(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】FLT3阻害剤及び低メチル化剤を含む急性骨髄性白血病の治療のための薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20241028BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241028BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241028BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241028BHJP
A61K 31/706 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61P35/02
A61K45/00
A61K31/706
(21)【出願番号】P 2021547541
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 KR2020002536
(87)【国際公開番号】W WO2020171646
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】10-2019-0021228
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0021502
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516132149
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペ、イン ファン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チ ソク
(72)【発明者】
【氏名】チェ、チェ ヨル
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヨン キル
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6806931(JP,B2)
【文献】国際公開第2018/139903(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170348(WO,A1)
【文献】Heiko KONIG et al.,“The Combination Of FLT3 Inhibition and Hypomethylation Confers Synergistic Anti-Leukemic Effects On FLT3/ITD Positive AML Cell Lines and Primary Cells”,Blood,2013年11月15日,Vol. 122, No. 21,p.3965-3965,DOI: 10.1182/blood.V122.21.3965.3965
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
A61P 1/00-43/00
A61K 45/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物、その立体異性体、その互変異性体、それらの組み合わせ、またはその薬剤学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、
低メチル化剤(HMA)、その薬剤学的に許容される塩、または溶媒和物と
を含む、組み合わせ医薬:
【化1】
前記化学式1で、
E
aは、水素、ヒドロキシまたはC
1-C
4アルコキシであり、
E
bは、水素、ハロゲン、C
1-C
4アルキルまたはC
1-C
4フルオロアルキルであり、
E
cとE
dは、互いに独立して、水素またはヒドロキシであり、
X’は、水素またはヒドロキシであり、
kは、1または2の整数であり、
それぞれのQは、互いに独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、C
1-C
4アルキル、ヒドロキシC
1-C
4アルキルまたはC
1-C
4アルコキシであり、
Z’は、化学式2に示した一価官能基であり、
【化2】
このとき、前記化学式2で、nは、1または2の整数であり、
それぞれのAは、互いに独立して、ヒドロキシ、C
1-C
4アルキル及びヒドロキシC
1-C
4アルキルのうちから選択される官能基であり、このとき、少なくとも1つのAは、C
1-C
4アルキルであり、
Lは、水素、C
1-C
4アルキル、ヒドロキシまたはヒドロキシC
1-C
4アルキルである。
【請求項2】
前記化学式1の化合物は、下記化学式3の化合物、その立体異性体、その互変異性体、及びそれらの組み合わせのうちから選択される化合物である、請求項1に記載の組み合わせ医薬:
【化3】
前記化学式3で、
E
fは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、
Q
oは、ヒドロキシ、ハロゲン、C
1-C
4アルキル、ヒドロキシC
1-C
4アルキルまたはC
1-C
4アルコキシであり、
sは、1または2の整数であり、
A
oは、ヒドロキシ、C
1-C
4アルキル及びヒドロキシC
1-C
4アルキルのうちから選択される官能基であり、tは、1または2の整数である。
【請求項3】
前記化学式3の化合物は、5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,
5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン、その薬剤学的に許容される塩、その立体異性体、またはその水和物である、請求項2に記載の組み合わせ医薬。
【請求項4】
低メチル化剤(HMA)は、4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン、4-アミノ-1-((2R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン、及びそれらの薬剤学的に許容される塩からなる群より選択されるいずれか一つ、またはそれらの水和物である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
【請求項5】
前記HMAは、4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンである、請求項4に記載の組み合わせ医薬。
【請求項6】
前記HMAは、4-アミノ-1-((2R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンである、請求項4に記載の組み合わせ医薬。
【請求項7】
前記化学式1の化合物は、下記化合物のうちからなる群のうちから選択される化合物である、請求項1に記載の組み合わせ医薬:
1)5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン
2)5-クロロ-4-(6-クロロ-1H-インドール-3-イル)-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)ピリミジン-2-アミン
3)2-((2R,6S)-4-(3-((5-クロロ-4-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-シクロプロピルベンジル)-2,6-ジメチルピペラジン-1-イル)エタン-1-オール
4)2-((2R,6S)-4-(3-((5-クロロ-4-(1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-シクロプロピルベンジル)-2,6-ジメチルピペラジン-1-イル)エタン-1-オール
5)2-((2R,6S)-4-(3-((5-クロロ-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-シクロプロピルベンジル)-
2,6-ジメチルピペラジン-1-イル)エタン-1-オール
6)(R)-5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-((3-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン
7)(R)-5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-((3-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン
8)5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン
9)5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3S、5R)-3-エチル-5-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン
10)5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-((3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピ
リミジン-2-アミン
11)N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン
12)N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-5-フルオロ-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン
13)N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(1H-インドール-3-イル)-5-メチルピリミジン-2-アミン
