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特許7577685通信チャネル状態を予測するためのデバイス、システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】通信チャネル状態を予測するためのデバイス、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/0453 20230101AFI20241028BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241028BHJP
   H04W 72/02 20090101ALI20241028BHJP
【FI】
H04W72/0453
H04W84/12
H04W72/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021564637
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 US2020029948
(87)【国際公開番号】W WO2020223132
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】62/841,747
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/580,230
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507364997
【氏名又は名称】サイプレス セミコンダクター コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Cypress Semiconductor Corporation
【住所又は居所原語表記】198 Champion Court, San Jose, CA 95134, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー エヴァンス
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ストッパー
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-200773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0311167(US,A1)
【文献】特開2014-155026(JP,A)
【文献】特開2015-177339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線デバイスの方法であって、前記方法は、
前記無線デバイスの地理的位置と、前記無線デバイスに関連付けられた時刻と、を追跡するステップと、
1日の複数の時間帯に、複数の地理的位置のそれぞれの地理的位置内で、複数のWi-FiチャネルのそれぞれのWi-Fiチャネルについての予測チャネル状態値を有するチャネルマップデータにアクセスするステップと、
前記チャネルマップデータを使用し、前記無線デバイスの地理的位置と、前記無線デバイスに関連付けられた時刻と、に基づいて、複数の前記Wi-Fiチャネルの1つのWi-Fiチャネルを通信用に選択するステップと、
を含み、
複数の前記Wi-Fiチャネルの1つの前記Wi-Fiチャネルを選択するステップは、アクセスポイントとしての前記無線デバイスと、少なくとも1つの別の無線デバイスと、を含む自動車ネットワークにおいて、複数の前記Wi-Fiチャネルの1つの前記Wi-Fiチャネルを通信用に選択するステップを含み、
前記チャネルマップデータにアクセスするステップは、リモートコンピュータから前記チャネルマップデータを受信するステップを含み、前記チャネルマップデータは、アクセスポイントを含む複数のデバイスによってクラウドソーシングされたチャネル状態データに基づく、
方法。
【請求項2】
前記方法は、
1日の複数の前記時間帯の少なくとも1つの時間帯に、複数の前記地理的位置の少なくとも1つの地理的位置内で、複数の前記Wi-Fiチャネルの少なくとも1つのWi-Fiチャネルに関連付けられたチャネル状態データを検出するステップと、
前記チャネルマップデータを生成するかまたは更新されたチャネルマップデータを生成するために、検出された前記チャネル状態データを供給するステップと、
をさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
複数の前記Wi-Fiチャネルの少なくとも1つの前記Wi-Fiチャネルに関連付けられた前記チャネル状態データを検出するステップは、受信信号強度インジケータ、信号対雑音比値、TXOP値およびパケットロス値の少なくとも1つを検出するステップを含む、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記チャネル状態データを検出するステップは、通信プロトコルに準拠しないチャネル利用を表すチャネル状態データを検出するステップを含む、
請求項2記載の方法。
【請求項5】
検出された前記チャネル状態データを供給するステップは、1日の複数の前記時間帯の少なくとも1つの前記時間帯に検出された前記チャネル状態データを集計するステップを含む、
請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記チャネル状態データを検出するステップは、前記無線デバイスが第1の地理的位置内にあることを特定するステップと、前記特定に応じて、複数の前記Wi-Fiチャネルの少なくとも1つの前記Wi-Fiチャネルについての前記チャネル状態データをメモリに記憶するステップと、を含む、
請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記チャネル状態データを検出するステップは、前記無線デバイスが第1の時刻に動作していることを特定するステップと、前記特定に応じて、複数の前記Wi-Fiチャネルの少なくとも1つの前記Wi-Fiチャネルについての前記チャネル状態データをメモリに記憶するステップと、を含む、
請求項2記載の方法。
【請求項8】
前記チャネル状態データを検出するステップは、複数の前記Wi-Fiチャネルの少なくとも1つの前記Wi-Fiチャネルに関連付けられた状態値が、閾値状態レベルを満たしているかまたは上回っていることを特定するステップと、前記特定に応じて、複数の前記Wi-Fiチャネルの少なくとも1つの前記Wi-Fiチャネルについての前記チャネル状態データをメモリに記憶するステップと、を含む、
請求項2記載の方法。
【請求項9】
検出された前記チャネル状態データを供給するステップは、無線ローカルエリアネットまたはセルラネットワークを介して、検出された前記チャネル状態データをリモートコンピュータに送信するステップを含む、
請求項2記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、前記無線デバイスの速度を特定するステップをさらに含み、複数の前記Wi-Fiチャネルの1つの前記Wi-Fiチャネルを通信用に選択するステップは、特定された前記速度に基づいて開始される、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記チャネルマップデータにアクセスするステップは、通信に現在使用されている第1のチャネルの状態値が閾値状態レベルを満たすかまたは上回っているかを特定するステップと、前記特定に応じて、前記チャネルマップデータにアクセスするステップと、を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項12】
複数の前記Wi-Fiチャネルの1つの前記Wi-Fiチャネルを選択するステップは、
前記チャネルマップデータを使用して、1日の第1の時間帯に、第1の地理的位置内での、第1のWi-Fiチャネルの第1の予測状態値が、1日の前記第1の時間帯に、前記第1の地理的位置内での、第2のWi-Fiチャネルの第2の予測状態値よりも大きいことを特定するステップと、
前記特定に応じて、前記第1のWi-Fiチャネルを通信に使用することから、第2のWi-Fiチャネルを通信に使用することに切り換えるステップと、
を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記第1のWi-Fiチャネルの前記第1の予測状態値が、前記第2のWi-Fiチャネルの前記第2の予測状態値よりも大きいことを特定するステップは、前記第2の予測状態値が、閾値状態レベルよりも小さいことを特定するステップを含む、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記第1のWi-Fiチャネルを通信に使用することから、前記第2のWi-Fiチャネルを通信に使用することに切り換えるステップは、前記第1の地理的位置に進入する前に開始される、
請求項12記載の方法。
【請求項15】
