫々が個別にオン、オフ制御される。また第1~第4の電圧制御回路(50,60、55、65)が制御信号により制御される場合は制御部101から当該制御信号を供給する。
【0065】
次に、
図2に示す出力回路100の素子耐圧について説明する。出力回路100の各素子は、出力電圧範囲よりも低い耐圧VDDTで構成され、最小耐圧は出力電圧範囲の約1/2程度とされる。
【0066】
具体的には、正極電圧信号供給回路10AからノードNs11までは、基準電源電圧VGNDから正極電源電圧VDDHの範囲内に保たれるため、増幅回路10及びスイッチ14を、出力電圧範囲よりも低い耐圧VDDTのトランジスタで構成することができる。同様に負極電圧信号供給回路20AからノードNs21までは、基準電源電圧VGNDから負極電源電圧VDDLの範囲内に保たれるため、増幅回路20及びスイッチ24を、出力電圧範囲よりも低い耐圧VDDTのトランジスタで構成することができる。
【0067】
次に、出力選択スイッチとしてのPMOSトランジスタスイッチ11の素子耐圧について説明する。
【0068】
例えば、出力端子DL1へ正極電圧信号Vpが出力されるとき、スイッチ12、13は共にオフとされ、PMOSトランジスタスイッチ11は第1の電圧制御回路50によりオン状態に制御される。このときPMOSトランジスタスイッチ11のソース、ドレインの各電圧はVGND~VDDHの正極電圧範囲内とされる。これにより、PMOSトランジスタスイッチ11のゲート・ソース間電圧差は、出力電圧範囲よりも低い耐圧VDDT以内に制御される。また第1の電圧制御回路50及び第3の電圧制御回路55により、PMOSトランジスタスイッチ11のゲート及びバックゲート間電圧差も耐圧VDDT以内に制御される。
【0069】
一方、出力端子DL1へ負極電圧信号Vnが出力されるときは、スイッチ12、13によりゲート及びソースに基準電源電圧VGNDが供給され、PMOSトランジスタスイッチ11はオフ状態に制御される。したがって、PMOSトランジスタスイッチ11のドレインが接続された出力端子DL1に負極電圧信号Vnが出力されていても、PMOSトランジスタスイッチ11のソース、ドレイン、ゲート、バックゲートの各端子間電圧は、出力電圧範囲よりも低い耐圧VDDT以内に制御される。
【0070】
尚、出力端子DL1が、正極電圧信号Vpから負極電圧信号Vnへの切り替わり時には、例えばスイッチ12をオンのまま、スイッチ13をオフに制御し、第1の電圧制御回路50を動作させることで、出力端子DL1を正極電圧から一旦基準電源電圧VGNDへ駆動する。その後、負極電圧信号Vnの出力動作に切り替える。これにより、PMOSトランジスタスイッチ11の各端子間電圧差を低耐圧VDDT以内に保つことができる。
【0071】
次に、出力選択スイッチとしてのNMOSトランジスタスイッチ21の素子耐圧について説明する。
【0072】
例えば、出力端子DL1へ負極電圧信号Vnが出力されるとき、スイッチ22、23は共にオフとされ、NMOSトランジスタスイッチ21は第2の電圧制御回路60によりオン状態に制御される。このとき、NMOSトランジスタスイッチ21のソース、ドレインの各電圧はVGND~VDDLの負極電圧範囲内とされる。NMOSトランジスタスイッチ21のゲート・ソース間電圧差は耐圧VDDT以内に制御される。また第2の電圧制御回路60及び第4の電圧制御回路65により、NMOSトランジスタスイッチ21のゲート・バックゲート間電圧差も耐圧VDDT以内に制御される。
【0073】
一方、出力端子DL1へ正極電圧信号Vpが出力されるときは、スイッチ22、23によりゲート及びソースに基準電源電圧VGNDが供給されて、NMOSトランジスタスイッチ21はオフ状態に制御される。したがってドレインが接続された出力端子DL1が正極電圧信号Vpであっても、NMOSトランジスタスイッチ21のソース、ドレイン、ゲート、バックゲートの各端子間電圧は耐圧VDDT以内に制御される。尚、出力端子DL1が、負極電圧信号Vnから正極電圧信号Vpへ切り替わる時には、例えばスイッチ22をオンのままスイッチ23をオフに制御し、第2の電圧制御回路60を動作させることで、出力端子DL1を負極電圧から一旦基準電源電圧VGNDへ駆動する。その後、正極電圧信号Vpの出力動作に切り替える。これにより、NMOSトランジスタスイッチ21の各端子間電圧差を出力電圧範囲よりも低い耐圧VDDT以内に保つことができる。
【0074】
以上のように、
図2に示す出力回路100は、出力選択スイッチ11、21を含めて、出力電圧範囲よりも低い耐圧VDDTのトランジスタで構成することができる。
【0075】
次に、
図3A及び
図3Bを参照して、第3及び第4の電圧制御回路55、65の動作について説明する。
【0076】
図3Aは、正極電圧信号Vpが連続して出力されるときの、PMOSトランジスタスイッチ11のソース側又はドレイン側に供給される正極電圧信号Vpと、第3の電圧制御回路55により制御されるPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲート電圧Vbg11の信号波形を示している。尚、PMOSトランジスタスイッチ11のソース側に供給される正極電圧信号Vpは、ノードNs11上の電圧信号V11であり、PMOSトランジスタスイッチ11のドレイン側に供給される正極電圧信号Vpは、出力端子DL1上の出力信号VDL1である。
【0077】
図3Aに示す一例では、PMOSトランジスタスイッチ11のソース側又はドレイン側に供給される電圧信号Vp(V11又はVDL1)は、時刻t1で基準電源電圧VGND寄りの正極電圧から正極電源電圧VDDH寄りの正極電圧に変化し、その後の時刻t2で再び基準電源電圧VGND寄りの正極電圧に変化する。この際、PMOSトランジスタスイッチ11のバックゲート電圧Vbg11は、
図3Aに示すように、電圧信号Vpに対して正側へ所定の電圧差LSpだけレベルシフトした電圧を保ち、且つ、追従して動作する。上記所定の電圧差LSpは、PMOSトランジスタスイッチ11のオン抵抗増加を最小限とし、且つPNP寄生バイポーラトランジスタ(例えば
図1のPaB)の発生を抑制できる比較的小さい電圧差に制御される。
【0078】
尚、
図3Aにおいて、正極電圧信号Vp(V11又はVDL1)が正極電源電圧VDDH近傍のときには、バックゲート電圧Vbg11は正極電源電圧VDDH以下であり、電圧信号Vpとの電圧差は縮小される。
【0079】
図3Bは、負極電圧信号Vnが連続して出力されるときの、NMOSトランジスタスイッチ21のソース側又はドレイン側に供給される負極電圧信号Vnと、第4の電圧制御回路65によって制御されるNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲート電圧Vbg21の信号波形を示している。尚、NMOSトランジスタスイッチ21のソース側に供給される負極電圧信号VnはノードNs21上の電圧信号V21であり、NMOSトランジスタスイッチ21のドレイン側に供給される
負極電圧信号Vnは出力端子DL1上の出力信号VDL1である。
【0080】
図3Bに示す一例では、NMOSトランジスタスイッチ21のソース側又はドレイン側に供給される電圧信号Vn(V21又はVDL1)は、時刻t1で基準電源電圧VGND寄りの負極電圧から負極電源電圧VDDL寄りの負極電圧に変化し、その後の時刻t2で再び基準電源電圧VGND 寄りの負極電圧に変化する。この際、NMOSトランジスタスイッチ21のバックゲート電圧Vbg21は、電圧信号Vnに対して負側へレベルシフトした所定の電圧差LSnを保ち、追従して動作する。上記所定の電圧差LSnは、NMOSトランジスタスイッチ21のオン抵抗増加を最小限とし、且つNPN寄生バイポーラトランジスタの発生を抑制できる比較的小さい電圧差に制御される。