14)N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-5-メチル-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン
15)N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-アミン
16)(3-(5-クロロ-2-((3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-インドール-6-イル)メタノール
17)5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(5-メトキシ-6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン
18)3-(5-クロロ-2-((3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6-メチル-1H-インドール-5-オール
19)3-(5-クロロ-2-((3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6-メチルインドリン-2-オン
20)5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-メトキシ-6-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン
21)5-クロロ-2-((3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)アミノ)-6-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-4-オール
22)3-(5-クロロ-2-((3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,
5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6-メチル-1H-インドール-7-オール
23)2-((5-クロロ-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-4-シクロプロピル-6-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェノール
24)4-((5-クロロ-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-シクロプロピル-6-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェノール
26)((2R,6R)-4-(3-((5-クロロ-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-シクロプロピルベンジル)-6-メチルピペラジン-2-イル)メタノール
28)5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5R)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン
29)5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3S、5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン
31)(2R,6S)-4-(3-((5-クロロ-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-シクロプロピルベンジル)-2,6-ジメチルピペラジン-1-オール
32)(2R,6S)-4-(3-シクロプロピル-5-((4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ベンジル)-2,6-ジメチルピペラジン-1-オール。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬を含む薬学的組成物。
【請求項9】
急性骨髄性白血病(AML)を治療するための、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬又は請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記AMLは、FLT3突然変異を有するAMLである、請求項9に記載の組み合わせ医薬又は薬学的組成物。
【請求項11】
前記AMLは、突然変異体FLT3ポリヌクレオチド陽性AML、FLT3遺伝子内縦列重複(ITD)陽性AML、またはFLT3点突然変異を有するAMLである、請求項9に記載の組み合わせ医薬又は薬学的組成物。
【請求項12】
前記AMLは、FLT3アミノ酸配列のチロシンキナーゼドメイン(FLT3-TKD)に突然変異を有する、請求項9に記載の組み合わせ医薬又は薬学的組成物。
【請求項13】
前記FLT3-TKD突然変異は、遺伝子内縦列重複(ITD)をさらに含む、請求項12に記載の組み合わせ医薬又は薬学的組成物。
【請求項14】
前記FLT3-TKD突然変異は、FLT3(D835Y)、FLT3(F691L)、FLT3(F691L/D835Y)、FLT3(ITD/D835Y)、FLT3(ITD/F691L)、及びそれらの組み合わせのうちから選択される突然変異を含む、請求項12に記載の組み合わせ医薬又は薬学的組成物。
【請求項15】
前記化学式1の化合物、またはその薬剤学的に許容される塩または溶媒和物と、低メチル化剤(HMA)、またはその薬剤学的に許容される塩または溶媒和物をそれぞれ治療的に有効な量で含む、請求項9~請求項14のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬又は薬学的組成物。
【請求項16】
前記化学式1の化合物、またはその薬剤学的に許容される塩または溶媒和物は、HMA、またはその薬剤学的に許容される塩または溶媒和物と、同時、順次、逆順または個別的に投与される、請求項9~請求項15のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬
又は薬学的組成物。
【請求項17】
前記化学式1の化合物及び前記低メチル化剤(HMA)が1回投与形態または分割投与形態に製剤化される、請求項9~請求項16のいずれか一項に記載の
組み合わせ医薬又は薬学的組成物。
【請求項18】
下記化学式1の化合物、その立体異性体、その互変異性体、それらの組み合わせ、またはその薬剤学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む組み合わせ医薬を使用することを含む、1つ以上のFLT3突然変異を有する急性骨髄性白血病(AML)を治療するための治療剤を製造する方法:
【化4】
前記化学式1で、
E
aは、水素、ヒドロキシまたはC
1-C
4アルコキシであり、
E
bは、水素、ハロゲン、C
1-C
4アルキルまたはC
1-C
4フルオロアルキルであり、
E
cとE
dは、互いに独立して、水素またはヒドロキシであり、
X’は、水素またはヒドロキシであり、
kは、1または2の整数であり、
それぞれのQは、互いに独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、C
1-C
4アルキル、ヒドロキシC
1-C
4アルキルまたはC
1-C
4アルコキシであり、
Z’は、化学式2に示した一価官能基であり、
【化5】
このとき、前記化学式2で、nは、1または2の整数であり、
それぞれのAは、互いに独立して、ヒドロキシ、C
1-C
4アルキル及びヒドロキシC
1-C
4アルキルのうちから選択される官能基であり、このとき、少なくとも1つのAは、C
1-C
4アルキルであり、
Lは、水素、C
1-C
4アルキル、ヒドロキシまたはヒドロキシC
1-C
4アルキルである。
【請求項19】
前記化学式1の化合物は、下記化学式3の化合物、その立体異性体、その互変異性体、及びそれらの組み合わせのうちから選択される化合物である、請求項
18に記載の方法:
【化3】
前記化学式3で、
E
fは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、
Q
oは、ヒドロキシ、ハロゲン、C
1-C
4アルキル、ヒドロキシC
1-C
4アルキルまたはC
1-C
4アルコキシであり、
sは、1または2の整数であり、
A
oは、ヒドロキシ、C
1-C
4アルキル及びヒドロキシC
1-C
4アルキルのうちから選択される官能基であり、tは、1または2の整数である。
【請求項20】
前記化学式3の化合物は、5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン、その薬剤学的に許容される塩、その立体異性体、またはその水和物である、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記AMLは、突然変異体FLT3ポリヌクレオチド陽性AML、FLT3遺伝子内縦列重複(ITD)陽性AML、またはFLT3点突然変異を有するAMLである、請求項
18~請求項
20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記AMLは、FLT3アミノ酸配列のチロシンキナーゼドメイン(FLT3-TKD)に突然変異を有する、請求項
18~請求項
20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記FLT3-TKD突然変異は、遺伝子内縦列重複(ITD)をさらに含む、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
