(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】画像処理システム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20241028BHJP
H04N 5/04 20060101ALI20241028BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20241028BHJP
H04N 21/2187 20110101ALI20241028BHJP
H04N 21/242 20110101ALI20241028BHJP
【FI】
H04N23/60 300
H04N5/04 A
H04N7/18 E
H04N21/2187
H04N21/242
(21)【出願番号】P 2021104058
(22)【出願日】2021-06-23
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松崎 英一
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-077120(JP,A)
【文献】特開2009-239762(JP,A)
【文献】特開2017-163295(JP,A)
【文献】特開2015-165628(JP,A)
【文献】特開2015-185896(JP,A)
【文献】特開2021-034972(JP,A)
【文献】国際公開第2007/007454(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 5/04
H04N 7/18
H04N 21/2187
H04N 21/242
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像処理装置を備える画像処理システムであって、
前記画像処理装置は、
撮像装置における撮像のタイミングを規定する同期信号であって前記複数の画像処理装置で同期された同期信号に基づいて前記撮像装置により撮像された画像を示す画像情報と、前記画像が撮像された撮像時刻を示す時刻情報とを対応付けて記憶した記憶手段から、前記時刻情報に基づいて前記画像情報を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段が前記記憶手段から前記画像情報を取得するタイミングを制御する取得制御手段と、
前記画像取得手段が前記記憶手段から取得する前記画像情報の前記撮像時刻を指定する指定手段と、
前記画像取得手段により取得された前記画像情報、及び前記記憶手段に記憶されていない前記画像情報のいずれか一方を選択して出力する出力手段と、
を有し、
前記取得制御手段は、前記
取得するタイミングを規定す
る前記複数の画像処理装置で
同期された同期信号として、前記撮像のタイミングを規定する同期信号と同期する同期信号を出力し、
前記指定手段は、前記複数の画像処理装置で同時刻の前記撮像時刻を指定し、
前記画像取得手段は、前記指定手段により指定された前記撮像時刻に対応する前記画像情報を、前記取得制御手段から出力される前記
取得するタイミングを規定する同期信号に基づいて、前記複数の画像処理装置で同期して、前記記憶手段から取得すること
を特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記複数の画像処理装置は、デイジーチェーンにより接続されており、
前記画像情報は、デイジーチェーンを介して、他の
前記画像処理装置に出力されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記画像処理装置は、
基準同期信号を取得する信号取得手段、
を更に有し、
前記取得制御手段は、前記基準同期信号に基づく前記
取得するタイミングを規定する同期信号を出力することにより、前記
取得するタイミングを規定する同期信号を前記複数の画像処理装置で同期させること
を特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記基準同期信号を前記複数の画像処理装置に対して出力する信号出力装置、
を更に備え、
前記信号取得手段は、前記信号出力装置が出力する前記基準同期信号を取得すること
を特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記基準同期信号を出力する複数の前記撮像装置、
を更に備え、
前記撮像装置は、対応する前記画像処理装置に対して前記基準同期信号を出力し、
前記信号取得手段は、対応する前記撮像装置が出力する前記基準同期信号を取得すること
を特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記基準同期信号を出力する信号出力装置、
を更に備え、
前記複数の画像処理装置は、デイジーチェーンにより接続されており、
前記画像処理装置は、
前記信号取得手段により取得された前記基準同期信号を出力する信号出力手段、
を更に有し、
前記デイジーチェーンにより接続された前記複数の画像処理装置のうちの最前段の画像処理装置が有する信号取得手段は、前記信号出力装置が出力する前記基準同期信号を取得し、
前記デイジーチェーンにより接続された前記複数の画像処理装置のうちの前記最前段の画像処理装置とは異なる画像処理装置が有する信号取得手段は、前記デイジーチェーンにより接続された前段の
前記画像処理装置が有する信号出力手段が出力する前記基準同期信号を取得
すること、
を特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記信号出力装置は、前記画像処理装置の内部時計を同期させるための情報を出力するタイムサーバであること
を特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記信号出力装置は、前記最前段の画像処理装置に接続された撮像装置であること
を特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記画像取得手段は、前記画像情報と、当該画像情報に対応する時刻情報とを取得すること
を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項10】
前記出力手段は、前記記憶手段から取得した前記画像情報を選択して出力する設定がなされている場合に、前記画像取得手段により取得された前記画像情報を選択して出力すること
を特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項11】
前記出力手段は、前記画像取得手段が前記記憶手段から前記画像情報を取得している場合に、前記画像取得手段により取得された前記画像情報を選択して出力すること
を特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至
11のいずれか1項に記載の画像処理システムが備える
前記画像処理装置の各手段として動作させるためのプログラム。
【請求項13】
複数の画像処理装置を備える画像処理システムおける画像処理方法であって、
前記画像処理装置における画像処理方法は、
撮像装置における撮像のタイミングを規定する同期信号であって前記複数の画像処理装置で同期された同期信号に基づいて前記撮像装置により撮像された画像を示す画像情報と、前記画像が撮像された撮像時刻を示す時刻情報とを対応付けて記憶した記憶手段から、前記時刻情報に基づいて前記画像情報を取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程
において前記記憶手段から前記画像情報
が取得
されるタイミングを制御する取得制御工程と、
前記画像取得工程
において前記記憶手段から取得
される前記画像情報の前記撮像時刻を指定する指定工程と、
前記画像取得工程において取得された前記画像情報、及び前記記憶手段に記憶されていない前記画像情報のいずれか一方を選択して出力する出力工程と、
を
含み、
前記取得制御工程
において、前記
取得するタイミングを規定す
る前記複数の画像処理装置で同期された同期信号
として、前記撮像のタイミングを規定する同期信号と同期する同期信号
が出力
され、
前記指定工程
において、前記複数の画像処理装置で同時刻の前記撮像時刻
が指定
され、
前記画像取得工程
において、前記指定工程に
おいて指定された前記撮像時刻に対応する前記画像情報
が、前記取得制御工程
において出力される前記
取得するタイミングを規定する同期信号に基づいて、前記複数の画像処理装置で同期して、前記記憶手段から取得
されること
を特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の撮像装置で同期撮像されることにより得られる複数の画像データを同期して取得するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の撮像装置を異なる位置に設置して多視点で同期撮像し、当該撮像により得られた複数の画像(以下「撮像画像」という。)を用いてユーザが指定した任意の視点から見た画像(以下「仮想視点画像」という。)を生成する技術がある。仮想視点画像によれば、例えば、サッカー又はバスケットボール等のハイライトシーンを様々な角度からユーザに視聴させることが出来るため、通常の撮像画像と比較してより高い臨場感をユーザに与えることが出来る。高精度の仮想視点画像を生成するためには、各撮像装置で同時刻に撮像された撮像画像に基づいて三次元形状データを生成する必要があるため、各撮像装置で同時刻に撮像された撮像画像を同期して取得する必要がある。また、監視分野においても、複数の撮像装置により同時刻に撮像された撮像画像を並べて表示するために、同時刻に各撮像装置で撮像された撮像画像を同期して取得する必要がある。
【0003】
特許文献1には、撮像するフレームレートが互いに異なる複数の撮像装置により撮像された複数の動画像を同期させて再生する技術が開示されている。具体的には、特許文献1に開示された技術は、各撮像装置により撮像された複数の動画像のそれぞれについて、同期して再生させるフレーム(以下「基準フレーム」という。)を予め定め、基準フレームを同一の再生タイミングで再生するように制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、複数の動画像を同期させて再生するものであるが、複数の撮像装置により撮像された撮像画像について、同時刻に撮像された複数の撮像画像を同期して取得するものではない。
【0006】
