(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】ジスルフィド結合により安定したポリペプチド組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/85 20060101AFI20241028BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20241028BHJP
C12N 9/40 20060101ALI20241028BHJP
C12N 9/16 20060101ALI20241028BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241028BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241028BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241028BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241028BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241028BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20241028BHJP
C12N 15/56 20060101ALN20241028BHJP
C12N 15/55 20060101ALN20241028BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20241028BHJP
【FI】
C12N15/85 Z ZNA
C12N15/864 100Z
C12N9/40
C12N9/16
A61K48/00
A61K45/00
A61P25/00
A61P43/00 105
A61P35/00
A61P3/00
C12N15/56
C12N15/55
C12N15/12
(21)【出願番号】P 2021520223
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 US2019055679
(87)【国際公開番号】W WO2020077114
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-12
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507170099
【氏名又は名称】アミカス セラピューティックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ, ハング
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ツェー フェン
【審査官】鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0051267(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 9/00-9/99
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
α-ガラクトシダーゼA(α-GAL)タンパク質の安定した形態、またはパルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)の安定した形態をコードする核酸を含む核酸構築体を含む遺伝子治療ベクターであって、
前記α-ガラクトシダーゼA(α-GAL)タンパク質の安定した形態は、
配列番号1のアミノ酸配列からなる野生型ヒトα-GALタンパク質に対して(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択される1つ以上の外来システイン残基を含み、
前記パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)の安定した形態は、
配列番号13のアミノ酸配列からなる野生型ヒトPPT1タンパク質に対して外来システイン残基A171C及びA183Cを含む、遺伝子治療ベクター。
【請求項2】
前記安定した
形態のタンパク質が、(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択される1つ以上の外来システイン残基を含む安定した
形態のα-ガラクトシダーゼA(α-GAL)タンパク質を含む、請求項1に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項3】
前記安定した
形態のタンパク質が、外来システイン残基A171C及びA183Cを含む安定した
形態のPPT1タンパク質を含む、請求項1に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項4】
前記安定した
形態のタンパク質は、前記外来システイン
残基のない対応するタンパク質と比較して、pH7.4での半減期がより長い、請求項1~3のいずれか一項に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項5】
前記安定した
形態のタンパク質は、遺伝性障害において不在の、又は欠損するタンパク質を補充することができる、請求項1に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項6】
前記安定した
形態のタンパク質は、遺伝性障害と関連する1つ以上の病徴を和らげることができ、又は減速することができる、請求項1に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項7】
前記安定した
形態のタンパク質は、不安定な
形態のタンパク質と比較して、遺伝性障害の1つ以上の病徴を和らげ、又は減速する点で、より効果的である、請求項1に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項8】
前記遺伝性障害は、神経障害である、請求項5~7のいずれか一項に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項9】
前記遺伝性障害は、リソソーム蓄積障害である、請求項5~8のいずれか一項に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項10】
前記遺伝性障害は、ファブリー病、並びにニューロンセロイドリポフスチン沈着症の乳児形態、若年形態、及び成人形態からなる群から選択される、請求項5~9のいずれか一項に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項11】
前記遺伝子治療ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、及びヘルペスウイルスベクターからなる群から選択されるウイルスベクターである、請求項1に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項12】
前記核酸構築体は、ウイルスベクターゲノム内に含まれる、請求項1に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項13】
前記ウイルスベクターゲノムは、組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む、請求項12に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項14】
前記rAAVゲノムは、自己相補的なゲノムを含む、請求項13に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項15】
前記rAAVゲノムは、一本鎖ゲノムを含む、請求項13に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項16】
前記rAAVゲノムは、第1の逆位末端反復及び第2の逆位末端反復を含む、請求項13に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項17】
rAAVの逆位末端反復は、AAV2逆位末端反復である、請求項16に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項18】
rAAVゲノムはさらに、SV40イントロンを含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項19】
rAAVゲノムはさらに、ポリアデニル化配列を含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項20】
前記核酸構築体はさらに、α-GALタンパク質をコードする核酸配列を含み、前記核酸配列は、配列番号8~12の1つの配列を含む、請求項12に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項21】
前記核酸構築体はさらに、PPT1タンパク質をコードする核酸配列を含み、前記核酸配列は、配列番号16の配列を含む、請求項12に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項22】
前記核酸構築体はさらに、プロモータ配列を含む、請求項12に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項23】
前記プロモータは、構成的プロモータである、請求項22に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項24】
前記プロモータは、組織特異的プロモータである、請求項22に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項25】
前記核酸構築体はさらに:コザック配列、CrPV IRES、リンカーをコードする核酸配列、シグナル配列をコードする核酸配列、及びIGF2ペプチドをコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、請求項12に記載の遺伝子治療ベクター。
【請求項26】
前記核酸構築体は、ウイルスカプシド内にパッケージングされている、請求項1に記載の遺伝子治療ベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2018年10月10日出願の米国仮特許出願第62/744,069号明細書の利益を主張する。この出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
遺伝性疾患は、組換えポリペプチドを用いる酵素補充治療、又は組換えタンパク質をコードする核酸を用いる遺伝子治療で処置することができる。例えば、ファブリー病は、組換えアルファ-ガラクトシダーゼA又は小分子シャペロン、例えば1-デオキシガラクトノジリマイシン(ミガラスタット)を用いて処置することができる。しかしながら、組換え野生型ポリペプチドは、多くの場合、中性のpHにて安定性が不十分であり、血清中で急速に分解する。このことが、治療酵素の半減期を実質的に制限している。というのも、静注によって送達されるためである。
【発明の概要】
【0003】
特定の態様において、提供されるのは:遺伝性障害を処置するタンパク質の安定した形態をコードする核酸を含む核酸構築体を含む遺伝子治療ベクターである。一部の実施形態において、安定した形態は、タンパク質内の外来(non-native)システイン間に、又はタンパク質の2つのモノマーの外来システイン間にジスルフィド架橋を形成する1つ以上の外来システイン残基を含む。一部の実施形態において、タンパク質は、アルファ-ガラクトシダーゼA、β-グルコセレブロシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、リソソーム酸リパーゼ、グリコサミノグリカンアルファ-L-イズロニダーゼ、アルファ-L-イズロニダーゼ、N-スルホグルコサミンスルホヒドロラーゼ(SGSH)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、イズロン酸-2-スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ、グリコサミノグリカンN-アセチルガラクトサミン4-スルファターゼ、アルファ-グルコシダーゼ、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ(PPT)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ(ceroid lipofuscinoses neuronal)1、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ2、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ3、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ4、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ5、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ6、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ7、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ8、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ9、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ10、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ11、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ12、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ13、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ14、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ15、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ16、及びサイクリン依存性キナーゼ様5(cyclin dependent kinase like 5)からなる群から選択される。一部の実施形態において、タンパク質は、アルファ-ガラクトシダーゼA、β-グルコセレブロシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、リソソーム酸リパーゼ、グリコサミノグリカンアルファ-L-イズロニダーゼ、アルファ-L-イズロニダーゼ、N-スルホグルコサミンスルホヒドロラーゼ(SGSH)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、イズロン酸-2-スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ、グリコサミノグリカンN-アセチルガラクトサミン4-スルファターゼ、アルファ-グルコシダーゼ、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ(PPT)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ4、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ10(カテプシンD)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ11(プログラニュリン)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ13(カテプシンF)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ14(KCTD7)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ15(TBCK)、及びサイクリン依存性キナーゼ様5からなる群から選択される。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、リソソーム酵素を含む。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、安定したα-ガラクトシダーゼ(α-GAL)タンパク質を含む。一部の実施形態において、安定したα-ガラクトシダーゼA(α-GAL)タンパク質は:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択される1つ以上の外来システイン残基を含む。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、安定したパルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)を含む。一部の実施形態において、安定したPPT1タンパク質は、外来システイン残基A171C及びA183Cを含む。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、外来システインのない対応するタンパク質と比較して、pH7.4での半減期がより長い。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、遺伝性障害において不在の、又は欠損するタンパク質を補充することができる。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、遺伝性障害と関連する1つ以上の病徴を和らげることができ、又は減速することができる。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、不安定なタンパク質と比較して、遺伝性障害の1つ以上の病徴を和らげ、又は減速する点で、より効果的である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、神経障害である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、リソソーム蓄積障害である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、アスパルチルグルコサミン尿症、バッテン病、シスチン症、ファブリー病、ゴーシェ病I型、ゴーシェ病II型、ゴーシェ病III型、ポンペ病、テイ・サックス病、サンドホフ病、異染性白質萎縮症、ムコ脂質症I型、ムコ脂質症II型、ムコ脂質症III型、ムコ脂質症IV型、ハーラー病、ハンター病、サンフィリッポ病A型、サンフィリッポ病B型、サンフィリッポ病C型、サンフィリッポ病D型、モルキオ病A型、モルキオ病B型、マロトー・ラミー病、スライ病、ニーマン・ピック病A型、ニーマン・ピック病B型、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、シンドラー病I型、シンドラー病II型、アデノシンデアミナーゼ重症複合型免疫不全(ADA-SCID)、慢性肉芽腫症(CGD)、ニューロンセロイドリポフスチン沈着症の乳児形態、若年形態、及び成人形態、並びにCDKL5欠乏症からなる群から選択される。一部の実施形態において、遺伝子治療ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、及びヘルペスウイルスベクターからなる群から選択されるウイルスベクターである。一部の実施形態において、アデノ随伴ウイルスは:AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV rh.74、AAV-B1、及びAAV-hu68からなる群から選択される血清型である。一部の実施形態において、核酸構築体は、ウイルスベクターゲノム内に含まれる。一部の実施形態において、ウイルスベクターゲノムは、組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む。一部の実施形態において、rAAVゲノムは、自己相補的なゲノムを含む。一部の実施形態において、rAAVゲノムは、一本鎖ゲノムを含む。一部の実施形態において、rAAVゲノムは、第1の逆位末端反復及び第2の逆位末端反復を含む。一部の実施形態において、AAV逆位末端反復は、AAV2逆位末端反復である。一部の実施形態において、rAAVゲノムはさらに、SV40イントロンを含む。一部の実施形態において、rAAVゲノムはさらに、ポリアデニル化配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、α-GALタンパク質をコードする核酸配列を含み、核酸配列は、配列番号7~12の1つに対して少なくとも85%同一である。一部の実施形態において、構築体はさらに、α-GALタンパク質をコードする核酸配列を含み、α-GALタンパク質は、配列番号1~6の1つに対して少なくとも85%同一である配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、α-GALタンパク質をコードする核酸配列を含み、核酸配列は、配列番号8~12の1つの配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、α-GALタンパク質をコードする核酸配列を含み、α-GALタンパク質は、配列番号2~6の1つの配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、PPT1タンパク質をコードする核酸配列を含み、核酸配列は、配列番号15~16の1つに対して少なくとも85%同一である。一部の実施形態において、構築体はさらに、PPT1タンパク質をコードする核酸配列を含み、PPT1タンパク質は、配列番号13~14の1つに対して少なくとも85%同一である配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、PPT1タンパク質をコードする核酸配列を含み、核酸配列は、配列番号16の配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、PPT1タンパク質をコードする核酸配列を含み、PPT1タンパク質は、配列番号14の配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、プロモータ配列を含む。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、構築体はさらに:コザック配列、CrPV IRES、リンカーをコードする核酸配列、シグナル配列をコードする核酸配列、及びIGF2ペプチドをコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。一部の実施形態において、シグナルペプチド配列は、結合免疫グロブリンタンパク質(Bip)シグナル配列を含む。一部の実施形態において、シグナルペプチド配列は、配列番号29~33からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むBipシグナル配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、内部リボソームエントリ配列(IRES)を含む。一部の実施形態において、IRESは、クリケット麻痺ウイルス(CrPV)IRESを含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、異型IGF2(vIGF2)ペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態において、vIGF2ペプチドは、配列番号17~27からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、vIGF2ペプチドをコードする核酸配列は、タンパク質の安定した形態をコードする5’~核酸配列(5’to the nucleic acid sequence)である。一部の実施形態において、vIGF2ペプチドをコードする核酸配列は、タンパク質の安定した形態をコードする3’~核酸配列である。一部の実施形態において、構築体は、ウイルスカプシド内にパッケージングされている。
