(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】カートリッジベースの非燃焼加熱式気化器
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20241028BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20241028BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/46
(21)【出願番号】P 2021505365
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(86)【国際出願番号】 US2019044546
(87)【国際公開番号】W WO2020028591
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-29
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523071097
【氏名又は名称】ジュール・ラブズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JUUL Labs, Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 F Street NW, Washington DC, 20004, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アダム ボーウェン
(72)【発明者】
【氏名】リシ ディー. ジョバンプトラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムス モンシース
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ニューボールド
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106858726(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103783674(CN,A)
【文献】特表2015-509709(JP,A)
【文献】国際公開第2018/122389(WO,A1)
【文献】特表2017-529896(JP,A)
【文献】特表2001-507576(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0268911(US,A1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2012-0008751(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化器デバイス用のカートリッジであって、
前記カートリッジは、非液状の気化可能材料を収容するように構成されており、前記カートリッジは、
中央通路と、
前記カートリッジの第1の端部にあり、前記中央通路と流体連通する第1の開口と、
周囲通路と、
前記カートリッジの前記第1の端部にあり、前記周囲通路と流体連通する第2の開口と、
を有し、
前記中央通路と前記周囲通路とは、前記第1の開口と前記第2の開口との間を
、前記カートリッジの前記第1の端部の反対側に位置する第2の端部を通って延びる空気流通路を画定し、
前記非液状の気化可能材料が、前記中央通路および前記周囲通路のうちの1つ以上に配置されており、
前記周囲通路の少なくとも一部を囲む熱伝導性材料をさらに有し、前記熱伝導性材料は、空気が前記周囲通路内を前記周囲通路に沿って流れる間に、前記空気を加熱するように構成されている、
カートリッジ。
【請求項2】
前記周囲通路は、前記中央通路の長さを囲む、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記中央通路は、前記中央通路を画定する中央通路壁によって、前記周囲通路から分離されている、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項4】
空気流が、前記第2の開口を通って前記周囲通路に入り、前記中央通路から前記第1の開口を出る、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記熱伝導性材料の温度の上昇が、前記空気流通路の少なくとも第1の部分の空気流温度を上昇させる、請求項
4記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記空気流通路の前記第1の部分が、前記周囲通路に沿って延び、
前記空気流通路の前記第1の部分が、前記非液状の気化可能材料の加熱の結果として、吸入可能なエアロゾルを生成する、請求項
5記載のカートリッジ。
【請求項7】
気化器デバイス用のカートリッジであって、
前記カートリッジは、非液状の気化可能材料を収容するように構成されており、前記カートリッジは、
第1の通路壁により画定された第1の空気流通路と、
前記カートリッジの第1の端部にあり、前記第1の空気流通路と流体連通する第1の開口と、
第2の通路壁により画定され、
前記カートリッジの前記第1の端部の反対側に位置する第2の端部において前記第1の空気流通路と流体連通し、前記第1の通路壁によって前記第1の空気流通路から分離されている第2の空気流通路と、
前記カートリッジの前記第1の端部にあり、前記第2の空気流通路と流体連通する第2の開口と、
を有し、
前記非液状の気化可能材料が、前記第1の空気流通路および前記第2の空気流通路のうちの1つ以上に配置されており、
前記第2の通路壁が熱伝導性材料で形成されており、前記熱伝導性材料は、空気が前記第2の空気流通路内を前記第2の空気流通路に沿って流れる間に、前記空気を加熱するように構成されている、
カートリッジ。
【請求項8】
前記第1の空気流通路と前記第2の空気流通路とは、前記第1の開口と前記第2の開口との間を延びる空気流通路を画定する、請求項
7記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記第2の空気流通路は、前記第1の空気流通路の長さを囲む、請求項
7記載のカートリッジ。
【請求項10】
空気流が、前記第2の開口を通って前記第2の空気流通路に入り、前記第1の空気流通路から前記第1の開口を出る、請求項
7記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記第2の通路壁の温度の上昇が、前記空気流通路の少なくとも第1の部分の空気流温度を上昇させる、請求項
10記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記空気流通路の前記第1の部分が、前記第2の空気流通路に沿って延びる、請求項
11記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月31日に出願された「カートリッジベースの加熱式タバコ気化器」と題する米国仮特許出願第62/712,919号の優先権を主張するものであって、その開示内容全体は援用により許可される範囲で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載される対象は、吸入可能なエアロゾルを生成するために気化可能材料を加熱するためのシステムを含む、気化器デバイスに関する。
【0003】
背景技術
電子気化器またはe気化器デバイスを含む気化デバイスは、蒸気の吸入によってユーザーに、1つまたは複数の活性成分を含有する蒸気の送達を可能にする。電子気化器デバイスは、固形(例えばルーズリーフ)材料、固形/液状(例えば懸濁液、液体コーティング)材料、ワックス抽出物、およびそのような材料の事前充填ポッド(カートリッジ、巻き付けられた容器など)を含めて処方医療での使用、薬剤の送達でも、タバコやカンナビスなどの他の植物ベースの喫煙可能材料の消費でもますます人気が高まっている。特に、電子気化器デバイスは、持ち運び可能で、独立型であり、使用に便利な場合もある。
【0004】
いくつかの実施形態では、気化可能材料(例えば、タバコの葉および/またはタバコの葉の一部などの植物材料)を加熱するように構成された気化器カートリッジは、気化に必要な最低温度の達成のために、内部のタバコ領域にはより高い温度が必要とされる。その結果、これらの高いピーク温度で気化可能材料が燃焼されると、有毒な副産物(例えば化学元素または化合物)が生成される可能性がある。
【0005】
概要
本対象の態様は、気化器デバイス用のカートリッジに関する。いくつかの実施形態では、このカートリッジは、非液状の気化可能材料を収容するように構成されたチャンバを含むことができる。カートリッジは、加熱素子を含むことができる。この加熱素子は、電気抵抗性材料を含むことができ、気化可能材料に熱を供給することによって気化可能材料を気化するように構成されてよい。ここで、加熱素子の少なくとも一部は、チャンバの一部を画定することができ、かつ/または加熱素子の少なくとも一部は、チャンバ内に収容されていてよい。
【0006】
