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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】液滴保持構造を有するセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 5/02 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
G01N5/02 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021500179
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019040789
(87)【国際公開番号】W WO2020010347
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】16/119,360
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/694,624
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517090646
【氏名又は名称】コーボ ユーエス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ラッセル ウェブスター
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/031055(WO,A1)
【文献】特表2007-520715(JP,A)
【文献】特開2004-264023(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0227474(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0122911(US,A1)
【文献】特開2010-133927(JP,A)
【文献】特開2019-060762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的面と前記標的面の周りに少なくとも部分的に延びる保持構造とを形成した基質と、
前記基質の前記標的面上に配置された、圧電層を備える共振構造と、
機能化物質に結合するように構成された、前記共振構造上に配置された絶縁層と、
を備え、
前記保持構造は、前記標的面に対して直交する軸線の方向に、基質内に延びる深さと、前記軸線に対して直交する方向に延びる第1の幅とを有する流路であり、
前記共振構造と前記流路との間に形成される標的表面の一部分は、機能化物質の液滴が共振構造を完全に覆うことができるように構成された第2の幅を有し、
前記保持構造と第2の幅により、前記液滴が前記標的の外側にこぼれないか、又は流出しないことが保障される、センサ。
【請求項2】
前記流路が、前記標的面の全周囲に延びる、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記流路の前記深さが少なくとも0.01マイクロメートルである、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記流路側壁面、前記標的面との間に少なくとも60度の角度を形成されている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記角度が90度に等しい請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記第2の幅が、少なくとも5マイクロメートルに等しい幅を有する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記第2の幅が、多くとも25マイクロメートルに等しい幅を有する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項8】
記共振構造と前記絶縁層との間に配置された酸化物層を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項9】
前記機能化物質の液滴から形成された機能化物質層をさらに含み、前記液滴が前記絶縁層に結合される分子認識成分を含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項10】
前記絶縁層がシランを含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項11】
液滴保持構造を伴うセンサを形成する方法であって、以下の:
少なくとも部分的に基質の標的面の周りに保持構造を形成することと、
前記基質の前記標的面上に共振構造を配置することと、
前記共振構造及び前記標的面上に機能化物質の液滴を配置することと、
を含み、
前記保持構造が、前記標的面に直交する方向に基質内に延びる深さと、前記標的面に平行な方向に延びる第1の幅とを有する流路を基質にエッチングすることにより形成され、
記共振構造と前記流路との間に形成される前記標的面の一部分は、機能化物質の液滴で前記共振構造を完全に覆うことができる第2の幅を有し、記保持構造と第2の幅により、前記液滴が前記標的の外側にこぼれないか、又は流出しないことが保障される、前記方法。
【請求項12】
前記流路が、前記標的面上に前記共振構造を配置する前に形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記流路が、前記標的面の全周囲に延びる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
記共振構造上に酸化物層を配置することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
記共振構造上に前記液滴内の機能化物質に結合するように構成された絶縁構造を配置することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記絶縁構造がシランを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年7月6に提出された米国仮特許出願第62/694624号の利益を主張する2018年8月31日に提出された米国特許出願米国特許出願第16/119360号(参照により本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
本開示は、バイオセンサを形成するための機器及び方法、具体的にはバイオセンサを形成する際に分子を固定するための機器及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療、獣医学、環境、バイオハザード、バイオテロリズム、農産物及び食品の安全性に関連する物質の診断テストのための器具及び計測技術は多数ある。分子固定化は、ある種の診断テスト装置を形成するために使用される。
【0004】
センサ表面上の抗体又は抗原などの分子の固定化は、典型的に、圧電ディスペンス又はマイクロ弁ディスペンスなどの低体積非接触液体プリント法の使用を伴う。このようなシステムにおいて、プリントの場所は、空気の流れ、プリントチップの表面における変化などの多様なファクタによってプリントプロセス中に変化する可能性がある。このような影響は、チップが表面から離れてさらに上がるとき増幅する可能性がある。このような影響を補正するために、必要以上に大きい体積が、プリント場所の変化に対応するためにプリントされてきた。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、センサ表面上に分子をプリントするとき整列できるようにし、それによって必要以上に大きい体積を印刷する必要を排除する又は少なくともこの必要を最小限にする方法及び機器を説明する。必要以上に大きい体積のプリントは、特にサンプルの中の検体の存在を検出するために使用できるバルク音波センサ(BAWs)などの音波センサを形成するとき機器の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。センサ上に分子をプリントする際確実に整列できるようにする機械的特徴が、音波センサなどのセンサの周りに与えられる。本開示において説明するように、機械的特徴は、少なくとも部分的に標的面の周りの基質に形成された保持構造を含むことができる。共振構造又は共振体構造を、標的面上に配置することもできる。より明確に検出のために検体に結合(bind)するために使用できる機能化物質(functionalized material)の液滴は、標的面及び共振構造上に配置できる。有利なことに、保持構造の使用によって、液滴が移動しかつ/又は不整列になるのを防止でき、そうでなければ機能化物質による共振構造の被覆を一定にするために使用されるより小さい液滴を使用できるようにする。保持構造を持つセンサは、いくつかの既存の技法に比べて音波センサの製造及び使用においてより一貫した結果を得やすくできる。