【0004】
更なる態様において、提供されるのは:遺伝性障害を処置するタンパク質の安定した形態をコードする核酸を含む核酸構築体を含む遺伝子治療ベクター、及び薬学的に許容される賦形剤、キャリア、又は希釈剤を含む医薬組成物である。一部の実施形態において、安定した形態は、タンパク質内の外来システイン間に、又はタンパク質の2つのモノマーの外来システイン間にジスルフィド架橋を形成する1つ以上の外来システイン残基を含む。一部の実施形態において、タンパク質は、アルファ-ガラクトシダーゼA、β-グルコセレブロシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、リソソーム酸リパーゼ、グリコサミノグリカンアルファ-L-イズロニダーゼ、アルファ-L-イズロニダーゼ、N-スルホグルコサミンスルホヒドロラーゼ(SGSH)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、イズロン酸-2-スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ、グリコサミノグリカンN-アセチルガラクトサミン4-スルファターゼ、アルファ-グルコシダーゼ、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ(PPT)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ1、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ2、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ3、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ4、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ5、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ6、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ7、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ8、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ9、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ10、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ11、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ12、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ13、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ14、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ15、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ16、及びサイクリン依存性キナーゼ様5からなる群から選択される。一部の実施形態において、タンパク質は、アルファ-ガラクトシダーゼA、β-グルコセレブロシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、リソソーム酸リパーゼ、グリコサミノグリカンアルファ-L-イズロニダーゼ、アルファ-L-イズロニダーゼ、N-スルホグルコサミンスルホヒドロラーゼ(SGSH)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、イズロン酸-2-スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ、グリコサミノグリカンN-アセチルガラクトサミン4-スルファターゼ、アルファ-グルコシダーゼ、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ(PPT)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ4、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ10(カテプシンD)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ11(プログラニュリン)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ13(カテプシンF)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ14(KCTD7)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ15(TBCK)、及びサイクリン依存性キナーゼ様5からなる群から選択される。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、リソソーム酵素を含む。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、安定したα-ガラクトシダーゼ(α-GAL)タンパク質を含む。一部の実施形態において、安定したα-ガラクトシダーゼA(α-GAL)タンパク質は:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択される1つ以上の外来システイン残基を含む。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、安定したパルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)を含む。一部の実施形態において、安定したPPT1タンパク質は、外来システイン残基A171C及びA183Cを含む。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、外来システインのない対応するタンパク質と比較して、pH7.4での半減期がより長い。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、遺伝性障害において不在の、又は欠損するタンパク質を補充することができる。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、遺伝性障害と関連する1つ以上の病徴を和らげることができ、又は減速することができる。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、不安定なタンパク質と比較して、遺伝性障害の1つ以上の病徴を和らげ、又は減速する点で、より効果的である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、神経障害である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、リソソーム蓄積障害である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、アスパルチルグルコサミン尿症、バッテン病、シスチン症、ファブリー病、ゴーシェ病I型、ゴーシェ病II型、ゴーシェ病III型、ポンペ病、テイ・サックス病、サンドホフ病、異染性白質萎縮症、ムコ脂質症I型、ムコ脂質症II型、ムコ脂質症III型、ムコ脂質症IV型、ハーラー病、ハンター病、サンフィリッポ病A型、サンフィリッポ病B型、サンフィリッポ病C型、サンフィリッポ病D型、モルキオ病A型、モルキオ病B型、マロトー・ラミー病、スライ病、ニーマン・ピック病A型、ニーマン・ピック病B型、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、シンドラー病I型、シンドラー病II型、アデノシンデアミナーゼ重症複合型免疫不全(ADA-SCID)、慢性肉芽腫症(CGD)、ニューロンセロイドリポフスチン沈着症の乳児形態、若年形態、及び成人形態、並びにCDKL5欠乏症からなる群から選択される。一部の実施形態において、遺伝子治療ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、及びヘルペスウイルスベクターからなる群から選択されるウイルスベクターである。一部の実施形態において、アデノ随伴ウイルスは:AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV rh.74、AAV-B1、及びAAV-hu68からなる群から選択される血清型である。一部の実施形態において、核酸構築体は、ウイルスベクターゲノム内に含まれる。一部の実施形態において、ウイルスベクターゲノムは、組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む。一部の実施形態において、rAAVゲノムは、自己相補的なゲノムを含む。一部の実施形態において、rAAVゲノムは、一本鎖ゲノムを含む。一部の実施形態において、rAAVゲノムは、第1の逆位末端反復及び第2の逆位末端反復を含む。一部の実施形態において、AAV逆位末端反復は、AAV2逆位末端反復である。一部の実施形態において、rAAVゲノムはさらに、SV40イントロンを含む。一部の実施形態において、rAAVゲノムはさらに、ポリアデニル化配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、α-GALタンパク質をコードする核酸配列を含み、核酸配列は、配列番号7~12の1つに対して少なくとも85%同一である。一部の実施形態において、構築体はさらに、α-GALタンパク質をコードする核酸配列を含み、α-GALタンパク質は、配列番号1~6の1つに対して少なくとも85%同一である配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、α-GALタンパク質をコードする核酸配列を含み、核酸配列は、配列番号8~12の1つの配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、α-GALタンパク質をコードする核酸配列を含み、α-GALタンパク質は、配列番号2~6の1つの配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、PPT1タンパク質をコードする核酸配列を含み、核酸配列は、配列番号15~16の1つに対して少なくとも85%同一である。一部の実施形態において、構築体はさらに、PPT1タンパク質をコードする核酸配列を含み、PPT1タンパク質は、配列番号13~14の1つに対して少なくとも85%同一である配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、PPT1タンパク質をコードする核酸配列を含み、核酸配列は、配列番号16の配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、PPT1タンパク質をコードする核酸配列を含み、PPT1タンパク質は、配列番号14の配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、プロモータ配列を含む。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、構築体はさらに:コザック配列、CrPV IRES、リンカーをコードする核酸配列、シグナル配列をコードする核酸配列、及びIGF2ペプチドをコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。一部の実施形態において、シグナルペプチド配列は、結合免疫グロブリンタンパク質(Bip)シグナル配列を含む。一部の実施形態において、シグナルペプチド配列は、配列番号29~33からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むBipシグナル配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、内部リボソームエントリ配列(IRES)を含む。一部の実施形態において、IRESは、クリケット麻痺ウイルス(CrPV)IRESを含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、異型IGF2(vIGF2)ペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態において、vIGF2ペプチドは、配列番号17~27からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、vIGF2ペプチドをコードする核酸配列は、タンパク質の安定した形態をコードする5’~核酸配列である。一部の実施形態において、vIGF2ペプチドをコードする核酸配列は、タンパク質の安定した形態をコードする3’~核酸配列である。一部の実施形態において、構築体は、ウイルスカプシド内にパッケージングされている。一部の実施形態において、賦形剤は、生理食塩水、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ヒスチジン、グリシン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、水、デキストロース、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び界面活性剤ポリオキシエチレン-ソルビタンモノオレアートからなる群から選択される。
【0005】
更なる態様において、提供されるのは、対象において遺伝性障害を処置する方法であって、当該対象に:遺伝性障害を処置するタンパク質の安定した形態をコードする核酸を含む核酸構築体を含む遺伝子治療ベクター、又はその医薬組成物の治療的に有効な量を投与することを含む方法である。一部の実施形態において、安定した形態は、タンパク質内の外来システイン間に、又はタンパク質の2つのモノマーの外来システイン間にジスルフィド架橋を形成する1つ以上の外来システイン残基を含む。一部の実施形態において、タンパク質は、アルファ-ガラクトシダーゼA、β-グルコセレブロシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、リソソーム酸リパーゼ、グリコサミノグリカンアルファ-L-イズロニダーゼ、アルファ-L-イズロニダーゼ、N-スルホグルコサミンスルホヒドロラーゼ(SGSH)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、イズロン酸-2-スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ、グリコサミノグリカンN-アセチルガラクトサミン4-スルファターゼ、アルファ-グルコシダーゼ、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ(PPT)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ1、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ2、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ3、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ4、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ5、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ6、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ7、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ8、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ9、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ10、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ11、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ12、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ13、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ14、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ15、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ16、及びサイクリン依存性キナーゼ様5からなる群から選択される。一部の実施形態において、タンパク質は、アルファ-ガラクトシダーゼA、β-グルコセレブロシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、リソソーム酸リパーゼ、グリコサミノグリカンアルファ-L-イズロニダーゼ、アルファ-L-イズロニダーゼ、N-スルホグルコサミンスルホヒドロラーゼ(SGSH)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、イズロン酸-2-スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ、グリコサミノグリカンN-アセチルガラクトサミン4-スルファターゼ、アルファ-グルコシダーゼ、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ(PPT)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ4、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ10(カテプシンD)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ11(プログラニュリン)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ13(カテプシンF)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ14(KCTD7)、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ15(TBCK)、及びサイクリン依存性キナーゼ様5からなる群から選択される。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、リソソーム酵素を含む。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、安定したα-ガラクトシダーゼ(α-GAL)タンパク質を含む。一部の実施形態において、安定したα-ガラクトシダーゼA(α-GAL)タンパク質は、1つ以上の外来システイン残基D233C及びI359Cを含む。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、安定したパルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)を含む。一部の実施形態において、安定したPPT1タンパク質は、外来システイン残基A171C及びA183Cを含む。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、外来システインのない対応するタンパク質と比較して、pH7.4での半減期がより長い。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、遺伝性障害において不在の、又は欠損するタンパク質を補充することができる。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、遺伝性障害と関連する1つ以上の病徴を和らげることができ、又は減速することができる。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、不安定なタンパク質と比較して、遺伝性障害の1つ以上の病徴を和らげ、又は減速する点で、より効果的である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、神経障害である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、リソソーム蓄積障害である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、アスパルチルグルコサミン尿症、バッテン病、シスチン症、ファブリー病、ゴーシェ病I型、ゴーシェ病II型、ゴーシェ病III型、ポンペ病、テイ・サックス病、サンドホフ病、異染性白質萎縮症、ムコ脂質症I型、ムコ脂質症II型、ムコ脂質症III型、ムコ脂質症IV型、ハーラー病、ハンター病、サンフィリッポ病A型、サンフィリッポ病B型、サンフィリッポ病C型、サンフィリッポ病D型、モルキオ病A型、モルキオ病B型、マロトー・ラミー病、スライ病、ニーマン・ピック病A型、ニーマン・ピック病B型、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、シンドラー病I型、シンドラー病II型、アデノシンデアミナーゼ重症複合型免疫不全(ADA-SCID)、慢性肉芽腫症(CGD)、ニューロンセロイドリポフスチン沈着症の乳児形態、若年形態、及び成人形態、並びにCDKL5欠乏症からなる群から選択される。一部の実施形態において、遺伝子治療ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、及びヘルペスウイルスベクターからなる群から選択されるウイルスベクターである。