(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】ボディドライヤ
(51)【国際特許分類】
A47K 10/48 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
A47K10/48 A
(21)【出願番号】P 2021140839
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2024-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 高賀夫
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-223814(JP,A)
【文献】特開2005-106363(JP,A)
【文献】特開2017-196583(JP,A)
【文献】実開平07-002831(JP,U)
【文献】実開平07-018695(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体を風で乾かすボディドライヤであって、
使用者が入退室可能な開閉扉を備える乾燥室と、
該乾燥室の内壁から前記乾燥室内に周方向に流れる風を吹き出して旋回気流を発生させる吹出部と、
前記乾燥室内にフロア側から吸引圧を掛けて前記旋回気流を前記フロア側へ吸引される渦気流へと変化させる吸引部と、
該吸引部へ吸引した風を前記吹出部から吹き出す風として循環させる循環部と、を有し、
前記循環部が、前記吸引部から吸引した風を貯留水に通して濾過する水フィルタと、該水フィルタを通過した風を更に通過させて濾過する濾過フィルタと、を備えるボディドライヤ。
【請求項2】
請求項1に記載のボディドライヤであって、
更に、前記吸引部と前記循環部との間に介在して前記吸引部から吸引した風を取り込んで水と空気とに分離させる分離部を備え、
前記分離部が、前記吸引部から吸引される風を上部から筒周方向に取り込んで下方へと旋回させながら流す分離気流を発生させる逆円錐状に傾斜した筒形状の傾斜筒壁と、該傾斜筒壁内に上方から入り込んで前記循環部から掛けられる吸引圧により前記分離気流を上向きに吸い込んで前記循環部へと送る吸込管と、前記傾斜筒壁の重力方向に開口して前記分離気流により分離される水を重力方向に排水する排水口と、を有するボディドライヤ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のボディドライヤであって、
前記循環部が、更に、前記水フィルタの前記貯留水及び/又は該貯留水を通過した風に深紫外線を照射して殺菌する深紫外線照射部を備えるボディドライヤ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のボディドライヤであって、
前記吹出部が、前記循環部から送られる風を暖めるヒータを備えるボディドライヤ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のボディドライヤであって、
前記循環部に、前記吸引部から風を吸引して前記吹出部に風を送り出す圧力を発生させる送風機が設けられるボディドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボディドライヤに関する。詳しくは、使用者の身体を風で乾かすボディドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、湯上り後やシャワー後の濡れた身体を送風により乾かす身体乾燥装置が開示されている。上記身体乾燥装置は、乾燥室の内壁から使用者に向かって風を吹き出す構成とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、吹き出した風を乾燥室のフロア側から吸引してそのまま再循環させる構成となっており、衛生面において好ましくない。そこで、本発明は、使用者の身体を短時間で効率良くかつ衛生的に乾燥させることが可能なボディドライヤを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のボディドライヤは、次の手段をとる。すなわち、本発明のボディドライヤは、使用者の身体を風で乾かすボディドライヤであって、使用者が入退室可能な開閉扉を備える乾燥室と、乾燥室の内壁から乾燥室内に周方向に流れる風を吹き出して旋回気流を発生させる吹出部と、乾燥室内にフロア側から吸引圧を掛けて旋回気流をフロア側へ吸引される渦気流へと変化させる吸引部と、吸引部へ吸引した風を吹出部から吹き出す風として循環させる循環部と、を有する。循環部が、吸引部から吸引した風を貯留水に通して濾過する水フィルタと、水フィルタを通過した風を更に通過させて濾過する濾過フィルタと、を備える。
【0006】
上記構成によれば、乾燥室内に旋回気流を発生させる吹出部と、乾燥室内にフロア側から吸引圧を掛ける吸引部と、の組み合わせにより、乾燥室内にフロア側へと吸引される渦気流を発生させることができる。上記渦気流により、乾燥室内の使用者の身体の表面に広範囲に亘って風を長く当てることができる。したがって、使用者の身体を短時間で効率良く乾燥させることができる。なおかつ、吸引部に吸引した風を、水フィルタと濾過フィルタとを兼備する循環部を通して効果的に清浄化して吹出部へと衛生的に循環させることができる。
