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特許7577649インダクタ及び電磁シールドを有する堆積リアクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】インダクタ及び電磁シールドを有する堆積リアクタ
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/46 20060101AFI20241028BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20241028BHJP
   C23C 14/26 20060101ALI20241028BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20241028BHJP
   H01L 21/203 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
C23C16/46
H05B6/10 371
C23C14/26 B
H01L21/205
H01L21/203
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021518775
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 IB2019059127
(87)【国際公開番号】W WO2020084563
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】102018000009819
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】501372765
【氏名又は名称】エルピーイー ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォルツァン,ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】クリッパ,ダニーロ
(72)【発明者】
【氏名】プレッティ,シルヴィオ
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-192067(JP,A)
【文献】特開2010-059490(JP,A)
【文献】国際公開第2017/137872(WO,A1)
【文献】特開昭63-284810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
C23C 14/00-14/58
H05B 6/10
H01L 21/205
H01L 21/203
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に半導体材料の層を堆積させるためのリアクタ(100)であって、
リアクションチャンバ(110)と、
前記リアクションチャンバ内に配置されたサセプタ組立体(120)と、
前記サセプタ組立体を電磁誘導により加熱するように適合された加熱システム(130)と、を備え、
前記加熱システム(130)が、第1インダクタ(131)と、第2インダクタ(132)と、前記第1及び第2インダクタ(131,132)に別々で且つ互いに独立している交流電流を給電するように適合された電源(135)と、を含み、
前記リアクタ(100)が、さらに、前記第1及び第2インダクタ(131,132)間の電磁結合を制限するように適合された遮蔽組立体(140)を備え、
前記第1及び第2インダクタ(131,132)が、同軸で且つ軸方向に離間されたソレノイドであり、
前記遮蔽組立体(140)は、管形状であり、且つ、前記第1及び第2インダクタ(131,132)の1以上の前記ソレノイドの周囲に配置されている、リアクタ(100)。
【請求項2】
前記遮蔽組立体(140)が、前記第1インダクタ(131)に関連付けられた第1シールド(141)と、前記第2インダクタ(132)に関連付けられた第2シールド(142)とを含む、請求項1に記載のリアクタ(100)。
【請求項3】
前記ソレノイド(131,132)が、一方が他方から独立して前記軸方向に並進するように構成されている、請求項又はに記載のリアクタ(100)。
【請求項4】
前記遮蔽組立体(140)が、前記第1インダクタ(131)に関連付けられた第1シールド(141)と、前記第2インダクタ(132)に関連付けられた第2シールド(142)とを含み、前記シールド(141,142)が、対応する前記インダクタ(131,132)と共に並進するように構成されている、請求項に記載のリアクタ(100)。