前記FLT3-TKD突然変異は、FLT3(D835Y)、FLT3(F691L)、FLT3(F691L/D835Y)、FLT3(ITD/D835Y)、FLT3(ITD/F691L)、及びそれらの組み合わせのうちから選択される突然変異である、請求項
22に記載の方法。
【請求項25】
前記AMLが、
i)FLT3アミノ酸配列のチロシンキナーゼドメイン(FLT3-TKD)及び遺伝子内縦列重複(ITD)における突然変異;
ii)FLT3(F691L)及びFLT3(F691L/D835Y)から選択される、FLT3アミノ酸配列のチロシンキナーゼドメイン(FLT3-TKD)における突然変異;又は
iii)FLT3アミノ酸配列の第621番目、第627番目、第676番目、第691番目、第697番目、第836番目及び/又は第842番目のアミノ酸の突然変異
を有する、請求項
18~請求項
20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記AMLが、FLT3(ITD/D835Y)又はFLT3(ITD/F691L)の突然変異を有する、請求項
25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Fms様チロシンキナーゼ(FLT3:Fms-like tyrosine kinase-3)阻害剤と低メチル化剤(HMA:hypomethylating agent)との治療有効的組み合わせを含む急性骨髄性白血病の治療のための薬学的組成物、及びそれを利用した急性骨髄性白血病の治療方法に関するの。
【背景技術】
【0002】
Fms様チロシンキナーゼ(FLT3:Fms-like tyrosine kinase-3)は、急性骨髄性白血病(AML:acute myeloid leukemia)で最も頻繁に突然変異がなされる遺伝子のうち一つである。突然変異FLT3(mutant FLT3)は、急性骨髄性白血病(AML)患者の小集団(subpopulation)で示される白血病細胞で発現される突然変異を言う。膜近接ドメインにおいて、遺伝子内縦列重複(ITD:internal tandem duplication)のようなFLT3内の活性化突然変異が新規診断される急性骨髄性白血病(AML)ケースにおいて、約25~30%で示される(特許文献1)。急性骨髄性白血病(AML)患者の約1/3において、FLT3突然変異が起こると知られている(非特許文献1)。
【0003】
臨床において使用可能ないくつかのFLT3阻害剤があるが、そのようなFLT3阻害剤で治療された急性骨髄性白血病(AML)患者においては、薬物耐性白血球細胞が観察され、薬物耐性を示した(非特許文献1)。また、従来、急性骨髄性白血病(AML)標準化学療法としては、急性骨髄性白血病(AML)幹/前駆細胞(stem/progenitor cell)に係わる標的化が不可能であり、患者らが頻繁に疾病が再発し、それにより、長期的な効能が制限されるという問題点がある(非特許文献2)。従って、突然変異急性白血病患者を効果的に治療することができる方法が必要である。
【0004】
FLT3阻害剤に対する耐性を解決するための試みとして、PI3K/Akt,MAPK及びJAK/STAT信号伝逹経路の抑制剤と、FLT3阻害剤との併用使用によるFLT3阻害剤の投与が研究された(非特許文献3)。細胞死滅阻害タンパク質(IAP:inhibitor of apoptosis protein)阻害剤は、細胞死滅を媒介するのに役割を行うタンパク質を言って、それらタンパク質は、急性白血病で多様に発現され、抗癌剤感受性(chemosensitivity)、抗癌剤抵抗性(chemoresistance)、疾病進行(disease progression)、寛解(remission)及び患者生存(patient survival)に係わると知られている(非特許文献3)。そのような細胞死滅阻害タンパク質(IAP)阻害剤及びFLT3阻害剤を組み合わせた急性骨髄性白血病(AML)及び血液係悪性腫瘍に対する治療方法が研究された(特許文献2)。
【0005】
低メチル化剤(脱メチル化薬剤またはハイポメチル化剤)は、DNAを低メチル化(hypomethylation)させる薬剤を言い、アザシチジン(azacitidine)、デシタビン(decitabine)、イダルビシン(idarubicin)などがある。例えば、デシタビンは、一次性及び二次性の骨髄異形成症侯群(MDS:myelodysplastic syndromes)などに臨床的に使用される。アザシチジンは、「4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン」の化学名で呼ばれる薬物であり、ビダーザ(vidaza)というブランドで市販されている。アザシチジンは、FAB骨髄異形成症侯群(MDS)サブタイプを有する患者の治療のためのヌクレオシド代謝阻害剤(低メチル化薬剤)として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0124055号
【文献】韓国公開特許第10-2009-0087094号
【非特許文献】
【0007】
【文献】Mol Cancer Ther 2007; 6(7), July 2007
【文献】J Natl Cancer Inst. Vol. 106, Issue 2, djt440, February 5,2014
【文献】Oncogene. 2010 Sep 16; 29(37): 5120-34
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、FLT3突然変異が存在する患者を含む急性骨髄性白血病(AML)の治療のための代替療法を提供することにより、さらにすぐれた治療成果を誘導することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
FLT3(Fms-like tyrosine kinase-3)は、白血病に対する有望な治療標的であり、急性骨髄性白血病(AML)患者のおよそ30%以上で突然変異される。しかし、急性白血病患者の治療のために使用される標的化されたチロシンキナーゼにおける点突然変異の出現に起因する薬物耐性の発生及び不応性への関心が増大している。そのような耐性を克服するための1つのアプローチは、構造的に係わりのない阻害剤、及び/または異なる信号伝逹経路の阻害剤を組み合わせ、効能及び治療効果が増大されるか否かということを判断することによって確認される。
【0010】
本発明の一様態は、Fms様チロシンキナーゼ(FLT3:Fms-like tyrosine kinase-3)阻害剤、その薬剤学的に許容される塩、またはその溶媒化物を含む薬学的組成物であり、低メチル化剤(HMA:hypomethylating agent)、その薬剤学的に許容される塩、または溶媒化物と併用投与され、このとき、FLT3阻害剤は、化学式1の化合物、その立体異性体、互変異性体、及びそれらの組み合わせのうちから選択される化合物である、急性骨髄性白血病(AML)治療用薬学的組成物を提供する。
【0011】
本発明の他の一様態は、前記薬学的組成物が、同時、順次、逆順または個別的に投与されるものである薬学的キットを提供する。
【0012】
本発明の他の一様態は、低メチル化剤(HMA)、またはその薬剤学的に許容される塩または溶媒化物を含む薬学的組成物であり、Fms様チロシンキナーゼ(FLT3)阻害剤、またはその薬剤学的に許容される塩または溶媒化物と併用投与されるものである、急性骨髄性白血病(AML)治療用薬学的組成物を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一様態は、Fms様チロシンキナーゼ(FLT3)阻害剤と低メチル化剤(HMA)との薬学的組成物と、前記組成物を含むキットまたは組み合わせ物と、を提供する。
【0014】
本発明の一様態は、前記薬学的組成物、キットまたは組み合わせ物を利用した急性骨髄性白血病(AML)を含む血液系悪性腫瘍の治療方法、及び急性骨髄性白血病の治療のためのそれら組成物の用途を提供する。
【0015】
本発明の一様態は、前記薬学的組成物、キットまたは組み合わせ物を提供することにより、FLT3突然変異が存在する患者を含む急性骨髄性白血病(AML)の治療効果を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】化合物Aとアザシチジンとの併用処理によるMOLM-13細胞成長抑制程度を確認したものである。Y軸は、細胞成長率(%)を示し、X軸は、化合物Aの対数濃度(nM単位濃度のログ値)を示す。
【
図2】化合物A 2.5nM、アザシチジン800nM、または化合物A 2.5nMとアザシチジン800nMとの併用時、細胞成長抑制程度を確認したものであり、Y軸は、細胞成長率(%)を示し、X軸は、各実験群を示す。
【
図3】MOLM-13-Luc2細胞株で異種移植されたヌードマウスにおいて、化合物Aとアザシチジンとを組み合わせて投与したときの抗腫瘍効果を示したものである。Y軸は、各実験群における生存マウスの百分率(生存率)(%)を示し、X軸は、投薬日数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明で使用される全ての技術用語は、取り立てて定義されない以上、本発明の関連分野において、通常の当業者が一般的に理解するような意味で使用される。また、本明細書には、望ましい方法や試料が記載されるが、それと類似しているか、あるいは同等なものも、本発明の範疇に含まれる。また、本明細書に記載された数値は、明示がなくとも、「約」の意味を含むものと見なす。本明細書に参考文献として記載される全ての刊行物の内容は、全体が本明細書に参照として統合される。
【0018】
本発明の一様態は、Fms様チロシンキナーゼ(FLT3:Fms-like tyrosine kinase-3)阻害剤、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物と、低メチル化剤(HMA:hypomethylating agent)、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物を、急性骨髄性白血病(AML)治療に有効な組み合わせとして含む、急性骨髄性白血病(AML)治療のための方法、用途、組み合わせ物、キット及び組成物を提供する。
