(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】テラヘルツ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 23/00 20060101AFI20241028BHJP
H01Q 19/13 20060101ALI20241028BHJP
H01Q 19/12 20060101ALI20241028BHJP
H03B 7/08 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
H01Q23/00
H01Q19/13
H01Q19/12
H03B7/08
(21)【出願番号】P 2021530618
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(86)【国際出願番号】 JP2020025601
(87)【国際公開番号】W WO2021006105
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2019126200
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019126201
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】外山 智一郎
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 一魁
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-129043(JP,A)
【文献】特開2009-026840(JP,A)
【文献】特開平10-335706(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0131704(US,A1)
【文献】特開2002-344025(JP,A)
【文献】国際公開第2005/043637(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 23/00
H01Q 19/13
H01Q 19/12
H03B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材に取り付けられ、電磁波を発生させるテラヘルツ素子と、
前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、
前記アンテナ面に形成され、前記テラヘルツ素子から発生した電磁波の少なくとも一部を一方向に向けて反射させる反射膜と、を備え
、
前記テラヘルツ素子は、
電磁波が発生する発振点を有する素子主面と、
前記素子主面とは反対側の素子裏面と、
を有し、
前記反射膜は、前記素子裏面よりも前記素子主面側に配置されたパラポラアンテナ形状であり、
前記発振点から前記反射膜に向かう垂直距離は、前記テラヘルツ素子から発生した電磁波の共振条件を満たすように設定されているテラヘルツ装置。
【請求項2】
前記アンテナベースは、
前記基材と対向するベース主面と、
前記ベース主面とは反対側のベース裏面と、
側方を向いたベース側面と、
を有し、
前記テラヘルツ装置は、外部との電気的接続に用いられる電極を備え、
前記電極は、
前記ベース側面に形成された側面電極と、
前記ベース裏面に形成された裏面電極と、
を有している請求項1に記載のテラヘルツ装置。
【請求項3】
前記電極は、前記アンテナベースに沿って折り曲げられたリードフレームによって構成されている請求項2に記載のテラヘルツ装置。
【請求項4】
前記電極は、
前記ベース側面と前記ベース主面とのコーナ部分にて前記ベース側面に向かうように屈曲している基端部と、
前記ベース側面と前記ベース裏面とのコーナ部分にて屈曲している屈曲部と、
前記ベース裏面に配置されている先端部と、
を備えており、
前記側面電極は、前記基端部から前記屈曲部までの部分であり、
前記裏面電極は、前記屈曲部から前記先端部までの部分である請求項3に記載のテラヘルツ装置。
【請求項5】
前記テラヘルツ素子は、前記発振点から開口角度の範囲に亘って放射状に電磁波を照射するものであり、
前記反射膜は、前記発振点に対して前記開口角度以上の角度に亘って形成されている請求項
1~4のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【請求項6】
前記反射膜は、当該反射膜の焦点が前記発振点に位置するように配置されている請求項
1~5のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【請求項7】
前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て、前記反射膜の中心点と前記発振点とが一致している請求項
1~5のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【請求項8】
前記反射膜は、電気的にフローティング状態である請求項1~
7のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【請求項9】
前記アンテナベースは絶縁性材料によって形成されている請求項1~
8のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【請求項10】
前記基材は、前記反射膜と対向する位置に設けられ、電磁波が透過する材料によって形成されている請求項1~
9のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【請求項11】
前記基材は誘電体によって形成されている請求項
10に記載のテラヘルツ装置。
【請求項12】
前記基材は、前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面を有し、
前記アンテナベースは、
前記取付主面と対向するベース主面と、
前記ベース主面から凹んだものであって前記アンテナ面を有する凹部と、
を備え、
前記テラヘルツ素子および前記反射膜は、前記取付主面と前記アンテナ面とによって区画された収容空間内に配置されている請求項1~
11のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【請求項13】
前記反射膜は、前記アンテナ面に形成されている一方、前記ベース主面には形成されていない請求項
12に記載のテラヘルツ装置。
【請求項14】
前記アンテナベースは、前記凹部とは別に設けられ、前記テラヘルツ素子に対して並列接続された保護ダイオードが収容される収容凹部を備えている請求項
12または請求項
13に記載のテラヘルツ装置。
【請求項15】
前記取付主面に設けられ、前記テラヘルツ素子と接続される導電部材と、
前記アンテナベースと前記導電部材との間に設けられ、前記アンテナベースと前記導電部材とを接着させる接着層と、を備え、
前記接着層は、絶縁性材料で形成されており、前記反射膜と前記導電部材との間に介在している請求項
12~
14のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【請求項16】
前記接着層とは別に前記反射膜と前記導電部材との間に設けられた絶縁性のスペーサを備えている請求項
15に記載のテラヘルツ装置。
【請求項17】
前記基材は、前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面と、
前記取付主面とは反対側の取付裏面と、
を有し、
前記取付主面に設けられ、前記テラヘルツ素子と接続される導電部材と、
前記取付裏面のうち前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て前記導電部材と重なる部分の少なくとも一部に設けられ、電磁波の反射を低減させる反射低減膜と、
を備えている請求項1~16のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テラヘルツ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トランジスタなどの電子デバイスの微細化が進み、電子デバイスの大きさがナノサイズになってきたため、量子効果と呼ばれる現象が観測されるようになっている。そして、この量子効果を利用した超高速デバイスや新機能デバイスの実現を目指した開発が進められている。
【0003】
そのような環境の中で、特に、周波数が0.1THz~10THzであるテラヘルツ帯と呼ばれる周波数領域を利用して大容量通信や情報処理、あるいはイメージングや計測などを行う試みが行われている。この周波数領域は、光と電波との両方の特性を兼ね備えており、この周波数帯で動作するデバイスが実現されれば、上述したイメージング、大容量通信・情報処理のほか、物性、天文、生物などのさまざまな分野における計測など、多くの用途に利用されうる。
【0004】
テラヘルツ帯の周波数の高周波電磁波を発振する素子としては、共鳴トンネルダイオードと微細スロットアンテナを集積する構造のものが知られている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなテラヘルツ素子を有するテラヘルツ装置においては、利得の向上が求められる場合がある。
本開示の目的は、利得の向上を図ることができるテラヘルツ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するテラヘルツ装置は、基材と、前記基材に取り付けられ、電磁波を発生させるテラヘルツ素子と、前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、前記アンテナ面に形成され、前記テラヘルツ素子から発生した電磁波の少なくとも一部を一方向に向けて反射させる反射膜と、を備えている。この構成によれば、テラヘルツ素子から発生した電磁波は、反射膜によって一方向に反射される。これにより、テラヘルツ装置から照射される電磁波の出力を高くすることができる。したがって、テラヘルツ装置の利得の向上を図ることができる。
【0008】
上記課題を解決するテラヘルツ装置は、電磁波を発生させるテラヘルツ素子と、前記テラヘルツ素子に対して対向しかつ前記テラヘルツ素子から発生した電磁波の少なくとも一部を反射する反射部を有する基材と、前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、前記アンテナ面に形成され、前記反射部によって反射された電磁波の少なくとも一部を一方向に向けて反射させる反射膜と、を備えている。この構成によれば、テラヘルツ素子から発生した電磁波は、反射部によって反射され、更に反射膜によって一方向に向けて反射される。これにより、テラヘルツ装置から照射される電磁波の出力を高くすることができる。したがって、テラヘルツ装置の利得の向上を図ることができる。
【0009】
上記課題を解決するテラヘルツ装置は、基材と、前記基材に取り付けられ、電磁波を受信するテラヘルツ素子と、前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、前記アンテナ面に形成され、入射された電磁波を前記テラヘルツ素子に向けて反射させる反射膜と、を備えている。この構成によれば、反射膜に向けて入射された電磁波は反射膜によってテラヘルツ素子に向けて反射される。これにより、テラヘルツ装置の受信強度を高くすることができる。したがって、テラヘルツ装置の利得の向上を図ることができる。
【0010】
上記課題を解決するテラヘルツ装置は、電磁波を受信するテラヘルツ素子と、前記テラヘルツ素子に対して対向する位置に設けられ、入射された電磁波の少なくとも一部を前記テラヘルツ素子に向けて反射させる反射部を有する基材と、前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、前記アンテナ面に形成され、入射された電磁波の少なくとも一部を前記反射部に向けて反射させる反射膜と、を備えている。この構成によれば、反射膜に向けて入射された電磁波は反射部に向けて反射され、更に反射部によってテラヘルツ素子に向けて反射される。これにより、テラヘルツ装置の受信強度を高くすることができる。したがって、テラヘルツ装置の利得の向上を図ることができる。
【0011】
上記課題を解決するテラヘルツ装置は、基材と、前記基材に取り付けられ、電磁波を発生させるテラヘルツ素子と、前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、前記アンテナ面に形成され、前記テラヘルツ素子から発生した電磁波の少なくとも一部を一方向に向けて反射させる反射膜と、外部との電気的接続に用いられる電極と、を備え、前記電極は、前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て、前記アンテナベースに対して側方に突出している。
【0012】
この構成によれば、テラヘルツ素子から発生した電磁波は、反射膜によって一方向に反射される。これにより、テラヘルツ装置から照射される電磁波の出力を高くすることができる。したがって、テラヘルツ装置の利得の向上を図ることができる。
【0013】
また、電極がアンテナベースに対して側方に突出しているため、回路基板に設けられた孔にアンテナベースを挿入した状態でテラヘルツ装置を回路基板に実装することができる。これにより、テラヘルツ装置を回路基板に実装する際の低背化を図ることができる。
【0014】
上記課題を解決するテラヘルツ装置は、基材と、前記基材に取り付けられ、電磁波を受信するテラヘルツ素子と、前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、前記アンテナ面に形成され、入射された電磁波を前記テラヘルツ素子に向けて反射させる反射膜と、外部との電気的接続に用いられる電極と、を備え、前記電極は、前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て、前記アンテナベースに対して側方に突出している。
【0015】
この構成によれば、反射膜に向けて入射された電磁波は反射膜によってテラヘルツ素子に向けて反射される。これにより、テラヘルツ装置の受信強度を高くすることができる。したがって、テラヘルツ装置の利得の向上を図ることができる。
【0016】
また、電極がアンテナベースに対して側方に突出しているため、回路基板に設けられた孔にアンテナベースを挿入した状態でテラヘルツ装置を回路基板に実装することができる。これにより、テラヘルツ装置を回路基板に実装する際の低背化を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
上記テラヘルツ装置によれば、利得の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態のテラヘルツ装置を上方から見た斜視図。
【
図5】テラヘルツ素子およびリードフレームの正面図。
【
図6】能動素子およびその周辺を模式的に示す端面図。
【
図8】第1実施形態のテラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図9】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図10】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図11】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図12】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図13】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図14】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図15】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図16】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図17】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図18】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す平面図。
【
図19】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す平面図。
【
図20】第1実施形態のテラヘルツ装置の変更例を示す端面図。
【
図21】第2実施形態のテラヘルツ装置の概要を示す回路図。
【
図22】第2実施形態におけるテラヘルツ素子およびリードフレームの正面図。
【
図24】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図29】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図30】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図31】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図33】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図34】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す平面図。
【
図35】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図36】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図37】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図38】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図39】第3実施形態のテラヘルツ装置を上方から見た斜視図。
【
図43】テラヘルツ素子およびリードフレームの正面図。
【
図44】能動素子およびその周辺を模式的に示す端面図。
【
図45】能動素子の断面構造を拡大して示す端面図。
【
図46】第3実施形態のテラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図47】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図48】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図49】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図50】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図51】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図52】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図53】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す端面図。
【
図54】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す平面図。
【
図55】テラヘルツ装置の製造方法の一工程を示す平面図。
【
図56】テラヘルツ装置の回路基板への実装形態の一例を示す端面図。
【
図57】第3実施形態のテラヘルツ装置の変更例を示す端面図。
【
図58】第4実施形態のテラヘルツ装置の概要を示す回路図。
【
図59】第4実施形態におけるテラヘルツ素子およびリードフレームの正面図。
【
図61】第5実施形態のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図62】第5実施形態のテラヘルツ装置の一工程を示す端面図。
【
図63】第5実施形態のテラヘルツ装置の変更例を示す端面図。
【
図64】第6実施形態のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図65】第6実施形態のテラヘルツ装置の変更例を示す端面図。
【
図66】第6実施形態のテラヘルツ装置の変更例を示す端面図。
【
図67】第7実施形態のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図68】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図73】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図74】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図75】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図77】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図78】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図79】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図80】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図81】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図82】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図83】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図84】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【
図85】変更例のテラヘルツ装置を模式的に示す端面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、テラヘルツ装置の実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す各実施形態は、技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであり、各構成部品の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに限定するものではない。以下の各実施形態は、種々の変更を加えることができる。また、図面については、図示の都合上、一部模式的に示している。
【0020】
(第1実施形態)
図1~
図7は、本開示の第1実施形態にかかるテラヘルツ装置10を示している。第1実施形態のテラヘルツ装置10は、基材としての取付板11と、電磁波を発生させるテラヘルツ素子20と、アンテナベース50と、反射膜54と、電極および導電部材としてのリードフレーム60と、を備えている。
【0021】
図1及び
図2は、テラヘルツ装置10の斜視図である。
図3は、テラヘルツ装置10の上面図である。
図4は、
図3の4-4線端面図である。
図5は、アンテナベース50を取り外した場合におけるテラヘルツ装置10の下面図であり、テラヘルツ素子20およびリードフレーム60の正面図である。なお、
図5においては、図示の都合上、電極94,101を破断して示す。
【0022】
取付板11は、テラヘルツ素子20から発生する電磁波を透過する材料で形成されている。本実施形態では、取付板11は誘電体で形成されており、たとえばエポキシ樹脂などの合成樹脂またはSiなどの単結晶の真性半導体で形成されている。エポキシ樹脂としては、たとえばガラスエポキシ樹脂がある。ただし、取付板11の材料はこれに限られず任意であり、たとえばテフロン(登録商標)やガラスなどでもよい。取付板11は、絶縁性を有している。
【0023】
取付板11は、たとえば矩形板状である。なお、説明の便宜上、取付板11の厚さ方向をz方向とする。また、z方向に直交し、かつ、互いに直交する2方向を、x方向およびy方向とする。
【0024】
図3および
図4に示すように、取付板11は、取付板11の厚さ方向に交差する板面として取付主面12及び取付裏面13を有している。取付主面12および取付裏面13は、矩形状の平面である。取付主面12および取付裏面13は、x方向およびy方向に延びており、z方向に離間している。取付主面12および取付裏面13の形状は、矩形状に限定されず、円形状、楕円形状あるいは多角形状でもよい。説明の便宜上、本実施形態において、z方向において取付裏面13から離れる方向を「上方」とし、z方向において取付主面12から離れる方向を「下方」とする。
【0025】
図5に示すように、本実施形態の取付板11は、x方向の両端面である一対の第1板側面14と、y方向の両端面である一対の第2板側面15と、を有している。一対の第1板側面14は、x方向に対して交差する面であり、本実施形態ではx方向に対して直交している。一対の第2板側面15は、y方向に対して交差する面であり、本実施形態ではy方向に対して直交している。第1板側面14と第2板側面15とは互いに直交している。
【0026】
テラヘルツ素子20は、テラヘルツ帯の電磁波と電気エネルギーとの変換を行う素子である。なお、電磁波とは、光および電波のいずれか一方あるいは両方の概念を含むものとしている。テラヘルツ素子20は、入力される電気エネルギーをテラヘルツ帯の電磁波に変換する。これにより、テラヘルツ素子20は、電磁波(換言すればテラヘルツ波)を発振する。テラヘルツ素子20が発生させる電磁波の周波数は、たとえば0.1Thz~10Thzである。
【0027】
図5に示すように、テラヘルツ素子20は、z方向から見て(以下、「平面視」ともいう。)矩形の板状である。本実施形態では、テラヘルツ素子20は平面視で正方形である。なお、テラヘルツ素子20の平面視形状は、矩形状に限定されず、円形状、楕円形状あるいは多角形状であってもよい。
【0028】
テラヘルツ素子20は、素子主面21および素子裏面22を有している。素子主面21および素子裏面22は、z方向に対して交差する面であり、本実施形態ではz方向に対して直交している。素子主面21および素子裏面22は、z方向から見て矩形状であり、たとえば正方形状である。ただし、素子主面21および素子裏面22の形状はこれに限定されず任意である。
【0029】
図4に示すように、本実施形態のテラヘルツ素子20は、素子裏面22が取付主面12に対して接触または中間層を介して対向している状態で取付板11に取り付けられている。つまり、取付板11は、テラヘルツ素子20が取り付けられるものである。テラヘルツ素子20は、取付板11に実装されている。
【0030】
テラヘルツ素子20は、x方向の両端面である一対の第1素子側面23と、y方向の両端面である一対の第2素子側面24と、を有している。一対の第1素子側面23は、x方向に対して交差する面であり、本実施形態ではx方向に対して直交している。一対の第2素子側面24は、y方向に対して交差する面であり、本実施形態ではy方向に対して直交している。第1素子側面23と第2素子側面24とは互いに直交している。
【0031】
図6および
図7は、テラヘルツ素子20の詳細な構成の一例を示している。
図6は、テラヘルツ素子20の断面の模式図の一例である。
図7は、
図6の部分拡大図である。
図6および
図7に示すように、テラヘルツ素子20は、素子基板31と、能動素子32と、第1導電体層33と、第2導電体層34と、を備えている。
【0032】
素子基板31は、半導体よりなり、半絶縁性を有する。素子基板31を構成する半導体は、たとえば、InP(リン化インジウム)であるが、InP以外の半導体であってもよい。素子基板31がInPである場合、その屈折率(絶対屈折率)は、約3.4である。本実施形態では、素子基板31は矩形板状であり、たとえば平面視で正方形状である。素子主面21および素子裏面22は素子基板31の主面および裏面であり、両素子側面23,24は素子基板31の側面である。
【0033】
能動素子32は、テラヘルツ帯の電磁波と電気エネルギーとの変換を行う。能動素子32は、素子基板31に形成されている。能動素子32は、典型的には共鳴トンネルダイオード(RTD:Resonant Tunneling Diode)である。
【0034】
能動素子32としては、たとえば、タンネット(TUNNETT:Tunnel injection Transit Time)ダイオード、インパット(IMPATT:Impact Ionization Avalanche Transit Time)ダイオード、GaAs系電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、GaN系FET、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)、あるいは、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)であってもよい。