一部の実施形態において、アデノ随伴ウイルスは:AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV rh.74、AAV-B1、及びAAV-hu68からなる群から選択される血清型である。一部の実施形態において、核酸構築体は、ウイルスベクターゲノム内に含まれる。一部の実施形態において、ウイルスベクターゲノムは、組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む。一部の実施形態において、rAAVゲノムは、自己相補的なゲノムを含む。一部の実施形態において、rAAVゲノムは、一本鎖ゲノムを含む。一部の実施形態において、rAAVゲノムは、第1の逆位末端反復及び第2の逆位末端反復を含む。一部の実施形態において、AAV逆位末端反復は、AAV2逆位末端反復である。一部の実施形態において、rAAVゲノムはさらに、SV40イントロンを含む。一部の実施形態において、rAAVゲノムはさらに、ポリアデニル化配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、α-GALタンパク質をコードする核酸配列を含み、核酸配列は、配列番号7~12の1つに対して少なくとも85%同一である。一部の実施形態において、構築体はさらに、α-GALタンパク質をコードする核酸配列を含み、α-GALタンパク質は、配列番号1~6の1つに対して少なくとも85%同一である配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、α-GALタンパク質をコードする核酸配列を含み、核酸配列は、配列番号8~12の1つの配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、α-GALタンパク質をコードする核酸配列を含み、α-GALタンパク質は、配列番号2~6の1つの配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、PPT1タンパク質をコードする核酸配列を含み、核酸配列は、配列番号15~16の1つに対して少なくとも85%同一である。一部の実施形態において、構築体はさらに、PPT1タンパク質をコードする核酸配列を含み、PPT1タンパク質は、配列番号13~14の1つに対して少なくとも85%同一である配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、PPT1タンパク質をコードする核酸配列を含み、核酸配列は、配列番号16の配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、PPT1タンパク質をコードする核酸配列を含み、PPT1タンパク質は、配列番号14の配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、プロモータ配列を含む。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、構築体はさらに:コザック配列、CrPV IRES、リンカーをコードする核酸配列、シグナル配列をコードする核酸配列、及びIGF2ペプチドをコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。一部の実施形態において、シグナルペプチド配列は、結合免疫グロブリンタンパク質(Bip)シグナル配列を含む。一部の実施形態において、シグナルペプチド配列は、配列番号29~33からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むBipシグナル配列を含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、内部リボソームエントリ配列(IRES)を含む。一部の実施形態において、IRESは、クリケット麻痺ウイルス(CrPV)IRESを含む。一部の実施形態において、構築体はさらに、異型IGF2(vIGF2)ペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態において、vIGF2ペプチドは、配列番号17~27からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、vIGF2ペプチドをコードする核酸配列は、タンパク質の安定した形態をコードする5’~核酸配列である。一部の実施形態において、vIGF2ペプチドをコードする核酸配列は、タンパク質の安定した形態をコードする3’~核酸配列である。一部の実施形態において、構築体は、ウイルスカプシド内にパッケージングされている。一部の実施形態において、遺伝子治療ベクター又は医薬組成物は、クモ膜下腔内注射、脳室内注射、実質内注射、若しくは静脈内注射、又はそれらの組合せによって送達される。一部の実施形態において、遺伝子治療ベクター又は医薬組成物は、対象における遺伝性障害の1つ以上の病徴を和らげ、又は減速する。一部の実施形態において、遺伝性障害は、リソソーム蓄積障害である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、アスパルチルグルコサミン尿症、バッテン病、シスチン症、ファブリー病、ゴーシェ病I型、ゴーシェ病II型、ゴーシェ病III型、ポンペ病、テイ・サックス病、サンドホフ病、異染性白質萎縮症、ムコ脂質症I型、ムコ脂質症II型、ムコ脂質症III型、ムコ脂質症IV型、ハーラー病、ハンター病、サンフィリッポ病A型、サンフィリッポ病B型、サンフィリッポ病C型、サンフィリッポ病D型、モルキオ病A型、モルキオ病B型、マロトー・ラミー病、スライ病、ニーマン・ピック病A型、ニーマン・ピック病B型、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、シンドラー病I型、シンドラー病II型、アデノシンデアミナーゼ重症複合型免疫不全(ADA-SCID)、慢性肉芽腫症(CGD)、ニューロンセロイドリポフスチン沈着症、及びCDKL5欠乏症からなる群から選択される。
【0006】
更なる態様において、提供されるのは、安定したヒトα-ガラクトシダーゼA(α-GAL)ダイマーである。一部の実施形態において、安定したα-GALダイマーは、1つ以上の外来システイン残基を含み、1つ以上の外来システイン残基は、α-GALダイマーの第1のサブユニットと第2のサブユニットを連結する少なくとも1つの分子間ジスルフィド結合を形成する。一部の実施形態において、1つ以上の外来システイン残基は:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択される。一部の実施形態において、1つ以上の外来システイン残基は、D233C及びI359Cを含む。一部の実施形態において、1つ以上の外来システイン残基は、M51C及びG360Cを含む。一部の実施形態において、1つ以上の外来システイン残基は、i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1~6の1つに対して少なくとも90%同一である配列を有する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号7~12の1つに対して少なくとも85%同一である核酸によってコードされている。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、ポリペプチドはさらに、異型IGF2(vIGF2)ペプチドを含む。
【0007】
更なる態様において、提供されるのは、安定したヒトα-GALダイマー、及び薬学的に許容される賦形剤、キャリア、又は希釈剤を含む医薬組成物である。一部の実施形態において、安定したα-GALダイマーは、1つ以上の外来システイン残基を含み、1つ以上の外来システイン残基は、α-GALダイマーの第1のサブユニットと第2のサブユニットを連結する少なくとも1つの分子間ジスルフィド結合を形成する。一部の実施形態において、1つ以上の外来システイン残基は:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択される。一部の実施形態において、1つ以上の外来システイン残基は、D233C及びI359Cを含む。一部の実施形態において、1つ以上の外来システイン残基は、M51C及びG360Cを含む。一部の実施形態において、1つ以上の外来システイン残基は、i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1~6の1つに対して少なくとも90%同一である配列を有する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号7~12の1つに対して少なくとも85%同一である核酸によってコードされている。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、ポリペプチドはさらに、異型IGF2(vIGF2)ペプチドを含む。一部の実施形態において、賦形剤は、生理食塩水、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ヒスチジン、グリシン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、水、デキストロース、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び界面活性剤ポリオキシエチレン-ソルビタンモノオレアートからなる群から選択される。
【0008】
更なる態様において、提供されるのは、対象においてファブリー病を処置する方法であって、当該対象に、安定したヒトα-GALダイマー又はその医薬組成物の治療的に有効な量を、ファブリー病を処置することを必要とする対象に投与することを含む方法である。一部の実施形態において、安定したα-GALダイマーは、1つ以上の外来システイン残基を含み、1つ以上の外来システイン残基は、α-GALダイマーの第1のサブユニットと第2のサブユニットを連結する少なくとも1つの分子間ジスルフィド結合を形成する。一部の実施形態において、1つ以上の外来システイン残基は:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択される。一部の実施形態において、1つ以上の外来システイン残基は、D233C及びI359Cを含む。一部の実施形態において、1つ以上の外来システイン残基は、M51C及びG360Cを含む。一部の実施形態において、1つ以上の外来システイン残基は、i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1~6の1つに対して少なくとも90%同一である配列を有する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号7~12の1つに対して少なくとも85%同一である核酸によってコードされている。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、ポリペプチドはさらに、異型IGF2(vIGF2)ペプチドを含む。一部の実施形態において、賦形剤は、生理食塩水、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ヒスチジン、グリシン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、水、デキストロース、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び界面活性剤ポリオキシエチレン-ソルビタンモノオレアートからなる群から選択される。一部の実施形態において、安定したヒトα-GALダイマー又は医薬組成物は、クモ膜下腔内注射、脳室内注射、実質内注射、皮下注射、筋肉内注射、眼注射、静脈内注射、又はそれらの組合せによって送達される。一部の実施形態において、安定したヒトα-GALダイマー又は医薬組成物は、対象におけるファブリー病の1つ以上の病徴を和らげ、又は減速する。
【0009】
更なる態様において、提供されるのは、安定したヒトパルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT1)分子である。一部の実施形態において、安定したPPT1分子は、1つ以上の外来システイン残基を含み、1つ以上の外来システイン残基は、PPT1分子内の少なくとも1つの分子間ジスルフィド結合を形成する。一部の実施形態において、安定したPPT1は、外来システイン残基A171C及びA183Cを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号13~14の1つに対して少なくとも90%同一である配列を有する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号15~16の1つに対して少なくとも85%同一である核酸によってコードされている。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型PPT1ポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、ポリペプチドはさらに、異型IGF2(vIGF2)ペプチドを含む。
【0010】
更なる態様において、提供されるのは、安定したPPT1、及び薬学的に許容される賦形剤、キャリア、又は希釈剤を含む医薬組成物である。一部の実施形態において、安定したPPT1分子は、1つ以上の外来システイン残基を含み、1つ以上の外来システイン残基は、PPT1分子内の少なくとも1つの分子間ジスルフィド結合を形成する。一部の実施形態において、安定したPPT1は、外来システイン残基A171C及びA183Cを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号13~14の1つに対して少なくとも90%同一である配列を有する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号15~16の1つに対して少なくとも85%同一である核酸によってコードされている。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型PPT1ポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、ポリペプチドはさらに、異型IGF2(vIGF2)ペプチドを含む。一部の実施形態において、賦形剤は、生理食塩水、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ヒスチジン、グリシン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、水、デキストロース、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び界面活性剤ポリオキシエチレン-ソルビタンモノオレアートからなる群から選択される。
【0011】
更なる態様において、提供されるのは、対象においてCLN1病を処置する方法であって、当該対象に、安定したPPT1又はその医薬組成物の治療的に有効な量を、CLN1病を処置することを必要とする対象に投与することを含む方法である。一部の実施形態において、安定したPPT1分子は、1つ以上の外来システイン残基を含み、1つ以上の外来システイン残基は、PPT1分子内の少なくとも1つの分子間ジスルフィド結合を形成する。一部の実施形態において、安定したPPT1は、外来システイン残基A171C及びA183Cを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号13~14の1つに対して少なくとも90%同一である配列を有する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号15~16の1つに対して少なくとも85%同一である核酸によってコードされている。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型PPT1ポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、ポリペプチドはさらに、異型IGF2(vIGF2)ペプチドを含む。一部の実施形態において、賦形剤は、生理食塩水、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ヒスチジン、グリシン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、水、デキストロース、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び界面活性剤ポリオキシエチレン-ソルビタンモノオレアートからなる群から選択される。一部の実施形態において、修飾PPT1又は医薬組成物は、クモ膜下腔内注射、脳室内注射、実質内注射、皮下注射、筋肉内注射、眼注射、静脈内注射、又はそれらの組合せによって送達される。
【0012】
更なる態様において、提供されるのは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-ガラクトシダーゼA(α-GAL)ポリペプチド配列のシステイン置換を含む修飾ヒトα-GALポリペプチドである。一部の実施形態において、ポリペプチドは、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。
【0013】
更なる態様において、提供されるのは、修飾ヒトα-GALポリペプチドをコードする核酸を含む核酸分子である。一部の実施形態において、修飾ヒトα-GALポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。
【0014】
更なる態様において、提供されるのは、修飾ヒトα-GALポリペプチドをコードする核酸を含む核酸分子を含む遺伝子治療ベクターである。一部の実施形態において、修飾ヒトα-GALポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。
【0015】
更なる態様において、提供されるのは、α-ガラクトシダーゼA(α-GAL)ポリペプチド配列のシステイン置換を含む修飾ヒトα-GALポリペプチドであり、システイン置換は、2つのα-GALポリペプチド間のジスルフィド結合形成を促進して、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。
【0016】
更なる態様において、提供されるのは、修飾ヒトα-GALポリペプチドをコードする核酸を含む核酸分子である。一部の実施形態において、修飾ヒトα-ガラクトシダーゼA(α-GAL)ポリペプチドは、α-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含み、システイン置換は、2つのα-GALポリペプチド間のジスルフィド結合形成を促進して、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。
【0017】
更なる態様において、提供されるのは、修飾ヒトα-GALポリペプチドをコードする核酸を含む遺伝子治療ベクターである。一部の実施形態において、修飾ヒトα-ガラクトシダーゼA(α-GAL)ポリペプチドは、α-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含み、システイン置換は、2つのα-GALポリペプチド間のジスルフィド結合形成を促進して、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。
【0018】
更なる態様において、提供されるのは、2つの修飾ヒトα-GALポリペプチドを含むホモダイマーであり、各修飾ヒトα-GALポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、各修飾ヒトα-GALポリペプチドは、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、各修飾ヒトα-GALポリペプチドは、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、野生型α-GALホモダイマーと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。
【0019】
更なる態様において、提供されるのは、2つの修飾ヒトα-GALポリペプチドを含むホモダイマーであり、各修飾ヒトα-GALポリペプチドは、α-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含み、システイン置換は、2つのα-GALポリペプチド間のジスルフィド結合形成を促進して、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、各修飾ヒトα-GALポリペプチドは、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、各修飾ヒトα-GALポリペプチドは、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、野生型α-GALホモダイマーと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。
【0020】
更なる態様において、提供されるのは、修飾ヒトα-GALポリペプチドをコードする核酸を含む核酸分子であり、核酸は:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、D233C及びI359Cのシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、M51C及びG360Cのシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、核酸は、遺伝子治療構築体である。一部の実施形態において、核酸はさらに、プロモータを含む。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、核酸は、ウイルス核酸配列の少なくとも一部を含む。一部の実施形態において、ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、又はヘルペスウイルスを含む。
【0021】
更なる態様において、提供されるのは、修飾ヒトα-GALポリペプチドをコードする核酸を含む核酸分子であり、核酸は、α-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードしており、システイン置換は、2つのα-GALポリペプチド間のジスルフィド結合形成を促進して、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、核酸は、D233C及びI359Cのシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、M51C及びG360Cのシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、核酸は、遺伝子治療構築体である。一部の実施形態において、核酸はさらに、プロモータを含む。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、核酸は、ウイルス核酸配列の少なくとも一部を含む。一部の実施形態において、ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、又はヘルペスウイルスを含む。
【0022】
