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特許7577645人工知能計算装置、制御方法および制御装置、エンジニアステーションおよび産業オートメーションシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】人工知能計算装置、制御方法および制御装置、エンジニアステーションおよび産業オートメーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/042 20060101AFI20241028BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20241028BHJP
   G06F 9/44 20180101ALI20241028BHJP
【FI】
G05B19/042
G05B19/418 Z
G06F9/44
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021510083
(86)(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2018101973
(87)【国際公開番号】W WO2020037608
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-04-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】517291346
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Werner-von-Siemens-Str. 1, D-80333 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミン ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ビン シュイ
(72)【発明者】
【氏名】シャンケ フォン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ロン シュイ
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】堀内 亮吾
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-81619(JP,A)
【文献】特開2012-118715(JP,A)
【文献】特開2018-124813(JP,A)
【文献】特開2017-225001(JP,A)
【文献】特開平5-225362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業オートメーションシステムに適用され、バックプレーン(21)、通信コンポーネント(22)および計算コンポーネント(23)を有する人工知能(AI)計算装置(20)であって、
前記バックプレーン(21)は、バックプレーンバス(211)およびフィールドバスインタフェース(212)を有し、前記バックプレーンバス(211)は、前記通信コンポーネント(22)および前記計算コンポーネント(23)に接続されており、前記フィールドバスインタフェース(212)は、前記産業オートメーションシステムのフィールドバス(60)に接続可能であり、該フィールドバスインタフェースを介して前記フィールドバス(60)と通信可能であり、前記産業オートメーションシステムは少なくとも1つのコントローラ(40)を有し、
前記通信コンポーネント(22)は、前記コントローラ(40)と前記計算コンポーネント(23)との間でデータ交換を実施し、
前記計算コンポーネント(23)は、前記コントローラ(40)により送信されたデータを、前記通信コンポーネント(22)を介して受信し、組み込まれたAI計算アーキテクチャ(231)を使用することによって前記データを分析し、前記通信コンポーネント(22)を使用することによって、前記分析結果を前記コントローラ(40)に送信し、
前記AI計算装置(20)が、互いに異なる機能を備えた複数の計算コンポーネント(23)を有し、各計算コンポーネント(23)が1つの計算コンポーネント識別子に対応しているならば、前記通信コンポーネント(22)は、
前記フィールドバスインタフェース(212)を使用することによって、前記コントローラ(40)により送信された第1のパケットを受信することができ、
1つの計算コンポーネント識別子と、該計算コンポーネント識別子に対応するパケットデータとを、前記第1のパケットのパケットフォーマットに基づき前記第1のパケットから構文解析して取り出すことができ、
前記バックプレーンバスを使用することによって、前記パケットデータを、前記計算コンポーネント識別子に対応する計算コンポーネント(23)に送信することができ
前記バックプレーンバス(211)を使用することによって、前記計算コンポーネント識別子に対応する1つの計算コンポーネント(23)である第1の計算コンポーネント(23)からフィードバックデータを受信することができ、
前記フィードバックデータと、前記計算コンポーネント識別子とを、パケットデータとして使用することによって、第2のパケットを生成し、該第2のパケットを、前記フィールドバスインタフェース(212)を介して前記コントローラ(40)に送信することができる、
人工知能(AI)計算装置(20)。
【請求項2】
前記通信コンポーネント(22)は、
産業通信プロトコルにより定義されたパケットフォーマットを使用して、前記コントローラ(40)により送信されたパケットを構文解析し、該構文解析から取得されたパケットの内容を前記計算コンポーネント(23)に送信し、
前記パケットフォーマットを使用して、前記計算コンポーネント(23)により送信されたフィードバックデータをカプセル化し、カプセル化されたパケットを前記コントローラ(40)に送信する、
請求項1記載のAI計算装置(20)。
【請求項3】
前記通信コンポーネント(22)は、
前記バックプレーンバス(211)を使用することによって、前記第1の計算コンポーネント(23)により供給された前記フィードバックデータのタイプを取得することができ、
前記フィードバックデータのタイプに対するプリセットされた対応を有する伝送チャネルを使用することによって、前記フィールドバスインタフェース(212)を介して前記コントローラ(40)に前記第2のパケットを送信することができる、
請求項1または2記載のAI計算装置(20)。
【請求項4】
前記計算コンポーネント(23)はさらに状態切替モジュール(235)を有し、該状態切替モジュール(235)は、前記計算コンポーネント(23)の現在の動作状態に基づき、前記コントローラ(40)により供給された前記現在の動作状態に対応するデータを、前記AI計算アーキテクチャ(231)に入力することができる、請求項1からまでのいずれか1項記載のAI計算装置(20)。
【請求項5】
前記状態切替モジュール(235)は、
前記通信コンポーネント(22)を使用することによって、前記AI計算アーキテクチャ(231)の現在の動作状態を前記コントローラ(40)に送信することができ、
前記通信コンポーネント(22)を使用することによって、前記コントローラ(40)により送信された状態切替命令を受信して、前記AI計算アーキテクチャ(231)を第1の動作状態から第2の動作状態へ切り替えることができる、
請求項記載のAI計算装置(20)。
【請求項6】
前記状態切替モジュール(235)は、前記AI計算アーキテクチャ(231)の現在の動作状態が、該AI計算アーキテクチャ(231)をトレーニングするためのトレーニング状態であれば、前記コントローラ(40)により供給されたトレーニングデータを、前記AI計算アーキテクチャ(231)に入力することができる、請求項または記載のAI計算装置(20)。
【請求項7】
前記状態切替モジュール(235)は、前記AI計算アーキテクチャ(231)の現在の動作状態が動作中状態であれば、前記データにおける複数の生産パラメータの値を前記AI計算アーキテクチャ(231)に入力し、プリセットされた計算プロセスを前記AI計算アーキテクチャ(231)において実行することができる、請求項からまでのいずれか1項記載のAI計算装置(20)。
【請求項8】
前記AI計算アーキテクチャ(231)は、前記データにおける複数の生産パラメータの値を最適化するために、プリセットされた最適化計算プロセスを実行し、前記複数の生産パラメータの推奨値を出力することができる、請求項1からまでのいずれか1項記載のAI計算装置(20)。
【請求項9】
前記AI計算アーキテクチャ(231)は、前記データにおける複数の生産パラメータの値を測定するために、プリセットされたパラメータ測定プロセスを実行し、前記複数の生産パラメータの値が正常であるか否かを表すパラメータ測定結果を出力することができる、請求項1からまでのいずれか1項記載のAI計算装置(20)。
【請求項10】
前記AI計算アーキテクチャ(231)は、プリセットされた故障診断プロセスを実行し、前記データにおける複数の生産パラメータの値を使用することによって故障診断を実施し、前記産業オートメーションシステム内の1つのコンポーネントに関する情報を有する故障診断結果を出力することができる、請求項1からまでのいずれか1項記載のAI計算装置(20)。
【請求項11】
前記計算コンポーネント(23)はさらにコンフィギュレーションユニットを有し、該コンフィギュレーションユニットは、
前記通信コンポーネント(22)を使用することによって、前記コントローラ(40)により送信されたコンフィギュレーションパラメータを受信することができ、該コンフィギュレーションパラメータは、前記AI計算アーキテクチャ(231)の構造に関する属性値を有し、
前記コンフィギュレーションパラメータにおける前記構造に関する属性値を使用することによって、前記AI計算アーキテクチャ(231)の1つのコンポーネントの構造に関する属性をコンフィギュレーションすることができる、
請求項1から10までのいずれか1項記載のAI計算装置(20)。
【請求項12】
前記コンフィギュレーションユニットは、
前記通信コンポーネント(22)を使用することによって、前記コントローラ(40)により送信された前記コンフィギュレーションパラメータを受信することができ、前記コンフィギュレーションパラメータは、第1のパラメータおよび第2のパラメータを有し、前記第1のパラメータは、生産機器の1つまたは複数の生産パラメータであり、
前記第1のパラメータとして、前記AI計算アーキテクチャ(231)の入力パラメータをコンフィギュレーションすることができ、
前記第2のパラメータとして、前記AI計算アーキテクチャ(231)の出力パラメータをコンフィギュレーションすることができる、
請求項11記載のAI計算装置(20)。
【請求項13】
前記バックプレーン(21)はさらにスロットを有し、プラガブル拡張カードとして使用される前記計算コンポーネント(23)は、前記スロットを介して前記バックプレーンバス(211)に接続されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のAI計算装置(20)。
【請求項14】
前記計算コンポーネント(23)はさらにエネルギー節約ユニットを有し、該エネルギー節約ユニットは、
前記通信コンポーネント(22)を使用することによって、前記コントローラ(40)により送信された第1の命令を受信し、該第1の命令に従って低電力消費モードに入り、