複数の前記Wi-Fiチャネルの1つの前記Wi-Fiチャネルを通信用に選択するステップは、複数の前記Wi-Fiチャネルの1つの選択された前記Wi-Fiチャネルを介してデータを送信するために使用される送信電力を調整するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項16】
複数の前記Wi-Fiチャネルの1つの前記Wi-Fiチャネルを通信用に選択するステップは、第1のWi-Fiチャネル幅を通信に使用することから、第2のWi-Fiチャネル幅を通信に使用することに切り換えるステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項17】
無線デバイスであって、前記無線デバイスは、
前記無線デバイスの地理的位置を受信するように構成されている位置追跡器と、
前記無線デバイスに関連付けられた時刻を追跡するように構成されている時刻追跡器と、
チャネルマップデータを記憶するように構成されているメモリシステムと、
を有し、
前記チャネルマップデータは、1日の複数の時間帯に、複数の地理的位置のそれぞれの地理的位置内で、複数のWi-FiチャネルのそれぞれのWi-Fiチャネルについての、予測輻輳値を含み、
前記無線デバイスは、前記無線デバイスの地理的位置と、前記無線デバイスに関連付けられた時刻と、に基づき、複数の前記Wi-Fiチャネルの1つのWi-Fiチャネルを通信用に選択するために、前記メモリシステムに記憶されている前記チャネルマップデータを使用するように構成されているチャネル状態評価器をさらに有し、
前記チャネル状態評価器は、アクセスポイントとしての前記無線デバイスと、少なくとも1つの別の無線デバイスと、を含む自動車ネットワークにおいて、複数の前記Wi-Fiチャネルの1つの前記Wi-Fiチャネルを通信用に選択するように構成されており、
前記チャネルマップデータは、アクセスポイントを含む複数のデバイスによってクラウドソーシングされたチャネル状態データに基づく、
無線デバイス。
【請求項18】
前記無線デバイスは、チャネル状態検出器とトランシーバとをさらに有し、
前記チャネル状態検出器は、1日の複数の前記時間帯の少なくとも1つの時間帯に、複数の前記地理的位置の少なくとも1つの地理的位置内で、複数の前記Wi-Fiチャネルの少なくとも1つのWi-Fiチャネルに関連付けられたチャネル状態データを検出するように構成されており、
前記トランシーバは、リモートコンピュータによる前記チャネルマップデータを生成するかまたは更新されたチャネルマップデータを生成するために、検出された前記チャネル状態データを無線で送信し、前記リモートコンピュータによって生成された前記チャネルマップデータまたは前記更新されたチャネルマップデータを無線で受信するように構成されており、前記チャネル状態データは、受信信号強度インジケータ、信号対雑音比値、TXOP値およびパケットロス値の少なくとも1つを含む、
請求項17記載の無線デバイス。
【請求項19】
前記チャネル状態評価器は、
1日の第1の時間帯に、第1の地理的位置内での、第1のWi-Fiチャネルの第1の予測状態値が、1日の前記第1の時間帯に、前記第1の地理的位置内での、第2のWi-Fiチャネルの第2の予測輻輳値よりも大きいことを特定し、
前記特定に応じて、前記無線デバイスが前記第1の地理的位置に進入する前に、前記第1のWi-Fiチャネルを通信に使用することから、前記第2のWi-Fiチャネルを通信に使用することに前記無線デバイスを切り換える、
ように構成されている、
請求項17記載の無線デバイス。
【請求項20】
前記チャネル状態評価器は、
データを送信するために使用される送信電力を調整することと、
第1のWi-Fiチャネル幅を通信に使用することから、第2のWi-Fiチャネル幅を通信に使用することに切り換えることと、
の少なくとも1つを実行するように構成されている、
請求項17記載の無線デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2019年9月24日に出願された米国非仮出願第16/580230号明細書の国際出願であり、この国際出願は、2019年5月1に出願された米国仮出願第62/841747号の優先権および利益を主張し、そのすべてが、参照により、本明細書にそのすべてが組み込まれるものである。
【0002】
技術分野
本発明の対象は、無線通信の分野に関する。限定的ではなくより具体的にいうと、本発明の対象には、予測通信チャネル状態に基づいてチャネルを選択する技術が開示されている。
【背景技術】
【0003】
IoT(Internet of Things)の普及に伴い、(例えば、2.4GHzおよび5GHz周波数帯域における)無線デバイス、ネットワークおよびネットワークトラフィックの数は、着実に増加している。結果的に発生するネットワーク干渉および輻輳の増大は、例えば、スループットの低下および遅延の増加を引き起こすことにより、地理的位置内で動作する無線デバイス間のネットワーク性能に害を及ぼしている。
【0004】
添付の図面の図には、制限ではなく例として、いくつかの実施形態が例示されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】複数の実施形態にしたがい、地理的ゾーンにおける無線デバイスを例示するマップ図である。
図2】複数の実施形態にしたがい、自動車に関連付け可能なさまざまなネットワークを例示するネットワーク図である。
図3】一実施形態にしたがい、チャネルマップデータ生成器を含む電子デバイスに接続された無線デバイスを例示するネットワーク図である。
図4】複数の実施形態にしたがい、チャネルマップデータを生成する方法を例示する流れ図である。
図5】一実施形態にしたがい、チャネル毎のチャネル状態値を示すチャート図である。
図6】複数の実施形態にしたがい、1日の異なる時間帯についての予測チャネルマップデータをグラフで表すチャート図である。
図7】複数の実施形態にしたがい、地理的なマップに重ね合わされたチャネルマップデータを例示するマップ図である。
図8】複数の実施形態にしたがい、チャネルマップデータを生成および更新する方法を例示する流れ図である。
図9】一実施形態にしたがい、無線デバイスを例示するブロック図である。
図10】複数の実施形態にしたがい、チャネル状態データを供給してチャネルマップデータを使用する方法を例示する流れ図である。
図11】複数の実施形態にしたがい、電子デバイスを例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
通信チャネル状態を予測するためのデバイス、システムおよび方法を説明する。以下の記述では、説明を目的とし、特許請求の範囲に記載された対象の完全な理解を提供するために多くの実施例および実施形態を説明する。特許請求の範囲に記載された対象は、別の複数の実施形態において実施できることは当業者には明らかであろう。いくつかの実施形態を手短に導入し、次に図1からはじめて別の複数の実施形態とともにより詳細に説明する。
【0007】
例えば、2.4GHzおよび/または5GHz周波数帯域における(例えば、IEEE 802.11規格に基づくWi-Fi)WLAN(Wireless Local Area Network)通信プロトコル、(例えばBT SIG規格に基づく)Bluetooth(登録商標)(BT)通信プロトコルおよび/または(例えばIEEE 802.15.4規格に基づく)Zigbee(ZB)通信プロトコルに準拠する、通信に使用されている無線通信チャネルの状態にはさまざまな要因が影響を与え得る。チャネル状態に影響を与える要因は、時刻とともに変化することがあり、使用している無線デバイスの個数、使用している周波数スペクトル、使用しているチャネル、全体トラフィックおよび/または通信プロトコルへの準拠レベルが含まれ得るが、これらに限定されない。2.4GHz周波数帯域における電子レンジ、コードレス電話およびベビーモニターからの他の共通の無線(無線周波数:radio frequency)放射および/または5GHz帯域におけるレーダー信号が存在することも、チャネル状態に影響を及ぼし得る。
【0008】
チャネル輻輳およびチャネル干渉のようなチャネル状態は、同じ近接領域内で動作する無線デバイスが被ってしまう通信中断を増大させ得る。チャネル輻輳は、ノードおよび/またはリンクに関連付けられた帯域幅が不十分でありかつネットワークデータトラフィックが容量を超過してネットワークサービス品質が低下する場合に発生する。例えば、ネットワークチャネル輻輳は、待ち行列遅延、フレームまたはデータパケットの損失および新たな接続のブロックに結び付くことがある。チャネル干渉には、隣接チャネル干渉および/または同一チャネル干渉が含まれ得る。例えば、重なり合う周波数スペクトル(例えば、2.4GHz域におけるWLAN、BTおよびZB)の隣接チャネルにおける、かつ/または所望の無線周波数信号に対して相対的な隣接周波数スペクトル(例えば、LTE(Long-Term Evolution)バンド7およびバンド40のようなセルラ)における干渉無線周波数信号は、周波数干渉、相互変調干渉および/または高調波干渉を引き起こすことがある。復号誤りは、所望の無線周波数信号において符号化されているパケットを成功裏に再構築することを妨げることがあるため、これらの干渉無線周波数信号は、パケット損失を大きく増大させることがある。