【0007】
また、本発明のボディドライヤは、更に、吸引部と循環部との間に介在して吸引部から吸引した風を取り込んで水と空気とに分離させる分離部を備えるように構成されていてもよい。分離部は、吸引部から吸引される風を上部から筒周方向に取り込んで下方へと旋回させながら流す分離気流を発生させる逆円錐状に傾斜した筒形状の傾斜筒壁と、傾斜筒壁内に上方から入り込んで循環部から掛けられる吸引圧により分離気流を上向きに吸い込んで循環部へと送る吸込管と、傾斜筒壁の重力方向に開口して分離気流により分離される水を重力方向に排水する排水口と、を有する。
【0008】
上記構成によれば、吸引部と循環部との間に介在する分離部により、乾燥室から吸引した風から水を適切に分離して排水しつつ、空気を水フィルタ及び濾過フィルタを備える循環部に適切に取り込むことができる。
【0009】
また、本発明のボディドライヤは、更に次のように構成されていてもよい。循環部が、更に、水フィルタの貯留水及び/又は貯留水を通過した風に深紫外線を照射して殺菌する深紫外線照射部を備える。
【0010】
上記構成によれば、深紫外線照射部より照射される深紫外線により、水フィルタの貯留水の殺菌及び/又は水フィルタを通過した風の殺菌を簡便かつ効果的に行うことができる。なお、深紫外線とは、紫外線よりさらに短い波長領域(200~300nm)の光の名称である。
【0011】
また、本発明のボディドライヤは、更に次のように構成されていてもよい。吹出部が、循環部から送られる風を暖めるヒータを備える。
【0012】
上記構成によれば、ヒータにより吹出部から吹き出す風を暖めることで、身体の乾燥を促進させることができる。また、暖められた空気が循環部により循環されることから、暖められた風の熱分を有効に再利用することができる。
【0013】
また、本発明のボディドライヤは、更に次のように構成されていてもよい。循環部に、吸引部から風を吸引して吹出部から風を送り出すための圧力を発生させる送風機が設けられる。
【0014】
上記構成によれば、吸引部と吹出部との間に位置する循環部に送風機を設けることで、吸引部からの風の吸引と吹出部からの風の吹き出しとを合理的かつ適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態に係るボディドライヤの外観を表す斜視図である。
【
図2】ボディドライヤの内部構造を表す部分断面斜視図である。
【
図3】乾燥室内に吹き出される風の流れを表す
図2に対応する断面図である。
【
図5】吸引部、分離部及び循環部内の風の流れを表す
図2に対応する断面図である。
【
図6】第2の実施形態に係るボディドライヤの乾燥室の構成を表す
図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
《第1の実施形態》
(ボディドライヤ1の概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係るボディドライヤ1の構成について、
図1~
図5を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。各図中に示される方向は、使用者がボディドライヤ1の乾燥室10に対して入室する方向を基準とした方向となっている。
【0018】
図1~
図2に示すように、本実施形態に係るボディドライヤ1は、浴室やシャワー室に付設される乾燥設備として構成される。上記ボディドライヤ1は、使用者が開閉扉11を開けて中に入ることができる円筒カプセル型の乾燥室10を備える。
【0019】
上記ボディドライヤ1は、使用者が乾燥室10の中に入って室内に設けられた検出センサSに手をかざすことにより、乾燥室10内に設けられた吹出部20から自動的に風(温風)が吹き出されて使用者の身体に吹き付けられるようになっている。上記風の吹き出しにより、使用者の濡れた身体全体が乾かされる。
【0020】
上記ボディドライヤ1は、乾燥室10のフロア14の下側に吸引部30を備え、乾燥室10内に吹き出された風をフロア14の下側から吸引圧をかけて吸引する構成とされる。また、ボディドライヤ1は、上記吸引部30の先に分離部40と循環部50とを更に備える構成とされる。
【0021】
分離部40では、乾燥室10より吸引した風を分離気流により空気と水とに分離させる。また、循環部50では、分離部40において水が分離された風を更に濾過して清浄化し、再び吹出部20へと循環させて吹き出し用の風として再利用させる。
【0022】
上記乾燥室10内に設けられる吹出部20は、
図3~
図4に示すように、乾燥室10内に筒周方向の風を吹き出して旋回気流を発生させる構成とされる。そのため、
図3に示すように、吹出部20からの風の吹き出しと吸引部30による下側からの風の吸引とが同時に行われることで、乾燥室10内には、吹出部20により発生した旋回気流が下側の吸引部30に向かって渦状に吸い込まれる渦気流(サイクロン)が発生するようになっている。
【0023】
上記渦気流により、吹出部20より吹き出される風が、使用者の身体の表面に広範囲に亘って長く当てられるようになっている。したがって、使用者の濡れた身体を短時間で効率良く衛生的に乾燥させることができる。
【0024】