前記通信コンポーネント(22)を使用することによって、前記コントローラ(40)により送信された第2の命令を受信し、該第2の命令に従い前記低電力消費モードから出る
ように構成されている、請求項1から13までのいずれか1項記載のAI計算装置(20)。
【請求項15】
産業オートメーションシステム内のコントローラに適用される制御方法であって、当該制御方法は、
前記産業オートメーションシステムにおいてデータを取得するステップと、
フィールドバスに接続されたAI計算装置に前記データを送信するステップと、
前記フィールドバスを介して、前記AI計算装置により前記データを分析することにより取得された分析結果を受信するステップであって、該分析結果を前記コントローラ内の意思決定装置に供給して、該意思決定装置は自動制御のための制御命令を生成する、ステップと、
を有し、
前記AI計算装置が、互いに異なる機能を備えた複数の計算コンポーネントを有し、各計算コンポーネントが1つの計算コンポーネント識別子に対応し、
前記送信するステップは、1つの計算コンポーネント識別子と、該計算コンポーネント識別子に対応するパケットデータとを送信するステップを含み、
前記受信するステップは、前記計算コンポーネント識別子に対応する計算コンポーネントからのフィードバックデータと、前記計算コンポーネント識別子とが結合されたパケットを受信するステップを含む、
制御方法。
【請求項16】
前記産業オートメーションシステムにおいて前記データを取得するステップは、
プリセットされた第1のコンフィギュレーション情報において複数の生産パラメータを決定するステップと、
前記産業オートメーションシステム内のデータ収集装置により供給されたデータから、前記データとして前記複数の生産パラメータの値を取得するステップと、
を有する、請求項15記載の制御方法。
【請求項17】
前記産業オートメーションシステム内のデータ収集装置により供給されたデータから、前記複数の生産パラメータの値を取得するステップは、
プリセットされたタイムインターバルで、先行の期間内に前記データ収集装置により供給されたデータから、前記データとして前記複数の生産パラメータの値を取得するステップ
を有する、請求項16記載の制御方法。
【請求項18】
前記産業オートメーションシステムの前記フィールドバスを使用することによって、該フィールドバスに接続された前記AI計算装置に前記データを送信するステップは、
プリセットされた第2のコンフィギュレーション情報から、前記AI計算装置内の第1の計算コンポーネントに関する情報を取得するステップと、
前記情報を使用することによって、第1のAI計算装置内の前記第1の計算コンポーネントに前記データを送信するステップと、
を有する、請求項15から17までのいずれか1項記載の制御方法。
【請求項19】
プリセットされた第2のコンフィギュレーション情報から、前記AI計算装置内の第1の計算コンポーネントに関する情報を取得するステップは、
前記第2のコンフィギュレーション情報から、複数の計算コンポーネントに関する情報を取得するステップと、
少なくとも1つのAI計算装置から、前記複数の計算コンポーネントのペイロード情報を取得するステップと、
前記ペイロード情報に基づき前記複数の計算コンポーネントから、前記第1の計算コンポーネントとして1つのコンポーネントを選択し、該第1の計算コンポーネントが属するAI計算装置を前記AI計算装置として決定するステップと、
を有する、請求項18記載の制御方法。
【請求項20】
前記フィールドバスを介して、前記AI計算装置により前記データを分析することにより取得された分析結果を受信するステップは、
前記AI計算装置の出力データを取得し、該出力データを、前記意思決定装置により前記分析結果として識別可能な分析レポートに変換するステップ
を有する、請求項15から19までのいずれか1項記載の制御方法。
【請求項21】
当該方法はさらに、
プリセットされた第3のコンフィギュレーション情報から前記第1の計算コンポーネントのコンフィギュレーションパラメータを取得するステップであって、該コンフィギュレーションパラメータは、前記第1の計算コンポーネントにより使用されるAI計算アーキテクチャの複数の属性値を有する、ステップと、
前記コンフィギュレーションパラメータを前記第1の計算コンポーネントに送信するステップであって、前記第1の計算コンポーネントは、前記AI計算アーキテクチャの複数の属性の値を、前記複数の属性値にセットする、ステップと、
を有する、請求項18記載の制御方法。
【請求項22】
当該方法はさらに、
プリセットされた第4のコンフィギュレーション情報からトレーニングデータを取得し、前記トレーニングデータを前記第1の計算コンポーネントに送信するステップであって、前記第1の計算コンポーネントは、前記トレーニングデータを使用することによって、前記第1の計算コンポーネント内の前記AI計算アーキテクチャをトレーニングする、ステップ
を有する、請求項21記載の制御方法。
【請求項23】
産業オートメーションシステム内のコントローラ(40)に適用される制御装置(41)であって、当該制御装置(41)は、
前記産業オートメーションシステムにおいてデータを取得するように構成された生産データ取得ユニット(411)と、
フィールドバス(60)に接続された人工知能(AI)計算装置(20)内の第1の計算コンポーネント(23)に前記データを送信するように構成されたタスク送信ユニット(412)と、
前記第1の計算コンポーネント(23)により前記データを分析することによって取得され、前記AI計算装置(20)により送信された分析結果を、前記フィールドバス(60)を使用することによって受信し、前記コントローラ(40)内の意思決定装置(42)が自動制御のための制御命令を生成するよう、該意思決定装置(42)に前記分析結果を供給するように構成された、結果収集ユニット(413)と
を有し、
前記AI計算装置(20)が、互いに異なる機能を備えた複数の計算コンポーネント(23)を有し、各計算コンポーネント(23)が1つの計算コンポーネント識別子に対応し、
前記タスク送信ユニット(412)が、1つの計算コンポーネント識別子と、該計算コンポーネント識別子に対応するパケットデータとを、前記AI計算装置(20)内の計算コンポーネント(23)に送信するように構成され
前記結果収集ユニット(413)は、前記計算コンポーネント識別子に対応する計算コンポーネントからのフィードバックデータと、前記計算コンポーネント識別子とが結合されたパケットを、前記AI計算装置(20)から受信するように構成されている、
制御装置(41)。
【請求項24】
当該制御装置(41)はさらにコンフィギュレーションユニット(414)を有し、
前記コンフィギュレーションユニット(414)は、プリセットされた第3のコンフィギュレーション情報から前記第1の計算コンポーネント(23)のコンフィギュレーションパラメータを取得するように構成されており、前記コンフィギュレーションパラメータは、前記第1の計算コンポーネント(23)のAI計算アーキテクチャ(231)の複数の属性値を有し、
さらに前記コンフィギュレーションユニット(414)は、前記コンフィギュレーションパラメータを前記第1の計算コンポーネント(23)に送信して、前記AI計算アーキテクチャ(231)の複数の属性の値を、前記複数の属性値にセットするように構成されている、
請求項23記載の制御装置(41)。
【請求項25】
当該制御装置(41)はさらにトレーニングユニット(415)を有し、該トレーニングユニット(415)は、プリセットされた第4のコンフィギュレーション情報からトレーニングデータを取得し、前記第1の計算コンポーネント(23)が、前記トレーニングデータを使用することによって前記AI計算アーキテクチャ(231)をトレーニングするよう、前記トレーニングデータを前記第1の計算コンポーネント(23)に送信するように構成されている、請求項24記載の制御装置(41)。
【請求項26】
産業オートメーションシステムであって、該産業オートメーションシステムは、エンジニアステーション(ES)(30)、コントローラ(40)、生産機器、および人工知能(AI)計算装置(20)、ならびにこれらの装置を接続するフィールドバス(60)を有し、
前記ES(30)は以下のように構成されている、すなわち、
装置コンフィギュレーションインタフェースを提供し、該装置コンフィギュレーションインタフェースからコンフィギュレーション情報を受信し、該コンフィギュレーション情報は、前記AI計算装置(20)に関する情報を有し、該コンフィギュレーション情報を前記コントローラにロードし、前記AI計算装置(20)に対応する制御ロジックを取得し、該制御ロジックを前記コントローラ(40)にロードし、
前記コントローラ(40)は以下のように構成されている、すなわち、
前記制御ロジックを実行し、当該産業オートメーションシステムにおいて複数の生産パラメータの値を取得し、該複数の生産パラメータの値を前記AI計算装置(20)に送信し、該AI計算装置(20)により送信された分析結果を受信し、該分析結果に基づき、前記生産機器のための制御命令を生成し、
前記AI計算装置(20)は以下のように構成されている、すなわち、
前記フィールドバス(60)を使用することによって、前記コントローラ(40)により送信された前記複数の生産パラメータの値を受信し、分析結果を取得するために前記複数の生産パラメータの値を分析し、前記フィールドバス(60)を使用することによって前記分析結果を前記コントローラ(40)に送信し、
前記AI計算装置(20)が、互いに異なる機能を備えた複数の計算コンポーネント(23)を有し、各計算コンポーネント(23)が1つの計算コンポーネント識別子に対応し、
前記コントローラ(40)が、1つの計算コンポーネント識別子と、該計算コンポーネント識別子に対応するパケットデータとを、前記AI計算装置(20)内の計算コンポーネント(23)に送信するように構成され
前記コントローラ(40)が、前記計算コンポーネント識別子に対応する計算コンポーネントからのフィードバックデータと、前記計算コンポーネント識別子とが結合されたパケットを、前記AI計算装置(20)から受信するように構成されている、
産業オートメーションシステム。
【請求項27】
請求項15から22までのいずれか1項記載の方法をプロセッサが実施できるようにすることが可能な機械可読命令を格納しているコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、産業オートメーションの分野に関し、特に人工知能(AI)計算装置、制御方法および制御装置、エンジニアステーション(ES)および産業オートメーションシステムに関する。
【0002】
発明の背景
産業生産の自律技術について長期にわたる継続的な開発を経て、いまやコンピュータコンピュータ技術を利用して産業生産プロセスを制御することができる。産業用自動制御システムは、情報管理および自動制御のために産業用制御コンピュータを介して、センサにより集められた産業生産における様々なパラメータを収集、分析および体系化する。現在、産業オートメーションシステムにおいてインテリジェント制御を実装することは、産業オートメーションの分野におけるトレンドになっている。制御チェーンにおいてインテリジェンスを実現するために課題となっているのは、従来の産業用コントローラでは十分な計算能力をもたらすことはできないこと、およびAIを制御システムに追加するためのフレキシブルな解決手段が見当たらないことである。