本開示は、複数の撮像装置で撮像されることにより得られた複数の撮像画像の情報を記憶装置から同期して取得することを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る画像処理システムは、複数の画像処理装置を備える画像処理システムであって、画像処理装置は、撮像装置における撮像のタイミングを規定する同期信号であって複数の画像処理装置で同期された同期信号に基づいて撮像装置により撮像された画像を示す画像情報と、画像が撮像された撮像時刻を示す時刻情報とを対応付けて記憶した記憶手段から、時刻情報に基づいて画像情報を取得する画像取得手段と、画像取得手段が記憶手段から画像情報を取得するタイミングを制御する取得制御手段と、画像取得手段が記憶手段から取得する画像情報の撮像時刻を指定する指定手段と、画像取得手段により取得された画像情報、及び記憶手段に記憶されていない画像情報のいずれか一方を選択して出力する出力手段と、を有し、取得制御手段は、取得するタイミングを規定する複数の画像処理装置で同期された同期信号として、撮像のタイミングを規定する同期信号と同期する同期信号を出力し、指定手段は、複数の画像処理装置で同時刻の撮像時刻を指定し、画像取得手段は、指定手段により指定された撮像時刻に対応する画像情報を、取得制御手段から出力される取得するタイミングを規定する同期信号に基づいて、複数の画像処理装置で同期して、記憶手段から取得する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数の撮像装置で撮像されることにより得られた複数の撮像画像の情報を記憶装置から同期して取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る画像処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】(a)第1実施形態に係るセンサシステムの配置及び接続の一例を示す説明図である。(b)仮想カメラと仮想カメラパスに基づく仮想カメラの位置及び姿勢の一例を示す説明図である。(c)第1実施形態に係るセンサシステムの配置及び接続の他の一例を示す説明図である。
【
図3】第1実施形態に係る画像処理装置における機能ブロックの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る画像処理装置におけるハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態に係る記憶装置で管理されるシーン情報の一例を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る画像処理装置の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【
図7】第1実施形態に係る画像処理装置の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【
図8】第2実施形態に係る画像処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】第2実施形態に係る画像処理装置0における機能ブロックの構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】第2実施形態に係る画像処理装置の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【
図11】第2実施形態に係る画像処理装置の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【
図12】第2実施形態に係る画像処理装置のうちの最前段に位置する画像処理装置の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【
図13】第2実施形態に係る画像処理装置のうちの最前段に位置する画像処理装置よりも後段に位置する画像処理装置の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、本開示の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態に示す構成は一例に過ぎず、本開示の範囲をその構成のみに限定するものではない。本開示の実施の形態では、一例として、仮想視点画像を生成するシステムに適用したものを示すが、本開示の適用範囲は、当該システムに限定されるものではない。本開示は、監視分野等のシステムであって、記憶装置に記憶された複数の画像を取得し、取得した複数の画像を並べて表示させるシステム等にも適用可能である。
【0011】
<第1実施形態>
図1から
図7までを参照して、第1実施形態に係る画像処理システム1について説明する。
図1は、第1実施形態に係る画像処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。画像処理システム1は、複数のセンサシステム10(10a―10x)、画像コンピューティングサーバ13、コントローラ16、スイッチングハブ18、エンドユーザ端末17、及びタイムサーバ12を有する。コントローラ16は、制御ステーション14と仮想カメラ操作UI15を有する。各センサシステム10(10a―10x)は、画像処理装置100(100a-100x)及び撮像装置11(11a-11x)を有する。画像処理システム1において、各撮像装置11は、競技場又はコンサートホール等の施設における互いに異なる位置に配置され、撮像対象の撮像を行う。
【0012】
第1実施形態では、各センサシステム10は、画像処理装置100と撮像装置11とをそれぞれ1個ずつ有するものとして説明するが、各センサシステム10が有する画像処理装置100及び撮像装置11の個数は、これに限定されるものではない。例えば、各センサシステム10が有する画像処理装置100の個数は、2個以上であってもよく、また、各センサシステム10が有する画像処理装置100の個数は、2個以上であってもよい。なお、センサシステム10は、撮像装置11及び画像処理装置100に加えて、他の装置を有するものであってもよい。また、撮像装置11と画像処理装置100とは、互い異なる筐体により外装された別体の装置であるものとして説明するが、撮像装置11と画像処理装置100とは、同一の筐体により外装された一体の装置として構成されたものであってもよい。また、各センサシステム10は、全てが同様の構成であるものとして説明するが、各センサシステム10は、複数のセンサシステム10の一部又は全部が互いに異なる構成であってもよい。以下、センサシステム10a―10xが有する画像処理装置100a―100x及び撮像装置11a-11xについて、特別な説明がない場合は区別せずに撮像装置11及び画像処理装置100と記載して説明する。また、第1実施形態では、画像処理システム1は、24個のセンサシステム10を有するものとして説明するが、センサシステム10の個数は、2個以上であれば、24個より少なくても、24個より多くてもよい。以下、特別な説明がない場合は、24個のセンサシステム10a-10xを区別せずに、単にセンサシステム10と記載して説明する。
【0013】
撮像装置11は、
図1には不図示のレンズ及びイメージセンサを有し、イメージセンサで撮像することにより得た画像(以下「撮像画像」という。)を画像信号として出力する。撮像装置11は、レンズ及びイメージセンサに加えて、
図1には不図示のマイクを有し、画像信号に加えて、マイクにより集音した音声を音声信号として出力してもよい。また、撮像装置11は、撮像装置11をパン、チルト、又はロールさせて撮像装置11の撮像方向を変更可能な雲台に固定されて配置されてもよい。以下、特別な説明がない場合は、画像という語句には、動画像及び静止画像という概念を含むものとして説明する。すなわち、第1実施形態に係る画像処理システム1は、静止画像及び動画像の何れについても処理可能なものである。
【0014】
画像処理装置100は、撮像装置11が出力する画像信号を受けて、画像信号に対応する画像情報を生成し、生成した画像情報を画像処理装置100の内部又は外部に配置された記憶装置に出力して、記憶装置に画像情報を記憶させる。また、画像処理装置100は、記憶装置から画像情報を読み出すことにより画像情報を取得する。画像処理装置100は、画像信号に基づいて生成した画像情報、及び、記憶装置から読み出した画像情報のうちのいずれかを選択して、選択した画像情報を出力する。画像処理装置100の詳細については後述する。
【0015】
図1(a)及び
図1(b)のそれぞれに示すブロック図は、画像処理システム1が有する各ブロックの接続形態の一例を示している。
図1(a)に示す画像処理システム1では、複数の画像処理装置100は、ネットワーク19a-19wを介して、互いに通信可能にデイジーチェーンにより接続されている。また、画像処理装置100a,100x、画像コンピューティングサーバ13、タイムサーバ12、及び制御ステーション14は、スイッチングハブ18、及びネットワーク18a,18x,12a,13a,14aを介して、互いに通信可能に接続されている。
図1(a)に示す画像処理システム1が有する各ブロックの接続形態は、あくまで一例であり、
図1(a)に示す形態に限定されるものではない。例えば、画像処理システム1が有する各ブロックは、
図1(b)ブロック図のような接続形態であってもよい。具体的には、例えば、
図1(b)に示すように、画像処理システム1が有する各ブロックは、スイッチングハブ18、及びネットワーク18a-18x,12a,13a,14aを介して、互いに通信可能に接続されてもよい。以下、画像処理システム1が有する各ブロックは、
図1(a)に示すような接続形態により接続されているものとして説明する。なお、画像処理システム1が有する各ブロックは、例えば、Ethernet(登録商標)であるIEEE標準準拠のGbE(ギガビットイーサーネット)又は10GbE等により構成される。GbE又は10GbE等は、一例であり、ネットワークは、Infiniband等のインターコネクト、又は産業用イーサーネット等により構成されてよく、また、これらの組合せにより構成されてもよい。また、これらに構成に限定されず、他の種別のものにより構成されてもよい。
【0016】
図2(a)及び
図2(c)を参照して、センサシステム10の配置及び接続について説明する。
図2(a)及び
図2(c)は、センサシステム10の配置及び接続の一例を示す説明図である。各センサシステム10が有する撮像装置11は、サッカー等のフィールドを囲むように互いに異なる位置に配置されている。各撮像装置11は、フィールドで競技するプレイヤ等の撮像対象を互いに異なる複数の方向から撮像する。複数のセンサシステム10が有する画像処理装置100同士は、デイジーチェーンにより接続される。画像処理装置100同士をデイジーチェーンにより接続することにより、接続ケーブル数の削減、又は配線作業の省力化等ができる。
図2(a)には、画像処理装置100a-100xの全てが1個のデイジーチェーンとなるようにカスケード接続されている形態を示したが、画像処理システム1の接続形態は、これに限定されるものではない。
【0017】
例えば、複数のセンサシステム10は、
図2(c)に示すように、24個のセンサシステム10を2個のグループに分割して、分割したグループ単位でセンサシステム10同士、すなわち画像処理装置100同士をデイジーチェーンにより接続してもよい。なお、複数のセンサシステム10を分割するグループの個数は、2個に限定されるものではなく、3個以上であってもよい。複数のセンサシステム10をいくつかのグループに分割する接続形態は、フィールドの周囲にすり鉢状に観覧席が配置されている競技場等において特に有効である。例えば、観覧席が複数階に亘って配置され、観覧席が配置された各階にセンサシステム10を配置する場合が考えられる。この場合、例えば、それぞれの階に配置されたセンサシステム10を1個のグループとして同一グループ内のセンサシステム10同士をデイジーチェーンで接続する。このような接続形態により、配線の簡便化、及びシステムの柔軟化を図ることができる。更に、このような接続形態により、ネットワーク上に流れるデータを分割することができ、画像処理装置100のそれぞれが生成、又は記憶装置から取得する画像情報のデータ量を増やすことが可能となる。