【請求項5】
前記遮蔽組立体(140)が、前記第1及び第2インダクタ(131,132)の1以上の前記ソレノイドの周囲に配置された遮蔽構成要素(141,142,143,144)を含み、当該遮蔽構成要素が、高い透磁率を有する材料、具体的には強磁性材料から作られている、請求項1~のいずれか一項に記載のリアクタ(100)。
【請求項6】
前記材料が高い電気抵抗率を有する、請求項に記載のリアクタ(100)。
【請求項7】
前記遮蔽組立体(140)が、互いに平行な第1の複数の遮蔽バー(143)を含み、且つ、互いに平行な第2の複数の遮蔽バー(144)を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のリアクタ(100)。
【請求項8】
電気絶縁材料の層(145)が前記遮蔽バー(143)上に、少なくとも、前記遮蔽バー(143)の、前記インダクタ(131)に面する側にのみ配置されている、請求項に記載のリアクタ(100)。
【請求項9】
前記リアクションチャンバ(110)が円筒状又は角柱状の形状を有し、且つ、前記リアクタ(100)が、前記リアクションチャンバ(110)に沿って前記軸方向に並進するように構成された少なくとも第1組立体(500)及び第2組立体(550)を含み、前記第1組立体(500)が、前記ソレノイド(131)、複数の平行な前記遮蔽バー(143)、下部支持リング(510)及び上部支持リング(520)を含み、前記ソレノイド(131)が前記支持リング(510及び520)に機械的に固定され、且つ、前記遮蔽バー(143)が前記支持リング(510及び520)に機械的に固定されている、請求項7または8に記載のリアクタ(100)。
【請求項10】
前記電源(135)が、前記第1及び第2インダクタ(131,132)に交互電流を、前記第1及び第2インダクタ(131,132)に流れる電流が1KHz~10KHzの範囲の周波数であるように供給するように適合されている、請求項1~のいずれか一項に記載のリアクタ(100)。
【請求項11】
前記電源(135)が、前記第1及び第2インダクタ(131,132)に交互電流を、前記第1及び第2インダクタ(131,132)に流れる電流が同一周波数ではあるが別々で且つ互いに独立しているように供給するように適合されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のリアクタ(100)。
【請求項12】
前記電源(135)が、前記第1及び第2インダクタ(131,132)に交互電流を、前記第1インダクタ(131)に流れる電流が前記第2インダクタ(132)に流れる電流とは異なる周波数であるように供給するように適合されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のリアクタ(100)。
【請求項13】
前記2つのインダクタ(131,132)の一方に流れる電流が、前記2つのインダクタ(131,132)の他方に流れる電流よりも高い周波数、すなわち1.8倍よりも大きく4.4倍よりも小さい周波数である、請求項12に記載のリアクタ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に半導体材料の層を堆積させるための、インダクタ及びシールドを備えたリアクタに関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に半導体材料の層((“semi”)とも称され得る)を堆積させるためのリアクタのリアクションチャンバ(反応室)は、反応温度が高いため、加熱される必要がある。
【0003】
これらのリアクタにおいて、反応温度は、シリコンのエピタキシャル堆積の場合には、例えば800℃~1200℃であり得、炭化ケイ素のエピタキシャル堆積の場合には、例えば1600℃~3000℃であり得る。堆積の結果、例えば、層(多少の厚みを有する)又はインゴット(すなわち長尺結晶)が得られる。
【0004】
そのような加熱を達成するために、リアクションチャンバ内部に、電磁誘導により加熱されるように適合されたサセプタ組立体を配置することが可能であり、リアクションチャンバの外部に、サセプタ組立体の加熱のための磁場を発生させるように適合されたインダクタを配置することが可能である。
【0005】