【0003】
発明の簡単な概要
この点に鑑み、本願の実施形態によれば、AIによる閉ループ制御を産業オートメーションシステムに実装し、このオートメーションシステムの制御能力および制御効率を改善するために使用される、AI計算装置、制御方法および制御装置、エンジニアステーションおよび産業オートメーションシステムが提案される。
【0004】
産業オートメーションシステムに適用される本願の実施形態のAI計算装置は、バックプレーン、通信コンポーネントおよび計算コンポーネントを有することができ、
バックプレーンは、バックプレーンバスおよびフィールドバスインタフェースを有し、この場合、バックプレーンバスは、通信コンポーネントおよび計算コンポーネントに接続されており、フィールドバスインタフェースは、産業オートメーションシステムのフィールドバスに接続可能であり、フィールドバスインタフェースを介してこのフィールドバスと通信可能であり、産業オートメーションシステムは少なくとも1つのコントローラを有し、
通信コンポーネントは、コントローラと計算コンポーネントとの間でデータ交換を実施し、
計算コンポーネントは、コントローラにより送信されたデータを、通信コンポーネントを介して受信し、組み込まれたAI計算アーキテクチャを使用することによって、これらのデータを分析し、通信コンポーネントを使用することによって分析結果をコントローラに送信する。
【0005】
ここでわかるように、各実施形態のAI計算装置はフィールドバスインタフェースを有し、これを産業オートメーションシステムのフィールドバスに直接、接続することができ、それによってプラグアンドプレイインテリジェント制御機能が提供され、制御システムの処理能力が強化される。これと同時に、AI計算装置がフィールドバスに直接、接続されており、これによってリアルタイムのインテリジェント閉ループ制御が容易になり、システムの制御効率が改善される。
【0006】
産業オートメーションシステム内のコントローラに適用される本願の実施形態の制御方法は、以下のステップを有することができる。すなわち、
産業オートメーションシステムにおいてデータを取得するステップと、
これらのデータを、フィールドバスに接続された人工知能(AI)計算装置に送信するステップと、
AI計算装置によりこれらのデータを分析することにより取得された分析結果を、フィールドバスを介して受信し、この分析結果をコントローラ内の意思決定装置に供給し、これによって意思決定装置は自動制御のための制御命令を生成するステップと
を有することができる。
【0007】
ここでわかるように、各実施形態の制御方法は、フィールドバスに接続されたAI計算装置を使用することによってデータを分析し、分析結果を使用して自動制御命令を生成し、このようにすることで、既存の機器を置き換えることなく、または既存の機器の処理能力により制約されることなく、コントローラの処理能力が改善され、リアルタイムのインテリジェント閉ループ制御が実現される。
【0008】
産業オートメーションシステム内のコントローラに適用される本願の実施形態の制御装置は、以下を有することができる。すなわち、
産業オートメーションシステムにおいてデータを取得するように構成された生産データ取得ユニットと、
これらのデータを、フィールドバスに接続された人工知能(AI)計算装置内の第1の計算コンポーネントに送信するように構成されたタスク送信ユニットと、
フィールドバスを使用することによって、第1の計算コンポーネントによりデータを分析することにより取得され、AI計算装置により送信された分析結果を受信し、コントローラ内の意思決定装置が自動制御のための制御命令を生成するよう、この意思決定装置に分析結果を供給するように構成された、結果収集ユニットと
を有することができる。
【0009】
ここでわかるように、各実施形態の制御装置は、フィールドバスに接続されたAI計算装置を使用することによってデータを分析し、分析結果を使用して自動制御命令を生成し、このようにすることで、既存の機器を置き換えることなく、または既存の機器の処理能力により制約されることなく、コントローラの処理能力が改善され、リアルタイムのインテリジェント閉ループ制御が実現される。
【0010】
産業オートメーションシステムのフィールドバスに接続された本願の実施形態のエンジニアステーションは、プロセッサおよびメモリを有することができ、この場合、メモリは機械可読命令を有し、プロセッサにより以下のためにこの命令を実行可能である、すなわち、
装置コンフィギュレーションインタフェースを提供し、
この装置コンフィギュレーションインタフェースから装置コンフィギュレーション情報を受信し、この装置コンフィギュレーション情報は、AI計算装置の識別子と、このAI計算装置内の少なくとも1つの計算コンポーネントの計算コンポーネント識別子とを有し、AI計算装置は、フィールドバスインタフェースを使用することによりフィールドバスに接続されており、装置コンフィギュレーション情報を産業オートメーションシステムのコントローラに送信し、それによりコントローラは、装置コンフィギュレーション情報を使用することによってAI計算装置と通信し、
AI計算装置に対応する制御ロジックを取得し、装置コンフィギュレーションインタフェースから、AI計算装置のための制御コンフィギュレーション情報を受信し、この制御コンフィギュレーション情報は、少なくとも1つの計算コンポーネントのうち第1の計算コンポーネントの計算パラメータを有し、制御コンフィギュレーション情報を制御ロジックにロードし、この制御ロジックをコントローラにロードし、この場合、制御ロジックは、コントローラが第1の計算コンポーネントをコンフィギュレーションできるようにするために使用され、産業オートメーションネットワーク内のデータを、分析のために第1の計算コンポーネントに送信し、この第1の計算コンポーネントによりフィードバックされた分析結果を取得する。
【0011】
ここでわかるように、各実施形態のエンジニアステーションは、フィールドバスを介してコントローラをコンフィギュレーションすることができ、それによって、産業オートメーションシステムにおけるリアルタイムのインテリジェント閉ループ制御のために、コントローラとAI計算装置との間の通信が実現される。
【0012】
本願の実施形態の産業オートメーションシステムは、エンジニアステーション(ES)、コントローラ、生産機器およびAI計算装置、ならびにこれらの装置を接続するためのフィールドバスを有することができ、
ESは以下のように構成されており、すなわち、
装置コンフィギュレーションインタフェースを提供し、この装置コンフィギュレーションインタフェースからコンフィギュレーション情報を受信し、この場合、コンフィギュレーション情報は、AI計算装置に関する情報を有し、このコンフィギュレーション情報をコントローラにロードし、AI計算装置に対応する制御ロジックを取得し、この制御ロジックをコントローラにロードし、
コントローラは以下のように構成されており、すなわち、
制御ロジックを実行し、産業オートメーションシステムにおいて複数の生産パラメータの値を取得し、これら複数の生産パラメータの値をAI計算装置に送信し、このAI計算装置により送信された分析結果を受信し、この分析結果に基づき、生産機器のための制御命令を生成し、
AI計算装置は以下のように構成されており、すなわち、
フィールドバスを使用することによって、コントローラにより送信された複数の生産パラメータの値を受信し、分析結果を取得するために複数の生産パラメータの値を分析し、フィールドバスを使用することによって分析結果をコントローラに送信する。
【0013】
ここでわかるように、各実施形態の産業オートメーションシステムは、フィールドバスに接続されたAI計算装置を使用することによって、システムの制御能力を改善し、これと同時に、リアルタイムのインテリジェント閉ループ制御も実現することができる。
【0014】
本願の実施形態によれば、機械可読命令を格納しているコンピュータ可読記憶媒体も提供され、この場合、機械可読命令は、実施形態の制御方法をプロセッサが実施できるようにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
当業者が本願の上述のおよびその他の特徴ならびに利点の理解を深めることになるよう、本願の好ましい実施形態について図面を参照しながら以下で詳しく説明する。
図1】本願の実施形態の産業オートメーションシステムを示す図である。
図2】本願の実施形態のAI計算装置を示す図である。
図3】本願の実施形態のAI計算装置における内部データ通信のロジックを示す図である。
図4】本願の実施形態のAI計算装置における内部データ処理のロジックを示す図である。
図5】本願の実施形態のAI計算アーキテクチャの状態マシンを示す図である。
図6】本願の実施形態の制御方法を示す図である。
図7】本願の実施形態の制御装置を示す図である。
図8】本願の実施形態のエンジニアステーションを示す図である。
図9】本願の実施形態の生産プロセスを示す図である。
【0016】
特定の実施形態
本願の目的、技術的解決手段および利点を明確にするため、以下の例示的な実施形態によってさらに本願について詳しく説明する。
【0017】
産業オートメーションシステムの制御メカニズムにおけるコントローラの計算能力の制約を克服する目的で、本願の実施形態が提案するのは、人工知能計算能力を備えたAI計算装置を産業オートメーションシステムの制御ループに追加し、それによってシステムの自律制御能力を強化し、制御チェーンにおけるインテリジェンスを実現することである。図1には、本願の実施形態の産業オートメーションシステムが示されている。産業オートメーションシステム10は、製造および生産のために手動で動作させられる機械および機械システムを置き換えるために、自動制御装置および自動調整装置を使用する産業生産システムである。図1に示されているように、システム10は、AI計算装置20、エンジニアステーション(ES)30、コントローラ40、およびこれらの装置を接続するフィールドバス60を有することができる。
【0018】
産業用データバスとしても知られているフィールドバス60は、産業生産現場におけるコントローラ40、データ取得機器(図示せず)およびアクチュエータ(図示せず)といったフィールド装置間のディジタル通信、ならびにこれらのフィールド装置と(ES30のような)高度制御システムとの間の情報伝送を実装するために使用される。フィールドバス60を、ProfiBus、InterBus、Controller Area Network(CAN)バスおよびAddressable Remote Transducer(HART)バスといった、ある特定のフィールドバス技術を利用して実装することができる。
【0019】
コントローラ40を、1つまたは複数の産業用コントローラとすることができ、たとえばプログラマブルロジック(PLC)コントローラ、PCバス産業用コンピュータ(IPC)コントローラ、分散制御システム(DCS)コントローラ、フィールドバス制御システム(FCS)コントローラ、コンピュータ数値制御(CNC)コントローラなどとすることができる。コントローラ40は、生産現場における様々なデータ取得機器(インテリジェント機器、センサなど)、およびアクチュエータ(電流調整バルブ、電圧調整バルブ、供給バルブなど)と通信することができ、生産機器の生産プロセスを監視および制御することができる。生産機器(図示せず)とは、機械ツール、ラッチ、組み立てライン機器など産業生産および産業製造のために使用される1つまたは複数の機器の集合体のことを指す。生産機器がフィールドバスインタフェースを備えたプログラム制御型機器であるならば、コントローラ40は、フィールドバス60を介して生産機器と通信し、生産機器のプロセス情報を収集し、生産機器の生産プロセスを監視および制御することもできる。