【0035】
能動素子32を実現するための一例を説明する。
素子基板31上には、半導体層41aが形成されている。半導体層41aは、たとえばGaInAsによって形成されている。半導体層41aには、n型不純物が高濃度にドープされている。
【0036】
半導体層41a上には、GaInAs層42aが積層されている。GaInAs層42aには、n型不純物がドープされている。たとえば、GaInAs層42aの不純物濃度は、半導体層41aの不純物濃度よりも低い。
【0037】
GaInAs層42a上には、GaInAs層43aが積層されている。GaInAs層43aには、不純物がドープされていない。
GaInAs層43a上には、AlAs層44aが積層されており、AlAs層44a上にはInGaAs層45が積層されており、InGaAs層45上にはAlAs層44bが積層されている。これらAlAs層44aとInGaAs層45とAlAs層44bとによってRTD部が構成されている。
【0038】
AlAs層44b上には、不純物がドープされていないGaInAs層43bが積層されている。GaInAs層43b上には、n型不純物がドープされているGaInAs層42bが積層されている。GaInAs層42b上には、GaInAs層41bが積層されている。GaInAs層41bには、n型不純物が高濃度にドープされている。たとえば、GaInAs層41bの不純物濃度は、GaInAs層42bの不純物濃度よりも高い。
【0039】
なお、能動素子32の具体的構成は、電磁波を発生(あるいは受信およびその両方)可能なものであれば任意である。換言すれば、能動素子32は、テラヘルツ帯の電磁波に対して発振するものであればよいともいえる。
【0040】
図5に示すように、テラヘルツ素子20は、電磁波の発振を行う発振点P1を有している。発振点P1は、素子主面21に形成されている。発振点P1がある素子主面21は能動面ともいえる。また、発振点P1は、能動素子32が設けられている位置ともいえる。
【0041】
本実施形態の発振点P1(能動素子32)は、素子主面21の中心に配置されている。ただし、発振点P1の位置、換言すれば素子主面21に対する能動素子32の位置は、素子主面21の中心に限られず任意である。
【0042】
本実施形態において、第1素子側面23と発振点P1との第1垂直距離x1は、(λ’InP/2)+((λ’InP/2)×N)であるとよい(Nは0以上の整数:N=0,1,2,3,・・・)。
【0043】
λ’InPは、テラヘルツ素子20の内部を伝達する電磁波の実効的な波長である。テラヘルツ素子20(素子基板31)の屈折率をn1、cを光速、fcを電磁波の中心周波数としたとき、λ’InPは、(1/n1)×(c/fc)である。第1垂直距離x1を上記のように設定することで、テラヘルツ素子20から発振された電磁波は、第1素子側面23で自由端反射する。よって、テラヘルツ素子20自体が、テラヘルツ装置10における共振器(1次共振器)として設計されている。
【0044】
同様に、第2素子側面24と発振点P1との第2垂直距離y1は、(λ’InP/2)+((λ’InP/2)×N)であるとよい(Nは0以上の整数:N=0,1,2,3,・・・)。
【0045】
なお、垂直距離x1,y1は、各々が上記計算式によって算出される値であれば、素子側面23,24ごとに異なる値であってもよい。また、
図5において、右側にある第1素子側面23と発振点P1との第1垂直距離x1と、左側にある第1素子側面23と発振点P1との第1垂直距離x1とが異なっていてもよい。同様に、
図5において、上側にある第2素子側面24と発振点P1との第2垂直距離y1と、下側にある第2素子側面24と発振点P1との第2垂直距離y1とが異なっていてもよい。
【0046】
テラヘルツ素子20のz方向寸法は、たとえば、発振する電磁波の周波数に応じて設計されているとよい。具体的には、テラヘルツ素子20のz方向寸法は、電磁波の波長λの1/2倍(すなわち、λ/2)の整数倍である。素子基板31と空気との界面においては、電磁波が自由端反射する。よって、テラヘルツ素子20のz方向寸法を上記のように設定することで、位相を揃えた定在波をテラヘルツ素子20の内部で励起させることができる。なお、テラヘルツ素子20のz方向寸法は、電磁波の周波数が高いほど、z方向寸法は小さくなり、電磁波の周波数が低いほど、z方向寸法は大きくなる。
【0047】
なお、テラヘルツ素子20の構成は、上記したものに限定されない。たとえば、素子基板31の能動素子32が配置された素子主面21とは反対側の素子裏面22に、裏面反射体金属層を配置してもよい。この場合、能動素子32から放射された電磁波(電磁波)は、当該裏面反射体金属層に反射される。
【0048】
裏面反射体金属層を配置する場合は、素子基板31と裏面反射体金属層との界面において、電磁波が固定端反射するので、位相がπずれる。よって、この場合、テラヘルツ素子20のz方向寸法は、電磁波の波長λとして、(λ/4)+(λ/2の整数倍)に設計するとよい。
【0049】
本実施形態では、発振点P1から発生する電磁波は指向性を有する。
図4に示すように、発振点P1から発生する電磁波は、開口角度θの範囲に亘って放射状に照射される。開口角度θは、たとえば120°~180°である。ただし、開口角度θについてはこれに限られず任意である。
【0050】
第1導電体層33および第2導電体層34はそれぞれ、素子主面21上に形成されている。第1導電体層33および第2導電体層34は互いに絶縁されている。第1導電体層33および第2導電体層34はそれぞれ、金属の積層構造を有する。第1導電体層33および第2導電体層34の各々の積層構造は、たとえばAu(金)、Pd(パラジウム)およびTi(チタン)が積層された構造である。あるいは、第1導電体層33および第2導電体層34の各々の積層構造は、AuおよびTiが積層された構造である。第1導電体層33および第2導電体層34はいずれも、真空蒸着法あるいはスパッタリング法などによって形成される。
【0051】
図6に示すように、本実施形態では、能動素子32に対してx方向の両側に、第1導電体層33の一部および第2導電体層34の一部が配置されている。第1導電体層33は、能動素子32に対してz方向に重なる第1接続領域33aを有している。第1接続領域33aは、GaInAs層41b上に位置しており、GaInAs層41bに接している。
【0052】
また、半導体層41aは、GaInAs層42a等の他の層よりも第2導電体層34に向けてx方向に延びている。第2導電体層34は、半導体層41aのうちGaInAs層42a等が積層されていない部分に積層された第2接続領域34aを有している。これにより、能動素子32が第1導電体層33および第2導電体層34に導通している。なお、第2接続領域34aとGaInAs層42a等の他の層とはx方向に離間している。
【0053】
図示は省略するが、
図7とは異なり、n型不純物を高濃度にドープされたGaInAs層が、GaInAs層41bと第1接続領域33aとの間に介在していてもよい。これにより、第1導電体層33とGaInAs層41bとのコンタクトが良好になりうる。
【0054】
図5に示すように、第1導電体層33の一部および第2導電体層34の一部が、ダイポールアンテナを構成している。すなわち、テラヘルツ素子20は、第1導電体層33の一部および第2導電体層34の一部によって、素子主面21側においてアンテナが集積化されている。なお、ダイポールアンテナに限定されず、スロットアンテナ、ボータイアンテナあるいはリングアンテナなどの他のアンテナであってもよい。また、アンテナがなくてもよい。
【0055】
また、本実施形態のテラヘルツ素子20は、MIM(Metal Insulator Metal)リフレクタ35を有している。MIMリフレクタ35は、第1導電体層33の一部と第2導電体層34の一部とが絶縁体をz方向に挟み込むことによって構成されている。MIMリフレクタ35は、第1導電体層33の一部と第2導電体層34の一部とを高周波的に短絡させるものである。MIMリフレクタ35は、高周波の電磁波を反射させることができる。ただし、MIMリフレクタ35は必須ではなく、MIMリフレクタ35を省略してもよい。
【0056】
図5に示すように、第1導電体層33は第1パッド33bを有しており、第2導電体層34は第2パッド34bを有している。第1パッド33b及び第2パッド34bは、x方向に離間しており、互いに絶縁されている。
【0057】
図2に示すように、アンテナベース50は、たとえば全体として直方体形状である。アンテナベース50は、たとえば絶縁性材料で形成されている。具体的には、アンテナベース50は、誘電体で形成されており、たとえばエポキシ樹脂などの合成樹脂により形成されている。エポキシ樹脂としては、たとえばガラスエポキシ樹脂がある。ただし、アンテナベース50の材料はこれに限られず任意であり、たとえばSi、テフロン、ガラスなどでもよい。
【0058】
アンテナベース50は、取付板11に対して取付裏面13側とは反対側の取付主面12側に設けられている。アンテナベース50は、取付板11と対向する位置に設けられている。具体的には、アンテナベース50は、リードフレーム60を介して取付板11とz方向に対向している。z方向は、アンテナベース50と取付板11との対向方向とも言える。
【0059】
アンテナベース50は、取付主面12に対して対向するベース主面50aと、ベース主面50aとは反対側のベース裏面50bと、ベース側面51と、を有している。
ベース主面50aおよびベース裏面50bは、z方向に対して交差する面であり、本実施形態ではz方向に対して直交している。ベース主面50aおよびベース裏面50bはたとえば矩形状(たとえば正方形状)である。ベース裏面50bがテラヘルツ装置10の底面を構成している。
【0060】
本実施形態では、ベース側面51は、テラヘルツ装置10(アンテナベース50)において側方を向く面である。ベース側面51は、アンテナベース50においてベース主面50aとベース裏面50bとの対向方向に対して直交する方向の端面ともいえる。ベース側面51は、ベース主面50aとベース裏面50bとを繋いでいる。
【0061】
本実施形態のベース側面51は4つ設けられている。具体的には、ベース側面51は、アンテナベース50におけるx方向の両端面である第1ベース側面51aおよび第2ベース側面51bと、アンテナベース50におけるy方向の両端面である第3ベース側面51cおよび第4ベース側面51dと、を有している。第1ベース側面51aおよび第2ベース側面51bは、x方向に対して交差する面であり、本実施形態ではx方向に対して直交している。第3ベース側面51cおよび第4ベース側面51dは、y方向に対して交差する面であり、本実施形態ではy方向に対して直交している。第1ベース側面51aおよび第2ベース側面51bと、第3ベース側面51cおよび第4ベース側面51dとは、互いに直交している。
【0062】
アンテナベース50には、ベース主面50aに対して取付主面12から離れる方向に凹んだ凹部52が形成されている。凹部52は、ベース主面50aから取付主面12とは離れる方向、すなわち下方に凹んでいる。本実施形態では、凹部52は、全体として半球状に形成されている。凹部52内には、空気が装填されている。
【0063】
凹部52は、上方に向けて開口している。凹部52の開口は、z方向から見て円状である。凹部52の開口は、取付板11によって塞がれている。本実施形態では、テラヘルツ素子20は凹部52内に収容されている。
【0064】
凹部52は、アンテナ面53を有している。アンテナ面53は、たとえば下方に向けて凸となった湾曲面である。アンテナ面53は、アンテナ形状に対応させて形成されている。たとえば、アンテナ面53は、パラボラアンテナ形状となるように湾曲している。アンテナ面53は、上方から見て円形状である。
【0065】
図4に示すように、反射膜54は、アンテナ面53上に形成されている。反射膜54は、テラヘルツ素子20から発生する電磁波を反射する材料で形成されており、たとえばCuなどの金属で形成されている。本実施形態では、反射膜54は、アンテナ面53の全体に亘って形成されている。一方、反射膜54は、ベース主面50aには形成されていない。
【0066】
反射膜54は、テラヘルツ素子20からの電磁波の少なくとも一部を一方向に反射させるものである。本実施形態では、反射膜54は、テラヘルツ素子20からの電磁波をz方向(具体的には上方)に向けて反射させる。換言すれば、反射膜54は、開口角度θの範囲に亘って放射状に照射される電磁波を一方向にガイドするものともいえる。
【0067】
具体的には、反射膜54はアンテナ形状となっている。本実施形態では、アンテナ面53がアンテナ形状に対応させて湾曲しているため、アンテナ面53上に形成される反射膜54は自ずとアンテナ形状となる。本実施形態では、反射膜54は、パラボラアンテナ形状となっている。換言すれば、反射膜54は、回転放物面鏡となっている。反射膜54は、z方向から見て円形状となっている。
【0068】
反射膜54と取付板11とはz方向に対向している。換言すれば、取付板11は、反射膜54に対して対向する位置、本実施形態では反射膜54の上方に設けられている。このため、反射膜54によって反射された電磁波は取付板11を透過して上方に照射される。
【0069】
反射膜54は、素子裏面22ではなく、発振点P1が存在する素子主面21側に配置されており、テラヘルツ素子20(本実施形態では素子主面21)と対向している。反射膜54は、たとえば当該反射膜54の焦点が発振点P1となるように配置されている。本実施形態では、z方向から見て、反射膜54の中心点P2と発振点P1とは一致している。本実施形態では、中心点P2はz方向から見た円形の反射膜54の中心である。
【0070】
また、発振点P1から反射膜54までの垂直距離を規定距離z1とし、反射膜54のz方向の座標をZとし、反射膜54のx方向の位置をXとすると、Z=(1/(4z1))X2の条件を満たすようにアンテナ面53が湾曲しているとよい。ただし、アンテナ面53の湾曲態様はこれに限られず任意である。
【0071】
z方向は、反射膜54とテラヘルツ素子20(素子主面21)との対向方向ともいえるし、テラヘルツ装置10の電磁波の出力方向ともいえる。また、z方向は、反射膜54の中心点P2と発振点P1との対向方向ともいえ、規定距離z1は、発振点P1と中心点P2との間の距離ともいえる。
【0072】
また、反射膜54は、テラヘルツ素子20から発生する電磁波が共振するように、当該電磁波の周波数に対応する位置に配置されている。具体的には、規定距離z1は、テラヘルツ素子20から発生する電磁波の共振条件を満たすように、たとえば(λ’A/4)+((λ’A/2)×N)(ただし、Nは0以上の整数)であるとよい。λ’Aは、(1/nA)(c/fc)(c:光速,fc:発振の中心周波数)である。nAは、発振点P1と反射膜54との間に介在する物体の屈折率である。たとえば、両者の間に空気が存在している場合には、nAは「1」である。fcは、テラヘルツ素子20の目標周波数ともいえるし、テラヘルツ素子20から発生する電磁波のうち最も出力が大きい周波数でもよい。
【0073】
z方向から見て、x方向またはy方向における反射膜54の端から端までの距離を反射膜54の開口幅という。本実施形態では、反射膜54はアンテナ面53の全体に亘って形成されているため、反射膜54の開口幅は、凹部52の開口幅と一致している。なお、凹部52の開口幅は、円状に形成された凹部52の開口の直径ともいえる。
【0074】
反射膜54は、たとえば発振点P1に対して開口角度θ以上の角度に亘って形成されている。具体的には、アンテナ面53は、発振点P1を中心とした場合に開口角度θ以上の角度に亘って形成されている。そして、既に説明したとおり、本実施形態の反射膜54はアンテナ面53の全体に亘って形成されている。本実施形態では、発振点P1に対して反射膜54が形成されている角度は180°よりも大きくなっている。このため、本実施形態では、発振点P1から開口角度θの範囲内で照射された電磁波は全て反射膜54によって反射される。
【0075】
ここで、本実施形態では、アンテナベース50のz方向の長さは、取付板11のz方向の長さである取付板11の厚さよりも大きい。また、アンテナベース50のx方向の長さは、取付板11のx方向の長さと同一に設定されている。アンテナベース50のy方向の長さは、取付板11のy方向の長さと同一に設定されている。ただし、アンテナベース50と取付板11との長さの関係は任意である。
【0076】
図4および
図5に示すように、リードフレーム60は、取付板11の取付主面12に取り付けられている。リードフレーム60と取付板11とは密着して接合されており、両者は位置ずれしないように固定されている。
【0077】
リードフレーム60は、たとえばz方向を厚さ方向とする矩形板状である。本実施形態のリードフレーム60は、取付板11よりも厚く形成されている。換言すれば、本実施形態の取付板11は、リードフレーム60よりも薄く形成されている。
【0078】
リードフレーム60は、互いに絶縁された第1リードパーツ61および第2リードパーツ71を有している。第1リードパーツ61および第2リードパーツ71は、たとえばx方向に離間して対向配置されており、互いに離間してx方向に対向している第1リード対向面62および第2リード対向面72を有している。本実施形態の両リード対向面62,72は、x方向に対して直交している。本実施形態では、第1リードパーツ61および第2リードパーツ71が「第1導電部」および「第2導電部」に対応する。
【0079】
第1リードパーツ61および第2リードパーツ71は、z方向から見て、取付板11よりも側方、本実施形態ではx方向にはみ出している。一方、両リードパーツ61,71のy方向の長さは、取付板11のy方向の長さよりも若干短く設定されており、たとえばアンテナベース50のy方向の長さと同一に設定されている。このため、本実施形態のリードフレーム60は、取付板11に対してy方向にはみ出しにくくなっている。
【0080】
リードフレーム60は、z方向から見て反射膜54(凹部52)と重ならないように避けて形成されている。具体的には、リードフレーム60には、z方向から見て反射膜54の少なくとも一部と重なる開口部80が形成されている。
【0081】
開口部80は、たとえば両リードパーツ61,71の間に設けられている隙間81と、第1リードパーツ61に形成された第1パーツ開口部63と、第2リードパーツ71に形成された第2パーツ開口部73と、によって構成されている。
【0082】
隙間81は、y方向に延びたスリット状であり、両リード対向面62,72間の空間と、両パーツ開口部63,73間の空間とを含む。
第1パーツ開口部63は、第1リードパーツ61のうちz方向から見て反射膜54と重なる部分に形成されている。第2パーツ開口部73は、第2リードパーツ71のうちz方向から見て反射膜54と重なる部分に形成されている。
【0083】
第1パーツ開口部63および第2パーツ開口部73は、z方向に貫通しており、凹部52と連通している。第1パーツ開口部63および第2パーツ開口部73は互いに隙間81を介してx方向に離間して対向配置されている。両パーツ開口部63,73はx方向に開口している。第1パーツ開口部63は、第2リードパーツ71に向けて開口しており、第2パーツ開口部73は、第1リードパーツ61に向けて開口している。このため、両パーツ開口部63,73は隙間81と連通している。
【0084】
第1パーツ開口部63および第2パーツ開口部73はそれぞれ、z方向から見て半円状に形成されている。第1パーツ開口部63および第2パーツ開口部73によって1つの円状の孔が形成されている。テラヘルツ素子20は、両パーツ開口部63,73によって形成される円の中心に配置されているともいえる。なお、両パーツ開口部63,73によって形成される円の直径は、たとえば反射膜54の開口幅と同一またはそれ以上であるとよい。
【0085】
第1リードパーツ61は、第1パーツ開口部63の内壁面である第1内壁面64を有している。第1内壁面64は、第1リード対向面62に対して第2リード対向面72とは離れる方向に凹んだ凹面である。
【0086】
第2リードパーツ71は、第2パーツ開口部73の内壁面である第2内壁面74を有している。第2内壁面74は、第2リード対向面72に対して第1リード対向面62とは離れる方向に凹んだ凹面である。
【0087】
第1内壁面64および第2内壁面74は、互いに離れる方向に凸となるように湾曲している。両内壁面64,74は、たとえば両リードパーツ61,71が反射膜54と重ならないように反射膜54の端54a、すなわち凹部52の開口縁の外側に沿って延びている。
【0088】
図5に示すように、本実施形態の第1リードパーツ61は、テラヘルツ素子20と電気的に接続するための第1接続部65を有している。本実施形態の第1接続部65は、第1リードパーツ61におけるz方向から見て凹部52(換言すれば反射膜54)と重ならない部分からテラヘルツ素子20に向けて突出している部分である。具体的には、第1接続部65は、第1内壁面64からテラヘルツ素子20に向けて突出した突出片である。第1接続部65は、z方向から見て反射膜54と重なっている。第1接続部65と第1パッド33bとが第1ワイヤW1によって接続されている。これにより、第1リードパーツ61とテラヘルツ素子20とが電気的に接続される。
【0089】
本実施形態では、第1接続部65の第1内壁面64からの突出寸法は、z方向から見た第1ワイヤW1の長さよりも短い。上記突出寸法は、たとえば反射膜54の開口幅の1/4よりも短い。
【0090】
同様に、本実施形態の第2リードパーツ71は、テラヘルツ素子20と電気的に接続するための第2接続部75を有している。本実施形態の第2接続部75は、第2リードパーツ71におけるz方向から見て凹部52(換言すれば反射膜54)と重ならない部分からテラヘルツ素子20に向けて突出している部分である。具体的には、第2接続部75は、第2内壁面74からテラヘルツ素子20に向けて突出した突出片である。第2接続部75は、z方向から見て凹部52(換言すれば反射膜54)と重なっている。第2接続部75と第2パッド34bとが第2ワイヤW2によって接続されている。これにより、第2リードパーツ71とテラヘルツ素子20とが電気的に接続される。
【0091】
本実施形態では、第2接続部75の第2内壁面74からの突出寸法は、z方向から見た第2ワイヤW2の長さよりも短い。上記突出寸法は、たとえば反射膜54の開口幅の1/4よりも短い。
【0092】
本実施形態では、第1接続部65と第2接続部75とは、テラヘルツ素子20を介して対向配置されている。たとえば、両接続部65,75は、x方向に対称配置されている。換言すれば、両接続部65,75は、z方向から見て、180°ずれた位置に配置されている。
【0093】
図4に示すように、テラヘルツ装置10は、アンテナベース50とリードフレーム60とを接着させる接着層90を有している。接着層90は、たとえば絶縁性材料で形成されており、たとえば樹脂系の接着剤で構成されている。接着層90は、アンテナベース50のベース主面50aとリードフレーム60との間に設けられている。アンテナベース50は、接着層90によってリードフレーム60に接着している。これにより、取付板11、リードフレーム60およびアンテナベース50がユニット化されている。すなわち、基材としての取付板11とアンテナベース50とが位置ずれしないようにユニット化されることによって、取付板11に取り付けられているテラヘルツ素子20と、アンテナベース50に形成されている反射膜54とが位置ずれしないようにユニット化される。
【0094】
接着層90は、反射膜54とリードフレーム60との間に介在している。接着層90によって、反射膜54とリードフレーム60とが電気的に接続されないように規制されている。以上のとおり、反射膜54は、アンテナベース50およびリードフレーム60の双方に対して電気的に接続されておらず、電気的にフローティング状態となっている。
【0095】
特に、本実施形態では、接着層90の内周端は、反射膜54よりも内側(換言すればテラヘルツ素子20側)に向けてはみ出している。このため、接着層90を回避して反射膜54とリードフレーム60とが接触する事態が生じにくい。接着層90の内周端とは、接着層90におけるテラヘルツ素子20側の端といえる。接着層90の内周端は、たとえば凹部52に対応させてz方向から見て円形状となっている。ただし、接着層90の内周端の形状は任意であり、矩形状でもよい。
【0096】
テラヘルツ素子20および反射膜54は、取付板11と凹部52とによって区画された収容空間A1内に収容されているといえる。本実施形態では、収容空間A1は、取付主面12とアンテナ面53とによって区画された空間である。本実施形態の収容空間A1は接着層90等によって密閉されており、当該収容空間A1内には空気が存在する。
【0097】
図3~
図5に示すように、テラヘルツ装置10は、外部との電気的接続に用いられる第1電極94および第2電極101を備えている。本実施形態では、第1電極94および第2電極101は、アンテナベース50に沿って折り曲げられたリードフレーム60によって構成されている。
【0098】
具体的には、第1リードパーツ61は、第1ベース側面51aからアンテナベース50外に延出されており、アンテナベース50に沿って折り曲げられて、ベース裏面50bまで到達している。第1電極94は、第1リードパーツ61における上記折り曲げられている部分によって構成されている。
【0099】
第1電極94は、第1ベース側面51aとベース主面50aとのコーナ部分にて第1ベース側面51aに向かうように屈曲している第1基端部94aと、第1ベース側面51aとベース裏面50bとのコーナ部分にて屈曲している第1屈曲部(または湾曲部)94bと、ベース裏面50bに配置されている第1先端部94cと、を有している。第1電極94は、y方向から見てL字状に形成されており、第1ベース側面51aとベース裏面50bとに跨って形成されている。
【0100】
第1電極94は、第1ベース側面51aに形成された第1側面電極95と、ベース裏面50bに形成された第1裏面電極93と、を有している。第1側面電極95は、第1電極94における第1基端部94aから第1屈曲部94bまでの部分であり、第1ベース側面51aの全体に形成されている。第1裏面電極93は、第1電極94における第1屈曲部94bから第1先端部94cまでの部分である。
【0101】
同様に、第2リードパーツ71は、第2ベース側面51bからアンテナベース50外に延出されており、アンテナベース50に沿って折り曲げられて、ベース裏面50bまで到達している。第2電極101は、第2リードパーツ71における上記折り曲げられている部分によって構成されている。
【0102】
第2電極101は、第2ベース側面51bとベース主面50aとのコーナ部分にて第2ベース側面51bに向かうように屈曲している第2基端部101aと、第2ベース側面51bとベース裏面50bとのコーナ部分にて屈曲している第2屈曲部(または湾曲部)101bと、ベース裏面50bに配置されている第2先端部101cと、を有している。第2電極101は、y方向から見てL字状に形成されており、第2ベース側面51bとベース裏面50bとに跨って形成されている。
【0103】
第2電極101は、第2ベース側面51bに形成された第2側面電極102と、ベース裏面50bに形成された第2裏面電極103と、を有している。第2側面電極102は、第2電極101における第2基端部101aから第2屈曲部101bまでの部分であり、第2ベース側面51bの全体に形成されている。第2裏面電極103は、第2電極101における第2屈曲部101bから第2先端部101cまでの部分である。
【0104】
本実施形態では、両電極94,101は、左右対称に形成されている。また、第1先端部94cと第2先端部101cとはx方向に離間しているため、両電極94,101の絶縁は確保されている。
【0105】
なお、両電極94,101のy方向の長さである幅は、アンテナベース50のy方向の長さと同一に設定されている。ただし、これに限られず、両電極94,101の幅は任意に変更可能であり、たとえばアンテナベース50のy方向の長さよりも短くてもよい。
【0106】
ここで、既に説明したとおり、アンテナベース50のz方向の長さは、取付板11の厚さよりも大きい。また、アンテナベース50のz方向の長さは、取付板11の厚さとリードフレーム60の厚さとを合わせた寸法よりも大きい。アンテナベース50と取付板11との間に設けられているリードフレーム60は、テラヘルツ装置10において上方側に配置されている。このため、第1基端部94aおよび第2基端部101aは、テラヘルツ装置10において上方側に配置されている。
【0107】
つまり、z方向をテラヘルツ装置10の厚さ方向とすると、第1基端部94aおよび第2基端部101aは、テラヘルツ装置10の厚さ方向の中央部よりも上方(換言すれば取付板11側または電磁波の出力側)に偏倚して配置されている。
【0108】
図4に示すように、テラヘルツ装置10は、たとえば配線パターン114が形成されている回路基板113に実装される。具体的には、テラヘルツ装置10は、ベース裏面50bが回路基板113と対向する向きで設置されるものであり、半田などの導電性接合部材115を用いて裏面電極93,103と配線パターン114とが接合された状態で回路基板113に取り付けられる。
【0109】
次に本実施形態のテラヘルツ装置10の製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、まずは1つのテラヘルツ装置10の製造方法について説明する。