上記ボディドライヤ1は、使用者の手が検出センサSにかざされて作動を開始した後、所定時間が経過することで、後述する制御部70による制御により、吹出部20からの風の吹き出しを自動的に停止する構成とされている。具体的には、ボディドライヤ1は、
図2に示すように、検出センサSにかざされることで、制御部70により循環部50に設けられたシロッコファン52を駆動回転させる。
【0025】
それにより、ボディドライヤ1は、シロッコファン52の駆動回転に伴う吸引圧により、吹出部20に吹出部20から風を吹き出すために送風圧を発生させる。また、吸引部30に乾燥室10から風を吸引するための吸引圧を発生させる。また、分離部40に吸引部30から吸引した風を分離させるための吸引圧を発生させる。また、循環部50に分離部40から吸引した風を清浄化し吹出部20へと再循環させるための吸引圧や送風圧を発生させる。
【0026】
(ボディドライヤ1の各部の構成について)
以下、ボディドライヤ1の各部の具体的な構成について詳しく説明する。なお、以下の説明において、参照図に対応する符号がない場合には、
図1~
図5のいずれかの図を適宜参照するものとする。
【0027】
図1に示すように、ボディドライヤ1は、スライド式の開閉扉11を備える円筒カプセル型の乾燥室10と、乾燥室10の筒壁部12に設けられた風の吹出部20と、乾燥室10の直下に設けられた風の吸引部30と、を有する。更に、ボディドライヤ1は、吸引部30の先に設けられた風を空気と水とに分離させる分離部40と、分離部40の先に設けられた風の循環部50と、を有する。
【0028】
更に、ボディドライヤ1は、
図2~
図3に示すように、乾燥室10の筒壁部12内に設けられた風を暖めるためのヒータ60と、使用者の手がかざされたことを非接触で検出する検出センサSと、検出センサSの検出に応じて風の吹き出し等の制御を行う制御部70と、を有する。
【0029】
(乾燥室10について)
乾燥室10は、その円筒カプセルの周壁を成す筒壁部12と、乾燥室10の室内天井を成す天井板13と、乾燥室10内の床面を成す金網製のフロア14と、乾燥室10の下側の開口を成す接続口15と、を有する。筒壁部12は、その内部に人が入ることが可能な内径寸法と高さ寸法とを備えた円筒形状とされる。
【0030】
筒壁部12は、
図3~
図4に示すように、その内周側の筒壁を成す内壁12Aと、外周側の筒壁を成す外壁12Bと、を備える内外2重の筒壁構造を備える構成とされる。内壁12Aと外壁12Bとは、互いに同心状の円筒形状を成し、互いの間に吹出部20へ向けた風の通り道となる送風路12Cが形成された構成とされる。
【0031】
図1に示すように、開閉扉11は、使用者が乾燥室10の内外の壁面にそれぞれ設けられた不図示のセンサに手をかざすことにより自動的に開け閉めされるよう電動操作される電動扉として構成される。開閉扉11は、筒壁部12の外周面に沿って湾曲した曲板形状を成す。
【0032】
開閉扉11は、外壁12Bの外周面に沿って筒周方向にスライド可能となるように筒壁部12に組み付けられている。開閉扉11は、上記電動操作により閉じ操作されることで、筒壁部12の一部に形成された出入口Dを塞ぐ形に閉じられる。それにより、開閉扉11は、乾燥室10内をカプセル状に密閉させた状態に切り替える。
【0033】
また、開閉扉11は、上記電動操作により開き操作されることで、筒壁部12の出入口Dを外部に対して開放する形に開かれる。それにより、使用者が、上記出入口Dから乾燥室10内に入室したり、乾燥室10内から外部に退室したりすることが可能となる。なお、開閉扉11は、上記のような電動式の構成ではなく、使用者が開閉扉11に直接手を引掛けて開け閉めを行う手動式の構成であっても良い。
【0034】
上記筒壁部12は、
図3に示すように、その金網製のフロア14が敷設される床面よりも上側の領域(床上領域A1)が、高さ方向に寸胴状に延びる円筒形状とされる。また、筒壁部12は、上記フロア14より下側の領域(床下領域A2)が、筒底側の接続口15に向かって先細り状に絞り込まれる逆円錐台形状とされる。筒底側の接続口15は、筒壁部12の直下に筒壁部12と同心状の円形開口を成す形に形成される。
【0035】
上記筒壁部12の内壁12Aには、検出センサSが設けられている。検出センサSは、赤外線センサから成り、使用者の手が所定の接近位置にかざされたか否かを非接触で検出することができる構成とされる。
【0036】
(吹出部20について)
吹出部20は、
図2~
図4に示すように、筒壁部12の内壁12Aに形成された縦長なスリット形状に開口する4つの吹出口21と、各吹出口21の開口縁部に沿って高さ方向に延びる形に設けられた縦長板状の各ルーバ22と、を有する。各吹出口21は、筒壁部12の内壁12A上の筒周方向の4箇所の位置に等間隔に並んで形成されている。
【0037】
各吹出口21は、それぞれ、上記内壁12Aにおける床上領域A1の高さ方向の略全域に亘って、高さ方向に真っ直ぐ延びる形に形成されている。各吹出口21は、それぞれ、筒壁部12内の送風路12Cと連通している。
【0038】
各ルーバ22は、各吹出口21からの風の吹き出し方向を筒周方向に向けるための羽板となっている。各ルーバ22は、各吹出口21の平面視時計回り側の開口縁部に沿って高さ方向の全域に亘って延びる形に取り付けられている。
【0039】