図3Bにおいて、負極電圧信号Vn(V21又はVDL1)が負極電源電圧VDDL近傍のときには、バックゲート電圧Vbg21は負極電源電圧VDDL以上で、電圧信号Vnとの電圧差は縮小される。
【0081】
以上のように、第3の電圧制御回路55によるPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲート電圧の制御により、当該PMOSトランジスタスイッチ11の寄生バイポーラトランジスタの発生を抑制することができる。同様に、第4の電圧制御回路65によるNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲート電圧の制御により、当該NMOSトランジスタスイッチ21の寄生バイポーラトランジスタの発生を抑制することができる。
【0082】
更に、
図2に示す出力回路100全体も、出力電圧範囲(VDDL~VDDH)よりも低い耐圧VDDT内の素子で構成することができるため、省面積化(低コスト化)を図ることが可能となる。
【0083】
よって、本発明によれば、正極性及び負極性の電圧信号を択一的に出力する出力回路として、その動作の信頼性を高めると共に省面積化を図ることが可能となる。
【0084】
次に、
図2に示す出力回路100の制御例を
図4を参照して説明する。
【0085】
図4は、
図2に示す制御部101が生成する制御信号S12-S14、S22-S24各々の制御状態の一例を示すタイムチャートである。
【0086】
尚、
図4では、出力回路100が正極電圧信号Vp及び負極電圧信号Vnを周期的に交互に切り替えて出力する、いわゆる極性反転駆動を行う場合に制御部101が生成する制御信号の一例を表す。また、
図4では、正極電圧信号Vpを出力する正極駆動期間、及び負極電圧信号Vnを出力する負極駆動期間の各々において、
図2に示す各スイッチに対するオン・オフ制御と、ノードNs11上の正極電圧信号V11、ノードNs21上の負極電圧信号V21、出力端子DL1上の出力電圧VDL1各々の電圧波形を表す。この際、正極電圧信号Vp及び負極電圧信号Vnは、それぞれの極性に対応した電圧範囲内で、単一又は複数のステップ信号であってもよい。
【0087】
また、
図4に示す一例では、正極駆動期間T2と、負極駆動期間T4との間に、切替期間T1及びT3が夫々設けられており、当該切替期間において、素子の耐圧超過を防止するために出力端子DL1は一旦、基準電源電圧VGNDに駆動される。尚、正極駆動期間T2及び負極駆動期間T4では、同極性の複数の電圧信号を順次出力する複数期間に分割してもよい。
【0088】
ここで、
図4に示す駆動を行うにあたり、例えばスイッチ12、23はNMOSトランジスタスイッチ、スイッチ13、22はPMOSトランジスタスイッチ、スイッチ14、24はCMOSトランジスタスイッチとする。各スイッチを制御する制御信号S12-S14、S22-S24は、それぞれが制御するスイッチの電圧極性に応じた電源電圧が供給されているものとする。
【0089】
また、
図4において、CMOSトランジスタスイッチ14、24に関しては、CMOSスイッチ構成の一方のNMOSトランジスタスイッチに供給する電圧によるオン・オフの制御状態を示している。
【0090】
更に、
図4において、切替期間T1の直前(初期状態)を、負極電圧信号供給回路20Aにて生成された負極電圧信号VnがNMOSトランジスタスイッチ21を介して出力端子DL1に供給された状態、つまり、負極駆動期間T4での動作状態にあるとする。
【0091】
図4において、まず切替期間T1では、制御信号S14及びS24により、スイッチ14及び24は共にオフ状態とされ、正極電圧信号供給回路10A及び負極電圧信号供給回路20Aからの電圧信号の供給は遮断される。また、制御信号S12及びS13により、スイッチ12及び13は共にオン状態とされ、PMOSトランジスタスイッチ11のゲート及びソース(ノードNs11)に基準電源電圧VGNDが供給される。これにより、電圧制御回路50は非活性状態、PMOSトランジスタスイッチ11はオフ状態となり、ノードNs11の電圧V11は基準電源電圧VGNDとなる。このときPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートには電圧制御回路55から基準電源電圧VGNDが供給される。また、制御信号S22により、スイッチ22はオン状態とされ、NMOSトランジスタスイッチ21のソース(ノードNs21)に基準電源電圧VGNDが供給される。また、制御信号S23により、スイッチ23はオフ状態とされ、電圧制御回路60が活性状態となり、NMOSトランジスタスイッチ21はオン状態とされる。このときNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートには、電圧制御回路65から、NMOSトランジスタスイッチ21のソース又はドレインの電圧(VGND)に対して負側へ電圧差LSnだけレベルシフトした電圧が供給される。
【0092】
したがって
図4に示すように、切替期間T1において、ノードNs21の電圧V21が基準電源電圧VGNDに引き上げられ、出力端子DL1の出力電圧VDL1もNMOSトランジスタスイッチ21を介して基準電源電圧VGNDに引き上げられる。
【0093】
次に、正極駆動期間T2では、制御信号S24により、スイッチ24はオフ状態とされ、負極電圧信号供給回路20Aからの電圧信号の供給は引き続き遮断される。一方、制御信号S14により、スイッチ14はオン状態とされ、正極電圧信号供給回路10AからノードNs11へ正極電圧信号Vpが供給される。また、制御信号S22及びS23によりスイッチ22及び23は共にオン状態とされ、NMOSトランジスタスイッチ21のゲート及びソース(ノードNs21)に基準電源電圧VGNDが供給される。これにより、電圧制御回路60は非活性状態とされ、NMOSトランジスタスイッチ21はオフ状態となり、ノードNs21の電圧V21は引き続き基準電源電圧VGNDとなる。このときNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートには、電圧制御回路65から基準電源電圧VGNDが供給される。更に、制御信号S12及びS13によりスイッチ12及び13は共にオフ状態とされ、電圧制御回路50が活性化されて、PMOSトランジスタスイッチ11はオン状態となる。そして
図4に示すように、オン状態のPMOSトランジスタスイッチ11を介して出力端子DL1の出力電圧VDL1が正極電圧信号Vpに引き上げられる。このときPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートには、電圧制御回路55から、PMOSトランジスタスイッチ11のソース又はドレインの電圧(Vp)に対して正側へ電圧差LSpだけレベルシフトした電圧が供給される。尚、正極駆動期間T2において、正極電圧信号供給回路10Aから出力する正極電圧信号Vpを変化させても、電圧制御回路50によってPMOSトランジスタスイッチ11のオン状態が保持されるため、出力電圧VDL1も正極電圧信号Vpに追随して変化する。また正極電圧信号Vpを大きく負側に変化させる場合でも、電圧制御回路55より、正極電圧信号Vpに対し電圧差LSpだけ高い電圧がPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに供給されるため、寄生バイポーラトランジスタの発生が抑止される。
【0094】