カートリッジは、電気抵抗性材料と電気的に通信するカートリッジ接点を含むことができる。このカートリッジ接点は、気化器デバイスから電気抵抗性材料を通って電力を通過させ得るカートリッジ結合機能部の近傍に位置決めされた気化器接点に結合するように構成されてよい。電力は、電気抵抗性材料および気化可能材料の加熱を引き起こし、結果としてユーザーによる吸入用のエアロゾルの生成をもたらすことができる。
【0007】
いくつかの変形例では、以下の特徴のうちの1つまたは複数を、任意に実行可能な組み合わせで任意選択的に含むことができる。加熱素子は、カートリッジ接点を含むことができる。カートリッジは、熱伝導性で電気抵抗性材料のシートを含むことができる。熱伝導性で電気抵抗性材料のシートは、可撓性材料、変形可能材料(deformable material)、および剛性材料の少なくとも1つを含むことができる。熱伝導性で電気抵抗性材料のシートは、少なくとも1つの穿孔を含むことができる。熱伝導性で電気抵抗性材料のシートは、熱伝導性で電気抵抗性材料のシートの上面および熱伝導性で電気抵抗性材料のシートの底面の少なくとも1つから離れて延びる少なくとも1つの延在部を含むことができる。
【0008】
熱伝導性で電気抵抗性材料のシートは、第1の密度の穿孔を有する第1の領域と、第1の密度の穿孔よりも大きい第2の密度の穿孔を有する第2の領域とを含むことができる。
【0009】
加熱素子は、非導電性領域を含むことができる。加熱素子は、可撓性材料上にトレースされた電気抵抗性材料を含む可撓性プリント回路を含むことができ、ここで、トレースされた電気抵抗性材料は、複数の直列ヒーターを形成することができる。これらの複数の直列ヒーターは、並列に位置決めされてよい。加熱素子は、可撓性材料の長手方向に沿って延在する電気抵抗性材料を伴う可撓性材料を含むことができる。
【0010】
カートリッジは、ハウジングを含むことができる。このハウジングは、非導電性材料を含むことができ、チャンバの少なくとも一部を収容することができる。気化可能材料は、ニコチンを含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、吸入可能なエアロゾルを生成するためのシステムは、カートリッジを含むことができる。このカートリッジは、非液状の気化可能材料を収容するように構成されたチャンバを含むことができる。カートリッジは、加熱素子を含むことができる。この加熱素子は、電気抵抗性材料を含むことができ、気化可能材料に熱を供給することによって気化可能材料を気化するように構成されてよい。ここで、加熱素子の少なくとも一部は、チャンバの一部を画定し、かつ/または加熱素子の少なくとも一部は、チャンバ内に収容されてよい。カートリッジは、電気抵抗性材料と電気的に通信するカートリッジ接点を含むことができる。このカートリッジ接点は、気化器デバイスから電気抵抗性材料を通って電力を通過させ得るカートリッジ結合機能部の近傍に位置決めされた気化器接点に結合するように構成されてよい。電力は、電気抵抗性材料および気化可能材料の加熱を引き起こし、結果としてユーザーによる吸入用のエアロゾルの生成をもたらすことができる。
【0012】
このシステムは、デバイス本体を含むことができる。このデバイス本体は、カートリッジを収容するためのカートリッジ受け口を含むことができる。デバイス本体は、デバイス本体内の電源とカートリッジの加熱素子との間に導電性パスを提供するために、カートリッジがカートリッジ受け口に挿入された場合にカートリッジ接点と結合するように構成された気化器接点を含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、吸入可能なエアロゾルを生成するための方法は、気化器デバイス本体の電源と気化器カートリッジの加熱素子との間に導電性パスを提供するために、気化器カートリッジのカートリッジ接点を気化器デバイス本体の気化器接点に結合するステップを含むことができる。導電性パスは、電源に、加熱素子の電気抵抗性材料およびカートリッジのチャンバ内に収容される気化可能材料の加熱を引き起こさせ得る。
【0014】
この方法は、気化可能材料を気化する加熱素子を加熱して、吸入用のエアロゾルを形成するステップを含むことができ、ここで、加熱素子は、チャンバの少なくとも一部を画定し、かつ/または加熱素子は、気化器カートリッジのチャンバ内に収容されている。
【0015】
本明細書に記載される対象のうちの1つまたは複数の変形形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本明細書に記載される対象の他の特徴および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0016】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本明細書で開示される対象の所定の態様を示し、説明と共に、開示される実施形態に関連する原理の一部の説明を補助する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本対象の実施形態に一致する気化器のブロック図
【
図2A】そこに沿って延びる狭幅な導電性トレースを備えた可撓性シートを有する加熱素子の実施形態を含む気化器カートリッジの実施形態の斜視図
【
図2B】非液状の気化可能材料の周りに巻き付けられた加熱素子の可撓性シートを示す、
図2Aの気化器カートリッジの端面図
【
図2C】6つの直列ヒーターが並列に形成され、各直列ヒーター部分が水平に配向された複数の狭幅な導電性トレースを示す、
図2Aの加熱素子の実施形態の上面図、
【
図2D】6つの直列ヒーターが並列に形成され、各直列ヒーター部分が垂直に配向された複数の狭幅な導電性トレースを示す、
図2Aの加熱素子の実施形態の上面図
【
図3A】異なる抵抗領域を有する穿孔導電性材料を含む加熱素子の他の実施形態を含む気化器カートリッジの他の実施形態の上面斜視図
【
図3B】複数の穿孔を有する電気抵抗性領域を含む、
図3Aの加熱素子の上面図
【
図4A】非液状の気化可能材料と接触する加熱素子の他の実施形態を含む気化器カートリッジの他の実施形態の上面斜視図
【
図4C】加熱素子の上面および底面に結合された非液状の気化可能材料のシートを備えた
図4Bの加熱素子の側面図
【
図4D】加熱素子の長手方向に沿って延在し、加熱素子の端部と交差するスリットを含む、
図4Bの加熱素子の他の実施形態の上面図
【
図4E】少なくともスリットに沿って折り畳まれた加熱素子を示す、
図4Dの加熱素子の斜視図
【
図4F】加熱素子のシートの上面および/または下面から延在する少なくとも1つの延在部を含む、
図4Bの加熱素子の他の実施形態の斜視図
【
図4H】
図4Fの加熱素子およびその内部の非液状の気化可能材料を固定するための気化器カートリッジハウジングの実施形態を示した図
【
図5A】誘導コイルおよび鉄材料を含む加熱素子の他の実施形態を含む気化器カートリッジの他の実施形態の上面斜視図
【
図5B】非液状の気化可能材料内に散在する鉄材料を示す、
図5Aの気化器カートリッジの端面図
【
図6】電気抵抗性発泡体構造部を有する加熱素子の他の実施形態を含む気化器カートリッジの他の実施形態の側方断面図
【
図7】絶縁材料によって分離された導電性プレートおよび少なくとも部分的に導電性の混合物を有する加熱素子の他の実施形態を含む気化器カートリッジの他の実施形態を示した図
【
図8A】気化器カートリッジの他の実施形態の斜視図
【0018】
実用的な見地から、類似の構造、特徴、または要素は類似の参照番号で表す。
【0019】
本対象の実装は、ユーザーによる吸入のための1つまたは複数の材料を気化させることに関連するデバイスを含む。例えば、様々なヒーター素子実施形態を有する、シングルユースの使い捨てカートリッジなどの気化器カートリッジの様々な実施形態が、本明細書に記載されている。そのような気化器ユーザーリッジは、ルーズリーフタバコなどの非液状の気化可能材料と共に使用するように構成することができる。本明細書に記載される様々なヒーター素子実施形態は、最適な加熱範囲内で気化可能材料を加熱するなど、気化可能材料の加熱の効率および品質を改善することができる。そのような最適な加熱範囲には、気化可能材料を吸入用のエアロゾルに気化させるのに十分な高い温度であると同時に、有害なもしくは潜在的に有害な副産物を生成する温度未満に加熱する温度も含まれる。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される加熱素子は、(例えば加熱素子が最適な加熱範囲の温度に達するのに長時間待つ必要がないなど)ユーザーが楽しめるユーザー体験を有し得る速度で最適な加熱範囲を達成することができる。いくつかの実施形態では、そのような加熱素子を含む気化器カートリッジは、費用効果の高い製造が可能であり、それにより、それらをシングルユースの使い捨てカートリッジとして経済的に実現可能にする。上記の特徴の1つまたは複数を含む様々な気化器カートリッジおよび加熱素子は、以下でより詳細に説明される。
【0021】