【0006】
1つの形態において、本開示はセンサを提供する。センサは、標的面及び少なくとも部分的に標的面の周りに延びる保持構造を形成する基質を含む。標的面は、標的面に対して直交する軸線を形成する。保持構造は、軸線の方向に延びる高さ、及び軸線に対して直交する方向に延びる幅を有する。共振構造は、圧電層を含む基質の標的面上に配置される。絶縁層は、共振構造上に配置され、機能化物質に結合するように構成される。
【0007】
別の形態において、本開示は方法を提供する。方法は、少なくとも部分的に基質の標的面の周りに保持構造を形成することを含む。方法は、又、基質の標的面上に共振構造を配置することも含む。方法は、更に、共振構造及び標的面上に機能化物質の液滴を配置することを含む。
【0008】
本開示の1つ又は複数の形態の詳細を、添付図面及び下の説明に示す。本開示において説明する技法の他の特徴、目的及び利点は、説明および図面及び請求項から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の1つの実施形態に従った感知システムの斜視図である。
図2図1の感知システムのセンサダイの斜視図である。
図3A図2のダイのバルク音波センサの線3-3(図2)に沿って見た断面図である。
図3B図3Aのバルク音波センサの斜視図である。
図4】本開示の別の実施形態に従ったセンサの断面図である。
図5図5のセンサの上下図である。
図6】本開示の別の実施形態に従った保持構造を有するセンサの断面図である。
図7】本開示の更に別の実施形態に従った保持構造を有するセンサの断面図である。
図8】本開示の1つの実施形態に従ったセンサを形成する方法の概略図である。
【0010】
概略図は、必ずしも縮尺通りではない。図面において使用される同様の番号は、同様の構成要素、ステップ及びこれに類似するものを指す。但し、任意の図面においてある構成要素を指すためにある番号を使用することは、別の図においてその構成要素が同じ番号を持つことを意図しない。更に、構成要素を指すために異なる番号を使用することは、異なる番号が付けられた構成要素が同じ又は同様の構成要素になり得ないことを意図しない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、サンプルの中の検体の存在を検出するために使用できる音波センサなどのセンサに関する。本明細書においては生体分子を検出するためのバルク音波(BAW)センサなどの音波センサを参照するが、本開示の様々な形態は、液滴を受け入れる基質を有する任意のセンサに使用できる。他の様々な応用が、本開示を利用する当業者には明らかになるだろう。
【0012】
共振体構造を持つ基質上にプリントされた抗体溶液滴などのセンサを形成するために液滴をプリントするとき、供給された液滴は、空気の流れ、ディスペンスチップ上の表面変化及び基質表面上での接触角度の不均等などの多様な影響のために「さまよう」可能性がある。既存の技法は、この「さまよい」を液滴をオーバープリントすることによって補正して来た。これは、大量製造を困難にする可能性がある。このようなオーバープリントは、計測された結合反応の可変性を増すことによって機器性能に影響する可能性がある。例えば、より大きい液滴はより小さい液滴より動き回りやすい。更に、共振構造外部にプリントされた抗体溶液滴で形成されたセンサを使用するときいくつかの問題が生じる可能性がある。例えば、テスト対象のサンプルは、共振構造上の抗体に結合する代わりに共振構造外部の抗体に結合することによって、激減する可能性がある。更に、共振構造外部で結合された検体が共振構造上に落ちる可能性がある。どちらの場合にも、共振構造及びより大きい液滴を使用する結合反応の計測の一貫性に影響を与える可能性がある。
【0013】
液滴を標的面又はエリアに「自動整列」する又は標的面又はエリアから液滴が「さまよう」又は離れるのを防止できるセンサを形成するために、液滴のために標的面及び保持構造を与えることは有利であろう。機能化物質による共振構造の被覆を一定にするために、そうでなければ使用されるであろうより小さい液滴を使用することができるようにする標的面及び保持構造を与えることは有利であろう。更に、抗体溶液滴、又は抗体容液滴を効率的に使用して製造収量を改良する機能化物質の液滴の大量製造を容易にする技法を提供することは有利であろう。
【0014】
本明細書において開示する機器において、供給された溶液滴を整列し液滴の「さまよい」効果を制限するための構造が提供される。いくつかの実施形態において、BAW表面上の様々な構造は、ディスペンスチップが正確に共振器の中心に整列されない場合でも、供給された溶液滴を自動整列するために利用できる。
【0015】
保持構造は、少なくとも部分的に標的面の周りの基質の中又はその上に形成できる。共振体は、標的面上に配置できる。機能化物質の液滴は、標的面上に供給できる。機能化物質は、検出のために検体を共振構造又は共振体構造に結合するために使用できる。いくつかの実施形態において、センサは、標的面と少なくとも部分的に標的面の周りに延びる保持構造とを形成する基質を含む。共振構造は、圧電層を含めて、基質の標的面上に配置できる。絶縁層は、共振構造上に配置でき、機能化物質に結合するように構成できる。いくつかの実施形態において、機能化物質の液滴は、共振構造及び標的面上に配置できる。保持構造及び共振構造は、同時に又は任意の順番で順次形成できる。
【0016】
本明細書において説明するいくつかのセンサは、生体分子(例えば、生物学的分子)を含む分析機器であり、標的と生体分子との間の結合による機械的移動の変化を電気信号に変換するために変換器を使用できる。特定の機器は、生体分子と標的との間の選択的相互作用を伴う。例えば、生体分子は、特異性結合物質(例えば、抗体、受容体、リガンドなど)であり、標的は、分子、タンパク質、DNA、ウィルス、バクテリア、などである。特異性結合物質と標的との間の結合事象又は複数の結合事象は、変換器によって測定可能な数量に変換できる。他の実施形態において、センサは化学的感知用に有益なような、サンプルの中に存在する複数のタイプ又はクラスの分子又は他の部分(moiety)を結合できる非特異性結合物質を利用できる。
【0017】
いくつかの実施形態において、センサは音波機器である。音波機器は、圧電材料を通過して又はその表面上に伝播する音波を利用し、それによって、伝播経路特性の変化が音波の速度及び/又は振幅に影響する。音波機器の活性領域の上又はこれを覆う生体分子の存在は、検体を生体分子に結合できるようにし、それによって音波によって振動する質量を変化させて、音波の伝播特性(例えば、速度、それによる共振周波数)を変化させる。速度の変化は、音波機器の周波数、規模又は位相特性を計測することによって監視でき、計測される物理的数量に相関できる。
【0018】
本明細書において説明する音波機器は、共振構造の一部として圧電結晶共振体を含むことができる。このような機器の場合、音波は、基質内部を通過して伝播するバルク音波(BAW)の形を取ることができる。
【0019】
BAWセンサは、典型的に、圧電材料の対向する上面と下面に配列された電極を使用する電波の変換を伴う。BAWセンサにおいて、3つの音波モードが伝播できる。即ち1つの縦断(長手)モード(圧縮/拡張波と呼ばれる長手方向の波)及び2つのせん断モード(横断波とも呼ばれる横波)であり、縦断モード及びせん断モードは、それぞれ粒子運動が波の伝播方向に対して平行又は直交する振動を識別する。縦断モードは、伝播方向の伸縮を特徴とするのに対して、せん断モードは、伝播方向に対して直角を成す運動から成り、ボリュームの局部的変化はない。縦断モードとせん断モードは、異なる速度で伝播する。実際には、これらのモードは、必ずしも粒子振動として純粋モードではないか、又は偏波は、伝播方向に対して純粋に平行でも直交でもない。それぞれのモードの伝播特性は、材料特性及び結晶軸線の向きに対する伝播方向によって左右される。せん断変位を生じることができることは、せん断波が流体に大きなエネルギーを与えないので流体(例えば、液体)を使用する音波機器の作動にとって有益である。BAWセンサは、ブラッグミラーなどの1つ又は複数の反射層に析出されたバルク共鳴体及び空隙を有するフィルムバルク共鳴体を含む。