【0009】
またモバイルネットワークが存在することにより、チャネル状態に影響が及ぼされることもある。モバイルネットワークには、2つ以上のネットワークデバイスから成るネットワークが含まれており、少なくとも1つのネットワークデバイスは、地理的位置間で移動可能である。いくつかの実施形態では(例えば、車両では)、1つ以上のネットワークデバイスが、地理的位置間で一緒にまたは別々に移動可能である。例えば、自動車内のモバイルネットワークは、自動車(および例えばモバイルネットワーク)が異なる地理的位置をあちらこちらと移動するのに伴い、チャネル状態の変化を引き起こし得る、かつ/または被り得る。いくつかのケースでは、(例えば、「ラッシュアワー」に)かなりの個数のモバイルネットワークおよび/または別の無線ネットワーク要因が存在することは、チャネル状態にマイナスの影響を及ぼし得る。このようなチャネル状態のせいで、特定のチャネルにおいてパケット誤りが増大することがあり、これにより、例えば、周辺領域におけるかなりの個数の無線デバイスによって(例えば、パケット再送信に関連して)通信の中断および電力消費の増大が生じることになる。したがって、チャネル状態により、地理的位置内での通信にどの通信チャネルが適切であるかを決定可能である。
【0010】
従来の無線デバイスは、サービスの中断を回避するために、位置および時刻ベースのチャネル状態予測を積極的に利用するいかなる技術も使用していない。本明細書で説明されるデバイス、システムおよび方法は、1日の異なる時間帯にわたって、複数の地理的位置についてのチャネルマップデータを生成し、予測される有害なチャネル状態の作用を回避するかまたは軽減するためにチャネルマップデータを使用する。以下で説明するように、さまざまな地理的位置および時刻に対応するチャネル状態データは、わずか1つの無線デバイスによって収集可能であるか、または複数の無線デバイスによってクラウドソーシングで収集可能である。一実施形態では、チャネル状態データは、それぞれの時間帯に、それぞれの地理的位置内に検出されるそれぞれのチャネルについてのチャネル状態値を供給するチャネルマップを追加するために集計される。一実施形態では、クラウドベースシステムにより、数百または数千の無線デバイスによってクラウドソーシングされたチャネル状態データを使用して、チャネルマップデータを生成する。択一的には、無線デバイスは、クラウドソーシングの恩恵を受けてまたは恩恵を受けることなく、それ自体のチャネルマップデータを作成可能である。複数の実施形態では、(例えば、自動車における)1つ以上の無線デバイスは、位置および時刻についてチャネルマップデータによって予測される有害のチャネル状態を回避するかまたは軽減するためにチャネルマップデータにアクセス可能である。複数の実施形態は、2.4GHz周波数帯域内のWLANチャネルに関して説明されているが、本明細書で説明される技術は、5GHzおよび6GHz周波数帯域内のチャネルにも、輻輳および/または干渉のようなチャネル状態に見舞われている可能性のある別の任意の無線通信にも同様に適用可能であることに注意されたい。
【0011】
一実施形態では、チャネルマップデータ生成器を含むクラウドベースの電子デバイスにより、第1のチャネル状態データおよび第1のチャネル状態データを受信する。第1のチャネル状態データは、1日の第1の時間帯に、第1の地理的位置内で検出される第1のWi-Fiチャネルに関連付けられているのに対し、第1のチャネル状態データは、1日の第2の時間帯に、第1の地理的位置内で検出される第2のWi-Fiチャネルに関連付けられている。チャネルマップデータ生成器は、1日の第1の時間帯に、第1の地理的位置内で検出されるそれぞれの第1のWi-Fiチャネルについての第1のチャネル状態値を生成するために第1のチャネル状態データを使用し、1日の第2の時間帯に、第1の地理的位置内で検出されるそれぞれの第2のWi-Fiチャネルについての第1のチャネル状態値を生成するために第1のチャネル状態データを使用する。次に、クラウドベースの電子デバイスは、無線デバイスにこのチャネルマップデータを送信可能であり、これによって無線デバイスにより、有害なチャネル状態を回避または軽減するためのチャネル選択動作にチャネルマップデータが使用される。以下で説明するように、より広範囲にわたる予測チャネルマップを形成するために、1日の付加的な時間帯および/または付加的な地理的位置についてのチャネル状態値を同様の仕方で生成可能である。
【0012】
別の一実施形態では、無線デバイス(例えば、携帯電話または車両インフォテインメントシステム)には、無線デバイスの地理的位置を追跡する位置追跡器と、無線デバイスに関連付けられた時刻を追跡する時刻追跡器と、が含まれている。無線デバイスのメモリシステムには、1日の複数の時間帯に、複数の地理的位置のそれぞれの地理的位置内で、複数のWi-FiチャネルのそれぞれのWi-Fiチャネルについての予測チャネル状態値を含むチャネルマップデータが記憶されている。複数の実施形態では、無線デバイスの地理的位置および無線デバイスに関連付けられた時刻に基づき、チャネルマップデータによって予測される有害なチャネル状態を回避または軽減するために、無線デバイスのチャネル状態評価器により、チャネルマップデータが使用される。予測されるチャネル状態の回避または軽減は、地理的位置に進入する前に開始することができ、送信電力の調整、通信に使用されるチャネル幅の調整および通信用の別のチャネルに切り換えることが含まれていてよいが、これらに限定されない。
【0013】
従来の技術とは異なり、本明細書で説明される実施形態は、一時間帯に、一地理的位置において予想される有害なチャネル状態を予期可能であり、通信における中断の広がりと、本発明によるのでなければ有害なチャネル状態によって引き起こされ得る電力消費の増大と、を回避するための訂正動作を取ることできる。
【0014】
以下の詳細な説明には、詳細な説明の一部を成す添付の図面への参照が含まれている。図面には、複数の実施形態にしたがった例示が示されている。本明細書において「実施例」とも称されるこれらの実施形態は、特許請求の範囲に記載された対象の実施形態を当業者が実施できる程度に十分に詳細に記述されている。これらの実施形態は、特許請求の範囲に記載されたものの範囲から逸脱することなく、組み合わせ可能であり、別の複数の実施形態を利用可能であるか、または構造的、論理的および電気的な変更が可能である。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で捉えられるべきでなく、上記の範囲は、添付の特許請求の範囲およびこれらの同等物によって定められる。
【0015】
図1は、複数の実施形態にしたがい、地理的ゾーンにおける無線デバイスを例示するマップ図である。上で導入したように、地理的位置におけるネットワークの使用、したがってチャネル状態も、さまざまな要因および/または時間帯に応じて変化し得る。この図で使用されているように、ネットワークは、媒体を介して接続されておりかつ通信プロトコルを使用して互いに通信するように構成されている2つ以上のデバイスを意味する。ネットワークチャネルとは、通信に使用されるネットワーク媒体の一部分のことをいう。チャネル状態とは、通信をサポートするためのチャネルの適合性のことである。
【0016】
このマップは、ゾーン1(Z1)120と、ゾーン2(Z2)130と、ゾーン3(Z3)140と、ゾーン4(Z4)150と、を含むように図示されている。与えられた任意の時間帯に、それぞれのゾーンは、任意の個数の無線デバイス、または境界内で動作して無線トラフィックを生成する別の無線周波数エミッタを有していてよい。これらゾーンは類似のサイズを有するように図示されているが、それぞれのゾーンは、特許請求の範囲に記載された対象から逸脱することなく、任意のサイズを有するか、また他のゾーンとは異なるサイズを有していてよい。複数の実施形態では、それぞれのゾーンは、地理的位置または領域と見なされ、複数の位置座標(例えばGPS座標)の集合によって、またはわずか1つの位置座標(例えば、ランドマークステータス)によって定義されていてよい。
【0017】
例示的な無線デバイスには、無線カメラ(例えば、無線カメラ110)、携帯電話(例えば、携帯電話116)、アクセスポイント(例えば、アクセスポイント112)、ラップトップコンピュータ(PC)(例えば、ラップトップ115)、自動車(例えば、自動車102)、無線センサ(図示せず)および/または別のIoTデバイスが含まれていてよい。
【0018】
複数の実施形態では、Z1 120、Z2 130、Z3 140およびZ4 150におけるチャネル状態は、営業時間、通信期間、自動車交通量のパターン、または無線トラフィックに対応する任意の別のパターンに対応する、ネットワークの使用によって影響を受ける可能性がある。WLAN標準プロトコルに準拠していない無線デバイスによるチャネルユリネーション(channel urination)(例えば、過剰な専有)も、チャネル状態に影響を与えることがある。
【0019】
