(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】テラヘルツ装置
(51)【国際特許分類】
H01P 1/00 20060101AFI20241028BHJP
H01P 5/08 20060101ALI20241028BHJP
H03B 7/08 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
H01P1/00 B
H01P5/08 M
H03B7/08
(21)【出願番号】P 2021551711
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(86)【国際出願番号】 JP2020038252
(87)【国際公開番号】W WO2021070921
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-08-15
(31)【優先権主張番号】P 2019186699
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】金 在瑛
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 一魁
(72)【発明者】
【氏名】西田 陽亮
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-268164(JP,A)
【文献】国際公開第2019/077994(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00
H01P 5/08
H03B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テラヘルツ帯の電磁波を発振及び放射するテラヘルツ素子と、
前記電磁波を伝送する伝送領域を有する導波管と、
を備え、
前記テラヘルツ素子は、互いに反対側を向く素子主面及び素子裏面と、前記素子主面に前記電磁波を発振する発振点と前記電磁波を放射する放射点とを有し、
前記テラヘルツ素子は、前記発振点及び前記放射点が前記伝送領域内に配置されるように配置され
、
前記テラヘルツ素子は、前記発振点に、前記電磁波と電気エネルギーとの変換を行う能動素子を有し、
前記テラヘルツ素子は、前記能動素子に接続され、前記素子主面と直交する方向を前記電磁波の放射方向とするアンテナを備え、
前記アンテナは、ダイポールアンテナ、ボータイアンテナ、スロットアンテナ、パッチアンテナ、リングアンテナのいずれかである
テラヘルツ装置。
【請求項2】
テラヘルツ帯の電磁波を発振及び放射するテラヘルツ素子と、
前記電磁波を伝送する伝送領域を有する導波管と、
を備え、
前記テラヘルツ素子は、互いに反対側を向く素子主面及び素子裏面と、前記素子主面に前記電磁波を発振する発振点と前記電磁波を放射する放射点とを有し、
前記テラヘルツ素子は、前記発振点及び前記放射点が前記伝送領域内に配置されるように配置され、
前記テラヘルツ素子は、前記発振点に、前記電磁波と電気エネルギーとの変換を行う能動素子を有し、
前記テラヘルツ素子は、前記能動素子に接続され、前記素子主面と平行な方向を前記電磁波の放射方向とするアンテナを備え、
前記アンテナは、テーパスロットアンテナ、八木・宇田アンテナ、ボータイアンテナ、ダイポールアンテナのいずれかである
テラヘルツ装置。
【請求項3】
前記テラヘルツ素子は、前記放射点が前記伝送領域の中心に位置するように配置されている、請求項
1または2に記載のテラヘルツ装置。
【請求項4】
テラヘルツ帯の電磁波を伝送する伝送領域を有する導波管と、
前記電磁波を受信及び検出するテラヘルツ素子と、
を備え、
前記テラヘルツ素子は、互いに反対側を向く素子主面及び素子裏面と、前記素子主面に前記電磁波を受信する受信点と前記電磁波を検出する検出点とを有し、
前記テラヘルツ素子は、前記受信点及び前記検出点が前記伝送領域内に配置されるように配置され、
前記テラヘルツ素子は、前記検出点に、前記電磁波と電気エネルギーとの変換を行う能動素子を有し、
前記テラヘルツ素子は、前記能動素子に接続され、前記素子主面と直交する方向を前記電磁波の受信方向とするアンテナを備え、
前記アンテナは、ダイポールアンテナ、ボータイアンテナ、スロットアンテナ、パッチアンテナ、リングアンテナのいずれかである
テラヘルツ装置。
【請求項5】
テラヘルツ帯の電磁波を伝送する伝送領域を有する導波管と、
前記電磁波を受信及び検出するテラヘルツ素子と、
を備え、
前記テラヘルツ素子は、互いに反対側を向く素子主面及び素子裏面と、前記素子主面に前記電磁波を受信する受信点と前記電磁波を検出する検出点とを有し、
前記テラヘルツ素子は、前記受信点及び前記検出点が前記伝送領域内に配置されるように配置され、
前記テラヘルツ素子は、前記検出点に、前記電磁波と電気エネルギーとの変換を行う能動素子を有し、
前記テラヘルツ素子は、前記能動素子に接続され、前記素子主面と平行な方向を前記電磁波の受信方向とするアンテナを備え、
前記アンテナは、テーパスロットアンテナ、八木・宇田アンテナ、ボータイアンテナ、ダイポールアンテナのいずれかである
テラヘルツ装置。
【請求項6】
前記テラヘルツ素子は、前記受信点が前記伝送領域の中心に位置するように配置されている、請求項
4または5に記載のテラヘルツ装置。
【請求項7】
前記能動素子は、共鳴トンネルダイオード、タンネットダイオード、インパットダイオード、GaAs系電界効果トランジスタ、GaN系FET、高電子移動度トランジスタ、ヘテロ接合バイポーラトランジスタのいずれかである請求項
1~6のいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【請求項8】
前記伝送領域の側を向く基板主面と、前記基板主面と反対側を向く基板裏面とを有し、前記テラヘルツ素子を支持する支持基板を備え、
前記テラヘルツ素子は、前記基板主面に搭載されている、請求項
1~7のいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【請求項9】
テラヘルツ帯の電磁波を発振及び放射するテラヘルツ素子と、
前記電磁波を伝送する伝送領域を有する導波管と、
を備え、
前記テラヘルツ素子は、互いに反対側を向く素子主面及び素子裏面と、前記素子主面に前記電磁波を発振する発振点と前記電磁波を放射する放射点とを有し、
前記テラヘルツ素子は、前記発振点及び前記放射点が前記伝送領域内に配置されるように配置され、
前記伝送領域の側を向く基板主面と、前記基板主面と反対側を向く基板裏面とを有し、前記テラヘルツ素子を支持する支持基板を備え、
前記テラヘルツ素子は、前記基板主面に搭載されている
テラヘルツ装置。
【請求項10】
前記テラヘルツ素子は、前記放射点が前記伝送領域の中心に位置するように配置されている、請求項9に記載のテラヘルツ装置。
【請求項11】
前記テラヘルツ素子は、前記発振点に、前記電磁波と電気エネルギーとの変換を行う能動素子を有する
請求項9または10に記載のテラヘルツ装置。
【請求項12】
前記テラヘルツ素子は、前記能動素子に接続され、前記素子主面と直交する方向を前記電磁波の放射方向とするアンテナを備える
請求項11に記載のテラヘルツ装置。
【請求項13】
前記テラヘルツ素子は、前記能動素子に接続され、前記素子主面と平行な方向を前記電磁波の放射方向とするアンテナを備える
請求項11に記載のテラヘルツ装置。
【請求項14】
テラヘルツ帯の電磁波を伝送する伝送領域を有する導波管と、
前記電磁波を受信及び検出するテラヘルツ素子と、
を備え、
前記テラヘルツ素子は、互いに反対側を向く素子主面及び素子裏面と、前記素子主面に前記電磁波を受信する受信点と前記電磁波を検出する検出点とを有し、
前記テラヘルツ素子は、前記受信点及び前記検出点が前記伝送領域内に配置されるように配置され、
前記伝送領域の側を向く基板主面と、前記基板主面と反対側を向く基板裏面とを有し、前記テラヘルツ素子を支持する支持基板を備え、
前記テラヘルツ素子は、前記基板主面に搭載されている
テラヘルツ装置。
【請求項15】
前記テラヘルツ素子は、前記受信点が前記伝送領域の中心に位置するように配置されている、請求項14に記載のテラヘルツ装置。
【請求項16】
前記テラヘルツ素子は、前記検出点に、前記電磁波と電気エネルギーとの変換を行う能動素子を有する、請求項14又は請求項15に記載のテラヘルツ装置。
【請求項17】
前記テラヘルツ素子は、前記能動素子に接続され、前記素子主面と直交する方向を前記電磁波の受信方向とするアンテナを備えた、請求項16に記載のテラヘルツ装置。
【請求項18】
前記テラヘルツ素子は、前記能動素子に接続され、前記素子主面と平行な方向を前記電磁波の受信方向とするアンテナを備えた、請求項16に記載のテラヘルツ装置。
【請求項19】
前記能動素子は、共鳴トンネルダイオード、タンネットダイオード、インパットダイオード、GaAs系電界効果トランジスタ、GaN系FET、高電子移動度トランジスタ、ヘテロ接合バイポーラトランジスタのいずれかである請求項11~13,16~18のいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【請求項20】
前記アンテナは、ダイポールアンテナ、ボータイアンテナ、スロットアンテナ、パッチアンテナ、リングアンテナのいずれかである
請求項12または17に記載のテラヘルツ装置。
【請求項21】
前記アンテナは、テーパスロットアンテナ、八木・宇田アンテナ、ボータイアンテナ、ダイポールアンテナのいずれかである
請求項13または18に記載のテラヘルツ装置。
【請求項22】
前記支持基板は、前記テラヘルツ素子に接続される伝送線路を有する請求項
8~21のいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【請求項23】
前記伝送線路は、前記テラヘルツ素子に接続される主導体を含み、
前記導波管は、前記主導体が形成された前記支持基板の面の側に、前記主導体に沿って延び、前記主導体を囲む溝部を有する、請求項
22に記載のテラヘルツ装置。
【請求項24】
前記支持基板は、前記伝送領域に配置され、前記テラヘルツ素子を支持する支持部と、前記支持部を前記導波管に固定する固定部とを有し、
前記支持部は、前記導波管の伝送領域の大きさに設定されている
請求項
23に記載のテラヘルツ装置。
【請求項25】
前記導波管内において前記電磁波が伝送される伝送方向である第1方向と直交する方向を第2方向、前記伝送方向及び前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、
前記支持部は、前記第2方向の寸法に対して前記第3方向の寸法が短い長方形状であり、
前記固定部は、前記支持部に対して前記第2方向に接続されている、
請求項
24に記載のテラヘルツ装置。
【請求項26】
前記固定部は第1の固定部と第2の固定部とを備え、前記第1の固定部は、前記支持部に対して前記第2方向に接続され、前記第2の固定部は、前記支持部に対して前記第1の固定部と反対側に接続されている、請求項