次に、切替期間T3では、制御信号S14及びS24により、スイッチ14及び24は共にオフ状態とされ、正極電圧信号供給回路10A及び負極電圧信号供給回路20Aからの電圧信号の供給は遮断される。また、制御信号S22及びS23により、スイッチ22及び23は引き続き共にオン状態とされ、NMOSトランジスタスイッチ21のゲート及びソース(ノードNs21)に基準電源電圧VGNDが供給される。これにより、電圧制御回路60は非活性状態、NMOSトランジスタスイッチ21はオフ状態が継続され、
図4に示すようにノードNs21の電圧V21も基準電源電圧VGNDに維持される。このときNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートには電圧制御回路65から基準電源電圧VGNDが供給される。また、制御信号S12により、スイッチ12はオン状態とされ、PMOSトランジスタスイッチ11のソース(ノードNs11)に基準電源電圧VGNDが供給される。また、制御信号S13によりスイッチ13は引き続きオフ状態とされており、電圧制御回路50は活性状態が維持され、PMOSトランジスタスイッチ11はオン状態に維持される。このときPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートには、電圧制御回路55から、PMOSトランジスタスイッチ11のソース又はドレインの電圧(VGND)に対して正側へ電圧差LSpだけレベルシフトした電圧が引き続き供給される。したがって、切替期間T3において、ノードNs11の電圧V11は基準電源電圧VGNDに引き下げられ、出力端子DL1の出力電圧VDL1もPMOSトランジスタスイッチ11を介して基準電源電圧VGNDに引き下げられる。
【0095】
次に、負極駆動期間T4では、制御信号S14により、スイッチ14はオフ状態とされ、正極電圧信号供給回路10Aからの電圧信号の供給は引き続き遮断される。一方、制御信号S24により、スイッチ24はオン状態とされ、負極電圧信号供給回路20AからノードNs21へ負極電圧信号Vnが供給される。また、制御信号S12及びS13により、スイッチ12及び13は共にオン状態とされ、PMOSトランジスタスイッチ11のゲート及びソース(ノードNs11)に基準電源電圧VGNDが供給される。これにより、電圧制御回路50は非活性状態とされ、PMOSトランジスタスイッチ11はオフ状態となり、ノードNs11の電圧V11は基準電源電圧VGNDに維持される。このときPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートには、電圧制御回路55から基準電源電圧VGNDが供給される。更に、制御信号S22及びS23により、スイッチ22及び23は共にオフ状態とされ、電圧制御回路60が活性化され、NMOSトランジスタスイッチ21はオン状態とされる。そして
図4に示すように、オン状態のNMOSトランジスタスイッチ21を介して出力端子DL1の出力電圧VDL1が負極電圧信号Vnに引き下げられる。このときNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートには、電圧制御回路65から、NMOSトランジスタスイッチ21のソース又はドレインの電圧(Vn)に対して負側へ電圧差LSnだけレベルシフトした電圧が供給される。尚、負極駆動期間T4において、負極電圧信号供給回路20Aから出力する負極電圧信号Vnの電圧値を変化させても、電圧制御回路60により、NMOSトランジスタスイッチ21のオン状態が保持されるため、出力電圧VDL1も負極電圧信号Vnの電圧値に追随して変化する。また負極電圧信号Vnを大きく正側に変化させる場合でも、電圧制御回路65より、負極電圧信号Vnに対し電圧差LSnだけ低い電圧がNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートに供給されるため、寄生バイポーラトランジスタの発生が抑止される。
【0096】
尚、
図4に示す一例では、正極駆動期間と負極駆動期間を交互に切り替える駆動制御例を説明したが、電源投入時や電源オフ時では、電源電圧の立上げや立下げに応じた制御が行われる。例えば、電源電圧の立上げや立下げ時には、出力端子DL1に接続される容量性負荷を基準電源電圧VGNDに駆動するため、例えば、正極電圧信号供給回路10A及び負極電圧信号供給回路20Aの電圧信号の供給は遮断し(スイッチ14、24をオフ)、スイッチ12、22が共にオン、スイッチ13、23が共にオフに制御する。このとき電圧制御回路50、60は共に活性状態となり、トランジスタスイッチ11、21が共にオンとなるように制御してもよい。また電圧制御回路50の活性状態と連動して、電圧制御回路55を、基準電源電圧VGNDに対して正側にレベルシフトした電圧をPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに供給するように制御してもよい。同様に、電圧制御回路60の活性状態と連動して、電圧制御回路65を、基準電源電圧VGNDに対して負側にレベルシフトした電圧をNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートに供給するように制御してもよい。
【0097】
以下に、
図2に示す出力回路100に含まれる第3の電圧制御回路55の実施例について説明する。
【0098】
図5は、電圧制御回路55の第1の実施例としての電圧制御回路55-1の構成を示す回路図である。
【0099】
図5に示す電圧制御回路55-1は、PMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに供給する電圧を制御する。電圧制御回路55-1は、PMOSトランジスタスイッチ11がオン状態のときに、PMOSトランジスタスイッチ11のソース(Ns11)又はドレイン(DL1)に供給される電圧(正極電圧信号Vp又は基準電源電圧VGND)に対し、所定の電圧差LSpだけ高電圧側にレベルシフトした電圧をバックゲート電圧Vbg11としてPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに供給する。また電圧制御回路55-1は、PMOSトランジスタスイッチ11がオフ状態のときに、基準電源電圧VGNDをPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに供給する。なお
図5では、PMOSトランジスタスイッチ11のソース(Ns11)又はドレイン(DL1)に供給される電圧として正極電圧信号Vpが供給される例で示す。
図5以下の電圧制御回路55の各実施例についても同様とする。
【0100】
図5に示す電圧制御回路55-1は、PMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに一端が接続されている負荷素子56と、負荷素子56に流れる電流値を設定する電流源58とを備える。
【0101】
負荷素子56は、PMOSトランジスタスイッチ11がオン状態のときに、PMOSトランジスタスイッチ11のソース(Ns11)又はドレイン(DL1)に供給される電圧(例えば正極電圧信号Vp)をその一端で受け、正極電圧信号Vpに対し正側へ所定の電圧差LSpを有する電圧Vbg11を、その他端を介してPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに供給する。電圧Vbg11は、正極電圧信号Vpより高電圧で正極電源電圧VDDH以下に制御される。正極電圧信号VpとPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートとの間の電圧差LSpは、正極電圧信号Vpの電圧値と、電流源58によって負荷素子56に流す電流値により設定される。負荷素子56は、抵抗素子やダイオード接続型MOSトランジスタ、ソースフォロワ型MOSトランジスタ等で構成することが可能である。