上記のように、気化器で使用される気化可能材料は、任意選択的に、カートリッジ内で提供されてよい(例えばこのカートリッジは、気化可能材料または原料物質を収容する気化器の一部、リザーバもしくは他の容器内に気化可能材料を含む気化器の一部、空または使い捨てのときに同種もしくは異種の付加的な気化可能材料を収容する新しいカートリッジと入れ替えに補充可能である気化器の一部である)。気化器は、カートリッジを使用する気化器、カートリッジなしの気化器、またはカートリッジの有無にかかわらず使用できる多用途気化器であってもよい。例えば、多用途気化器は、原料物質を受容し気化可能材料を加熱チャンバ内に直接収容するように構成され、使用可能な量の原料物質を少なくとも部分的に収容し気化可能材料を収容するか含むためのリザーバ、容積部などを有する気化器カートリッジ120または他の交換可能なデバイスも受容するように構成された加熱チャンバ(例えばオーブン)を含むことができる。
【0022】
様々な実装形態において、気化器は、固形の気化可能材料と共に使用するように構成されてよい、この固形の気化可能材料は、植物材料の一部を気化可能材料として放出する(例えば植物材料の一部がユーザーによる吸入のために気化可能材料が放出された後の廃棄物として残るような)植物材料を含むことができる。あるいは任意選択的に、すべての固形材料が最終的に吸入のために気化され得るように、気化可能材料自体の固形形態(例えば「ワックス」)であり得る。
【0023】
図1のブロック図を参照すれば、気化器100は、典型的には、電源112(充電式バッテリであってよいバッテリなど)、および気化可能材料を凝縮形態(例えば、固形、液状、溶液、懸濁液、少なくとも部分的に未処理の植物材料の一部など)から気相に変換させるための加熱素子への熱の供給を制御するためのコントローラ104(例えばロジックを実行することができるプロセッサ、回路など)を含む。このコントローラ104は、本対象の特定の実装形態に一致する1つまたは複数のプリント回路基板(PCB)の一部であってよい。原料物質を燃焼させることなく加熱することにより吸入可能なエアロゾルを生成するためのデバイスに一般的に関連する本対象では、凝縮形態は典型的には植物ベースの材料であり、その少なくとも一部は、植物ベースの材料の加熱下で蒸気に変換可能な気化可能材料である。
【0024】
気化可能材料の気相への変換後、気化器のタイプ、気化可能材料の物理的および化学的特性、および/または他の要因に依存して、気相気化可能材料の少なくとも一部は、気化器上の所与のパフまたは吸い込みに対する気化器100によって提供される吸入可能な用量の一部またはすべてを形成することができるエアロゾルの一部として気相と少なくとも部分的な局所平衡で粒子状物質を形成するために凝縮する可能性がある。気化器によって生成されたエアロゾルにおける気相と凝縮相との間の相互作用は、周囲温度、相対湿度、化学的性質、空気流路(気化器内部および人間または他の動物の気道内の両方)における通流条件などを要因として複雑かつ動的であり得ることが理解されよう。気相またはエアロゾル相の気化可能物質と他の気流との混合などは、エアロゾルの1つまたは複数の物理的パラメータに影響を与える可能性がある。いくつかの気化器、特に、揮発性のより高い気化可能材料を送達するための気化器では、吸入可能な用量は、主に気相で存在する可能性がある(すなわち、凝縮相粒子の形成は非常に制限されてよい)。
【0025】
上記のように、本対象の実装形態に一致する気化器は、同様にまたは代替的に、例えば気化可能材料を含有する固相気化可能材料または植物材料(例えば、タバコの葉および/またはタバコの葉の一部)などの気化可能材料を含有するまたは含む非液状の原料物質の加熱を介して吸入可能な用量の気相および/またはエアロゾル相の気化可能材料を生成するように構成されてよい。そのような気化器では、加熱素子は、気化可能材料を含有するまたは含む非液状の原料物質が配置されるオーブンまたは他の加熱チャンバの壁部の一部であるか、そうでなければ組み込まれるか、またはそれらと熱接触されてもよい。代替的に、加熱素子または複数の要素は、非液状の気化可能材料の対流加熱を引き起こすために非液状の原料物質を貫流もしくは通過する空気を加熱するのに使用されてよい。さらに他の例では、加熱素子または複数の要素は、原料物質の直接的熱伝導加熱が(例えばオーブンの壁部から内部への伝導によってのみではなく)原料物質の塊内から発生するように、植物材料と密接に接触して配置されてよい。そのような非液状の気化可能材料は、カートリッジを使用する気化器またはカートリッジを使用しない気化器と共に使用されてよい。
【0026】
加熱素子は、導電性ヒーター、輻射ヒーター、および対流ヒーターのうちの1つまたは複数であり得るか、またはそれらを含み得る。加熱素子の1つのタイプは、電流が加熱素子の1つまたは複数の抵抗セグメントを通過するときに電力を熱の形態で放散するように構成された材料(例えば、金属または合金、例えば、ニッケル-クロム合金、または非金属抵抗器)から構成され得るかまたは少なくともそれを含むことができる抵抗性加熱素子である。本対象のいくつかの実装形態では、噴霧器は、気化可能材料を含有する原料物質(例えばタバコなどの植物ベースの物質)の塊に熱を供給するために周りに巻き付けられ、その中で位置決めされ、バルク形状に統合され、熱接点に押し付けられ、または他の方法で配置された抵抗性コイルまたは他の加熱素子を含む加熱素子を含むことができる。本開示を通して、「原料物質」とは、一般に、蒸気および/または吸入用のエアロゾルに変換される気化可能材料を含有する植物ベースの材料(または植物材料の他の凝縮形態または燃焼させることなく気化可能材料を放出できる他の材料)の一部を指す。以下でさらに説明されるように、他の加熱素子、および/または噴霧器センブリ構成も可能である。
【0027】
加熱素子は、空気入口から、加熱素子および関連する原料物質の塊を通る空気流路に沿って、任意選択的に1つまたは複数の凝縮領域またはチャンバを通ってマウスピースの空気出口まで空気を通流させるために、気化器のマウスピース上でのユーザーのパフ操作(例えば吸い込み、吸入など)に関連して作動されてよい(例えば、以下で論じるように任意選択的に気化器本体の一部であるコントローラは、以下で論じるように任意選択的に気化器カートリッジの一部である抵抗性加熱素子を含む回路により電源から電流を通流させることができる)。空気流路に沿って通過する流入空気は、加熱素子および原料物質上を通る、通過するなどして、そこで気相気化可能材料が空気中に同伴される。上記のように、同伴された気相気化可能材料は、エアロゾル形態の気化可能材料の吸入可能な用量が空気出口から(例えば、ユーザーによる吸入用のマウスピース内で)送達できるように、空気流路の残りを通過するときに凝縮可能である。
【0028】
加熱素子の作動は、例えば周辺圧力に対する空気流路に沿った圧力を検出するように(または任意選択的に絶対圧力の変化を測定するために)配置された1つまたは複数の圧力センサ、気化器の1つまたは複数のモーションセンサ、気化器の1つまたは複数のフローセンサ、気化器の容量性リップセンサなどの1つまたは複数のセンサ113によって生成された1つまたは複数の信号に基づくパフの自動検出によって引き起こされてもよいし、ユーザーと1つまたは複数の入力デバイス116(例えば、気化器100のボタンまたは他の触覚制御デバイス)との対話の検出や気化器と通信するコンピューティングデバイスからの信号の受信に応じて、かつ/またはパフが発生しているか差し迫っていることを決定するための他の取り組みを介して引き起こされてもよい。
【0029】
前段で示唆したように、本対象の実装形態に一致する気化器は、気化器と通信するコンピューティングデバイス(または任意選択的に2つ以上のデバイス)に(例えば、無線でもしくは有線接続を介して)接続するように構成されてよい。この目的のために、コントローラ104は、通信ハードウェア105を含むことができる。またコントローラ104は、メモリ108を含むこともできる。コンピューティングデバイスは、気化器100も含んだ気化器システムのコンポーネントであってもよく、コンピューティングデバイスは、それ自体、気化器100の通信ハードウェア105と無線通信チャネルを確立することができる通信ハードウェアを含むことができる。例えば、気化器システムの一部として使用されるコンピューティングデバイスは、デバイスのユーザーに気化器との対話を有効化するためのユーザーインターフェースを生成するソフトウェアを実行する汎用コンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、スマートウォッチなどの一部の他のポータブルデバイスなど)を含むことができる。本対象の他の実施形態では、気化器システムの一部として使用されるそのようなデバイスは、1つ以上の物理的もしくはソフト的な(例えば、画面もしくはその他の表示デバイス上で構成可能であり、接触感知式画面もしくはマウス、ポインター、トラックボール、カーソルボタンなどの一部の他の入力デバイスとのユーザー対話を介して選択可能な)インターフェースコントロールを有する、リモートコントロールまたは他の無線もしくは有線デバイスのようなハードウェアの専用部分であってもよい。気化器はまた、ユーザーに情報を提供するための1つまたは複数の出力側117の機能部もしくはデバイスを含むこともできる。例えば、出力側117は、気化器100の状態および/または動作モードに基づいてユーザーにフィードバックを提供するように構成された1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を含むことができる。
【0030】