【0018】
なお、複数のセンサシステム10をいくつかのグループに分割する形態は、それぞれの階に配置されたセンサシステム10を1個のグループとする形態に限定されるものではない。例えば、フィールドの周囲をある地点からの2個の半周に分けて、それぞれの半周に対応する位置に配置されたセンサシステム10を1個のグループとして同一グループ内のセンサシステム10同士をデイジーチェーンで接続してもよい。このような接続形態により、配線の簡便化、及びシステムの柔軟化を図ることができる。以下、複数の画像処理装置100同士は、
図2(a)に示す接続形態によりデイジーチェーンにより接続されているものとして説明する。
【0019】
制御ステーション14は、画像処理システム1を構成するそれぞれのブロックに対して動作状態の管理、及び、パラメータの設定又は制御等を行う。仮想カメラ操作UI15は、仮想視点画像を生成する際に用いる仮想カメラの位置及び姿勢を指定するためのユーザインタフェースを提供する。仮想カメラとは、設置されたどの撮像装置とも異なる視点から見た撮像した映像の取得を可能にする仮想的な撮像装置である。コントローラ16の操作者は、例えば、マウス又はジョイスティック等の
図1には不図示の操作入力装置を用いて、仮想カメラの位置及び姿勢を指定する。例えば、仮想カメラの位置及び姿勢は、コントローラ16の操作者が仮想カメラパスを指定することにより指定されてもよい。仮想カメラパスとは、仮想カメラの1フレーム毎の位置及び姿勢を表す情報の列である。
図2(b)は、仮想カメラと仮想カメラパスに基づく仮想カメラの位置及び姿勢の一例を示す説明図である。仮想カメラ操作UI15は、操作者により指定された仮想カメラの位置及び姿勢を示す信号を操作入力装置から受けて、当該信号に対応する情報を視点情報として画像コンピューティングサーバ13に出力する。なお、仮想カメラの位置及び姿勢の指定は、コントローラ16の操作者による指定に限定されるものではなく、例えば、画像解析の結果等に基づいて自動的に指定されるものであっても良い。以下、24個のセンサシステム10a―10xのそれぞれが1個ずつ取得した画像を1組の画像セットとして、24個の画像をセンサシステム10xから画像コンピューティングサーバ13へ送信する動作について説明する。
【0020】
画像コンピューティングサーバ13は、コンピュータ等により構成される情報処理装置である。画像コンピューティングサーバ13は、各画像処理装置100が出力する画像情報を1組の画像セットとして受けて、1個の画像セットにおける各画像情報が示す撮像画像(以下「複数視点画像」という。)を取得する。また、画像コンピューティングサーバ13は、仮想カメラ操作UI15が出力する視点情報を取得し、複数視点画像と視点情報とに基づいて仮想カメラにより撮像された画像のように見える仮想視点画像を生成する。すなわち、画像コンピューティングサーバ13によれば、例えば、あたかもゴールの近くに存在する撮像装置により撮像されたかのような仮想視点画像を生成することができる。複数視点画像と視点情報とに基づいて仮想視点画像を生成する手法は周知であるため、詳細な説明を省略する。
【0021】
画像コンピューティングサーバ13は、生成した仮想視点画像をエンドユーザ端末17に出力する。画像コンピューティングサーバ13は、生成した仮想視点画像をH.264又はHEVC(High Efficiency Video Coding)等の標準的な画像符号化により圧縮符号化等を行った上で、エンドユーザ端末17に出力してもよい。例えば、画像コンピューティングサーバ13は、圧縮符号化後の仮想視点画像をMPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)プロトコル等を用いた標準的なストリーミング配信等により出力してもよい。なお、MPEG-DASHによるストリーミング配信は、あくまで一例であり、仮想視点画像の配信手法は、MPEG-DASHに限定されるものでない。例えば、仮想視点画像の配信には、HLS(HTTP Live Streaming)等の送信方法を用いても良い。また、画像コンピューティングサーバ13は、生成した仮想視点画像を非圧縮のままエンドユーザ端末17に出力してもよい。
【0022】
画像コンピューティングサーバ13は、画像コンピューティングサーバ13に画像情報を出力する最後段の画像処理装置100が1個であるか2個以上であるかに応じて、画像処理の制御態様を切り替える。すなわち、画像コンピューティングサーバ13では、センサシステム10が複数のグループに分割されているか否かに応じて制御態様が切り替えられる。上述したように画像処理装置100同士は、デイジーチェーンにより接続されているため、例えば、
図2(a)に示す接続形態である場合、各画像処理装置100から出力される画像情報は、以下のようにして、画像コンピューティングサーバ13へ伝送される。画像処理装置100aにて取得又は生成された画像情報は、ネットワーク19aを介して画像処理装置100bに伝送される。画像処理装置100bは、画像処理装置100bが生成、又は記憶装置から取得した画像情報と、画像処理装置100aから伝送された画像情報とを合わせて、画像処理装置100cに伝送する。以下、画像処理装置100xまで同様の伝送が繰り返される。結果として、画像処理装置100xには、画像処理装置100a-100wのそれぞれが生成、又は記憶装置から取得した画像情報を合わせた情報がネットワーク19wを介して画像処理装置100wから伝送される。また、画像処理装置100xは、画像処理装置100wから伝送された当該情報と、画像処理装置100xが生成、又は記憶装置から取得した画像情報とを合わせて画像コンピューティングサーバ13に出力する。具体的には、画像処理装置100xから出力された情報、すなわち、画像処理装置100a-100xのそれぞれが生成、又は記憶装置から取得した画像情報を合わせた情報は、スイッチングハブ18を介して画像コンピューティングサーバ13に伝送される。
【0023】
したがって、画像コンピューティングサーバ13に対して画像情報を出力する画像処理装置100が1個の場合、画像コンピューティングサーバ13は、複数の画像処理装置100のそれぞれが生成又は取得した全ての画像情報を同じタイミングで取得できる。すなわち、センサシステム10がグループに分割されていない場合は、1組の画像セットに対応する全ての画像情報を画像コンピューティングサーバ13で取得するタイミングは同期がとれた状態となる。しかし、画像コンピューティングサーバ13に画像情報を出力する画像処理装置100が複数個である場合(複数のセンサシステム10が複数のグループに分割されている場合)は、以下のようなことが生じ得る。例えば、当該場合、画像情報を画像コンピューティングサーバ13が取得するまでの遅延時間は、デイジーチェーンのレーン(経路)毎に異なることが生じ得る。そのため、当該場合、画像コンピューティングサーバ13は、1組の画像セットに対応する全ての画像情報が揃うまで待ってから、後段の画像処理を行って仮想視点画像を生成する必要が生じることがある。画像コンピューティングサーバ13は、コンピュータ等により構成される。
【0024】
エンドユーザ端末17は、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等により構成され、画像コンピューティングサーバ13が出力する仮想視点画像を受けて、仮想視点画像を表示する。画像コンピューティングサーバ13が出力する仮想視点画像が圧縮符号化後の仮想視点画像である場合、エンドユーザ端末17は、画像コンピューティングサーバ13が出力する圧縮符号化後の仮想視点画像を受けて当該仮想視点画像を復号する。エンドユーザ端末17は、復号後の仮想視点画像を
図1には不図示のディスプレイに出力して、ディスプレイに仮想視点画像を表示させる。また、画像コンピューティングサーバ13が出力する仮想視点画像が非圧縮の仮想視点画像である場合、エンドユーザ端末17は、非圧縮の仮想視点画像を表示信号として受けて、表示信号に基づく仮想視点画像を表示するモニタ等であってもよい。
【0025】
タイムサーバ12は、システムの基準となる時刻(以下「基準時刻」という)を示す基準時刻信号、及び、システムの基準となる同期信号(以下「基準同期信号」)を出力する。タイムサーバ12により出力された基準時刻信号及び基準同期信号は、スイッチングハブ18を介してセンサシステム10a―10xが有する画像処理装置100a―100xに配信される。例えば、タイムサーバ12は、予め定められた時間間隔で基準同期信号を定期的に出力する。ここで、予め定められた時間間隔とは、1/60秒間等の撮像装置11による撮像フレームレートのフレーム間隔に対応する期間である。
【0026】
図3から
図7までを参照して、画像処理装置100について説明する。
図3を参照して、画像処理装置100が有する機能ブロックについて説明する。
図3は、第1実施形態に係る画像処理装置100における機能ブロックの構成の一例を示すブロック図である。画像処理装置100は、基準信号取得部110、基準信号出力部112、現在時刻取得部114、取得制御部140、指定部150、画像取得部170、及び画像出力部190を有する。画像処理装置100は、上述の構成に加えて、撮像制御部120、撮像出力部130、時点取得部152、又は開始時刻取得部154等を有するものであってもよい。以下、画像処理装置100は、撮像制御部120、撮像出力部130、時点取得部152、及び開始時刻取得部154を有するものとして説明する。
図3に示す各部の詳細については後述する。
【0027】
画像処理装置100が有する各部の処理は、画像処理装置100に内蔵されたASIC(application specific integrated circuit)等のハードウェアによってなされる。当該処理は、FPGA(field programmable gate array)等のハードウェアによってなされるものであってもよい。また、当該処理は、CPU(Central Processor Unit)若しくはGPU(Graphic Processor Unit)、及びメモリを用いたソフトウエアによってなされてもよい。
【0028】
図4を参照して、画像処理装置100が有する各部がソフトウエアとして動作する場合の画像処理装置100のハードウェア構成について説明する。
図4は、第1実施形態に係る画像処理装置100におけるハードウェア構成の一例を示すブロック図である。画像処理装置100は、コンピュータにより構成されており、当該コンピュータは、
図4に一例として示すようにCPU411、ROM412、RAM413、補助記憶装置414、通信部417、及びバス418を有している。当該コンピュータは、上述のハードウェアに加えて、
図4に示すように表示部415及び操作部416を有するものであってもよい。
【0029】
CPU411は、ROM412又はRAM413に格納されているプログラム又はデータを用いて当該コンピュータを制御することにより、当該コンピュータを