各ルーバ22は、
図4に示すように、各吹出口21から筒内側へと吹き出される風の向きをそれぞれ平面視反時計回り方向へと切り替えるように、各吹出口21を筒内側から斜めに覆う形に設けられている。各ルーバ22による風の吹き出し方向の切り替えにより、乾燥室10内には、各吹出口21から吹き出される風の相互作用によって、筒周方向に旋回する旋回気流が発生する。
【0040】
(吸引部30について)
吸引部30は、
図1~
図3に示すように、乾燥室10の直下に設けられており、乾燥室10と同心状の円筒容器を成す形に形成されている。吸引部30は、乾燥室10の筒底側に形成された接続口15と連通する形に接続されている。
【0041】
吸引部30は、後述する循環部50から掛けられる吸引圧により、連通する乾燥室10の筒底側の接続口15に吸引圧を作用させる。それにより、吸引部30は、吹出部20から乾燥室10内に吹き出された風を乾燥室10の下側から吸引する。その際、乾燥室10のフロア14が金網製となっていることから、吸引部30から掛けられる吸引圧がフロア14の網目を通して乾燥室10内にも掛けられ、乾燥室10内に吹き出された風がフロア14の網目を通って吸引部30へと吸引される。
【0042】
詳しくは、吸引部30は、
図3で前述したように、乾燥室10の床下領域A2が接続口15に向かって先細り状となる逆円錐台形状とされていることから、乾燥室10内に高い吸引圧を効果的に掛けられるようになっている。また、吸引部30は、乾燥室10から下方に引き込まれる旋回気流を、乾燥室10の逆円錐台形状の傾斜面による案内によって整流しながらスムーズに吸引することができるようになっている。
【0043】
(分離部40について)
分離部40は、
図1、
図2及び
図5に示すように、接続管41Aを介して吸引部30に接続される逆円錐型の筒形状を成す傾斜筒壁41と、傾斜筒壁41の筒内から風を吸い上げて循環部50へと送る吸込管42と、を有する。また、分離部40は、傾斜筒壁41から滴り落ちる水を重力作用により外部へと排出するSトラップ43を有する。
【0044】
傾斜筒壁41は、
図5に示すように、接続管41Aを介して吸引部30と連通する形に接続されている。接続管41Aは、傾斜筒壁41の上端部分の筒壁と吸引部30の筒壁との間に水平方向に架け渡される形に接続されている。
【0045】
詳しくは、接続管41Aは、傾斜筒壁41に対して、その筒内に筒周方向に開口する形に接続されている。それにより、吸引部30から接続管41Aを通って傾斜筒壁41の筒内へと吸い出される風は、傾斜筒壁41の内周面に沿って筒周方向に旋回する旋回気流(後述する分離気流)として流されるようになっている。
【0046】
上記傾斜筒壁41の下端部には、上記旋回気流(分離気流)によって遠心分離される水を重力作用により下方へと排水する排水口41Bが形成されている。上記排水口41Bには、Sトラップ43(排水トラップ)が接続されている。それにより、排水口41Bから重力方向に排出された水が、Sトラップ43を通って外部へと衛生的に排出されるようになっている。
【0047】
吸込管42は、逆J字状に曲げられた円管状の部材から成る。吸込管42は、その図示手前側の管部の下端が、傾斜筒壁41の天板中央部に空けられた丸孔に上方から差し込まれて、傾斜筒壁41の筒内に高さ方向の略中央位置まで挿入されている。また、吸込管42は、その図示奥側の管部の下端が、循環部50の吸引管54Aの上端と連通する形に接続されている。
【0048】
上記分離部40は、後述する循環部50のシロッコファン52の駆動により吸引管54Aを通じて吸込管42に吸引圧が掛けられることで、吸込管42の挿入されている傾斜筒壁41の筒内に旋回気流を発生させる。それにより、傾斜筒壁41の筒内と接続されている吸引部30内にも吸引圧が掛けられる。吸引部30に吸引圧が掛けられることで、上述したように、吸引部30と連通している乾燥室10内に下側から吸引圧が掛けられる。ここで、シロッコファン52が、本発明の「送風機」に相当する。
【0049】
吸引部30から乾燥室10内に吸引圧が掛けられることで、乾燥室10内の風が吸引部30内へと吸い込まれる。そして、吸引部30へと吸い込まれた風は、分離部40の接続管41Aを通って傾斜筒壁41の筒内に筒周方向の風となって流される。それにより、傾斜筒壁41の筒内には、筒周方向に旋回状に流れる旋回気流が発生する。上記旋回気流は、吸引部30から送られる風を空気と水とに遠心分離させる分離気流として作用する。
【0050】
上記旋回気流は、傾斜筒壁41の筒内に差し込まれた吸込管42の先端から掛けられる吸引圧により、下方へと渦状に吸い込まれる渦気流へと変えられる。更に、この渦気流は、吸込管42の直下において吸込管42から掛けられる吸引圧により、渦の下部中央から上方へと吸い上げられる上昇気流へと変えられる。
【0051】
その際、傾斜筒壁41が下方に向かって先細り状となる形状となっていることから、吸込管42の直下では、渦気流を上方へと吸い上げるための吸引圧が強く掛けられるようになっている。したがって、上記下方へと吸い込まれる渦気流(分離気流)が、吸込管42の直下において、上昇気流へと急激的に変えられる。
【0052】