更なる態様において、提供されるのは、少なくとも1つのプロモータ、及び修飾ヒトα-GALポリペプチドをコードする核酸を含む核酸構築体であり、修飾ヒトα-GALポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、核酸は、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、核酸構築体は:CrPV IRES、コザック配列、リンカーをコードする核酸、リーダー配列をコードする核酸配列、及びIGF2ペプチドをコードする核酸からなる群由来の1つ以上の核酸を含む。一部の実施形態において、核酸構築体は、ウイルス核酸配列の少なくとも一部を含む。一部の実施形態において、ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、又はヘルペスウイルスを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、核酸は、ウイルスカプシドタンパク質内にパッケージングされている。一部の実施形態において、核酸構築体は、遺伝子治療に適している。
【0023】
更なる態様において、提供されるのは、少なくとも1つのプロモータ、及び修飾ヒトα-GALポリペプチドをコードする核酸を含む核酸構築体であり、修飾ヒトα-GALポリペプチドは、α-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含み、システイン置換は、2つのα-GALポリペプチド間のジスルフィド結合形成を促進して、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、核酸は、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、核酸構築体は:CrPV IRES、コザック配列、リンカーをコードする核酸、リーダー配列をコードする核酸配列、及びIGF2ペプチドをコードする核酸からなる群由来の1つ以上の核酸を含む。一部の実施形態において、核酸構築体は、ウイルス核酸配列の少なくとも一部を含む。一部の実施形態において、ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、又はヘルペスウイルスを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、核酸は、ウイルスカプシドタンパク質内にパッケージングされている。一部の実施形態において、核酸構築体は、遺伝子治療に適している。
【0024】
更なる態様において、提供されるのは、(a)修飾ヒトα-GALポリペプチドであって:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む修飾ヒトα-GALポリペプチドと、(b)薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物である。一部の実施形態において、修飾ヒトα-GALポリペプチドは、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、修飾ヒトα-GALポリペプチドは、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、修飾ヒトα-GALポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、修飾ヒトα-GALポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、賦形剤は、生理食塩水、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ヒスチジン、グリシン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、水、デキストロース、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び界面活性剤ポリオキシエチレン-ソルビタンモノオレアートからなる群から選択される。一部の実施形態において、組成物は、酵素補充治療に適している。
【0025】
更なる態様において、提供されるのは、ファブリー病の少なくとも1つの病徴を寛解させることを必要とする対象において、ファブリー病の少なくとも1つの病徴を寛解させる方法であって、少なくとも1つのプロモータ、及び修飾ヒトα-GALポリペプチドをコードする核酸を含む遺伝子治療核酸構築体を含む組成物の少なくとも1回の用量を投与することを含み、修飾ヒトα-GALポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む、方法である。一部の実施形態において、核酸は、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、ホモダイマーを形成するポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、核酸は、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期が長い修飾ヒトα-GALポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、核酸は、ウイルスの少なくとも一部を含む。一部の実施形態において、ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、又はヘルペスウイルスを含む。一部の実施形態において、核酸は、ウイルスカプシドタンパク質内にパッケージングされている。一部の実施形態において、少なくとも1つの病徴は、痛み、皮膚の変色、発汗不能、眼の混濁、消化管機能不全、耳鳴り、聴力損失、僧帽弁逸脱、心臓病、関節の痛み、腎不全(renal failure)、及び腎機能不全(kidney dysfunction)の1つ以上から選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つの病徴が、遺伝子治療核酸構築体の単回投与により和らげられる。一部の実施形態において、方法はさらに、処置の後に対象から得られる組織内のα-GAL活性を測定することを含む。
【0026】
更なる態様において、提供されるのは、ファブリー病の少なくとも1つの病徴を寛解させることを必要とする対象において、ファブリー病の少なくとも1つの病徴を寛解させる方法であって、修飾ヒトα-GALポリペプチドを含む組成物の少なくとも1回の用量を投与することを含み、修飾ヒトα-GALポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む、方法である。一部の実施形態において、修飾ヒトα-GALポリペプチドは、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、修飾ヒトα-GALポリペプチドは、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、修飾ヒトα-GALポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、修飾ヒトα-GALポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、少なくとも1つの病徴は、痛み、皮膚の変色、発汗不能、眼の混濁、消化管機能不全、耳鳴り、聴力損失、僧帽弁逸脱、心臓病、関節の痛み、腎不全、及び腎機能不全の1つ以上から選択される
【0027】
文献の援用
本明細書中で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、又は特許出願がそれぞれ具体的に、且つ個々に、参照によって組み込まれると示されているが如く、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0028】
本発明の特徴及び利点の理解は、実例となる実施形態を示す以下の詳細な説明(本発明の原理が利用されている)、及び添付の図面の参照によって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、α-ガラクトシダーゼA(α-GAL)の構造、及びアミノ酸置換の候補部位を示す。
【
図3A】
図3Aは、24時間にわたるpH4.6及びpH7.4でのα-GALの安定性を示す。
【
図3B】
図3Bは、7日にわたるpH4.6及びpH7.4でのα-GALの安定性を示す。
【
図4A】
図4Aは、ファブリー患者線維芽細胞の、修飾α-GALの吸収及び酵素活性を示す。
【
図4B】
図4Bは、ファブリー患者線維芽細胞におけるグロボトリアオシルスフィンゴシン(lyso-Gb
3)の減少を示す。
【
図5】
図5は、ファブリー病細胞における2つのα-GALジスルフィドダイマーの延長された半減期の活性を示す。
【
図6】
図6は、修飾α-GAL遺伝子治療による処置のある、そして処置のない野生型マウス及びGLAノックアウトマウスにおけるGB3基質組織学を示す。
【
図7】
図7は、修飾α-GAL遺伝子治療による処置のある、そして処置のない野生型マウス及びGLAノックアウトマウスにおけるGLA酵素活性を示す。
【
図8】
図8は、修飾α-GAL遺伝子治療による処置のある、そして処置のない野生型マウス及びGLAノックアウトマウスにおける腎臓組織溶解液中で測定されたGB3基質を示す。
【
図9】
図9は、経時的なパルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1(PPT-1)野生型対構築体PPT-1変異体の酵素活性のウィンノンリン分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本明細書中で提供されるのは、治療薬用のポリペプチドの変異体であって、ダイマーを形成するための、分子内のジスルフィド結合の形成に、又はポリペプチド中の2つのサブユニット間のジスルフィド結合形成に起因して安定化を可能にするシステイン置換を有する遺伝子治療用の構築体を含むポリペプチドの変異体である。当該ジスルフィド結合は、血液のpH等の中性のpHにて、より安定した組換え酵素を生じさせる。したがって、半減期がより長い、より安定したポリペプチドが提供され、これは、変異に由来する疾患(α-GALの変異に由来する疾患、例えばファブリー病;又はPPT-1の変異に由来する疾患、例えばCLN1病が挙げられる)の処置に有用である。本明細書中のポリペプチド変異体(「修飾ポリペプチド」とも称される)として、以下に限定されないが、α-GAL及びPPT-1の変異体が挙げられる。
【0031】
修飾α-GALポリペプチド
本明細書中で提供されるのは、α-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む修飾α-GALポリペプチドである。本明細書中で提供される意図される置換として:(i)R49C及びG361C;(ii)R49C及びG360C;(iii)D233C及びI359C;(iv)M51C及びG360C;並びに(v)S276Cが挙げられる。一部の実施形態において、ポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。修飾α-GALポリペプチドは、少なくとも1つ、より好ましくは2つの分子間ジスルフィド結合によって安定するホモダイマーを形成することができる。修飾α-GALポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。
【0032】
野生型の、そして例示的な修飾α-GAL配列を、表1に示す。
【0033】
【0034】
また、本明細書中で提供されるのは、位置51及び360にシステイン残基を含有し、且つ配列番号4として示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む修飾α-GALポリペプチドである。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、位置51及び360にシステイン残基を含有し、且つ配列番号4として示される配列に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、位置51及び360にシステイン残基を含有し、且つ配列番号4として示される配列に対して少なくとも96%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、位置51及び360にシステイン残基を含有し、且つ配列番号4として示される配列に対して少なくとも97%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、位置51及び360にシステイン残基を含有し、且つ配列番号4として示される配列に対して少なくとも98%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、位置51及び360にシステイン残基を含有し、且つ配列番号4として示される配列に対して少なくとも99%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、位置51及び360にシステイン残基を含有し、且つ配列番号4として示される配列に対して99%超の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、配列番号4として示される配列を有するポリペプチドを含む。
【0035】
また、本明細書中で提供されるのは、位置233及び359にシステイン残基を含有し、且つ配列番号5として示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む修飾α-GALポリペプチドである。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、位置233及び359にシステイン残基を含有し、且つ配列番号5として示される配列に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、位置233及び359にシステイン残基を含有し、且つ配列番号5として示される配列に対して少なくとも96%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、位置233及び359にシステイン残基を含有し、且つ配列番号5として示される配列に対して少なくとも97%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、位置233及び359にシステイン残基を含有し、且つ配列番号5として示される配列に対して少なくとも98%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、位置233及び359にシステイン残基を含有し、且つ配列番号5として示される配列に対して少なくとも99%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、位置233及び359にシステイン残基を含有し、且つ配列番号5として示される配列に対して99%超の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、配列番号5として示される配列を有するポリペプチドを含む。
【0036】
また、本明細書中で提供されるのは、2つの修飾α-GALポリペプチドを含むホモダイマーであり、各修飾α-GALポリペプチドは:(i)R49C及びG361C;(ii)R49C及びG360C;(iii)D233C及びI359C;(iv)M51C及びG360C;並びに(v)S276Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、各修飾α-GALポリペプチドは:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、各修飾α-GALポリペプチドは、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、各修飾α-GALポリペプチドは、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、野生型α-GALホモダイマーと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。
【0037】
一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、pH4.6での半減期が長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも50%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも150%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも200%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも250%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも300%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも350%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも400%長い。
【0038】
一部の実施形態において、修飾α-GALダイマーは、pH4.6での半減期が、野生型α-GALのpH4.6での半減期と比較して、少なくとも約2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5の倍率で長い。より好ましくは、修飾α-GALダイマーは、pH4.6での半減期が、野生型α-GALポリペプチドのpH4.6での半減期と比較して、少なくとも約3、3.5、又は4の倍率で長い。
【0039】
一部の実施形態において、修飾α-GALダイマーは、細胞内半減期が、野生型ヒトα-GALの細胞内半減期と比較して、少なくとも約2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5の倍率で長い。より好ましくは、修飾α-GALダイマーは、細胞内半減期が、野生型α-GALポリペプチドの細胞内半減期と比較して、少なくとも約3、3.5、4、4.5、又は5の倍率で長い。
【0040】
修飾α-GALダイマーは、野生型ヒトα-GALと比較して、pH7.4での半減期が実質的に長い。
【0041】
修飾α-GALポリペプチドをコードする核酸
また、本明細書中で提供されるのは、修飾α-GALポリペプチドをコードする核酸を含む核酸分子である。意図される核酸として:(i)R49C及びG361C;(ii)R49C及びG360C;(iii)D233C及びI359C;(iv)M51C及びG360C;並びに(v)S276Cを含むα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードするものが挙げられる。一部の実施形態において、核酸は:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、D233C及びI359Cのシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、M51C及びG360Cのシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、核酸は、遺伝子治療構築体である。一部の実施形態において、核酸はさらに、プロモータを含む。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、核酸は、ウイルス核酸配列の少なくとも一部を含む。一部の実施形態において、ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、又はヘルペスウイルスを含む。
【0042】
また、本明細書中で提供されるのは、少なくとも1つのプロモータ及び修飾α-GALポリペプチドをコードする核酸を含む核酸構築体である。修飾α-GALポリペプチドは:(i)R49C及びG361C;(ii)R49C及びG360C;(iii)D233C及びI359C;(iv)M51C及びG360C;(v)並びにS276Cを含むα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むことが意図される。一部の実施形態において、核酸は:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、核酸構築体は、ウイルス核酸配列の少なくとも一部を含む。一部の実施形態において、ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、又はヘルペスウイルスを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、核酸は、ウイルスカプシドタンパク質内にパッケージングされている。一部の実施形態において、核酸構築体は、遺伝子治療に適している。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
一部の実施形態において、本明細書中の修飾α-GALポリペプチドをコードする核酸は、野生型α-GALポリペプチドと比較して、半減期が長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも50%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも150%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも200%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも250%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも300%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも350%長い。
【0047】
修飾PPT-1ポリペプチド
本明細書中で提供されるのは、PPT-1ポリペプチド配列のシステイン置換を含む修飾PPT-1ポリペプチドである。本明細書中で提供される、意図される置換として、A171C及びA183Cが挙げられる。一部の実施形態において、ポリペプチドは、A171C及びA183CのPPT-1ポリペプチド配列のシステイン置換を含む。修飾PPT-1ポリペプチドは、少なくとも1つ、より好ましくは2つの分子内ジスルフィド結合によって安定する。修飾PPT-1ポリペプチドは、野生型PPT-1ポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。
【0048】
野生型の、そして例示的な修飾PPT-1を、表3に示す。
【0049】
【0050】