【0020】
本明細書において説明するセンサは、任意の適切な圧電薄膜を採用できる。特定の圧電薄膜は、窒化アルミニウム(AIN)及び酸化亜鉛(ZnO)を含む(これに限定されない)六角結晶構造圧電材料など縦断及びせん断モード共振の両方を励起できる。電極間に配列された圧電材料層を使用してせん断モードを含む波を励起するために、圧電薄膜の偏波軸線は、概ね膜表面に対して非直交である(例えば、これに対して傾斜する)。液体媒体が関与する感知用途において、共振体のせん断成分を使用できる。このような用途において、圧電材料は、基礎の基質の面に対して非直交であるc軸線配向分布で成長させることができ、BAW共振構造が、その電極を横切る交流信号を加えたときせん断応答が優勢となるようにできる。逆に、基礎の基質の面に対して直交するc軸線配向で成長する圧電材料は、その電極を横切る交流信号を加えたとき縦断応答が優勢となる。
【0021】
次に、本開示において説明する1つ又は複数の形態を示す図面を参照する。但し、図面に描かれない他の形態も本開示に範囲に属することが分かるはずである。図面に使用される同様の番号は同様の構成要素、ステップ及びこれに類似するものを指す。但し、任意の図面の中の要素を指すためにある参照符号を使用することは、他の図面においてその要素が同じ参照符号を持つことに限定するものではないことが分かるはずである。更に、異なる図面の要素を指すために異なる参照符号を使用することは、異なる参照符号の要素が同じ又は同様の要素にはなり得ないことを示すものではない。
【0022】
図1は、微小流体流路14を収容するダイ12(例えば、センサダイ)を有する感知システム10(例えば、カートリッジ)を示す。感知システム10は、共振体データを受け取るための検出プラットフォームを含むか又は作動上これに結合できる。検出プラットフォームは、感知システム10に取外し可能に結合できる。
【0023】
微小流体流路14は、サンプル流体を受け入れるように構成できる。ダイ12は、センサプラットフォームに収容される流体流動路140に流路14を流体結合するために、センサプラットフォーム150に結合できる。流体流動路140は、サンプルポート142から廃棄室148まで延びることができる。サンプル流体は、流体流動路140に沿ってサンプル容器144と流体連絡するサンプルポート142の中へ注入できる。サンプル流体は、標的物質(例えば、検体)を含有できる。サンプル容器144は、容器の中へサンプル流体を引き込むために親水性の表面を持つことができる。緩衝液又は複合マトリクスなどのサンプル処理液は、サンプル容器144と流体連絡する処理流体ポート146の中へ注入できる。サンプル処理液は、サンプル容器144を通過してダイ12の流路14へ向かってサンプル液を押すために使用できる。サンプル液は、流路14を通過して廃棄室148まで流れることができる。サンプル液がダイ12の流路14を通過する又はこの中に留まるとき、サンプル液の中の標的物質の存在を計測できる。ダイ12は、計測データを更に分析するために外部検出プラットフォーム(図示せず)に作動上結合できる。複合マトリクスは、尿、血液、血清、血漿又は唾液など生物学的流体を含むことができる。
【0024】
図2は、微小流体流路14及び流路に沿って配置された複数の共振体構造26を収容するダイ12を示す。共振体構造26は、流路14に沿って直列に、平行に又はその両方の組合せで配列できる。共振体構造26は、流路の中の流体が共振体構造を越えて流れられるように流路14に曝すことができる。共振体構造26の1つ又はそれ以上は、標的物質に結合するために表面上に特異性結合物質を含む感知共振体として説明できる。共振体構造26の1つ又はそれ以上は、基準共振体(reference resonator)として説明できる。基準共振体構造は、表面上に非特異性結合物質を含むことができる。非特異性結合物質は、特異性結合物質(例えば抗体)と同様とすることができるが、サンプル液の中に見つかりそうもない非標的物質に結合できる。非特異性結合物質は、標的物質の粒度と同様の非特異性結合物質に結合する非標的物質の粒度に基づいて選択できる。基準共振体構造は、サンプル液中のどのような物質とも結合しないシランなどの非機能化結合物質を含むことができる。
【0025】
ダイ12は、遠隔基準共振体構造27を含むことができる。遠隔基準共振体構造27は、サンプル液とは異なるタイプの流体に音響的に結合できる。例えば、遠隔基準共振体構造27は、音響的に空気に結合できる。
【0026】
微小流体流路14の壁は、任意に1つ又は複数の接着性表面を含む(例えば、接着テープ)薄いポリマー材及び/又はラミネート材のレーザーカット「ステンシル」層などの任意の適切な材料で形成できる。任意に、このような壁は自己集合単層(SAM)機能化物質及び/又はブロッキング層の析出前に形成できる。壁は、SU-8ネガティブエポキシレジスト又はフォトレジスト物質で作ることができる。特定の実施形態において、カバー又はキャップ層は、少なくとも1つの流体流路の上境界線並びに側境界線の一部分を形成するために1つ又は複数の壁と一体的に形成でき(例えば、型成形又はその他の適切な工程によって)、少なくとも1つの流体流路を囲繞するために、一体的に形成された部分的カバー及び壁構造を当てることができる(例えば、付着又は又は接着して)。
【0027】
流路14は、近位端部分(例えば、上流ポート160)から遠位端部分(例えば、下流ポート162)までの長さを延びることができる。概して、サンプル流体は、上流ポート160において流路14に進入し、下流ポート162において流路から離れることができる。但し、流体の流れは、調節できる。例えば引き留めたり、場合によっては逆転さえできる。ダイ12が感知プラットフォーム150(図1)に結合されたとき、上流ポート160はサンプルポート142(図1)と流体連絡し、下流ポート162は廃棄室148(図1)と流体連絡する。流路14は、平面に対して平行に延びるか又は平面として説明できる。流路14は、U字形を持つことができる。
【0028】
図3A及び3Bは、バルク音波(BAW)センサ200の一部分を示し、センサは、基質202上に配置された共振構造201又は共振体構造を含む。図3Aは、線3-3(図2)に沿って見た断面図である。例示のために、層のいくつかの部分は図3Bにおいて除外されている。
【0029】
図示する実施形態において、センサ200の共振構造201は、音響ミラー層204(例えば、音響反射体)と、ミラー層204上に配置された第1電極208(例えば、下部電極)と、第1電極208上に配置された圧電層210と、圧電層上に配置された第2電極212(例えば、上部電極)と、第2電極上に配置された絶縁層214と、を含む。圧電層210は、せん断波モード又は縦断波モードで作動できる圧電変換器で形成できる。
【0030】
いくつかの実施形態において、基質202は、センサ200の共振特性に影響を与えないので、共振構造201の一部と見なさなくてよい。但し、いくつかの他の実施形態において、基質202は、共振構造201の一部と見なすことができる。
【0031】
基質202は、第1電極208の反対側に音響ミラー層204に隣接して配置できる。基質202は、その上に層を配置できる任意の適切な物質で形成できる。いくつかの実施形態において、基質202は、半導体で形成される。例えば、基質202は、シリコン(Si)、窒化ケイ素(Si34)、又はヒ化ガリウム(GaAs)などその他の半導体ウェハー材料で形成できる。いくつかの実施形態において、基質202は、非半導体で形成される。例えば、基質202は、アルミナ又はサファイアで形成できる。
【0032】
ベース共振体203は、第1電極208と、圧電層210と、第2電極212と、を含む。音響ミラー層204は、ベース共振体203に隣接するものとして説明できる。
【0033】
共振構造201は、設定波長のほぼ半分又は1/2波長に等しいベース共振体厚み205を形成できる。ベース共振体203は、電極208、212及び圧電層210によって形成できる。ベース共振体厚み205は、第2電極212の上面と第1電極208の底面との間の距離、言い換えると電極208、212のもっとも離れた面の間の距離に等しい。
【0034】