図2は、複数の実施形態にしたがい、自動車に関連付け可能なさまざまなネットワークを例示するネットワーク図である。無線システム260は、自動車102に関連付けられた無線デバイスとの無線通信およびこれらの無線デバイス間の無線通信が容易に行われるようにする。自動車102に関連付けられた無線デバイスには、コンソールディスプレイ262、携帯電話264、ラップトップコンピュータ268、リアシートエンターテインメント(RSE:rear seat entertainment)270、リモートコンピュータ266、他の自動車272およびリモコン274が含まれていてよいが、これらに限定されない。複数の実施形態では、無線システム260には、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)およびLTE通信プロトコルを介して、1つ以上の無線デバイスと通信可能なインフォテインメントヘッドユニットが含まれていてよい。
【0020】
Wi-Fiを介し、無線システム260によって容易に行われるようにされる、無線デバイスによる例示的な無線通信および無線デバイス間の例示的な無線通信には、ディスプレイ共用、(例えばRSEへの)マルチメディア分配、インターネットアクセス(例えば、テザリング、外部ホットスポット)およびEVワイヤレス充電が含まれていてよい。無線システム260は、自動車対自動車の通信に802.11pを使用可能である。Bluetooth(登録商標)を介し、無線システム260によって容易に行われるようにされる、無線デバイスによる例示的な無線通信および無線デバイス間の例示的な無線通信には、ハンズフリーボイス、メディアストリーミング、キーレスエントリ、自動駐車、タイヤ圧監視およびリモートセンサ制御が含まれていてよい。無線システム260は、メディアサービスの負担を軽減するためのデータ通信に、およびOEM用の無線を介する更新にLTEを使用可能である。上で説明したさまざまな機能のための通信は、特許請求の範囲に記載された対象から逸脱することなく、別の通信プロトコルを使用して達成できることに注意されたい。自動車102における1つ以上のモバイルネットワーク(例えば、自動車ネットワーク)は、地理的位置におけるチャネル状態の影響を受けやすいことがある。地理的ゾーンについての予測通信チャネル条件のデータベースを形成するチャネルマップデータ生成器は、図3に関して説明される。
【0021】
図3は、一実施形態にしたがい、チャネルマップデータ生成器を含む電子デバイスに接続された無線デバイスを例示するネットワーク図である。複数の実施形態では、1つ以上の無線デバイスにより、1日の異なる時間帯において、ジオタギングされかつタイムスタンプが付され、異なる地理的ゾーンに関連付けられたチャネル状態データが報告される。例えば、無線カメラ110およびアクセスポイント112により、時刻T1、T2、T3およびT4にZ1 120に関連付けられたチャネル状態データが報告可能であり、自動車102により、T1にZ3 140に、またT2にZ1 120に関連付けられたチャネル状態データが報告可能であり、携帯電話116により、T1およびT2にZ3 140に関連付けられたチャネル状態データが報告可能であり、ラップトップコンピュータ115により、T1、T2、T3およびT4にZ3 140に関連付けられたチャネル状態データが報告可能である。チャネル状態データを収集可能な無線デバイスのタイプは、図1または図3に示されたものに限定されない。例えば、無線デバイスには、位置が固定されているかまたは関心対象の位置を巡回するために移動可能な、無線周波数収集ボックス(図示せず)またはドローン(図示せず)のような無線周波数スペクトル解析デバイスが含まれていてよい。複数の実施形態では、チャネルマップデータ生成器304は、さまざまな位置および時刻から無線デバイスによって供給されるクラウドソーシングされたチャネル状態データに基づいてチャネルマップデータを生成可能である。電子デバイス302は、1つ以上の無線デバイスにチャネルマップデータを分配することができ、これにより、無線デバイスは、チャネルマップデータによって予測される干渉または輻輳を回避するかまたは軽減することができる。択一的または付加的には、電子デバイス302は、無線エコシステムにおいて負荷および帯域幅のバランスを取るために、チャネルマップデータを使用する中央制御ノードとして動作して、1つ以上の無線デバイスのパラメータ(例えば、送信電力、チャネル、スループット)をリモートで調整することが可能である。無線デバイスは、電子デバイスによって生成されるチャネルマップデータからの恩恵を受けるために、チャネル状態データを供給する必要がないことに注意されたい。逆に、無線デバイスは、チャネル状態データに寄与してよいが、チャネルマップデータから恩恵を受けなくてもよい。
【0022】
チャネル状態データには、通信チャネルの状態を特定、推測または予測するために使用可能な、無線周波数に関連した任意の情報が含まれていてよい。例示的なチャネル状態データには、使用しているチャネルの識別子、受信信号強度インジケータ(RSSI:received signal strength indicator)、TXOP(transmit opportunity)値、媒体へのアクセスの値、パケット数、パケットエラー値、再送信値、スループット値、遅延値、帯域値、地上設置レーダーによる使用されているスペクトル(例えば、5GHzで使用されるDFSチャネル)、MACアドレス、SSIDおよび/またはメーカーなどが含まれていてよいが、これらには限定されない。いくつかの実施形態では、電子デバイス302は、チャネル状態データおよび/または無線デバイスから収集される別の情報を整理することができ、これにより、これは、チャネル状態を管理するのとは別の目的で使用可能である。例えば、電子デバイス302は、MACアドレス、SSID、ネットワークタイプおよび/またはデバイスメーカーを表す時間依存マップデータを生成可能であり、この時間依存マップデータは、異なる時刻に複数の地理的位置において使用されているデバイスまたはプロトコルについての収益化可能な(例えば、市場浸透指数のレベルを表す)市場戦力情報を提供可能である。
【0023】
複数の実施形態では、チャネルマップデータ生成器304により、ジオタギングされかつタイムスタンプが付された輻輳データが整理されて、チャネル、位置および1日の時刻でこれが集計される。輻輳マップデータ発生器は、チャネル状態値を生成するために、以下の表現、すなわち、
【数1】
に基づいてチャネル状態データを集計可能であり、ただし、n=1は、チャネル状態データを報告する最初の無線デバイスであり、nendは、チャネル状態データを報告する最後の無線デバイスであり、t=0は、時間帯の開始であり、tendは、時間帯の終了であり、xは、無線デバイスによって供給される1つ以上の、チャネル状態データのタイプの関数である。
【0024】
マップデータのそれぞれのチャネル状態値は、一地理的位置(例えばゾーン)内で一時間帯に、特定チャネルの通信のための適性を特徴付ける単一の値で表されてよい。チャネルマップデータを生成してこれをグラフィカルディスプレイに供給する例示的なプロセスは、図4に関して記載されている。例示的なチャネルマップデータは、図5に示されており、チャネル状態マップデータがどのようにグラフィカルに表示され得るかの例は、図6および図7に関して示されている。チャネルマップデータを更新する例示的なプロセスは、図8に関して説明されている。
【0025】
図4は、複数の実施形態にしたがい、チャネルマップデータを生成する方法を例示する流れ図である。方法400は、処理ロジックを有するハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(例えば、汎用コンピューティングシステムまたは専用マシン上で動作するソフトウェア)、ファームウェア(組み込みソフトウェア)、またはこれらの任意の組み合わせによって実行可能である。さまざまな実施形態では、方法400は、図3の電子デバイス302に関して図示および説明したように実行可能である。
【0026】
ブロック402では、電子デバイス302により、1日の複数の時間帯に、複数の地理的位置内で検出される複数の無線チャネルに関連付けられたチャネル状態データを受信する。例えば、T1では、無線カメラ110およびアクセスポイント112により、Z1 120にWi-Fiチャネルが検出されて、これらのWi-Fiチャネルに関連付けられたチャネル状態データが、電子デバイス302に送信される。同じ期間(例えばT1)に、携帯電話116および自動車102により、Z3 140にWi-Fiチャネルが検出され、これらのWi-Fiチャネルに関連付けられたチャネル状態データが、電子デバイス302に送信される。T2までに、自動車102は、Z1 120に移動しており、ラップトップコンピュータ115は、ネットワーク接続を確立している。したがってT2では、無線カメラ110、アクセスポイント112および自動車102により、Z1 120にWi-Fiチャネルが検出され、これらのWi-Fiチャネルに関連付けられたチャネル状態データが、電子デバイス302に送信される。同じ期間(例えば、T2)に、携帯電話116およびラップトップコンピュータ115により、Z3 140にWi-Fiチャネルが検出され、これらのWi-Fiチャネルに関連付けられたチャネル状態データが、電子デバイス302に送信される。この例では、無線デバイスから成る小さな集合に注目したが、チャネル状態データに寄与する無線デバイスの個数は、設計上の選択によってのみ限定され得る。