また、本明細書中で提供されるのは、位置171及び183にシステイン残基を含有し、且つ配列番号14として示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む修飾PPT-1ポリペプチドである。一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、位置171及び183にシステイン残基を含有し、且つ配列番号14として示される配列に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、位置171及び183にシステイン残基を含有し、且つ配列番号14として示される配列に対して少なくとも96%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、位置171及び183にシステイン残基を含有し、且つ配列番号14として示される配列に対して少なくとも97%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、位置171及び183にシステイン残基を含有し、且つ配列番号14として示される配列に対して少なくとも98%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、位置171及び183にシステイン残基を含有し、且つ配列番号14として示される配列に対して少なくとも99%の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、位置171及び183にシステイン残基を含有し、且つ配列番号14として示される配列に対して99%超の同一性を有する配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、配列番号14として示される配列を有するポリペプチドを含む。
【0051】
一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、pH4.6での半減期が長い。一部の実施形態において、pH4.6の半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも50%長い。一部の実施形態において、pH4.6の半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも150%長い。一部の実施形態において、pH4.6の半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも200%長い。一部の実施形態において、pH4.6の半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも250%長い。一部の実施形態において、pH4.6の半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも300%長い。一部の実施形態において、pH4.6の半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも350%長い。一部の実施形態において、pH4.6の半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも400%長い。
【0052】
一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、pH4.6での半減期が、pH4.6での野生型PPT-1の半減期と比較して、少なくとも約2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5の倍率で長い。より好ましくは、修飾PPT-1ポリペプチドは、pH4.6での半減期が、pH4.6での野生型PPT-1ポリペプチドの半減期と比較して、少なくとも約3、3.5、又は4の倍率で長い。
【0053】
一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、細胞内半減期が、野生型ヒトα-GALの細胞内半減期と比較して、少なくとも約2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5の倍率で長い。より好ましくは、修飾PPT-1ポリペプチドは、細胞内半減期が、野生型PPT-1ポリペプチドの細胞内半減期と比較して、少なくとも約3、3.5、4、4.5、又は5の倍率で長い。
【0054】
修飾PPT-1ポリペプチドは、野生型ヒトα-GALと比較して、pH7.4での半減期が実質的に長い。
【0055】
修飾PPT-1ポリペプチドをコードする核酸
また、本明細書中で提供されるのは、修飾PPT-1ポリペプチドをコードする核酸を含む核酸分子である。意図される核酸として:A171C及びA183Cを含むPPT-1ポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードするものが挙げられる。一部の実施形態において、核酸は、A171C及びA183Cのシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、野生型PPT-1ポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、核酸は、遺伝子治療構築体である。一部の実施形態において、核酸はさらに、プロモータを含む。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、核酸は、ウイルス核酸配列の少なくとも一部を含む。一部の実施形態において、ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、又はヘルペスウイルスを含む。
【0056】
【0057】
【0058】
一部の実施形態において、本明細書中の修飾PPT-1ポリペプチドをコードする核酸は、野生型PPT-1ポリペプチドと比較して、半減期が長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも50%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも150%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも200%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも250%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも300%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも350%長い。
【0059】
IGF2ペプチド
場合によっては、本明細書中の修飾ポリペプチド、例えば本明細書中の修飾α-GAL又は修飾PPT-1ポリペプチドは、必要であれば、修飾ポリペプチドをリソソームに向けるためのインシュリン様成長因子2(IGF2)ペプチドに融合される。IGF2ペプチド配列内の異型が、IGF2/CI-MPRへの高い親和性結合を維持し、且つIGF1、インスリン受容体、及びIGF結合タンパク質(IGFBP)への結合を消失させる。異型IGF2ペプチドは、実質的に、従来のIGF2融合タンパク質と比較して、より選択的であり、且つ安全性リスクが低い。本明細書中のIGF2ペプチドとして、
のアミノ酸配列を有するものが挙げられる。更なるIGF2ペプチドは、標的化の向上のために最適化された異型アミノ酸配列を有する。異型IGF2ペプチドは、野生型IGF2配列の位置26、27、43、48、49、50、54、55、又は65にて異型アミノ酸を含む。これらは、配列番号17のF26、Y27、V43、F48、R49、S50、A54、L55、又はK65にて置換を含む。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、F26S、Y27L、V43L、F48T、R49S、S50I、A54R、L55R、及びK65Rからなる群由来の1つ以上の置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、F26Sの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、Y27Lの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、V43Lの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、F48Tの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、R49Sの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、S50Iの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、A54Rの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、L55Rの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、K65Rの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、F26S、Y27L、V43L、F48T、R49S、S50I、A54R、及びL55Rの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、N末端欠失を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、1つのアミノ酸のN末端欠失を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、2つのアミノ酸のN末端欠失を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、3つのアミノ酸のN末端欠失を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、3つのアミノ酸のN末端欠失を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、4つのアミノ酸のN末端欠失を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、5つのアミノ酸のN末端欠失を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、6つのアミノ酸のN末端欠失を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、7つのアミノ酸のN末端欠失を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、7つのアミノ酸のN末端欠失、並びにY27L及びK65Rの置換を有する。
【0060】
不安定性を引き下げる一方、CI-MPR結合親和性を維持するための更なる置換が意図される。当該置換は、本明細書中に記載される他のあらゆる置換と組み合わされることが意図される。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、L17Nの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、P31Gの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、R38Gの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、E45Wの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、S50Gの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、R38G及びE45Wの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、R38G、E45W、及びS50Gの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、P31G、R38G、E45W、及びS50Gの置換を有する配列を有する。一部の実施形態において、IGF2ペプチドは、L17N、P31G、R38G、E45W、及びS50Gの置換を有する配列を有する。例示的なペプチド配列が、配列番号17~27によって表される。
【0061】
【0062】
内部リボソームエントリ配列
本明細書中の修飾ポリペプチドをコードする核酸、例えば修飾α-GAL及びPP-1ポリペプチドをコードする核酸は、一部の実施形態において、翻訳開始のボトルネックを迂回することによって遺伝子発現を増大させるための内部リボソームエントリ配列(IRES)をさらに含む。遺伝子治療のために発現を最適化するのに適した内部リボソームエントリ配列として、以下に限定されないが、クリケット麻痺ウイルス(CrPV)IRES、ピコルナウイルスIRES、アフトウイルスIRES、カポージ肉腫関連ヘルペスウイルスIRES、A型肝炎IRES、C型肝炎IRES、ペスチウイルスIRES、クリパウイルスIRES、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi)ウイルスIRES、マレック病ウイルスIRES、及び他の適したIRES配列が挙げられる。一部の実施形態において、遺伝子治療構築体は、CrPV IRESを含む。一部の実施形態において、CrPV IRESは、
の核酸配列を有する。
【0063】
シグナル配列
本明細書中で提供されるのは、修飾ポリペプチド、例えば修飾α-GALポリペプチド又は修飾PPT-1ポリペプチドをコードする核酸を含む核酸分子であり、当該核酸分子はさらに、シグナルペプチドを含み、これは、遺伝子治療構築体が形質導入された細胞からの治療用タンパク質の分泌を向上させる。シグナルペプチドは、一部の実施形態において、治療用タンパク質のタンパク質プロセシングを向上させて、発生期のポリペプチド-リボソーム複合体の、ERへの移動を促進して、適切な翻訳時修飾及び翻訳後修飾を確実にする。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、(i)シグナル翻訳開始配列の上流位置に、(ii)翻訳開始配列と治療用タンパク質との間に、又は(iii)治療用タンパク質の下流位置に位置決めされる。遺伝子治療構築体に有用なシグナルペプチドとして、以下に限定されないが、HSP70タンパク質のファミリーに由来する結合免疫グロブリンタンパク質(BiP)シグナルペプチド(例えば、HSPA5、ヒートショックタンパク質ファミリーAメンバー5)、及びその変異体が挙げられる。当該シグナルペプチドは、シグナル認識粒子に対する親和性が極めて高い。BiPアミノ酸配列の例を、以下の表6に示す。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、配列番号29~33からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、配列番号29~33からなる群から選択される配列と、5つ以下、4つ以下、3つ以下、2つ以下、又は1つのアミノ酸だけ異なる。
【0064】
【0065】
コザック配列
本明細書中で提供されるのは、修飾ポリペプチド、例えば、修飾α-GALポリペプチド又は修飾PPT-1ポリペプチドをコードする核酸を含む核酸分子であり、当該核酸分子はさらに、mRNAの翻訳の開始を補助するコザック配列を有する核酸を含む。本明細書中で意図されるコザック配列は、gccRccAUGG(配列番号34)のコンセンサス配列を有する(小文字は、その位置にて最も共通の塩基を示し、当該塩基は変異する。大文字は、稀にしか変異しない非常に保存された塩基を示す)。Rは、プリン(アデニン又はグアニン)が、その位置にて常に観察されることを示す。括弧内の配列(gcc)は、重要性が不明である。
【0066】
治療用タンパク質
本明細書中で提供される遺伝子治療構築体は、遺伝性障害を処置するためのタンパク質の安定した形態をコードする核酸を含む。遺伝子治療構築体から発現される治療用タンパク質は、不在タンパク質又は欠損タンパク質を補充する。したがって、治療用タンパク質は、個体において処置が必要な遺伝的欠損に基づいて選択される。本明細書中の安定した形態は、1つ以上の外来システイン残基を含み、これは、タンパク質内の外来システイン間に、又はタンパク質の2つのモノマーの外来システイン間にジスルフィド架橋を形成する。
【0067】
一部の実施形態において、本明細書中の遺伝子治療構築体は、酵素、例えばリソソーム蓄積障害の個体において遺伝的欠陥がある酵素をコードする。一部の実施形態において、本明細書中で提供される遺伝子治療構築体によってコードされる酵素として、以下に限定されないが、アルファ-ガラクトシダーゼA、β-グルコセレブロシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、リソソーム酸リパーゼ、グリコサミノグリカンアルファ-L-イズロニダーゼ、アルファ-L-イズロニダーゼ、N-スルホグルコサミンスルホヒドロラーゼ(SGSH)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、イズロン酸-2-スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ、グリコサミノグリカンN-アセチルガラクトサミン4-スルファターゼ、アルファ-グルコシダーゼ、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ1、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ2、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ3、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ4、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ5、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ6、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ7、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ8、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ9、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ10、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ11、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ12、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ13、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ14、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ15、ニューロンセロイドリポフスチノーゼ16、及びサイクリン依存性キナーゼ様5が挙げられる。
【0068】
遺伝子治療ベクター及び組成物
本明細書中で提供されるのは:神経障害又は遺伝性障害を処置するためのタンパク質の安定した形態をコードする核酸を含む核酸構築体を含む遺伝子治療ベクターであり、安定した形態は、タンパク質内の外来システイン間で、又はタンパク質の2つのモノマーの外来システイン間でジスルフィド架橋を形成する1つ以上の外来システイン残基を含む。一部の実施形態において、安定した形態は、修飾α-GALポリペプチド又は修飾PPT-1ポリペプチドを含む。
【0069】
一部の実施形態において、修飾ポリペプチドをコードする核酸は、いくつかのベクター型にクローニングされる。例えば、一部の実施形態において、核酸は、以下に限定されないが、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス、及びコスミドが挙げられるベクターにクローニングされる。特に注目するベクターとして、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター(probe generation vector)、及び配列決定ベクターが挙げられる。
【0070】
さらに、修飾ポリペプチドをコードする発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供される。ウイルスベクター技術は、例えば、Sambrook et al.,2012,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,volumes 1-4(Cold Spring Harbor Press、NY)中に、そして他のウイルス学及び分子生物学のマニュアル中に記載されている。ベクターとして有用なウイルスとして、以下に限定されないが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルスが挙げられる。一般に、適切なベクターは、少なくとも1種の生物において機能的な複製起点、プロモータ配列、都合の良い制限エンドヌクレアーゼ部位、及び1つ以上の選択マーカーを含有する(例えば、国際公開第01/96584号パンフレット;国際公開第01/29058号パンフレット;及び米国特許第6,326,193号明細書)。
【0071】
また、本明細書中で提供されるのは、遺伝子移入のための組成物及び系である。哺乳動物の細胞中への遺伝子移入用のいくつかのウイルスベースの系が開発されてきた。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達系にとって都合の良いプラットフォームを提供する。選択された遺伝子が、一部の実施形態において、適切な技術を用いて、ベクター中に挿入されて、レトロウイルスの粒子内にパッケージングされる。続いて、組換えウイルスが単離されて、対象の細胞にインビボ送達又はエクスビボ送達される。いくつかのレトロウイルス系が、遺伝子治療に適している。一部の実施形態において、アデノウイルスベクターが用いられる。いくつかのアデノウイルスベクターが、遺伝子治療に適している。一部の実施形態において、アデノ随伴ウイルスベクターが用いられる。いくつかのアデノ随伴ウイルスが、遺伝子治療に適している。一実施形態において、レンチウイルスベクターが用いられる。
【0072】
本明細書中で提供される遺伝子治療構築体は、注目する遺伝子がクローニングされる、又は注目する遺伝子を含むベクター(又は遺伝子治療発現ベクター)を、ベクターのヌクレオチド配列が、注目する遺伝子の発現(構成的である、又は何らかの方法で調節される)を可能にするように含む。本明細書中で提供されるベクター構築体は、注目する組織に送達することができ、且つ注目する遺伝子の発現を、注目する選択組織において実現することとなる、適切なあらゆる遺伝子発現ベクターを含む。
【0073】
一部の実施形態において、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。これは、AAVベクターの、血液脳関門を越える能力、及びニューロン組織の形質導入のためである。本明細書中で提供される方法において、あらゆる血清型のAAVが用いられることが意図される。特定の実施形態において用いられるウイルスベクターの血清型は、AAV1ベクター、AAV2ベクター、AAV3ベクター、AAV4ベクター、AAV5ベクター、AAV6ベクター、AAV7ベクター、AAV8ベクター、AAV9ベクター、AAVrhSベクター、AAVrh10ベクター、AAVrh33ベクター、AAVrh34ベクター、AAVrh74ベクター、AAV Anc80ベクター、AAVPHP.Bベクター、AAVhu68ベクター、AAV-DJベクター、及び遺伝子治療に適した他のものからなる群から選択される。