音響ミラー層204は、音波を反射し、それによって基質202におけるその散逸を減少又は回避するのに役立つ。音響ミラー層204は、異なる材料の交互の層を含むことができる。音響ミラー層204は、交互に並んで音響ミラーを形成する第1層220と第2層222とを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1及び第2層220、222は、異なる音響インピーダンス値を持つ材料の相互の薄層であり、基質202の上に析出された1/4波ブラッグミラーとして体現される。層220、222の材料の非限定的例は、オキシ炭化ケイ素(SiOC)、窒化ケイ素(Si34)、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化アルミニウム(AlN)、タングステン(W)及びモリブデン(Mo)を含む。例えば、第1層220は、窒化アルミニウム(AlN)で形成でき、第2層は、タングステンで形成できる。いくつかの実施形態において、他のタイプの音響反射体を使用できる。図には例示のために特定の数の層220、222を示すが、任意の適切な数の層を、共振体構造201を形成する際に使用できる。
【0035】
センサ200は、微小流体流路14(図1)の少なくとも一部分を形成する面を持つことができる。例えば、絶縁層214の表面216は、流路14の少なくとも一部分を形成できる。
【0036】
センサ200の共振構造201は、任意の適切な方法を使用して形成できる。いくつかの実施形態において、共振構造201は、ナノメートル~数ナノメートルの厚みの層を形成できるようにする薄膜析出などの薄膜法を使用して形成される。
【0037】
1つの薄膜法において、基質202を提供できる。音響ミラー層204は、基質202上に析出できる。第1電極208は、音響ミラー層204上に析出できる。更に、圧電層210は、第1電極208上で成長できる(例えば、スパッタリング又はその他の適切な方法によって)。第2電極212は、圧電層210上に析出できる。音波センサを形成するためにのいくつかの方法が、2017年10月12日に公開された米国特許出願公開2017/0294892号(全体が参照により本明細書に援用される)において開示される。
【0038】
特定の実施形態において、圧電層210は、基質202の面の法線に対して非平行が優勢である(法線に対して非直交とすることもできる)配向分布を有するc軸線を含む六角結晶構造圧電材料(例えば、AlN又はZnO)を有する。適切な条件の下で、基質の面の法線に対して非平行が優勢である配向分布を有するc軸線の存在は、遠位電極と近位電極を横切る交流信号を与えたときせん断応答が優勢であるように(例えば、感知機能を与えるBAW共振構造において好ましいように)BAW共振構造を構成できるようにする。基質の面の法線に対して非平行が優勢である配向分布を有するc軸線を含む六角結晶構造圧電材料を形成するためのいくつかの方法は、2016年10月13日提出の米国特許出願第15/293063号(その全体が、参照により本明細書に援用される)において開示される。傾斜c軸線配向を有する圧電材料を形成するための付加的な方法は、1987年2月3日に発行された米国特許第4640756号(参照により、その全体が本明細書に援用される)において開示される。
【0039】
共振構造201の第2電極212の上に、密封層、境界層、自己集合単層(SAM)及び/又は機能化物質層(特異性結合物質又は非特異性結合物質を含むことができる)の1つ又はそれ以上など様々な層を置くことができる。いくつかの実施形態において、第2電極212の上に、絶縁層214が置かれる。
【0040】
共振構造201の第2電極212上に絶縁層214を配置するために任意の適切な方法を使用できる。典型的に、絶縁層214を析出するために原子層析出(ALD)を使用でき、他の技法と比べて優れた厚さ制御及び等角被覆(conformal coverage)を提供できる。ALDを使用することにより、より薄い層を使用でき、過剰な負荷無しに共振構造201の性能を改良できる。過剰な負荷の心配がない場合、絶縁層214は、従来のプラズマ支援化学蒸着(PCVD)又は物理蒸着(PVD)を使用して析出できる。
【0041】
絶縁層214は、共振構造201の残り部分を微小流体流路14(図1)内の流体から電気的に絶縁できる。例えば、絶縁層214は、流路14と第2電極212との間に配置できる。
【0042】
絶縁層214は、酸素含有層、カップリング層、機能化層又はこれらの任意の組合せとしても説明できる。特に、絶縁層214は、その表面216に機能化物質を配置できる。絶縁層214は、流体サンプルの中に存在する1つ又は複数の検体と結合するように機能化できる。
【0043】
図4は、別のセンサ100の1例を示す。図示するように、センサ100は、第1共振体構造102と、第2共振体構造112とを含む。いくつかの実施形態において、第1共振体構造102と第2共振体構造112は、実質的に同じとすることができ、いくつかの実施形態において、1つ又は複数の形態において異なることができる。第1共振体構造102及び第2共振体構造112の各々は、それぞれ第1面105及び115と、それぞれこれに対向する第2面107及び117とを有する。第1共振体構造102及び第2共振体構造112は、離間して配置できる。この距離は図5においてdとして示される。いくつかの実施形態において、第1共振体構造102と第2共振体構造112は、少なくとも1マイクロメートル(μm)離間(d)でき、いくつかの実施形態において、少なくとも45μm離間(d)できる。いくつかの実施形態において、第1共振体構造102と第2共振体構造112は、100μm以下離間(d)でき、いくつかの実施形態において、75μm以下離間(d)できる。いくつかの実施形態において、2つの共振体構造の間の間隔は一定である必要はなく、2つの共振体構造の間の間隔は、他の2つの共振体構造又はその任意の組合せの間の間隔と同じである必要はない。
【0044】
例えば共振体構造の各々、少なくとも第1共振体構造102及び第2共振体構造112は、下部電極104及び114と、圧電層106及び116と、上部電極108及び118と、を含むことができる。圧電層106及び116は、下部電極104及び114と上部電極108及び118との間に位置付けられる。図4には示さない付加的層を、上記の層の間、上、下又はそのいくつかの組合せに配置できる。
【0045】
共振構造102及び112の下部電極104及び114を単一層の部分にできることが分かるはずである。同じことが圧電層106及び116及び上部電極108及び118にも言える。これは、少なくとも2つの共振体構造の下部電極(又は下部電極、上部電極及び圧電電極のうち1つ又は2つ)が共有される下部電極(又はその他の組合せ)を持つことができるか、又は下部電極(又はその他の組合せ)が別個であるが単一材料層から形成できることを示唆する。第1共振体構造102及び第2共振体構造112が単一材料層から形成される少なくとも2つの特定の構造(下部電極、圧電層又は上部電極)を含む実施形態において、別個の特定の構造を形成する材料層は、センサを収容するより大きな機器全体(このような大きな構成体が存在する場合)を横切って存在する必要はない。例えば、センサは、材料の単一層から形成される下部電極104及び114と、材料の単一層から形成される圧電層106及び116とを含むことができる。下部電極と圧電層を形成する層は、それぞれ完全に合同である必要はない。例えば、圧電材料の一部は、センサを横切って様々な場所で除去できる。又、第1及び第2共振体構造102及び112など開示される共振体構造は、下部電極材料と上部電極材料が圧電材料を間に挟んで重なる場所でのみ形成されることが分かるはずである。いくつかの実施形態において、下部電極104及び114、圧電層106及び116、及び上部電極108及び118は、全て、それぞれ下部電極材料、圧電材料及び上部電極材料の単一析出層から形成できる。いくつかの実施形態において、複数の共振体構造のための複数の下部電極、上部電極、圧電層又はその任意の組合せは、完全独立形成の独立共振体構造とすることができるが、材料の単一層から形成された可能性がある。下部電極、圧電層及び上部電極の各々又はいずれも、相互に異なる形状を持てることが分かるはずである。
【0046】