【0020】
コントローラ40は、生産機器の様々なパラメータ値(以下では生産パラメータ値および生産プロセスデータとも称する)を取得し、これらの生産パラメータ値に従って生産機器の動作を制御することができる。生産パラメータを、電圧、電流、モータ速度、未加工材料の供給速度など、生産機器の生産プロセスに関連する任意のパラメータとすることができる。生産パラメータの値を、データ取得機器またはプログラム制御型生産機器から取得することができる。コントローラ40は、アクチュエータに制御命令を送信することによって、生産パラメータの値を調整することもできる。アクチュエータは、コントローラ40の制御信号を受信し、生産パラメータの値を変更するために相応の調整アクションを実施することができる。
【0021】
AI計算装置20は、AI計算能力を備えたプラグアンドプレイ装置であり、フィールドバスインタフェースを介してこの装置をフィールドバスに接続することができる。AI計算装置20は、フィールドバス60を使用することによって、コントローラ40内の制御装置41により送信された複数の生産パラメータの値を受信し、分析結果を取得するためにこれら複数の生産パラメータの値を分析し、フィールドバス60を使用することによって分析結果をコントローラ40に送信することができ、このようにすることでコントローラ40内の意思決定装置42は、分析結果に基づき自動制御のための制御命令を生成することができる。いくつかの実施形態によれば、システム10を複数のAI計算装置20に接続することができる。複数のAI計算装置20は、それぞれ異なるAI機能を備えた装置を含むことができ、または冗長バックアップまたは負荷分散を提供するために複数の同一の装置を含むことができる。
【0022】
コントローラ40がAI計算装置20を識別および使用できるようにする目的で、コントローラ40をES30においてAI計算装置20のためにコンフィギュレーションすることができる。ES30とは、産業プロセス制御エンジニアにより使用される産業プロセス監視および管理機器のことを指す。これにより産業制御システム内のコントローラ40をコンフィギュレーションすることができ、そのようにしてコントローラ40は、生産現場における他の機器と通信し、データ処理を実施し、生産プロセスを監視および制御するための制御決定を下すことができる。
【0023】
ES30は、装置コンフィギュレーションインタフェースを提供し、この装置コンフィギュレーションインタフェースからAI計算装置20に関するコンフィギュレーション情報を受信し、このコンフィギュレーション情報をコントローラ40にロードすることができる。コントローラ40は、AI計算装置20と通信するためにコンフィギュレーション情報を使用する。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、ES30の装置コンフィギュレーションインタフェースは、ヒューマン-マシンインタラクションインタフェースを有することができる。ES30は、このヒューマン-マシンインタラクションインタフェースを介して、システム10における各装置のコンフィギュレーションおよび動作を表示することができ、このヒューマン-マシンインタラクションインタフェースを介して、コンフィギュレーションインタフェースを表示することができる。ヒューマン-マシンインタラクションインタフェース内のコンフィギュレーションインタフェースにおけるオペレータの動作に応答して、ES30は、装置の追加、削除、装置コンフィギュレーション情報の追加、装置コンフィギュレーション情報の変更、装置コンフィギュレーション情報の削除など、様々な装置コンフィギュレーション動作を達成することができる。装置コンフィギュレーションインタフェースから受信されたコンフィギュレーション情報は、ES30においてオペレータによって入力されたテキスト情報(AI計算装置のIDおよびアドレスなど)、装置コンフィギュレーションインタフェースを介してオペレータにより入力または選択されたパスから取得されたコンフィギュレーションファイル、制御ロジックなどを有することができる。オペレータにより入力または選択されたパスを、ES30の内蔵記憶装置内の記憶パス、ES30の外部拡張記憶装置内のパス、またはネットワーク上のロケーション(URLなど)とすることができる。いくつかの実施形態によれば、コントローラ40がAI計算装置20と通信できるように、コンフィギュレーション情報は、AI計算装置20のID(たとえばメディアアクセスコントロール(MAC)アドレス、装置名など)を有することができる。いくつかの実施形態によれば、コンフィギュレーション情報は、AI計算プロセスを実施するためにAI計算装置20により要求される複数の生産パラメータに関する情報を有することもでき、それによってコントローラ40は、センサにより収集されたこれらの生産パラメータの値をAI計算装置20に供給することができる。
【0025】
いくつかの実施形態の場合、ES30は、AI計算装置20に対応する制御ロジック31を取得し、この制御ロジック31をコントローラ40にロードすることもできる。たとえばES30は、装置コンフィギュレーションインタフェースを介してオペレータにより入力または選択されたパスから、制御ロジック31を取得することができる。オペレータにより入力または選択されたパスを、ES30の内蔵記憶装置内の記憶パス、ES30の外部拡張記憶装置内のパス、またはネットワーク上のロケーション(URLなど)とすることができる。ES30は、制御ロジック31により提供されるインタフェースを介して、制御ロジック31の機能をコンフィギュレーションおよび編集することもできる。コントローラ40は、制御ロジック31を実行することによってAI計算装置20を制御する。複数の生産パラメータに関する上述の情報を、制御ロジック31により提供されるインタフェースを介して制御ロジック31にロードすることもできる。コントローラ40は、制御ロジック31を実行することによりこれらの生産パラメータの値を取得し、これらをAI計算装置20に供給する。いくつかの実施形態によれば、AI計算装置20は、通信コンポーネント22および1つまたは複数の計算コンポーネント23を有することができる。AI計算装置20は、それぞれ異なるAI機能を備えた複数の計算コンポーネント23、または同じ機能を備えた複数の計算コンポーネントを有することができる。それぞれ異なるAI機能を備えた計算コンポーネント23をそれぞれ異なる制御ロジック31に対応するものとすることができ、それぞれ異なるAI機能を備えた計算コンポーネント23を、同じ制御ロジック31によって制御することができる。
【0026】
各実施形態の産業オートメーションシステムは、フィールドバスインタフェースを備えたAI計算装置を使用することによって、既存の装置を置き換える必要なく、または既存の装置の処理能力による制約を伴わずに、プラグアンドプレイインテリジェント制御機能、および制御システムのいっそう良好な処理能力を有する。これと同時に、AI計算装置はフィールドバスに直接、接続されており、生産プロセスデータは現場で直接、分析および処理され、これによってリアルタイムのインテリジェント閉ループ制御が容易になり、制御効率が改善される。
【0027】
プラグアンドプレイを実現する目的で、AI計算装置20は、フィールドバスに接続可能な物理的インタフェースを有し、通信のために産業オートメーションシステムにより使用される産業通信プロトコルをサポートする。以下では、説明のために1つの実施例として、AI計算装置20の実装について取り上げる。図2には、本願の実施形態のAI計算装置が示されている。図2に示されているように、AI計算装置20は、バックプレーン21、通信コンポーネント22、および計算コンポーネント23を有することができる。バックプレーン21は、バックプレーンバス211およびフィールドバスインタフェース212を有する。バックプレーンバス211は、通信コンポーネント22および計算コンポーネント23を接続するために使用される。フィールドバスインタフェース212を、フィールドバス60に接続し、フィールドバスインタフェースを介してフィールドバス60と通信することができる。フィールドバスインタフェース212は、ProfiBus、InterBus、CAN、HARTなど、フィールドバス60により使用されるフィールドバス技術に準拠したインタフェースである。バックプレーンバス211は、要求に従い設計されたバス技術または既存のデータ伝送バスなど、任意のバス技術を使用することができる。たとえば、バックプレーンバス211により提供されるバックバックプレーンバスインタフェースを、低電圧差動信号インタフェース、S422インタフェース、RS485インタフェースなどとすることができる。
【0028】
通信コンポーネント22は、コントローラ40と計算コンポーネント23との間でデータ交換を実施する。
【0029】
計算コンポーネント23はAI計算アーキテクチャを有する。いくつかの実施形態によれば、AI計算アーキテクチャは、機械学習ロジックおよびニューラルネットワークアルゴリズムといったAI計算ロジックを有することができる。いくつかの実施形態によれば、AI計算アーキテクチャは、AI計算のためにカスタマイズされた高度な計算性能を備えた特別なハードウェア(GPU、FPGA、ASIC、ニューラルネットワークプロセッサなど)を有することもできる。計算コンポーネント23は、コントローラ40により送信されたデータを、通信コンポーネント22を介して受信し、組み込まれたAI計算アーキテクチャを使用することによってこれらのデータを分析し、通信コンポーネント22を使用することによって分析結果をコントローラ40に送信することができる。
【0030】
各実施形態のAI計算装置20はフィールドバスインタフェースを有しており、したがって産業オートメーションシステムにおいてプラグアンドプレイインテリジェント制御機能を提供し、制御システムの処理能力を強化することができる。これと同時にAI計算装置は、生産プロセスデータを生産現場で分析および処理することができ、これによってリアルタイムのインテリジェント閉ループ制御が容易になり、制御効率が改善される。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、AI計算装置20とコントローラとの間の通信を実現する目的で、通信コンポーネント22は、産業通信プロトコル(PROFINET、EtherCatなど)により定義されたパケットフォーマットを使用することによって、フィールドバス60と通信することができる。通信コンポーネント22は、産業通信プロトコルにより定義されたパケットフォーマットを使用して、コントローラ40により送信されたパケットを構文解析し、構文解析から取得されたパケットの内容を計算コンポーネント23に送信することができる。通信コンポーネント22は、パケットフォーマットを使用して、計算コンポーネント23により送信されたフィードバックデータをカプセル化し、カプセル化されたパケットをコントローラ40に送信することもできる。既存の産業通信プロトコルのパケットを使用することによりコントローラ40と通信することによって、ネットワークを変更することなく、既存の産業通信ネットワークにそのままAI計算装置20を実装しやすくなる。いくつかの実施形態によれば、通信コンポーネント22を、FPGA、ASIC、集積回路、産業通信チップなどとして実装することができる。