図8に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、リードフレーム60を成型する工程を含む。当該工程では、第1パーツ開口部63および第1接続部65が形成された第1リードパーツ61と、第2パーツ開口部73および第2接続部75が形成された第2リードパーツ71とを形成する。
【0110】
図9に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、取付板11を成型する工程を含む。当該工程では、両リードパーツ61,71に跨るように取付板11を成型する。なお、取付板11の具体的な成型手法については任意である。
【0111】
その後、
図10に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、テラヘルツ素子20を取付板11に取り付ける工程を含む。当該工程では、テラヘルツ素子20を、取付板11のうちリードフレーム60が設けられている側の面に実装する。これにより、リードフレーム60、取付板11およびテラヘルツ素子20がユニット化される。
【0112】
図11に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、両ワイヤW1,W2を用いてテラヘルツ素子20と両リードパーツ61,71とを電気的に接続する工程を含む。当該工程では、第1ワイヤW1を第1パッド33bと第1リードパーツ61とにボンディングするとともに、第2ワイヤW2を第2パッド34bと第2リードパーツ71とにボンディングする。なお、ボンディングの順序については任意である。
【0113】
図12に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、アンテナベース50における凹部52を形成する工程を含む。当該工程では、アンテナ面53に対応させて形成された金型を用いてアンテナ面53を有する凹部52を形成する。
【0114】
図13に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、凹部52が形成された後に実行され、反射膜54を構成する金属膜を形成する工程を含む。当該工程では、ベース主面50aおよびアンテナ面53の双方に対して金属膜を形成する。
【0115】
図14に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、ベース主面50aに形成された金属膜を除去する工程を含む。当該ベース主面50aの金属膜を除去する具体的手法は任意であるが、たとえばパターニングによって除去する手法でもよいし、研磨によって除去する手法でもよい。これにより、アンテナ面53にのみ反射膜54としての金属膜が形成される。
【0116】
なお、金属膜を形成する工程としては、上記の工程に限られない。たとえば、テラヘルツ装置10の製造方法は、ベース主面50aをマスキングする工程と、電子ビームを用いた蒸着等によって金属膜をアンテナ面53に形成する工程と、を有する構成でもよい。この場合、ベース主面50aに形成された金属膜を除去する工程が不要となる。
【0117】
図15に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、リードフレーム60、取付板11およびテラヘルツ素子20のユニット体と、反射膜54が形成されたアンテナベース50とを組み付ける工程を含む。当該工程では、接着層90を用いてアンテナベース50とリードフレーム60とを接着させる。
【0118】
その後、
図16に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、リードフレーム60を折り曲げる第1折曲工程を含む。第1折曲工程では、アンテナベース50から側方に突出しているリードフレーム60(両リードパーツ61,71)を、アンテナベース50のコーナ部分にてアンテナベース50のベース側面51a,51bに沿うように折り曲げる。これにより、側面電極95,102が形成される。
【0119】
続いて、
図17に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、リードフレーム60を更に折り曲げる第2折曲工程を含む。第2折曲工程では、アンテナベース50から上方に突出しているリードフレーム60を、アンテナベース50のコーナ部分にてアンテナベース50のベース裏面50bに沿うように折り曲げる。これにより、屈曲部94b,101bおよび裏面電極93,103が形成される。これにより、テラヘルツ装置10が形成される。
【0120】
なお、説明の便宜上、1つのテラヘルツ装置10の製造方法について説明したが、実際には複数のテラヘルツ装置10を同時に製造してもよい。
たとえば、
図18に示すように、複数のリードフレーム60を構成するものであって開口部80となる部分が打ち抜かれた金属板111を用意し、当該金属板111に複数の取付板11及び複数のテラヘルツ素子20を取り付ける。金属板111には、リードフレーム60のy方向の端部に沿って打ち抜かれた第1貫通孔111aが形成されている。第1貫通孔111aは、たとえば両電極94,101の分だけ取付板11よりもx方向の両側に長く延びたスリット形状である。
【0121】
一方で、
図19に示すように、凹部52および反射膜54が複数配列されたベース体112を用意する。ベース体112には、リードフレーム60を露出したい部分に対応させて第2貫通孔112aが形成されている。第2貫通孔112aは、金属板111とベース体112とが貼り合わせた場合において電極94,101と対向する部分に形成されている。そして、取付板11およびテラヘルツ素子20が取り付けられた金属板111とベース体112とを位置合わせをした状態で接着剤を用いて貼り合わせた後に、ダイシングによって切断する。そして、リードフレーム60を折り曲げる。これにより、複数のテラヘルツ装置10が製造される。
【0122】
ここで、金属板111とベース体112とを貼り合わせる際には、金属板111に形成された第1位置決め部111bと、ベース体112に形成された第2位置決め部112bとが重なるように金属板111とベース体112との位置決めを行うとよい。
【0123】
次に本実施形態の作用について説明する。
テラヘルツ素子20の発振点P1から発生した電磁波は、反射膜54によって反射されて一方向に向けて照射される。
【0124】
また、本実施形態における両電極94,101は、テラヘルツ装置10の底面を構成するベース裏面50bにも形成されている。これにより、ベース裏面50bと回路基板113とが対向する向きでテラヘルツ装置10を回路基板113に取り付けることにより、テラヘルツ装置10が容易に回路基板113に実装される。
【0125】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1-1)テラヘルツ装置10は、基材としての取付板11と、取付板11に取り付けられたテラヘルツ素子20と、取付板11と対向する位置に設けられ、アンテナ面53を有するアンテナベース50と、アンテナ面53に形成された反射膜54と、を備えている。反射膜54は、テラヘルツ素子20から発生した電磁波の少なくとも一部を一方向(たとえば上方)に向けて反射させる。この構成によれば、テラヘルツ素子から発生した電磁波が一方向に向けて照射される。これにより、テラヘルツ装置10から照射される電磁波の出力を高くすることができる。したがって、テラヘルツ装置10の利得の向上を図ることができる。
【0126】
(1-2)テラヘルツ装置10は、外部との電気的接続に用いられる電極94,101を備えている。電極94,101は、ベース側面51a,51bに形成された側面電極95,102と、ベース裏面50bに形成された裏面電極93,103と、を備えている。この構成によれば、側面電極95,102または裏面電極93,103と、回路基板113の配線パターン114とを比較的容易に電気的に接続することができるため、回路基板113へのテラヘルツ装置10の実装を容易に行うことができる。
【0127】
(1-3)電極94,101は、アンテナベース50に沿って折り曲げられたリードフレーム60によって構成されている。この構成によれば、比較的折り曲げ加工しやすいリードフレーム60が電極94,101として採用されている。これにより、容易に側面電極95,102および裏面電極93,103を形成することができる。また、リードフレーム60はアンテナベース50に沿って折り曲げられることにより、リードフレーム60が側方に突出することを抑制できる。これにより、テラヘルツ装置10のx方向の小型化を図ることができる。
【0128】
(1-4)第1電極94は、第1ベース側面51aとベース主面50aとのコーナ部分にて第1ベース側面51aに向かうように屈曲している第1基端部94aと、第1ベース側面51aとベース裏面50bとのコーナ部分にて屈曲している第1屈曲部94bと、ベース裏面50bに配置された第1先端部94cと、を有している。第1側面電極95は、第1基端部94aから第1屈曲部94bまでの部分であり、第1裏面電極93は、第1屈曲部94bから第1先端部94cまでの部分である。
【0129】
同様に、第2電極101は、第2ベース側面51bとベース主面50aとのコーナ部分にて第2ベース側面51bに向かうように屈曲している第2基端部101aと、第2ベース側面51bとベース裏面50bとのコーナ部分にて屈曲している第2屈曲部101bと、ベース裏面50bに配置された第2先端部101cと、を有している。第2側面電極102は、第2基端部101aから第2屈曲部101bまでの部分であり、第2裏面電極103は、第2屈曲部101bから第2先端部101cまでの部分である。
【0130】
この構成によれば、アンテナベース50の各コーナ部分を支点としてリードフレーム60を折り曲げることによって、側面電極95,102および裏面電極93,103が形成される。これにより、比較的容易に側面電極95,102及び裏面電極93,103を形成できる。
【0131】
(1-5)両先端部94c,101cは、x方向に離間している。この構成によれば、両電極94,101の絶縁を確保できる。
(1-6)テラヘルツ素子20は、電磁波が発生する発振点P1を有する素子主面21と、素子主面21とは反対側の素子裏面22とを有している。反射膜54は、素子裏面22側ではなく素子主面21側に設けられている。この構成によれば、電磁波が反射膜54に到達し易いため、反射膜54を用いて発振点P1から発生する電磁波を好適に反射させることができる。
【0132】
(1-7)テラヘルツ素子20は、発振点P1から開口角度θの範囲に亘って放射状に電磁波を照射する。反射膜54は、発振点P1に対して開口角度θ以上の角度に亘って形成されている。この構成によれば、発振点P1から開口角度θの範囲に亘って放射状に照射された電磁波は、反射膜54によって反射される。これにより、反射膜54によって反射されない電磁波を低減でき、利得の向上を図ることができる。
【0133】
(1-8)反射膜54はパラポラアンテナ形状である。この構成によれば、電磁波を好適に一方向に向けて反射させることができる。
(1-9)反射膜54は、当該反射膜54の焦点が発振点P1に位置するように配置されている。この構成によれば、発振点P1から発生した電磁波は、反射膜54によって一方向に誘導される。これにより、反射膜54によって一方向に向けて反射されない電磁波を低減でき、利得の向上を図ることができる。
【0134】
(1-10)反射膜54は、テラヘルツ素子20から発生する電磁波が共振するように、当該電磁波の周波数に対応する位置に配置されている。一例としては、発振点P1から反射膜54に向かう垂直距離である規定距離z1は、電磁波の共振条件、たとえば(λ’A/4)+((λ’A/2)×N)を満たすように設定されている。この構成によれば、テラヘルツ装置10の利得の向上を図ることができる。
【0135】
(1-11)反射膜54は電気的にフローティング状態である。この構成によれば、反射膜54によって電磁波が吸収されるなどといった不都合を抑制できる。
(1-12)アンテナベース50は絶縁性材料で形成されている。この構成によれば、アンテナベース50を介して反射膜54が何らかの部材と電気的に接続されることを抑制できる。
【0136】
(1-13)基材としての取付板11は、テラヘルツ素子20が取り付けられる取付主面12を有している。アンテナベース50は、取付主面12と対向するベース主面50aと、ベース主面50aから凹んだものであってアンテナ面53を有する凹部52と、を備えている。テラヘルツ素子20および反射膜54は、取付主面12とアンテナ面53とによって区画された収容空間A1内に配置されている。この構成によれば、テラヘルツ素子20および反射膜54に対する外部からの影響を低減できる。
【0137】
(1-14)反射膜54は、アンテナ面53に形成されている一方、ベース主面50aには形成されていない。この構成によれば、ベース主面50aに形成される反射膜54によって電磁波が反射されることを回避できる。これにより、不要な反射波に起因する不都合、たとえば定在波の発生を抑制できる。
【0138】
(1-15)取付主面12には、導電部材としてのリードフレーム60が設けられている。アンテナベース50は、接着層90によってリードフレーム60に対して接着している。接着層90は、絶縁性材料で形成されており、反射膜54とリードフレーム60との間に介在している。この構成によれば、接着層90によって反射膜54とリードフレーム60とが接触しないように規制されている。これにより、反射膜54とリードフレーム60とが電気的に接続されることを抑制できる。
【0139】
(1-16)リードフレーム60には、z方向から見て反射膜54の少なくとも一部と重なる開口部80が形成されている。この構成によれば、反射膜54によって反射された電磁波は、開口部80を介して出力される。これにより、電磁波がリードフレーム60によって遮断されることを抑制できる。
【0140】
(1-17)リードフレーム60は、互いに離間して対向配置された第1リードパーツ61および第2リードパーツ71を有している。開口部80は、両リードパーツ61,71間の隙間81を含む。この構成によれば、両リードパーツ61,71の絶縁性を確保しつつ、リードフレーム60による電磁波の遮断(ブロッキング)を抑制できる。
【0141】
(1-18)開口部80は、第1リードパーツ61におけるz方向から見て反射膜54と重なる部分に形成され、隙間81と連通している第1パーツ開口部63を有している。開口部80は、第2リードパーツ71におけるz方向から見て反射膜54と重なる部分に形成され、隙間81と連通している第2パーツ開口部73を有している。この構成によれば、リードフレーム60による電磁波の遮断を更に抑制できる。
【0142】
(1-19)第1リードパーツ61は、テラヘルツ素子20と電気的に接続するための第1接続部65を有している。第1接続部65は、第1パーツ開口部63の内壁面である第1内壁面64からテラヘルツ素子20に向けて突出しており、z方向から見て反射膜54と重なっている。第2リードパーツ71は、テラヘルツ素子20と電気的に接続するための第2接続部75を有している。第2接続部75は、第2パーツ開口部73の内壁面である第2内壁面74からテラヘルツ素子20に向けて突出しており、z方向から見て反射膜54と重なっている。この構成によれば、リードフレーム60による電磁波の遮断を抑制しつつ、テラヘルツ素子20と両リードパーツ61,71とを電気的に接続させることができる。
【0143】
(1-20)テラヘルツ装置10は、テラヘルツ素子20に形成された第1パッド33bと第1接続部65とを接続する第1ワイヤW1と、テラヘルツ素子20に形成された第2パッド34bと第2接続部75とを接続する第2ワイヤW2と、を備えている。z方向から見て、第1内壁面64からの第1接続部65の突出寸法は、第1ワイヤW1の長さよりも短い。この構成によれば、第1接続部65の突出寸法が短い分だけ電磁波が第1接続部65に遮断されることを抑制できる。同様に、z方向から見て、第2内壁面74からの第2接続部75の突出寸法は、第2ワイヤW2の長さよりも短いとよい。
【0144】
(1-21)両接続部65,75はテラヘルツ素子20を介して対向配置されている。この構成によれば、両ワイヤW1,W2が互いに干渉しにくいため、両ワイヤW1,W2が接触することを抑制できる。
【0145】
(第1実施形態の変更例)
・
図20に示すように、テラヘルツ装置10は、取付裏面13に形成された反射低減膜120を備えていてもよい。反射低減膜120は、反射防止膜ともいえるし、ARコーティング膜ともいえる。
【0146】
反射低減膜120は、たとえば取付裏面13のうちz方向から見てリードフレーム60と重なる部分の少なくとも一部に形成されているとよい。一例としては、反射低減膜120は、取付裏面13のうちz方向から見てリードフレーム60と重なる部分の全部に形成されている。これにより、リードフレーム60にて電磁波が反射することに起因する定在波の発生を抑制できる。なお、反射低減膜120の具体的構成は、少なくともテラヘルツ帯の電磁波の反射を低減することができれば任意である。
【0147】
(第2実施形態)
図21に示すように、本実施形態のテラヘルツ装置10は、テラヘルツ素子20に電気的に接続される特定素子の一例としての保護ダイオード131,132を備えている。保護ダイオード131,132は、テラヘルツ素子20に対して電気的に接続されており、本実施形態ではテラヘルツ素子20に対して並列接続されている。両保護ダイオード131,132は、テラヘルツ素子20に対して互いに逆方向となるように接続されている。保護ダイオード131,132は、通常のダイオードの他に、ツェナーダイオード、ショットキーダイオード、または発光ダイオードであってもよい。
【0148】
なお、特定素子としては、保護ダイオード131,132に限られず、制御IC(たとえばASIC)でもよい。制御ICは、たとえば、テラヘルツ素子20に流れる電流検知、アンプ、テラヘルツ素子20への電力供給、又は信号処理などを行うものであるとよい。また、特定素子とテラヘルツ素子20との接続態様は任意であり、たとえば直列接続でもよい。
【0149】
図22および
図23に示すように、両保護ダイオード131,132は、テラヘルツ素子20を介して対向配置されている。両保護ダイオード131,132は、リードフレーム60に実装されている。
【0150】
具体的には、第1保護ダイオード131は、第1リードパーツ61と電気的に接続された状態で第1リードパーツ61上に配置されている。第1保護ダイオード131は、たとえば第1リードパーツ61における第1パーツ開口部63の付近に配置されており、本実施形態では第1内壁面64、第1リード対向面62および第1リードパーツ61のy方向の端面によって囲まれた領域に配置されている。
【0151】
また、第1保護ダイオード131と第2リードパーツ71とは、第1ダイオードワイヤW3によって電気的に接続されている。これにより、第1保護ダイオード131は、両電極94,101に電気的に接続される。
【0152】
第1ダイオードワイヤW3は、第2リードパーツ71において第1保護ダイオード131に近い位置、すなわち第2内壁面74、第2リード対向面72および第2リードパーツ71のy方向の端面によって囲まれた領域にボンディングされている。これにより、第1ダイオードワイヤW3の長さが短くなっている。
【0153】
同様に、第2保護ダイオード132は、第2リードパーツ71と電気的に接続された状態で第2リードパーツ71上に配置されている。第2保護ダイオード132は、たとえば第2リードパーツ71における第2パーツ開口部73の付近に配置されており、本実施形態では第2内壁面74、第2リード対向面72および第2リードパーツ71のy方向の端面によって囲まれた領域に配置されている。
【0154】
また、第2保護ダイオード132と第1リードパーツ61とは、第2ダイオードワイヤW4によって電気的に接続されている。これにより、第2保護ダイオード132は、両電極94,101に電気的に接続される。
【0155】
第2ダイオードワイヤW4は、第1リードパーツ61において第2保護ダイオード132に近い位置、すなわち第1内壁面64、第1リード対向面62および第1リードパーツ61のy方向の端面によって囲まれた領域にボンディングされている。これにより、第2ダイオードワイヤW4の長さが短くなっている。
【0156】
図23に示すように、本実施形態のアンテナベース50は、ベース主面50aから凹んだ収容凹部141,142を備えており、保護ダイオード131,132は収容凹部141,142内に収容されている。収容凹部141,142は、凹部52の周囲に形成されており、凹部52と連通しないように形成されている。すなわち、収容凹部141,142は、特定素子を収容するために凹部52とは別に設けられたものといえる。なお、
図23に示すように、接着層90は収容凹部141,142に対応する箇所には形成されていない。
【0157】
以上詳述した本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
(2-1)テラヘルツ装置10は、テラヘルツ素子20に対して並列接続された保護ダイオード131,132を備えている。この構成によれば、たとえば静電気等に起因してテラヘルツ素子20の両端に高電圧が印加された場合には、保護ダイオード131,132を経由して電流を流すことが可能となる。これにより、テラヘルツ素子20に過度な電流が流れることを抑制できるため、テラヘルツ素子20を保護できる。
【0158】
(2-2)両保護ダイオード131,132は、テラヘルツ素子20に対して互いに逆方向となるように接続されている。この構成によれば、いずれの方向の高電圧が発生した場合であってもテラヘルツ素子20を保護できる。
【0159】
(2-3)アンテナベース50は、ベース主面50aから凹んだ収容凹部141,142を有しており、保護ダイオード131,132は収容凹部141,142に収容されている。この構成によれば、保護ダイオード131,132を設けることに起因するテラヘルツ装置10の大型化を抑制できる。
【0160】
(変更例)
各実施形態のテラヘルツ装置10は例えば以下のように変更できる。以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せることができる。なお、説明の便宜上、以下の変更例では、基本的には第1実施形態を用いて説明するが、技術的な矛盾が生じない限り、他の実施形態にも適用できる。
【0161】
・
図24に示すように、テラヘルツ装置10は、接着層90とは別に設けられ、反射膜54とリードフレーム60とを絶縁させるスペーサ200を備えているとよい。スペーサ200は、絶縁性を有している。スペーサ200は、反射膜54とリードフレーム60との間にも介在している。
図24では、スペーサ200は、リードフレーム60と接着層90との間に介在している。ただし、これに限られず、スペーサ200は、アンテナベース50と接着層90との間に設けられていてもよい。
【0162】
この構成によれば、スペーサ200と接着層90とによって、反射膜54とリードフレーム60とが接触することが規制されている。これにより、反射膜54とリードフレーム60との接触を、より抑制できる。
【0163】
・
図25に示すように、第1接続部65および第2接続部75は、テラヘルツ素子20の近くまで延びていてもよい。たとえば、第1接続部65の先端部は、第1内壁面64よりもテラヘルツ素子20に近い位置に配置されており、第2接続部75の先端部は、第2内壁面74よりもテラヘルツ素子20に近い位置に配置されていてもよい。換言すれば、両接続部65,75の突出寸法は、反射膜54の開口幅の1/4よりも大きくてもよい。
【0164】
また、z方向から見て、第1ワイヤW1の長さは、第1内壁面64からの第1接続部65の突出寸法よりも短くてもよい。同様に、第2ワイヤW2の長さは、第2内壁面74からの第2接続部75の突出寸法よりも短くてもよい。この構成によれば、ワイヤW1,W2の長さを短くできるため、ワイヤW1,W2に起因する応答性の低下を抑制できる。
【0165】
・
図26に示すように、第1接続部65と第2接続部75とは、平行に並んで配列されていてもよい。この構成によれば、テラヘルツ装置10の応答性の向上を図ることができる。
【0166】
・第1接続部65および第2接続部75がなくてもよい。
・
図27及び
図28に示すように、テラヘルツ素子20が取り付けられる基材としてリードフレーム60を用いてもよい。具体的には、リードフレーム60は、テラヘルツ素子20が取り付けられる取付ベース210と、取付ベース210と繋がる第1接続部211と、第1接続部211と絶縁された第2接続部212と、を有する構成でもよい。第1接続部211は、第1ワイヤW1を介して第1パッド33bと電気的に接続される。第2接続部212は、第2ワイヤW2を介して第2パッド34bと電気的に接続される。
【0167】
また、リードフレーム60は、第1接続部211から凹部52の開口縁の外側に沿って延びた第1湾曲部213と、第2接続部212から凹部52の開口縁の外側に沿って延びた第2湾曲部214と、を有していてもよい。
【0168】
また、本変更例では、
図28に示すように、テラヘルツ装置10は、取付ベース210及び両接続部211,212を上方から覆うカバー部材215を備えていてもよい。カバー部材215は、電磁波を透過する材料で形成されているとよく、たとえば誘電体で形成されているとよい。
【0169】
・
図29に示すように、凹部52は、アンテナ面53よりも拡径した拡径面221と、アンテナ面53と拡径面221との間に形成された段差面222と、を有してもよい。段差面222は、z方向に対して交差する面である。この構成において、反射膜223は、アンテナ面53と段差面222とに亘って形成されていてもよい。この場合、反射膜223とリードフレーム60とがz方向に離間しているため、両者の接触を抑制できる。
【0170】
・
図30に示すように、反射膜224は、アンテナ面53の一部の範囲に亘って形成されている構成でもよい。たとえば、反射膜224は、発振点P1よりも下方の部分に形成されていてもよい。また、反射膜224は、発振点P1に対して開口角度θ未満の角度に亘って形成されていてもよい。反射膜は、テラヘルツ素子20にて発生した電磁波の少なくとも一部を一方向に反射させることができればよい。
【0171】
・反射膜の形状は適宜変更可能である。たとえば、反射膜は、1つの膜に限られず、分離された複数のパーツで構成されていてもよい。たとえば、反射膜にスリットが形成されていてもよいし、孔が形成されていてもよい。
【0172】
・
図31に示すように、アンテナベース50は、取付裏面13側に設けられる構成でもよい。この場合、リードフレーム60と反射膜54との間に取付板11が介在するため、反射膜54とリードフレーム60との接触を回避できる。ただし、テラヘルツ素子20を収容空間A1内に収容できる点に鑑みれば、アンテナベース50は、取付主面12側に設けられている方がよい。
【0173】
・
図32に示すように、両リード対向面62,72は、y方向に対して傾斜していてもよい。この場合、隙間81は、y方向に対して傾斜して延びている。
この構成において、第2実施形態のように保護ダイオード131,132を設ける場合、第1保護ダイオード131の少なくとも一部は、第1内壁面64と第1リード対向面62との間に配置されていてもよい。同様に、第2保護ダイオード132の少なくとも一部は、第2内壁面74と第2リード対向面72との間に配置されていてもよい。
【0174】
・
図33に示すように、テラヘルツ素子20は、上方から見て発振点P1が反射膜54の中心点P2からずれた位置に配置されていてもよい。すなわち、反射膜54の焦点が発振点P1と一致していなくてもよい。
【0175】
・
図34に示すように、テラヘルツ装置10は、反射膜54とは別に設けられた反射部300を有する複反射鏡型でもよい。
具体的には、テラヘルツ装置10は、反射膜54とは別に反射部300を備えている。詳細には、取付主面12には反射用凸部301が形成されており、反射部300は、反射用凸部301の表面に形成された金属膜である。反射用凸部301が反射膜54に向けて凸となるように湾曲していることに対応させて、反射部300は、反射膜54に向けて凸となるように湾曲している。反射部300と反射膜54とは径方向に対向しており、反射部300によって反射された電磁波は、反射膜54に向けて照射される。
【0176】
本変更例のテラヘルツ素子20は、反射部300と対向する位置に配置されている。換言すれば、反射部300を有する基材としての取付板11は、テラヘルツ素子20に対して対向する位置に設けられている。
【0177】
テラヘルツ装置10は、たとえば取付柱302,303を備えている。取付柱302,303は、たとえば導電性材料で形成されている。取付柱302,303は、アンテナベース50および反射膜54を下方から貫通しており、収容空間A1内に入り込んでいる。テラヘルツ素子20は、取付柱302,303に取り付けられている。テラヘルツ素子20と取付柱302,303とは電気的に接続されている。
【0178】
テラヘルツ素子20は取付柱302,303に対して直接接合されていてもよいし、導電性接合部材を介して接合されていてもよい。また、取付柱302,303と反射膜54との接触を回避するために、取付柱302,303の側面に絶縁部(たとえば絶縁コーティング)が設けられていてもよい。なお、本変更例では取付柱302,303は2本設けられているが、取付柱302,303の数は任意である。