第1及び第2共振体構造102及び112は、様々な材料で作ることができる。いくつかの実施形態において、下部電極104と114は、同じ材料で作ることができる。下部電極104及び114の材料の例は、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、タングステン(W)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)及びタンタル(Ta)を含むことができる。いくつかの実施形態において、下部電極104及び114は、両方ともアルミニウムを含むことができる。いくつかの実施形態において、上部電極108と118は、同じ材料で作ることができる。上部電極108及び118の材料の例は、例えば、Au、Al、W、Cu、Mo及びTaを含むことができる。いくつかの実施形態において、上部電極108及び118は、両方とも金を含むことができる。いくつかの実施形態において、圧電層106と116は同じ材料で作ることができる。圧電層106及び116の材料の例は、例えば窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(Zn)及びジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を含むことができる。いくつかの実施形態において、圧電層106及び116は、両方とも窒化アルミニウムを含むことができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、少なくとも第1及び第2共振体構造102及び112は、実質的に同じ形状を持つものと説明できる。いくつかの実施形態において、第1及び第2共振体構造は、各々半円形状を持つものとして説明できる。図5は、両方とも実質的に半円形状を持つ第1共振体構造102及び第2共振体構造112を含むセンサの例の上下図を示す。センサ100は、実質的に円形の共振体構成を持つものとして説明でき、2つの半円形の共振体構造102及び112が実質的に円形の共振体構成を形成するように構成される。センサ100は、分子認識成分層122(下で論じる)又は機能化物質層が実質的に円形状を持つので実質的に円形センサ形状を持つものとして説明できる。
【0048】
いくつかの実施形態において、第1及び第2共振体構造102及び112の各々の実質的に半円形状は、実質的に円形の材料層を共有する上部電極層108及び118と、両方が独立して実質的に半円形で別個の下部電極層108及び118(例えば、円の直径を挟んでギャップ(幅d)を持つ下部電極材料の円)と、によって形成できる。上部電極、圧電層、下部電極又はその任意の組合せの材料層は、パターン化して、例えば半円形、円形、正方形、長方形又はその他の形状を含めて所望の任意の形状を、例えばリトグラフ法を含む既知の方法を使用して提供できる。
【0049】
いくつかの実施形態において、少なくとも第1共振体構造102及び第2共振体構造112(及び、存在する場合には付加的共振体構造)は、相互に直列に電気的に接続できる。2つ又はそれ以上の共振体構造の電気接続は、添付図面には示さない。当業者は、明細書を読めば、どのように第1共振体102と第2共振体112を直列に接続するかが分かるだろう。少なくとも第1共振体102と第2共振体112の直列接続は、概略的に、2つの共振体から受信した信号を単一の共振体から受信したかのようにする。
【0050】
いくつかの実施形態において、センサは、酸素含有層も含むことができる。図4に示すセンサ100は、第1及び第2共振体構造102及び112の第2面107及び117上に位置付けられた酸素含有層132を含む。いくつかの実施形態において、酸素含有層132は、実質的にセンサ全体を横切って存在できる。
【0051】
酸素含有層は、酸素原子、酸素原子を含む化合物又はその両方を含むことができる。いくつかの実施形態において、酸素含有層は、酸化物層又は具体的には金属酸化物層とすることができ、任意の金属酸化物又は半金属酸化物を含むことができる。いくつかの実施形態において、酸化物層は、TiO2、SiO2、Al23、又はZnOを含むことができる。いくつかの実施形態において、酸化物層は、TiO2を含むことができる。酸化物層は、酸素原子を含むものとして説明できる。酸素原子は、その上に析出された層の材料を化学的に接着又は結合するように機能できる。
【0052】
酸素含有層は、様々な方法を使用して析出できる。いくつかの実施形態において、酸素含有層は、原子層堆積(ALD)を使用して析出できる。ALDは、比較的薄く、比較的均等な、比較的密な又はその組合せの酸化物層を提供できる。ALDは、材料の膜を層状に構成するので、繰返し均等の非常に薄い膜を生産できる自己限定的工程として説明できる。
【0053】
センサは、カップリング層も含むことができる。図4に開示するセンサ100は、カップリング層130を含む。カップリング層130は、概略的に酸素含有層132の上に位置付けられるものとして説明できる。いくつかの実施形態において、カップリング層は、実質的にセンサ100全体を横切って存在できる。いくつかの実施形態において、カップリング層は、カップリング層を構成する化合物の単一層として説明できる。いくつかの実施形態において、カップリング層130は、少なくとも10Å(オングストローム)又は少なくとも20Åの厚みを持つことができる。いくつかの実施形態において、カップリング層130は、100Å以下の又は50Å以下の厚みを持つことができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、カップリング層130は、より具体的にはシラン層として又はシラン含有化合物を含むものとして説明できる。シラン層は、より具体的には、シランカップリング剤で構成されるものとして説明できる。シランカップリング剤は、同じ分子の中に無機反応性と有機反応性の両方を含むシリコン系化学物質である。一般的構造は、(RO)3SiCH2CH2CH2-Xとして説明できる。ROは、無機反応基又は加水分解基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、アセトキ基、チオール又はアルデヒド)を表し、Xは有機反応基を含有する基(例えば、アミノ、メタクリロキシ又はエポキシ)を表し、Xはまた付加的炭素(-(CH2n)も含むことができ、官能基を含んでも含まなくてもよい。センサ100において、シランカップリング層130は、酸化物層132を分子認識成分層122に結合する役割を果たすことができる。
【0055】
シランカップリング層130を形成するために利用できる材料の例は、例えば、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-グリシジロキシプロピル)トリメトキシシラン、(3-グリシジロキシプロピル)トリエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、トリメトキシ[2-(7-オクサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-基)エチル]シラン、トリエトキシ「2-(7-オクサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-基)エチル」シラン、トリメトキシシリルアルキルアルデヒド、及びトリエトキシリルアルキルアルデヒドを含むことができる。いくつかの実施形態において、シラン層130は、例えば(3-グリシジロキシプロピル)トリエトキシシランで形成できる。
【0056】
センサは、分子認識成分層を含むことができる。図4のセンサ100は、分子認識成分層122を含む。分子認識成分層122は、概略的に少なくとも第1及び第2共振体構造に隣接して位置付けられるものとして説明でき、より具体的には、カップリング層130を覆って位置付けられるものとして説明できる。いくつかの実施形態において、分子認識成分層122は、実質的にセンサ全体100を横切って存在できる。いくつかの実施形態において、分子認識成分層122は、少なくとも5Å又は少なくとも50Åの厚みを持つことができる。いくつかの実施形態において、分子認識成分層122は、2000Å以下又は250Å以下の厚みを持つことができる。
【0057】
分子認識成分層122は、対象検体を分析できるように対象検体と相互作用できる任意の物質を含むことができる。分子認識成分は、選択的に対象検体に結合する任意の成分を含むことができる。例として、分子認識成分は、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、PNA及びLNA分子などの核酸類似体、タンパク質、ペプチド、IgA、IgG、IgM、IgEを含む抗体、レクチン、酵素、酵素共同因子、酵素基質、酵素抑制物質、受容体、リガンド、キナーゼ、プロテインA、ポリU、ポリA、ポリリジン、トリアジン染料、ホウ酸、チオール、ヘパリン、デンプン、クーマシーブルー、azureA,金属結合ペプチド、シュガー、炭水化物、キレート剤、原核細胞及び真核細胞、から成るグループから選択できる。いくつかの実施形態において、抗体は、分子認識成分として利用でき、このような実施形態において、分子認識成分層122の厚みは、100Å以上として、又はいくつかの実施形態において150Å以上として説明できる。