上記で定義された気化器システムの一部であるコンピューティングデバイスは、用量の制御(例えば、用量監視、用量設定、用量制限、ユーザー追跡など)、セッション化の制御(例えば、セッション監視、セッション設定、セッション制限、ユーザー追跡など)、ニコチン送達の制御(例えば、ニコチン気化可能材料と非ニコチン気化可能材料との間の切り替え、送達されるニコチンの量の調整など)、場所情報の取得(例えば、他のユーザーの場所、小売店/商業施設の場所、ベイピングの場所、気化器自体の相対的もしくは絶対的な場所など)、気化器の個人化(例えば、気化器のネーミング、気化器のロック/パスワード保護、1つまたは複数のペアレンタルコントロールの調整、気化器とユーザーグループとの関連付け、メーカーまたは保証メンテナンス組織への気化器の登録など)、他のユーザーとのソーシャルアクティビティの連結など(例えば、ソーシャルメディア通信、1つまたは複数のグループとの対話など)の1つまたは複数の機能のいずれかに使用できる。「セッション化」、「セッション」、「気化器セッション」、または「気化セッション」という用語は、一般に、気化器の使用に費やす期間を指すために使用されている。この期間は、持続時間、投与回数、気化可能材料の分量、および/またはこれに類するものを含み得る。
【0031】
コンピューティングデバイスが抵抗性加熱素子の作動に関連する信号を提供する例、あるいは様々な制御もしくは他の機能の実装のためにコンピューティングデバイスと気化器とを結合させる他の例では、コンピューティングデバイスは、ユーザーインターフェースおよび基礎となるデータ処理を提供するために、1つまたは複数のコンピュータ命令セットを実行する。一例では、1つまたは複数のユーザーインターフェース要素とユーザーとの対話がコンピューティングデバイスによって検出されることにより、コンピューティングデバイスは、気化器100に信号を送って吸入可能な用量の蒸気/エアロゾルを生成するためのいずれにせよ完全な動作温度まで加熱素子を作動させることができる。気化器の他の機能は、気化器と通信するコンピューティングデバイス上でユーザーとユーザーインターフェースとの対話によって制御されてよい。
【0032】
気化器の抵抗性加熱素子の温度は、抵抗性加熱素子に供給される電力の量および/または電力が供給されるデューティ比、電子気化器の他の部品および/または環境への熱伝達/熱伝導率、噴霧器全体からの気化可能材料の気化による潜熱損失、ならびに空気流(例えば、ユーザーが電子気化器上で吸入したときに、加熱素子もしくは噴霧器全体にわたって移動する空気)による対流熱損失を含めて、いくつかの要因に依存し得る。上記のように、加熱素子を確実に作動させるか、または加熱素子を所望の温度まで加熱するために、気化器は、本対象のいくつかの実装形態では、ユーザーがいつ吸入しているかを決定するために圧力センサからの信号を利用する。圧力センサは、空気流路に位置決めすることができ、かつ/または空気をデバイスに流入させるための入口と、結果として生じる蒸気および/またはエアロゾルをユーザーに吸入させる出口とを接続する空気流路に(例えば、通路または他の流路によって)接続することができ、それによって、圧力センサは、空気が空気入口から気化器デバイスを通過して空気出口に向かうと同時に圧力変化を感知する。本対象のいくつかの実装形態では、加熱素子は、例えばパフの自動検出による、例えば空気流路内の圧力変化を検出する圧力センサによる、ユーザーのパフに関連して作動されてもよい。
【0033】
典型的には、圧力センサ(ならびに任意の他のセンサ113)は、コントローラ104(例えばプリント回路基板アセンブリまたは他のタイプの回路基板)上に位置決めするか、またはこのコントローラ104に結合する(例えば、物理的もしくは無線による接続を介して電気的もしくは電子的に接続する)ことができる。測定を正確に行いかつ気化器の耐久性を維持するために、気化器の他の部分から空気流路を分離する弾力性のあるシール121を設けることは有利であり得る。ガスケットであり得るこのシール121は、気化器の内部回路への圧力センサの接続が、空気流路に露出された圧力センサの一部から分離されるように、圧力センサを少なくとも部分的に取り囲むように構成されてよい。カートリッジベースの気化器の例では、シール121は、気化器本体110と気化器カートリッジ120との間の1つまたは複数の電気的接続の部分を分離することもできる。気化器100内のシール121のそのような配置は、気相または液相の水、気化可能材料などの他の流体などの環境要因との相互作用から結果として生じる気化器コンポーネントへの潜在的な破壊的影響を軽減するのに役立たせることができ、かつ/または気化器内の設計された空気流路からの空気の漏れを低減するために役立たせることができる。気化器の不所望な空気、液体もしくは他の流体の通過および/または接触回路は、圧力測定値の変動などの様々な不所望な影響を引き起こす可能性があり、かつ/または気化器の部品内で、圧力信号の低下、圧力センサまたは他のコンポーネントの劣化、および/または気化器の寿命の低下を引き起こしかねない水分、気化可能材料などの不所望な材料の蓄積を結果としてもたらす可能性がある。またシール121における漏れは、吸入されることが望ましくない可能性のある材料を含有するかまたはそのような材料から構成される気化器デバイスの部分を通過した空気をユーザーが吸入する結果となる可能性がある。
【0034】
最近人気を得ている気化器の一般的なクラスには、コントローラ104、電源112(例えば電池)、1つ以上のセンサ113、充電接点、シール121、およびカートリッジ受け口118を含む気化器本体110が含まれる。このカートリッジ受け口118は、1つまたは複数の様々な取り付け構造部を介して気化器本体110と結合するための気化器カートリッジ120を受容するように構成されている。いくつかの例では、気化器カートリッジ120は、吸入可能な用量をユーザーに送達するためのマウスピースを含む。気化器本体110は、加熱素子150を有する噴霧器を含むことができ、あるいは代替的に、加熱素子150は、気化器カートリッジ120の一部であってもよい。
【0035】
上記のように、本対象は、原料物質の加熱を介して気化可能材料の吸入可能な用量を生成する気化器のためのカートリッジベースの構成に関する。例えば、気化器カートリッジ120は、1つまたは複数の抵抗性加熱素子の部品と直接接触するように処理および形成された原料物質の塊を含むことができ、そのような気化器カートリッジ120は、プロセッサ、電源112、および1つまたは複数の抵抗性加熱素子を備えた回路を完成させるための対応するカートリッジ接点124に接続するための電気的接点を含む気化器本体110に機械的および電気的に結合されるように構成されてよい。
【0036】
電源112が気化器本体110の一部であり、加熱素子150が気化器本体110と結合するように構成された気化器カートリッジ120内に配置されている気化器では、気化器100は、コントローラ104(例えばプリント回路基板、マイクロコントローラなど)、電源112、および加熱素子150を含む回路を完成させるための電気的接続機能部(例えば回路を完成させるための手段)を含むことができる。これらの機能部は、気化器カートリッジ120の1つまたは複数の外面上に少なくとも2つの接点(本明細書ではカートリッジ接点124とも称される)、ならびに任意選択的に気化器100のカートリッジ受け口118内の気化器本体110上に配置された少なくとも2つの接点(本明細書では受け口接点125とも称される)を含むことができる。それにより、これらのカートリッジ接点124および受け口接点125は、気化器カートリッジ120がカートリッジ受け口118内に挿入されてそれと結合されるときに電気的接続を形成する。気化器カートリッジ120が、カートリッジ受け口118内に挿入されることなく気化器本体110に結合される他の構成も本対象の範囲内に含まれる。本明細書での「受け口接点」への言及は、より一般的には、カートリッジ受け口118内には収容されていないが、それにもかかわらず、気化器カートリッジ120および気化器本体110が結合されたときに、気化器カートリッジ120のカートリッジ接点124と電気的接続を形成するように構成された気化器本体110上の接点を指し得ることが理解されよう。これらの電気的接続によって完成された回路は、抵抗性加熱素子150への電流の供給を可能にすることができ、さらに、例えば、抵抗性加熱素子150の熱抵抗係数に基づく抵抗性加熱素子150の温度の決定および/または制御に使用するための抵抗性加熱素子150の抵抗の測定や抵抗性加熱素子150もしくは気化器カートリッジ120の他の回路の1つまたは複数の電気的特性に基づくカートリッジの識別などのような付加的機能のために使用してもよい。
【0037】