図1に示す画像処理装置100が有する各部として機能させる。なお、画像処理装置100は、CPU411とは異なる1又は複数の専用のハードウェアを有し、CPU411による処理の少なくとも一部を専用のハードウェアが実行してもよい。専用のハードウェアの例としては、ASIC、FPGA、及びDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等がある。
【0030】
ROM412は、変更を必要としないプログラム等を格納する。RAM413は、補助記憶装置414から供給されるプログラム若しくはデータ、又は通信部417を介して外部から供給されるデータ等を一時記憶する。補助記憶装置414は、例えばハードディスクドライブ等で構成され、画像データ又は音声データ等の種々のデータを記憶する。
【0031】
表示部415は、例えば液晶ディスプレイ又はLED等により構成され、ユーザが画像処理装置100を操作又は閲覧するためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。操作部416は、例えばキーボード、マウス、ジョイスティック、又はタッチパネル等により構成され、ユーザによる操作を受けて各種の指示をCPU411に入力する。CPU411は、表示部415を制御する表示制御部、及び操作部416を制御する操作制御部としても動作する。
【0032】
通信部417は、画像処理装置100の外部の装置との通信に用いられる。例えば、画像処理装置100が外部の装置と有線接続される場合には、通信用のケーブルが通信部417に接続される。画像処理装置100が外部の装置と無線通信する機能を有する場合には、通信部417はアンテナを備える。バス418は、画像処理装置100の備える各部をつないで情報を伝達する。第1実施形態では、表示部415及び操作部416は、画像処理装置100の内部に存在するものとして説明するが、表示部415及び操作部416の少なくとも一方は、画像処理装置100の外部に別の装置として存在していてもよい。
【0033】
基準信号取得部110は、基準同期信号を取得する。基準信号出力部112は、基準信号取得部110により取得された基準同期信号を出力する。具体的には、複数の画像処理装置100a-100xが
図1(a)又は
図2(a)に示すようにデイジーチェーンにより接続されている場合、画像処理装置100aが有する基準信号取得部110は、タイムサーバ12が出力する基準同期信号を取得する。また、当該場合、画像処理装置100b-100xのそれぞれが有する基準信号取得部110は、画像処理装置100b-100xの前段の画像処理装置100が有する基準信号出力部112が出力する基準同期信号を取得する。より具体的には、画像処理装置100bが有する基準信号取得部110は、画像処理装置100aが有する基準信号出力部112が出力する基準同期信号を取得する。更に、画像処理装置100cが有する基準信号取得部110は、画像処理装置100bが有する基準信号出力部112が出力する基準同期信号を取得する。以下同様であるため説明を省略する。なお、複数の画像処理装置100a-100xが
図1(b)に示すよう接続形態で接続されている場合、画像処理装置100a-100xのそれぞれが有する基準信号取得部110は、タイムサーバ12が出力する基準同期信号を取得する。当該場合、画像処理装置100において、基準信号出力部112は、必須の構成ではない。
【0034】
現在時刻取得部114は、現在時刻を示す情報(以下「現在時刻情報」という。)を取得する。具体的には、例えば、現在時刻取得部114は、タイムサーバ12が出力する基準時刻信号を受けて、基準時刻信号が示す基準時刻が現在時刻であるものとして、現在時刻情報を取得する。複数の画像処理装置100a-100xが
図1(a)又は
図2(a)に示すようにデイジーチェーンにより接続されている場合、画像処理装置100aが有する現在時刻取得部114は、タイムサーバ12が出力する基準時刻信号を取得する。また、当該場合、画像処理装置100b-100xのそれぞれが有する現在時刻取得部114は、画像処理装置100b-100xの前段の画像処理装置100が有する
図3には不図示の現在時刻出力部が出力する基準時刻信号を取得する。
【0035】
例えば、現在時刻取得部114は、画像処理装置100が有する
図3には不図示の内部時計から現在時刻を取得することにより現在時刻情報を取得してもよい。この場合、画像処理装置100が有する内部時計は、IEEE1588規格等に準拠して、タイムサーバ12との間で送受信されたデータのタイムスタンプを用いて、定期又は不定期にタイムサーバ12と時刻同期が行われている。なお、タイムサーバ12との時刻同期手法は、IEEE1588規格を用いた手法に限定されるものではなく、EtherAVB規格又は予め定められた独自のプロトコル等を用いた手法であってもよい。また、例えば、現在時刻取得部114は、センサシステム10a-10xのそれぞれが有する撮像装置11の全てが時刻同期されている場合、対応する撮像装置11が出力する現在時刻情報を取得してもよい。
【0036】
撮像制御部120は、撮像装置11と接続され、撮像装置11の制御、同期信号の提供、及び時刻の設定等を行う。撮像装置11の制御には、撮像画像の画素数、色深度、フレームレート、又はホワイトバランス等の撮像パラメータの設定及び参照等がある。撮像装置11の制御は、撮像中、停止中、同期中、若しくはエラー等の撮像装置11の状態の取得、撮像の開始若しくは停止の制御、又は、ピント若しくはズームの調整等であってもよい。なお、ピント又はズーム等のレンズ調整は、撮像装置11を介して行われてもよく、取り外し可能なレンズが撮像装置11に装着されている等の場合には、画像処理装置100とレンズとを接続して、直接行われてもよい。同期信号の提供は、撮像制御部120が基準同期信号と現在時刻とに基づいて同期信号を生成し、撮像タイミングに合わせて、生成した同期信号を撮像装置11に出力することにより行われる。撮像装置11は、画像処理装置100から出力された同期信号を受けて、同期信号にGENLOCK(GeneratorLock)することにより、画像処理装置100からの同期信号を受けたタイミングで撮像する。すなわち、各画像処理装置100が有する撮像制御部120から出力される基準同期信号により、複数の撮像装置11における全ての撮像タイミングが同期されることになる。時刻の設定は、タイムサーバ12と同期した現在時刻の情報を、例えばSMPTE12Mに準拠したタイムコードとして撮像装置11に出力することにより行われる。
【0037】
撮像装置11は、画像信号に、撮像画像を示す情報に加えて、撮像画像が撮像された時刻(以下「撮像時刻」という。)に対応するタイムコード、すなわち、撮像制御部120から撮像装置11に提供されたタイムコードをメタ情報として含めて出力する。なお、タイムコードのフォーマットは、SMPTE12Mに限定されるものではなく、他のフォーマットであってもよい。また、メタ情報は、タイムコードに加えて、撮像画像のシーケンス番号若しくはデータ種別、又は撮像装置11の個体を示す識別子等を示す情報を含むものであってもよい。このようにして、各画像処理装置100が有する撮像制御部120は、全ての撮像装置11が高精度に同期して撮像した撮像画像を示す画像信号を得ることができる。これまで、撮像装置11が撮像制御部120から提供されたタイムコードを用いて、撮像画像の撮像時刻に対応するタイムコードを示す情報をメタ情報として画像信号に含める形態を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、撮像制御部120は、撮像装置11に対してタイムコードの提供はせずに、撮像装置11から受け取った画像信号に、当該画像信号を受信した時刻に対応するタイムコードをメタ情報として撮像制御部120において付与してもよい。撮像制御部120は、撮像装置11が出力する画像信号から、画像信号に対応する撮像画像を示す画像情報と、当該撮像画像の撮像時刻を示す時刻情報とを生成する。撮像制御部120は、生成した画像情報及び時刻情報を撮像出力部130及び画像出力部190に出力する。なお、撮像制御部120は、画像情報を生成する際に、画像信号に対応する撮像画像のデータを圧縮又は符号化して、圧縮後又は符号化後の撮像画像を示す情報を画像情報として生成してもよい。
【0038】
撮像出力部130は、撮像制御部120により生成された画像情報と時刻情報とを画像処理装置100の内部又は外部に配置された記憶装置に出力して、記憶装置に画像情報と時刻情報とを記憶させる。具体的には、撮像出力部130は、画像情報と、当該画像情報が示す撮像画像の撮像時刻を示す時刻情報とを対応付けて記憶装置に画像情報と時刻情報とを記憶させる。以上のように構成することにより、記憶装置には、複数の撮像装置11のそれぞれによる撮像であって、全ての撮像装置11の撮像タイミングが同期された撮像により得られた複数の画像情報と、各画像情報に対応する時刻情報とが対応付けて記憶される。なお、撮像出力部130は、時刻情報に替えて、撮像画像の撮像時刻を示す情報と、撮像画像のシーケンス番号若しくはデータ種別、又は撮像装置11の個体を示す識別子等を示す情報とを含むメタ情報を、画像情報に対応付けて記憶装置に記憶させてもよい。
【0039】
なお、第1実施形態では、一例として、タイムサーバ12が出力する基準同期信号に基づいて、複数の撮像装置11における撮像時刻の同期を管理する形態を説明したが、撮像時刻を同期する手法は、これに限定されるものではない。また、第1実施形態では、一例として、タイムサーバ12が出力する基準時刻信号に基づいて、複数の画像処理装置100及び撮像装置11における現在時刻の同期を管理する形態を説明したが、現在時刻を同期する手法は、これに限定されるものではない。例えば、現在時刻を同期するための処理は、各撮像装置11又は各画像処理装置100が独立して行うものであってもよい。また、撮像時刻を同期するための処理は、同期された現在時刻と、予め定められた撮像画像のフレームレートに基づいて、各撮像装置11又は各画像処理装置100が独立して行うものであってもよい。
【0040】
画像取得部170は、画像情報と時刻情報とを対応付けて記憶した記憶装置から、時刻情報に基づいて画像情報を取得する。画像取得部170は、画像情報に加えて、当該画像情報に対応する時刻情報を取得してもよい。取得制御部140は、画像取得部170が記憶装置から画像情報を取得するタイミングを制御する。指定部150は、画像取得部170が記憶装置から取得する画像情報の撮像時刻を指定する。
【0041】
具体的には、各画像処理装置100が有する取得制御部140は、画像取得部170が記憶装置から画像情報を取得するタイミングを規定する同期信号を画像取得部170に対して出力する。各画像処理装置100が有する取得制御部140が出力する同期信号は、複数の画像処理装置100同士で互いに同期されたものであり、画像情報が示す撮像画像のフレームレートに対応する時間間隔等の予め定められた時間間隔で出力されるものである。より具体的には、例えば、取得制御部140は、基準信号取得部110により取得された基準同期信号に基づく同期信号を出力することにより、同期信号を複数の画像処理装置100同士で互いに同期させる。また、各画像処理装置100が有する指定部150は、複数の画像処理装置同士で互いに同時刻の撮像時刻を指定する。各画像処理装置100が有する画像取得部170は、指定部150により指定された撮像時刻に対応する画像情報を、取得制御部140から出力される同期信号に基づいて記憶手段から読み出す。このように構成することにより、画像取得部170は、複数の画像処理装置100同士で互いに同期して、撮像時刻が同時刻の撮像画像に対応する画像情報を取得する。画像取得部170は、取得した画像情報を画像出力部190に出力する。なお、指定部150が指定する撮像時刻は、例えば、コントローラ16の操作者等により入力された時刻を指定すべき撮像時刻であるものとして、制御ステーション14から取得する。