【0058】
分子認識成分層122は、既知の技法を使用してカップリング層130の上に形成(又はより具体的にはこれに結合)できる。分子認識成分層における1つ又は複数の個別の元素又は化学基(2つ又はそれ以上の元素を含有する)成分は、各々、カップリング層130の中の例えばシラン又は複数のシランに化学的に接着できる。この結合に影響する条件および工程ステップは、本明細書を読む当業者には既知であろう。分子認識成分は、カップリング層自体とは別の付加的カップリング剤又は成分を介してカップリング層に結合できることが分かるはずである。いくつかの実施形態において、抗体は、分子認識成分として利用でき、エポキシシラン含有カップリング層に結合できる。
【0059】
いくつかの実施形態において、分子認識成分層122は、実質的に円形とすることができる。分子認識成分層122は、概略的に、少なくとも第1及び第2共振体構造102及び112の両方を被覆するものとして説明できる。分子認識成分層122の形状は、部分的にセンサ100の形状を画定できる(上述の共振体構成と組み合わせて又はこれを考慮して)。いくつかの実施形態において、分子認識層は、第1及び第2共振体構造の領域の上に在る面全体を少なくとも被覆するように設計された形状を持つことができる。いくつかの実施形態において、分子認識成分層は、少なくとも第1及び第2共振体構造の領域の上に在る面全体以上を被覆する形状を持つことができる。いくつかの実施形態において、分子認識成分層の実質的に円形の形状は、少なくとも部分的に層を形成する工程によることができる。この工程の詳細を下で説明する。
【0060】
上述のように、第1及び第2共振体構造102及び112は、任意に、図4に示さない層を含むことができる。例えば、2つの層の間の接着を促進するように設計された層、構造、層又は材料を保護するように設計された層、他の機能を提供するように設計された層又はこれらの組合せを、任意に、第1及び第2共振体構造に含めることができる。
【0061】
任意の付加的層の具体的な例として、例えば接着層を含むことができる。例えば、接着層は、圧電層106及び116の表面上に形成できる。いくつかの実施形態において、接着層は(含まれる場合には)、上部電極材料と圧電層との間の接着を改良する役割を果たせる。いくつかの実施形態において、接着層は(含まれる場合には)、上部電極層の材料、圧電層の材料又は両方に適合する(compatible)材料を含むことができる。接着剤に使用できる具体的な材料の例は、例えばチタン(Ti)又はクロム(Cr)を含むことができる。上部電極が金であるいくつかの実施形態において、任意の接着層は、例えばTi又はCrを含むことができる。いくつかの実施形態において、接着層は(含まれる場合には)、少なくとも100Å、少なくとも200Å又は少なくとも250Åの厚みを持つことができる。いくつかの実施形態において、接着層は(含まれる場合には)、500Å以下、400Å以下又は350Å以下の厚みを持つことができる。いくつかの実施形態において、接着層は(含まれる場合には)、約300Åの厚みを持つことができる。
【0062】
センサの例は、上では論じない任意の成分を含むこともできる。例えば、いくつかの実施形態において、センサは、ブラッグ反射体スタック(例えば、図3A~3Bの音響ミラー層204)を含むことができる。いくつかの実施形態において、ブラッグ反射体スタックは(含まれる場合には)、少なくとも第1及び第2共振体構造の両方の下部電極104及び114の下方に配置できる。開示するセンサにおいて利用されるような隣接構成を有する第1及び第2共振体構造は、上にこれらが形成される基質を介して結合されてしまう可能性がある。このような結合は、好ましくないと見なされる可能性がある。任意のブラッグ反射体スタックの利用は、このような結合を低減する役割を果たすことができる。ブラック反射体スタックによりこの結合を減少することは有利かも知れないが、ブラッグ反射体スタックは寄生共振を生成する可能性がある。第1及び第2共振体構造を直列に接続することは、寄生共振の可能性を消滅又は防止できる。直列に接続された第1及び第2共振体構造の電気及び質量負荷効果は、単一共振体-マイナス-ブラッグ反響体スタック誘発寄生共振と同程度に良い(いくつかの実施形態によってはこれより良い)可能性がある。
【0063】
図6及び7は、保持構造306、356を有するセンサ300、350の2つの形を示す。センサ300、350は、例えば図2のダイ12において使用できる。図示する実施形態において、各センサ300、350は、標的面304と少なくとも部分的に標的面304の周りに延びる保持構造306、356とを形成する基質302を含む。いくつかの実施形態において、保持構造306、356は、それぞれの標的面304の周り全体に延びる。
【0064】
機能化物質の液滴330(例えば抗体溶液の液滴)は、標的面304上にプリントできる。機能化物質又は抗体は、シランに反応し、これに結合して、更にサンプルの中の対象検体又は抗原との結合を強化できる。いくつかの実施形態において、液滴330は、標的面304上に配置された共振体構造308を完全被覆(例えば、100%)できるようにプリントできる。機能化物質の液滴330が、少なくとも部分的に保持構造306、356によって取り囲まれた標的面304上に(例えば、保持構造306、356内部の標的エリアにおいて)配置されたとき、液滴330は、標的面304上に保持される。言い換えると、保持構造306、356が在るので、液滴330が、標的面304から簡単に移動すること又は標的面304上に配置された1つ又は複数の共振構造308から離れて移動することを防止できる。液滴330は、標的面304の中心から外れて配置された場合でも「自動整列」できる。
【0065】
標的面304は、標的面304に対して直交する軸線360を画定できる。保持構造306、356は、各々軸線360の方向(図示するように、垂直に上向き又は下向きに)に延びる高さ322を持つことができる。保持構造306、356は、各々、軸線360に対してに直交する方向に(例えば、図示するように水平に左又は右に)延びる幅324を持つことができる。
【0066】
1つ又は複数の共振構造体308を標的面304上に配置できる。図示するように、2つの共振体構造308は標的面304上に配置される。共振体構造308は、1つ又は複数の形態において、図3A~3Bの共振体構造201又は図4~5の共振体構造102、112と同じか又はこれと同様とすることができる。各共振構造308は、圧電層を含むことができる。
【0067】
絶縁層362は、各共振構造308上に配置できる。各絶縁層362は、図4~5の分子認識層122などの機能化物質に結合するように構成できる。絶縁層362は、例えば1つ又は複数の形態において図3A~3Bの絶縁層214又は図4のカップリング層130と同じ又はこれと同様とすることができる。
【0068】
保持構造306、356の1つ又はそれ以上は、基質302の中へ又は基質302から延びることができる。図6に示すように、保持構造306は、基質302の中まで延びる高さ322を持つ流路を含む。流路は、エッチングなど当業者が利用できる任意の適切な方法によって形成できる。図7に示すように、保持構造356は、基質302から延びる高さ322を持つ突出部又は壁を含む。言い換えると、保持構造356は、基質302の標的面304から突出する。突出部は、蒸着又はフォトレジストエッチングなど当業者が利用できる任意の適切な方法によって形成できる。
【0069】
保持構造306、356の高さ322、幅324又は高さ及び幅の両方は、標的面304上に置かれる機能化物質の液滴330の設定されたサイズに基づく及び/又は標的面304自体のサイズに基づくサイズを持つことができる。いくつかの実施形態において、保持構造306、356の高さ322は、少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.25、0.5、0.75、1、2、5、10、20又は30μmとすることができる。いくつかの実施形態において、保持構造306、356の高さ322は、多くとも0.01、0.05、0.1、0.25、0.5、0.75、1、2、5、10、20又は30μmとすることができる。