【0027】
ブロック404では、チャネルマップデータ生成器304により、チャネル状態データを使用して、それぞれの地理的位置に検出されるそれぞれの無線通信チャネルについてのチャネル状態値を有するチャネルマップデータを生成する。図5は、列504のそれぞれの時間帯(例えば、午前4時~午前8時、午前8時~午前12時、午前12時~午後4時、午後4時~午後8時、午後8時~午後12時および午後12時~午前4時)に、列502のそれぞれの地理的位置(例えば、Z1、Z2、Z3およびZ4)について、列506のチャネル毎のチャネル状態値を示すチャート図である。一実施形態では、それぞれのチャネル状態値は、スケーリングされかつ/または正規化された、数式(1)の出力であり、この出力は、対応する地理的位置、1日の時間帯およびチャネルについて、チャネルマップデータ生成器304によって計算されている。それぞれのチャネル状態値は、0~5で示されており、ただし0は、1つのチャネルにおける通信についての、最も高い適性のレベルを示しており、5は、1つのチャネルにおける通信についての最も低い適性のレベルを示している。特許請求の範囲に記載された対象から逸脱することなく、チャネル状態値の別の範囲または表し方が使用可能である。
【0028】
ブロック406では、電子デバイス302により、無線デバイスのチャネル動作のためにチャネルマップデータを供給する。1つ以上の無線デバイスは、特定の時刻の一地理的位置における有害なチャネル状態の予測として、チャネルマップにおける状態値を使用し、害を軽減するために適切な動作を取ることができる。したがって、無線デバイスのチャネル選択動作をチャネル状態値に基づいて行うことができる。
【0029】
ブロック408では、電子デバイス302により、チャネルマップデータのすべてまたは一部が表示可能である。択一的または付加的には、1つ以上の無線デバイスにより、チャネルマップデータが表示可能である。チャネルマップデータの例示的なグラフ表示は、図6および図7に示されている。図6は、1日の異なる時間帯に、Z1 120について、図5の予測チャネルマップデータをグラフで表すチャート図である。図7は、地理的なマップに重ね合わされた、図5のチャネルマップデータを例示するマップ図であり、午前4時~午前8時の時間帯に、Z1 120、Z2 130、Z3 140およびZ4 150について予測されるチャネル状態値のスナップショットを表す。別の複数の実施形態では、チャネルマップデータの任意の別のグラフィック表示(例えば、ヒートマップまたはトポロジカルマップ)が使用可能である。複数の実施形態では、人間のユーザまたはアプリケーションは、有害な予測チャネル状態を先取りして回避または軽減するために、チャネルマップデータ(例えば、図5のチャネルマップデータ)またはそのグラフィック表示を使用することができる。
【0030】
図8は、複数の実施形態にしたがい、チャネルマップデータを生成および更新する方法を例示する流れ図である。方法800は、処理ロジックを有するハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(例えば、汎用コンピューティングシステムまたは専用マシン上で動作するソフトウェア)、ファームウェア(組み込みソフトウェア)、またはこれらの任意の組み合わせによって実行可能である。さまざまな実施形態では、方法800は、図3および図4に関して図示および説明したように実行可能である。
【0031】
ブロック802~ブロック808は、異なる2つの時間帯に対応する地理的位置についての初期チャネルマップデータを形成して、次にこのマップを無線デバイスに分配することに関する。したがって、ブロック802では、電子デバイス302により、1日の第1の時間帯(例えば、日1の午前4時~午前8時)に、第1の地理的位置(例えば、Z1 120)内で検出される、第1のWi-Fiチャネルに関連付けられた第1のチャネル状態データを受信する。ブロック804では、電子デバイス302により、1日の第2の時間帯(例えば、日1の午前8~午前12時)に、第1の地理的位置(例えば、Z1 120)内で検出される、第2のWi-Fiチャネルに関連付けられた第1のチャネル状態データを受信する。ブロック806では、チャネルマップデータ生成器304により、第1のチャネル状態データおよび第1のチャネル状態データを使用してチャネルマップデータを生成する。チャネルマップデータは、1日の第1の時間帯(例えば、日1の午前4時~午前8時)に、第1の地理的位置内で検出される、それぞれの第1のWi-Fiチャネルについての第1のチャネル状態値と、1日の第2の時間帯(例えば、日1の午前8時~午前12時)に、第1の地理的位置(例えば、Z1 120)内で検出される、それぞれの第2のWi-Fiチャネルについての第1のチャネル状態値と、を含んでいてよい。ブロック808では、電子デバイス302により、1つ以上の無線デバイスに初期チャネルマップを送信する。
【0032】
ブロック810~ブロック816は、同じ地理的位置において、(例えば、同じ時間帯ではあるが連続した日に)複数の無線デバイスから到来する新たなチャネル状態データとして、更新されたチャネル状態値を生成することに関する。ブロック810では、電子デバイス302により、1日の第1の時間帯(例えば、日2の午前4時~午前8時)に、第1の地理的位置(例えば、Z1 120)内で検出される、複数の第1のWi-Fiチャネルの特定の1つの第1のWi-Fiチャネル(例えば、チャネル1)に関連付けられた第3のチャネル状態データを受信する。ブロック812では、チャネルマップデータ生成器304により、複数の第1のWi-Fiチャネルの特定の1つの第1のWi-Fiチャネル(例えば、チャネル1)についての、更新されたチャネル状態値を生成する。例えば、更新されたチャネル状態値は、同じ地理的位置(例えば、Z1 120)と、前日に(例えば、日1に)受信されたのと同じ、1日の時間帯(例えば、午前4時~午前8時)とに対応する、新たなチャネル状態データに基づいていてよい。
【0033】
ブロック814では、チャネルマップデータ生成器304により、第1のチャネル状態データ(例えば、日1に受信された前のチャネル状態データ)と、第3のチャネル状態データ(例えば、日2に受信された新たなチャネル状態データ)と、の間の類似度に基づいて、更新されたチャネル状態値における信頼度を選択的に割り当てることができる。択一的または付加的には、更新されたチャネル状態値における信頼度は、前の生成されたチャネル状態値と、新たに生成されたチャネル状態値と、の間の類似度に基づいてよい。例えば、チャネル状態値は、チャネル状態データまたは値が、あらかじめ定められた標準偏差の数を越えて変化する場合に、低い信頼度に関連付けられることが可能である。チャネル状態値は、チャネル状態データまたは値が時間とともに収束するのにつれて、次第に高い信頼度に関連付けられてよい。
【0034】
ブロック816では、次に、チャネルマップデータ生成器304により、複数の第1のWi-Fiチャネルの1つの第1のWi-Fiチャネル(例えば、チャネル1)についての更新されたチャネル状態値を使用してチャネルマップを更新し、ブロック808では、電子デバイス302により、更新されたチャネルマップを送信する。
【0035】
図9は、一実施形態にしたがい、無線デバイスを例示するブロック図である。無線デバイス900は、図1図8に関して示した、または説明した任意の無線デバイスに含まれていてよい。無線デバイス900は、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)のような基板901に配置可能である。バスシステム903には、チップ間バス、チップ内バス、共存バス、またはICチップまたは離散型ICチップに配置可能な、回路および/または論理ブロックを接続する別の任意の通信線路が含まれていてよい。
【0036】
複数の実施形態では、協調共存型ハードウェアメカニズムおよびアルゴリズムにより、通信サブシステムが、並行および/または同時に動作可能である。例えば、無線デバイス900は、共存インタフェースを介してWLAN通信リソースに接続されているBT通信リソースおよび/またはZB通信リソースを含むシステムオンチップ上に含まれていてよい。
【0037】
協調共存型技術により、複数の通信プロトコルについての通信リソースが1つのデバイス(例えば、スモールフォームファクタデバイス)に配置可能な手法が提供される。共存型ソリューションは、チップレベル、ボードレベル、ソフトウェアレベル(例えば、ファームウェア)で、かつ/またはアンテナを介して実装可能である。一実施形態では、WLAN、BTおよび/またはZBサブシステム間の協調共存は、マルチネットワーク通信システムの特定状況および設計制約に対して最適性能を達成するために、データ型間、アプリケーション間および/または別の調整アルゴリズム間の、PTA(Packet Traffic Arbitration)の優先度付けアプローチを使用して、PTAロジック(図示せず)によって実装可能である。PTAの複数の実施形態により、組み込みシステムにおける同時の音声、ビデオおよびデータ送信についての全体的な品質を達成可能である。いくつかの実施形態では、本明細書で説明される複数の実施形態にしたがって予想されるチャネル状態は、通信のための共存動作の一部として、無線デバイス900によってサポートされる複数の通信リソースの1つ以上によって共有可能である。