【0019】
本明細書において、急性骨髄性白血病(AML)は、FLT3突然変異を有する急性骨髄性白血病を含む。一具体例において、急性骨髄性白血病(AML)は、突然変異体FLT3ポリヌクレオチド陽性急性骨髄性白血病(AML)、FLT3遺伝子内縦列重複(ITD)陽性急性骨髄性白血病(AML)、またはFLT3点突然変異を有する急性骨髄性白血病(AML)を含む。
【0020】
FLT3は、造血肝細胞の表面で通常発現されるクラスIII受容体チロシンキナーゼ(TK)ファミリーのメンバーである。FLT3及びその配位子は、多能幹細胞の増殖、生存及び分化に重要な役割を行う。FLT3は、多数の急性骨髄性白血病(AML)ケースにおいて発現される。また、膜近接ドメイン及びその周囲に、遺伝子内縦列重複(ITD)を有する活性化されたFLT3及び活性化ループにおける、D835近辺のチロシンキナーゼドメイン(TKD)突然変異は、それぞれ急性骨髄性白血病(AML)ケースの28%ないし34%、及び11%ないし14%に存在する。FLT3における、それら活性化された突然変異は、腫瘍原性であり、細胞において変形活性を示す。FLT3-ITD突然変異を有する患者は、臨床研究において不良な予後を示し、再発率がさらに高くて、初治療から緩和持続期間がさらに短く(FLT3-ITD突然変異がない患者の11.5ヵ月に対比して6ヵ月)、無病生存率が低下し(5年時点において、41%に対して16%ないし27%)及びOS(overall survival)が低下される(5年時点で42%に対比して15%ないし31%)。造血幹細胞移植(HSCT)後の再発発生もまた、FLT3-
ITD患者においてさらに高い(2年時点において、FLT3-ITD突然変異がない患者の16%に対比して30%)。一次治療に係わる予後に類似して、再発された/不応性FLT3-突然変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者は、救済抗癌療法による緩和率がさらに低く、二次再発までの緩和期間がさらに短く、FLT3-突然変異陰性患者に対比し、低下されたOSを有する。
【0021】
本明細書において、FLT3阻害剤は、4’-N-ベンゾイルスタウロスポリン(成分名:ミドスタウリン(midostaurin))、6-エチル-3-[[3-メトキシ-4-[4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-1-ピペリジニル]フェニル]アミノ]-5-[(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ]-2-ピラジンカルボキサミド(成分名:ギルテリチニブ(gilteritinib))、1-(2-{5-[(3-メチルオキセタン-3-l)メトキシ]-1H-ベンジミダゾール-1-イル}キノリン-8-イル)ピペリジン-4-アミン(成分名:クレノラニブ(crenolanib))、1-(5-(tert-ブチル)イソオキサゾール-3-イル)-3-(4-(7-(2-モルホリノエトキシ)ベンゾ[d]イミダゾ[2,1-b]チアゾール-2-イル)フェニル)ユリア(成分名:キザルチニブ(quizartinib))、2-ヒドロキシ-1-(2-((9-((1r,4r)-4-メチルシクロヘキシル)-9H-ピリド[4’,3’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-2-イル)アミノ)-7,8-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-6(5H)-イル)エタノン(FLX925)、(S,E)-N-(1-((5-(2-((4-シアノフェニル)アミノ)-4-(プロピルアミノ)ピリミジン-5-イル)ペント-4-イン-1-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-4-(ジメチルアミノ)-N-メチルブト-2-エンアミド(FF-10101)、6-[[(1R,2S)-2-アミノシクロヘキシル]アミノ]-7-フルオロ-4-(1-メチルピラゾール-4-イル)-1,2-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピリジン-3-オン(TAK-659)のような物質と、
【0022】
国際特許出願公開番号WO2018-139903号に記載されたキナーゼ阻害活性がある化合物、または韓国特許出願出願番号第10-2018-0086768号に記載されたFLT3阻害活性がある化合物、またはそれらの任意の薬剤学的に許容される塩形態または水和物形態のFLT3阻害剤と、を含むが、それら物質に限定されるものではない。
【0023】
一具体例において、FLT3阻害剤は、国際特許出願公開番号WO2018-139903号に記載されたキナーゼ阻害活性がある化合物、または韓国特許出願出願番号第10-2018-0086768号に記載されたFLT3阻害活性がある化合物、またはそれらの任意の薬剤学的に許容される塩または水和物でもある。
【0024】
本発明の一様態は、Fms様チロシンキナーゼ(FLT3)阻害剤、その薬剤学的に許容される塩、またはその溶媒化物を含む薬学的組成物であり、低メチル化剤(HMA)、その薬剤学的に許容される塩、または溶媒化物と併用投与され、このとき、FLT3阻害剤は、化学式1の化合物、その立体異性体、互変異性体、及びそれらの組み合わせのうちから選択される化合物である急性骨髄性白血病(AML)治療用薬学的組成物を提供する。
【0025】
【0026】
前記化学式1で、
【0027】
Eaは、水素、ヒドロキシまたはC1-C4アルコキシであり、
【0028】
Ebは、水素、ハロゲン、C1-C4アルキルまたはC1-C4フルオロアルキルであり、
【0029】
EcとEdは、互いに独立して、水素またはヒドロキシであり、
【0030】
X’は、水素またはヒドロキシであり、
【0031】
kは、1または2の整数であり、
【0032】
それぞれのQは、互いに独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、C1-C4アルキル、ヒドロキシC1-C4アルキルまたはC1-C4アルコキシであり、
【0033】
Z’は、化学式2に示した一価作用基であり、
【0034】
【0035】
このとき、前記化学式2で、nは、1または2の整数であり、
【0036】
それぞれのAは、互いに独立して、ヒドロキシ、C1-C4アルキル及びヒドロキシC1-C4アルキルのうちから選択される作用基であり、このとき、少なくとも1つのAは、C1-C4アルキルであり、
【0037】
Lは、水素、C1-C4アルキル、ヒドロキシまたはヒドロキシC1-C4アルキルである。
【0038】
本明細書において、用語「溶媒化物」は、本発明の化合物(または、その薬剤学的に許容される塩)と、1種以上の溶媒分子との分子錯体を称する。そのような溶媒分子は、製薬
技術分野で公知されているか、あるいは一般的に使用されるもの、例えば、水、エタノールなどでもある。用語「水和物」は、溶媒分子が水である複合体を称する。
【0039】
本明細書において使用された用語「塩」または「薬剤学的に許容される塩」は、開示された化合物の薬学的に許容可能な誘導体を意味し、ここで、親化合物は、存在する酸モイエティまたは塩基モイエティをその塩形態に転換させることによって変性される。
【0040】
一具体例において、前記FLT3阻害剤は、下記化学式3の化合物、その立体異性体、互変異性体、及びそれらの組み合わせのうちから選択される化合物でもある。
【0041】
【0042】
前記化学式3で、
【0043】
Efは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、
【0044】
Qoは、ヒドロキシ、ハロゲン、C1-C4アルキル、ヒドロキシC1-C4アルキルまたはC1-C4アルコキシであり、
【0045】
sは、1または2の整数であり、
【0046】
Aoは、ヒドロキシ、C1-C4アルキル及びヒドロキシC1-C4アルキルのうちから選択される作用基であり、tは、1または2の整数である。
【0047】
例えば、前記FLT3阻害剤は、韓国特許出願出願番号第10-2018-0086768号に記載されたFLT3阻害活性がある化合物でもあり、例えば、下記表1の1ないし32番に列挙された化合物によって構成された群のうちから選択された化合物、またはそれらの任意の薬剤学的に許容される塩または水和物によって構成された群のうちから選択された化合物でもある。
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
一具体例において、FLT3阻害剤は、5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン、またはその薬剤学的に許容される塩、またはその水和物でもある。
【0052】
本明細書において、低メチル化剤(HMA)は、DNAを低メチル化(hypomethylation)させるための物質、またはDNA脱メチル化剤を言う。DNAメチル化は、細胞において、遺伝子発現を調節する主要メカニズムであり、DNAメチル化が増大されれば、細胞分裂と細胞増殖とを調節する抑制遺伝子の活性を遮断し、それにより、細胞分裂が調節されずに、癌が進行してしまう。低メチル化剤は、例えば、DNAのメチル化を妨害し、腫瘍抑制遺伝子を回復させ、腫瘍増殖を調節したり、腫瘍細胞の代謝に必要な物質と類似した構造に細胞代謝を妨害したりし、腫瘍増殖抑制作用を示す抗代謝性製剤としての作用を遂行することができる。
【0053】
本明細書において、低メチル化剤(HMA)は、例えば、4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン(成分名:アザシチジン(azac