【0102】
なお、
図4の切替期間T3では、正極電圧信号Vpの代わりに、基準電源電圧VGNDがPMOSトランジスタスイッチ11のソース(Ns11)又はドレイン(DL1)に供給され、基準電源電圧VGNDに対し正側へ所定の電圧差LSpを有する電圧Vbg11を、PMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに供給する。
【0103】
更に、電圧制御回路55-1は、オン時にPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに基準電源電圧VGNDを供給するスイッチ59を備える。
【0104】
スイッチ59は、PMOSトランジスタスイッチ11がオン状態のときにオフ、PMOSトランジスタスイッチ11がオフ状態のときにオンに制御される。したがって、出力端子DL1へ負
極電圧信号Vnが出力される
図4の負極駆動期間T4では、負
極電圧信号出力時のPMOSトランジスタスイッチ11のドレイン(DL1)とバックゲート間電圧差が素子耐圧を超過しないように防止する素子耐圧超過防止機能として作用する。
【0105】
図4に示すタイムチャートでは、スイッチ59は、電圧制御回路50が非活性状態でPMOSトランジスタスイッチがオフとなるT4及びT1の期間に亘りオンとされ、電圧制御回路50
が活性状態でPMOSトランジスタスイッチが
オンとなるT2及びT3の期間ではオフとされる。スイッチ59は、例えばNMOSトランジスタスイッチで構成され、
図2に示す制御部101の制御信号S23の相補信号で制御することができる。
【0106】
当該電圧制御回路55-1により、PMOSトランジスタスイッチ11のバックゲート電圧Vbg11を、ソース(Ns11)又はドレイン(DL1)に供給される電圧より高電位に保持する。これにより、PMOSトランジスタスイッチ11がオン時のデータ線負荷の充放電動作に対して、寄生バイポーラトランジスタの発生を抑止することができる。
【0107】
尚、バックゲート電圧Vbg11は、正極電圧信号Vpに追随して変化する。更に、バックゲート電圧Vbg11と正極電圧信号Vpとの電圧差を比較的小さく制御することで、PMOSトランジスタスイッチ11のオン抵抗を低く保つことができる。
【0108】
図6は、電圧制御回路55の第2の実施例としての電圧制御回路55-2の構成を示す回路図である。
【0109】
電圧制御回路55-2は、
図5に示す負荷素子56が、ダイオード接続構成のPMOSトランジスタ56aで構成されたものであり、他の構成は
図5に示すものと同一である。
【0110】
PMOSトランジスタ56aは、自身のドレイン及びゲートがノードNs11又は出力端子DL1に接続され、自身のソース及びバックゲートが、PMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに接続される。電流源58とスイッチ59の接続構成は
図5と同様である。
【0111】
PMOSトランジスタスイッチ11のソース(Ns11)又はドレイン(DL1)に供給される電圧(例えば正極電圧信号Vp)とバックゲート電圧Vbg11の電圧差LSpは、PMOSトランジスタ56aのサイズ、及び電流源58によってPMOSトランジスタ56aに流す電流値により設定される。当該電流源58の電流値により、電圧差LSpを、寄生バイポーラトランジスタの発生を抑止可能な値に設定する。またPMOSトランジスタスイッチ11とPMOSトランジスタ56aは同一導電型であり、互いのバックゲート同士を接続することで、トランジスタの製造ばらつきによる特性変動の影響を抑え、PMOSトランジスタスイッチ11のオン抵抗を一定にすることができる。
【0112】
尚、負荷素子56として、
図6に示すようなダイオード接続構成のPMOSトランジスタ56aに代えて、ダイオード接続構成のNMOSトランジスタで構成することも可能である。この場合は、トランジスタの製造ばらつきによる特性変動の影響が多少生じる可能性がある。
【0113】
図7は、電圧制御回路55の第3の実施例としての電圧制御回路55-3の構成を示す回路図である。
【0114】
電圧制御回路55-3は、
図5に示す負荷素子56が、ソースフォロワ構成のPMOSトランジスタ56bで構成されたものであり、他の構成は
図5に示すものと同一である。
【0115】
PMOSトランジスタ56bは、ドレインが基準電源電圧VGND端子に接続され、自身のゲートがノードNs11又は出力端子DL1に接続されている。更に、PMOSトランジスタ56bは、自身のソースとバックゲートが、PMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに接続されている。
【0116】
PMOSトランジスタ56bは、PMOSトランジスタスイッチ11のソース(Ns11)又はドレイン(DL1)に供給される電圧(例えば正極電圧信号Vp)に追従したソースフォロワ出力を、バックゲート電圧Vbg11としてPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに供給する。正極電圧信号Vpとバックゲート電圧Vbg11との電圧差LSpは、PMOSトランジスタ56bのサイズ、及び電流源58によってPMOSトランジスタ56bに流す電流値により設定される。当該電流源58の電流値により、電圧差LSpを、寄生バイポーラトランジスタの発生を抑止可能な値に設定する。
【0117】
またPMOSトランジスタスイッチ11とPMOSトランジスタ56bは同一導電型であり、互いのバックゲート同士を共通接続することで、トランジスタの製造ばらつきによる特性変動の影響を抑え、PMOSトランジスタスイッチ11のオン抵抗を一定にすることができる。
【0118】
図8は、電圧制御回路55の第4の実施例としての電圧制御回路55-4の構成を示す回路図である。
【0119】
電圧制御回路55-4は、
図6に示す電圧制御回路55-2におけるダイオード接続型PMOSトランジスタ56aに代えて、PMOSトランジスタ56c及び56dを採用したものであり、その他の構成は
図6に示すものと同一である。
【0120】
PMOSトランジスタ56cは、ドレインが出力端子DL1に接続され、ゲートがノードNs11に接続され、ソース及びバックゲートがPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに接続される。
【0121】
PMOSトランジスタ56dは、ドレインがノードNs11に接続され、ゲートが出力端子DL1に接続され、ソース及びバックゲートがPMOSトランジスタスイッチ11のバックゲートに接続される。電流源58とスイッチ59の接続構成は
図6と同様である。
【0122】
PMOSトランジスタスイッチ11、PMOSトランジスタ56c及び56dは同一導電型であり、夫々のバックゲート同士を共通接続することで、トランジスタの製造ばらつきによる特性変動の影響を抑え、PMOSトランジスタスイッチ11のオン抵抗を一定にすることができる。
【0123】
次に、
図8に示す電圧制御回路55-4の作用を説明する。
【0124】
図8において、正極電圧信号Vpにおける電圧変化時の過渡的なノードNs11及び出力端子DL1各々の電圧を夫々Vpa及びVpbとする。この際、出力端子DL1の電圧が安定、つまりその電圧値が一定となっている時は、