25に記載のテラヘルツ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テラヘルツ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばミリ波を超える高周波の信号の伝搬には、通常、低損失の中空導波管が用いられる。高周波の電気信号を生成する半導体チップは、導波管の外に設けられたキャビティに収容され、先端が導波管内に挿入された伝送線路と接続される。高周波の電気信号は、半導体チップから伝送線路を介してその先端のアンテナに伝達され、アンテナから電磁波として送出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような構成では、伝送線路における信号の減衰が生じ、導波管に対する結合効率が低くなる場合がある。
【0005】
本開示の目的は、効率の高い結合が得られるテラヘルツ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様であるテラヘルツ装置は、テラヘルツ帯の電磁波を発振及び放射するテラヘルツ素子と、前記電磁波を伝送する伝送領域を有する導波管と、を備え、前記テラヘルツ素子は、互いに反対側を向く素子主面及び素子裏面と、前記素子主面に前記電磁波を発振する発振点と前記電磁波を放射する放射点とを有し、前記テラヘルツ素子は、前記発振点及び前記放射点が前記伝送領域内に配置されるように配置されている。
【0007】
この構成によれば、テラヘルツ素子の発振点及び放射点が導波管の伝送領域内に配置されるため、テラヘルツ素子から導波管の伝送領域内に電磁波が直接放射され、導波管とテラヘルツ素子との間に効率の高い結合が得られる。
【0008】
本開示の一態様であるテラヘルツ装置は、テラヘルツ帯の電磁波を伝送する伝送領域を有する導波管と、前記電磁波を受信及び検出するテラヘルツ素子と、を備え、前記テラヘルツ素子は、互いに反対側を向く素子主面及び素子裏面と、前記素子主面に前記電磁波を受信する受信点と前記電磁波を検出する検出点とを有し、前記テラヘルツ素子は、前記受信点及び前記検出点が前記伝送領域内に配置されるように配置されている。
【0009】
この構成によれば、テラヘルツ素子の受信点及び検出点が導波管の伝送領域内に配置されるため、導波管を伝播する電磁波がテラヘルツ素子にて直接受信及び検出され、導波管とテラヘルツ素子との間に効率の高い結合が得られる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様であるテラヘルツ装置によれば、導波管とテラヘルツ素子とにおいて効率の高い結合が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第一実施形態のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図2】第一実施形態のテラヘルツ装置を示す側面断面図。
【
図3】第一実施形態の支持基板及びテラヘルツ素子を示す平面図。
【
図5】能動素子およびその周辺を模式的に示す端面図。
【
図7】第一実施形態のテラヘルツ装置における位相整合の説明図。
【
図8】第二実施形態のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図9】第二実施形態のテラヘルツ装置を示す側面断面図。
【
図10】第二実施形態の支持基板及びテラヘルツ素子を示す平面図。
【
図11】第二実施形態のテラヘルツ装置における位相整合の説明図。
【
図12】第三実施形態のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図13】第三実施形態のテラヘルツ装置の一部拡大説明図。
【
図14】第三実施形態のテラヘルツ装置を示す側面断面図。
【
図15】変更例のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図17】
図15のテラヘルツ装置の支持基板及びテラヘルツ素子を示す平面図。
【
図18】変更例のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図20】
図18のテラヘルツ装置の支持基板及びテラヘルツ素子を示す平面図。
【
図21】変更例のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図22】変更例のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図23】変更例のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図24】変更例のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図25】変更例のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図26】変更例のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図27】変更例のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図28】変更例のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図29】変更例のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図30】変更例のテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【
図34】変更例の支持基板を備えたテラヘルツ装置を示す正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態及び変更例について図面を参照して説明する。以下に示す実施形態及び変更例は、技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに限定するものではない。以下の各実施形態及び変更例は、種々の変更を加えることができる。また、以下の実施形態及び変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0013】
(第一実施形態)
以下、第一実施形態を説明する。
【0014】
図1、
図2は、第一実施形態のテラヘルツ装置A1を示す。テラヘルツ装置A1は、導波管10、支持基板30、テラヘルツ素子50を有している。
【0015】
導波管10は、電磁波を伝送させる中空金属管である。導波管10は、例えば方形導波管である。
【0016】
テラヘルツ素子50は、テラヘルツ帯の電磁波と電気エネルギーとの変換を行う素子である。なお、電磁波とは、光および電波のいずれか一方あるいは両方の概念を含むものとしている。テラヘルツ素子50は、発振により、供給される電気エネルギーをテラヘルツ帯の電磁波に変換する。これにより、テラヘルツ素子50は、テラヘルツ帯の電磁波、換言すればテラヘルツ波を放射する。電磁波の周波数は、例えば0.1Thz~10Thzである。また、テラヘルツ素子50は、テラヘルツ帯の電磁波を受信し、その電磁波を電気エネルギーに変換する。これにより、テラヘルツ素子50は、テラヘルツ波を検出する。
【0017】
テラヘルツ素子50は、導波管10内に設けられている。開示のテラヘルツ装置A1は、電磁波を伝送させる導波管10と、導波管10に結合されたテラヘルツ素子50とを有する。説明の便宜上、導波管10における電磁波の伝送方向を第1方向zとする。第1方向zは、導波管10が有する伝送領域101が延びる方向である。また、第1方向zに直交し、かつ、互いに直交する方向を第2方向x及び第3方向yとする。
【0018】
導波管10は、アンテナ部12、本体部14、短絡部16を有している。
【0019】
本体部14は、第1方向zから視て、矩形の外形を有し、かつ中央に貫通孔15を有する環状に形成されている。本体部14は、テラヘルツ素子50が放射又は受信する電磁波に対して非透過性を有する導体材料により形成されている。この材料として、銅(Cu)、Cu合金、アルミニウム(Al)、Al合金、等の金属、またはこれらの表面に金めっきを施したものを用いることができる。
【0020】
本体部14は、主面141、裏面142、外側面143、144,145,146を有している。主面141と裏面142は、第1方向zにおいて、互いに反対側を向く。外側面143,144は、第2方向xにおいて互いに反対側を向く。
図2に示すように、外側面145、146は、第3方向yにおいて互いに反対側を向く。主面141及び裏面142は、各外側面143~146と直交する。
【0021】
図1,
図2に示すように、本体部14は貫通孔15を有している。貫通孔15は、本体部14の主面141から裏面142まで本体部14を貫通している。貫通孔15は、内側面151,152,153,154により規定される。内側面151,152は、第2方向xにおいて互いに対向する。
図2に示すように、内側面153,154は、第3方向yにおいて互いに対向する。この貫通孔15は、電磁波を伝送する伝送領域101として機能する。従って、以降の説明において、貫通孔15を伝送領域101として説明する。つまり、伝送領域101は、本体部14の内側面151~154により規定される。
図3、
図14に示すように、本実施形態の伝送領域101は、第1方向zから視て長方形状である。つまり、本実施形態の導波管10は、方形導波管である。
【0022】
図1,
図2に示すように、第2方向xにおける伝送領域101の寸法aと第3方向yにおける伝送領域101の寸法b、つまり、内側面151,152間の距離と、内側面153,154間の距離は、導波管10のモードによって規定される。本実施形態において、第2方向xにおける伝送領域101の寸法aは、第3方向yにおける伝送領域101の寸法距離bよりも大きい。つまり、本実施形態の伝送領域101は、第2方向xを長辺方向、第3方向yを短辺方向とする長方形状である。導波管10のモードは、例えばTE10モードである。なお、導波管10のモードは適宜変更されてもよい。
【0023】
本体部14は、溝部147を有している。溝部147は、本体部14の裏面142から主面141に向けて窪むように形成されている。溝部147は、本体部14の外側面143から内側面151まで延びている。溝部147は、第2方向xから視て例えば半円状の断面を有するように形成されている。溝部147は、後述する支持基板30に設けられた給電用線路31の主導体311に沿って延び、主導体311を囲むように形成されている。従って、本体部14は、主導体311に対して非接触となる。なお、溝部147は、本体部14に対して主導体311が非接触であればよく、その断面形状は四角形状、三角形状、等の任意の形状に変更できる。
【0024】