【0032】
AI計算装置20は、1つまたは複数の計算コンポーネント23を有することができる。AI計算装置20内に1つの計算コンポーネント23が設けられているならば、通信コンポーネント22は、計算コンポーネント23とコントローラ40との間でデータを転送することができる。AI計算装置20が複数の計算コンポーネント23を有するならば、通信コンポーネント22は、各計算コンポーネント23の計算コンポーネント識別子を使用して、各計算コンポーネント23とコントローラ40との間の通信を実現することができる。いくつかの実施形態によれば、通信コンポーネント22は、コントローラ40により送信された産業通信プロトコルに準拠したパケット(これをAI計算装置20により送信されたパケットと区別するため、以下では第1のパケットと称する)を、フィールドバスインタフェース212を介して受信することができる。特に、第1のパケットはヘッダおよびペイロードを有する。ペイロードは、計算コンポーネント23の1つまたは複数の識別子(以下では計算コンポーネント識別子と称する)、および各計算コンポーネント識別子に対応するパケットデータまたはパケット内容を有する。計算コンポーネント23の計算コンポーネント識別子は、AI計算装置20内の各計算コンポーネント23を区別するために使用される。この識別子を、名称、シリアル番号など、または生産中に計算コンポーネント23においてコンフィギュレーションされた装置識別コード、またはコントローラ40により割り当てられた他の識別子とすることができる。通信コンポーネント22は、産業通信プロトコルにより定義されたパケットフォーマットに従った第1のパケットから、計算コンポーネント23の識別子およびこの識別子に対応するパケットデータを構文解析し、この識別子に対応する計算コンポーネント23に、バックプレーンバス211を介してパケットデータを送信することができる。通信コンポーネント22は、バックプレーンバス211を介して、第1の計算コンポーネント23からフィードバックデータを受信し(第1の計算コンポーネント23は複数の計算コンポーネント23のうち1つの計算コンポーネント)、このフィードバックデータを、パケットデータとして第1の計算コンポーネント23の計算コンポーネント識別子と結合して、産業通信プロトコルにより定義されたパケットフォーマットで1つのパケットを生成し(これをコントローラ40により送信されたパケットと区別するため、以下では第2のパケットと称する)、フィールドバスインタフェース212を介してコントローラ40に第2のパケットを送信することもできる。特にフィードバックデータは、計算コンポーネント23によりメッセージデータを処理した結果であり、これを使用してコントローラ40は、AI計算装置20または他の機器(生産機器、アクチュエータなど)に対する制御決定を生成する目的で、計算コンポーネント23の状態、分析結果などを取得することができる。たとえば、パケットデータがコンフィギュレーション情報であるならば、フィードバックデータを、コンフィギュレーションが完了したという確認パケットとすることができる。パケットデータがトレーニング命令であるならば、フィードバックデータをトレーニング結果とすることができる。パケットデータが生産プロセスデータであるならば、フィードバックデータを生産プロセスデータの分析結果とすることができる。このようにして、計算コンポーネント23の識別子を通信に追加することによって、コントローラ40は、AI計算装置20内の多数の計算コンポーネント23と通信することができる。単一のAI計算装置20は、s個の複数の計算コンポーネント23を有することができ、これによって単一のAI計算装置20の計算能力および計算性能が格段に向上する。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、計算コンポーネント23とコントローラ40との間で交換されるデータを、複数のタイプに分類することができる。たとえばこれらのデータを、優先順位、伝送時間要求などに応じて複数のタイプに分類することができる。通信コンポーネント22は、受信したデータのタイプに応じて、プリセットされた処理ストラテジに従いデータを処理することができる。プリセットされた処理ストラテジは、データ処理シーケンスに関するストラテジ、データ伝送シーケンスに関するストラテジ、データ伝送方式に関するストラテジなどを有することができる。いくつかの実施形態によれば、種々のタイプのデータのために、種々のタイプの論理伝送チャネルをプリセットすることができる。通信コンポーネント22は、コントローラ40により送信された第1のパケット内のデータに対応するデータチャネル識別子に従いデータのタイプを判定し、このタイプに対応する処理ストラテジに従いデータを処理し、バックプレーンバス211を介して第1の計算コンポーネント23により供給されたデータのタイプを取得し、フィードバックデータのタイプと一致するようプリセットされた伝送チャネルを使用することにより、フィードバックデータに対応する第2のパケットをコントローラ40に、フィールドバスインタフェース212を介して送信することができる。
【0034】
図3には、本願の実施形態のAI計算装置20における計算コンポーネント23と通信コンポーネント22との間の内部データ通信について示されている。図3に示されているように、AI計算装置20内の1つまたは複数の計算コンポーネント23は、フィードバックデータおよびそのタイプを通信コンポーネント22に送信することができる。通信コンポーネント22は、フィードバックデータをフィードバックデータのタイプに従ってそれぞれ異なるデータチャネルにマッピングし、フィールドバスインタフェース212を介してこのフィードバックデータをフィールドバス60に伝送する。この実施例の場合、フィードバックデータのタイプは、周期データ221、非周期データ222、診断サービスデータ223などを有することができる。
【0035】
図4には、本願の実施形態における種々の論理チャネルを介したAI計算装置20の計算コンポーネント23とコントローラ40との間のデータ通信について示されている。図4に示されているように、AI計算装置20とコントローラ40との間の論理チャネル(以下ではIOチャネル27とも称する)は、第1の伝送チャネル271および第2の伝送チャネル272として分類されている。第1の伝送チャネル271は非周期伝送チャネルであり、すなわちその伝送タイミングは周期的ではなく、必要があるときだけデータを伝送する。第2の伝送チャネル272は周期伝送チャネルであり、一定のタイムインターバルでデータを伝送する。第1の伝送チャネル271および第2の伝送チャネル272を、これらの伝送チャネルのチャネル識別子によって区別することができる。
【0036】
図4の場合、計算コンポーネント23は、第1の伝送チャネル271を介してコントローラ40と記録データを交換することができる。記録データを、コンフィギュレーション情報(AI計算アーキテクチャの構造に関するコンフィギュレーション情報、AI計算アーキテクチャ231の入力パラメータおよび出力パラメータに関するコンフィギュレーション情報等)、トレーニングデータなどのような、重要性が低いデータまたはリアルタイム通信の必要性が低いデータとすることができる。計算コンポーネント23は、コンフィギュレーション情報を内蔵コンフィギュレーションデータ記憶モジュール232に格納し、トレーニングデータをトレーニングデータ記憶モジュール233に格納することができる。いくつかのケースにおいて、計算コンポーネント23は、内蔵コンフィギュレーションデータ記憶モジュール232内のコンフィギュレーション情報を、第1の伝送チャネル271を介してコントローラ40に送信することができ、コントローラ40は、コンフィギュレーション情報に従って他のモジュールの計算アーキテクチャを調節することができる。
【0037】
図4の場合、計算コンポーネント23は、第2の伝送チャネル272を介してコントローラ40と制御データを交換することもできる。たとえば制御データは、コントローラ40により送信されたAI計算アーキテクチャのための状態切替命令、コントローラ40により送信された分析すべき生産プロセスデータ、計算コンポーネント23により送信されたAI計算アーキテクチャ231の状態レポートなどを有することができる。
【0038】
計算コンポーネント23は、コントローラ40により送信された状態切替命令に従って、AI計算アーキテクチャ231の動作状態を変更するための状態切替モジュール235を有することができる。たとえば状態切替モジュール235は、第2の伝送チャネル272を使用してAI計算アーキテクチャ231の現在の動作状態を、通信コンポーネント22を介してコントローラ40に送信し、コントローラ40により送信された状態切替命令を、通信コンポーネント22を介して受信して、AI計算アーキテクチャ231を第1の動作状態から第2の動作状態へ切り替えることができる。たとえば状態切替モジュール235は、AI計算アーキテクチャ231の状態を、初期状態ワード(ISW)を使用することにより第2の伝送チャネル272を介してコントローラ40に送信し、コントローラ40により送信された動作制御ワード(OCW)に従い、AI計算アーキテクチャ231の状態を切り替えることができる。
【0039】
状態切替モジュール235は、コントローラ(40)により供給された現在の動作状態に対応するデータを、AI計算アーキテクチャ(231)の現在の動作状態に従い、AI計算アーキテクチャ(231)に入力することもできる。たとえば、AI計算アーキテクチャ231がトレーニング状態であるならば、状態切替モジュール235は、第1の伝送チャネル271を介してコントローラ40により送信されてトレーニングデータ記憶モジュール233に格納されているトレーニングデータを、AI計算アーキテクチャ231をトレーニングするためにAI計算アーキテクチャ231に入力することができる。たとえば、AI計算アーキテクチャ231が動作状態にあるならば、状態切替モジュール235は、第2の伝送チャネル272を介してコントローラ40により送信された周期的に分析すべきデータを、AI計算アーキテクチャ231に入力することができ、これによってAI計算アーキテクチャ231は分析結果を出力することができる。AI計算アーキテクチャ231によって生成された分析結果を、第2の伝送チャネル272を介してコントローラ40にフィードバックすることもできる。
【0040】
このようにして、種々のタイプのデータを伝送するためにそれぞれ異なる伝送チャネルを使用することによって、AI計算装置20のデータ応答能力および処理効率が改善される。
【0041】
1つまたは複数のAI計算装置20をシステム10内に設けることができ、各AI計算装置20は、1つまたは複数の計算コンポーネント23を有することができ、それぞれ異なる計算コンポーネント23が、それぞれ異なる機能を備えたAI計算アーキテクチャ231を有することができる。AI計算アーキテクチャ231によって実装可能な機能は、以下に限定されるものではないが、オンラインパラメータ最適化、プロセス監視、故障診断などである。
【0042】