itidine))、4-アミノ-1-((2R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン(成分名:デシタビン(decitabine))などの物質、または
【0054】
それらの任意の薬剤学的に許容される塩形態または水和物形態の低メチル化剤(HMA)を含むが、それら物質に限定されるものではない。
【0055】
一具体例において、前記低メチル化剤(HMA)は、4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン、4-アミノ-1-((2R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン、それらの薬剤学的に許容される塩、またはそれらの水和物でもある。
【0056】
一具体例において、前記低メチル化剤(HMA)は、4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン、4-アミノ-1-((2R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン、またはそれらの薬剤学的に許容される塩、またはそれらの水和物のうちから選択されたいずれか一つであり、前記FLT3阻害剤は、前記化学式1の化合物、その立体異性体、及び互変異性体のうちから選択されたいずれか一つでもある。
【0057】
一具体例において、前記低メチル化剤(HMA)は、4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン、または4-アミノ-1-((2R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンであり、前記FLT3阻害剤は、前記化学式3の化合物、その立体異性体、及び互変異性体のうちから選択されたいずれか一つでもある。
【0058】
一具体例において、前記低メチル化剤(HMA)は、4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン、または4-アミノ-1-((2R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンであり、前記FLT3阻害剤は、5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミンでもある。
【0059】
一具体例において、FLT3阻害剤、またはその薬剤学的に許容される塩または水和物と、低メチル化剤(HMA)、またはその薬剤学的に許容される塩または水和物と、を含み、このとき、低メチル化剤(HMA)は、4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンであり、FLT3阻害剤は、前記化学式1の化合物、その立体異性体、及び互変異性体のうちから選択されたいずれか一つでもある。
【0060】
一具体例において、低メチル化剤(HMA)は、4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンであり、FLT3阻害剤は、前記化学式3の化合物、その立体異性体、及び互変異性体のうちから選択されたいずれか一つでもある。
【0061】
一具体例において、低メチル化剤(HMA)は、4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンであり、FLT3阻害剤は、5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-
1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミンでもある。
【0062】
一具体例において、低メチル化剤(HMA)は、4-アミノ-1-((2R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンであり、FLT3阻害剤は、前記化学式1の化合物、その立体異性体、及び互変異性体のうちから選択されたいずれか一つでもある。
【0063】
一具体例において、低メチル化剤(HMA)は、4-アミノ-1-((2R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンであり、FLT3阻害剤は、前記化学式3の化合物、その立体異性体、及び互変異性体のうちから選択されたいずれか一つでもある。
【0064】
一具体例において、低メチル化剤(HMA)は、4-アミノ-1-((2R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンであり、FLT3阻害剤は、5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミンでもある。
【0065】
一具体例によるFLT3阻害剤として、5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミンは、急性骨髄性白血病(AML)耐性と関連があると知られているSYKのようなキナーゼを抑制する。そのうちでも、SYKキナーゼは、直接的な物理的相互作用により、FLT3を転写させ、FLT3-ITDで誘導された骨髄異形成の発達に重要であり、一次的には、FLT3-ITD陽性急性骨髄性白血病(AML)において、さらに活性化される。従って、SYKのようなキナーゼの他の信号伝達経路の活性化が、急性骨髄性白血病(AML)患者の治療において、耐性の原因にもなる。
【0066】
一具体例によるFLT3阻害剤は、治療後、再発危険が高く、予後が不良であり、全般的な生存率を低下させる、FMS類似チロシンキナーゼ3(FLT3)突然変異を有する急性骨髄性白血病(AML)に対する治療効果にすぐれる。
【0067】
前記一具体例によるFLT3阻害剤は、従来治療剤に耐性を示す急性骨髄性白血病(AML)患者において、臨床的利点(clinical benefits)を示す。急性骨髄性白血病(AML)患者の約30%において、FLT3の遺伝子内縦列重複(ITD:internal tandem duplication)内、及びチロシンキナーゼドメイン(TKD:tyrosine kinase domain)点突然変異内の活性化された突然変異が、腫瘍誘発突然変異(oncogenic driver mutation)として報告される。例えば、前記TKDの突然変異は、遺伝子内縦列重複(ITD)をさらに含むものでもある。
【0068】
一具体例において、前記薬学的組成物を利用した治療対象である急性骨髄性白血病(AML)は、FLT3突然変異を有する急性骨髄性白血病(AML)でもある。
【0069】
前記急性骨髄性白血病(AML)は、FLT3アミノ酸配列のチロシンキナーゼドメイン(TKD)(FLT3-TKD)に突然変異を有するものでもある。前記FLT3-TKD突然変異は、遺伝子内縦列重複(ITD)を追加して含むものでもある。前記FLT3-TKD突然変異は、FLT3(D835Y)、FLT3(F691L)、FLT3(F691L/D835Y)、FLT3(ITD/D835Y)、FLT3(ITD/F69
1L)、及びそれらの組み合わせのうちから選択されるいずれか一つを含むものでもある。
【0070】
一具体例による併用投与されるFLT3阻害剤、その薬剤学的に許容される塩、またはその溶媒化物と、低メチル化剤、その薬剤学的に許容される塩、または溶媒化物と、を含む薬学的組成物は、FLT3突然変異を有する急性骨髄性白血病(AML)に対する治療効果にすぐれる。
【0071】
一具体例において、前記急性骨髄性白血病(AML)は、突然変異体FLT3ポリヌクレオチド陽性急性骨髄性白血病(AML)、FLT3遺伝子内縦列重複(ITD)陽性急性骨髄性白血病(AML)、またはFLT3点突然変異を有する急性骨髄性白血病(AML)でもある。
【0072】
一具体例において、化学式1の化合物、または薬剤学的に許容される塩、またはその溶媒化物のうちいずれか1つの、FLT3阻害剤を含む急性骨髄性白血病(AML)治療用薬学的組成物であり、前記急性骨髄性白血病(AML)は、FLT3アミノ酸配列のチロシンキナーゼドメイン(TKD)(FLT3-TKD)に突然変異を有するものでもある。
【0073】
一具体例において、前記FLT3-TKD突然変異は、遺伝子内縦列重複(ITD)を追加して含むものでもある。
【0074】
一具体例において、前記FLT3-TKD突然変異は、FLT3(D835Y)、FLT3(F691L)、FLT3(F691L/D835Y)、FLT3(ITD/D835Y)、FLT3(ITD/F691L)、及びそれらの組み合わせのうちから選択されるいずれか一つを含むものでもある。
【0075】
一具体例において、前記FLT3阻害剤は、5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン、またはその薬剤学的に許容される塩または水和物でもある。
【0076】
一具体例による薬学的組成物は、FLT3突然変異を有する急性骨髄性白血病(AML)、例えば、FLT3の遺伝子内縦列重複(ITD)及びチロシンキナーゼドメイン(TKD)点突然変異、例えば、FLT3(ITD/D835Y)及びFLT3(ITD/F691L)の突然変異を有する急性骨髄性白血病(AML)治療用FLT3阻害剤、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物を含んでもよい。
【0077】
前記FLT3-TKDの突然変異は、FLT3アミノ酸配列の第823番ないし861番の位置領域に、1個または複数個のアミノ酸変異を含むものでもある。前記TKDの突然変異は、FLT3アミノ酸配列の第835番、第836番及び842番で構成される群のうちから選択される少なくともいずれか1つのアミノ酸の変異を含むものでもある。例えば、前記TKDの突然変異は、FLT3アミノ酸配列の第835番アミノ酸の変異を含むものでもある。例えば、前記TKDの突然変異は、FLT3アミノ酸配列の第835番アスパラギン酸が、バリン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン酸またはアスパラギンで置換されたものでもある。例えば、前記TKDの突然変異は、FLT3アミノ酸配列の第836番イソロイシンが、ロイシンまたはアスパラギン酸で置換されたものでもある。例えば、前記TKDの突然変異は、FLT3アミノ酸配列の第842番チロシンが、システインまたはヒスチジンで置換されたものでもある。例えば、前記突然変異は、FLT3(D835Y)でもある。