この気流の変化により、傾斜筒壁41の筒内に取り込まれた風からその中に含まれる水が分離され、分離された水が重力作用により排水口41Bへと滴り落ちて外部へと排出される。そして、上記水が分離された風は、吸込管42から吸い上げられて循環部50の吸引管54Aへと流される。
【0053】
(循環部50について)
循環部50は、
図2及び
図5に示すように、前後方向に長尺な縦長な箱形状を成すハウジング51と、ハウジング51内に設置されるシロッコファン52と、シロッコファン52を駆動するファンモータ53と、を有する。また、循環部50は、ハウジング51内に設けられて分離部40から吸引した風を貯留水Wに通して濾過する水フィルタ54を有する。
【0054】
また、循環部50は、ハウジング51内に設けられて水フィルタ54の貯留水W及び貯留水Wを通過した風に深紫外線を照射して殺菌する深紫外線LED55を有する。また、循環部50は、ハウジング51内に設けられて深紫外線が照射された風を更に通過させて濾過する中間フィルタ56を有する。ここで、深紫外線LED55が、本発明の「深紫外線照射部」に相当する。
【0055】
また、循環部50は、ハウジング51内に設けられて中間フィルタ56を通過した風を更に通過させて濾過するHEPAフィルタ57を有する。また、循環部50は、ハウジング51の奥側の壁部の下部に接続されて、シロッコファン52から送り出された風を乾燥室10の筒壁部12内の送風路12Cへと送る送風管58を有する。ここで、中間フィルタ56及びHEPAフィルタ57が、それぞれ本発明の「濾過フィルタ」に相当する。
【0056】
図5に示すように、ハウジング51の内部には、箱内空間を前後に仕切る立板状の第1仕切り壁51Aが形成されている。また、ハウジング51の内部には、第1仕切り壁51Aにより仕切られた奥側の空間内に、奥側の上部に小部屋を形成してシロッコファン52の取り付けとファンモータ53の格納とを行えるようにするL字板状の第2仕切り壁51Bが形成されている。
【0057】
シロッコファン52は、いわゆる遠心送風機であり、その回転軸方向である前方から風を取り込んで遠心方向へと送り出す構成とされる。上記シロッコファン52は、第1仕切り壁51Aと第2仕切り壁51Bの立板部との間に設置されており、第2仕切り壁51Bの立板部を間に挟んでその奥側の小部屋に設置されるファンモータ53の出力軸と連結されている。
【0058】
それにより、シロッコファン52は、その回転軸方向が前後方向に向けられて、ファンモータ53の駆動により前方から風を吸い込んで遠心方向に送り出すように回転駆動される構成とされる。ファンモータ53は、後述する制御部70により駆動と停止とが電気的に制御される。
【0059】
上述した第1仕切り壁51Aのシロッコファン52の手前側に正対する部位には、シロッコファン52の手前側領域をシロッコファン52と略同径・同心状の円形状に開口させる貫通孔が形成されている。貫通孔の周縁には、同周縁に沿って第1仕切り壁51Aの手前側の空間内に張り出す円筒状の筒部51Cが形成されている。
【0060】
上述したシロッコファン52は、ファンモータ53による駆動回転により、その前方に正対する筒部51C内から第1仕切り壁51Aの手前側の空間に吸引圧を作用させる。それにより、シロッコファン52は、第1仕切り壁51Aの手前側の空間から風を取り込んで、第1仕切り壁51Aと第2仕切り壁51Bとによって仕切られた空間内に遠心方向の風を送り出す。それにより、シロッコファン52は、上記送り出した風をハウジング51の奥側壁部の下部に接続された送風管58へと流す。
【0061】
水フィルタ54は、ハウジング51の第1仕切り壁51Aにより仕切られた手前側の領域に設けられている。具体的には、水フィルタ54は、ハウジング51の天板部から垂下状に延びる円管形状の吸引管54Aと、吸引管54Aの下端部より僅かに上側の外周面から庇状に張り出す第1庇板54Bと、第1仕切り壁51Aの第1庇板54Bよりも高い位置から手前側へ庇状に張り出す第2庇板54Cと、を有する。
【0062】
水フィルタ54は、ハウジング51の第1仕切り壁51Aにより仕切られた手前側の下部空間に貯留水Wが貯留され、この貯留水Wにより吸引管54Aから取り込んだ空気を濾過して清浄化する構成とされる。吸引管54Aは、その上端部が、ハウジング51の天板部に外部と連通する形に接続されている。吸引管54Aは、その天板部との接続箇所から垂下状に真っ直ぐに延びて、その下端部が、貯留水Wの中に入り込んだ状態に設けられる。
【0063】
第1庇板54Bは、ハウジング51の手前側の下部空間に貯留される貯留水Wを上方から広く覆うように四方に張り出す張出板として構成される。具体的には、第1庇板54Bは、吸引管54Aの外周面から前後左右に張り出して、ハウジング51の左右と手前側の各内周壁とそれぞれ繋がる形状とされている。
【0064】
第1庇板54Bは、吸引管54Aから後方にも張り出すが、第1仕切り壁51Aまでは達せずに、第1仕切り壁51Aとの間に前後方向の隙間を有する構成とされる。第1庇板54Bは、その下部に貯留された貯留水Wが、吸引管54Aの下端部から吸い出される風と混ぜ合わされて撹拌される際に、上方へと飛び散らないようにする押さえ板として機能する。
【0065】
第1庇板54Bは、詳しくは、吸引管54Aを中心に前後方向に斜め下がり状に延び出す形状とされる。それにより、第1庇板54Bは、吸引管54Aから吸い出される風の勢いにより貯留水Wが上下に波打ち状に撹拌されて上方に飛び散ろうとする動きを広い範囲に亘って適切に抑制できるようになっている。