【0070】
保持構造306、356の高さ322は、これが形成される方法に基づく。いくつかの実施形態において、エッチングによって形成される保持構造306は、少なくとも又は多くとも0.05、0.1、0.25、0.5、0.75、1又は2μmとすることができる。いくつかの実施形態において、フォトレジストで壁に形成される保持構造356は、少なくとも又は多くとも約0.05、0.1、0.25、0.5、0.75、1、2、5、10、20又は30μmとすることができる。1つの実施例において、TMMF(商標)は、約20μmの高さ322で形成できる。別の実施例において、ポリイミドは約0.5~10μmの高さ322で形成できる。いくつかの実施形態において、疎水性材料で壁に形成される保持構造356は、少なくとも又は多くとも約0.01、0.05、0.1、0.25、0.5、0.75、1、2、又は5μmとすることができる。
【0071】
壁を形成するために疎水性材料を使用することによって、保持構造356が他のタイプの材料より小さい高さを持つことができるようにし、それによって壁付近の流体の流れを妨害することからの分散効果を減少できる。しかし、疎水性材料は、既存の製造法を使用する他のタイプの材料(例えば、TMMF(商標)などのフォトレジスト)より処理が難しい可能性がある。
【0072】
いくつかの実施形態において、保持構造306、356の幅324は、少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、10、15、20又は30μmとすることができる。いくつかの実施形態において、保持構造306、356の幅324は、多くとも約0.5、1、2、3、4、5、10、15、20又は30μmとすることができる。高さ322と幅324との間のアスペクト比は、約1対1(例えば、高さと幅がほぼ等しい)とすることができる。いくつかの実施形態において、幅324は高さ322より大きい又はその逆とすることができる。
【0073】
機能化物質の液滴330は、液体物質のスポットとして又はビードとして図示される。保持構造306、356は、実質的に標的面304上に液滴を保持するために様々な技法を利用できる。
【0074】
1つの実施例において、機能化物質の液滴330は表面張力を持ち、基質302の標的面304との間に接触角度を成す。接触角度は、標的面304に対して画定される。流路を含む保持構造306は、標的面304の外へこぼれる又は流出することなく液滴の接触角度をほぼ逆転(例えば、約180度に達する)できるようにする。保持構造306によって許容される液滴330の接触角度の非限定的例は、少なくとも約60、90、120、150又は180度並びにこれらの任意の角度の間の適切な角度を含む。
【0075】
別の例において、突出部(例えば、垂直に上向きの)を含む保持構造356は、機能化物質の液滴330を保持する容器のように作用できる。標的面304は、少なくとも部分的にこのような容器の底部を形成でき、保持構造356は、少なくとも部分的にこのような容器の側壁を形成できる。保持構造356は、任意の適切な材料で形成できる。保持構造356の材料の非限定的例は、SU-8(例えば、オレゴン州ヒルズボロのTokyo Ohka Kogyo Americaが市販するTMMF(商標)S2000)、ポリイミド及びその他のフォトレジスト材のドライフィルムなどのドライフィルムを含む。
【0076】
それに加えて又はその代わりに、保持構造356は、疎水性材料を含むか又は疎水性材料で形成できる。機能化物質の液滴330は、水分子などの極性分子を含むことができる。液滴が疎水性材料で作られた保持構造356に接近するとき、反発力が液滴330に作用できる。疎水材料の非限定的な例は、パラフィンワックス、化学的蒸着(CVD)TEFLON(商標)、スピンオンTEFLON(商標)(例えば、デラウェア州ウィルミントンのChemoursが市販するTEFLON(商標)AF)及びフッ化ポリイミド又はフォトレジストを含むことができる。疎水性材料は、保持構造356に関連付けられる拡散効果を補正するために使用できる。
【0077】
保持構造306、356は、標的面304上に液滴330を保持する任意の適切な形状とすることができる。例えば、図示するように、保持構造306は、台形断面を持つリング形であり、保持構造356は、長方形断面を持つリング形である。いくつかの実施形態において、液滴330は、液滴330のサイズに応じて、保持構造306、356の内径又は外径において保持できる。
【0078】
いくつかの実施形態において、保持構造306、356は、標的面304から延びる側壁面320を含む、又は側壁面を形成する。側壁面320は、標的面304に対して所定の角度364を形成する。角度364は、その長さ全体に沿って(例えば上から下まで)側壁面320の平均傾斜に基づいて計測できる。角度364の非限定的例は、プラス又はマイナス方向に(+/-)約45、60、75及び90度並びにこれらの角度の間の任意の範囲を含む。言い換えれば、例えば、角度364は、約45、60、75又は90度の絶対値を持つことができる。例えば、1つ又は複数の実施形態において、角度364は、少なくとも60度の絶対値を持つ。1つ又は複数の実施形態において、角度364は、約90度の絶対値を持つ。角度は、保持構造308を形成するために使用される製造工程のために変化する可能性がある。
【0079】
標的面304の一部分310は、共振構造308と保持構造306、356との間に形成できる。いくつかの実施形態において、部分310は、液滴が標的面304の外へこぼれない又は流出しないように、液滴330によって共振体構造308を完全に被覆するのに充分な幅を有する。部分310の幅の非限定的例は、約5、10、15、20及び25μm並びにこれらの任意の数値の間の任意の適切な範囲を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、部分は、少なくとも約5μmに等しい幅を有する。いくつかの実施形態において、部分は、多くとも約25μmに等しい幅を有する。
【0080】
図8は、保持構造を持つセンサを少なくとも部分的に形成するための方法400の1例を示す。基質は、402において与えられる。基質は、窒化ケイ素(Si34)又は(AlN)などの任意の適切な材料を含むことができる。共振体構造は、基質404上に形成できる。特に、共振体構造は、基質の標的面上(例えば、標的エリア内)形成できる。共振体構造は、絶縁層を含むことができ、絶縁層はカップリング層を含むことができる。
【0081】
保持構造は、基質406上に形成できる。プラズマ励起化学蒸着(PECVD)Si34のエッチング又はAlNのBCL3エッチングなど、任意の適切な技法を使用できる。保持構造は、例えば、共振体構造の上面より低い共振体構造の周りの「要塞型」構造又はリングとすることができる。保持構造の側壁は、標的面に対して90度(例えば垂直)とすることができる。いくつかの実施形態において、保持構造の側壁は、AlNにエッチングされた60度側壁など非垂直である。
【0082】
図示する実施形態においては、保持構造を形成する406前に共振体構造を形成する404が、これらの工程は同時に又はどのような順番でも順次実施できる。例えば、保持構造は、共振体構造の形成中に特に共振体構造の上部電極が形成される前に、形成できる。
【0083】
液滴は、標的面上に配置できる408。特に、機能化物質の液滴は、共振体構造が形成された404後でかつ保持構造が形成された406後に、共振体構造を被覆するように標的面上に配置できる。
【0084】
液滴は、特に、共振体構造のサイズに合わせたサイズとすることができる。例えば、バイオセンサとして使用される350μmの円形BWA共振体の場合、対象抗原に固有のセンサを作るために、約12ナノリットル(nl)の抗体溶液をBAW面にプリントできる。センサの表面は、共振体の上の酸化物面のシラン化によって約60度の接触角度を持つことができる。
【0085】
保持構造は、液滴を共振体構造上に維持する力を与え、適切な量が供給されれば、液滴は、共振体面に自動整列する。保持構造を使用することによって、液滴を配置又はプリントする際、整列許容範囲を与えることができる。更に、保持構造を使用することによって、あふれに必要な接触角度逆転による実質的ボリューム許容範囲を与える。
【0086】