短絡部16は、本体部14の裏面142に取付けられている。短絡部16は、テラヘルツ素子50が放射又は受信する電磁波に対して非透過性を有する導体材料により形成されている。この材料として、Cu、Cu合金、Al、Al合金、等の金属、またはこれらの表面に金めっきを施したものを用いることができる。
【0025】
短絡部16は、直方体状に形成されている。短絡部16は、主面161、裏面162、外側面163,164,165,166を有している。主面161と裏面162は、第1方向zにおいて、互いに反対側を向く。外側面163,164は、第2方向xにおいて互いに反対側を向く。
図2に示すように、外側面165,166は、第3方向yにおいて互いに反対側を向く。
【0026】
短絡部16の主面161は、本体部14の裏面142と対向し、裏面142に取付けられる。短絡部16は、例えば、導電性を有する接着材、フランジ、等によって、本体部14と接続される。また、短絡部16は、本体部14と互いに接続された一体物として形成されてもよい。
【0027】
この短絡部16は、本体部14を貫通する伝送領域101の一方を閉塞する。これにより、導波管10は、伝送領域101を、一方が開口し他方が短絡された導波管路として有する。
【0028】
図1、
図2に示すように、短絡部16は、支持基板30に対応する基板収容凹部167を有している。
図1に示すように、基板収容凹部167は、第2方向xに沿って、短絡部16の外側面163から外側面164まで延びている。なお、支持基板30の第2方向xの寸法は、短絡部16の第2方向xの寸法と同一としているが、支持基板30は、導波管10の伝送領域101内にテラヘルツ素子50の発振点P1及び放射点P2を配置できればよく、支持基板30の第2方向xの寸法は適宜変更されてもよい。そして、短絡部16の基板収容凹部167は、支持基板30を収容するように、外側面163から外側面164に向かって支持基板30の寸法だけ延びていればよい。
【0029】
図2に示すように、基板収容凹部167は、壁面167a,167bと底面167cとにより規定される。
図2に示すように、壁面167a,167bは、第3方向yにおいて互いに対向している。底面167cは、第1方向zにおいて、本体部14の側を向く。なお、基板収容凹部167は、本体部14に設けられても良い。
【0030】
図1、
図2に示すように、短絡部16は、バックショート部17を有している。バックショート部17は、短絡部16に形成された内側面171,172,173,174と底面175とにより規定される凹部である。内側面171,172は、第2方向xにおいて互いに対向する。
図2に示すように、内側面173,174は、第3方向yにおいて互いに対向する。底面175は、第1方向zにおいて、本体部14の側を向く。第一実施形態において、第1方向zから視て、バックショート部17の各内側面171~174は、本体部14の伝送領域101を規定する内側面151~154と同じ位置にある。つまり、第1方向zから視て、バックショート部17は、伝送領域101と同じ大きさである。
【0031】
図1、
図2に示すように、アンテナ部12は、本体部14に対して、短絡部16の反対側に設けられている。アンテナ部12は、テラヘルツ素子50が放射する電磁波に対して非透過性を有する導体材料により形成されている。この材料として、Cu、Cu合金、Al、Al合金、等の金属、またはこれらの表面に金めっきを施したものを用いることができる。
【0032】
アンテナ部12は、主面121、裏面122、外側面123,124,125,126を有している。主面121と裏面122は、第1方向zにおいて、互いに反対側を向く。外側面123,124は、第2方向xにおいて互いに反対側を向く。
図2に示すように、外側面125、126は、第3方向yにおいて互いに反対側を向く。主面121及び裏面122は、各外側面123~126と直交する。
【0033】
アンテナ部12は、主面121から裏面122まで貫通する貫通孔13を有している。貫通孔13は、内側面131,132,133,134により規定される。内側面131,132は、第2方向xを向き、内側面133,134は、第3方向yを向く。
【0034】
アンテナ部12の裏面122は、本体部14の主面141と対向し、主面141と接続されている。アンテナ部12と本体部14とは、例えば導電性を有する接着材、それぞれが有するフランジ部により互いに接続されている。なお、アンテナ部12と本体部14とが互いに接続された一体物として形成されてもよい。
【0035】
アンテナ部12の裏面122における貫通孔13の開口径は、本体部14の主面141における伝送領域101の開口径と等しい。貫通孔13を規定する内側面131,132は、アンテナ部12の裏面122から主面121に向かうにつれて互いの間隔が大きくなるように傾斜している。
図2に示すように、貫通孔13を規定する内側面133,134は、アンテナ部12の裏面122から主面121に向かうにつれて互いの間隔が大きくなるように傾斜している。このアンテナ部12は、ホーンアンテナとして機能する。なお、アンテナ部12は省略されてもよい。
【0036】
図1、
図2に示すように、支持基板30は、本体部14と短絡部16との間に配設されている。
図2に示すように、本実施形態において、支持基板30は、短絡部16の基板収容凹部167に配設されている。
【0037】
支持基板30は、テラヘルツ素子50が放射する電磁波、又はテラヘルツ素子50が受信する電磁波を透過する材料で形成されている。本実施形態では、支持基板30は、誘電体で形成されている。誘電体としては、例えば石英ガラス等のガラス、サファイア、エポキシ樹脂等の合成樹脂、Si(シリコン)等の単結晶の真性半導体を用いることができ、本実施形態では石英ガラスが用いられている。
【0038】
図1、
図2に示すように、支持基板30は、基板主面301、基板裏面302、基板側面303,304,305,306を有している。
【0039】
基板主面301と基板裏面302は、第1方向zにおいて、互いに反対側を向く。基板側面303,304は、第2方向xにおいて、互いに反対側を向く。
図2に示すように、基板側面305,306は、第3方向yにおいて互いに反対側を向く。支持基板30は、基板主面301が本体部14の側を向き、基板側面305,306及び基板裏面302が短絡部16の基板収容凹部167の壁面167a,167b及び底面167cと接触または接着材などの中間層を介して対向している状態で短絡部16に取付けられている。つまり、支持基板30は、基板主面301及び基板裏面302を、導波管10の中心軸102と直交するように、導波管10に取着されている。中心軸102は、第1方向zから視て、導波管10の本体部14が有する伝送領域101の中心である。
【0040】
支持基板30は、テラヘルツ素子50に接続される伝送線路としての給電用線路31を有している。本実施形態の給電用線路31は、コプレーナ線路である。なお、給電用線路31として、マイクロストリップ線路、ストリップ線路、スロット線路、等とすることもできる。
【0041】
図3に示すように、本実施形態の給電用線路31は、支持基板30の基板主面に形成された主導体311、接地導体312,313を備える。主導体311は、第2方向xに延びている。接地導体312,313は、主導体311の両側に設けられている。主導体311及び接地導体312,313は、例えばCuにより形成されている。主導体311は、支持基板30の基板側面303に配置されたコネクタ32の芯線と接続されている。コネクタ32は、高周波信号を伝達可能なものであり、例えばSMAコネクタである。コネクタ32のハウジングは、導波管10の本体部14と接続されている。接地導体312,313は、導波管10の本体部14の裏面142と接触し、本体部14と電気的に接続されている。
【0042】
図1及び
図2に示すように、テラヘルツ素子50は、第1方向zから視て矩形の板状である。テラヘルツ素子50は、第1方向zから視て例えば正方形状である。なお、テラヘルツ素子50の形状は、矩形状に限定されず、円形状、楕円形状、あるいは多角形状であってもよい。
【0043】
テラヘルツ素子50は、素子主面501、素子裏面502、素子側面503,504,505,506を有している。素子主面501と素子裏面502は、テラヘルツ素子50の厚さ方向において互いに反対側を向く。
【0044】
図1~
図4に示すように、テラヘルツ素子50は、支持基板30に搭載されている。本実施形態のテラヘルツ素子50は、素子裏面502が基板主面301に対して接触または中間層を介して対向している状態で支持基板30に取付けられている。
【0045】
テラヘルツ素子50は、素子主面501及び素子裏面502と垂直な方向、つまりテラヘルツ素子50の厚さ方向となる第1方向zに向けて電磁波を放射する放射パターンを有している。本実施形態の支持基板30は、テラヘルツ素子50の放射パターンに応じて、テラヘルツ素子50における電磁波の放射方向を、導波管10の中心軸102と平行とするように、導波管10に取着されている。
【0046】
つまり、
図1及び
図2において、テラヘルツ素子50における厚さ方向は、第1方向zに一致している。言い換えると、本実施形態のテラヘルツ素子50は、素子主面501と垂直な方向、つまりテラヘルツ素子50の厚さ方向を導波管10において電磁波を伝播する方向(第1方向z)に一致するように配置されている。第2方向xは第1方向zと直交し、第3方向yは第1方向zおよび第2方向xと直交する。説明の便宜上、テラヘルツ素子50についても第1方向z、第2方向x、第3方向yを用いて説明する。
【0047】
素子主面501及び素子裏面502は、第1方向zに対して交差する面であり、本実施形態では、第1方向zに対して直交する面である。なお、素子主面501及び素子裏面502は、第1方向zから視て矩形状であり、例えば正方形状である。なお、素子主面501及び素子裏面502の形状はこれに限定されず、任意の形状であってもよい。
【0048】
素子側面503,504は、厚さ方向と直交する第2方向xにおいて、互いに反対側を向く。素子側面503,504は、第2方向xに対して交差する面であり、本実施形態では、第2方向xに対して直交する面である。素子側面505,506は、第3方向yにおいて、互いに反対側を向く。素子側面505,506は、第3方向yに対して交差する面であり、本実施形態では、第3方向yに対して直交する面である。
【0049】
図5、
図6は、テラヘルツ素子50の詳細な構成の一例を示している。
図5は、テラヘルツ素子50の断面の模式図の一例である。
図6は、
図5の部分拡大図である。
【0050】
図5、
図6に示すように、テラヘルツ素子50は、素子基板51、能動素子52、第1導電体層53、第2導電体層54を備えている。
【0051】
素子基板51は、半導体よりなり、半絶縁性を有する。素子基板51を構成する半導体は、例えば、InP(リン化インジウム)であるが、InP以外の半導体であってもよい。素子基板51がInPである場合、その屈折率(絶対屈折率)は、約3.4である。本実施形態では、素子基板51は矩形板状であり、例えば平面視で正方形状である。素子主面501および素子裏面502は素子基板51の主面および裏面であり、各素子側面503,504,505,506は素子基板51の各側面である。