たとえば、AI計算アーキテクチャ231が、オンライン最適化のための最適化計算プロセスを有するならば、AI計算アーキテクチャ231は、プリセットされた最適化計算プロセスを実行して、生産プロセスデータにおける複数の生産パラメータを最適化し、複数の生産パラメータの推奨値を出力することができる。いくつかの実施例によれば、計算モジュール23はこれらの推奨値を、コントローラ40により分析結果として識別可能な生産調節推奨に変換することもできる。生産調節推奨は、複数の生産パラメータのうちの少なくとも1つの推奨値を有する。いくつかの実施例によれば、推奨値に対する処理ストラテジをプリセットすることができる。たとえば閾値をプリセットすることができ、推奨値とある1つのパラメータの現在の値との差が閾値よりも大きくなければ、そのパラメータに対する調節推奨を分析結果から除外することができる。これによって、生産パラメータに対する頻繁で不必要な変更が回避される。
【0043】
他の実施例の場合、AI計算アーキテクチャ231が状態監視のためのパラメータ測定プロセスを有するならば、AI計算アーキテクチャ231は、プリセットされたパラメータ測定プロセスを実行して、生産プロセスデータにおける複数の生産パラメータを測定し、複数の生産パラメータが正常であるか否かを表すパラメータ測定結果を出力することができる。いくつかの実施例によれば、計算モジュール23はパラメータ測定結果を、コントローラ40により分析結果として識別可能な状態監視レポートに変換することもでき、この状態監視レポートは、生産機器の状態が正常であるか否かを表すための情報を有する。
【0044】
さらに別の実施例の場合、AI計算アーキテクチャ231が故障診断プロセスを有するならば、AI計算アーキテクチャ231は、プリセットされた故障診断プロセスを実行することができ、このプロセスによれば、故障診断を実行するために生産プロセスデータにおける複数の生産パラメータの値が使用され、故障診断結果が出力される。故障診断結果は、システム10内のある1つのコンポーネント(たとえば収集器、アクチュエータ、生産機器など)に関する情報を有する。いくつかの実施例によれば、計算モジュール23は故障診断結果を、コントローラ40により分析結果として識別可能な故障レポートに変換することもでき、この故障レポートはコンポーネントに関する情報を有する。
【0045】
種々の機能を備えたAI計算アーキテクチャ231を採用することによって、産業オートメーションシステムの制御能力を向上させることができる。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、計算コンポーネント23は、AI計算アーキテクチャ231をコンフィギュレーションするためのコンフィギュレーションユニット(図示せず)を有することもできる。コンフィギュレーションユニットは、通信コンポーネント22を介してコントローラ40により送信されたコンフィギュレーションパラメータを受信することができ、この場合、コンフィギュレーションパラメータは、AI計算アーキテクチャ231の複数の属性値を有し、AI計算アーキテクチャ231に対応する複数の属性から成る値を、コンフィギュレーションパラメータにおける複数の属性値としてセットする。たとえば、複数の属性値は構造に関する属性値を有することができ、コンフィギュレーションユニットは、コンフィギュレーションパラメータにおける構造に関する属性値を使用して、AI計算アーキテクチャ231のコンポーネント、およびAI計算アーキテクチャ231におけるニューラルネットワークの階層構造のような接続方法をセットすることができる。種々のAI機能および種々の生産プロセスは、それぞれ異なる計算要求を有する。ES30はコントローラ40に対し、要求されるAI計算アーキテクチャの構造に関する情報をコンフィギュレーションすることができ、コントローラ40は対応する計算コンポーネント23をコンフィギュレーションする。別の実施例の場合、複数の属性値は、第1のパラメータおよび第2のパラメータを有することができ、第1のパラメータは、生産機器の1つまたは複数の生産パラメータである。コンフィギュレーションユニットは、第1のパラメータをAI計算アーキテクチャ231の入力パラメータとしてセットすることができ、第2のパラメータをAI計算アーキテクチャ231の出力パラメータとしてセットすることができる。種々の生産プロセスは、それぞれ異なる生産パラメータを有する。ES30はコントローラ40に対し、使用すべき生産パラメータの情報をコンフィギュレーションすることができ、コントローラ40は対応する計算コンポーネント23をコンフィギュレーションする。コンフィギュレーションユニットは、コンフィギュレーションデータ記憶モジュール232内にコンフィギュレーションパラメータを保存することもできる。計算コンポーネント23のオープンなコンフィギュレーションインタフェースによって、AI計算装置20の適用範囲が拡張され、種々の状況のための専用のAI計算装置20の開発に過度に大きなコストがかかる問題を解決することができる。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、状態切替モジュール235は、状態マシンのメカニズムを使用して、AI計算アーキテクチャ231の動作状態を管理することもできる。図5には、本願の実施形態のAI計算アーキテクチャの状態マシンが示されている。図5に示されているように、AI計算アーキテクチャ231は7つの状態を有することができ、すなわち初期化完了(S1)、トレーニング準備(S2)、トレーニング(S3)、トレーニングエラー(S4)、動作準備(S5)、動作中(S6)、および動作エラー(S7)を有することができる。動作とは、AI計算アーキテクチャ231がトレーニング済みモデルを使用して生産プロセスデータを分析する、というプロセスのことを指す。かくしてコントローラ40は、6つの制御ワードを使用して、AI計算アーキテクチャ231の状態遷移を制御することができる。これら6つの制御ワードは6つの信号によって実装される。たとえば、各ビットが1つの命令を表すことにより、6ビットの情報を使用して6つのタイプの制御ワードを表現することができる。たとえば、ビット1はトレーニング準備(S1からS2への遷移)を意味し、ビット2は動作起動(S1からS5への遷移)を意味し、ビット3はトレーニング開始(S2からS3への遷移)を意味し、ビット4は動作開始(S5からS6への遷移)を意味し、ビット5はトレーニング終了(S2/S3からS1への遷移)を意味し、ビット6は動作終了(S6/S5からS1への遷移)を意味する。1つの命令に対応するビットをセットするということは、AI計算アーキテクチャ231がその命令に対応する状態遷移動作を実行するよう要求される、ということを表す。AI計算アーキテクチャ231がS4またはS7のエラー状態に入ったならば、コントローラ40に状態S4またはS7を報告した後、コントローラ40からの命令を待つことなく、このエラー状態はそのままS1に入ることができる。状態マシンがAI計算アーキテクチャ231の状態管理を実行することで、AI計算アーキテクチャ231の動作制御がいっそう標準化され、管理がいっそう容易になる。
【0048】
コントローラ40は、計算コンポーネント23の状態マシンを使用して、複数の計算コンポーネント23の並列のタスクを同期させることもできる。たとえばコントローラ40は、計算タスクを複数の計算コンポーネント23に割り当て、各計算コンポーネント23は、計算完了後、状態ビットをS1にセットすることになる。このようにしたならばコントローラ40は、計算コンポーネント23がすべてS1に戻るのを待つだけよく、その後、計算コンポーネント23が現在同期しており、次の動作サイクルのために準備完了状態にある、と判定する。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、計算コンポーネント23は、コントローラ40の命令に従い計算コンポーネント23のワーキングモードを変更するために、エネルギー節約ユニット(図示せず)を有することもできる。エネルギー節約ユニットは、通信コンポーネント22を介してコントローラ40により送信された第1の命令を受信し、この第1の命令に従い低電力消費モードに入ることができ、通信コンポーネント22を介してコントローラ40により送信された第2の命令を受信し、この第2の命令に従い低電力消費モードから出ることができる。たとえば、PROFINETプロトコルが使用されているならば、オートメーションシステムが低電力消費モードに入ったときまたはこのモードから出たときに、コントローラ40はすべての装置に、これらの装置をスリープまたはウェイクアップさせるためのPROFIenergy命令を送信することになる。計算コンポーネント23は、コントローラ40により送信されたPROFIenergy命令に従って、低電力消費モードに入ることができ、またはこのモードから出ることができる。これによって、オートメーションシステムが低電力消費モードで動作中のときに、AI計算装置20のエネルギー消費を低減することができる。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、バックプレーン21は複数のスロットを有することができ、計算コンポーネント23は、これらのスロットを介してプラガブル拡張カード(pluggable expansion card)として、バックプレーンバス211に接続されている。AI計算装置20の計算能力を拡張する必要があるときには、このようにしてスロットを介して新たな計算コンポーネント23を接続することができる。計算コンポーネント23を置き換える必要があるとき(たとえばパラメータ最適化のための既存の計算コンポーネント23を故障診断のための計算コンポーネント23と置き換える必要があるとき)、既存の計算コンポーネント23をスロットから取り外すことができ、新たな計算コンポーネント23を挿入することができる。このプラガブル設計によって、AI計算装置20の計算能力を容易に拡張することができ、またはAI計算装置20のAI機能を容易に変更することができる。
【0051】
以下では、コントローラ40がAI計算装置20をどのように制御するのかについて説明する。図6は、本願の実施形態の制御方法のフローチャートである。この方法を、コントローラ40内の制御装置41によって実装することができる。この方法は以下のステップを有することができる。
【0052】
ステップS61では、産業オートメーションシステムにおいてデータを取得する。
【0053】
ステップS62では、産業オートメーションシステムのフィールドバス60を介して、このフィールドバス60に接続されたAI計算装置にデータを送信する。
【0054】
ステップS63では、AI計算装置20によりデータを分析することにより取得された分析結果を、フィールドバス60を介して受信し、この分析結果をコントローラ40内の意思決定装置42に供給し、これによって意思決定装置は生産機器に対する制御命令を生成する。
【0055】