Vpa=Vpb=Vp
となる。
【0125】
例えば、正極電圧信号Vpの高速且つ大幅な電圧変化時において過渡的に電圧VpaとVpbが異なる際には、PMOSトランジスタ56c又は56dのうちの一方、つまり電圧Vpa及びVpbのうちの低い方を自身のゲートで受けたPMOSトランジスタに電流が多く流れる。この際、PMOSトランジスタ56c又は56dのうちの他方のドレインの電圧は、電圧Vpa及びVpbのうちの高い方となる。これにより、PMOSトランジスタスイッチ11のバックゲート電圧Vbg11は、ソース及びドレインの電圧Vpa及びVpbの双方よりも更に高い電圧に制御される。したがって、正極電圧信号Vpの急激な電圧変動に対しても、寄生バイポーラトランジスタの動作を確実に抑止することが可能となる。
【0126】
次に、
図2に示す出力回路100の第4の電圧制御回路65の実施例について説明する。
【0127】
図9は、電圧制御回路65の第1の実施例としての電圧制御回路65-1の構成を示す回路図である。
【0128】
図9に示す電圧制御回路65-1は、NMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートに供給する電圧を制御する。電圧制御回路65-1は、NMOSトランジスタスイッチ21がオン状態のときに、NMOSトランジスタスイッチ21のソース(Ns21)又はドレイン(DL1)に供給される電圧(負極電圧信号Vn又は基準電源電圧VGND)に対して、所定の電圧差LSnだけ低電圧側にレベルシフトした電圧をバックゲート電圧Vbg21としてNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートに供給する。
【0129】
図9に示す電圧制御回路65-1は、NMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートに一端が接続される負荷素子66と、負荷素子66に流れる電流値を設定する電流源68とを備える。
【0130】
負荷素子66は、NMOSトランジスタスイッチ21がオン状態のときに、NMOSトランジスタスイッチ21のソース(Ns21)又はドレイン(DL1)に供給される電圧(例えば負極電圧信号Vn)をその一端で受け、
図3Bに示すように当該負極電圧信号Vnに対して負側へ所定の電圧差LSnだけレベルシフトしたバックゲート電圧Vbg21を、その他端を介してNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートに供給する。
【0131】
尚、バックゲート電圧Vbg21の電圧値は、負極電圧信号Vnより低く且つ負極電源電圧VDDL以上となるに制御される。負極電圧信号VnとNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートとの間の電圧差LSnは、当該負極電圧信号Vn及び電流源68によって負荷素子66に流れる電流値により設定される。負荷素子66は、抵抗素子やダイオード接続型MOSトランジスタ、ソースフォロワ型MOSトランジスタ等で構成することが可能である。
【0132】
なお、
図4の切替期間T1では、負極電圧信号Vnの代わりに、基準電源電圧VGNDがNMOSトランジスタスイッチ21のソース(Ns21)又はドレイン(DL1)に供給され、基準電源電圧VGNDに対し負側へ所定の電圧差LSnを有する電圧Vbg21を、NMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートに供給する。
【0133】
更に、電圧制御回路65-1は、オン時にNMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートに基準電源電圧VGNDを供給するスイッチ69を備える。
【0134】
スイッチ69は、NMOSトランジスタスイッチ21がオン状態のときにオフ、NMOSトランジスタスイッチ21がオフ状態のときにオンに制御される。したがって、出力端子DL1から正極電圧信号Vpが出力される
図4の正極駆動期間T2では、正
極電圧信号出力時のNMOSトランジスタスイッチ21のドレイン(DL1)とバックゲート間電圧差が素子耐圧を超過しないように防止する素子耐圧超過防止機能として作用する。
【0135】
ここで、
図4に示すタイムチャートにおいて、スイッチ69は、電圧制御回路60が活性状態でNMOSトランジスタスイッチ21がオンとなるT4及びT1の期間に亘りオフとされ、電圧制御回路60が非活性状態でNMOSトランジスタスイッチ21がオフとなるT2及びT3の期間に亘りオンとされる。スイッチ69は、例えばPMOSトランジスタスイッチで構成され、
図2に示す制御部101の制御信号S13の相補信号で制御することができる。
【0136】
上記した電圧制御回路65-1により、NMOSトランジスタスイッチ21のバックゲートに供給されるバックゲート電圧Vbg21を、ソース(Ns21)又はドレイン(DL1)に供給される電圧より低電位に保持する。これにより、NMOSトランジスタスイッチ21がオン時のデータ線負荷の充放電動作に対して、寄生バイポーラトランジスタの発生を抑止することができる。
【0137】
尚、バックゲート電圧Vbg21は負極電圧信号Vnに追随して変化するが、バックゲート電圧Vbg21と負極電圧信号Vnとの電圧差を比較的小さく制御することで、NMOSトランジスタスイッチ21のオン抵抗を低く保つことができる。また、電圧制御回路65-1の負荷素子66は、
図5に示す電圧制御回路55-1の負荷素子56の具体例や応用例、例えば
図6~
図8に示す負荷素子56a、56b、56c、56dと同様に、抵抗素子やダイオード接続型MOSトランジスタ、或いはソースフォロワ型MOSトランジスタ等で構成することが可能である。
【0138】
次に、
図2に示す出力回路100の第1の電圧制御回路50の実施例について説明する。
【0139】
図10は、電圧制御回路50の第1の実施例としての電圧制御回路50-1の構成を示す回路図である。
【0140】
電圧制御回路50-1は、ノードNs11を介してPMOSトランジスタスイッチ11のソースで受けた電圧V11を低電圧側にレベルシフトした電圧を、ゲート電圧Vg11としてPMOSトランジスタスイッチ11のゲートに供給する。
【0141】
図10に示すように、電圧制御回路50-1は、PMOSトランジスタスイッチ11のゲートに一端が接続される負荷素子(又は負荷回路)51と、負荷素子51に流れる電流値を設定する電流源52とを備える。負荷素子51は、PMOSトランジスタスイッチ11のソースに供給されるノードNs11の電圧V11を受け、当該電圧V11よりも所定の電圧差分だけ低い電圧をゲート電圧Vg11として生成し、これをPMOSトランジスタスイッチ11のゲートに供給する。負荷素子51の両端の電位差、すなわちPMOSトランジスタスイッチ11のソース(ノードNs11)とゲートとの電圧差は、負荷素子51のオン抵抗と電流源52の電流値により設定される。つまり、当該電圧差が、PMOSトランジスタスイッチ11の閾値電圧(絶対値)より大きい、すなわちPMOSトランジスタスイッチ11がオン状態を保持する電圧差となるように設定される。
【0142】
尚、負荷素子51は、ノードNs11とPMOSトランジスタスイッチ11のゲートとの間に接続される抵抗素子又はダイオード接続型MOSトランジスタで構成できる。また、負荷素子51は、ゲートに電圧V11を受け、ソースがPMOSトランジスタスイッチ11のゲートに接続され、ドレインが所定の電源電圧端子に接続されたソースフォロワ型NMOSトランジスタで構成することもできる。また電流源52は、例えば負極電源電圧VDDLとPMOSトランジスタスイッチ11のゲートとの間に接続される。なお、負極電源電圧VDDLの代わりに負極側低電源電圧VCCLを使用してもよい。