【0052】
能動素子52は、テラヘルツ帯の電磁波と電気エネルギーとの変換を行う。能動素子52は、素子基板51に設けられている。本実施形態では、能動素子52は、素子主面501の中心に設けられている。能動素子52は、アンテナ55と接続されることにより、供給される電気エネルギーをテラヘルツ帯の電磁波に変換する。これによりテラヘルツ素子50は、テラヘルツ帯の電磁波(テラヘルツ波)を放射する。従って、能動素子52は、テラヘルツ波を発振する発振点P1ということができ、アンテナ55は、テラヘルツ波を放射する放射点P2ということができる。そして、本実施形態のテラヘルツ素子50は、素子主面501の中心に放射点P2を有する。なお、本実施形態において、テラヘルツ素子50は、放射点P2と発振点P1とを同一位置に有する。
【0053】
能動素子52は、典型的には共鳴トンネルダイオード(RTD:Resonant Tunneling Diode)である。能動素子52としては、例えば、タンネット(TUNNETT:Tunnel injection Transit Time)ダイオード、インパット(IMPATT:Impact Ionization Avalanche Transit Time)ダイオード、GaAs系電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、GaN系FET、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)、あるいは、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)であってもよい。
【0054】
能動素子52を実現するための一例を説明する。
【0055】
素子基板51上には、半導体層61aが形成されている。半導体層61aは、例えばGaInAsによって形成されている。半導体層61aには、n型不純物が高濃度にドープされている。
【0056】
半導体層61a上には、GaInAs層62aが積層されている。GaInAs層62aには、n型不純物がドープされている。例えば、GaInAs層62aの不純物濃度は、半導体層61aの不純物濃度よりも低い。
【0057】
GaInAs層62a上には、GaInAs層63aが積層されている。GaInAs層63aには、不純物がドープされていない。
【0058】
GaInAs層63a上には、AlAs層64aが積層されており、AlAs層64a上にはInGaAs層65が積層されており、InGaAs層65上にはAlAs層64bが積層されている。これらAlAs層64aとInGaAs層65とAlAs層64bとによって共鳴トンネル部が構成されている。
【0059】
AlAs層64b上には、不純物がドープされていないGaInAs層63bが積層されている。GaInAs層63b上には、n型不純物がドープされているGaInAs層62bが積層されている。GaInAs層62b上には、GaInAs層61bが積層されている。GaInAs層61bには、n型不純物が高濃度にドープされている。例えば、GaInAs層61bの不純物濃度は、GaInAs層62bの不純物濃度よりも高い。
【0060】
なお、能動素子52の具体的構成は、電磁波を発生(あるいは検出およびその両方)可能なものであれば任意である。換言すれば、能動素子52は、テラヘルツ帯の電磁波に対して発振及び検出の少なくとも一方を行うものであればよいともいえる。
【0061】
図5に示すように、テラヘルツ素子50は、電磁波の発振を行う発振点P1を有している。発振点P1は、素子主面501に形成されている。発振点P1がある素子主面501は能動面ともいえる。また、発振点P1は、能動素子52が設けられている位置ともいえる。
【0062】
本実施形態の放射点P2(アンテナ55)は、素子主面501の中心に配置されている。ただし、放射点P2の位置、換言すれば素子主面501に対するアンテナ55の位置は、素子主面501の中心に限られず任意である。また、発振点P1(能動素子52)は、放射点P2と同一位置に限られず任意である。
【0063】
図3、
図4に示すように、第1導電体層53および第2導電体層54はそれぞれ、素子主面501上に形成されている。第1導電体層53および第2導電体層54は互いに絶縁されている。第1導電体層53および第2導電体層54はそれぞれ、金属の積層構造を有する。第1導電体層53および第2導電体層54の各々の積層構造は、例えばAu(金)、Pd(パラジウム)およびTi(チタン)が積層された構造である。あるいは、第1導電体層53および第2導電体層54の各々の積層構造は、AuおよびTiが積層された構造である。第1導電体層53および第2導電体層54はいずれも、真空蒸着法あるいはスパッタリング法などによって形成される。
【0064】
図4に示すように、第1導電体層53は、第1導電部531、第1接続部532、第1パッド電極533を含む。第2導電体層54は、第2導電部541、第2接続部542、第2パッド電極543を含む。
【0065】
第1導電部531と第2導電部541は、テラヘルツ素子50の素子側面505,506と直交する方向(第3方向y)において、能動素子52から互いに反対方向に向かって延びている。つまり、第1導電部531と第2導電部541は、テラヘルツ素子50の素子側面503,504と平行である。
図3、
図4に示すように、第1方向zから視た伝送領域101の形状は長方形状である。本実施形態において、伝送領域101内に配置されたテラヘルツ素子50において、第1導電部531及び第2導電部541は、伝送領域101の短辺方向に沿って延びている。
【0066】
第1導電部531と第2導電部541は、アンテナ55として機能する。テラヘルツ素子50は、第1導電体層53の一部である第1導電部531と、第2導電体層54の一部である第2導電部541とによって、素子主面501の側において集積されたアンテナ55を有している。つまり、テラヘルツ素子50は、テラヘルツ帯の周波数の電磁波を発振・検出する能動素子52と、素子主面501と垂直な方向の放射パターンを有して電磁波を放射・受信するアンテナ55とを有している。
【0067】
アンテナ55は、例えばダイポールアンテナである。第1導電部531の先端から第2導電部541の先端までの長さ、つまりアンテナの長さは、テラヘルツ素子50が放射する電磁波の1/2波長(λ/2)である。なお、アンテナはダイポールアンテナに限定されず、ボータイアンテナ、スロットアンテナ、パッチアンテナ、リングアンテナ、等の他のアンテナであってもよい。アンテナの長さは、アンテナの構成によって変更されてもよい。
【0068】
第1接続部532は、第2方向xに延び、第1導電部531と第1パッド電極533とを接続する。第2接続部542は第2方向xに延び、第2導電部541と第2パッド電極543とを接続する。第1パッド電極533と第2パッド電極543は、第3方向yにおいて互いに離れて配置されて、互いに絶縁されている。
【0069】
また、本実施形態のテラヘルツ素子50は、MIM(Metal Insulator Metal)リフレクタ56を有している。MIMリフレクタ56は、金属/絶縁体/金属からなる積層構造を有している。例えば、MIMリフレクタ56は、第1パッド電極533の一部と第2パッド電極543の一部とでテラヘルツ素子50の厚さ方向に絶縁体を挟み込むことによって構成される。絶縁体は、例えばSiO2膜、Si3N4膜、SiON膜、HfO2膜、Al2O3膜、等を用いることができる。
【0070】
MIMリフレクタ56は、第1導電体層53と第2導電体層54とを高周波的に短絡させるものである。MIMリフレクタ56は、高周波の電磁波を反射させることができる。MIMリフレクタ56は、低域通過フィルタとして機能する。ただし、MIMリフレクタ56は必須ではなく、MIMリフレクタ56を省略してもよい。
【0071】
図5、
図6に示すように、本実施形態では、能動素子52に対して第3方向yの両側に、第1導電部531および第2導電部541が配置されている。第1導電部531は、能動素子52に対して第1方向zに重なる第1接続領域531aを有している。第1接続領域531aは、GaInAs層61b上に位置しており、GaInAs層61bに接している。
【0072】
図5に示すように、半導体層61aは、GaInAs層62a等の他の層よりも第2導電体層54に向けて第2方向xに延びている。
図5、
図6に示すように、第2導電部541は、半導体層61aのうちGaInAs層62a等が積層されていない部分に積層された第2接続領域541aを有している。これにより、能動素子52が第1導電部531および第2導電部541に導通している。なお、第2接続領域541aとGaInAs層62a等の他の層とは第2方向xに離間している。
【0073】
図示は省略するが、
図6とは異なり、n型不純物を高濃度にドープされたGaInAs層が、GaInAs層61bと第1接続領域531aとの間に介在していてもよい。これにより、第1導電部531とGaInAs層61bとのコンタクトが良好になりうる。
【0074】
図3、
図4に示すように、第1パッド電極533は、ワイヤ71によって支持基板30の主導体311と電気的に接続されている。また、第2パッド電極543は、ワイヤ72によって支持基板30の接地導体312と電気的に接続されている。ワイヤ71,72は、例えば金(Au)により構成される。なお、第1パッド電極533が接地導体313に接続され、第2パッド電極543が主導体311に接続されてもよい。ワイヤ71,72を複数本としてもよい。また、ワイヤ71の本数とワイヤ72の本数とが相違していてもよい。
【0075】
図4は、導波管10の伝送領域101とテラヘルツ素子50との関係を示す。
【0076】
テラヘルツ素子50において、第2方向xにおける寸法をx0、第3方向yにおける寸法をy0とする。これら寸法x0と寸法y0は、誘電体共振器アンテナに基づいて設定される。
【0077】
本実施形態において、放射点P2は、テラヘルツ素子50の中心に設定される。放射点P2から素子側面504までの距離をx1とすると、この距離x1は、素子寸法x0の1/2である。この距離x1(=x0/2)は、(λ1/2)+((λ1/2)×N(Nは0以上の整数:N=0,1,2,3,・・・))であるとよい。λ1は、テラヘルツ素子50の内部(素子基板51)を伝達する電磁波の実効的な波長である。テラヘルツ素子50(素子基板51)の屈折率をn1、cを光速、fcを電磁波の中心周波数としたとき、λ1は、(1/n1)×(c/fc)である。同様に、放射点P2から素子側面506までの距離をy1とすると、この距離y1は、素子寸法y0の1/2である。このy1(=y0/2)は、(λ1/2)+((λ1/2)×N(Nは0以上の整数:N=0,1,2,3,・・・))であるとよい。このように、距離x1,y1、つまり素子寸法x0,y0を設定することで、アンテナ55から放射された電磁波は、各素子側面503~506で自由端反射する。よって、テラヘルツ素子50自体が、テラヘルツ装置A1における共振器(1次共振器)として設計されている。