本対象のいくつかの例では、少なくとも2つのカートリッジ接点124および少なくとも2つの受け口接点125は、少なくとも2つの配向のいずれかで電気的に接続するように構成することができる。換言すれば、気化器の動作に必要な1つまたは複数の回路は、気化器カートリッジ120をカートリッジ受け口118内に(カートリッジを有する気化器カートリッジ120の端部が気化器本体110のカートリッジ受け口118内にそれに沿って挿入される軸線周りの)第1の回転方向で挿入することによって完了することができ、それによって、少なくとも2つのカートリッジ接点124の第1のカートリッジ接点は、少なくとも2つの受け口接点125の第1の受け口接点に電気的に接続され、少なくとも2つのカートリッジ接点124の第2のカートリッジ接点は、少なくとも2つの受け口接点125の第2の受け口接点に電気的に接続されている。さらに、気化器の動作に必要な1つまたは複数の回路は、気化器カートリッジ120をカートリッジ受け口118内に第2の回転方向で挿入することによって完了することができ、それによって、少なくとも2つのカートリッジ接点124の第1のカートリッジ接点は、少なくとも2つの受け口接点125の第2の受け口接点に電気的に接続され、少なくとも2つのカートリッジ接点124の第2のカートリッジ接点は、少なくとも2つの受け口接点125の第1の受け口接点に電気的に接続されている。気化器本体110のカートリッジ受け口118内に可逆的に挿入可能である気化器カートリッジ120のこの特徴は、以下でさらに説明される。
【0038】
気化器カートリッジ120を気化器本体110に結合するための取り付け構造部の一例では、気化器本体110は、カートリッジ受け口の内面から内側に突出する戻り止め(例えばディンプル、突起など)を含む。気化器カートリッジ120の1つまたは複数の外面は、気化器カートリッジ120の端部が気化器本体110のカートリッジ受け口118内に挿入されたときにそのような戻り止めに適合および/またはスナップオーバーすることができる対応する凹部(
図1には示されていない)を含むことができる。(例えば気化器カートリッジ120の端部を気化器本体110のカートリッジ受け口118内に挿入することによって)気化器カートリッジ120と気化器本体110とが結合されると、気化器本体110内の戻り止めは、組み立てられたときに気化器カートリッジ120を所定の位置に保持するために、気化器カートリッジ120の凹部内に収まることができ、かつ/または他の方法で保持されてもよい。そのような戻り止め凹部アセンブリは、気化器カートリッジ120を所定の位置に保持するのに十分な支持を提供することができ、これは、ユーザーが気化器カートリッジ120をカートリッジ受け口118から外すために当該気化器カートリッジ120を適度な力で引っ張ったときには、気化器本体110からの気化器カートリッジ120の解放を可能にしながら、少なくとも2つのカートリッジ接点124と少なくとも2つの受け口接点125との間の良好な接触を保証する。気化器カートリッジ120と気化器本体110との結合のための他の構成もまた、例えば、以下でより詳細に論じるように、本対象の範囲内に含まれることが理解されよう。
【0039】
さらに、気化器カートリッジ120と気化器本体110との間の電気的接続が可逆的であり、それによって、気化器カートリッジ120の受け口内での気化器カートリッジ120の少なくとも2つの回転方向が可能であることについての上記の議論に対し、いくつかの気化器デバイスでは、気化器カートリッジ120の形状、または少なくともカートリッジ受け口118内に挿入するように構成された気化器カートリッジ120の端部の形状は、少なくとも2次の回転対称性を有し得る。換言すれば、気化器カートリッジ120、または少なくとも気化器カートリッジ120の挿入可能な端部は、気化器カートリッジ120がカートリッジ受け口118内にそれに沿って挿入される軸線周りで180°回転すると対称であり得る。そのような構成では、気化器デバイスの回路は、気化器カートリッジ120のどのような対称的方向性が発生するかに関係なく、同一の動作を支援することができる。
【0040】
いくつかの例では、気化器カートリッジ120、または少なくとも気化器カートリッジ120の受け口内に挿入するように構成された気化器カートリッジ120の端部は、気化器カートリッジ120がカートリッジ受け口118内にそれに沿って挿入される軸線を横切る非円形の断面を有し得る。例えば、この非円形の断面とは、ほぼ矩形、ほぼ長円形のもの(例えばほぼ楕円の形状を有するもの)、非矩形であるが、2組の平行なもしくはほぼ平行な対向側を伴うもの(例えば平行四辺形のような形状を有するもの)、または少なくとも2次の回転対称性を有する他形状のものであってもよい。この文脈において、ある形状をほぼ有するとは、記述された形状に対する基本的な類似性が明らかなことを示すものではあるが、疑わしい形状の側が完全に線形である必要はなく、また頂点が完全に鋭利である必要もないことを示すものである。断面形状の縁部または頂点の両方もしくはいずれかを丸めることは、本明細書で言及される任意の非円形の断面の説明において想定されている。
【0041】
少なくとも2つのカートリッジ接点124および少なくとも2つの受け口接点125は、様々な形態をとることができる。例えば、これらの接点の一方または両方の組は、導電性のピン、タブ、ポスト、ピンまたはポスト用の受容孔部などを含むことができる。これらの接点のいくつかのタイプは、気化器カートリッジ120上の接点と気化器本体110との間のより良好な物理的および電気的接触を引き起こすためのばねまたは他の促進機能を含むことができる。
【0042】
本明細書では、ルーズリーフタバコなどの1つまたは複数の非液状の原料物質を含有し気化するように構成された気化器カートリッジ120の様々な実施形態が記載されている。さらに、そのような気化器カートリッジの実施形態は、気化可能材料が使い果たされた後のそれらの補充ができないようなシングルユースであってもよい。したがって、そのようなシングルユースの気化器カートリッジは、むだを省いて実現可能であるため安価な材料および製造しか必要としない。さらに、非液状の原料物質を気化するためにシングルユースの気化器カートリッジを製作して製造することが望ましい場合があるが、気化可能材料を効率的かつ効果的に気化することが望ましいこともある。例えば、気化器デバイス上で吸入するユーザーは、典型的には、気化器デバイスと係合した直後に気化器デバイスによって生成されたエアロゾルを吸入することを好む(例えば、マウスピース上に唇を置く、作動ボタンを押すなど)。そのため、本明細書に開示される気化器カートリッジの実施形態は、所望のユーザー体験を達成するために、原料物質からの気化可能材料の効率的な気化を有利に達成することができる。さらに、本明細書に開示される気化器カートリッジ120の実施形態は、吸入用の気化可能材料のエアロゾル形態を作成するなど、気化可能材料の放出を引き起こすのに十分な加熱エネルギーを原料物質に有利に提供することができ、同時に、ユーザーにとって吸入することが望まれない、少なくとも1つの有害な副産物の生成を少なくとも低減させるのに十分な加熱制限も可能である。上記を達成するために、加熱素子の様々な実施形態が開示され、以下でより詳細に説明される。
【0043】
例えば、約250℃以下などの所望の温度範囲内で加熱するように構成された加熱素子の様々な実施形態が本明細書に記載されている。そのような温度範囲は、加工タバコなどの原料を有利に気化させることができ、ニコチンおよび揮発性フレーバー化合物を関連する気化器デバイス上でのユーザーパフに対してエアロゾル化させて送達させることを可能にする。また温度範囲内のそのような温度は、少なくとも1つの有害なもしくは潜在的に有害な副産物の生成を防止することができる。そのため、本明細書に記載される加熱アセンブリの少なくとも1つの利点には、ユーザーによる吸入用のエアロゾルの改善された品質が含まれる。
【0044】
付加的に、本明細書に記載される加熱素子の様々な実施形態は、所望の温度範囲内の温度まで効率的に加熱することができる。これは、関連する気化器デバイスに、気化器デバイス上で吸入するユーザーにとって所望のユーザー体験を達成させることができる。そのような効率的な加熱時間は、結果として気化器デバイスからのバッテリ電力などの効率的な電力使用をもたらすことができる。さらに、本明細書に記載される加熱素子の様々な実施形態は、気化器デバイスのサイズの増加を必要とせずに、そのような利点を達成することができる。いくつかの実施形態では、加熱素子は、現下で入手可能なものよりもコンパクトな気化器デバイスを可能にすることができる。付加的に、加熱素子の実施形態は、気化器カートリッジをシングルユースで経済的に実現可能にさせるコストで製作および製造することができる。
【0045】
以下に記載される加熱素子の実施形態は、炭素、炭素発泡体、金属、金属箔、アルミニウム発泡体、または生分解性ポリマーなどの少なくとも1つの熱伝導性材料を含むことができる。熱伝導性材料は、気化器デバイスによって提供されるエネルギーを(例えば、カートリッジおよび気化器デバイスの接点を介して)熱伝導性機能部に伝達させ、それによって、原料物質から気化可能物質を気化させるためなど熱伝導性機能部の少なくとも一部に沿って温度の上昇を引き起こすことができる。気化器本体110は、熱伝導性材料に提供されるエネルギーの量を制御することができるコントローラ104を含むことができ、それによって、加熱素子150が所望の温度範囲内にある温度に到達するのを支援する。
【0046】
いくつかの実施形態では、気化器カートリッジは、気化可能材料102および/または加熱素子150の少なくとも一部を収容するように構成されたハウジング162を含むことができる。
【0047】
図2A~
図2Bは、そこに沿って延びる狭幅な導電性トレース252を備えた可撓性シートを有する加熱素子250の実施形態を含む気化器カートリッジ220の実施形態を示す。これらの狭幅な導電性トレース252は、直列または並列に配置することができる抵抗性ヒーターを形成する。狭幅な導電性トレース252は、本明細書に記載される導電性材料のいずれかなどの導電性材料から作製することができる。加熱素子250は、狭幅な導電性トレースと電気的に通信する少なくとも1つのカートリッジ接点224を含むことができる。このカートリッジ接点224は、気化器カートリッジ220が気化器本体に結合されたときに、カートリッジ接点224が(