表1は、Si34へのエッチングの3つの異なる深さ(第1行)のサイズ12nl及び21nl(第1列)の液滴の自動整列収量を示している。概ね、高い収量の方が好ましい。
【表1】
【0087】
表1に示す結果に関係する器具、カートリッジ及び機器は、2016年3月31日に公開された「Two Part Assembly(二部式組立体)」と題する米国特許出願公開第2016/0091506号A1(その全体が参照により本明細書に援用される)において説明される。本明細書における教示は、サンプルが導入されるその他の任意の適切な微小流体機器に応用できる。
【0088】
保持構造は、予定される液滴のサイズに応じて特にサイズを定めることができる。1つの実施形態において、保持構造は、TMMF(商標)で作られ、直径20μmを持つ。別の実施形態において、保持構造は、ポリイミドで作ることができ、直径1μmを持つことができる。いくつかの実施形態において、保持構造は、ポリイミドで作られ、直径2μmを持つことができる。
【0089】
図8の方法400などセンサを形成するための様々な製造形態を実行するためにシステムまたはコントローラを使用できる。この種のシステム又はコントローラは、様々な製造形態を物理的に実行できるアクチュエータ又はその他の機械的要素を含むか又はこれに作動上結合できる。この種のシステム又はコントローラは、中央処理ユニット(CPU)などのプロセッサ、コンピュータ、ロジックアレイ又はシステム又はコントローラへ又はこれからのデータを方向付けることができるその他の機器を含むことができる。コントローラは、メモリ、処理及び通信ハードウェアを有する1つ又は複数のコンピュータ計算機器を含むことができる。コントローラは、コントローラの各種構成要素を一緒に又はコントローラに作動可能に結合された他の構成要素と結合するために使用される回路を含むことができる。コントローラの機能は、ハードウェアによって及び/又は非一時的コンピュータ可読記憶媒体上のコンピュータ命令として実施できる。
【0090】
コントローラのプロセッサは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)及び/又は同等の離散又は集積論理回路の任意の1つ又はそれ以上を含むことができる。いくつかの実施例において、プロセッサは、1つ又は複数のマイクロプロセッサ、1つ又は複数のコントローラ、1つ又は複数のDSP、1つ又は複数のASIC及び/又は1つ又は複数のFPGA並びにその他の離散又は集積論理回路の任意の組合せなど複数の構成要素を含むことができる。コントローラ又はプロセッサに帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア又はそれらの任意の組合せとして体現できる。本明細書においてプロセッサベースのシステムとして説明するが、別のコントローラは、所望の結果を得るためにリレイ及びタイマーなどの他の構成要素を単独で又はマクロプロセッサベースのシステムと組み合わせで、利用できる。
【0091】
1つ又は複数の実施形態において、代表的システム、方法及びインターフェイスは、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はメモリを含むコンピュータ計算装置を使用して1つ又は複数のコンピュータプログラムを使用して実現できる。本明細書において説明するプログラムコード及び/又はロジックは、本明細書において説明する機能性を果たすために、データ/情報を入力して所望の出力データ/情報を生成するために応用できる。出力データ/情報は、本明細書において説明する又は既知のように応用される1つ又は複数の他の機器及び/又は方法への入力として応用できる。上記のことを考慮すると、本明細書において説明するコントローラの機能性は、当業者には既知のように実現できる。
【0092】
液滴保持構造を持つセンサの様々な実施形態が開示される。本明細書において本開示の一部を形成する添付図面を参照するが、少なくとも当業者は、本明細書において説明する実施形態の様々な変更及び修正が本開示の範囲内にある又はこれから逸脱しないことが分かるはずである。例えば、本明細書において説明する実施形態の形態は、多様に相互に組合せできる。したがって、特許請求の範囲内で、請求される発明は、本明細書において明確に説明する以外の様式で実現できる。
【0093】
ブロック図の各ブロック及びブロックの組合せは、図示する機能を果たすための手段によって実現できることが分かるはずである。
【0094】
本明細書において引用する参考文献および出版物は、本開示に矛盾しない範囲で全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。
【0095】
本明細書において使用する全ての科学的及び技術的用語は、特に明示しない限り技術上一般に使用される意味を有する。本明細書において与えられる定義は、本明細書においてしばしば使用される特定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0096】
特に指示しない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用する特徴サイズ、量及び物理的特性を表す全ての数は、「丁度」又は「約」によって修正されるものと理解できる。したがって、逆のことが指示されない限り、以上の明細書及び請求項において示される数値パラメータは、本明細書に開示する教示を利用する当業者が得ようとする所望の特性に応じて又は例えば実験エラーの典型的な範囲内で、変動可能な概数である。
【0097】
端点による数値範囲の引用は、その範囲内に含まれる全ての数(例えば1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5)及びこの範囲内の任意の範囲を含む。本明細書において、「~以下」(例えば50以下)は、その数(例えば、50)を含み、「~以上」(例えば5以上)は、その数(例えば、5)を含む。
【0098】
「結合(couple)」又は「接続(connect)」は、要素が直接的に(相互に直接接触して)又は間接的に(2つの要素の間に1つ又は複数の要素がある)相互に取り付けられることを意味する。どちらの用語も、「作動上」及び「作動可能に」(交換可能に使用される)によって、結合又は接続が、構成要素が少なくともある機能を果たすために相互作用できるように構成されることを説明するように修正できる。
【0099】
「上部」、「上向き」、「下部」、「下向き」、「垂直」、「水平」、「側面」及び「端」など向きに関する用語は、構成要素の相対的位置を説明するために使用され、想定される実施形態にの向きを限定するためのものではない。例えば、「上部」及び「下部」を有するものとして説明する実施形態は、内容が特に反対を指示しない限り、様々な方向に回転した実施形態も包含する。
【0100】
「1つの実施形態」、「特定の実施形態」又は「いくつかの実施形態」などと言うとき、その実施形態に関連して説明する特徴、構成、構造又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態の中に含まれることを意味する。したがって、このような語句が本明細書の様々な場所で現れる場合、必ずしも、本開示の同じ実施形態を意味しない。更に、特定の特徴、構成、構造又は特性は、1つ又は複数の実施形態において適切に組み合わせできる。
【0101】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、単数形は、特に内容上明確に指示しない限り、複数形を有する実施形態を包含する。明細書及び特許請求の範囲において使用する場合、「又は」は、内容上明確に指示しない限り、「及び/又は」を含む意味で採用される。
【0102】
本明細書において使用する場合、「有する」、「含む」、「備える」又はこれに類似することは、無制限の意味で使用され、概ね「含む」を意味するがこれに限定されない。「基本的に~から成る」、「~から成る」及びこれに類似することは、「~を備える」及びこれに類似することに含まれる。
【0103】
「及び/又は」は、列記される要素の1つ又は全て又は列記される要素の少なくとも2つの組合せを意味する。
【0104】
あるリストの後に続く「~の少なくとも1つ」、「~の少なくとも1つを備える」及び「~の1つ又はそれ以上」は、リストの中のアイテムの任意の1つ及びリストの中の2つ又はそれ以上のアイテムの任意の組合せを意味する。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8