【0042】
画像出力部190は、撮像制御部120により生成された画像情報と、画像取得部170により取得された画像情報とを受けて、いずれかの画像情報を選択し、選択した画像情報を出力する。なお、いずれの画像情報を選択するかは、例えば、コントローラ16の操作者等により入力された、いずれの画像情報を選択するかを示す情報を制御ステーション14から取得して決定される。また、画像出力部190は、画像取得部170から出力された画像情報を受けているとき、画像取得部170により取得された画像情報を選択して出力し、受けていないとき、撮像制御部120により生成された画像情報を選択して出力してもよい。複数の画像処理装置100同士が、
図1(a)等に一例として示すようにデイジーチェーンにより接続されている場合、画像処理装置100は、画像出力部190等により、当該画像処理装置100の前段の画像処理装置100が出力する画像情報を取得する。当該場合、画像出力部190は、当該画像情報と画像出力部190にて選択した画像情報とを含めた情報を、画像処理装置100の後段の画像処理装置100、又は画像コンピューティングサーバ13に出力する。
【0043】
以上のような構成によれば、画像処理システム1は、同一の撮像時刻に撮像された複数の撮像画像を同一のタイミングで取得することができる。結果として、画像処理システム1は、このように同一のタイミングで取得した同一の撮像時刻に撮像された複数の撮像画像に基づいて仮想視点画像を生成できる。したがって、画像処理システム1によれば、仮想視点画像の品質の低下を抑制することができる。
【0044】
なお、画像出力部190は、選択した画像情報が示す撮像画像に対して前景背景分離を行い、前景背景分離した結果である前景領域又は背景領域を示す情報を画像情報に加えて出力してもよい。このように構成することにより、画像コンピューティングサーバ13において、画像コンピューティングサーバ13が取得した画像情報が示す撮像画像の全てに対して前景背景分離を行う必要がなくなる。結果として、画像処理システム1全体として、各構成における処理負荷を平準化することができる。なお、画像情報が示す撮像画像に対する前景背景分離は、必ずしも画像出力部190が画像情報を出力する際に行う必要はなく、例えば、撮像制御部120が画像情報を生成する際に行っても、画像取得部170が画像情報を取得した際に行ってもよい。撮像画像に対して前景背景分離を行い、撮像画像領域を前景領域と背景領域とに分離する手法は周知であるため、前景背景分離の手法については説明を省略する。
【0045】
時点取得部152は、撮像装置11により撮像画像が撮像された期間内の時点であって、第1時点と第1時点より後の第2時点とを示す時点情報を取得する。各画像処理装置100が有する取得制御部140は、第1時点から第2時点までの間に撮像された撮像画像に対応する画像情報が画像取得部170により取得されるまで間において、同期信号を出力する。例えば、指定部150は、第1時点、第2時点、及び同期信号間の時間間隔に基づいて撮像時刻を決定して指定してもよい。なお、時点取得部152が取得する時点情報は、例えば、コントローラ16の操作者等により入力された第1時点及び第2時点を制御ステーション14から時点情報として取得する。このように構成することにより、所望する期間に撮像された撮像画像の画像情報を画像取得部170に取得させることができる。
【0046】
図5を参照して、コントローラ16の操作者等が所望の第1時点及び第2時点を設定する手法について説明する。
図5は、第1実施形態に係る記憶装置で管理されるシーン情報の一例を示す図である。記憶装置には、複数の撮像装置11のそれぞれに対応するシーン情報が記憶されている。シーン情報には、例えば、
図5に一例として示すように、各シーンの撮像が開始された時刻を示す開始タイムコードと、各シーンの撮像が終了された時刻を示す終了タイムコードとが各シーンのシーン番号に対応付けられて管理されている。制御ステーション14は、シーン情報を記憶装置から読み出すことにより取得する。全ての画像処理装置100は、基準同期信号に基づいて、同期して対応する撮像装置11に撮像させて撮像画像を得ている。そのため、各撮像画像に対応するシーン情報は、したがって、1台の撮像装置11のみによるテスト撮像を実施した場合等の特殊な場合を除いて、全て同様のものとなる。制御ステーション14は、通常の場合であれば、複数の撮像装置11に対応する複数のシーン情報のうちのいずれか1個のシーン情報を取得すればよい。しかしながら、制御ステーション14は、上述の特殊な場合を考慮して、複数の撮像装置11に対応する全てのシーン情報を記憶装置から読み出して取得することが好適である。
【0047】
以下、全てのシーン情報は、
図5に一例として示すシーン情報と同様のものであるとして説明する。例えば、制御ステーション14は、取得したシーン情報を
図1には不図示の表示装置に表示させる。コントローラ16の操作者は、表示装置に表示されたシーン情報から仮想視点画像を生成したいシーンのシーン番号を選択する。制御ステーション14は、選択されたシーン番号に対応する開始タイムコード及び終了タイムコードを示す情報を各画像処理装置100に出力する。例えば、各画像処理装置100が有する時点取得部152は、制御ステーション14から出力された当該情報を取得して、開始タイムコードに対応する時点を第1時点とし、終了タイムコードを第2時点として取得する。以上のようにして、第1時点及び第2時点が設定される。なお、制御ステーション14は、選択されたシーン番号を示す情報を各画像処理装置100に出力してもよい。この場合、例えば、各画像処理装置100が有する時点取得部152は、制御ステーション14から出力された当該情報を取得する。また、各画像処理装置100が有する時点取得部152は、記憶装置からシーン情報を読み出すことによりに取得する。各画像処理装置100が有する時点取得部152は、選択されたシーン番号を示す情報とシーン情報とに基づいて、当該シーン番号に対応する開始タイムコードの時点を第1時点とし、終了タイムコードの時点を第2時点として取得してもよい。
【0048】
開始時刻取得部154は、画像取得部170による画像情報の取得を開始する取得開始時刻を示す情報(以下「取得開始時刻情報」という。)を取得する。ここで、取得開始時刻は、現在時刻より未来の時刻であり、各画像処理装置100が有する取得制御部140は、現在時刻が取得開始時刻に到達するまで同期信号の出力を待機し、現在時刻が取得開始時刻に到達したときに同期信号の出力を開始する。このように構成することにより、現在時刻が所望した時刻になった時点から画像取得部170に画像情報の取得を開始させることができる。また、取得制御部140は、現在時刻が取得開始時刻に到達したときに同期信号の出力を開始し、且つ、第1時点から第2時点までの間に撮像された撮像画像の画像情報が画像取得部170により取得されるまで間において同期信号を出力してもよい。なお、開始時刻取得部154が取得する取得開始時刻情報は、例えば、コントローラ16の操作者等により入力された取得開始時刻を制御ステーション14から取得開始時刻情報として取得する。このように構成することにより、所望する期間に撮像された撮像画像の画像情報を、現在時刻が所望した時刻になった時点から画像取得部170に取得させることができる。
【0049】
コントローラ16の操作者等が所望の取得開始時刻を設定する手法について説明する。例えば、制御ステーション14は、タイムサーバ12が出力する基準時刻信号を受けて、基準時刻信号が示す基準時刻を現在時刻として取得する。制御ステーション14は、以下の手法により現在時刻を取得してもよい。例えば、制御ステーション14は、画像処理装置100から出力される画像情報であって、撮像装置11から出力される画像情報に対応する時刻情報を全ての画像処理装置100から取得する。制御ステーション14は、全ての画像処理装置100から取得した時刻情報が示す時刻のうち、最も遅れた時刻を現在時刻として取得する。例えば、制御ステーション14は、取得した現在時刻を
図1には不図示の表示装置に表示させる。例えば、コントローラ16の操作者は、表示装置に表示された現在時刻よりも未来の時刻を取得開始時刻として制御ステーション14に入力する。以下、制御ステーション14が取得した現在時刻が午前9時31分13.250秒(以下「09:31:13:25.0」と表記する。)であったものとして説明する。この場合、コントローラ16の操作者は、例えば、全ての画像処理装置100が取得開始時刻を取得する期間も考慮して、9時35分0秒に画像情報の取得が開始されるように、制御ステーション14に09:35:00:00.0という時刻を入力する。制御ステーション14は、当該時刻を示す情報を各画像処理装置100に対して出力する。例えば、各画像処理装置100が有する開始時刻取得部154は、制御ステーション14から出力された当該情報を取得する。
【0050】
ここで、第1時点及び第2時点は、現在時刻取得部114により取得された現在時刻と比較して、過去の時点であってもよく、未来の時点であってもよい。例えば、第1時点が現在時刻より過去の時点である場合、第1時点で撮像された撮像画像の画像情報は記憶装置に記憶されているため、取得制御部140は、即座に同期信号の出力を開始して、画像取得部170に画像情報の取得を開始させる。また、例えば、第1時点が現在時刻より未来の時点である場合、取得制御部140は、現在時刻が第1時点に到達するまで同期信号の出力を待機し、到達後に同期信号の出力を開始して、画像取得部170に画像情報の取得を開始させる。なお、当該場合、開始時刻取得部154が取得する取得開始時刻情報が示す時刻は、第1時点の時刻、又は第1時点よりも未来の時点の時刻である。
【0051】
図6及び
図7を参照して、画像処理装置100の動作について説明する。
図6は、第1実施形態に係る画像処理装置100の処理フローの一例を示すフローチャートである。
図6を参照して、画像処理装置100が撮像装置11から受けて画像信号に基づいて画像情報を生成し、生成した画像情報を記憶装置に記憶させる際の動作について説明する。
【0052】
まず、S601にて、基準信号取得部110は、基準同期信号を取得する。複数の画像処理装置100がデイジーチェーンにより接続されている場合、S602にて、基準信号出力部112は、基準信号取得部110により取得した基準同期信号を後段の画像処理装置100に対して出力する。次に、S603にて、撮像制御部120は、撮像タイミングに合わせて基準同期信号に基づく同期信号を出力し、画像信号を取得する。次に、S604にて、撮像制御部120は、取得した画像信号に基づいて画像情報及び時刻情報を生成する。撮像制御部120は、生成した画像情報及び時刻情報を撮像出力部130及び画像出力部190に出力する。次に、S605にて、撮像出力部130は、撮像制御部120にて生成された画像情報及び時刻情報を記憶装置に出力する。