図1に示される)気化器本体の受け口接点125と係合できるように位置決めすることができる。これは、気化器本体からのエネルギーを気化器本体から狭幅な導電性トレース224に(カートリッジ接点224と受け口接点125との間の接触接続を介して)伝達させることができ、それにより、狭幅な導電性トレース252を所望の温度範囲内の温度に到達させることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、可撓性シートは、
図2Bに示されるように、タバコの複数のシートなどの非液状の原料物質202の周りに巻き付けることができる。そのような構成では、加熱素子250は、原料物質202を収容するように構成されたチャンバを画定することも、チャンバ内に収容することもできる。これは、原料物質202と加熱素子150との間の接触を増加させることができ、それにより、加熱素子150が原料物質202から気化可能材料を効率的に加熱して気化させることを可能にする。さらに、そのような構成において、原料物質202にわたる温度勾配を最小にすることができる(例えば、タバコシートの幅以下)。これは、加熱素子150に、チャンバ内の原料物質202内に含有される気化可能材料の許容可能な部分(理想的には必ずしもすべてまたは実質的にすべてではない)を効率的に気化しながら、所望の温度範囲内の温度に加熱することを可能にさせる。
【0049】
図2Cおよび
図2Dは、加熱素子150の狭幅な導電性トレース252の実施形態を示す。例えば、
図2Cおよび
図2Dに示されるように、狭幅な導電性トレース252は、並列に位置決めされた6つの直列ヒーターなどの並列な複数の直列ヒーターを含むことができる。付加的に、各直列ヒーターは、
図2Cに示されるような水平な配向および/または
図2Dに示されるような垂直な配向で配置することができる。例えば、水平な配向では、25℃で約2.18オーム、250℃で4.09オームの直列抵抗と、25℃で約0.363オーム、250℃で0.682オームのヒーター全抵抗とを提供することができる。例えば、垂直な配向では、25℃で約2.14オーム、250℃で4.02オームの直列抵抗と、25℃で約0.357オーム、250℃で0.670オームのヒーター全抵抗を提供する。狭幅な導電性トレースの他の構成も、本開示の範囲内に含まれる。
図2Cは、6つの直列ヒーターが並列に形成され、各直列ヒーター部分が水平に配向された狭幅な導電性トレース252を伴う
図2Aの加熱素子150を示している。
【0050】
図3A~
図3Bは、気化器カートリッジ320に、費用効果の高い製造、速い加熱時間、所望の温度範囲内の気化温度などを含めた本明細書に記載される利点の少なくともいくつかを含ませることを可能にする(
図3Bに示される)加熱素子350の他の実施形態を含んだ気化器カートリッジ320の他の実施形態を示す。
【0051】
図3Bに示されるように、加熱素子350は、導電性フォイルの所望の部分において(例えば、穿孔によって、導電性断面の厚さまたは他の寸法を変えることなどで)その電気抵抗を増加させるように処理された導電性フォイル材料などの導電性材料から作製された電気抵抗性領域354を含む。いくつかの実施形態では、この電気抵抗性領域354の第1の部分は、非導電性材料の裏打ち356(例えば、紙材料)を含むことができ、電気抵抗性領域354の第2の部分は、非導電性材料の裏打ち356なしの電気抵抗性材料358を含むことができる。付加的に上記のように、第2の部分は、複数の穿孔360を含むことができ、これらは、第2の部分のそうでなければより導電性の材料に沿って電気抵抗を作り出すことができる。これらの穿孔360は、任意の数の様々な形状およびサイズを有することができ、様々な構成の1つまたは複数で配置することができる。さらに、電気抵抗性の第2の部分は、異なる密度の穿孔360または他の物理的変更を有する複数の領域を含む導電性材料であってもよく、それにより、異なる電気抵抗性の領域が作り出される。そのような電気抵抗性の異なる領域は、電気抵抗性部分が加熱を引き起こされるときに達する温度に影響を及ぼすことができる(例えば電流の沿面流が許容される)。
図3Aおよび
図3Bに示されるように、ユーザーと接触する可能性があって、それゆえ加熱されないことが好ましい加熱素子350の一部などは非導電性材料のみを含むことができる。加熱素子を加熱するための加熱素子への気化器デバイスからの電流伝達を可能にさせる気化器接点との係合を可能にさせるカートリッジ接点の形成などのために、穿孔のない導電性材料を含む1つまたは複数の領域を有する加熱素子などの他の構成も本開示の範囲内に含まれる。
【0052】
図3Aに示されるように、加熱素子350は、非液状の原料物質(例えば、1つまたは複数のタバコシート)などの原料物質302の周りに巻き付けることができる。そのような構成では、加熱素子350は、原料物質302を収容するように構成されたチャンバを画定することも、カートリッジチャンバ内に収容することもできる。これは、原料物質302と加熱素子350との間の接触を増加させることができ、それにより、加熱素子350に原料物質302から気化可能材料を効率的に加熱および気化することを可能にさせる。さらに、そのような構成では、原料物質302にわたる温度勾配を(例えばタバコシートの幅以下に)低減することができる。これは、加熱素子350に、チャンバ内の原料材料内に含有される気化可能材料の許容可能な部分(理想的には必ずしもすべてまたは実質的にすべてではない)を効率的に気化させながらも所望の温度範囲内の温度に加熱することを可能にさせる。
【0053】
図4A~
図4Eは、気化器カートリッジ420に、費用効果の高い製造、速い加熱時間、所望の温度範囲内の気化温度などを含めた本明細書に記載される利点の少なくともいくつかを含ませることを可能にする(例えば
図4Bに示される)加熱素子450の他の実施形態を含む気化器カートリッジ420の他の実施形態を示す。
【0054】
図4Aに示されるように、気化器カートリッジ420は、加熱素子450および原料物質402を受容するための開口部464を有するハウジング462を含むことができる。このハウジング462は、非導電性材料を含むことができ、加熱素子450は、熱伝導性材料で作製されたシート448を含む。
図4Bに示されるように、シート448は、シート448に沿った抵抗に影響を及ぼし得る複数の穿孔460を含むことができる。付加的にこのシートは、ハウジング462に沿って貫通孔428と係合しそれを貫通して延在することができるカートリッジ接点424を形成する少なくとも1つの側面延在部を含むことができる。そのようなカートリッジ接点424を形成する側方延在部は、対応する気化器本体に沿って受け口接点と係合するように位置決めすることができ、それにより、電流が気化器本体から加熱素子450に流れ、次いで加熱素子450が所望の温度範囲内の温度まで加熱することが可能になる。
【0055】
図4Cに示されるように、加熱素子450は、原料物質402が直接対向することができる少なくとも1つの平坦な表面を含むことができ、それにより、加熱素子450と原料物質402(例えば1つ以上のタバコシート)との間の効率的な熱伝達が提供される。さらに、そのような構成では、原料物質402にわたる温度勾配を最小にすることができる(例えばタバコシートの幅以下)。これは、加熱素子450に、チャンバ内の原料物質402内に含有される気化可能材料のすべてまたは実質的にすべてを効率的に気化させながらも所望の温度範囲内の温度に加熱することを可能にさせる。(
図4Eに示されるように)遠位端から延在するカートリッジ接点424で加熱素子450を半分に折り畳むなど、加熱素子450の他の変形形態および/または特徴を含めることができ、かつ/または(例えば
図4Dに示されるように)所望の加熱範囲内への加熱素子450の高速かつ効果的な加熱を達成するのに十分な電気抵抗を結果としてもたらすための効果的に長くて薄いエッチングされた導電性シート406を含めることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、
図4Fおよび
図4Gに示されるように、1つまたは複数の延在部468は、熱伝導性シート448の上面および/または下面から延在することができる。そのような延在部468は、穿孔460を形成するときに形成することができる(例えば導電性シートの打ち抜き加工を介して)。これらの延在部468は、そのような延在部を含まない平坦な加熱素子と比較して、例えば、原料物質402とより多く統合され得る付加的な表面積を提供することができる。
図4Hに示されるように、ハウジング462のいくつかの実施形態は、加熱素子450(例えば、
図4A~
図4Gに示される加熱素子の実施形態のいずれか)が、加熱素子450の対向側に位置決めされた少なくとも2つのタバコシートと一緒にハウジング462内に保持され得るようなクラムシェル構成を含むことができる。これは、効率的な組み立てを伴うコンパクトな構成を提供することができる。
【0057】
図5A~