【0179】
本変更例のテラヘルツ装置10は、取付柱302,303と電気的に接続される電極304,305を備えている。電極304,305は、アンテナベース50におけるベース主面50aとは反対側のベース裏面50bに形成されており、取付柱302,303と接合されている。
【0180】
本変更例によれば、両電極304,305から電圧が印加されることにより、テラヘルツ素子20から電磁波が発生する。当該電磁波は、反射部300によって反射された後、反射膜54によって更に反射されて、一方向としての上方に向けて照射される。つまり、テラヘルツ素子20にて発生した電磁波は、反射部300を介して反射膜54に照射され、反射膜54によって更に反射される。
【0181】
すなわち、反射部300は、テラヘルツ素子20から発生した電磁波が入射されるものであって当該電磁波の少なくとも一部を反射するものであり、反射膜54は、反射部300によって反射された電磁波が入射されるものであって当該電磁波の少なくとも一部を一方向(上方)に向けて反射するものである。
【0182】
ここで、本変更例では、取付板11には、リードフレーム60および両ワイヤW1,W2は形成されていない。また、上方から見て、反射部300は、たとえばテラヘルツ素子20の投影範囲内に収まっているとよい。これにより、電磁波が遮断(ブロッキング)されることを抑制できる。
【0183】
ちなみに、
図34に示すように、反射膜54に形成され取付柱302,303が貫通する貫通孔306は、反射膜54と取付柱302,303とが接触しないように取付柱302,303よりも大きく形成されているとよい。なお、反射膜54のうち2つの取付柱302,303の間にある部分を省略してもよい。つまり、反射膜54は、上方から見て、中心部分が除去された環状となっていてもよい。また、反射部300は、テラヘルツ素子20に対して凹状となっていてもよい。具体的には、反射部300は、反射膜54とは反対方向(すなわち上方)に凹んだアンテナ形状となっていてもよい。つまり、反射部300は、カセグレンタイプでもよいし、グレゴリアンタイプでもよい。
【0184】
・アンテナベース50の形状は適宜変更可能である。たとえば、
図35に示すように、アンテナベース50は、コーナ部分が切り欠かれたドーム形状であってもよい。具体的には、本変更例のアンテナベース50は、ベース側面51a,51bとベース裏面50bとの間に形成された傾斜面311,312を有していてもよい。第1傾斜面311は、第1ベース側面51aとベース裏面50bとの双方に対して交差しており、第2傾斜面312は、第2ベース側面51bとベース裏面50bとの双方に対して交差している。
【0185】
この場合、第1電極94は、第1ベース側面51aと第1傾斜面311とベース裏面50bとに亘って形成され、第2電極101は、第2ベース側面51bと第2傾斜面312とベース裏面50bとに亘って形成されているとよい。
【0186】
・
図36に示すように、接着層90の内周端は、反射膜54の表面と面一となる位置に配置されていてもよい。つまり、接着層90は、反射膜54よりも内側(換言すればテラヘルツ素子20側)に向けてはみ出さないように構成されていてもよい。
【0187】
・また、
図37および
図38に示すように、接着層90の内周端は、反射膜54の表面よりもx方向およびy方向の外側(換言すればベース側面51側)に配置されていてもよい。たとえば、
図37に示すように、接着層90の内周端は、アンテナ面53と面一となる位置に配置されていてもよい。また、
図38に示すように、接着層90の内周端は、アンテナ面53のよりもx方向およびy方向の外側に配置されていてもよい。この場合、反射膜54の端54aとリードフレーム60との間には、接着層90が介在していない。つまり、接着層90が反射膜54とリードフレーム60との間に介在することは必須ではない。この場合であっても、接着層90の高さの分だけ、反射膜54とリードフレーム60とが離間するため、反射膜54とリードフレーム60との接触を抑制できる。
【0188】
・テラヘルツ装置10は、側面電極95,102を用いて配線パターン114と電気的に接続された状態で回路基板113に実装されてもよい。具体的には、側面電極95,102と配線パターン114とを接続する導電性接合部材115が設けられていてもよい。
【0189】
・リードフレーム60以外の導電部材を用いて電極94,101が構成されていてもよい。
・ベース側面51a,51bとベース主面50aとの間に傾斜面が設けられていてもよい。この場合、傾斜面がベース側面51a,51bとベース主面50aとのコーナ部分に対応する。
【0190】
・テラヘルツ素子20は、素子裏面22が反射膜54を向くように配置されていてもよい。すなわち、反射膜54は、テラヘルツ素子20に対して、素子主面21側ではなく、素子裏面22側に設けられていてもよい。
【0191】
・反射膜54は、電気的にフローティング状態でなくてもよい。
・ベース主面50aに反射膜54が形成されていてもよい。この場合、たとえばベース主面50aと対向する位置に反射低減膜が形成されているとよい。
【0192】
・収容空間A1内に存在する気体は空気に限られず任意に変更可能である。また、真空でもよい。
・アンテナベース50とリードフレーム60とは接着以外の手法でユニット化されていてもよい。
【0193】
・開口部80の形状は任意に変更可能であり、たとえば両パーツ開口部63,73のいずれか一方が省略されていてもよいし、両パーツ開口部63,73が反射膜54よりも小さくてもよい。
【0194】
・基材としての取付板11の形状は任意である。たとえば取付板11をリードフレーム60よりも肉厚に形成してもよい。
・電極94,101は、テラヘルツ装置10のz方向の中央部付近から延出されていてもよいし、中央部よりも下方から延出されてもよい。また、側面電極95,102は、第1ベース側面51aおよび第2ベース側面51bに設けられている構成に限られず、第3ベース側面51cおよび第4ベース側面51dに設けられていてもよい。
【0195】
換言すれば、両電極94,101は、アンテナベース50におけるx方向の両側に設けられていてもよいし、y方向の両側に設けられていてもよい。また、第1電極94は、第1ベース側面51aと第3ベース側面51cとに跨って形成されていてもよい。第2電極101についても同様である。
【0196】
・テラヘルツ素子20の具体的構成は適宜変更可能である。たとえば両パッド33b,34bの位置や大きさを変更してもよい。また、発振点P1が中心以外の位置にあってもよい。
【0197】
・テラヘルツ素子20は、電磁波を受信し、受信した電磁波を電気エネルギーに変換するものであってもよい。具体的には、テラヘルツ素子20は、たとえば発振点P1に対して開口角度θの範囲に亘る電磁波を受信する。この場合、発振点P1は、電磁波の受信を行う受信点といえる。
【0198】
この構成においては、反射膜は、入射された電磁波を、テラヘルツ素子20(好ましくは受信点)に向けて反射させるものであるとよい。これにより、テラヘルツ装置10の受信強度が高くなるため、受信に関する利得の向上を図ることができる。
【0199】
さらに、テラヘルツ素子20は、電磁波の発振および受信の両方を行うものであってもよい。つまり、発振点P1は、電磁波の発振及び受信の少なくとも一方を行う点でもよい。
【0200】
なお、テラヘルツ素子20が電磁波を受信するものである場合、上記変更例における反射部300は、反射膜54によって反射された電磁波をテラヘルツ素子20に向けて反射させる。この構成によれば、反射膜54によって反射された電磁波は、反射部300を介してテラヘルツ素子20に照射される。つまり、反射膜54は、入射された電磁波の少なくとも一部を反射部300に向けて反射するものであり、反射部300は、反射膜54によって反射された電磁波が入射され、当該電磁波の少なくとも一部をテラヘルツ素子20に向けて照射するものであるといえる。
【0201】
(第3実施形態)
図39~
図45は、本開示の第3実施形態にかかるテラヘルツ装置10を示している。第3実施形態のテラヘルツ装置10は、基材としての取付板11と、電磁波を発生させるテラヘルツ素子20と、アンテナベース50と、反射膜54と、電極および導電部材としてのリードフレーム60と、を備えている。
【0202】
図39及び
図40は、テラヘルツ装置10の斜視図である。
図41は、テラヘルツ装置10の上面図である。
図42は、
図41の4-4線端面図である。
図43は、アンテナベース50を取り外した場合におけるテラヘルツ装置10の下面図であり、テラヘルツ素子20およびリードフレーム60の正面図である。
【0203】
取付板11は、テラヘルツ素子20から発生する電磁波を透過する材料で形成されている。本実施形態では、取付板11は誘電体で形成されており、たとえばエポキシ樹脂などの合成樹脂またはSiなどの単結晶の真性半導体で形成されている。エポキシ樹脂としては、たとえばガラスエポキシ樹脂がある。ただし、取付板11の材料はこれに限られず任意であり、たとえばテフロン(登録商標)やガラスなどでもよい。取付板11は、絶縁性を有している。
【0204】
取付板11は、たとえば矩形板状である。なお、説明の便宜上、取付板11の厚さ方向をz方向とする。また、z方向に直交し、かつ、互いに直交する2方向を、x方向およびy方向とする。
【0205】
図41および
図42に示すように、取付板11は、取付板11の厚さ方向に交差する板面として取付主面12及び取付裏面13を有している。取付主面12および取付裏面13は、矩形状の平面である。取付主面12および取付裏面13は、x方向およびy方向に延びており、z方向に離間している。取付主面12および取付裏面13の形状は、矩形状に限定されず、円形状、楕円形状あるいは多角形状でもよい。説明の便宜上、本実施形態において、z方向において取付裏面13から離れる方向を「上方」とし、z方向において取付主面12から離れる方向を「下方」とする。
【0206】
図43に示すように、本実施形態の取付板11は、x方向の両端面である一対の第1板側面14と、y方向の両端面である一対の第2板側面15と、を有している。一対の第1板側面14は、x方向に対して交差する面であり、本実施形態ではx方向に対して直交している。一対の第2板側面15は、y方向に対して交差する面であり、本実施形態ではy方向に対して直交している。第1板側面14と第2板側面15とは互いに直交している。
【0207】
テラヘルツ素子20は、テラヘルツ帯の電磁波と電気エネルギーとの変換を行う素子である。なお、電磁波とは、光および電波のいずれか一方あるいは両方の概念を含むものとしている。テラヘルツ素子20は、入力される電気エネルギーをテラヘルツ帯の電磁波に変換する。これにより、テラヘルツ素子20は、電磁波(換言すればテラヘルツ波)を発振する。テラヘルツ素子20が発生させる電磁波の周波数は、たとえば0.1Thz~10Thzである。
【0208】
図43に示すように、テラヘルツ素子20は、z方向から見て(以下、「平面視」ともいう。)矩形の板状である。本実施形態では、テラヘルツ素子20は平面視で正方形である。なお、テラヘルツ素子20の平面視形状は、矩形状に限定されず、円形状、楕円形状あるいは多角形状であってもよい。
【0209】
テラヘルツ素子20は、素子主面21および素子裏面22を有している。素子主面21および素子裏面22は、z方向に対して交差する面であり、本実施形態ではz方向に対して直交している。素子主面21および素子裏面22は、z方向から見て矩形状であり、たとえば正方形状である。ただし、素子主面21および素子裏面22の形状はこれに限定されず任意である。
【0210】
図42に示すように、本実施形態のテラヘルツ素子20は、素子裏面22が取付主面12に対して接触または中間層を介して対向している状態で取付板11に取り付けられている。つまり、取付板11は、テラヘルツ素子20が取り付けられるものである。テラヘルツ素子20は、取付板11に実装されている。
【0211】
テラヘルツ素子20は、x方向の両端面である一対の第1素子側面23と、y方向の両端面である一対の第2素子側面24と、を有している。一対の第1素子側面23は、x方向に対して交差する面であり、本実施形態ではx方向に対して直交している。一対の第2素子側面24は、y方向に対して交差する面であり、本実施形態ではy方向に対して直交している。第1素子側面23と第2素子側面24とは互いに直交している。
【0212】
図44および
図45は、テラヘルツ素子20の詳細な構成の一例を示している。
図44は、テラヘルツ素子20の断面の模式図の一例である。
図45は、
図44の部分拡大図である。
【0213】
図44および
図45に示すように、テラヘルツ素子20は、素子基板31と、能動素子32と、第1導電体層33と、第2導電体層34と、を備えている。
素子基板31は、半導体よりなり、半絶縁性を有する。素子基板31を構成する半導体は、たとえば、InP(リン化インジウム)であるが、InP以外の半導体であってもよい。素子基板31がInPである場合、その屈折率(絶対屈折率)は、約3.4である。本実施形態では、素子基板31は矩形板状であり、たとえば平面視で正方形状である。素子主面21および素子裏面22は素子基板31の主面および裏面であり、両素子側面23,24は素子基板31の側面である。
【0214】
能動素子32は、テラヘルツ帯の電磁波と電気エネルギーとの変換を行う。能動素子32は、素子基板31に形成されている。能動素子32は、典型的には共鳴トンネルダイオード(RTD:Resonant Tunneling Diode)である。
【0215】
能動素子32としては、たとえば、タンネット(TUNNETT:Tunnel injection Transit Time)ダイオード、インパット(IMPATT:Impact Ionization Avalanche Transit Time)ダイオード、GaAs系電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、GaN系FET、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)、あるいは、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)であってもよい。
【0216】
能動素子32を実現するための一例を説明する。
素子基板31上には、半導体層41aが形成されている。半導体層41aは、たとえばGaInAsによって形成されている。半導体層41aには、n型不純物が高濃度にドープされている。
【0217】
半導体層41a上には、GaInAs層42aが積層されている。GaInAs層42aには、n型不純物がドープされている。たとえば、GaInAs層42aの不純物濃度は、半導体層41aの不純物濃度よりも低い。
【0218】
GaInAs層42a上には、GaInAs層43aが積層されている。GaInAs層43aには、不純物がドープされていない。
GaInAs層43a上には、AlAs層44aが積層されており、AlAs層44a上にはInGaAs層45が積層されており、InGaAs層45上にはAlAs層44bが積層されている。これらAlAs層44aとInGaAs層45とAlAs層44bとによってRTD部が構成されている。
【0219】
AlAs層44b上には、不純物がドープされていないGaInAs層43bが積層されている。GaInAs層43b上には、n型不純物がドープされているGaInAs層42bが積層されている。GaInAs層42b上には、GaInAs層41bが積層されている。GaInAs層41bには、n型不純物が高濃度にドープされている。たとえば、GaInAs層41bの不純物濃度は、GaInAs層42bの不純物濃度よりも高い。
【0220】
なお、能動素子32の具体的構成は、電磁波を発生(あるいは受信およびその両方)可能なものであれば任意である。換言すれば、能動素子32は、テラヘルツ帯の電磁波に対して発振するものであればよいともいえる。
【0221】
図43に示すように、テラヘルツ素子20は、電磁波の発振を行う発振点P1を有している。発振点P1は、素子主面21に形成されている。発振点P1がある素子主面21は能動面ともいえる。また、発振点P1は、能動素子32が設けられている位置ともいえる。
【0222】
本実施形態の発振点P1(能動素子32)は、素子主面21の中心に配置されている。ただし、発振点P1の位置、換言すれば素子主面21に対する能動素子32の位置は、素子主面21の中心に限られず任意である。
【0223】
本実施形態において、第1素子側面23と発振点P1との第1垂直距離x1は、(λ’InP/2)+((λ’InP/2)×N)であるとよい(Nは0以上の整数:N=0,1,2,3,・・・)。
【0224】
λ’InPは、テラヘルツ素子20の内部を伝達する電磁波の実効的な波長である。テラヘルツ素子20(素子基板31)の屈折率をn1、cを光速、fcを電磁波の中心周波数としたとき、λ’InPは、(1/n1)×(c/fc)である。第1垂直距離x1を上記のように設定することで、テラヘルツ素子20から発振された電磁波は、第1素子側面23で自由端反射する。よって、テラヘルツ素子20自体が、テラヘルツ装置10における共振器(1次共振器)として設計されている。
【0225】
同様に、第2素子側面24と発振点P1との第2垂直距離y1は、(λ’InP/2)+((λ’InP/2)×N)であるとよい(Nは0以上の整数:N=0,1,2,3,・・・)。
【0226】
なお、垂直距離x1,y1は、各々が上記計算式によって算出される値であれば、素子側面23,24ごとに異なる値であってもよい。また、
図43において、右側にある第1素子側面23と発振点P1との第1垂直距離x1と、左側にある第1素子側面23と発振点P1との第1垂直距離x1とが異なっていてもよい。同様に、
図43において、上側にある第2素子側面24と発振点P1との第2垂直距離y1と、下側にある第2素子側面24と発振点P1との第2垂直距離y1とが異なっていてもよい。
【0227】
テラヘルツ素子20のz方向寸法は、たとえば、発振する電磁波の周波数に応じて設計されているとよい。具体的には、テラヘルツ素子20のz方向寸法は、電磁波の波長λの1/2倍(すなわち、λ/2)の整数倍である。素子基板31と空気との界面においては、電磁波が自由端反射する。よって、テラヘルツ素子20のz方向寸法を上記のように設定することで、位相を揃えた定在波をテラヘルツ素子20の内部で励起させることができる。なお、テラヘルツ素子20のz方向寸法は、電磁波の周波数が高いほど、z方向寸法は小さくなり、電磁波の周波数が低いほど、z方向寸法は大きくなる。
【0228】
なお、テラヘルツ素子20の構成は、上記したものに限定されない。たとえば、素子基板31の能動素子32が配置された素子主面21とは反対側の素子裏面22に、裏面反射体金属層を配置してもよい。この場合、能動素子32から放射された電磁波(電磁波)は、当該裏面反射体金属層に反射される。
【0229】
裏面反射体金属層を配置する場合は、素子基板31と裏面反射体金属層との界面において、電磁波が固定端反射するので、位相がπずれる。よって、この場合、テラヘルツ素子20のz方向寸法は、電磁波の波長λとして、(λ/4)+(λ/2の整数倍)に設計するとよい。
【0230】
本実施形態では、発振点P1から発生する電磁波は指向性を有する。
図42に示すように、発振点P1から発生する電磁波は、開口角度θの範囲に亘って放射状に照射される。開口角度θは、たとえば120°~180°である。ただし、開口角度θについてはこれに限られず任意である。
【0231】
第1導電体層33および第2導電体層34はそれぞれ、素子主面21上に形成されている。第1導電体層33および第2導電体層34は互いに絶縁されている。第1導電体層33および第2導電体層34はそれぞれ、金属の積層構造を有する。第1導電体層33および第2導電体層34の各々の積層構造は、たとえばAu(金)、Pd(パラジウム)およびTi(チタン)が積層された構造である。あるいは、第1導電体層33および第2導電体層34の各々の積層構造は、AuおよびTiが積層された構造である。第1導電体層33および第2導電体層34はいずれも、真空蒸着法あるいはスパッタリング法などによって形成される。
【0232】
図44に示すように、本実施形態では、能動素子32に対してx方向の両側に、第1導電体層33の一部および第2導電体層34の一部が配置されている。第1導電体層33は、能動素子32に対してz方向に重なる第1接続領域33aを有している。第1接続領域33aは、GaInAs層41b上に位置しており、GaInAs層41bに接している。
【0233】
また、半導体層41aは、GaInAs層42a等の他の層よりも第2導電体層34に向けてx方向に延びている。第2導電体層34は、半導体層41aのうちGaInAs層42a等が積層されていない部分に積層された第2接続領域34aを有している。これにより、能動素子32が第1導電体層33および第2導電体層34に導通している。なお、第2接続領域34aとGaInAs層42a等の他の層とはx方向に離間している。
【0234】
図示は省略するが、
図45とは異なり、n型不純物を高濃度にドープされたGaInAs層が、GaInAs層41bと第1接続領域33aとの間に介在していてもよい。これにより、第1導電体層33とGaInAs層41bとのコンタクトが良好になりうる。
【0235】
図43に示すように、第1導電体層33の一部および第2導電体層34の一部が、ダイポールアンテナを構成している。すなわち、テラヘルツ素子20は、第1導電体層33の一部および第2導電体層34の一部によって、素子主面21側においてアンテナが集積化されている。なお、ダイポールアンテナに限定されず、スロットアンテナ、ボータイアンテナあるいはリングアンテナなどの他のアンテナであってもよい。また、アンテナがなくてもよい。
【0236】
また、本実施形態のテラヘルツ素子20は、MIM(Metal Insulator Metal)リフレクタ35を有している。MIMリフレクタ35は、第1導電体層33の一部と第2導電体層34の一部とが絶縁体をz方向に挟み込むことによって構成されている。MIMリフレクタ35は、第1導電体層33の一部と第2導電体層34の一部とを高周波的に短絡させるものである。MIMリフレクタ35は、高周波の電磁波を反射させることができる。ただし、MIMリフレクタ35は必須ではなく、MIMリフレクタ35を省略してもよい。
【0237】
図43に示すように、第1導電体層33は第1パッド33bを有しており、第2導電体層34は第2パッド34bを有している。第1パッド33b及び第2パッド34bは、x方向に離間しており、互いに絶縁されている。
【0238】
図40に示すように、アンテナベース50は、たとえば全体として直方体形状である。アンテナベース50は、たとえば絶縁性材料で形成されている。具体的には、アンテナベース50は、誘電体で形成されており、たとえばエポキシ樹脂などの合成樹脂により形成されている。エポキシ樹脂としては、たとえばガラスエポキシ樹脂がある。ただし、アンテナベース50の材料はこれに限られず任意であり、たとえばSi、テフロン、ガラスなどでもよい。
【0239】
アンテナベース50は、取付板11に対して取付裏面13側とは反対側の取付主面12側に設けられている。アンテナベース50は、取付板11と対向する位置に設けられている。具体的には、アンテナベース50は、リードフレーム60を介して取付板11とz方向に対向している。z方向は、アンテナベース50と取付板11との対向方向とも言える。
【0240】
アンテナベース50は、取付主面12に対して対向するベース主面50aと、ベース主面50aとは反対側のベース裏面50bと、ベース側面51と、を有している。
ベース主面50aおよびベース裏面50bは、z方向に対して交差する面であり、本実施形態ではz方向に対して直交している。ベース主面50aおよびベース裏面50bはたとえば矩形状(たとえば正方形状)である。ベース裏面50bがテラヘルツ装置10の底面を構成している。
【0241】
本実施形態では、ベース側面51は、テラヘルツ装置10(アンテナベース50)において側方を向く面である。ベース側面51は、アンテナベース50においてベース主面50aとベース裏面50bとの対向方向に対して直交する方向の端面ともいえる。ベース側面51は、ベース主面50aとベース裏面50bとを繋いでいる。
【0242】
本実施形態のベース側面51は4つ設けられている。具体的には、ベース側面51は、アンテナベース50におけるx方向の両端面である第1ベース側面51aおよび第2ベース側面51bと、アンテナベース50におけるy方向の両端面である第3ベース側面51cおよび第4ベース側面51dと、を有している。第1ベース側面51aおよび第2ベース側面51bは、x方向に対して交差する面であり、本実施形態ではx方向に対して直交している。第3ベース側面51cおよび第4ベース側面51dは、y方向に対して交差する面であり、本実施形態ではy方向に対して直交している。第1ベース側面51aおよび第2ベース側面51bと、第3ベース側面51cおよび第4ベース側面51dとは、互いに直交している。
【0243】
アンテナベース50には、ベース主面50aに対して取付主面12から離れる方向に凹んだ凹部52が形成されている。凹部52は、ベース主面50aから取付主面12とは離れる方向、すなわち下方に凹んでいる。本実施形態では、凹部52は、全体として半球状に形成されている。凹部52内には、空気が装填されている。
【0244】
凹部52は、上方に向けて開口している。凹部52の開口は、z方向から見て円状である。凹部52の開口は、取付板11によって塞がれている。本実施形態では、テラヘルツ素子20は凹部52内に収容されている。
【0245】
凹部52は、アンテナ面53を有している。アンテナ面53は、たとえば下方に向けて凸となった湾曲面である。アンテナ面53は、アンテナ形状に対応させて形成されている。たとえば、アンテナ面53は、パラボラアンテナ形状となるように湾曲している。アンテナ面53は、上方から見て円形状である。
【0246】
図42に示すように、反射膜54は、アンテナ面53上に形成されている。反射膜54は、テラヘルツ素子20から発生する電磁波を反射する材料で形成されており、たとえばCuなどの金属で形成されている。本実施形態では、反射膜54は、アンテナ面53の全体に亘って形成されている。一方、反射膜54は、ベース主面50aには形成されていない。
【0247】
反射膜54は、テラヘルツ素子20からの電磁波の少なくとも一部を一方向に反射させるものである。本実施形態では、反射膜54は、テラヘルツ素子20からの電磁波をz方向(具体的には上方)に向けて反射させる。換言すれば、反射膜54は、開口角度θの範囲に亘って放射状に照射される電磁波を一方向にガイドするものともいえる。
【0248】
具体的には、反射膜54はアンテナ形状となっている。本実施形態では、アンテナ面53がアンテナ形状に対応させて湾曲しているため、アンテナ面53上に形成される反射膜54は自ずとアンテナ形状となる。本実施形態では、反射膜54は、パラボラアンテナ形状となっている。換言すれば、反射膜54は、回転放物面鏡となっている。反射膜54は、z方向から見て円形状となっている。
【0249】
反射膜54と取付板11とはz方向に対向している。換言すれば、取付板11は、反射膜54に対して対向する位置、本実施形態では反射膜54の上方に設けられている。このため、反射膜54によって反射された電磁波は取付板11を透過して上方に照射される。
【0250】
反射膜54は、素子裏面22ではなく、発振点P1が存在する素子主面21側に配置されており、テラヘルツ素子20(本実施形態では素子主面21)と対向している。反射膜54は、たとえば当該反射膜54の焦点が発振点P1となるように配置されている。本実施形態では、z方向から見て、反射膜54の中心点P2と発振点P1とは一致している。本実施形態では、中心点P2はz方向から見た円形の反射膜54の中心である。
【0251】
また、発振点P1から反射膜54までの垂直距離を規定距離z1とし、反射膜54のz方向の座標をZとし、反射膜54のx方向の位置をXとすると、Z=(1/(4z1))X2の条件を満たすようにアンテナ面53が湾曲しているとよい。ただし、アンテナ面53の湾曲態様はこれに限られず任意である。
【0252】
z方向は、反射膜54とテラヘルツ素子20(素子主面21)との対向方向ともいえるし、テラヘルツ装置10の電磁波の出力方向ともいえる。また、z方向は、反射膜54の中心点P2と発振点P1との対向方向ともいえ、規定距離z1は、発振点P1と中心点P2との間の距離ともいえる。
【0253】
また、反射膜54は、テラヘルツ素子20から発生する電磁波が共振するように、当該電磁波の周波数に対応する位置に配置されている。具体的には、規定距離z1は、テラヘルツ素子20から発生する電磁波の共振条件を満たすように、たとえば(λ’A/4)+((λ’A/2)×N)(ただし、Nは0以上の整数)であるとよい。λ’Aは、(1/nA)(c/fc)(c:光速,fc:発振の中心周波数)である。nAは、発振点P1と反射膜54との間に介在する物体の屈折率である。たとえば、両者の間に空気が存在している場合には、nAは「1」である。fcは、テラヘルツ素子20の目標周波数ともいえるし、テラヘルツ素子20から発生する電磁波のうち最も出力が大きい周波数でもよい。
【0254】
z方向から見て、x方向またはy方向における反射膜54の端から端までの距離を反射膜54の開口幅という。本実施形態では、反射膜54はアンテナ面53の全体に亘って形成されているため、反射膜54の開口幅は、凹部52の開口幅と一致している。なお、凹部52の開口幅は、円状に形成された凹部52の開口の直径ともいえる。