【0074】
AAVベクターは、哺乳動物にとって非病原性であるDNAパルボウイルスである。手短に言うと、AAVベースのベクターは、ウイルスゲノムの96%を占めるrepウイルス遺伝子及びcapウイルス遺伝子が、ウイルスDNAの複製、パッケージング、及び統合を開始するのに用いられる、側面に位置する2つの145塩基対の逆位末端反復(ITR)を残して、取り出されている。
【0075】
更なる実施形態は、AAV1ベクター、AAV2ベクター、AAV3ベクター、AAV4ベクター、AAV5ベクター、AAV6ベクター、AAV7ベクター、AAV8ベクター、AAV9ベクター、AAVrhSベクター、AAVrh10ベクター、AAVrh33ベクター、AAVrh34ベクター、AAVrh74ベクター、AAV Anc80ベクター、AAVPHP.Bベクター、AAV-DJベクター、及び遺伝子治療に適した他のものを作成するための、他の血清型カプシドの使用を含む。場合によっては、AAVウイルスカプシドは、AAV2/9、AAV9、AAVrhS、AAVrh10、AAVAnc80、又はAAV PHP.Bである。
【0076】
更なるプロモータ要素、例えばエンハンサーが、転写開始の頻度を調節する。典型的には、プロモータ要素は、開始部位の上流30~110bpの領域内に位置決めされるが、いくつかのプロモータは、機能的要素を開始部位の下流側にも含有することが示されてきた。高頻度になされるプロモータ要素間の間隔空け(spacing)は、フレキシブルであるので、要素同士が互いに対して逆にされ、又は移動される場合に、プロモータ機能が保存される。チミジンキナーゼ(tk)プロモータにおいて、プロモータ要素間の間隔空けは、多くの場合、50bpまで離されてから、活性が落ち始める。プロモータに応じて、個々の要素は、転写を活性化するように協働的に、又は独立して機能するようである。
【0077】
安定したタンパク質、例えば、修飾α-GALポリペプチド又は修飾PPT-1ポリペプチドトランスジーンを哺乳動物T細胞内で発現することができるプロモータの例として、EF1aプロモータがある。天然のEF1aプロモータは、リボソームへのアミノアシルtRNAの酵素的送達を担う伸長因子-1複合体のアルファサブユニットの発現を駆動する。EF1aプロモータは、哺乳動物発現プラスミドに広く用いられており、レンチウイルスベクターにクローニングされた導入遺伝子からの発現を駆動するのに効果的であることが示されてきた(例えば、Milone et al.,Mol.Ther.17(8):1453-1464(2009)参照)。プロモータの別の例として、前初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ配列がある。このプロモータ配列は、これに作動的に連結されたあらゆるポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動することができる強い構成的プロモータ配列である。しかしながら、他の構成的プロモータ配列もまた時折用いられ、以下に限定されないが、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモータ、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)末端反復配列(LTR)プロモータ、MoMuLVプロモータ、トリ白血病ウイルスプロモータ、エプスタイン-バーウイルス前初期プロモータ、ラウス肉腫ウイルスプロモータ、並びにヒト遺伝子プロモータ、例えば、以下に限定されないが、アクチンプロモータ、ミオシンプロモータ、伸長因子-1aプロモータ、ヘモグロビンプロモータ、及びクレアチンキナーゼプロモータが挙げられる。さらに、遺伝子治療ベクターは、構成的プロモータの使用に限定されることは意図されない。誘導性プロモータもまた本明細書で意図される。誘導性プロモータの使用は、分子スイッチを提供し、これは、作動的に連結されたポリヌクレオチド配列の発現を、そのような発現が所望される場合にオンにすることができ、又は当該発現を、発現が所望されない場合にオフにすることができる。誘導性プロモータの例として、以下に限定されないが、メタロチオネイン(metallothionine)プロモータ、グルココルチコイドプロモータ、プロゲステロンプロモータ、及びテトラサイクリン調節プロモータが挙げられる。一部の実施形態において、プロモータは、α-GALプロモータである。
【0078】
修飾ポリペプチドの発現を評価するために、細胞中に導入されることとなる発現ベクターは、多くの場合、選択マーカー遺伝子若しくはリポーター遺伝子のいずれか、又は双方を含有して、ウイルスベクターを介して形質移入又は感染されることが求められる細胞の集団からの発現細胞の同定及び選択を促進する。他の態様において、選択マーカーは、多くの場合、DNAの別個のピース上に載せられて、同時形質移入手順に用いられる。選択マーカー及びリポーター遺伝子は双方とも、時折、宿主細胞内での発現を可能にする適切な調節配列が側面に位置する。有用な選択マーカーの例として、抗生物質耐性遺伝子、例えばneoが挙げられる。
【0079】
細胞中に遺伝子を導入して発現させる方法が、本明細書中の方法に適している。発現ベクターの文脈で、ベクターは、宿主細胞、例えば、哺乳動物、細菌、酵母、又は昆虫細胞中に、当該技術におけるあらゆる方法によって容易に導入される。例えば、発現ベクターは、宿主細胞中に、物理的、化学的、又は生物学的手段によって移される。
【0080】
宿主細胞中にポリヌクレオチドを導入する物理的方法として、リン酸カルシウム析出、リポフェクション、粒子砲撃、マイクロインジェクション、遺伝子ガン、及びエレクトロポレーションが挙げられる。ベクター及び/又は外来核酸を含む細胞を生成する方法が、本明細書中の方法に適している(例えば、Sambrook et al.,2012,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,volumes 1-4、Cold Spring Harbor Press、NY参照)。宿主細胞中へのポリヌクレオチドの一導入方法が、リン酸カルシウム形質移入である。
【0081】
宿主細胞中にポリヌクレオチドを導入する化学的手段として、コロイド分散系、例えば、巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、及び脂質ベース系(水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセル、及びリポソームが挙げられる)が挙げられる。インビトロで、そしてインビボで送達ビヒクルとして用いられる例示的なコロイド系として、リポソーム(例えば人工膜小胞)がある。最新技術の核酸標的送達の他の方法、例えば、標的ナノ粒子又は他の適したサブミクロンサイズの送達系によるポリヌクレオチドの送達が利用可能である。
【0082】
非ウイルス送達系が利用される場合には、例示的な送達ビヒクルは、リポソームである。脂質製剤の使用は、宿主細胞中への核酸の(インビトロ、エクスビボ、又はインビボでの)導入に意図される。別の態様において、核酸は、脂質と会合される。脂質と会合された核酸は、一部の実施形態において、リポソームの水性内部にカプセル化され、リポソームの脂質二重層内に散在し、リポソーム及びオリゴヌクレオチドの双方と会合される連結分子を介してリポソームに付着され、リポソーム内にトラップされ、リポソームと複合体形成され、脂質を含有する溶液中に分散され、脂質と混合され、脂質と組み合わされ、脂質中に懸濁液として含有され、ミセルにより含有され、若しくはミセルと複合体形成され、又は脂質と会合される。脂質、脂質/DNA、又は脂質/発現ベクター会合組成物は、溶液での特定のいかなる構造にも限定されない。例えば、一部の実施形態において、リポソームは、二重層構造で、ミセルとして、又は「崩壊した」構造で存在する。これ以外にも、リポソームは単純に、溶液中に散在しており、おそらく、サイズ又は形状が均一でない凝集体を形成している。脂質は、一部の実施形態において、天然に存在する脂質又は合成脂質である脂肪物質である。例えば、脂質として、細胞質内に天然に存在する脂肪小滴、並びに長鎖脂肪族炭化水素及びその誘導体、例えば、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、及びアルデヒドを含有する化合物のクラスが挙げられる。
【0083】
使用に適した脂質は、市販の源から得られる。例えば、一部の実施形態において、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma、St.Louis、Mo.から得られ;一部の実施形態において、リン酸ジセチル(「DCP」)は、K & K Laboratories(Plainview、N.Y.)から得られ;コレステロール(「Choi」)は、一部の実施形態において、Calbiochem-Behringから得られ;ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)及び他の脂質は、多くの場合、Avanti Polar Lipids,Inc.(Birmingham、Ala.)から得られる。脂質のクロロホルム又はクロロホルム/メタノール貯蔵液は、多くの場合、約-20℃にて保存される。クロロホルムは、メタノールよりも容易に蒸発するため、唯一の溶媒として用いられる。「リポソーム」は、閉じた脂質二重層又は凝集体の生成によって形成される種々の単脂質ビヒクル及び多層脂質ビヒクルを包含する総称語である。リポソームは、多くの場合、リン脂質二重層膜及び内部水性媒体により多孔質構造を有すると特徴付けられる。多重膜リポソームは、水性媒体によって隔てられた複数の脂質層を有する。多重膜リポソームは、過剰の水性溶液中にリン脂質が懸濁されると、自発的に形成される。脂質成分は、閉じた構造の形成前に自己再配置を経験し、そして水及び溶解した溶質を脂質二重層間にトラップする(Ghosh et al.,1991 Glycobiology 5:505-10)。しかしながら、標準的な多孔質構造とは溶液の構造が異なる組成物も包含される。例えば、脂質は、一部の実施形態において、ミセル構造をとり、又は単に、脂質分子の不均一な凝集体としてしか存在しない。また、意図されるのは、リポフェクタミン-核酸複合体である。
【0084】
宿主細胞中に外来核酸を導入して、又は細胞を修飾α-GALポリペプチドに曝して、宿主細胞内での組換えDNA配列の存在を確認するのに用いられる方法に関係なく、種々のアッセイが実行されることが意図される。そのようなアッセイとして、例えば、本明細書中の方法に適した「分子生物学的」アッセイ、例えばサザンブロッティング及びノザンブロッティング、RT-PCR及びPCR;例えば、特定のペプチドの有無を、例えば、免疫学的手段(ELISA及びウェスタンブロット)によって、又は本明細書中の範囲に入る剤を識別するための本明細書中に記載されるアッセイによって検出する「生化学」アッセイが挙げられる。
【0085】
本開示はさらに、修飾ポリペプチドコーディング核酸分子を含むベクターを提供する。一態様において、治療用融合タンパク質ベクターは、細胞に直接形質導入することができる。一態様において、ベクターは、クローニングベクター又は発現ベクターであり、例えばベクターであり、以下に限定されないが、1つ以上のプラスミド(例えば、発現プラスミド、クローニングベクター、ミニサークル、ミニベクター、二重微小染色体)、レトロウイルスベクター構築体、及びレンチウイルスベクター構築体が挙げられる。一態様において、ベクターは、哺乳動物細胞内で修飾ポリペプチド構築体を発現することができる。一態様において、哺乳動物細胞は、ヒト細胞である。
【0086】
医薬組成物
本明細書中で提供されるのは、遺伝性障害を処置するタンパク質の安定した形態であって、タンパク質内の外来システイン間に、又はタンパク質の2つのモノマーの外来システイン間にジスルフィド架橋を形成する1つ以上の外来システイン残基を含む安定した形態である修飾ポリペプチド、及び(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。一部の実施形態において、修飾ポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、修飾ポリペプチドは、野生型ポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。
【0087】
加えて、本明細書中で提供されるのは、(i)修飾α-GALポリペプチドであって、α-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む修飾α-GALポリペプチド、及び(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。意図される置換として:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cが挙げられる。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、組成物は、シャペロンを含む。一部の実施形態において、シャペロンは、ミガラスタットを含む。
【0088】
さらに、本明細書中で提供されるのは、(i)修飾PPT-1ポリペプチドであって、PPT-1ポリペプチド配列のシステイン置換を含む修飾PPT-1ポリペプチド、及び(ii)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。意図される置換として、A171C及びA183Cが挙げられる。一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、野生型PPT-1ポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、組成物は、シャペロンを含む。
【0089】
本明細書中の医薬組成物に適した賦形剤として、以下に限定されないが、生理食塩水、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ヒスチジン、グリシン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、水、デキストロース、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び界面活性剤ポリオキシエチレン-ソルビタンモノオレアートが挙げられる。
【0090】
一部の実施形態において、本明細書中の医薬組成物は、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH4.6での半減期が長い本明細書中の修飾α-GALポリペプチドを含む。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも50%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも150%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも200%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも250%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも300%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも350%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも400%長い。
【0091】
一部の実施形態において、本明細書中の医薬組成物は、野生型PPT-1ポリペプチドと比較して、pH4.6での半減期が長い本明細書中の修飾PPT-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも50%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも150%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも200%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも250%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも300%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも350%長い。一部の実施形態において、pH4.6での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも400%長い。
【0092】
一部の実施形態において、本明細書中の医薬組成物は、pH7.4での半減期が長い修飾α-GALポリペプチドを含む。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも50%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも150%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも200%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも250%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも300%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも350%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも400%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも500%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも600%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも700%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも800%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも900%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも1000%長い。
【0093】
一部の実施形態において、本明細書中の医薬組成物は、pH7.4での半減期が長い修飾PPT-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも50%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも150%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも200%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも250%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも300%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも350%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも400%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも500%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも600%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも700%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも800%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも900%長い。一部の実施形態において、pH7.4での半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも1000%長い。
【0094】
処置の方法
遺伝子治療方法
また、本明細書中で提供されるのは、遺伝的疾患の少なくとも1つの病徴を寛解させることを必要とする対象において、遺伝的疾患の少なくとも1つの病徴を寛解させる方法である。一部のそのような方法は、遺伝性障害を処置するためのタンパク質の安定した形態をコードする遺伝子治療核酸を含む組成物の少なくとも1回の用量を投与することを含み、安定した形態は、タンパク質内の外来システイン間に、又はタンパク質の2つのモノマーの外来システイン間にジスルフィド架橋を形成する1つ以上の外来システイン残基を含む。一部の実施形態において、核酸は、ホモダイマーを形成するポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、核酸は、野生型ポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期が長いポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、核酸は、ウイルスの少なくとも一部を含む。一部の実施形態において、ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、又はヘルペスウイルスを含む。一部の実施形態において、核酸は、ウイルスカプシドタンパク質内にパッケージングされている。一部の実施形態において、少なくとも1つの病徴は、痛み、皮膚の変色、発汗不能、眼の混濁、消化管機能不全、耳鳴り、聴力損失、僧帽弁逸脱、心臓病、関節の痛み、腎不全、及び腎機能不全の1つ以上から選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つの病徴が、遺伝子治療核酸構築体の単回投与により和らげられる。一部の実施形態において、方法はさらに、処置の後に対象から得られる組織内の活性を測定することを含む。
【0095】
一部の実施形態において、遺伝子治療ベクター又は医薬組成物は、脳脊髄液に投与される。一部の実施形態において、遺伝子治療ベクター又は医薬組成物は、クモ膜下腔内注射、脳室内注射、実質内注射、静脈内注射、又はそれらの組合せによって送達される。一部の実施形態において、遺伝子治療ベクター又は医薬組成物は、クモ膜下腔内注射によって投与される。一部の実施形態において、遺伝子治療ベクター又は医薬組成物は、静脈内注射を介して投与される。
【0096】
一部の実施形態において、遺伝性障害は、神経障害である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、リソソーム蓄積障害である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、アスパルチルグルコサミン尿症、バッテン病、シスチン症、ファブリー病、ゴーシェ病I型、ゴーシェ病II型、ゴーシェ病III型、ポンペ病、テイ・サックス病、サンドホフ病、異染性白質萎縮症、ムコ脂質症I型、ムコ脂質症II型、ムコ脂質症III型、ムコ脂質症IV型、ハーラー病、ハンター病、サンフィリッポ病A型、サンフィリッポ病B型、サンフィリッポ病C型、サンフィリッポ病D型、モルキオ病A型、モルキオ病B型、マロトー・ラミー病、スライ病、ニーマン・ピック病A型、ニーマン・ピック病B型、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、シンドラー病I型、シンドラー病II型、アデノシンデアミナーゼ重症複合型免疫不全(ADA-SCID)、慢性肉芽腫症(CGD)、ニューロンセロイドリポフスチン沈着症の乳児形態、若年形態、及び成人形態、並びにCDKL5欠乏症からなる群から選択される。