【0053】
次に、S606にて、画像出力部190は、記憶装置から取得した画像情報を選択して出力する設定がなされている否かを判定する。S606にて記憶装置から取得した画像情報を選択して出力する設定がなされていると判定された場合、画像処理装置100は、
図6に示すフローチャートの処理を終了し、S601に戻って、
図6に示すフローチャートの処理を繰り返して実行する。S606にて記憶装置から取得した画像情報を選択して出力する設定がなされていないと判定された場合、S607にて、画像出力部190は、撮像制御部120から出力された画像情報を画像コンピューティングサーバに出力する。なお、当該場合、且つ、複数の画像処理装置100がデイジーチェーンにより接続されている場合、画像出力部190は、撮像制御部120から出力された画像情報を後段の画像処理装置100に出力する。S607の後、画像処理装置100は、
図6に示すフローチャートの処理を終了し、S601に戻って、
図6に示すフローチャートの処理を繰り返して実行する。
【0054】
図7を参照して、画像処理装置100が記憶装置から画像情報を取得し、取得した画像情報を外部に出力する際の動作について説明する。
図7は、第1実施形態に係る画像処理装置100の処理フローの一例を示すフローチャートである。まず、S701にて、画像出力部190は、記憶装置から取得した画像情報を選択して出力するように設定される。次に、S702にて、時点取得部152は、第1時点及び第2時点を取得する。次に、S703にて、開始時刻取得部154は、取得開始時刻を取得する。次に、S704にて、現在時刻取得部114は、現在時刻を取得する。次に、S710にて、取得制御部140は、現在時刻が取得開始時刻に到達したか否かを判定する。S710にて現在時刻が取得開始時刻に到達していないと判定された場合、画像処理装置100は、S704に戻って、S710にて現在時刻が取得開始時刻に到達したと判定されるまで、S704及びS710の処理を繰り返して実行する。S710にて現在時刻が取得開始時刻に到達したと判定された場合、画像処理装置100は、S711以降の処理を実行する。
【0055】
S711にて、基準信号取得部110は、基準同期信号を取得する。なお、基準信号取得部110は、S701からS710までの処理が実行されている期間にも、予め定められた時間間隔で基準同期信号を取得していてもよい。複数の画像処理装置100がデイジーチェーンにより接続されている場合、S712にて、基準信号出力部112は、基準信号取得部110により取得された基準同期信号を後段の画像処理装置に出力する。S712の後、S713にて、取得制御部140は、画像取得部170に対して基準同期信号に基づく同期信号を出力する。S713の後、S714にて、画像取得部170は、同期信号に同期させて記憶装置から画像情報を取得する。S714の後、S715にて、画像出力部190は、画像取得部170により取得された画像情報を画像コンピューティングサーバに出力する。なお、複数の画像処理装置100がデイジーチェーンにより接続されている場合、画像出力部190は、画像取得部170により取得された画像情報を後段の画像処理装置100に出力する。S715の後、S716にて、取得制御部140は、画像取得部170により第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されたか否かを判定する。
【0056】
S716にて画像取得部170により第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されていないと判定された場合、画像処理装置100は、S711に戻る。当該場合、画像処理装置100は、S716にて画像取得部170により第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されたと判定されるまで、S711からS716までの処理を繰り返して実行する。S716にて画像取得部170により第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されたと判定された場合、S717にて、画像出力部190は、撮像制御部から出力された画像情報を選択して出力するように設定される。S717の後、画像処理装置100は、
図7に示すフローチャートの処理を終了する。
【0057】
ここで、上述したように、撮像制御部120が画像情報を生成して画像出力部190に出力するタイミングと、画像取得部170が画像情報を取得して画像出力部190に出力するタイミングとは、いずれも同期信号により同期されている。そのため、画像出力部190が画像コンピューティングサーバ(又は、後段の画像処理装置100)に画像情報を出力するタイミングは、同期信号に依存し、画像出力部190での選択には依存しない。したがって、画像出力部190において選択する画像情報が切り替わっても画像コンピューティングサーバが取得する撮像画像に乱れ等は生じない。また、
図7に示すフローチャートにおけるS704及びS710の処理を繰り返し実行している期間、すなわち、現在時刻が取得開始時刻に到達していない期間において、例えば、画像出力部190は、黒画像等の予め定められた画像の情報を出力してもよい。
【0058】
以上、上述の画像処理システム1によれば、複数の撮像装置11で同期撮像された複数の撮像画像について、同時刻に撮像された複数の撮像画像の情報を記憶装置から同期して取得することができる。結果として、画像処理システム1によれば、このように同期して取得された複数の撮像画像であって、同一の撮像時刻に撮像された複数の撮像画像を用いて仮想視点画像を生成できる。したがって、画像処理システム1によれば、仮想視点画像の品質の低下を抑制することができる。
【0059】
<第2実施形態>
第1実施形態では、撮像装置11を有する複数のセンサシステム10を競技場等の施設に設置した画像処理システム1において、画像処理装置100がタイムサーバ12からの基準同期信号に基づく同期処理を行う形態について説明した。第1実施形態に係る画像処理システム1は、全ての撮像装置11が高精度に同期して撮像を行うことを可能とし、各撮像装置11の撮像画像を示す画像情報は、時刻情報に対応付けられて記憶装置に記憶される。また、記憶装置に記憶された画像情報のうちの指定された期間に撮像された撮像画像の画像情報は、現在時刻が指定された取得開始時刻に到達した際に、撮像装置11の撮像タイミングと同様のタイミングで出力される同期信号に合わせて読み出される。記憶装置から読み出された画像情報は、撮像装置11から出力される画像信号に基づいてリアルタイムに生成された画像情報に替えて、画像処理装置100から出力される。これにより、第1実施形態に係る画像処理装置100は、記憶装置に記憶された画像情報についても、撮像装置11から出力される画像信号に基づいてリアルタイムに生成された画像情報と同様に、全ての撮像時刻が同一の画像情報を出力することができる。結果として、第1実施形態に係る画像処理システム1は、記憶装置に記憶された画像情報を用いて、高精度の仮想視点画像を生成することができる。
【0060】
第2実施形態では、
図8から
図13を参照して、例えば、施設から第1実施形態に係る画像処理システムを撤収し、当該施設とは異なる別の施設において記憶装置に記憶された画像情報により仮想視点画像を生成可能な画像処理システム8についての説明を行う。
図8は、第2実施形態に係る画像処理システム8の構成の一例を示すブロック図である。以下、
図1に示す第1実施形態に係る画像処理システム1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。画像処理システム8では、第1実施形態のような撮像装置11による撮像は不要である。そのため、画像処理システム8は、
図1に示す撮像装置11を有する複数のセンサシステム10に替えて、1個のセンサシステム80と、複数の画像処理装置800とを有している。センサシステム80は、撮像装置81と画像処理装置800とを有している。以下、画像処理装置800の個数は、センサシステム80が有する画像処理装置800を含めて、
図1に示すセンサシステム10と同数であるものとして説明する。すなわち、画像処理システム8は、センサシステム80が有する画像処理装置800を含めて、24個の画像処理装置800(800a-800x)を有している。画像処理システム8が有する画像処理装置800の個数は、複数であれば、24個より少なくても、24個より多くてもよい。また、画像処理システム8には、
図1に示すようなタイムサーバ12は不要であるため、画像処理システム8は、第1実施形態に係る画像処理システム1が有するタイムサーバ12を有していない。
【0061】
第1実施形態では、撮像装置11は、画像処理装置100から同期信号及び現在時刻情報の提供を受けるものであった。これに対して、撮像装置81は、画像処理装置800から同期信号及び現在時刻情報の提供を受けることなく、撮像装置81の内部でフリーランにより生成されたタイムコードと同期信号にて動作を行う。撮像装置81は、画像処理装置800に対して基準となる同期信号とタイムコードとを提供するためのものであり、撮像装置81が出力する画像信号には、同期信号と、画像信号に対応する撮像画像の撮像時刻を示すタイムコードが重畳されている。撮像装置81は、デイジーチェーンにより接続された複数の画像処理装置800のうちの最前段の画像処理装置800aに接続されている。すなわち、第2実施形態では、タイムサーバ12を用いた時刻同期制御が不要となるため、
図1で示すようなタイムサーバ12が不要となる。
【0062】
画像処理装置800aは、撮像装置81が出力する画像信号を受けて、当該画像信号を駆動し直し、後段の画像処理装置800bに画像信号を出力する。画像処理装置800bは、画像処理装置800aが出力する画像信号を受けて、当該画像信号を駆動し直し、後段の画像処理装置800cに画像信号を出力する。以下、画像処理装置800xまで同様の画像信号の伝送が繰り返される。結果として、全ての画像処理装置800は、撮像装置81から出力される画像信号に重畳されている同期信号とタイムコードとを取得でき、全ての画像処理装置800は、取得した同期信号とタイムコードとに基づいて同期して動作する。なお、第2実施形態では、一例として、全ての画像処理装置800が同期して動作するための基準となる同期信号及びタイムコードを出力する装置として撮像装置81を用いる形態について説明するが、当該装置は、撮像装置81に限定されるものではない。当該装置は、フリーランによる動作により、同期信号と現在時刻等の基準となる時刻に対応するタイムコードとを生成して出力することが可能な装置であれば、撮像装置81でなくてもよい。
【0063】