【0255】
反射膜54は、たとえば発振点P1に対して開口角度θ以上の角度に亘って形成されている。具体的には、アンテナ面53は、発振点P1を中心とした場合に開口角度θ以上の角度に亘って形成されている。そして、既に説明したとおり、本実施形態の反射膜54はアンテナ面53の全体に亘って形成されている。本実施形態では、発振点P1に対して反射膜54が形成されている角度は180°よりも大きくなっている。このため、本実施形態では、発振点P1から開口角度θの範囲内で照射された電磁波は全て反射膜54によって反射される。
【0256】
ここで、本実施形態では、アンテナベース50のz方向の長さは、取付板11のz方向の長さである取付板11の厚さよりも大きい。また、アンテナベース50のx方向の長さは、取付板11のx方向の長さと同一に設定されている。アンテナベース50のy方向の長さは、取付板11のy方向の長さと同一に設定されている。ただし、アンテナベース50と取付板11との長さの関係は任意である。
【0257】
図42および
図43に示すように、リードフレーム60は、取付板11の取付主面12に取り付けられている。リードフレーム60と取付板11とは密着して接合されており、両者は位置ずれしないように固定されている。
【0258】
リードフレーム60は、たとえばz方向を厚さ方向とする矩形板状である。本実施形態のリードフレーム60は、取付板11よりも厚く形成されている。換言すれば、本実施形態の取付板11は、リードフレーム60よりも薄く形成されている。
【0259】
リードフレーム60は、互いに絶縁された第1リードパーツ61および第2リードパーツ71を有している。第1リードパーツ61および第2リードパーツ71は、たとえばx方向に離間して対向配置されており、互いに離間してx方向に対向している第1リード対向面62および第2リード対向面72を有している。本実施形態の両リード対向面62,72は、x方向に対して直交している。本実施形態では、第1リードパーツ61および第2リードパーツ71が「第1導電部」および「第2導電部」に対応する。
【0260】
第1リードパーツ61および第2リードパーツ71は、z方向から見て、取付板11よりも側方、本実施形態ではx方向にはみ出している。一方、両リードパーツ61,71のy方向の長さは、取付板11のy方向の長さよりも若干短く設定されており、たとえばアンテナベース50のy方向の長さと同一に設定されている。このため、本実施形態のリードフレーム60は、取付板11に対してy方向にはみ出しにくくなっている。
【0261】
リードフレーム60は、z方向から見て反射膜54(凹部52)と重ならないように避けて形成されている。具体的には、リードフレーム60には、z方向から見て反射膜54の少なくとも一部と重なる開口部80が形成されている。
【0262】
開口部80は、たとえば両リードパーツ61,71の間に設けられている隙間81と、第1リードパーツ61に形成された第1パーツ開口部63と、第2リードパーツ71に形成された第2パーツ開口部73と、によって構成されている。
【0263】
隙間81は、y方向に延びたスリット状であり、両リード対向面62,72間の空間と、両パーツ開口部63,73間の空間とを含む。
第1パーツ開口部63は、第1リードパーツ61のうちz方向から見て反射膜54と重なる部分に形成されている。第2パーツ開口部73は、第2リードパーツ71のうちz方向から見て反射膜54と重なる部分に形成されている。
【0264】
第1パーツ開口部63および第2パーツ開口部73は、z方向に貫通しており、凹部52と連通している。第1パーツ開口部63および第2パーツ開口部73は互いに隙間81を介してx方向に離間して対向配置されている。両パーツ開口部63,73はx方向に開口している。第1パーツ開口部63は、第2リードパーツ71に向けて開口しており、第2パーツ開口部73は、第1リードパーツ61に向けて開口している。このため、両パーツ開口部63,73は隙間81と連通している。
【0265】
第1パーツ開口部63および第2パーツ開口部73はそれぞれ、z方向から見て半円状に形成されている。第1パーツ開口部63および第2パーツ開口部73によって1つの円状の孔が形成されている。テラヘルツ素子20は、両パーツ開口部63,73によって形成される円の中心に配置されているともいえる。なお、両パーツ開口部63,73によって形成される円の直径は、たとえば反射膜54の開口幅と同一またはそれ以上であるとよい。
【0266】
第1リードパーツ61は、第1パーツ開口部63の内壁面である第1内壁面64を有している。第1内壁面64は、第1リード対向面62に対して第2リード対向面72とは離れる方向に凹んだ凹面である。
【0267】
第2リードパーツ71は、第2パーツ開口部73の内壁面である第2内壁面74を有している。第2内壁面74は、第2リード対向面72に対して第1リード対向面62とは離れる方向に凹んだ凹面である。
【0268】
第1内壁面64および第2内壁面74は、互いに離れる方向に凸となるように湾曲している。両内壁面64,74は、たとえば両リードパーツ61,71が反射膜54と重ならないように反射膜54の端54a、すなわち凹部52の開口縁の外側に沿って延びている。
【0269】
図43に示すように、本実施形態の第1リードパーツ61は、テラヘルツ素子20と電気的に接続するための第1接続部65を有している。本実施形態の第1接続部65は、第1リードパーツ61におけるz方向から見て凹部52(換言すれば反射膜54)と重ならない部分からテラヘルツ素子20に向けて突出している部分である。具体的には、第1接続部65は、第1内壁面64からテラヘルツ素子20に向けて突出した突出片である。第1接続部65は、z方向から見て反射膜54と重なっている。第1接続部65と第1パッド33bとが第1ワイヤW1によって接続されている。これにより、第1リードパーツ61とテラヘルツ素子20とが電気的に接続される。
【0270】
本実施形態では、第1接続部65の第1内壁面64からの突出寸法は、z方向から見た第1ワイヤW1の長さよりも短い。上記突出寸法は、たとえば反射膜54の開口幅の1/4よりも短い。
【0271】
同様に、本実施形態の第2リードパーツ71は、テラヘルツ素子20と電気的に接続するための第2接続部75を有している。本実施形態の第2接続部75は、第2リードパーツ71におけるz方向から見て凹部52(換言すれば反射膜54)と重ならない部分からテラヘルツ素子20に向けて突出している部分である。具体的には、第2接続部75は、第2内壁面74からテラヘルツ素子20に向けて突出した突出片である。第2接続部75は、z方向から見て凹部52(換言すれば反射膜54)と重なっている。第2接続部75と第2パッド34bとが第2ワイヤW2によって接続されている。これにより、第2リードパーツ71とテラヘルツ素子20とが電気的に接続される。
【0272】
本実施形態では、第2接続部75の第2内壁面74からの突出寸法は、z方向から見た第2ワイヤW2の長さよりも短い。上記突出寸法は、たとえば反射膜54の開口幅の1/4よりも短い。
【0273】
本実施形態では、第1接続部65と第2接続部75とは、テラヘルツ素子20を介して対向配置されている。たとえば、両接続部65,75は、x方向に対称配置されている。換言すれば、両接続部65,75は、z方向から見て、180°ずれた位置に配置されている。
【0274】
図42に示すように、テラヘルツ装置10は、アンテナベース50とリードフレーム60とを接着させる接着層90を有している。接着層90は、たとえば絶縁性材料で形成されており、たとえば樹脂系の接着剤で構成されている。接着層90は、アンテナベース50のベース主面50aとリードフレーム60との間に設けられている。アンテナベース50は、接着層90によってリードフレーム60に接着している。これにより、取付板11、リードフレーム60およびアンテナベース50がユニット化されている。すなわち、基材としての取付板11とアンテナベース50とが位置ずれしないようにユニット化されることによって、取付板11に取り付けられているテラヘルツ素子20と、アンテナベース50に形成されている反射膜54とが位置ずれしないようにユニット化される。
【0275】
接着層90は、反射膜54とリードフレーム60との間に介在している。接着層90によって、反射膜54とリードフレーム60とが電気的に接続されないように規制されている。以上のとおり、反射膜54は、アンテナベース50およびリードフレーム60の双方に対して電気的に接続されておらず、電気的にフローティング状態となっている。
【0276】
特に、本実施形態では、接着層90の内周端は、反射膜54よりも内側(換言すればテラヘルツ素子20側)に向けてはみ出している。このため、接着層90を回避して反射膜54とリードフレーム60とが接触する事態が生じにくい。接着層90の内周端とは、接着層90におけるテラヘルツ素子20側の端といえる。接着層90の内周端は、たとえば凹部52に対応させてz方向から見て円形状となっている。ただし、接着層90の内周端の形状は任意であり、矩形状であってもよい。
【0277】
テラヘルツ素子20および反射膜54は、取付板11と凹部52とによって区画された収容空間A1内に収容されているといえる。本実施形態では、収容空間A1は、取付主面12とアンテナ面53とによって区画された空間である。本実施形態の収容空間A1は接着層90等によって密閉されており、当該収容空間A1内には空気が存在する。
【0278】
図41~
図43に示すように、テラヘルツ装置10は、外部との電気的接続に用いられる第1電極91および第2電極92を備えている。本実施形態では、第1電極91および第2電極92は、リードフレーム60によって構成されている。
【0279】
すなわち、本実施形態では、第1リードパーツ61の一部および第2リードパーツ71の一部がアンテナベース50に対して側方に突出している。第1電極91は、第1リードパーツ61のうちアンテナベース50に対して側方に突出している部分によって構成されている。第1電極91は、第1ベース側面51aから突出している。
【0280】
同様に、第2電極92は、第2リードパーツ71のうちアンテナベース50に対して側方に突出している部分によって構成されている。第2電極92は、第2ベース側面51bから突出している。
【0281】
本実施形態では、第1電極91および第2電極92は、互いにx方向に離間している。第1電極91および第2電極92は、アンテナベース50に対して互いに離れる方向に延びており、本実施形態ではx方向に延びている。第1電極91および第2電極92は、z方向に対して直交している。換言すれば、第1電極91および第2電極92は水平方向に延びた平板である。
【0282】
ここで、既に説明したとおり、アンテナベース50のz方向の長さは、取付板11の厚さよりも大きい。また、アンテナベース50のz方向の長さは、取付板11の厚さとリードフレーム60の厚さとを合わせた寸法よりも大きい。アンテナベース50と取付板11との間に設けられているリードフレーム60は、テラヘルツ装置10において上方側に配置されている。このため、リードフレーム60の一部によって構成されている第1電極91および第2電極92は、テラヘルツ装置10において上方側に配置されている。
【0283】
つまり、z方向をテラヘルツ装置10の厚さ方向とすると、第1電極91および第2電極92は、テラヘルツ装置10の厚さ方向の中央部よりも上方(換言すれば取付板11側または電磁波の出力側)に偏倚して配置されている。換言すれば、電極91,92は、ベース側面51a,51bにおける中央部よりもベース主面50a側の部分から側方に向けて突出している。なお、突出方向は、ベース側面51a,51bに対して直交する方向に限られず、傾斜していてもよい。
【0284】
次に本実施形態のテラヘルツ装置10の製造方法について説明する。なお、説明の便宜上、まずは1つのテラヘルツ装置10の製造方法について説明する。
図46に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、リードフレーム60を成型する工程を含む。当該工程では、第1パーツ開口部63および第1接続部65が形成された第1リードパーツ61と、第2パーツ開口部73および第2接続部75が形成された第2リードパーツ71とを形成する。
【0285】
図47に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、取付板11を成型する工程を含む。当該工程では、両リードパーツ61,71に跨るように取付板11を成型する。なお、取付板11の具体的な成型手法については任意である。
【0286】
その後、
図48に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、テラヘルツ素子20を取付板11に取り付ける工程を含む。当該工程では、テラヘルツ素子20を、取付板11のうちリードフレーム60が設けられている側の面に実装する。これにより、リードフレーム60、取付板11およびテラヘルツ素子20がユニット化される。
【0287】
図49に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、両ワイヤW1,W2を用いてテラヘルツ素子20と両リードパーツ61,71とを電気的に接続する工程を含む。当該工程では、第1ワイヤW1を第1パッド33bと第1リードパーツ61とにボンディングするとともに、第2ワイヤW2を第2パッド34bと第2リードパーツ71とにボンディングする。なお、ボンディングの順序については任意である。
【0288】
図50に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、アンテナベース50における凹部52を形成する工程を含む。当該工程では、アンテナ面53に対応させて形成された金型を用いてアンテナ面53を有する凹部52を形成する。
【0289】
図51に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、凹部52が形成された後に実行され、反射膜54を構成する金属膜を形成する工程を含む。当該工程では、ベース主面50aおよびアンテナ面53の双方に対して金属膜を形成する。
【0290】
図52に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、ベース主面50aに形成された金属膜を除去する工程を含む。当該ベース主面50aの金属膜を除去する具体的手法は任意であるが、たとえばパターニングによって除去する手法でもよいし、研磨によって除去する手法でもよい。これにより、アンテナ面53にのみ反射膜54としての金属膜が形成される。
【0291】
なお、金属膜を形成する工程としては、上記の工程に限られない。たとえば、テラヘルツ装置10の製造方法は、ベース主面50aをマスキングする工程と、電子ビームを用いた蒸着等によって金属膜をアンテナ面53に形成する工程と、を有する構成でもよい。この場合、ベース主面50aに形成された金属膜を除去する工程が不要となる。
【0292】
図53に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、リードフレーム60、取付板11およびテラヘルツ素子20のユニット体と、反射膜54が形成されたアンテナベース50とを組み付ける工程を含む。当該工程では、接着層90を用いてアンテナベース50とリードフレーム60とを接着させる。これにより、テラヘルツ装置10が形成される。
【0293】
なお、説明の便宜上、1つのテラヘルツ装置10の製造方法について説明したが、実際には複数のテラヘルツ装置10を同時に製造してもよい。
たとえば、
図54に示すように、複数のリードフレーム60を構成するものであって開口部80となる部分が打ち抜かれた金属板104を用意し、当該金属板104に複数の取付板11及び複数のテラヘルツ素子20を取り付ける。金属板104には、リードフレーム60のy方向の端部に沿って打ち抜かれた第1貫通孔104aが形成されている。第1貫通孔104aは、たとえば両電極91,92の分だけ取付板11よりもx方向の両側に長く延びたスリット形状である。
【0294】
一方で、
図55に示すように、凹部52および反射膜54が複数配列されたベース体105を用意する。ベース体105には、リードフレーム60を露出したい部分に対応させて第2貫通孔105aが形成されている。第2貫通孔105aは、金属板104とベース体105とが貼り合わせた場合において電極91,92と対向する部分に形成されている。そして、取付板11およびテラヘルツ素子20が取り付けられた金属板104とベース体105とを位置合わせをした状態で接着剤を用いて貼り合わせた後に、ダイシングによって切断する。これにより、複数のテラヘルツ装置10が製造される。
【0295】
ここで、金属板104とベース体105とを貼り合わせる際には、金属板104に形成された第1位置決め部104bと、ベース体105に形成された第2位置決め部105bとが重なるように金属板104とベース体105との位置決めを行うとよい。
【0296】
次に本実施形態の作用について説明する。
テラヘルツ素子20の発振点P1から発生した電磁波は、反射膜54によって反射されて一方向に向けて照射される。
【0297】
また、テラヘルツ装置10の両電極91,92は、z方向から見てアンテナベース50に対して側方に突出している。このため、
図56に示すように、テラヘルツ装置10は、回路基板110に設けられた孔116にアンテナベース50を挿入した状態で回路基板110に取り付けることができる。この場合、たとえば半田等の導電性接合部材117を用いて両電極91,92を回路基板110に対して接合できる。
【0298】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(3-1)テラヘルツ装置10は、基材としての取付板11と、取付板11に取り付けられたテラヘルツ素子20と、取付板11と対向する位置に設けられ、アンテナ面53を有するアンテナベース50と、アンテナ面53に形成された反射膜54と、を備えている。反射膜54は、テラヘルツ素子20から発生した電磁波の少なくとも一部を一方向(たとえば上方)に向けて反射させる。この構成によれば、テラヘルツ素子から発生した電磁波が一方向に向けて照射される。これにより、テラヘルツ装置10から照射される電磁波の出力を高くすることができる。したがって、テラヘルツ装置10の利得の向上を図ることができる。
【0299】
(3-2)テラヘルツ装置10は、外部との電気的接続に用いられる電極として第1電極91および第2電極92を備えている。両電極91,92は、取付板11とアンテナベース50との対向方向であるz方向から見て、アンテナベース50に対して側方に突出している。この構成によれば、回路基板110に設けられた孔116にアンテナベース50を挿入した状態で回路基板110に実装することができる。これにより、テラヘルツ装置10が回路基板110に実装される際にテラヘルツ装置10が回路基板110からz方向に突出することを抑制でき、低背化を図ることができる。
【0300】
すなわち、テラヘルツ装置10が反射膜54を有するアンテナベース50を備えることにより、利得の向上を図ることができる一方、アンテナベース50の分だけテラヘルツ装置10がz方向に大きくなる。このため、回路基板110に実装する際にテラヘルツ装置10が邪魔になり易いという不都合が懸念される。
【0301】
これに対して、両電極91,92が側方に突出している構成であれば、上記のようにアンテナベース50を孔116に挿入した状態でテラヘルツ装置10を回路基板110に実装できる。具体的には、電極91,92が回路基板110と接触する位置までアンテナベース50を孔116に挿入できる。これにより、テラヘルツ装置10の回路基板110からの突出量を低減できるため、アンテナベース50を備えていることによる上記不都合を抑制できる。
【0302】
(3-3)電極91,92は、テラヘルツ装置10のz方向の中央部よりも取付板11側に偏倚して配置されている。この構成によれば、孔116に挿入されるアンテナベース50の寸法を大きくすることができるため、より低背化を図ることができる。
【0303】
(3-4)電極91,92は、テラヘルツ装置10の厚さ方向(z方向)と直交する方向(x方向)に延びている。この構成によれば、電極91,92を折り曲げる構成と比較して、電極91,92の長さを短くできるため、電極91,92のインダクタンスを低減できる。また、電極91,92を折り曲げることに起因する高周波特性の低下を抑制できる。
【0304】
(3-5)両電極91,92は、互いに離間して対向配置されている。この構成によれば、両電極91,92が接触することを抑制できる。また、2つの電極91,92によってテラヘルツ装置10を回路基板110に支持することができる。
【0305】
(3-6)テラヘルツ素子20は、電磁波が発生する発振点P1を有する素子主面21と、素子主面21とは反対側の素子裏面22とを有している。反射膜54は、素子裏面22側ではなく素子主面21側に設けられている。この構成によれば、電磁波が反射膜54に到達し易いため、反射膜54を用いて発振点P1から発生する電磁波を好適に反射させることができる。
【0306】
(3-7)テラヘルツ素子20は、発振点P1から開口角度θの範囲に亘って放射状に電磁波を照射する。反射膜54は、発振点P1に対して開口角度θ以上の角度に亘って形成されている。この構成によれば、発振点P1から開口角度θの範囲に亘って放射状に照射された電磁波は、反射膜54によって反射される。これにより、反射膜54によって反射されない電磁波を低減でき、利得の向上を図ることができる。
【0307】
(3-8)反射膜54はパラポラアンテナ形状である。この構成によれば、電磁波を好適に一方向に向けて反射させることができる。
(3-9)反射膜54は、当該反射膜54の焦点が発振点P1に位置するように配置されている。この構成によれば、発振点P1から発生した電磁波は、反射膜54によって一方向に誘導される。これにより、反射膜54によって一方向に向けて反射されない電磁波を低減でき、利得の向上を図ることができる。
【0308】
(3-10)反射膜54は、テラヘルツ素子20から発生する電磁波が共振するように、当該電磁波の周波数に対応する位置に配置されている。一例としては、発振点P1から反射膜54に向かう垂直距離である規定距離z1は、電磁波の共振条件、たとえば(λ’A/4)+((λ’A/2)×N)を満たすように設定されている。この構成によれば、テラヘルツ装置10の利得の向上を図ることができる。
【0309】
(3-11)反射膜54は電気的にフローティング状態である。この構成によれば、反射膜54によって電磁波が吸収されるなどといった不都合を抑制できる。
(3-12)アンテナベース50は絶縁性材料で形成されている。この構成によれば、アンテナベース50を介して反射膜54が何らかの部材と電気的に接続されることを抑制できる。
【0310】
(3-13)基材としての取付板11は、テラヘルツ素子20が取り付けられる取付主面12を有している。アンテナベース50は、取付主面12と対向するベース主面50aと、ベース主面50aから凹んだものであってアンテナ面53を有する凹部52と、を備えている。テラヘルツ素子20および反射膜54は、取付主面12とアンテナ面53とによって区画された収容空間A1内に配置されている。この構成によれば、テラヘルツ素子20および反射膜54に対する外部からの影響を低減できる。
【0311】
(3-14)反射膜54は、アンテナ面53に形成されている一方、ベース主面50aには形成されていない。この構成によれば、ベース主面50aに形成される反射膜54によって電磁波が反射されることを回避できる。これにより、不要な反射波に起因する不都合、たとえば定在波の発生を抑制できる。
【0312】
(3-15)取付主面12には、導電部材としてのリードフレーム60が設けられている。アンテナベース50は、接着層90によってリードフレーム60に対して接着している。接着層90は、絶縁性材料で形成されており、反射膜54とリードフレーム60との間に介在している。この構成によれば、接着層90によって反射膜54とリードフレーム60とが接触しないように規制されている。これにより、反射膜54とリードフレーム60とが電気的に接続されることを抑制できる。
【0313】
(3-16)リードフレーム60には、z方向から見て反射膜54の少なくとも一部と重なる開口部80が形成されている。この構成によれば、反射膜54によって反射された電磁波は、開口部80を介して出力される。これにより、電磁波がリードフレーム60によって遮断されることを抑制できる。
【0314】
(3-17)リードフレーム60は、互いに離間して対向配置された第1リードパーツ61および第2リードパーツ71を有している。開口部80は、両リードパーツ61,71間の隙間81を含む。この構成によれば、両リードパーツ61,71の絶縁性を確保しつつ、リードフレーム60による電磁波の遮断(ブロッキング)を抑制できる。
【0315】
(3-18)開口部80は、第1リードパーツ61におけるz方向から見て反射膜54と重なる部分に形成され、隙間81と連通している第1パーツ開口部63を有している。開口部80は、第2リードパーツ71におけるz方向から見て反射膜54と重なる部分に形成され、隙間81と連通している第2パーツ開口部73を有している。この構成によれば、リードフレーム60による電磁波の遮断を更に抑制できる。
【0316】
(3-19)第1リードパーツ61は、テラヘルツ素子20と電気的に接続するための第1接続部65を有している。第1接続部65は、第1パーツ開口部63の内壁面である第1内壁面64からテラヘルツ素子20に向けて突出しており、z方向から見て反射膜54と重なっている。第2リードパーツ71は、テラヘルツ素子20と電気的に接続するための第2接続部75を有している。第2接続部75は、第2パーツ開口部73の内壁面である第2内壁面74からテラヘルツ素子20に向けて突出しており、z方向から見て反射膜54と重なっている。この構成によれば、リードフレーム60による電磁波の遮断を抑制しつつ、テラヘルツ素子20と両リードパーツ61,71とを電気的に接続させることができる。
【0317】
(3-20)テラヘルツ装置10は、テラヘルツ素子20に形成された第1パッド33bと第1接続部65とを接続する第1ワイヤW1と、テラヘルツ素子20に形成された第2パッド34bと第2接続部75とを接続する第2ワイヤW2と、を備えている。z方向から見て、第1内壁面64からの第1接続部65の突出寸法は、第1ワイヤW1の長さよりも短い。この構成によれば、第1接続部65の突出寸法が短い分だけ電磁波が第1接続部65に遮断されることを抑制できる。同様に、z方向から見て、第2内壁面74からの第2接続部75の突出寸法は、第2ワイヤW2の長さよりも短いとよい。
【0318】
(3-21)両接続部65,75はテラヘルツ素子20を介して対向配置されている。この構成によれば、両ワイヤW1,W2が互いに干渉しにくいため、両ワイヤW1,W2が接触することを抑制できる。
【0319】
(第3実施形態の変更例)
・
図57に示すように、テラヘルツ装置10は、取付裏面13に形成された反射低減膜120を備えていてもよい。反射低減膜120は、反射防止膜ともいえるし、ARコーティング膜ともいえる。
【0320】
反射低減膜120は、たとえば取付裏面13のうちz方向から見てリードフレーム60と重なる部分の少なくとも一部に形成されているとよい。一例としては、反射低減膜120は、取付裏面13のうちz方向から見てリードフレーム60と重なる部分の全部に形成されている。これにより、リードフレーム60にて電磁波が反射することに起因する定在波の発生を抑制できる。なお、反射低減膜120の具体的構成は、少なくともテラヘルツ帯の電磁波の反射を低減することができれば任意である。
【0321】
(第4実施形態)
図58に示すように、本実施形態のテラヘルツ装置10は、テラヘルツ素子20に電気的に接続される特定素子の一例としての保護ダイオード131,132を備えている。保護ダイオード131,132は、テラヘルツ素子20に対して電気的に接続されており、本実施形態ではテラヘルツ素子20に対して並列接続されている。両保護ダイオード131,132は、テラヘルツ素子20に対して互いに逆方向となるように接続されている。保護ダイオード131,132は、通常のダイオードの他に、ツェナーダイオード、ショットキーダイオード、または発光ダイオードであってもよい。
【0322】
なお、特定素子としては、保護ダイオード131,132に限られず、制御IC(たとえばASIC)でもよい。制御ICは、たとえば、テラヘルツ素子20に流れる電流検知、アンプ、テラヘルツ素子20への電力供給、又は信号処理などを行うものであるとよい。また、特定素子とテラヘルツ素子20との接続態様は任意であり、たとえば直列接続でもよい。
【0323】
図59および
図60に示すように、両保護ダイオード131,132は、テラヘルツ素子20を介して対向配置されている。両保護ダイオード131,132は、リードフレーム60に実装されている。
【0324】
具体的には、第1保護ダイオード131は、第1リードパーツ61と電気的に接続された状態で第1リードパーツ61上に配置されている。第1保護ダイオード131は、たとえば第1リードパーツ61における第1パーツ開口部63の付近に配置されており、本実施形態では第1内壁面64、第1リード対向面62および第1リードパーツ61のy方向の端面によって囲まれた領域に配置されている。