【0066】
第2庇板54Cは、第1仕切り壁51Aから手前側に張り出して、第1庇板54Bと第1仕切り壁51Aとの間に形成される隙間を上方から覆う。具体的には、第2庇板54Cは、第1仕切り壁51Aの第1庇板54Bよりも高い位置から、第1庇板54Bの直上に掛かる位置まで手前側に張り出す形状とされる。第2庇板54Cは、第1仕切り壁51Aの左右方向の全域から手前側に張り出す形状とされて、ハウジング51の左右の内周壁とそれぞれ繋がる形状とされる。
【0067】
第2庇板54Cは、上述した貯留水Wが第1庇板54Bと第1仕切り壁51Aとの間の隙間から上方に飛び散ることがあった場合に、その飛び散りを抑制する押さえ板として機能する。第2庇板54Cは、具体的には、第1仕切り壁51Aから手前側に向かって水平状に張り出した後、前下がり状に傾斜する形に折れ曲がる形状とされる。それにより、第2庇板54Cは、貯留水Wの上方への飛び散りをより適切に抑制することができる構成とされる。
【0068】
上述した水フィルタ54は、上述したシロッコファン52から掛けられる吸引圧により吸引管54Aの下端部から吸い出される風を、貯留水Wに通すことで濾過して清浄化する。具体的には、水フィルタ54は、シロッコファン52の吸引圧により吸引管54Aの下端部から勢い良く吸い出される風を貯留水Wに混ぜ合わせて撹拌することで、風の中に含まれる細菌やウィルスを貯留水Wに混ぜ込ませる。それにより、風に含まれる細菌やウィルスが貯留水Wにより除去されて、清浄化された風が貯留水Wを抜けて下流側へと流される。
【0069】
深紫外線LED55は、深紫外線(紫外線よりさらに短い波長領域(200~300nm)の光)を放射する発光ダイオードから構成される。深紫外線LED55は、制御部70と電気的に接続されており、制御部70によりON/OFFの切り替えが行われる構成とされる。
【0070】
深紫外線LED55は、左右方向に長尺な形を持つ発光部を備え、第2庇板54Cの下面に横長状に設置されている。深紫外線LED55は、下方に向かって深紫外線を照射し、下方に対面する水フィルタ54の貯留水W及び貯留水Wを通過した風に深紫外線を当てる。それにより、深紫外線LED55は、水フィルタ54の貯留水W及び貯留水Wを通過した風に含まれる細菌やウィルスを死滅させる。
【0071】
中間フィルタ56は、第1仕切り壁51Aに形成された前述した円筒状の筒部51Cの内部に隙間なく嵌め込まれている。中間フィルタ56は、シロッコファン52から掛けられる吸引圧により水フィルタ54を通過して筒部51C内へと流れ込んだ風を下流側へと通過させることで、風に含まれる細菌やウィルスを吸着し、濾過して清浄化した風を下流側へと流すようになっている。
【0072】
中間フィルタ56は、具体的には、金属製の不織布から成るメタルフィルタにより構成される。メタルフィルタは、ステンレス鋼等の金属製の繊維をニードルパンチによる交絡や焼結によりシート状に成形した金属製の不織布から成るものである。
【0073】
HEPAフィルタ57は、第2仕切り壁51Bの底板部とハウジング51の底板部との間に嵌め込まれている。具体的には、HEPAフィルタ57は、上記第2仕切り壁51Bの底板部とハウジング51の底板部との間の左右方向及び高さ方向の全域に亘って隙間なく嵌め込まれている。
【0074】
HEPAフィルタ57は、シロッコファン52から送風管58へと流される風を通過させることで、風に含まれる細菌やウィルスを吸着し、濾過して清浄化した風を下流側へと流す。HEPAフィルタ57は、中間フィルタ56よりも更に高い吸着率で細菌やウィルスを吸着する。HEPAフィルタ57を通過した風は、送風管58へと流される。なお、HEPAフィルタ57は、JIS Z 8122に規定される公知のエアフィルタである。
【0075】
(ヒータ60について)
図2~
図3に示すように、ヒータ60は、いわゆる面状発熱体から成り、乾燥室10の外壁12Bの内周面上の筒周方向の複数箇所に設けられている。各ヒータ60は、それぞれ、乾燥室10の外壁12Bと内壁12Aとの間の送風路12Cに臨んでおり、送風路12C内を流れる風を暖める。各ヒータ60は、後述する制御部70によりONとOFFとが電気的に制御される。
【0076】
(制御部70について)
制御部70は、例えばマイコンで構成されており、図示は省略されているが、CPU、FlashROM等の記憶部、タイマ等の機能部を備える。
図2に示すように、制御部70は、乾燥室10に設けられた検出センサSと電気的に接続されており、電源が投入され機能を開始されると、検出センサSに所定の検出時間長さと間隔の検出信号を出力する。制御部70は、その初期状態では、ファンモータ53と各ヒータ60の駆動を停止した状態とされている。
【0077】
制御部70は、検出センサSにおいて使用者の手が所定時間(例えば1秒間)かざされたことが検出されることにより、ファンモータ53と各ヒータ60とを駆動させる。上記ファンモータ53の駆動により、シロッコファン52が回転し、乾燥室10内に底側から吸引圧が掛けられると共に、送風管58から乾燥室10の送風路12C内に風が流される。また、各ヒータ60の駆動により、送風路12C内を流れる風が暖められる。
【0078】