各画像処理装置800は、取得した同期信号とタイムコードとに基づいて記憶装置から画像情報を読み出すことにより同期して画像情報を取得する。各画像処理装置800は、記憶装置から読み出した画像情報を出力する。具体的には、画像処理装置800aにより記憶装置から読み出された画像情報は、ネットワーク19aを介して、デイジーチェーンにより接続された後段の画像処理装置800bに伝送される。画像処理装置800bは、画像処理装置800aから伝送された画像情報を取得する。画像処理装置800bにより記憶装置から読み出された画像情報は、画像処理装置800aから伝送された画像情報と合わせて、ネットワーク19bを介して、デイジーチェーンにより接続された後段の画像処理装置800cに伝送される。以下、画像処理装置800xまで同様の伝送が繰り返される。結果として、画像処理装置800xには、画像処理装置800a-800wのそれぞれが記憶装置から取得した画像情報を合わせた情報がネットワーク19wを介して画像処理装置800wから伝送される。また、画像処理装置800xは、画像処理装置800wから伝送された当該情報と、画像処理装置800xが記憶装置から取得した画像情報とを合わせて画像コンピューティングサーバ13に出力する。具体的には、画像処理装置800xから出力された情報、すなわち、画像処理装置800a-800xのそれぞれが記憶装置から取得した画像情報を合わせた情報は、スイッチングハブ18を介して画像コンピューティングサーバ13に伝送される。
【0064】
図9から
図13を参照して、画像処理装置800について説明する。
図9を参照して、画像処理装置800が有する機能ブロックについて説明する。
図9は、第2実施形態に係る画像処理装置800における機能ブロックの構成の一例を示すブロック図である。画像処理装置800は、画像信号取得部820、画像信号出力部822、基準信号取得部810、現在時刻取得部814、取得制御部140、指定部150、画像取得部170、及び画像出力部890を有する。画像処理装置800は、上述の構成に加えて、時点取得部152、開始時刻取得部154、開始信号取得部850、又は開始信号出力部852等を有するものであってもよい。以下、画像処理装置800は、時点取得部152、開始時刻取得部154、開始信号取得部850、及び開始信号出力部852を有するものとして説明する。以下、
図3に示す第1実施形態に係る画像処理装置100と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。なお、画像処理装置800が有する各部の処理は、画像処理装置800に内蔵されたASIC、FPGA等のハードウェアによってなされる。また、当該処理は、
図4に一例として示すハードウェアを用いたソフトウエアによってなされてもよい。
【0065】
画像信号取得部820は、撮像装置81、又はデイジーチェーンにより接続された前段の画像処理装置800が出力する画像信号を取得する。上述したように、取得する画像信号には、同期信号及びタイムコードが重畳されている。画像信号出力部822は、画像信号取得部820により取得された画像信号を駆動し直し、デイジーチェーンにより接続された後段の画像処理装置800に画像信号を出力する。基準信号取得部810は、画像信号取得部820により取得された画像信号から同期信号を抽出して、抽出した同期信号を基準同期信号として取得する。現在時刻取得部814は、画像信号取得部820により取得された画像信号からタイムコードを抽出して、抽出したタイムコードを現在時刻情報として取得する。
【0066】
取得制御部140は、画像取得部170が記憶装置から画像情報を取得するタイミングを制御する。具体的には、取得制御部140は、基準信号取得部810により取得された基準同期信号を同期信号として出力することにより、同期信号を複数の画像処理装置800同士で互いに同期させる。画像出力部890は、画像取得部170により取得された画像情報を出力する。複数の画像処理装置800同士がデイジーチェーンにより接続されている場合、画像処理装置800は、画像出力部890等により、当該画像処理装置800の前段の画像処理装置800が出力する画像情報を取得する。当該場合、画像出力部890は、当該画像情報と画像取得部170により取得された画像情報とを含めた情報を画像情報として、画像処理装置800の後段の画像処理装置800、又は画像コンピューティングサーバ13に出力する。
【0067】
以上のような構成によれば、画像処理システム8は、複数の撮像装置11により同期して撮像された撮像画像の画像情報及び時刻情報が予め記憶された記憶装置から、同一の撮像時刻に撮像された複数の撮像画像を同一のタイミングで取得することができる。結果として、画像処理システム8は、このように同一のタイミングで取得した同一の撮像時刻に撮像された複数の撮像画像に基づいて仮想視点画像を生成できる。したがって、画像処理システム8によれば、仮想視点画像の品質の低下を抑制することができる。
【0068】
開始信号取得部850及び開始信号出力部852については後述する。なお、指定部150、時点取得部152、及び開始時刻取得部154については、第1実施形態に係る画像処理装置100が有するものと同様であるため説明を省略する。また、第1時点及び第2時点を設定する手法、及び、取得開始時刻を設定する手法については、第1実施形態と同様の手法であるため説明を省略する。
【0069】
なお、第1実施形態に係る制御ステーション14は、タイムサーバ12が出力する基準時刻信号を受けて、基準時刻信号が示す基準時刻を現在時刻として取得するものであった。これに対して、第2実施形態に係る制御ステーション14は、例えば、以下の手法により現在時刻を取得する。まず、制御ステーション14は、全ての画像処理装置800から出力される画像信号を取得し、各画像信号に重畳されているタイムコードを抽出する。制御ステーション14は、抽出した全てのタイムコードのうち、最も後の時刻を示すタイムコードを選択して、当該時刻を現在時刻として取得する。再駆動の遅延を考慮して、デイジーチェーンにより接続された複数の画像処理装置800のうち最後段に位置する画像処理装置800xから出力される画像信号のみを用いてタイムコードを抽出し、当該タイムコードの時刻を現在時刻として取得してもよい。また、この場合、制御ステーション14は、最後段に位置する画像処理装置800xから出力される画像信号のみを取得してもよい。
【0070】
図10を参照して、画像処理装置800の動作について説明する。
図10は、第2実施形態に係る画像処理装置800の処理フローの一例を示すフローチャートである。以下、
図7に示す第1実施形態に係る画像処理装置100の処理と同様の処理については同一の符号を付して説明を省略する。まず、画像処理装置800は、S701からS703までの処理を実行する。次に、S1001にて、画像信号取得部820は、画像信号を取得する。次に、S1002にて、画像信号出力部822は、画像信号取得部820にて取得した画像信号をデイジーチェーンにより接続された後段の画像処理装置800に出力する。次に、S1003にて、現在時刻取得部814は、画像信号からタイムコードを抽出して現在時刻を取得する。次に、画像処理装置800は、S710の処理を実行する。S710にて現在時刻が取得開始時刻に到達していないと判定された場合、画像処理装置800は、S1001に戻って、S710にて現在時刻が取得開始時刻に到達したと判定されるまで、S1001からS1003までの処理を繰り返して実行する。S710にて現在時刻が取得開始時刻に到達したと判定された場合、画像処理装置800は、S1011以降の処理を実行する。
【0071】
S1011にて、画像信号取得部820は、画像信号を取得する。次に、S1012にて、画像信号出力部822は、画像信号取得部820にて取得した画像信号をデイジーチェーンにより接続された後段の画像処理装置800に出力する。次に、S1013にて、基準信号取得部810は、画像信号から同期信号を抽出して基準同期信号を取得する。S1013の後、画像処理装置800は、S713からS716までの処理を実行する。S716にて画像取得部170により第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されていないと判定された場合、画像処理装置800は、S1011に戻る。当該場合、画像処理装置800は、S716にて画像取得部170により第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されたと判定されるまで、S1011からS1013まで、及びS713からS716までの処理を繰り返して実行する。S716にて画像取得部170により第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されたと判定された場合、画像処理装置800は、S717の処理を実行する。S717の後、画像処理装置800は、
図10に示すフローチャートの処理を終了する。なお、
図10におけるS1001からS1003までの処理及びS710の処理を繰り返し実行している期間、すなわち、現在時刻が取得開始時刻に到達していない期間において、画像出力部890は、黒画像等の予め定められた画像の情報を出力してもよい。
【0072】
以上のような構成によれば、画像処理システム8は、複数の撮像装置11で同期撮像された複数の撮像画像について、同時刻に撮像された複数の撮像画像の情報を記憶装置から同期して取得することができる。結果として、画像処理システム8によれば、このように同期して取得された複数の撮像画像であって、同一の撮像時刻に撮像された複数の撮像画像を用いて仮想視点画像を生成できる。したがって、画像処理システム8によれば、仮想視点画像の品質の低下を抑制することができる。
【0073】
これまで説明した第2実施形態に係る各画像処理装置800は、撮像装置81から出力される画像信号に重畳されたタイムコードに基づく現在時刻が予め設定された取得開始時刻に到達したときに、記憶装置に記憶された画像情報の取得を開始するものであった。しかし、記憶装置に記憶されている画像情報の取得を開始するタイミングは、取得開始時刻を指定する以外の手法により指定されるものであってもよい。
【0074】
具体的には、例えば、各画像処理装置800は、制御ステーション14等から発行される取得開始コマンドを、ネットワーク14a等を介して受信するときをトリガとして記憶装置に記憶された画像情報の取得を開始してもよい。取得開始コマンドは、例えば、コントローラ16の操作者により所定の入力がされたとき、又は、現在時刻が予め設定された時刻に到達したとき等に制御ステーション14から発行される。より具体的には、例えば、開始信号取得部850が画像取得部170による画像情報の取得開始を指示するための取得開始コマンドを取得開始信号として取得する。開始信号取得部850は、取得開始信号に加えて、画像取得部170による画像情報の取得終了を指示するための取得終了コマンドを取得終了信号として取得してもよい。
【0075】
また、複数の画像処理装置800がデイジーチェーンにより接続されているときは、最前段の画像処理装置800aは、制御ステーション14から発行される取得開始コマンドを受信し、当該取得開始コマンドを後段の画像処理装置800bに出力する。同様に、画像処理装置800aより後段に位置する各画像処理装置800は、前段の画像処理装置800から出力された取得開始コマンドを受信して、当該取得開始コマンドを後段の画像処理装置800に出力する。例えば、開始信号出力部852が開始信号取得部850により取得された取得開始信号、すなわち、取得開始コマンドを、デイジーチェーンにより接続された後段の画像処理装置800に出力する。開始信号取得部850が取得終了コマンドを取得終了信号として取得する場合、開始信号出力部852は、開始信号取得部850により取得された取得終了信号を、デイジーチェーンにより接続された後段の画像処理装置800に出力する。このような構成により、全ての画像処理装置800は、高精度に同期して記憶装置から画像情報を取得することができる。