【0038】
無線デバイス900は、トランシーバ906と、チャネル状態検出器908と、位置追跡器910と、時刻追跡器912と、通信プロトコルロジック914と、アンテナセレクタ904と、チャネル状態評価器918と、処理デバイス920と、メモリシステム922と、を含むように図示されており、これらは、それぞれ以下でより詳細に説明される。
【0039】
無線デバイス900は、アンテナ902を含み得るか、または当該技術分野において公知の任意の選択ロジック(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせ)を含み得るアンテナセレクタ904を介してアンテナ902に接続可能である。アンテナセレクタ904により、アンテナが選択されると、アンテナセレクタ904は、無線周波数信号の受信および送信のために、トランシーバ906とこのアンテナとを接続する。複数の実施形態では、それぞれのアンテナ902は、1つ以上のアンテナを表していてよい。例えば、いくつかの実施形態では、(例えば、切り換え回路として動作する)アンテナセレクタ904は、通信プロトコルロジック914と排他的に組み合わされるかまたは通信プロトコルロジック914との間で共有される任意の個数のアンテナ(例えば、6個または8個)を含む1つ以上のアンテナアレイ(例えば、位相配列)および/またはアンテナクラスタに無線デバイス900を接続することができる。
【0040】
トランシーバ906は、アンテナセレクタ904を介して1つ以上のアンテナ902に接続可能であり、1つ以上の通信プロトコルにしたがって無線周波数信号を容易に送受信できるようにする。複数の実施形態では、受信器として動作する場合、トランシーバ906は、受信した無線周波数信号をアナログ領域で処理し、これらのデジタル化し、対応するデジタルデータを復調し、さらなる処理(例えば、パケット処理)のために、複数の1および0から成る復号化された列を通信プロトコルロジック914に供給する。送信器として動作する場合、トランシーバ906は一般に、逆方向の動作を行い、通信プロトコルロジック914から複数の1および0から成る列を受け取り、信号を変調し、1つ以上のアンテナ902による送信のためにアナログ信号を出力する。
【0041】
位置追跡器910および時刻追跡器912は、チャネル状態検出器908によって検出されるチャネル状態データとの関連付けのために、無線デバイス900に関連付けられた地理的位置および時刻値を追跡するためものである。複数の実施形態では、GPS座標を検出するためにグローバルポジショニングシステム回路(図示せず)が位置追跡器910に含まれている。択一的または付加的には、位置追跡器910は、アクセスポイントからの信号に基づく三角測量技術、または無線デバイス900の位置を特定するための、当該技術分野において公知の別の位置探査技術を使用することができる。時刻追跡器912は、例えば、時刻を追跡するためにシステムクロック回路を利用するか、またはリモートで生成される時刻値にアクセスすることができる。
【0042】
チャネル状態検出器908は、チャネル状態マッピングのために、ジオタギングされかつタイムスタンプが付されたチャネル状態データを検出し、計算し、これにアクセスし、かつ/またはそうでなければこれを供給するためのものである。複数の実施形態では、さまざまなイベントまたは条件により、チャネル状態データを供給するようにチャネル状態検出器908をトリガすることが可能である。このようなイベントまたは状態は、図3の電子デバイス302から受信可能であり、メモリシステム922にアレイとして記憶可能である。例えば、チャネル状態検出器908は、特定の地理的位置への無線デバイス900に近接していること、輻輳または干渉の検出されたレベルおよび/または1日の特定の時刻に応じて、チャネル状態データを検出して記憶し始めることができる。いくつかの実施形態では、チャネル状態検出器908は、通信チャネルに関連付けられた属性を特定するためにアナログおよび/またはデジタルロジックおよび/または測定回路を含んでいてよい。複数の実施形態では、チャネル状態検出器908は、無線周波数信号を聴取するかまたは走査する、かつ/または複数のチャネルにおけるパケットブロードキャストをスニッフィングすることにより、チャネル状態データを取得可能である。チャネル状態検出器908はまた、チャネル状態データを取得するためにチャネル上で通信されるパケットをスニッフィングする、かつ/またはカウントすることも可能である。別々のブロックに分かれているように図示されているが、チャネル状態検出器908は、全体的にまたは部分的に、トランシーバ906と、通信プロトコルロジック914と、チャネル状態評価器918と、によって、かつ/または、メモリシステム922に記憶されている処理命令923によって実装されていてよい。
【0043】
チャネル状態データには、信号レベルおよび/または強度値(例えば、RSSI値)、信号品質値(例えば、SNRまたはEESM(exponential effective SNR mapping)値)、SINR(signal-to-interference-plus-noise ratio)、パケット到達率(PDR:packet delivery ratio)、パケット数、TXOP、セキュリティレベル、SSID(service set identifier)、チャネル識別子、デバイス識別子、ビット誤り率(BER:bit error rate)および/または別の任意の属性の組み合わせまたはそれらの派生物が含まれていてよいが、これらには限定されない。SINRは、トランシーバにおいて、受信信号の電力が、雑音と干渉との和を上回る程度を表す。PDRは、送信器によって送信されたパケットの総数に対する、受信器において正しく受信されたパケットの比である。BERは、与えられた期間にわたって受信されたビット総数に対する、誤りを有するビットの比である。複数の実施形態では、例えば、白色ノイズまたはフェージングの、現在のBERまたはPERにSINRをマッピングするためにモデルが使用可能である。これらの属性の1つ以上により、特定の期間にわたるチャネル状態の平均的な推定が提供可能である。チャネル状態検出器908は、チャネルマップ生成における後の使用のために、生データおよび/または集計された形態でメモリシステム922に(例えば、チャネル状態テーブル924に)、検出されたチャネル状態データを記憶可能である。
【0044】
チャネル状態検出器908は、以下の式、すなわち
【数2】
に基づいて、1つのチャネル当たりのチャネル状態データを集計することが可能であり、ただし、s=1は、チャネル状態データの第1サンプルであり、sendは、チャネル状態データの最後のサンプルであり、t=0は、時間帯の開始であり、tendは、時間帯の終了であり、xは、チャネル輻輳検出器によって検出される1つ以上の、チャネル状態データのタイプの関数である。
【0045】
通信プロトコルロジック914には、(例えば、WLAN、BT、LTEおよび/またはZB通信プロトコルに準拠する)1つ以上の通信プロトコル規格によって定められる通信プロトコルをサポートする命令およびハードウェアが含まれている。PHYロジック915には、通信プロトコルの電気的および物理的な仕様のすべてまたは一部を実装する専用回路および/またはプロセッサによって実行される命令が含まれていてよく、またPHYロジック915は、無線デバイスと伝送媒体との間の関係を定める(例えば、OSI参照モデルの物理層のすべてまたは一部)。例えば、PHYロジック915は、コネクションを確立および切断し、コンテンツリゾリューションおよびフローコントロールを提供し、変調、復調および/またはデジタルデータと無線で通信される対応する信号との間の変換を提供することができる。MACロジック916には、ネットワークエンティティ(例えば、OSI参照モデルのデータリンク層のすべてまたは一部)間でデータを転送するための機能的および手続き的な手段のすべてまたは一部を実装する専用回路および/またはプロセッサによって実行される命令(例えば、制御ロジック)が含まれていてよい。MACロジック916は、物理層で発生し得る誤りを検出して場合によって訂正するために、ACK標識があるか否かについてフレームフィールドを検査することができる。
【0046】
択一的または付加的には、通信プロトコルロジック914には、物理チャネルおよびリンク、ならびにBT通信プロトコル規格に準拠する誤り訂正、データ白色化、ホップ選択およびセキュリティのような他のサービスを管理する専用回路および/またはプロセッサによって実行される命令を含むベースバンドロジック917が含まれていてよい。ベースバンドロジック917には、リンクコネクションおよび電力制御のようなリンクレベルルーチンを実行するために、上位BTプロトコル層のBTリンクマネージャ(図示せず)と動作するリンクコントローラが含まれていてよい。ベースバンドロジック917はまた、非同期および同期リンクを管理し、パケットを処理し、領域におけるBTデバイスにアクセスおよび問い合わせためにページングおよび問い合わせを実行することが可能である。