サセプタ組立体は、典型的にはグラファイト(黒鉛)から作られ、リアクションチャンバ内部の所望の加熱を得るために、様々な形状及び様々な構成であり得る。概して、チャンバ内部の温度が均一でないことが好ましいであろうこと、詳細には、チャンバ内部の所望の温度分布がリアクタの動作状態に依存し得ることに留意すべきである。
【0006】
本出願人は、石英から作られて円筒形状を有する管を備えたリアクションチャンバに注目してきた。詳細には、本出願人は、大きい寸法の(例えば、直径が50cmよりも大きく、高さが100cmよりも大きい)チャンバに注目してきた。
【0007】
このようなチャンバは、特に、炭化ケイ素のインゴットを「シード」(“seed”)から非常に高温で、例えば2000℃よりも高温で成長させるためのリアクタにて使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の全体的な目的は、リアクションチャンバ内部の温度が良好に制御され得るリアクタを提供することである。この全体的な目的は、本明細書の一体的な部分を形成している添付の特許請求の範囲に記載されている内容により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基礎である第1の概念は、サセプタ組立体を加熱するために少なくとも2つのインダクタを使用することである。
【0010】
本発明の基礎である第2の概念は、2つのインダクタ間の電磁結合を制限するように適合された遮蔽組立体を使用し、それにより、前記2つのインダクタを互いに独立に電気的に制御し、従って前記2つのインダクタの加熱作用を互いに独立に制御することをより容易にすることである。
【0011】
本発明は、以下の詳細な説明を、添付図面と共に考察すると、より明確になろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明によるリアクタの一実施形態を示す非常に概略的な部分側面断面図である。
図2図1のリアクタを上から見た非常に概略的な部分図である。
図3】ソレノイドの磁力線を概略的に示した図である。
図4】ソレノイドの磁力線を概略的に示した図である。
図5図1のリアクタの構成要素を構成し得る本発明による組立体の一部断面の立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の特許請求の範囲にその主要な有利な態様が定義されている本発明を実際に実施するためには様々な方法があり、また、本発明が、以下の詳細な説明及び添付図面のいずれによっても限定されないことが容易に理解されよう。
【0014】
図1は、サセプタ組立体120をその内部に有するリアクタ100のリアクションチャンバ110を示している。チャンバ110の側壁は、詳細には、石英から作られて円筒形状を有する管から構成され、管の軸は鉛直方向に配置されている。しかし、管の軸は異なるように、例えば水平方向に配置されてもよい。
【0015】
また、リアクタ100は、サセプタ組立体120を電磁誘導により加熱するように適合された加熱システム130(サブシステムとみなす)も含む。
【0016】
図1において、リアクションチャンバが、図の単純化のために単一の管状体として表されていることに留意されたい。しかし、典型的には、石英から作られて円筒形状を有する第1管が存在し、第1管の内部に、断熱材料から作られて円筒形状を有する第2管が存在し、第2管の内部に、グラファイトから作られて円筒形状を有する第3管が存在する。典型的には(必須ではないが)、第3管もまた、加熱システム130によって電磁誘導により加熱されるように適合されている。従って、ある意味で、第3管もリアクタのサセプタ組立体の構成要素とみなされ得る。
【0017】
図1及び図2の例によれば、加熱システム130は、第1インダクタ131及び第2インダクタ132と、電源135とから成り、電源135は、インダクタ131及び132に、別々で互いに且つ独立している交流電流を給電するように適合されている。詳細には、図1に概略的に示されているように、電源135は、第1インダクタ131に給電するための第1給電セクション135Aと、第2インダクタ132に給電するための第2給電セクション135B(第1セクションとは別個で且つ独立している)とを含む。
【0018】
図1及び図2の例によれば、サセプタ組立体120は、グラファイトから作られた2つの管状要素120A及び120Bから成る。一般的に、サセプタ組立体(サブシステムとみなす)は、少なくとも部分的に導電性材料から作られた1以上の要素を含み得、この導電性材料は、インダクタ又は加熱システムのインダクタにより生成された磁場と結合するように、そして、電流により横切られてジュール効果により加熱されるように適合されている。このような1以上の要素は様々な構成が可能であり、リアクションチャンバ内部に配置されている。このような1以上の要素は、その他の機能を果たすことができ、例えば、1以上の基板を支持できる。