【0078】
なお、放射点P2から各素子側面503~506までの距離は、各々が上記計算式によって算出される値であれば、素子側面503~506ごとに異なる値であってもよい。例えば、
図4において、放射点P2から素子側面503までの距離と、放射点P2から素子側面504までの距離とが異なっていてもよい。同様に、放射点P2から素子側面505までの距離と、放射点P2から素子側面506までの距離とが異なっていてもよい。
【0079】
導波管10における伝送領域101において、第2方向xにおける寸法を長辺寸法a、第3方向yにおける寸法を短辺寸法bとする。これら長辺寸法aと短辺寸法bは、導波管の規格に応じて設定される。
【0080】
そして、本実施形態において、テラヘルツ素子50は、テラヘルツ素子50の放射点P2を、導波管10の開口側(
図1において上側)から視て、導波管10の伝送領域101の中心に位置するように配置されている。従って、テラヘルツ素子50は、第2方向xにおいて、伝送領域101を規定する内側面152から放射点P2までの距離xcをa/2とする位置に配置される。また、テラヘルツ素子50は、第3方向yにおいて、伝送領域101を規定する内側面154から放射点P2までの距離ycをb/2とする位置に配置される。
【0081】
テラヘルツ素子50、支持基板30、バックショート部17の第1方向zの寸法(厚さ)は、例えば、テラヘルツ素子50が放射する電磁波の周波数(波長)に応じて設定されているとよい。さらに、テラヘルツ素子50、支持基板30、バックショート部17の第1方向zの寸法(厚さ)は、例えば、それぞれにおいて位相を揃えるように設定されているとよい。
【0082】
図7の矢印は、テラヘルツ装置A1における電磁波の伝播(光路)を示す。テラヘルツ素子50の素子主面501には、
図5、
図6に示す能動素子52が搭載され、その能動素子52を発振点P1としてテラヘルツ波が発振され、アンテナ55を放射点P2として電磁波が放射される。
図1において、テラヘルツ素子50は、素子主面501に対して直交する方向、つまり本体部14の開口に向かう方向と、短絡部16に向かう方向とに電磁波を放射する。
【0083】
図7に示すように、テラヘルツ素子50の素子裏面502の側から放射された電磁波は、
図7にて太い矢印にて示すように、テラヘルツ素子50、支持基板30、バックショート部17を通過し、バックショート部17の底面175にて反射する。その反射した電磁波は、バックショート部17、支持基板30、テラヘルツ素子50を通過し、テラヘルツ素子50の素子主面501から導波管10の本体部14の内部へと放射される。
【0084】
テラヘルツ素子50は、InP等による構成される。支持基板30は、石英等により構成される。バックショート部17は、空間であり、空気中を電磁波が伝播する。
【0085】
テラヘルツ素子50では、テラヘルツ素子50における光路長を2πの整数倍とする。支持基板30では、支持基板30における光路長を2πの整数倍とする。支持基板30とバックショート部17との界面では、電磁波が自由端反射する。バックショート部17では、底面175にて電磁波が固定端反射するため、位相がπずれる。このため、バックショート部17では、反射による位相のずれ量(π)を考慮し、光路長をπの奇数倍とすることで、位相が揃う。
【0086】
上記に基づき、テラヘルツ素子50の厚さd1は、(λ1/2)×M(Mは1以上の整数:M=1,2,3,・・・)とするとよい。λ1は、テラヘルツ素子50の内部を伝播する電磁波の実効波長である。テラヘルツ素子50(素子基板51)の屈折率をn1、cを光速、fcを電磁波の中心周波数としたとき、λ1は、(1/n1)×(c/fc)で与えられる。テラヘルツ素子50と支持基板30との界面においては、電磁波が自由端反射する。このようにテラヘルツ素子50の厚さd1を設定することにより、位相を揃えることができる。
【0087】
支持基板30の厚さd2は、(λ2/2)×M(Mは1以上の整数:M=1,2,3,・・・)とするとよい。λ2は、支持基板30の内部を伝播する電磁波の実効波長である。支持基板30の屈折率をn2、cを光速、fcを電磁波の中心周波数としたとき、λ2は、(1/n2)×(c/fc)で与えられる。支持基板30とバックショート部17の空間との界面においては、電磁波が自由端反射する。このように支持基板30の厚さd2を設定することにより、位相を揃えることができる。
【0088】
バックショート部17の厚さd3は、(λ/4)+(λ/2)×M(Mは0以上の整数:M=0,1,2,・・・)とするとよい。λは、テラヘルツ素子50が放射する電磁波の波長である。このように、テラヘルツ素子50の厚さd1、支持基板30の厚さd2、バックショート部17の厚さd3を設定することで、位相を揃えることができる。
【0089】
(作用)
次に、上記のテラヘルツ装置A1の作用を説明する。
【0090】
本実施形態のテラヘルツ装置A1は、導波管10の伝送領域101内に、テラヘルツ素子50の発振点P1及び放射点P2が位置している。したがって、伝送領域の外に配置された発振素子から伝送線路により伝送領域内に配置したアンテナに高周波信号を伝送して電磁波を発生するものと比べ、損失を低減できる。つまり、本実施形態のテラヘルツ装置A1は、テラヘルツ素子50と導波管10との間で効率の高い結合が得られる。
【0091】
テラヘルツ素子50は、素子主面501と素子裏面502とを有し、素子主面501及び素子裏面502に垂直な方向に電磁波を放射する放射パターンを有している。テラヘルツ素子50は、支持基板30の基板主面301に搭載されている。支持基板30は、テラヘルツ素子50の放射パターンに応じて、テラヘルツ素子50における電磁波の放射方向を、導波管10の中心軸102と平行とするように、導波管10に取着されている。従って、導波管10に対してテラヘルツ素子50を効率高く結合できる。
【0092】
導波管10は、テラヘルツ素子50の素子裏面502の側に配置される短絡部16を備えている。短絡部16は、主面161から裏面162に向けて窪むバックショート部17を有している。テラヘルツ素子50の素子裏面502から放射される電磁波は、バックショート部17の底面175にて反射され、導波管10の伝送領域101に放射される。これにより、テラヘルツ装置A1から放射される電磁波の出力を高くできる。従って、テラヘルツ装置A1の利得の向上を図ることができる。
【0093】
テラヘルツ素子50の厚さd1、支持基板30の厚さd2、バックショート部17の厚さd3は、電磁波の光路長による位相を考慮して設定される。従って、伝送領域101に向けて放射する電磁波の位相を揃えることができ、導波管10に対してテラヘルツ素子50を効率高く結合できる。
【0094】
テラヘルツ素子50は、電磁波を発生する能動素子52と、能動素子52に接続されたアンテナ55とを有している。アンテナ55は、能動素子52から互いに反対方向に延びる第1導電部531と第2導電部541とにより構成される。導波管10の伝送領域101は、導波管10のモード(例えばTE10モード)に応じて形成されている。テラヘルツ素子50は、アンテナ55が延びる方向を、伝送領域101の短手方向とするように配置されている。従って、アンテナ55の偏波方向を導波管10のモードに合わせてテラヘルツ素子50を配置することで、効率の高い結合が得られる。
【0095】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
【0096】
(1-1)テラヘルツ装置A1は、テラヘルツ帯の電磁波を発振及び放射するテラヘルツ素子50と、電磁波を伝送する伝送領域101を有する導波管10とを備える。テラヘルツ素子50は、互いに反対側を向く素子主面501及び素子裏面502と、素子主面501に電磁波を発振する発振点P1と電磁波を放射する放射点P2とを有している。テラヘルツ素子50は、発振点P1及び放射点P2が伝送領域101内に配置されるように配置されている。従って、本実施形態のテラヘルツ装置A1は、テラヘルツ素子50と導波管10との間で効率の高い結合が得られる。
【0097】
(1-2)テラヘルツ素子50は、素子主面501と素子裏面502とを有し、素子主面501及び素子裏面502に垂直な方向に電磁波を放射する放射パターンを有している。テラヘルツ素子50は、支持基板30の基板主面301に搭載されている。支持基板30は、テラヘルツ素子50の放射パターンに応じて、テラヘルツ素子50における電磁波の放射方向を、導波管10の中心軸102と平行とするように、導波管10に取着されている。従って、導波管10に対してテラヘルツ素子50を効率高く結合できる。
【0098】
(1-3)導波管10は、テラヘルツ素子50の素子裏面502の側に配置される短絡部16を備えている。短絡部16は、主面161から裏面162に向けて窪むバックショート部17を有している。テラヘルツ素子50の素子裏面502から放射される電磁波は、バックショート部17の底面175にて反射され、導波管10の伝送領域101に放射される。これにより、テラヘルツ装置A1から放射される電磁波の出力を高くできる。従って、テラヘルツ装置A1の利得の向上を図ることができる。
【0099】
(1-4)テラヘルツ素子50の厚さd1、支持基板30の厚さd2、バックショート部17の厚さd3は、電磁波の光路長による位相を考慮して設定される。従って、伝送領域101に向けて放射する電磁波の位相を揃えることができ、導波管10に対してテラヘルツ素子50を効率高く結合できる。
【0100】
(1-5)テラヘルツ素子50は、電磁波を発生する能動素子52と、能動素子52に接続されたアンテナ55とを有している。アンテナ55は、能動素子52から互いに反対方向に延びる第1導電部531と第2導電部541とにより構成される。導波管10の伝送領域101は、導波管10のモード(例えばTE10モード)に応じて形成されている。テラヘルツ素子50は、アンテナ55が延びる方向を、伝送領域101の短手方向とするように配置されている。従って、アンテナ55の偏波方向を導波管10のモードに合わせてテラヘルツ素子50を配置することで、効率の高い結合が得られる。
【0101】
(第二実施形態)
以下、第二実施形態を説明する。
【0102】
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明の一部又は全てを省略する。
【0103】
図8~
図10に示すように、本実施形態のテラヘルツ装置A2において、テラヘルツ素子50は、支持基板30の基板裏面302に搭載されている。
【0104】
支持基板30は、互いに反対側を向く基板主面301及び基板裏面302と、基板主面301及び基板裏面302と交差する基板側面303~306を有している。基板裏面302には、給電用線路31が形成されている。