【0078】
前記FLT3-TKDの突然変異は、FLT3アミノ酸配列の第621番、第627番、第676番、第691番及び第697番で構成される群のうちから選択された少なくとも1つのアミノ酸の突然変異を有することができる。例えば、前記TKDの突然変異は、FLT3アミノ酸配列の第691番フェニルアラニンがロイシンで置換されたものでもある。例えば、前記突然変異は、FLT3(F691L)でもある。
【0079】
前記TKDの突然変異は、遺伝子内縦列重複(ITD)を追加して含むものでもある。例えば、前記突然変異は、FLT3(ITD/D835Y)またはFLT3(ITD/F691L)でもある。
【0080】
一具体例によるFLT3阻害剤として、5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミンは、FLT3 ITD/F691L、またはFLT3 ITD/D835Yの異種移植マウスモデルで発現されるBa/F3細胞を利用したin vivo研究において、FLT3突然変異による耐性克服及び治療効果が検証される。
【0081】
一具体例による前記FLT3阻害剤は、急性骨髄性白血病(AML)治療の耐性を克服することができる効果を示す。例えば、前記FLT3阻害剤は、FLT3-TKDで獲得されたD835Y、及びF691L点突然変異によるFLT3の薬物耐性点突然変異種(D835Y、F691LまたはF691L/D835Y)に対する抑制活性を示す。一具体例において、前記TKDの突然変異は、FLT3アミノ酸配列の第835番アスパラギン酸がチロシンで置換されたものでもある。一具体例において、前記突然変異は、FLT3(D835Y)またはFLT3(ITD/D835Y)でもある。一具体例において、前記TKDの突然変異は、FLT3アミノ酸配列の第691番フェニルアラニンがロイシンで置換されたものでもある。前記突然変異は、FLT3(F691L)またはFLT3(ITD/F691L)でもある。
【0082】
前記一具体例によるFLT3阻害剤は、急性骨髄性白血病(AML)耐性細胞株を利用したin vitro site-directed競合結合アッセイ(competition binding assay)を実施した結果、標準増殖分析(standard proliferation assay)、免疫ブロッティング(immunoblotting)及び細胞死滅分析(apoptosis analysis)を介し、FLT3突然変異による耐性克服及び治療効果が検証される。
【0083】
前記一具体例によるFLT3阻害剤は、前臨床評価において、FLT3(ITD/D835Y)及びFLT3(ITD/F691L)の突然変異を強く抑制する。前記一具体例によるFLT3阻害剤は、前記2つの突然変異のいずれにもおいて、高いin vitro結合親和力を示し、FLT3(ITD/D835Y)またはFLT3(ITD/F691L)を発現するBa/F3細胞株を利用したin vitro及びin vivoにおいて、強い抑制活性を示す。さらに、前記一具体例によるFLT3阻害剤は、FLT3 ITDを保有するMOLM-14細胞株における高い細胞毒性効能を示し、FL誘導性薬物耐性を克服することができる。前記一具体例によるFLT3阻害剤は、KG-la細胞において、SYK、STAT3及びSTAT5のリン酸化を強く抑制することができる。
【0084】
また、前記一具体例によるFLT3阻害剤は、他の1以上の白血病治療薬物、例えば、細胞死滅阻害タンパク質(IAP:inhibitor of apoptosis proteinP)抑制剤または和合療法と併用し、シナジー効果を示すことができる。
【0085】
一具体例において、FLT3阻害剤、またはその薬剤学的に許容される塩または溶媒化物は、低メチル化剤制(HMA)、またはその薬剤学的に許容される塩または溶媒化物と、
同時、順次、逆順または個別的に投与されるものでもある。
【0086】
一具体例の投与経路としては、経口、静脈内、動脈内、腹腔内、鼻内、経皮、脊髄腔内(intrathecal)、筋肉内、鼻腔内、経粘膜、皮下及び直腸の投与が含まれるが、それらに制限されるものではない。
【0087】
一具体例による投与のための剤形は、一般的な方法により、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルのような経口型剤形;軟膏、クリームのような外用剤;注射剤;坐剤及び滅菌注射溶液などを始めとし、適するいかなる形態でも剤形化して使用されうる。
【0088】
一具体例によるFLT3阻害剤として、5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物は、経口投与されうる。
【0089】
一具体例による低メチル化剤(HMA)として、4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン(成分名:アザシチジン(azacitidine))は、静脈注射、腹腔内注射または皮下注射によっても投与される。
【0090】
一具体例による低メチル化剤(HMA)として、4-アミノ-1-((2R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン(成分名:デシタビン(decitabine))は、静脈注射、腹腔内注射または皮下注射によっても投与される。
【0091】
一具体例において、FLT3阻害剤、またはその薬剤学的に許容される塩または溶媒化物と、低メチル化剤(HMA)、またはその薬剤学的に許容される塩または溶媒化物とを、それぞれ治療的に有効な量で含むものでもある。
【0092】
一具体例において、FLT3阻害剤、その薬剤学的に許容される塩またはその溶媒化物と、低メチル化剤(HMA)、その薬剤学的に許容される塩または溶媒化物とを、急性骨髄性白血病(AML)治療用薬剤として、同時、順次、逆順または個別的に使用するための治療的有効な量で含むものでもある。
【0093】
一具体例による薬学的組成物において、前記FLT3阻害剤は、0.01ないし3,000mgの量、例えば、0.1ないし1,000mgまたは6mgないし600mgの量でもっても投与される。または、前記FLT3阻害剤は、0.001ないし200mg/kg体重の量、例えば、0.05ないし100mg/kg体重の量、0.1ないし50mg/kg体重の量、または0.1mg/kgないし10mg/kg体重の量でもっても投与される。または、前記FLT3阻害剤は、0.001ないし200mg/kg体重/1日用量、例えば、0.05ないし50mg/kg体重/1日用量または0.1mgないし10mg/kg体重/1日用量の量でもっても投与される。または、前記FLT3阻害剤は、0.01mg/m2ないし1,000mg/m2の体表面積の量、例えば、3.7mg/m2ないし370mg/m2の体表面積の量でもっても投与される。
【0094】
一具体例による薬学的組成物において、前記低メチル化剤(HMA)は、0.1ないし2,000mgの量、例えば、1ないし1,500mgの量、20mgないし500mg、または1mgないし150mgの量でもっても投与される。または、前記低メチル化剤(HMA)は、0.001ないし400mg/kg体重の量、例えば、0.001ないし100mg/kg体重の量、または0.2mg/kgないし200mg/kg体重の量でも
っても投与される。または、前記低メチル化剤(HMA)は、0.01ないし300体重/1日用量の量、例えば、0.2mgないし200mg/kg体重/1日用量、または0.017mgないし2.5mg/kg体重/1日用量の量でもっても投与される。または、前記低メチル化剤(HMA)は、0.01mg/m2ないし1,000mg/m2の体表面積の量、例えば、6mg/m2ないし92.5mg/m2、または7.4mg/m2ないし740mg/m2の体表面積の量でもっても投与される。
【0095】
患者に投与される組み合わされた2つの薬物の量は、公知された技術を使用し、類似した環境下で得られる結果を観察することにより、当業者としての担当診断医が決定することができる。投与される化合物の効果的な量または用量の決定にあたり、哺乳動物の種;その大きさ、年齢、及び全般的な健康;関連具体的な新生物;新生物の程度、関連または重症度;個別患者の反応;投与される特定化合物;投与方式;投与される製剤の生体利用率特徴;選択される用法;付随薬物の使用;及びその他関連環境を含むが、それらに限定されるものではない多数の因子が担当診断医によって考慮される。例えば、経口投与される場合、1日用量は、患者の体重当たり、約0.001ないし約100mg/kg、例えば、約0.005ないし約30mg/kg、例えば、約0.01ないし約10mg/kgでもある。静脈内投与される場合、1日用量は、適するには、患者の体重当たり約0.0001ないし約10mg/kgでもあり、全体が、1日に1以上の用量で分割投与される。また、粘膜経由製剤は、体重当たり約0.001ないし約100mg/kgの用量で投与され、1日に1回投与されるか、あるいは1日に何回かに分割しても投与される。例えば、アザシチジンは、1日当たり約250ないし約500mgの量でもっても投与される。
【0096】