上記各作動により、各吹出口21から乾燥室10内に筒周方向の暖かい風が吹き出されて乾燥室10内に旋回気流が発生する。そして、上記発生した旋回気流は、乾燥室10の底側から掛けられる吸引圧により、乾燥室10の底側へと吸い込まれる渦気流へと変化する。上記制御部70は、検出センサSから使用者の手が離された後もファンモータ53と各ヒータ60の駆動を継続し、一定時間経過後(例えば3分~5分後)にこれらの駆動を停止させる。
【0079】
(ボディドライヤ1の使用方法について)
続いて、本実施形態に係るボディドライヤ1の使用方法について説明する。先ず、使用者が乾燥室10の開閉扉11を開けて乾燥室10内に入室し、乾燥室10の開閉扉11を閉める。その後、乾燥室10内の検出センサSに所定時間(例えば1秒間)手をかざす。
【0080】
それにより、乾燥室10の各吹出口21から暖かい風が吹き出されて旋回気流が発生し、この旋回気流が乾燥室10の底側へと吸い込まれる渦気流へと変化する。上記渦気流により、使用者の身体の表面に広範囲に亘って長く暖かい風が吹き当てられる。それにより、使用者の濡れた身体を短時間で効率良く衛生的に乾かすことができる。
【0081】
以上をまとめると、第1の実施形態に係るボディドライヤ1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0082】
すなわち、ボディドライヤ(1)は、使用者が入退室可能な開閉扉(11)を備える乾燥室(10)と、乾燥室(10)の内壁(12A)から乾燥室(10)内に周方向に流れる風を吹き出して旋回気流を発生させる吹出部(20)と、乾燥室(10)内にフロア(14)側から吸引圧を掛けて旋回気流をフロア(14)側へ吸引される渦気流へと変化させる吸引部(30)と、吸引部(30)へ吸引した風を吹出部(20)から吹き出す風として循環させる循環部(50)と、を有する。循環部(50)が、吸引部(30)から吸引した風を貯留水(W)に通して濾過する水フィルタ(54)と、水フィルタ(54)を通過した風を更に通過させて濾過する濾過フィルタ(56,57)と、を備える。
【0083】
上記構成によれば、乾燥室(10)内に旋回気流を発生させる吹出部(20)と、乾燥室(10)内にフロア(14)側から吸引圧を掛ける吸引部(30)と、の組み合わせにより、乾燥室(10)内にフロア(14)側へと吸引される渦気流を発生させることができる。上記渦気流により、乾燥室(10)内の使用者の身体の表面に広範囲に亘って風を長く当てることができる。したがって、使用者の身体を短時間で効率良く乾燥させることができる。なおかつ、吸引部(30)に吸引した風を、水フィルタ(54)と濾過フィルタ(56,57)とを兼備する循環部(50)を通して効果的に清浄化して吹出部(20)へと衛生的に循環させることができる。
【0084】
また、ボディドライヤ(1)は、更に、吸引部(30)と循環部(50)との間に介在して吸引部(30)から吸引した風を取り込んで水と空気とに分離させる分離部(40)を備える。分離部(40)は、吸引部(30)から吸引される風を上部から筒周方向に取り込んで下方へと旋回させながら流す分離気流を発生させる逆円錐状に傾斜した筒形状の傾斜筒壁(41)と、傾斜筒壁(41)内に上方から入り込んで循環部(50)から掛けられる吸引圧により分離気流を上向きに吸い込んで循環部(50)へと送る吸込管(42)と、傾斜筒壁(41)の重力方向に開口して分離気流により分離される水を重力方向に排水する排水口(41B)と、を有する。
【0085】
上記構成によれば、吸引部(30)と循環部(50)との間に介在する分離部(40)により、乾燥室(10)から吸引した風から水を適切に分離して排水しつつ、空気を水フィルタ(54)及び濾過フィルタ(56,57)を備える循環部(50)に適切に取り込むことができる。
【0086】
また、循環部(50)が、更に、水フィルタ(54)の貯留水(W)及び/又は貯留水(W)を通過した風に深紫外線を照射して殺菌する深紫外線照射部(55)を備える。上記構成によれば、深紫外線照射部(55)より照射される深紫外線により、水フィルタ(54)の貯留水(W)の殺菌及び/又は水フィルタ(54)を通過した風の殺菌を簡便かつ効果的に行うことができる。なお、深紫外線とは、紫外線よりさらに短い波長領域(200~300nm)の光の名称である。
【0087】
また、吹出部(20)が、循環部(50)から送られる風を暖めるヒータ(60)を備える。上記構成によれば、ヒータ(60)により吹出部(20)から吹き出す風を暖めることで、身体の乾燥を促進させることができる。また、暖められた空気が循環部(50)により循環されることから、暖められた風の熱分を有効に再利用することができる。
【0088】
また、循環部(50)に、吸引部(30)から風を吸引して吹出部(20)から風を送り出すための圧力を発生させる送風機(52)が設けられる。上記構成によれば、吸引部(30)と吹出部(20)との間に位置する循環部(50)に送風機(52)を設けることで、吸引部(30)からの風の吸引と吹出部(20)からの風の吹き出しとを合理的かつ適切に行うことができる。
【0089】
《第2の実施形態》
続いて、第2の実施形態に係るボディドライヤ1の構成について説明する。本実施形態に係るボディドライヤ1は、
図6に示すように、乾燥室10内に、オーバーヘッド式のシャワーヘッド81を備える水栓装置80が設置された構成とされる。