各実施形態の制御方法において、生産プロセスデータを分析するために、フィールドバスインタフェースを備えたAI計算装置を使用することにより、産業オートメーションシステムにおいてインテリジェント閉ループ制御を実装して、制御効率を改善することができる。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、AI計算装置20に供給する必要がある生産パラメータを決定する目的で、制御装置41は、プリセットされた第1のコンフィギュレーション情報において複数の生産パラメータとして複数の入力パラメータをセットし、産業オートメーションシステム内のデータ取得機器により供給されたデータから、これら複数の生産パラメータの値を取得することができ、これらの値が生産プロセスデータとして使用されることになる。いくつかの実施形態によれば、制御装置41は、プリセットされた時間長のインタバールで生産プロセスデータとして先行の期間中にデータ取得機器により供給されたデータから、複数の生産パラメータの値を取得することができる。分析のために生産プロセスデータをAI計算装置20に周期的に送信することによって、現在の生産プロセスの分析結果を、比較的時宜を得た手法で取得することができ、このことによって生産パラメータの時宜を得た調節が容易になり、生産効率が改善される。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、生産プロセスデータがAI計算装置20に送信されると、制御装置41は、AI計算装置20内の第1の計算コンポーネント23の情報を、プリセットされた第2のコンフィギュレーションの情報から取得し、生産プロセスデータを第1のAI計算装置20内の第1の計算コンポーネント23に送信することができる。計算コンポーネント23の情報をコンフィギュレーション情報から取得すれば、計算コンポーネント23が置き換えられたときに、または他のコンポーネントが追加されたときに、コンフィギュレーション情報を更新するだけで制御装置41を適応的に調整するために便利でありかつフレキシブルである。
【0058】
AI計算装置20が複数の計算コンポーネント23を有する場合、制御装置41は、各計算コンポーネントと通信するためにこれらの計算コンポーネントの情報を取得する必要がある。いくつかの実施形態によれば、制御装置41は、複数の計算コンポーネントの情報が記録された第2のコンフィギュレーションの情報を取得することができる。いくつかの実施形態によれば、制御装置41は、複数の計算コンポーネントの情報が記録された第2のコンフィギュレーションの情報を取得することができる。
【0059】
負荷バランスを達成する目的で、制御装置41は、少なくとも1つのAI計算装置20から複数の計算コンポーネント23の負荷情報を取得し、この負荷情報に従い複数の計算コンポーネント23の中から1つの計算コンポーネント23を、第1の計算コンポーネント23として選択し、その計算コンポーネント23が属するAI計算装置20を、AI計算装置20としてセットすることができる。たとえば計算コンポーネント23は、自身の負荷情報(計算負荷、プロセッサ温度、計算帯域幅(秒ごとに完了する演算数)など)を、識別および保守(I&M)情報を通してコントローラ40にアップロードすることができる。コントローラ40は、負荷バランスアルゴリズム(たとえばパッキングアルゴリズムなど)に従い、計算タスクを計算コンポーネント23に割り当て、計算タスクに対応する生産プロセスデータを送信することができる。負荷分散のために複数の計算コンポーネント23を用いることによって、たとえ計算タスク数が多くても、制御システムの円滑な動作を保証することができ、動作効率を向上させることができる。計算タスクを割り当てるための方法は、使用されるAIアルゴリズムに依存する。たとえば複数の計算コンポーネント23は、それぞれ異なるパラメータまたはプロセスデータを、それぞれ異なる期間に、または同じデータセットをパラレルに、といったように処理することができる。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、制御装置41は、周期データを使用して、正規化された生産プロセスデータを一定のサイクルで計算コンポーネント23に入力し、計算コンポーネント23から出力された正規化された出力データを取得することができる。計算コンポーネント23の種々の構造によって、それぞれ異なる量の入力データおよび出力データが生成される可能性がある。各計算コンポーネント23によって使用されるパケット長(16バイト、64バイトなど)を、制御装置41のコンフィギュレーション情報において指定することができる。コンフィギュレーション情報を、たとえばコンフィギュレーションファイル、装置記述ファイルなどを通じて、ES30により制御装置41に供給することができる。たとえばコンフィギュレーションファイルをGSDMLファイルとすることができ、このファイルは、メーカー、通信ポート、モジュールおよびサブモジュール、アラーム診断などに関する情報を有することができる。各計算コンポーネント23によりサポートされるパケット長をコンフィギュレーションすることによって、制御装置41と各計算コンポーネント23との間のデータ通信を、効率的かつフレキシブルに実装することができる。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、種々の計算コンポーネントは、それぞれ異なる機能を備えたAI計算アーキテクチャ231を有することができ、それぞれ異なる機能を備えたAI計算アーキテクチャ231の出力データはやはりそれぞれ異なり、意思決定装置に供給される分析結果もまた同様である。
【0062】
たとえば、AI計算アーキテクチャ231が、オンライン最適化のための最適化計算プロセスを有するならば、AI計算アーキテクチャ231は、複数の生産パラメータを最適化する。制御装置41は、AI計算アーキテクチャ231から複数の生産パラメータ出力の推奨値を取得して、これらの推奨値を生産調節推奨に変換することができ、意思決定装置42は、これらを意思決定装置42に供給された分析結果として識別可能である。生産調節推奨は、複数の生産パラメータのうちの少なくとも1つの推奨値を有する。
【0063】
別の実施例の場合、AI計算アーキテクチャ231が状態監視のためのパラメータ測定プロセスを有するならば、AI計算アーキテクチャ231は複数の生産パラメータの値を測定する。制御装置41は、AI計算アーキテクチャ231から出力されたパラメータ測定結果を取得することができ、この場合、パラメータ測定結果は、複数の生産パラメータの値が正常か否かを表し、さらに制御装置41は、これらのパラメータ測定結果を状態監視レポートに変換することができ、意思決定装置42はこの状態監視レポートを、分析結果として意思決定装置42に供給されたレポートであると識別可能であり、この場合、状態監視レポートは、生産機器の状態が正常であるか否かを表すために使用される情報を有する。
【0064】
さらに別の実施例の場合、AI計算アーキテクチャ231が故障診断プロセスを有するならば、AI計算アーキテクチャ231は複数の生産パラメータの値を使用して、故障診断を実行する。制御装置41は、AI計算アーキテクチャ231から出力された故障診断結果を取得することができ、この場合、故障診断結果は、生産機器の1つのコンポーネントに関する情報を有し、さらに制御装置41は、故障診断結果を故障診断レポートに変換することができ、意思決定装置42は、この故障診断レポートを分析結果として意思決定装置42に供給されたレポートであると識別可能であり、この場合、故障診断レポートは上述のコンポーネントに関する情報を有する。
【0065】
制御装置41におけるAI計算結果から分析結果への変換によって、計算コンポーネント23の実装を単純化することができる。しかも、制御装置41の制御プロセスをコンフィギュレーションおよびプログラミングによって調節することができるので、制御装置41がAI計算アーキテクチャからの出力データを処理するときに、調節が比較的簡単である。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、計算コンポーネントのパラメータをコンフィギュレーションする必要があるときに、制御装置41は、プリセットされた第3のコンフィギュレーション情報から第1の計算コンポーネント23のコンフィギュレーションパラメータを取得することができ、この場合、コンフィギュレーションパラメータは、この第1の計算コンポーネント23により使用されるAI計算アーキテクチャの複数の属性値を有し、さらに制御装置41は、これらのコンフィギュレーションパラメータを第1の計算コンポーネント23に送信することができ、それによって第1の計算コンポーネント23は、AI計算アーキテクチャの複数の属性値の値を、上述の複数の属性値にセットすることができる。AI計算アーキテクチャの複数の属性値は、構造に関する属性値または入力パラメータおよび出力パラメータなどを有することができる。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、AI計算アーキテクチャのトレーニングデータも、コンフィギュレーション情報から取得することができる。たとえば制御装置41は、プリセットされた第4のコンフィギュレーション情報からトレーニングデータを取得して、このトレーニングデータを第1の計算コンポーネント23に送信することができ、それによって第1の計算コンポーネント23は、このトレーニングデータを使用して、第1の計算コンポーネント23におけるAI計算アーキテクチャをトレーニングすることができる。
【0068】
各実施形態の制御方法を、コントローラ40内に設けられた制御装置41によって実装することができる。図7には、本願の実施形態の制御装置が示されている。図7に示されているように、制御装置41は、生産データ取得ユニット411、タスク送信ユニット412、および結果収集ユニット413を有することができる。
【0069】
生産データ取得ユニット411は、産業オートメーションシステム内の生産機器の生産プロセスデータを取得することができる。生産プロセスデータは、生産機器の複数の生産パラメータの値を有する。
【0070】
タスク送信ユニット412は、産業オートメーションシステムのフィールドバス60を介して、フィールドバス60に接続されたAI計算装置内の第1の計算コンポーネント23に、生産プロセスデータを送信することができる。
【0071】
結果収集ユニット413は、AI計算装置20により送信された分析結果を、フィールドバス60を介して受信することができ、この場合、分析結果は、生産プロセスデータを使用して第1の計算コンポーネント23により生産機器の生産プロセスを分析することから取得され、さらに結果収集ユニット413は、この分析結果をコントローラ40内の意思決定装置に供給することができ、それによって意思決定装置は、生産機器に対する制御命令を生成する。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、制御装置はさらにコンフィギュレーションユニット414を有することができる。コンフィギュレーションユニット414は、プリセットされた第3のコンフィギュレーション情報から第1の計算コンポーネント23のコンフィギュレーションパラメータを取得し、この場合、コンフィギュレーションパラメータは、この第1の計算コンポーネント23のAI計算アーキテクチャの複数の属性値を有し、さらにコンフィギュレーションユニット414は、これらのコンフィギュレーションパラメータを第1の計算コンポーネント23に送信することができ、それによってAI計算アーキテクチャの複数の属性値が上述の複数の属性値にセットされる。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、制御装置はさらにトレーニングユニット415を有することができる。トレーニングユニット415は、プリセットされた第4のコンフィギュレーション情報からトレーニングデータを取得して、このトレーニングデータを第1の計算コンポーネント23に送信することができ、それによって第1の計算コンポーネント23は、このトレーニングデータを使用して、AI計算アーキテクチャをトレーニングすることができる。