【0105】
導波管10は、アンテナ部12、本体部14、短絡部16を有している。本体部14は、支持基板30に対応する基板収容凹部148を有している。基板収容凹部148は、本体部14の裏面142から主面141に向けて窪むように形成されている。
図8、
図9に示すように、基板収容凹部148は、第2方向xに沿って本体部14の外側面143から外側面144まで延びている。なお、支持基板30の第2方向xの寸法は、本体部14の第2方向xの寸法と同一としているが、支持基板30は、導波管10の伝送領域101内にテラヘルツ素子50の発振点P1及び放射点P2を配置できればよく、支持基板30の第2方向xの寸法は適宜変更されてもよい。そして、本体部14の基板収容凹部148は、支持基板30を収容するように、外側面143から外側面144に向かって支持基板30の寸法だけ延びていればよい。
【0106】
図9に示すように、基板収容凹部148は、壁面148a,148bと底面148cとにより規定される。
図9に示すように、壁面148a,148bは、第3方向yにおいて互いに対向している。底面148cは、第1方向zにおいて、短絡部16の側を向く。なお、基板収容凹部148は、短絡部16に設けられてもよい。
【0107】
図8、
図9に示すように、短絡部16は、溝部168を有している。溝部168は、短絡部16の主面161から裏面162に向けて窪むように形成されている。溝部168は、短絡部16の外側面163から、バックショート部17の内側面171まで延びている。溝部168は、
図9に示すように、第2方向xから視て例えば半円状の断面を有するように形成されている。溝部168は、支持基板30の主導体311に沿って延び、主導体311を囲むように形成されている。従って、短絡部16は、主導体311に対して非接触となる。なお、溝部168は、短絡部16に対して主導体311が非接触であればよく、その断面形状は四角形状、三角形状、等の任意の形状に変更できる。
【0108】
本実施形態において、テラヘルツ素子50、支持基板30、バックショート部17の第1方向zの寸法(厚さ)は、例えば、テラヘルツ素子50が放射する電磁波の周波数(波長)に応じて設定されるとよい。さらに、支持基板30の寸法(厚さ)は、支持基板30とテラヘルツ素子50の配列関係に応じて設定されるとよい。テラヘルツ素子50とバックショート部17の寸法(厚さ)は、例えば、それぞれにおいて位相を揃えるように設定されているとよい。
【0109】
図11における矢印は、本実施形態のテラヘルツ装置A2における電磁波の伝播(光路)を示す。テラヘルツ素子50の素子裏面502から放射される電磁波は、支持基板30を通過して、導波管10の本体部14の内部へと放射される。また、テラヘルツ素子50の素子主面501から放射される電磁波は、バックショート部17の底面175で反射され、テラヘルツ素子50と支持基板30を通過して、本体部14の内部へと放射される。
【0110】
従って、支持基板30には、材料と寸法(厚さ)において反射防止膜(ARコーティング)の考え方を適用できる。支持基板30を反射防止膜とした場合、支持基板30の厚さd2は、(λ2/4)+(λ2/2)×M(Mは0以上の整数:M=0,1,2,・・・)とするとよい。λ2は、支持基板30の内部を伝播する電磁波の実効波長である。支持基板30の屈折率をn2、cを光速、fcを電磁波の中心周波数としたとき、λ2は、(1/n2)×(c/fc)で与えられる。支持基板30の材料は、空気の屈折率n0と、テラヘルツ素子50の屈折率n1とに基づいて、n2=√(n0×n1)により与えられる屈折率n2、又はこの値に近い屈折率の材料を用いるとよい。例えば、石英ガラスの屈折率は1.45であり、支持基板30として用いることができる。
【0111】
テラヘルツ素子50の厚さd1は、(λ1/2)×M(Mは1以上の整数:M=1,2,3,・・・)とするとよい。λ1は、テラヘルツ素子50の内部を伝播する電磁波の実効波長である。テラヘルツ素子50(素子基板51)の屈折率をn1、cを光速、fcを電磁波の中心周波数としたとき、λ1は、(1/n1)×(c/fc)で与えられる。テラヘルツ素子50と支持基板30との界面においては、電磁波が自由端反射する。このようにテラヘルツ素子50の厚さd1を設定することにより、位相を揃えることができる。
【0112】
バックショート部17の厚さd3は、(λ/4)+(λ/2)×M(Mは0以上の整数:M=0,1,2,・・・)とするとよい。λは、テラヘルツ素子50が放射する電磁波の波長である。このように、テラヘルツ素子50の厚さd1、支持基板30の厚さd2、バックショート部17の厚さd3を設定することで、位相を揃えることができる。
【0113】
以上記述したように、本実施の形態によれば、第一実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0114】
(2-1)テラヘルツ素子50は、支持基板30の基板裏面302に搭載されている。支持基板30は、基板主面301を本体部14の開口に向けて本体部14と短絡部16との間に固定されている。従って、テラヘルツ素子50は、短絡部16に形成されたバックショート部17に収容され、そのバックショート部17は、支持基板30により閉止される。このため、導波管10のアンテナ部12を介して本体部14の伝送領域101内に異物が侵入しても、その異物によるテラヘルツ素子50やワイヤ71,72への影響を抑制できる。
【0115】
(第三実施形態)
以下、第三実施形態を説明する。
【0116】
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明の一部又は全てを省略する。
【0117】
図12~
図14は、第三実施形態のテラヘルツ装置A3を示す。テラヘルツ装置A3は、導波管10A、支持基板30A、テラヘルツ素子50Aを有している。
【0118】
導波管10Aは、アンテナ部12、本体部14A、短絡部16Aを有している。
【0119】
図12、
図13に示すように、支持基板30Aは、基板主面301、基板裏面302、基板側面303,304,305,306を有している。
【0120】
基板主面301と基板裏面302は、第2方向xにおいて、互いに反対側を向く。基板側面303,304は、第1方向zにおいて、互いに反対側を向き、基板側面305,306は、第3方向yにおいて、互いに反対側を向く。つまり、支持基板30Aは、基板主面301及び基板裏面302を、導波管10Aの中心軸102と平行とするように、導波管10Aに取着されている。
【0121】
例えば、導波管10Aの本体部14Aは、伝送領域101を区画する内側面151,152,153,154を有している。そして、導波管10Aの本体部14Aは、内側面152を形成する第1壁部材14A1と、内側面151,153,154を形成する第2壁部材14A2とを有している。第1壁部材14A1は板状に形成され、その第1壁部材14A1に支持基板30Aの基板裏面302が接触または接着材などの中間層を介して対向している状態で、第1壁部材14A1に取着されている。第2壁部材14A2には、支持基板30Aに対応する基板収容凹部149が形成されている。第1壁部材14A1と第2壁部材14A2とにより支持基板30Aを挟むように、支持基板30Aを支持する。
【0122】
テラヘルツ素子50Aは、支持基板30Aに搭載され、本体部14A内に配置されている。
【0123】
本実施形態において、テラヘルツ素子50Aは、素子主面501、素子裏面502、素子側面503~506を有している。テラヘルツ素子50Aは、素子主面501の中心に、放射点P2及び発振点P1を有している。そして、本実施形態のテラヘルツ素子50Aは、素子主面501と平行な方向に電磁波を放射する放射パターンを有している。本実施形態のテラヘルツ素子50Aは、素子側面503,504と直交する方向を電磁波の放射方向とするように構成されている。
【0124】
テラヘルツ素子50Aは、支持基板30Aの基板主面301に搭載されている。
図12に示すように、テラヘルツ素子50Aは、支持基板30Aの基板側面304側の端部に実装されている。本実施形態において、テラヘルツ素子50Aの素子側面504は、支持基板30Aの基板側面304と面一である。支持基板30Aは、基板主面301に搭載されたテラヘルツ素子50Aにおける放射方向を、導波管10Aの中心軸102と平行とするように、導波管10Aに取着されている。
【0125】
図14に示すように、テラヘルツ素子50Aは、素子基板51、能動素子52、第1導電体層53、第2導電体層54を備えている。第1導電体層53及び第2導電体層54はそれぞれ、素子主面501上に形成されている。第1導電体層53及び第2導電体層54は互いに絶縁されている。
【0126】
第1導電体層53は、第1導電部534、第1パッド電極533を含む。第2導電体層54は、第2導電部544、第2パッド電極543を含む。
【0127】
第1導電部534と第2導電部544は、テラヘルツ素子50Aの素子側面503,504と直交する方向(第1方向z)に沿って延びるとともに、素子側面505,506と直交する方向(第3方向y)において互いに離れている。さらに、第1導電部534と第2導電部544は、素子側面504と平行な方向(第3方向y)における互いの間隔が、素子側面504に向かうにつれて大きくなるように形成されている。つまり、第1導電部534と第2導電部544は、それらの間に、素子側面504に向かうにつれて幅が広がるテーパ形状のスロットを形成する。これら第1導電部534と第2導電部544は、アンテナ55Aとして機能する。アンテナ55Aは、例えばテーパスロットアンテナである。このアンテナ55Aは、テラヘルツ素子50Aにて発生する電磁波を、テラヘルツ素子50Aの素子主面501と平行な方向、つまりテラヘルツ素子50Aに対して横方向に電磁波を放射する。なお、アンテナ55Aは、テーパスロットアンテナに限定されず、八木・宇田アンテナ、ダイポールアンテナ、ボータイアンテナ、パッチアンテナ、又はリングアンテナ、等の他のアンテナであってもよい。
【0128】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
【0129】
(3-1)第一実施形態の(1-1)と同様の効果を奏する。
【0130】
(3-2)テラヘルツ素子50Aは、素子側面503,504に垂直な方向に電磁波を放射する放射パターンを有している。テラヘルツ素子50Aは、支持基板30Aの基板主面301に搭載されている。支持基板30Aは、テラヘルツ素子50Aの放射パターンに応じて、テラヘルツ素子50Aにおける電磁波の放射方向を、導波管10Aの中心軸102と平行とするように、導波管10Aに取着されている。従って、導波管10Aに対してテラヘルツ素子50Aを効率高く結合できる。
【0131】
(変更例)
上記各実施形態は、以下のように変更できる。以下の各変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0132】