【0143】
電圧制御回路50-1の各素子の端子間電圧は耐圧VDDT未満とされ、ゲート電圧Vg11は、ノードNs11の電圧V11より低電圧であり、電圧V11との電圧差は耐圧VDDT未満に制御される。
【0144】
図11は、電圧制御回路50の第2の実施例としての電圧制御回路50-2の構成を示す回路図である。
【0145】
電圧制御回路50-2は、PMOSトランジスタスイッチ11のソースが受ける電圧V11に応じて、所定の電源電圧をゲート電圧Vg11としてPMOSトランジスタスイッチ11のゲートに供給する。電圧制御回路50-2は、PMOSトランジスタスイッチ11のゲートに基準電源電圧VGND及び負極側低電源電圧VCCLのうちの一方を選択的に供給するスイッチ53及び54を備える。スイッチ53及び54の各々は、例えば制御部101によって生成される制御信号S50によってオン・オフ制御される。
【0146】
制御信号S50は、例えばPMOSトランジスタスイッチ11のソースに供給される 正極電圧信号Vp(=V11)に対応したデジタルデータの所定のビットの論理値(0、1)に基づき制御してもよい。例えば制御信号S50により、正極電圧信号Vpの電圧値が正極電源電圧VDDH側の値となるときに、スイッチ53及び54をそれぞれオン及びオフとする。これにより、PMOSトランジスタスイッチ11のゲートに、基準電源電圧VGNDを有するゲート電圧Vg11を供給する。一方、正極電圧信号Vpの電圧値が基準電源電圧VGND側の値となるときには、制御信号S50により、スイッチ53及び54をそれぞれオフ及びオンとする。これにより、PMOSトランジスタスイッチ11のゲートに、負極側低電源電圧VCCLを有するゲート電圧Vg11を供給する。
【0147】
尚、
図10及び
図11において電圧制御回路50の具体的な回路の一例(50-1、50-2)を示したが、このような回路構成に限定されない。要するに、電圧制御回路50としては、低耐圧VDDT未満で構成することができ、且つ
図2に示す第1の制御手段13が非活性(スイッチ13がオフ)時にPMOSトランジスタスイッチ11をオン状態に保持することができるものであれば、その回路形態は限定されない。
【0148】
次に、
図2に示す出力回路100の第2の電圧制御回路60の実施例について説明する。
【0149】
図12は、電圧制御回路60の第1の実施例としての電圧制御回路60-1の構成を示す回路図である。
【0150】
電圧制御回路60-1は、ノードNs21を介してNMOSトランジスタスイッチ21のソースで受けた電圧V21を高電圧側にレベルシフトした電圧を、ゲート電圧Vg21としてNMOSトランジスタスイッチ21のゲートに供給する。
【0151】
図12に示すように、電圧制御回路60-1は、NMOSトランジスタスイッチ21のゲートに一端が接続される負荷素子(又は負荷回路)61と、負荷素子61に流れる電流値を設定する電流源62とを備える。負荷素子61は、NMOSトランジスタスイッチ21のソースに供給されるノードNs21の電圧V21を受け、当該電圧V21よりも所定の電圧差分だけ高い電圧をゲート電圧Vg21として生成し、これをNMOSトランジスタスイッチ21のゲートに供給する。
【0152】
負荷素子61の両端の電位差、すなわちNMOSトランジスタスイッチ21のソース(ノードNs21)とゲートとの電圧差は、負荷素子61のオン抵抗と電流源62の電流値により設定される。つまり、当該電圧差が、NMOSトランジスタスイッチ21の閾値電圧より大きい、すなわちNMOSトランジスタスイッチ21がオン状態を保持する電圧差となるように設定される。
【0153】
尚、負荷素子61は、ノードNs21とNMOSトランジスタスイッチ21のゲートとの間に接続される抵抗素子又はダイオード接続型MOSトランジスタで構成できる。また、負荷素子61は、ゲートに電圧V21を受け、ソースがNMOSトランジスタスイッチ21のゲートに接続され、ドレインが所定の電源電圧端子に接続されたソースフォロワ型PMOSトランジスタで構成することもできる。また電流源62は、例えば正極電源電圧VDDHとNMOSトランジスタスイッチ21のゲートとの間に接続される。なお、正極電源電圧VDDHの代わりに正極側低電源電圧VCCHを使用してもよい。
【0154】
電圧制御回路60-1の各素子の端子間電圧は耐圧VDDT未満とされ、ゲート電圧Vg21は、ノードNs21の電圧V21より高電圧であり、電圧V21との電圧差は耐圧VDDT未満に制御される。
【0155】
図13は、電圧制御回路60の第2の実施例としての電圧制御回路60-2の構成を示す回路図である。
【0156】
電圧制御回路60-2は、NMOSトランジスタスイッチ21のソースが受ける電圧V21に応じて、所定の電源電圧をゲート電圧Vg21としてNMOSトランジスタスイッチ21のゲートに供給する。
【0157】
電圧制御回路60-2は、NMOSトランジスタスイッチ21のゲートに基準電源電圧VGND及び正極側低電源電圧VCCHのうちの一方を選択的に供給するスイッチ63及び64を備える。スイッチ63及び64の各々は、例えば制御部101によって生成される制御信号S60によってオン・オフ制御される。
【0158】
制御信号S60は、例えばNMOSトランジスタスイッチ21のソースに供給される 負極電圧信号Vn(=V21)に対応したデジタルデータの所定のビットの論理値(0、1)に基づき制御してもよい。例えば制御信号S60により、負極電圧信号Vnの電圧値が負極電源電圧VDDL側の値となるときに、スイッチ63及び64をそれぞれオン及びオフとする。これにより、NMOSトランジスタスイッチ21のゲートに、基準電源電圧VGNDを有するゲート電圧Vg21を供給する。一方、負極電圧信号Vnの電圧値が基準電源電圧VGND側の値となるときには、制御信号S60により、スイッチ63及び64をそれぞれオフ及びオンとする。これにより、NMOSトランジスタスイッチ21のゲートに、正極側低電源電圧VCCHを供給する。
【0159】
尚、
図12及び
図13において電圧制御回路60の具体的な回路の一例(60-1、60-2)を示したが、このような回路構成に限定されない。要するに、電圧制御回路60としては、上記した耐圧VDDT未満で構成することができ、且つ
図2に示す第2の制御手段23が非活性(スイッチ23がオフ)時にNMOSトランジスタスイッチ21をオン状態に保持することができるものであれば、その回路形態は限定されない。
【実施例2】
【0160】
図14は、本発明に係る出力回路の他の一例としての出力回路200の構成を示す回路図である。
【0161】
図14に示す出力回路200は、
図2に示す出力回路100が1系統のデータ線負荷に対して正極電圧信号又は負極電圧信号を交互に出力するのに対して、2系統のデータ線負荷の一方に正極電圧信号、他方に負極電圧信号を出力し、且つ両者の極性を交互に切り替える極性反転駆動を行うものである。
【0162】
尚、
図14に示す出力回路200では、
図2に示す正極電圧信号供給回路10Aに代えて正極電圧信号供給回路10Bを採用し、負極電圧信号供給回路20Aに代えて負極電圧信号供給回路20Bを採用し、制御部101に代えて制御部201を採用している。更に、
図14に示す出力回路200では、出力端子DL2、スイッチ32、34、42及び44、制御手段33、43、出力選択スイッチ31及び41、電圧制御回路50A、60A、55A及び65Aを新たに設けたものであり、それ以外の他の構成は
図2に示すものと同一である。