【0325】
また、第1保護ダイオード131と第2リードパーツ71とは、第1ダイオードワイヤW3によって電気的に接続されている。これにより、第1保護ダイオード131は、両電極91,92に電気的に接続される。
【0326】
第1ダイオードワイヤW3は、第2リードパーツ71において第1保護ダイオード131に近い位置、すなわち第2内壁面74、第2リード対向面72および第2リードパーツ71のy方向の端面によって囲まれた領域にボンディングされている。これにより、第1ダイオードワイヤW3の長さが短くなっている。
【0327】
同様に、第2保護ダイオード132は、第2リードパーツ71と電気的に接続された状態で第2リードパーツ71上に配置されている。第2保護ダイオード132は、たとえば第2リードパーツ71における第2パーツ開口部73の付近に配置されており、本実施形態では第2内壁面74、第2リード対向面72および第2リードパーツ71のy方向の端面によって囲まれた領域に配置されている。
【0328】
また、第2保護ダイオード132と第1リードパーツ61とは、第2ダイオードワイヤW4によって電気的に接続されている。これにより、第2保護ダイオード132は、両電極91,92に電気的に接続される。
【0329】
第2ダイオードワイヤW4は、第1リードパーツ61において第2保護ダイオード132に近い位置、すなわち第1内壁面64、第1リード対向面62および第1リードパーツ61のy方向の端面によって囲まれた領域にボンディングされている。これにより、第2ダイオードワイヤW4の長さが短くなっている。
【0330】
図60に示すように、本実施形態のアンテナベース50は、ベース主面50aから凹んだ収容凹部141,142を備えており、保護ダイオード131,132は収容凹部141,142内に収容されている。収容凹部141,142は、凹部52の周囲に形成されており、凹部52と連通しないように形成されている。すなわち、収容凹部141,142は、特定素子を収容するために凹部52とは別に設けられたものといえる。なお、
図60に示すように、接着層90は収容凹部141,142に対応する箇所には形成されていない。
【0331】
以上詳述した本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
(4-1)テラヘルツ装置10は、テラヘルツ素子20に対して並列接続された保護ダイオード131,132を備えている。この構成によれば、たとえば静電気等に起因してテラヘルツ素子20の両端に高電圧が印加された場合には、保護ダイオード131,132を経由して電流を流すことが可能となる。これにより、テラヘルツ素子20に過度な電流が流れることを抑制できるため、テラヘルツ素子20を保護できる。
【0332】
(4-2)両保護ダイオード131,132は、テラヘルツ素子20に対して互いに逆方向となるように接続されている。この構成によれば、いずれの方向の高電圧が発生した場合であってもテラヘルツ素子20を保護できる。
【0333】
(4-3)アンテナベース50は、ベース主面50aから凹んだ収容凹部141,142を有しており、保護ダイオード131,132は収容凹部141,142に収容されている。この構成によれば、保護ダイオード131,132を設けることに起因するテラヘルツ装置10の大型化を抑制できる。
【0334】
(第5実施形態)
図61に示すように、テラヘルツ装置10は、基材として支持基板150を備えている。支持基板150は、たとえば電磁波を透過する材料で形成されており、一例としては誘電体で形成されている。
【0335】
支持基板150は板状であり、本実施形態では矩形板状に形成されている。支持基板150は、z方向から見てアンテナベース50よりも所定の方向に長く形成されており、z方向から見てアンテナベース50よりも側方(たとえばx方向)に延出した第1延出部151および第2延出部152を有している。両延出部151,152は互いにx方向に離間して対向配置されている。
【0336】
支持基板150は、板面としての取付主面153および取付裏面154を有している。取付主面153および取付裏面154はz方向に交差する面であり、一例としてはz方向に対して直交している。テラヘルツ素子20は取付主面153に取り付けられている。取付主面153と反射膜54とが対向している。
【0337】
テラヘルツ装置10は、導電部材および電極として取付主面153に形成された配線パターン160と、配線パターン160とアンテナベース50とを接着させる接着層170と、を備えている。
【0338】
配線パターン160は、取付主面153に形成された導電層であり、たとえばCuなどで形成されている。支持基板150のz方向の長さである支持基板150の厚さは、配線パターン160の厚さよりも厚い。配線パターン160は、第1パターン161および第2パターン162を有している。第1パターン161および第2パターン162の具体的なレイアウト構造は、基本的には第1リードパーツ61及び第2リードパーツ71と同様である。本実施形態では、第1パターン161および第2パターン162が「第1導電部」および「第2導電部」に対応する。
【0339】
接着層170は、絶縁性材料で形成されている。接着層170は、ベース主面50aと配線パターン160との間に設けられているとともに、反射膜54と配線パターン160との間にも介在している。
【0340】
本実施形態の電極171,172は、配線パターン160によって構成されている。たとえば、電極171,172は、支持基板150のうち延出部151,152に形成されている配線パターン160によって構成されている。第1電極171は、第1パターン161におけるアンテナベース50(第1ベース側面51a)からx方向に延出した部分で構成されており、第2電極172は、第2パターン162におけるアンテナベース50(第2ベース側面51b)からx方向に延出した部分で構成されている。このため、第3実施形態と同様に、両電極171,172は、アンテナベース50に対して側方に突出している。なお、支持基板150は、両電極171,172を支持しているともいえる。
【0341】
本実施形態のテラヘルツ装置10の製造方法の一例について説明する。
図62に示すように、テラヘルツ装置10の製造方法は、支持基板150に配線パターン160を形成する工程を含む。当該工程では、支持基板150の取付主面153に配線パターン160をパターニングする。これにより、両パターン161,162が形成される。テラヘルツ素子20の実装など、その後の工程は、第3実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0342】
以上詳述した本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
(5-1)テラヘルツ装置10は、基材としての支持基板150と、導電部材としての配線パターン160と、を備えている。この構成によれば、導電部材として、リードフレーム60ではなく配線パターン160が用いられているため、微細加工を行いやすい。これにより、高速の信号伝達に対応した信号経路を実現しやすい。
【0343】
(5-2)支持基板150は、z方向から見てアンテナベース50に対して側方に延出した第1延出部151および第2延出部152を有している。両電極171,172は、両延出部151,152に形成された配線パターン160によって構成されている。この構成によれば、両電極171,172がアンテナベース50に対して側方に突出するため、(3-2)の効果を奏する。
【0344】
(第5実施形態の変更例)
・
図63に示すように、取付裏面154のうちz方向から見て配線パターン160と重なる部分の少なくとも一部に反射低減膜180が形成されていてもよい。反射低減膜180は、たとえば両電極171,172と重なる部分、すなわち両延出部151,152に形成されてもよい。
【0345】
(第6実施形態)
本実施形態では、
図64に示すように、テラヘルツ装置10は、取付主面153に形成された第1接続パターン191および第1電極192と、取付裏面154に形成された第1裏面パターン193と、第1接続パターン191および第1電極192と第1裏面パターン193とを電気的に接続する第1スルービア194,195と、を備えている。
【0346】
第1接続パターン191は、取付主面153に形成された配線パターンによって構成されている。第1接続パターン191は、取付主面153における凹部52と対向する部分に形成されている。第1接続パターン191は、収容空間A1内に配置されている。第1接続パターン191は、反射膜54の端54aに対して離間しており、両者は接触しないようになっている。第1ワイヤW1は、第1接続パターン191にボンディングされている。
【0347】
第1電極192は、取付主面153に形成された配線パターンによって構成されている。第1電極192は、収容空間A1外に設けられている。第1電極192は、取付主面153のうち第1延出部151に対応する部分に形成されており、アンテナベース50に対して側方に突出している。
【0348】
第1裏面パターン193は、取付裏面154に形成された配線パターンによって構成されている。第1裏面パターン193は、z方向から見て、第1接続パターン191および第1電極192の双方に跨って配置されており、第1接続パターン191および第1電極192の双方に重なっている。
【0349】
第1スルービア194,195は、支持基板150を厚さ方向に貫通している。一方の第1スルービア194は、第1接続パターン191と第1裏面パターン193とを接続しており、他方の第1スルービア195は、第1電極192と第1裏面パターン193とを接続している。これにより、第1電極192とテラヘルツ素子20とが電気的に接続される。
【0350】
テラヘルツ装置10は、たとえば取付主面153に形成された第2接続パターン201および第2電極202と、取付裏面154に形成された第2裏面パターン203と、第2接続パターン201および第2電極202と第2裏面パターン203とを電気的に接続する第2スルービア204,205と、を備えている。第2接続パターン201、第2電極202、第2裏面パターン203、第2スルービア204,205については、x方向に左右対称である点を除き、第1接続パターン191、第1電極192、第1裏面パターン193、第1スルービア194,195と同様であるため、詳細な説明を省略する。本実施形態では、第1接続パターン191が「第1接続部」に対応し、第2接続パターン201が「第2接続部」に対応する。
【0351】
ここで、本実施形態では、アンテナベース50は、接着層170を介して取付主面153に取り付けられている。この場合、両接続パターン191,201は、反射膜54の端54aに対してテラヘルツ素子20側に配置されている。一方、両電極192,202は、反射膜54の端54aに対して側方に配置されている。つまり、z方向から見て、反射膜54の端54a(およびベース主面50a)は、接続パターン191,201と電極192,202との間に離間して配置されている。これにより、反射膜54と電極192,202との絶縁が確保されているとともに、反射膜54と接続パターン191,201との絶縁が確保されている。
【0352】
以上詳述した本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
(6-1)テラヘルツ装置10は、取付主面153および取付裏面154を有する基材としての支持基板150と、支持基板150の取付主面153に形成された接続パターン191,201および電極192,202と、取付裏面154に形成された裏面パターン193,203と、スルービア194,195,204,205と、を備えている。接続パターン191,201は、ワイヤW1,W2を介してテラヘルツ素子20と接続されている。スルービア194,195,204,205は、回路基板110を貫通することによって、接続パターン191,201および電極192,202と、裏面パターン193,203とを接続している。反射膜54の端54aは、接続パターン191,201と電極192,202との間に離間して配置されている。この構成によれば、反射膜54と接続パターン191,201および電極192,202との接触を回避しつつ、電極192,202とテラヘルツ素子20とを電気的に接続することができる。
【0353】
(第6実施形態の変更例)
・
図65に示すように、テラヘルツ装置10は、取付裏面154(本実施形態では裏面パターン193,203)に実装された特定素子216,217を備えていてもよい。これにより、テラヘルツ素子20と電気的に接続される特定素子216,217を比較的容易に設けることができる。なお、特定素子216,217は、たとえば保護ダイオードであるとよい。これにより、テラヘルツ素子20に過度な電流が流れることを抑制できる。
【0354】
ただし、これに限られず、特定素子216,217は任意である。たとえば、特定素子216,217は、制御IC(たとえばASIC)でもよい。制御ICは、たとえば、テラヘルツ素子20に流れる電流検知、アンプ、テラヘルツ素子20への電力供給、又は信号処理などを行うものであるとよい。
【0355】
特定素子216,217は、たとえばテラヘルツ素子20に電気的に接続された状態で取付裏面154に実装されていればよい。たとえば、特定素子216,217は、上記のような裏面パターン193,203上に実装されている構成に限られず、取付裏面154のうち裏面パターン193,203がない部分に実装されていてもよい。この場合、特定素子216,217は、導電部によって裏面パターン193,203と電気的に接続されているとよい。
【0356】
・
図66に示すように、テラヘルツ装置10は、z方向から見て支持基板150に形成された配線パターンと重なるように形成された反射低減膜220を備えていてもよい。反射低減膜220は、たとえば裏面パターン193,203に形成されており、一例としては裏面パターン193,203および両電極192,202と重なっているとよい。
【0357】
(第7実施形態)
図67に示すように、アンテナベース230は凸レンズ状でもよい。たとえば、アンテナベース230は、支持基板150に対して取付裏面154側に設けられている。アンテナベース230は、取付主面153に設けられているテラヘルツ素子20から離れる方向に凸となるように湾曲しているアンテナ面231と、アンテナ面231の基端から側方にはみ出しているフランジ面232と、を有している。アンテナ面231は、アンテナベース230のレンズ面に対応しており、湾曲している。アンテナ面231とテラヘルツ素子20とがz方向に対向している。
【0358】
本実施形態の反射膜233は、少なくともアンテナ面231に形成されており、一例としてはアンテナ面231とフランジ面232との双方に亘って形成されている。本実施形態では、テラヘルツ素子20と反射膜233との間には支持基板150とアンテナベース230とが介在している。
【0359】
本実施形態では、支持基板150およびアンテナベース230は、テラヘルツ素子20から発生する電磁波を透過可能な材料で形成されていると好ましく、たとえば誘電体で形成されているとよい。誘電体としては、たとえばSi、樹脂、テフロン、ガラス、などが考えられる。支持基板150とアンテナベース230とは同一材料でもよいし、異なる材料でもよい。たとえば、支持基板150とアンテナベース230とが同一材料であれば、屈折率の変化が生じにくいため、支持基板150とアンテナベース230との界面での反射を抑制できる。
【0360】
また、支持基板150とアンテナベース230とは貼り合わせなどによって取り付けられている構成でもよいし、一体形成される構成でもよい。
本実施形態のテラヘルツ装置10は、取付主面153に形成された第1接続パターン241と、取付裏面154に形成された第1電極242と、第1接続パターン241と第1電極242とを接続する第1スルービア243と、を含む。第1電極242は、z方向から見てアンテナベース230に対して側方(たとえばx方向)に突出した位置に配置されており、第1電極242と反射膜233とはx方向に離間している。
【0361】
テラヘルツ装置10は、取付主面153に形成された第2接続パターン251と、取付裏面154に形成された第2電極252と、第2接続パターン251と第2電極252とを接続する第2スルービア253と、を含む。第2電極252は、z方向から見てアンテナベース230に対して側方(たとえばx方向)に突出した位置に配置されており、第2電極252と反射膜233とはx方向に離間している。
【0362】
ここで、本実施形態では、テラヘルツ素子20は、素子主面21が反射膜233側を向くように配置されている。具体的には、テラヘルツ素子20は、素子主面21が取付主面153と対向した状態で支持基板150に実装されている。この場合、半田などの導電性接合部材244,245を用いて、両パッド33b,34bと接続パターン241,251とが電気的に接続されているとよい。発振点P1に対するアンテナ面231の形状や位置関係は、第3実施形態と同様である。
【0363】
本実施形態のテラヘルツ装置10は、取付裏面154側から回路基板110に取り付けられる。これにより、アンテナベース230の少なくとも一部が孔116に挿入される。また、両電極242,252と回路基板110とが対向するため、導電性接合部材117を用いて電気的接続を行うことができる。
【0364】
以上詳述した本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
(7-1)テラヘルツ装置10は、テラヘルツ素子20から離れる方向に凸となるように湾曲した凸レンズ状であるアンテナベース230を有している。アンテナ面231は、アンテナベース230のレンズ面に対応する。この構成であっても、(3-1)などの効果を奏する。
【0365】
(7-2)アンテナベース230は、取付裏面154側に設けられている。テラヘルツ素子20と反射膜233とは、支持基板150およびアンテナベース230を介して対向している。この構成によれば、アンテナベース230内にテラヘルツ素子20を収容するために凹部を設けるなどといったことをしなくてもよいため、アンテナベース230の構成の簡素化を図ることができる。
【0366】
(変更例)
各実施形態のテラヘルツ装置10は例えば以下のように変更できる。以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せることができる。なお、説明の便宜上、以下の変更例では、基本的には第3実施形態を用いて説明するが、技術的な矛盾が生じない限り、他の実施形態にも適用できる。
【0367】
・
図68に示すように、テラヘルツ装置10は、接着層90とは別に設けられ、反射膜54とリードフレーム60とを絶縁させるスペーサ260を備えているとよい。スペーサ260は、絶縁性を有している。スペーサ260は、反射膜54とリードフレーム60との間にも介在している。
図68では、スペーサ260は、リードフレーム60と接着層90との間に介在している。ただし、これに限られず、スペーサ260は、アンテナベース50と接着層90との間に設けられていてもよい。
【0368】
この構成によれば、スペーサ260と接着層90とによって、反射膜54とリードフレーム60とが接触することが規制されている。これにより、反射膜54とリードフレーム60との接触を、より抑制できる。
【0369】
・
図69に示すように、第1接続部65および第2接続部75は、テラヘルツ素子20の近くまで延びていてもよい。たとえば、第1接続部65の先端部は、第1内壁面64よりもテラヘルツ素子20に近い位置に配置されており、第2接続部75の先端部は、第2内壁面74よりもテラヘルツ素子20に近い位置に配置されていてもよい。換言すれば、両接続部65,75の突出寸法は、反射膜54の開口幅の1/4よりも大きくてもよい。
【0370】
また、z方向から見て、第1ワイヤW1の長さは、第1内壁面64からの第1接続部65の突出寸法よりも短くてもよい。同様に、第2ワイヤW2の長さは、第2内壁面74からの第2接続部75の突出寸法よりも短くてもよい。この構成によれば、ワイヤW1,W2の長さを短くできるため、ワイヤW1,W2に起因する応答性の低下を抑制できる。
【0371】
・
図70に示すように、第1接続部65と第2接続部75とは、平行に並んで配列されていてもよい。この構成によれば、テラヘルツ装置10の応答性の向上を図ることができる。
【0372】
・第1接続部65および第2接続部75がなくてもよい。
・
図71及び
図72に示すように、テラヘルツ素子20が取り付けられる基材としてリードフレーム60を用いてもよい。具体的には、リードフレーム60は、テラヘルツ素子20が取り付けられる取付ベース270と、取付ベース270と繋がる第1接続部271と、第1接続部271と絶縁された第2接続部272と、を有する構成でもよい。第1接続部271は、第1ワイヤW1を介して第1パッド33bと電気的に接続される。第2接続部272は、第2ワイヤW2を介して第2パッド34bと電気的に接続される。
【0373】
また、リードフレーム60は、第1接続部271から凹部52の開口縁の外側に沿って延びた第1湾曲部273と、第2接続部272から凹部52の開口縁の外側に沿って延びた第2湾曲部274と、を有していてもよい。
【0374】
また、本変更例では、
図72に示すように、テラヘルツ装置10は、取付ベース270及び両接続部271,272を上方から覆うカバー部材275を備えていてもよい。カバー部材275は、電磁波を透過する材料で形成されているとよく、たとえば誘電体で形成されているとよい。
【0375】
・
図73に示すように、凹部52は、アンテナ面53よりも拡径した拡径面281と、アンテナ面53と拡径面281との間に形成された段差面282と、を有してもよい。段差面282は、z方向に対して交差する面である。この構成において、反射膜283は、アンテナ面53と段差面282とに亘って形成されていてもよい。この場合、反射膜283とリードフレーム60とがz方向に離間しているため、両者の接触を抑制できる。
【0376】
・
図74に示すように、反射膜290は、アンテナ面53の一部の範囲に亘って形成されている構成でもよい。たとえば、反射膜290は、発振点P1よりも下方の部分に形成されていてもよい。また、反射膜290は、発振点P1に対して開口角度θ未満の角度に亘って形成されていてもよい。反射膜は、テラヘルツ素子20にて発生した電磁波の少なくとも一部を一方向に反射させることができればよい。
【0377】
・反射膜の形状は適宜変更可能である。たとえば、反射膜は、1つの膜に限られず、分離された複数のパーツで構成されていてもよい。たとえば、反射膜にスリットが形成されていてもよいし、孔が形成されていてもよい。
【0378】
・
図75に示すように、アンテナベース50は、取付裏面13側に設けられる構成でもよい。この場合、リードフレーム60と反射膜54との間に取付板11が介在するため、反射膜54とリードフレーム60との接触を回避できる。ただし、テラヘルツ素子20を収容空間A1内に収容できる点に鑑みれば、アンテナベース50は、取付主面12側に設けられている方がよい。
【0379】
・
図76に示すように、両リード対向面62,72は、y方向に対して傾斜していてもよい。この場合、隙間81は、y方向に対して傾斜して延びている。
この構成において、第4実施形態のように保護ダイオード131,132を設ける場合、第1保護ダイオード131の少なくとも一部は、第1内壁面64と第1リード対向面62との間に配置されていてもよい。同様に、第2保護ダイオード132の少なくとも一部は、第2内壁面74と第2リード対向面72との間に配置されていてもよい。
【0380】
・
図77に示すように、テラヘルツ素子20は、上方から見て発振点P1が反射膜54の中心点P2からずれた位置に配置されていてもよい。すなわち、反射膜54の焦点が発振点P1と一致していなくてもよい。
【0381】
・
図78に示すように、テラヘルツ装置10は、反射膜54とは別に設けられた反射部300を有する複反射鏡型でもよい。
具体的には、テラヘルツ装置10は、反射膜54とは別に反射部300を備えている。詳細には、取付主面12には反射用凸部301が形成されており、反射部300は、反射用凸部301の表面に形成された金属膜である。反射用凸部301が反射膜54に向けて凸となるように湾曲していることに対応させて、反射部300は、反射膜54に向けて凸となるように湾曲している。反射部300と反射膜54とは径方向に対向しており、反射部300によって反射された電磁波は、反射膜54に向けて照射される。
【0382】
本変更例のテラヘルツ素子20は、反射部300と対向する位置に配置されている。換言すれば、反射部300を有する基材としての取付板11は、テラヘルツ素子20に対して対向する位置に設けられている。
【0383】
テラヘルツ装置10は、たとえば取付柱302,303を備えている。取付柱302,303は、たとえば導電性材料で形成されている。取付柱302,303は、アンテナベース50および反射膜54を下方から貫通しており、収容空間A1内に入り込んでいる。テラヘルツ素子20は、取付柱302,303に取り付けられている。テラヘルツ素子20と取付柱302,303とは電気的に接続されている。
【0384】
テラヘルツ素子20は取付柱302,303に対して直接接合されていてもよいし、導電性接合部材を介して接合されていてもよい。また、取付柱302,303と反射膜54との接触を回避するために、取付柱302,303の側面に絶縁部(たとえば絶縁コーティング)が設けられていてもよい。なお、本変更例では取付柱302,303は2本設けられているが、取付柱302,303の数は任意である。
【0385】
本変更例のテラヘルツ装置10は、取付柱302,303と電気的に接続される電極304,305を備えている。電極304,305は、アンテナベース50におけるベース主面50aとは反対側のベース裏面50bに形成されており、取付柱302,303と接合されている。
【0386】
本変更例によれば、両電極304,305から電圧が印加されることにより、テラヘルツ素子20から電磁波が発生する。当該電磁波は、反射部300によって反射された後、反射膜54によって更に反射されて、一方向としての上方に向けて照射される。つまり、テラヘルツ素子20にて発生した電磁波は、反射部300を介して反射膜54に照射され、反射膜54によって更に反射される。
【0387】
すなわち、反射部300は、テラヘルツ素子20から発生した電磁波が入射されるものであって当該電磁波の少なくとも一部を反射するものであり、反射膜54は、反射部300によって反射された電磁波が入射されるものであって当該電磁波の少なくとも一部を一方向(上方)に向けて反射するものである。
【0388】
ここで、本変更例では、取付板11には、リードフレーム60および両ワイヤW1,W2は形成されていない。また、上方から見て、反射部300は、たとえばテラヘルツ素子20の投影範囲内に収まっているとよい。これにより、電磁波が遮断(ブロッキング)されることを抑制できる。
【0389】
ちなみに、
図78に示すように、反射膜54に形成され取付柱302,303が貫通する貫通孔306は、反射膜54と取付柱302,303とが接触しないように取付柱302,303よりも大きく形成されているとよい。なお、反射膜54のうち2つの取付柱302,303の間にある部分を省略してもよい。つまり、反射膜54は、上方から見て、中心部分が除去された環状となっていてもよい。また、反射部300は、テラヘルツ素子20に対して凹状となっていてもよい。具体的には、反射部300は、反射膜54とは反対方向(すなわち上方)に凹んだアンテナ形状となっていてもよい。つまり、反射部300は、カセグレンタイプでもよいし、グレゴリアンタイプでもよい。
【0390】
・アンテナベース50の形状は適宜変更可能である。たとえば、
図79に示すように、アンテナベース50は、コーナ部分が切り欠かれたドーム形状であってもよいし、
図80に示すように、アンテナベース50に肉抜き部313が形成されていてもよい。
【0391】
また、
図81に示すように、アンテナベース50は、z方向から見て円形状に形成されていてもよい。具体的には、アンテナベース50は、z方向を軸線方向とする円柱状であってもよい。この場合、アンテナベース50の周囲には、リードフレーム60が露出した露出領域321が形成される。本変更例においては、テラヘルツ装置10は、たとえば露出領域321を用いて回路基板110に取り付けられるとよい。具体的には、回路基板110に形成された孔116の径は、アンテナベース50の外郭の径と同一またはそれよりも若干大きい。この場合、アンテナベース50を孔116に挿入すると、露出領域321が回路基板110と当接する。このため、露出領域321に導電性接合部材117を設けることにより、電気的に接続した状態でテラヘルツ装置10を回路基板110に実装することができる。これにより、テラヘルツ装置10の更なる小型化を図ることができる。
【0392】
・
図82に示すように、電極91,92は、アンテナベース50から離れるに従って取付板11とは離れる方向、具体的には下方に傾斜した傾斜部91a,92aを有してもよい。たとえば、第1電極91は、アンテナベース50(第1ベース側面51a)からx方向に延びた第1基端部91bと、第1基端部91bよりも側方かつ下方に位置した第1先端部91cと、第1基端部91bおよび第1先端部91cと繋がる第1傾斜部91aと、を有するクランク状でもよい。
【0393】