・第一実施形態において、テラヘルツ装置A1において、短絡部16のバックショート部17の底面175は、テラヘルツ素子50の素子裏面502の側に配置された反射部として機能する。反射部の構成,位置は、適宜変更されてもよい。
【0133】
図15~
図17に示すテラヘルツ装置A11は、テラヘルツ素子50が基板主面301に実装された支持基板30の基板裏面302に、反射部としての反射膜33が形成されている。反射膜33は、例えばCuにより形成される。
図16に示すように、反射膜33は、例えば支持基板30を貫通する貫通電極331により、基板主面301の接地導体312,313と電気的に接続される。なお、貫通電極331が省略されてもよい。
【0134】
反射部として、短絡部16の表面を用い、電磁波反射してもよい。つまり、第一実施形態の短絡部16において、バックショート部17を省略することで、短絡部16の基板収容凹部167の底面167cにて電磁波を反射する構成とする。このように電磁波を反射する構成とした場合、支持基板30の基板裏面302と反射膜33の界面、又は短絡部16の底面167cにおいて、電磁波が固定端反射するため、位相がπずれる。よって、支持基板30の厚さd2は、電磁波の周波数(波長)と反射部による位相のずれを考慮し、(λ2/4)+(λ2/2)×M(Mは0以上の整数、M=0,1,2,・・・)とするとよい。
【0135】
図18~
図20に示すテラヘルツ装置A12は、支持基板30の基板主面301に、反射部としての反射膜34が形成されている。反射膜34は、例えばCuにより形成される。
図20に示すように、反射膜34は、接地導体312,313と接続され、連続的に形成される。この場合、反射膜34によって電磁波が固定端反射するため、位相がπずれる。よって、テラヘルツ素子50の第1方向zの寸法(厚さd1)は、テラヘルツ素子50内の電磁波の波長λ1として、(λ1/4)+(λ1/2)×M(Mは0以上の整数、M=0,1,2,・・・)とするとよい。
【0136】
なお、反射部としての反射膜34は、例えばテラヘルツ素子50に形成されてもよい。例えば、素子基板51において、能動素子52が配置された素子主面501とは反対側の素子裏面502に、反射膜を形成する。反射膜は、例えば、Au/Ti、Au/Pd/Ti、等により構成される。また、支持基板30の基板主面301とテラヘルツ素子50の素子裏面502とに反射膜が形成されてもよい。
【0137】
・
図21に示すテラヘルツ装置A13は、支持基板30の素子収容凹部35にテラヘルツ素子50が埋め込まれている。
図21に示す変更例では、支持基板30の基板主面301とテラヘルツ素子50の素子主面501とが面一である。この構成によれば、テラヘルツ素子50と支持基板30とを接続するワイヤ71,72が短くなり、信号伝送をより高速に行うことができる。
【0138】
また、
図22に示すテラヘルツ装置A14は、支持基板30の素子収容凹部35にテラヘルツ素子50の一部が埋め込まれている。この構成によれば、ワイヤ71,72の長さが短くなり、信号伝送を高速に行うことができる。また、支持基板30に埋め込む素子収容凹部35の底面と基板裏面302との間の厚さを電磁波の周波数(波長)に応じて設定する、つまり、素子収容凹部35の深さによって電磁波の位相を揃えることができる。
【0139】
・
図23に示すテラヘルツ装置A15は、バンプ74によってテラヘルツ素子50が支持基板30にフリップチップ実装されている。この構成によれば、信号伝送をより高速に行うことができる。また、テラヘルツ素子50と支持基板30とを接続するワイヤによる導波管10内の伝播モードへの影響を低減できる。
【0140】
・
図24に示すテラヘルツ装置A16は、短絡部16のバックショート部17に誘電体18が充填されている。バックショート部17に充填する誘電体18の種類(材質、構成比)を変更することで、その充填した誘電体18の誘電率により、バックショート部17の厚さd3を変更することなく、インピーダンスを調整できる。
【0141】
・
図25に示すテラヘルツ装置A17は、短絡部16のバックショート部17の形状が変更されている。この短絡部16は、バックショート部17の深さ方向(第1方向z)の途中に、遮蔽部191,192を有している。遮蔽部191,192は、例えば第2方向xにおいて互いに離れて設けられ、スリット193を形成する。スリット193の幅、位置によって、インピーダンスを設定できる。
【0142】
・
図26に示すテラヘルツ装置A18は、導波管10の伝送領域101よりも素子主面501が大きなテラヘルツ素子50を備えている。このテラヘルツ装置A18において、導波管10の本体部14は、テラヘルツ素子50よりも大きな素子収容部155を有している。このような素子収容部155により、種々の大きさのテラヘルツ素子50を導波管10に内蔵でき、種々のテラヘルツ素子50を備えたテラヘルツ装置A18を提供できる。
【0143】
図27に示すテラヘルツ装置A19のように、素子収容部156の形状を、伝送領域101に向かうにつれて徐々に幅が狭くなる四角錐台状のようにテーパ形状とすることで、不整合等を抑制できる。
【0144】
・
図28に示すテラヘルツ装置A20は、第三実施形態のテラヘルツ装置A3と比べ、支持基板30Aの厚さd2が変更されている。導波管10Aは、第1壁部材14A1に支持基板30Aの一部を収容する凹部14Bを有している。なお、
図28では、
図12に示す短絡部16Aが省略されている。第2方向xにおける凹部14Bの深さd5は、支持基板30Aの厚さd2、テラヘルツ素子50の厚さd1、伝送領域101の寸法aに基づいて、テラヘルツ素子50の素子主面501の放射点P2を伝送領域101の中心軸102と一致するように、d5=d1+d2-(a/2)に設定される。
【0145】
・
図29に示すテラヘルツ装置A21は、短絡部16のバックショート部17の形状を調整可能である。テラヘルツ装置A21は、調整部材S1を有する。調整部材S1は、例えばネジである。
図29において、短絡部16には、バックショート部17の底面175と裏面162との間を貫通してネジ孔16Rが形成され、そのネジ孔16Rに調整部材S1の先端S1aをバックショート部17内に位置するように螺入されている。調整部材S1の先端S1aの位置、つまり調整部材S1の挿入状態を変更することにより、バックショート部17の形状を調整できる。これにより、インピーダンスを調整できる。
【0146】
・
図30に示すテラヘルツ装置A22は、複数(
図30では3個)のテラヘルツ素子50を備えている。導波管10Bの伝送領域中には、3つのテラヘルツ素子50にそれぞれ対応する3つの本体部14が設けられている。各テラヘルツ素子50はそれぞれ対応する支持基板30に搭載されている。各支持基板30は、3つの本体部14と1つの短絡部16とのうちの対応する2つに挟まれている。このテラヘルツ装置A22において、テラヘルツ素子50の配置間隔Laは、電磁波の波長λの整数倍(mλ、mは1以上の整数:m=1,2,3,・・・)であるとよい。このように複数のテラヘルツ素子50を配置することで、テラヘルツ素子50間の結合効率が強くでき、高利得にできる。
【0147】
・上記各実施形態の導波管10,10A,10Bは、伝送領域101が長方形状である方形導波管としたが、開口側から視た伝送領域の形状が円形である円形導波管としてもよい。
【0148】
・テラヘルツ素子50は、入射されるテラヘルツ帯の電磁波を電気エネルギーに変換するものであってもよい。第一実施形態のテラヘルツ装置A1を用いて具体的に説明する。テラヘルツ素子50の能動素子52は、入射されるテラヘルツ帯の電磁波(テラヘルツ波)を電気エネルギーに変換する。これにより、テラヘルツ素子50は、アンテナ55においてテラヘルツ波を受信し、能動素子52において検出する。従って、アンテナ55は、テラヘルツ波を受信する受信点P2ということができるし、テラヘルツ波により共振動作する共振点ということもできる。このため、テラヘルツ素子50は、素子主面501の中心の受信点P2と、検出点P1とを有する。この場合、支持基板30に形成された給電用線路31は、テラヘルツ素子50によって変換された電気エネルギーを電気信号としてテラヘルツ装置A1の外部へ出力する伝送線路として機能する。
【0149】
さらに、テラヘルツ素子50は、テラヘルツ波を発振及び検出の両方を行うものであってもよく、能動素子52は発振点P1及び検出点P1ということができる。この場合、支持基板30に形成された給電用線路31は、テラヘルツ素子50に電磁波を放射するための高周波電気信号を供給する線路と、テラヘルツ素子50によって変換された電気エネルギーを電気信号としてテラヘルツ装置A1の外部へ出力する伝送線路として機能する。
【0150】
・テラヘルツ素子を支持する支持基板の形状は適宜変更されてもよい。
【0151】
図31に示すように、支持基板30Bは、支持部36と固定部37とを有する。支持部36は、導波管の伝送領域101の大きさ、詳しくは伝送方向と直交する面における伝送領域101の形状及び大きさに設定されている。伝送領域101は、例えば第2方向xの長辺寸法a(
図4参照)に対して第3方向yの短辺寸法b(
図4参照)が短い長方形状である。したがって、支持部36は、第2方向xの長さに対して第3方向yの長さが短い長方形状である。そして、支持部36の第2方向xの寸法は長辺寸法aであり、第3方向の寸法は短辺寸法bである。支持部36にはテラヘルツ素子50が実装されている。テラヘルツ素子50は、例えば放射点P2を支持部36の中心に位置するように配置されている。固定部37は、支持部36に対して第2方向xに接続されている。つまり、固定部37は、長方形状の支持部36に対して、支持部36の長辺が伸びる方向に接続されている。言い換えれば、固定部37は、長方形状の支持部36の短辺に接続されている。支持部36に実装されたテラヘルツ素子50は、アンテナ55を有している。テラヘルツ素子50は、アンテナ55の伸びる方向を、伝送領域101の短手方向とするように配置されている。したがって、固定部37は、支持部36に対して、その支持部36に実装されたテラヘルツ素子50のアンテナ55の伸びる方向と直交する方向に接続されている。
【0152】
固定部37は、導波管の本体部と短絡部との間に配設される。支持部36を伝送領域101の大きさとするとともにその支持部36に対して固定部37を第2方向xに接続することで、周波数特性低下を抑制できる。伝送領域101に対して第3方向y(伝送領域101の寸法b方向)に支持基板がはみ出すと、不要な共振が発生する虞がある。発生する不要な共振は、周波数特性の悪化を招く。なお、第2方向xの支持基板のはみ出しは周波数特性に影響しない。このため、第2方向xに固定部37を設けることで、支持部36を支持できる。給電用線路31の主導体311及び接地導体312,313は、給電用線路31が接続されるコネクタの形状に対応する。なお、
図32に示すように、接地導体312,313は、支持部36に向かうにつれて幅狭となるように形成してもよい。
【0153】