【0090】
上記水栓装置80は、シャワーヘッド81と共に乾燥室10の内壁面に取り付けられている。水栓装置80は、乾燥室10の外部から供給される湯水の混合割合(温度)を内部で調節してシャワーヘッド81へと供給することが可能な温度調節機能を備える。上記の温度調節は、水栓装置80に設けられた不図示の温度調節ハンドルの操作によって行われる。
【0091】
上記水栓装置80は、使用者が乾燥室10の内壁面に設けられた不図示のセンサに手をかざすことにより、シャワーヘッド81から使用者に向かって湯水を噴出するようになっている。そして、水栓装置80は、シャワーヘッド81からの湯水の噴出を開始した後、再度、使用者の手が不図示のセンサにかざされることで、シャワーヘッド81からの湯水の噴出を停止するようになっている。なお、その他の構成は、第1の実施形態で示したボディドライヤ1と同一の構成となっているため、対応する構成に同一の符号を付して説明を省略することとする。
【0092】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を2つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0093】
1.ボディドライヤの乾燥室は、円筒カプセル型の他、箱型から成るものであっても良い。また、乾燥室は、必ずしも天井を備えるものでなくても良く、天井の空いた円筒型或いは角筒型の構成から成るものであっても良い。ボディドライヤは、吸引部から吸引した風を取り込んで水と空気とに分離させる分離部を備えない構成であっても良い。
【0094】
2.分離部は、吸引部と循環部との間に介在して吸引部から吸引した風を取り込んで水と空気とに分離させる構成となっているものであれば良く、傾斜筒壁により分離気流を発生させるものの他、寸胴な円筒壁により分離気流となる渦気流を発生させるものであっても良い。または、分離部は、必ずしも分離気流となる渦気流を発生させるものでなくても良く、単に、吸引部から吸引した風を吸込管により上方に吸い上げる構成を備えることで、吸引した風を水と空気とに分離させる構成とされたものであってもよい。
【0095】
3.乾燥室のフロアは、金網の他、中央や周縁、或いは所々の箇所に乾燥室内と吸引部とを連通させるための孔や隙間が形成された構成から成るものであっても良い。
【0096】
4.吹出部から乾燥室内に吹き出される旋回気流は、使用者に対して時計回り・反時計回りのどちらの向きに流れるように設定されていても良い。また、吹出部は、乾燥室の内壁にあけられた吹出口から風を吹き出してルーバにより風の向きを周方向に変化させる構成の他、乾燥室の内壁に複数のノズルを設けて各ノズルから周方向の風を吹き出す構成となっていても良い。
【0097】
5.上記各実施形態では、循環部に設けたシロッコファン(送風機)の駆動により、吹出部からの風の吹き出しや、吸引部への風の吸引や、分離部での風の分離や、循環部への風の取り込み及び吹出部への風の循環を行うための風圧を発生させる構成を例示した。しかし、吹出部、吸引部、分離部、及び循環部のそれぞれに送風機を個別に設けて上記の風圧をそれぞれで発生させる構成であっても良い。
【0098】
また、吹出部と吸引部と循環部にのみ風圧を発生させるための送風機を設けたり、吹出部と循環部のみ、吸引部と循環部のみ、或いは吹出部と吸引部のみに送風機を設けたりする構成であっても良い。また、吹出部、吸引部、分離部、及び循環部のうちのいずれかにのみ送風機を設ける構成であっても良い。風圧発生用の送風機には、シロッコファンの他、各種タイプのブロアやファンを適用することができる。
【0099】
6.循環部に設けられる深紫外線照射部は、深紫外線LEDの他、低圧水銀ランプから成るものであっても良い。また、深紫外線照射部は、水フィルタの貯留水のみ、或いは貯留水を通った風のみに深紫外線を照射するように設けられても良い。
【0100】
7.濾過フィルタは、粗塵用フィルタ(プレフィルタ:主に50μm以上の粒子をターゲットとしたフィルタ)、中高性能フィルタ(主に25μm以上の粒子をターゲットとしたフィルタ)、HEPAフィルタ、又はULPAフィルタ、或いはこれらの組み合わせから成るものであっても良い。また、循環部は、水フィルタ及び濾過フィルタに加え、更に、帯電フィルタ等の別のタイプのフィルタを備える構成であっても良い。
【符号の説明】
【0101】
1 ボディドライヤ
10 乾燥室
11 開閉扉
12 筒壁部
12A 内壁
12B 外壁
12C 送風路
13 天井板
14 フロア
15 接続口
20 吹出部
21 吹出口
22 ルーバ
30 吸引部
40 分離部
41 傾斜筒壁
41A 接続管
41B 排水口
42 吸込管
43 Sトラップ
50 循環部
51 ハウジング
51A 第1仕切り壁
51B 第2仕切り壁
51C 筒部
52 シロッコファン(送風機)
53 ファンモータ
54 水フィルタ
54A 吸引管
54B 第1庇板
54C 第2庇板
55 深紫外線LED(深紫外線照射部)
56 中間フィルタ(濾過フィルタ)
57 HEPAフィルタ(濾過フィルタ)
58 送風管
60 ヒータ
70 制御部
80 水栓装置
81 シャワーヘッド
A1 床上領域
A2 床下領域
W 貯留水
D 出入口
S 検出センサ