図5Bは、誘導コイルおよび鉄材料570を有する加熱素子550の他の実施形態を含む気化器カートリッジ520の他の実施形態を示す。例えば、誘導コイルは、原料物質のシートまわりに直接のように、原料物質の周りに巻き付けることができる。さらに、鉄材料570は、原料物質と混合されてよく、誘導コイルを通過する電流によって生成された電場および/または磁場と鉄材料との相互作用の結果として加熱されてもよい。原料物質と混合された鉄材料は、原料物質に沿ってかつ/または原料物質内でより均一な熱分布を可能にさせ、それにより、原料物質に沿った温度勾配を低減することができる。これは、誘導コイルによって生成された場の相互作用の下で原料物質を所望の温度範囲内の温度に加熱することを可能にさせ、それによって、原料物質から気化可能材料を効果的に気化させることができる。
【0058】
図6は、熱伝導性(ただし電気抵抗性の)発泡体構造部672を有する加熱素子650の他の実施形態を含む気化器カートリッジ620の他の実施形態の側方断面図を示す。例えば、原料物質は、この熱伝導性発泡体構造部672内に(例えば、開放気泡の熱伝導性発泡体構造部の細孔内に)配置されてよい。電流は、この熱伝導性発泡体構造部672を通って流すことができ、それにより、原料物質は、熱伝導性発泡体構造部672の抵抗性加熱の結果として例えば所望の温度範囲内の温度で均一に加熱される。いくつかの実施形態では、熱伝導性発泡体構造部672は、網状炭素発泡体、アルミニウム発泡体などから作製することができる。他の発泡体構造部も、本開示の範囲内に含まれる。
【0059】
図7は、非導電性絶縁材料776によって分離された導電性プレート774を有する加熱素子750の他の実施形態を含む気化器カートリッジ720の他の実施形態を示す。導電性プレート774および絶縁材料776は、原料物質702を収容するように構成されたチャンバを画定することができる。加熱素子750は、原料物質702に含むことができ、それにより、原料物質702からバルク抵抗を生成する少なくとも部分的に導電性の混合物778をさらに含むことができる。導電性プレート774は、電気を伝導するように機能することができ、気化器カートリッジ720が結合される気化器本体の受け口接点と結合するカートリッジ接点として機能する。
【0060】
本明細書に記載される加熱素子のいずれも、接点(例えばカートリッジ接点)を含むことができ、または気化器カートリッジがそれに結合され、それによって、加熱素子の温度を上昇させ得る気化器本体から電気エネルギーを伝送できるようにするための接点と電気的に連絡することができる。
【0061】
所望の温度範囲を超えて加熱する必要なしに、原料物質から気化可能材料を気化させるために、逆流熱交換器が気化器カートリッジまたは気化器デバイスに実装されてよい。例えば、逆流熱交換器を含む気化器カートリッジは、以下でより詳細に説明される。
【0062】
図8A~
図8Bは、加熱素子850の他の実施形態を含む気化器カートリッジ820の他の実施形態を示す。
図8Aに示されるように、熱伝導性材料は、外側原料物質通路880の外周を取り囲むことができる。この外側原料物質通路880は、内側貫通孔部が内側原料物質通路882を画定するドーナツ形状の輪郭を含むことができる。
図8Bに示されるように、内側原料物質通路882は、遠位端部884において開口されてよく、外側原料物質通路880は、遠位端部884において開口部を含むことができる。内側および外側原料物質通路は、少なくとも部分的に原料物質で充填されてよい。空気流路886は、
図8Bに示されるように、外側原料物質通路880への開口部から、原料物質通路の少なくとも一部に沿って、内側原料物質通路882の近位端部888を通って、内側原料物質通路882に沿って、原料物質通路の外側遠位開口部までの間を延在することができる。これは、空気流を(例えばユーザーが気化器デバイスを吸入した結果として)外側原料物質通路880に沿って通流可能にさせることができ、それによって、原料物質通路の外周を取り囲む熱伝導性材料による加熱がもたらされる。そのため、加熱された空気流が次いで内側原料物質通路882に沿って流れるときに、加熱された空気流は、内側原料物質通路882に沿って位置決めされた原料物質の温度を上昇させることができる。これは、内側原料物質通路内に収容された原料物質を、所望の温度(例えば所望の温度範囲内)まで加熱する速度を上昇させ、原料物質全体にわたる温度勾配を減少させる支援を可能にする。
【0063】
この構想の少なくともいくつかの利点は、所望の温度範囲よりも広い、原料物質に沿ったピーク温度の低減を含むことができる。そのため、これは、原料物質から気化可能物質を気化させる間に生成される不要な副産物を結果として少なくとも減少させることができる。これは、原料物質から気化可能材料を気化させている間に生成される不要な副産物の少なくとも減少をもたらす可能性がある。付加的に、原料物質と気化器デバイスとの間で直接的な接触がないため、気化器デバイスの保守管理(例えば洗浄など)を最小限必要とするのでよい。
【0064】
加熱素子および空気流路は、気化器カートリッジ内に含まれるものとして本明細書に記載されているが、本明細書に記載される加熱素子および空気流路の任意の1つまたは複数の部分は、気化器デバイス内に含まれていてもよく、それにより、再利用可能でかつ耐久性も備えるように構成される。
【0065】
専門用語
ある特徴または要素が、本明細書において別の特徴または要素の「上」にあるものとして言及される場合、その特徴または要素は、他の特徴または要素のすぐ上にあるものとすることができるし、あるいは介在する特徴および/または要素が存在してもよい。対照的に、ある特徴または要素が、別の特徴または要素の「すぐ上」にあるものとして言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。また、ある特徴または要素が、別の特徴または要素に「接続されている」、「取り付けられている」、または「結合されている」ものとして言及される場合、その特徴または要素は、他の特徴または要素に直接、接続することができ、取り付けることができ、または結合することができるし、あるいは介在する特徴または要素が存在してもよいことは理解されるであろう。対照的に、ある特徴または要素が、別の特徴または要素に「直接接続されている」、「直接取り付けられている」、または「直接結合されている」ものとして言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。
【0066】
1つの実施形態に関して説明または図示されてはいるが、そのように説明または図示された特徴および要素は、本対象の他の実施形態に適用することができる。また、別の特徴に「隣接して」配置された構造または特徴に関する言及は、隣接する特徴と重なり合う部分またはその下にある部分を有する場合もあることを、当業者には理解されるであろう。
【0067】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態や実装形態のみの説明を目的としたものであり、限定することを意図するものではない。例えば本明細書で使用される単数形の不定冠詞および定冠詞は、文脈による特段の明記がない限り、複数形も同様に含むことを意図している。さらに、用語「含む」および/または「含んでいる」は、本明細書で使用される場合には、記載された特徴、ステップ、動作、要素および/またはコンポーネントの存在を特定しているが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、コンポーネントおよび/またはそれらのグループの存在または追加を除外するものではないことは理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「および(かつ)/または」という用語は、関連してリストされた項目の1つまたは複数の任意の組み合わせおよびすべての組み合わせを含み、「/」と略されてよい。
【0068】
上記および特許請求の範囲においては、「~の少なくとも1つ」または「~のうちの1つまたは複数」などの語句が、複数の要素または特徴の連続的なリストに続いて現れる場合がある。また、「および(かつ)/または」との用語が、2つ以上の要素または特徴のリスト中に現れる場合もある。使用された文脈によって他のやり方で暗黙的もしくは明示的に否定されない限り、そのような語句は、列挙された要素または特徴のいずれかを個別に意味すること、あるいは列挙された要素または特徴のいずれかと他の列挙された要素または特徴のいずれかとの組み合わせを意味することを意図している。例えば、「AおよびBの少なくとも1つ」、「AおよびBのうちの1つまたは複数」、ならびに「Aおよび/またはB」との語句は、それぞれ、「Aのみ、Bのみ、またはAおよびB共に」を意味することを意図している。同様の解釈は、3つ以上の項目を含むリストにも向けられている。例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうちの1つまたは複数」、ならびに「A、B、および/またはC」との語句は、それぞれ、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびB共に、AおよびC共に、BおよびC共に、またはAおよびBおよびC共に」との意味を意図している。上記および特許請求の範囲における「に基づく」との用語の使用は、列挙されていない特徴または要素なども許容されるように、「少なくとも部分的に基づく」との意味を意図している。