図33に示すように、支持基板30Cは、第1の固定部37と第2の固定部38とを有する。第1の固定部37は、支持部36に対して第2方向xに接続されている。第2の固定部38は、支持部36に対して第1の固定部37と反対側に接続されている。第2の固定部38は、給電側の第1の固定部37と同じ大きさであることが好ましい。このように支持基板30Cを構成することにより、テラヘルツ素子50の周辺の電界分布が第2方向xにおいて均等となり、周波数特性をより安定化できる。この支持基板30Cの場合、
図34に示すテラヘルツ装置A23のように、本体部14に、給電側の第1の溝部147aと同じ形状の第2の溝部147bが設けられることが好ましい。このように第1の溝部147aと第2の溝部147bとを設けることにより、電界分布が第2方向xにおいてより均等となり、周波数特性をより安定化できる。
【0154】
・発振点P1と放射点P2(検出点P1と受信点P2)は互いに異なる位置であってもよい。例えば、発振点P1は、アンテナ55(放射点P2)と第1パッド電極533及び第2パッド電極543との間に配置されてもよい。
【0155】
(付記)
次に、上記各実施形態および各変更例に基づく技術的思想を以下に記載する。
【0156】
(付記1)
テラヘルツ帯の電磁波を発振及び放射するテラヘルツ素子と、
前記電磁波を伝送する伝送領域を有する導波管と、
を備え、
前記テラヘルツ素子は、互いに反対側を向く素子主面及び素子裏面と、前記素子主面に前記電磁波を発振する発振点と前記電磁波を放射する放射点とを有し、
前記テラヘルツ素子は、前記発振点及び前記放射点が前記伝送領域内に配置されるように配置されている、
テラヘルツ装置。
【0157】
(付記2)
前記テラヘルツ素子は、前記放射点が前記伝送領域の中心に位置するように配置されている、付記1に記載のテラヘルツ装置。
【0158】
(付記3)
前記テラヘルツ素子は、前記発振点に、前記電磁波と電気エネルギーとの変換を行う能動素子を有する、付記1又は付記2に記載のテラヘルツ装置。
【0159】
(付記4)
前記テラヘルツ素子は、前記能動素子に接続され、前記素子主面と直交する方向を前記電磁波の放射方向とするアンテナを備えた、付記3に記載のテラヘルツ装置。
【0160】
(付記5)
前記テラヘルツ素子は、前記能動素子に接続され、前記素子主面と平行な方向を前記電磁波の放射方向とするアンテナを備えた、付記3に記載のテラヘルツ装置。
【0161】
(付記6)
テラヘルツ帯の電磁波を伝送する伝送領域を有する導波管と、
前記電磁波を受信及び検出するテラヘルツ素子と、
を備え、
前記テラヘルツ素子は、互いに反対側を向く素子主面及び素子裏面と、前記素子主面に前記電磁波を受信する受信点と前記電磁波を検出する検出点とを有し、
前記テラヘルツ素子は、前記受信点及び前記検出点が前記伝送領域内に配置されるように配置されている、
テラヘルツ装置。
【0162】
(付記7)
前記テラヘルツ素子は、前記受信点が前記伝送領域の中心に位置するように配置されている、付記6に記載のテラヘルツ装置。
【0163】
(付記8)
前記テラヘルツ素子は、前記検出点に、前記電磁波と電気エネルギーとの変換を行う能動素子を有する、付記6又は付記7に記載のテラヘルツ装置。
【0164】
(付記9)
前記テラヘルツ素子は、前記能動素子に接続され、前記素子主面と直交する方向を前記電磁波の受信方向とするアンテナを備えた、付記8に記載のテラヘルツ装置。
【0165】
(付記10)
前記テラヘルツ素子は、前記能動素子に接続され、前記素子主面と平行な方向を前記電磁波の受信方向とするアンテナを備えた、付記8に記載のテラヘルツ装置。
【0166】
(付記11)
前記能動素子は、共鳴トンネルダイオード、タンネットダイオード、インパットダイオード、GaAs系電界効果トランジスタ、GaN系FET、高電子移動度トランジスタ、ヘテロ接合バイポーラトランジスタのいずれかである付記3から付記5、付記8から付記10のいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0167】
(付記12)
前記アンテナは、ダイポールアンテナ、ボータイアンテナ、スロットアンテナ、パッチアンテナ、リングアンテナのいずれかである付記4又は付記9に記載のテラヘルツ装置。
【0168】
(付記13)
前記アンテナは、テーパスロットアンテナ、八木・宇田アンテナ、ボータイアンテナ、ダイポールアンテナ、のいずれかである付記5又は付記10に記載のテラヘルツ装置。
【0169】
(付記14)
前記伝送領域の側を向く基板主面と、前記基板主面と反対側を向く基板裏面とを有し、前記テラヘルツ素子を支持する支持基板を備え、
前記テラヘルツ素子は、前記基板主面に搭載されている、付記1から付記13のいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0170】
(付記15)
前記伝送領域の側を向く基板主面と、前記基板主面と反対側を向く基板裏面とを有し、前記テラヘルツ素子を支持する支持基板を備え、
前記テラヘルツ素子は、前記基板裏面に搭載されている、付記1から付記13のいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0171】
(付記16)
前記支持基板は、前記テラヘルツ素子に接続される伝送線路を有する付記14又は付記15に記載のテラヘルツ装置。
【0172】
(付記17)
前記伝送線路は、前記テラヘルツ素子に接続される主導体を含み、
前記導波管は、前記主導体が形成された前記支持基板の面の側に、前記主導体に沿って延び、前記主導体を囲む溝部を有する、付記16に記載のテラヘルツ装置。
【0173】
(付記18)
前記支持基板は、前記伝送領域に配置され、前記テラヘルツ素子を支持する支持部と、前記支持部を前記導波管に固定する固定部とを有し、
前記支持部は、前記導波管の伝送領域の大きさに設定されている
付記17に記載のテラヘルツ装置。
【0174】
(付記19)
前記導波管内において前記電磁波が伝送される伝送方向である第1方向と直交する方向を第2方向、前記伝送方向及び前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、
前記支持部は、前記第2方向の寸法に対して前記第3方向の寸法が短い長方形状であり、
前記固定部は、前記支持部に対して前記第2方向に接続されている、
付記18に記載のテラヘルツ装置。
【0175】
(付記20)
前記固定部は第1の固定部と第2の固定部とを備え、前記第1の固定部は、前記支持部に対して前記第2方向に接続され、前記第2の固定部は、前記支持部に対して前記第1の固定部と反対側に接続されている、付記19に記載のテラヘルツ装置。
【0176】
(付記21)
前記伝送線路は前記第1の固定部に設けられ、
前記溝部は、前記第1の固定部に対して設けられた第1の溝部であり、
前記導波管は、前記第2の固定部に対して前記1の溝部と同じ形状の第2の溝部を有する、付記20に記載のテラヘルツ装置。
【0177】
(付記22)
前記テラヘルツ素子は、ワイヤにより前記伝送線路に接続されている付記16から付記21のいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0178】
(付記23)
前記支持基板は、前記テラヘルツ素子の少なくとも一部を収容する素子収容凹部を有する付記22に記載のテラヘルツ装置。
【0179】
(付記24)
前記テラヘルツ素子は、バンプにより前記伝送線路に接続されている付記16から付記21のいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0180】
(付記25)
前記伝送線路は、コプレーナ線路、マイクロストリップ線路、ストリップ線路、スロット線路のいずれかである付記16から付記24のいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0181】
(付記26)
前記テラヘルツ素子の素子裏面側に前記電磁波を反射する反射部を備える付記14に記載のテラヘルツ装置。
【0182】
(付記27)
前記導波管は、前記伝送領域を形成する本体部と、前記伝送領域の一端側を短絡する短絡部とを備え、
前記反射部は、前記短絡部に形成された凹部の底面である、付記26に記載のテラヘルツ装置。
【0183】
(付記28)
前記導波管は、前記伝送領域を形成する本体部と、前記伝送領域の一端側を短絡する短絡部とを備え、
前記反射部は、前記支持基板の前記基板裏面に接する短絡部である、付記26に記載のテラヘルツ装置。
【0184】
(付記29)
前記反射部は、前記支持基板の前記基板裏面に形成された反射膜である、付記26に記載のテラヘルツ装置。
【0185】
(付記30)
前記反射部は、前記支持基板の前記基板主面に形成された反射膜である、付記26に記載のテラヘルツ装置。
【0186】
(付記31)
前記反射部は、前記テラヘルツ素子の前記素子裏面に形成された反射膜である、付記26に記載のテラヘルツ装置。
【0187】
(付記32)
前記導波管は、前記伝送領域を有する本体部と、前記支持基板の前記基板裏面側にバックショート部を有する短絡部とを備える、付記26から付記31のいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0188】
(付記33)
前記バックショート部には、誘電体が充填されている、付記32に記載のテラヘルツ装置。
【0189】
(付記34)
前記バックショート部は、スリットを有する、付記32又は付記33に記載のテラヘルツ装置。
【0190】
(付記35)
前記短絡部は、前記支持基板と反対側の裏面から前記バックショート部内に先端が挿入された調整部材を有する、付記32から付記34のいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0191】
(付記36)
前記導波管は、前記伝送領域から拡大され、前記伝送領域よりも大きい前記テラヘルツ素子を収容する素子収容部を有する、付記1から付記35のいずれか一項に記載のテラヘルツ装置。
【0192】
(付記37)
前記素子収容部の側面は、前記伝送領域に向かうにつれて徐々に前記伝送領域の中心に近づくように傾いている付記36に記載のテラヘルツ装置。
【符号の説明】
【0193】
A1,A2,A3、A11~A22…テラヘルツ装置
10,10A,10B…導波管
101…伝送領域
102…中心線
30,30A,30B,30C…支持基板
301…基板主面
302…基板裏面
31…給電用線路
33,34…反射膜
35…素子収容凹部
36…支持部
37…固定部(第1の固定部)
38…第2の固定部
40…伝送線路
50,50A…テラヘルツ素子
501…素子主面
502…素子裏面
51…素子基板
52…能動素子
53…第1導電体層
531…第1導電部
54…第2導電体層
541…第2導電部
55,55A…アンテナ
P1…発振点、検出点
P2…放射点、受信点
x…第2方向
y…第3方向
z…第1方向(伝送方向)