同様に、第2電極92は、アンテナベース50(第2ベース側面51b)からx方向に延びた第2基端部92bと、第2基端部92bよりも側方かつ下方に位置した第2先端部92cと、第2基端部92bおよび第2先端部92cと繋がる第2傾斜部92aと、を有するクランク状でもよい。
【0394】
この構成においては、テラヘルツ装置10は、アンテナベース50の一部が孔116に挿入された状態で導電性接合部材117によって両先端部91c,92cが回路基板110に接合させることによって回路基板110に実装されるとよい。これにより、回路基板110がテラヘルツ装置10よりも薄い場合であっても、テラヘルツ装置10が回路基板110から下方に突出することを抑制できる。なお、第1基端部91bおよび第2基端部92bを省略してもよい。
【0395】
・
図83に示すように、接着層90の内周端は、反射膜54の表面と面一となる位置に配置されていてもよい。つまり、接着層90は、反射膜54よりも内側(換言すればテラヘルツ素子20側)に向けてはみ出さないように構成されていてもよい。
【0396】
・また、
図84および
図85に示すように、接着層90の内周端は、反射膜54の表面よりもx方向およびy方向の外側(換言すればベース側面51側)に配置されていてもよい。たとえば、
図84に示すように、接着層90の内周端は、アンテナ面53と面一となる位置に配置されていてもよい。また、
図85に示すように、接着層90の内周端は、アンテナ面53のよりもx方向およびy方向の外側に配置されていてもよい。この場合、反射膜54の端54aとリードフレーム60との間には、接着層90が介在していない。つまり、接着層90が反射膜54とリードフレーム60との間に介在することは必須ではない。この場合であっても、接着層90の高さの分だけ、反射膜54とリードフレーム60とが離間するため、反射膜54とリードフレーム60との接触を抑制できる。
【0397】
・両電極91,92は、x方向ではなくy方向に突出していてもよいし、x方向およびy方向の双方に突出していてもよい。
・テラヘルツ素子20は、素子裏面22が反射膜54を向くように配置されていてもよい。すなわち、反射膜54は、テラヘルツ素子20に対して、素子主面21側ではなく、素子裏面22側に設けられていてもよい。
【0398】
・反射膜54は、電気的にフローティング状態でなくてもよい。
・ベース主面50aに反射膜54が形成されていてもよい。この場合、たとえばベース主面50aと対向する位置に反射低減膜が形成されているとよい。
【0399】
・収容空間A1内に存在する気体は空気に限られず任意に変更可能である。また、真空でもよい。
・アンテナベース50とリードフレーム60とは接着以外の手法でユニット化されていてもよい。
【0400】
・開口部80の形状は任意に変更可能であり、たとえば両パーツ開口部63,73のいずれか一方が省略されていてもよいし、両パーツ開口部63,73が反射膜54よりも小さくてもよい。
【0401】
・基材としての取付板11および支持基板150の形状は任意である。たとえば取付板11をリードフレーム60よりも肉厚に形成してもよい。
・電極91,92は、テラヘルツ装置10のz方向の中央部付近に配置されていてもよいし、中央部よりも下方に偏倚して配置されていてもよい。
【0402】
・テラヘルツ素子20の具体的構成は適宜変更可能である。たとえば両パッド33b,34bの位置や大きさを変更してもよい。また、発振点P1が中心以外の位置にあってもよい。
【0403】
・テラヘルツ素子20は、電磁波を受信し、受信した電磁波を電気エネルギーに変換するものであってもよい。具体的には、テラヘルツ素子20は、たとえば発振点P1に対して開口角度θの範囲に亘る電磁波を受信する。この場合、発振点P1は、電磁波の受信を行う受信点といえる。
【0404】
この構成においては、反射膜は、入射された電磁波を、テラヘルツ素子20(好ましくは受信点)に向けて反射させるものであるとよい。これにより、テラヘルツ装置10の受信強度が高くなるため、受信に関する利得の向上を図ることができる。
【0405】
さらに、テラヘルツ素子20は、電磁波の発振および受信の両方を行うものであってもよい。つまり、発振点P1は、電磁波の発振及び受信の少なくとも一方を行う点でもよい。
【0406】
なお、テラヘルツ素子20が電磁波を受信するものである場合、上記変更例における反射部300は、反射膜54によって反射された電磁波をテラヘルツ素子20に向けて反射させる。この構成によれば、反射膜54によって反射された電磁波は、反射部300を介してテラヘルツ素子20に照射される。つまり、反射膜54は、入射された電磁波の少なくとも一部を反射部300に向けて反射するものであり、反射部300は、反射膜54によって反射された電磁波が入射され、当該電磁波の少なくとも一部をテラヘルツ素子20に向けて照射するものであるといえる。
【0407】
(付記)
次に、上記各実施形態および各変更例に基づく技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
基材と、
前記基材に取り付けられ、電磁波を発生させるテラヘルツ素子と、
前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、
前記アンテナ面に形成され、前記テラヘルツ素子から発生した電磁波の少なくとも一部を一方向に向けて反射させる反射膜と、
を備えているテラヘルツ装置。
【0408】
(付記2)
前記アンテナベースは、
前記基材と対向するベース主面と、
前記ベース主面とは反対側のベース裏面と、
側方を向いたベース側面と、
を有し、
前記テラヘルツ装置は、外部との電気的接続に用いられる電極を備え、
前記電極は、
前記ベース側面に形成された側面電極と、
前記ベース裏面に形成された裏面電極と、
を有している付記1に記載のテラヘルツ装置。
【0409】
(付記3)
前記電極は、前記アンテナベースに沿って折り曲げられたリードフレームによって構成されている付記2に記載のテラヘルツ装置。
【0410】
(付記4)
前記電極は、
前記ベース側面と前記ベース主面とのコーナ部分にて前記ベース側面に向かうように屈曲している基端部と、
前記ベース側面と前記ベース裏面とのコーナ部分にて屈曲している屈曲部と、
前記ベース裏面に配置されている先端部と、
を備えており、
前記側面電極は、前記基端部から前記屈曲部までの部分であり、
前記裏面電極は、前記屈曲部から前記先端部までの部分である付記3に記載のテラヘルツ装置。
【0411】
(付記5)
前記テラヘルツ素子は、
電磁波が発生する発振点を有する素子主面と、
前記素子主面とは反対側の素子裏面と、
を有し、
前記反射膜は、前記素子裏面よりも前記素子主面側に配置されている付記1~4のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0412】
(付記6)
前記テラヘルツ素子は、前記発振点から開口角度の範囲に亘って放射状に電磁波を照射するものであり、
前記反射膜は、前記発振点に対して前記開口角度以上の角度に亘って形成されている付記5に記載のテラヘルツ装置。
【0413】
(付記7)
前記反射膜はパラポラアンテナ形状である付記5または付記6に記載のテラヘルツ装置。
【0414】
(付記8)
前記反射膜は、当該反射膜の焦点が前記発振点に位置するように配置されている付記7に記載のテラヘルツ装置。
【0415】
(付記9)
前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て、前記反射膜の中心点と前記発振点とが一致している付記7に記載のテラヘルツ装置。
【0416】
(付記10)
前記反射膜は、前記テラヘルツ素子から発生する電磁波が共振するように、当該電磁波の周波数に対応する位置に配置されている付記7~9のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0417】
(付記11)
前記テラヘルツ素子は、前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て、前記反射膜の中心点と前記発振点とがずれた位置に配置されている付記7に記載のテラヘルツ装置。
【0418】
(付記12)
前記反射膜は、電気的にフローティング状態である付記1~11のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0419】
(付記13)
前記アンテナベースは絶縁性材料によって形成されている付記1~12のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0420】
(付記14)
前記基材は、前記反射膜と対向する位置に設けられ、電磁波が透過する材料によって形成されている付記1~13のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0421】
(付記15)
前記基材は誘電体によって形成されている付記14に記載のテラヘルツ装置。
(付記16)
前記基材は、前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面を有し、
前記アンテナベースは、
前記取付主面と対向するベース主面と、
前記ベース主面から凹んだものであって前記アンテナ面を有する凹部と、
を備え、
前記テラヘルツ素子および前記反射膜は、前記取付主面と前記アンテナ面とによって区画された収容空間内に配置されている付記1~15のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0422】
(付記17)
前記反射膜は、前記アンテナ面に形成されている一方、前記ベース主面には形成されていない付記16に記載のテラヘルツ装置。
【0423】
(付記18)
前記アンテナベースは、前記凹部とは別に設けられ、前記テラヘルツ素子に対して並列接続された保護ダイオードが収容される収容凹部を備えている付記16または付記17に記載のテラヘルツ装置。
【0424】
(付記19)
前記取付主面に設けられ、前記テラヘルツ素子と接続される導電部材と、
前記アンテナベースと前記導電部材との間に設けられ、前記アンテナベースと前記導電部材とを接着させる接着層と、
を備え、
前記接着層は、絶縁性材料で形成されており、前記反射膜と前記導電部材との間に介在している付記16~18のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0425】
(付記20)
前記接着層とは別に前記反射膜と前記導電部材との間に設けられた絶縁性のスペーサを備えている付記19に記載のテラヘルツ装置。
【0426】
(付記21)
前記凹部は、前記アンテナ面よりも拡径した拡径面と、前記アンテナ面と前記拡径面との間に形成された段差面と、を有し、
前記反射膜は、前記アンテナ面と前記段差面とに亘って形成されている付記19または付記20に記載のテラヘルツ装置。
【0427】
(付記22)
前記基材は、前記取付主面とは反対側の取付裏面を有し、
前記テラヘルツ装置は、前記取付裏面のうち前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て前記導電部材と重なる部分の少なくとも一部に形成され、電磁波の反射を低減させる反射低減膜を備えている付記19~21のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0428】
(付記23)
前記基材には、前記テラヘルツ素子と接続される導電部材が設けられ、
前記導電部材には、前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て前記反射膜の少なくとも一部と重なる開口部が形成されている付記1~22のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0429】
(付記24)
前記導電部材は、互いに離間して対向配置された第1導電部および第2導電部を有し、
前記開口部は、前記第1導電部と前記第2導電部との間の隙間を含む付記23に記載のテラヘルツ装置。
【0430】
(付記25)
前記開口部は、
前記第1導電部における前記対向方向から見て前記反射膜と重なる部分に形成され、前記隙間と連通している第1パーツ開口部と、
前記第2導電部における前記対向方向から見て前記反射膜と重なる部分に形成され、前記隙間と連通している第2パーツ開口部と、
を有している付記24に記載のテラヘルツ装置。
【0431】
(付記26)
前記第1導電部は、前記テラヘルツ素子と電気的に接続するための第1接続部を有し、
前記第1接続部は、前記第1パーツ開口部の内壁面である第1内壁面から前記テラヘルツ素子に向けて突出しており、
前記第2導電部は、前記テラヘルツ素子と電気的に接続するための第2接続部を有し、
前記第2接続部は、前記第2パーツ開口部の内壁面である第2内壁面から前記テラヘルツ素子に向けて突出している付記25に記載のテラヘルツ装置。
【0432】
(付記27)
前記テラヘルツ素子に形成された第1パッドと、前記第1接続部とを接続する第1ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第1内壁面からの前記第1接続部の突出寸法は、前記第1ワイヤの長さよりも短い付記26に記載のテラヘルツ装置。
【0433】
(付記28)
前記テラヘルツ素子に形成された第2パッドと、前記第2接続部とを接続する第2ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第2内壁面からの前記第2接続部の突出寸法は、前記第2ワイヤの長さよりも短い付記27に記載のテラヘルツ装置。
【0434】
(付記29)
前記テラヘルツ素子に形成された第1パッドと、前記第1接続部とを接続する第1ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第1ワイヤの長さは、前記第1内壁面からの前記第1接続部の突出寸法よりも短い付記26に記載のテラヘルツ装置。
【0435】
(付記30)
前記テラヘルツ素子に形成された第2パッドと、前記第2接続部とを接続する第2ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第2ワイヤの長さは、前記第2内壁面からの前記第2接続部の突出寸法よりも短い付記29に記載のテラヘルツ装置。
【0436】
(付記31)
前記第1接続部と前記第2接続部とは、前記テラヘルツ素子を介して対向配置されている付記26~30のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0437】
(付記32)
前記第1接続部と前記第2接続部とは、平行に並んで配列されている付記26~30のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0438】
(付記33)
前記導電部材は、リードフレームによって構成されており、
前記基材は、前記リードフレームに取り付けられている付記23~32のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0439】
(付記34)
前記基材は、前記リードフレームの厚さよりも薄い板状である付記33に記載のテラヘルツ装置。
【0440】
(付記35)
前記基材としてのリードフレームを備え、
前記リードフレームは、
前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付ベースと、
前記取付ベースと繋がる部分であって、前記テラヘルツ素子に形成された第1パッドと第1ワイヤを介して電気的に接続される第1接続部と、
前記第1接続部とは絶縁され、前記テラヘルツ素子に形成された第2パッドと第2ワイヤを介して電気的に接続される第2接続部と、
を備えている付記1に記載のテラヘルツ装置。
【0441】
(付記36)
前記基材は、
前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面と、
前記取付主面とは反対側の取付裏面と、
を有し、
前記アンテナベースは、前記取付裏面側に設けられており、
前記テラヘルツ素子と前記反射膜とは前記基材を介して対向している付記1に記載のテラヘルツ装置。
【0442】
(付記37)
電磁波を発生させるテラヘルツ素子と、
前記テラヘルツ素子に対して対向しかつ前記テラヘルツ素子から発生した電磁波の少なくとも一部を反射する反射部を有する基材と、
前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、
前記アンテナ面に形成され、前記反射部によって反射された電磁波の少なくとも一部を一方向に向けて反射させる反射膜と、
を備えているテラヘルツ装置。
【0443】
(付記38)
基材と、
前記基材に取り付けられ、電磁波を受信するテラヘルツ素子と、
前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、
前記アンテナ面に形成され、入射された電磁波を前記テラヘルツ素子に向けて反射させる反射膜と、
を備えているテラヘルツ装置。
【0444】
(付記39)
前記アンテナベースは、
前記基材と対向するベース主面と、
前記ベース主面とは反対側のベース裏面と、
側方を向いたベース側面と、
を有し、
前記テラヘルツ装置は、外部との電気的接続に用いられる電極を備え、
前記電極は、
前記ベース側面に形成された側面電極と、
前記ベース裏面に形成された裏面電極と、
を有している付記38に記載のテラヘルツ装置。
【0445】
(付記40)
前記電極は、前記アンテナベースに沿って折り曲げられたリードフレームによって構成されている付記39に記載のテラヘルツ装置。
【0446】
(付記41)
前記電極は、
前記ベース側面と前記ベース主面とのコーナ部分にて前記ベース側面に向かうように屈曲している基端部と、
前記ベース側面と前記ベース裏面とのコーナ部分にて屈曲している屈曲部と、
前記ベース裏面に配置されている先端部と、
を備えており、
前記側面電極は、前記基端部から前記屈曲部までの部分であり、
前記裏面電極は、前記屈曲部から前記先端部までの部分である付記40に記載のテラヘルツ装置。
【0447】
(付記42)
前記テラヘルツ素子は、
電磁波を受信する受信点を有する素子主面と、
前記素子主面とは反対側の素子裏面と、
を有し、
前記反射膜は、前記素子裏面よりも前記素子主面側に配置されている付記38~41のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0448】
(付記43)
前記テラヘルツ素子は、前記受信点に対して開口角度の範囲に亘る電磁波を受信するものであり、
前記反射膜は、前記受信点に対して前記開口角度以上の角度に亘って形成されている付記42に記載のテラヘルツ装置。
【0449】
(付記44)
前記反射膜はパラポラアンテナ形状である付記42または付記43に記載のテラヘルツ装置。
【0450】
(付記45)
前記反射膜は、当該反射膜の焦点が前記受信点に位置するように配置されている付記44に記載のテラヘルツ装置。
【0451】
(付記46)
前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て、前記反射膜の中心点と前記受信点とが一致している付記44に記載のテラヘルツ装置。
【0452】
(付記47)
前記反射膜は、前記テラヘルツ素子が受信する電磁波が共振するように、当該電磁波の周波数に対応する位置に配置されている付記44~46のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0453】
(付記48)
前記テラヘルツ素子は、前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て、前記反射膜の中心点と前記受信点とがずれた位置に配置されている付記44に記載のテラヘルツ装置。
【0454】
(付記49)
前記反射膜は、電気的にフローティング状態である付記38~48のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0455】
(付記50)
前記アンテナベースは絶縁性材料によって形成されている付記38~49のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0456】
(付記51)
前記基材は、前記反射膜と対向する位置に設けられ、電磁波が透過する材料によって形成されている付記38~50のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0457】
(付記52)
前記基材は誘電体によって形成されている付記51に記載のテラヘルツ装置。
(付記53)
前記基材は、前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面を有し、
前記アンテナベースは、
前記取付主面と対向するベース主面と、
前記ベース主面から凹んだものであって前記アンテナ面を有する凹部と、
を備え、
前記テラヘルツ素子および前記反射膜は、前記取付主面と前記アンテナ面とによって区画された収容空間内に配置されている付記38~52のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0458】
(付記54)
前記反射膜は、前記アンテナ面に形成されている一方、前記ベース主面には形成されていない付記53に記載のテラヘルツ装置。
【0459】
(付記55)
前記アンテナベースは、前記凹部とは別に設けられ、前記テラヘルツ素子に対して並列接続された保護ダイオードが収容される収容凹部を備えている付記53または付記54に記載のテラヘルツ装置。
【0460】
(付記56)
前記取付主面に設けられ、前記テラヘルツ素子と接続される導電部材と、
前記アンテナベースと前記導電部材との間に設けられ、前記アンテナベースと前記導電部材とを接着させる接着層と、
を備え、
前記接着層は、絶縁性材料で形成されており、前記反射膜と前記導電部材との間に介在している付記53~55のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0461】
(付記57)
前記接着層とは別に前記反射膜と前記導電部材との間に設けられた絶縁性のスペーサを備えている付記56に記載のテラヘルツ装置。
【0462】
(付記58)
前記凹部は、前記アンテナ面よりも拡径した拡径面と、前記アンテナ面と前記拡径面との間に形成された段差面と、を有し、
前記反射膜は、前記アンテナ面と前記段差面とに亘って形成されている付記56または付記57に記載のテラヘルツ装置。
【0463】
(付記59)
前記基材は、前記取付主面とは反対側の取付裏面を有し、
前記テラヘルツ装置は、前記取付裏面のうち前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て前記導電部材と重なる部分の少なくとも一部に形成され、電磁波の反射を低減させる反射低減膜を備えている付記56~58のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0464】
(付記60)
前記基材には、前記テラヘルツ素子と接続される導電部材が設けられ、
前記導電部材には、前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て前記反射膜の少なくとも一部と重なる開口部が形成されている付記38~59のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0465】
(付記61)
前記導電部材は、互いに離間して対向配置された第1導電部および第2導電部を有し、
前記開口部は、前記第1導電部と前記第2導電部との間の隙間を含む付記60に記載のテラヘルツ装置。
【0466】
(付記62)
前記開口部は、
前記第1導電部における前記対向方向から見て前記反射膜と重なる部分に形成され、前記隙間と連通している第1パーツ開口部と、
前記第2導電部における前記対向方向から見て前記反射膜と重なる部分に形成され、前記隙間と連通している第2パーツ開口部と、
を有している付記61に記載のテラヘルツ装置。
【0467】
(付記63)
前記第1導電部は、前記テラヘルツ素子と電気的に接続するための第1接続部を有し、
前記第1接続部は、前記第1パーツ開口部の内壁面である第1内壁面から前記テラヘルツ素子に向けて突出しており、
前記第2導電部は、前記テラヘルツ素子と電気的に接続するための第2接続部を有し、
前記第2接続部は、前記第2パーツ開口部の内壁面である第2内壁面から前記テラヘルツ素子に向けて突出している付記62に記載のテラヘルツ装置。
【0468】
(付記64)
前記テラヘルツ素子に形成された第1パッドと、前記第1接続部とを接続する第1ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第1内壁面からの前記第1接続部の突出寸法は、前記第1ワイヤの長さよりも短い付記63に記載のテラヘルツ装置。
【0469】
(付記65)
前記テラヘルツ素子に形成された第2パッドと、前記第2接続部とを接続する第2ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第2内壁面からの前記第2接続部の突出寸法は、前記第2ワイヤの長さよりも短い付記64に記載のテラヘルツ装置。
【0470】
(付記66)
前記テラヘルツ素子に形成された第1パッドと、前記第1接続部とを接続する第1ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第1ワイヤの長さは、前記第1内壁面からの前記第1接続部の突出寸法よりも短い付記63に記載のテラヘルツ装置。
【0471】
(付記67)
前記テラヘルツ素子に形成された第2パッドと、前記第2接続部とを接続する第2ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第2ワイヤの長さは、前記第2内壁面からの前記第2接続部の突出寸法よりも短い付記66に記載のテラヘルツ装置。
【0472】
(付記68)
前記第1接続部と前記第2接続部とは、前記テラヘルツ素子を介して対向配置されている付記63~67のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0473】
(付記69)
前記第1接続部と前記第2接続部とは、平行に並んで配列されている付記63~67のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0474】
(付記70)
前記導電部材は、リードフレームによって構成されており、
前記基材は、前記リードフレームに取り付けられている付記60~69のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0475】
(付記71)
前記基材は、前記リードフレームの厚さよりも薄い板状である付記70に記載のテラヘルツ装置。
【0476】
(付記72)
前記基材としてのリードフレームを備え、
前記リードフレームは、
前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付ベースと、
前記取付ベースと繋がる部分であって、前記テラヘルツ素子に形成された第1パッドと第1ワイヤを介して電気的に接続される第1接続部と、
前記第1接続部とは絶縁され、前記テラヘルツ素子に形成された第2パッドと第2ワイヤを介して電気的に接続される第2接続部と、
を備えている付記38に記載のテラヘルツ装置。
【0477】
(付記73)
前記基材は、
前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面と、
前記取付主面とは反対側の取付裏面と、
を有し、
前記アンテナベースは、前記取付裏面側に設けられており、
前記テラヘルツ素子と前記反射膜とは前記基材を介して対向している付記38に記載のテラヘルツ装置。
【0478】
(付記74)
電磁波を受信するテラヘルツ素子と、
前記テラヘルツ素子に対して対向する位置に設けられ、入射された電磁波の少なくとも一部を前記テラヘルツ素子に向けて反射させる反射部を有する基材と、
前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、
前記アンテナ面に形成され、入射された電磁波の少なくとも一部を前記反射部に向けて反射させる反射膜と、
を備えているテラヘルツ装置。
【0479】
(付記75)
基材と、
前記基材に取り付けられ、電磁波を発生させるテラヘルツ素子と、
前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、
前記アンテナ面に形成され、前記テラヘルツ素子から発生した電磁波の少なくとも一部を一方向に向けて反射させる反射膜と、
外部との電気的接続に用いられる電極と、
を備え、
前記電極は、前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て、前記アンテナベースに対して側方に突出しているテラヘルツ装置。
【0480】
(付記76)
前記電極は、前記テラヘルツ装置の前記対向方向の中央部よりも前記基材側に偏倚して配置されている付記75に記載のテラヘルツ装置。
【0481】
(付記77)
前記電極は、リードフレームによって構成されている付記75または付記76に記載のテラヘルツ装置。
【0482】
(付記78)