【0074】
本願の実施形態の制御方法を、ソフトウェアコードとして実装することもできる。ソフトウェアコードを、コンピュータ可読記憶媒体に格納することができる。ソフトウェアコードを、産業制御プログラミング言語のための標準(IEC61131-3など)に準拠した機械可読命令とすることができる。いくつかの実施形態によれば、ソフトウェアコードをES30によって、リモート記憶装置、ローカル記憶装置、またはリムーバブル記憶装置(コンパクトディスク、フラッシュメモリなど)から読み出すことができ、次いでコンフィギュレーション後にコントローラ40にロードすることができる。コントローラ40は、上述の制御方法を実装するために、このコードを実行することになる。
【0075】
各実施形態において、ES30は、コンフィギュレーション情報と、AI計算装置20を制御するために必要とされる制御ロジックとを、コントローラ40に供給することができ、それによってコントローラ40はAI計算装置20を制御できるようになる。図8には、本願の実施形態のESが示されている。図8に示されているように、ES30は、プロセッサ32、メモリ33および通信装置34を有することができる。通信装置34は、ES30がネットワーク上の他の装置と通信できるようにするために使用される。メモリ33は管理モジュール37を有することができる。
【0076】
管理モジュール37は、インタフェースモジュール371、装置コンフィギュレーションモジュール372、および制御コンフィギュレーションモジュール373を有する。
【0077】
インタフェースモジュール371は、装置コンフィギュレーションインタフェースを提供することができる。
【0078】
装置コンフィギュレーションモジュール372は、装置コンフィギュレーションインタフェースから装置コンフィギュレーション情報を受信することができ、この場合、装置コンフィギュレーション情報は、AI計算装置の識別子と、AI計算装置20内の少なくとも1つの計算コンポーネント23の識別子情報とを有し、さらに装置コンフィギュレーションモジュール372は、装置コンフィギュレーション情報を産業オートメーションシステムのコントローラ40に送信することができ、それによってコントローラ40は、装置コンフィギュレーション情報を使用して、AI計算装置20と通信する。
【0079】
制御コンフィギュレーションモジュール373は、AI計算装置20に対応する制御ロジック31を取得し、装置コンフィギュレーションインタフェースからAI計算装置20のための制御コンフィギュレーション情報を受信することができ、この場合、制御コンフィギュレーション情報は、少なくとも1つの計算コンポーネント23のうち第1の計算コンポーネント23の計算パラメータを有し、さらに制御コンフィギュレーションモジュール373は、制御コンフィギュレーション情報を制御ロジック31にロードし、この制御ロジック31をコントローラ40にロードすることができる。制御ロジック31は、コントローラ40が第1の計算コンポーネント23をコンフィギュレーションできるようにし、産業オートメーションネットワーク内の生産機器の生産プロセスデータを分析のために第1の計算コンポーネント23に送信できるようにし、第1の計算コンポーネント23からフィードバックされた分析結果を取得できるようにすることが可能である。
【0080】
インタフェースモジュール371、装置コンフィギュレーションモジュール372および制御コンフィギュレーションモジュール373を、機械可読命令によって実装することができる。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、メモリ33は、オペレーティングシステム35およびネットワーク通信コンポーネント36も有することができる。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、装置コンフィギュレーションモジュール372は、第1の計算コンポーネント23のチャネル情報を装置コンフィギュレーションインタフェースから受信することができ、この場合、チャネル情報は、1つまたは複数のチャネルの識別子を有し、さらに装置コンフィギュレーションモジュール372は、このチャネル情報をコントローラ40に送信することができ、それによってコントローラ40は、データのタイプに対応するチャネルに基づき、第1の計算コンポーネント23にデータを送信することができる。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、制御コンフィギュレーションモジュール373は、第1の計算コンポーネント23のアーキテクチャ情報を装置コンフィギュレーションインタフェースから受信することができ、この場合、アーキテクチャ情報は、第1の計算コンポーネント23におけるAI計算アーキテクチャのコンポーネントおよび接続方法を有し、さらに制御コンフィギュレーションモジュール373は、このアーキテクチャ情報を制御コンフィギュレーション情報として制御ロジックにロードし、第1の計算コンポーネント23のAI計算アーキテクチャの入力パラメータおよび出力パラメータを装置コンフィギュレーションインタフェースから受信し、これらの入力パラメータおよび出力パラメータを、制御コンフィギュレーション情報として制御ロジックにロードし、第1の計算コンポーネント23のトレーニングデータを装置コンフィギュレーションインタフェースから受信し、このトレーニングデータを制御コンフィギュレーション情報として制御ロジックにロードすることができる。
【0084】
以下の記載は、各実施形態における産業オートメーションシステムの制御メカニズムを理解しやすくするための、産業生産プロセスの制御の1つの実施例である。これは単純な実施例であるけれども、他の実施形態はもっと多くの機器および生産パラメータを含むことができる。図9には、本願の実施形態の生産プロセスが示されている。図9に示されているように、コントローラ40は、3つのサーボバルブK1、K2およびK3を介して、未加工材料の流れを制御し、モータ速度Vを介して攪拌速度を制御し、サーモスタットの目標値を介して温度Tを制御する。生産プロセスの出力パラメータは、センサにより測定可能な品質Q1および出力Q2である。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、コントローラ40は、生産パラメータK1、K2、K3、V、T、Q1およびQ2から成る多数のサンプル値セットを、パラメータ最適化機能を備えた計算コンポーネント23に送信し、K1、K2、K3、VおよびTをAI計算アーキテクチャの入力パラメータとして、Q1およびQ2をAI計算アーキテクチャの出力パラメータとして、コンフィギュレーションすることができる。計算コンポーネント23は、生産プロセスに対応するニューラルネットワークモデルを取得するために、ニューラルネットワークを介してAI計算アーキテクチャをトレーニングすることができる。トレーニング後、コントローラ40は、生産パラメータK1、K2、K3、V、T、Q1およびQ2の現在収集された値を、計算コンポーネント23に送信する。トレーニングを通して取得されたモデルに基づき、計算コンポーネント23のAI計算アーキテクチャは、生産パラメータK1、K2、K3、VおよびTに対する推奨値セットを取得することができ、これによって品質Q1および出力Q2を最適化することができる。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、コントローラ40は、生産パラメータK1、K2、K3、V、T、Q1およびQ2から成る多数のサンプル値セットを、パラメータ測定機能を備えた計算コンポーネント23に送信し、K1、K2、K3、VおよびTをAI計算アーキテクチャの入力パラメータとして、Q1およびQ2をAI計算アーキテクチャの出力パラメータとして、コンフィギュレーションすることができる。計算コンポーネント23は、生産プロセスに対応するニューラルネットワークモデルを取得するために、ニューラルネットワークを介してAI計算アーキテクチャをトレーニングすることができる。トレーニング後、コントローラ40は、生産パラメータK1、K2、K3、V、T、Q1およびQ2の現在収集された値を、計算コンポーネント23に送信する。トレーニングにより取得されたモデルに基づき、計算コンポーネント23のAI計算アーキテクチャは、K1、K2、K3、VおよびTの現在の値に対応するQ1およびQ2の推定値を取得することができる。Q1およびQ2の現在の値が推定値に適合していなければ、異常なパラメータ値を表すテスト結果が出力されることになる。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、コントローラ40は、故障中に収集された生産パラメータK1、K2、K3、V、T、Q1およびQ2の値を、故障診断機能を備えた計算コンポーネント23に送信することもできる。トレーニングを通して計算コンポーネント23により取得されたAI計算アーキテクチャは、各アクチュエータの故障の確率を取得することができる。K2の故障の確率が最も高ければ、それによってK2のサーボバルブの故障を表す故障診断結果を出力することができる。
【0088】
以上のことから明らかなように、本願の実施形態のプラグアンドプレイAI計算装置20によって、既存の産業オートメーション制御システムに人工知能を備えた閉ループ制御を都合よく実装することができ、それによって生産効率が改善される。
【0089】
これまで述べてきたことは本願の好ましい実施形態であるにすぎず、本願を限定することを意図したものではない。本願の動機付けおよび原理から逸脱することなくなされたいかなる変更、等価の置き換えおよび改善も、本願の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0090】
10 産業オートメーションシステム
20 AI計算装置
21 バックプレーン
211 バックプレーンバス
212 フィールドバスインタフェース
22 通信コンポーネント
221 周期データ
222 非周期データ
223 診断サービスデータ
23 計算コンポーネント
231 AI計算アーキテクチャ
232 コンフィギュレーションデータ記憶モジュール
233 トレーニングデータ記憶モジュール
235 状態切替モジュール
26 レコードデータ
27 IOチャネル
271 第1の伝送チャネル
272 第2の伝送チャネル
30 エンジニアステーション
31 制御ロジック
32 プロセッサ
33 メモリ
34 通信装置
35 オペレーティングシステム
36 ネットワーク通信モジュール
37 管理モジュール
371 インタフェースモジュール
372 装置コンフィギュレーションモジュール
373 制御コンフィギュレーションモジュール
40 コントローラ
41 制御装置
411 生産データ取得ユニット
412 タスク送信ユニット
413 結果収集ユニット
414 コンフィギュレーションユニット
415 トレーニングユニット
42 意思決定装置
60 フィールドバス
S1 初期化完了
S2 トレーニング準備
S3 トレーニング
S4 トレーニングエラー
S5 動作準備
S6 動作中
S7 動作エラー
S61~S63 ステップ
K1、K2、K3、V、T,Q1およびQ2 パラメータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9