一具体例による低メチル化剤(HMA)として、4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン(成分名:アザシチジン、商品名:ビダーザ)は、患者体表面積1m2当たり約5mgないし患者体表面積1m2当たり約125mgの用量、例えば、約50mg/m2ないし約100mg/m2、例えば、約75mg/m2の量でもっても投与される。第1治療サイクルのために推薦される出発用量は、基準血液学的数値と係わりなく、全ての患者につき、7日間、1日ビダーザ75mg/m2を皮下(SC)注射または静脈内(IV)注入で投与するのである。患者は、悪心(nausea)と嘔吐とに対し、事前薬を投与されうる。治療サイクルは、4週ごとに反復されうる。2サイクル後、有利な効果が見られず、悪心及び嘔吐以外の毒性が発生しない場合、用量を100mg/m2で増加させることができる。患者は、最小4~6サイクルの間、治療されなければならない。完全反応であるか、あるいは部分反応であるかということは、追加の治療サイクルを必要とする。
【0097】
一具体例による薬学的組成物の投与量、または前記組成物中のFLT3阻害剤及び低メチル化剤(HMA)の投与量または治療的有効量は、広い許容値内において異なり、当該技術分野において公知された方式としても決定される。前記用量は、処置される患者だけではなく、投与される具体的な化合物、投与経路(経口投与、非経口投与)、処置される状態を含むそれぞれの特定の事例の個別的な要件に合うように調整される。
【0098】
1日投与量は、1回投与量または分割投与量でもって投与されるか、あるいは非経口投与の場合、連続注入(continuous infusion)でもっても与えられる。
【0099】
一具体例による薬学的組成物において、FLT3阻害剤及び低メチル化剤(HMA)は、同時、順次、または特定時間制限なしに、個別的にも投与される。ここで、そのような投与は、患者の体内における治療有効レベルの2種化合物を提供することを意味する。投与間隔は、数秒、数分、数時間、または所定間隔の日数でもあり、必要によっては、休止(pause)を有することができる。
【0100】
本明細書において使用された用語「組成物」または「薬学的組成物」は、本明細書に開示された化合物と少なくとも1、及び選択的には、1超過の、他の薬剤学的に許容可能な化学成分、例えば、薬学的に許容可能な添加剤を含む混合物を意味する。
【0101】
前記薬学的組成物は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、及びそれらの任意の組み合わせによって構成された群のうちから選択された1以上の任意の薬学的に許容可能な添加剤をさらに含むものでもある。前記添加剤は、剤形製造に有用であると、当業者に公知されている任意の物質であり、必要によっては、例えば、薬物の投与方式によっても調整される。
【0102】
本発明の他の一様態は、前記薬学的組成物が、同時、順次、逆順または個別的に投与される薬学的キットを提供する。
【0103】
本発明の他の一様態は、低メチル化剤(HMA)、またはその薬剤学的に許容される塩または溶媒化物を含む薬学的組成物であり、Fms様チロシンキナーゼ(FLT3)阻害剤、またはその薬剤学的に許容される塩または溶媒化物と併用投与される、急性骨髄性白血病(AML)治療用薬学的組成物を提供する。
【0104】
一具体例において、前記FLT3阻害剤は、前記化学式1の化合物、その立体異性体、互変異性体、及びそれらの組み合わせのうちから選択される化合物でもある。
【0105】
他の一具体例において、前記FLT3阻害剤は、該化学式3の化合物、その立体異性体、互変異性体、及びそれらの組み合わせのうちから選択される化合物でもある。
【0106】
本発明の他の一様態は、有効成分として、(a)Fms様チロシンキナーゼ(FLT3)阻害剤、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物と、(b)低メチル化剤(HMA)、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物と、を含み、
【0107】
前記有効成分は、同時、順次、逆順または個別的に投与される、急性骨髄性白血病(AML)治療用薬学的組み合わせ物を提供する。
【0108】
本発明の他の一様態は、急性骨髄性白血病(AML)を治療する方法であり、前記方法は、次の有効成分を、同時、順次、逆順または個別的に投与する段階を含む治療方法を提供する:
【0109】
(a)治療的有効量のFms様チロシンキナーゼ(FLT3)阻害剤、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物、及び
【0110】
(b)低メチル化剤(HMA)、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物。
【0111】
本発明の他の一様態は、患者において、急性骨髄性白血病(AML)を治療する方法であり、前記方法は、次の有効成分を投与される段階、同時、順次、逆順または個別的に投与される段階を含む治療方法を提供する:
【0112】
(a)前記患者が、治療的有効量のFms様チロシンキナーゼ(FLT3)阻害剤、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物を投与される段階、及び
【0113】
(b)前記患者が、低メチル化剤(HMA)、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物を投与される段階。
【0114】
一具体例において、前記段階(a)及び前記段階(b)のうち少なくとも一つは、医師の指示下または統制下にあるものでもある。
【0115】
本発明の他の一様態は、患者において、急性骨髄性白血病(AML)を治療する方法であり、前記方法は、次の段階を、同時、順次、逆順または個別的に含む治療方法を提供する:
【0116】
(a)治療的有効量のFms様チロシンキナーゼ(FLT3)阻害剤、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物を自ら投与するように患者に処方する段階、及び
【0117】
(b)低メチル化剤(HMA)、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物を患者に投与する段階。
【0118】
一具体例において、Fms様チロシンキナーゼ(FLT3)阻害剤、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物と、低メチル化剤(HMA)、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物と、を有効成分として含み、このとき、前記2つの有効成分は、同時、順次または個別的に投与される急性骨髄性白血病(AML)治療用薬学的組み合わせ物を提供する。
【0119】
一具体例において、FLT3阻害剤、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物と、低メチル化剤(HMA)、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物と、を含む薬学的併用物を提供する。一具体例による併用物は、FLT3阻害剤及び低メチル化剤(HMA)は、2つの成分から形成される塩または水和物の形態を含む。例えば、前記塩の形成は、部分的または完全になされる。
【0120】
一具体例は、FLT3阻害剤、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物と、低メチル化剤(HMA)、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物と、を有効成分として含む組成物を利用した急性骨髄性白血病(AML)を病んでいる対象体の治療方法を提供する。このとき、前記2つの有効成分は、同時、順次、逆順または個別的にも投与される。一具体例による治療方法は、前記組成物を利用したFLT3突然変異を有する急性骨髄性白血病(AML)に係わる治療方法を提供する。
【0121】
一具体例において、前記急性骨髄性白血病(AML)は、突然変異体FLT3ポリヌクレオチド陽性急性骨髄性白血病(AML)、FLT3遺伝子内縦列重複(ITD)陽性急性骨髄性白血病(AML)、またはFLT3点突然変異を有する急性骨髄性白血病(AML)を含む。
【0122】
本発明の他の一様態は、急性骨髄性白血病(AML)を治療するための薬物の製造において使用されるFLT3阻害剤、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物と、低メチル化剤(HMA)、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物と、を有効成分として含む組み合わせの用途を提供する。
【0123】
本発明による一様態の組み合わせ物を利用したFLT3阻害剤及び低メチル化剤(HMA)の併用療法は、FLT3阻害剤または低メチル化剤(HMA)をそれぞれ単独投与したときの効果に比べ、向上された治療効果を有する。一具体例による組み合わせ物を利用した治療効果は、2以上の薬物が併用されることによる算術的な和以上の相乗的治療効果を示す。
【0124】
本明細書において使用された用語「治療的有効量」は、対象体、患者に組み合わせでもっ
て投与されるとき、急性骨髄性白血病(AML)を治療する化合物の量である。特定対象につき、所定瞬間に治療有効量であると立証された量につき、そのような用量を、臨床医が治療有効量であるとしても、その疾患につき、類似して治療された対象の100%につき、有効ではないのである。治療有効量に相応する化合物の量は、癌の具体的な類型、癌の段階、治療される患者の年齢、及び他の要因にも依存する。一般的には、それら化合物の治療有効量は、業界に周知されている。
【0125】
また、治療有効量は、FLT3阻害剤または低メチル化剤(HMA)のうち一つまたは二つとも、サブ治療の有効量または用量でもって投与されるが、急性骨髄性白血病(AML)を治療する組み合わせ量でもある。サブ治療有効量は、単独で患者に投与される場合、意図する標的の生物学的活性を経時的に完全に阻害しない化合物の量である。
【0126】