前記電極は、前記アンテナベースから離れるに従って前記基材とは離れる方向に傾斜した傾斜部を含む付記77に記載のテラヘルツ装置。
【0483】
(付記79)
前記電極はクランク形状である付記77または付記78に記載のテラヘルツ装置。
(付記80)
前記基材は支持基板であり、
前記支持基板は、前記対向方向から見て前記アンテナベースよりも側方にはみ出している延出部を有し、
前記電極は、前記延出部に形成された配線パターンによって構成されている付記75または付記76に記載のテラヘルツ装置。
【0484】
(付記81)
前記基材は、前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面と、前記取付主面とは反対側の取付裏面と、を有し、
前記テラヘルツ装置は、
前記取付主面において前記電極とは離間した位置に形成された配線パターンであって、前記テラヘルツ素子と接続された接続パターンと、
前記取付裏面に形成された配線パターンである裏面パターンと、
前記支持基板を貫通することにより、前記接続パターンおよび前記電極と、前記裏面パターンとを接続するスルービアと、
を有し、
前記対向方向から見て、前記反射膜の端は、前記接続パターンと前記電極との間に離間して配置されている付記80に記載のテラヘルツ装置。
【0485】
(付記82)
前記テラヘルツ素子は、
電磁波が発生する発振点を有する素子主面と、
前記素子主面とは反対側の素子裏面と、
を有し、
前記反射膜は、前記素子裏面よりも前記素子主面側に配置されている付記75~81のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0486】
(付記83)
前記テラヘルツ素子は、前記発振点から開口角度の範囲に亘って放射状に電磁波を照射するものであり、
前記反射膜は、前記発振点に対して前記開口角度以上の角度に亘って形成されている付記82に記載のテラヘルツ装置。
【0487】
(付記84)
前記反射膜はパラポラアンテナ形状である付記82または付記83に記載のテラヘルツ装置。
【0488】
(付記85)
前記反射膜は、当該反射膜の焦点が前記発振点に位置するように配置されている付記84に記載のテラヘルツ装置。
【0489】
(付記86)
前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て、前記反射膜の中心点と前記発振点とが一致している付記84に記載のテラヘルツ装置。
【0490】
(付記87)
前記反射膜は、前記テラヘルツ素子から発生する電磁波が共振するように、当該電磁波の周波数に対応する位置に配置されている付記84~86のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0491】
(付記88)
前記テラヘルツ素子は、前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て、前記反射膜の中心点と前記発振点とがずれた位置に配置されている付記84に記載のテラヘルツ装置。
【0492】
(付記89)
前記反射膜は、電気的にフローティング状態である付記75~88のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0493】
(付記90)
前記アンテナベースは絶縁性材料によって形成されている付記75~89のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0494】
(付記91)
前記基材は、前記反射膜と対向する位置に設けられ、電磁波が透過する材料によって形成されている付記75~90のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0495】
(付記92)
前記基材は誘電体によって形成されている付記91に記載のテラヘルツ装置。
(付記93)
前記基材は、前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面を有し、
前記アンテナベースは、
前記取付主面と対向するベース主面と、
前記ベース主面から凹んだものであって前記アンテナ面を有する凹部と、
を備え、
前記テラヘルツ素子および前記反射膜は、前記取付主面と前記アンテナ面とによって区画された収容空間内に配置されている付記75~92のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0496】
(付記94)
前記反射膜は、前記アンテナ面に形成されている一方、前記ベース主面には形成されていない付記93に記載のテラヘルツ装置。
【0497】
(付記95)
前記アンテナベースは、前記凹部とは別に設けられ、前記テラヘルツ素子に対して並列接続された保護ダイオードが収容される収容凹部を備えている付記93または付記94に記載のテラヘルツ装置。
【0498】
(付記96)
前記取付主面に設けられ、前記テラヘルツ素子と接続される導電部材と、
前記アンテナベースと前記導電部材との間に設けられ、前記アンテナベースと前記導電部材とを接着させる接着層と、
を備え、
前記接着層は、絶縁性材料で形成されており、前記反射膜と前記導電部材との間に介在している付記93~95のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0499】
(付記97)
前記接着層とは別に前記反射膜と前記導電部材との間に設けられた絶縁性のスペーサを備えている付記96に記載のテラヘルツ装置。
【0500】
(付記98)
前記凹部は、前記アンテナ面よりも拡径した拡径面と、前記アンテナ面と前記拡径面との間に形成された段差面と、を有し、
前記反射膜は、前記アンテナ面と前記段差面とに亘って形成されている付記96または付記97に記載のテラヘルツ装置。
【0501】
(付記99)
前記基材は、前記取付主面とは反対側の取付裏面を有し、
前記テラヘルツ装置は、前記取付裏面のうち前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て前記導電部材と重なる部分の少なくとも一部に形成され、電磁波の反射を低減させる反射低減膜を備えている付記96~98のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0502】
(付記100)
前記基材には、前記テラヘルツ素子と接続される導電部材が設けられ、
前記導電部材には、前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て前記反射膜の少なくとも一部と重なる開口部が形成されている付記65~99のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0503】
(付記101)
前記導電部材は、互いに離間して対向配置された第1導電部および第2導電部を有し、
前記開口部は、前記第1導電部と前記第2導電部との間の隙間を含む付記100に記載のテラヘルツ装置。
【0504】
(付記102)
前記開口部は、
前記第1導電部における前記対向方向から見て前記反射膜と重なる部分に形成され、前記隙間と連通している第1パーツ開口部と、
前記第2導電部における前記対向方向から見て前記反射膜と重なる部分に形成され、前記隙間と連通している第2パーツ開口部と、
を有している付記101に記載のテラヘルツ装置。
【0505】
(付記103)
前記第1導電部は、前記テラヘルツ素子と電気的に接続するための第1接続部を有し、
前記第1接続部は、前記第1パーツ開口部の内壁面である第1内壁面から前記テラヘルツ素子に向けて突出しており、
前記第2導電部は、前記テラヘルツ素子と電気的に接続するための第2接続部を有し、
前記第2接続部は、前記第2パーツ開口部の内壁面である第2内壁面から前記テラヘルツ素子に向けて突出している付記102に記載のテラヘルツ装置。
【0506】
(付記104)
前記テラヘルツ素子に形成された第1パッドと、前記第1接続部とを接続する第1ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第1内壁面からの前記第1接続部の突出寸法は、前記第1ワイヤの長さよりも短い付記103に記載のテラヘルツ装置。
【0507】
(付記105)
前記テラヘルツ素子に形成された第2パッドと、前記第2接続部とを接続する第2ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第2内壁面からの前記第2接続部の突出寸法は、前記第2ワイヤの長さよりも短い付記104に記載のテラヘルツ装置。
【0508】
(付記106)
前記テラヘルツ素子に形成された第1パッドと、前記第1接続部とを接続する第1ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第1ワイヤの長さは、前記第1内壁面からの前記第1接続部の突出寸法よりも短い付記103に記載のテラヘルツ装置。
【0509】
(付記107)
前記テラヘルツ素子に形成された第2パッドと、前記第2接続部とを接続する第2ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第2ワイヤの長さは、前記第2内壁面からの前記第2接続部の突出寸法よりも短い付記106に記載のテラヘルツ装置。
【0510】
(付記108)
前記第1接続部と前記第2接続部とは、前記テラヘルツ素子を介して対向配置されている付記103~107のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0511】
(付記109)
前記第1接続部と前記第2接続部とは、平行に並んで配列されている付記103~107のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0512】
(付記110)
前記導電部材は、リードフレームによって構成されており、
前記基材は、前記リードフレームに取り付けられている付記96~109のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0513】
(付記111)
前記基材は、前記リードフレームの厚さよりも薄い板状である付記110に記載のテラヘルツ装置。
【0514】
(付記112)
前記基材は、支持基板であり、
前記導電部材は、前記支持基板に形成された配線パターンを含む付記96~109のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0515】
(付記113)
前記基材としてのリードフレームを備え、
前記リードフレームは、
前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付ベースと、
前記取付ベースと繋がる部分であって、前記テラヘルツ素子に形成された第1パッドと第1ワイヤを介して電気的に接続される第1接続部と、
前記第1接続部とは絶縁され、前記テラヘルツ素子に形成された第2パッドと第2ワイヤを介して電気的に接続される第2接続部と、
を備えている付記75に記載のテラヘルツ装置。
【0516】
(付記114)
前記基材は、
前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面と、
前記取付主面とは反対側の取付裏面と、
を有し、
前記アンテナベースは、前記取付裏面側に設けられており、
前記テラヘルツ素子と前記反射膜とは前記基材を介して対向している付記75に記載のテラヘルツ装置。
【0517】
(付記115)
前記アンテナベースは、前記テラヘルツ素子から離れる方向に凸となるように湾曲した凸レンズ状であり、
前記アンテナ面は、前記アンテナベースのレンズ面に対応する付記75に記載のテラヘルツ装置。
【0518】
(付記116)
前記基材は、
前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面と、
前記取付主面とは反対側の取付裏面と、
を有し、
前記アンテナベースは、前記基材における前記取付裏面側に設けられており、
前記テラヘルツ素子と前記反射膜とは、前記基材および前記アンテナベースを介して対向している付記115に記載のテラヘルツ装置。
【0519】
(付記117)
基材と、
前記基材に取り付けられ、電磁波を受信するテラヘルツ素子と、
前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、
前記アンテナ面に形成され、入射された電磁波を前記テラヘルツ素子に向けて反射させる反射膜と、
外部との電気的接続に用いられる電極と、
を備え、
前記電極は、前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て、前記アンテナベースに対して側方に突出しているテラヘルツ装置。
【0520】
(付記118)
前記電極は、前記テラヘルツ装置の前記対向方向の中央部よりも前記基材側に偏倚して配置されている付記117に記載のテラヘルツ装置。
【0521】
(付記119)
前記電極は、リードフレームによって構成されている付記117または付記118に記載のテラヘルツ装置。
【0522】
(付記120)
前記電極は、前記アンテナベースから離れるに従って前記基材とは離れる方向に傾斜した傾斜部を含む付記119に記載のテラヘルツ装置。
【0523】
(付記121)
前記電極はクランク形状である付記119または付記120に記載のテラヘルツ装置。
(付記122)
前記基材は支持基板であり、
前記支持基板は、前記対向方向から見て前記アンテナベースよりも側方にはみ出している延出部を有し、
前記電極は、前記延出部に形成された配線パターンによって構成されている付記117または付記118に記載のテラヘルツ装置。
【0524】
(付記123)
前記基材は、前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面と、前記取付主面とは反対側の取付裏面と、を有し、
前記テラヘルツ装置は、
前記取付主面において前記電極とは離間した位置に形成された配線パターンであって、前記テラヘルツ素子と接続された接続パターンと、
前記取付裏面に形成された配線パターンである裏面パターンと、
前記支持基板を貫通することにより、前記接続パターンおよび前記電極と、前記裏面パターンとを接続するスルービアと、
を有し、
前記対向方向から見て、前記反射膜の端は、前記接続パターンと前記電極との間に離間して配置されている付記122に記載のテラヘルツ装置。
【0525】
(付記124)
前記テラヘルツ素子は、
電磁波を受信する受信点を有する素子主面と、
前記素子主面とは反対側の素子裏面と、
を有し、
前記反射膜は、前記素子裏面よりも前記素子主面側に配置されている付記117~123のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0526】
(付記125)
前記テラヘルツ素子は、前記受信点に対して開口角度の範囲に亘る電磁波を受信するものであり、
前記反射膜は、前記受信点に対して前記開口角度以上の角度に亘って形成されている付記124に記載のテラヘルツ装置。
【0527】
(付記126)
前記反射膜はパラポラアンテナ形状である付記124または付記125に記載のテラヘルツ装置。
【0528】
(付記127)
前記反射膜は、当該反射膜の焦点が前記受信点に位置するように配置されている付記126に記載のテラヘルツ装置。
【0529】
(付記128)
前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て、前記反射膜の中心点と前記受信点とが一致している付記126に記載のテラヘルツ装置。
【0530】
(付記129)
前記反射膜は、前記テラヘルツ素子が受信する電磁波が共振するように、当該電磁波の周波数に対応する位置に配置されている付記126~128のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0531】
(付記130)
前記テラヘルツ素子は、前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て、前記反射膜の中心点と前記受信点とがずれた位置に配置されている付記126に記載のテラヘルツ装置。
【0532】
(付記131)
前記反射膜は、電気的にフローティング状態である付記117~130のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0533】
(付記132)
前記アンテナベースは絶縁性材料によって形成されている付記117~131のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0534】
(付記133)
前記基材は、前記反射膜と対向する位置に設けられ、電磁波が透過する材料によって形成されている付記117~132のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0535】
(付記134)
前記基材は誘電体によって形成されている付記133に記載のテラヘルツ装置。
(付記135)
前記基材は、前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面を有し、
前記アンテナベースは、
前記取付主面と対向するベース主面と、
前記ベース主面から凹んだものであって前記アンテナ面を有する凹部と、
を備え、
前記テラヘルツ素子および前記反射膜は、前記取付主面と前記アンテナ面とによって区画された収容空間内に配置されている付記117~134のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0536】
(付記136)
前記反射膜は、前記アンテナ面に形成されている一方、前記ベース主面には形成されていない付記135に記載のテラヘルツ装置。
【0537】
(付記137)
前記アンテナベースは、前記凹部とは別に設けられ、前記テラヘルツ素子に対して並列接続された保護ダイオードが収容される収容凹部を備えている付記135または付記136に記載のテラヘルツ装置。
【0538】
(付記138)
前記取付主面に設けられ、前記テラヘルツ素子と接続される導電部材と、
前記アンテナベースと前記導電部材との間に設けられ、前記アンテナベースと前記導電部材とを接着させる接着層と、
を備え、
前記接着層は、絶縁性材料で形成されており、前記反射膜と前記導電部材との間に介在している付記135~137のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0539】
(付記139)
前記接着層とは別に前記反射膜と前記導電部材との間に設けられた絶縁性のスペーサを備えている付記138に記載のテラヘルツ装置。
【0540】
(付記140)
前記凹部は、前記アンテナ面よりも拡径した拡径面と、前記アンテナ面と前記拡径面との間に形成された段差面と、を有し、
前記反射膜は、前記アンテナ面と前記段差面とに亘って形成されている付記138または付記139に記載のテラヘルツ装置。
【0541】
(付記141)
前記基材は、前記取付主面とは反対側の取付裏面を有し、
前記テラヘルツ装置は、前記取付裏面のうち前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て前記導電部材と重なる部分の少なくとも一部に形成され、電磁波の反射を低減させる反射低減膜を備えている付記138~140のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0542】
(付記142)
前記基材には、前記テラヘルツ素子と接続される導電部材が設けられ、
前記導電部材には、前記基材と前記アンテナベースとの対向方向から見て前記反射膜の少なくとも一部と重なる開口部が形成されている付記117~141のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0543】
(付記143)
前記導電部材は、互いに離間して対向配置された第1導電部および第2導電部を有し、
前記開口部は、前記第1導電部と前記第2導電部との間の隙間を含む付記142に記載のテラヘルツ装置。
【0544】
(付記144)
前記開口部は、
前記第1導電部における前記対向方向から見て前記反射膜と重なる部分に形成され、前記隙間と連通している第1パーツ開口部と、
前記第2導電部における前記対向方向から見て前記反射膜と重なる部分に形成され、前記隙間と連通している第2パーツ開口部と、
を有している付記143に記載のテラヘルツ装置。
【0545】
(付記145)
前記第1導電部は、前記テラヘルツ素子と電気的に接続するための第1接続部を有し、
前記第1接続部は、前記第1パーツ開口部の内壁面である第1内壁面から前記テラヘルツ素子に向けて突出しており、
前記第2導電部は、前記テラヘルツ素子と電気的に接続するための第2接続部を有し、
前記第2接続部は、前記第2パーツ開口部の内壁面である第2内壁面から前記テラヘルツ素子に向けて突出している付記144に記載のテラヘルツ装置。
【0546】
(付記146)
前記テラヘルツ素子に形成された第1パッドと、前記第1接続部とを接続する第1ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第1内壁面からの前記第1接続部の突出寸法は、前記第1ワイヤの長さよりも短い付記145に記載のテラヘルツ装置。
【0547】
(付記147)
前記テラヘルツ素子に形成された第2パッドと、前記第2接続部とを接続する第2ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第2内壁面からの前記第2接続部の突出寸法は、前記第2ワイヤの長さよりも短い付記146に記載のテラヘルツ装置。
【0548】
(付記148)
前記テラヘルツ素子に形成された第1パッドと、前記第1接続部とを接続する第1ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第1ワイヤの長さは、前記第1内壁面からの前記第1接続部の突出寸法よりも短い付記145に記載のテラヘルツ装置。
【0549】
(付記149)
前記テラヘルツ素子に形成された第2パッドと、前記第2接続部とを接続する第2ワイヤを有し、
前記対向方向から見て、前記第2ワイヤの長さは、前記第2内壁面からの前記第2接続部の突出寸法よりも短い付記148に記載のテラヘルツ装置。
【0550】
(付記150)
前記第1接続部と前記第2接続部とは、前記テラヘルツ素子を介して対向配置されている付記145~149のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0551】
(付記151)
前記第1接続部と前記第2接続部とは、平行に並んで配列されている付記145~149のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0552】
(付記152)
前記導電部材は、リードフレームによって構成されており、
前記基材は、前記リードフレームに取り付けられている付記138~151のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0553】
(付記153)
前記基材は、前記リードフレームの厚さよりも薄い板状である付記152に記載のテラヘルツ装置。
【0554】
(付記154)
前記基材は、支持基板であり、
前記導電部材は、前記支持基板に形成された配線パターンを含む付記138~151のうちいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0555】
(付記155)
前記基材としてのリードフレームを備え、
前記リードフレームは、
前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付ベースと、
前記取付ベースと繋がる部分であって、前記テラヘルツ素子に形成された第1パッドと第1ワイヤを介して電気的に接続される第1接続部と、
前記第1接続部とは絶縁され、前記テラヘルツ素子に形成された第2パッドと第2ワイヤを介して電気的に接続される第2接続部と、
を備えている付記117に記載のテラヘルツ装置。
【0556】
(付記156)
前記基材は、
前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面と、
前記取付主面とは反対側の取付裏面と、
を有し、
前記アンテナベースは、前記取付裏面側に設けられており、
前記テラヘルツ素子と前記反射膜とは前記基材を介して対向している付記117に記載のテラヘルツ装置。
【0557】
(付記157)
前記アンテナベースは、前記テラヘルツ素子から離れる方向に凸となるように湾曲した凸レンズ状であり、
前記アンテナ面は、前記アンテナベースのレンズ面に対応する付記117に記載のテラヘルツ装置。
【0558】
(付記158)
前記基材は、
前記テラヘルツ素子が取り付けられる取付主面と、
前記取付主面とは反対側の取付裏面と、
を有し、
前記アンテナベースは、前記基材における前記取付裏面側に設けられており、
前記テラヘルツ素子と前記反射膜とは、前記基材および前記アンテナベースを介して対向している付記157に記載のテラヘルツ装置。
【0559】
(付記159)
前記アンテナベースは、前記凹部とは別に設けられ、前記テラヘルツ素子に対して電気的に接続された特定素子が収容される収容凹部を備えていてもよい。
【0560】
(付記160)
前記特定素子はICであるとよい。
(付記161)
基材と、
前記基材に取り付けられ、電磁波を発生させるテラヘルツ素子と、
前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、
前記アンテナ面に形成され、前記テラヘルツ素子から発生した電磁波の少なくとも一部を一方向に向けて反射させる反射膜と、を備えているテラヘルツ装置。
【0561】
(付記162)
基材と、
前記基材に取り付けられ、電磁波を受信するテラヘルツ素子と、
前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、
前記アンテナ面に形成され、入射された電磁波を前記テラヘルツ素子に向けて反射させる反射膜と、を備えているテラヘルツ装置。
【0562】
(付記163)
電磁波を発生させるテラヘルツ素子と、
前記テラヘルツ素子に対して対向しかつ前記テラヘルツ素子から発生した電磁波の少なくとも一部を反射する反射部を有する基材と、
前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、
前記アンテナ面に形成され、前記反射部によって反射された電磁波の少なくとも一部を一方向に向けて反射させる反射膜と、を備えているテラヘルツ装置。
【0563】
(付記164)
電磁波を受信するテラヘルツ素子と、
前記テラヘルツ素子に対して対向する位置に設けられ、入射された電磁波の少なくとも一部を前記テラヘルツ素子に向けて反射させる反射部を有する基材と、
前記基材と対向する位置に設けられ、アンテナ面を有するアンテナベースと、
前記アンテナ面に形成され、入射された電磁波の少なくとも一部を前記反射部に向けて反射させる反射膜と、を備えているテラヘルツ装置。
【0564】
(付記165)
前記アンテナベースは、前記凹部とは別に設けられ、前記テラヘルツ素子に対して電気的に接続された特定素子が収容される収容凹部を備えていてもよい。
【0565】
(付記166)
前記テラヘルツ素子に電気的に接続された状態で、前記取付裏面に実装された特定素子を備えていてもよい。
【0566】
(付記167)
前記特定素子は、ICであるとよい。
【符号の説明】
【0567】
10…テラヘルツ装置
11…取付板(基材)
12…取付主面
13…取付裏面
20…テラヘルツ素子
21…素子主面
22…素子裏面
33b…第1パッド
34b…第2パッド
50…アンテナベース
50a…ベース主面
50b…ベース裏面
51a…第1ベース側面
51b…第2ベース側面
52…凹部
53…アンテナ面
54,223,224…反射膜
54a…反射膜の端
60…リードフレーム
61…第1リードパーツ
63…第1パーツ開口部
64…第1内壁面
65,211…第1接続部
71…第2リードパーツ
73…第2パーツ開口部
74…第2内壁面
75,212…第2接続部
80…開口部
81…隙間
90…接着層
94,101,304,305…電極
94a,101a…基端部
94b,101b…屈曲部
94c,101c…先端部
95,102…側面電極
93,103…裏面電極
110…回路基板
120…反射低減膜
131,132…保護ダイオード
141,142…収容凹部
200…スペーサ
210…取付ベース
221…拡径面
222…段差面
300…反射部
301…反射用凸部
A1…収容空間
P1…発振点
P2…反射膜の中心点
W1…第1ワイヤ
W2…第2ワイヤ
θ…開口角度
153…取付主面
154…取付裏面
230…アンテナベース
231…アンテナ面
233,283,290…反射膜
170…接着層
91,171,192,242…第1電極(電極)
92,172,202,252…第2電極(電極)
91a,92a…傾斜部
116…孔
180,220…反射低減膜
150…支持基板(基材)
151,152…延出部
160…配線パターン
191,201,241,251…接続パターン
193,203…裏面パターン
194,195,204,205…スルービア
260…スペーサ
270…取付ベース
281…拡径面
282…段差面