【0097】
また、本明細書中で提供されるのは、ファブリー病の少なくとも1つの病徴を寛解させることを必要とする対象において、ファブリー病の少なくとも1つの病徴を寛解させる方法である。一部のそのような方法は、少なくとも1つのプロモータ、及びα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む修飾α-GALポリペプチドをコードする核酸を含む遺伝子治療核酸構築体を含む組成物の少なくとも1回の用量を投与することを含む。修飾α-GALポリペプチドは:(i)R49C及びG361C;(ii)R49C及びG360C;(iii)D233C及びI359C;(iv)M51C及びG360C;並びに(v)S276Cが挙げられるシステイン置換を含むことが意図される。一部の実施形態において、核酸は:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cからなる群から選択されるα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、D233C及びI359Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、M51C及びG360Cのα-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、核酸は、ホモダイマーを形成するポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、核酸は、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期が長い修飾α-GALポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、核酸は、ウイルスの少なくとも一部を含む。一部の実施形態において、ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、又はヘルペスウイルスを含む。一部の実施形態において、核酸は、ウイルスカプシドタンパク質内にパッケージングされている。一部の実施形態において、少なくとも1つの病徴は、痛み、皮膚の変色、発汗不能、眼の混濁、消化管機能不全、耳鳴り、聴力損失、僧帽弁逸脱、心臓病、関節の痛み、腎不全、及び腎機能不全の1つ以上から選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つの病徴が、遺伝子治療核酸構築体の単回投与により和らげられる。一部の実施形態において、方法はさらに、処置の後に対象から得られる組織内のα-GAL活性を測定することを含む。一部の実施形態において、方法はさらに、シャペロンを投与することを含む。一部の実施形態において、シャペロンは、ミガラスタットを含む。
【0098】
また、本明細書中で提供されるのは、CLN1病の少なくとも1つの病徴を寛解させることを必要とする対象において、CLN1病の少なくとも1つの病徴を寛解させる方法である。一部のそのような方法は、少なくとも1つのプロモータ、及びPPT-1ポリペプチド配列のシステイン置換を含む修飾PPT-1ポリペプチドをコードする核酸を含む遺伝子治療核酸構築体を含む組成物の少なくとも1回の用量を投与することを含む。修飾PPT-1ポリペプチドは、A171C及びA183Cが挙げられるシステイン置換を含むことが意図される。一部の実施形態において、核酸は、ホモダイマーを形成するポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、核酸は、野生型PPT-1ポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期が長い修飾PPT-1ポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、プロモータは、構成的プロモータである。一部の実施形態において、プロモータは、組織特異的プロモータである。一部の実施形態において、核酸は、ウイルスの少なくとも一部を含む。一部の実施形態において、ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、又はヘルペスウイルスを含む。一部の実施形態において、核酸は、ウイルスカプシドタンパク質内にパッケージングされている。一部の実施形態において、少なくとも1つの病徴は、痛み、皮膚の変色、発汗不能、眼の混濁、消化管機能不全、耳鳴り、聴力損失、僧帽弁逸脱、心臓病、関節の痛み、腎不全、及び腎機能不全の1つ以上から選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つの病徴が、遺伝子治療核酸構築体の単回投与により和らげられる。一部の実施形態において、方法はさらに、処置の後に対象から得られる組織内のPPT-1活性を測定することを含む。一部の実施形態において、方法はさらに、シャペロンを投与することを含む。一部の実施形態において、シャペロンは、ミガラスタットを含む。
【0099】
一部の実施形態において、本明細書中に記載される方法による処置は、治療用タンパク質をコードする遺伝子を、治療用タンパク質を必要とする細胞に送達する。一部の実施形態において、処置は、個体において遺伝子を全ての体細胞に送達する。一部の実施形態において、処置は、標的細胞内で欠陥遺伝子を補充する。一部の実施形態において、治療用タンパク質を発現するようにエクスビボ処理された細胞が、個体に送達される。
【0100】
一部の実施形態において、本明細書中の遺伝子治療処置は、細胞内半減期が、野生型ヒトα-GALの半減期と比較して、少なくとも約2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5の倍率で長い本明細書中の修飾α-GALポリペプチドをコードする核酸を投与することを含む
【0101】
酵素補充治療方法
また、提供されるのは、遺伝性疾患の少なくとも1つの病徴を寛解させることを必要とする対象において、遺伝性疾患の少なくとも1つの病徴を寛解させる方法であり、当該方法は、遺伝性障害を処置するためのタンパク質の安定した形態を含む組成物の少なくとも1回の用量を投与することを含み、安定した形態は、タンパク質内の外来システイン間で、又はタンパク質の2つのモノマーの外来システイン間でジスルフィド架橋を形成する1つ以上の外来システイン残基を含む。一部の実施形態において、修飾ポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、修飾ポリペプチドは、野生型ポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、少なくとも1つ病徴は、精神的欠陥、発作、言語障害、及び動作失調の1つ以上から選択される。一部の実施形態において、方法はさらに、シャペロンを投与することを含む。一部の実施形態において、シャペロンは、ミガラスタットを含む。
【0102】
一部の実施形態において、組成物は、クモ膜下腔内注射、脳室内注射、実質内注射、皮下注射、筋肉内注射、眼注射、静脈内注射、又はそれらの組合せを介して送達される。
【0103】
一部の実施形態において、遺伝性障害は、神経障害である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、リソソーム蓄積障害である。一部の実施形態において、遺伝性障害は、アスパルチルグルコサミン尿症、バッテン病、シスチン症、ファブリー病、ゴーシェ病I型、ゴーシェ病II型、ゴーシェ病III型、ポンペ病、テイ・サックス病、サンドホフ病、異染性白質萎縮症、ムコ脂質症I型、ムコ脂質症II型、ムコ脂質症III型、ムコ脂質症IV型、ハーラー病、ハンター病、サンフィリッポ病A型、サンフィリッポ病B型、サンフィリッポ病C型、サンフィリッポ病D型、モルキオ病A型、モルキオ病B型、マロトー・ラミー病、スライ病、ニーマン・ピック病A型、ニーマン・ピック病B型、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、シンドラー病I型、シンドラー病II型、アデノシンデアミナーゼ重症複合型免疫不全(ADA-SCID)、慢性肉芽腫症(CGD)、ニューロンセロイドリポフスチン沈着症の乳児形態、若年形態、及び成人形態、並びにCDKL5欠乏症からなる群から選択される。
【0104】
また、提供されるのは、ファブリー病の少なくとも1つの病徴を寛解させることを必要とする対象において、ファブリー病の少なくとも1つの病徴を寛解させる方法であり、当該方法は、修飾α-GALポリペプチドを含む組成物の少なくとも1回の用量を投与することを含み、修飾α-GALポリペプチドは、α-GALポリペプチド配列のシステイン置換を含む。意図されるシステイン置換として:(i)D233C及びI359C;並びに(ii)M51C及びG360Cが挙げられる。一部の実施形態において、α-GALポリペプチド配列の修飾α-GALポリペプチドシステイン置換は、D233C及びI359Cである。一部の実施形態において、α-GALポリペプチド配列の修飾α-GALポリペプチドシステイン置換は、M51C及びG360Cである。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、修飾α-GALポリペプチドは、野生型α-GALポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、少なくとも1つの病徴は、痛み、皮膚の変色、発汗不能、眼の混濁、消化管機能不全、耳鳴り、聴力損失、僧帽弁逸脱、心臓病、関節の痛み、腎不全、及び腎機能不全の1つ以上から選択される。一部の実施形態において、方法はさらに、シャペロンを投与することを含む。一部の実施形態において、シャペロンは、ミガラスタットを含む。
【0105】
また、提供されるのは、CLN-1病の少なくとも1つの病徴を寛解させることを必要とする対象において、CLN-1病の少なくとも1つの病徴を寛解させる方法であり、当該方法は、修飾PPT-1ポリペプチドを含む組成物の少なくとも1回の用量を投与することを含み、PPT-1ポリペプチドは、タンパク質内の外来システイン間で、又はタンパク質の2つのモノマーの外来システイン間でジスルフィド架橋を形成する1つ以上の外来システイン残基を含む。意図されるシステイン置換として:A171C及びA183Cが挙げられる。一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、ホモダイマーを形成する。一部の実施形態において、ホモダイマーは、ジスルフィド結合によって安定する。一部の実施形態において、修飾PPT-1ポリペプチドは、野生型PPT-1ポリペプチドと比較して、pH7.4での半減期の延長を示す。一部の実施形態において、少なくとも1つ病徴は、精神的欠陥、発作、言語障害、及び動作失調の1つ以上から選択される。一部の実施形態において、方法はさらに、シャペロンを投与することを含む。一部の実施形態において、シャペロンは、ミガラスタットを含む。
【0106】
一部の実施形態において、本明細書中の方法は、野生型ポリペプチドと比較して半減期が長い本明細書中の修飾ポリペプチドを投与することを含む。一部の実施形態において、半減期は、野生型ポリペプチドよりも少なくとも50%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型ポリペプチドよりも少なくとも150%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型ポリペプチドよりも少なくとも200%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型ポリペプチドよりも少なくとも250%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型ポリペプチドよりも少なくとも300%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型ポリペプチドよりも少なくとも350%長い。
【0107】
一部の実施形態において、本明細書中の方法は、野生型α-GALポリペプチドと比較して半減期が長い本明細書中の修飾α-GALポリペプチドを投与することを含む。一部の実施形態において、半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも50%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも150%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも200%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも250%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも300%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型α-GALポリペプチドよりも少なくとも350%長い。
【0108】
一部の実施形態において、本明細書中の方法は、野生型PPT-1ポリペプチドと比較して半減期が長い本明細書中の修飾PPT-1ポリペプチドを投与することを含む。一部の実施形態において、半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドより少なくとも50%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも150%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも200%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも250%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも300%長い。一部の実施形態において、半減期は、野生型PPT-1ポリペプチドよりも少なくとも350%長い。
【0109】
定義
タンパク質に関して本明細書中で用いられる「安定した」は、修飾タンパク質(例えば、外来システイン残基を含有するように修飾されている)が、修飾なしの対応するタンパク質よりも長い期間、その生物活性の1つ以上を維持することを指す。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、生物活性を、修飾のない対応するタンパク質よりも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、又は500%長い時間維持する。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、生物活性を、修飾のない対応するタンパク質よりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、又は少なくとも500%長い時間維持する。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、外来システインのない対応するタンパク質と比較して、半減期がより長い。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、外来システインのない対応するタンパク質と比較して、pH4.0~pH8.0、pH4.0~6.0、又はpH6.0~8.0での半減期がより長い。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、外来システインのない対応するタンパク質と比較して、pH4.5~5.0、又は7.0~7.5での半減期がより長い。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、外来システインのない対応するタンパク質と比較して、pH7.4での半減期がより長い。一部の実施形態において、安定したタンパク質は、外来システインのない対応するタンパク質と比較して、pH4.6での半減期がより長い。
【0110】
本明細書中で用いられる「エクスビボ遺伝子治療」は、患者の細胞が、例えば治療遺伝子を発現するように、対象の外側で遺伝的に修飾される方法を指す。新しい遺伝情報を備えた細胞は、続いて、当該細胞が由来した対象に戻される。
【0111】
本明細書中で用いられる「インビボ遺伝子治療」は、治療遺伝子を有するベクターが対象に直接投与される方法を指す。
【0112】
本明細書中で用いられる「融合タンパク質」及び「治療用融合タンパク質」は、本明細書中で互換的に用いられており、少なくとも1つの追加のタンパク質、ペプチド、又はポリペプチドが結合した治療用タンパク質を指す。ある場合には、融合タンパク質は、2つ以上のタンパク質又はそのフラグメント(それぞれのペプチド鎖内で、化学リンカーなしに、ペプチド結合を介して共有結合されている)を含有する単一のタンパク質分子である。一部の実施形態において、融合タンパク質は、治療用タンパク質、及びシグナルペプチド、融合タンパク質のエンドサイトーシスを増大させるペプチド、又は双方を含む。一部の実施形態において、エンドサイトーシスを増大させるペプチドは、CI-MPRに結合するペプチドである。
【0113】
本明細書中で用いられる「プラスミド」は、染色体DNAと独立して細胞内で複製する、DNAの環状二本鎖ユニットを指す。
【0114】
本明細書中で用いられる「プロモータ」は、酵素RNAポリメラーゼが結合して、DNAの、RNAへの転写を開始する、DNA上の部位を指す。
【0115】
本明細書中で用いられる「体細胞療法」は、患者を矯正するが、次世代には遺伝しない、細胞内での遺伝子発現の操作方法を指す。体細胞として、ヒト体内の全ての非生殖細胞が挙げられる。
【0116】
本明細書中で用いられる「体細胞(somatic cell)」は、生殖細胞以外の体細胞(body cell)全てを指す。
【0117】
本明細書中で用いられる「指向性(tropism)」は、特定の細胞型又は組織型についてのウイルス等のベクターの選択(preference)を指す。種々の因子が、特定の細胞に感染するベクターの能力を決定する。ウイルスは、例えば、細胞に入るために、特定の細胞表面受容体に結合しなければならない。ウイルスは典型的に、細胞が必須の受容体を発現しなければ、細胞に感染することができない。
【0118】
本明細書中で用いられる「ベクター」又は「遺伝子治療ベクター」(本明細書中で互換的に用いられる)は、細胞に治療遺伝子を送達する遺伝子治療送達ビヒクル又はキャリアを指す。遺伝子治療ベクターは、遺伝子治療に用いるのに適したあらゆるベクター、例えば、患者の標的細胞(例えば知覚ニューロン)中への核酸ポリマー(ポリペプチド又はその変異体をコードする)の治療的送達に適したあらゆるベクターである。一部の実施形態において、遺伝子治療ベクターは、治療用タンパク質又は治療用融合タンパク質をコードする核酸を細胞に送達し、そこで治療用タンパク質又は融合タンパク質が発現されて、当該細胞から分泌される。ベクターは、いかなるタイプのものであってもよく、例えば、プラスミドベクターであってもミニサークルDNAであってもよい。典型的には、ベクターは、ウイルスベクターである。これらとして、遺伝的に無能にされたウイルス、例えばアデノウイルス、及び非ウイルスベクター、例えばリポソームの双方が挙げられる。ウイルスベクターは、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス、又はアデノウイルスに由来してもよい。AAVは、ベクターを誘導した。ベクターは、AAVゲノム又はその誘導体を含んでもよい。
【0119】
本明細書中で用いられる「構築体」は、治療用タンパク質又は融合タンパク質をコードし、そして場合によっては、追加の配列、例えば翻訳開始配列又はIRES配列を含む核酸分子又は配列を指す。
【0120】
用語「形質導入」は、治療用タンパク質をコードする核酸の、標的細胞への、本開示の複製欠損rAAVを介したインビボでの、又はインビトロでの投与/送達(レシピエント細胞による機能的ポリペプチドの発現をもたらす)に言及するのに用いられる。本開示のrAAV等の遺伝子治療ベクターによる細胞の形質導入は、rAAVによってコードされるポリペプチド又はRNAの発現の持続をもたらす。ゆえに、本開示は、治療用タンパク質をコードするrAAV等の遺伝子治療ベクターを、クモ膜下腔内経路、網膜内経路、眼内経路、硝子体内経路、脳室内経路、実質内経路、若しくは静脈内経路、又はそれらのあらゆる組合せによって対象に投与/送達する方法を提供する。「クモ膜下腔内」送達は、脳又は脊髄のクモ膜下の空間中への送達を指す。一部の実施形態において、クモ膜下腔内投与は、嚢内投与を介する。
【0121】
用語「レシピエント」、「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」は、本明細書中で互換的に用いられており、そして場合によっては、診断、処置、又は治療が所望されるあらゆる哺乳動物対象、特にヒトを指す。処置を目的とする「哺乳動物」は、哺乳動物として分類されるあらゆる動物を指し、ヒト、家畜、及びラボ、動物園、スポーツ、又はペットの動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サルが挙げられる。一部の実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。
【0122】
本明細書中で用いられる用語「処置」、「処置すること」、「病徴を寛解させること」等は、場合によっては、治療効果を得る目的で、剤を投与すること、又は手技を実行することを指し、障害の少なくとも1つの態様又はマーカーを、統計学的に有意に、又は臨床的に著しく、阻害し、減弱させ、引き下げ、予防し、又は改変することが挙げられる。用語「寛解させる」又は「処置する」は、根本の症状についての治療を述べておらず、且つ包含しない。本明細書中で用いられる「処置」又は「寛解させること」(等)は、哺乳動物、特にヒトを処置することを含み得、そして:(a)障害又は障害の病徴が、障害に罹りやすい素因を持ち得るが、まだ罹っていると診断されていない対象において生じるのを予防すること(例えば、一次的障害に付随し得る、又はそれによって引き起こされ得る障害を含む);(b)障害を阻害すること、すなわち進行を抑制すること;(c)障害を軽減すること、すなわち障害の緩解を引き起こすこと;及び(d)障害の少なくとも1つの病徴を改善することを含む。処置することは、障害の処置、改善、又は予防の成功のあらゆるきざしに言及し得、あらゆる客観的又は主観的なパラメータ、例えば減退;寛解;病徴の減弱、若しくは障害症状を、患者に対してより耐容にすること;変性又は低下の減速;又は衰退の最終点をあまり弱体化させないことが挙げられる。病徴の処置又は改善は、1つ以上の客観的又は主観的なパラメータに基づく;医師による試験の結果が挙げられる。したがって、用語「処置すること」は、障害に付随する病徴又は症状の進行を予防し、若しくは遅延させるための、緩和するための、又は抑制若しくは阻害するための、本発明の化合物又は剤の投与を含む。用語「治療効果」は、対象における障害、障害の病徴、又は障害の副作用の引下げ、排除、又は予防を指す。
【0123】
用語「親和性」は、分子と、その結合パートナー又は受容体との間の結合の強度を指す。