【0047】
複数の実施形態では、処理デバイス920は、命令923(例えば、ファームウェアまたはマイクロコード)および/またはメモリシステム922内に編成されているデータ構造を利用して、無線デバイス900動作を実装するために使用される。単一のブロックとして図示されているが、処理デバイス920およびメモリシステム922には、無線デバイス900のさまざまなブロック(例えば、904、908、910、912、914、918)間に分散される複数の共有または専用リソースが含まれていてよい。例示的な処理デバイス920およびメモリシステム922は、図11に関してさらに詳細に説明される。
【0048】
チャネル状態評価器918は、チャネル選択を行い、かつ/またはメモリシステム922に記憶されているチャネルマップデータに基づいて、アンテナセレクタ904にアンテナを選択させるためのものである。チャネル状態評価器918は、専用ハードウェアによって、かつ/または処理命令923によって実装可能である。いくつかの実施形態に対し、チャネル状態評価器918またはチャネル状態検出器908は、(例えば、数式2を使用して)輻輳マップデータを生成可能である。別の一実施形態では、輻輳マップデータは、図3の電子デバイス302によってメモリシステム922に供給可能である。
【0049】
複数の実施形態では、チャネル状態評価器918は、チャネル選択および/またはアンテナ選択を選択アルゴリズムに基づかせることができ、この選択アルゴリズムは、信号品質目標に合致し、同一チャネル干渉を最小化し、重なり合うチャネルの干渉を最小化し、かつ/またはチャネル輻輳を最小化するために設計されている。複数の実施形態では、選択は、現在選択されているチャネルに関連付けられた予測チャネル状態値と、基準チャネル状態値(例えば、閾値)または現在選択されていないチャネルについての予測チャネル状態値と、の比較に基づく。チャネル状態評価器918の例示的な動作は、図10に関してさらに詳細に説明される。
【0050】
図10は、複数の実施形態にしたがい、チャネル状態データを供給してチャネルマップデータを使用する方法を例示する流れ図である。方法1000は、処理ロジックを有するハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(例えば、汎用コンピューティングシステムまたは専用マシン上で動作するソフトウェア)、ファームウェア(組み込みソフトウェア)、またはこれらの任意の組み合わせによって実行可能である。さまざまな実施形態では、方法1000は、図9に関して図示および説明したように無線デバイス900によって実行可能である。
【0051】
ブロック1002では、位置追跡器910により、無線デバイス900の地理的位置を追跡し、時刻追跡器921により、無線デバイス900に関連付けられた1日の時刻を追跡する。
【0052】
ブロック1004では、チャネル状態検出器908により、1日の複数の時間帯の少なくとも1つの時間帯(例えば、午前4時~午前8時)に、複数の地理的位置の少なくとも1つの地理的位置(例えば、Z1 120)内のチャネル状態データを検出する。いくつかの実施形態では、チャネル状態検出器908は、特定の位置、1日の時刻および/またはチャネル判定基準が満たされるまでは、チャネル状態データを検出しない、かつ/または記憶しないことがある。このような判定基準は、メモリシステム922に記憶可能であり、かつ/またはリモートデバイス(例えば、図3の電子デバイス302)により、データアレイとして設けることができる。例えば、チャネル状態検出器908は、無線デバイス900が、特定の地理的位置内にあり、1日の特定の時刻中に動作しており、または輻輳または干渉の閾値レベルを受けていることが特定されることに応じて、または別の任意のトリガ条件の検出に基づいて、チャネル状態データを検出し、かつ/または記憶することができる。チャネル状態検出器908は、数式(2)に関して上で説明したように、同じチャネル、地理的位置および時間帯に対応するチャネル条件データを集計可能である。
【0053】
ブロック1006では、チャネル状態検出器908により、チャネルマップデータを生成するか、または更新されたチャネルマップデータを生成するために、検出されたチャネル状態データを供給する。一実施形態では、チャネル状態評価器918により、無線デバイスにおいてローカルにチャネルマップデータを生成するために数式(1)または数式(2)を利用可能である。択一的または付加的には、無線デバイス900により、チャネルマップデータを生成するために、WLAN(例えば、Wi-Fi)またはセルラネットワーク(例えば、LTE)を介して、リモートデバイス(例えば、図3の電子デバイス302)にチャネル状態データを送信することができる。いくつかの実施形態により、チャネル輻輳を悪化させないようにこのような送信がスケジューリングされる。例えば、無線デバイスにより、送信の前に通信チャネルがクリアであり(かつ輻輳していない)ことが検証可能である。択一的または付加的には、無線デバイス900により、無線デバイス900の利用可能なメモリ容量の量に基づいて、検出されたチャネル状態データを送信可能である。
【0054】
ブロック1008では、チャネル状態評価器918は、1日の複数の時間帯に、複数の地理的位置のそれぞれの地理的位置において、複数のWi-FiチャネルのそれぞれのWi-Fiチャネルについて、チャネル状態を予測するチャネルマップデータにアクセスする。例えば、チャネル状態評価器918は、リモートコンピュータからチャネルマップデータを受信可能である。いくつかの実施形態では、チャネル状態評価器918は、現在通信に使用されているチャネルのチャネル干渉またはチャネル輻輳が、チャネル干渉またはチャネル輻輳の閾値レベルを上回っていることが特定されるのに応じて、チャネルマップデータにアクセス可能である。
【0055】
ブロック1010では、チャネル状態評価器918は、無線デバイスの地理的位置および無線デバイスに関連付けられた1日の時刻に基づき、複数のWi-Fiチャネル(例えば、またはアンテナ)の1つのWi-Fiチャネルを通信用に選択するためにチャネルマップデータを使用する。
【0056】
例えば、チャネル状態評価器918は、地理的位置内での第1のWi-Fiチャネルの予測チャネル状態値が、この地理的位置内での第2のWi-Fiチャネルの予測チャネル状態値よりも大きい場合、この地理的位置に進入する前に、通信に第1のWi-Fiチャネルを使用することから、通信に第2のWi-Fiチャネルを使用することに切り換え可能である。無線デバイスが、モバイルネットワーク(例えば、自動車の使用事例)の一部である場合、地理的位置に進入する前のチャネルの切り換えのタイミングは、無線デバイスの速度に基づいていてよい。複数の実施形態では、第2のWi-Fiチャネルへの切り換えには、(例えば、第1のチャネルが通信に適切であることを検証するために)第2の予測チャネル状態値が、閾値チャネル状態レベルよりも小さいことを特定することが含まれる。
【0057】
選択されるチャネルは、現在利用されているかチャネルか、または新たなチャネルであってよい。いくつかの実施形態では、チャネル状態評価器918は、複数のWi-Fiチャネルの選択された1つのWi-Fiチャネルを介してデータを送信するために使用される送信電力を調整可能である。択一的または付加的には、チャネル状態評価器918は、通信に使用されるチャネル幅を、またはいくつかの事例では、通信に使用される周波数帯域を、(例えば、2.4GHz周波数帯域においてチャネルを使用することから5GHz周波数帯域においてチャネルを使用することに)変更または切り換えることができる。
【0058】
本明細書で説明した実施形態により、さまざまな地理的位置および時刻に対応する状態データが収集される。クラウドベースのシステムは、数百または数千の無線デバイスによってクラウドソーシングされたチャネル状態データを使用して、チャネルマップデータを生成可能であるか、または無線デバイスは、クラウドソーシングの恩恵を受けて、またはこの恩恵を受けることなくそれ自体のチャネルマップデータを形成可能である。チャネルマップデータには、1日の異なる時間帯における地理的位置についてのチャネル状態を予測するチャネル状態値が含まれている。複数の実施形態では、1つ以上の無線デバイスは、位置および時刻について、チャネルマップデータによって予測される有害なチャネル状態を回避または軽減するためにチャネルマップデータにアクセス可能である。図3の電子デバイス302および/または図9の無線デバイス900の例示的な実施形態を完全に、または部分的に含み、かつ/または動作させ得る電子デバイスを以下、図11に関して説明する。
【0059】