【0163】
図14において、正極電圧信号供給回路10Bは、正極電圧信号Vp(VGND<Vp<VDDH)の2系統のノードNs11又はNs31への供給、遮断を制御する。負極電圧信号供給回路20Bは、負極電圧信号Vn(VGND>Vn>VDDL)の2系統のノードNs21又はNs41への供給、遮断を制御する。
【0164】
出力選択スイッチ31は、ソースがノードNs31に接続され、ドレインが出力端子DL2に接続されたPMOSトランジスタスイッチ(以後、PMOSトランジスタスイッチ31と記す)で構成される。
【0165】
出力選択スイッチ41は、ソースがノードNs41に接続され、ドレインが出力端子DL2に接続されたNMOSトランジスタスイッチ(以後、NMOSトランジスタスイッチ41と記す)で構成される。
【0166】
スイッチ32は、例えばノードNs31と基準電源電圧VGNDを供給する基準電源端子との間に接続されたNMOSトランジスタスイッチで構成される。スイッチ42は、例えばノードNs41と基準電源端子との間に接続されたPMOSトランジスタスイッチで構成される。
【0167】
制御手段33は、例えばPMOSトランジスタスイッチ31のゲートと基準電源端子との間に接続されたPMOSトランジスタスイッチ33(以後、単にスイッチ33ともいう)で構成される。制御手段33は、スイッチ32のオン状態の制御と連係して制御され、スイッチ32と共にオン状態となるときに、基準電源電圧VGNDをPMOSトランジスタスイッチ31のゲートに供給し、PMOSトランジスタスイッチ31をオフ状態に制御する。制御手段34は、例えばNMOSトランジスタスイッチ41のゲートと基準電源端子との間に接続されたNMOSトランジスタスイッチ43(以後、単にスイッチ43ともいう)で構成される。制御手段34は、スイッチ42のオン状態の制御と連係して制御され、スイッチ42と共にオン状態となるときに、基準電源電圧VGNDをNMOSトランジスタスイッチ41のゲートに供給し、NMOSトランジスタスイッチ41をオフ状態に制御する。
【0168】
尚、
図14では、制御手段33及び34をスイッチで構成した例を示す。
【0169】
電圧制御回路50Aは、PMOSトランジスタスイッチ31のゲートに接続され、電圧制御回路50と同様に、制御手段33が非活性状態(スイッチ33がオフ)のときに活性状態となり、PMOSトランジスタスイッチ31をオン状態に制御する。尚、制御手段33が活性状態(スイッチ33がオン)の時には、電圧制御回路50Aは非活性状態とされる。電圧制御回路60Aは、NMOSトランジスタスイッチ41のゲートに接続され、電圧制御回路60と同様に、制御手段43が非活性状態(スイッチ43がオフ)のときに活性状態となり、NMOSトランジスタスイッチ41をオン状態に制御する。尚、制御手段43が活性状態(スイッチ43がオン)の時には、電圧制御回路60Aは非活性状態とされる。
【0170】
電圧制御回路55Aは、PMOSトランジスタスイッチ31のバックゲートに接続され、電圧制御回路55と同様に寄生バイポーラトランジスタの動作を抑止するように、PMOSトランジスタスイッチ31のバックゲート電圧を制御する。電圧制御回路65Aは、NMOSトランジスタスイッチ41のバックゲートに接続され、電圧制御回路65と同様に寄生バイポーラトランジスタの動作を抑止するように、NMOSトランジスタスイッチ41のバックゲート電圧を制御する。
【0171】
図14において、ノードNs11及びNs21から出力端子DL1までの間に含まれる回路202と、ノードNs31及びNs41から出力端子DL2までの間に含まれる回路203は、互いに同じ機能を有し、一方が正極電圧信号の出力動作を行うときには、他方が負極電圧信号の出力動作を行う。
【0172】
図14に示す正極電圧信号供給回路10Bは、
図2に示す正極電圧信号供給回路10Aに、ノードNs31への正極電圧信号Vpの供給、遮断を制御するスイッチ34を追加したものである。スイッチ34も広い電圧範囲の正極電圧信号Vpを通すため、スイッチ14と同様にCMOSスイッチで構成される。尚、正極電圧信号供給回路10Bに含まれる増幅回路10は、これらスイッチ14、34の機能を内部に含む構成としてもよい。
【0173】
負極電圧信号供給回路20Bは、
図2に示す負極電圧信号供給回路20Aに、ノードNs41への負極電圧信号Vnの供給、遮断を制御するスイッチ44を追加したものである。スイッチ44も広い電圧範囲の負極電圧信号Vnを通すため、スイッチ24と同様にCMOSスイッチで構成される。尚、負極電圧信号供給回路20Bに含まれる増幅回路20は、これらスイッチ24、44の機能を内部に含む構成としてもよい。
【0174】
図14に示す出力回路200では、出力端子DL1に正極電圧信号Vpを出力するときに、出力端子DL1への出力を制御するスイッチ12-14、22-24の各々は
図4の正極駆動期間T2(前後の切替期間を含む)と同じオン、オフ制御が行われる。このとき出力端子DL2への出力を制御するスイッチ32-34、42-44の各々は、スイッチ12-14、22-24の負極駆動期間T4(前後の切替期間を含む)と同様の制御が行われ、出力端子DL2へ負極電圧信号Vnを出力する。
【0175】
また、出力端子DL1へ負極電圧信号Vnを出力するとき、出力端子DL1への出力を制御するスイッチ12-14、22-24の各々は
図4の負極駆動期間T4(前後の切替期間を含む)と同じオン、オフ制御が行われる。このとき出力端子DL2への出力を制御するスイッチ32-34、42-44の各々は、スイッチ12-14、22-24の正極駆動期間T2(前後の切替期間を含む)と同様の制御が行われ、出力端子DL2へ正極電圧信号Vpを出力する。
【0176】
制御部201は、
図2に示す制御部101と同様に、
図4に示すタイミングで、上記した制御信号S11-S13、S22-S24を生成する。更に、制御部201は、前述した信号形態の制御信号S32-S34、S42-S44を生成する。尚、スイッチ14、24、34、44がそれぞれ相補型スイッチで構成される場合は、S14、S24、S34、S44のそれぞれの相補信号も制御部201で生成される。また、
図14では記載を省略しているが、電圧制御回路55及び65に夫々含まれるスイッチ59、69、及び電圧制御回路55A、65Aに含まれる各スイッチ、並びに電圧制御回路50、60、50A、60A各々の制御に必要な制御信号も制御部201で生成される。
【0177】
このように、
図14に示す出力回路200においても、出力回路100と同様に、
図4に示す駆動制御が行われる。ただし、出力端子DL2に対する駆動制御については、
図4に示す駆動制御において、正極電圧信号Vpの供給期間と負極電圧信号Vnの供給期間が入れ替わったものとなる。すなわち、出力端子DL1へ正極電圧信号Vpが供給されているときは、出力端子DL2へ負極電圧信号Vnが供給され、出力端子DL1へ
負極電圧信号
Vnが供給されているときは、出力端子DL2へ
正極電圧信号
Vpが供給される。
【0178】
更に、
図14に示す出力回路200においても、出力回路100と同様に、各素子を低耐圧素子で構成することができるので、出力回路の省面積化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0179】
図15は、本発明に係る出力回路を有するデータドライバ73を含む液晶表示装置400の概略構成を示すブロック図である。
【0180】