【0019】
図1は、内部反応及び堆積領域190を示しており、領域190内に少なくとも1つの基板(図示せず)が配置され、この基板は、典型的には支持要素(図示せず)により支持され、この支持要素は、支持する機能だけでなく基板を加熱する機能も有する場合(上述したように)、「サセプタ要素」と称され得る。いわゆる高温の「成長」プロセスの間に、基板上に層(多少の厚みを有する)が堆積される。図1には、サセプタ組立体120以外に、リアクションチャンバ110内の、本発明の目的に関係のない構成要素はいずれも示されていない。
【0020】
多数のインダクタを使用することで、サセプタ組立体へのエネルギーの伝達をより良く制御することが可能になり、従って、空間的な観点からサセプタ組立体の加熱をより正確に制御することが可能になる。
【0021】
図1に見られるように、インダクタ131とインダクタ132とは多少離間されており、このような距離は必ずしも固定的ではなく、例えば5cm~50cmの範囲であり得る。2つのインダクタ131と132との間の空間が参照番号133で概略的に示されている。しかし、このような距離は、2つのインダクタ間の電磁結合を回避するものではない。実際、例えばソレノイドの場合、磁場(図3に示されている)は、ソレノイドから半径方向及び軸方向の両方において長い距離に延在する。図1及び図2の例において、インダクタ131及びインダクタ132を電流が横切ったときに発生する磁場の軸方向の延在が共に電磁結合を生じさせるのである。
【0022】
2つのインダクタが互いに電磁的に結合されている場合、2つのインダクタのうちの一方にエネルギーが(結合の程度に応じて多少なりとも)電気的に供給されると、2つのインダクタのうちの他方にも間接的にエネルギーが供給され、従って、1つのインダクタだけが電気的に制御されるのではなく、もう一方も電気的に制御されているかのようになる。もし、2つのインダクタ131とインダクタ132との電磁結合が制限されているならば、インダクタ131及びインダクタ132を給電セクション135A及び給電セクション135Bにより互いに独立に電気的に制御すること、そしてそれにより、サセプタ組立体120に対するこれらのインダクタの加熱効果を互いに独立に制御することが、より容易になるであろう。結合が無いならば、それがより好ましいであろう。
【0023】
加熱システムのインダクタ間の電磁結合を制限するために、本発明は、遮蔽組立体(サブシステムとみなすべき)を提供する。
【0024】
図1及び図2において、リアクタ100は、インダクタ131とインダクタ132との電磁結合を制限するように適合された遮蔽組立体140を含み、組立体140は、詳細には、第1シールド141及び第2シールド142を含む。
【0025】
図1から分かるように、遮蔽組立体140の配置は反直観的である。確かに、インダクタ131とインダクタ132とを遮蔽する必要がある場合、通常は、適切な何物かが、これらのインダクタ同士を離隔する空間(図1の133で示されている)に配置されるであろう。しかし、本発明の好ましい実施形態によれば、遮蔽組立体は、インダクタに対して側方に配置される。このような配置は可能である。なぜなら、所定の特性を有する幾つかの材料、すなわち高い透磁率を有する材料を使用することが想定されているからである(例えば、強磁性材料は、少なくとも特定の条件下で高い透磁率を有するため、この目的に適している)。このような性質によれば、このような材料片を磁場に浸漬すると、材料片が磁場を、磁場の線が材料片の内部に集中する傾向を有するように変形させる。図4は、図3と同じソレノイドの磁場を示しているが、ソレノイドの周囲に、円筒状の管(例えばフェライト製)を(半径方向に)追加しており、磁場の線は管の内部に集中している。その結果、磁場の広がりは、半径方向だけでなく軸方向においても非常に小さくなっている。従って、フェライト製の管と同一又は類似のシールドを、本発明によるリアクタの加熱システムのインダクタを遮蔽するために用いることが可能である。
【0026】
上述の特性を利用して、円筒形状ではない形状、及び/又は、ソレノイドの周囲を囲むことなく配置されるように適合されたシールドを設計できることに留意されたい。例えば、シールドが有孔ディスクの形状を有することもでき、また、ソレノイドと(ほぼ)同軸状に、ソレノイドの横に(軸方向に)配置されてもよい。