【0124】
本明細書中で用いられるフレーズ「高親和性」は、例えば、CI-MPRへの親和性が、ペプチドのない治療用タンパク質の親和性よりも約100~1000倍、又は500~1000倍高い、CI-MPRに結合するペプチドを含有する治療的融合を指す。一部の実施形態において、親和性は、ペプチドなしよりも少なくとも100倍、少なくとも500倍、又は少なくとも1000倍高い。例えば、治療用タンパク質及びCI-MPRが比較的等しい濃度で組み合わされる場合、高親和性のペプチドは、利用可能なCI-MPRに結合して、結果として生じる複合体の高い濃度に向かって平衡をシフトすることとなる。
【0125】
本明細書中で用いられる「分泌」は、細胞からの、例えば、注目する組織、又は治療用タンパク質の作用部位に運ばれることとなる血流中へのタンパク質の放出を指す。遺伝子治療生成物が、器官の間質空間中に分泌される場合、分泌は、隣接する細胞の交差矯正(cross-correction)を可能にし得る。
【0126】
本明細書中で用いられる「送達」は、薬物送達を意味する。一部の実施形態において、送達のプロセスは、原薬(例えば、遺伝子治療ベクターから産生される治療用タンパク質又は融合タンパク質)の治療活性のために、細胞の外側(例えば、血液、組織、又は間質空間)から標的細胞中に原薬を運搬することを意味する。
【0127】
本明細書中で用いられる「操作」又は「タンパク質操作」は、所望される特性をもたらすようにタンパク質をコードする適切な核酸配列、又は特定の構造を有するタンパク質の合成の実現による、タンパク質の構造の操作を指す。
【0128】
「治療的に有効な量」は、場合によっては、疾患を処置するために対象に投与される場合に、当該疾患の処置を達成するのに十分な量を意味する。
【0129】
本明細書中で用いられる数字の用語「約」は、当該数字よりも10%小さい数字から10%多い数字にまたがる範囲であって、当該範囲内の値、例えばその数字それ自体を含む範囲を指す。
【0130】
本明細書中で用いられる用語、特許請求の範囲の要素を「含む」は、当該要素に言及するが、更なる要素の包含を排除しない。
【実施例】
【0131】
以下の実施例は、本発明の種々の実施形態を具体的に説明する目的で与えられており、本発明をいかなる形であれ限定することにはならない。本実施例は、本明細書中に記載される方法と共に、現在、好ましい実施形態の典型であり、例示であり、本発明の範囲の限定として意図されていない。特許請求の範囲によって定義される本発明の精神に包含される変形及び他の用途が、当業者であれば思い浮かぶであろう。
【0132】
実施例1:野生型α-GALのシステイン置換のためのアミノ酸残基の識別
安定性の増強のための更なるジスルフィド結合を生成する、システイン残基における置換のための潜在的部位について、二量体化したα-GAL(PDB ID 3HG3)の結晶構造を調査した(
図1A)。CHARMMフォースフィールドによるNAMDを分析に用いた。分析に基づいて、表8に示すシステイン変異体を、定方向変異誘発の標準的な方法を用いて調製した。
【0133】
【0134】
【0135】
実施例2:修飾α-GALの二量体化及び酵素活性
修飾α-GALのジスルフィド結合ダイマーの形成を、細胞溶解液及び培地中で調査した(
図2A)。各α-GAL構築体のクローンが、293HEK細胞内で一過的に発現された。細胞溶解液及び培地を、4~12%の勾配SDS-PAGE上で走らせて、ニトロセルロースに転写した。α-GALを、ウサギモノクローナル抗α-GAL 1:2000(abcam ab168341)によるウェスタンブロッティングによって検出した。
【0136】
還元サンプル又は非還元サンプルを、電気泳動及びウェスタンブロッティングにかけた。
図2にみられるように、α-GALのM51C-G360Cバージョン及びD233C-I359Cバージョンは、容易にジスルフィド結合α-GALダイマーを形成した。
【0137】
サンプルを調製するために、1×106個の細胞を、α-GAL構築体の一過性発現により収集した。細胞を、500μlの20mMリン酸ナトリウムバッファpH6.5、0.25%TX-100中に溶解した。細胞溶解液を、10,000gにて2分間遠心分離して、上清を新しいチューブに移した。40μlの細胞溶解液又は培地を新しいチューブに移して、16μlのLDS 4×サンプルバッファを、6μlの10×還元剤(還元条件用)と共に加えた。以下のように調製したサンプルミックスを、95℃にて5分間加熱した。1×MOP SDSランニングバッファを、電気泳動に用いた。
【0138】
酵素活性を試験するために、溶解液又は培地を、4-メチルウンベリフェロン-α-D-ガラクトピラノシド(4-MUG)基質と共に1時間インキュベートした。続いて、酵素反応を止めて、α-GAL酵素活性を、励起360nmでの蛍光及び450nmでの放射によって測定した。
図2Bに示すように、M51C-G360C及びD233C-I359Cのジスルフィドα-GAL変異体は双方とも、酵素的に活性であった。各サンプル内のα-GALの特異的活性及び量を定量化しなかったので、
図2Bは、α-GALの野生型バージョンと変異型バージョン間での活性の定量的比較を示していない。
【0139】
実施例3:酸性環境内での修飾α-GALの経時的な安定性分析
24時間にわたってpH安定性を試験するために、一過的に発現された変異型α-GAL及び野生型α-GALを、標準的な方法に従うコンカナバリンA(ConA)アガロースプルダウンを用いて捕獲した。ConA溶出液を、pH4.6バッファ又はpH7.4バッファ中に希釈した。サンプルを、0、0.5、1、2、4、5、及び24時間目に、pH4.6又は7.4にてプレインキュベートした。
【0140】
酵素活性を測定するために、pH4.6のバッファを各サンプルに加えて、4-MUG基質上で活性を試験した。反応混合液を、37℃にて1時間インキュベートした。反応を、125μLの停止バッファ(0.4Mグリシン-NaOH、pH10.8)を加えることによって終了した。蛍光を、Spectramaxプレートリーダー:Ex:360nm、Em:450nmで読んだ。結果を
図3Aに示す。
【0141】
長期安定性試験のために、一過的に発現された修飾α-GAL及び野生型α-GALを、先に述べたように、培地から単離して、富化して、ConAアガロースビーズを用いて精製した。溶出したα-GALを、経時変化安定性実験のために、pH4.6又はpH7.4にてインキュベートした。時点は、0時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、5時間、24時間、2日、5日、6日、及び7日を含んだ。
図3Bは、M51C-G360C α-GALが、pH4.6にて7日にわたって野生型対照よりも安定していることを示している。修飾α-GALは双方とも、7日にわたって、pH7.4の野生型対照よりも実質的に安定していた。
【0142】
実施例4:ファブリー患者線維芽細胞によるα-GAL吸収及び酵素アッセイ
細胞吸収プロトコル
吸収アッセイを行うために、1日目に、300,000個のファブリー患者線維芽細胞(R301Q)を、6ウェルプレート内のウェル毎に播種した。2日目に、培地を、1.8mL吸収培地と交換して、5%CO2により37℃にて1時間インキュベートした。吸収培地中に調製した250nM酵素(Fabrazyme、M51C-G360C、D233C-I359C、及びWT)の200μL用量を、工程2において16~18時間調製した6ウェル中の細胞に与えた。3日目に、300μLの1Mトリスを加えて、室温にて30分間インキュベートした。400μLの1M NaH2SO4を加えて、混合した。細胞プレートを、1ml DPBSで2回洗浄した。500μLの水を各ウェル中に加えて、細胞をプレートから収集した。Matric-greenを加えてから、アッセイまで-80℃フリーザーにて凍結した。プレートをスピンしてから、酵素及びタンパク質をアッセイした。
【0143】
130μLの水中に20μLの細胞溶解液を加えることによって、タンパク質アッセイを行った。150μL BCAワーキング試薬を加えて、37℃にて2時間インキュベートした。続いて、プレートを、Spectramaxで読んだ。
【0144】
5μLの細胞溶解液を15μLアッセイバッファ中に加えてから、50μL 4-MUG基質を加えることによって、酵素アッセイを行った。これを、37℃にて1時間インキュベートした。125μLの停止バッファを加えて、Spectramaxで読んだ。
【0145】
対照として、凍結した細胞溶解液を室温にて解凍して、5分間超音波処理した。50μLを、13mLのシラン処理したガラス管中に移した。25μLのグルコサイコシン(IS)(濃度125ng/mL)を加えた。1mLのメタノールを加えて、混合液をおおよそ10分間超音波処理した。500μLの1N HClを加えて、ボルテックスしてからおおよそ10分間超音波処理した。続いて、混合物を室温にておおよそ30分間振盪した。サンプルを、4,000rpmで室温にて10分間遠心分離した。上清を、予めコンディショニングしたSPEカートリッジ上に移した。
【0146】
1mlのメタノール及び1mlのミリポア水でSPEカートリッジをコンディショニングすることによって、固体サンプルを調製した。サンプルを、SPEカートリッジ上にロードした。カートリッジを、2mLの0.1N HClに続いて2mLのMEOHで洗浄した。サンプルを、2mLのメタノール中5%水酸化アンモニウムで、シラン処理したクリーンガラス中に溶出した。サンプルを、窒素下で蒸発させて、40℃にて乾燥させた。25μLのDMSOを各抽出液に加えて、ボルテックスした。125μL(175μLをラン03に用いた)の移動相Bを加えて、ボルテックスした。サンプルを、ガラスバイアル中に移した。10μlを、分析カラム上に注入した。
【0147】
ファブリー病患者由来の線維芽細胞を培養して、6-ウェルプレート内に播種した。野生型α-GALで処理した細胞を、吸収及び以降の酵素研究について、陽性対照として用いた。線維芽細胞を、野生型α-GAL、M51C-G360C α-GAL、又はD233C-I359C α-GALと共に16~18時間インキュベートした。続いて、細胞を、蛍光放出によって判定するα-GAL酵素アッセイ用に溶解した。
図4Aは、M51C-G360C α-GAL及びD233C-I359C α-GALが双方とも、少なくとも野生型α-GALと同様にα-GAL酵素活性を回復することができたことを示している。
図4B参照。グロボトリアオシルスフィンゴシン(lyso-Gb3)は、ファブリー病用のバイオマーカーである。ファブリー病の処置が成功すると、LC-MS/MSによって判定したように、lyso-Gb3が顕著に引き下げられる。
【0148】
実施例5:FB-14(R301Q)ファブリー患者線維芽細胞における異型ホモダイマー吸収
ファブリー患者線維芽細胞を、ファブラザイム及びα-GAL細胞吸収研究のために、6-ウェルプレート内に播種した。細胞を、37℃、5% CO2インキュベータにて、7nMのファブラザイム、野生型α-GAL、M51C-G360C α-GAL、又はD233C-I359C α-GALを含有する吸収培地内で16時間インキュベートした。1日目に、細胞を洗浄して、さらに通常の増殖培地中でもう5日間維持した。細胞を、
図5に示す時点にて収集した。細胞溶解液を、酵素活性を判定するのに用いた。α-GAL酵素活性を、nmol/mgタンパク質/hrとして、細胞溶解液タンパク質濃度で判定して標準化した。異型ホモダイマーは、細胞吸収後の細胞の内側での半減期が、野生型よりも2~3倍長く、そしてファブラザイムよりも3~4倍長いと判定された(
図5)。
【0149】
実施例6:マウスモデルにおけるファブリー病遺伝子治療
AAVベクターを、滅菌PBS中に希釈した。AAVベクターは:AAVhu68.CB7.hGLAnatural.rBG、AAVhu68.CB7.hGLAco.rBG、及びAAVhu68.CB7.hGLA-M51C-G360Cco.rBGを含んだ。
【0150】
ベクター生成
参照GLA配列、並びに位置51でのメチオニンからシステイン、及び位置360でのグリシンからシステインの変異体を逆翻訳して、ヌクレオチド配列を、CB7プロモータ下に発現カセットを有するAAV生成用のシスプラスミドを生成するようにコドン最適化した。また、天然のhGLA(参照配列)cDNAをオーダーし、そして同AAVシス骨格中にクローニングして、コドン最適化配列と比較した。AAVhu68ベクターを生成して、以前に記載されるように滴定した(Lock,Alvira et al.2010,“Rapid,simple,and versatile manufacturing of recombinant adeno-associated viral vectors at scale.”Hum Gene Ther 21(10):1259-1271)。手短に言うと、HEK293細胞を3回形質移入して、培養液の上清を収集して、濃縮して、イオジキサノール勾配で精製した。精製したベクターを、以前に記載される、ウサギベータ-グロビンポリA配列を標的化するプライマーを用いるドロップレットデジタルPCRで滴定した(Lock M,R.Alvira,S.J.Chen and J.M.Wilson,“Absolute determination of single-stranded and self-complementary adeno-associated viral vector genome titers by droplet digital PCR.”Hum Gene Ther Methods 25(2):115-125(2014))。
【0151】
動物
ファブリーマウス(C57BL/6/129バックグラウンド創始者におけるGlaノックアウト)であるハツカネズミ(Mus musculus)を、Jackson Labsで購入した(系統#003535、「α-Gal A KOマウス」としても知られている)。繁殖コロニーを、Gene Therapy Program AAALAC公認バリアマウス施設にて維持し、ヘテロ接合体交配にヘテロ接合体を用いて、同腹仔内にnull対照及びWT対照を生み出した。Glaノックアウトマウスは、ファブリー病について広く使用されているモデルである。
【0152】
マウスは、臨床的に正常に見えるが、血漿中でのGLA基質グロボトリアオシルスフィンゴシン(lyso-GB3としても知られている)の、そして肝臓、心臓、腎臓、皮膚、小腸及び大腸、並びに中枢神経系中でのグロボトリアオシルセラミド(GL3、GB3としても知られている)の進行性蓄積を示す。サイズが小さいこと、表現型に再現性があること、そして繁殖が効率的であることで、前臨床候補インビボスクリーニングにとって最適である迅速な研究が可能となる。
【0153】
動物飼育部屋を、64~79°F(18~26℃)の温度範囲、30~70%の湿度範囲にて維持した。動物を、離乳まで両親及び同腹仔と収容し、そして次に、Translational Research Laboratories(TRL)GTP飼育器内のケージあたり2~5頭の標準的な檻に入れた。ケージ、水ボトル、及び寝具材をオートクレーブ処理して、バリア施設に入れた。自動制御される12時間の明/暗サイクルを維持した。各暗期間を、1900時間(±30分)から始めた。食物を不断給餌した(Purina、LabDiet(登録商標)、5053、Irradiated、PicoLab(登録商標)、Rodent Diet 20、25lb)。水は、各収容ケージ内の個々に置いた水ボトルを介して、全動物が自由に入手可能であった。
【0154】
インビボ研究及び組織学
マウスは、0.1mL中5×1011GC(おおよそ2.5×1013GC/kg)のAAVhu68.CB7.hGLA(種々のhGLA構築体)を、外側尾静脈を介して受け、ベクター投与後の7日目及び21日目に、血清単離のために採血し、そして最終的に(血漿単離のために)採血して、注射の28日後に放血によって安楽死させた。組織を、脳から始めて速やかに収集した。
【0155】
組織学用の組織を、標準的な方法を用いてホルマリン固定して、パラフィン包埋した。DRGを有する脊髄(骨中)を、ZF中で固定して、EDTA中で脱灰して、GTP Morphology Coreの標準的な手順に従って処理した。亜鉛-ホルマリンを用いて、良好な組織保存を得、そしてGb3蓄積をIHCによって形態学用に染色した(H&E)。
【0156】
GL3についての免疫染色を、ホルマリン固定パラフィン包埋サンプルに実行した。切片を脱パラフィンして、PBS中1%ロバ血清+0.2%トリトンで15分間ブロックしてから、一次抗体(Amsbio AMS.A2506、抗Gb3モノクローナル抗体)及びビオチン化二次抗体(ブロッキングバッファ中に希釈)で順次インキュベートした;HRPベースの比色反応を用いて、シグナルを検出した。委員会認定の獣医学的病理医がスライドを盲検化してレビューした。
【0157】
ファブリー-/-マウスビヒクルPBS対照は、著しいGL3(IHC染色切片上の暗染色)蓄積を示す。WTマウス及び全ベクター処置マウスは、GL3蓄積のクリアランスがほぼ完全~完全である(
図6)。
【0158】
GLA活性
ホモジナイズした組織の血漿又は上清を、6mM 4-MU-α-ガラクトピラノシドpH4.6、90mM GalNAcと混合して、37℃にて3時間インキュベートした。反応を、0.4MグリシンpH10.8で停止した。相対蛍光単位RFUを、Victor3蛍光計、ex 355nm、460nmでの放射を用いて測定した。単位nmol/mL/hrの活性を、4-MUの標準曲線から、補間法によって算出した。個々の組織サンプル中の活性レベルを、ホモジェネート上清中の総タンパク質含量について標準化した。同等の容量を、血漿サンプルに用いる。
【0159】
ファブリー-/-マウスは、α-Gal A活性の完全な欠如を示した。AAVhu68.CB7.hGLA-M51C-G360Cco.rBG GTxベクターによるファブリーマウスの処置は、腎臓において、野生型よりも>7倍高いGLA活性をもたらした(
図7)。
【0160】
LC-MS/MSによるグロボトリアオシルセラミド(GL3、GB3としても知られている)の定量化
組織ホモジェネート中のGLA基質、GL3を、LC-MS/MSアッセイによって定量化した。手短に言うと、内部標準をホモジェネートサンプル(50μL)に加えて、サンプルを、C18ベースの固相抽出(SPE)を用いて処理した。標準曲線を、12個のセラミド形態を含有するストック由来の既知濃度のGL3(8.83nM~4.41μM)に対して作成した。12個全てのアイソフォーム由来の監視した応答を合計して、比率を、本アッセイにおける内部標準に対して生成した。続いて、研究サンプルの結果として生じた比率を、GL3定量化用に作成した曲線と比較した。
【0161】
ファブリー-/-マウスは、GLA基質グロボトリアオシルセラミド(GL3)の>10倍の蓄積を示した。AAVhu68.CB7.hGLA-M51C-G360Cco.rBG GTxベクターによるファブリーマウスの処置は、腎臓において、野生型レベルに対して、GL3の完全な引下げをもたらした(
図8)。
【0162】
LC-MS/MSによるグロボトリアオシルスフィンゴシン(lyso-GB3としても知られている)の定量化
血漿中のGLA基質、lyso-GB3を、LC-MS/MSアッセイによって定量化した。手短に言うと、安定したC13標識内部標準を、血漿サンプル(50μL)に加えて、サンプルを、C18/陽イオン交換混在モード固相抽出(SPE)を用いて処理する。標準曲線を、既知濃度のlyso-GB3(0.254nM~254nM)に対して作成してから、研究サンプルのlyso-GB3応答を、lyso-GB3定量化用に作成した曲線と比較した。
【0163】
LC/MSによるGLAシグネチャーペプチド
血漿を、100%メタノール中に析出させて、遠心分離する。上清は破棄する。ペレットを、内部標準としてのhGLAに特有の安定した同位体標識ペプチドでスパイクして、トリプシンと共に再懸濁して、37℃にて2時間インキュベートする。消化を、10%ギ酸で停止する。ペプチドを、C-18逆相クロマトグラフィによって分離して、ESI-質量分光法によって同定及び定量化する。血漿中の総GLA濃度を、シグネチャーペプチド濃度から算出する。
【0164】
細胞表面受容体結合アッセイ
96ウェルプレートを受容体でコーティングして、洗浄して、BSAでブロックする。CHO培養条件培地、又は活性が等しいrhGLA若しくは操作GLAを含有する血漿を、3倍に連続希釈して、9つの一連の減少濃度を得、そして共結合(co-coupled)受容体と共にインキュベートする。インキュベーションの後、プレートを洗浄して、あらゆる非結合GLAを除去して、4-MU-α-ガラクトピラノシドを37℃にて1時間加える。反応を、1.0Mグリシン、pH10.5で停止して、RFUを、Spectramax蛍光計;ex 370、放射460によって読んだ。サンプル毎のRFUを、4-MUの標準曲線から、補間法によって、nmol/mL/hrの活性に変換する。非線形回帰を、GraphPad Prismを用いて行う。
【0165】
実施例7:安定したPPT-1構築体
安定したPPT-1構築体を、結晶構造(PDB ID 3GRO)に基づいて操作した。2つのシステインが、構造を安定させるジスルフィド結合を形成すると予測される。ジスルフィド結合は、酵素機能の半減期を延ばすことが見出された(以下のデータを参照)。HEG 293におけるこの構築体の発現レベルは、野生型PPT-1のレベルに近いことが見出された。
【0166】
PPT-1酵素の安定性及び半減期の向上
分子内ジスルフィド架橋を、酵素を安定させる(活性酵素の半減期を測定することによって判定する)ように、PPT-1に操作した。突然変異した残基、A171C/A183Cを選択した。なぜなら、相同タンパク質、PPT-2内の等価の残基が、ジスルフィド架橋を形成するからである。相同タンパク質内のこの自然変異を用いて、PPT-1における操作努力を通知した。
【0167】
構築体PPT-1の安定性試験
構築体PPT-1を、HEK 293T細胞内で一過的に発現させて、条件培地を、形質移入の5日後に収集した。同じことを、野生型PPT1に行った。酵素活性アッセイを、48時間又は72時間にわたって、条件培地の双方のセットに実行した。経時的に保持される酵素活性の量を求めて、システイン二重変異体をWTと比較した(
図9)。
【0168】
アルファ相及びベータ相を表す2方向において半減期を推定した。というのも、活性が二相消失であると思われるからである(以下のPK表に隣接する対数プロットを参照)。アルファ半減期を、初期の終末又は分布相の間に推定し、ベータ半減期を、終末の消失相の間に推定した。ATB200総GAAタンパク質分析について、多くの場合、アルファ相が報告される。というのも、血中に存在する一方、組織中に分布する間の、ATB200の結合及び安定化に及ぼすAT2221の効果を実証することにより意味があるからである。
【0169】
C0及びAUCを含む構築体PPT-1の薬物動態を報告する。AUCinfinityは、ベータ半減期を推定するのに用いたのと同じ消失速度定数に由来した。
【0170】
【0171】
本発明の好ましい実施形態を、本明細書中に示して説明してきたが、当業者であれば、そのような実施形態が、一例としてのみ提供されていることが明らかであろう。当業者であれば、多数の変形、変化、及び代用が、本発明を逸脱しない範囲で思い浮かぶであろう。本明細書中に記載される実施形態に対して種々の代替物が使用されてもよいことが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が、本発明の範囲を定義すること、そして特許請求の範囲内の方法及び構造、並びにそれらの均等物が、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【配列表】