本発明の一様態は、治療有効的間隔による組み合わせの投与またはその用途を含む。治療有効的間隔は、化合物のうち一つが患者に投与されるときから始まり、2つの化合物の併用投与の利点が維持される他の化合物の投与限界において終わる時間期間である。従って、併用投与は、同時または順次または任意の順序でもある。
【0127】
併用投与の時間期間またはサイクルは、1週、28日、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月または4ヵ月のうち、またはそれ以上でもある。個々の薬物は、それぞれの期間またはサイクルの全体持続時間、または単にその一部の間、毎日投与されうる。例えば、28日サイクルにおいて、FLT3阻害剤、またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物は、該サイクルにおいて、毎日投与されうる一方、低メチル化剤(HMA)またはその任意の薬剤学的に許容される塩または水和物は、5連続日、7連続日または10連続日の間のようなその一部の間において投与され、5連続日、7連続日及び10連続日は、それぞれの期間またはサイクルの最初の5日、7日または10日でもある。
【0128】
本明細書において使用された用語「組み合わせ物」または「薬学的組み合わせ物」は、2種以上の有効成分の混合または組み合わせから生成された生成物を意味し、有効成分の固定及び非固定の組み合わせ物をいずれも含む。用語「固定された組み合わせ物」は、有効成分、例として、本明細書に開示された化合物、及び1以上のさらなる治療剤が、単一の集合体または投薬量の形態で、同時に対象体に投与されるということを意味する。用語「非固定組み合わせ物」は、有効成分、例として、本明細書に開示された化合物、及び1以上のさらなる治療剤が、特定の時間制限なしに、同時、同時のようにも順次のようにも、別個の集合体として対象体に投与されるということを意味し、ここで、そのような投与は、対象体の身体における、有効成分の治療学的有効レベルを提供する。後者はまた、カクテル治療、例えば、3種以上の有効成分投与にも適用される。
【0129】
本明細書において使用された用語「対象体」は、ヒトを含む哺乳動物、及び非哺乳動物を包括する。哺乳動物の例は、ヒト、チンパンジー、類人猿、猿、牛、馬、羊、山羊、豚;兎、犬、猫、ラット、マウス、ギニアピッグなどを含むが、それらに制限されるものではない。非哺乳動物の例は、鳥類、魚類などを含むが、それらに制限されるものではない。
【0130】
本明細書において使用された用語「治療するところの」、「治療する」、「治療するものである」または「治療」は、既存症状、疾病、病態または疾患の進行または重症度を、制限、遅延、停止、低減または逆転させることを含む。
【0131】
本明細書において使用された用語「ないし」は、用語「ないし」の前後に記載される数値を、それぞれ下限及び上限として含む範囲を言う。先後に記載された数値を含む前記数値間の区間を意味する。前記数値は、上限及び/または下限のうちの任意数が選択されて組み合わされた範囲でもある。
【0132】
本明細書において、産業上利用可能性は、本併用療法の効用性は、1以上のパラメータの説明を含む前述の1以上の研究における肯定的な影響によって例示される。
【0133】
以下、本発明について、下記実施例及び実験例により、さらに具体的に説明する。しかし、それら実施例及び実験例は、本発明に係わる理解の一助とするためのものであるのみ、いかなる意味においても、本発明の範囲がそれらによって制限されるものではない。
【実施例】
【0134】
[実施例1]
【0135】
アザシチジンとの併用処理条件における細胞成長抑制活性の評価
【0136】
FLT3阻害剤である5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン(以下、化合物A)と、低メチル化剤(HMA)である4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン(以下、アザシチジン)とを併用処理したMOLM-13(DSMZno.ACC 554)細胞株の成長抑制を介し、薬物の併用効果いかんを実験した。20%FBSが含まれたRPMI 1640培養液(RPMI:Rosewell Parker Memory Institute)で培養されたMOLM-13細胞株を、ウェル当たり細胞数2×10
4にし、96ウェルプレートに接種し、同一培養液を利用し、化合物Aを、設定された濃度(例えば、10~0.078nM)に、1/2階段式希釈した。アザシチジンの場合、MOLM-13細胞成長を、約40%ほど阻害する濃度(GI
40)である800nMで培養液を利用して希釈した後、化合物Aと同時処理あるいは単独処理した後、3日間培養した。細胞の生存能を測定するために、CTG(CellTiter-Glo(登録商標)試験法を遂行し、結果分析のための細胞成長50%成長抑制値(GI
50)は、GraphPad Prismソフトウェアを利用して算出した。その結果を、表
2、及び
図1及び
図2に示した。
【0137】
下記表2は、化合物A単独あるいは併用処理によるMOLM-13細胞成長抑制活性に係わるデータを示す。
【0138】
【0139】
図1は、化合物Aとアザシチジンとの併用処理によるMOLM-13細胞成長抑制程度を確認したものである。Y軸は、細胞成長率(%)を示し、X軸は、化合物Aの対数濃度(nM単位濃度のログ値)を示す。
【0140】
図2は、化合物A 2.5nM、アザシチジン800nM、または化合物A 2.5nMとアザシチジン800nMとの併用時、細胞成長抑制程度を確認したものであり、Y軸は、細胞成長率(%)を示し、X軸は、各実験群を示す。
【0141】
その結果、表2及び
図1、
図2から分かるように、化合物Aあるいはアザシチジンの単独投薬群に比べ、化合物Aとアザシチジンとの併用群の細胞成長抑制効果が優秀であるということが分かった。
【0142】
[実施例2]
【0143】
MOLM-13-Luc2細胞株が異種移植されたマウスモデル
【0144】
ルシフェラーゼ(luciferase)を発現するように遺伝子変換されたMOLM-13細胞株であるMOLM-13-Luc2細胞株を異種移植したマウスモデルにおいて、化合物Aとアザシチジンとの比較、または併用効能試験を進めた。
【0145】
MOLM-13-Luc2細胞株を、5×106細胞/0.1mL/マウスで、NOGマウス尾静脈接種(tail-vein injection)し、育つようにした。
【0146】
MOLM-13-Luc2細胞の生体発光(bioluminescence)イメージは、Lumina III
IVISイメージングシステム(PerkinElmer社)で測定し、Living Imageソフトウェア(PerkinElmer社)を利用して定量した。測定時、マウスに、Dルシフェリン(D-luciferin)を腹腔内注射し、イソフルラン(isoflurane)を利用し、麻酔下で映像化させた。該イメージは、実験中、最初の群分離のために測定し、その後、試験用途により、特定日に測定した。
【0147】
対照群は、DMSO/PEG400/DW(比率=0.5/2/7.5,v/v)混合溶液を、1日1回経口で投与され、化合物A群は、10mg/kg/日用量で、1日1回経口投与され、低メチル化剤(HMA)投与群であるアザシチジン群は、3mg/kg/日用量で、週2回(毎週の1日目及び4日目)腹腔内投与された。併用群において化合物Aは、10mg/kg/日用量で、1日1回経口投与され、アザシチジンは、3mg/kg/日用量で、週2回(毎週の1日目及び4日目)腹腔内投与された。それぞれの群は、各群の全個体が死亡する時点まで、個別薬物を投与された。
【0148】
実験結果を
図3に示した。
図3は、MOLM-13-Luc2細胞株で異種移植されたヌードマウスにおいて、化合物A(FLT3阻害剤)及び低メチル化剤(HMA)を組み合わせて投与したときの抗腫瘍効果を示したものである。Y軸は、各実験群における生存マウスの百分率(生存率)(%)を示し、X軸は、投薬日数を示す。
【0149】
図3でのように、薬物投与による抗腫瘍効果を、生存期間を測定して確認した結果、併用群における、中央値生存期間と全体生存期間は、それぞれ30日と31日とであると分かった。また、
図3でのように、前記結果は、低メチル化剤(HMA)投与群であるアザシチジン群における中央値生存期間(16日)及び全体生存期間(18日)より増大された値であり、化合物A投与群における中央値生存期間(17日)及び全体生存期間(20日)より増大された値であった。
【0150】
また、
図3に示されたMOLM-13-Luc2で同所移植されたマウス効能モデルを利用した実験結果から、FLT3阻害剤である化合物Aだけ投与した群(化合物A単独群)、または低メチル化剤(HMA)だけ投与した群(アザシチジン単独群)に比べ、FLT3阻害剤及び低メチル化剤(HMA)の併用群において、生存期間が延長され、さらにすぐれた抗腫瘍効能を示した。
【0151】
また、前記結果から、FLT3阻害剤である5-クロロ-N-(3-シクロプロピル-5-(((3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-4-(6-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミンと、低メチル化剤(HMA)である4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン(アザシチジン)とを組み合わせることにより、向上された抗腫瘍
効果を示すということが分かる。
【0152】
以上、本発明について、その具体例を中心に説明した。本発明が属する技術分野において当業者であるならば、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲において変形された形態に具現されるということを理解することができるであろう。従って、前記開示された具体例は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差異は、本発明に含まれたものであると解釈されなければならないのである。