【0027】
遮蔽組立体の材料、より正確にはその遮蔽構成要素(「シールド」とも称する)の材料は、高透磁率、好ましくは100より大きい相対透磁率、より好ましくは500よりも大きい相対透磁率を有する材料である。強磁性材料は、少なくとも特定の条件、すなわち飽和から遠く離れた状態で高い透磁率を有するため、この目的に適している。
【0028】
本発明の目的のために、遮蔽組立体の材料、より正確にはその遮蔽構成要素(「シールド」とも称する)の材料は、高い透磁率を有するだけでなく、高い電気抵抗率、好ましくは1オーム*mm2/mよりも大きい抵抗率、より好ましくは10オーム*mm2/mよりも大きい抵抗率、さらに好ましくは100オーム*mm2/mよりも大きい抵抗率を有する材料であることが非常に好ましい。実際、シールドの材料が高い電気抵抗率を有する場合、すなわち電気的に絶縁されている場合、シールドに誘起される電流は限られた強度であり、従って、電源によりインダクタに供給される電気エネルギーは、電磁エネルギーに(部分的に)変換され、この電磁エネルギーの大部分が、インダクタに関連するサセプタ組立体の要素に伝達され、わずかな部分が、インダクタに関連するシールドに伝達される。
【0029】
材料片の(少なくとも)電気特性及び磁気特性が、材料を構成する物質にだけでなく、材料の製造方法にも依存することに留意されたい。
【0030】
本発明によるシールドに特に適した材料(透磁率、抵抗率及びコストを考慮して)は、例えばフェライト及びフェロシリコン(例えば、隣接するシートの形態)である。
【0031】
図1及び図2の例において、遮蔽組立体140は、第1インダクタ131に関連付けられた第1シールド141と、第2インダクタ132に関連付けられた第2シールド142とを含む。より一般的には、全てのインダクタが所定のシールドに関連付けられ、このシールドは、所定の面を電流が横切るときにインダクタにより生成される磁場を閉じ込める傾向を有する(狭義には閉じ込めない)と言える。所定の面とは、シールドの外面(図4における円筒状面)にほぼ対応している面である。
【0032】
インダクタ131及び132は、具体的にはソレノイドであり、さらに、それらは典型的には同軸であり、軸方向に離間されている。最後に、図1及び図2の例において、これらの2つのソレノイドは同一の直径を有する。
【0033】
図1及び図2の例において、ソレノイド131及びソレノイド132は、互いに独立して軸方向に並進されるように適合されている。この目的のために、例えば、インダクタの並進を実行するための電気アクチュエータを設けることが可能である。並進可能なことにより、チャンバ110内部の温度プロファイルに影響を与えることが可能になる。このような並進は、リアクタの較正として「時々」実行され得るが、リアクタの使用中に(例えば加熱中及び/若しくは堆積プロセス中、並びに/又は冷却中に)実行されてもよい。
【0034】
図1及び図2の例において、既に述べたように、第1インダクタ131に関連付けられた第1シールド141及び第2インダクタ132に関連付けられた第2シールド142が存在する。インダクタ(131,132)が並進するように適合されているため、シールド(141,142)もまた、対応するインダクタ(131,132)と共に並進するように適合されていることが好ましい。このようにして、シールドの遮蔽作用は、インダクタの位置に関係なく常に同一である。
【0035】
先に説明したように、遮蔽組立体140は、管状の形状をしており、ソレノイド131、132の周りに配置され、特に各ソレノイドの周りに1つの管状の遮蔽体が配置されている。
【0036】
好ましい実施形態によれば、ソレノイドの絶縁は、適切な材料(先に説明した)から作られた、特には、正方形又は長方形の断面を有する互いに平行に配置された複数のバーにより実行され得る。すなわち、(理想的な)円筒状の管から材料が節減されている。このようにして、材料を節約し、重量を減らし、製造を容易にでき、そして、スペースが確保され、このスペースを介して、ソレノイドだけでなくリアクションチャンバの、より内側の領域、具体的には基板及び堆積ステップの層を(例えば、X線を介して)見ることが可能である。図2は、8本のバーの例を実線で示し、別の8本のバーを破線で示しており、これらは、バーの本数がバーの寸法及びソレノイドの直径(従ってリアクションチャンバの直径)に依存することを示している。6本のバーが最小本数で60本のバーが最大本数であるとみなすことが妥当である。しかし、様々な形状のバー(例えば、アーチ形状の断面のバー)の場合、バーの本数がこれらより少数でもよい。