図15において、画素単位毎の液晶表示デバイスを含むアクティブマトリクス型表示パネル71には、2次元画面の水平方向に伸張するm個(mは2以上の自然数)の水平走査ラインS1~Smと、2次元画面の垂直方向に伸張するn個(nは2以上の自然数)のデータ線D1~Dnとが形成されている。水平走査ライン及びデータ線の各交叉部には、画素を担う表示セルが形成されている。表示セルは、少なくともスイッチ素子と画素電極とを含み、水平走査ラインの走査パルスに応じてスイッチ素子がオン状態となるときに、データ線の階調電圧信号がスイッチ素子を介して画素電極に印加され、画素電極に印加された階調電圧に応じて液晶表示デバイスの輝度が制御される。尚、
図15において、具体的な表示セルの構成は記載を省略している。
【0181】
駆動制御部74は、制御信号等も一体化された映像信号VDを受け、当該映像信号VD中から水平同期信号に基づくタイミング信号を生成して走査ドライバ72に供給する。また、駆動制御部74は、映像信号VDに基づき各種の制御信号群、並びに各画素の輝度レベルを例えば8ビットの輝度階調で指す画素データPDの系列を生成してデータドライバ73に供給する。
【0182】
走査ドライバ72は、駆動制御部74から供給されたタイミング信号に基づき、水平走査パルスを表示パネル71の水平走査ラインS1~Smの各々に順次印加する。
【0183】
データドライバ73は、例えばLSI(Large Scale Integrated Circuit)等の半導体装置に形成されている。データドライバ73は、駆動制御部74から供給された画素データPDを1水平走査ライン分、つまりn個毎に、各画素データPDに対応した階調電圧を有する階調電圧信号G1~Gnに変換する。そして、データドライバ73は、当該階調電圧信号G1~Gnを表示パネル71のデータ線D1~Dnに印加する。尚、走査ドライバ72又はデータドライバ73は、回路の一部又は全てが表示パネルと一体形成されてもよい。またデータドライバ73は、複数個のLSIで構成されてもよい。
【0184】
図16は、データドライバ73の内部構成を示すブロック図である。
【0185】
図16に示すように、データドライバ73は、シフトレジスタ600、データレジスタラッチ回路700、レベルシフト回路800、レベル電圧発生回路500、デコーダ回路900、及び出力増幅回路2000を含む。また
図15の駆動制御部74から供給される制御信号や映像デジタル信号を受けて、ドライバ内部で必要なクロック信号や制御信号を生成し、映像デジタル信号とのタイミング調整を行った信号群を出力するインターフェイス回路(不図時)も含む。
図16では、説明の便宜上、インターフェイス回路の詳細は省略する。
【0186】
尚、電源電圧は、シフトレジスタ600、データレジスタラッチ回路700には基準電源電圧VGND及び正極側低電源電圧VCCHが少なくとも供給され、負極側信号が生成されるブロックには、負極側低電源電圧VCCLも供給される。レベルシフト回路800、レベル電圧発生回路500、デコーダ回路900、及び出力増幅回路2000には、少なくとも基準電源電圧VGND、正極電源電圧VDDH及び負極電源電圧VDDLが供給される。
【0187】
シフトレジスタ600は、スタートパルスに応じて、クロック信号CLKに同期してラッチの選択を行う為の複数のラッチタイミング信号を生成し、データレジスタラッチ回路700に供給する。
【0188】
データレジスタラッチ回路700は、映像デジタル信号、極性反転信号(POL)、タイミング制御信号等を受けて、シフトレジスタ600から供給されたラッチタイミング信号の各々に基づき、映像デジタル信号を所定個毎に取り込み、該所定個の映像デジタル信号をラッチタイミングでレベルシフト回路800に供給する。
【0189】
尚、データレジスタラッチ回路700は、極性反転信号(POL)に基づき、正極又は負極に対応したレベルシフタ80P又は80Nへ映像デジタル信号を選択出力する。
【0190】
レベルシフト回路800は、正極用レベルシフタ80Pと負極用レベルシフタ80Nを備える。正極用レベルシフタ80Pは、低振幅(VGND/VCCH)の映像デジタル信号をアナログ電圧振幅(VGND/VDDH)の正極映像デジタル信号に変換する。負極用レベルシフタ80Nは、低振幅(VGND/VCCL)の映像デジタル信号をアナログ電圧振幅(VGND/VDDL)の負極映像デジタル信号に変換する。データレジスタラッチ回路700から供給された所定個の映像デジタルデータ信号は、極性反転信号(POL)に応じて、正極用レベルシフタ80P又は負極用レベルシフタ80Nに送られ、極性毎に対応するアナログ電圧振幅に拡幅され、正極デコーダ90P又は負極デコーダ90Nへ送られる。
【0191】
デコーダ回路900は、2出力毎に正極デコーダ90Pと負極デコーダ90Nの組で構成される。尚、デコーダ回路900内の極性毎のデコーダ90P、90Nの並び順は変更可能である。
【0192】
レベル電圧発生回路500は、互いに電圧値が異なる複数のレベル電圧を正極用と負極用を生成し、デコーダ90P、90Nへそれぞれ供給する。
【0193】
デコーダ回路900は、正極デコーダ90Pと負極デコーダ90Nの組の2出力を単位として、レベルシフト処理後の映像デジタル信号に対応したレベル電圧を、上記した複数のレベル電圧の中から選択し、極性毎に選択したレベル電圧を出力増幅回路2000に供給する。
【0194】
出力増幅回路2000は、例えば
図14の出力回路200で構成される。出力増幅回路2000は、極性反転信号(POL)とスイッチ制御信号群を受け、デコーダ回路900で選択された極性毎のレベル電圧をそれぞれ演算増幅して、極性反転信号(POL)に応じてデータドライバの2つの出力端子毎に、一方に正極電圧信号(Vp)、他方に負極電圧信号(Vn)を出力する。尚、出力増幅回路2000では、極性反転信号(POL)に応じて、例えば
図14の出力回路200の制御信号S12、S13、S14、S22、S23、S24、S32、S33、S34、S42、S43、S44が制御され、スイッチ12、13、14、22、23、24、32、33、34、42、43、44のオン、オフが制御される。尚、
図14の各制御信号を生成する制御部201は、出力増幅回路2000の複数の出力回路200に対して共通に設けてもよい。
【0195】
図16のデータドライバのブロック図において、アナログ電圧振幅の電圧範囲を有するブロックは、レベルシフト回路800、デコーダ回路900、出力増幅回路2000とレベル電圧発生回路500である。
【0196】
またレベル電圧発生回路500は、正極アナログ電圧範囲(VGND~VDDH)と負極アナログ電圧範囲(VGND~VDDL)とに分けて構成することができる。出力増幅回路2000も正極アナログ電圧範囲(VGND~VDDH)と負極アナログ電圧範囲(VGND~VDDL)のそれぞれの耐圧の素子で構成することができる。
【0197】
すなわち、
図16のデータドライバは、出力端子へは負極電圧信号と正極電圧信号のVDDL~VDDHの電圧範囲の液晶駆動電圧信号が出力されるが、データドライバを構成する素子は、液晶駆動電圧範囲の約2分の1の正極アナログ電圧範囲(VGND~VDDH)又は負極アナログ電圧範囲(VGND~VDDL)で動作可能な低耐圧VDDTの素子で構成することができる。低耐圧VDDTのトランジスタの場合、例えば、ゲート絶縁膜を薄くすることができ、そのトランジスタで構成する出力回路を省面積で実現できるようになる。また耐圧が下がることで、素子間隔も狭くできる。このように
図16のデータドライバは、省面積で構成できるため、低価格化が可能になる。
【符号の説明】
【0198】
10A 正極電圧信号供給回路
11、21 出力選択スイッチ
12~14、22~24 スイッチ
20A 負極電圧信号供給回路
50、55、60、65 電圧制御回路
73 データドライバ
100、200 出力回路
400 表示装置