【0076】
図11を参照して、画像処理装置800が取得開始コマンドをトリガとして記憶装置に記憶された画像情報の取得を開始する場合の画像処理装置800の動作について説明する。
図11は、当該場合における第2実施形態に係る画像処理装置800の処理フローの一例を示すフローチャートである。以下、
図10に示す第2実施形態に係る画像処理装置800の処理と同様の処理については同一の符号を付して説明を省略する。まず、画像処理装置800は、S701及びS702、並びにS1001及びS1002の処理を実行する。次に、S1110にて、開始信号取得部850は、取得開始信号を取得したか否かを判定する。S1110にて取得開始信号を取得していないと判定された場合、画像処理装置800は、S1001に戻って、S1110にて取得開始信号を取得したと判定されるまでの間、S1001及びS1002、並びにS1110の処理を繰り返して実行する。S1110にて取得開始信号を取得したと判定された場合、画像処理装置800は、S1011からS1013まで、及びS713からS715までの処理を実行する。
【0077】
S715の後、S1120にて、開始信号取得部850は、取得終了信号を取得したか否かを判定する。S1120にて取得終了信号を取得していないと判定された場合、画像処理装置800は、S716の処理を実行する。S716にて画像取得部170により第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されていないと判定された場合、画像処理装置800は、S1011に戻る。当該場合、画像処理装置800は、S716にて第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されたと判定されるか、S1120にて取得終了信号を取得したと判定されるまで、S1011からS716までの処理を繰り返して実行する。S1120にて取得終了信号を取得したと判定された場合、S716にて第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されたと判定された場合、画像処理装置800は、S1121の処理を実行する。具体的には、当該場合、S1121にて、開始信号出力部852は、開始信号取得部850にて取得された取得終了信号をデイジーチェーンにより接続された後段の画像処理装置800に出力する。S1121の後、画像処理装置800は、S717の処理を実行して、
図11に示すフローチャートの処理を終了する。
【0078】
以上のような構成によれば、画像処理システム8は、複数の撮像装置11で同期撮像された複数の撮像画像について、同時刻に撮像された複数の撮像画像の情報を記憶装置から同期して取得することができる。結果として、画像処理システム8によれば、このように同期して取得された複数の撮像画像であって、同一の撮像時刻に撮像された複数の撮像画像を用いて仮想視点画像を生成できる。したがって、画像処理システム8によれば、仮想視点画像の品質の低下を抑制することができる。
【0079】
図11に示すフローチャートの処理は、後段の画像処理装置800に取得開始信号を出力して、後段の画像処理装置800にも画像情報の取得を開始させる形態であった。後段の画像処理装置800に画像情報の取得を開始させる手法は、後段の画像処理装置800に取得開始信号を出力する手法に限定されるものではない。例えば、画像処理装置800aは、取得開始信号を取得したときから、取得終了信号を取得するまで、又は第1時点から第2時点までの全ての画像情報を取得するまで、撮像装置81から受信した画像信号を加工した画像信号を画像処理装置800bに出力する。ここで、撮像装置81から受信した画像信号の加工とは、例えば、画像信号のうち予め定められた1ビット以上の領域に取得開始又は取得停止を示す取得フラグ情報の値を設定することである。
【0080】
具体的には、例えば、画像処理装置800aが取得開始信号を取得した場合、以降に撮像装置81から受信した画像信号の当該領域に取得開始を示す“1”を設定する。また、画像処理装置800aが取得終了信号を取得、又は第1時点から第2時点までの全ての画像情報の取得が完了した場合、以降に撮像装置81から受信した画像信号の当該領域に取得終了を示す“0”を設定する。画像処理装置800aは、設定後の画像信号を画像処理装置800bに出力する。画像処理装置800aよりも後段に位置する画像処理装置800b-800xは、当該領域に設定された取得フラグ情報の値が取得開始を示す“1”であれば同期信号に同期して記憶装置から画像情報を読み出す。また、取得フラグ情報の値が取得開始を示す“0”であれば記憶装置からの画像情報の読み出し停止又は終了する。このような構成により、全ての画像処理装置800は、高精度に同期して記憶装置から画像情報を取得することができる。
【0081】
図12及び
図13を参照して、画像処理装置800が画像信号に設定された取得フラグ情報の値に基づいて記憶装置に記憶された画像情報の取得を開始する場合の画像処理装置800の動作について説明する。
図12は、当該場合における第2実施形態に係る画像処理装置800のうち、最前段に位置する画像処理装置800aの処理フローの一例を示すフローチャートである。また、
図13は、当該場合における第2実施形態に係る画像処理装置800のうち、最前段に位置する画像処理装置800aよりも後段に位置する画像処理装置800b-800xの処理フローの一例を示すフローチャートである。以下、
図10又は
図11に示す第2実施形態に係る画像処理装置800の処理と同様の処理については同一の符号を付して説明を省略する。まず、
図12を参照して画像処理装置800aの動作について説明する。
【0082】
まず、画像処理装置800aは、S701及びS702、S1001及びS1002、並びにS1110の処理を実行する。S1110にて取得開始信号を取得していないと判定された場合、画像処理装置800aは、S1001に戻って、S1110にて取得開始信号を取得したと判定されるまでの間、S1001及びS1002、並びにS1110の処理を繰り返して実行する。S1110にて取得開始信号を取得したと判定された場合、画像処理装置800aは、S1011にて、撮像装置81から画像信号を取得する。S1011の後、S1212にて、画像出力部890は、撮像装置81から取得した画像信号における取得フラグ情報の値を“1”に設定して、設定後の画像信号を後段の画像処理装置800bに出力する。S1212の後、画像処理装置800aは、S1013、S713からS715まで、及びS1120の処理を実行する。
【0083】
S1120にて取得終了信号を取得していないと判定された場合、画像処理装置800aは、S716の処理を実行する。S716にて画像取得部170により第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されていないと判定された場合、画像処理装置800aは、S1011に戻る。当該場合、画像処理装置800aは、S716にて第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されたと判定されるか、S1120にて取得終了信号を取得したと判定されるまで、S1011からS716までの処理を繰り返して実行する。S1120にて取得終了信号を取得したと判定された場合、又はS716にて第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されたと判定された場合、画像処理装置800aは、S717の処理を実行して、
図11に示すフローチャートの処理を終了する。以降、画像処理装置800aは、次の取得開始信号を取得するまでの間、撮像装置81が出力する画像信号を取得した際に、取得した画像信号の取得フラグ情報の値を“0”に設定して、設定後の画像信号を後段の画像処理装置800bに出力することになる。
【0084】
次に、
図13を参照して画像処理装置800aよりも後段に位置する画像処理装置800b-800xのそれぞれの動作について説明する。当該説明において、画像処理装置800b-800xのそれぞれを、単に、画像処理装置800と表記する。まず、画像処理装置800は、S701及びS702、並びにS1001の処理を実行する。S1001の後、S1310にて、画像信号取得部820は、画像信号の取得フラグ情報の値が“1”に設定されているか否かを判定する。S1310にて画像信号の取得フラグ情報の値が“1”に設定されていない判定された場合、画像処理装置800は、S1311の処理を実行する。具体的には、当該場合、S1311にて、画像信号出力部822は、画像信号取得部820にて取得した画像信号の取得フラグ情報の値を“0”に設定して、設定後の画像信号を後段の画像処理装置800に出力する。
【0085】
S1311の後、画像処理装置800は、S1001に戻って、S1310にて画像信号の取得フラグ情報の値が“1”に設定されていると判定されるまでの間、S1001、並びにS1310及びS1311の処理を繰り返して実行する。S1310にて画像信号の取得フラグ情報の値が“1”に設定されていると判定された場合、画像処理装置800は、S1012及びS1012、及びS713からS715まで、及びS1120の処理を実行する。S715の後、画像処理装置800は、S716の処理を実行する。S716にて画像取得部170により第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されていないと判定された場合、画像処理装置800は、S1011に戻る。当該場合、画像処理装置800は、S716にて第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されたと判定されるまで、
図13におけるS1011からS716までの処理を繰り返して実行する。S716にて第1時点から第2時点までの全ての画像情報が取得されたと判定された場合、画像処理装置800は、S717の処理を実行して、
図13に示すフローチャートの処理を終了する。
【0086】
以上のような構成によれば、画像処理システム8は、複数の撮像装置11で同期撮像された複数の撮像画像について、同時刻に撮像された複数の撮像画像の情報を記憶装置から同期して取得することができる。結果として、画像処理システム8によれば、このように同期して取得された複数の撮像画像であって、同一の撮像時刻に撮像された複数の撮像画像を用いて仮想視点画像を生成できる。したがって、画像処理システム8によれば、仮想視点画像の品質の低下を抑制することができる。
【0087】
<その他の実施形態>
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0088】
なお、本開示はその開示の範囲内において、各実施形態の自由な組み合わせ、各実施形態の任意の構成要素の変形、又は、各実施形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0089】
100 画像処理装置
110 基準信号取得部
112 基準信号出力部
114 現在時刻取得部
120 撮像制御部
130 撮像出力部
140 取得制御部
150 指定部
154 開始時刻取得部
152 時点取得部
170 画像取得部
190 画像出力部