【0069】
「前方」、「後方」、「下方に」、「より下方に」、「より低く」、「上方に」、「より高く」などのような空間的に相対する用語が本明細書で使用されている場合があるが、これらは、図面に示されているような1つの要素または特徴と、他の要素または特徴との関係性の記載を説明しやすくするためである。空間的に相対する用語が、図面に描かれている配向に加え、使用時または動作時におけるデバイスの様々な配向を包含することを意図していることは理解されるであろう。例えば、図中のデバイスが反転されたならば、他の要素または特徴の「下方に」または「真下に」と記載された要素は、その場合、他の要素または特徴の「上方に」配向されることになる。したがって、例示的な用語「下方に」は、上方および下方の配向の両方を包含し得るものである。デバイスが別の向きで配向される場合があり(90度回転させられるかまたは他の配向で)、本明細書で使用される空間的に相対する記述子もそれに応じて解釈され得る。同様に、用語「上流に」、「下流に」、「垂直に」、「水平に」およびこれらに類するものは、特段の明記がない限り、本明細書では説明の目的でのみ使用されている。
【0070】
本明細書では、様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明するために、用語「第1の」および「第2の」が用いられる場合があるが、これらの特徴/要素は、文脈による別段の明記がない限り、これらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、1つの特徴/要素を、他の特徴/要素から区別するために使用される場合もある。したがって、本明細書で提供される教示から逸脱することなく、以下で述べる第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と称することができ、同様に、以下で述べる第2の特徴/要素は、第1の特徴/要素と称することができる。
【0071】
実施例において使用される場合を含めて、特に別段の明記がない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用されている、すべての数字は、たとえ用語として特に付記されていなかったとしても、「約」または「ほぼ」という言葉がまるで前置きされているかのように読み取ることができる。大きさおよび/または位置を説明する場合、これらの「約」または「ほぼ」という語句は、記載される値および/または位置が、当該値および/または位置の妥当な予測範囲内にあることを示すために使用される場合がある。例えば、数値は、記載される値(または値範囲)の±0.1%、記載される値(または値範囲)の±1%、記載される値(または値範囲)の±2%、記載される値(または値範囲)の±5%、記載される値(または値範囲)の±10%などの値を有することができる。本明細書で付記される任意の数値も、文脈による別段の明記がない限り、その値に「約」または「ほぼ」のニュアンスを含めたものであることが理解されよう。例えば、値として「10」が開示されているならば、そこには「約10」という意味の開示もなされているということである。本明細書で挙げられている任意の数値範囲は、その中に包含されるすべての部分範囲を含むことが意図されている。また、ある1つの値が開示されている場合も、当業者が適切に理解するように、「その値以下」、「その値以上」、およびそれらの値の間の可能な範囲も開示されていることが理解されよう。例えば、値「X」が開示されているならば(ただしXは例えば1つの数値である)、「X以下」ならびに「X以上」も開示されている。また、本出願全体を通して、データが多くの異なる形式で提供されていること、ならびにこのデータは、終始点および開始点を表し、これらのデータ点の任意の組み合わせに関する範囲にまで広がることが理解されよう。例えば、1つの特定のデータ点「10」と、1つの特定のデータ点「15」とが開示されているならば、10および15より大きい、10および15以上、10および15未満、10および15以下、ならびに10および15に等しいことも、10と15との間と同様に開示されていると見なされることが理解されよう。また、2つの特定の単位の間の各単位も開示されていることが理解されよう。例えば、10と15とが開示されているならば、そこには11,12,13および14も開示されている。
【0072】
様々な例示的な実施形態が本明細書で説明されているが、本明細書の教示から逸脱することなく、任意の数の変更を様々な実施形態で行うことができる。例えば、記載された様々な方法ステップにおいて行われる順序は、多くの場合、代替的な実施形態では変更される可能性があり、さらに別の代替的な実施形態では、1つまたは複数の方法ステップが完全にスキップされる場合もある。様々なデバイスおよびシステムの実施形態の任意選択的な特徴を、一部の実施形態には含め、他の実施形態には含めないことも可能である。したがって、前述の説明は、主に例示の目的で提供されており、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0073】
本明細書に記載される対象の1つまたは複数の態様または特徴は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはこれらの組み合わせにおいて実現することが可能である。これらの様々な態様または特徴は、少なくとも1つのプログラミング可能なプロセッサを含むプログラミング可能なシステム上で実行可能および/または解釈可能な1つまたは複数のコンピュータプログラムでの実装を含むことができる。少なくとも1つのプログラミング可能なプロセッサは、専用もしくは汎用目的で、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信し、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスにデータおよび命令を転送するように結合することができる。プログラミング可能なシステムまたはコンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバーを含むことができる。クライアントおよびサーバーは、一般に、互いに遠隔の関係にあり、典型的には通信ネットワークを介して対話する。クライアントおよびサーバーの関係は、個々のコンピュータ上で実行され、クライアント-サーバー関係を相互に有するコンピュータプログラムによって発生する。
【0074】
これらのコンピュータプログラム(これらは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、またはコードとも称され得る)は、プログラミング可能なプロセッサのための機械命令を含み、高水準手続き言語、オブジェクト指向プログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理プログラミング言語、および/またはアセンブリ/機械語で実施することができる。本明細書で使用されるように、「機械可読媒体」という用語は、例えば磁気ディスク、光学ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)などの任意のコンピュータプログラム製品、装置および/またはデバイスを指し、これらは機械命令および/またはデータをプログラミング可能なプロセッサに供給するために使用され、機械可読信号として機械命令を受信する機械可読媒体を含む。「機械可読信号」という用語は、機械命令および/またはデータをプログラミング可能なプロセッサに供給するために使用される任意の信号のことを指す。機械可読媒体は、そのような機械命令を、例えば非一時的ソリッドステートメモリまたは磁気ハードディスクドライブまたは任意の等価のストレージ媒体のように、非一時的に記憶することができる。機械可読媒体は、代替的または付加的に、そのような機械命令を、例えばプロセッサキャッシュかまたは1つまたは複数の物理的プロセッサコアに関連付けられた他のランダムアクセスメモリのように、一時的な手法で記憶することができる。
【0075】
本明細書に含まれる実施例および図面は、限定ではなく例示として、本対象が実施され得る特定の実施形態を示している。上述のように、他の実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく構造的および論理的な置き換えおよび変更を行うことができるように利用可能であり、そこから導き出すことができる。そのような本発明の対象の実施形態は、本明細書では、2以上のものが実際に開示されている場合でも、単に便宜上「発明」という用語によって個別にもしくは集約的に言及している場合があるが、これは、本出願の範囲を任意の単一の発明もしくは発明概念に自発的に限定することを意図したものではない。したがって、本明細書では特定の実施形態が図示され説明されてきたが、同じ目的の達成を目論む任意の配置構成は、図示の特定の実施形態との置き換えが可能である。本開示は、様々な実施形態の任意のおよびすべての適応形態または変形形態を網羅することを意図している。上述の実施形態の組み合わせおよび本明細書で具体的に説明しなかったその他の実施形態は、上記の説明を精査すれば、当業者には明らかになるであろう。