図11は、複数の実施形態にしたがい、電子デバイス1100を例示するブロック図である。電子デバイス1100は、コンピュータシステムの形態をしていてよく、このコンピュータシステム内では、本明細書で説明される任意の1つ以上の方法を電子デバイス1100に実施させる命令の集合が実行可能である。電子デバイス1100は、スタンドアローンデバイスとして動作可能であるか、または別のマシンに接続(例えば、ネットワーク接続)可能である。ネットワーク接続されるデプロイメントでは、電子デバイス1100は、サーバ・クライアントネットワーク環境におけるサーバ、またはクライアントマシンとして、またはP2P(または分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作可能である。
【0060】
電子デバイス1100は、IoT(Internet of Things)デバイス、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC:personal computer)、タブレット、セットトップボックス(STB:set-top box)、VCH、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、テレビジョン、スピーカ、リモコン、モニタ、ハンドヘルドマルチメディアデバイス、ハンドヘルドビデオプレーヤ、ハンドヘルドゲーミングデバイス、またはコントロールパネル、またはマシンによって行われる動作を指定する命令の集合を(順次または別様に)実行可能な任意の別のマシンであってよい。さらに、単一の電子デバイス1100だけが例示されているが、「デバイス」という用語はまた、本明細書で説明した任意の1つ以上の方法を実施する命令の集合(または複数の集合)を個別に、または一緒に実行するマシンの任意の集まりを含むと解釈すべきである。
【0061】
電子デバイス1100は、プロセッサ1102を含むように図示されている。複数の実施形態では、電子デバイス1100および/またはプロセッサ1102には、カリフォルニア州サンノゼ在のCypress Semiconductor社によって開発された、システムオンチップ処理デバイスのような処理デバイス1105が含まれていてよい。択一的には、電子デバイス1100には、マイクロプロセッサもしくは中央処理ユニット、アプリケーションプロセッサ、ホストコントローラ、コントローラ、特殊用途プロセッサ、DSP、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)などの、当業者に公知の1つ以上の別の処理デバイスが含まれていてよい。バスシステム1101には、通信デバイス1109および/バスシステム1101を介して、組み込みコントローラもしくはアプリケーションプロセッサのような、内部もしくは外部コンポーネントと通信する通信ブロック(図示せず)が含まれていてよい。
【0062】
電子デバイス1100のコンポーネントは、例えば、ICダイ基板、マルチチップモジュール基板などのような共通担体基板上に設けられていてよい。択一的には、電子デバイス1100のコンポーネントは、1つ以上の別体のICおよび/またはディスクリートコンポーネントであってよい。
【0063】
メモリシステム1104には、バスシステム1101を介して互いに通信可能な揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリが含まれていてよい。メモリシステム1104には、例えば、RAM(random access memory)およびプログラムフラッシュが含まれていてよい。RAMは、スタティックRAM(SRAM)であってよく、またプログラムフラッシュは、ファームウェア(例えば、本明細書で説明される動作を実装するためにプロセッサ1102によって実行可能な制御アルゴリズム)を記憶するために使用可能な不揮発性記憶装置であってよい。メモリシステム1104には、実行される場合に本明細書で説明される方法を実施する命令1103が含まれていてよい。メモリシステム1104の部分は、キャッシング、バッファリングおよび/またはメモリベースの機能を提供するために動的割当て可能である。
【0064】
メモリシステム1104には、本明細書で説明される任意の1つ以上の方法または機能を実現する1つ以上の命令1103の集合(例えば、ソフトウェア)を記憶することができる、機械読み取り可能媒体を備えたドライブユニットが含まれていてよい。命令1103はまた、電子デバイス1100による実行中に、いつかの実施形態では機械読み取り可能媒体を構成する、メモリシステム1104の他のメモリデバイス内に、かつ/またはプロセッサ1102内に、完全に、または少なくとも部分的に常駐していてよい。命令1103はさらに、通信デバイス1109を介し、ネットワーク上で送信または受信可能である。
【0065】
機械読み取り可能媒体は、いくつかの実施形態において単一の媒体であるが、「機械読み取り可能媒体」という用語は、命令の1つ以上の集合を記憶する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型のデータベースおよび/または関連付けられたキャッシュおよびサーバ)を含むと解釈されるべきである。「機械読み取り可能媒体」という用語はまた、マシンによる実行のための命令の集合を記憶または符号化可能でありかつ本明細書で説明した例示的な任意の1つ以上の動作をマシンに実施させる任意の媒体を含むと解釈されるべきである。したがって、「機械読み取り可能媒体」という用語は、ソリッドステートメモリ、ならびに光学式および磁気式媒体を含むように解釈されるべきであるが、これらの媒体には限定されない。
【0066】
電子デバイス1100はさらに、ディスプレイインタフェース1106(例えば、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、タッチスクリーン、CRT(cathode ray tube)、ならびにディスプレイ技術用のソフトウェアおよびハードウェアサポート)、オーディオインタフェース1108(例えば、マイクロフォン、スピーカ、ならびにマイクロフォン入/出力およびスピーカ入/出力用のソフトウェアおよびハードウェアサポート)を含むように図示されている。電子デバイス1100はまた、ユーザインタフェース1110(例えば、キーボード、ボタン、スイッチ、タッチパッド、タッチスクリーン、ならびにユーザインタフェース用のソフトウェアおよびハードウェアサポート)を含むように図示されている。
【0067】
上の説明は、例示であることを意図しており、制限であることを意図していない。例えば、上で説明した複数の実施形態(またはそれらの1つ以上の態様)は、互いの組み合わせで使用可能である。他の実施形態は、上の説明を綿密に調べることによって当業者には明らかであろう。この明細書では、「a」または「an」という用語は、特許明細書において一般的であるように、1つまたは1つ以上を含むように使用される。この明細書では、「or(または)」という用語は、非排他的であることに言及するために、すなわち「AまたはB」には、別段の指示がない限り、「AであるがBではない」、「BではあるがAではない」および「AでありかつBである」が含まれることを言及するために使用される。本明細書と参照によって組み込まれる明細書との間で矛盾して使用される場合、組み込まれた参照文献における使用は、本明細書の使用の補足と見なされるべきであり、矛盾する不一致については、本明細書における使用が、組み込まれる任意の参照文献における使用に取って代わるものとする。
【0068】
特定の複数の実施形態を参照して、特許請求の範囲に記載された対象を説明してきたが、特許請求の範囲に記載されたより広い精神および範囲から逸脱することなく、これらの実施形態にさまざまな修正および変更を行い得ることは明らかであろう。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく、むしろ説明的な意味で捉えられるべきである。特許請求の範囲は、添付の請求項を参照して、これらの請求項が権利を有する同等物の全範囲とともに決定されるべきである。添付の請求項では、「including(含む)」および「in which(そこに、その中で)」という用語は、対応する「comprising(含む、有する)」および「wherein(そこに、その中で)」という用語の平易な英語の同等物として使用される。また、以下の請求項では、「including」および「comprising」という用語は、範囲が限定されておらず、請求項においてこれらの用語の後に挙げられる要素を加えた要素を含むシステム、デバイス、項目またはプロセスもなおその請求項の範囲内に含まれると考えられる。さらに、以下の請求項において、「第1」、「第2」および「第3」などいう用語は、単にラベルとして使用されており、その対象体に対して数値的な要求を課すことを意図していない。
【0069】
本開示の要約書は、技術的な開示の本質を読者が迅速に確かめられるようにする要約書を要求するアメリア合衆国特許規則 連邦規則法典第37巻§1.72(b)にしたがうように提供されている。この要約書は、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないことが了解された上で提出されている。
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