【0037】
図1及び図2の例において、第1インダクタ131のためのバー143の第1セットと、第2インダクタ132のためのバー144の第2セットとがある。代替案として、性能が劣る解決策ではあるが、例えば単一のバーのセットを設けることも可能である。
【0038】
図2に見られるように、シールドのバーが電気絶縁材料の層に関連付けられていることが好ましいであろう。図面において、この層は参照番号145により示されている。このような層は、バーがソレノイドに(正確にはソレノイドのコイルに)電気的に接触できないようにするために使用される。このような接触は、バーとソレノイドとの間の距離を長くすることにより回避されるであろうが、バーがソレノイドに近接していることが好ましいため、層が設けられる。こうして、層は、バーの、インダクタに面する側面に限定されて設けられる(図2において、バー143の各々の上の層135は、インダクタ131に面する側面に限定されている)。動作中、すなわちインダクタが電流により横切られて磁場がバーに集中しているときに、力がバーにてコイルの方向に、及び、コイルにてバーの方向に発達し、この力が、バーとコイルとを、それらを引き合わせるように変形させる傾向を有し、さらに、このような力が、インダクタに流れる電流の2倍の周波数の振動を生成することに注目する価値がある。
【0039】
図1に見られるように、第1シールド141及び第1インダクタ131が点線で囲まれ、第1組立体500を形成するように関連付けられており、第2シールド142及び第2インダクタ132が点線で囲まれ、第2組立体550を形成するように関連付けられている。組立体500及び組立体550の両方が、リアクションチャンバ110に沿って軸方向に並進するように適合されている。
【0040】
この種の可能な組立体が図5に示されており、このような図において組立体500が参照されよう。
【0041】
図5において、コイルを有するソレノイド131(この例において、5本のコイルが存在し、それらは、効率的で簡単に冷却され得るように内部が中空である)と、互いに平行なバー143(この例において、40本のバーが存在する)を有するシールド141が見られる。さらに、組立体500は、下部支持リング510(具体的にはグラスファイバ製)及び上部支持リング520(具体的にはグラスファイバ製)を含む。ソレノイド131はリング510及びリング520に機械的に固定されている。バー143はリング510及びリング520に機械的に固定されている。
【0042】
電源135(より正確には給電セクション135A及び給電セクション135B)が、インダクタ131及びインダクタ132に交互電流を、好ましくは1KHz~10KHzの範囲の周波数で供給するように適合されている。セクション135Aはインダクタ131に、例えば20kWat~200kWatの電力を供給でき、セクション135Bは、インダクタ132に、例えば20kWat~200kWatの電力を供給できる。2つのインダクタに供給される電力は、概して互いに異なり、典型的には、時間の経過と共に変化する。
【0043】
インダクタ131及びインダクタ132に流れる交流電流(給電セクション135A,135Bにより生じる)は、好ましくは周波数が異なり、例えば、2つのインダクタのうちの一方に流れる電流は、2つのインダクタのうちの他方に流れる電流よりも周波数が高くてよく、すなわち、1.8倍よりも大きく4.4倍よりも小さい。周波数の違いが、給電セクション135A及び給電セクション135Bの、インダクタ131及びインダクタ132に互いに独立に給電するタスクを容易にする。
【0044】
しかし、電源135の適切な設計により、インダクタ131及びインダクタ132に流れる交流電流(電源135により生じる)が、同一周波数ではあるが別々で且つ互いに独立していることが可能である。詳細には、電源135は、各インダクタのための出口を有し、このような出口は、別々で且つ互いに独立している。
【符号の説明】
【0045】
100 リアクタ
110 リアクションチャンバ
120 サセプタ組立体
130 加熱システム
131 第1インダクタ
132 第2インダクタ
135 電源
140 遮蔽組立体
141 第1シールド
142 第2シールド
190 堆積領域
135A 給電セクション
135B 給電セクション
143、144 遮蔽バー
145 電気絶縁材料の層
500、550 組立体
図1
図2
図3
図4
図5